説明

生理活性物質リソクリバディン1及びリソクリバディン2並びにその用途

【課題】臨床現場では、これまでの抗癌剤では満足すべきものがなく、多剤耐性癌にも効果を有する新しい抗癌剤が求められている。又、抗菌剤、抗カビ剤についても新たな抗菌剤、抗カビ剤が希求されている。
【解決手段】下記式(I)


で表される生理活性物質リソクリバディン1、若しくは下記式(II)


で表される生理活性物質リソクリバディン2、又はそれらの薬理学上許容される塩を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は海洋生物から得られるリソクリバディン1若しくはリソクリバディン2又はそれらの薬理学上許容される塩とその用途、特に抗菌剤、抗カビ剤、細胞増殖阻害剤、抗癌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、抗癌剤としてはアドリアマイシン、シスプラチン、タキソール、ビンクリスチン等が知られているが、これら抗癌剤に対して耐性を示す多剤耐性癌も多く認められており治療上の問題となっている。
一方、非特許文献1には海洋生物等より得られた環状含硫芳香族アルカロイド化合物が記載され、プロテインキナーゼC阻害作用、抗菌・抗カビ作用を有することが示されている。又、非特許文献2にはLissoclinotoxin類のヒト乳癌細胞MDA−MB−468に対する増殖抑制効果が記載されている。
【0003】
【非特許文献1】Reinaldo S.Compagnoneら、"Pentathiepins and trithianes from two Lissoclinum species and a Eudistoma sp.:inhibitors of protein kinase C"、Tetrahedron、50、(45)、12785−12792(1994)
【非特許文献2】Rohan A.Davisら、"Lissoclinotoxins E and F, novel cytotoxic alkaloids from a Philippine didemnid ascidian"、Tetrahedron、59、(16)、2855−2859(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようにこれまでの抗癌剤では臨床現場で満足すべきものはなく、多剤耐性癌にも効果を有する新しい抗癌剤が求められている。又、治療に用いるための抗菌剤、抗カビ剤もいくつか知られているが、臨床家からは新たな抗菌剤、抗カビ剤が希求されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するため海洋生物について種々検索した結果、海洋原索動物の一種であるホヤが産生する生理活性物質リソクリバディン1、リソクリバディン2を見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は以下の(1)〜(8)に関する。
(1)下記式(I)
【化1】

で表される生理活性物質リソクリバディン1、若しくは下記式(II)
【化2】

で表される生理活性物質リソクリバディン2、又はそれらの薬理学上許容される塩。
【0007】
(2)下記の理化学的性質をもつ生理活性物質リソクリバディン1若しくはリソクリバディン2又はそれらの薬理学上許容される塩。
a)リソクリバディン1
1)分子式:C3957
2)分子量:887(高分解能FAB−MS法により測定した(M+H)=888.2347)
3)水素核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDOD)
δ(ppm) 4.01(m、1H)、3.99(s、3H)、3.92(m、1H)、3.88(s、3H)、3.85(m、1H)、3.80(m、1H)、3.71(m、1H)、3.70(s、3H)、3.68(m、1H)、3.67(s、3H)、3.36(m、1H)、3.34(s、3H)、3.32(m、1H)、3.27(m、1H)、3.25(m、1H)、3.23(m、1H)、3.15(s、3H)、3.06(brs、12H)、3.00(m、1H)、2.96(brs、6H)、2.53(s、3H)、2.46(s、3H)、2.44(s、3H)
4)炭素核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDOD)
δ(ppm) 159.0、158.8、158.2、156.9、153.6、153.5、142.3、142.2、141.2、140.3、140.3、137.9、136.9、135.1、135.0、134.9、134.4、133.6、62.3、61.1、60.8、60.8、60.5、60.4、58.3、58.3、58.2、43.4、43.4、43.4、31.3、30.7、30.6、19.3、19.1、19.1
b)リソクリバディン2
1)分子式:C2638
2)分子量:602(高分解能FAB−MS法により測定した(M+H)=603.1531)
3)水素核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDOD)
δ(ppm) 3.94(s、3H)、3.93(s、3H)、3.88(s、3H)、3.87(m、2H)、3.82(s、3H)、3.66(m、2H)、3.34(m、2H)、3.24(m、2H)、3.08(s、6H)、3.03(s、6H)、2.49(s、3H)、2.45(s、3H)
4)炭素核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDOD)
δ(ppm) 157.8、156.1、155.7、151.2、140.9、139.0、136.9、135.8、134.1、133.5、133.5、127.3、62.4、61.2、61.2、61.1、57.9、57.7、43.6、43.6、29.7、29.3、19.3、19.1
【0008】
(3)上記(1)又は(2)に記載の、生理活性物質リソクリバディン1若しくはリソクリバディン2又はそれらの薬理学上許容される塩を有効成分とする医薬。
(4)上記(1)又は(2)に記載の、生理活性物質リソクリバディン1若しくはリソクリバディン2又はそれらの薬理学上許容される塩を有効成分とする抗菌剤。
(5)上記(1)又は(2)に記載の、生理活性物質リソクリバディン1若しくはリソクリバディン2又はそれらの薬理学上許容される塩を有効成分とする抗カビ剤。
【0009】
(6)上記(1)又は(2)に記載の、生理活性物質リソクリバディン1若しくはリソクリバディン2又はそれらの薬理学上許容される塩を有効成分とする細胞増殖阻害剤。
(7)上記(1)又は(2)に記載の、生理活性物質リソクリバディン1若しくはリソクリバディン2又はそれらの薬理学上許容される塩を有効成分とする抗癌剤。
(8)上記(1)又は(2)に記載の生理活性物質リソクリバディン1若しくはリソクリバディン2を生産する能力を有する海洋生物より、生理活性物質リソクリバディン1若しくはリソクリバディン2を採取することを特徴とする生理活性物質リソクリバディン1若しくはリソクリバディン2の製造法。
【発明の効果】
【0010】
本発明のリソクリバディン1若しくはリソクリバディン2又はそれらの薬理学上許容される塩は、細胞増殖抑制作用を示し、抗菌剤、抗カビ剤、抗癌剤、特に多剤耐性能を示す癌に対する化学療法剤等として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のリソクリバディン1は上記の物理化学的性質を有し、上記式(I)の構造式を、リソクリバディン2は上記の物理化学的性質を有し、上記式(II)の構造式を有する。
【0012】
本発明の生理活性物質リソクリバディン1又はリソクリバディン2は、生理活性物質リソクリバディン1、リソクリバディン2を生産する海洋動物より採取することが可能である。生理活性物質リソクリバディン1及びリソクリバディン2を生産する海洋動物としては、主に熱帯及び亜熱帯(例えば、インドネシアや沖縄等)に棲息する海洋原索動物の一種であるホヤ、特にLissoclinum cf. badiumが挙げられる。
【0013】
生理活性物質リソクリバディン1、リソクリバディン2は、通常行なわれる物質の採取に用いられる方法により精製・単離される。例えば、ホヤをそのままあるいは小さく切り、メタノール、エタノール又はプロパノール等の水混和性有機溶媒で抽出し、濃縮後に含水メタノール等の含水有機溶媒等を用いて溶液とし、必要であれば脱脂処理を行い、次いで、水飽和1−ブタノール等の有機溶媒で抽出する。濃縮して得られる残渣を、吸着クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等を適宜組み合わせ、あるいは必要に応じてそれらを繰り返すことによってリソクリバディン1、リソクリバディン2を単離することができる。
【0014】
本発明において薬理学上許容される塩とは、通常取り得る塩であれば特に限定されないが、例えば、鉱酸や有機酸との塩、即ち、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等が好ましい。
【0015】
本発明には上記のリソクリバディン1若しくはリソクリバディン2又はそれらの薬理学上許容される塩を有効成分とする医薬も含まれる。
医薬品として使用する場合の製剤化及び投与方法は従来公知の種々の方法が適用できる。即ち、投与方法としては、例えば、注射、経口又は直腸投与等が可能である。製剤形態としては、例えば、注射剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、坐剤又はカプセル剤等の形態を取り得る。
【0016】
製剤化の際にはリソクリバディン1若しくはリソクリバディン2又はそれらの薬理学上許容される塩に悪影響を与えない限り、医薬製剤に用いられる種々の医薬用添加剤、即ち、担体やその他の助剤、例えば、安定剤、防腐剤、無痛化剤、乳化剤等を使用してもよい。製剤において、リソクリバディン1若しくはリソクリバディン2又はそれらの薬理学上許容される塩の含量は、製剤形態等により広範囲に変えることが可能であり、一般には0.01〜100重量%、好ましくは0.1〜70重量%程度である。
【0017】
リソクリバディン1若しくはリソクリバディン2又はそれらの薬理学上許容される塩を有効成分とする医薬品は、好ましくは抗菌剤、抗カビ剤、細胞増殖阻害剤あるいは抗癌剤として使用される。
【0018】
抗癌剤として使用する場合、例えば、胃癌、肺癌、大腸癌、膵臓癌、肝癌、卵巣癌、乳癌、前立腺癌、脳腫瘍、白血病等の治療に有用である。
【0019】
リソクリバディン1若しくはリソクリバディン2又はそれらの薬理学上許容される塩の投与量は適応症、病状、投与方法等により異なるが、成人1人1日あたり0.01〜800mg程度である。
【0020】
試験例
以下にリソクリバディン1及びリソクリバディン2の生理活性について述べる。
【0021】
[細胞増殖抑制作用]
実験1
10%牛胎児血清(Tissue Culture Biologicals社製)を添加したRPMI1640培地(イワキ社製)を用いて、ヒト乳癌細胞MDA−MB−231又はヒト肺癌細胞NCI−H460を37℃、5%CO下で培養した。これらの細胞を96穴プレートへ播種し、1日間培養した後、リソクリバディン2を添加した。又対照としてシスプラチンを添加した。更に3日間培養した後、細胞をメタノールで固定し、メチレンブルー色素を用いて染色した。染色後色素を0.3%塩酸水にて抽出し、660nmの吸光度を測定した。
増殖阻害活性(IC50値)は、化合物を添加しない細胞の吸光度に対する化合物添加群の吸光度の減少率を用いて用量−反応曲線から求め、その値を表1に示した。
【0022】
結果
[表1]
リソクリバディン2及びシスプラチンの細胞増殖抑制作用
IC50(μM)
化合物 MDA−MB−231 NCI−H460
リソクリバディン2 0.159 0.287
シスプラチン 10.1 0.436
以上の結果から明らかな様に、リソクリバディン2は哺乳動物の癌細胞に対し強い細胞増殖抑制作用を示した。
【0023】
実験2
10%牛胎児血清(Tissue Culture Biologicals社製)を添加したRPMI1640培地(イワキ社製)を用いて、ヒト乳癌細胞T−47D又はMDA−MB−231、ヒト肺癌細胞NCI−H460、ヒト前立腺癌細胞PC−3、ヒト腎癌細胞ACHN及びUO31、ヒト大腸癌細胞DLD−1又はHCT−116、ヒト黒色腫細胞MALME−3Mを37℃、5%CO下で培養した。これらの細胞を96穴プレートへ播種し、1日間培養した後、リソクリバディン2又は対照としてのアドリアマイシンを添加した。更に3日間培養した後、細胞をメタノールで固定し、メチレンブルー色素を用いて染色した。染色後色素を0.3%塩酸水にて抽出し、660nmの吸光度を測定した。
10%牛胎児血清を添加したRPMI1640培地を用いて、マウスリンパ性白血病細胞P388又はそのアドリアマイシン耐性株P388/ADRを、37℃、5%CO下で培養した。この細胞を96穴プレートへ播種し、1日間培養した後、リソクリバディン2又は対象としてのアドリアマイシンを添加した。更に2日間培養した後、WST−1 0.16mg/mL及び1−methoxy−5−methyl phenazinium methylsulfate 3.3μg/mLを培養液に加え、4時間培養した。450nmの吸光度から660nmの吸光度を減じた値を以下における吸光度として使用した。
増殖阻害活性(IC50値)は、化合物を添加しない細胞の吸光度に対する化合物添加群の吸光度の減少率を用いて用量−反応曲線から求め、その値を表2に示した。
【0024】
結果
[表2]
リソクリバディン2及びアドリアマイシンの細胞増殖抑制作用
細胞名 IC50(μM)
リソクリバディン2 アドリアマイシン
T−47D 0.569 0.0380
MDA−MB−231 0.203 0.134
NCI−H460 0.270 0.00714
PC−3 0.642 0.326
ACHN 0.242 0.0754
UO−31 0.584 0.424
DLD−1 0.102 0.132
HCT−116 0.139 0.0706
MALME−3M 0.769 0.230
P388 2.19 0.0259
P388/ADR 4.67 6.74
以上の結果から明らかな様に、リソクリバディン2は哺乳動物の癌細胞に対してアドリアマイシンと同等の細胞増殖抑制作用を有し、更に、多剤耐性癌細胞(P388/ADR)に対して感受性細胞(P388)とほぼ同程度の細胞増殖阻害作用を示した。即ち、通常の抗癌剤では効果が大きく減じる多剤耐性癌細胞にもリソクリバディン2は感受性細胞と同じく細胞増殖阻害作用を示した。
【0025】
[抗菌作用]
リソクリバディン1又はリソクリバディン2の溶液を、直径8mmのペーパーディスクに、1ディスクあたり50μg、20μg、5μgとなるように添加して乾燥させたのち、海洋バクテリアRuegeria atlantica TUF−D若しくは糸状菌Mucor hiemalis IMS 6088を含む寒天培地に乗せ、25℃で24時間培養した。
生じた増殖阻止円の直径(mm)を測定し、その値を表3に示した。
【0026】
結果
[表3]

以上の結果から明らかな様に、リソクリバディン1又はリソクリバディン2は海洋バクテリアに対する抗菌活性を有し、リソクリバディン2は糸状菌に対する抗カビ活性を示した。
【実施例】
【0027】
以下に本発明の実施例を示すが、これは単なる一例示であって本発明を限定するものではなく、種々の変法が可能である。HPLCは高分解能液体クロマトグラフィーである。
リソクリバディン1、リソクリバディン2の単離
沖縄県の西表島近海の海面下15〜20mに棲息するホヤ(Lissoclinum cf. badium)を約200g採集して小さく切り、採取してから30分以内に約300mLのエタノールを加え、時々振りまぜながら20〜24時間抽出した。デカンテーションで抽出液を回収し、残ったホヤに200mLの新しいエタノールを加えて2回目の抽出を行った。更に同様の操作を行って、全ての抽出液を合わせ、ロータリーエバポレーターでエタノールを除去した。残った懸濁液に、200mLのメタノール−水(9:1)の混合溶媒を加えて均一な溶液とし、100mLのヘキサンで3回洗浄した。メタノール−水の層に水100mLを加え、水を飽和した1−ブタノール150mLで3回抽出した。ブタノール抽出液をロータリーエバポレーターで濃縮し2.3gの粘稠な抽出物を得た。
【0028】
これをODSカラム(50g、センシュー科学社製ODS―SS―1020T)に供し、水―メタノールの混合溶媒系で、メタノール含量を順次増やすグラジエント溶出を行って13のフラクションに分離した。リソクリバディン1及びリソクリバディン2を含む4番目のフラクションの溶媒を溜去し、その残渣50mgを、シリカゲルカラム(関東科学社製60N(63〜210μm)、クロロホルム:メタノール:アンモニア水=20:1:0.05、10:1:0.1、80:20:1、70:30:5の4段階にて順次溶出)で分離した。リソクリバディン1を含むフラクションを、HPLC(センシュー科学社製ODSカラム(PEGASIL ODS、10mmx25cm、0.1%トリフルオロ酢酸を含む70%メタノール−水で溶出、UV 254nm検出)で精製して5.4mgのリソクリバディン1を得た。同様にリソクリバディン2を含むフラクションを、HPLC(センシュー科学社製ODSカラム(PEGASIL ODS、10mmx25cm、0.1%トリフルオロ酢酸を含む65%メタノール−水で溶出、UV 254nm検出)で精製して9.3mgのリソクリバディン2を得た。化合物の純度は薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム:メタノール=9:1)とHPLC(ODSカラム、溶出溶媒;0.1%トリフルオロ酢酸を含む65%メタノール−水)を用いて確認した。
リソクリバディン1及びリソクリバディン2の理化学的性質は前記に示した通りである。なお、核磁気共鳴スペクトルの内部標準はTMS(テトラメチルシラン)を用いた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)
【化1】

で表される生理活性物質リソクリバディン1、若しくは下記式(II)
【化2】

で表される生理活性物質リソクリバディン2、又はそれらの薬理学上許容される塩。
【請求項2】
下記の理化学的性質をもつ生理活性物質リソクリバディン1若しくはリソクリバディン2又はそれらの薬理学上許容される塩。
a)リソクリバディン1
1)分子式:C3957
2)分子量:887(高分解能FAB−MS法により測定した(M+H)=888.2347)
3)水素核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDOD)
δ(ppm) 4.01(m、1H)、3.99(s、3H)、3.92(m、1H)、3.88(s、3H)、3.85(m、1H)、3.80(m、1H)、3.71(m、1H)、3.70(s、3H)、3.68(m、1H)、3.67(s、3H)、3.36(m、1H)、3.34(s、3H)、3.32(m、1H)、3.27(m、1H)、3.25(m、1H)、3.23(m、1H)、3.15(s、3H)、3.06(brs、12H)、3.00(m、1H)、2.96(brs、6H)、2.53(s、3H)、2.46(s、3H)、2.44(s、3H)
4)炭素核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDOD)
δ(ppm) 159.0、158.8、158.2、156.9、153.6、153.5、142.3、142.2、141.2、140.3、140.3、137.9、136.9、135.1、135.0、134.9、134.4、133.6、62.3、61.1、60.8、60.8、60.5、60.4、58.3、58.3、58.2、43.4、43.4、43.4、31.3、30.7、30.6、19.3、19.1、19.1
b)リソクリバディン2
1)分子式:C2638
2)分子量:602(高分解能FAB−MS法により測定した(M+H)=603.1531)
3)水素核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDOD)
δ(ppm)3.94(s、3H)、3.93(s、3H)、3.88(s、3H)、3.87(m、2H)、3.82(s、3H)、3.66(m、2H)、3.34(m、2H)、3.24(m、2H)、3.08(s、6H)、3.03(s、6H)、2.49(s、3H)、2.45(s、3H)
4)炭素核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDOD)
δ(ppm) 157.8、156.1、155.7、151.2、140.9、139.0、136.9、135.8、134.1、133.5、133.5、127.3、62.4、61.2、61.2、61.1、57.9、57.7、43.6、43.6、29.7、29.3、19.3、19.1
【請求項3】
請求項1又は2に記載の、生理活性物質リソクリバディン1若しくはリソクリバディン2又はそれらの薬理学上許容される塩を有効成分とする医薬。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の、生理活性物質リソクリバディン1若しくはリソクリバディン2又はそれらの薬理学上許容される塩を有効成分とする抗菌剤。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の、生理活性物質リソクリバディン1若しくはリソクリバディン2又はそれらの薬理学上許容される塩を有効成分とする抗カビ剤。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の、生理活性物質リソクリバディン1若しくはリソクリバディン2又はそれらの薬理学上許容される塩を有効成分とする細胞増殖阻害剤。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の、生理活性物質リソクリバディン1若しくはリソクリバディン2又はそれらの薬理学上許容される塩を有効成分とする抗癌剤。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の生理活性物質リソクリバディン1若しくはリソクリバディン2を生産する能力を有する海洋生物より、生理活性物質リソクリバディン1若しくはリソクリバディン2を採取することを特徴とする生理活性物質リソクリバディン1若しくはリソクリバディン2の製造法。

【公開番号】特開2006−232738(P2006−232738A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−50467(P2005−50467)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年9月1日 平田敏文発行の「第46回 天然有機化合物討論会講演要旨集」に発表
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】