説明

生理食塩水ノーズワイプ及びその製造方法と使用方法

本発明は、大まかには、肌に接触させて、肌から粘液を取り除くのに適したウェットワイプまたはシートに関する。より詳しくは、本発明は、粘液を溶かして取り除くのに適していて、ウェットワイプの布状マトリックス(20)とともに用いられる生理食塩水溶液成分を含んでいるウェットワイプに関する。典型的には、ウェットワイプの布状マトリックス(20)は、1平方メートル当たり溶液約125グラムの吸収容量を持っている。また、マトリックスには、生理食塩水溶液がマトリックス(20)の吸収容量の約80パーセント以下の程度含浸している。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【関連する出願】
【0002】
本出願は、2007年8月10日に出願された「生理食塩水ノーズワイプ(saline nose wipe)」という発明の名称のアメリカ仮特許出願No.60/964,327の優先権を主張しており、またこの出願を引用することにより、その内容が本出願に組み入れられているものとする。
【技術分野】
【0003】
本発明は、大まかには個人の衛生状態を維持するために用いられる水溶液を含浸させたマトリックスもしくはシートに関する。より詳しくは、生物適合型の生理食塩水を含浸させたこどもの鼻や顔などから粘液(mucus/鼻汁)を取り除くためのワイプに関する。
【背景技術】
【0004】
ウェットワイプ(wet wipe)のような個人用衛生用品(hygiene product)には、多くの用途がある。それらは、例えば、おむつを替えるときに赤ちゃんのおしりを拭くなど、小さいこどもや赤ちゃんの体をきれいにするのに用いることができる。ワイプは手をきれいにするのにも用いることができる。すなわち、ワイプは、トイレットペーパー(bath tissue)として用いることができる。同様に、ワイプは、介護者によって、彼らが介護している人の汚れを落とすのに用いられてもよい。最後に、ウェットワイプは、ワイプもしくはタオル(towel)の水分(wetness)や潤いが何かしらの役に立つ多数の他の用途で用いることができる。
【0005】
あらゆる年齢の人々が、彼等の体の様々な部分の汚れを落とすために、個人用衛生布(hygiene cloths)と衛生紙(hygiene papers)を用いている。典型的には、湿った部分の汚れを落とすためにドライティッシュ(dry tissue)が用いられる。例えば、ドライティッシュは鼻を拭くのに用いられる。しかし、ドライティッシュを用いて粘液(mucus/鼻汁)を、特に乾燥してこびりついた粘液(鼻汁)を完全に取り除くのは難しい場合がある。添加された保湿剤を含んだティッシュを用いたとしても、特にこどもや赤ちゃんにとって、ドライティッシュはすぐに、肌を刺激するものとなってしまう。生理食塩水を用いたトリートメントの従来例の典型的な用途では、親またはその他の介護者は、こどもの鼻に生理食塩水溶液を付け、生理食塩水が粘液に作用するまでの時間待った後、ドライクリネックス(Kleenex/登録商標)または乾燥布でこどもの顔を拭くことを試みたり、ドライクリネックスまたは乾燥布に向かってこどもに鼻をかませようと試みたりしていた。
【0006】
鼻腔用スプレーやその他の粘液(鼻汁)に対するトリートメント製品をこのようなやり方でこどもに対して用いることや、こどもの肌を刺激することなく、繰り返しこどもの顔を拭いて汚れを落とすことは難しいことが多い。これは特に、こどもが汚れを落としている最中にじっとしていてくれないことによる。そのため、上述したように、粘液(鼻汁)の問題に対処するために生理食塩水を用いる従来の方法には、鼻腔(nasal cavity)に生理食塩水を垂らしたり、吹きかけることは、一般的に(特にこどもにとって)不愉快であるという問題がある。
【0007】
そのため、こどもの鼻や手や顔から、より簡単でかつ優しくしかも素早いやり方で、粘液(鼻汁)を取り除くことが望まれる。
【0008】
個人用衛生ワイプとそれに関連する製品は、アメリカ特許No.4,576,728、No.4,772,501、No.5,215,759、No.5,353,485、No.5,599,335、No.5,669,894、No.6,017,833、No.6,361,784、No.6,412,656、No.6,579,391、No.7,059,493、No.7,101,6123、アメリカ特許出願公開No. 2007/0000064などに開示されている。これらの出願を引用することにより、それらの内容が本出願に組み入れられているものとする。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、大まかには個人の衛生状態を維持するために用いられる水溶液を含浸させたマトリックスもしくはシートに関する。より詳しくは、生物適合型の生理食塩水を含浸させたこどもの鼻や顔などから粘液(mucus/鼻汁)を取り除くためのワイプに関する。
【0010】
ある実施形態では、生物適合型のマトリックスは、洗浄水溶液を保持する吸収性マトリックスを含んでいる。同様に、溶液は、無機塩類と、皮膚軟化剤と、防腐剤と、界面活性剤と、が混ざったものを含んでいる。
【0011】
洗浄アイテム中の無機塩類には、塩化ナトリウムや、塩化カルシウムや、その他の適切な無機塩類が含まれている。無機塩類が含まれている場合、それは、水溶液100グラム当たり約0.1グラムから9グラムの濃度で含まれている。
【0012】
洗浄アイテム中の皮膚軟化剤には、グリセリンや、その他の適切なスキントリートメント成分が含まれている。グリセリンは、開示されている洗浄溶液中で、溶剤として働くこともある。また、その他の適切な溶剤としては、例えば、1,3-プロパンジオール(1,3-propanediol)や、ブチレングリコール(butylene glycol)や、アルコールなどがある。
【0013】
防腐剤が含まれている場合、それは、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA)や、EDTA二ナトリウムや、EDTA三ナトリウムや、EDTA二カルシウムなどのキレート剤を含んでいてもよい。
【0014】
適切な界面活性剤としては、ココアンホジ酢酸2ナトリウム(disodium cocoamphodiacetate)がある。
【0015】
いくつかの場合、生物適合型の洗浄アイテムは、さらに、アロエベラや、ラベンダーや、カモミールや、その他の適切な添加剤などの化粧品添加剤を含んでいてもよい。洗浄アイテムは、さらに、リン酸二ナトリウムなどの緩衝溶液を含んでいてもよい。
【0016】
開示されている実施形態で用いられているマトリックスは、マトリックス1グラム当たり洗浄溶液約1グラムから5グラムの吸収容量を持っていて、溶液はマトリックスの吸収容量の約80パーセント以下の程度で、マトリックスに含浸しているのが好ましい。いくつかの実施形態では、吸収性マトリックスは、秤量が、1平方メートル当たり約10グラムから100グラムの布(fabric)である。この布は、有機繊維(例えばコットンなど)であっても合成繊維(例えばポリエステルやナイロンなど)であってもよい。布ベースは、織物であっても、織物でなくても(例えば、スパンレースされたもの、すなわち層状にされ、交差結合されたものでも)よい。
【0017】
別の実施形態では、生物適合型の洗浄システムは、洗浄水溶液を保持している吸収性布ベースと、少なくともマトリックスを格納するための格納区画(storage compartment)を有している容器と、の両方を含んでいてもよい。容器を有している実施形態では、容器は区切られ、二つ以上の格納区画を有していてもよい。その際、第一区画は、保持された洗浄溶液とともに吸収性布ベースを格納し、第二区画は、乾燥要素(dry component)を格納していてもよい。容器を有するシステムの別の実施形態では、第一区画は、吸収性布ベースを格納し、第二区画は、洗浄水溶液を格納していてもよい。この実施形態では、汚れを落とす過程で布ベースが用いられる直前に、溶液を布ベースに含浸させてもよい。
【0018】
洗浄システムで用いられる(もしくは一般的に洗浄溶液とともに用いられる)吸収性布ベースの実施例としては、溶液が布へ含浸し吸収されるものであるか、布のマトリックス内に保持されるものであって、布1平方メートル当たり約125グラムの洗浄用液を保持するものがある。容器とともに用いられる布ベースの典型的な実施形態では、ベースは、およそ0.04平方メートルの面積(すなわち、およそ7インチ×7インチの正方形のサイズ)であってもよい。
【0019】
洗浄アイテムの第一の実施形態と同様に、システムで用いられる洗浄アイテムは、塩化ナトリウムや、塩化カルシウムや、その他の適切な無機塩類が含まれている洗浄溶液を含んでいてもよい。無機塩類が含まれている場合、それは、水溶液100グラム当たり約0.1グラムから9グラムの濃度で含まれている。洗浄アイテムの溶液は、上述したように、皮膚軟化剤や、防腐剤や、界面活性剤を含んでいる。この実施形態や他の実施形態では、システムの洗浄溶液すなわちアイテム自身は、さらに、香料成分(fragrance additive)や、ハーブ成分(herbal additive)や、洗浄溶液の基礎成分と適合する別の添加成分を含んでいてもよい。
【0020】
上述した吸収性マトリックス素材(material)のある実施例は、粘液や、ほこりや、その他の汚れ(debris)を個人の肌、特にこどもの顔周辺から落とすのに用いることができる。生物適合型の洗浄溶液を保持しているマトリックス素材のユーザーは、個人の肌(場合によっては自分の肌)を吸収性マトリックス素材で拭くことができる。この場合、他の場合と同様、洗浄溶液は、無機塩類と、皮膚軟化剤と、界面活性剤を含んでいてもよい。
【0021】
上述したように、生物適合型の洗浄アイテムは、吸収性マトリックスに保持されている。一般に、マトリックスは、マトリックス1グラム当たり洗浄溶液約1グラムから5グラム(すなわち、マトリックス1平方メートル当たり溶液約125グラム)の吸収容量を持っていて、溶液はマトリックスの吸収容量の約80パーセント以下の程度で、マトリックスに含浸している。いくつかの実施形態では、吸収性マトリックスは、秤量が1平方メートル当たり約10グラムから100グラムの布(fabric)である。この布は、有機繊維(例えばコットンなど)であっても合成繊維(例えばポリエステルやナイロンなど)であってもよい。布ベースは、織物であっても、織物でなくても(例えば、スパンレースされたもの、すなわち層状にされ、交差結合されたものでも)よい。
【0022】
マトリックスと洗浄溶液が格納容器内に収容されているいくつかの実施形態では、ユーザーはまず、容器から吸収性マトリックスを取り出す。容器が、使い捨てタイプであるか、多数のウェットマトリックスを別々の区画に格納した、繰り返し使えるタイプである場合、ユーザーは、格納容器からワイプを取り出してすぐに粘液を拭くことができる。容器が繰り返し使えるタイプであり、ドライ布マトリックス(dry fabric matrix)を洗浄溶液と分けて格納している場合、ユーザーはまず、マトリックスをあらかじめ測った量(pre-measured)の洗浄溶液か、必要な量の洗浄溶液で湿らせ、それを用いて、粘液や、ほこりや、その他の汚れを個人の肌から落としてもよい。
【0023】
この実施形態や他の実施形態では、洗浄溶液は、アロエベラや、ラベンダーや、カモミールや、健康に好ましい影響をあたえる他の何らかの添加成分を含んでいてもよい。このタイプの添加成分の他の例には、ビタミンやミネラルがある。
【0024】
別の実施形態では、生物適合型の洗浄アイテムを製造する方法が提供されている。この方法には、生物適合型の洗浄溶液に対して吸収性マトリックスを提供し、マトリックスに洗浄溶液を含浸させるステップが含まれている。マトリックスは、マトリックス1グラム当たり洗浄溶液約1グラムから5グラムの吸収容量を持っていて、洗浄溶液は、無機塩類(濃度は水溶液100グラムに対し約0.1グラムから9グラム)と、防腐剤と、皮膚軟化剤と、を含んでいてもよい。溶液はマトリックスの吸収容量の約80パーセント以下の程度で、マトリックスに含浸していてもよい。
【0025】
上述したように、生物適合型の洗浄アイテムは、マトリックス1グラム当たり洗浄溶液約1グラムから5グラム(すなわち、マトリックス1平方メートル当たり溶液約125グラム)の吸収容量を持った吸収性マトリックスに保持されていて、溶液はマトリックスの吸収容量の約80パーセント以下の程度で、マトリックスに含浸している。いくつかの実施形態では、吸収性マトリックスは、秤量が1平方メートル当たり約10グラムから100グラムの布(fabric)である。この布は、有機繊維(例えばコットンなど)であっても合成繊維(例えばポリエステルやナイロンなど)であってもよい。布ベースは、織物であっても、織物でなくても(例えば、スパンレースされたもの、すなわち層状にされ、交差結合されたものでも)よい。
【0026】
洗浄アイテム中の無機塩類には、塩化ナトリウムや、塩化カルシウムや、その他の適切な無機塩類が含まれていてもよい。無機塩類が含まれている場合、それは、水溶液100グラム当たり0.1グラムから9グラムの濃度で含まれている。洗浄アイテム中の皮膚軟化剤には、グリセリンや、その他の適切なスキントリートメント成分が含まれている。防腐剤が含まれている場合、それは、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA)や、EDTA二ナトリウムや、EDTA三ナトリウムや、EDTA二カルシウムなどのキレート剤を含んでいてもよい。適切な界面活性剤としては、ココアンホジ酢酸2ナトリウム(disodium cocoamphodiacetate)がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ウェットシート(マトリックスシート)とともに用いられている容器の実施形態を示している。
【図2】ウェットシート(マトリックスシート)とともに用いられている容器の他の実施形態を示している。
【図3】ウェットシート(マトリックスシート)とともに用いられている容器の別の実施形態を示している。
【図4】ウェットシート(マトリックスシート)とともに用いられている容器のさらに別の実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る粘液(mucus/鼻汁)を取り除くための生物適合型の(biologically compatible)洗浄溶液について説明する。この溶液は、吸収性マトリックス(absorbent matrix)または吸収性基質(absorbent substrate)に含浸させるか、そうでない場合にはそれらに保持される。「生物適合型」という用語は、洗浄溶液が生物組織(living tissue)に対して傷をつけるようなものや、有毒なものや、免疫反応(immunologic reaction)を起こさせるようなものではないということを意味する。言い換えると、この製品は人体に対する忍容性が良好であり(well-tolerated)、一般的にこの製品が何らかの拒絶反応を引き起こすおそれはない。「含浸させる」という用語は、単に溶液がマトリックス内に存在する空隙(void)部分に保持されるということを意味する。クレームされている発明の中のいくつかの実施形態では、溶液は、含浸するでもなく、マトリックスの繊維(fiber)間の空隙を満たすでもなく、マトリックスの繊維に吸収されることがある。マトリックスの形態は、粘液を取り除きやすくする生理食塩水(saline)を含んでいる溶液が含浸した使い捨ての紙(disposable paper)であってもよい。これらのワイプ(wipe)は、例えば、風邪やアレルギーの世話でこどもの鼻をきれいにするのに用いることができる。
【0029】
吸収性マトリックスは、使い捨ての紙のようなシート状に形成された繊維状物質 (fibrous material)であってもよい。マトリックスは、十分な強度を持ち、適当な化学的特性を持った適切な紙ならどのようなものから形成されていてもよい。ここでいう適切な紙とは、湿っても破けないが、ひとたび廃棄されると分解される(break down)タイプのことをいう。また、マトリックスは、従来のドライフェイシャルティッシュ(dry facial tissue)より強度があり、かつ緻密なものでなければならない。同時に、マトリックスは、肌の中の柔らかく、曲がった部分(例えば鼻周りなど)で用いることができるような、表面を傷つけず(non-abrasive)、かつフレキシブルなものでなければならない。
【0030】
マトリックスは、例えば、機械的にからみあわされた繊維を含んだ不織布(non-woven textile)であってもよい。このような繊維は、例えば、繊維がウォータージェット(water jets)によって機械的にからみあわされる水エンタングルメント(hydro-entanglement)などによって作られる。このやり方は、「スパンレース(spunlacing)」として知られている。特に、スパンレースでは、高速のウォータージェットを用いて繊維を打ち、繊維がからみあわされてウェブ状になるまで、繊維を再配置させ(repositioning)、もつれ(entangle)させる。これによって、マトリックスの完全性(integrity)を提供している。結果として、スパンレース織布(spunlace textile)は衛生用品として十分な柔らかさを持ち、かつ他の不織布と比べてよりよいドレープ(drape)と、なじみやすさ(conformability)と、湿ウェットおよびドライ強度と、吸収性と、ぬれ性(wetting)を有することとなる。繊維には、様々な合成繊維や、有機繊維や、その他の天然繊維を用いることができる。これらの繊維には、コットンや、レーヨンや、木材パルプ繊維(wood pulp)や、ポリプロピレン繊維や、ポリエステル繊維などが含まれるが、それらに限定されるわけではない。また、このようなマトリックスは、化学物質や太陽光によって劣化せず、かつ安価で、生物分解可能(biodegradable)である。ワイプは、例えば、コットン100パーセントの生物分解可能なワイプであってもよい。
【0031】
マトリックスは、溶液を保持するのに十分な孔隙率と吸収容量を有した上で、ユーザーの粘液を取り除くのに必要な吸収性(absorbency)を有していなければならない。マトリックスは、例えば、粘液を保持する能力を十分に維持するために、十分な湿潤完全性(wet integrity)を提供しなければならない。マトリックスの秤量は、1平方メートル当たり10グラムから100グラムである。適切な不織布の一例としては、45gsmのスパンレースがある。
【0032】
マトリックスの厚さを調整することで、マトリックスの所定の領域を通って吸収される液体の量をコントロールすることができる。プレモイステンドワイプ(pre-moistened wipe)は、マトリックス1グラム当たり1グラムから5グラムの溶液で、ドライマトリックスを湿らせて作られる。ドライマトリックスは、例えば、マトリックス1グラム当たり2グラムから4グラムの溶液で湿らせていてもよい。これは、マトリックスの吸収容量の約80パーセント以下の程度の分量である。
【0033】
マトリックスに用いられる溶液には、粘液を肌から容易に取り除くことができるように、少なくとも部分的には粘液を落ちやすくする(loosen)か(軟化させるか)、溶かすか(溶解するか)、そうでなければ分解するものが選ばれる。溶液は、例えば、粘液を柔らかくすることで、ドライティッシュと比べて粘液を取り除きやすくするものであってもよい。そのため、ある例では、溶液は、引き剥がし剤(loosening agent/軟化剤)と、その引き剥がし剤を薄め、肌を刺激しなくなる濃度にするための水を含んでいてもよい。無機塩類(inorganic salt)などの引き剥がし剤は、粘液に水分を与えたり、粘液を溶解したり、または粘液に水分を与えて溶解することができ、それ以外にも、粘液を引き離して取り除きやすくすることができる。同様に、本明細書で開示されているように、吸収性マトリックス内に溶液を供給することで、取り除きたいどのような粘液(mucus)に対しても、無機塩類の化学的効果と吸収性マトリックスの構造的効果(mechanical effect)による相乗効果が得られる。同様に、吸収性マトリックスは、通常、吸収容量に余剰分があるはずなので、マトリックスは、洗浄過程または鼻づまり解消過程(decongesting process)の間に溶解されたか、もしくは引き離された粘液を吸収することができる。
【0034】
ある例では、溶液は、水と、塩化ナトリウム(NaCl)と、グリセリンと、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)四ナトリウムと、を含んでいる。塩化ナトリウムは、粘液を落としやすくするために溶液に加えられていてもよい。すなわち、塩化ナトリウム(または他の適切な無機塩類)はこの場合、鼻づまり薬(decongestant)(詰まり(congestant)を解消するのを助ける物質)として働く。ある例では、溶液は、塩化ナトリウムを0.1パーセントから9パーセントの濃度の範囲で含んでいる。例えば、ある例では、溶液は0.33パーセントの塩化ナトリウム(すなわち溶液100ミリリットルに対して0.33グラムの塩化ナトリウム)を含んでいる。引き剥がし剤は、粘液を取り除きやすくするために、塩化ナトリウムの代わりに、あるいはそれに加えて、塩化カリウムまたは無機塩類を含んでいてもよいと。
【0035】
肌を柔らかくして落ち着かせる(soothe)ために、グリセリンもしくはそれと等価な物質(variants)の一つが溶液に加えられていてもよい。この場合、グリセリンもしくはそれと等価な物質は、皮膚軟化剤(emollient)や、保湿剤(humectant)や、溶剤(solvent)や、滑剤(lubricant)などとして働く。他に用いられる可能性のある皮膚軟化剤としては、PEG-75ラノリン(PEG-75 lanolin)や、PEG-40水素化ヒマシ油(PEG-40 hydrogenated castor oil)や、PEG-40ヤシ脂肪酸グリセル(PEG-40 glyceryl cocoate)や、PEG-60ステアリン酸グリセル(PEG-60 glyceryl stearate)や、その他の生物適合型皮膚軟化剤がある。
【0036】
EDTAは、洗浄溶液の保存性(stability)を向上させるために加えられるキレート剤である。キレート剤は、汚染物質(contaminants)を取り除き、防腐剤(preservative)として働くことによって溶液の保存性(stability)を向上させる。キレート剤としては、EDTA二ナトリウムや、EDTA三ナトリウムや、EDTA二カルシウムなどの、他の適切なキレート剤が用いられていてもよい。また、抗菌作用(antimicrobial function)を有している他の防腐剤を、個別もしくは組み合わせて、溶液に加えてもよい。このような防腐剤の例としては、ブチルカルバミド酸ヨードプロピニル(iodopropynyl butylcarbamate)や、2-ブロモ2-ニトロ1,3-プロパンジオール(2-bromo-2-nitropropane-1,3-diol)や、イミダゾジニル尿素(imidazolidinyl urea)や、DMDMヒダントイン(DMDM hydantoin)や、メチルクロロイソチアゾリノン(methylchloroisothiazolinone)や、メチルパラベン(methylparaben)や、プロピルパラベン(propylparaben)や、2-フェノキシエタノール(2-phenoxyethanol)がある。
【0037】
上述したように、洗浄溶液中の塩化ナトリウムは、鼻腔領域(nasal area)から粘液を取り除き、鼻道(nasal passage)を清潔にして呼吸しやすくするための鼻づまり薬として働く。いくつかの実施形態では、無機塩類(例えば塩化ナトリウム)の代わりに、もしくはそれに加えて、「典型的な」鼻づまり薬を用いるのが有利となることがある。このやり方で用いることができる他の鼻づまり薬には、オキシメタゾリン(oxymetazoline)、キシロメタゾリン(xylometazoline)、フェニレフリン(phenylephrine)、トラマゾリン(tramazoline)、エフェドリン(ephedrine)、プソイドエフェドリン(pseudoephedrine)などがある。同様に、水溶液中で調合することができる他の適切な鼻づまり薬ならばどのようなものでもこのやり方で用いることができる。
【0038】
また、溶液は、粘液や、ほこり(dirt)や、その他の物質を取り除きやすくする界面活性剤(例えばココアンホジ酢酸2ナトリウム(disodium cocoamphodiacetate)など)を一種以上含んでいてもよい。これらの代わりに、もしくはこれらに加えて、洗浄溶液は、ジエチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム(diethylhexyl sodium sulfosuccinate)や、ココイルサルコシン酸アンモニウム(ammonium cocoyl sarcosinate)や、ココイルイセチオン酸アンモニウム(ammonium cocoyl sarcosinate)や、他の多数の低刺激の(mild)アニオン性界面活性剤(anionic surfactants)のうちの一つを用いていてもよい。
【0039】
溶液は、そのpHを調整し、一定に保つための緩衝剤(buffering agent)(例えば、クエン酸(citric acid)や、リン酸ニナトリウム(disodium phosphate)など)を一種以上含んでいてもよい。また、溶液は緩衝剤として、乳酸(lactic acid)や、リン酸(phosphoric acid)や、リン酸カリウム(potassium phosphate)や、酒石酸二ナトリウム(disodium tartrate)や、フマル酸二ナトリウム(disodium fumarate)や、三メタリン酸ナトリウム(sodium trimetaphosphate)や、その他の生物学的に適した緩衝剤を用いていてもよい。
【0040】
溶液は、スキンケア成分(skin care additives)(例えば、ビタミンEやプロビタミンB5など)と、ハーブ系成分(herbal supplements)(例えば、アロエベラ(aloe vera)やカモミールなど)と、香料(scents)と、それら以外の成分で、溶液の有効期限(shelf life)や、質感(texture)や、香り(aroma)や、保湿特性(moisturizing properties)や、治療特性(healing properties)や、抗酸化特性(antioxidant properties)などを向上させるための成分を含んでいてもよい。溶液は、例えば、ポリソルベート 20 (polysorbate 20)や、ソルベス 30 (sorbeth 30)や、アラントイン(allantoin)や、アロエベラ葉エキス(aloe barbadensis leaf extract)や、酢酸トコフェロール(tocopheryl acetate)や、アスコルビン酸(ascorbic acid)や、パルミチン酸アスコルビル(ascorbyl palmitate)や、アスタキサンチン(astaxanthin)や、カリメア・オレイフェア葉エキス(camellia oleifera leaf extract)や、カモミラ・レクティタ(マトリカリア)エキス(chamomilla recutita (matricaria) extract)や、フラワーエキス(flower extract)や、ラベンダー・アングスティフォリア(ラベンダー)エキス(lavandula angustifolia (lavender) extract)や、ミリスティカ・フラグランス(ナツメグ)エキス(myristica fragrans (nutmeg) extract)や、ラウリルグルコシド(lauryl glucoside)や、パンテノール(panthenol)や、ポリアミノプロピルビグアニド(polyaminopropyl biguanide)や、フェノキシエタノール(phenoxyethanol)や、メチルパラベンや、エチルパラベンや、プロピルパラベンや、ブチルパラベンや、イソブチルパラベンや(methyl-ethyl-propyl-butyl-isobutylparaben)、クエン酸や、クエン酸ナトリウム(sodium citrate)や、PEG-12ジメチコーン(PEG-12 dimethicone)などを様々な濃度で混合したものを含んでいてもよい。
【0041】
シートは、一枚以上のシートを収容し、使用するまでの間(例えば、運んでいる間や、保管している間)該シート内の水分含量を十分に維持できるように構成されている密封可能なパッケージ(sealable package)内に格納されていてもよい。シートは、例えば、バッグやポーチのようなプラスチック容器内に格納されていてもよい。パッケージは、蓋(lid)でカバーされた開口部(opening)を有していてもよい。ユーザーは、この蓋を介してシートを取り出すことができる。シートは、ウェットシートとドライシートの両方を収容することができるように構成されているパッケージ内に格納されていてもよい。パッケージは、例えば、ウェットシートを第一区画(first compartment)に格納し、ドライシートを第二区画(second compartment)に格納するようになっている隣りあう区画を有していてもよい。このような構成では、ウェットシートは、同様のパッケージでウェットシートだけを格納しているタイプと比べて、よく湿らされていてもよい。例えば、ドライシートの隣に格納されたウェットシートには、シートの吸収容量の約80パーセント以上の量の水溶液を染みこませていてもよい。図1〜4は、開示されているウェットシート(hydrated sheets)とともに用いられている容器(container) 10の実施例を示している。容器10は、使い捨てのパケット12や、ウェットマトリックス格納容器(wet-matrix storage box) 14や、二部分(もしくは複数部分)からなる格納容器(dual- (or multi-) chambered storage container) 16、18であってもよい。
【0042】
図1では、容器10は、十分な防水性をもった(liquid-impervious)素材で作られていて、格納されている吸収性マトリックスの含水状態(hydration status)をより長い時間維持するように構成されている小袋(sachet)またはパケット12である。ある例では、パケットは、ホイルで覆われたポーチ(foil-lined pouch)であってもよい。他の例では、パケットは、薄いプラスチックシートまたは他の適切な合成材料から作られたものであってもよい。パケット12は、湿ったマトリックスシート20を一枚、折りたたまれた状態でパケットの密封されたエッジ(sealed edge)22の中に保持するように構成されていてもよい。このようなやり方では、エッジ22に沿って約2×3インチ(6 cm×8 cm)のパケット内に、より大きなシートを格納することができる。
【0043】
上述したやり方で構成されたパケットは、エッジ22が破れない場合開けるのが比較的難しいことがあるので、パケットのエッジのうち少なくとも一端には、少なくとも一部分において、エッジの密封された部分を部分的に横切るように伸びた切り込み(notch) 24が存在していてもよい。このようにして、パケットのユーザーは、パケットのテクスチャード加工のエッジ(textured edge) 26をつかみ、切り込み24からパケットを開くことができる。別のやり方としては、パケットは、パケットのエッジ表面の少なくとも一部分に沿ってジップロックファスナー(ZiplocTM fastener/登録商標) 28を有していて、再び密封可能であってもよい。
【0044】
図2は、格納容器(storage container) 14が、多数の吸収性マトリックスシート20を格納するように構成されている大きなパケットまたはボックス14である例を示している。この場合、シートは、交互に配置され、容器から取り出しやすくなっていてもよい。容器14は、多数の頑丈な壁30を有しているか、または単にパケット10の大型版として構成されていてもよい(すなわち、パケット14は、多数のシートを格納するのに十分な深さを有していてもよい)。この場合、格納容器は、タブ34を備えている蓋32を有していてもよい。蓋は、容器14の開口部を再び密封する機能を有していて、これにより、シートを一枚使用のために取り出しても、再び容器を閉じ、未使用のシートの含水状態を維持することを可能にするものであってもよい。
【0045】
図3は、吸収性マトリックスシートを格納するための複数の区画38と40を有している格納容器16を示している。別のやり方では、各区画38と40は、それぞれ異なるタイプのシートを格納していてもよい。例えば、ある実施形態では、第一区画38は、ウェットマトリックスシート(hydrated matrix sheet) 20を収納していて、第二区画はドライマトリックスシートまたは別タイプのドライシート36を収納していてもよい。容器16のように構成することで、ユーザーは、必要に応じてウェットマトリックスシートを取り出してそれを用い、その後ドライシートを取り出して、仕上げを行う(cleanup)ことが可能となる。別の場合には、ユーザーは、こどもの鼻をかむためなどにドライシートだけを必要とするもある。どちらの場合でも、ウェットマトリックスシートをドライシートから隔離することによって、各々のシートをもっとも有効に性能を発揮できる状態(それぞれウェットまたはドライな状態)に維持することができる。
【0046】
図4は容器10の別の実施形態を示している。この実施形態は、容器10は、ドライマトリックスシート20のための第一区画(one compartment)38と洗浄溶液42のための第二区画(second compartment)44を有している複数区画容器(multi-compartment container)18である。この実施形態では、ドライマトリックスシート20と洗浄溶液42は、隔離して格納することができ、必要に応じて洗浄溶液をそれが入った区画からドライマトリックスシートへと供給することができるようになっている。洗浄溶液をそれが入った区画から供給するためには、どのような適切な機構(例えば、手動ポンプ(hand-actuated pump)46やスプレーノズル(溶液が加圧されている場合)など)が用いられていてもよい。どのような場合でも、マトリックス要素と溶液要素は別々に格納することができ、また二つの構成要素の補充としてこれらを別々に購入することも実現可能である。本実施形態と図3の実施形態は、二つの区画しか有していないように示されているが、言うまでもなく本実施形態と図3の実施形態はともに、要求される数の構成要素を格納するために必要となる数の区画を有するように構成することができる。
【0047】
前述したように、本発明は、引き剥がし剤を含んだ溶液が含浸したマトリックスを提供する。いくつかの実施形態では、引き剥がし剤は、塩化ナトリウムなどの無機塩類を含んでいる。いくつかの実施形態では、溶液は、キレート剤、緩衝剤、界面活性剤、皮膚軟化剤、香料(fragrance)のうちの一種以上を含んでいる。溶液がマトリックスに含浸されるとすぐに、マトリックスは粘液を取り除くのに用いることができる。いくつかの実施形態では、マトリックスには、スパンレースされかつ、ビスコース繊維を含んでいる不織紙が含まれている。
【0048】
さらに、本発明は、不織でありかつ、吸収性であって、使い捨ての材料でできているシートから構成されているノーズワイプ物品 (nose wipe composition)を提供する。この使い捨ての材料は、材料1グラム当たり液体1から5グラムの範囲の吸収容量を有している。このシートに吸収される水溶液は、シートの吸収容量の約80パーセント以下の量含浸されており、また水溶液100ミリリットル当たり1グラムから9グラムの範囲の濃度で塩化ナトリウムを含んでいる。
【0049】
実施例1
上述した内容に沿って、吸収性マトリックスとともに用いられる洗浄水溶液の第一の実施例を以下の表1の構成で作ったところ、この溶液は、粘液を取り除き、肌に潤いを与えるという必要とされる特性を有していることが分かった。
【0050】
【表1】


実施例1の構成(formulation)には、さらなる成分が加えられていてもよく、そのようにしても、溶液が持つ粘液を取り除き、潤いを与える効果に影響を与えることはない。例えば、例1の構成には、さらに、PEG-12ジメチコーン(PEG-12 dimethicone)と、アラントイン(allantoin)と、香料(必要とされる場合)と、が加えられていてもよく、また、メチルパラベンと、エチルパラベンと、プロピルパラベンと、イソブチルパラベンのうちのいずれか一つが加えられていてもよい。必要とされるならば、この構成には、さらにパンテノールが加えられていてもよい。
【0051】
実施例2
同様に、上述した内容に沿って、吸収性マトリックスとともに使用される洗浄水溶液の第二の実施例を以下の表2の構成で作ったところ、この溶液は、粘液を取り除き、肌に潤いを与えるという必要とされる特性を有していることが分かった。
【0052】
【表2】


上述したように、実施例2の構成(formulation)には、さらなる成分が加えられていてもよく、そのようにしても、溶液が持つ粘液を取り除き、潤いを与える効果に影響を与えることはない。例えば、実施例2の構成には、さらに、PEG-12ジメチコーン(PEG-12 dimethicone)と、アラントイン(allantoin) と、香料と、が加えられていてもよい。上述した内容に従って、他の添加剤を加えることも可能である。
【0053】
実施例3
同様に、上述した内容に沿って、吸収性マトリックスとともに使用される洗浄水溶液の第三の実施例を以下の表3の構成で作ったところ、この溶液は、粘液を取り除き、肌に潤いを与えるという必要とされる特性を有していることが分かった。
【0054】
【表3】


上述したように、実施例3の構成(formulation)には、さらなる成分が加えられていてもよく、そのようにしても、溶液が持つ粘液を取り除き、潤いを与える効果に影響を与えることはない。例えば、実施例3の構成には、さらに、必要とされる場合香料が加えられていてもよい。上述した内容に従って、他の添加剤を加えることも可能である。
【0055】
実施例4
粘液を取り除き、肌に潤いを与えるために、上述した各成分が実現可能かつ好ましい濃度の範囲で、吸収性マトリックスとともに用いられる洗浄水溶液に加えられていてもよい。実施例4は、洗浄溶液で用いるのに適した別の典型的構成を示している。各成分の効用(目的)は、次の表4に示されているとおりである。
【0056】
【表4】


上で開示されている実施形態および実施例は、生理食塩水ノーズワイプ(saline nose wipe)の製造と使用の両方で用いることができる。開示されている吸収性マトリックスを製造するためには、ユーザーはまず、吸収容量がマトリックス1グラム当たり溶液約1グラムから5グラムの吸収性マトリックスを用意する。続いてユーザーは、このマトリックスに、無機塩類と、防腐剤と、皮膚軟化剤と、を含んだ水溶液を含浸させる。ただし、無機塩類の濃度は、溶液100グラム当たり0.1グラムから9グラムであるとする。ユーザーは、この溶液をマトリックスの吸収容量の約80パーセント以下の量、マトリックスへ含浸させる。この含浸過程(impregnation process)において、ユーザーは、上で開示されている溶液のレシピのいずれを用いてもよい。同様に、「含浸(impregnation)(この場合溶液は、主に所定の繊維の空隙を占めている)」と記されているが、ユーザーは、溶液を繊維に吸収させてもよいし、もしくはいくつかのやり方を組み合わせて繊維に溶液を保持させてもよい。
【0057】
その後ユーザーは、溶液が含浸したワイプを用いて、個人の鼻部の肌(ユーザーの肌もしくは別の個人の肌)から粘液を取り除いたり、個人の鼻部の肌に対して鼻づまり薬の成分(decongestant composition)を供給することができる。粘液を取り除くためには、ユーザーはまず、マトリックスの吸収容量の約80パーセント以下の量の水溶液を含浸させた吸収性マトリックスを用意する。ただし、このマトリックスの吸収容量はマトリックス1グラム当たり溶液約1グラムから5グラムであるとする。この場合、用いられる典型的な溶液は、溶液100グラム当たり0.1グラムから9グラムの濃度の無機塩類を含んでいる。次に、ユーザーは、吸収性マトリックスで鼻周りの肌を拭くことで、鼻の中もしくは周辺の粘液を溶解し、吸収することができる。
【0058】
鼻づまり解消過程(decongesting process)において開示されている鼻づまり薬の実施形態を用いる際、ユーザーは、典型的には、治療効果の現れる分量の鼻づまり薬を含んだ溶液を保持したマトリックスを用意する。ユーザーは、吸収性マトリックスで鼻周りの肌を拭くことで、鼻の中もしくは周辺に鼻づまり薬を作用させることができる。いくつかの場合には、ユーザーは、洗浄効果と鼻づまり解消効果の両方を有する溶液を保持した吸収性マトリックスを用意してもよい。この場合、ユーザーは、粘液を取り除くと同時に(もしくはほぼ同時に)、鼻腔領域に鼻づまり薬を作用させることができる。
【0059】
鼻づまり薬を作用させるのと、鼻漏れ(nasal drainage)を吸収して取り除くのに、同一のマトリックスを用いるというコンセプトは、一部の人にとって感覚的に相容れないものかもしれない。というのも、人々は、取り除くことができる液体は、吸収性の高いドライマトリックスに持ち去られるはずであると思いがちであり、また鼻づまり薬が粘液を取り除くことができるまで溶かすのにはしばらく時間がかかることがあるためである。しかし、たとえ鼻づまり薬が、粘液を溶かすのに、最初の一拭きからいくらかの時間を要するとしても、二拭き目は、以前の鼻づまり薬の作用によって粘液が溶解もしくは除去されているので、より効果的に粘液を取り除くことができる。したがって、開示されているワイプ物品は、複数回の連続したワイプのやり方で用いると特に有用で、効果的となる。
【0060】
本発明は、前述の使用原理と好ましい実施形態に関して示し、説明したが、当業者ならば、本発明は、その精神および範囲から逸脱することなく、構成と詳細において様々な変更が可能であると理解できるであろう。上述したような変形(alternatives)と、改良(modifications)と、改変(variances)と、はすべて本発明の範囲に含まれるように意図されている。本発明の主題には、本明細書で開示されている様々な要素(elements)や、特徴(features)や、効果(functions)や、性質(properties)またはそれらすべての、新しいコンビネーションおよびサブコンビネーションと、非自明なコンビネーションおよびサブコンビネーションと、が含まれる。特徴や、効果や、要素や、性質またはそれらすべての様々なコンビネーションおよびサブコンビネーションで実施された発明が、請求項でクレームされている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻の中または周辺の肌から粘液を取り除く方法であって、
吸収性マトリックス(20)を提供するステップと、
前記吸収性マトリックス(20)によって、鼻の周辺の肌を拭いて、該鼻の中または周辺の粘液を溶解して吸収するステップと、
を含み、
水溶液が前記マトリックス(20)の吸収容量の約80パーセント以下の量、該マトリックス(20)に含浸しており、
前記マトリックス(20)は、該マトリックス(20) 1グラム当たり水溶液約1グラムから5グラムの吸収容量を有しており、
前記水溶液が、水溶液100グラム当たり0.1グラムから9グラムの濃度で無機塩類を含んでいる、ことを特徴とする前記方法。
【請求項2】
前記水溶液が、皮膚軟化剤と界面活性剤とを含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マトリックスが不織布である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記不織布がコットンである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記不織布が合成繊維である請求項3に記載の方法。
【請求項6】
複数の前記マトリックス(20)が再密封可能な開口を有している十分に機密性が高い格納容器(10)の中に収容されている請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記マトリックスが使い捨ての容器(12)の中に収容されている請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記水溶液が、さらに、アロエベラ、ラベンダー、カモミール及び何らかのハーブ成分のうちの一種以上を含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
鼻の中または周辺から粘液を取り除くためのマトリックス(20)を製造する方法であって、
吸収性マトリックス(20)を提供するステップと、
水溶液100グラム当たり0.1グラムから9グラムの濃度で無機塩類を含んでおり、かつ防腐剤と、皮膚軟化剤と、を含んでいる水溶液を、前記マトリックスに含浸させるステップと、を含み、
前記マトリックス(20)が、マトリックス(20) 1グラム当たり水溶液約1グラムから5グラムの吸収容量を有しており、
前記水溶液が前記マトリックス(20)の吸収容量の約80パーセント以下の量、該マトリックス(20)に含浸していることを特徴とする前記方法。
【請求項10】
前記吸収性マトリックス(20)が1平方メートル当たり約10グラムから100グラムの秤量の布である請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記吸収性マトリックス(20)がコットンを含んでいる請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記マトリックス(20)が不織布である請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記無機塩類が塩化ナトリウムと塩化カルシウムのうちの一種以上を含んでいる請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記防腐剤がキレート剤を含んでいる請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)四ナトリウム、EDTA二ナトリウム、及びEDTA二カルシウムのうちの一種以上を含んでいる請求項9に記載の方法。
【請求項16】
鼻の中または周辺から粘液を取り除くための使い捨て物品であって、
マトリックス(20) 1グラム当たり水溶液約1グラムから5グラムの吸収容量を有している吸収性マトリックス(20)と、
前記マトリックス(20)に含浸している粘液溶解水溶液と、
を含み、
前記マトリックス(20)に含浸している前記水溶液の量が、該マトリックス(20)の吸収容量の約80パーセント以下であり、
前記水溶液が水溶液100グラム当たり約0.1グラムから9グラムの濃度で無機塩類を含んでいることを特徴とする前記物品。
【請求項17】
前記水溶液が、さらに、皮膚軟化剤と、防腐剤と、界面活性剤とを含んでいる請求項16に記載の物品。
【請求項18】
前記無機塩類が塩化ナトリウムと塩化カルシウムのうちの一種以上を含んでいる請求項16に記載の物品。
【請求項19】
前記皮膚軟化剤がグリセリンを含んでいる請求項17に記載の物品。
【請求項20】
前記防腐剤がキレート剤を含んでいる請求項17に記載の物品。
【請求項21】
前記キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)四ナトリウムと、EDTA二ナトリウムと、EDTA二カルシウムと、のうちの一種以上を含んでいる請求項20に記載の物品。
【請求項22】
さらに、アロエベラ、ラベンダー、カモミール及び何らかのハーブ成分のうちの一種以上を含んでいる請求項16に記載の物品。
【請求項23】
前記吸収性マトリックス(20)が、1平方メートル当たり約10グラムから100グラムの秤量の布ベースである請求項16に記載の物品。
【請求項24】
鼻の中または周辺の肌に鼻づまり薬の成分を供給する方法であって、
吸収性マトリックス(20)を提供するステップと、
前記吸収性マトリックス(20)によって、前記鼻の周辺の肌を拭いて、該鼻の中または周辺に鼻づまり薬を供給するステップと、
を含み、
水溶液が前記マトリックス(20)の吸収容量の約80パーセント以下の量、該マトリックス (20)に含浸しており、
前記マトリックス(20)が、該マトリックス(20) 1グラム当たり水溶液約1グラムから5グラムの吸収容量を有しており、
前記水溶液が鼻づまり薬を治療効果の出る程度の量含んでいることを特徴とする前記方法。
【請求項25】
前記水溶液が皮膚軟化剤と界面活性剤とを含んでいる請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記マトリックス(20)が不織布である請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記不織布がコットンである請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記不織布が合成繊維である請求項26に記載の方法。
【請求項29】
複数の前記マトリックス(20)が、再密封可能な開口を有している十分に機密性が高い格納容器(14)の中に収容されている請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記マトリックスが、使い捨ての容器(12)の中に収容されている請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記水溶液が、さらに、アロエベラ、ラベンダー、カモミール及び何らかのハーブ成分のうちの一種以上を含んでいる請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−535775(P2010−535775A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520001(P2010−520001)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/009634
【国際公開番号】WO2009/023192
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(510035004)リトル ビジー ボディーズ, インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】LITTLE BUSY BODIES, INC.
【住所又は居所原語表記】18255 SW Tualatin Valley Hwy, Aloha, Oregon 97006, United States of America
【Fターム(参考)】