説明

生産業務管理システム及び生産業務管理方法

【課題】1つの手配展開画面を参照して部品情報の登録から手配を行うこと
【解決手段】製品の販売を管理するための販売管理部10と、部品から製品の生産を管理する生産管理部20と、部品の発注を行う発注及び仕入を行う購買管理部30と、部品の在庫を管理する在庫管理部40とを備え、前記生産管理部20が、受注部11が受注した受注情報に基づいて製品製造に必要な部品を展開して部品発注を手配する手配展開部21と、仕入在庫情報を入力して部品の在庫状態を照会する在庫照会部24と、前記部品手配情報に基づいて部品在庫状態の照会並びに作業指示を行う作業指示・実績部22と、前記製品の受注から製造までの進捗状況を監視する進捗管理部25とをネットワーク接続し、1つの手配展開画面を参照して部品情報の登録から部品の手配までを管理する生産業務管理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品を構成する部品の情報から手配情報や業務情報へ効率的に展開し管理することができる生産業務管理システム及び生産業務管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にコンピュータを用いた生産業務管理システムにおいては、製品を構成する部品の構成登録作業と部品の手配業務における発注作業と部品を内作する際の内作作業と部品を外部から調達する際の外注作業等の多数の作業があり、これら複数の作業毎に、それぞれ独立した入力画面を用いてコンピュータへのデータ入力を行っているため、操作性及び業務効率が悪く改善が求められてきている。
【0003】
受注情報や生産情報を含むマスタ情報から資材発注情報を作成する技術が記載された文献としては、例えば下記の特許文献が挙げられ、特許文献1には、生産手配の進度状況に同期した見積り原価と実績原価の比較を可能とし、生産管理と原価管理を同期して処理することができる生産管理システムが記載され、特許文献2には、オペレータによる入力作業を軽減して、製造・販売・物流にわたるシステムの更なる効率向上を図った生産販売管理システムが記載され、特許文献3には、受注管理・在庫管理・計画管理等を行う生産管理システムにおいて、他の生産管理システムで管理されている管理データも利用する分散生産管理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−134714号公報
【特許文献2】特開平7−200681号公報
【特許文献3】特開2000−137504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の特許文献らに記載された技術は、基礎となるマスタ情報が予めデータベースに格納されていることを前提としており、各業務毎に独立した入力画面を起動して入力作業を行う必要があり、この業務毎にデータ入力を行うために入力用の帳票を予め出力しておくことや、問合せ確認画面を常に表示しておく必要があることや、発注等の資材情報だけでは内作部品手配情報までの作成ができないために別途内作用のデータ作成を行う必要があるという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、前述の従来技術による課題を解決しようとするものであり、利用者が複数の入力画面の起動や入力用データを予め用意することなく、1つの業務画面を用いて内作手配情報までの全ての業務データの入力を行うことができる生産業務管理システム及び生産業務管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために請求項1記載の本発明は、製品の販売を管理するための受注部及び売上部とを有する販売管理部と、製品の製造を管理する生産管理部と、製品を製造するための部品の発注を行う発注部及び仕入部とを有する購買管理部と、前記部品の在庫を入庫部を用いて管理する在庫管理部と、表示部とを備えるコンピュータシステムである生産業務管理システムであって、前記生産管理部が、前記受注部が受注した受注情報に基づいて製品製造に必要な部品を展開し、発注部に展開した部品の発注を手配する手配展開部と、前記入庫部及び仕入部から仕入在庫情報を入力して部品の在庫状態を照会する在庫照会部と、前記手配展開部からの部品手配情報に基づいて在庫照会部を用いて部品の在庫状態の照会と原価管理部への部品原価情報を提供する作業指示・実績部と、前記製品の受注から製造までの進捗状況を監視する進捗管理部とをネットワークを介して接続し、1つの手配展開画面を参照して部品情報の登録・編集・削除作業と、部品に対する手配情報の補完・手配予定作成作業と、手配情報の確定・実手配作業を行うことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、製品の販売を管理するための受注部及び売上部とを有する販売管理部と、製品の製造を管理する生産管理部と、製品を製造するための部品の発注を行う発注部及び仕入部とを有する購買管理部と、前記部品の在庫を入庫部を用いて管理する在庫管理部と、表示部とを備え、前記生産管理部が、前記受注部が受注した受注情報に基づいて製品製造に必要な部品を展開し、発注部に展開した部品の発注を手配する手配展開部と、前記入庫部及び仕入部から仕入在庫情報を入力して部品の在庫状態を照会する在庫照会部と、前記手配展開部からの部品手配情報に基づいて在庫照会部を用いて部品の在庫状態の照会と原価管理部への部品原価情報を提供する作業指示・実績部と、前記製品の受注から製造までの進捗状況を監視する進捗管理部とをネットワークを介して接続するコンピュータシステムの生産業務管理方法であって、前記生産管理部が、前記受注部が受注した受注情報に基づいて製品製造に必要な部品を展開し、発注部に展開した部品の発注を手配する手配展開部と、前記入庫部及び仕入部から仕入在庫情報を入力して部品の在庫状態を照会する在庫照会部と、前記手配展開部からの部品手配情報に基づいて在庫照会部を用いて部品の在庫状態の照会と原価管理部への部品原価情報を提供する作業指示・実績部と、前記製品の受注から製造までの進捗状況を監視する進捗管理部とをネットワークを介して接続し、1つの手配展開画面を用いて、前記生産管理部に部品情報の登録・編集・削除作業を実行させ、前記在庫照会部に部品に対する手配情報の補完・手配予定作成作業を実行させ、前記作業指示・実績部に手配情報の確定・実手配作業を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明による生産業務管理システム及び生産業務管理方法は、前記生産管理部が、受注部が受注した受注情報に基づいて製品製造に必要な部品を展開して部品発注を手配する手配展開部と、前記仕入在庫情報を入力して部品の在庫状態を照会する在庫照会部と、前記部品手配情報に基づいて部品在庫状態の照会並びに作業指示を行う作業指示・実績部と、前記製品の受注から製造までの進捗状況を監視する進捗管理部とをネットワーク接続することによって、1つの手配展開画面を参照して部品情報の登録から手配を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態による生産業務管理システムの全体構成を示す図
【図2】本発明の実施形態によるデータベース構成の具体例を示す図
【図3】本発明の実施形態による生産業務管理システムのフローを示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明による生産業務管理システム及び方法の一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。本実施形態による生産業務管理システムは、図1に示す如く、製品の販売を管理するための受注部11及び売上部12とを有する販売管理部10と、製品の製造を管理する生産管理部20と、製品を製造するための部品の発注を行う発注部31及び仕入部32とを有する購買管理部30と、前記部品の在庫を入庫部41を用いて管理する在庫管理部40とを備え、前記生産管理部20は、前記受注部11が受注した受注情報に基づいて製品製造に必要な部品を展開し、発注部31に展開した部品の発注を手配する手配展開部21と、前記入庫部41及び仕入部32から仕入在庫情報を入力して部品の在庫状態を照会する在庫照会部24と、前記手配展開部21からの部品手配情報に基づいて在庫照会部24を用いて部品の在庫状態の照会と原価管理部23への部品原価情報を提供する作業指示・実績部22と、前記製品の受注から製造までの進捗状況を監視する進捗管理部25とを備え、これら構成はネットワーク接続されたコンピュータのソフトウェアの機能によって構築されていても良い。
【0012】
このように構成された生産業務管理システムは、販売管理部10からの受注情報を生産管理部20に渡すことにより、手配展開を最初から入力することなく情報登録を行うことができる共に、発注部31への部品発注との関連付けも行うことができ、さらに、生産管理部20における手配展開部21によって、作業指示や発注(外注も含む)の手配情報が作成され、原価管理部23や購買管理部24へ情報が渡されるため、最初から原価情報や発注情報を入力することを防止することができる。
【0013】
本実施形態による生産業務管理システムに必要なデータベースの構成は、図2に示す如く、目標原価マスタ50と品目マスタ51と品目構成マスタ52と部門マスタ53と取引先マスタ54と原価マスタ55と在庫原価マスタ56と工程マスタ57と部門工程マスタ58と現在庫マスタ62と予定在庫マスタ63と製番マスタ64と生産指示マスタ65と生産関連マスタ66と製番関連マスタ67と手配マスタ68と作業指示マスタ69と発注予定マスタ70と予定原価マスタ71と所要量マスタ72と在庫更新ジャーナル73と発注マスタ74と、これらを接続するネットワークとを備え、利用者が手配展開入力画面60を参照し、部品情報を、部品自体の手配基礎情報及び部品を構成する子部品との親子関係(部品構成情報)で構成し、部品登録機能部80が、部品自体の属性情報を品目マスタ51を参照して管理し、部品構成情報を品目構成マスタ52を参照して管理し、手配先情報を部門マスタ53及び取引先マスタ54を参照して管理し、原価情報を原価マスタ55及び在庫原価マスタ56を参照して管理し、作業情報を作業工程マスタ57及び部門工程マスタ58を参照して管理することによって、利用者が、製品を構成する部品情報の登録と編集と削除作業を1つの画面を用いて実施することができる。
【0014】
また、本実施形態による生産業務管理システムは、部品手配機能部81が、部品発注のための手配情報を発注予定マスタ70及び手配マスタ68を参照して管理し、内作のための手配情報を作業指示マスタ69及び手配マスタ68を参照して管理し、外注のための手配情報を発注予定マスタ70及び手配マスタ68を参照して管理し、在庫情報を予定在庫マスタ63を参照して管理し、原価情報を予定在庫マスタ63を参照して管理することによって、部品に対する手配情報の補完及び手配予定の作成を行うことができる。さらに、本実施形態による生産業務管理システムは、部品手配実行機能部83が、発注確定の手配情報を発注マスタ74を参照して管理することによって、手配情報の確定及び実手配を行うように動作する。
【0015】
このように構成された生産業務管理システムは、図3に示す如く、設計情報101から部品表102を作成し、この部品表102に基づいて部品の手配計画103を立案するものであって、この手配計画103は、各部材(購入品、外注品、内作品)の手配スケジュールの策定を行うものであって、購入品・外作品104について部材の発注計画105を立案して仕入れ106を行うことと、加工品107について作業計画108を立案し、内作工程109によって内作の作業実施111又は外作工程110によって仕入112を行い、これら手配展開入力の手配計画から部発注計画・作業計画までを1つの画面を参照して行うことができる。
【符号の説明】
【0016】
10 販売管理部、11 受注部、12 売上部、20 生産管理部、
21 手配展開部、22 作業指示・実績部、23 原価管理部、
24 購買管理部、24 在庫照会部、25 進捗管理部、30 購買管理部、
31 発注部、32 仕入部、40 在庫管理部、41 入庫部、
50 目標原価マスタ、51 品目マスタ、52 品目構成マスタ、
53 部門マスタ、54 取引先マスタ、55 原価マスタ、
56 在庫原価マスタ、57 作業工程マスタ、58 部門工程マスタ、
60 手配展開入力画面、62 現在庫マスタ、63 在庫予定マスタ、
64 製番マスタ、65 生産指示マスタ、66 生産関連マスタ、
67 製番関連マスタ、68 手配マスタ、69 作業指示マスタ、
70 発注予定マスタ、71 予定原価マスタ、72 所要量マスタ、
73 在庫更新ジャーナル、74 発注マスタ、80 部品登録機能部、
81 部品手配機能部、83 部品手配実行機能部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の販売を管理するための受注部及び売上部とを有する販売管理部と、製品の製造を管理する生産管理部と、製品を製造するための部品の発注を行う発注部及び仕入部とを有する購買管理部と、前記部品の在庫を入庫部を用いて管理する在庫管理部と、表示部とを備えるコンピュータシステムである生産業務管理システムであって、前記生産管理部が、前記受注部が受注した受注情報に基づいて製品製造に必要な部品を展開し、発注部に展開した部品の発注を手配する手配展開部と、前記入庫部及び仕入部から仕入在庫情報を入力して部品の在庫状態を照会する在庫照会部と、前記手配展開部からの部品手配情報に基づいて在庫照会部を用いて部品の在庫状態の照会と原価管理部への部品原価情報を提供する作業指示・実績部と、前記製品の受注から製造までの進捗状況を監視する進捗管理部とをネットワークを介して接続し、1つの手配展開画面を参照して部品情報の登録・編集・削除作業と、部品に対する手配情報の補完・手配予定作成作業と、手配情報の確定・実手配作業を行う生産業務管理システム。
【請求項2】
製品の販売を管理するための受注部及び売上部とを有する販売管理部と、製品の製造を管理する生産管理部と、製品を製造するための部品の発注を行う発注部及び仕入部とを有する購買管理部と、前記部品の在庫を入庫部を用いて管理する在庫管理部と、表示部とを備え、前記生産管理部が、前記受注部が受注した受注情報に基づいて製品製造に必要な部品を展開し、発注部に展開した部品の発注を手配する手配展開部と、前記入庫部及び仕入部から仕入在庫情報を入力して部品の在庫状態を照会する在庫照会部と、前記手配展開部からの部品手配情報に基づいて在庫照会部を用いて部品の在庫状態の照会と原価管理部への部品原価情報を提供する作業指示・実績部と、前記製品の受注から製造までの進捗状況を監視する進捗管理部とをネットワークを介して接続するコンピュータシステムの生産業務管理方法であって、前記生産管理部が、前記受注部が受注した受注情報に基づいて製品製造に必要な部品を展開し、発注部に展開した部品の発注を手配する手配展開部と、前記入庫部及び仕入部から仕入在庫情報を入力して部品の在庫状態を照会する在庫照会部と、前記手配展開部からの部品手配情報に基づいて在庫照会部を用いて部品の在庫状態の照会と原価管理部への部品原価情報を提供する作業指示・実績部と、前記製品の受注から製造までの進捗状況を監視する進捗管理部とをネットワークを介して接続し、1つの手配展開画面を用いて、前記生産管理部に部品情報の登録・編集・削除作業を実行させ、前記在庫照会部に部品に対する手配情報の補完・手配予定作成作業を実行させ、前記作業指示・実績部に手配情報の確定・実手配作業を実行させる生産業務管理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−113412(P2012−113412A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260159(P2010−260159)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000152985)株式会社日立情報システムズ (409)