説明

生菌から誘導される化合物の製造方法

少なくとも1種の生きている生菌生物、及び少なくとも1種の栄養補助食品又は少なくとも1種の栄養剤を含む微生物学的培地を蒸留水に分散させてブロスを形成し、該ブロスを所定の温度で選択された期間の間培養して生菌活性を誘発し、該生菌活性を停止させ、及び該ブロスから所望の化合物を分離することを含む、自然に誘導される有益な化合物を製造するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤及び/又は栄養補給剤に使用するための有益な化合物を製造するための方法に関する。より詳細には、本発明は、かつて生きていた原料から誘導される有益な化合物を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去数十年間に渡って、医療、医薬及び栄養物の産業は、種々の疾患の治療及び/又は予防、並びに良好な健康及び身体機能の維持のための伝統的な薬草及び/又はホメオパシー薬剤の使用における関心が高まっていることを示している。生物学、化学及び医学の分野における進歩は、研究者が人体及びその種々の代謝的及び生理学的プロセスにおける種々の化合物の影響及び効果をより厳密に且つ正確に研究することを可能にした。そのような進歩は、例えば、栄養分、ビタミン、ミネラル及び他の自然発生又は合成化合物などの多くの化合物の取り込み、及びこれらの化合物が人体の日々の機能で担う役割の改善された理解を導いた。
【0003】
研究の一領域は、反応性酸素種(ROS)の生理学的効果を理解することに焦点を合わせている。ROSは、生命体の通常の代謝性プロセスの副生成物である。ROSは、生物学的構造に酸化的損傷を引き起こし得る酸素由来の遊離ラジカル及び非ラジカル誘導体を含む。ROSはまた、老化プロセス及び例えば糖尿病などの多数の病理学的症候群で役割を果たすことが示された。しかし、ROSによって引き起こされる酸化的損傷は、例えば人体でROSと直接反応することのできる抗酸化剤の使用などの多数の機構によって減少又は防止することができる。
【0004】
緑茶(Camellia sinensis)は、特に強力な抗酸化剤であることが見出されている有意な濃度のポリフェノールを含有することが見出された。そのような緑茶ポリフェノールの摂取は心臓疾患及び癌予防に関連し、リウマチ様関節炎の発生率及び重症度を有効に減らし得る。しかし、緑茶はまた、種々の神経性及び心血管性プロセスに否定的に影響し得る刺激効果を提供するカフェイン、テオブロミン及びテオフィリンを含むアルカロイドを含有する。
【0005】
松果体によって人体で自然に製造されるホルモンのメラトニンは、別の特に重要な抗酸化剤である。加齢に関連した脳の劣化の潜在的原因の一つは、好気的代謝中に製造される有毒な遊離ラジカル化合物である。ビタミンE及びビタミンCは、有毒な遊離ラジカルを除去することによって酸化的ストレスから脳を保護するのに役立つ。しかし、最近の研究では、生体外で例えばペルオキシラジカルなどのある種の遊離ラジカル化合物を中和するのに、メラトニンがビタミンEよりも効率的であることが示された。他の研究では、メラトニンの抗酸化特性が腫瘍成長因子生成を阻害し、且つある種のタイプの癌に関連してインターロイキン2の抗腫瘍活性を増大し得ることが示された。メラトニンはまた、睡眠パターン及び閉経期症候群の制御において役割を担い得る。しかし、大部分の市場で入手可能なメラトニン補給剤は、合成又は不純形態の松果体メラトニンを含有し、他の薬草、例えばカノコソウ及びカモミール、アミノ酸及び種々のミネラルを含有し得る。
【0006】
別の特に重要な領域及び研究は、エネルギーを高め且つ細胞を修復する栄養補助食品の使用である。必要とされるのは小量であるが、ビタミンBは人体における通常の代謝及び酵素機能に必須である。ビタミンBは、例えばチアミンピロホスフェート、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、ピリドキサルピロホスフェート、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート、ビオチン、葉酸、コバラミン、コエンザイムA及びCoQ-10などのいくつかの主要なコエンザイムの重要な構造成分であり、炭水化物、脂肪及び蛋白質の分解、アミノ酸及びDNA及びRNAを含む他の物質の合成、赤血球の形成、成長及び発育の促進、及びエネルギーの製造に重要な役割を担う。バランスの取れた食事を消費する個人は、概して人体の不足を満たす十分な量のビタミンBを摂取している。残念ながら、バランスの取れた食事の消費は、今日の急速な社会では必ずしも容易に達成されない。従って、多くの人々は、ビタミンBなどの栄養補助食品又はさらに好ましくはそれらの不足を満たすビタミンBから誘導されるコエンザイムに頼っている。
【0007】
伝統的な薬草医療及びホメオパシー療法における関心はまた、ここ数十年で頂点に達し、多くの研究者が該伝統的な医療及び療法の使用の生理学的効果及び利益の研究に打ち込んだ。重要な1種の該薬草療法は、胆嚢における結石を治療又は予防するのに用いられ得る中国の金貨(gold coin)草又は薬草である。薬草オカトラノオ、金錢草又は黄色ヤナギの薬草としても公知な中国の金貨草は、中国では数千年に渡って肝臓、胆嚢、腎臓及び膀胱を治療するのに用いられている。この薬草は、フェノール類成分、ステロール、フラボノイド、アミノ酸、タンニン、精油、コリン及びカリウム塩を含有する。この全ての植物は、衰え得る総胆管からの胆汁の排出を促進し、且つ胆嚢からの胆石の排出を促進する担汁排出促進性(担汁刺激性)、浄化性及び利尿性を有する。
【0008】
上記化合物の全ての摂取効果に対する鍵は、特定の化合物の摂取用量及び生物学的利用能の両方に依存する。特定の化合物の生物学的利用能は、該化合物を吸取又は吸収し、及び該化合物を生理学的及び代謝的プロセスに用いる人体の能力を決定する。一般的に、特定化合物の生物学的利用能が低い場合は、より多くの用量の該化合物を摂取して人体における所望の効果を達成しなければならない。しかし、一部の化合物をより多くの用量で摂取することは、他の代謝的及び生理学的プロセスに否定的に影響し得る望ましくない副作用を引き起こし得る。
【0009】
上記化合物の多くは、合成形態から誘導されるか又は合成形態で摂取される。しかし、そのような化合物は、一般的にそれらのレベルの効能及び/又は生物学的利用能ではそれらの天然対応物と調和しない。天然の(かつて生きていた)原料は動的で複雑なプロセスからなり、各分子において、一部の原子が整列され且つ質量増進されて干渉性の光の生成を可能にする電子を有する。この人体の光は、次々に細胞DNA分解を予防するかつて生きていた原料栄養分からのDNAでのみ見出されることが示された。
【0010】
従って、例えば天然原料から誘導されるポリフェノール、メラトニン、ビタミンB誘導コエンザイム、及び薬草オカトラノオなどの有益な化合物が必要とされ且つ要求される。特に、改善されたレベルの生物学的利用能を有するかつて生きていた原料から誘導される有益な化合物が必要とされ且つ要求される。さらに、薬剤又は栄養補助食品に使用するためのそのような有益な化合物を製造する方法が必要とされ且つ要求される。
【発明の開示】
【0011】
本発明の一般的な目的は、薬剤又は栄養補助剤に使用するための有益な化合物を製造するための方法を提供することである。
本発明の特別な目的は、改善された生物学的利用能を有するかつて生きていた原料から誘導される化合物を製造するための方法を提供することである。
本発明のさらなる特定の目的は、上記問題の一つ以上を克服することである。
本発明の一般的な目的は、少なくとも部分的に、少なくとも1種の生きている生菌生物、及び少なくとも1種の栄養補助食品及び/又は少なくとも1種の栄養剤を含む微生物学的培地を蒸留水に分散してブロスを形成し;所定の温度で選択期間の間該ブロスを培養して生菌活性を誘発させ;有機エタノールを加えて該生菌活性を停止させ;及び該ブロスから所望の化合物を分離することを含む、生菌から誘導される有益な化合物を製造するための方法によって達成することができる。
【0012】
一般的な技術は、概して、要求に応じて1種以上の上記性能基準を満たすのに有効な、例えばポリフェノール、メラトニン、ビタミンB誘導コエンザイム及び薬草オカトラノオなどの有益な化合物を製造するための方法を提供することができない。さらに、先行技術は、概して、生菌生物、栄養補助食品又は栄養剤を供給し、及び廃棄副生成物から有益な化合物を分離することによるなどの、かつて生きていた原料から有益な化合物を誘導するための方法を提供することができない。さらに、先行技術は、概してそのような有益な化合物を製造するのに用いることのできる微生物学的培地を特定することができない。
本発明はさらに、少なくとも1種の生きている生菌生物;及び少なくとも1種の栄養剤又は栄養補助食品を含む該有益な化合物を製造するための微生物学的培地を含む。
他の目的及び利点は、特許請求の範囲に関連する以下の詳細な記載から当業者に明らかである。
【0013】
(発明の詳細な説明)
本発明は、生菌生物、栄養補助食品又は栄養剤を供給し、廃棄副生成物を収集し、及び該廃棄副生成物から有益な化合物を分離することによるなどの、薬剤又は栄養補助食品に使用するための生菌から誘導される有益な化合物を製造するための方法を提供する。本発明はさらに、改善された生物学的利用能を有し、且つ薬剤又は栄養補助食品に使用するのに好適な、かつて生きていた原料から誘導される有益な化合物を提供する。
【0014】
上記のように、人体における代謝的及び/又は生理学的プロセスを補助又は増強するのに用いられ得る多くの化合物は、合成原料から誘導されるか、又は合成形態で摂取される。しかし、そのような合成又は合成から誘導される化合物は、摂取されるときに所望のレベルほど高くない生物学的利用能を有し、さらなる化合物を含み得ることが見出された。所望のレベルよりも低い生物学的利用能を補償するために、そのような化合物は典型的に通常よりも高い用量で摂取される。不運にも、これらの化合物の増加した用量を摂取することは、特に重要な化合物が他の代謝的又は生理学的プロセスに否定的又は望ましくない影響を与えるさらなる化合物と共に摂取されるときに、望ましくない副作用を引き起こし得る。例えば、緑茶は有意な濃度のポリフェノールを含み、これは特に強力な抗酸化剤であることが見出されている。しかし、緑茶はまた、有意な濃度のカフェイン及びテオブロミンを含む。従って、緑茶の消費が増加すると、増加した濃度のポリフェノールが提供されて遊離ラジカル及び他の反応性酸素種(ROS)を人体から除去し、また、神経性及び心血管性システムに望ましくない影響を有し得るカフェイン及びテオブロミンの増加した消費も提供される。
【0015】
他の合成から誘導される化合物は、人体による吸収のために最善の形態でなくてもよい。例えば、CoQ-10は、全ての細胞、特に心臓及び肝臓の細胞のミトコンドリアの重要な成分であるビタミンB誘導コエンザイムであり、細胞間の電子移動における共同因子である。研究により、CoQ-10は、遊離ラジカルを除去し且つ心血管性及び免疫性システムの健康を改善することを促進し得る細胞膜におけるビタミンEを再生する強力な抗酸化剤であることが示された。しかし、大部分の市場で入手可能なCoQ-10栄養補助食品は、酸化型CoQ-10又はUVI-キノンを含有する。そのような酸化型CoQ-10が摂取されると、人体は、細胞が再生及び電子移動プロセスで還元型CoQ-10を吸収及び利用し得る前に、UVI-キノンをUVI-キノール又は還元型CoQ-10に変形させるのにエネルギーを消費しなければならない。
【0016】
それらの天然形態における他の有益な化合物は、単に人体が摂取して最も望ましい用量を得ることが非常に困難となり得る。例えば、中国の金貨草又は薬草オカトラノオは、人体が摂取するのが困難な薬草である。従って、該化合物の繰り返しの服用は、所望の結果を達成するために広範な期間に渡る時間を必要とする。
さらに、一部の有益な化合物は、天然化合物が入手不可能であるか又は得るためのコストのため、それらの合成形態で入手可能である。例えば、熊などの種々の動物の松果体によって製造される及びそれから誘導されるホルモンであるメラトニンが、該ホルモンを松果体から抽出するコスト及び生きている動物を屠殺して該ホルモンを得ることに対する大衆の抗議のため、合成形態で広く入手可能である。
【0017】
最後に、生きていない原料から誘導された化合物は、細胞DNAを助長する及び再生することのできる干渉性の光を放射することが知られているDNAを欠いていることが現在公知である。生きていない原料の栄養素が細胞に入ると、それらはDNA分解及び早期の細胞死を誘発し得る。逆に、かつて生きていた原料から誘導される化合物は、細胞DNAを維持する。従って、かつて生きていた原料から誘導される化合物は、それらが人体内で自然に摂取又は製造される化合物により密接に近づき、それによってそれらが特に長期間の使用でより安全となるため、より摂取に好適であると考えられている。
【0018】
本発明のある種の好ましい実施態様では、薬剤又は栄養補助食品に使用するための有益な化合物が、かつて生きていた原料から誘導される。特に、そのような有益な化合物は、少なくとも1種の生きている生菌生物及び少なくとも1種の栄養補助食品又は栄養剤を含む微生物学的培地から誘導することができる。
種々の生きている生菌生物が、ある種の好ましい実施態様に従って本発明の微生物学的培地に含まれてもよく、少なくとも1種の生菌生物を、乳酸菌種、ビフィズス菌種、腸球菌種、一般的に安全として許容(GRAS)される好熱性連鎖球菌、及びそれらの組み合わせから選択することができる。本発明の別の好ましい実施態様では、微生物学的培地が、乳酸菌種から選択される少なくとも1種の生きている生菌生物、及びビフィズス菌種から選択される少なくとも1種の生きている生菌生物を含むことができる。
【0019】
好適な乳酸菌種の例は、限定はしないが、L. acidophilus、L. paracasei、L. fermentum、L. rhamnosus、L. johnsonii、L. plantarum、L. reuteri、L. salivarius、L. brevis、L. bulgaricus、L. helveticus、L. grasseri、L. casei、L. lactis、及びそれらの組み合わせを含む。
好適なビフィズス菌種の例は、限定はしないが、B. bifidum、B. breve、B. infantis、B. longum、B. lactis、及びそれらの組み合わせを含む。
好適な腸球菌種の例は、限定はしないが、E. faceum、E. faecalis、及びそれらの組み合わせを含む。
【0020】
種々の栄養補助食品又は栄養剤を、本発明の微生物学的培地に用いることができ、好適な栄養補助食品又は栄養剤が、所望の有益な化合物の製造並びに微生物学的培地の安定性に寄与すべきである。該微生物学的培地に用いられる特別な栄養補助食品又は栄養剤又は試薬は、誘導される有益な化合物に依存する。例えば、該微生物学的培地から誘導される有益な化合物が安定化ジヒドロリポ酸(DHLA)である場合、該微生物学的培地に含有される栄養剤は、ウコンの根茎(curcuma longa)でよい。別の好ましい実施態様では、該微生物学的培地に用いられる栄養補助食品又は栄養剤は、誘導される有益な化合物の合成形態でよく、又は有益な化合物を自然発生する原料、例えば該有益な化合物を単離するために処理される必要のある植物又は薬草などでよい。
【0021】
本発明のある種の好ましい実施態様では、薬剤又は栄養補助食品に使用するための有益な化合物が、少なくとも1種の生きている生菌生物及び少なくとも1種の栄養補助食品又は栄養剤を含む微生物学的培養物を調製し、該培養物を培養して生菌活性を開始させ、該生菌活性の廃棄副生成物を収集し、及び該廃棄副生成物から有益な化合物を分離することによって誘導され得る。
本発明は、本発明の実施に伴う種々の特徴を説明又はシミュレートする以下の実施例に関連してさらに詳細に記載される。本発明の意図内で起こる全ての変化が保護されるのが望ましく、従って本発明はこれらの実施例によって限定されるものとして解釈されないことを理解すべきである。
【0022】
実施例
安定化ジヒドロリポ酸(DHLA)
DHLAは典型的には、通常の代謝活性中にリポ酸又はアルファ-リポ酸(ALA)の酸化還元転化により人体内で製造される。しかし、人体は、一般的に代謝機能を補助するのに十分な量のDHLAのみを製造する。しかし、DHLAは、少なくとも部分的に、反応性窒素種(RNS)及び反応性酸素種(ROS)、例えば糖尿病、緑内障、アテローム性動脈硬化症、及び他の神経障害などの多数の分解性病理学的症候群に寄与し得る一重項酸素などを除去するのに用いることができる有効な抗酸化剤且つキレート化剤であることが示された。DHLAはまた、少なくとも部分的に、細胞の酸化的損傷を予防又は修復し、且つ例えばビタミンC及びEなどの人体におけるある種の重要な栄養分を再生するのに有効であることが見出された。しかし、市場で入手可能なDHLAはALAのみであり、これはDNAを有さない生きていない原料から誘導され、特に長期間の使用において細胞DNA分解を誘発し得る。結果として、極小量のDHLAを製造するために細胞で用いられる該ALAは、長期間の使用に有益でないと考えられている。逆に、かつて生きていた原料から誘導されるDHLAはDNAを含み、細胞DNAを補助することが知られている。
【0023】
本発明のある種の好ましい実施態様では、薬剤又は栄養補助食品に使用するための安定化ジヒロドリポ酸(DHLA)が、かつて生きていた原料から誘導される。特に、安定化DHLA化合物は、少なくとも1種の生きている生菌生物、R-リポ酸、及び少なくとも1種の栄養補助食品又は栄養剤を含む微生物学的培養物から誘導することができる。
アルファ-リポ酸(ALA)の合成原料は、一般的に等しい量のR-リポ酸及びS-リポ酸を含む。しかし、S-リポ酸含有ALAは、望ましくない化合物の形成を生じ、ALAの機能を損ない得る炎症促進性特性を有することが発見された。従って、実際はR-リポ酸は微生物学的培地で用いられる。
【0024】
種々の栄養補助食品又は栄養剤を本発明の微生物学的培地に用いることができ、好適な栄養補助食品又は栄養剤が、DHLAの生成並びに微生物学的培地の安定性に寄与すべきである。ある種の好ましい実施態様では、栄養補助食品又は栄養剤をウコンの根茎(curcuma longa)にすることができる。
実際、本発明の微生物学的培地は、約40組成質量%の少なくとも1種の生きている生菌生物を含むペースト、約20組成質量%のR-リポ酸、及び約40組成質量%のウコンの根茎(curcuma longa)の栄養剤を含むことができる。
【0025】
本発明の安定化ジヒドロリポ酸(DHLA)は、少なくとも1種の生きている生菌生物、R-リポ酸及び少なくとも1種の栄養剤を含む微生物学的培地を蒸留水に分散させ、ブロスを形成することによって調製され得る。続いて、該ブロスを所定の温度、例えば約35℃〜約40℃などで選択された期間、例えば約72〜約168時間(すなわち、約3〜約7日間)培養して生菌活性を誘発する。培養期間の終わりに、有機エタノールを該ブロスに加えて生菌活性を停止させ、合成化合物を保護する。その後、自然に誘導されたDHLAを該ブロスから分離させ、薬剤又は栄養補助食品を調製するのに用いることができる。
【0026】
緑茶ポリフェノール
上記のように、緑茶は、リウマチ様関節炎及び心臓疾患の発生率及び重症度を減少させるのに有効に用いられ、且つある種の癌を阻害又は予防し得る特に強力な抗酸化化合物であることが見出されている著しい量のポリフェノール化合物を含む。しかし、緑茶はまた、摂取されたときに神経性及び心血管性プロセスにおける望ましくない効果を有し得る著しい濃度のカフェインを含む。さらに、緑茶の消費によって摂取されるポリフェノール化合物は、所望のレベルほど高い生物学的利用能を有さない。
本発明のある種の好ましい実施態様では、改善された生物学的利用能及び増加した効力を有するポリフェノール化合物が、乳酸菌種、ビフィズス菌種、腸球菌種、一般的に安全として許容(GRAS)される好熱性連鎖球菌、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の生きている生菌生物、緑茶の葉、及び少なくとも1種の栄養補助食品又は栄養剤を含有する微生物学的培養物から誘導され得る。有利には、生じたポリフェノール化合物が、例えば培養プロセス中に消費されるカフェインなどの極小量の関連化合物を含有する。
【0027】
改善された効力及び生物学的利用能を有するポリフェノール化合物を製造するための微生物学的培養物に使用するための好適な栄養補助食品又は栄養剤は、例えば、緑茶(Camellia sinensis)のそのままの葉、刻んだ葉又は粉末形態、1種以上のポリフェノール濃縮物及びそれらの組み合わせを含む。本発明に使用するための好適なポリフェノール濃縮物の例は、エピガロカテキン-3-没食子酸塩、エピガロカテキン、エピガロカテキン-3-没食子酸塩、エピカテキン、カテキン-3-没食子酸塩、カテキン及びそれらの組み合わせを含む。
本発明の改善されたポリフェノール化合物は、少なくとも1種の生きている生菌生物、及び少なくとも1種の栄養剤を含む微生物学的培地を蒸留水に分散させてブロスを形成することによって調製され得る。続いて、該ブロスを所定の温度、例えば約35℃〜約40℃などで選択された期間、例えば約96〜約144時間(すなわち、約4〜約6日間)培養して生菌活性を誘発する。培養期間の終わりに、有機エタノールを該ブロスに加えて生菌活性を停止させ、合成化合物を保護する。その後、所望のポリフェノール化合物を該ブロスから分離し、薬剤又は栄養補助食品を調製するのに用いることができる。
【0028】
ビタミンB誘導コエンザイム
上記のように、ビタミンBs及びそれらの関連するコエンザイムは、人体内の代謝プロセスにおける重要な成分である。該ビタミンBs及びそれらの関連するコエンザイムは、人体が日常生活を行うのに必要なエネルギーを製造するために必須である。一般的に、個人は十分な濃度のビタミンBsを消費するか、又は小腸でそれらを製造し得る。しかし、腸疾患、過度のストレスなどの場合、B補給剤が必要とされ得る。
本発明のある種の好ましい実施態様では、高エネルギー形態のビタミンBs及び/又はそれらの関連する末端鎖状コエンザイムが、乳酸菌種、ビフィズス菌種、腸球菌種、一般的に安全として許容(GRAS)される好熱性連鎖球菌、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の生きている生菌生物、少なくとも1種のビタミンB原料を含む出発物質、及び少なくとも1種の栄養剤を含む微生物学的培養物から誘導され得る。
【0029】
実際、所望のビタミンBs及び/又はビタミンB誘導コエンザイムは、個々か又は組み合わせて製造してよい。本発明の方法は、例えば、5-メチルテトラヒドロ葉酸塩、5デオキシアデノシルコバラミン、ピリドキサル-5-リン酸塩、コエンザイムA、イノシトールヘキサニコチンアミド、リボフラビン-5-リン酸塩、チアミンコカルボキシラーゼ、イノシトール、コリン、ビオチン及びそれらの組み合わせを製造するのに用いられ得る。好適な出発物質は、例えば、葉酸、ビタミンB12、ビタミンB6、ビタミンB5、ビタミンB3、ビタミンB2、ビタミンB1、イノシトール、コリン、ビオチン及びそれらの組み合わせの1種以上の原料を含む。
実際、微生物学的培養物は、栄養性酵母菌種の群から選択される栄養剤を含み得る。本発明に関連して使用するための1種の好適な栄養性酵母菌種は、出芽酵母種を含む。
【0030】
本発明の高エネルギービタミンBs及び/又はビタミンB誘導コエンザイムは、少なくとも1種の生きている生菌生物、少なくとも1種のビタミンBの少なくとも1種の原料、及び少なくとも1種の栄養剤を含む微生物学的培地を蒸留水に分散させてブロスを形成することによって調製され得る。続いて、該ブロスを所定の温度、例えば約35℃〜約40℃などで選択された期間、例えば約96〜約240時間(すなわち、約4〜約10日間)培養して生菌活性を誘発する。培養期間の終わりに、有機エタノールを該ブロスに加えて生菌活性を停止させ、合成化合物を保護する。その後、所望のビタミンB及び/又はビタミンB誘導コエンザイムを該ブロスから分離し、薬剤又は栄養補助食品を調製するのに用いることができる。
【0031】
還元型CoQ-10(UVI-キノール)
本発明のある種の好ましい実施態様では、還元型CoQ-10が、乳酸菌種、ビフィズス菌種、腸球菌種、一般的に安全として許容(GRAS)される好熱性連鎖球菌、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の生きている生菌生物、及び酸化型CoQ-10(UVI-キノン)栄養剤を含む微生物学的培養物から誘導され得る。
本発明の微生物学的培養物は、1種以上の栄養剤をさらに含んでよい。そのような栄養剤は、該生菌生物を補助する及び/又は全体のUVI-キノール収量を向上させるのに用いられ得る。少なくとも1種の生きている生菌生物及び酸化型CoQ-10を含有する微生物学的培養物に使用するのに好適な1種のそのような栄養剤は、ウコンの根茎(curcuma longa)の栄養剤である。
【0032】
実際、UVI-キノールは、少なくとも1種の生きている生菌生物、及びUVI-キノン栄養剤を含む微生物学的培地を蒸留水に分散させてブロスを形成することによって調製され得る。続いて、該ブロスを所定の温度、例えば約35℃〜約40℃などで選択された期間、例えば約168〜約196時間(すなわち、約7〜約8.25日間)培養して生菌活性を誘発する。培養期間の終わりに、有機エタノールを該ブロスに加えて生菌活性を停止させ、合成化合物を保護する。その後、所望のUVI-キノールを該ブロスから分離し、薬剤又は栄養補助食品を調製するのに用いることができる。
【0033】
中国の金貨草(薬草オカトラノオ)
上記のように、中国の金貨草は、人体が摂取するのが困難となり得る。従って、該薬草の活性成分は、容易には生物が利用できない又は吸収できない。本発明のある種の好ましい実施態様では、人体がより容易に吸収可能である中国の金貨草のナノ-形態が、乳酸菌種、ビフィズス菌種、腸球菌種、一般的に安全として許容(GRAS)される好熱性連鎖球菌、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の生きている生菌生物、及び中国の金貨草栄養剤を含む微生物学的培養物から誘導され得る。実際は、中国の金貨草栄養剤が、そのままの形態、刻んだ形態及び/又は粉末形態で微生物学的培養物に含まれ得る。
薬草オカトラノオのナノ-形態は、少なくとも1種の生きている生菌生物、及び薬草オカトラノオ栄養剤を含む微生物学的培地を蒸留水に分散させてブロスを形成することによって調製され得る。続いて、該ブロスを所定の温度、例えば約35℃〜約40℃などで選択された期間、例えば約24〜約72時間(すなわち、約1〜約3日間)培養して生菌活性を誘発する。培養期間の終わりに、有機エタノールを該ブロスに加えて生菌活性を停止させ、合成化合物を保護する。その後、所望のナノ-形態の薬草オカトラノオを該ブロスから分離し、薬剤又は栄養補助食品を調製するのに用いることができる。
【0034】
前述の明細書では、本発明はそれらのある種の好ましい実施態様に関連して記載され、多くの詳細が説明のために示されているが、本発明はさらなる実施態様が可能であり、ここに記載されたいくつかの詳細が本発明の原理から大きく逸脱すること無く変更され得ることは、当業者に明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の生きている生菌生物及び少なくとも1種の栄養剤又は少なくとも1種の栄養補助食品剤を含む微生物学的培養物を調製し;
該微生物学的培養物を培養して生菌活性を開始させ;
該生菌活性を停止し;
該生菌活性の廃棄副生成物を収集し;及び
該廃棄副生成物から有益な化合物を分離すること:
を含む、該有益な化合物を自然に誘導するための方法。
【請求項2】
少なくとも1種の生きている生菌生物が、乳酸菌種、ビフィズス菌種、腸球菌種、好熱性連鎖球菌、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
微生物学的培養物が、約35℃〜約40℃の温度で培養される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
微生物学的培養物が、約24時間〜約240時間の間培養される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
生菌活性が、有機エタノールを加えることによって停止される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
乳酸菌種、ビフィズス菌種、腸球菌種、好熱性連鎖球菌、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の生きている生菌生物、少なくとも1種の栄養剤、及び少なくとも1種のビタミンB源を含む微生物学的培養物を調製し;
該微生物学的培養物を培養して生菌活性を開始させ;
該生菌活性を停止し;
該生菌活性の廃棄副生成物を収集し;及び
該廃棄副生成物から有益な化合物を分離すること:
を含む、少なくとも1種のビタミンBコエンザイムを自然に誘導するための方法。
【請求項7】
栄養剤が、少なくとも1種の栄養性酵母菌を含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
栄養剤が、出芽酵母を含む、請求項6記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1種の自然に誘導されるビタミンBコエンザイムが、5-メチルテトラヒドロ葉酸塩、5デオキシアデノシルコバラミン、ピリドキサル-5-リン酸塩、コエンザイムA、イノシトールヘキサニコチンアミド、リボフラビン-5-リン酸塩、チアミンコカルボキシラーゼ、イノシトール、コリン、ビオチン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6記載の方法。
【請求項10】
微生物学的培養物が、約96時間〜約240時間の間培養される、請求項6記載の方法。
【請求項11】
乳酸菌種、ビフィズス菌種、腸球菌種、好熱性連鎖球菌、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の生きている生菌生物、及び少なくとも1種の栄養補助食品剤を含む微生物学的培養物を調製し;
該微生物学的培養物を培養して生菌活性を開始させ;
該生菌活性を停止し;
該生菌活性の廃棄副生成物を収集し;及び
該廃棄副生成物から有益な化合物を分離すること:
を含む、該有益な化合物を自然に誘導するための方法。
【請求項12】
自然に誘導された有益な化合物が、少なくとも1種のポリフェノール化合物を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
栄養剤が、そのままの形態、刻んだ形態又は粉末形態の緑茶、少なくとも1種のポリフェノール濃縮物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1種のポリフェノール化合物が、エピガロカテキン-3-没食子酸塩、エピガロカテキン、エピガロカテキン-3-没食子酸塩、エピカテキン、カテキン-3-没食子酸塩、カテキン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項12記載の方法。
【請求項15】
微生物学的培養物が、約96時間〜約144時間の間培養される、請求項12記載の方法。
【請求項16】
自然に誘導された有益な化合物が、UVI-キノールである、請求項11記載の方法。
【請求項17】
栄養補助食品剤がUVI-キノンを含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
微生物学的培養物が、少なくとも1種の栄養剤をさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1種の栄養剤が、ウコンの根茎を含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
微生物学的培養物が、約168時間〜約196時間の間培養される、請求項16記載の方法。

【公表番号】特表2008−526767(P2008−526767A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549664(P2007−549664)
【出願日】平成17年12月30日(2005.12.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/047497
【国際公開番号】WO2006/074094
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(507224576)プレミア リサーチ ラブズ リミテッド パートナーシップ (1)
【Fターム(参考)】