説明

生物科学において無線周波数識別子を使用するための組成物および方法

本明細書において、無線周波数識別子技術を利用する生物学研究方法、生物学研究用キット、および生物学研究用製品が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般的にラベル付けされる生物学研究用試薬関し、より詳しくは、生物学研究における無線周波数識別子技術の使用に関する。なお、本出願は、2004年11月5日に出願された、米国仮出願第60/625,441(発明の名称「生物科学における無線周波数を使用するための組成物および方法」)の優先権の利益を請求し、その内容は言及により本願明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
生物学研究用試薬の質は、生物学実験および生物学実験や、生物学研究用試薬を用いる診断手順、環境サンプリング、および法医学的試験等の手法の結果にとって重要である。多くの場合、生物学研究用試薬には、例えば試薬の機能の低下もしくは変化や、実験、試験、もしくは操作中に副反応を引き起こしたり、または最適でない結果をもたらしうる酸化もしくは他の化学的反応によって、時間が経つと効果的に機能できなくなったり化合物が含まれる。印刷ラベル、圧印加工ラベル、スタンプ、またはバーコードによる研究試薬の日付記入によって、その推奨有効期限または使用期限よりも古い研究試薬をユーザが用いるのを防ぐことができるが、これらのシステムにおいても、ユーザまたは試薬の貯蔵品を維持する者が個々の試薬を手作業でチェックする必要がある。これは、生物学研究用試薬での場合によくあることだが、特に、試薬の多くのビン、チューブ、パケット、カートンまたは他のコンテナが保存される場合には、実用的でなく時間の浪費を招く。生物学研究用試薬は、それらの有効期限を長くするために、例えば真空パック中またはデシケータ中で4℃、−20℃、−80℃等の特別な条件下に保管する必要がある場合が多い。このため、期限切れのラベルを在庫調査して確認することが更に1厄介なものとなる。
【0003】
生物学研究用製品のラベル付けミスや操作ミスに起因するエラーは、交換しにくいことによる経費または時間の浪費につながりうる生物学的試料の損失または無駄遣い、再現実験または再現試験のために時間損失、あるいは診断もしくは実験結果の解析エラー等の深刻な結果をもたらすと考えられる。
【0004】
更にまた、生物学研究用試薬は、様々な条件下に実施されうる操作で使用されることが多い。所定の試料または所望の試験に対する最適条件を、マニュアルやその他のリファレンスガイドを参考にして研究者または観察者によって決定する必要がある場合が多い。実験準備または操作準備における問題は、例えば、ユーザが試料を別の試料と取り違えたり、コンピュータ、ガイド、またはマニュアルにおいて操作説明を誤って指定したり、指示の解釈を誤ったり、または操作パラメータを誤って入力したりした場合には時間の浪費となり、エラーを引き起こすと考えられる。
【0005】
生物学研究用試薬は、ある試料の性質または機能を試験する操作においてよく使用される。多くの場合、試料に対する第1の試験または操作結果次第では、第2の試験または操作が実施される場合がある。試験結果または操作結果を分析し、ユーザがその後の解析ステップ用の実験パラメータを再度入力することによってその後のステップが遅延する可能性がある。このプロセスもまた、解析エラーおよびオペレータエラーを招きやすく、時間と試料の損失を引き起こすと考えられる。
【0006】
科学研究および開発実験室における場合等の生物学研究において使用される対象物を取扱い、追跡し、ラベルを付ける、改良されたシステムが必要である。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、無線識別子(RFID)タグを含む生物学研究用試薬であって、試薬、試料、および/またはアッセイ結果に基づく情報を処理、記録、および生物学研究用試薬に物理的に関連させることにより、生物学研究操作を実施する際においてその試薬の使用の合理化を可能にする生物学研究用試薬を提供する。RFIDラベリングシステムを使用して、試料および実験ワークフローを管理、または操作間の遅延時間を減少させながら分析または処理操作のステップを指示することができる。本発明を使用して、データの手入力を減少させ、下流解析ステップのための試料を選別することができる。更に、本発明は、RFIDタグに結びつけられる生物学研究用製品を使用する生体試料を分析するシステムであって、例えば、ゲル、チップ、プレート、および膜またはフィルター等の結合支持体を含むシステムを提供する。
【0008】
本発明の第1の局面は、RFIDタグに結びつけられる生物学研究用試薬である。生物学研究用試薬に関連付けられるRFIDタグは、パッシブタグまたはアクティブタグであってよく、限定はされないが、以下の情報を含むのが好ましい。
1)生物学研究用試薬の1以上の構成要素の識別子(生物学研究用試薬識別情報)
2)提供される、もしくは生物学研究用製品中または上に提供される試料の種類、量、濃度、または識別子(試料識別情報)
3)実施された、もしくは含まれる試料または生物学研究用製品上で実施される、生物学研究用試薬中または上で実施される、もしくは生物学研究用試薬中または上に合成される1以上の操作(試料操作情報)
【0009】
いくつかの好ましい態様において、本発明は、研究用試薬情報または資料識別情報と、試料操作情報とを含む関連したRFIDタグを有する生物学研究用試薬を含む。いくつかの態様において、本発明は、生物学研究用製品識別情報と、試料識別情報と、試料操作情報とを含む関連したRFIDタグを有する生物学研究用試薬を含む。いくつかの例示的態様において、関連したRFIDタグを有する生物学研究用試薬は、例えば、ゲルまたはゲルカセット、ゲルストリップ、フィルターもしくは膜、アレイ、チップ、限定されないがマルチウェルプレートのようなプレート等の生体試料を含む、保持する、または支持することができる生物学研究用製品である。
【0010】
別の局面においては、本発明は、関連したRFIDタグを有する生物学研究用試薬を特定する方法を提供する。生物学研究用試薬は、生体分子(例えば1以上の核酸、1以上の蛋白、1以上の抗体等)、または生物学研究ために使用する試薬(例えば酵素、補因子、標識分子、核酸ベクター等)であってよい。また、生物学研究用試薬は、細胞、ウイルスまたは細胞抽出物を含む。生物学研究用試薬は、容器、基材、分離媒体、または構造体等の生物学研究用製品、または分離、検出、反応、結合、アッセイまたは生化学的な合成を実施する構造体、または装置であってよい。
【0011】
更なる局面において、本発明は、生物学研究用試薬を使用して少なくとも1つのアッセイ、分離、反応、生物学的な合成、または試料処理のステップを実行するシステムであって、前記システムは、アッセイ、分離、反応、生物学的な合成、試料処理のステップを実施する少なくとも1つの生物学研究用電動装置と、RFIDタグリーダと、前記リーダによって読み込まれる情報を保存することができる処理ユニットと、を含み、好ましくは、生物学研究用電動装置を使用して、リーダ情報を実施される操作のパラメータまたは結果情報に関連させるシステムを提供する。システムは、RFIDタグを含む少なくとも1つの研究用試薬を使用して、アッセイ、検出、分離、反応、生化学的な合成、または試料処理のステップを実施する。リーダは、1以上の研究用試薬のRFIDタグに保存される試薬識別情報または試料識別情報、あるいは試料操作情報を受信することができる。
【0012】
例示的態様において、これらの方法で使用されるRFIDタグを有する研究用試薬は、ゲル、ゲルストリップ、またはゲルカセット、フィルターもしくは膜、アレイ、チップ、またはプレート等の研究用製品であって、1以上のアッセイ、分離、合成、処理のステップまたは反応を、研究用製品中または上で実施することができる研究用製品である。他の例示的態様において、生物学研究用試薬は、取り付け型または埋め込み型RFIDタグを有する容器、支持体、または構造体中または上に収容される。調査用電動装置は、例えば、ゲル、フィルターまたはアレイを走査することができる電気泳動電源または光学式走査器であってよい。他の好ましい態様において、システムの処理ユニットは、生物学研究用製品中または上に収容される試料において、システムによって実施されるアッセイ、検出、反応、生化学的な合成、または処理の工程の結果によって研究用製品に関連付けられるRFIDタグから情報を集積することができる。いくつかの態様において、処理ユニットはタグから読み込まれ、いくつかの好ましい態様において、電動装置を使用して実施される操作結果から得られる情報を使用して、ユーザ入力または関連したデータベースから得られる付加情報にアクセスすることができる。
【0013】
本発明の更に別の局面は、生物学研究用試薬の1以上の構成要素の識別に関する情報(試薬識別情報)を含む書き込み可能なRFIDタグを含む生物学研究用製品である。生物学研究用試薬の書き込み可能なRFIDタグは、ユーザが研究用試薬を使用中に付加される付加情報を格納することができるメモリ空間を有する。例えば、ユーザは、生物学研究用試薬を用いて操作中に使用される試料の種類、量、濃度、または識別子(試料識別情報)をタグ情報に書き込み、または、生物学研究用試薬を用いて試料に対して実施したまたは実施される1以上の操作をタグに書き込むことができる。
【0014】
本発明の別の局面は、実験操作、アッセイ、または操作、あるいは、試料処理においてRFIDタグを含む生物学研究用試薬を使用する方法である。RFIDタグは、試薬の種類、識別子のいずれかまたは両方の情報を含み、試料の種類または識別子は、生物学試薬を用いて中に使用され、1以上の操作は、試料において生物学研究用試薬を用いて実施される。いくつかの好ましい態様において、方法は、RFIDタグに関する情報を読み込むことを含み、RFIDタグに提供される情報は、生物学研究用試薬を使用して試料に対して実施される少なくとも1つのアッセイ、検出、分離、反応、合成、または処理の工程を制御または指示する。いくつかの好ましい態様において、方法は、試薬を使用して実行される操作に関する生物学研究用試薬情報または結果に関連付けられるRFIDタグに書き込むことを含む。
【0015】
例示的態様において、関連したRFIDタグを有する研究用試薬は、ゲルまたはゲルカセット、フィルターまたは膜、アレイ、チップ、またはプレート等の研究用製品であって、1以上のアッセイ、検出、分離、合成、処理の工程または反応を、研究用製品中または上において実施することができ、試薬または製品と共に使用される資料および/または操作に関する情報を、研究用製品に関連付けられるRFIDタグに書き込むことができる。
【0016】
本発明の更なる局面は、関連した書き込み可能なRFIDタグを有する生物学関連製剤中または上の試料において、少なくとも1つのアッセイ、反応、生化学的な合成、または処理の工程を実行するシステムである。システムは、少なくとも1つのRFIDタグリーダと、リーダによって読み込まれた情報を格納情報に変換するプロセッサとを含む。システムは、RFIDタグライタ、好ましくは、少なくとも1つの検出装置またはモニター装置を更に含む。リーダは、1以上の研究用試薬のRFIDタグに保存される情報を受信することができる。RFIDタグに格納されるシステムリーダによって読み込まれた情報は、研究用試薬に関する情報、研究用試薬に関連した1以上の試料に関する情報、または研究用試薬に関連した試料において実施された、または、実施される1以上のアッセイ、検出、分離、反応、合成または処理の工程に関する情報である。RFIDタグライタは、研究用製品IDタグにシステムによって検出またはモニターされるアッセイ、反応、生物学的な合成、または処理の工程の結果に関する情報等の情報を更に書き込むことができる。
【0017】
本発明の更なる局面は、書き込み可能なRFIDタグを含む生物学研究用試薬を使用する方法であって、前記方法は、書き込み可能なRFIDタグを含む生物学研究用製品中、上における、その生物学研究用製品に収容される、またはその生物学研究用製品に支持される少なくとも1つの試料における1以上の操作を実施することと、1以上の操作結果を検出、モニター、または観察することと、書き込み可能なRFIDタグ上の1以上の操作結果に基づく情報を書き込むことと、を含む方法である。
【0018】
いくつかの好ましい態様において、方法は、RFIDタグリーダを使用して研究用製品に関連したRFIDタグに符号化される結果情報を読み込むことと、結果情報を使用して、試料において少なくとも1つの付加的な操作を指示することと、を含む。好ましい態様において、操作結果は、機械または装置によって検出またはモニターされ、処理ユニットは、RFIDタグライタと通信して、生物学研究用製品に結びつけられるRFIDに関する結果に基づく情報を符号化するために、これらの工程は自動化される。更なる工程において、結果に基づく情報は、試料において実施される更なる解析または処理の工程を指示する処理ユニットと入出力を行うリーダによって読み込まれる。
【0019】
本発明の更に別の局面は、RFIDタグに符号化される実験結果に基づいたデータベースから情報を得る方法であって、前記方法は、生物学研究用製品に関連したRFIDタグに対する試料における結果あるいは実験または検査に基づく情報を書き込むことであって、前記生物学研究用製品が試料を保持または支持することと、RFIDタグから情報を読み込むことであって、前記情報がデータベースを含むまたは該データベースに接続されるプロセッサに送信されることと、データベースから検査試料に関して情報を得ることと、を含む方法である。データベースは、例えば、化学構造データベース、配列データベース、核酸配列またはタンパク質配列のデータベース、限定されないが含水炭素、ステロイド、脂質、小分子、分子のサブクラス(例えば哺乳動物のキナーゼ、幹細胞において発現するmRNA等)の任意の生化学物質のデータベース、または科学文献データベースまたは調査機関データベースであってよい。
【0020】
本発明の別の局面は、RFIDタグを有する2以上の研究用試薬セットであり、RFIDタグが付けられる研究用試薬の少なくとも2種類のセットが、共通中央演算処理ユニットに情報を送信するRFIDリーダによって読み込まれる。好ましい態様において、セット中の異なる試薬が、試料を検査または処理する際の一般的なワークフローにおいて使用される。
【0021】
定義
特に定義されない限り、本願明細書において用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が帰属する当業者によって一般に理解される意味と同義である。
【0022】
用語が単数形で示される場合、本発明者は、その用語の複数形も意図する。本開示全体にわたって使用される以下の用語は、特に明記しない限り、以下の意味を有すると理解されるべきである。
【0023】
本願明細書で用いる用語「生物学試薬」は一般に、生物学研究操作において利用される、単離される生体分子および生物学研究用製品を意味する。
【0024】
「生体分子」は、例えば、前述のタンパク質、ペプチド、抗体、核酸、ヌクレオチド、脂質、ステロイド、多糖類、含水炭素および変異体を含む生体分子のさまざまな種類を含むが、これに限定されない。例えば、核酸には、オープン・リーディング・フレーム、構造遺伝子、または転写単位を含むことができるが、これに限定されない。2つの標的生体分子は、それらが構造的に異なる場合には「異なる」。例えば、2個の異なる核酸は、異なるヌクレオチド配列を有する。2個の異なるタンパク質は、異なるアミノ酸配列を有する。例えば、タンパク質の機能等、関連タンパク質もしくは核酸の機能、または、例えば酵素分類(例示目的のみで示せば、プロテインキナーゼファミリーは、例えばチロシンキナーゼおよびセリン/スレオニンキナーゼ等の様々なプロテインキナーゼのサブクラスを有し、各サブクラスはそれ自体、更に狭いサブクラスに細区画することができる)を有する等の関連タンパク質もしくは核酸の活性に基づいて、生体分子をファミリーまたはサブクラスにカテゴリー化することができる)。
【0025】
用語「生物学研究用製品」は、生物学研究において使用される製品を意味するのに使用される。実質的に、用語「生物学研究用製品」には、Invitrogen社(Carlsbad, CA; invitrogen.com)等の生物学研究用製品のベンダーから入手可能な各製品が含まれる。生物学研究用製品は、様々な形態の生物学研究用製品、操作、器具およびサービスを含み、限定されないが、例えば細胞培養製品、標識試薬、検出製品、分離媒体ならびにシステム、およびマイクロアレイを含み、例えば、核酸合成、蛋白合成、ベクター構造、および1以上のアッセイの実施等のサービス、ベクター、トランスフォーム細胞、またはトランスフェクション細胞の構築等の生化学的な操作用試薬およびキット、アッセイ、核酸またはタンパク質の合成、またはモノクローナル抗体の産生の実施、あるいは、電気泳動装置、質量分析計、顕微鏡またはマイクロ流体装置等の装置または器具を含む。生物学研究用製品の更なる例としては、生物学的試験および合成に必要とされるゲル、酵素、バッファ、基材、補因子、指標分子、生物学的試験、ベクター、分子量マーカー、合成核酸(例えばDNAおよびリボ核酸プライマーおよびプライマーの対)、クローニング試薬、ポリメラーゼ連鎖反応法試薬、細胞培養製品、およびキット試薬が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの形態において、好ましい生物学研究用製品は、試料を含み、保持し、または支持する容器、基質、支持体、または他の構造体を含む。例えば、ゲル、ゲルまたはマトリックスストリップ、カセット(例えば電気泳動法で用いる保持するカセット)、カラム、チューブ、バイアル、プレート(例えばマルチウェルプレート)、チップ、アレイ、膜またはフィルターは、いくつかの好ましい生物学研究用製品である。
【0026】
生物学研究用製品または単離される生体分子としては、例えば、市販の生物学研究用試薬、サービス、および/もしくは機器の供給元から入手可能な生物学研究用製品、サービス、操作、機器、および単離される生体分子のコレクションにある生物学研究用製品、サービス、機器、操作、または単離される生体分子の何れも挙げることができる。生物学研究用製品または単離される生体分子としては、例えば、ワールドワイドウェブのURL invitrogen.com(このインターネットサイトは、本願の出願日のもの全体を、言及により本願明細書に組み込まれる)にて利用可能なインターネットサイトに開示されリンクされる生物学研究用製品、サービス、操作、および単離される生体分子のコレクションにある生物学研究用製品、サービス、操作、または単離される生体分子の何れも挙げることができ、Invitrogen社(Carlsbad, California)の2005カタログ、Dynal Biotech 社(Oslo, Norway)の2005カタログ、Zymed社(South San Francisco, California)の2005カタログ、BioSource International社(Camarillo, California)の2005カタログにおいて入手可能であり、本願が出願される時点において、その全体が言及して組み込まれる。
【0027】
「適合生物学試薬」として、以下のものが挙げられる。
(i)同じ遺伝子に関連する2以上の単離される生体分子
(ii)同じ遺伝子に関連する1以上の単離される生体分子と、その遺伝子の研究に使用される1以上の生物学研究用製品との組み合わせ
(iii)生体分子のクラスおよび/または生体分子のサブクラス、ならびに任意成分として、生体分子及のクラスおよび/または生体分子のサブクラスの1以上の単離される生体分子を研究するために使用され、かつ同じ遺伝子に関連する生物学研究用製品
(iv)ワークフロー中の同一工程またはその次の工程に使用され、同じ遺伝子に関連する生物学研究用製品、ならびにそのワークフローを用いて研究される、任意に1以上の単離される生体分子
(v)疾患を研究するのに使用される生物学研究用製品、および任意成分としての疾患の経路に関わる単離される生体分子等の疾患に関わる単離される生体分子
適合生物学試薬のセットには、1以上の適合生物学試薬が包含される。適合生物学試薬の50組のセットには、例えば、50個の単離されるタンパク質、異なる50個の単離されるタンパク質を各々コードする50個の核酸、および異なる単離されるタンパク質を各々認識する50個の抗体を包含することができる。この例では、生体分子の3つのクラスが、適合試薬の1つのセットを構成する。例えば、セットを更に拡大させ、2種類の生物学研究用製品等の生物学研究用製品を含めることができる生物学研究用製品は、例えば、タンパク質を分析するのに使用される研究用製品(例えば、タンパク質ゲル)、および/または核酸を分析するのに使用される研究用製品(核酸ゲル)、および/または抗体を含む研究用製品(酵素結合免疫測定法キット)であってよい。従って、異なる適合試薬のセットには、同一研究用製品を含めることができる。適合生物学試薬のコレクションには、適合生物学試薬の1以上のセットが含まれる。
【0028】
生物学研究用キットは、例えば、検出、アッセイ、分離、精製等の生物学研究の反応、操作、または合成を行うのに使用される生物学研究用製品のコレクションであり、通常は共通の包装の中にまとめて、末端ユーザに出荷されるのが一般的である。
【0029】
用語「ポリヌクレオチド」または「核酸分子」は、ホスホジエステル結合によって相互に連結される2以上のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドの配列を意味し、本願明細書では広義に用いられる。従って、用語「ポリヌクレオチド」または「核酸分子」にはRNAおよびDNAが包含され、これらは合成RNAまたはDNA配列であってよく、これらは、1本鎖または2本鎖、さらにはDNA/RNAハイブリッドであってよい。更に、本願明細書で用いる用語「ポリヌクレオチド」または「核酸分子」は、細胞から単離することができる天然由来の核酸分子や、例えば化学的合成法によって、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等の酵素的方法による調製が可能な合成分子を包含する。様々な態様において、本発明において有用なポリヌクレオチドまたは核酸分子は、ヌクレオシドもしくはヌクレオチド類似体、またはホスホジエステル結合以外の骨格結合を含むことができる。
【0030】
一般に、ポリヌクレオチドからなるヌクレオチドは、天然由来のデオキシリボヌクレオチド(例えば2’−デオキシリボースに結合されるアデニン、シトシン、グアニンまたはチミン)、またはリボヌクレオチド(例えばリボースに結合されるアデニン、シトシン、グアニンまたはウラシル)である。しかしながら、ポリヌクレオチドは、非天然由来の合成ヌクレオチドまたは修飾される天然由来のヌクレオチドを含め、ヌクレオチド類似体も含むことができるものである。この種のヌクレオチド類似体は周知の技術であり、市販されており、そのことはこの種のヌクレオチド類似体(Linら, Nucl. Acids Res. 22: 5220− 5234, 1994; Jellinekら, Biochemistry 34:11363−11372, 1995; Pagratisら, Nature Biotechnol. 15:68−73, 1997の各々は、言及により本願明細書に組み込まれる)を含むポリヌクレオチドである。
【0031】
ポリヌクレオチドのヌクレオチドを連結する共有結合は、一般的にはホスホジエステル結合である。しかしながら、共有結合は、チオジエステル結合、ホスホロチオネート結合、ペプチド結合、またはペプチド様結合、を含む他の多数の結合のいずれかであってよく、あるいは、ヌクレオチドを結合させて合成ヌクレオチドを産生するのに有用な当業者に周知のその他の結合(例えばTarnら, Nucl. Acids Res. 22: 977− 986, 1994; Ecker and Crooke, BioTechnology 13:351360, 1995を参照。各々は、言及により本願明細書に組み込まれる)であってよい。非天然由来のヌクレオチド類似体、またはヌクレオチドもしくは類似体を連結する結合の組み込みは、修飾されるポリヌクレオチドがより分解に対してより低感受性になりうるので、例えば、組織培養培地や、生存被験体への投与に際する場合を含め、核酸分解活性を含むことができる環境にポリヌクレオチドが曝される場合に特に有用であると考えられる。
【0032】
天然由来のヌクレオチドおよびホスホジエステル結合を含むポリヌクレオチドを化学合成することができ、または適切なポリヌクレオチドを鋳型として使用し、組換えDNA法を用いて産生することができる。また、ヌクレオチド類似体、またはホスホジエステル結合以外の共有結合を含むポリヌクレオチドは、一般的に、化学合成されるが、T7ポリメラーゼ等の酵素はポリヌクレオチドに所定のタイプのヌクレオチド類似体を取り込むことができるため、これらの酵素を使用して適切な鋳型から組み換ええてこのようなポリヌクレオチドを産生することができる(Jellinekら、前出、1995)。
【0033】
用語「ペプチド」は、ペプチド結合によって連結される2以上のアミノ酸を意味し、本願明細書で広義に使用される。一般的には、本発明における有用なペプチドは、少なくとも約2、3、4、5、または6のアミノ酸を含み、約10、15、20またはそれ以上のアミノ酸を含めることができる。このように、用語「ペプチド」は、本願明細書において特定のサイズまたは分子に含まれるアミノ酸の数の示唆には用いられないが、本発明のペプチドは数個またはそれ以上のアミノ酸残基を含むことができることは認識されるべきである。本願明細書で用いる用語「ポリペプチド」は、ペプチド結合によってアミノ酸が結合するいかなる長さの連続アミノ酸の配列も言及することとする。用語「オリゴペプチド」または「タンパク質」は、本願明細書用いられる用語「ポリペプチド」にて互換性をもって使用されうる。用語「ペプチド」、「タンパク質」、または「ポリペプチド」には、炭水化物部分、脂質、ホスフェート基、標識等またはこれらに連結されるペプチドおよびタンパク質が包含される。
【0034】
本発明のペプチドは、例えば化学的合成法によって調製することができ、または組換えDNA法を用いてポリヌクレオチドから発現させることができる。化学合成される場合、1以上のD−アミノ酸、または1以上のアミノ酸類似体、例えば、誘導体化されるアミノ酸、あるいは誘導体化されずその反応性側鎖で修飾されるか、またはアミノ酸もしくはアミノ酸類似体を結合する1以上の結合によって修飾されるアミノ酸を含むペプチドを調製することができる。更に、アミノ末端もしくはカルボキシ末端、またはその双方の反応性基を修飾することができる。このようなペプチドは、プロテアーゼ、酸化剤、または生物学的環境において曝される可能性がある他の反応性材料に対する安定性が向上するように修飾することができるため、本発明の方法を実施する上で特に有用であると考えられる。当然、ペプチドを修飾し、生物学的環境での安定性を低下させてペプチドがその環境にて活性である期間を短縮することができる。
【0035】
「特異的結合メンバー」は、特異的に結合する表面上またはキャビティ内の領域を有する異なる2個の分子のうちの1個であり、これにより、他の分子の特定の空間的かつ極性的な組織体と相補的であると定義される。特異結合の要素は、抗原−抗体、ビオチン−アビジン、ホルモン−ホルモンレセプタ、核酸2重鎖、免疫グロブリンG−プロテインA、DNA−DNA、DNA−リボ核酸等の免疫学的な組合せの要素であってよい。
【0036】
本願明細書で用いる用語「抗体」は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体や、かかる抗体の抗原結合性断片を含め、最も広義で使用される。用語「特異的に結合する」または「特異的結合活性」は、抗体を言及するのに用いる場合、抗体と特定とのエピトープの相互作用が少なくとも約1×10−6M、一般に少なくとも約1×10−7M、大抵少なくとも約1×10−8M、特に少なくとも約1×10−9Mまたは1×10−10M以下の解離定数を有することを意味する。従って、ポリペプチドのエピトープに対して特異的な結合活性を保持する抗体のFab、F(ab’)、FdおよびFv断片が、抗体の定義の中に包含される。
【0037】
更に、本発明の抗体には天然由来の抗体、更には、例えば単鎖抗体、キメラ、2機能性およびヒト化抗体や、その抗原結合性断片を含めた非天然由来の抗体が包含される。かかる非天然由来の抗体は、固相ペプチド合成を用いて構築することができ、組換えによって産生することができ、または、例えば可変重鎖および可変軽鎖からなるコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングによって得ることができる(Huseら、Science、246:1275−1281(1989)を参照のこと。これは、言及により本願明細書に組み込まれる)。例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、CDR移植抗体、単鎖抗体、および2機能性の抗体を産生するこれらまたは他の方法は、当業者に周知である(Winter and Harris, Immunol. Today 14:243−246, 1993; Wardら, Nature 341 : 544−546, 1989; Harlow and Lane, Antibodies: A laboratory manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988); Hilyardら, Protein Engineering: A practical approach (IRL Press 1992); Borrabeck, Antibody Engineering, 2d ed. (Oxford University Press 1995)の各々は、言及により本願明細書に組み込まれる)。
【0038】
例えば、ウサギ、ヤギ、マウス、または他の哺乳動物において、ポリクローナル抗体を産生させる方法は周知の技術である(例えば、Greenら, 「Production of Polyclonal Antisera」 in Immunochemical Protocols (Manson, ed., Humana Press 1992), pages 1−5; Coliganら, 「Production of Polyclonal Antisera in Rabbits, Rats, Mice and Hamsters」 in Curr. Protocols Immunol. (1992), section 2.4.1を参照。これら各々は、言及により本願明細書に組み込まれる)。更に、モノクローナル抗体は、従来技術において周知であり、日常的な方法を用いてモノクローナル抗体を得ることができる(Harlow and Lane, 前記 1988)。モノクローナル抗体を調製する方法は周知である(例えばKohler and Milstein, Nature 256:495, 1975を参照。言及により本願明細書に組み込まれる。また、Coliganら, 前記 1992, see sections 2.5.1−2.6.7; Harlow and Lane, 前記 1988も参照)
【0039】
モノクローナル抗体を、例えば、Protein−A SEPHAROSEゲルを用いたアフィニティークロマトグラフィー、立体排除クロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーを含む種々の確立した技術によって単離することができ、ハイブリドーマ培養組織から精製することができる(Coliganら, 前記 1992, 2.7.1−2.7.12節および2.9.1−2.9.3節を参照。また、Barnesら, 「Purification of Immunoglobulin G (IgG)」 in Meth. Molec. Biol. 10:79−104 (Humana Press 1992)も参照。これらの各々は、言及により本願明細書に組み込まれる)。
【0040】
本発明の抗体は、組み合わせた免疫グロブリンのライブラリから単離されるヒトの抗体フラグメントに由来してもよい。(例えばBarbasら, METHODS: A Companion to Methods in Immunology 2:119, 1991; Winterら, Ann. Rev. Immunol. 12:433, 1994を参照。これらの各々は、言及により本願明細書に組み込まれる)ヒトのイムノグロブリンファージライブラリーを産生するために有用なクローニングおよび発現ベクターは、例えばSTRATAGENE Cloning Systems(La Jolla、カリフォルニア州)より入手することができる。
【0041】
本発明の抗体は、ヒトモノクローナル抗体から由来してもよい。このような抗体は、抗原誘発に応じて特異的ヒト抗体を産生すべく「操作された」トランスジェニックマウスから得られる。トランスジェニックマウスからヒト抗体を得る方法は、例えば、Greenら, Nature Genet. 7: 13, 1994; Lonbergら, Nature 368:856, 1994;およびTaylorら, Int. Immunol. 6:579, 1994(これらの各々は、言及により本願明細書に組み込まれる)に記載される。
【0042】
「生物体」には、いかなる原核生物または真核生物であってよく、ウイルス、細菌、原生動物、および後生動物が含まれる。後生動物には、脊椎動物および無脊椎動物が含まれる。「生物体」は、マイコプラズマ感染細胞、プラスモディウム感染動物等の互いに関連性が見られる1つより多い種も言及することができる。
【0043】
「プローブ」または「プローブ核酸分子」は、少なくとも部分的に1本鎖であり、かつ対象の配列に少なくとも部分的に相補的か、または少なくとも部分的に実質的に相補的な核酸分子である。プローブは、RNA、DNA、またはRNAおよびDNA双方の組み合わせであってよい。骨格の糖がリボースまたはデオキシリボース以外である核酸を含むプローブ核酸分子を有するのも、本発明の範囲に包含される。プローブ核酸は、ペプチド核酸であってよい。プローブは、核酸分解活性に耐性の連結または検出可能な標識を含むことができ、他の部分、例えばペプチドに機能的に連結させることができる。
【0044】
1本鎖の核酸分子は、グアニン(G)がシトシン(C)と塩基対合し、またアデニン(A)がチミン(T)またはウリジン(U)と塩基対合する能力によって、他の核酸分子の全体または一部と塩基対合(ハイブリダイズ)して2重らせん(2本鎖核酸分子)を形成可能な場合に、別の1本鎖核酸分子に対して「相補的」である。例えば、ヌクレオチド配列5’−TATAC−3’は、ヌクレオチド配列5’−GTATA−3’に相補的である。
【0045】
「実質的に相補的」とは、ストリンジェントな条件下において互いに選択的にハイブリダイズする核酸を意味する。「選択的にハイブリダイズする」とは、検出可能な特異的結合を意味する。ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドおよびそれらの断片は、非特異的核酸の検出を感知でいる量を最小限にするハイブリダイゼーションおよび洗浄条件下に、標的核酸鎖に選択的にハイブリダイズする。高ストリンジェンシーの条件を使用して、当該技術分野で周知の選択的ハイブリダイゼーション条件を実現することができる。一般的に、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、およびそれらの断片と対象の核酸配列との間の核酸配列の相補性は、少なくとも30%、より一般的かつ好ましくは少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%となり、100%であってよい。塩濃度、温度、界面活性剤、およびホルムアミド等の変性剤等のハイブリダイゼーションの条件は様々であり、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシー、即ち、核酸の鎖に沿って、CがG、AがTまたはUの正確な塩基対合に対する要求性を高めることができる。
【0046】
「検出可能な標識」は、検出することのできる、または蛍光、放射活性、色、化学発光、もしくは当該技術分野で周知であるかもしくは後に現像される他の読み出し等の読み出しを生成できる化合物または分子である。読み出しは、限定されないが、Alexa化合物、Cy−3、Cy−5、フィコエチニン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、FITC、ローダミン、またはランタニド等の蛍光標識、あるいはこれらの蛍光の変異体または誘導体による蛍光、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)等の蛍光タンパク質、およびその変異体による蛍光を基づいてよく、限定されないが、β‐ガラクトシダーゼ、β−ラクタマーゼ、GUS、カラシペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼまたはルシフェラーゼの活性等の酵素活性に基づいてよく、または、放射性同位元素(例えば、33P、H、14C、35S、125I、32Pまたは131I)に基づいてよい。標識は、任意に、例えばC5位で修飾されるピリミジン、またはN7位で修飾されるプリン等の質量が変更される塩基であってよい。質量変更基は、例えば、ハロゲン、エーテルもしくはポリエーテル、アルキル、エステルもしくはポリエステル、または一般的な型のXR(式中、Xは連結基であり、Rは質量変更基である)であってよい。当業者は、Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, Eckstein, ed. (1991)およびPCT/US94/00193(ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、およびそれらの修飾に関する全ての開示に言及して本願明細書に組み込まれる)に記載のものを含め、核酸分子およびオリゴヌクレオチドを修飾するのに有用な質量変更の可能性が多くあることを認識する。
【0047】
「標識」または「標識された」とは、例えば、蛍光もしくは放射標識される化合物、または標識されるアビジン等の第2の部分の結合によって検出することができるビオチン等の部分の結合による検出可能なマーカー得ることを意味する。核酸を標識する様々な方法が、当技術分野において周知である。
【0048】
「変異」とは、標準的な野生型配列に対するゲノムの改変のことである。変異は、ゲノム内の1点における核酸配列の欠失、挿入、もしくは再配列であってよく、または単一塩基の改変であってよく、これを「点変異」と称す。変異は遺伝、またはそれらは1個体の寿命の間に1以上の細胞で発生する場合がある。
【0049】
「機能的に連結された」は、言及される成分が意図されるように機能することを許容する関係にある並列関係を称する。例えば、コーディング配列に機能的に連結された制御配列は、制御配列に適合可能な条件下においてコーディング配列が発現されるように配置されている。
【0050】
「固体支持体」とは、分子、化合物、細胞、または他の実体の、接着または支持のための表面を有する固体材料のことである。固体支持体の表面は、平面であっても平面でなくてもよい。固体支持体は、多孔性であっても非多孔性でもよい。固体支持体は、表面を備え、またガラス、シリコン、ナイロン、ポリマー、プラスチック、セラミックス、または積層される金属を包含する、金属を含みうるチップまたはアレイであってよい。固体支持体はまた、ナイロン、ニトロセルロース、PVDFもしくは他のポリマーの膜等の膜、またはプレートもしくはディッシュであってもよく、また、ガラス、セラミックス、金属、または、例えばポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、もしくはポリアロマー製の、例えば96ウェルプレート等のプラスチックを含むことができる。固体支持体は、ゼラチン、デンプン、アガロース、アクリルアミド、セファロース、セルロースまたはセルロース誘導体等を含むゲルまたはマトリックスであってよい。固体支持体はまた、ビーズまたは種々の形態の粒子であってよい。このような粒子またはビーズは、いかなる適切な物質(例えばガラスまたはセラミクス)、および/または1以上のポリマー(例えばナイロン、四フッ化エチレン樹脂、TEFLON(商標)ポリスチレン、ポリアクリルアミド、セファロース、アガロース、セルロース、セルロース誘導体、またはデキストランなど)からなってよい。
【0051】
「機能チップ」は、少なくとも1つのアッセイ、反応、または処理をその上で実施することのできる表面である。チップは、物理的、化学的、生物学的、生物物理学的または生化学的処理等のような所定の処理を行うことができる多孔性または非多孔性の、固体または半固体の基材であってよい。1以上の機能を果たすチップは、特異的結合メンバー、基質、試薬、またはチップ上で行われる処理で使用される様々な物理エネルギーの供給源を備える様々なタイプのマイクロスケール構造体等の1以上の様々な機能性要素の組み合わせを持つことができる。チップ上の物理的、生物物理学的、生物学的、生化学的、もしくは化学的な反応処理を促進するために、チャンネルおよびウェル、電極配置、電磁素子、および圧電変換器(これらに限定されることはない)等のマイクロスケール構造体を、チップ基材へと埋め込むか、その上に製造するか、またはそれに取り付けることができる。チップはある次元において薄くてもよく、他の次元において例えば、長方形、円形、楕円形、または他の不規則な形状等、様々な形状を有してもよい。本発明のチップの主表面のサイズは限定されることなく、例えば、約1mmから約100cmのかなり広い範囲にあってよい。好ましくは、チップのサイズは約4mmから約25cmであり、特性寸法は約1mmから約5cmである。チップ表面は、平面でもよいし、非平面でなくてもよい。非平面な表面を備えたチップは、表面上に製造されるチャンネルまたはウェルを含んでもよい。機能チップの例は、米国特許第6,881,314号明細書、米国特許第6,596,143号明細書、米国特許第6,858,439号明細書、米国特許第6,806,050号明細書、米国特許第6,071,394号明細書、米国特許第6,280,590号明細書、米国特許第6,942,778号明細書、米国特許第6,887,362号明細書、米国特許第6,867,048号明細書、米国特許第6,824,740号明細書に記載されるものを含み、これら全ては、機能チップ、機能チップを作成する方法、機能チップを使用する方法において言及して本願明細書に取り込まれる。チップは、所定の態様において、少なくとも100生体分子/cmを含むマイクロアレイである。
【0052】
「マイクロスケール構造体」は、約0.1ミクロンから約20mmまでの範囲の、微小流体での用途において使用するための規模の特性寸法を有し、試料の試験および処理のためにチップまたはチャンバに一体化されるかまたは取り付けられる構造体である。マイクロスケール構造体の例は、ウェル、チャンネル、骨格、電極、電磁ユニット、圧電変換器、金属ワイヤもしくはフィルム、ペルチェ素子、マイクロ加工ポンプもしくはバルブ、マイクロ加工毛細管もしくはチップ、または光学要素である。種々のマイクロスケール構造体は米国特許第6,858,439号明細書、6,881,314号明細書、6,596,143号明細書、および6,071,394において開示され、マイクロスケール構造体、その製造、およびその使用に関する全ての開示のその全体において言及することによって本願明細書に組み込まれる。電気信号等のエネルギーが変換される場合に、本発明において有用な物理エネルギーを生じることのできるマイクロスケール構造体は、「物理的エネルギーを発生する要素」「物理エネルギー要素」、「活性エネルギー要素」、または「活性要素」と称することができる。
【0053】
「無線周波数識別子タグ」または「RFIDタグ」とは、アンテナに取り付けられる集積回路を含むチップである。本願明細書では、無線周波数識別子またはRFIDとも称し、無線周波数識別子(RFID)タグはRFIDがタグであることを含意する。集積回路は、アンテナによって送受信される無線周波数によって送信されうるデータ(通常、識別子を符号化する)を保存する。通常、集積回路およびアンテナ回路網がチップ上に印刷される。RFID「タグ」または「トランスポンダ」は、トランスポンダをクエリーする無線周波数を発するアンテナをも有するRFIDリーダによって読み込むことができる。「パッシブRFID」は、それ自体のエネルギー源を持たないが、信号を送受信するリーダからの信号に応答する。「アクティブRFID」は、電源として電池を含む。電池は、RFIDタグの有効範囲または機能的能力を高めることができる。RFIDタグのいくつかの例は、米国特許第6,147,662号明細書; 米国特許第6,917,291号明細書; 米国特許第5,949,049号明細書; 米国特許第6,652,812号明細書; 米国特許第6,112,152号明細書、米国特許出願第2003/0183683号に記載され、これら全ては、RFIDタグ、チップ、ラベリング、または装置、RFIDリーダ、ならびにRFIDシステム、およびその設計および使用の開示において全体的に言及することによって本願明細書に組み込まれる。
【0054】
「書き込み可能な無線周波数識別子」または「書き込み可能なRFID」とは、RFIDライタによって書き込み可能なメモリ空間を有するRFIDタグである。
【0055】
「アッセイ」は、任意の種類のアッセイであってよく、限定されないが、結合アッセイ、機能アッセイ、限定されないが酵素アッセイ、イオン輸送アッセイ、GPCRアッセイ、遺伝子発現アッセイ、またはアポトーシスアッセイまたは細胞移行アッセイ等の細胞アッセイ(限定されないが、細胞分離、細胞精製、生体分子分離、生体分子精製を含む)を含む。
【0056】
「処理工程」とは、分離工程(例えば、試料成分のサイズ、等電点、または結合親和性もしくは特異性に基づく)、増幅工程(例えば、PCR)、濃縮工程、混合工程、または1以上の試料成分の構造上の変更を包含する工程(例えば、溶解工程、可溶化工程、または変性工程)を含めた、試料の処理における何らかの操作である。
【0057】
「生化学的合成」は、1以上の有機分子が合成される操作である。合成は、複数工程および/または複数試薬を必要とする場合がある。生化学的な合成の例は、ポリメラーゼ連鎖反応法、逆転写および転写、タンパク質翻訳、ペプチド合成、化学的結合(例えば標識の追加)等のポリメラーゼ反応によって行われる合成である。
【0058】
「試料」とは、1以上の化合物の合成、または1以上の分子もしくは複合体の分離、単離、もしくは精製に使用される、1以上の目的とする分子または複合体の存在または活性についてアッセイされる任意の材料または物質である。好ましい局面において、試料は環境試料(例えば、土壌試料、水系試料)、または生物学的試料である。本願明細書で用いる生物学的試料には、未精製の状態、部分精製の状態、または実質的に精製された状態の、1以上の生体分子を含む何れの試料も包含される。生体試料は、例えば、任意型の細胞の懸濁液、血液、尿、唾液、その他を含む体液の試料、細胞抽出物、細胞分画、限定されない核酸またはタンパク質等の部分的または実質的に精製される生体分子等であってよい。用語、生体試料は、細胞またはウイルスから単離、または化学的に合成される、例えば、核酸、ヌクレオチド、ペプチド、アミノ酸、含水炭素、脂質、ステロイド等の生体分子を含む生化学試料を含む。
【0059】
本願明細書で用いる「生体分子」には細胞およびウイルス起源の有機分子や、変異体、誘導体、もしくは天然由来の生体分子の組み合わせである合成有機分子、または操作される核酸およびタンパク質等の操作される生体分子が包含される。分子の結合または検出に使用することのできる金属、タグまたはラベル等(これらに限定されることはない)の、非天然由来の化学的部分または基を含む天然由来の生体分子に由来するかまたはそれに基づいた生体分子が更に包含される。
【0060】
発現ベクター(またはポリヌクレオチド)は一般的に、コードするポリヌクレオチドの構成性、または、必要に応じて、誘導可能または組織特異的もしくは発生段階特異的な発現をもたらすことのできるプロモーター配列、ポリ−A認識配列、およびリボソーム認識部位もしくは内部リボソーム進入部位、または組織特異的でありうるエンハンサー等の他の調節エレメントを含むかまたはコードする。ベクターはまた、原核生物もしくは真核生物宿主システムまたはその双方における複製に必要なエレメントも、必要に応じて含むことができる。バクテリオファージ、バキュロウィルス、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、セムリキ森林熱ウイルスおよびアデノ随伴ウイルスベクター等のプラスミドベクトルおよびウイルスのベクターを含むこのようなベクターは周知であり、(Promega, Madison WI; Stratagene, La Jolla CA; GIBCO/BRL, Gaithersburg MD)から商業的に入手可能、または、当業者によって構築可能である(例えば、Meth. Enzymol., Vol. 185, Goeddel, ed. (Academic Press, Inc., 1990); Jolly, Cane. Gene Ther 1:51−64, 1994; Flotte, J. Bioenerg. Biomemb. 25:37−42, 1993; Kirshenbaumら, J. Clin. Invest. 92:381−387, 1993を参照。これらの各々は、言及により本願明細書に組み込まれる)。
【0061】
従来技術において公知の種々の方法によって、ベクターに含むことができるポリヌクレオチドを細胞に導入することができる(Sambrookら, Molecular Cloning: A laboratory manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989); Ausubelら, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Baltimore, MD (1987, and supplements through 1995)これらの各々は、言及により本願明細書に組み込まれる)。このような方法には、例えば、トランスフェクション、リポフェクション、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、およびウイルスベクターにおける感染が包含され、細胞へのポリヌクレオチドの導入を促進でき、かつ細胞への導入前のポリヌクレオチドの分解から保護するリポソーム、マイクロエマルジョン等を使用することを包含させることができる。特定の方法の選択は、例えば、ポリヌクレオチドを導入しようとする細胞や、その細胞が培養液中で単離されるか、または培養液もしくはin situの組織もしくは器官中に存在するか否かに依存する。
【0062】
更に、本発明は、関連付けられるRFIDタグを有し、単数の細胞もしくは複数の細胞または細胞生育用の培地を収容する保存容器、コンテナ等を提供する。用語「細胞」は一般に、例えば、半透性膜によって外側に境界付けられた原形質の小塊を含み、通常は1以上の核と様々な非生物的生成物とを含み、単独または他の細胞と相互作用して、生命の基本的な機能の全てを果たすことができ、独立して機能することのできる生命体の最小の構造上の単位を形成する小画分または有界空間を意味する。このように、細胞は、通常、生物学の細胞であって、限定されないが、原核細胞、真核細胞、細菌細胞、真菌細胞、動物細胞、植物細胞、藻類細胞等が挙げられる。従って、細胞は、例えば、昆虫細胞(例えば、ショウジョウバエ細胞)、真菌細胞(例えば、パンカビ細胞)、酵母細胞、線虫細胞、両生類細胞(例えば、ウニ)、トリ細胞(例えば、ニワトリ胚線維芽細胞)、またはヒト細胞(例えば、ヒトTリンパ球)を包含する真核生物細胞であってよい。更に、本発明の関連付けられるRFIDタグを有する保存容器、コンテナ等に収容されるこのような細胞は、培養に適応する細胞系の細胞であってよく、少なくとも短期間は培養にて維持できる初代細胞培養の細胞であってよく、または、例えばヒト被験体から単離される細胞等の生存する生物から単離される細胞であってよい。
【0063】
生存被験体への投与のため、薬剤は通常、被験体への投与に好適な医薬組成物に製剤化される。このため、本発明は、関連付けられるRFIDタグを更に有し、薬理学的に許容できる担体の中に薬剤を含有する医薬組成物を収容する保存容器、コンテナ等を提供する。従って、薬剤は、本願明細書で定義する病的状態に罹患した被験体を処置するための薬物として有用である。
【0064】
薬学的に許容される担体は、当該技術分野においてよく知られており、例えば、水もしくは生理学的緩衝食塩水等の水溶液、またはグリコール、グリセロール、オリーブ油等のオイル、もしくは注射用の有機エステル等の他の溶媒もしくは媒体等が包含される。薬理学的に許容できる担体は、例えば、接合体の吸収を安定化または増大等の作用を有する生理学的に許容可能な化合物を含有することができる。このような生理学的に許容できる化合物は、例えば、グルコース、スクロースまたはデキストラン等の炭水化物、アスコルビン酸またはグルタチオン抗酸化剤、キレート剤、低分子タンパク質、または他の安定剤、あるいは賦形剤を含む。当業者であれば、生理学的に許容可能な化合物を含め、薬学的に許容される担体の選択は、例えば、治療薬の物理化学的特性、および、例えば経口、または静脈内等の非経口、注射、挿管、もしくは当該技術分野において周知の他の方法を含む組成物の投与の経路に依存することが理解されよう。医薬組成物はまた、診断用試薬、栄養物質、毒素、または、例えばガンの化学療法剤等の治療薬等、第2の試薬も含むことができる。
【0065】
薬剤を、水中油型乳剤、マイクロエマルジョン、ミセル、混合ミセル、リポソーム、マイクロスフェアまたは他の高分子マトリックス等の封入材に組み込むことができる(例えばGregoriadis, Liposome Technology, Vol. 1 (CRC Press, Boca Raton, FL 1984); Fraley,ら, Trends Biochem. ScI, 6:77 (1981)を参照。各々は、言及により本願明細書に組み込まれる)。例えば、リン脂質または他の脂質からなるリポソームは、製造および投与が比較的簡単、非毒性、生理学的に許容でき、かつ代謝可能な担体である。「ステルス」リポソーム(例えば、米国特許第5,882,679号明細書、米国特許第5,395,619号明細書、および米国特許第5,225,212号明細書を参照。各々は、言及により本願明細書に組み込まれる)は、本発明の方法を実施するのに有用な医薬組成物を調製するために特に有用である、このような封入材料の例であり、治療薬が血液循環内にとどまる時間を延長させるのに、他の「遮蔽」リポソームを同様に使用することができる。また、カチオン性リポソームを、例えば、特異的な受容体または配位子によって修飾することができる(Morishitaら, J. Clin. Invest, 91:2580−2585 (1993)は、言及により本願明細書に組み込まれる)。更に、ポリヌクレオチド薬剤は、使用する細胞、例えば、アデノウイルス−ポリリジンDNA錯体に導入することができる(例えばMichaelら, J. Biol. Chem. 268:6866−6869 (1993)を参照。これは言及により本願明細書に組み込まれる)。
【0066】
薬剤を含有する医薬組成物の投与の経路は、ある程度、分子の化学構造に依存する。ポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、消化管で分解されうるので、例えば経口投与される場合には特に有用でない。しかしながら、ポリペプチドを化学的に修飾する、例えば、それらを内在性プロテアーゼによる分解に対して低感受性にさせたり、または消化器管を通じての吸収性を高めたりする方法が、よく知られている(例えば、Blondelleら、前出、1995;EckerおよびCrook、前出、1995を参照のこと)。更に、ペプチド薬剤は、D−アミノ酸を用いて調製することができ、または、ペプチドドメインの構造を模した有機分子であるペプチド擬似体、もしくはビニル性ペプトイド等のペプトイドに基づく1以上のドメインを含むことができる。
【0067】
本願明細書に開示の医薬組成物は、例えば、経口や、または静脈内、筋肉内、皮下、眼窩内、関節包内、腹腔内、直腸内、嚢内に、もしくは例えば、皮膚パッチもしくは経皮イオン注入をそれぞれ用いた皮膚を通しての受動吸収もしくは促進吸収等の非経口を含む、様々な経路によって個体に投与するために製剤化することができる。更に、注射、挿管により経口的に、または局所的に投与するために医薬組成物を製剤化することができ、後者では、例えば軟膏の直接塗布による受動的なものか、または、例えば鼻噴霧もしくは吸入を用いた能動的なものであってよく、この場合、組成物の1成分は適切な噴霧剤である。また、例えば、腫瘍に供給する血管内へと、病的状態の部位に静脈内または動脈内投与するために医薬組成物を製剤化することもできる。
【0068】
医薬組成物は、錠剤、または液剤もしくは懸濁化剤の形態等の経口製剤用に製剤化することができ、または腸内もしくは腸管外での用途に好適な有機担体もしくは無機担体または賦形剤との混合物を含むことができ、例えば、通常の錠剤、植込錠、カプセル剤、坐剤、液剤、乳剤、懸濁化剤、または使用に好適な他の形態用の非毒性で薬理学的に許容できる担体を配合することができる。上記以外に、担体には、グルコース、乳糖、アラビアゴム、ゼラチン、マンニトール、デンプンペースト、ケイ酸マグネシウム、タルク、コーンスターチ、ケラチン、コロイド性シリカ、ポテトデンプン、尿素、中程度の鎖の長さのトリグリセリド、デキストラン、および固体、半固体、もしくは液体型の製造での使用に適した他の任意の担体を含むことができる。更に、助剤、安定化剤、増粘剤、または着色剤、および香料、例えばトリウロース(triulose)等の安定化乾燥薬剤を使用することができる(例えば、米国特許第5,314,695号を参照のこと)。
【0069】
公開される文献、特許、特許出願およびワールドワイドウェブに利用可能な資料を含む本願明細書における全ての参照は、全体として言及によって本願明細書に組み込まれる。
【0070】
表題は、読者の便宜のみを目的としたものであり、如何ようにも本発明を限定することはない。
【0071】
RFID−ラベル付けされる生物学研究用試薬および製品
本発明は、Wi−fiまたは無線周波数識別タグを利用する。Wi−fiタグは、入手可能であって、当該技術分野において周知である(例えば、Ekahau(Tl0l Wi−fiタグ)より入手可能、さらなる情報については、ワールドワイドウェブにて利用可能なEkahau.comまたはrfidjournal.comを参照のこと)。RFID技術に関する付加的な情報については、Zebra.comのワールドワイドウェブにて入手可能なRFID White Papersを参照のこと。Zebra.comで入手可能なRFID White Papersは、その全体は本願明細書に見込まれる。無線周波数識別子は、狭域通信(DSRC)とも称する。
【0072】
無線周波数識別は、電磁または静電結合の使用を電磁スペクトルの無線周波数(RF)部分に組み込んで、対象、動物、または人間を一意的に識別する技術である。無線周波数識別は、バーコードに代わるものとして産業上での使用が増加してきている。無線周波数識別の主たる利点は、それが直接接触または見通し走査を必要としない点である。無線周波数識別システムは、アンテナおよびトランシーバー(1つのリーダと合体されることが多い)、ならびにトランスポンダ(タグ)であって、アンテナおよび符号化される情報を保存するための集積回路(IC)を含むもの、という三つの要素からなる。アンテナは、無線周波数を使用して、トランスポンダを作動させる信号を送受信する。活性化されると、タグはそのアンテナを使用して、リーダにデータを返信する。
【0073】
RFIDタグは、様々なメモリサイズおよび符号化オプションで利用可能である。通常、本発明で使用するためのRFIDタグのサイズは、それらに関連する対象物に対して適切である。例えば、RFIDは、1cm〜1mの面積、または1mm〜1Mの直径を有しうる。本発明で使用されるRFIDタグは、パッシブ(電池なし)またはアクティブ(電池による自己出力型)であってよい。アクティブRFIDタグの付加的な電力によって、信号を読み込み可能な距離を増大することができ、RFIDタグの機能性を高めることができる。例示的な態様において、パッシブRFIDタグが使用される。本発明の他のいくつかの態様において、アクティブRFIDタグが使用される。特定の局面において、信号を周期的に送受信するアクティブタグが使用される。
【0074】
本発明において使用されるRFIDタグのデータの送信速度および距離は、特定の研究試薬に基づいて決定することができ、無線周波数、アンテナサイズ、出力、および干渉を変化させて設定することができる。本発明において研究試薬に結びつけられるタグは、読み込み専用、読み込み−書き込み、またはそれらの組み合わせであってよく、ここにいくつかのデータ(シリアル番号等)が永久保存され(消去不可)であるが、他のメモリは後の符号化に利用可能、または使用中に更新される(消去および再書き込みされる)状態である。
【0075】
本発明は、関連付けられる無線周波数識別子(RFID)タグを含む生物学研究用試薬を提供する。関連付けられるRFIDタグは、通常、以下のうち少なくとも1つの情報を含む。
1)生物学研究用試薬および/または生物学的研究用試薬を含むキット中の1以上の構成要素の識別(生物学研究用試薬識別情報);
2)提供される、もしくは生物学研究用製品中または上に提供される試料の種類、量、濃度、または識別子(試料識別情報);および
3)実施された、もしくは含まれる試料または生物学研究用製品上で実施される、生物学研究用試薬中または上で実施される、もしくは生物学研究用試薬中または上に合成される1以上の操作(試料操作情報)。
【0076】
生物学研究用試薬は、生物科学において使用される任意研究試薬であってよい。例えば、生物学研究用試薬は、生物学研究において使用されるポリペプチド、核酸、多糖類、染料、着色剤、共存因子、検出試薬またはバッファを含む溶液であってよい。生物学研究用試薬は、例えば核酸、タンパク質、抗体、酵素等の生体分子の他に例えばベクター、細胞、細胞抽出物、ウイルス製剤、補因子、細胞培養試薬、基質、ゲル、カラム、分留器、プレート、アレイ、カセット、等の生物学研究用製品を含む。
【0077】
RFIDタグは、研究試薬を保持、支持、もしくは収容するコンテナまたは研究試薬自体に不可逆的もしくは可逆的に取り付けもしくは埋め込まれることによって、研究試薬に関連される。例えば、粉末薬品または溶液として得られる試薬は、その薬品または溶液を収容するチューブもしくはバイアルに取り付けられるか、またはそのコンテナに埋め込まれるRFIDスマートラベルを含むことができる。別の例において、研究試薬は、取り付けまたは埋め込まれるRFIDタグをそれ自体が有する製品である。研究用製品の例として挙げることができるのは、フィルター、膜、プレート、スライド、アレイ、チップ、カラム、カセット、ゲル、またはゲル片であるが、これらに限定されることはない。
【0078】
好ましい態様において、RFID−ラベル付けされる研究試薬は、例えば、RFIDタグリーダと接続するプロセッサまたはコンピュータによって、研究試薬に関連する品名、キット名、および/または製品番号に結びつけることができるコード等の試薬または製品の識別情報を含む少なくとも1つの関連付けられるRFIDタグを有する。好ましくは、試薬または製品のロット番号も、タグに符号化されており、好ましくは、タグは、そのタグに関連付けられる個々の品目に対応する固有の識別子も含む。特定の局面において、核酸配列情報等の生物学的配列情報は、RFIDタグ上で読み込まれるか、または書き込まれる。
【0079】
他の態様において、本発明は、例えば、研究試薬の少なくとも一部を構成する化合物の識別子、濃度、または量等の情報等の付加的な生物学研究用試薬識別情報を含み、読み込み可能な情報を含む関連付けられるRFIDタグを有する生物学研究用試薬を包含する。ゲルは、例えば、ゲル緩衝液組成物およびアクリルアミド濃度に関する情報を符号化するRFIDに関連してもよい。
【0080】
本発明では、RFIDタグ(トランスポンダ)を、生物学試薬を含む対象物に関連させることにより、RFIDは生物学研究用試薬に関連する。RFIDタグは、通常、アンテナに取り付けられる集積回路(IC)で、薄いプラスチックシート上に印刷またはエッチングされる導体からなってよい。データは、ICに保存され、アンテナを通じて送信される。研究試薬は、その研究試薬を含む容器とRFIDタグを接触させるか、または研究試薬を含む容器内にRFIDタグを埋め込むことによって、RFIDタグに関連させることができる。関連付けられるRFIDタグを備えた研究試薬は、本願明細書で、RFID−タグ付けされるまたはRFID−ラベル付けされる研究試薬とも称する。本発明によって提供されるRFID−タグ付けされる研究試薬において、ICおよびアンテナは、通常、生物学研究用試薬に関連する。
【0081】
本発明は、RFIDタグを研究試薬に関連させることによって、その研究試薬を用いて実施される研究の精度、安全性、および速度を向上させることができる多くの利点が実現されるという発見にある程度基づく。無線周波数識別技術によって、バーコード等、物理的な対象物を探知するために使用される従来の技術よりも、対象物にラベルを付けることに対して多くの利点がもたらされ、それらの多くは、科学研究および開発、特にバイオテクノロジー研究室での研究という面において特に好都合である。無線技術として、RFIDがデータを交換するために、リーダとタグとの間に同一視線を必要としない。従って、RFIDタグは段ボールのコンテナおよびパレットに封をするのに用いられるプラスチックラップを含むパッケージを通じて読み込むことができる。しかしながら、RFIDは特に金属からの干渉を受けるため、システムの計画の際に干渉の潜在源を認識して考慮する必要がある。
【0082】
見通しが必要でないため、最適化されるRFIDシステムの使用によって、タグ付けされる対象物を配向と無関係に読み込むことができる。製品の取扱者は、研究用製品を取り扱う際にラベルの位置を特定および調製する必要がないので、生産性が高められうる。RFIDリーダは、RFタグ全ての読み込みフィールドを自動認識して区別することができる。この同時処理能により、読み込みが確実になされるように対象物間の間隔を維持する必要性がないので、材料の取扱い、パッケージおよび選別操作に対する、柔軟性が更にもたらされる。
【0083】
RFIDタグのデータ容量により、バーコードのみならず、付加情報と全て同じ情報も保持することができる。例えば、試薬のタイプを識別することに加えて、研究用製品タグは、試薬および試料または併用可能な他の試薬の使用期限に関する情報を含むことができる。
【0084】
従って、本発明は、結びつけられるRFID(またはWi−Fi)タグを有する、無線周波数識別子(RFID)でラベル付けされる(またはWi−Fiでラベル付けされる)研究試薬を提供する。研究試薬は、どの科学分野でも使用される、研究試薬または製品であってよい。研究試薬は、通常、「ウェットラボ」実験を実施するか、または「ウェットラボ」からのデータを分析する、政府機関、学術機関、もしくは工業機関の研究室において使用される。例えば、研究試薬は化学的または生物学研究用試薬であってよい。図示例において、研究用試薬は生物学研究用試薬であり、例えば、ワールドワイドウェブInvitrogen.com(参照により本願明細書に組み込まれる)から得られ、Invitrogen社から入手可能な生物学研究用製品であってよい。
【0085】
特定の例示的な局面において、RFID−タグ付けされる生物学研究用試薬は、被験体から採取した生物学的試料を収容、保持、もしくは支持せず、および/または患者試料採取チューブもしくはバッグ等の試料採取用容器の中に収容されない。他の局面において、生物学研究用試薬は、認可される形態、またはFDAの臨床試験に用いられる形態の調剤薬のバイアルではない。しかしながら、本発明は特定の局面において、RFIDに結びつけられる研究用製品を包含し、研究試薬分子には、前臨床試験で試験される小有機分子等の小有機分子が含まれる。ビン、チューブ、バイアル、スライド、チップ、アレイ、ビーズ、粒子、カラム、フィルターもしくは膜、ゲル、ゲルカセット、またはプレートに関連する生物学研究用試薬を添加することができる。チューブは、例えば、標準的な試験管、画分採取で使用されるチューブ、または微量遠心管もしくは超遠心分離用管等の遠心分離用チューブであってよい。通常、本発明では、研究試薬は容器もしくは支持体に収容もしくは埋め込まれるか、または対象物の表面に局在させることができる。
【0086】
関連付けられるRFIDタグを有する、化学薬品、酵素、溶液、抽出物等の形態にある研究試薬は、好ましくは、取り付けまたは埋め込まれるRFIDタグを有する容器または支持体の中または上に提供される。例えば、反応のための補因子を含む溶液を、外側表面に取り付けまたはコンテナの蓋に埋め込まれるRFIDタグを有するバイアルまたはチューブの中に収容することができる。1以上の生物学研究用試薬を収容、保持、または支持するプレート、チューブ、バイアル、カートン、またはパケットにラベルを付けて、試薬とRFIDとの関連付けを確立することができる。
【0087】
本発明によって提供される、RFID−ラベル付けされる(即ち、RFID−タグ付けされる)研究試薬は、RF識別子の性質を持つ物理的な対象物を研究に使用される容器または対象物に取り付けるのに事実上用いることができる方法で、生物学的製品に関連させることができる。RFIDは、通常、研究試薬を収容、保持もしくは支持するか、またはそれ自体研究試薬の一部である容器もしくは対象物の表面にRFIDタグを取り付けるか、またはRFIDタグを容器もしくは対象物内に埋め込むか、の何れかによって生物学研究用試薬または製品に関連させる。実質的に、ビン、チューブ、スライド、ゲル、ビーズ、粒子等の容器または他の対象物に対して、RFIDタグを関連させるために利用可能な任意の技術を、本発明で使用することができる。
【0088】
例えば、取り付けラベル内に収容されるRFIDインレー(チップとアンテナとの組み合わせ、即ち、RFIDタグ)を含む「スマートラベル」を使用することができる。スマートラベルは、人間が読むことができる文字、図、およびバーコードが印字されるラベル材に埋め込まれるタグを含むことができる。スマートラベルプリンタは、ラベル材内部のRFIDチップを符号化して、文字、バーコード、および図を外側に印字することができる。特定の局面において、本発明によって、RFIDタグと、任意に、印字される文字、および任意情報としてバーコード等の人間が読み込みできる情報とを含むラベルに結びつけられる生物学的製品が提供される。
【0089】
特定の例示的な例において、研究試薬を保持するパッケージもしくは容器、支持体、または他の構造体内にRFIDが埋め込まれる。研究試薬を収容または固定化するのに使用される容器または他の対象物にRFタグを埋め込むことによって、RFタグは容器または対象物と永続的に結びつけられるようになる。この場合、試薬の製造中にRFIDタグを付ける必要はない。
【0090】
関連する態様において、生物学研究用製品それ自体は、例えば、プラスチックビン、プレート、カセット、もしくはチューブ等のプラスチック構造体または容器であってよい。RFIDタグは、射出成形処理においてプラスチック容器に埋め込むことができる。
【0091】
例示的な一局面において、生物学研究用試薬を収容する任意の組成のプラスチック容器または容器のプラスチック蓋内にRFIDタグが埋め込まれる。ビンまたは蓋の成型処理の間で、プラスチックを型に射出する前に、RFIDタグを型の底部に載置する。この結果、RFIDタグがプラスチック内に取り込まれて成型されることになる。別の例示的な局面において、研究用製品は、プラスチック容器、およびRFIDタグを含むプラスチック製の対象物を含み、プラスチック製の対象物はプラスチック容器のキャビティ内に固定される。従って、容器がチューブであれば、例えば、2次RFIDタグプラスチックボタンを、チューブの底部に取り付けるように成型することができる。チューブの底部またはコンテナの蓋部には、RFIDタグボタンの形状およびサイズに適応するようにキャビティがあってもよい。RFIDタグボタンを、製造業者でチューブの底部に押圧し、組み立てて顧客に届けることができる。
【0092】
従って、本発明で提供されるのは、無線周波数識別子(RFID)を含む容器を製造する方法であって、容器のキャビティ内にRFIDを含む対象物を押圧するか、または容器の型にRFIDタグを挿入する工程を含み、その容器は生物学研究用製品ラベルを含むものである方法である。容器は、プラスチック容器であり、例えば、プラスチックチューブまたは、例えば1センチメートル未満の直径を有する端部を備えた円筒等の他のプラスチック製の対象物であってよい。RFTを含む対象物は、ボタンであってよい。
【0093】
RFIDタグはまた、プラスチックまたは紙を用いた構造体、例えば、ゲルカセットもしくはバイアルの壁、またはマルチウェルプレートの周縁、またはチューブ、バイアル、もしくはカラムの周囲に取り付けられるカラーに埋め込むこともできる。
【0094】
場合によって、識別すべき研究用製品はそれ自体が、ゲル、ゲル片、フィルターもしくは膜、プレート、チップ、またはアレイ等の構造体であるが、これらに限定されない。これらの場合、RFIDタグは、識別する対象物に取り付けまたは埋め込まれる。
【0095】
他の例示的な態様において、研究試薬RFIDタグは、試薬を用いて検査または処理される試料の種類に関する情報を符号化することができる。好ましくは、これらの態様において、研究試薬に関連付けられるRFIDタグは、書き込み可能であり、ユーザが試料の識別子等の試料情報をタグに書き込むことができる。研究試薬RFIDタグは、試薬を用いて実施される操作に関する情報を代わりにまたは付加的に有することができる。いくつかの好ましい態様において、研究者は、操作情報をRFIDタグに書き込むことができる。また、ユーザは、操作結果をタグに任意に書き込むことができる。
【0096】
いくつかの態様において、RFIDタグは書き込み可能かつ消去可能であるメモリを有する。他の態様において、RFIDタグは、メモリ保存にて「ロックされた」情報を有しており、かつ書き込み可能および消去可能である追加のメモリ容量を有する。
【0097】
従って、本発明は、1)生物学研究用試薬の1以上の成分の種類、量、濃度、または識別子(試薬識別情報)、2)生物学研究用試薬を用いた操作において使用される試料の種類、量、濃度、または識別子(試料識別情報)、または3)生物学研究用試薬を用いて試料に対して実施される1以上の操作の1つまたは複数を含む情報を備えた書き込み可能なRFIDタグを含む生物学研究用製品である。好ましい態様において、生物学研究用試薬上の書き込み可能なRFIDタグは、ユーザが研究試薬を使用中に追加する付加情報を収容する充分なメモリ空間を有する。
【0098】
いくつかの例示的な態様において、RFIDタグを備えた研究試薬は、ゲルもしくはゲルカセット、フィルターもしくは膜、アレイ、チップ、またはマルチウェルプレート等のプレート(これに限定されない)等の研究用製品であり、1以上のアッセイ、分離、合成、処理工程、または反応は、研究用製品中または上で実施することができ、研究用製品に適用される試料に関する情報を、研究用製品に取り付けまたは埋め込まれるRFIDタグに書き込むことができる。試料に対して実施される操作に関する情報もまた、研究用製品に関連付けられるRFIDタグに書き込むことができる。RFIDタグに書き込まれる、操作に関する情報は、例えば電気泳動条件、インキュベーション時間、インキュベーション温度等の操作のパラメータに関する情報であってよい。代替的に、または付加的に、結果に関する情報、例えば、検出されるバンドの分子量、検出アッセイからの蛍光の強度等をタグに書き込むことができる。
【0099】
このように、本発明の別の局面は、生物学研究用試薬の1以上の成分識別に関する情報(試薬識別情報)を含む、書き込み可能なRFIDタグを含んだ生物学研究用製品である。生物学研究用試薬上の書き込み可能なRFIDタグは、ユーザが研究試薬を使用中に追加する付加情報に適応できるメモリ空間を有する。例えば、ユーザは、生物学研究用試薬を用いた操作において使用される試料の種類、量、濃度、もしくは識別に関する情報(試料識別情報)をタグに書き込むことができ、または生物学研究用試薬を用いて試料に対して実施されたもしくは実施される1以上の操作を、タグに書き込むことができる。
【0100】
RFIDタグ上に符号化される情報は読み出すことができ、情報を保存することができる処理ユニットに送信することができる。
【0101】
リーダは、通常、タグに、およびタグから信号を送受信するための1以上のアンテナと、受信した信号およびデータを解読するためのプロセッサとを含む。次いで、通常のインターフェース(ケーブルまたは無線LAN等)を経由して、集積したデータはホストコンピュータシステムに受信されるタグのメモリ容量とその設計様式に基づき、本発明の特定の局面において用いられるリーダは、タグに新しいデータをプログラミングすることもできる。本願明細書における方法およびシステムで使用されるリーダは、通常、地方(国家)RFエミッション規制に従って作動し;本願明細書における方法、システムおよび製品で使用されるタグおよびリーダは、通常、明確な方法で通信させるために、特定の規格および基準に準拠する。特定の局面において、リーダは、複数の周波数を認識することができる「周波数アジャイル」リーダである。他の局面において、全てのタグが処理されることを保証するよう、各読み込みポイントで様々な周波数をサポートする複数のリーダが利用される。
【0102】
アプリケーション要件が、使用されるタグに対する周波数、メモリ、および性能要件を決定する。他の考察事項としては、タグが世界中で使用されるか否か、および(もしあれば)タグが満たさなければならない相互運用基準は何かということが挙げられる。
【0103】
本発明で提供される製品、システム、試薬および方法は、例えば、以下の特性を備えたパッシブRFIDタグを使用することができる。
・20インチ(508mm)までの典型的な最高読み込み距離にて、約125kHzで作動する低周波数RFIDシステム。
・3フィート(1メートル)までの典型的な最高読み込み距離にて、13.56MHzで作動する無線周波数RFIDシステム。
・868MHz(於、欧州)、915MHzが中央値の帯域、および2.45GHz(マイクロ波)を含む複数の周波数で作動する超無線周波数RFIDシステム。読み込み距離は、通常、3〜10フィート(1〜3メートル)であるが、915MHzの帯域で作動するシステムでは、20フィート(6メートル)以上の距離で読み込むことができる。
【0104】
特定の局面において、本発明では、短距離伝送(通常、6フィート未満)の低周波数無線周波数識別システム(30KHz〜500KHz)が利用される。他の局面において、本発明では、長距離伝送(90フィートを超える)の高周波数RFIDシステム(850MHz〜950MHz、および2.4GHz〜2.5GHz)が利用される。当業者は、製品、および製品を利用する方法に対する特定の要件に応じて、本発明で提供されるRFID−ラベル付けされる研究用製品に対して適切な伝送距離を決定することができる。
【0105】
通常、本願明細書における方法で使用されるタグおよびリーダ/ライタは、送受信のために同一以上の周波数を共有する。互換性のある暗号および復号アルゴリズム、データコンテントおよびフォーマット、インターフェースプロトコル、ならびに他の技術的詳細は、通常、タグとリーダ/ライタとの間でも互換性がある。特定の態様において、タグは機構全体にわたって読み込みできるように標準化される情報を含む。
【0106】
本発明の特定の局面は、生物学研究用装置およびリーダを含むシステムを包含する。本発明で用いるためのRFリーダは、携帯端末に組み込んだり、研究室の入口、もしくは生物学試薬製造業者および/もしくは流通業者組み立てライン等の枢要点に固定および配置し、またはゲル電気泳動筐体、サーモサイクラー、ゲルスキャナ、画像化装置等の研究室の設備に組み込んだりすることができる。
【0107】
事実上、別の態様において、本発明は、生物学研究の対象物、および対象物の種類を識別する識別記号を識別する、コンピュータで読み込み可能なフォーマットで保存される情報を提供する。
【0108】
タグからリーダのアンテナに送信されるデータは、プログラミング可能な論理コントローラにアクションを起こすべき旨を通知するのに使用することができる。例えば、本発明において、アクションは、染色されるゲルの画像に付加される識別子(例えばラベル)のデジタル画像の作成であってよい。
【0109】
ゲル
それ自体で本発明の別の態様をなす別の局面において、生物学研究用製品はゲル、または対象物の表面上に局在するゲルを含む。例えば、ゲル、特に生体分子を分析するための電気泳動用ゲルの技術分野で周知である任意の物質においても、ゲルを生成することができる。ゲルは、例えば、アガロースもしくはアクリルアミド、またはその組み合わせを含むことができる。更に、ゲルはゲル片もしくは一連のゲル片、またはプレキャストスラブゲル等のスラブゲルであってよい。一局面において、本発明は、ゲル内に埋め込まれる、ゲルを支持もしくは収容するゲルカセット内に埋め込まれる、またはゲルもしくはゲルカセットの表面に取り付けられるRFIDタグを含むプレキャストゲルを提供する。特定の例証を示す局面において、ゲルは、eゲル、またはe−PAGE 96もしくはe−PAGE 48等のe−PAGEゲル、またはNU−PAGEゲル(Invitrogen社, Carlsbad, CA)である。
【0110】
低周波数チップでは液体の近傍での干渉の問題がある可能性がより低いので、ゲル内に埋め込まれるタグは、好ましくは、比較的近接した状態で読み込まれる低周波数RFIDタグであってよいが、これは任意である。いくつかの好ましい態様において、核酸およびタンパク質等の生体分子の分離に使用される埋め込まれたRFIDタグを有するゲルの厚さは、5mm未満、好ましくは3mm未満であり、いくつかの好ましい態様においては、厚さは2mm未満のであってよい。好ましくは、ゲルの少なくとも一部分を囲む緩衝液系の存在下に泳動されるゲルの場合、緩衝液を含む電気泳動装置内にゲルが配置される前か、またはゲルが装置から取り出される後に、ゲルに埋め込まれたRFIDタグが読み込まれる。
【0111】
例示的な一例において、本発明で提供されるのは、ゲルにラベルを付ける方法であり、ゲルに関連付けられるRFIDタグに情報が書き込まれる。例えば、ゲル上のウェル内にある試料の識別子および日付を、RFIDタグに書き込むことができる。その情報は、ゲルの種類、シリアル番号等に関し製造業者によって提供される情報に任意に加えて、保存の間はゲルに留まる。情報は、供給元が顧客に提供する各ゲルおよび各ゲルの種類、ゲルが重合する前にゲルカセット内に挿入することができるタグを識別することができる。PDA等のポータブルコンピュータデバイスに付随するリーダ等の携帯式RFIDリーダを使用することができる。このように、本発明によって、ユーザが情報を簡単に読み込むことが可能になり、ユーザが全てのゲルを(例えば、供給元によって製造されるゲル毎の固有番号によって)判別できるようになり、物理的タグをゲルに関連させた状態にできる。
【0112】
本発明で提供されるのは、別の態様において、ゲルスキャナと通信するコンピュータを含むゲルスキャナシステム、ならびにコンピュータおよび/またはゲルスキャナと通信するRFIDリーダである。このシステムを用いて走査されるゲルは、通常、関連付けられるRFIDタグを有する。このシステムによって、情報をシステムのコンポーネント間で読み込みおよび書き込みできるようになり、ゲルおよびその結果を管理する極めて強力なシステムを構築することができる。ゲルを用いて実験を行った後のゲルの保存を管理する研究室は、このシステムを使用ことができる。この作業のためには、単一のリーダ、または実験室内の様々な場所にある一連のリーダを使用することができる。技術者は、実験室の全てのゲルの場所を識別するため、リーダを持ち運んで研究室の様々な区域を定期的に走査でき、次いで必要に応じ、ゲルの画像およびゲルに関する他の情報を含むデータベースを、実験室内のゲルの場所と共に更新されるように、コンピュータシステムにリーダに接続することができる。
【0113】
更に、例えばゲルの種類、シリアル番号等に関するRFIDの情報を、RFIDリーダを用いて読み込んで、RFIDリーダを介してコンピュータに伝達し、コンピュータのゲルスキャナからの画像と情報を組み合わせて、ゲルの走査画像にゲルに関連付けられるRFIDタグからのゲルに関する情報をデジタル的に付加することができる。これにより、非デジタルマーキングシステムの機能性だけでなく、読みやすく、簡単に、永続的な、かつ付加的な機能性がもたらされる。ゲルスキャナはまた、例えばゲルのレーン上のタンパク質の分子量を識別し、実験の日付、ウェル内の試料、およびゲルを用いて実施した実験の結果に関する情報をリーダが含むように、リーダに分子量情報を書き込むこともできる。
【0114】
別の態様において、本発明は、ゲルが電気泳動システムに投入される場合に、リーダがゲル上の識別子を読み込み、インターネットまたは他の広域ネットワークを経由してゲル製造業者のコンピュータサーバに送信するコンピュータシステムに送信するような、コンピュータシステムと通信するRFIDリーダを付随するゲル電気泳動装置を提供する。このサーバは、ゲルについての関連情報、例えば使用期限、関連QCデータ、ゲルに由来する製品マニュアルの最新バージョン、ゲルが何らかの理由で好適でないものとして識別されるロットのものであるか否か等を識別する。次いで、ゲル筐体上またはその近くにコンピュータディスプレイを含むことができるコンピュータシステムは、情報をゲルのユーザに中継する。例えば、ゲルがその使用期限を過ぎたものであれば、コンピュータシステムはLCD画面上で「警告 ゲル期限切れ!」等の信号にて自動的に顧客に通知する。これは、顧客が介入することなしに実施できる。特定の局面において、そのシステムにおいて、期限切れの試薬が検出されると供給元に通知され、当該期限切れの試薬を備える実験室の顧客に、新しい試薬を配送すべきか否かについて問い合わせる要求が自動的に送信されるか、または自動的に期限が切れていない新しい試薬を顧客に配送することができる。
【0115】
別の例において、RFIDリーダはゲル上またはその近くに配置されて、ゲルと同じ画像で撮影される低輝度LEDリーダに接続される。あるいは、ゲルの透過光画像に対して、リーダを、ゲルに対応する番号が透明なLCDよりも暗い、投影LCDディスプレイを小型化することができる。
【0116】
生物学的アレイ
それ自体で本発明の独立した態様をなす別の局面において、本願明細書で提供されるのは、アレイを含む対象物が表面に局在する生体分子のアレイを含む、RFID−ラベル付けされる生物学研究用製品である。一例では、アレイは、抗体、タンパク質、または核酸等の個々の生体分子がそのアレイ上の特異的な部位でその上に共有的に取り付けられる膜である。別の例において、アレイは生体分子がアプライされたガラススライドであってよい。アレイは、例えば2辺の合計が100mm以下の(例えば、25mm×75mm以下の寸法を有する)マイクロアレイであってよく、任意に、チャネルおよび微小流体を含む研究用製品の一部であってよい。
【0117】
いくつかの好ましい例において、アレイは、100、200、250、500、1,000、2,500、5,000、または10,000生体分子/cmを超える濃度のガラス等の基材の表面に固定される生体分子を含む高密度アレイである。
【0118】
アレイは、そのアレイの表面に取り付けられるか、または、例えばポリマーもしくは繊維基材のアレイに埋め込まれるRFIDタグを含むことができる。このアレイに関連付けられるRFIDタグは、アレイの種類に関する情報を読み込んでユーザに提供するために読み込むことができる識別子を含み、例えば、タグを読み込むことによってアレイ上の分子の種類(例えば、特定のクラスのタンパク質に対する抗体)をユーザは即座に知ることができる。好ましい態様において、ユーザは、タグに試料情報を書き込むことができる。ハイブリダイゼーションアッセイ後にチップを走査して正に相互作用する抗体を(例えば、蛍光を検出することにより)検出する場合に、試料情報およびアレイ識別情報を読み込むことができる。試料およびアレイ情報は、処理ユニットによって走査されるアレイのデジタル画像と統合して、ハイブリダイゼーションの結果を分析するのに用いることができる。この分析で、ユーザが入力しなければならないデータはない。
【0119】
機能チップ
機能チップに、細胞および生体分子の分離、細胞および生体分子の捕捉、結合検出、機能アッセイ、生化学反応、ならびに生化学的な合成を実施できるチップが含まれる。機能チップは、試料の1以上の成分を分離または濃縮し、次いで、例えば、特定の分析物もしくは生体分子を活性アッセイで検出、または更に分析して特定の核酸もしくはタンパク質配列を識別するワークフローにおいて使用されることが多い。機能チップには、細胞および生体分子分離用のチャンネル、ウェル、電極、発熱用ペルチェ素子、粒子捕捉用電磁素子、ミキシング、センサ等の音響素子を含むことができる。
【0120】
本発明には、関連付けられるRFIDタグを有する機能チップが包含される。RFIDタグを、チップの表面に埋め込むか、またはチップに取り付けることができる。好ましくは、機能チップ上またはその中のRFIDタグは、チップ上の消去不可能情報(製品番号等)、および任意にその機能を提供する製品識別子を符号化する。チップに関連付けられるRFIDタグは、好ましくは書き込み可能でもある。チップに添加される試料に関する情報と、任意に実験パラメータとを、タグに書き込むことができる。好ましい態様において、1以上の実験結果が、機能チップ上のRFIDタグに書き込まれる。この情報を用いて、同じチップを使用し、次に続く操作を決めることができる。例えば、アッセイを繰り返してもよいし、またはチップ上の試料について第2のアッセイを実施してもよい。
【0121】
RFIDリーダを含む試料分析用システム
本発明の別の特徴は、少なくとも1つの生物学研究機能を実施するためのシステムであって、そのシステムが少なくとも1つのRFIDタグリーダ、およびリーダによって読み取られた情報を保存情報に変換するためのプロセッサを含むシステムである。このシステムでは、会合したRFIDタグを含む少なくとも1つの研究試薬が使用される。システムのRFIDタグリーダは、1以上の研究試薬のRFIDタグに保存される情報を受信することができる。RFIDタグに保存され、システムリーダによって受信される情報は、研究試薬に関する情報、研究試薬に関連する1以上の試料に関する情報、および/または研究試薬に関連する試料について実施されるかもしくは研究試薬に関連する試料について実施される1以上の生物学研究機能に関する情報である。
【0122】
生物学研究機能の非限定的な例として、アッセイ、反応、分離、生化学的合成、または試料処理工程を挙げることができる。いくつかの態様において、このシステムは1つの試料につき1以上の生物学研究機能を実施することができる。試料は、任意の種類の試料であってもよく、好ましくは環境または生物学研究用試料である。生物学研究用試料は、そのシステムによって分離、検出、またはアッセイされる、1以上の生体分子を含むことができる。いくつかの態様において、試料はヒト被験体から採取される臨床検体ではない。
【0123】
いくつかの例示的な態様において、これらの方法で使用されるRFIDタグ付けされる研究試薬は、チューブもしくはバイアル、ゲルもしくはゲルカセット、フィルターもしくは膜、アレイ、チップ、またはプレート等の研究用製品であり、1以上のアッセイ、分離、合成、処理工程、または反応を、研究用製品中またはその上で実施することができる。システムの処理ユニットは、研究用製品に関連付けられるRFIDタグからの情報を、生物学研究用製品中または上に調整される試料に対して実施されるアッセイ、反応、生化学的合成、または処理工程の結果に関連付けることができる。
【0124】
本発明には、実験プロトコル、アッセイ、もしくは操作において、または試料処理において、RFIDタグを含む生物学研究用試薬を用いる方法が包含される。RFIDタグは、試薬の種類、識別子の一方もしくは双方、生物学試薬を用いた操作において使用される試料の種類もしくは識別子、または生物学研究用試薬を使用して試料に対して実施すべき1以上の操作に関する情報を含む。いくつかの好ましい態様において、本方法はRFIDタグの情報を読み込む工程を含み、RFIDタグに提供される情報は、生物学研究用試薬を用いて試料に対して実施される、少なくとも1つのアッセイ工程、分離工程、反応、合成、または処理工程を、制御または指示する。
【0125】
本発明は、RFID−タグ付けされる生物学研究用試薬を用いて試料を分析するためのシステムを提供するものであり、システムは、少なくとも1つのRFIDタグリーダ、試料に対してアッセイ、検出、反応、生化学的合成、および試料処理工程からなる群より選択される機能を実施するための電動装置、ならびにリーダからの情報を保存するための処理ユニットを含む。処理ユニットは、RFIDタグリーダに、生物学的研究操作を実施するための電動装置に機能的に連結され、この処理ユニットがリーダによって読み取られた情報を保存することができ、また、リーダによって読み取られた情報を、実施される操作のパラメータまたは結果に関する情報に結びつけることができる。
【0126】
システムは、1以上のRFID−タグ付けされる容器、支持体、または分析すべき試料を保持できる構造体と共に使用される。いくつかの好ましい態様において、ある操作がシステムにより試料に対して実施され、それは、例えばタグ付けされたゲル、分離片、アレイ、プレート、またはチップ等のタグ付けされる研究用製品の中または上にある。
【0127】
いくつかの態様において、システムの電動装置は、ゲル電気泳動、等電点電気泳動、または溶液等電点分画等の電気泳動での用途(これらに限定されることはない)に好適な電源である。図1は、試料をロードするためのウェル(2)を有するゲル(1)に埋め込まれるRFIDタグ(3)上に符号化される情報を読み込むのに使用されるRFIDシステムを示す。この場合、携帯式RFIDリーダ(4)は電源(5)に接続され、これが電源コード(7)によって標準的な電圧アウトレットに、リードコネクタ(8)を通じて電気泳動装置に接続することができるリード線に接続されうる。電源/リーダシステムは、ゲル中に埋め込まれるRFIDタグ(3)からリーダによって受信されるか、または例えば好ましいランタイムおよび/もしくは電圧もしくは電流設定、好ましい緩衝液等のタグにもたらされる情報、ゲルの濃度およびゲル緩衝液の組成に関する情報にリンクされるかの、関連情報を表示することができる電圧/電流読み込みパネル(9)およびディスプレイ画面(6)を含む。
【0128】
いくつかの態様において、システムの電動装置は、蛍光、放射活性発光、または光吸収を検出するスキャナである。スキャナは、プレート、膜もしくはフィルター、プレート、アレイ、またはゲルを読み込むのに使用することができる。図2に、RFIDタグ(13)が取り付けられるカセット(11)内のゲルを走査するのに使用することができ、パーソナルコンピュータ(16)に接続されるゲルまたはフィルター光学スキャナ(15)を含むバイオリサーチ用のRFIDシステムを示す。透明プラスチック(11)を含むカセットを、可視光源(14)(Safe Imager(Invitrogen)等)上に配置することができ、ゲル中の染色される分子を、カセット(11)上のRFIDタグ(13)にて符号化される情報を読み込むためのリーダも含むスキャナ(15)で検出することができる。ウェル(12)内にロードされ、カセット(11)内のゲル上で電気泳動されるゲル試料に関する、リーダによって受信される情報や、走査されるゲルのデジタルで符号化される画像は、パーソナルコンピュータ(16)に送信することができ、走査されるゲルの画像を表示(17)および保存することができる。
【0129】
いくつかの態様において、システムの電動装置は、発熱体を含む。これによって、反応のインキュベーションおよび/または変性工程にシステムを使用することができる。電動装置は、サーモサイクラーであってよい。
【0130】
いくつかの態様において、システムの電動装置は、細胞もしくは生体分子分離用の電極配置、電磁素子、ペルチェ素子、音響素子、または微小流体素子に信号源を与える電源および回路網を含む。システムによって実施される分離または反応は、例えば機能チップに対して実施することができる。
【0131】
好ましくは、RFID生物学的研究システムの処理ユニットは、RFIDタグ付けされる生物学試薬からリーダを用いて読み込まれる情報を使用して、少なくとも1つの操作を指示することができる。好ましい態様において、処理ユニットは、RFID−タグ付けされる生物学試薬から読み込まれる試料情報を、システムによって実施される操作のパラメータに関する情報と共にまとめて保存することができる。このようなパラメータには、温度、インキュベーション時間、使用する試薬等を含むことができる。
【0132】
いくつかの好ましい態様において、システムの処理ユニットは、RFID−タグ付けされる生物学試薬から読み取られた試料情報をまとめて保存し、タグから受信される情報を、システムによって実施される操作結果に関する情報と関連付けることができる。
【0133】
好ましい態様において、システムは、試料を保持、収容、または支持する生物学研究用製品に関連付けられるRFIDタグに対してシステムにより実施される少なくとも1つの操作のパラメータまたは結果に関する情報を入力することができるRFIDライタもまた有する。
【0134】
さらなる態様において、システムの処理ユニットは、そのシステムにより試料に対して実施される第1の操作結果に基づき、試料に対する少なくとも1つのさらなる操作を指示することができる。これにより、試料処理および分析用のインテリジェント自動化システムが提供される。例えば、機能チップ上での細胞分離の結果、例えば悪性細胞の選択的保持を引き起こすことができる。標識される抗体を用いた細胞の検出は、処理ユニットによって記録することができ、陽性の検出結果をチップ型のRFIDタグに書き込むことができる。タグ付けされるチップは、アッセイ用の細胞溶解/PCRワークフローを指示して、検出される細胞型で発現される対象の遺伝子のアイソフォームを検出することができる。
【0135】
いくつかの好ましい態様において、処理ユニットはパーソナルコンピュータに機能的に連結され、ソフトウェアアプリケーションを使用して、システムにより作成されるデータを分析、グラフ化、または画像化することができる。処理ユニットは、データベースに機能的に連結することもできる。データベースは、遺伝子またはタンパク質配列データベース、分子構造データベース、技術サービスデータベース、科学文献データベース、細胞系データベース等であってよい。
【0136】
図3Aは、試料ローディングおよび洗浄の制御のために開閉することができる流入管路(24)および流出管路(25)が取り付けられ、チップ表面上へ導入することができる細胞等の試料成分(26)の捕捉のためのアッセイ区域(22)を有する機能バイオチップ(21)を示す。バイオチップ(21)には、バイオチップ分析システムに付随するリーダに情報を送信することができるRFIDタグ(23)がられる。図3Bに、機能バイオチップ(21)において実施することのできる処理のワークフローを示す。光学スキャナ等の検出デバイスは、捕捉アッセイおよびPCRの結果を判定することができ、試料情報および分離、アッセイ、または生化学的合成の結果を、そのバイオチップ(21)に取り付けられるRFIDタグ(23)から読み込んだり、およびこれに書き込んだりすることができる。RFIDタグにて符号化される情報を、インターフェースソフトウェアによって用いることができ、ワークフローダイアグラムに示すように、試料の分析における工程を指示する。
【0137】
生物学的製品に関連付けられる無線周波数識別子(RFID)への情報の読み込みおよび/または書き込みを含む実験を実施する方法
別の態様において、本発明は、生物学研究用製品または生物学研究用製品に関連する対象物を収容する容器に関連付けられる無線周波数識別子(RFID)タグへの情報の読み込みおよび書き込みを含む実験を実施する方法を提供する。本方法には、アレイまたは生体分子に関連付けられる無線周波数識別子(RFID)タグの情報の読み込みおよび書き込みが含まれる。例えば、本方法は、実験操作で使用されるタグ付けされる研究用製品の識別子に関する情報を読み込むことと、研究用製品上のタグに添加される試料の識別子に関する情報を書き込むこととを含んでもよい。好ましい態様において、本方法は、生物学的試料が関わる方法であるが、臨床目的に用いられる方法ではない。従って、本方法は、好ましくは、病状の診断、監視、予知、検出、または処置に直接的に関与する方法以外のものである。
【0138】
別の局面において、本方法は、アレイ用基板内に埋め込まれるRFIDに、またはアレイ用基板の表面に取り付けられるRFIDに情報を読み込みおよび書き込む工程を含む。別の局面において、本方法は、アレイに添加される試料に関してRFIDに情報を読み込みおよび書き込む工程を含む。
【0139】
一局面において、本方法は、タンパク質分離ゲルまたは核酸分離ゲルもしくはカセット等の生体分子分離ゲルもしくはゲルカセットに結びつけられる、またはブロッティング操作において使用されるフィルター等のフィルターもしくは膜に関連付けられる無線周波数識別子(RFID)に情報を読み込みおよび書き込む工程を含む。本方法は、例えば、生体分子分離ゲルのウェルの中にロードされる試料の識別子に関する情報、または生体分子分離ゲルの一連のウェルの中にロードされる一連の試料の識別子に関する情報を書き込む工程を含むことができる。
【0140】
本明細書において提供される方法において、情報を、1回以上、かつ処理の1以上の工程(例えば処理の全工程)で読み込みおよび書き込むことができる。例えば、本方法の間に少なくとも2回、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回、情報をRFIDタグから読み込んだり、および/またはそれに書き込んだりすることができる。
【0141】
別の局面において、RFIDタグの情報は、化学的もしくは生物学研究法の工程に反映させるのに使用されるか、または情報は化学的もしくは生物学研究法においてRFIDタグに書き込まれる。本方法は、工程を実施する前にRFIDから情報を読み込む工程を含む。生物学研究用試薬は、RFID−タグ付けされるチューブもしくはバイアル内に収容することができ、または生物学研究用試薬は、1以上の研究操作がその上で実施される機能チップであってよい。読み込みまたは書き込みは、その後の工程の実施に作用することができる。例えば、生物学研究用試薬に関連付けられるRFIDタグによって符号化され、機器または、コンベヤベルトおよび/もしくはスイッチもしくはルータ等の機械的試料処理システムと通信するRFIDリーダによって読み込まれる情報に応じて、工程を除いたり含めたりすることができる。更に、工程を実施するのに用いられる、時間、温度、電圧、電流等といった設定項目は、生物学試薬に関連付けられるRFIDタグによって符号化され、機器と通信するRFIDリーダによって読み込まれる情報に応じて、設定または変更することができる。
【0142】
特定の方法において、実験室内にある全ての生物学研究用製品上のRFIDタグが読み込まれるように、実験室の保存区域の何れかまたは全体に複数のRFIDリーダを配置することができる。RFIDリーダは、実験室のコンピュータシステムに接続される。リーダは、タグが埋め込みもしくは取り付けられる等、実験室内のゲル、アレイ、試薬等といった生物学研究用製品に関連させ、製品の使用期限が切れた場合、期限切れの製品の名称と位置を識別する警告が即時に実験室のコンピュータに出るように、定期的に(例えば毎日)、RFIDタグから情報を読み込むか、またはタグが定期的に情報を送信する。従って、本発明で提供されるのは、期限切れの研究試薬を識別する方法である。
【0143】
特定の局面において、RFID−ラベル付けされる生物学研究用試薬製品は、供給センター内で貯蔵される。供給センターは、顧客施設にある保存場所であり、供給者は、顧客により注文される前に供給品を発送して保存施設で保存されるように、供給品を貯蔵する。関連する局面において、本発明は、1以上のRFIDリーダを備えている供給センターを提供する。例えば、供給センターの様々な場所に複数のアンテナを備えるようにして、その場所(例えば棚)の各々に関する情報をリーダに送信することができる。
【0144】
別の局面において、核酸増幅プロトコルの間に、情報がRFIDタグに読み込みおよび/または書き込まれる。例えば、サーモサイクラーは、RFIDライタを含むことができ、サーモサイクラーのチューブ内でサイクリングするチューブのRFIDタグに、サイクル回数を読み込んだり、書き込んだりすることができる。
【0145】
本発明で提供される方法は、RFIDタグへの読み込みおよび書き込み情報を用いて、生物学研究反応の間の自動化工程に反映する、自動化する方法であってよい。RFIDタグ情報は、例えば、システムにより実施される工程を指示および/またはその工程に反映するロボットシステムによって使用することができる。
【0146】
特定の局面において、本方法は、RFIDタグと一体化することができる温度センサを含むことができる。リーダはRFIDタグを問い合わせして、生物学研究用試薬の温度を判定することができる。
【0147】
プレートまたはマイクロアレイが関わる特定の方法において、プレートまたはマイクロアレイに関連付けられるRFIDタグは、研究操作の間かまたは後に読み込みおよび/または書き込まれ、これによりユーザは、例えば、プレートまたはアレイを用いて実施した実験に関する情報(日付、アッセイ種類、適用試料、プローブ等)をプレートまたはアレイにラベルを付けることができる。更に、上記のとおり、RFIDタグの情報を使用して、自動化処理に反映することができる。例えば、ユーザは、プレートの様々なウェルに添加される試料に関する様々な情報をもって、例えば100枚等の複数のプレートにラベルを付けることができ、ロボットシステムがRFIDを読み取って、どのプレートのどのウェルの中にどの試薬を分配するかを決定することができる。
【0148】
生物学的防御
別の態様において、本発明で提供されるのは、細菌戦争の病原体の生物学的試料を追跡する方法であって、生物学的試料採取容器、コンテナ、プレート、またはフィルターに関連付けられる無線周波数識別子(RFID)に情報を読み込みおよび/または書き込む工程を含む方法である。
【0149】
RFID部位の決定を含む方法
本発明は更に、無線周波数識別子(RFID)を(a)バーコード、(b)全地球測位システム、および(c)コンピュータによる追跡の1以上と組み合わせる方法を包含する。
【0150】
本発明にはまた、1以上のRFIDの部位を識別する方法も包含される。ある区域内のRFIDの部位は、いくつの方法によって特定してもよい。かかる方法の一例として挙げられるのは、1以上の部位で読み取った場合のRFIDの信号強度である。一例として、3つの別個のレシーバによって検出した場合の、RFIDからの信号強度の差を、三角測量によってRFIDの部位を決定するのに使用してもよい。
【0151】
更に、1以上のRFIDの部位を一旦特定すれば、個々のRFIDの動作または複数のRFIDの集合的な動作の何れかを、監視および/または記録することができる。このような動作を記録する1つの応用例は、運動競技にある。多くの運動競技(例えば、ホッケー、フットボール、サッカー、野球等)の際、参加者の位置および協調的な動きが、チームの成功にとって重要である。また、多くの場合、競技後、協調的な動き、またはその欠損が、参加者に対する指導教材として検証される。かくして、本発明には、RFIDの部位を決定して、運動競技における1以上の個体の動作を追跡するためのRFIDの使用、およびシステムが包含される。多くの場合、RFIDの部位を特定するシステムは、データ分析および/または記録用のコンピュータを含む。
【0152】
運動競技の参加者の各々に1以上のRPIDを持たせてもよい。例えば、RFIDの種類が、パッシブRFIDまたはアクティブRFIDである場合、参加者にとって1以上のRFIDを持たせることが有利であると考えられる。
【0153】
また、本発明の方法は、保安維持の必要性のある区域(例えば、空港、機上、海港、公開行事が開催される場所等)におけるアイテム(例えば、人間、荷物等)を追跡する。本発明の方法は、個々の人間が荷物と共に飛行機に乗ることを確実にするに特に有用である。従って、本発明は、フライト時に荷物をチェックインした個々の人間が出発時点で飛行機に乗っているか否かを判定する方法を包含する。これらの方法は、飛行機に搭乗する個々の人間にRFIDに関連させ、指定したRFIDが出発時に飛行機内に位置するか否かを判定する工程を含む。
【0154】
また、本発明の方法は飛行機内の個人の識別や位置を判定することも含む。
【0155】
個々の人間にRFIDを関連させる方法には、RFIDを皮下と身分証明書(例えば、パスポート、運転免許証等)内に埋め込むことが含まれる。
【0156】
また、本発明には、1以上の感染症罹患の疑いがある動物(例えば、家畜)の位置を追跡する方法が包含される。一例としては、一群中の全てまたは実質的に全ての動物(例えば、放牧場にいる動物)が各々、それらに結びつけられるRFIDを有してよい。更に、これらの動物の動きを、本発明の方法を使用して判定および/または記録してもよい。群の1匹の動物が疾患(例えば、狂牛病、ラウス肉腫ウイルス等)に罹患していることが発見された場合、次いでその動物と接触した他の動物を識別することができる。従って、例えば、密接に接触することによって感染の疑いがある他の動物を検疫することができる。
【0157】
キット、適合試薬、および複数の試薬ワークフロー
本発明は、RFIDタグでラベル付けされる試薬、および/またはキットのパッケージがRFIDタグでラベル付けされるものを含む、生物学研究用キットを提供する。
【0158】
1つの態様において、本発明は、2以上のRFID−タグ付けされる生物学研究用試薬を含むキットを提供する。タグ付けされる研究試薬は、例えば、酵素および補因子、またはラベル付けされる試薬および反応緩衝液等の通常の操作にて使用することができる。試薬のRFIDタグは、使用期限の情報を提供することができ、ウェブサイト等にある技術情報にリンクすることができる。
【0159】
いくつかの態様において、多くの試薬をキットで提供してもよく、そのうちいくつかが、特定の反応または操作において使用される。例えば、複数のプライマーを提供することができるが、このうち2つのみが特定の適用に必要とされる。これらの試薬に関連付けられるRFIDタグは、適切な試薬を選択する際に技術者を支援することができる。
【0160】
本発明の更に別の局面は、2以上の試薬の各々がRFID−タグ付けされる通常のワークフローにおいて使用することができる、2以上の生物学研究用試薬のセットである。一般的に、適合試薬は同時に使用されず、順番に行う、または行われない様々な実験において使用される。
【0161】
従って、本発明は、通常の生物学研究のワークフローにおいて使用される複数の試薬であって、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20または全てのワークフローにおける試薬および/または機器が、無線周波数識別子(RFID)、RFIDライタ、および/またはRFIDリーダに結び付けられる試薬を提供する。特定の例において、ワークフローは、遺伝子もしくはタンパク質発現プロファイリングワークフロー、RNAi分析ワークフロー、またはタンパク質−タンパク質相互作用ワークフローである。例えば、生物学的経路は、機能性プロテオミクス分野のタンパク質発現プロファイリングワークフロー(図4Aおよび4B)であってよい。RFIDタグ、リーダ、およびライタは、互いに通信しており、好ましくは、研究室情報管理システム(LIMS)および生物学研究用試薬供給元のコンピュータシステムを任意に含むことができる送信システムに、広域ネットワークを経由して通信させることができ、生物学研究の効率、精度、および成功が高められる。
【0162】
本発明はまた、第1の生物学的ワークフローで使用される少なくとも2つの機器または試薬を含む生物学研究システムも包含し、その機器および/または試薬の少なくとも2つは、無線周波数識別子(RFID)タグ、RFIDリーダまたはRFIDライタを含む。生物学研究システムは、遺伝子もしくはタンパク質発現プロファイリングワークフロー、RNAi分析ワークフロー、またはタンパク質−タンパク質相互作用分析ワークフローにおいて用いられる試薬を含むことができる。ワークフローでは、ゲルまたはマイクロアレイ等の生物学研究用製品を用いることができる。
【0163】
生物学研究システムは、研究室情報管理システムの一部分であってよく、通常のプロセッサに接続されるプロトコルおよび制御系を有しうる。情報は、ワークフローで使用される少なくとも2種類の機器および/または試薬の間で送信され、ワークフローで使用される機器および/または試薬の少なくとも2つに関連付けられる無線周波数識別子(RFID)タグ、RFIDリーダ、および/またはRFIDライタを用いてその情報を保存することができる。
【0164】
本発明は更に、標的生体分子に関連する適合生物学試薬のセット、生物学研究キット、または標的生体分子ワークフローを提供するものであり、各々がセットのメンバーを収容する複数の容器が、各々、無線周波数識別子(RFID)タグに関連付けられる。
【0165】
本発明は更に、適合生物学試薬セットのコレクションを提供し、各々は、別々のワークフローで使用され、そのセットの容器の全てに関連付けられるRFIDタグに保存される情報に基づき、各セットに関連する標的生体分子、生物学研究キット、または標的生体分子ワークフローが識別される。請求項83のコレクションは、2以上のセットで、各々が異なる標的生体分子に関連するものを含むことができる。例えば、異なるセットに関連する各々の異なる標的生体分子は、様々な遺伝子、または、例えば哺乳動物遺伝子等の様々な遺伝子のオープン・リーディング・フレームであってよい。例えば、適合試薬のセットに関連する遺伝子は、ヒト遺伝子であってよい。
【0166】
別の例において、適合試薬の異なるセットが関連する標的生体分子は、酵素であってよく、適合試薬セットは、その中で酵素が酵素活性を有する緩衝液を含むことができる。
【0167】
本発明はまた、2個の生物学試薬容器が、適合試薬を含むか否かを判定する方法も提供し、その2個の生物学試薬容器の各々に関連付けられる無線周波数識別子(RFID)タグの試薬識別情報を読み込み、RFIDタグから読み取った情報を使用して、その2個の生物学試薬容器が標的生体分子または標的生体分子ワークフローに関連する試薬を収容するか否かを判定する工程を含む。
【0168】
以下の実施例は、本発明を例示することを目的としており、本発明を限定するものではない。
【0169】
実施例1
供給センターに関連させたRFID
本実施例は、供給センターにおけるRFIDの使用を例示する。
【0170】
本実施例では、生物学試薬/製品供給センターという背景における、生物学研究用試薬に結びつけられるRFID技術の使用について述べる。ビリーの会社には、生物学試薬/製品供給センター(BR供給センター)がある。納入業者は、日常的にビリーが必要とする製品を、これらのセンターに納入する。これにより、ビリーが製品を注文して届くのを待つというプロセスが排除される。最大の問題の1つは、標準的な手順において、「ビリーが貯蔵される製品をBR供給センターからチェックアウトするまで請求できない」ことである。現行のシステム下では、ビリーはBR供給センターに入り、探しているものを見つけて、部門コード、製品番号、および量を記帳することによってチェックアウトする。
【0171】
この手順には、いくつかの落とし穴がある。先ず、ビリーは1日に3〜4回、頻繁にBR供給センターに出入りするが、時折怠惰になって、製品を正しくチェックアウトしなかったり、全く行わなかったりすることがある。5回目に戻る時にチェックアウトしようと考えることはよくあるが、常にそうする訳ではない。このため、請求時の恐怖が生まれ、「顧客は常に正しい」ために、結果的に納入業者の利益の損失が生じる。更に、ビリーが翌日に来て取り出す製品を間違えていたことに気付いた場合、その製品を戻すことが厄介である。新しいチェックアウトシートが発行されると、ビリーは線を引いて単純に間違いを消すことができない。請求されないことを確実にするには、いくつかの他の操作を踏む必要があり、さもなくば、チェックアウトせずに、単にその製品を交換するだけで正しいものを入手するかもしれない。(「但し、価格がほぼ同じ場合」)。
【0172】
別の効率減損は、棚に収めるのがビリーではなく、納入業者であるということに起因する。納入業者は、ビリーの会社にXの量の製品を送るように依頼するが、その量は製品の消費履歴に基づいたものである。このデータは、ビリーが供給センターで製品を取り出す際に記入するシートから集積され、当然、エラーを含んでいると考えられる。製品が一旦ビリーの会社に配達されれば、納入業者は製品をチェックインして棚に収めるのに時間を費やすことになる。また、納入業者はBR供給センターで製品の残量が減っているか否かのチェックも行う。これによって、納入業者はビリーの取引と照合して、会社に請求する。ご存知のとおり、供給センターで行われることは多くある。
【0173】
そこで、製品にRFIDタグを付けて、供給センターで販売される生物学研究用試薬および製品に関連付けられるRFIDタグを含めることによって、BR供給センターを「スマート」にした場合に起こることを考えてみる。ビリーは、生物学試薬/製品供給センターに入り、必要な製品を取り、出てくる。BR供給センターは、ビリーが取り出した商品に基づき正確なレセプトを印字するか、またはビリーにレセプトを電子メールで送ることができる。
【0174】
再注文および再納入する納入業者において、それが全て統合される。ビリーがスマートBR供給センターを出る際、9箱の製品Yを持ち出し、棚に2箱が残っている。スマート供給センターはこれを認識し、主流通センターに電話をかけて、更に多くの製品Yを依頼する。スマート供給センターは、その製品に関連付けられるRFIDタグを監視することによって、その棚の全ての製品を「把握する」ことができる。事実上、自動化され、物理的な棚卸しを実施することができる。更に、各製品は個々に識別できるため、ビリーが製品を間違って取り出したことに気付き、戻す必要がある場合、スマート供給センターに戻って、その製品を棚に返しさえすればよい。たったこれだけである。製品仕入れの履歴からの傾向分析も、正確に実施することができる。更に、供給センターの棚卸し作業を、リアルタイムの棚卸しデータによって軽減させることができ、コスト削減が維持できる。
【0175】
顧客レベルにおいても、更なる恩恵がある。現在、ビリーが注文品を受け取る場合、彼は1人きりである。マニュアル、材料安全性データシート、または分析証明書等の製品情報を入手する場合、選択肢は、ウェブサイトを検索するか、または供給者の技術サービス部門に電話をするかである。ビリーが技術サービスに連絡して情報提供を要求すれば、電子メール、ファックス、または標準の郵便により、受け取ることになる。この情報は全て、ウェブサイトで入手可能であるが、ビリーはアクセスできないかもしれないし、または忙しすぎて検索できないかもしれない。これは、RFIDタグを使用することによって簡略化することができる。
【0176】
RFIDタグと、ビリーのコンピュータに接続するリーダとを設置することにより製品をスマートにすれば、ビリーはマウスを数回クリックして探しているものを見つけることができる。これは、製品のRFIDタグを読み込むビリーのコンピュータに直接接続させ、1つのハードウェアによってビリーの購入した製品を直接コンピュータに送信できる。コンピュータは、具体的にはビリーの製品に関する情報を受信する。この情報には、製品番号、ロット番号、使用期限、更には製品が注文される日付、発送日、および購入発注番号等のビリーの購入情報が含まれる。この情報は、ビリーのコンピュータに中継され、供給者のウェブサイトに自動的にリンクし、ユーザマニュアル、材料安全性データシート、および分析証明書を含め、特定の製品に関する入手可能な全情報をカスタマイズするページが引き出される。
【0177】
更に、ビリーが製品に関する課題を抱えているとすれば、彼のカスタマイズされたウェブページで技術サービス部門の情報ベースにリンクすることができ、記録される製品に具体的に関連する問題が表示されることである。解決策を見出すことができない場合、ビリーのページにルーティングさせて独自の優先コードを与え、知識を有する者に直接接触することができるようになる。ビリーは優先コードを受け取ると、コンピュータは技術サービス部門にビリーの情報や製品情報を直接送信する。ビリーが電話をかけると、技術サービス部門は直ちにビリーの情報や、更にはビリーが検索していた内容も入手でき、膨大な量の書類事務が削減される。自動的かつ迅速に情報を得るこのプロセスの簡略化によって、顧客の満足感が保証される。
【0178】
実施例2
核酸分子の分離に使用されるE−ゲルに関連付けられるRFID
本実施例において、関連付けられたRFIDタグをともなうゲル、および電気泳動分離中および分離後におけるその使用の例示的な態様を提供する。
【0179】
1%アガロースおよびSYBR Safe核酸染料(Invitrogen社 Carlsbad, CA)を含むE−Gel96ゲル(Invitrogen社 Carlsbad, CA)は、ゲル電気泳動用の陽極および陰極も含む封止されるカセットの中で提供される。E−Gelカセットの外側表面には、ゲル濃度が1%である「ロックされる」情報を含む書き込み可能なRFIDタグが取り付けられる。ユーザは、E−Gel96をホイルの包みから取り出した後、RFIDライタを使用して、ゲルに流す試料に関する識別子情報(試料の起源、試料数またはコード、およびその試料がロードされる予定のゲルのレーン)を入力し、可能な4つの実行優先項目、1)長い分離、2)中間的な分離、3)短い分離、および4)ユーザによるコントロールの1つを選択する。ユーザは、リーダを用いてRFIDタグに1)長い分離を入力する。ユーザは次いで、E−Gel96をE−base(Invitrogen社 Carlsbad, CA)支持体/電気接触ユニットの上に置き、電源に接続する導線にE−baseを接続する。E−baseは、カセット上にあるRFIDタグの符号化される操作命令を読み込む統合されるRFIDタグリーダを有する。電源に一体化されており、試料に応じて10、20、または40分間、カセットの電極を介して特定の電圧を維持するように電源が指示をする処理ユニットに、RFIDタグリーダが、符号化される操作命令を送信する。
【0180】
電気泳動が終了し、ゲルをSafe Imagerイルミネータ(Invitrogen社 Carlsbad, CA)の上に置き、RFIDリーダを含むスキャナを用いて走査する。RFIDリーダは、ゲルの種類(1%アガロース)、実施条件、ならびにゲルに流す試料の供給源および識別子に関する情報を含め、カセットのタグからの情報を受け取る。この情報は、スキャナによって走査される画像も受信する中央処理ユニットに転送される。無線周波数識別子タグからの情報は、ゲルのデジタル画像と統合され、処理ユニットのメモリに保存される。中央処理ユニットに含まれるソフトウェアは、ゲルのレーンにおいて染色されるバンドとの比較を指示し、試料おけるバンドの有無、および相対的または絶対的強度を関連付けることができる。
【0181】
実施例3
タンパク質の分離に使用されるゲルに関連付けられるRFID
提供されるのは、RFID技術を含むゲル電気泳動システムの例示的な実施例である。
【0182】
ゲル電気泳動/RFID統合システムは、RFIDタグ付けされるゲルおよびゲルカセット、RFIDリーダ/ライタ、電気泳動の電源、ならびに電気ブロッティング装置を含む。
【0183】
4〜12%のアクリルアミドおよびビス−トリス緩衝液を含むNu−PAGEゲルは、ゲルマトリックスに埋め込まれる第1のRFIDタグを有する。ゲルは、プラスチックカセットの前側壁内に埋め込まれる第2のRFIDタグを有するカセット中に提供される。カセットに埋め込まれるタグは、「ロックされた」かあるいは消去不可能なカセット中に収容されるゲルの種類に関する情報(アクリルアミドのパーセンテージおよびゲルを構成する緩衝液)を含む。カセットに埋め込まれるタグは、メモリ保存スペースを更に有しており、書き込み可能であるため、試料の情報をカセットタグに書き込むことができる。ゲルに埋め込まれるRFIDタグもまた、書き込み可能である。ゲル電気泳動/RFID送信システムは、ゲルに流す試料の情報をカセットに埋め込まれるタグから読み込むことができ、また、ゲルに埋め込まれるタグに書き込むことができるように、RFIDリーダ/ライタを更に含む。
【0184】
ゲルの種類(アクリルアミドの%)およびゲルで使用される緩衝液(例えば、MES)をユーザに示す処理ユニットと統合されるRFIDリーダを用いて、ユーザはNu−PAGEカセットを走査する。次いで、ユーザはゲルに流す試料の識別子に関する情報を入力し、分離するのに好ましい分子量範囲を入力する。統合されるユニットRFIDライタは、カセットに埋め込まれるRFIDタグにその情報を送信する。処理ユニットは、ゲルでの使用が推奨される分子量マーカーを表示し、電源が200ボルトで35分間稼働するように指示をする。ゲルを泳動した後、ユーザはカセット開けてゲルを取り出す。ゲルを取り出し次第、ユーザはRFIDリーダ/ライタを用いてカセットに埋め込まれるタグから試料情報およびゲル情報を読み込み、ゲルに埋め込まれるタグに転送する。ゲルは、統合されるRFIDリーダを備えるスキャナを用いて走査し、RFIDからのゲルの種類、実行条件、および試料識別子に関する情報をも受信および保存するコンピュータに、デジタル記録画像が保存される。
【0185】
ゲルの半分(試料セットを含む)は、電気ブロッティングされる。電気ブロッティングの直前に、ゲルに埋め込まれるタグから、RFIDリーダ/ライタを用いて試料識別情報を読み込み、その情報をPDVF膜に取り付けたRFIDタグに送信する。
【0186】
対象のDNA結合タンパク質に対する抗体、および蛍光標識に接合した2次抗体を用いたハイブリダイゼーションに膜を使用する。その結果は、走査によっても検出され、この場合スキャナは、フィルターの画像を受信および記録する処理ユニットに接続する、統合されるRFIDリーダを有する。
【0187】
ゲルの残り半分(重複試料セットを含む)を用いて、ゲル内トリプシンタンパク質分解に使用する薄片に、各々の試料レーンを分割する。こうして得られるペプチドを、RFID−埋め込みタグを有するチューブ中でゲル薄片から抽出する。RFIDライタを用いて、試料識別情報を処理ユニット(各ゲルのレーンを試料に関連する情報が保存される)からチューブに送信する。また、薄片の番号に関して処理ユニットに入力される情報(薄片が由来するゲル領域の分子量範囲に関連する薄片の番号)は、薄片のチューブのRFIDタグに記録される。
【0188】
実施例4
発現タンパク質の検出用のアレイに関連付けられるRFID
空間的にアドレス指定可能な部位に結合した1本鎖核酸プローブを備えたガラスチップを含むアレイは、アレイの一端に取り付けたRFIDタグも含む。1つの細胞型から単離した1本鎖DNAまたはRNAをアレイにアプライし、ハイブリダイゼーションおよび洗浄後に、標的核酸分子の異なる部分にハイブリダイズする蛍光標識を含む第2のプローブを、サンドウィッチハイブリダイゼーションでアレイにアプライする。洗浄後に、アレイ上で陽性にハイブリダイズするスポットを蛍光スキャナによって検出する。ハイブリダイゼーションの結果は、中央処理ユニットによって記録され、ハイブリダイゼーションの結果を示すコードを、RFIDライタを用いてチップ上のRFIDタグに書き込む。1つの核酸マーカーへの陽性のハイブリダイゼーションが見られるチップを、関連遺伝子のチップ上PCR分析に使用する。PCR産物を、試料識別情報でRFIDタグ付けしたチューブに移す。陽性のハイブリダイゼーション結果を、RFIDライタを用いてタグに書き込む。使用したプライマー配列を示すコードも、チューブのタグに書き込む。チューブ内のPCR産物は、タグを読み込み、配列決定の実行が終了すれば処理ユニットに配列データを入力する自動化シーケンサーに導かれ、この処理ユニットが、チューブのRFIDタグを読み込んで試料および検出およびPCR操作の情報に関連付ける。
【0189】
実施例5
試料の処理および分析に使用される機能バイオチップ
血清試料等の生物学的試料を使用し、自動化バイオチップシステムを用いてガンのバイオマーカーの存在を検出する。バイオチップシステムは複数のバイオチップを有しており、その各々が複数の機能を平行して実施することができる。
【0190】
血清試料は、複数の凹部を有するバイオチップに付され、この凹部の各々は、特定の悪性腫瘍に関連する細胞表面マーカーに結合する、異なる表面結合抗体を含む。チップの支持台を物理的に揺動させ、チップの表面に埋め込んだ音響素子を間欠的に使用することによって、試料を穏やかに混合する。1時間のインキュベーション後に、チップを通して液体緩衝液を移すことにより洗浄を実施する。蛍光標識が付いた2次抗体を用い、結合したガン細胞を、光学スキャナを使用して検出する。スキャナからもデータを受信する処理ユニットに接続するリーダによって、蛍光での陽性の結果をチップに書き込む。RFIDタグ付けされるチップは、検出結果が陽性である信号をリーダに送信する。次いで、システムは、核酸検出のための操作を開始し、細胞が結合したチップを細胞溶解条件(低張緩衝液中での加熱)に置き、PCR反応を実施して、ガン細胞中で発現される遺伝子のスプライス変異体を検出する。
【0191】
実施例6
プロテオミクスワークフローにおけるRFID識別子の使用
発現タンパク質の識別のためのプロテオミクスワークフローを、図4Aおよび4Bに例証する。RFタグを、細胞が培養される細胞培養プレートに関連させる。研究者は、パーソナルコンピュータのコンピュータプロセッサ等のコンピュータプロセッサに任意に接続されうるRFIDライタを用いて、培養プレートのRFIDタグに情報を書き込む。技術者は、実験番号、プレートで成長している細胞の細胞型、生育培地および温度、プレートにおいて生育中の細胞を培養するのに使用される何らかの特別な条件の簡単な説明、実験を行う技術者のイニシャル、および細胞培養プレートのRFIDタグで培養が開始される日付を書き込むことができる。次いで、技術者の実験台上のRFIDリーダによってこの情報を読み込むことができ、コンピュータプロセッサ、および任意にRFIDライタに関連させることができる。次いで、コンピュータプロセッサに結び付けられるコンピュータディスプレイは、その後、細胞培養プレートから読み取った情報を表示することができ、コンピュータプロセッサは、リーダから受信した情報を保存用のデータベースに送信することができる。次いで、技術者は、細胞培養に関するディスプレイ上の情報を読み込むことができ、コンピュータプロセッサを用いてデータベースからの情報の引き出しを含むことができ、その後、技術者はコンピュータキーボード等のコンピュータプロセッサに結びついた入力機能を使用し、細胞培養物からタンパク質を抽出するのに使用される抽出溶液および条件に関連する情報をコンピュータプロセッサに入力することができる。更に、コンピュータプロセッサは、抽出番号をこの抽出に関連付けることができる。コンピュータは次いで、RFIDライタに情報を送信することができ、または技術者から情報をRFIDライタへ直接入力することもでき、その後、細胞培養に関する情報、抽出条件、および/または「タンパク質抽出」等のキーワードを、タンパク質抽出溶液を保持するのに使用されるチューブのRFIDタグに書き込む。この処理は、同一または異なるシリーズの細胞培養物からタンパク質を抽出するのに使用される、同一または異なりうる一連の抽出条件に対して繰り返すことができる。限定的でない例として、2つの細胞型を前記の実験、形質転換されていない細胞培養物、およびガン遺伝子の組換え発現によって形質転換される細胞培養物で分析することができる。2つの異なる細胞集団に関連される細胞培養プレート上のRFIDは、細胞培養プレート中の細胞の集団を識別する情報を含む。
【0192】
以上の段落に開示した、RFIDタグ、ライタ、リーダ、コンピュータプロセッサと、ハードドライブ等のコンピュータストレージ装置との間の一連の送信によって、その後、タンパク質発現プロファイリングワークフローの後続の工程のための情報が送受信され、その情報を格納するのに使用することができる。例えば、タンパク質抽出物に含まれるタンパク質を精製するために使用されるタンパク質精製カラムおよびクロマトグラフィー条件に関する詳細を、カラムに関連付けられるRFIDタグおよび/またはカラムに添加されている画分を採取するのに用いるチューブに関連付けられるRFIDタグを使用して送信することができる。次いで、ポリアクリルアミドゲルの特定のレーンにロードされる試料を識別する詳細のみならず、会合されるRFIDタグを含む、製造業者により提供されるチューブに保存されるゲルで流される分子量マーカーに関する詳細をも、ゲルに関連付けられるRFIDタグへ書き込むことができる。ゲルを泳動させた後、ゲルの流れの詳細に関する情報を、ゲルに関連付けられるRFIDタグに書き込むことができる。次に、ゲルで分離されるタンパク質を染色した後、ゲルの画像をデジタル化するのに使用される画像スキャナ、またはそれに接続したコンピュータプロセッサが、ゲルのRFIDタグから情報を読み込み、この情報をゲルの画像およびゲルにロードされるタンパク質試料を作成するのに用いられるタンパク質発現ワークフローからの他の情報へと関連付けることができる。更に、分子量マーカーに関連付けられるRFIDタグから得たゲルのRFIDタグより直接または間接的に得られる情報を用いて、撮像装置に関連するコンピュータプロセッサは、走査されるゲルの画像のバンドの分子量を算定することができる。更に、コンピュータプロセッサは、実験で分析される細胞の2集団のうち1集団に独特なバンドを識別することができる。
【0193】
最後に、コンピュータプロセッサは、次いでワークフローが開始される細胞培養プレートに元来含まれていた細胞の種由来のタンパク質に対するタンパク質分子量のデータベースを走査して、その2集団のうちの1集団のみに存在する(即ち、差次的に発現される)ゲル上のタンパク質の分子量と一致する潜在的なタンパク質を識別することができる。データベースは、研究試薬の供給元により提供されえ、その後、差次的に発現されるタンパク質を認識する抗体に対する製品番号、および任意に抗体の1以上を注文するための発注機能を技術者に提示することができる。更に、技術者は、研究室のフリーザーに付随するRFIDリーダ、およびフリーザー中の抗体のバイアルに関連付けられるRFIDタグを用いて、研究室のフリーザー中の抗体を検索することができる。任意の確認実験において、研究試薬の供給元は、技術者が使用することができる特定の試薬を識別して、初期の発現プロファイリング実験の結果を確認し、かつ/または発現プロファイリング実験の知見を拡張することができる。技術者は、研究室のフリーザーまたは他の保存区域に結びつけられるRFIDリーダを用いて、確認実験を実施するのに必要な試薬およびキットが実験室にあるか否かを判定し、また、その試薬およびキットが期限切れでないことをダブルチェックすることができる。最後に、発現プロファイリング実験の工程の何れかおよび/または全ての途中で、ワークフローにおける反応の何れかで使用される試薬を収容する容器に関連する使用期限を、リーダによって読み込むことができ、その試薬が期限切れでないことを確認する機器に関連させることができる。例えば、ポリアクリルアミドゲルを泳動するのに用いられる電源が、ポリアクリルアミドゲルに結びつけられるRFID識別子に含まれる使用期限をチェックでき、ゲルが期限切れでないことを確証することができる。このように、全てLIMSシステムの一部となりうるワークフローにおいて、RFIDリーダ、ライタ、研究室コンピュータシステム、および生物学研究用試薬の供給元のコンピュータシステムが通信して、ワークフローの成功および効率を向上させることができる。
【0194】
本願明細書において参照される各特許、特許出願、刊行物、および文献は全体に亘って、参照により組み込まれる。上記の特許、特許出願、刊行物、および文献の引用は、いずれも関連する先行技術であるとは容認されず、これらの刊行物または文献の内容または刊行日付に関しても容認されない。本願明細書において提供される節見出しは、便宜的に用いられるのみであって、本発明の範囲を制限することを目的としない。本発明は上記実施例に関して記載されるが、修正変更は本発明の精神と範囲に包含されることが理解されよう。したがって、本発明は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1】RFIDタグを含むゲルを表し、RFIDタグが、電気泳動状態を指示するソフトウェアと対話するリーダによって読み込まれるゲルの組成物に関する情報を含む。図面の特徴は、一定の比率でない。
【図2】RFIDタグを収容するゲルカセットを表し、RFIDタグが、ソフトウェアと対話するリーダによって読み込まれるゲルを装填される試料に関する情報を含み、リーダは、ゲルスキャナとも対話し、試料情報を含む、または資料情報に関連するゲルスキャナによって生成される画像を生成および格納する。
【図3A】読み込み/書き込み可能なRFIDタグを含む機能チップを表す。
【図3B】機能チップを使用するシステムのワークフローを表す。
【図4】AおよびBは、機能的プロテオミクスの規律におけるタンパク質発現のプロファイリングワークフローの図である。テキストボックスの第1列は用途を示し、第2列は典型的な技術および方法を示し、第3列は典型的な製品およびツールを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数識別子(RFID)に関連付けられた生物学研究用試薬。
【請求項2】
生体分子である、請求項1記載の生物学研究用試薬。
【請求項3】
生体分子が核酸分子、タンパク質、または多糖類である、請求項2記載の生物学研究用試薬。
【請求項4】
生物学研究用製品である、請求項1記載の生物学研究用試薬。
【請求項5】
細胞、ウイルス、細胞抽出物、ベクター、1つまたは複数の細胞培養製品、1つまたは複数の酵素、1つまたは複数の補因子、1つまたは複数の標識試薬あるいは1つまたは複数の検出試薬を含む、請求項4記載の生物学研究用試薬。
【請求項6】
生物学研究用試薬がゲル、カセット、ゲルストリップ、膜もしくはフィルター、カラム、プレート、アレイ、またはチップを含む、請求項4記載の生物学研究用製品。
【請求項7】
生物学研究用製品がカセット、カラム、プレート、アレイ、またはプラスチックを含むチップを含み、更にRFIDタグが射出成形で生物学研究用製品の中に埋め込まれる請求項6記載の生物学研究用試薬。
【請求項8】
容器中に収容されるか、または物体の表面に局在する、請求項1記載の生物学研究用試薬。
【請求項9】
生物学研究用試薬を収容、保持、もしくは支持する容器、支持体、または構造体に取り付けられるか、または埋め込まれるRFIDタグに関連付けられている、請求項8記載の生物学研究用試薬。
【請求項10】
RFIDタグが生物学研究用試薬に取り付けられるか、または埋め込まれる、請求項1記載の生物学研究用試薬。
【請求項11】
被験体から収集される生体試料を収容、保持、または支持する生物学研究用試薬以外である、請求項1記載の生物学研究用試薬。
【請求項12】
被験体から収集される生体試料を保持する試料用収集チューブ、バッグ、またはバイアル以外である、請求項11記載の生物学研究用試薬。
【請求項13】
RFIDタグが、生物学研究用試薬、あるいは生物学研究用試薬を収容、保持、もしくは支持する容器、支持体、または構造体に埋め込まれる、請求項9記載の生物学研究用試薬。
【請求項14】
生物学研究用試薬を収容、保持、もしくは支持する容器、支持体、または構造体がプラスチックを含み、さらにRFIDタグが、射出成形プロセスでコンテナ、容器、支持体、または構造体の中に埋め込まれる、請求項13記載の生物学研究用製品。
【請求項15】
生物学研究用試薬を収容、保持、もしくは支持する容器、支持体、または構造体がボトルである、請求項14記載の生物学研究用試薬。
【請求項16】
生物学研究用試薬を収容、保持、もしくは支持する容器、支持体、または構造体がチューブである、請求項14記載の生物学研究用試薬。
【請求項17】
生物学研究用試薬を収容、保持、もしくは支持する容器、支持体、または構造体がプラスチックを含み、RFIDタグを含むプラスチックの物体が、プラスチックの容器、支持体、または構造体のキャビティ内に固定される、請求項13記載の生物学研究用試薬。
【請求項18】
固体支持体の表面に局在する生体分子のアレイを含む、請求項6記載の生物学研究用試薬。
【請求項19】
核酸のアレイを含む、請求項18記載の生物学研究用試薬。
【請求項20】
核酸が高密度で整列される、請求項19記載の生物学研究用試薬。
【請求項21】
タンパク質のアレイを含む、請求項18記載の生物学研究用試薬。
【請求項22】
タンパク質が高密度で整列される、請求項21記載の生物学研究用試薬。
【請求項23】
アレイがマイクロアレイである、請求項21記載の生物学研究用試薬。
【請求項24】
物体の表面に局在するゲルを含む、請求項5記載の生物学研究用試薬。
【請求項25】
ゲルがアガロースを含む、請求項24記載の生物学研究用試薬。
【請求項26】
ゲルがアクリルアミドを含む、請求項24記載の生物学研究用試薬。
【請求項27】
ゲルがスラブゲルである、請求項24記載の生物学研究用試薬。
【請求項28】
生物学研究用製品がプレートを含む、請求項6記載の生物学研究用試薬。
【請求項29】
プレートがマルチウェルプレートである、請求項28記載の生物学研究用試薬。
【請求項30】
RFIDが、生物学研究用試薬識別情報、試料識別情報、および/または試料操作情報をその中に符号化して含む、請求項1記載の生物学研究用試薬。
【請求項31】
プレートが機能チップである、請求項27記載の生物学研究用試薬。
【請求項32】
細胞または生体分子の少なくとも1つの分離、あるいは細胞または生体分子の少なくとも1つの検出を機能チップ上で実施できる、請求項31記載の生物学研究用試薬。
【請求項33】
パッシブチップを含む、請求項1記載の生物学研究用試薬。
【請求項34】
アクティブチップを含む、請求項1記載の生物学研究用試薬。
【請求項35】
消去可能でない情報を符号化しているRFIDタグを含む、請求項1記載の生物学研究用試薬。
【請求項36】
ユーザまたは自動化システムによって書き込み可能なメモリ空間を有するRFIDタグを含む、請求項1記載の生物学研究用試薬。
【請求項37】
ユーザまたは自動化システムによって書き込み可能なメモリ空間が消去可能である、請求項36記載の生物学研究用試薬。
【請求項38】
ゲル、カセット、ゲルストリップ、膜もしくはフィルター、カラム、プレート、アレイ、またはチップに可逆的に取り付けられるRFIDタグを含む、請求項6記載の生物学研究用試薬。
【請求項39】
生物学研究用試薬を収容、保持、もしくは支持する容器、支持体、または構造体に可逆的に取り付けられるRFIDタグを含む、請求項9記載の生物学研究用試薬。
【請求項40】
RFIDタグを含む物体を容器のキャビティに凹設する工程を含む、RFIDを含む容器を作製する方法であって、容器は生物学研究用製品ラベルを含む、方法。
【請求項41】
容器がプラスチック容器である、請求項40記載の方法。
【請求項42】
容器がプラスチックチューブである、請求項40記載の方法。
【請求項43】
物体がプラスチックの物体である、請求項40記載の方法。
【請求項44】
物体がシリンダである、請求項40記載の方法。
【請求項45】
シリンダの端が1センチメートル未満の直径を有する、請求項44記載の方法。
【請求項46】
物体がボタンである、請求項40記載の方法。
【請求項47】
1)少なくとも1つのRFIDタグリーダと、
2)試料上で生物学研究機能を実施する電動装置と、
リーダによって読み込まれた情報を格納し、リーダによって読み込まれた情報をパラメータもしくは実施機能の結果に関する情報に関連付けし、かつ/またはリーダによって受信される情報を使用して電動装置の出力に反映させることができる、RFIDタグリーダおよび操作を実施する電動装置に機能的に連結される、
3)処理ユニットとを含む、
RFIDタグ付けされる生物学研究用試薬を使用して試料を分析するシステム。
【請求項48】
生物学研究機能がアッセイ、検出、電気泳動分離、反応、生化学的合成、または試料処理の工程である、請求項47記載のシステム。
【請求項49】
システムを使用して解析される試料を保持できる、1つまたは複数のRFIDタグ付けされた容器、支持体、もしくは構造体を更に含む、請求項47記載の試料分析システム。
【請求項50】
1つまたは複数のRFIDタグ付けされた容器、支持体、もしくは構造体が、電動装置によって試料上で実施される少なくとも一部の操作の間、試料を保持または支持する、請求項49記載の試料分析システム。
【請求項51】
電動装置が電気泳動法の用途に適する電源である、請求項47記載の試料分析システム。
【請求項52】
少なくとも1つのゲル電気泳動装置または少なくとも1つの等電点電気泳動装置もしくは等電点分画装置と、それに関連付けられる無線周波数識別子タグを有するゲルとを更に含む、請求項51記載の試料分析システム。
【請求項53】
電動装置が蛍光、放射性発光、または比色検出用のスキャナを含む、請求項47記載の試料分析システム。
【請求項54】
電動装置が発熱体を含む、請求項47記載の試料分析システム。
【請求項55】
電動装置がサーモサイクラーを含む、請求項54記載の試料分析システム。
【請求項56】
電動装置が、細胞または生体分子を分離するために、電極配置、電磁素子、ペルチェ素子、音響素子、またはマイクロ流体装置に信号源を提供する電源および回路を含む、請求項47記載の試料分析システム。
【請求項57】
処理ユニットが、リーダを用いてRFIDタグ付けされた生物学試薬から読み込まれる情報を用いて少なくとも1つの操作を指示できる、請求項47記載の試料分析システム。
【請求項58】
処理ユニットが、RFIDタグ付けされた生物学試薬から読み込まれる試料情報を、システムによって実施される操作のパラメータに関する情報とともに統合および格納できる、請求項47記載の試料分析システム。
【請求項59】
処理ユニットが、RFIDタグ付けされた生物学試薬から読み込まれる試料情報を、システムによって実施される操作結果に関する情報とともに統合および格納できる、請求項47記載の試料分析システム。
【請求項60】
処理ユニットが、システムによって試料に対して実施される第1の操作結果に基づいて、試料に対する少なくとも1つの付加的な操作を指示できる、請求項59記載の試料分析システム。
【請求項61】
処理ユニットがパーソナルコンピュータに機能的に連結される、請求項47記載の試料分析システム。
【請求項62】
処理ユニットがデータベースに機能的に連結される、請求項47記載の試料分析システム。
【請求項63】
システムによって実施される少なくとも1つの操作のパラメータまたは結果に関する情報を、試料を保持、収容、または支持する生物学研究用製品に関連付けられるRFIDタグに入力できるRFIDライタもまた有する、請求項47記載の試料分析システム。
【請求項64】
生物学研究用試薬を収容、保持、もしくは支持できる容器、構造体、または支持体、あるいは生物学研究用試薬に関連する容器、構造体、または支持体に関連付けられるRFIDタグから情報を読み込む工程、および/または情報を書き込む工程を含む、実験を実施する方法。
【請求項65】
生体分子のアレイに関連付けられるRFIDタグから情報を読み込む工程、および/または情報を書き込む工程を含む、請求項62記載の方法。
【請求項66】
アレイにアプライされる試料の識別に関する情報を書き込む工程を含む、請求項65記載の方法。
【請求項67】
アレイの基板の中に埋め込まれるRFIDタグから情報を読み込む工程、および/または情報を書き込む工程を含む、請求項65記載の方法。
【請求項68】
アレイの基板の表面に取り付けられるRFIDタグから情報を読み込む工程、および/または情報を書き込む工程を含む、請求項65記載の方法。
【請求項69】
アレイにアプライされる試料に関して、RFIDタグから情報を読み込む工程、および/または情報を書き込む工程を含む、請求項65記載の方法。
【請求項70】
生体分子分離ゲルに関連付けられるRFIDタグから情報を読み込む工程、および/または情報を書き込む工程を含む、請求項64記載の方法。
【請求項71】
タンパク質分離ゲルに関連付けられるRFIDタグから情報を読み込む工程、および/または情報を書き込む工程を含む、請求項70記載の方法。
【請求項72】
核酸分離ゲルに関連付けられるRFIDタグから情報を読み込む工程、および/または情報を書き込む工程を含む、請求項70記載の方法。
【請求項73】
生体分子分離ゲルのウェルにロードされる試料の識別に関する情報を書き込む工程を含む、請求項70記載の方法。
【請求項74】
生体分子分離ゲルの一連のウェルにロードされる一連の試料の識別に関する情報を書き込む工程を含む、請求項73記載の方法。
【請求項75】
実験プロトコルにおいてRFIDタグから情報を読み込む工程、および/または情報を書き込む工程を少なくとも2回含む、請求項64記載の方法。
【請求項76】
方法の工程を実施する前にRFIDタグから情報を読み込む工程を含む、請求項64記載の方法。
【請求項77】
読み込む工程が工程の実施に影響を及ぼす、請求項64記載の方法。
【請求項78】
生体試料収集用の容器またはコンテナに関連付けられるRFIDタグから情報を読み込む工程、および/または情報を書き込む工程を含む、細菌戦争の病原体について生体試料を追跡する方法。
【請求項79】
第1の生物学ワークフローにおいて使用される少なくとも2つの器具または試薬を含み、器具および/または試薬の少なくとも2つが、無線周波数識別子(RFID)タグ、RFIDリーダ、もしくはRFIDライタを含む、生物学研究システム。
【請求項80】
ワークフローが、遺伝子もしくはタンパク質の発現プロファイリング、RNAi解析、またはタンパク質−タンパク質相互作用解析である、請求項79記載の生物学研究システム。
【請求項81】
ワークフローがそれに関連付けられるRFIDタグを有するゲルまたはマイクロアレイを含む、請求項79記載の生物学研究システム。
【請求項82】
研究所情報管理システムの一部である、請求項79記載の生物学研究システム。
【請求項83】
ワークフローにおいて使用される少なくとも2つの器具および/または試薬の間で情報を伝達する工程であって、情報が、ワークフローにおいて使用される器具および/または試薬の少なくとも2つに関連付けられる無線周波数識別子(RFID)タグ、RFIDリーダ、および/またはRFIDライタを使用して伝達される工程を含む、ワークフローにおける生物学研究を実施する方法。
【請求項84】
情報が、ワークフローの少なくとも1つの工程において処理される試料を含む容器に関連付けられるRFIDタグにおいて符号化される、請求項83記載の方法。
【請求項85】
情報が、ワークフローにおいて使用される器具に関連付けられるRFIDリーダによって読み込まれ、器具によって実施されるワークフローの処理工程に影響を及ぼす、請求項83記載の方法。
【請求項86】
標的生体分子、生物学研究用キット、または標的生体分子のワークフローに関連する適合生物学試薬のセットであって、容器が、セットの要素をそれぞれ含み、それぞれが無線周波数識別子(RFID)タグに関連付けられている、セット。
【請求項87】
セットの各要素が、要素を含む容器に関連付けられるRFIDタグにおいて符号化されるセット識別番号を有する、請求項86記載のセット。
【請求項88】
セットの各々に関連する標的生体分子、生物学研究用キット、または標的生体分子のワークフローが、セットの容器全てに関連付けられるRFIDタグに格納される情報に基づいて識別される、適合生物学試薬のセットのコレクション。
【請求項89】
コレクションが2つまたはそれ以上のセットを含み、その各々が異なる標的生体分子に関連する、請求項88記載のコレクション。
【請求項90】
各々の異なる標的生体分子が異なる遺伝子である、請求項89記載のコレクション。
【請求項91】
各々の異なる標的生体分子が異なる遺伝子のオープン・リーディング・フレームである、請求項90記載のコレクション。
【請求項92】
遺伝子が哺乳動物遺伝子である、請求項91記載のコレクション。
【請求項93】
遺伝子がヒト遺伝子である、請求項92記載のコレクション。
【請求項94】
標的生体分子が酵素であり、セットは、酵素がその中で酵素活性を有するバッファを含む、請求項89記載のコレクション。
【請求項95】
2つの生物学試薬容器が適合試薬を含むかどうかを判定する方法であって、以下の工程を含む方法:
2つの生物学試薬容器の各々に関連付けられた無線周波数識別子(RFID)タグ上の試薬識別情報を読み込む工程、および
2つの生物学試薬容器が標的生体分子または標的生体分子のワークフローに関連する試薬を含むかどうかを判断する工程。
【請求項96】
読み込まれる情報が適合試薬識別番号に関する情報である、請求項95記載の方法。
【請求項97】
2つの生物学試薬容器の各々における同一の適合試薬識別番号が、2つの容器が適合試薬を含むことを表す、請求項96記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2008−519285(P2008−519285A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540186(P2007−540186)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/040500
【国際公開番号】WO2006/060125
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(502221282)インヴィトロジェン コーポレーション (113)
【Fターム(参考)】