説明

生物静止性ポリマー

【課題】生物静止性または生物致死性であるポリマー組成物、または表面上での微生物のコロニー増殖を防止するために表面を処理するための方法の提供。
【解決手段】表面(例えば、無生物表面)上での微生物のコロニー増殖を、少なくとも1週間防止するために有効な、方法および組成物であって、ここで、この表面は、ポリビニルアルコールと第四級アンモニウム化合物とを含有する組成物から形成される、乾燥フィルムまたは実質的に乾燥したフィルムで覆われる。このフィルムは、この表面に、ポリビニルアルコールと第四級アンモニウム化合物とを含有する溶液またはエマルジョンをコーティングし、次いで、この溶液またはエマルジョンを、乾燥させるかまたは実質的に乾燥させることによって、インサイチュで形成され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、生物静止性または生物致死性であるポリマー組成物、または表面上での微生物のコロニー増殖を防止するために表面を処理するための方法に関する。この組成物は、フィルムとして形成され得、そしてこのフィルムは、長期間にわたって、微生物の増殖に抵抗する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
本明細書中全体にわたる先行技術のあらゆる議論は、このような先行技術が広く公知であり、そして当該分野における共通の一般的な知識の一部を形成するという承認であると、いかなる方法でもみなされるべきではない。
【0003】
感染は、一人の人から別の人へと、直接の接触によってか、空気伝播感染性粒子の吸入によってか、または感染性流体との接触によって、伝達され得ることが、周知である。感染はまた、一般に、例えば、感染した人、または感染した空気伝播粒子もしくは流体と接触することにより感染した、表面との接触によって、間接的に伝達される。
【0004】
例えば、病院の蛇口は、感染を伝達する可能性により悪名高く、この可能性は、エルボーレバーの蛇口の使用によって、ある程度軽減されている。しかし、病院内の微生物因子(例えば、細菌、胞子、ウイルスおよび真菌)もまた、職員が取り扱う器具、器具滅菌浴、ドアノブ、および他の多くの表面に触ることによって、間接的に伝達され得る。病院の内部と外部との両方での感染は、例を挙げれば、トイレの個室の表面、トイレの水洗ボタン/レバー、トイレのドアノブ、電話の受話器、エレベーターのボタン、家具および建物の表面、書類、ならびに道具(これらは無数の例のうちの少数である)との接触を介して広がる。これらの表面の全ては、代表的に、微生物、カビなどの、かなりの量の、迅速に増殖するコロニーの隠れ場所を与える。
【0005】
このような表面からの感染の危険性は、殺菌剤溶液での規則的な掃除によって、低下する。しかし、このような表面を、有効な殺菌を提供するために充分に頻繁にぬぐうことは、実用的ではない。
【0006】
表面に塗布するための殺菌剤はいずれも、長期間の使用にわたって生物静止性表面を維持するために充分には耐久性がない。殺菌剤を、ゆっくりとした放出のために表面に組み込む試みは、充分には耐久性ではないことが示されたか、または充分には効果的ではないか、または毒性が高すぎるかもしくは費用が高すぎるので、いずれも、商業的に成功していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、先行技術の欠点のうちの少なくとも1つを克服もしくは低減すること、または有用な代用物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の簡単な説明)
第一の局面によれば、本発明は、表面上での微生物のコロニー増殖を少なくとも1週間防止するために有効な方法を提供し、この方法は、この表面を、ポリビニルアルコールと第四級アンモニウム化合物とを含有する組成物から形成された乾燥フィルムまたは実質的に乾燥したフィルムで覆う工程を包含する。本発明の好ましい実施形態は、微生物のコロニー増殖を防止するために、少なくとも1週間有効であり、そしていくつかの場合には、何ヶ月間にもわたって有効である。
【0009】
第二の局面によれば、本発明は、表面上での微生物のコロニー増殖を少なくとも1週間防止するために有効な組成物を提供し、この組成物は、ポリビニルアルコールと第四級アンモニウム化合物との間で形成された複合体を含有する組成物から形成された、乾燥フィルムまたは実質的に乾燥したフィルムを含有する。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
表面上での微生物のコロニー増殖を少なくとも1週間防止するために有効な方法であって、該方法は、該表面を、ポリビニルアルコールと第四級アンモニウム化合物とを含有する組成物から形成される、乾燥フィルムまたは実質的に乾燥したフィルムで覆う工程を包含する、方法。
(項目2)
前記フィルムが、無生物表面上に形成される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記フィルムが、前記表面を、ポリビニルアルコールと第四級アンモニウム化合物とを含有する溶液またはエマルジョンでコーティングし、次いで該溶液またはエマルジョンを乾燥させるかまたは実質的に乾燥させることによって、インサイチュで形成される、項目1または項目2に記載の方法。
(項目4)
前記フィルムが、少なくとも4週間にわたって、該フィルム上での微生物のコロニー増殖を防止するために有効である、項目1〜3のいずれか1項に記載の方法。
(項目5)
前記ポリビニルアルコールが、96モル%より高い加水分解範囲を有する、項目1〜4のいずれか1項に記載の方法。
(項目6)
前記第四級アンモニウム化合物が、前記乾燥フィルム組成物の0.5%w/w〜75%w/wを占める、項目1〜5のいずれか1項に記載の方法。
(項目7)
前記第四級アンモニウム化合物が、アルキルベンザルコニウム化合物である、項目1〜6のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
前記第四級アンモニウム化合物が、n−アルキルジメチルベンジルアンモニウムハロゲン化物である、項目1〜7のいずれか1項に記載の方法。
(項目9)
前記ポリビニルアルコールが、前記第四級化合物と複合体を形成する、項目1〜8のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
前記組成物が、前記第四級化合物と相互作用しない界面活性剤をさらに含有する、項目1〜9のいずれか1項に記載の方法。
(項目11)
前記界面活性剤が、C12〜C18の直鎖アルコールである、項目10に記載の方法。
(項目12)
表面上での微生物のコロニー増殖を少なくとも1週間防止するために有効な組成物であって、該組成物は、ポリビニルアルコールと第四級アンモニウム化合物との間で形成された複合体を含有する組成物から形成された、乾燥フィルムまたは実質的に乾燥したフィルムを含有する、組成物。
(項目13)
前記第四級化合物と相互作用しない界面活性剤をさらに含有する、項目12に記載の組成物。
(項目14)
前記ポリビニルアルコールが、96モル%より大きい平均加水分解度を有する、項目12または項目13に記載の組成物。
(項目15)
前記第四級アンモニウム化合物が、前記乾燥フィルム組成物の0.5%w/w〜75%w/wを占める、項目12〜14のいずれか1項に記載の組成物。
(項目16)
前記第四級アンモニウム化合物が、アルキルベンザルコニウム化合物である、項目12〜15のいずれか1項に記載の組成物。
(項目17)
前記第四級アンモニウム化合物が、n−アルキルジメチルベンジルアンモニウムハロゲン化物である、項目12〜16のいずれか1項に記載の組成物。
(項目18)
前記組成物が、ポリビニルアルコールおよび第四級アンモニウム化合物を、水溶液中または水性エマルジョン中に含有する、項目12〜17のいずれか1項に記載の組成物。
(項目19)
前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤または両性界面活性剤である、項目13〜18のいずれか1項に記載の組成物。
(項目20)
前記界面活性剤が、C12〜C18の直鎖アルコールまたはエトキシ化アルコールを含有する、項目13〜19のいずれか1項に記載の組成物。
(項目21)
実施例のうちのいずれか1つを参照して本明細書中に実質的に記載されるような方法。
(項目22)
実施例のうちのいずれか1つを参照して本明細書中に実質的に記載されるような組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、溶液またはエマルジョンから表面上に覆われ、そして乾燥させられて、乾燥フィルムにされるポリマー材料を提供する。さほど好ましくない実施形態において、このフィルムは、実質的に乾燥しているが、いくらかの水分を保持し得る。好ましくは、このフィルムの表面は、長期間にわたって生物静止性である。
【0011】
生物静止性とは、表面上の微生物コロニー(存在する場合)が、増殖も繁殖もしないことを意味する。「長期間」とは、この文脈において、少なくとも1週間、好ましくは数週間、数ヶ月、そしてより好ましくは、数年の期間を意味する。
【0012】
文脈がそうではないことを明白に要求しない限り、本明細書および特許請求の範囲の全体にわたって、用語「含む」、「含有する」などは、排他的な意味でも限定的な意味でもなく、包括的な意味で解釈されるべきである。すなわち、「含むが限定されない」の意味である。
【0013】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は、フィルムとして塗装されるか、または表面上に噴霧されることによって、無生物表面(例えば、ベンチの上面)にコーティングされる。次いで、この組成物は、無生物表面から拭い去られ得、そして以下のように働く:(a)この組成物が塗布された表面を殺菌する、(b)この表面を掃除する、および(c)少なくとも1週間、そして好ましくは何週間にもわたって生物静止性である、残った透明残留フィルムを残す。この組成物は、拭い去られる必要はなく、そして例えば、空調機の送風管内部の場合には、噴霧された組成物は、単に、乾燥させられ得る。他の好ましい実施形態において、物品は、ナイフコーティングもしくはカレンダリングによって(例えば、シート材料上に)コーティングされ得るか、あるいはポリマーの溶液もしくはエマルジョンを噴霧されるかまたはこの溶液もしくはエマルジョンに浸漬され、そしてこのフィルムを乾燥させられ得るか、またはこのフィルムの乾燥を可能にされ得る。本発明の好ましい実施形態において、第四級アンモニウム化合物は、乾燥組成物の0.5%w/w〜75%w/wの範囲で存在する。
【0014】
本発明者らは、ポリビニルアルコールと、0.5%w/w〜75%w/wの第四級アンモニウム生物致死性剤との組み合わせが、生物静止性である(すなわち、その上で微生物が増殖しない)組成物を生じることを見出した。
【0015】
この組成物は、表面を覆うためのフィルムを形成するために使用され得、そしてこのフィルムは、生物静止性であり、そして長期間にわたって、生物静止性のままである。上記組み合わせ物は、必要に応じて、接着促進剤、ビヒクル、顔料などを含有し得る。
【0016】
望ましくは、フィルム形成組成物は、1種以上の界面活性剤を含有し、これらの界面活性剤は、第四級アンモニウムを不活性化しないように選択され、そしてこれらの界面活性剤の低い表面張力に起因して、下にある無生物表面の、あらゆる傷または亀裂の内部への完全な濡れを確実にする。好ましい界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、または両性界面活性剤から選択される。従来の処方の知識は、界面活性剤と第四級アンモニウム化合物との組み合わせが、この第四級化合物を不活性化させ、そして/または粘着性の表面になるまで乾燥させ、この粘着性の表面が、塵および他のタンパク質性残留物を引きつけ、これが、第四級アンモニウム生物致死性剤を不活性化させる傾向を有することを教示する。
【0017】
本発明者らは、ポリビニルアルコールと第四級化合物との間で、有効なレベルの第四級化合物適合性界面活性剤の存在下で粘着性ではない複合体が形成されることを見出した。複合体形成の証拠は、OH基の赤外スペクトルのピークの、純粋なポリビニルアルコールの3296cm−1から、第四級アンモニウム生物致死性剤との混合物中の3346cm−1へのかなりのシフトに見られる。このシフトは、かなり高いレベルの水素結合を示す。
【0018】
好ましい実施形態において、上記組み合わせ物は、水溶液として調製され、この水溶液は、透明は硬質フィルムになるまで乾燥され、このフィルム上で、微生物は、増殖しない。この溶液は、ワイピング、ブラッシング、噴霧、浸漬によって、無生物表面上に塗布され得、そして乾燥させられるか、または乾燥を可能にされる。本発明による組成物は、例えば、ドアノブ、蛇口のハンドル、便座、電話の受話器、空調機の送風管、ベンチの上面などの上で、フィルムとして形成され得る。
【0019】
用語「ポリビニルアルコール」は、本明細書中で使用される場合、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル)の加水分解(けん化)によって作製される、全ての樹脂を包含する。この樹脂の特性は、親ポリビニルエステルの重合度、および加水分解の程度(けん化度)に従って、変動する。ポリ酢酸ビニルから調製されるポリビニルアルコールの場合、ポリビニルアルコールの構造は、
−CHCHOH(CHCHOH)
によって表され得る。この式において、「1+m」は、重合度である。部分的加水分解の際に、残留するCHCOO−基の比例する量は、この鎖に沿って、OHの代わりに分布する。百分率として表現されるこのようなアセテート基の量は、アセテート含有量である。従って、70%アセテート含有量のポリビニルアルコールにおいて、元のポリ酢酸ビニルのアセテート基のうちの30%は、ヒドロキシル基に加水分解されており、そして70%が、アセテート基として残っている。このことは、70%アセテート含有量または30%アルコールと称され得る。90%より高いアルコール(10%未満のアセテート)を有する等級において、ポリビニルアルコールは、熱水(90℃より高温)中のみに易溶性である傾向があるが、この水溶性もまた、重合度とともにある程度変動する。
【0020】
用語「ポリビニルアルコール」は、本明細書中で使用される場合、全ての適切な等級、けん化度および重合度のものを包含する。
【0021】
ポリビニルアルコールはまた、酢酸エステル以外のポリビニルエステルを加水分解することによって作製され得、そして同じ原理が、このように形成される、本発明において同様に使用され得るポリビニルアルコールに適用される。しかし、本発明の好ましい実施形態は、96モル%加水分解より大きい加水分解の平均加水分解度を有するポリビニルアルコールを利用する。なぜなら、このような組成物は、これらの組成物が塗布された表面からの、冷水または温水による除去に対して、より耐性が高く、そして人が接触することによって、処理された表面から皮膚へと除去される可能性が低いからである。
【0022】
(本発明において使用するための第四級アンモニウム化合物)
本発明は、非常に好ましい第四級生物致死性剤として、n−アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド(ベンザルコニウムクロリドとしてもまた公知)を参照することにより、例示される。アルキルベンジル第四級生物致死性化合物が、好ましい。しかし、他の生物致死性第四級アンモニウム抗菌化合物が、本発明において使用され得ることを、当業者は認識する。
【0023】
生物致死性の第四級アンモニウム抗菌化合物は、以下の一般式:
【0024】
【化1】

を有する群から選択されることが、好ましい。この式において、R’、R”、R’’’、およびR””は、同じであっても異なっていてもよいアルキル基であり、このアルキル基は、置換されていても非置換であってもよく、分枝であっても非分枝であってもよく、そして環式であっても非環式であってもよい。Xは、任意のアニオンであるが、好ましくは、ハロゲンであり、より好ましくは、塩素または臭素である。
【0025】
非常に好ましい抗菌化合物は、モノ長鎖,トリ短鎖のテトラアルキルアンモニウム化合物、ジ長鎖,ジ短鎖のテトラアルキルアンモニウム化合物、およびこれらの混合物である。「長」鎖とは、約C6〜C30のアルキルを意味し、そして「短」鎖とは、C1〜C5のアルキル、好ましくは、C1〜C3のアルキル、またはベンジル、またはC1〜C3のアルキルベンジルを意味する。例としては、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB))、モノアルキルジメチルベンジル化合物、またはジアルキルベンジル化合物が挙げられる。クロロヘキサジングルコネートなどの第四級生物致死性剤が、使用され得る。
【0026】
本発明において使用するために最も好ましい化合物は、少なくとも1つのベンジル基を有し、このベンジル基は、置換ベンジルであり得る。例としては、C8〜C22ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、C8〜C22ジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリド、およびジ−C6〜C20アルキルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0027】
この第四級アンモニウム化合物は、(グラム陽性およびグラム陰性の)広いスペクトルの抗菌特性のために、組み込まれる。
【0028】
この第四級アンモニウム化合物は、乾燥フィルム組成物の0.5%w/w〜75%w/wを占め得るが、乾燥したフィルム組成物の2%w/wより多くを使用することが好ましい。
【0029】
望ましくは、この組成物は、1種以上の界面活性剤を含有し、この界面活性剤は、第四級アンモニウム化合物と適合性であえる(すなわち、この第四級アンモニウム化合物を不活性化させない)。非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両性界面活性剤から選択される界面活性剤が好ましく、例えば、C12〜C18の直鎖アルコールまたはエトキシ化アルコールまたはコカミンオキシドなどの非イオン性界面活性剤が、好ましい。しかし、他の例としては、分枝エトキシ化界面活性剤および芳香族エトキシ化界面活性剤が挙げられる。適切なカチオン性界面活性剤の例は、ポリエチレングリコール−2−コカミンであり、そして適切な両性界面活性剤の例は、ココ−ベタインである。
【実施例】
【0030】
(本発明の実施例)
(実施例1:本発明による組成物の製造)
表1に示される組成を有する組成物を製造した。以下の手順を使用した:
・必要とされる量の約4分の1の水(約724Kg)を、水ジャケット付きの、きれいな滅菌した混合タンクに入れた。
・ミキサーを開始させた。ポリビニルアルコールをゆっくりと添加した。
・攪拌の間、温度を80℃〜90℃まで上昇させた。
・この温度でポリビニルアルコールが溶解するまで、混合をさらに1時間続けた。
・次いで、タンクを冷却し、同時に残りの水と混合した。
・この溶液を40℃未満まで冷却し、そしてTeric LA8を添加した。
・この組み合わせ物を5分間混合し、次いで、第四級化合物(Baarquat MB−80)を添加した。この組み合わせ物をさらに10分間攪拌し、pHを7.0に調整し、そして必要に応じて、補給水を添加した。
【0031】
【表1】

ポリビニルアルコールは、80%〜95%、より通常には約87.5%のけん化度、および3.0〜3.7MPa.s(cp)の粘度を有する。
【0032】
本発明による組成物を、金属(アルミニウム)表面上に、ナイフコーターを使用して広げ、そして乾燥させて、透明なフィルムを形成させた。この乾燥フィルムに、Pseudomonas Originosa ATCC 15442(6.1log濃度)を接種した。1時間後、その集団は、1log未満まで減少したことがわかった。24時間後、その集団は、0まで減少した。7日後、その集団は、0であった。30日後、表面上の微生物集団は、依然として0であった。これらの試験は進行しており、そして本発明者らは、これらの表面が、非常に長期間にわたって微生物静止特性を維持すると確信している。
【0033】
Aspergillus Niger ATCC16404を使用して達成された結果は、同等であるかまたはより良好であり、細菌と真菌との両方によるコロニー形成に対する抵抗を示した。
【0034】
同じ結果が、ポリビニルアルコールおよび第四級化合物のみを0.5%〜75%までの比で含有するフィルムをキャスティングすることによって、達成された。
【0035】
以下の実施例2および実施例3による組成物もまた、上記方法を使用して作製し、そして類似の結果を得た。
【0036】
(実施例2)
水 95.6.0%w/w
ポリビニルアルコール 1.2%w/w
(低分子量:%加水分解96.5%〜99.0%)
エトキシ化C12〜C18直鎖アルコール 0.2%w/w
ベンザルコニウムクロリド 3.0%w/w
NaOHまたはHClを用いてpHを7.0まで調整
水 100%になるために充分な量。
【0037】
(実施例3)
水 96.0%w/w
ポリビニルアルコール 1.5%w/w
(低分子量:%加水分解96.5%〜99.0%)
エトキシ化C12〜C18直鎖アルコール 0.2%w/w
ベンザルコニウムクロリド 1.2%w/w
NaOHまたはHClを用いてpHを7.0まで調整
水 100%になるために充分な量。
【0038】
実施例1、実施例2、および実施例3に従って組成物から作製されたフィルムは、全て、AOAC 955.17の方法に従って、1日後、7日後、および30日後に、微生物のコロニー増殖の防止のために有効であるとみなされた。
【0039】
(実施例4)
水 77.5%w/w
ポリビニルアルコール 8.0%w/w
(低分子量:%加水分解96.5%〜99.0%)
TericBL8 1.0%w/w
ベンザルコニウムクロリド 8.0%w/w
フェノキシエタノール 1.0%w/w
EDTA 4Na 0.5%w/w
水 100%になるために充分な量。
【0040】
実施例4に従って組成物から作製された、無生物表面上に塗装された乾燥フィルムの生物静止特性を、ASTM E2180−01に従って、乾燥直後(t=0)、7日後、および30日後に試験し、以下の結果を得た:
【0041】
【表2】

本発明による組成物は、表面上にコーティングされ得、そして広範な表面上(紙、布、プラスチック、金属、ガラス、およびセラミックが挙げられるが、これらに限定されない)で有効である。これらの材料は、物品(例えば、紙コップまたは食品容器)上、あるいは他の表面上にコーティングされ得る。
【0042】
当業者は、本発明において使用するための、ポリビニルアルコールおよび第四級アンモニウム化合物の組み合わせを、本明細書の教示に基づいて選択し得、そして意図される最終製品の用途に従って、適切な比を選択し得る。本発明は、組み合わせ、適切な溶媒中での組み合わせ物の溶液、および溶媒ありもしくはなしでこの組み合わせ物から形成されるフィルムを包含するような範囲に及ぶ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【公開番号】特開2012−153735(P2012−153735A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−117827(P2012−117827)
【出願日】平成24年5月23日(2012.5.23)
【分割の表示】特願2007−552468(P2007−552468)の分割
【原出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(507257057)ノバファーム リサーチ (オーストラリア) ピーティーワイ リミテッド (5)
【Fターム(参考)】