説明

生産管理システム

【課題】仕掛品に係る作業指示および作業順序を含む仕掛作業に関する仕掛情報が、複数のサーバ間にわたって分散管理されている場合であっても、仕掛情報へのアクセスを円滑に行う。
【解決手段】仕掛情報アクセス要求処理部35は、いずれかの仕掛情報へのアクセスを伴う処理の要求が生じた場合、アクセス先となる仕掛情報に係る工程に関連づけられた仕掛情報管理IDを仕掛情報管理マスタ31から取得すると共に、該取得した仕掛情報管理IDに関連づけられたアクセス情報を仕掛情報アクセスマスタ33から取得し、該取得したアクセス情報を用いて、仕掛情報管理部21で管理されている仕掛情報のうち対応する仕掛情報へアクセスして、要求に係る処理を行うように動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の仕掛品に対して所定の作業を順番に行う複数種類の工程を有する生産ラインに用いられる生産管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工業製品を効率よく大量生産するために、複数の仕掛品に対して所定の作業を順番に行う複数種類の工程を有する生産ラインが用いられている。このうち、例えば、溶接工程・塗装工程・組立工程などの複数種類の工程を有する自動車の生産ラインでは、ひとつのラインを用いて複数の車種を生産する、いわゆる多品種混合生産を行うものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−039713号公報
【特許文献2】特開2010−244200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2に示すような多品種混合生産において、例えば組立工程ではそれぞれの車種毎に異なる部品が取り付けられるなど、各工程単位毎の作業指示内容は、複数の車種間において異なる場合が多い。このような多品種混合生産ラインでは、どの工程においてどの仕掛品に対しどのような作業が進行中であるのかに関する仕掛情報を、仕掛品の現在位置に追従させながら、リアルタイムかつ適確に管理することがきわめて重要である。
【0005】
このように重要な管理対象として位置づけられる仕掛情報にあっては、例えば、複数のサーバ間にわたって分散管理される場合がある。この場合において、複数のサーバ間にわたって分散管理された仕掛情報に対し、あるサーバからアクセスを試みた際に、その仕掛情報へのアクセスが不調となることがあった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、仕掛品に係る作業指示および作業順序を含む仕掛作業に関する仕掛情報が、複数のサーバ間にわたって分散管理されている場合であっても、仕掛情報へのアクセスを円滑に行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の仕掛品に対して所定の作業を順番に行う複数種類の工程を有する生産ラインに用いられる生産管理システムであって、前記仕掛品に係る作業指示および作業順序を含む仕掛作業に関する仕掛情報を、前記複数種類の工程単位毎に区分して管理する仕掛情報管理部と、前記複数種類の工程のそれぞれに係る前記仕掛情報を区分して管理するための仕掛情報管理識別情報を、前記複数種類の工程のそれぞれに関連づけて記憶する仕掛情報管理マスタと、複数の前記仕掛情報管理識別情報のそれぞれに対し、対応する工程に係る前記仕掛情報へアクセスするためのアクセス情報を関連づけて記憶する仕掛情報アクセスマスタと、いずれかの前記仕掛情報へのアクセスを伴う処理の要求が生じた場合、該アクセス先となる前記仕掛情報に係る工程に関連づけられた前記仕掛情報管理識別情報を前記仕掛情報管理マスタから取得すると共に、該取得した前記仕掛情報管理識別情報に関連づけられた前記アクセス情報を前記仕掛情報アクセスマスタから取得し、該取得した前記アクセス情報を用いて、前記仕掛情報管理部で管理されている前記仕掛情報のうち対応する仕掛情報へアクセスして、前記要求に係る処理を行う仕掛情報アクセス要求処理部と、を備えることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、仕掛品に係る作業指示および作業順序を含む仕掛作業に関する仕掛情報が、複数のサーバ間にわたって分散管理されている場合であっても、仕掛情報へのアクセスを円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る生産管理システムの概要を表す機能ブロック図である。
【図2A】仕掛工程が塗装工程1である場合の、仕掛情報データベースに蓄積された仕掛情報のデータ構造の一例を表す説明図である。
【図2B】仕掛工程が塗装工程2である場合の、仕掛情報データベースに蓄積された仕掛情報のデータ構造の一例を表す説明図である。
【図3A】複数の仕掛工程のそれぞれに関係付けられた仕掛情報管理IDを表す仕掛情報管理マスタテーブルの一例を表す説明図である。
【図3B】複数の仕掛情報管理IDのそれぞれに関係付けられたアクセス情報を表す仕掛情報アクセスマスタテーブルの一例を表す説明図である。
【図4A】本発明の実施形態に係る生産管理システムの構成要素のうち、仕掛情報アクセス要求処理部の動作説明に供するフローチャート図である。
【図4B】本発明の実施形態に係る生産管理システムの構成要素のうち、仕掛情報管理部の動作説明に供するフローチャート図である。
【図4C】本発明の実施形態に係る生産管理システムの構成要素のうち、仕掛情報管理部の動作説明に供するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る生産管理システムについて、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
(本発明の実施形態に係る生産管理システム11の概要)
初めに、本発明の実施形態に係る生産管理システム11の概要について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る生産管理システム11の概要を表す機能ブロック図である。生産管理システム11は、図1に示すように、第1工程管理サーバ13と、第2工程管理サーバ15と、第1及び第2工程管理サーバ13,15間を相互に接続する通信線17とを備え、生産ライン19を管理するように構成されている。
【0012】
第1工程管理サーバ13は、図1に示すように、仕掛情報管理部21と、仕掛品検知部27と、修正入出力部29と、仕掛情報管理マスタテーブル(以下、“仕掛情報管理マスタ”と省略する場合がある。)31と、仕掛情報アクセスマスタテーブル(以下、“仕掛情報アクセスマスタ”と省略する場合がある。)33と、仕掛情報アクセス要求処理部35と、バスライン37とを備えて構成されている。
なお、第1工程管理サーバ13は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えた不図示のマイクロコンピュータ(以下“マイコン”という。)により構成される。このマイコンは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行し、後記する仕掛情報管理部21や仕掛情報アクセス要求処理部35などの各種機能部の実行制御を行うように機能する。
【0013】
仕掛情報管理部21は、仕掛品に係る作業指示および作業順序を含む仕掛作業に関する仕掛情報(後記の図2A,図2B参照)を、複数種類の工程単位毎に区分して管理する機能を有する。この仕掛情報管理機能を果たすために、仕掛情報管理部21は、図1に示すように、仕掛情報をデータベース化した仕掛情報データベース22を備えている。仕掛情報データベース22は、図1に示すように、仕掛工程の種類を表す仕掛工程データ23、および、仕掛作業データ25を含んで構成されている。
【0014】
〔仕掛情報データベース22に蓄積された仕掛情報のデータ構造〕
ここで、仕掛情報データベース22のデータ構造について、図2A,図2Bを参照して説明する。図2A,図2Bは、仕掛工程が塗装工程1または塗装工程2である場合の、仕掛情報データベース22に蓄積された仕掛情報のデータ構造の一例を表す説明図である。
【0015】
図2Aに示す例では、仕掛情報データベース22は、仕掛工程の種類が“塗装工程1”である旨を表す仕掛工程データ23を構成単位として、“塗装工程1”での作業順序23aを表す番号にそれぞれ関連づけて、仕掛品としての仕掛車両を一意に識別するための仕掛車両ID(本発明の“仕掛品識別情報”に相当する。)23b、および、仕掛品に係る作業指示1−1〜3(23c〜23e)を記憶して構成されている。
なお、仕掛品に係る作業指示1−1〜3(23c〜23e)とは、例えば、“塗装工程1”のステージに配設された不図示の塗装ロボットに対する各種の作業指示が相当する。
【0016】
図2Bに示す例では、仕掛情報データベース22は、仕掛工程の種類が“塗装工程2”である旨を表す仕掛工程データ23を構成単位として、“塗装工程2”での作業順序23fを表す番号にそれぞれ関連づけて、仕掛車両ID(仕掛品識別情報)23g、および、仕掛品に係る作業指示2−1〜3(23h〜23j)を記憶して構成されている。
なお、仕掛品に係る作業指示2−1〜3(23h〜23j)とは、例えば、“塗装工程2”のステージに配設された不図示の塗装ロボットに対する各種の作業指示が相当する。
【0017】
さて、第1工程管理サーバ13の構成に戻って説明を続けると、仕掛品検知部27は、複数種類の工程のそれぞれに投入されてきた仕掛車両43に付されている仕掛車両ID(仕掛品識別情報)を、投入された工程の種別と共に、後記するICタグリーダ47aなどを介して検知する機能を有する。
【0018】
修正入出力部29は、仕掛作業に係るデータの修正要求が生じた際に、この修正要求データに係る入出力を、後記する修正入出力部55a〜55cおよび仕掛情報管理部21間において仲介する機能を有する。
【0019】
〔仕掛情報管理マスタ31および仕掛情報アクセスマスタ33のデータ構造〕
ここで、仕掛情報管理マスタ31および仕掛情報アクセスマスタ33に係るテーブルのデータ構造について、図3A,図3Bを参照して説明する。図3Aは、複数の仕掛工程のそれぞれに関係付けられた仕掛情報管理IDを表す仕掛情報管理マスタテーブル31の一例を表す説明図である。図3Bは、複数の仕掛情報管理IDのそれぞれに関係付けられたアクセス情報を表す仕掛情報アクセスマスタテーブル33の一例を表す説明図である。
【0020】
仕掛情報管理マスタ31は、図3Aに示すように、複数種類の工程のそれぞれに係る仕掛情報を区分して管理するための仕掛情報管理ID(本発明の“仕掛情報管理識別情報”に相当する)を、複数種類の工程のそれぞれに関連づけて記憶している。この仕掛情報管理マスタ31は、後記するように、仕掛情報(仕掛情報データベース22)へのアクセス要求が生じた際、このアクセス要求が生じた仕掛工程の種別に基づいて、対応する仕掛情報管理IDを取得する際に参照される。
【0021】
なお、仕掛情報(仕掛情報データベース22)へのアクセス要求が生じる場面は大きくふたつある。一つめは、例えば、図1に示す塗装工程実行制御部(仕掛作業実行制御部)51において、仕掛情報データベース22の記憶内容のうち所要の仕掛情報を参照して、仕掛工程である塗装工程1,2を実行する場面である。二つめは、例えば、図1に示す修正入出力部55bなどから入力される仕掛情報の修正要求に従って、仕掛情報データベース22の記憶内容を書き換え更新する場面である。
【0022】
また、本発明の“仕掛情報へのアクセスを伴う処理の要求”とは、仕掛工程の実行要求、または、仕掛情報の修正要求を意味する。
【0023】
仕掛情報アクセスマスタ33は、図3Bに示すように、複数の仕掛情報管理IDのそれぞれに対し、対応する工程に係る仕掛情報へアクセスするためのアクセス情報を関連づけて記憶している。アクセス情報としては、図3Bに示すように、複数のサーバを一意に識別するためのサーバID(図3Bの例では、例えばサーバ名)、アクセス先サーバに係るIPアドレス(グローバルアドレスか、ローカルアドレスかを問わない)、アクセス先サーバに係るPORT番号などの組み合わせを採用することができる。この仕掛情報アクセスマスタ33は、後記するように、仕掛情報へのアクセス要求が生じた際であって、このアクセス要求が生じた仕掛工程に対応する仕掛情報管理IDが取得された場合に、取得された仕掛情報管理IDに基づいて、対応する工程に係る仕掛情報へアクセスするためのアクセス情報を取得する際に参照される。
【0024】
さて、第1工程管理サーバ13の構成に戻って説明を続けると、仕掛情報アクセス要求処理部35は、いずれかの仕掛情報へのアクセスを伴う処理の要求が生じた場合、該アクセス先となる仕掛情報に係る工程に関連づけられた仕掛情報管理IDを仕掛情報管理マスタ31から取得すると共に、該取得した仕掛情報管理IDに関連づけられたアクセス情報を仕掛情報アクセスマスタ33から取得し、該取得したアクセス情報を用いて、仕掛情報管理部21で管理されている仕掛情報のうち対応する仕掛情報へアクセスして、要求に係る処理を行う機能を有する。
【0025】
バスライン37は、仕掛情報管理部21、仕掛品検知部27、修正入出力部29、仕掛情報管理マスタ31、仕掛情報アクセスマスタ33、および、仕掛情報アクセス要求処理部35のそれぞれの間における双方向のデータ交換機能を有して構成されている。
なお、第2工程管理サーバ15の構成は、前記した第1工程管理サーバ13の構成と同じである。そこで、説明の重複を避けるために、第2工程管理サーバ15に係る構成の説明を省略する。
【0026】
〔生産ライン19の概略構造〕
次に、本発明の実施形態に係る生産管理システム11によって管理される生産ライン19の概略構造について、図1を参照して説明する。生産ライン19は、図1に示すように、複数の仕掛車両43に対して所定の作業を順番に行う複数種類の工程(図1の例では、溶接工程1、溶接工程2、塗装工程1、塗装工程2、組立工程1、組立工程2)を有して構成されている。生産ライン19は、屋内の適宜の場所に設けられた不図示の搬送ラインに沿って線状に延びるように形成されている。この生産ライン19には、仕掛車両43が、搬送ラインに沿って流れるようになっている。
【0027】
仕掛車両43には、それぞれの仕掛車両43を一意に識別するための仕掛車両IDを記憶したICタグ45が設けられている。また、生産ライン19における相互に異なる工程の間であって、仕掛車両43の搬送ラインの近傍には、ICタグ45の情報を読み取り可能なICタグリーダ47が設けられている。具体的には、生産ライン19のうち、溶接工程1の直前位置にICタグリーダ47aが、溶接工程1および溶接工程2の間にICタグリーダ47bが、溶接工程2および塗装工程1の間にICタグリーダ47cが、塗装工程1および塗装工程2の間にICタグリーダ47dが、塗装工程2および組立工程1の間にICタグリーダ47eが、組立工程1および組立工程2の間にICタグリーダ47fが、組立工程2の直後位置にICタグリーダ47gが、それぞれ設けられている。
【0028】
第1群のICタグリーダ47a〜47dは、第1工程管理サーバ13の仕掛品検知部27に接続されている。従って、第1工程管理サーバ13の仕掛品検知部27には、どの仕掛工程にどの仕掛車両43が現実に位置しているのかに関する仕掛車両43の現在位置情報が、リアルタイムで伝えられる。これにより、搬送ラインに沿って仕掛車両43が移動してゆく場合に、この移動に伴って、どの仕掛工程にどの仕掛車両43が現実に位置しているのかに関する仕掛車両43の現在位置情報を、仕掛品検知部27において適確に把握することができる。
【0029】
また、第2群のICタグリーダ47e〜47gは、第2工程管理サーバ15の仕掛品検知部(不図示)に接続されている。従って、第2工程管理サーバ15の仕掛品検知部には、第1工程管理サーバ13の場合と同様に、どの仕掛工程にどの仕掛車両43が現実に位置しているのかに関する仕掛車両43の現在位置情報が、リアルタイムで伝えられる。これにより、搬送ラインに沿って車両43が移動してゆく場合において、この移動に伴って、どの仕掛工程にどの仕掛車両43が現実に位置しているのかに関する仕掛車両43の現在位置情報を、仕掛品検知部において適確に把握することができる。
【0030】
溶接工程1の近傍には、図1に示すように、クライアント端末48aが設けられている。クライアント端末48aは、例えば、生産ライン19中の溶接工程1,2の適所に配設された不図示の溶接ロボットによる溶接作業の実行制御などを行う機能を有する。このクライアント端末48aは、溶接作業実行制御部(本発明の“仕掛作業実行制御部”に相当する)49と、修正入出力部55aと、不図示の操作表示部とを備えて構成されている。
【0031】
溶接作業実行制御部49は、対応する溶接工程1,2に係る仕掛情報に基づいて、溶接ロボットによる仕掛溶接作業の実行制御を行う機能を有する。修正入出力部55aは、溶接工程1,2の仕掛溶接作業に係るデータの修正要求が生じた際に用いられる。操作表示部は、例えばキーボード、マウス、液晶ディスプレイなどから構成され、仕掛情報データベース22に蓄積されている仕掛情報のうち、所要の仕掛情報を指定して閲覧・修正する際などに用いられる。
なお、クライアント端末48aにおいて生じる仕掛情報へのアクセス要求としては、溶接作業実行制御部49からの仕掛情報の参照要求、および、修正入出力部55aからの仕掛情報の修正を伴う参照更新要求のふたつがある。
【0032】
また、塗装工程1の近傍には、図1に示すように、クライアント端末48bが設けられている。クライアント端末48bは、例えば、生産ライン19中の塗装工程1,2の適所に配設された不図示の溶接ロボットによる塗装作業の実行制御などを行う機能を有する。このクライアント端末48bは、塗装作業実行制御部(本発明の“仕掛作業実行制御部”に相当する)51と、修正入出力部55bと、不図示の操作表示部とを備えて構成されている。
【0033】
塗装作業実行制御部51は、対応する塗装工程1,2に係る仕掛情報に基づいて、塗装ロボットによる仕掛塗装作業の実行制御を行う機能を有する。修正入出力部55bは、塗装工程1,2の仕掛塗装作業に係るデータの修正要求が生じた際に用いられる。操作表示部は、仕掛情報データベース22に蓄積されている仕掛情報のうち、所要の仕掛情報を指定して閲覧・修正する際などに用いられる。
なお、クライアント端末48bにおいて生じる仕掛情報へのアクセス要求としては、塗装作業実行制御部51からの仕掛情報の参照要求、および、修正入出力部55bからの仕掛情報の修正を伴う参照更新要求のふたつがある。
【0034】
また、組立工程1の近傍には、図1に示すように、クライアント端末48cが設けられている。クライアント端末48cは、例えば、生産ライン19中の組立工程1,2の適所に配設された不図示の溶接ロボットによる組立作業の実行制御などを行う機能を有する。このクライアント端末48cは、組立作業実行制御部(本発明の“仕掛作業実行制御部”に相当する)53と、修正入出力部55cと、不図示の操作表示部とを備えて構成されている。
【0035】
組立作業実行制御部53は、対応する組立工程1,2に係る仕掛情報に基づいて、組立ロボットによる仕掛組立作業の実行制御を行う機能を有する。修正入出力部55cは、組立工程1,2の仕掛組立作業に係るデータの修正要求が生じた際に用いられる。操作表示部は、仕掛情報データベース22に蓄積されている仕掛情報のうち、所要の仕掛情報を指定して閲覧・修正する際などに用いられる。
なお、クライアント端末48cにおいて生じる仕掛情報へのアクセス要求としては、組立作業実行制御部53からの仕掛情報の参照要求、および、修正入出力部55cからの仕掛情報の修正を伴う参照更新要求のふたつがある。
【0036】
そして、生産ライン19から所定距離離れた場所(例えば、生産ライン19を監視する監視所など)には、図1に示すように、クライアント端末59が設けられている。このクライアント端末59は、生産ライン19中のいずれかの工程における仕掛情報の閲覧や、仕掛作業に係るデータ修正を行う際などに用いられる。これら仕掛情報の閲覧(参照要求)や仕掛作業に係るデータ修正(参照更新要求)を行う際、クライアント端末59において、仕掛情報へのアクセス要求が生じる。
【0037】
前記したクライアント端末48a〜48c,59は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えたマイコンを搭載して構成される。このマイコンは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行し、生産ライン19中のいずれかの工程における仕掛情報の閲覧(参照要求)や、仕掛作業に係るデータ修正(参照更新要求)に関する実行制御を行うように機能する。
【0038】
このように構成されたクライアント端末48a〜48c,59は、図1に示すように、通信線57を介して第1工程管理サーバ13の修正入出力部29に接続されている。従って、第1工程管理サーバ13の修正入出力部29には、本発明の“アクセス要求”に相当する仕掛作業に係るデータの修正要求(参照更新要求)が、通信線57を介してクライアント側のクライアント端末48a〜48c,59から送られる。また、これとは逆に、クライアント端末48a〜48cの修正入出力部55a〜55cには、仕掛情報のうち作業指示に係るデータ(アクセス要求に対する応答データ)が、通信線57を介してサーバ側の第1工程管理サーバ13から送られる。
【0039】
また、前記したクライアント端末48a〜48c,59は、図1に示すように、通信線57を介して第2工程管理サーバ15の修正入出力部(不図示)に接続されている。従って、第2工程管理サーバ15の修正入出力部には、本発明の“アクセス要求”に相当する仕掛作業に係るデータの修正要求(参照更新要求)が、通信線57を介してクライアント側のクライアント端末48a〜48c,59から送られる。また、これとは逆に、クライアント端末48a〜48cの修正入出力部55a〜55cには、仕掛情報のうち作業指示に係るデータ(アクセス要求に対する応答データ)が、通信線57を介してサーバ側の第2工程管理サーバ15から送られる。
【0040】
(本発明の実施形態に係る生産管理システム11;仕掛情報アクセス要求処理部35の動作)
次に、本発明の実施形態に係る生産管理システム11の構成要素のうち、仕掛情報アクセス要求処理部35の動作について、図4Aを参照して説明する。図4Aは、仕掛情報アクセス要求処理部35の動作説明に供するフローチャート図である。図4Aに示す処理の流れは、仕掛情報へのアクセスを伴う処理(例えば、仕掛情報に係る内容修正等の参照更新処理)の要求が生じた場合に開始される。
なお、図4Aに示す動作例では、修正対象となる仕掛工程の種別および車両IDを指定した上で、仕掛情報の作業指示に係る内容修正を伴う参照更新要求が、クライアント端末48aの修正入出力部55aにおいて生じ、かつ、この参照更新要求が、通信線57を介して第1工程管理サーバ13へ送信されたケースをあげて説明する。
【0041】
図4Aに示すステップS11において、クライアント端末48aから送信されてきた参照更新要求には、修正対象となる仕掛工程の種別が含まれているので、第1工程管理サーバ13の仕掛情報アクセス要求処理部35は、参照更新要求に含まれている修正対象となる仕掛工程の種別に係る情報を用い、仕掛情報管理マスタ31を参照して、修正対象となる仕掛工程の種別に対応する仕掛情報管理IDを取得する。
【0042】
図4Aに示すステップS12において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報アクセス要求処理部35は、ステップS11で取得した仕掛情報管理IDを検索の主キーとして用い、仕掛情報アクセスマスタ33を参照して、修正対象となる仕掛工程に係る仕掛情報へアクセスするためのアクセス情報を取得する。
具体的には、仕掛情報アクセス要求処理部35は、例えば図3Bに示すように、修正対象となる仕掛工程に係る仕掛情報を蓄積しているアクセス先サーバ(本例では、第1工程管理サーバ13とする。)のサーバID、同アクセス先サーバに係るIPアドレス、および、同アクセス先サーバに係るPORT番号の組み合わせに係るデータを、アクセス情報として取得する。
【0043】
図4Aに示すステップS13において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報アクセス要求処理部35は、ステップS12で取得したアクセス情報を用いて、仕掛情報管理部21の仕掛情報データベース22に蓄積管理されている仕掛情報のうち、修正対象となる仕掛工程に係る仕掛情報へのアクセスに係る処理を実行する。
具体的には、例えば、“溶接工程1”または“溶接工程2”を担当するクライアント端末48aから送信されてきた参照更新要求であるので、修正対象となる仕掛工程の種別は“溶接工程1”または“溶接工程2”である。仕掛情報管理マスタ31からは、図3Aに示すように、仕掛情報管理IDとして“TR01”が取得される。仕掛情報アクセスマスタ33からは、図3Bに示すように、サーバIDとして“第1工程管理サーバ”、つまり自身のサーバ13である旨が取得される。
従って、第1工程管理サーバ13の仕掛情報アクセス要求処理部35は、自身のサーバ13に対して、修正対象となる仕掛工程に係る仕掛情報へのアクセスに係る処理を実行する。
【0044】
図4Aに示すステップS14において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報アクセス要求処理部35は、ステップS13に係る仕掛情報へのアクセス処理が正常に完了したか否かを判定する。ステップS14では、修正対象となる仕掛工程に係る仕掛情報を取得できた場合に、仕掛情報へのアクセス処理が正常に完了した旨の判定が下される。これに対し、修正対象となる仕掛工程に係る仕掛情報を取得できない場合は、仕掛情報へのアクセス処理が正常に完了しない(異常)旨の判定が下される。
なお、修正対象となる仕掛工程に係る仕掛情報を取得できたか否かは、例えば、クライアント端末48aから送信されてきた参照更新要求に係る通信データ中に含まれるチェックサムなどを用いて判定すればよい。
【0045】
ステップS14の判定の結果、仕掛情報へのアクセス処理が正常に完了しない(異常)旨の判定が下された場合、ステップS15において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報アクセス要求処理部35は、仕掛情報アクセスエラーを、当事者であるクライアント端末48a宛に通知する。これにより、クライアント端末48aでは、仕掛情報アクセスエラーが生じた旨を即時に知ることができる。
なお、クライアント端末48aから送信されてきた参照更新要求に係る通信データ中には、送信元アドレスとしてクライアント端末48aのIPアドレスが含まれている。このため、第1工程管理サーバ13の仕掛情報アクセス要求処理部35は、仕掛情報アクセスエラーを、クライアント端末48a宛に返信することができる。
【0046】
一方、ステップS14の判定の結果、仕掛情報へのアクセス処理が正常に完了した旨の判定が下された場合、ステップS16において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報アクセス要求処理部35は、仕掛情報の作業指示に係る内容修正を伴う仕掛情報参照更新要求を、仕掛情報管理部21宛に送信する。
【0047】
図4Aに示すステップS17において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報アクセス要求処理部35は、仕掛情報の作業指示に係る内容修正を伴う仕掛情報参照更新要求の送信処理が正常に完了したか否かを判定する。ステップS17では、仕掛情報参照更新要求を受信した旨の返信を仕掛情報管理部21から受けた場合に、仕掛情報参照更新要求の送信処理が正常に完了した旨の判定が下される。これに対し、仕掛情報参照更新要求を受信した旨の返信を仕掛情報管理部21から所定時間以内に受けない場合は、仕掛情報参照更新要求の送信処理が正常に完了しない(異常)旨の判定が下される。
【0048】
ステップS17の判定の結果、仕掛情報参照更新要求の送信処理が正常に完了しない(異常)旨の判定が下された場合、ステップS18において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報アクセス要求処理部35は、仕掛情報参照更新要求エラーを、当事者であるクライアント端末48a宛に通知する。これにより、クライアント端末48aでは、仕掛情報参照更新要求エラーが生じた旨を即時に知ることができる。
なお、前記した通り、クライアント端末48aから送信されてきた参照更新要求に係る通信データ中には、送信元アドレスとしてクライアント端末48aのIPアドレスが含まれている。このため、第1工程管理サーバ13の仕掛情報アクセス要求処理部35は、仕掛情報参照更新要求エラーを、クライアント端末48a宛に返信することができる。
【0049】
一方、ステップS17の判定の結果、仕掛情報参照更新要求の送信処理が正常に完了した旨の判定が下された場合、ステップS19において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報アクセス要求処理部35は、仕掛情報参照更新要求に対する応答である仕掛情報参照更新応答(例えば、“REQUEST”に対する“ACK”など)を、仕掛情報管理部21から受信する。
【0050】
図4Aに示すステップS20において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報アクセス要求処理部35は、仕掛情報参照更新応答を正常に受信できたか否かを判定する。ステップS20では、仕掛情報参照更新応答を所定時間以内に仕掛情報管理部21から受けた場合に、仕掛情報参照更新応答を正常に受信した旨の判定が下される。これに対し、仕掛情報参照更新応答を所定時間以内に仕掛情報管理部21から受けない場合は、仕掛情報参照更新応答を正常に受信しない(異常)旨の判定が下される。
【0051】
ステップS20の判定の結果、仕掛情報参照更新応答を正常に受信しない(異常)旨の判定が下された場合、図4Aに示すステップS21において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報アクセス要求処理部35は、仕掛情報参照更新要求に対する応答エラーを、当事者であるクライアント端末48a宛に通知する。これにより、クライアント端末48aでは、参照更新要求に対する応答エラーが生じた旨を即時に知ることができる。
【0052】
一方、ステップS20の判定の結果、参照更新要求に対する応答を正常に受信した旨の判定が下された場合、第1工程管理サーバ13の仕掛情報アクセス要求処理部35は、参照更新要求に対する応答を正常に受信した旨を、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21に送った後、一連の処理の流れを終了させる。
【0053】
(本発明の実施形態に係る生産管理システム11;仕掛情報管理部21の動作)
次に、本発明の実施形態に係る生産管理システム11の構成要素のうち、仕掛情報管理部21の動作について、図4B,図4Cを参照して説明する。図4B,図4Cは、本発明の実施形態に係る生産管理システム11の構成要素のうち、仕掛情報管理部21の動作説明に供するフローチャート図である。図4Bに示す処理の流れは、図4Aに示す処理の流れと同様に、仕掛情報へのアクセスを伴う処理(例えば、クライアント端末48aなどによる仕掛情報に係る参照更新処理)の要求が生じた場合に開始される。
なお、図4Bに示す動作例では、図4Aに示す動作例と同様に、修正対象となる仕掛工程の種別および車両IDを指定した上で、仕掛情報の作業指示に係る内容修正を伴う参照更新要求が、クライアント端末48aにおいて生じたケースをあげて説明する。
【0054】
図4Bに示すステップS31において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21は、自身が管理している仕掛情報へのアクセス要求の有無を常時監視している。
【0055】
図4Bに示すステップS31の監視中に、クライアント端末48aからの参照更新要求、つまり、仕掛情報へのアクセス要求を、仕掛情報アクセス要求処理部35を介して検知すると、ステップS32において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21は、アクセス要求に従う仕掛情報を、仕掛情報データベース22から読み出して、RAMのワークエリアに展開する。
なお、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21は、第1工程管理サーバ13の仕掛情報アクセス要求処理部35から、図4Aに示すステップS20の判定結果として参照更新要求に対する応答を正常に受信した旨を受信した場合に、仕掛情報へのアクセス要求ありとの判定を下す。
【0056】
図4Bに示すステップS33において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21は、アクセス要求に従う仕掛情報の展開が正常に完了したか否かを判定する。この判定は、例えば、アクセス要求に従う仕掛情報のデータ量と、前記の展開前後におけるRAMのワークエリアの変化量とを比較判定することにより行えばよい。
【0057】
ステップS33の判定の結果、アクセス要求に従う仕掛情報の展開が正常に完了しない(異常)旨の判定が下された場合、図4Bに示すステップS34において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21は、仕掛情報の展開エラーを、第1工程管理サーバ13の仕掛情報アクセス要求処理部35を介して、当事者であるクライアント端末48a宛に通知する。これにより、クライアント端末48aでは、仕掛情報の展開エラーが生じた旨を即時に知ることができる。
【0058】
一方、ステップS33の判定の結果、アクセス要求に従う仕掛情報の展開が正常に完了した旨の判定が下された場合、図4Bに示すステップS35において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21は、第1工程管理サーバ13の仕掛情報アクセス要求処理部35から送信されてきた参照更新要求を正式に受け付ける仕掛情報参照更新要求受付処理を起動する。
なお、“参照更新要求を正式に受け付ける”とは、参照更新要求に係る処理を先に進めることができる状態になったことを意味する。逆に言えば、アクセス要求に従う仕掛情報の展開が正常に完了する以前は、参照更新要求に係る処理を先に進めることができず、仮に受け付けた状態にとどまるといえる。
【0059】
図4Bに示すステップS36において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21は、仕掛情報参照更新要求受付処理が正常に起動したか否かを判定する。この判定は、仕掛情報参照更新要求受付処理の進捗状況を監視することにより行われる。
【0060】
ステップS36の判定の結果、仕掛情報参照更新要求受付処理が正常に起動しない(異常)旨の判定が下された場合、図4Bに示すステップS37において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21は、(仕掛情報参照更新要求)受付処理の起動エラーを、第1工程管理サーバ13の仕掛情報アクセス要求処理部35を介して、当事者であるクライアント端末48a宛に通知する。これにより、クライアント端末48aでは、仕掛情報参照更新要求受付処理の起動エラーが生じた旨を即時に知ることができる。
【0061】
一方、ステップS36の判定の結果、仕掛情報参照更新要求受付処理が正常に起動した旨の判定が下された場合、図4Bに示すステップS38において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21は、仕掛情報参照更新要求の接続を待機する。
なお、“仕掛情報参照更新要求の接続”とは、クライアント端末48aからの参照更新要求を、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21へと直送する通信経路を確立することを意味する。
【0062】
図4Bに示すステップS39において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21は、仕掛情報参照更新要求の接続(クライアント端末48aと、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21との間の通信経路の確立)が正常に完了したか否かを判定する。この判定は、例えば、前記の通信経路に試験データを流し、この試験データが宛先に届いた旨のACK信号が送信元へ返信されたか否かに基づいて行えばよい。
ステップS39では、仕掛情報参照更新要求の接続が所定の待機時間以内に遂行された場合に、仕掛情報参照更新要求の接続が正常に完了した旨の判定が下される。これに対し、仕掛情報参照更新要求の接続が所定の待機時間以内に遂行されない場合は、仕掛情報参照更新要求の接続が正常に完了しない(異常)旨の判定が下される。
【0063】
ステップS39の判定の結果、仕掛情報参照更新要求の接続が正常に完了しない(異常)旨の判定が下された場合、図4Bに示すステップS40において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21は、仕掛情報参照更新要求の接続エラーを、第1工程管理サーバ13の仕掛情報アクセス要求処理部35を介して、当事者であるクライアント端末48a宛に通知する。これにより、クライアント端末48aでは、仕掛情報参照更新要求の接続エラーが生じた旨を即時に知ることができる。
ステップS40の通知後に、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21は、一連の処理の流れを終了させる。
【0064】
一方、ステップS39の判定の結果、仕掛情報参照更新要求の接続が正常に完了した旨の判定が下された場合、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21は、図4Cに示すステップS51の処理を実行する。すなわち、ステップS51において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21は、クライアント端末48aから送信されてきた仕掛情報参照更新要求を受信する。
【0065】
図4Cに示すステップS52において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21は、ステップS51で受信した仕掛情報参照更新処理を実行する。具体的には、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21は、仕掛情報の作業指示に係る内容修正要求に従って、所要の仕掛情報の作業指示に係る内容を修正する。
【0066】
図4Cに示すステップS53において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21は、ステップS52で実行した仕掛情報参照更新処理の結果を応答する。具体的には、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21は、所要の仕掛情報の作業指示に係る修正結果を、当事者であるクライアント端末48a宛に直に返す。
【0067】
図4Cに示すステップS54において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21は、仕掛情報参照更新結果の応答が正常に完了したか否かを判定する。ステップS54では、当事者であるクライアント端末48aから直に、仕掛情報参照更新結果の応答を受けた旨のACK信号を、応答の送信時点から所定時間以内に受信した場合に、仕掛情報参照更新結果の応答が正常に完了した旨の判定が下される。これに対し、当事者であるクライアント端末48aから直に受信したのではないか、または、仕掛情報参照更新結果の応答を受けた旨のACK信号を、応答の送信時点から所定時間以内に受信しない場合(ただし、NACK信号を受信した場合も含む)は、仕掛情報参照更新結果の応答が正常に完了しない(異常)旨の判定が下される。
【0068】
ステップS54の判定の結果、仕掛情報参照更新結果の応答が正常に完了しない(異常)旨の判定が下された場合、図4Cに示すステップS55において、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21は、仕掛情報参照更新結果の応答エラーを、当事者であるクライアント端末48a宛に通知する。これにより、クライアント端末48aでは、仕掛情報参照更新結果の応答エラーが生じた旨を即時に知ることができる。
【0069】
一方、ステップS54の判定の結果、仕掛情報参照更新結果の応答が正常に完了した旨の判定が下された場合、第1工程管理サーバ13の仕掛情報管理部21は、一連の処理の流れを終了させる。
【0070】
(本発明の実施形態に係る生産管理システム11が奏する作用効果)
本発明の実施形態に係る生産管理システム11では、いずれかの仕掛情報へのアクセスを伴う処理の要求が生じた場合、仕掛情報アクセス要求処理部35は、アクセス先となる仕掛情報に係る工程に関連づけられた仕掛情報管理IDを仕掛情報管理マスタ31から取得すると共に、該取得した仕掛情報管理IDに関連づけられたアクセス情報を仕掛情報アクセスマスタ33から取得し、該取得したアクセス情報を用いて、仕掛情報管理部21で管理されている仕掛情報のうち対応する仕掛情報へアクセスして、要求に係る処理を行うように動作する。
したがって、本発明の実施形態に係る生産管理システム11によれば、仕掛品に係る作業指示および作業順序を含む仕掛作業に関する仕掛情報が、複数のサーバ間にわたって分散管理されている場合であっても、仕掛情報へのアクセスを円滑に行うことができる。
【0071】
また、本発明の実施形態に係る生産管理システム11によれば、システム全体としての仕掛情報に関するデータ整合性を確保することができる。このため、複数のサーバの統廃合、増設・更新時のデータ整合性確保やデータ移行についても、仕掛情報のアクセスに支障を生じることがなくなる。さらに、システム切り替え時において、仕掛情報に関するデータ整合性の精度を格段に向上することができる。
【0072】
[その他の実施形態]
以上説明した実施形態は、本発明に係る具現化の例を示したものである。従って、本実施形態の記載事項によって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
【0073】
具体的には、例えば、本実施形態の説明において、生産管理システム11を構成する工程管理サーバとして、ふたつのサーバを例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。
【0074】
生産管理システム11を構成する工程管理サーバの数は、特に上限を定めることなく、任意の数に設定することができる。また、複数の工程管理サーバの設置場所について、例えば、同一の工場内に設けてもよいし、相互に異なる工場(設置国が異なってもよい)間にわたって設けてもよい。
【0075】
また、本実施形態の説明において、本発明に係る生産管理システムとして、自動車生産ラインの生産管理システム11を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。本発明に係る生産管理システムとしては、自動車生産ライン以外の、あらゆる製品の生産ラインの生産管理システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
11 生産管理システム
13 第1工程管理サーバ
15 第2工程管理サーバ
17 通信線
19 生産ライン
21 仕掛情報管理部
22 仕掛情報データベース(仕掛情報)
23 仕掛工程データ(仕掛情報)
25 仕掛作業データ(仕掛情報)
27 仕掛品検知部
29 修正入出力部
31 仕掛情報管理マスタ
33 仕掛情報アクセスマスタ
35 仕掛情報アクセス要求処理部
37 バスライン
43 仕掛車両(仕掛品)
45 ICタグ
47a〜47d 第1群のICタグリーダ
47e〜47g 第2群のICタグリーダ
48a〜48c,59 クライアント端末
49 溶接作業実行制御部(仕掛作業実行制御部)
51 塗装作業実行制御部(仕掛作業実行制御部)
53 組立作業実行制御部(仕掛作業実行制御部)
55a〜55c 修正入出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の仕掛品に対して所定の作業を順番に行う複数種類の工程を有する生産ラインに用いられる生産管理システムであって、
前記仕掛品に係る作業指示および作業順序を含む仕掛作業に関する仕掛情報を、前記複数種類の工程単位毎に区分して管理する仕掛情報管理部と、
前記複数種類の工程のそれぞれに係る前記仕掛情報を区分して管理するための仕掛情報管理識別情報を、前記複数種類の工程のそれぞれに関連づけて記憶する仕掛情報管理マスタと、
複数の前記仕掛情報管理識別情報のそれぞれに対し、対応する工程に係る前記仕掛情報へアクセスするためのアクセス情報を関連づけて記憶する仕掛情報アクセスマスタと、
いずれかの前記仕掛情報へのアクセスを伴う処理の要求が生じた場合、該アクセス先となる前記仕掛情報に係る工程に関連づけられた前記仕掛情報管理識別情報を前記仕掛情報管理マスタから取得すると共に、該取得した前記仕掛情報管理識別情報に関連づけられた前記アクセス情報を前記仕掛情報アクセスマスタから取得し、該取得した前記アクセス情報を用いて、前記仕掛情報管理部で管理されている前記仕掛情報のうち対応する仕掛情報へアクセスして、前記要求に係る処理を行う仕掛情報アクセス要求処理部と、
を備えることを特徴とする生産管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生産管理システムであって、
前記複数種類の工程のそれぞれに投入されてきた前記仕掛品に付されている仕掛品識別情報を、前記投入された工程の種別と共に検知する仕掛品検知部と、
前記複数種類の工程単位毎にそれぞれ設けられ、対応する工程に係る前記仕掛情報に基づく前記仕掛作業の実行制御を行う仕掛作業実行制御部と、
をさらに備え、
前記仕掛情報は、前記仕掛品識別情報をさらに含み、
前記仕掛情報アクセス要求処理部は、前記仕掛品検知部によって前記仕掛品識別情報および前記投入された工程の種別が検知された場合に、前記仕掛情報へのアクセスを伴う処理の要求が生じたとみなして、前記投入された工程に関連づけられた前記仕掛情報管理識別情報を前記仕掛情報管理マスタから取得すると共に、該取得した前記仕掛情報管理識別情報に関連づけられた前記アクセス情報を前記仕掛情報アクセスマスタから取得し、該取得した前記アクセス情報を用いて、前記仕掛情報管理部で管理されている前記仕掛情報のうち対応する仕掛情報へアクセスして当該仕掛情報を取得し、当該取得した仕掛情報を、前記仕掛品識別情報と共に前記仕掛作業実行制御部へ渡し、
前記仕掛情報および前記仕掛品識別情報を受けた前記仕掛作業実行制御部は、当該仕掛情報のうち前記仕掛品識別情報によって特定された前記仕掛作業の実行制御を行う、
ことを特徴とする生産管理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の生産管理システムであって、
前記仕掛作業に係るデータの修正要求が生じた際に用いられる修正入出力部をさらに備え、
前記仕掛情報アクセス要求処理部は、前記修正入出力部から前記仕掛作業に係るデータの修正要求を受けた場合に、前記仕掛情報へのアクセスを伴う処理の要求が生じたとみなして、前記修正要求対象となる前記仕掛作業に係る工程に関連づけられた前記仕掛情報管理識別情報を前記仕掛情報管理マスタから取得すると共に、該取得した前記仕掛情報管理識別情報に関連づけられた前記アクセス情報を前記仕掛情報アクセスマスタから取得し、該取得した前記アクセス情報を用いて、前記仕掛情報管理部で管理されている前記仕掛情報のうち対応する仕掛情報へアクセスして当該仕掛情報を取得し、当該取得した仕掛情報を前記修正入出力部へ返す、
ことを特徴とする生産管理システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公開番号】特開2013−20564(P2013−20564A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155320(P2011−155320)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】