説明

生物試料包埋ブロックカセットラック及びそれを用いる自動シーリング装置並びにカセット保管管理装置

【課題】薄切り作業工程時に、薄切切片と薄切完了試料包埋ブロックカセットとの対比照合確認を確実に行うと共に、手の指の火傷等をすることなく、短時間で機械的にシーリングできるようにする。前記カセットを順序よく収納ケースに並べて収納すると共に、収納した前記カセットを自動的に管理し、目的のカセット等を簡単に探せるようにする。
【解決手段】複数の生物試料包埋ブロックカセット4を収容する生物試料包埋ブロックカセットラック2であって、長辺外壁2pに設けた仕切板2aにより順次仕切られた、複数のカセット収容室2Rと、該カセット収容室の後部側に設けられたブロック試料自動押出口2bと、該カセット収容室の前部側に設けられたブロック試料挿入口2jと、該長辺外壁に設けられたギヤレール2dと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医師や生命科学者が病気の診断や治療を決める為または生命の研究ために患者や生命体から採取した細胞組織塊試料を薄切染色標本にしたりまたは遺伝子解析の試料にするための、生物試料包埋ブロックカセットラック及びそれを用いる自動シーリング装置並びにカセット保管管理装置、に関するものである。
【0002】
更に述べると、前記カセットに包埋支持されている生物試料(患者の病理組織試料など)を、医療または研究のデータとして役立てる為、または、役立てた後における生物試料包埋ブロックカセットの整理管理システムの中で用いる、該生物試料包埋ブロックカセットを収納保護するカセットラックと、薄切露出した生物試料包埋ブロックカセットの検査データ面を保護する自動シーリング装置と、その薄切染色標本とその元サンプルである生物特定データ(患者データ等)と前記生物試料包埋ブロックカセットのデータリンク(関連)付けたカセット保管管理装置と、に関する発明である。
【背景技術】
【0003】
臨床医または生命科学者によって各患者または生物体から採取された生物試料(病理組織試料)は、カセット(容器)に収納されて病理検査部署に搬送される。該病理検査部署では、病理医または研究者が該生物試料を薬液処理した後、包埋剤を用いてカセット底部外面に包埋固定し、生物試料包埋ブロックカセットを作成する。該カセットの生物試料包埋ブロックは、その生物(時には患者)の形態学的(時には病理学的)情報とその遺伝子・蛋白の情報の固まりであり、極めて重要なものである。
【0004】
この生物試料包埋ブロックカセット4は、薄切されて、その切片はスライドグラスに伸展貼り付けられて、染色スライドグラス標本になり、観察・診断されて、保管管理ケースに整理されて管理されている(例えば、特許文献1、参照)。
【0005】
従来、この生物試料包埋ブロックカセットを用いて病理標本作製作業を行う場合には、(1)生物試料包埋ブロックカセットの薄切作業工程と、(2)薄切が完了した生物試料包埋ブロックカセットのシーリング(露出試料被覆保護)作業と、(3)シールが完了した生物試料包埋ブロックカセットの収納保管作業と、が行われるが、この作業は全て手作業により行われている。
【0006】
即ち、前記(1)の薄切作業工程では、生物試料を包埋してバリの無い生物試料包埋ブロックカセットを、薄切順番に適当なトレーや箱に分けて、各薄切担当者に渡す。そうすると、各薄切担当者は、薄切した試料包埋ブロックカセットを、薄切した切片を浮かした区画の位置に対応した、薄切切片浮かし用水槽の外側位置に順に並べている。
【0007】
また、前記(2)のシーリング(露出試料被覆保護)作業では、薄切が完了した生物試料包埋ブロックカセットの検査薄切面を包埋剤(熔融パラフィン槽)に漬けるか、又は、包埋剤を熔融包埋剤に漬した筆の刷毛で検査薄切面を覆うように塗ってシールしている。
【0008】
前記(3)の生物試料包埋ブロックカセット収納保管作業は、上記(1)(2)の作業同様に手仕事により行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来例には、次のような問題がある。
(1)の生物試料包埋ブロックカセットの薄切作業工程では、前記カセットを水槽の外側位置に順に並べているので、誤って作業着か白衣の袖に引掛け、包埋ブロックカセットの並び順番を崩したり、スライドグラスに切片を掬い貼り付ける時点での薄切切片の取り間違いを起こすことがある。
【0010】
さらに、一般的に生物試料包埋ブロックカセットの薄切後、切片浮かし用水槽の外側に薄切完了した生物試料包埋ブロックカセットを並べると薄切切片との照合確認が困難になることがあるのみならず、水槽の外側に薄切完了した生物試料包埋ブロックカセットを並べると、その試料ブロックカセットの露出した検査薄切面を保護保存するために再度薄切完了した該生物試料包埋ブロックカセットを順番に並べ直してからシールしている。この様に、該生物試料包埋ブロックカセットの移動並べ替えには人手と時間を掛けており、人件費を掛けてまた試料ブロックカセットの紛失の原因にもなっている。
【0011】
(2)の生物試料包埋ブロックカセットのシーリング(露出試料被覆保護)作業工程では、シーリング作業から順番にブロックカセットを並べることも全てが手作業であり、時には、半日以上の人手が掛かったり、カセットの厚さの面からも検査薄切面の浸漬時に手の指を火傷することがある。
【0012】
(3)のシールが完了した生物試料包埋ブロックカセットの収納保管作業では、上記(1)(2)作業同様に手仕事であり、生物試料包埋ブロックカセットを順序よく収納ケースに並べて収納することも、又、収納した包埋ブロックカセットを簡単に探すことも困難である。
【0013】
更に述べると、薄切後の試料ブロックカセットの検査薄切露出面の被覆保護シールをする前の多数試料ブロックを山積みにして置いておくと、そのスペースの無駄と試料ブロックの紛失がおき、また後からのブロック整理には非常な時間を掛けることになる。
【0014】
【特許文献1】特開2002−303568号公報
【0015】
この発明は、上記事情に鑑み、薄切り作業工程時に、薄切切片と薄切完了試料包埋ブロックカセットとの対比確認を確実に行なえるようにすることを目的とする。他の目的は、手の指の火傷等をすることなく、短時間にシーリングできるようにすることである。更に他の目的は、生物試料包埋ブロックカセットを順序よく収納ケースに並べて収納するとともに、収納した包埋ブロックカセットを自動的に管理し、目的のカセット等を簡単に探せるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明は、生物試料包埋ブロックカセットを順次挿入収納でき、そのカセット挿入口に対して該ブロックカセットを押し出すことができる該ブロックカセット押出口を形成し、該生物試料包埋ブロックカセットを順次整理収納することを特徴とする。
【0017】
この発明では、前記カセットラックのブロック試料挿入口とブロック試料自動押出口を形成した対向側壁を立てて設置した場合、その下部底面または出し入れ口の横側には、該カセットラック順次送出用のギヤレールが形成されており、その上面には、前記生物試料包埋ブロックカセットの試料管理番号や患者番号等の試料特性を現すバーコードや二次元データコードや磁気やICチップ等のデータ伝達メディアを読取る為のメディア読取口を形成して、そこからは生物試料包埋ブロックカセットの目視データも確認することもできることを特徴とする。
【0018】
この発明の生物試料包埋ブロックカセットラックが、生物試料包埋ブロックカセット保管収納ケース箱の収納ケースに兼用され、該カセットラック本体の一面にもデータ伝達メディアの設置部を備えていることを特徴とする。この発明の生物試料包埋ブロックカセットラックが、前記生物試料包埋ブロックカセットの薄切機(ミクロトーム)の薄切前の試料包埋ブロックカセットや薄切後の試料包埋ブロックカセットの順次整理収納をすることができることを特徴とする。
【0019】
この発明は、前記生物試料包埋ブロックカセットラックを用いる自動シーリング装置であって、薄切完了の前記生物試料包埋ブロックカセットを順次挿入収納した該カセットラックを、自動シーリングを実行する機械の装着部に装着し、該カセットラックの長辺外壁に成形されたカセットラック順次送出用のギヤレールに嵌合する歯車によって、前記カセットラックに順次収納されている生物試料包埋ブロックカセットの厚さ分を順次、前側又は後側に該カセットラックを自動的に送り出すことを特徴とする。
【0020】
この発明は、生物試料包埋ブロックカセットの厚さ分を、順次前側又は後側に前記カセットラックを送り出した時点ごとに、薄切完了の該生物試料包埋ブロックカセットを自動シールする為の回転体装置の所定の位置に移動固定する為の押出棒が、前記カセットラックのカセット押出口から薄切完了の該生物試料包埋ブロックカセットを押し出し、それと同時にカセット挿入口にはカセット押入棒で該生物試料包埋ブロックカセットを挟み込む様にして、希望する該生物試料ブロックを取り出し、該薄切完了の生物試料包埋ブロックカセットの検査薄切露出面を前記回転体装置の包埋剤塗布面に移動固定し、軽く前記検査薄切露出面を押しつけてシールし、その後、再度該生物試料包埋ブロックカセットをカセット押入棒と押出棒とで挟み込む様にして、前記カセットラックの元の位置に戻すことを特徴とする。
【0021】
この発明は、生物試料包埋ブロックカセットの厚さ分を、順次前側又は後側にカセットラックを送り出した時点ごとや、前記カセット押出棒とカセット押入棒により薄切完了の該生物試料包埋ブロックカセットを挟持する時点等で、該カセットラックの上面のメデア読取口から該生物試料包埋ブロックカセットの試料番号や患者番号等のデータ伝達メディアを読取るデータ読取り機を備えていることを特徴とする。
【0022】
この発明は、薄切完了した生物試料包埋ブロックカセットを包埋剤で自動シールする為の回転体装置の塗布面に平行に接して設けられ、汚れて硬化した包埋剤を削り取る様に該回転体装置の塗布面に接触形成された包埋剤濾過再生フィルター器具を備えていることを特徴とする。
【0023】
この発明は、複数の生物試料包埋ブロックカセットを収容する生物試料包埋ブロックカセットラックであって、長辺外壁に設けた仕切板により順次仕切られた、複数のカセット収容室と、 該カセット収容室の一端に設けられたブロック試料自動押出装置挿入口と、該カセット収容室の他端側に設けられたブロック試料挿入口と、該長辺外壁に設けられた前記ラックの摺動手段と、を備えていることを特徴とする。
【0024】
この発明は、生物試料包埋ブロックカセットラックを用いる自動シーリング装置であって、包埋剤を収容する保温溶融槽と、前記保温溶融槽の上部に設けられ、ラック挿着部を有するラック順次送出装置と、前記カセットラックのカセット収容室内の生物試料包埋カセットを挟持し、該カセット収容室に出し入れするブロック試料自動押出装置と、前記カセット収容室から押し出された生物試料包埋ブロックカセットの薄切検査露出面に、前記包埋剤を塗布する包埋剤塗布装置と、を備えていることを特徴とする。
【0025】
この発明は、生物試料包埋ブロックカセットラックを用いるカセット管理保管装置であって、前記カセットラック内の生物試料包埋ブロックカセットに設けられたブロック試料情報記憶表示部と、該カセットラックに設けられたラック収納ブロック試料管理番号情報記憶表示部と、該カセットラックを収容するブロック試料ラック収納ケースと、該収納ケースに設けられた、収納ケース管理番号情報記憶表示部と、前記各表示部の情報を読み取り、コンピュータ装置に出力するデータ読取り手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
この発明の生物試料包埋ブロックカセットラックは、以上のように構成されているので、薄切り作業工程において、薄切した順番に確実に保管することができるとともに、その薄切り切片を水槽からスライドグラス上に掬い伸展貼り付ける時点にも確実に確認できる。
【0027】
即ち、薄切り作業工程では、それ以前の生物試料の受付エントリーや生物試料の切り出しトリミングから包埋までの作業工程で殆ど順番に並べられてきたものを、わざわざ順番を変える必要はなく、薄切の難しさや特殊染色等の為に既往の生物試料包埋ブロックカセットを再度薄切する時以外には、薄切作業者または薄切機に区切りの良いところで分け、順次そのブロックをケースやトレーに入れて配布する。この時、そのケースやトレーの代わりに前記ブロックカセットラックを使用しても良い。
【0028】
そして、薄切時には、前記ブロックカセットラックを薄切用水槽の外側の所定位置に設置して、薄切完了した生物試料包埋ブロックカセットを順次挿入収納すると、その薄切切片との照合確認が確実にできる。従って、薄切り作業工程において、薄切りした生物試料ブロックカセットとそれから切り離された切片試料は、確実に、同一なものになり、元サンプルである患者を含む生物特性を反映したものとなる。
【0029】
この発明の自動シーリング装置は、以上のように構成されているので、従来例と異なり、火傷等の事故を起こすことなく、短時間で自動的に検査薄切り露出面のシールを行うことができる。
【0030】
この発明の生物試料包埋ブロックカセット保管管理装置は、以上のように構成したので、生物試料包埋ブロックカセットを順序よく収納ケースに並べて収納するとともに、収納した包埋ブロックカセット等をコンピュータ装置により管理し、目的のカセットを簡単に探すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
この発明の第1実施の形態を図1〜図12より説明する。生物試料包埋ブロックカセット処理システムは、生物試料包埋ブロックカセットラック2と、自動シーリング装置10と、カセット保管管理装置30と、を備えている。
【0032】
生物試料包埋ブロックカセットラック1は、図1(A)に示すように、作業者は右手でミクロトームの薄切刀を作動させて左手で薄切切片採取用具(ナメシ)を持って薄切作業をして薄切用水槽5をミクロトームの左手に設置して該薄切用水槽5の右側壁5wに隣接して配設されている。該水槽5には、切片浮かし用水6が充填されており、その内部は複数に区画され、例えば10個の薄切片試料収納室5Rが形成されている。
【0033】
前記ラック2は、図2(A)に示すように、間隔をあけて対向する左右一対の長辺外壁2p、2pと、該両長辺外壁2p、2p間を仕切り、複数のカセット収容室2Rを形成するブロック試料仕切り2aと、前記長辺外壁2pの先端部に設けたプレート固定部2eと、を備えている。プレート固定部2eの機能は最後部にも形成されていて該ラックにプレート固定時には作業者の判断で前後どちらにもプレートを固定することができる。図2(B)は該ラックを最後部側から観た図である。カセット収容室2Rの後端には、ブロック試料自動押出装置挿入口2bが設けられ、その前端には、ブロック試料挿入口2jが設けられている。図2(C)は図2(A)のラックに生物試料包埋ブロックカセット4を収納している図であり、図2(D)は生物試料包埋ブロックカセット4を縦型に収納するタイプの生物試料包埋ブロックカセットラック2を図示している。
【0034】
前記図2(A)の右側の長辺外壁2pには、長手方向に沿って2本の突出型か或いは埋設されたギヤレール2dが配設されているが、図2(B)に示す様に、左側の長辺外壁2pに配設しても良い。このギヤレール2dは、互いに平行に配設され、図3(A)(B)に示すように、その表面には、ギヤ部2d1か或いは埋設型ギヤ部2d2が設けられている。前記プレート固定部2eには、データ伝達メディア(情報記憶表示部)が設けられている。この伝達メディアとして、バーコード、二次元データコード、磁気、ICチップなどのデータ伝達メディア(情報記憶表示部)が用いられるが、ここでは、ラック用バーコード2fとラック収納ブロック試料管理番号記載欄2gが用いられる。
【0035】
自動シーリング装置10は、図5に示すように、包埋剤、例えば、熔融包埋剤の保温熔融槽13と、該熔融槽13内の熔融包埋剤を生物試料包埋ブロックカセット4の検査薄切露出面4aに塗布する包埋剤塗布装置15と、該熔融槽13内に設けられ、固化した包埋剤を除去する包埋剤ゴミ除去濾過装置14と、生物試料包埋ブロックカセットラック2を摺動させ、シール対象の前記カセット4を熔融包埋剤の塗布場所に移動させるラック順次送出装置16と、該カセット4のブロック試料バーコード9c等を読み込むデータ読取り装置、例えば、バーコードリーダ20と、を備えている。
【0036】
熔融包埋剤保温熔融槽13には、包埋剤、例えば、熔融パラフイン12が収容され、所定温度に保温されている。該熔融槽13の近傍には、包埋剤塗布装置15及びラック順次送出装置16を駆動せしめる動力電動部11が設けられている。
【0037】
包埋剤塗布装置15は、図6に示すように、円筒状の塗布面15fを有する回転体15Rと、該回転体15Rを支える塗装装置支え部15eと、回転体15Rの回転軸15aと、を備えている。前記回転体15Rの下端部側は、前記熔融槽13の熔融包埋剤12中に位置している。前記回転軸15aは、図示しないモータ等の回転駆動源に連結されている。
【0038】
ラック順次送出装置16は、カセットラック2の摺動手段、例えば、前記カセットラック2のギヤレール2dのギヤ部2d1に噛み合う駆動歯車(図示省略)と、生物試料包埋ブロックカセット4の出し入れ手段、例えば、該カセット4の前後を挟持して摺動せしめる押出棒17と押入棒18と、を備えている。前記駆動歯車は、モータ等の駆動源に接続され、又、押出棒17と押入棒18は、図示しないシリンダーやステッピングモータなどの駆動源に接続さている。
【0039】
図7〜図10に示すように、前記押出棒17には、カセット4の後端部4Bを押さえる押出支え部17aが設けられ、該押出支え部17aのカセット当接面17nは、断面凹状に形成され、方形状のカセット後端部4Bが固定しやすくなっている。前記押入棒18には、カセット4の先端部4Fを押さえる押入支え部18aが設けられ、該押入支え部18aのカセット当接面18nは、波形状に形成され、断面三角形状のカセット先端部4Fが固定しやすくなっている。
【0040】
前記保温熔融槽13内には、図6に示ように、回転体15Rの塗布面15fに接触形成された濾紙装着及び包埋剤回収先端部14aと包埋剤ゴミ除去濾過装置14が設けられている。
【0041】
生物試料包埋ブロック保管管理装置は、複数のブロック試料ラック収納ケース(保管装置)1とコンピュータ装置21と、を備えている。
ブロック試料ラック収納ケース1は、図11に示すように、生物試料包埋ブロックカセットラック2を出し入れする引出容器であり、このケース1には、複数の生物試料包埋ブロックカセットラック2が収納されている。このケース1の側部には、データ伝達メディア(情報記憶表示部)、例えば、収納ケース用バーコード1aが設けられている。
【0042】
前記カセットラック2の前面のプレート固定部2eには、ラック収納ケース用プレート3が設けられ、このプレート3には、プレート取っ手3bと、データ伝達メディア、例えば、プレート用バーコード3aと、ラック収納ブロック試料管理番号記載欄3cとが、設けられている。このラック収納ブロック試料管理番号記載欄3cには、例えば、試料ブロックカセット4の目視サンプル番号の最初と最後が記載される。
【0043】
前記カセット試料収納ケース1は、順番に積み重ねられてブロック試料倉庫(図示省略)に保管される。該倉庫内の前記ブロック試料収納ケース1の収納ケース用バーコード1a、プレート用バーコード3a、ラック用バーコード2f、ブロック試料用バーコード9c、スライド標本バーコード28a、等はバーコードリーダを介して読み取られ、その情報は、コンピュータ装置21に出力され、記憶される。
【0044】
この第1実施の形態の作動について説明する。
図4に示すように、生物試料包埋ブロックカセット4のカセット基体9の底面外側には、生物試料Tが包埋剤12aにより包埋固定されており、その側面には、データ伝達メディア、例えば、該カセットのサンプル管理番号、患者番号などに関するバーコード9c、が設けられている。
【0045】
日常業務においては、患者試料を含む生物試料包埋ブロックカセット4は、受付エントリー順に切り出しされて作製されてきている。故に、特別な染色や固定前処理で遅れた該生物試料包埋ブロックカセット4以外は、順番に薄切機(ミトロノーム)を用いて薄切される。
【0046】
生物試料包埋ブロックカセット4の薄切作業をするときには、図1(A)に示す如く薄切用水槽5の側壁5w近傍に空の生物試料包埋ブロックカセットラック2を配設する。そして、薄切された薄切片試料7aは、水に軽く漬した切片採取用ケント紙(ナメシ)等の水の表面張力で付けて第1区画5R1に収容され、切片浮かし用水6に浮かされると共に、薄切完了した該ブロックカセット4は、前記カセットラック2のカセット収容室2R1に収納される。
【0047】
このようにして順次薄切されたカセット4の薄切片試料7は、矢印A5L,A5R方向に順に該収容室5Rに収容されるとともに、薄切完了した該カセット4は、順次矢印A2方向に、前記カセットラック2のカセット収容室2Rに収納される。
【0048】
その結果、図1(B)に示す如くに薄切後の薄切片試料7をスライドグラス28上に掬い、伸展貼り付ける作業工程において、薄切片試料7の掬い間違いが無くなり、サンプル名(患者名)28bとブロック番号9eから写されたスライド標本番号28cとブロック試料用バーコードから写されたスライド標本バーコード28a等が正確に照合されたスライドグラス28が準備されて標本作製時での患者標本の取り間違いや医療過誤が無くなる。
【0049】
薄切完了した生物試料ブロックカセット4は、その露出した検査薄切露出面4aに黴が生えたり、傷が付いたりしないようにするために、包埋剤で被覆(シール)カバーされる。このシーリング作業は、自動シーリング装置10を用いて次のようにして行われる。
【0050】
薄切完了した前記生物試料包埋ブロックカセット4を、順次整理収納した方向にして、前記カセットラック2を自動シーリング装置10のラック順次送出装置16の装着部32に装填する。この時、前記カセットラック2の長辺外壁2pは下向きとなっており、ギヤレール2dのギヤ部2d1は、ラック順次送出装置16の底部に設けられている駆動歯車(図示省略)と噛み合っている。
【0051】
前記駆動歯車の回転により、前記カセットラック2は、順次前記カセット4の厚さ分tだけ自動的に前進する。そうすると、図7に示に示すように、押出棒17が摺動して自動押出口2bに挿入され、その押出支え部17aがシール対象のカセット4の後端部に嵌着されるとともに、押入棒18が摺動し押入支え部18aがブロック試料挿入口2jに挿入されて前記カセット4の先端部に当接するので、該該カセット4は両棒17,18により狭持される。
【0052】
この時、図10に示すように、押出支え部17aの当接面17nが、該カセット4の後端部の形状に対応させて断面凹状に形成され、又、押入支え部18aの当接面18nが、該カセット4の先端部の形状に対応させて波形状に形成されているので、該カセット4を確実に狭持することができる。
【0053】
その後、押出棒17及び挿入棒18は、図8に示すように、前記カセット4を挟持した状態で回転体15Rに向かってA19方向に摺動し、図9に示すように、該カセット4の薄切検査露出面4aが回転体15Rの塗布面15fに対向する位置に到達すると、停止する。そして、該検査露出面4aは、回転中の回転体15Rに軽く押しつけれ、熔融包埋剤12が塗布されるので、該露出面4aはシールされる。
【0054】
前記露出面4aのシール後、前記と逆の要領で、該カセット4を狭持している押入棒18と押出棒17を、前記ラック2のカセット収納室に向って摺動させ、該カセット4を元の位置に戻す。その後、前記両棒17,18を互いに反対方向に摺動させ、前記押出支え部17a及び押入支え部18aを該カセット4から離間させる。
【0055】
前記要領で、前記カセットラック2内の全ての生物試料包埋ブロックカセットの検査薄切露出面4aは、順次シールされる。
【0056】
図5、図7、図10に示すように、上記自動シーリング装置10において、生物試料包埋ブロックカセット4の厚さ分tを順次前にカセットラック2を送り出した時点ごとや、薄切完了の該生物試料包埋ブロックカセット4を自動シールする為の回転体15Rの所定の位置に移動固定する為の押出棒17に先端の押出支え部17aがカセットラック2のブロック試料自動押出口2bから薄切完了の該生物試料包埋ブロックカセット4を押出、それと同時にブロック試料挿入口2jにはカセット押入棒18の先の押入支え部18aで該生物試料包埋ブロックカセット4を挟み込む時点等で、該カセットラック2の上面の所定の位置の開口部のブロック試料の試料管理番号や患者番号等の試料特性を現すバーコードや二次元データコードや磁気やICチップ等のデータ伝達メディア9cを読取る為の生物試料包埋ブロックカセットの目視データも確認することもできるメディア読取口16aを形成し、そこからデータ伝達メディア読取り機(バーコードリーダ)により該生物試料包埋ブロックカセット4Aの試料番号や患者番号等のデータ伝達メディア9cを読取り、そのデータをコンピュータ装置40に送出し、記憶させる。
【0057】
なお、自動シーリング装置10において、回転体15Rの塗布面15fに接して汚れて硬化した包埋剤は、濾紙装着及び包埋剤回収先端部14aと包埋剤ゴミ除去濾過装置14により削り取られ再度熔融濾過される。
【0058】
この自動シーリング装置10の一個のカセットラック2内の全ての薄切完了した生物試料包埋ブロックカセット4のシーリングが完了した時点で、完了のブザーを鳴らしたり、複数のカセットラック4を停留させておくスペースを作り、そこから自動的に順次続けてカセットラック4をラック順次押出装置で装着部32に装填し、より多くの生物試料包埋ブロックカセット4の薄切検査露出面4aの被覆シールを実施することもできる。
【0059】
シーリング作業の完了後、該ラック2のプレート固定部2eにラック収納ケース用プレート3を固定するが、これは該ラック2のプレート固定部2eは該ラック2の前後に同様に在りプレート3の固定位置は前後どちらのプレート固定部2eに固定しても良いし、またこのプレート3は省略することもできる。該プレート3を用いる場合には、取っ手3bを持って該ラック2をブロック試料ラック収納ケース1に差し込み収納する。このプレート3に、プレート用バーコード3a、ラック収納ブロック試料管理番号記載欄3cが設けられており、これらのデータ伝達メデイアは、前述のように、データ伝達メディア読取り機を介してコンピュータ装置40に入力され、記憶される。
【0060】
カセットラック2は、生物試料包埋ブロックカセット4の整理保管ケース箱のパーツである引出容器を兼ねており、自動的に被覆シール保護された生物試料ブロックカセット4をそのまま納めたまま、図11に示す様に、生物試料包埋ブロックカセット4の整理保管収納ケースである、ブロック試料ラック収納ケース1に整理収納できる。
【0061】
生物試料包埋ブロックカセット4のバーコード9cと、カセットラック用バーコード2f(プレート用バーコード3aと同一)と、整理保管収納ケース用バーコード1aのデータは、前述のように、リンク(関連付け)してコンピュータ装置40に記憶されている。
【0062】
そのため、どの試料包埋ブロックカセット4がどの整理保管収納ケース(ブロック試料ラック収納ケース)1のどのカセットラック2内に収納保管されているかは、該コンピュータ装置40のモニター21a上に直ぐに反映されてわかる。
【0063】
例えば、コンピュータ装置40のモニター21aにブロック試料保管情報21bを表示させ、キーボード25で所望の施設のブロック試料管理番号22、例えば、ブロック試料管理番号「*・・大学1989−000777」、「***病院2005−003741」を入力すると、図12(B)に示すように、該管理番号の保管ラック場所が点滅、または、変色し、その場所を即座に知らせる。この様に、ブロック試料カセット等を保管管理している倉庫や部屋コーナーとのデータリンクを拡大していけば、試料ブロックカセットの大規模整理保管管理が可能になる。
【0064】
更に述べると、生物試料包埋ブロックカセットは、保存管理条件を良く保つと染色スライドグラス標本より良く保存されて半永久的に残るが、その元サンプルである生物の特定データ(患者データ含む)との完全なデータリンクを保った多量な試料として残すことは、従来、困難であったが、この発明によってそれは克服される。
【0065】
即ち、本件発明の自動シーリング装置10と、その一パーツであるブロック試料・薄切・シール・収納自動管理用ラック2と、その関連ケースであるブロック試料ラック収納ケース1と、をシステムとして用いると、患者データを含む生物特性データとスライド標本情報とその該生物試料包埋ブロックカセット4とを確実に整理保管できる。
【0066】
この発明の実施の形態は、上記に限定されるものではなく、例えば、次の様にしても良い。なお、以下の実施の形態の説明に用いる図面において、前記図1〜図12の図面符号と同一図面符号はその名称も機能も同一である。
【0067】
1:生物試料包埋ブロックカセットラック:
(1-1)図13に示す生物試料包埋ブロックカセットラックは、第1実施の形態の前記ラック(図2)と次の点に於いて相違点する。
(a)長辺外壁2pの他、長辺底壁2nにも2本のギヤレール2dを設けたこと。この実施の形態では、ギヤレール2dとして、長辺外壁2p、又は、長辺底壁2nのいずれかを選択して使用できるので、必要に応じてカセットを横置きに収容した状態、又は、縦置きに収容した状態で搬送することが出来る。
【0068】
(b)ラック試料ブロックカセット落下止めが設けられていること。この落下止めは、上側の落下止め2Hと下側の落下止め2hとからなり、該ラック2に着衣自在に設けられる。この落下止め2H、2hによりラック2内のカセットは、垂直方向及び水平方向の摺動が阻止されるので、生物試料包埋ブロックカセットラックをブロック試料ラック収納ケース1の該生物試料包埋ブロックカセット4の引出収納器具として使用する場合に該カセットが前記ラック2から抜け出ることはない。
【0069】
(1-2)図14に示すブロックカセットラック2は、図14(A)に示すように、生物試料包埋ブロックカセット4が傾斜して収納されていて、またブロック試料収納溝2iを備え、該収納溝2iにカセット4が収納される。
【0070】
2:試料ブロックカセット及びカセットラックの配設方向
(2-1)図15(A)に示すカセットラック2では、その横の長さLは、縦の長さwより長く形成されている。カセット4は、前端部4Fが横向きに収納されている。
(2-2)図15(B)に示すカセットラック2では、その横の長さLは、縦の長さwより短く且つ図15(A)の逆の形状に形成されていて、図15(A)を角度90度回転させた形と一致している。即ち、カセット4は、前端部4Fは、上向きに収納されている。
(2-3)図15(C)に示すカセットラック2は、図15(A)(B)の同一のカセットラック2でリバーシブル状にカセット4を縦にも横にも収納することが出来ることを説明している。
【0071】
3:自動シーリング装置
(3-1)図16に示す包埋剤塗布装置15では、回転体15Rは、長方形状に張設された塗布ベルト15Vであり、4隅に設けられた回転軸15aにより支持されている。この塗布ベルト15Vの内面側には、塗布面押出装置15cが設けられている。
【0072】
この塗布面押出装置15cは、矢印15方向に回転する塗布ベルト15Vを外方に変位させ、その塗布面15fを、前記ラックから押し出された生物試料包埋ブロックカセット4の検査薄切露出面4aに軽く押しつけ、熔融包埋剤12を塗布する。
【0073】
(3-2)図17,図18に示す包埋剤塗布装置15では、回転体はドーナツ状の円板15Dであり、その側面が塗布面15fとなっている。この塗布装置15では、前記側面に設けられた塗布面15fを、前記ラックから押し出された生物試料包埋ブロックカセット4の検査薄切露出面4aに軽く押しつけ、熔融包埋剤12を塗布する。
【0074】
(3-3)図19に示す包埋剤塗布装置15では、円板の回転体15Dの外周面に塗布刷毛15dが立設されている。この塗布刷毛15dは、塗布装置支え部15eの延長線上に、複数立設されているが、該塗布刷毛15dの設置位置、長さ、配設個数等は、必要に応じて適宜選択される。
【0075】
この実施の形態では、該回転体15Dが回転すると、前記塗布刷毛15dは、前記ラックから押し出された生物試料包埋ブロックカセット4の検査薄切露出面4aに撫でるように接触し、熔融包埋剤12を塗布する。
【0076】
(3-4)図20に示す包埋剤塗布装置15では、長方形状に張設された塗布ベルト15Vの外周面に、複数塗布刷毛15dが立設されている。この塗布刷毛15dの設置位置、長さ、配設個数等は、必要に応じて適宜選択される。
【0077】
この実施の形態では、該塗布ベルト15Vが回転すると、前記塗布刷毛15dは、前記ラックから押し出された生物試料包埋ブロックカセット4の検査薄切露出面4aに撫でるように接触し、熔融包埋剤12を塗布する。
【0078】
(3-5)図21(A)に示す包埋剤塗布装置15では、回転体として、上下一対の回転軸15a、15aに張設された、塗布ベルト15vが用いられる。更に、図21(B)に示す包埋剤塗布装置15では、前記図21(A)の塗布ベルト15Vの塗布面15fに、複数塗布刷毛15dが立設されている。
【0079】
(3-6)図22に示す包埋剤塗布装置15では、回転体として、ドーナツ状の円板15Dが用いられ、その側面の塗布面15fには複数の塗布刷毛15dが立設されている。
【0080】
4:カセットのバーコードとバーコードリーダの配置
図23に示すように、自動シーリング装置における生物試料包埋ブロックカセット4は、その両側壁4kを、押出棒17の押出支え部17aと挿入棒18の挿入支え部18aで挟持され、上向きに支持される。このカセット4の前端4Fの傾斜面には、バーコード9cが貼り付けられているので、このバーコード9cは、その上方に位置するバーコードリーダ20により読み取られる。
【0081】
5:縦横共有リバーシブルラックとバーコードリーダ
生物試料包埋ブロックカセットラックとして、図13及び15と図24に示す縦横共有ラック2がある。図24(A)に示すラック2は、縦型として用いられる場合であり、カセット収容室2Rのブロック試料挿入口2jは横向きでその反体側にブロック試料自動押出装置押出口2bがあり、上側がラックブロック試料バーコード読取り側部2Kになっており、そのラックブロック試料バーコード読取り側部2Kの上方には、バーコードリーダ20が設けられている。この実施の形態では、カセットは前端部を上向きに該ラック2に収容され、該前端部に設けられたバーコードは、前記バーコードリーダ20により読み込まれる。
【0082】
図24(B)に示すラック2は、横型として用いられる場合であり、その機能部分はやはりカセット収容室2Rのブロック試料挿入口2jは横向きでその反体側にブロック試料自動押出装置押出口2bがあり、上側がラックブロック試料バーコード読取り側部2Kになっており、そのラックブロック試料バーコード読取り側部2Kのカセット収容室2Rの上方には、バーコードリーダ20が設けられている。この実施の形態では、カセットは側壁部を上向きにして該ラック2に収容され、該側壁部に設けられたバーコードは、前記バーコードリーダ20により読み込まれる。即ち、図24(A)(B)は同一のラックを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本件発明の第1実施の形態を示す斜視図であり、図1(A)は生物試料包埋ブロックカセットラックの使用状態を示す斜視図であり、図1(B)は該生物試料包埋ブロックカセットラックを使用することに因って生物試料包埋ブロックとの正確な照合ができた切片をスライドグラス上に伸展張合わしている平面図である。
【図2】生物試料包埋ブロックカセットラックの斜視図である。図2(A)はその基本型を表し、図2(B)はその前後を反対に置いて使用する場合の斜視図であり、図2(C)は図2(A)に生物試料包埋ブロックカセットを収納した斜視図であり、図2(D)は図2(A)と同様の機能を持った生物試料包埋ブロックカセットを縦に収納するタイプの生物試料包埋ブロックカセットラックの斜視図である。
【図3】図2の要部拡大図である。図3(A)はギヤレールが突設した状態を示す斜視図であり、図3(B)はギヤレールが埋設されている状態を示す斜視図である。
【図4】生物試料包埋ブロックカセットラックの側面図である。
【図5】自動シーリング装置の一部断面正面図である。
【図6】図5の要部斜視図である。
【図7】カセット収容室内のカセットを挟持した状態を示す正面図である。
【図8】挟持されたカセットを包埋剤塗布装置に向かって摺動させる状態を示す平面図である。
【図9】生物試料包埋ブロックカセットの検査薄切露出面がシーリングされている状態を示す平面図である。
【図10】挟持されているカセットのバーコードをバーコードリーダで読み取っている状態を示す側面図である。
【図11】ブロック試料ラック収納ケースを示す斜視図である。
【図12】コンピュータ装置を示す正面図であり、図12(A)は、コンピュータ装置の正面図、図12(B)は、モニタの拡大図を示す正面図である。
【図13】本件発明の他の実施の形態を示す図で、図13(A)はカセットラックの斜視図、図13(B)はラック試料ブロックカセット落下止めを装着した斜面図であり、図13(C)はその落下止めを外したその分解図である。
【図14】本件発明の他の実施の形態を示す図で、図14(A)は、ブロック試料収納溝を示す平断面図、図14(B)は、カセットラックからカセットを引き出し始めた状態を示す斜視図である。
【図15】カセットラックにカセットを収納した状態を示す斜視図で、図15(A)ではカセットを横向きに収納され、図15(B)(C)では、上向きに収納されている。
【図16】本件発明の他の実施の形態を示す図で、自動シールリング装置の一部断面正面図である。
【図17】本件発明の他の実施の形態を示す図で、自動シールリング装置の一部断面正面図である。
【図18】図17の側面図である。
【図19】本件発明の他の実施の形態を示す図で、自動シールリング装置の包埋剤塗布装置の回転体の正面図である。
【図20】本件発明の他の実施の形態を示す図で、自動シールリング装置の包埋剤塗布装置の回転体の正面図である。
【図21】本件発明の他の実施の形態を示す図で、自動シールリング装置の包埋剤塗布装置の回転体の正面図である。図21(A)は基本形態を示す正面図であり、図21(B)の変形を示す正面図である。
【図22】本件発明の他の実施の形態を示す図で、自動シールリング装置の包埋剤塗布装置の回転体の側断面図である。
【図23】本件発明の他の実施の形態を示す図で、カセットの方向とバーコードリーダとの位置関係を示す斜視図である。
【図24】本件発明の他の実施の形態を示す図で、縦横共有リバーシブルラック図24(A)(B)とバーコードリーダとブロック試料自動押出装置押出口とブロック試料挿入口との配置関係を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0084】
1 ブロック試料ラック収納ケース
1a 収納ケース用バーコード
2 生物試料包埋ブロックカセットラック
2b ブロック試料自動押出口
2d ギヤレール
2e プレート固定部
2f ラック用バーコード
2j ブロック試料挿入口
3 ラック収納ケース用プレート
3a プレート用バーコード
4 試料ブロックカセット
4a 検査薄切露出面
9c ブロック試料バーコード
10 自動シーリング装置
12 熔融包埋剤(熔融パラフィン)
15 包埋剤塗布装置
15c 塗布面押出装置
15f 包埋剤塗布面
16 ラック順次送出装置
20 バーコードリーダ
30 カセットラック保管装置
40 コンピュータ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査研究対象である検体包埋した個体部を表面に取り付けたカセットである生物試料包埋ブロックカセットを複数個順次挿入収納でき、そのカセット挿入口に対して該ブロックカセットを押し出すことができる該ブロック試料自動押出口を形成し、該生物試料包埋ブロックカセットを順次整理収納することを特徴とする生物試料包埋ブロックカセットラック。
【請求項2】
前記カセットラックのブロック試料挿入口とブロック試料自動押出口を形成した対向側壁を立てて設置した場合、その下部底面または出し入れ口の横側には、該カセットラック順次送出用のギヤレールが形成されており、その上面には、前記生物試料包埋ブロックカセットの試料管理番号や患者番号等の試料特性を現すバーコードや二次元データコードや磁気やICチップ等のデータ伝達メディアを読取る為のメディア読取口を形成して、そこからは生物試料包埋ブロックカセットの目視データも確認することもできることを特徴とする請求項1記載の生物試料包埋ブロックカセットラック。
【請求項3】
前記生物試料包埋ブロックカセットラックが、生物試料包埋ブロックカセット保管収納ケース箱の収納ケースに兼用され、該カセットラック本体の一面にもデータ伝達メディアの設置部を備えていることを特徴とする請求項1,又は、2記載の生物試料包埋ブロックカセットラック。
【請求項4】
生物試料包埋ブロックカセットラックが、前記生物試料包埋ブロックカセットの薄切機の薄切前の試料包埋ブロックカセットや薄切後の試料包埋ブロックカセットの順次整理収納をすることができることを特徴とする請求項1、2、又は、3記載の生物試料包埋ブロックカセットラック。
【請求項5】
請求項1、2、3、又は4に記載の生物試料包埋ブロックカセットラックを用いる自動シーリング装置であって、薄切完了の前記生物試料包埋ブロックカセットを順次挿入収納した該カセットラックを、自動シーリングを実行する機械の装着部に装着し、該カセットラックの長辺外壁に成形されたカセットラック順次送出用のギヤレールに嵌合する歯車によって、前記カセットラックに順次収納されている生物試料包埋ブロックカセットの厚さ分を順次、前側又は後側に該カセットラックを自動的に送り出すことを特徴とする自動シーリング装置。
【請求項6】
生物試料包埋ブロックカセットの厚さ分を、順次前側又は後側に前記カセットラックを送り出した時点ごとに、薄切完了の該生物試料包埋ブロックカセットを自動シールする為の回転体装置の所定の位置に移動固定する為の押出棒が、前記カセットラックのカセット押出口から薄切完了の該生物試料包埋ブロックカセットを押出し、それと同時にカセット挿入口にはカセット押入棒で該生物試料包埋ブロックカセットを挟み込む様にして、希望する該生物試料包埋ブロックカセットを取り出し、該薄切完了の生物試料包埋ブロックカセットの検査薄切露出面を前記回転体装置の包埋剤塗布面に移動固定し、軽く前記検査薄切露出面を押しつけてシールし、その後、再度該生物試料包埋ブロックカセットをカセット押入棒と押出棒とで挟み込む様にして、前記カセットラックの元の位置に戻すことを特徴とする請求項5記載の自動シーリング装置。
【請求項7】
生物試料包埋ブロックカセットの厚さ分を、順次前側又は後側にカセットラックを送り出した時点ごとや、前記カセット押出棒とカセット押入棒により薄切完了の該生物試料包埋ブロックカセットを挟持する時点等で、該カセットラックの上面のメデア読取口から該生物試料包埋ブロックカセットの試料番号や患者番号等のデータ伝達メディアを読取るデータ読取り機を備えていることを特徴とする請求項5、又は、6記載の自動シーリング装置。
【請求項8】
薄切完了した生物試料包埋ブロックカセットを包埋剤で自動シールする為の回転体装置の塗布面に平行に接して設けられ、汚れて硬化した包埋剤を削り取る様に該回転体装置の塗布面に接触形成された包埋剤濾過再生フィルター器具を備えていることを特徴とする請求項5,6,又は、7記載の自動シーリング装置。
【請求項9】
複数の生物試料包埋ブロックカセットを収容する生物試料包埋ブロックカセットラックであって、
長辺外壁に設けた仕切板により順次仕切られた、複数のカセット収容室と、該カセット収容室の一端に設けられたブロック試料自動押出装置挿入口と、該カセット収容室の他端に設けられたブロック試料挿入口と、該長辺外壁に設けられた前記ラックの摺動手段と、
を備えていることを特徴とする生物試料包埋ブロックカセットラック
【請求項10】
請求項9記載の生物試料包埋ブロックカセットラックを用いる自動シーリング装置であって、
包埋剤を収容する保温熔融槽と、前記保温熔融槽の上部に設けられ、ラック挿着部を有するラック順次送出装置と、前記カセットラックのカセット収容室内の生物試料包埋ブロックカセットを両側から挟持し、該カセット収容室に出し入れさせるブロック試料自動押出装置と、前記カセット収容室から押し出された、前記生物試料包埋ブロックカセットの薄切検査露出面に、前記包埋剤を塗布する包埋剤塗布装置と、
を備えていることを特徴とする自動シーリング装置
【請求項11】
請求項9記載の生物試料包埋ブロックカセットラックを用いるカセット保管管理装置であって、
前記カセットラック内の生物試料包埋ブロックカセットに設けられたブロック試料情報記憶表示部と、該カセットラックに設けられたラック収納ブロック試料管理番号情報記憶表示部と、該カセットラックを収容するブロック試料ラック収納ケースと、該収納ケースに設けられた、収納ケース管理番号情報記憶表示部と、前記各表示部の情報を読み取り、コンピュータ装置に出力するデータ読取り手段と、
を備えていることを特徴とするカセット保管管理装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−147400(P2007−147400A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341154(P2005−341154)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(595017665)
【出願人】(505437859)
【Fターム(参考)】