説明

生物由来材料を混入した土ブロックおよび土ブロック製造装置

【課題】種子などの生物由来材料を潰すことなく土ブロック内に混在させることができ、ブロックにクラックが生じたりブロックが分断することもなく、さらに多量な硬化剤を使用することなく生物由来材料を混合した状態で塊土化された、生物由来材料を混入した土ブロックを提供する。
【解決手段】本発明は、型枠2内に生物由来材料および土を撒布して形成された土ブロックであって、土を分散させ、かつ揺動させながら前記型枠2内に充填することにより、粒度分布が略均一化された状態で緻密化されていることを特徴とする生物由来材料を混入した土ブロックである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば種子などの生物由来材料を混入した土ブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、土などの培地に予め種子を混入し、水分等を供給すると植物が育成するように形成された植物栽培用ブロックが種々提案されている。一般に、このような植物栽培用ブロックは、土をプレスしたり、多量の硬化剤(例えばセメントや樹脂材料など)を土に混合等して培地をブロック化している。
また、ゴルフ場では、刈り取った芝が大量に発生し、その廃棄処分に多大な労力と費用を要している。このため、廃棄処分に代わる芝の有効処理法として、芝を土と共にブロック化し土に帰すようにしてゴルフ場内で循環させることが考えられる。
【0003】
しかし、このような土と生物由来材料とを混合してブロック化する場合、前者の場合では、土をプレスする際に種子が潰れて発芽しないことがあった。また、プレスによって土をブロック化すると、粒度分布が区々となり、それが原因となってブロックにクラックが生じたり、分断してしまうことがあった。さらに、硬化させるために相当量の硬化剤は使用することは培地としては好ましくなく、コスト高の要因ともなっていた。
【0004】
他方、後者の場合では、芝を大量処理することが元来の目的であるため、ブロック内にはより大量の芝を混合することが重要であるが、芝を多く含む土をブロック化することは強度なプレス加工でも容易ではなく、さらに多量の硬化剤が必要となる。しかし、大量に硬化剤を使用したブロックは、容易には土に帰らず、芝の循環型処理を実現できない。
【特許文献1】特開2002−176859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は、種子などの生物由来材料を潰すことなく土ブロック内に混在させることができ、ブロックにクラックが生じたりブロックが分断することもなく、さらに多量な硬化剤を使用することなく生物由来材料を混合した状態で塊土化された、生物由来材料を混入した土ブロックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、型枠内に生物由来材料および土を撒布して形成された土ブロックであって、土を分散させ、かつ揺動させながら型枠内に充填することにより、粒度分布が略均一化された状態で緻密化されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、プレス成型によりブロック化したものではないため、種子などの生物由来材料を潰すことなく土ブロック内に混在させることができる。また、土が分散および揺動により型枠内に充填されて形成されているため、土と型枠との衝撃加速度が緩和され粒度分布が偏らず略均一な土ブロックとなり、その結果、クラックが発生したり分断することがない土ブロックとなる。さらに、土の分散および揺動により細密充填されて形成される(換言すれば自己組織化現象を発生させるように充填形成される)ため、種子などの生物由来材料を混入しても、多量な硬化剤を要せず緻密にブロック化している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、型枠内に生物由来材料および土を撒布して形成された土ブロックであって、土を分散させ、かつ揺動させながら前記型枠内に充填することにより、粒度分布が略均一化された状態で緻密化されていることを特徴とする生物由来材料を混入した土ブロックであり、例えば図1ないし図10に示した製造装置を用いて作製することができる。
【実施例1】
【0009】
図1は本発明の生物由来材料を混入した土ブロックを製造する装置の一実施例の正面概略図であり、図2は図1に示した土ブロック製造装置の左側面概略図であり、図3は図1に示した土ブロック製造装置において、ホッパーを除去した状態の平面概略図であり、図4は図1に示した土ブロック製造装置の土分散揺動具の斜視図であり、図5は図1に示した土ブロック製造装置における製造時の特徴的動作を示す一部拡大正面図であり、図6は図5に示した動作時の一部平面拡大図であり、図7は図1に示した土ブロック製造装置における製造時の特徴的動作を示す一部拡大正面図であり、図8は図7に示した動作時の一部平面拡大図であり、図9は図1に示した土ブロック製造装置における製造時の特徴的動作を示す一部拡大正面図であり、図10は図9に示した動作時の一部平面拡大図である。
以下、本発明の生物由来材料を混入した土ブロックを製造装置の構成および作用と共に詳述する。
【0010】
本発明の土ブロックは、波が砂を巻き上げ(分散および揺動)ながら砂同士の摩擦を緩和させ緻密化した砂浜を形成する原理を工業的に利用して作製したものである。
【0011】
図面に示した土ブロックの製造装置1は、そのような土の分散および揺動を機械的に実現した装置であり、落下する土を細密充填するための型枠2と、土を導入するためのホッパー3と、ホッパー3の下方に配され、ホッパー3から落下してくる土等、土ブロック構成材を分散および揺動させるための土分散揺動具4と、土分散揺動具を垂直方向および水平方向に移動させるための土分散揺動具動作機構5とを有している。
【0012】
型枠2は、図3に示すように、基台6に4つ連設(ただし、図3では2つの型枠のみが現れている)されており、この型枠2内に後述するホッパー3より土が落下して細密充填し土ブロック10が形成される。具体的には、型枠2は、図1に示すように、基台6中に構成されており、第1駆動手段(モーター)7により、図3中左右方向に毎分1.5mの速度で往復運動可能に構成されている。そして、土が型枠2内に充填されて、図3中左側に移動する際に型枠2の底板2aが押し上げられ、図2に示すように、本発明の土ブロック10が上昇して脱型される。
【0013】
ホッパー3は、土や生物由来材料など土ブロック構成材の導入口であり、図1または図2に示すように、土ブロックの製造装置1の中央部付近の上部に取り付けられて、上方に向かって開口している。土ブロック構成材は、このホッパー3の上端開口より投入してもよいが、コンベア機構(図示しない)に積載して投入してもよい。
【0014】
土分散揺動具4は、ホッパー3より落下してくる土等、土ブロック構成材を分散および揺動するためのものであり、図4および図6に示すように、揺動本体12に固定するための上部フランジ4aと、両側壁4bと、両側壁4bの下部に架設された3本の架設部4cと、架設部4c間に設けられた2つのスリット4dとから構成されている。
【0015】
土分散揺動具動作機構5は、土分散揺動具4を垂直および水平方向に移動させるための機構であり、図6に示すように、第2駆動手段(モーター)8と、モーター8の回転軸8aと、回転軸8aに固定された円盤8bと、円盤8bにクランクピンを介して一端が取り付けられたアーム9と、アーム9の他端が一端側に取り付けられ平面視矩形に形成された揺動本体12と、揺動本体12と装置本体フレーム13との間で四方にそれぞれ配され、装置本体フレーム13側のピンを軸として回動可能なクランクアーム11とから構成されている。
【0016】
このような土分散揺動具動作機構5において、第2駆動手段(モーター)8を駆動させると、図6または図10に示すように、円盤8bが一回転する毎にアーム9が往復運動する。このアーム9の往復動に伴って揺動本体12も往復動するが、クランクアーム11が装置本体フレーム側のピンを軸として回動するため、揺動本体12は若干の上下運動を伴った往復運動をする。この揺動本体12の動作に伴って揺動本体12に固定された土分散揺動具4も垂直および水平方向への運動を行う。なお、この実施例の装置では、モーターの回転数は50rpmで、土分散揺動具4の垂直方向の移動距離40mm、水平方向の移動距離160mmに設定されている。
【0017】
図5および図6は、土分散揺動具4がh方向(モータ8に近づく方向)の最端に位置している状態を示しており、土分散揺動具4は、図5に示すように、型枠2の水平方向一端側付近に位置すると共に、その下端面が型枠2の最上面に位置している。また、図7および図8は、土分散揺動具4が型枠2の中央付近に位置している状態(図7参照)を示しており、その下端面がm方向に上昇し型枠2の最上面より40mm上方に位置している。さらに、図9および図10は、土分散揺動具4がJ方向(モータ8から遠ざかる方向)の最端に位置している状態を示しており、土分散揺動具4は、図9に示すように型枠2の水平方向他端側付近に位置すると共に、その下端面が型枠2の最上面に位置している。
【0018】
すなわち、上記構造により、土分散揺動具4は、山なりな円弧状軌跡を描く往復運動を1分間に50回繰り返す揺動運動を行うため、ホッパー3から落下する土等を、一部はスリット4d等を通過してそのまま型枠2内に落下させ、一部は架設部4cの上面(水平方向に沿って延在する平面に形成されている)に載置して水平方向や垂直方向に揺動させ、さらに、型枠2内に落下した土が型枠2の最上面を越えた場合は、架設部4cの下面で分散させたりして、土ブロック構成材の粒度分布が略均一化(最適化)されるように作用して細密充填となる。なお、本発明の土ブロックは、単に土等を振動させて振り分けるのではなく、特に、水平方向に延在する平板状に形成された架設部4cが垂直方向および水平方向に移動することにより、その上面に土が載置し、土等が巻き上げられるように分散および揺動されるため緻密化される。
【0019】
なお、本願でいう「生物由来材料」とは、生きている生物そのものの他、元来、生物として生起したものの構成材を広く含む概念であり、例えば、種子、大鋸屑、木屑、炭、刈り取った芝、昆虫の幼虫などが挙げられる。
【0020】
そして、本発明の土ブロックは、生物由来材料を含有し、粒度分布が略均一化された状態で緻密化されたものであり、例えば、芝の種子を土ブロック内に混入することにより、発芽する土ブロックを形成することができ、庭などに土ブロックを敷設するのみで芝を繁殖させることができる。
【0021】
なお、種子の混入方法としては型枠内に予め撒在させる方法が好適である。
また、土ブロックの構成材としては、土の他、必要に応じて、刈り取った芝、有機肥料、大鋸屑、木屑、炭、菌、成長促進剤または成長調整剤、土壌改良剤、腐敗促進剤、少量のセメントなど硬化剤などを使用してもよい。
【0022】
このように、本発明の生物由来材料を混入した土ブロックは、プレスして塊土化するものではなく、分散および揺動により粒度分布を均等化したものであり、種子などの生物由来材料を潰すことなく土ブロック内に混在させることができ、ブロックにクラックが生じたりブロックが分断することもなく、さらに多量な硬化剤を使用することなく生物由来材料を混合した状態で塊土化されており、生物由来材料の種類などに応じて様々な用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の生物由来材料を混入した土ブロックを製造する装置の一実施例の正面概略図である。
【図2】図1に示した土ブロック製造装置の左側面概略図である。
【図3】図1に示した土ブロック製造装置において、ホッパーを除去した状態の平面概略図である。
【図4】図1に示した土ブロック製造装置の土分散揺動具の斜視図である。
【図5】図1に示した土ブロック製造装置における製造時の特徴的動作を示す一部拡大正面図である。
【図6】図5に示した動作時の一部平面拡大図である。
【図7】図1に示した土ブロック製造装置における製造時の特徴的動作を示す一部拡大正面図である。
【図8】図7に示した動作時の一部平面拡大図である。
【図9】図1に示した土ブロック製造装置における製造時の特徴的動作を示す一部拡大正面図である。
【図10】図9に示した動作時の一部平面拡大図である。
【符号の説明】
【0024】
1 土ブロック製造装置
2 型枠
3 ホッパー
4 土分散揺動具
5 土分散揺動具動作機構
6 基台
7 第1駆動手段
8 第2駆動手段
9 アーム
10 生物由来材料を混入した土ブロック
11 クランクアーム
12 揺動本体
13 装置フレーム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば種子などの生物由来材料を混入した土ブロックおよび土ブロック製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、土などの培地に予め種子を混入し、水分等を供給すると植物が育成するように形成された植物栽培用ブロックが種々提案されている。一般に、このような植物栽培用ブロックは、土をプレスしたり、多量の硬化剤(例えばセメントや樹脂材料など)を土に混合等して培地をブロック化している。
また、ゴルフ場では、刈り取った芝が大量に発生し、その廃棄処分に多大な労力と費用を要している。このため、廃棄処分に代わる芝の有効処理法として、芝を土と共にブロック化し土に帰すようにしてゴルフ場内で循環させることが考えられる。
【0003】
しかし、このような土と生物由来材料とを混合してブロック化する場合、前者の場合では、土をプレスする際に種子が潰れて発芽しないことがあった。また、プレスによって土をブロック化すると、粒度分布が区々となり、それが原因となってブロックにクラックが生じたり、分断してしまうことがあった。さらに、硬化させるために相当量の硬化剤は使用することは培地としては好ましくなく、コスト高の要因ともなっていた。
【0004】
他方、後者の場合では、芝を大量処理することが元来の目的であるため、ブロック内にはより大量の芝を混合することが重要であるが、芝を多く含む土をブロック化することは強度なプレス加工でも容易ではなく、さらに多量の硬化剤が必要となる。しかし、大量に硬化剤を使用したブロックは、容易には土に帰らず、芝の循環型処理を実現できない。
【特許文献1】特開2002−176859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は、種子などの生物由来材料を潰すことなく土ブロック内に混在させることができ、ブロックにクラックが生じたりブロックが分断することもなく、さらに多量な硬化剤を使用することなく生物由来材料を混合した状態で塊土化された、生物由来材料を混入した土ブロックおよびそれらを製造可能な土ブロックの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の土ブロックは、型枠内に生物由来材料および土を撒布して形成された土ブロックであって、土を分散させ、かつ揺動させながら型枠内に充填することにより、粒度分布が略均一化された状態で緻密化されていることを特徴とするものである。また、本発明の土ブロック製造装置は、土導入口と、土を細密充填するための型枠と、前記土導入口の下方に配され、土を前記型枠内に落下させると共に、前記土導入口から落下してくる土を分散および揺動させるための土分散揺動具と、該土分散揺動具を上下運動を伴った往復動させるための土分散揺動具動作機構とを有していることを特徴とする土ブロック製造装置である。前記土分散揺動具動作機構は、前記土分散揺動具を山なりに往復動させるものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の土ブロックは、プレス成型によりブロック化したものではないため、種子などの生物由来材料を潰すことなく土ブロック内に混在させることができる。また、土が分散および揺動により型枠内に充填されて形成されているため、土と型枠との衝撃加速度が緩和され粒度分布が偏らず略均一な土ブロックとなり、その結果、クラックが発生したり分断することがない土ブロックとなる。さらに、土の分散および揺動により細密充填されて形成される(換言すれば自己組織化現象を発生させるように充填形成される)ため、種子などの生物由来材料を混入しても、多量な硬化剤を要せず緻密にブロック化している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の土ブロックは、型枠内に生物由来材料および土を撒布して形成された土ブロックであって、土を分散させ、かつ揺動させながら前記型枠内に充填することにより、粒度分布が略均一化された状態で緻密化されていることを特徴とする生物由来材料を混入した土ブロックであり、例えば図1ないし図10に示した製造装置を用いて作製することができる。
【実施例1】
【0009】
図1は本発明の生物由来材料を混入した土ブロックを製造する装置の一実施例の正面概略図であり、図2は図1に示した土ブロック製造装置の左側面概略図であり、図3は図1に示した土ブロック製造装置において、ホッパーを除去した状態の平面概略図であり、図4は図1に示した土ブロック製造装置の土分散揺動具の斜視図であり、図5は図1に示した土ブロック製造装置における製造時の特徴的動作を示す一部拡大正面図であり、図6は図5に示した動作時の一部平面拡大図であり、図7は図1に示した土ブロック製造装置における製造時の特徴的動作を示す一部拡大正面図であり、図8は図7に示した動作時の一部平面拡大図であり、図9は図1に示した土ブロック製造装置における製造時の特徴的動作を示す一部拡大正面図であり、図10は図9に示した動作時の一部平面拡大図である。
以下、本発明の生物由来材料を混入した土ブロックを製造装置の構成および作用と共に詳述する。
【0010】
本発明の土ブロックは、波が砂を巻き上げ(分散および揺動)ながら砂同士の摩擦を緩和させ緻密化した砂浜を形成する原理を工業的に利用して作製したものである。
【0011】
図面に示した土ブロックの製造装置1は、そのような土の分散および揺動を機械的に実現した装置であり、落下する土を細密充填するための型枠2と、土を導入するためのホッパー3と、ホッパー3の下方に配され、ホッパー3から落下してくる土等、土ブロック構成材を分散および揺動させるための土分散揺動具4と、土分散揺動具を垂直方向および水平方向に移動させるための土分散揺動具動作機構5とを有している。
【0012】
型枠2は、図3に示すように、基台6に4つ連設(ただし、図3では2つの型枠のみが現れている)されており、この型枠2内に後述するホッパー3より土が落下して細密充填し土ブロック10が形成される。具体的には、型枠2は、図1に示すように、基台6中に構成されており、第1駆動手段(モーター)7により、図3中左右方向に毎分1.5mの速度で往復運動可能に構成されている。そして、土が型枠2内に充填されて、図3中左側に移動する際に型枠2の底板2aが押し上げられ、図2に示すように、本発明の土ブロック10が上昇して脱型される。
【0013】
ホッパー3は、土や生物由来材料など土ブロック構成材の導入口であり、図1または図2に示すように、土ブロックの製造装置1の中央部付近の上部に取り付けられて、上方に向かって開口している。土ブロック構成材は、このホッパー3の上端開口より投入してもよいが、コンベア機構(図示しない)に積載して投入してもよい。
【0014】
土分散揺動具4は、ホッパー3より落下してくる土等、土ブロック構成材を分散および揺動するためのものであり、図4および図6に示すように、揺動本体12に固定するための上部フランジ4aと、両側壁4bと、両側壁4bの下部に架設された3本の架設部4cと、架設部4c間に設けられた2つのスリット4dとから構成されている。
【0015】
土分散揺動具動作機構5は、土分散揺動具4を垂直および水平方向に移動させるための機構であり、図6に示すように、第2駆動手段(モーター)8と、モーター8の回転軸8aと、回転軸8aに固定された円盤8bと、円盤8bにクランクピンを介して一端が取り付けられたアーム9と、アーム9の他端が一端側に取り付けられ平面視矩形に形成された揺動本体12と、揺動本体12と装置本体フレーム13との間で四方にそれぞれ配され、装置本体フレーム13側のピンを軸として回動可能なクランクアーム11とから構成されている。
【0016】
このような土分散揺動具動作機構5において、第2駆動手段(モーター)8を駆動させると、図6または図10に示すように、円盤8bが一回転する毎にアーム9が往復運動する。このアーム9の往復動に伴って揺動本体12も往復動するが、クランクアーム11が装置本体フレーム側のピンを軸として回動するため、揺動本体12は若干の上下運動を伴った往復運動をする。この揺動本体12の動作に伴って揺動本体12に固定された土分散揺動具4も垂直および水平方向への運動を行う。なお、この実施例の装置では、モーターの回転数は50rpmで、土分散揺動具4の垂直方向の移動距離40mm、水平方向の移動距離160mmに設定されている。
【0017】
図5および図6は、土分散揺動具4がh方向(モータ8に近づく方向)の最端に位置している状態を示しており、土分散揺動具4は、図5に示すように、型枠2の水平方向一端側付近に位置すると共に、その下端面が型枠2の最上面に位置している。また、図7および図8は、土分散揺動具4が型枠2の中央付近に位置している状態(図7参照)を示しており、その下端面がm方向に上昇し型枠2の最上面より40mm上方に位置している。さらに、図9および図10は、土分散揺動具4がJ方向(モータ8から遠ざかる方向)の最端に位置している状態を示しており、土分散揺動具4は、図9に示すように型枠2の水平方向他端側付近に位置すると共に、その下端面が型枠2の最上面に位置している。
【0018】
すなわち、上記構造により、土分散揺動具4は、山なりな円弧状軌跡を描く往復運動を1分間に50回繰り返す揺動運動を行うため、ホッパー3から落下する土等を、一部はスリット4d等を通過してそのまま型枠2内に落下させ、一部は架設部4cの上面(水平方向に沿って延在する平面に形成されている)に載置して水平方向や垂直方向に揺動させ、さらに、型枠2内に落下した土が型枠2の最上面を越えた場合は、架設部4cの下面で分散させたりして、土ブロック構成材の粒度分布が略均一化(最適化)されるように作用して細密充填となる。なお、本発明の土ブロックは、単に土等を振動させて振り分けるのではなく、特に、水平方向に延在する平板状に形成された架設部4cが垂直方向および水平方向に移動することにより、その上面に土が載置し、土等が巻き上げられるように分散および揺動されるため緻密化される。
【0019】
なお、本願でいう「生物由来材料」とは、生きている生物そのものの他、元来、生物として生起したものの構成材を広く含む概念であり、例えば、種子、大鋸屑、木屑、炭、刈り取った芝、昆虫の幼虫などが挙げられる。
【0020】
そして、本発明の土ブロックは、生物由来材料を含有し、粒度分布が略均一化された状態で緻密化されたものであり、例えば、芝の種子を土ブロック内に混入することにより、発芽する土ブロックを形成することができ、庭などに土ブロックを敷設するのみで芝を繁殖させることができる。
【0021】
なお、種子の混入方法としては型枠内に予め撒在させる方法が好適である。
また、土ブロックの構成材としては、土の他、必要に応じて、刈り取った芝、有機肥料、大鋸屑、木屑、炭、菌、成長促進剤または成長調整剤、土壌改良剤、腐敗促進剤、少量のセメントなど硬化剤などを使用してもよい。
【0022】
このように、本発明の生物由来材料を混入した土ブロックは、プレスして塊土化するものではなく、分散および揺動により粒度分布を均等化したものであり、種子などの生物由来材料を潰すことなく土ブロック内に混在させることができ、ブロックにクラックが生じたりブロックが分断することもなく、さらに多量な硬化剤を使用することなく生物由来材料を混合した状態で塊土化されており、生物由来材料の種類などに応じて様々な用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の生物由来材料を混入した土ブロックを製造する装置の一実施例の正面概略図である。
【図2】図1に示した土ブロック製造装置の左側面概略図である。
【図3】図1に示した土ブロック製造装置において、ホッパーを除去した状態の平面概略図である。
【図4】図1に示した土ブロック製造装置の土分散揺動具の斜視図である。
【図5】図1に示した土ブロック製造装置における製造時の特徴的動作を示す一部拡大正面図である。
【図6】図5に示した動作時の一部平面拡大図である。
【図7】図1に示した土ブロック製造装置における製造時の特徴的動作を示す一部拡大正面図である。
【図8】図7に示した動作時の一部平面拡大図である。
【図9】図1に示した土ブロック製造装置における製造時の特徴的動作を示す一部拡大正面図である。
【図10】図9に示した動作時の一部平面拡大図である。
【符号の説明】
【0024】
1 土ブロック製造装置
2 型枠
3 ホッパー
4 土分散揺動具
5 土分散揺動具動作機構
6 基台
7 第1駆動手段
8 第2駆動手段
9 アーム
10 生物由来材料を混入した土ブロック
11 クランクアーム
12 揺動本体
13 装置フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠内に生物由来材料および土を撒布して形成された土ブロックであって、土を分散させ、かつ揺動させながら前記型枠内に充填することにより、粒度分布が略均一化された状態で緻密化されていることを特徴とする生物由来材料を混入した土ブロック。
【請求項2】
前記土の分散および揺動は、前記型枠の上方に配され、山なりに往復動する土分散揺動具によるものである請求項1に記載の生物由来材料を混入した土ブロック。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠内に生物由来材料および土を撒布して形成された土ブロックであって、土を分散させ、かつ揺動させながら前記型枠内に充填することにより、粒度分布が略均一化された状態で緻密化されていることを特徴とする生物由来材料を混入した土ブロック。
【請求項2】
前記土の分散および揺動は、前記型枠の上方に配され、山なりに往復動する土分散揺動具によるものである請求項1に記載の生物由来材料を混入した土ブロック。
【請求項3】
土導入口と、土を細密充填するための型枠と、前記土導入口の下方に配され、土を前記型枠内に落下させると共に、前記土導入口から落下する土を分散および揺動させるための土分散揺動具と、該土分散揺動具を上下運動を伴った往復動させるための土分散揺動具動作機構とを有していることを特徴とする土ブロック製造装置。
【請求項4】
前記土分散揺動具動作機構は、前記土分散揺動具を山なりに往復動させるものである請求項3に記載の土ブロック製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−288352(P2006−288352A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−117627(P2005−117627)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(000138004)株式会社メイハン (4)
【Fターム(参考)】