説明

産業用ロボットシステム

【課題】 ティーチペンダントを複数の制御装置で共用する場合、ティーチペンダントを作業者の意図する制御装置若しくはマニピュレータに確実に接続させることのできる安全性の高い産業用ロボットシステムを提供する。
【解決手段】 産業用ロボットシステム1は、マニピュレータM1〜M3がそれぞれ接続された複数台の制御装置C1〜C3と共通のティーチペンダントTPによって構成される。各マニピュレータM1〜M3には表示灯L1〜L3が設けられている。ティーチペンダントTPが制御装置C1〜C3のうち、例えば制御装置C1に接続されると、それに接続されたマニピュレータM1の表示灯L1が点灯される。作業者はこの表示灯L1の点灯によりティーチペンダントTPが制御装置C1〜C3のうち、意図した制御装置C1に接続されたかを容易に確認できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体製造工場においてウェハや液晶基板を搬送したり、自動車製造工場において車体の溶接を行ったりするための産業用ロボットシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットは、複数のアームが回動可能に連結され、これらのアームを連動させてアーム先端を予め教示した位置に沿って移動させるマニピュレータと、このマニピュレータの動作(より具体的には各アームの回動動作)を制御する制御装置と、この制御装置に対してマニピュレータの動作制御に必要な情報(例えばマニピュレータの教示位置の情報など)を入力したり、制御装置の制御状態の情報やエラー情報などを表示したりするためのティーチペンダント(入力装置)とを基本構成としている。
【0003】
産業用ロボットは、最初にマニピュレータのアーム先端を実際に移動させて移動すべき複数の位置の情報を制御装置に記憶させ(ティーチング(教示)処理)、その後、教示された複数の位置を通過する所定の軌跡に沿って移動させる(プレイバック処理)とともに、この移動動作に連動して所定のタイミングでアーム先端に設けられた処理装置(例えば溶接装置やワーク搬送装置など)を動作させる一連の動作を繰り返させることにより、同一の作業を正確かつ安定して繰り返し実行する機能を有している。
【0004】
ティーチペンダントは、主としてティーチング処理時やプレイバック処理中にエラーが発生した場合にそのエラー内容を表示させる時などに必要となる装置であるため、一般には制御装置に常時接続されているが、例えば特開2003−136447号公報に示されるように、制御装置に対して着脱可能に構成されている場合もある。
【0005】
産業用ロボットは、1台のマニピュレータ、1台の制御装置及び1個のティーチペンダントを基本構成とするが、例えば特開平5−119827号公報や特許第2884912号公報に示されるように、1台の制御装置に複数台のマニピュレータを接続可能にし、1台の制御装置で複数台のマニピュレータの動作を個別に制御することのできるシステムも知られている。
【0006】
また、特許第2884912号に示されているように、1台の制御装置に複数のティーチペンダントを接続可能にし、各ティーチペンダントから教示位置のデータを入力したり、各ティーチペンダントにエラー情報を表示させたりすることができる構成も知られている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−136447号公報
【特許文献2】特開平5−119827号公報
【特許文献3】特許第28849127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、例えば自動車工場の溶接工程では、多数の溶接ロボットが製造ラインの所定の位置に配置されて溶接ラインが構成されるが、このような溶接工程ラインをマニピュレータ、制御装置及びティーチペンダントからなる基本構成の溶接ロボットによって構成していたのでは、溶接工程ラインの多数の溶接ロボットを構成する装置(多数のマニピュレータと制御装置)が非常に多くなり、マニピュレータ及び制御装置の配置面積が大きくなる、ティーチペンダントの数が不必要に多くなるといった問題が生じる。
【0009】
このため、例えば溶接ラインの同一エリアに配置される複数台のマニピュレータに対しては1台の制御装置によって制御する構成や複数台の制御装置に対して1台のティーチペンダントを共通に使用できる構成が要望される。
【0010】
上記のように、1台の制御装置で複数台のマニピュレータの動作を制御する構成は提案されており、この構成によれば、マニピュレータの数より制御装置の数が少なくなり、溶接工程ラインを構成する複数の溶接ロボット(以下、「溶接ロボット群」という。)の構成要素を少なくすることができるとともに、複数の制御装置を溶接工程ラインとは異なる位置に集中配置することにより、配置スペースの低減と効率化を図ることができる。
【0011】
しかしながら、配置スペースの効率化によりマニピュレータと制御装置との間の距離が長くなると、マニピュレータ毎にティーチング処理を行うとき、作業者はティーチペンダントを保持して各マニピュレータの近傍位置に移動し、当該マニピュレータの動作を観察しながらティーチペンダントを操作する必要があるため、特許第28849127号公報に記載されるように、ティーチペンダントと制御装置とを接続するためのケーブルが長尺化し、そのケーブルの引き回しによる配線の煩雑さや断線の虞などの種々の問題が生じる。
【0012】
従来の制御装置毎に個別にティーチペンダントを設ける構成では、ティーチペンダント毎に長尺のケーブルを用意する必要があるので、溶接ロボット群の構成要素の更なる簡素化や低廉化などに鑑みると、複数台の制御装置に対して1台のティーチペンダントを共通化できる構成が重要になるが、このような構成は未だ実用化されてない。
【0013】
ところで、複数の制御装置に対して1台のティーチペンダントを共通で使用可能にする構成を実用化する場合、安全上の問題を特に考慮する必要がある。すなわち、産業用ロボットは、ティーチペンダントから動作指令が制御装置に入力されると、その動作指令に基づき指定されたマニピュレータが指示された動作を行うので、作業者がティーチペンダントによって指令しようとしているマニピュレータを誤認している場合は、意図しないマニピュレータが突然動作し、大事故を招く可能性がある。
【0014】
特に、複数の制御装置に対して1台のティーチペンダントが無線通信により接続される構成や、複数の制御装置が有線若しくは無線により構成されたLAN(Local Area Network)などのネットワークにより相互に接続され、このネットワークを介して1台のティーチペンダントが各制御装置に選択的に通信可能に接続される構成を採用した場合には上記の問題が生じる可能性が高くなる。
【0015】
また、この問題は、ティーチペンダントが1台の場合に限定されるものではなく、制御装置に対してティーチペンダントが選択的に接続される場合も発生する。例えば複数の作業者がおり、作業者一人に対して1台のティーチペンダントが割り当てられ、必要に応じて作業者が自身のティーチペンダントを所望の制御装置に接続する場合にも上記の問題は発生する。
【0016】
従って、複数の制御装置に対して1台のティーチペンダントを共通で使用可能にする構成を実用化する場合、作業者が操作するティーチペンダントが複数の制御装置のうち、どの制御装置に接続され、どのマニピュレータを操作しようとしているのかを容易且つ確実に識別できる構成若しくはティーチペンダントと制御装置の接続の誤認を確実に防止できる構成、或いはまたその誤認する虞がある場合は事故を確実に回避することのできる構成が必要になる。
【0017】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数の制御装置に対して1台のティーチペンダントを共通で使用可能な産業用ロボットシステムであって、作業者が操作するティーチペンダントを複数の制御装置のうち、作業者の意図する制御装置若しくはマニピュレータに確実に接続させることのできる安全性の高い産業用ロボットシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1に記載の発明は、1以上のマニピュレータが接続され、各マニピュレータの動作を制御可能な複数の制御装置と、前記複数の制御装置にそれぞれ着脱可能に接続され、前記マニピュレータの動作を制御するための所要の情報を前記制御装置に入力し、若しくは前記制御装置からの前記マニピュレータの制御に関する情報を表示するための1以上のティーチペンダントと、を備えた産業用ロボットシステムにおいて、前記制御装置毎に、当該制御装置に接続されている前記マニピュレータの配置領域に設けられた報知手段と、前記ティーチペンダント又は前記複数の制御装置のいずれかに設けられ、前記ティーチペンダントが前記制御装置に接続されたことを判別する判別手段と、前記制御装置毎に設けられ、前記判別手段により当該制御装置に前記ティーチペンダントが接続されたと判別されると、当該制御装置に対応する前記報知手段によりその接続を報知させる報知制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0019】
請求項2に記載の発明は、1以上のマニピュレータが接続され、各マニピュレータの動作を制御可能な複数の制御装置と、前記複数の制御装置を有線又は無線により相互に接続するネットワークと、前記ネットワークに着脱可能に接続され、前記マニピュレータの動作を制御するための所要の情報を前記制御装置に入力し、若しくは前記制御装置からの前記マニピュレータの制御に関する情報を表示するための1以上のティーチペンダントと、
を備えた産業用ロボットシステムであって、前記制御装置毎に当該制御装置に接続されている前記マニピュレータの配置領域に設けられた報知手段と、前記ティーチペンダント又は前記複数の制御装置のいずれかに設けられ、前記ティーチペンダントが前記ネットワークに接続されたことを判別する判別手段と、前記ティーチペンダントに設けられ、前記判別手段により当該ティーチペンダントの前記ネットワークへの接続が判別されると、作業者に当該ティーチペンダントにより通信を可能にする制御装置を選択させる選択手段と、前記制御装置毎に設けられ、前記選択手段により当該制御装置が選択されると、当該制御装置に対応する前記報知手段により前記ティーチペンダントが接続された旨を報知させる報知制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0020】
請求項3に記載の発明は、2以上のマニピュレータが接続され、各マニピュレータの動作を制御可能な複数の制御装置と、前記複数の制御装置にそれぞれ着脱可能に接続され、前記マニピュレータの動作を制御するための所要の情報を前記制御装置に入力し、若しくは前記制御装置からの前記マニピュレータの制御に関する情報を表示するための1以上のティーチペンダントと、を備えた産業用ロボットシステムにおいて、前記マニピュレータ毎に設けられた報知手段と、前記ティーチペンダント又は前記複数の制御装置のいずれかに設けられ、前記ティーチペンダントが前記制御装置に接続されたことを判別する判別手段と、前記ティーチペンダントに設けられ、前記判別手段により当該ティーチペンダントの前記制御装置への接続が判別されると、作業者に当該ティーチペンダントにより動作制御を可能にするマニピュレータを選択させる選択手段と、前記制御装置毎に設けられ、前記選択手段により当該制御装置に接続されたマニピュレータが選択されると、そのマニピュレータに設けられた前記報知手段によりその接続を報知させる報知制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0021】
請求項1に記載の産業用ロボットシステムによれば、複数の制御装置のいずれかにコネクタなどの接続器を介して1のティーチペンダントを着脱可能に接続することにより、当該ティーチペンダントから当該制御装置に対して当該制御装置に接続されたマニピュレータの動作を制御するための所要の情報(以下、教示情報という。)を入力することができるとともに、制御装置からのマニピュレータの制御に関する情報(以下、制御情報という。)を当該ティーチペンダントの表示部に表示させることができる。
【0022】
また、請求項2に記載の産業用ロボットシステムによれば、複数の制御装置が相互に接続された有線又は無線によるネットワークにコネクタや無線アクセス装置などの接続器を介して1のティーチペンダントを接続し、このティーチペンダントといずれかの制御装置との通信を確立することより、当該ティーチペンダントから当該制御装置に対して教示情報を入力することができるとともに、制御装置からの制御情報を当該ティーチペンダントの表示部に表示させることができる。
【0023】
そして、上記の産業用ロボットシステムによれば、ティーチペンダントといずれかの制御装置とが通信可能に接続されると、当該制御装置に接続されている一群のマニピュレータの配置領域に設けられた報知手段によりその接続が報知されるので、作業者はその点灯によりティーチペンダントの操作対象となるマニピュレータ群が意図したマニピュレータ群であるか否かを確実に識別することができる。
【0024】
また、請求項3に記載の産業用ロボットシステムによれば、複数の制御装置のいずれかにコネクタなどの接続器を介して1のティーチペンダントを着脱可能に接続し、作業者がそのティーチペンダントで動作制御をしたいマニピュレータを選択すると、当該ティーチペンダントから当該制御装置に対して選択したマニピュレータの教示情報を入力することができるとともに、制御装置から選択したマニピュレータの制御情報を当該ティーチペンダントの表示部に表示させることができる。
【0025】
そして、この産業用ロボットシステムによれば、ティーチペンダントといずれかの制御装置とが通信可能に接続され、当該ティーチペンダントで動作制御が可能なマニピュレータが選択されると、そのマニピュレータに設けられた報知手段によりその選択が報知されるので、作業者はその点灯によりティーチペンダントの操作対象となるマニピュレータが意図したマニピュレータであるか否かを確実に識別することができる。
【0026】
請求項4に記載の発明は、1以上のマニピュレータが接続され、各マニピュレータの動作を制御可能な複数の制御装置と、前記複数の制御装置にそれぞれ着脱可能に接続され、前記マニピュレータの動作を制御するための所要の情報を前記制御装置に入力し、若しくは前記制御装置からの前記マニピュレータの制御に関する情報を表示するための1以上のティーチペンダントとを備えた産業用ロボットシステムにおいて、前記ティーチペンダント又は前記複数の制御装置のいずれかに設けられ、前記ティーチペンダントが前記制御装置に接続されたことを判別する判別手段と、前記ティーチペンダントに設けられ、前記判別手段により前記制御装置に当該ティーチペンダントが接続されたと判別されると、前記ティーチペンダントの表示部に前記複数の制御装置のうち、接続された制御装置の情報を表示する表示制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0027】
請求項5に記載の発明は、1以上のマニピュレータが接続され、各マニピュレータの動作を制御可能な複数の制御装置と、前記複数の制御装置を有線又は無線により相互に接続するネットワークと、前記ネットワークに着脱可能に接続され、前記マニピュレータの動作を制御するための所要の情報を前記制御装置に入力し、若しくは前記制御装置からの前記マニピュレータの制御に関する情報を表示するための1以上のティーチペンダントと、を備えた産業用ロボットシステムであって、前記ティーチペンダント又は前記複数の制御装置のいずれかに設けられ、前記ティーチペンダントが前記ネットワークに接続されたことを判別する判別手段と、前記ティーチペンダントに設けられ、前記判別手段により当該ティーチペンダントの前記ネットワークへの接続が判別されると、作業者に当該ティーチペンダントにより通信を可能にする制御装置を選択させる選択手段と、前記ティーチペンダントに設けられ、前記選択手段により選択された制御装置に前記ネットワークを介して当該ティーチペンダントが通信可能に接続されたと判別されると、前記ティーチペンダントの表示部に前記選択された制御装置の情報を表示する表示制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0028】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の産業用ロボットシステムにおいて、前記制御装置の情報は各制御装置に固有のID番号であることを特徴としている。
【0029】
請求項4〜6に記載の産業用ロボットシステムによれば、ティーチペンダントといずれかの制御装置とが通信可能に接続されると、当該ティーチペンダントの表示部にID番号などの当該制御装置を特定する情報が表示されるので、作業者はその情報によりティーチペンダントの操作対象となるマニピュレータ群が意図したマニピュレータ群であるか否かを確実に識別することができる。
【0030】
請求項7に記載の発明は、1以上のマニピュレータが接続され、各マニピュレータの動作を制御可能な複数の制御装置と、前記複数の制御装置にそれぞれ着脱可能に接続され、前記マニピュレータの動作を制御するための所要の情報を前記制御装置に入力し、若しくは前記制御装置からの前記マニピュレータの制御に関する情報を表示するための1以上のティーチペンダントと、を備えた産業用ロボットシステムにおいて、前記制御装置毎に、当該制御装置に接続されている前記マニピュレータの配置領域に設けられた情報表示手段と、前記ティーチペンダント又は前記複数の制御装置のいずれかに設けられ、前記ティーチペンダントが前記制御装置に接続されたことを判別する第1の判別手段と、前記制御装置毎に設けられ、前記第1の判別手段により当該制御装置に前記ティーチペンダントが接続されたと判別されると、接続確認用の情報をランダムに生成する情報生成手段と、前記制御装置毎に設けられ、前記情報生成手段により生成された情報を前記情報表示手段に表示させる表示制御手段と、前記制御装置毎に設けられ、前記情報表示手段に前記接続確認用の情報が表示された後、作業者により前記ティーチペンダントから入力される情報が前記接続確認用の情報と一致するか否かを判別する第2の判別手段と、前記制御装置毎に設けられ、前記ティーチペンダントからの入力情報が前記接続確認用の情報と一致しないときは、前記ティーチペンダントによる前記マニピュレータの動作制御を不可にし、前記ティーチペンダントからの入力情報が前記接続確認用の情報と一致したときは、前記ティーチペンダントによる前記マニピュレータの動作制御を可能にする制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0031】
請求項8に記載の発明は、1以上のマニピュレータが接続され、各マニピュレータの動作を制御可能な複数の制御装置と、前記複数の制御装置を有線又は無線により相互に接続するネットワークと、前記ネットワークに通信可能に接続され、前記マニピュレータの動作を制御するための所要の情報を前記制御装置に入力し、若しくは前記制御装置からの前記マニピュレータの制御に関する情報を表示するための1以上のティーチペンダントと、を備えた産業用ロボットシステムであって、前記制御装置毎に当該制御装置に接続されている前記マニピュレータの配置領域に設けられた情報表示手段と、前記ティーチペンダント又は前記複数の制御装置のいずれかに設けられ、前記ティーチペンダントが前記ネットワークに接続されたことを判別する判別手段と、前記ティーチペンダントに設けられ、前記判別手段により当該ティーチペンダントの前記ネットワークへの接続が判別されると、作業者に当該ティーチペンダントにより通信を可能にする制御装置を選択させる選択手段と、前記制御装置毎に設けられ、前記選択手段により当該制御装置が選択されたと判別されると、接続確認用の情報をランダムに生成する情報生成手段と、前記制御装置毎に設けられ、前記情報生成手段により生成された情報を前記情報表示手段に表示させる表示制御手段と、前記制御装置毎に設けられ、前記情報表示手段に前記接続確認用の情報が表示された後、作業者により前記ティーチペンダントから入力される情報が前記接続確認用の情報と一致するか否かを判別する第2の判別手段と、前記制御装置毎に設けられ、前記ティーチペンダントからの入力情報が前記接続確認用の情報と一致しないときは、前記ティーチペンダントによる前記マニピュレータの動作制御を不可にし、前記ティーチペンダントからの入力情報が前記接続確認用の情報と一致したときは、前記ティーチペンダントによる前記マニピュレータの動作制御を可能にする制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0032】
請求項9に記載の発明は、2以上のマニピュレータが接続され、各マニピュレータの動作を制御可能な複数の制御装置と、前記複数の制御装置を有線又は無線により相互に接続するネットワークと、前記ネットワークに通信可能に接続され、前記マニピュレータの動作を制御するための所要の情報を前記制御装置に入力し、若しくは前記制御装置からの前記マニピュレータの制御に関する情報を表示するための1以上のティーチペンダントと、を備えた産業用ロボットシステムであって、前記マニピュレータ毎に設けられた情報表示手段と、前記ティーチペンダント又は前記複数の制御装置のいずれかに設けられ、前記ティーチペンダントが前記ネットワークに接続されたことを判別する第1の判別手段と、前記ティーチペンダントに設けられ、前記判別手段により当該ティーチペンダントの前記制御装置への接続が判別されると、作業者に当該ティーチペンダントにより動作制御を可能にするマニピュレータを選択させる選択手段と、前記制御装置毎に設けられ、前記選択手段により当該制御装置に接続されたマニピュレータが選択されたと判別されると、接続確認用の情報をランダムに生成する情報生成手段と、前記制御装置毎に設けられ、前記情報生成手段により生成された情報を前記選択されたマニピュレータの情報表示手段に表示させる表示制御手段と、前記制御装置毎に設けられ、前記情報表示手段に前記接続確認用の情報が表示された後、作業者により前記ティーチペンダントから入力される情報が前記接続確認用の情報と一致するか否かを判別する第2の判別手段と、前記制御装置毎に設けられ、前記ティーチペンダントからの入力情報が前記接続確認用の情報と一致しないときは、前記ティーチペンダントによる前記マニピュレータの動作制御を不可にし、前記ティーチペンダントからの入力情報が前記接続確認用の情報と一致したときは、前記ティーチペンダントによる前記マニピュレータの動作制御を可能にする制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0033】
請求項10に記載の発明は、請求項7〜9のいずかに記載の産業用ロボットシステムにおいて、前記情報生成手段は、乱数を発生する乱数発生器であり、前記情報表示手段は、この乱数発生器で発生した乱数をセグメント表示若しくはドット表示により表示する表示器であることを特徴としている。
【0034】
請求項11に記載の発明は、請求項7〜10のいずれかに記載の産業用ロボットシステムにおいて前記制御手段は、前記ティーチペンダントからの入力情報が前記接続確認用の情報と一致しないときは、所定の回数だけ前記ティーチペンダントに情報の再入力を要求し、再入力された情報がいずれも前記接続確認用の情報と一致しないときは、前記ティーチペンダントによる前記マニピュレータの動作制御を不可にすることを特徴としている。
【0035】
請求項12に記載の発明は、請求項7〜11のいずれかに記載の産業用ロボットシステムにおいて、前記制御手段は、前記ティーチペンダントに対して作業者による入力操作を拒否させることにより、当該ティーチペンダントによる前記マニピュレータの動作制御を不可にすることを特徴としている。
【0036】
請求項13に記載の発明は、請求項7〜11のいずれかに記載の産業用ロボットシステムにおいて、前記制御手段は、前記ティーチペンダントから送信される情報を拒否することにより、当該ティーチペンダントによる前記マニピュレータの動作制御を不可にすることを特徴としている。
【0037】
請求項7〜13に記載の産業用ロボットシステムによれば、ティーチペンダントといずれかの制御装置とが通信可能に接続されると、当該制御装置で、例えば乱数発生器により乱数を発生させるなどして接続確認用の情報(以下、「確認用情報」という。)がランダムに生成され、その確認用情報が当該制御装置に接続されている一群のマニピュレータの配置領域に設けられた情報表示手段若しくは選択されたマニピュレータに設けられた情報表示手段に表示される。そして、作業者がその確認用情報を見て、当該確認用情報をティーチペンダントに入力すると、その入力情報と情報表示手段に表示された確認用情報とが一致するか否かが判別され、一致しなければ、例えばティーチペンダントに対して作業者による入力操作を拒否させたり、制御装置でティーチペンダントから送信される情報を拒否したりすることにより、ティーチペンダントによる当該制御装置を介したマニピュレータの動作制御を不可とするので、作業者にティーチペンダントが意図するマニピュレータ群を制御するための制御装置に接続されているか否かを確実に識別させることができるとともに、その後の確認動作で誤って識別している場合は確実に修正させることができる。
【0038】
特に、確認用情報を作業者がティーチペンダントの接続動作を行う毎に新規に生成しているので、確認用情報を固定する場合に比べて作業者の確認作業の確実性を向上することができる。
【0039】
また、作業者が確認用情報を誤って認識し、入力情報と確認用情報とが一致しない場合は、ティーチペンダントによるによるマニピュレータの動作制御を不可とするので、作業者によるティーチペンダントの操作により意図しないマニピュレータが誤動作することを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、作業者にティーチペンダントを意図した制御装置に接続していることを確実に識別させることができ、意図しないマニピュレータが誤動作するのを確実に防止することができる。これにより、構成が簡素で安全性の高い産業用ロボットシステムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0042】
図1は、本発明に係る産業用ロボットシステムの第1実施形態の構成を示す図である。同図に示す産業用ロボットシステム1は、ワークの溶接部分に溶接トーチを線状に移動させながら溶接を行うためのロボットシステムであり、説明の便宜上、マニピュレータが3台の場合を一例として示している。
【0043】
産業用ロボットシステム1は、3台のマニピュレータM1〜M3と、各マニピュレータM1〜M3の動作を制御する3台の制御装置C1〜C3と、制御装置C1〜C3のいずれにも接続可能な1台のティーチペンダントTPとにより構成されている。マニピュレータM1〜M3は、それぞれ専用ケーブルK1〜K3により制御装置C1〜C3に接続されている。各制御装置C1〜C3にはそれぞれティーチペンダントTPを接続するためのコネクタU1〜U3が設けられている。一方、ティーチペンダントTPには所定長のケーブルK4が接続され、その先端にはコネクタU1〜U3に装着脱可能なコネクタU4が取り付けられている。
【0044】
なお、以下の説明では、マニピュレータM1〜M3を総称するときは、「マニピュレータM」と言い、制御装置C1〜C3を総称するときは、「制御装置C」と言い、コネクタU1〜U3を総称するときは、「コネクタU」と言う。
【0045】
従って、ティーチペンダントTPは、コネクタU4をコネクタU1〜U3のいずれかに接続することにより、制御装置M1〜M3のいずれかに接続することができる。マニピュレータM1〜M3には、それぞれ自機の接続された制御装置C1〜C3にティーチペンダントTPが接続されていることを示すための表示灯L1〜L3が設けられている。
【0046】
マニピュレータM1〜M3は、同一形状の6軸ロボットからなる溶接ロボットで構成されている。また、制御装置C1〜C3は、同一の内部構造を有し、同一の機能を有している。なお、本実施形態では、説明の便宜上、制御装置C1〜C3を同一のものとしているが、制御装置C1〜C3は相互に内部構造及びその機能が異なるものであってもよい。
【0047】
マニピュレータMは、図2に示すように、フロア等の適当な箇所に固定されるベース部材11と、それに6個の軸を介して連結された6個のアーム12と、これらのアーム12の両端又は片端に設けられた6個の減速機(図示略)及び6個の駆動モータ(サーボモータ)13(一部図示略)とによって構成されている。
【0048】
マニピュレータMには、最も先端側に設けられたアーム12の先端部に、溶接トーチ14が設けられている。溶接トーチ14は、溶加材としての例えば直径1mm程度の溶接ワイヤ15をワークWの所定の溶接位置に導くものである。
【0049】
マニピュレータMの上部には、ワイヤ送給装置16が設けられている。ワイヤ送給装置16は、溶接トーチ14に対して溶接ワイヤ15を送り出すためのものである。ワイヤ送給装置16は、溶接ワイヤ15が巻回された図示しないリールと、リールを回転させる送給モータ17とによって構成され、送給モータ17は、制御装置C内の溶接電源装置30によって回転駆動される。
【0050】
ワイヤ送給装置16には、溶接ワイヤ15を案内するためのコイルライナ18が接続され、コイルライナ18の先端は、溶接トーチ14に接続されている。これにより、ワイヤ送給装置16によって送り出された溶接ワイヤ15は、コイルライナ18を介して溶接トーチ14に導かれる。溶接ワイヤ15は、溶接トーチ14から外部に突出して消耗電極として機能する。すなわち、溶接電源装置30によって溶接ワイヤ15の先端とワークWとの間にアークを発生させてその熱で溶接ワイヤ15を溶融させることにより、ワークWに対して溶接が施される。
【0051】
駆動モータ13は、制御装置C内のロボット制御装置20からの駆動信号によって回転駆動され、この各駆動モータ13が回転駆動されることにより、各アーム12が変位し、結果的に溶接トーチ14が上下前後左右に移動する。
【0052】
ワイヤ送給装置16の適所には、例えば回転灯からなる表示灯Lが設けられている。この表示灯Lは、ティーチペンダントTPの操作対象に選択されていることを作業者に認識させるためのものである。例えば図1において、マニピュレータM1が接続された制御装置C1にティーチペンダントTPが接続されると、マニピュレータM1に設けられた表示灯L1が点灯し、作業者はこの点灯によりティーチペンダントTPを接続した制御装置CがマニピュレータM1の制御装置C1であることを認識することができるようになっている。
【0053】
なお、表示灯Lは、ティーチペンダントTPが制御装置Cに接続され、操作対象がいずれのマニピュレータMになっているかを作業者に認識させるものであるから、当該マニピュレータMが作業者の視野に入る任意の位置から点灯状態が作業者に容易且つ確実に認識できる位置であれば、マニピュレータMのワイヤ送給装置16以外の任意の位置に表示灯Lを取り付けてもよい。
【0054】
また、マニピュレータMは、通常、溶接工程ラインの所定の位置に一定の安全領域を確保して配置されるから、表示灯Lをその安全領域内のマニピュレータM以外の適当な位置に配置するようにしてもよい。例えば安全領域を囲む安全柵が設けられる場合は、その安全柵の入り口付近に表示灯Lを設けるとよい。
【0055】
表示灯Lは、上記の目的で設けられるものであるから、回転灯に限られず、ランプ、LEDなど発光素子群からなる発光体などの各種の光源を用いてもよい。発光色は、注意を喚起する点では「赤」が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0056】
本実施形態に係るマニピュレータMは、上記のように複数の関節を有する多関節溶接ロボットであり、これら複数の関節を複合動作させることにより、図3に示すように、溶接トーチ14を所定の移動開始点S0から複数の教示点Sn(n=0,1,2,…)を通過するように移動させるとともに、溶接トーチ14が溶接開始点SAに移動すると、溶接電源装置30から所定の直流電源を供給してアーク溶接を開始させ、溶接トーチ14が溶接終了点SEに至ると、溶接電源装置30からの直流電源の供給を停止してアーク溶接を停止させるとともに、溶接トーチ14を移動開始点S0に復帰させる一連の動作を繰り返すようになっている。
【0057】
図2に戻り、制御装置Cは、マニピュレータMの動作と溶接トーチ14の溶接動作を制御するものである。制御装置Cは、ロボット制御装置20と溶接電源装置30を備えている。ロボット制御装置20は、予め記憶されている教示作業プログラム及び図示しないエンコーダからの現在位置情報等に基づいて、マニピュレータMの各駆動モータ13を駆動制御して、溶接トーチ14をワークWの所定の溶接位置に移動させる。溶接電源装置30は、図示しない溶接電源を備えており、溶接電源は溶接トーチ14とワークWとの間に所定の溶接電圧を供給するものである。また、溶接電源装置30は、所定のタイミングでワイヤ送給装置16の送給モータ17を駆動させる機能をも有している。
【0058】
溶接トーチ14の教示点Snの教示は、作業者が制御装置CにティーチペンダントTPを接続し、そのティーチペンダントTPによってロボット制御装置30を教示モードに設定した後、溶接トーチ14を動作移動開始点S0から基準となるワークの複数の溶接位置S1,S2,S3,…に順次移動させては各移動位置(複数の溶接位置を含む)における6個の駆動モータ13の各回転位置の情報をロボット制御装置20内のメモリに記憶させることによって行われる。
【0059】
溶接トーチ14の移動位置の教示の後、作業者がロボット制御装置20を自動溶接モードに設定し、溶接動作を指令すると、ロボット制御装置20は、溶接トーチ14の移動開始位置から移動位置の情報を順番にメモリから読み出し、隣接する複数の移動位置の間の移動軌跡(直線移動、円弧移動などの移動軌跡)を演算するとともに、その移動軌跡における6個の駆動モータ13の駆動を制御する情報(回転速度の情報)を生成し、この制御情報に基づくモータ電流をマニピュレータMに順次送出する。マニピュレータMは、ロボット制御装置20からのモータ電流により6個の駆動モータ13が回転動作し、これにより溶接トーチ14の先端が教示位置を通る所定の移動軌跡に沿って移動する。
【0060】
一方、ロボット制御装置20は、溶接トーチ14が溶接開始位置SAに移動するタイミングで溶接電源装置30に溶接開始信号を送出し、溶接終了位置SEに移動するタイミングで溶接電源装置30に溶接終了信号を送出する。溶接電源装置30は、この溶接開始信号に基づいて溶接トーチ14に溶接用電力を供給し、この溶接終了信号に基づいてその電力供給を停止する。
【0061】
従って、制御装置Cは、マニピュレータMによる溶接トーチ14の移動とこの溶接トーチ14による溶接動作を連動させることにより、溶接トーチ14を初期位置からワークWの溶接開始位置SAに移動させ、当該溶接開始位置SAから溶接終了位置SEまで所定の溶接軌跡に沿って溶接作業を行わせる一連の動作を繰り返し実行する。
【0062】
図4は、第1実施形態に係る産業用ロボットシステム1の表示灯Lの発光制御に関するブロック構成図である。なお、本発明は、ティーチペンダントTPが制御装置Cに接続されると、当該制御装置Cに対応する表示灯Lを発光させて作業者にティーチペンダントTPが意図した制御装置Cに接続されているか否かを確認させる構成に特徴があり、マニピュレータMによる溶接作業は従来の構成と同一であるので、図4では、主としてティーチペンダントTPの接続確認に関する構成を示し、溶接作業の制御に関する構成は簡略している。
【0063】
ロボット制御装置20には、マニピュレータMによる溶接動作を制御する制御部201、ティーチペンダントTPと制御部201とを通信可能に接続する入出力インターフェース(I/F)202、ティーチペンダントTPの制御部403との間でデータの送受を行う通信制御部203及びTP接続検出部203aの検出結果に基づき表示灯Lの点灯を制御する点灯制御部204が含まれている。通信制御部203には、ティーチペンダントTPのコネクタU4がコネクタUに接続されていることを検出するTP接続検出部203aが設けられている。制御部201、通信制御部203及び点灯制御部204は、主としてCPU(central processing unit)、メモリ装置(内部メモリ(揮発性メモリ、不揮発性メモリ)、外部メモリ(不揮発性メモリ)などからなるマイクロコンピュータによって構成されるが、制御部201には、マニピュレータMの6個の駆動モータ13の駆動を制御するためのドライバやマニピュレータM及び溶接電源装置30との接続を行うためのインターフェースも含まれている。
【0064】
制御部201は、ティーチペンダントTPから通信制御部203を介して入力される動作指令に従ってマニピュレータMを手動運転する制御、及びマニピュレータMの各軸の回転角度や溶接条件等を不揮発メモリに溶接制御プログラムとして記憶する処理を行う。また、不揮発メモリから所定の溶接制御プログラムを読み出し、その溶接制御プログラムに従って動作指令の内容を実行する。例えばティーチペンダントTPから教示モードの設定が指示されると、ティーチペンダントTPの操作によりマニピュレータMが手動運転され、それに従って教示位置Snの入力処理を実行する。また、自動溶接モードの設定が指示されると、不揮発メモリから溶接制御プログラムを読み出し、その溶接制御プログラムに従って教示モードによって予め入力された教示位置の情報に基づいて溶接動作を繰り返す処理を実行する。
【0065】
TP接続検出部203aは、作業者により電源スイッチ(図略)がオンにされ、制御装置Cが起動すると、ティーチペンダントTPが制御装置Cに接続されているか否かを監視する処理(以下、「TP接続監視処理」という。)を開始する。
【0066】
TP接続検出部203aは、ティーチペンダントTPのコネクタU4が制御装置CのコネクタUに接続されていることを検出すると、その検出信号(以下、「TP接続検出信号」という。)を点灯制御部204に出力する。点灯制御部204は、このTP接続検出信号を受けて表示灯Lに電源を供給し、表示灯Lを点灯させる。一方、TP接続検出部203aは、ティーチペンダントTPのコネクタU4が制御装置CのコネクタUに接続されていないことを検出すると、その検出信号(以下、「TP未接続検出信号」という。)を点灯制御部204に出力する。点灯制御部204は、このTP未接続検出信号を受けて表示灯Lへの電源供給を停止し、表示灯Lを消灯させる。
【0067】
ティーチペンダントTPのコネクタU4が制御装置CのコネクタUに接続されているか否かの検出方法は種々の方法を採用することができる。
【0068】
例えば図5に示すように、制御装置CのコネクタUに一対の端子T1,T2を設け、端子T1は通信制御部203内のTP接続検出部203aに接続し、端子T2はアースに接地する一方、ティーチペンダントTPのコネクタU4に端子T1,T2にそれぞれ接続される互いに短絡された一対の端子T1’,T2’を設け、TP接続検出部203aで端子T1の電位レベルを監視することにより、制御装置CのコネクタUにティーチペンダントTPのコネクタU4が接続されているか否かを判別することができる。
【0069】
なお、この方法は、コネクタU4の端子T1’をティーチペンダントTPの通信制御部405内のTP接続検出部405aに接続し、端子T2’を接地する一方、コネクタUの端子T1,T2を短絡し、TP接続検出部405aで端子T1の電位レベルを監視することにより、ティーチペンダントTPの側で制御装置CのコネクタUにティーチペンダントTPのコネクタU4が接続されているか否かを判別するようにしてもよい。
【0070】
また、図5の方法に代えて、図6に示すように、ロボット制御装置20のTP接続検出部203aで通信制御部203のコネクタUの各端子に接続された複数のポートP1〜Pnの状態(各ポートの電位レベルの変化)を監視するとともに、ティーチペンダントTPのTP接続検出部405aで通信制御部405のコネクタU4の各端子に接続された複数のポートP1〜Pnの状態(各ポートの電位レベルの変化)を監視することによって、制御装置CのコネクタUにティーチペンダントTPのコネクタU4が接続されているか否かを判別することができる。この構成によれば、ケーブルK4及びコネクタU1〜U4の構造が簡単になる利点がある。
【0071】
そこで、以下の説明では、TP接続検出部203a,405aのそれぞれでポートP1〜Pnの状態を監視し、その監視結果に基づいて制御装置CのコネクタUにティーチペンダントTPのコネクタU4が接続されているか否かを判別する方法を採用した場合を例に説明する。
【0072】
図4に戻り、ティーチペンダントTPは、制御装置CにマニピュレータMの動作を制御するための各種の情報(教示位置の情報を含む)を入力するための入力部401、入力部401から入力された情報や制御装置Cから送信された情報を表示する表示部402、入力部401及び表示部402の動作を制御する制御部403、制御部403と制御装置Cとを通信可能に接続する入出力インターフェース(I/F)404、ロボット制御装置20の制御部201との間でデータの送受を行う通信制御部405、電源406及びコネクタU4が設けられたケーブルK4を備えている。通信制御部405には、ティーチペンダントTPのコネクタU4がコネクタUに接続されていることを検出するTP接続検出部405aが設けられている。
【0073】
入力部401は、電源スイッチや、特定の処理を指令するための複数のキーや数値、文字などを入力するための複数のキーを備えている。各キーの操作信号は制御部403に入力される。表示部402は、LCDなどのディスプレイデバイスからなり、文字表示、図形表示により各種の情報を表示可能になっている。表示部402には、制御部403からの表示データを文字表示又は図形表示に変換するデコーダが設けられ、このデコーダによって生成された表示データがディスプレイに表示される。
【0074】
制御部403は、マイクロコンピュータからなり、入力部401から入力される操作情報を表示部402に転送して操作内容を表示させたり、通信制御部405及びI/F404を介してロボット制御装置20に送信したりする。また、ロボット制御装置20から通信制御部405及びI/F404を介して送信される制御装置C側の各種の情報(ID番号やマニピュレータMのステータス情報やエラー情報など)を受信し、その情報を表示部402に転送して表示させたりする。
【0075】
図示はしていないが、溶接電源装置30には、商用電源(交流電源)から溶接用の直流電源を生成する電源部と、この電源部の動作を制御する電源制御部と、溶接ワイヤの送給を制御するワイヤ送給制御部が含まれる。電源部は、インバータ回路を有し、電源制御部からの制御信号に基づきインバータ回路のスイッチングを制御して溶接トーチ14に供給する電流量を制御する。また、電源部は、電源制御部からの制御信号に基づき溶接トーチ14への電流供給のタイミングを制御する。また、ワイヤ送給制御部は、送給モータ17の駆動を制御して溶接ワイヤ15の送給量を制御する。
【0076】
次に、図7に示すフローチャートに従って制御装置CにおけるTP接続監視処理について説明する。
【0077】
作業者により電源スイッチ(図略)がオンにされ、制御装置Cが起動すると、TP接続検出部203aによりコネクタUの各ポートの状態からティーチペンダントTPのコネクタU4が接続されているか否かが判別される(S1)。ティーチペンダントTPのコネクタU4が接続されていなければ(S1:NO)、TP接続検出部203aから点灯制御部204にTP未接続信号が入力され、点灯制御部204により表示灯Lへの電源供給が停止されて表示灯Lが消灯する(S2)。一方、ティーチペンダントTPのコネクタU4が接続されていれば(S1:YES)、TP接続検出部203aから点灯制御部204にTP接続信号が入力され、表示灯Lに電源が供給されて表示灯Lが点灯する(S3)。そして、上記のTP接続監視処理は電源がオンの間、行われる(S1〜S4のループ)。
【0078】
従って、制御装置C1〜C3の各ロボット制御装置20は、TP接続検出部203aによりティーチペンダントTPが接続されたことが検出されると、各ロボット制御装置20に接続された表示灯L1〜L3を点灯させ、TP接続検出部203aによりティーチペンダントTPが接続されていないことが検出されると、各ロボット制御装置20に接続された表示灯L1〜L3を消灯させる。
【0079】
例えば、図1において、ティーチペンダントTPのコネクタU4が制御装置C1のコネクタU1に接続されると、マニピュレータM1の表示灯L1のみが点灯し、マニピュレータM2,M3の表示灯L2,L3は消灯する。同様に、ティーチペンダントTPのコネクタU4が制御装置C2のコネクタU2又は制御装置C3のコネクタU3に接続されると、マニピュレータM2の表示灯L2又はマニピュレータM3の表示灯L3のみが点灯し、他の表示灯L1,L3又は表示灯L1,L2は消灯する。
【0080】
なお、図4に示す構成では、ティーチペンダントTPに独立した電源406を設けているが、ティーチペンダントTPの駆動電源を当該ティーチペンダントTPが接続された制御装置CからケーブルK4を介して供給する構成であってもよい。例えばケーブルK4及びコネクタU4をUSB(Universal Serial Bus)ケーブル及びUSBコネクタで構成すれば、ティーチペンダントTPの駆動電源を当該ティーチペンダントTPが接続された制御装置Cから供給することができる。
【0081】
この構成では、制御装置Cのロボット制御装置20内のCPUでUSBポートの接続状態を監視する(例えばUSBケーブルの電源ラインの通電状態を監視する)ことにより、ティーチペンダントTPの接続の有無が分かるので、制御装置C1〜C3の各ロボット制御装置20は、USBポートの接続状態を確認し、接続有りの状態であれば、各ロボット制御装置20に接続された表示灯L1〜L3を点灯させ、接続無しの状態であれば、各ロボット制御装置20に接続された表示灯L1〜L3を消灯させることになる。
【0082】
なお、上記実施形態では、表示灯Lの表示態様として「点灯」の場合だけを示したが、「点滅」させてもよい。更に、表示灯を、例えば「青」から「赤」のように点灯色を変えてもよい。また、上記実施形態では、ティーチペンダントTPが接続されたことを「発光」によって視覚的に作業者に報知していたが、音声によって聴覚的にティーチペンダントTPが接続された制御装置Cを報知するようにしてもよく、「発光」と「音声」の両方で報知するようにしてもよい。
【0083】
音声による報知では、単なる音ではティーチペンダントTPが接続された制御装置Cの識別が容易でないので、「○○番号の制御装置にティーチペンダントが接続されています。」などの音声メッセージを報知するとよい。
【0084】
上記のように、第1実施形態に係る産業用ロボットシステム1によれば、ティーチペンダントTPの接続(より具体的には、コネクタU4と制御装置C1〜C3のコネクタU1〜U3との接続)の有無を監視し、ティーチペンダントTPが制御装置C1〜C3のいずれかに接続されると、その接続された制御装置C1〜C3に対応する表示灯L1〜L3を発光させたり、音声メッセージを発音したりして作業者にティーチペンダントTPが接続された制御装置C1〜C3を報知するようにしているので、作業者はその制御装置C1〜C3が意図した制御装置Cであるか否かを容易に判別することができ、ティーチペンダントTPの誤接続を防止することができる。
【0085】
ところで、第1実施形態に係る産業用ロボットシステム1では、作業者がティーチペンダントTPを制御装置Cに接続すると、その制御装置Cに接続されたマニピュレータM若しくはそのマニピュレータMが設置された所定の安全領域内に設けられた表示灯Lを表示させることにより、ティーチペンダントTPが意図した制御装置Cに接続されていることを容易に確認するようにしていたが、この方法に代えて若しくはこの方法に加えて、ティーチペンダントTPの表示部402に当該ティーチペンダントTPが接続された制御装置Cに関する情報(例えば制御装置Cに固有の名称やID番号などの情報)を表示させるようにしてもよい。
【0086】
第1実施形態に係る産業用ロボットシステム1においては、一般に溶接作業をさせる前に作業者が所望のマニピュレータMの近傍位置に移動し、当該マニピュレータMを観測しながら溶接動作における移動位置の教示操作を行うので、マニピュレータM若しくはそのマニピュレータMが設置された所定の安全領域内に表示灯Lを設け、この表示灯Lを点灯させることにより、ティーチペンダントTPが意図した制御装置Cに接続されているか否かを容易に確認できるようにしたものであるが、ティーチペンダントTPの表示部402に、当該ティーチペンダントTPが接続された制御装置Cを表示させる方法を採用した産業用ロボットシステム(以下、第2実施形態に係る産業用ロボットという。)は、作業者が教示操作をする場合、ティーチペンダントTPの表示部402の表示内容を見ながら作業をすることが通常であるから、その表示部402にティーチペンダントTPが接続された制御装置Cに関する情報を表示させることにより、より確実にティーチペンダントTPの接続内容を確認できる利点がある。
【0087】
第2実施形態に係る産業用ロボットシステムの基本的な構成は、上述した第1実施形態に係る産業用ロボットシステムの構成(図4に示す構成)と略同一であるが、各制御装置Cのロボット制御装置20には制御装置Cに固有のID番号が記憶され、ティーチペンダントTPから要求があると、そのID番号をティーチペンダントTPに送信する機能が追加されている点で相違している。
【0088】
従って、第2実施形態に係る産業用ロボットシステムは、第1実施形態に係る産業用ロボットシステム1に対して主としてTP接続監視処理が異なるだけであるので、以下では、TP接続監視処理について説明する。
【0089】
図8は、第2実施形態に係る産業用ロボットシステムのティーチペンダントにおけるTP接続監視処理の手順を示すフローチャートである。
【0090】
作業者により電源スイッチ(図略)がオンにされ、ティーチペンダントTPが起動すると、TP接続検出部405aによりコネクタU4の各ポートの状態からティーチペンダントTPのコネクタU4が接続されているか否かが判別される(S11)。ティーチペンダントTPのコネクタU4が接続されていなければ(S11:NO)、表示部402にティーチペンダントTPが制御装置Cに接続されていない旨の表示が行われ(ステップS12)、ティーチペンダントTPが制御装置Cに接続されるまで、待機状態となる(ステップS11,S12,S16のループ処理)。
【0091】
一方、起動時にティーチペンダントTPのコネクタU4が接続されているか、起動後にティーチペンダントTPのコネクタU4が接続されると(S11:YES)、制御部403は、ロボット制御装置20に対して制御装置CのID番号を要求する(ステップS13)。このID番号は数字、文字若しくは数字と文字との組み合わせからなる、制御装置C毎に固有の所定桁の番号で、ロボット制御装置20の制御部201内の不揮発メモリに予め記憶されている。
【0092】
そして、ロボット制御装置20の制御部201からID番号が送信されると(ステップS14:YES)、制御部403は、そのID番号を表示部402に表示させ(ステップS15)、ティーチペンダントTPの制御装置Cへの接続が解除されるまで、ID番号の表示状態を保持する(ステップS11,S13〜S16のループ処理)。そして、上記のTP接続監視処理は電源がオンの間、行われる(S1〜S16のループ)。
【0093】
なお、図8に示すフローチャートでは、ティーチペンダントTPが制御装置Cに接続されているときは、表示部402に常時ID番号を表示させるようにしているが、ティーチペンダントTPが制御装置Cに接続された後、一定時間だけID番号を表示させるようにしてもよい。
【0094】
また、図8に示すフローチャートでは、制御装置CのID番号を直接、ティーチペンダントTPの表示部402に表示させていたが、ID番号を制御装置Cの名称などに変換して表示させるようにしてもよい。このようにすれば、作業者が制御装置C毎に固有の名称を付与することにより、表示部402にティーチペンダントTPが接続された制御装置Cの名称が表示されるので、その制御装置Cを容易に識別することができる。
【0095】
また、図8に示すフローチャートでは、制御装置CのID番号を制御部201内の不揮発メモリに記憶させる構成について説明したが、ID番号の情報を当該ID番号を構成する複数ビットに対応した複数個のスイッチの接点状態若しくはジャンパピンの設定状態などによってハード的に設定するようにしてもよい。この場合は、制御部201がスイッチの接点状態若しくはジャンパピンの設定状態を読み取ってその情報をID情報としてティーチペンダントTPの制御部403に送信する。
【0096】
図9は、第2実施形態に係る産業用ロボットシステムの制御装置におけるTP接続監視処理の手順を示すフローチャートである。
【0097】
作業者により電源スイッチ(図略)がオンにされ、ロボット制御装置20が起動すると、TP接続検出部203aによりコネクタUの各ポートの状態から制御装置CのコネクタUが接続されているか否かが判別される(S21)。制御装置CのコネクタUが接続されていなければ(S21:NO)、TP接続検出部203aは、点灯制御部204にTP未接続信号を入力し、表示灯Lへの電源供給を停止させて表示灯Lを消灯する(ステップS22)。
【0098】
起動時に制御装置CのコネクタUが接続されているか、起動後に制御装置CのコネクタUが接続されると(ステップS21:YES)、TP接続検出部203aは、点灯制御部204にTP接続信号を入力し、表示灯Lに電源を供給して表示灯Lを点灯する(ステップS23)。
【0099】
続いて、ティーチペンダントTPからID番号の要求があるか否かを判別し(S24)、ID番号の要求があれば(S24:YES)、制御部201は、不揮発メモリに記憶されたID番号をティーチペンダントTPの制御部403に送信する(S25)。一方、ID番号の要求がなければ(S24:NO)、制御部201は、ステップS25をスキップする。そして、上記のTP接続監視処理は電源がオンの間、行われる(S21〜S26のループ)。
【0100】
図9のフローチャートでは、制御装置CにティーチペンダントTPが接続されると、表示灯Lを表示させるようにしているが、表示灯Lを表示させる機能を除いてもよい。すなわち、ティーチペンダントTPの表示部402へのID番号表示だけでティーチペンダントTPの接続確認を行うようにしてもよい。この場合は、ロボット制御装置20に表示灯Lを表示させるための構成が不要になるので、その分、構成の簡素化が可能になる。
【0101】
図10は、本発明に係る産業用ロボットシステムの第3実施形態の構成を示す図である。また、図11は、第3実施形態に係る産業用ロボットシステムの表示灯の発光制御に関するブロック構成図である。
【0102】
上述した第1,第2実施形態に係る産業用ロボットシステムは、ティーチペンダントTPが接続された制御装置Cに対応する表示灯Lを点灯させたり、ティーチペンダントTPが接続された制御装置CのID番号をティーチペンダントTPの表示部402に表示させたりしてティーチペンダントTPが作業者の意図した制御装置Cに接続されているか否かを作業者が確認できるようするものであるが、この方法では、作業者が発光した表示灯LやティーチペンダントTPの表示部402に表示されたID番号を誤って認識した場合は、ティーチペンダントTPの操作により意図しないマニピュレータMが誤動作する可能性がある。
【0103】
第3実施形態に係る産業用ロボットシステム1’は、ティーチペンダントTPが制御装置Cに接続されると、その制御装置Cで乱数を発生させて表示し、作業者にその表示された乱数を入力させることにより、作業者のティーチペンダントTPの接続内容の確認作業の確実性を高めるようにしたものである。
【0104】
従って、図10は、図1において、表示灯L1〜L3に代えて乱数を表示するための表示器D1〜D3を設けたものである。表示器D1〜D3は、7セグメントの表示器やドット表示器などによって構成され、数字や文字が表示できるものである。なお、以下の説明では、表示器D1〜D3を総称するときは、「表示器D」と言う。
【0105】
また、図11は、図4において、ロボット制御装置20に、点灯制御部204に代えて乱数発生部205、乱数表示制御部206を設け、ティーチペンダントTPに乱数照合部407を設けたものである。
【0106】
乱数発生部205は、TP接続検出部203aによってティーチペンダントTPの制御装置Cへの接続が検出されると、2桁の乱数を発生するものである。2桁の乱数は、0〜9の数字の組み合わせでもよく、0〜9の数字とA〜Zのアルファベットの組み合わせでもよい。乱数表示制御部206は、乱数発生部205で発生した乱数を表示器Dに表示させるものである。なお、本実施形態では、2桁の乱数を発生させるようにしているが、乱数の桁数は2桁に限るものではなく、任意の桁数の乱数を用いることができる。
【0107】
乱数照合部407は、表示器Dに乱数が表示された後、ティーチペンダントTPの入力部401から作業者によって入力される数値と表示器Dに表示された乱数とを照合し、その照合結果を制御部403に入力するものである。なお、制御部403は、TP接続検出部405aによりティーチペンダントTPの制御装置Cへの接続が検出されると、ロボット制御装置20に表示器Dに表示させた乱数を要求するとともに、表示部402に作業者が乱数確認用の数値を入力するように要求し、乱数照合部407は、ロボット制御装置20から送信された乱数と入力部401から入力された乱数確認用の数値を照合する。
【0108】
次に、第3実施形態に係る産業用ロボットシステムのTP接続監視処理について説明する。
【0109】
図12は、ロボット制御装置におけるTP接続監視処理の手順を示すフローチャートであり、図13は、ティーチペンダントにおけるTP接続監視処理の手順を示すフローチャートである。まず、制御装置CにおけるTP接続監視処理について説明する。
【0110】
作業者により電源スイッチ(図略)がオンにされ、ロボット制御装置20が起動すると、TP接続検出部203aによりコネクタUの各ポートの状態から制御装置CのコネクタUが接続されているか否かが判別される(S31)。制御装置CのコネクタUが接続されていなければ(S31:NO)、制御装置CのコネクタUが接続されるまで、待機する。
【0111】
起動時に制御装置CのコネクタUが接続されているか、起動後に制御装置CのコネクタUが接続されると(S31:YES)、乱数発生部205により乱数を発生させ(S32)、乱数表示制御部206によりその乱数が表示器Dに表示される(S33)。
【0112】
続いて、制御部201によりティーチペンダントTPから乱数の要求があるか否かが判別され(S34)、乱数の要求があれば(S34:YES)、乱数発生部205で発生した乱数がティーチペンダントTPの制御部403に送信され(S35)、乱数の要求がなければ(S34:NO)、乱数の要求があるまで待機状態となる(S34のループ)。
【0113】
続いて、乱数の送信後にティーチペンダントTPから送信される乱数の照合結果に基づく指令が受信されると(S36:YES)、制御部201によりその指令内容が判別され(S37)、操作無効の指令であれば(S37:NO)、その後のティーチペンダントTPからのコマンドの受信を拒否する状態になり(S39)、操作有効の指令であれば(S37:YES)、その後のティーチペンダントTPからのコマンドの受信を許可した状態、すなわち、ティーチペンダントTPの操作指令に基づき所定の動作制御を実行する状態となる(S38)。
【0114】
次に、ティーチペンダントTPにおけるTP接続監視処理について説明する。
【0115】
作業者により電源スイッチ(図略)がオンにされ、ティーチペンダントTPが起動すると、TP接続検出部405aによりコネクタU4の各ポートの状態からティーチペンダントTPのコネクタU4が接続されているか否かが判別される(S41)。ティーチペンダントTPのコネクタU4が接続されていなければ(S41:NO)、表示部402にティーチペンダントTPが制御装置Cに接続されていない旨の表示が行われ(ステップS42)、ティーチペンダントTPが制御装置Cに接続されるまで、待機状態となる(ステップS41,S42のループ処理)。
【0116】
一方、起動時にティーチペンダントTPのコネクタU4が接続されているか、起動後にティーチペンダントTPのコネクタU4が接続されると(S41:YES)、制御部403によりロボット制御装置20に対して乱数発生部205で発生した乱数が要求される(ステップS43)。この要求に対するロボット制御装置20からの乱数が受信されると(S44:YES)、入力回数をカウントするカウンタnが「1」に設定された後(S45)、表示部402に接続確認用の数値を入力すべき旨の所定の表示が行われる(S46)。
【0117】
続いて、作業者により入力部401から接続確認用の数値が入力されると(S47)、乱数照合部408により接続確認用の数値と乱数との照合が行われる(S48)。入力された接続確認用の数値が表示された乱数と一致しなければ(S49:NO)、カウンタNのカウント値を「1」だけ増加した後(S50)、そのカウント値が所定の閾値(例えば4回)を超えたか否かが判別され(S51)、カウント値が閾値を超えていなければ(S51:NO)、ステップS46に戻り、再度接続確認用の数値の入力処理と乱数の照合処理が行われる(S46〜S51)。
【0118】
そして、作業者が接続確認用の数値を所定の回数(本実施形態では3回)連続して入力するうち、いずれかの入力値が表示された乱数に一致すると(S49:YES)、ティーチペンダントTPの制御部403からロボット制御装置20の制御部201にティーチペンダントTPからのコマンドの受信を許可する指令が送信される(S52)。
【0119】
一方、作業者が接続確認用の数値を所定の回数(本実施形態では3回)連続して入力した数値が全て表示された乱数と一致しなければ(S51:YES)、ティーチペンダントTPの制御部403からロボット制御装置20の制御部201にティーチペンダントTPからのコマンドの受信を拒否する指令が送信される(S53)。また、表示部402にティーチペンダントTPの接続が不適切である旨の所定の表示が行われる(S54)。作業者は、この表示によりティーチペンダントTPの接続操作をやり直すことにより意図した制御装置Cに確実にティーチペンダントTPを接続することになる。
【0120】
なお、図12,図13の処理では、ティーチペンダントTPの接続が不適切であるとき、ロボット制御装置CでのティーチペンダントTPのコマンドを拒否するようにしたが、作業者がティーチペンダントTPを操作することによってロボット制御装置Cが動作しないような禁止処理であれば、これに限定されるものではない。例えば、ティーチペンダントTP側で作業者の入力部401による入力を拒否するようにしてもよい。
【0121】
また、図12,図13の処理では、接続確認用の数値の入力値と表示された乱数の照合動作を3回まで許容していたが、最初の照合で不一致の場合に直ちに表示部402にティーチペンダントTPの接続が不適切である旨の所定の表示を行い、作業者にティーチペンダントTPの再接続を行わせるようにしてもよい。
【0122】
また、図12,図13の処理では、接続確認用の数値の入力値と表示された乱数の照合動作をティーチペンダントTP側で行っていたが、ロボット制御装置20側で行うようにしてもよい。この場合は、ロボット制御装置CからティーチペンダントTPに乱数を送信する代わりに、ティーチペンダントTPから作業者によって入力された接続確認用の数値がロボット制御装置Cに送信され、ロボット制御装置Cに設けられた乱数照合部で接続確認用の数値と表示された乱数との照合が行われることになる。
【0123】
以上のように、第3実施形態に係る産業用ロボットシステムによれば、ティーチペンダントTPが制御装置C1〜C3のいずれかに接続されると、接続された制御装置C1〜C3の表示器D1〜D3に乱数が表示され、作業者がこの乱数を確認しているか否かを当該作業者が入力した接続確認用の数値と表示された乱数との照合により判別するようにしているので、作業者によるティーチペンダントTPの接続内容の確認動作をより確実に行うことができる。
【0124】
また、乱数の照合動作により作業者が誤ってティーチペンダントTPを接続していると判断されるときは、ティーチペンダントTPの操作によってロボット制御装置Cが動作しないようにしているので、作業者の意図しないロボット制御装置Cが誤動作することを確実に防止することができる。
【0125】
ところで、上述した第1〜第3実施形態に係る産業用ロボットシステムは、ティーチペンダントTPと3個の制御装置C1〜C3とをコネクタによって個別に装着脱する構成であったが、本発明に係るTP接続監視機能は、図14,図15に示すように、制御装置C1〜C3がネットワーク50に接続され、ティーチペンダントTPがネットワーク50にコネクタU5によって着脱可能に接続される構成の産業用ロボットシステム(以下、第4実施形態に係る産業用ロボットシステムという。)にも適用でき、第1〜第3実施形態に係る産業用ロボットシステムと同様の効果を奏することができる。なお、ネットワークとしては、イーサネット(登録商標)やFDDI(Fiber Distributed Data Interface)などのLAN(Local Area Network)、デバイスネットやProfibusなどのフィールドネットワークなどを使用することができる。
【0126】
また、図16,図17に示すように、制御装置C1〜C3とティーチペンダントTPとが無線LANなどの無線通信によって接続される構成の産業用ロボットシステム(以下、第5実施形態に係る産業用ロボットシステムという。)にも適用でき、第1〜第3実施形態に係る産業用ロボットシステムと同様の効果を奏することができる。
【0127】
なお、図14,図16は、ティーチペンダントTPが通信可能に接続された制御装置Cを表示灯Lによって確認させる方式の産業用ロボットシステムであり、図15,図17は、ティーチペンダントTPが通信可能に接続された制御装置Cの表示器Dに乱数を表示させ、作業者にこの乱数を入力させる方式の産業用ロボットシステムである。
【0128】
第4実施形態に係る産業用ロボットシステムでは、ティーチペンダントTPのコネクタU4がLANのコネクタU5に接続されると、ティーチペンダントTPは物理的に3個の制御装置C1〜C3の全てに接続されていることになるので、作業者がティーチペンダントTPによって操作したい制御装置Cを当該ティーチペンダントTPに入力して制御装置Cを特定する必要がある。
【0129】
本実施形態では、ティーチペンダントTPは、LAN50に接続されると、各制御装置Cが他のティーチペンダントTPに接続されているか否か(自己のティーチペンダントTPと各制御装置Cとが通信を確立することができるか否か)を確認する機能を有している。すなわち、作業者がティーチペンダントTPのコネクタU4をLAN50のコネクタU5に接続し、入力部401で接続可能な制御装置Cの一覧を表示させるための操作を行うと、ティーチペンダントTPの制御部403は、制御装置C1〜C3に通信の可否を順番に問い合わせ、通信可能との応答があった制御装置Cを表示部402に一覧表示させる。
【0130】
そして、この一覧表示に対して作業者が所望の制御装置Cを選択する操作、例えばカーソル表示を所望の制御装置Cの表示に移動させる操作や所望の制御装置CのID番号を入力する操作などの選択操作を行うと、制御部403は、選択された制御装置Cのロボット制御装置20の制御部201に対して通信の確立処理を行う。
【0131】
この通信の確立処理は、実質的にティーチペンダントTPと制御装置Cとの接続を意味するものであり、ティーチペンダントTP及び制御装置Cは、通信が確立すると、相互に接続されたと判断し、上述したTP接続間処理を行うことになる。すなわち、第1実施形態に係るTP接続間処理では、表示灯Lの表示が行われ、第2実施形態に係るTP接続処理では、表示部402に制御装置CのID番号が表示され、第3実施形態に係るTP接続処理では、乱数表示とその乱数の照合処理とが行われる。
【0132】
第5実施形態に係る産業用ロボットシステムでは、ティーチペンダントTPと制御装置C1〜C3は物理的に接続されることはないので、無線通信が確立できるか否かによってティーチペンダントTPと制御装置Cとの接続が確認されることになる。
【0133】
この場合は、作業者が入力部401で接続可能な制御装置Cの一覧を表示させるための操作を行うと、ティーチペンダントTPの制御部403は、無線通信により制御装置C1〜C3に通信の可否を順番に問い合わせ、通信可能との応答があった制御装置Cを表示部402に一覧表示させる。この一覧表示に対して作業者が所望の制御装置Cを選択する操作をした後の処理については、第4実施形態に係る産業用ロボットシステムの場合と同様であるので、説明を省略する。
【0134】
上述した第1〜第5実施形態に係る産業用ロボットシステムでは、制御装置Cに1台のマニピュレータMが接続される例を説明したが、本発明に係るTP接続検出処理は、図18に示すように、制御装置Cに2台以上のマニピュレータMa,Mb,…が接続され、1台の制御装置Cにより複数台のマニピュレータMa,Mb,…が制御可能なシステムにも適用することができる。なお、図18では、制御装置C1,C2にそれぞれ2台のマニピュレータMa,Mbが接続されている例を示している。
【0135】
この場合は、TP接続検出処理として、ティーチペンダントTPが接続された制御装置Cを確認するための処理(以下、TP接続検出処理Aという。)と、ティーチペンダントTPによって操作制御されるマニピュレータMa,Mb,…を確認するための処理(以下、TP接続検出処理Bという。)の2種類が考えられる。
【0136】
TP接続検出処理Aを採用する場合は、制御装置Cに接続されるマニピュレータMの数に関係なく当該制御装置Cに対して表示灯Lや表示器Dは1台となる。そして、その表示灯Lや表示器Dは、複数台のマニピュレータMa,Mb,…のいずれかに設けられるか、これらのマニピュレータMa,Mb,…が配置される安全領域内の適当な場所に設けられる。
【0137】
TP接続検出処理Aは、作業者がティーチペンダントTPによって操作しようとするマニピュレータMをそのマニピュレータMが接続された制御装置Cで代表させ、ティーチペンダントTPと制御装置Cとの接続の有無を確認させるものであるから、図19に示すように、例えば制御装置C1に接続された2台のマニピュレータMa,Mbと制御装置C2に接続された2台のマニピュレータMa,Mbとが溶接工程ラインの同一の領域R1,R2,…にそれぞれ配置されることを前提とし、このような場合に有効である。マニピュレータMa.Mb,…毎に表示灯Lや表示器Dを設ける必要がないので、構成が簡単になる利点がある。
【0138】
一方、TP接続検出処理Bを採用する場合は、制御装置Cに接続されるマニピュレータMa,Mb,…毎に表示灯Lや表示器Dが設けられるので、マニピュレータMの数だけ表示灯Lや表示器Dが必要になる。そして、その表示灯Lや表示器Dは、各マニピュレータMa,Mb,…の適当な場所に取り付けられる。
【0139】
TP接続検出処理Bは、マニピュレータMと制御装置Cとの接続関係に関係なくティーチペンダントTPと作業者が意図したマニピュレータMとの接続の有無、より正確には制御可否の有無を確認させるものであるから、図20に示すように、例えば制御装置C2に接続された2台のマニピュレータMa,Mbが溶接工程の異なった領域R1,R2に分かれて配置される場合を想定しており、このような場合に特に有効である。
【0140】
TP接続検出処理Bを採用する場合は、ティーチペンダントTPと制御装置Cとの接続が検出されただけでは、作業者がティーチペンダントTPによってどのマニピュレータMを操作使用しているのか特定できないから、まず、ティーチペンダントTPに制御装置Cに接続されているマニピュレータMa,Mb,…の一覧を表示させ、作業者にその一覧表示の中から意図しているマニピュレータMを選択させる処理が行われる。
【0141】
そして、この選択処理でマニピュレータMが特定されると、その選択情報がティーチペンダントTPから制御装置Cのロボット制御装置20に送信され、選択されたマニピュレータMの表示灯Lの点灯や選択されたマニピュレータMの表示器Dでの乱数表示及び乱数照合が行われることになる。
【0142】
なお、上述したTP接続検出処理A,Bは、コネクタUによって個別に制御装置C1〜C3に接続する方式、制御装置C1〜C3が接続されたLANにコネクタUによって接続する方式、無線通信により個別に制御装置C1〜C3に通信を確立する方式のいずれの産業用ロボットシステムにも適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明に係る産業用ロボットシステムの第1実施形態の構成を示す図である。
【図2】マニピュレータの外観図である。
【図3】溶接トーチの教示軌跡を説明するための図である。
【図4】第1実施形態に係る産業用ロボットシステムの表示灯の発光制御に関するブロック構成図である。
【図5】ティーチペンダントの接続の有無を検出するためのコネクタの構造の一例を示す図である。
【図6】ティーチペンダントの接続の有無を検出するための他のコネクタの構造を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る産業用ロボットシステムの制御装置におけるTP接続監視処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】第2実施形態に係る産業用ロボットシステムのティーチペンダントにおけるTP接続監視処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態に係る産業用ロボットシステムの制御装置におけるTP接続監視処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明に係る産業用ロボットシステムの第3実施形態の構成を示す図である。
【図11】第3実施形態に係る産業用ロボットシステムの表示灯の発光制御に関するブロック構成図である。
【図12】第3実施形態に係る産業用ロボットシステムの制御装置におけるTP接続監視処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】第3実施形態に係る産業用ロボットシステムのティーチペンダントにおけるTP接続監視処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】複数の制御装置がLANによって接続された産業用ロボットシステムであって、表示灯によってティーチペンダントの接続確認を行わせる産業用ロボットシステムの構成を示す図である。
【図15】複数の制御装置がLANによって接続された産業用ロボットシステムであって、表示器に表示された乱数によってティーチペンダントの接続確認を行わせる方式の産業用ロボットシステムの構成を示す図である。
【図16】ティーチペンダントと複数の制御装置が無線通信によって接続された産業用ロボットシステムであって、表示灯によってティーチペンダントの接続確認を行わせる産業用ロボットシステムの構成を示す図である。
【図17】ティーチペンダントと複数の制御装置が無線通信によって接続された産業用ロボットシステムであって、表示器に表示された乱数によってティーチペンダントの接続確認を行わせる方式の産業用ロボットシステムの構成を示す図である。
【図18】複数台のマニピュレータが接続された制御装置を含む産業用ロボットシステムの構成を示す図である。
【図19】同一の制御装置に接続された複数台のマニピュレータが溶接工程の同一の領域に配置される例を示す図である。
【図20】同一の制御装置に接続された複数台のマニピュレータが溶接工程の同異なる領域に配置される例を示す図である。
【符号の説明】
【0144】
1,1’ 産業用ロボットシステム
M,M1〜M3 マニピュレータ
11 ベース部材
12 アーム
13 駆動モータ
14 溶接トーチ
15 溶接ワイヤ
16 ワイヤ送給装置
17 送給モータ
18 コイルライナ
20 ロボット制御装置
201 制御部
202 インターフェース
203 通信制御部
203a TP接続検出部
204 点灯制御部
205 乱数発生部
206 乱数表示制御部
30 溶接電源装置
TP ティーチペンダント
401 入力部
402 表示部
403 制御部
404 インターフェース
405 通信制御部
405a TP接続検出部
406 電源
407 乱数照合部
50 LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のマニピュレータが接続され、各マニピュレータの動作を制御可能な複数の制御装置と、
前記複数の制御装置にそれぞれ着脱可能に接続され、前記マニピュレータの動作を制御するための所要の情報を前記制御装置に入力し、若しくは前記制御装置からの前記マニピュレータの制御に関する情報を表示するための1以上のティーチペンダントと、
を備えた産業用ロボットシステムにおいて、
前記制御装置毎に、当該制御装置に接続されている前記マニピュレータの配置領域に設けられた報知手段と、
前記ティーチペンダント又は前記複数の制御装置のいずれかに設けられ、前記ティーチペンダントが前記制御装置に接続されたことを判別する判別手段と、
前記制御装置毎に設けられ、前記判別手段により当該制御装置に前記ティーチペンダントが接続されたと判別されると、当該制御装置に対応する前記報知手段によりその接続を報知させる報知制御手段と、
を備えたことを特徴とする産業用ロボットシステム。
【請求項2】
1以上のマニピュレータが接続され、各マニピュレータの動作を制御可能な複数の制御装置と、
前記複数の制御装置を有線又は無線により相互に接続するネットワークと、
前記ネットワークに着脱可能に接続され、前記マニピュレータの動作を制御するための所要の情報を前記制御装置に入力し、若しくは前記制御装置からの前記マニピュレータの制御に関する情報を表示するための1以上のティーチペンダントと、
を備えた産業用ロボットシステムであって、
前記制御装置毎に当該制御装置に接続されている前記マニピュレータの配置領域に設けられた報知手段と、
前記ティーチペンダント又は前記複数の制御装置のいずれかに設けられ、前記ティーチペンダントが前記ネットワークに接続されたことを判別する判別手段と、
前記ティーチペンダントに設けられ、前記判別手段により当該ティーチペンダントの前記ネットワークへの接続が判別されると、作業者に当該ティーチペンダントにより通信を可能にする制御装置を選択させる選択手段と、
前記制御装置毎に設けられ、前記選択手段により当該制御装置が選択されると、当該制御装置に対応する前記報知手段により前記ティーチペンダントが接続された旨を報知させる報知制御手段と、
を備えたことを特徴とする産業用ロボットシステム。
【請求項3】
2以上のマニピュレータが接続され、各マニピュレータの動作を制御可能な複数の制御装置と、
前記複数の制御装置にそれぞれ着脱可能に接続され、前記マニピュレータの動作を制御するための所要の情報を前記制御装置に入力し、若しくは前記制御装置からの前記マニピュレータの制御に関する情報を表示するための1以上のティーチペンダントと、
を備えた産業用ロボットシステムにおいて、
前記マニピュレータ毎に設けられた報知手段と、
前記ティーチペンダント又は前記複数の制御装置のいずれかに設けられ、前記ティーチペンダントが前記制御装置に接続されたことを判別する判別手段と、
前記ティーチペンダントに設けられ、前記判別手段により当該ティーチペンダントの前記制御装置への接続が判別されると、作業者に当該ティーチペンダントにより動作制御を可能にするマニピュレータを選択させる選択手段と、
前記制御装置毎に設けられ、前記選択手段により当該制御装置に接続されたマニピュレータが選択されると、そのマニピュレータに設けられた前記報知手段によりその選択を報知させる報知制御手段と、
を備えたことを特徴とする産業用ロボットシステム。
【請求項4】
1以上のマニピュレータが接続され、各マニピュレータの動作を制御可能な複数の制御装置と、
前記複数の制御装置にそれぞれ着脱可能に接続され、前記マニピュレータの動作を制御するための所要の情報を前記制御装置に入力し、若しくは前記制御装置からの前記マニピュレータの制御に関する情報を表示するための1以上のティーチペンダントと、
を備えた産業用ロボットシステムにおいて、
前記ティーチペンダント又は前記複数の制御装置のいずれかに設けられ、前記ティーチペンダントが前記制御装置に接続されたことを判別する判別手段と、
前記ティーチペンダントに設けられ、前記判別手段により前記制御装置に当該ティーチペンダントが接続されたと判別されると、前記ティーチペンダントの表示部に前記複数の制御装置のうち、接続された制御装置の情報を表示する表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする産業用ロボットシステム。
【請求項5】
1以上のマニピュレータが接続され、各マニピュレータの動作を制御可能な複数の制御装置と、
前記複数の制御装置を有線又は無線により相互に接続するネットワークと、
前記ネットワークに着脱可能に接続され、前記マニピュレータの動作を制御するための所要の情報を前記制御装置に入力し、若しくは前記制御装置からの前記マニピュレータの制御に関する情報を表示するための1以上のティーチペンダントと、
を備えた産業用ロボットシステムであって、
前記ティーチペンダント又は前記複数の制御装置のいずれかに設けられ、前記ティーチペンダントが前記ネットワークに接続されたことを判別する判別手段と、
前記ティーチペンダントに設けられ、前記判別手段により当該ティーチペンダントの前記ネットワークへの接続が判別されると、作業者に当該ティーチペンダントにより通信を可能にする制御装置を選択させる選択手段と、
前記ティーチペンダントに設けられ、前記選択手段により選択された制御装置に前記ネットワークを介して当該ティーチペンダントが通信可能に接続されたと判別されると、前記ティーチペンダントの表示部に前記選択された制御装置の情報を表示する表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする産業用ロボットシステム。
【請求項6】
前記制御装置の情報は各制御装置に固有のID番号であることを特徴とする請求項4又は5に記載の産業用ロボットシステム。
【請求項7】
1以上のマニピュレータが接続され、各マニピュレータの動作を制御可能な複数の制御装置と、
前記複数の制御装置にそれぞれ着脱可能に接続され、前記マニピュレータの動作を制御するための所要の情報を前記制御装置に入力し、若しくは前記制御装置からの前記マニピュレータの制御に関する情報を表示するための1以上のティーチペンダントと、を備えた産業用ロボットシステムにおいて、
前記制御装置毎に、当該制御装置に接続されている前記マニピュレータの配置領域に設けられた情報表示手段と、
前記ティーチペンダント又は前記複数の制御装置のいずれかに設けられ、前記ティーチペンダントが前記制御装置に接続されたことを判別する第1の判別手段と、
前記制御装置毎に設けられ、前記第1の判別手段により当該制御装置に前記ティーチペンダントが接続されたと判別されると、接続確認用の情報をランダムに生成する情報生成手段と、
前記制御装置毎に設けられ、前記情報生成手段により生成された情報を前記情報表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記制御装置毎に設けられ、前記情報表示手段に前記接続確認用の情報が表示された後、作業者により前記ティーチペンダントから入力される情報が前記接続確認用の情報と一致するか否かを判別する第2の判別手段と、
前記制御装置毎に設けられ、前記ティーチペンダントからの入力情報が前記接続確認用の情報と一致しないときは、前記ティーチペンダントによる前記マニピュレータの動作制御を不可にし、前記ティーチペンダントからの入力情報が前記接続確認用の情報と一致したときは、前記ティーチペンダントによる前記マニピュレータの動作制御を可能にする制御手段と、
を備えたことを特徴とする、産業用ロボットシステム。
【請求項8】
1以上のマニピュレータが接続され、各マニピュレータの動作を制御可能な複数の制御装置と、
前記複数の制御装置を有線又は無線により相互に接続するネットワークと、
前記ネットワークに通信可能に接続され、前記マニピュレータの動作を制御するための所要の情報を前記制御装置に入力し、若しくは前記制御装置からの前記マニピュレータの制御に関する情報を表示するための1以上のティーチペンダントと、
を備えた産業用ロボットシステムであって、
前記制御装置毎に当該制御装置に接続されている前記マニピュレータの配置領域に設けられた情報表示手段と、
前記ティーチペンダント又は前記複数の制御装置のいずれかに設けられ、前記ティーチペンダントが前記ネットワークに接続されたことを判別する第1の判別手段と、
前記ティーチペンダントに設けられ、前記判別手段により当該ティーチペンダントの前記ネットワークへの接続が判別されると、作業者に当該ティーチペンダントにより通信を可能にする制御装置を選択させる選択手段と、
前記制御装置毎に設けられ、前記選択手段により当該制御装置が選択されたと判別されると、接続確認用の情報をランダムに生成する情報生成手段と、
前記制御装置毎に設けられ、前記情報生成手段により生成された情報を前記情報表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記制御装置毎に設けられ、前記情報表示手段に前記接続確認用の情報が表示された後、作業者により前記ティーチペンダントから入力される情報が前記接続確認用の情報と一致するか否かを判別する第2の判別手段と、
前記制御装置毎に設けられ、前記ティーチペンダントからの入力情報が前記接続確認用の情報と一致しないときは、前記ティーチペンダントによる前記マニピュレータの動作制御を不可にし、前記ティーチペンダントからの入力情報が前記接続確認用の情報と一致したときは、前記ティーチペンダントによる前記マニピュレータの動作制御を可能にする制御手段と、
を備えたことを特徴とする、産業用ロボットシステム。
【請求項9】
2以上のマニピュレータが接続され、各マニピュレータの動作を制御可能な複数の制御装置と、
前記複数の制御装置を有線又は無線により相互に接続するネットワークと、
前記ネットワークに通信可能に接続され、前記マニピュレータの動作を制御するための所要の情報を前記制御装置に入力し、若しくは前記制御装置からの前記マニピュレータの制御に関する情報を表示するための1以上のティーチペンダントと、
を備えた産業用ロボットシステムであって、
前記マニピュレータ毎に設けられた情報表示手段と、
前記ティーチペンダント又は前記複数の制御装置のいずれかに設けられ、前記ティーチペンダントが前記ネットワークに接続されたことを判別する第1の判別手段と、
前記ティーチペンダントに設けられ、前記判別手段により当該ティーチペンダントの前記制御装置への接続が判別されると、作業者に当該ティーチペンダントにより動作制御を可能にするマニピュレータを選択させる選択手段と、
前記制御装置毎に設けられ、前記選択手段により当該制御装置に接続されたマニピュレータが選択されたと判別されると、接続確認用の情報をランダムに生成する情報生成手段と、
前記制御装置毎に設けられ、前記情報生成手段により生成された情報を前記選択されたマニピュレータの情報表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記制御装置毎に設けられ、前記情報表示手段に前記接続確認用の情報が表示された後、作業者により前記ティーチペンダントから入力される情報が前記接続確認用の情報と一致するか否かを判別する第2の判別手段と、
前記制御装置毎に設けられ、前記ティーチペンダントからの入力情報が前記接続確認用の情報と一致しないときは、前記ティーチペンダントによる前記マニピュレータの動作制御を不可にし、前記ティーチペンダントからの入力情報が前記接続確認用の情報と一致したときは、前記ティーチペンダントによる前記マニピュレータの動作制御を可能にする制御手段と、
を備えたことを特徴とする産業用ロボットシステム。
【請求項10】
前記情報生成手段は、乱数を発生する乱数発生器であり、前記情報表示手段は、この乱数発生器で発生した乱数をセグメント表示若しくはドット表示により表示する表示器であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の産業用ロボットシステム。
【請求項11】
前記制御手段は、前記ティーチペンダントからの入力情報が前記接続確認用の情報と一致しないときは、所定の回数だけ前記ティーチペンダントに情報の再入力を要求し、再入力された情報がいずれも前記接続確認用の情報と一致しないときは、前記ティーチペンダントによる前記マニピュレータの動作制御を不可にすることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の産業用ロボットシステム。
【請求項12】
前記制御手段は、前記ティーチペンダントに対して作業者による入力操作を拒否させることにより、当該ティーチペンダントによる前記マニピュレータの動作制御を不可にすることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の産業用ロボットシステム。
【請求項13】
前記制御手段は、前記ティーチペンダントから送信される情報を拒否することにより、当該ティーチペンダントによる前記マニピュレータの動作制御を不可にすることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の産業用ロボットシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−277531(P2006−277531A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−98100(P2005−98100)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【出願人】(000005197)株式会社不二越 (625)
【Fターム(参考)】