説明

産業用資材とその製造方法

【構成】 珪藻土と砂と結合剤と水とを混練し、これを所定の形状に成形した後、乾燥硬化させてなる産業用資材の製造方法と、そのようにして製造された産業用資材とを提供するものである。上記珪藻土としてはビールや日本酒の製造工程で濾過材として用いられた珪藻土を、また砂としては鋳物の製造工程で用いられた砂型用の鋳物砂を使用することができる。
【効果】 珪藻土に砂を、特に鋳物砂を混合することにより、鋳物砂を良好に固化させることができ、それによって各種ブロックやアスファルト舗道の代替品として、或いはコンクリート製二次製品の代替品として用いることができる、高い強度と靭性とを備えた産業用資材を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種ブロックやアスファルト舗道の代替品として、或いはコンクリート製二次製品の代替品として用いることができる産業用資材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、珪藻土と、高分子化学薬品を主成分とする結合剤とに水を加えて混練し、これを乾燥硬化させた防水材料が提案されている(特公平5−51740号公報)。また従来、ビールや日本酒の製造工程においては、珪藻土が濾過材として使用されており、鋳物の製造工程においては、砂型用として鋳物砂が使用されているが、それらは使用後は産業廃棄物として廃棄されるのが普通である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した防水材料は、珪藻土を用いる関係上、強度が低く、上述した各種ブロック等の産業用資材として使用するには適していない。他方、上記鋳物砂はその含有成分の関係から一般に固化させにくく、固化させても脆いので、やはり産業用資材として使用することは困難であった。本発明は、鋳物砂を珪藻土に混合すると良好に固化させることができるという知見に基づいてなされたもので、珪藻土と砂とを混合することにより、強度が高く、しかも靭性に優れ、さらには珪藻土による優れた吸音性能や遮音性能をも有する産業用資材とその製造方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、珪藻土と砂と結合剤と水とを混練し、これを所定の形状に成形した後、乾燥硬化させることを特徴とする産業用資材の製造方法を提供するものである。また本発明は、混合した珪藻土と砂とを結合剤によって結合硬化させてなる産業用資材を提供するものである。
【0005】
【作用】上記製造方法によれば、珪藻土と砂との混合割合により産業用資材の強度を調整することができる。より具体的には、上記砂を多く用いることによってより大きな強度を得ることができ、他方、珪藻土を多くすることによって産業用資材の重量を軽減することができる。そして本発明においては、上記砂として鋳物の製造工程で用いられた鋳物砂を用いることができ、鋳物砂を用いることにより通常の砂を用いる場合に比較してより大きな強度を得ることができる。さらに珪藻土としては、ビールや日本酒等の酒の製造工程で用いられた濾過材を用いることができるので、鋳物砂とともに産業廃棄物の再利用に貢献することができ、しかも産業用資材を安価に製造することができる。
【0006】
【実施例】以下本発明の製造方法について説明すると、先ず、珪藻土と砂と結合剤と水とが混練される。上記珪藻土は、硬化を容易なものとするためには焼成したものであることが望ましいが、焼成しないで使用してもよく、特に焼成しない場合には、ビールや日本酒の製造工程で濾過材として用いられた珪藻土を用いて良好な結果が得られた。すなわち、上記ビールや日本酒の製造工程で濾過材として用いられた珪藻土を用いた場合には、焼成していない純粋な珪藻土を用いた場合に比較して、結合剤の添加量を約1/2としても同程度の強度を確保することができた。次に、上記砂としては通常の砂が使用できることは勿論であるが、鋳物の製造工程で用いられた砂型用の鋳物砂も使用することができる。砂は製造後の産業用資材の強度に関係し、通常の砂を用いるよりも鋳物砂を用いる方がより高い強度を得ることができた。上記珪藻土と砂とは任意の割合で混合することができるが、砂の割合を高めることによってより高い強度を得ることができる。反面、砂の割合を高めるとその分重くなるので、産業用資材の用途に伴う産業用資材の強度と重量とを考慮して、珪藻土と砂との割合を決定すればよい。上記結合剤としては、上述した公報と同様に高分子化学薬品を主成分とした混合剤を用いることができるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、珪藻土と砂と水との混練物を固化させることができるものであればよい。次に、上記珪藻土と砂と結合剤と水とを混練したら、これを所定の形状に成形する。混練物は粘土状となっているので、これを所定の形状に成形する際には、予め製造した所要形状の成形型内に混練物を注入すればよい。この際には、バイブレータ等を用いて緻密な状態に圧縮することが望ましい。或いは、混練物を一対のローラ内に挿通させて連続したパネル状に成形してもよく、この場合にはこれを適当な大きさのタイル状又はブロック状に切断することができる。さらに、真空土練機を用いれば押出し成形も可能となり、これまで珪藻土だけでは不可能であったプレス成形も可能となった。このようにして、混練物を所定の形状に成形したら、該成形品を常温下で放置し、自然に乾燥硬化させればよい。このようにして製造した産業用資材は、高い強度と靭性を備えるため、各種ブロック、瓦、敷石、アスファルト舗道の代替品としての舗装用材料として利用することができ、或いはコンクリート製二次製品の代替品としての各種U又はL字溝、外壁材、治水ブロック、テトラポット、魚しょう、防波堤用材料、鉄道用枕木、住宅用基礎材、ビルの躯体、橋脚等、広範囲に利用することができる。また上記産業用資材は珪藻土による優れた吸音性能、遮音性能をも有しているので、そのような性能が要求される用途に用いて好適である。
【0007】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、高い強度と靭性とを備えた産業用資材を製造することができ、さらにその材料として産業廃棄物である濾過材として使用された珪藻土や砂型用の鋳物砂を使用することができるので、産業廃棄物の再利用に貢献することができるとともに、安価に製造することができるという効果が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 珪藻土と砂と結合剤と水とを混練し、これを所定の形状に成形した後、乾燥硬化させることを特徴とする産業用資材の製造方法。
【請求項2】 上記珪藻土が、酒の製造工程で濾過材として用いられた珪藻土であることを特徴とする請求項1に記載の産業用資材の製造方法。
【請求項3】 上記砂が、鋳物の製造工程で用いられた砂型用鋳物砂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の産業用資材の製造方法。
【請求項4】 混合した珪藻土と砂とを結合剤によって結合硬化させてなる産業用資材。
【請求項5】 上記珪藻土が、酒の製造工程で濾過材として用いられた珪藻土であることを特徴とする請求項4に記載の産業用資材。
【請求項6】 上記砂が、鋳物の製造工程で用いられた砂型用鋳物砂であることを特徴とする請求項4又は5に記載の産業用資材。