説明

産業用車両

【課題】 サイドカバーの下部がタイヤに当接しないように大きく開放でき、開放した状態でエンジンルーム内へのアクセスを遮ることなく整備作業ができる産業用車両を提供すること。
【解決手段】 サイドカバー本体12とサイドカバー本体12の下部に横方向回転軸で上部が支持された下部サイドカバー13を有するサイドカバー11と、縦方向回転軸でサイドカバー本体12の前部を支持するエンジンルーム5とを備え、サイドカバー本体12は、エンジンルーム5からサイドカバー本体12の内面に向けて延びるガイドロッド21を案内するガイド機構部20を内面に有し、ガイド機構部20は、サイドカバー本体12の開放に連動して垂直方向回動軸Vに向けてガイドロッド21を案内する案内溝22を有し、ガイドロッド21は、ガイドロッド21の縦方向回動軸方向への移動に連動して下部サイドカバー13の下部を上向きに回動させるワイヤロープ30をサイドカバー本体12の内面に沿って有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンルーム側部にサイドカバーを有するホイールローダ、ショベルローダ等の産業用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホイールローダ、ショベルローダ等の産業用車両においては、整備作業時あるいは点検作業時にエンジンルーム内を点検できるようにエンジンルーム側部に開閉式のサイドカバーが設けられている。そして、整備作業時には、作業者がこのサイドカバーを開放してその開口からエンジンルーム内を整備・点検している。
【0003】
図6の全体側面図に示すように、産業用車両の一例であるホイールローダ101におけるサイドカバー111は、後部タイヤ102の間に位置するエンジンルーム105の側部に設けられている。
【0004】
一方、エンジンルーム105内全体において整備作業を行うためには、側面視においてタイヤ102と重なる位置も開放できるような大きさのサイドカバー111を設けなければ各機器を十分に整備することができない。そのため、側面視において、サイドカバー111の下部が後部タイヤ102と重なるような大きさでサイドカバー111が形成されている。
【0005】
しかし、サイドカバー111を大きくすると開放時にサイドカバー111の下部がタイヤ102に当接するので、サイドカバー111とタイヤ102との当接を避けることができるように、サイドカバー111をサイドカバー本体112と下側サイドカバー113とで構成し、開放時に下側サイドカバー113がタイヤ102を避けて上方へ回動するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
図7に示すように、サイドカバー111の開放に伴って下側サイドカバー113の下部がエンジンルーム側に端部が連結されたワイヤロープ(連結材)130によって引っ張られて上方へ回動させられ、サイドカバー111がタイヤ102に当接することなく前方へ大きく開放することができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第2563219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたサイドカバー111では、開放状態のときに下側サイドカバー113を上方へ回動させているワイヤロープ130が、エンジンルーム105の上部からサイドカバー111の下部まで延びた状態となる。そのため、エンジンルーム105の前部における周辺機器を整備作業する時等にはワイヤロープ130が邪魔になり、周辺機器によっては整備作業に多くの時間と労力を要する場合があり、作業効率良く整備することができない。
【0009】
そこで、本発明は、エンジンルーム側部を覆うサイドカバーの下部がタイヤに当接しないように大きく開放でき、開放した状態でエンジンルーム内へのアクセスを遮ることなく整備作業ができる産業用車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、サイドカバー本体と前記サイドカバー本体の下部に横方向回転軸で上部が支持された下部サイドカバーを有するサイドカバーと、縦方向回転軸で前記サイドカバー本体の前部を支持するエンジンルームとを備え、前記サイドカバー本体は、前記エンジンルームからサイドカバー本体の内面に向けて延びるガイド部材を案内するガイド機構部を内面に有し、前記ガイド機構部は、前記サイドカバー本体の開放に連動して前記縦方向回動軸に向けて前記ガイド部材を案内する案内手段を有し、前記ガイド部材は、前記ガイド部材の前記縦方向回動軸方向への移動に連動して前記下部サイドカバーの下部を上向きに回動させる連結材を前記サイドカバー本体の内面に沿って有していることを特徴とする。この構成によれば、サイドカバー本体を側方に開放することで、このサイドカバー本体の開放に連動して下部サイドカバーの下部を上向きに回動させて下部サイドカバーがタイヤに当接するのを避けるようにサイドカバーを開放することができる。しかも、サイドカバーを開放した状態でも、下部サイドカバーを回動させる連結材はサイドカバー本体の内面に沿って設けられているため邪魔になることもなく、エンジンルーム内の整備作業を効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エンジンルーム側部を覆うサイドカバーの下部がタイヤに当接しないように大きく開放でき、開放した状態でエンジンルーム内へのアクセスを遮ることなく整備作業ができる産業用車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る産業用車両後部のサイドカバー部分を示す側面図である。
【図2】図1の産業用車両におけるサイドカバーを開放した状態のサイドカバー構造を示す斜視図である。
【図3】図2に示すサイドカバーを開放時にガイドするガイド機構部の部分拡大斜視図である。
【図4】図3に示すガイド機構部のサイドカバー開放状態における部分拡大斜視図である。
【図5】図2に示すサイドカバーを開放した状態から下部サイドカバーを畳んだ状態を示す斜視図である。
【図6】従来の産業用車両におけるサイドカバーを示す車両全体の側面図である。
【図7】図6に示すサイドカバーを開放した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、産業用車両としてホイールローダを例にして説明する。また、この明細書及び特許請求の範囲の書類中における前後左右方向の概念は、運転室に座った状態における前後左右方向の概念と一致するものとする。
【0014】
図1は、ホイールローダ1の右側面を示す図面である。図示するように、左右のタイヤ2の間に、前後方向に延びるシャーシ3が設けられ、このシャーシ3の上部に、運転室4と、エンジンルーム5とが設けられている。この実施形態では、運転室4の直後にエンジンルーム5の前端部が位置するようになっている。
【0015】
そして、このエンジンルーム5の側面に、エンジンルーム5内の点検整備作業時に開放するサイドカバー11が設けられている。このサイドカバー11は、前部の垂直方向回動軸(縦方向回動軸)Vを中心にして側方へ開放するように構成されており、後部の取手18が設けられた部分から前端部の垂直方向回動軸Vまでが開放する大きさとなっている。つまり、この実施形態では、垂直方向回動軸Vをエンジンルーム5の前端部である運転室4の直後に配置して、水平方向に開放するサイドカバー11をエンジンルーム5の前端部である運転室4の直後から大きく開放できるようにしている。
【0016】
また、この実施形態では、サイドカバー11の後方に冷却空気吸込口6が設けられているため、サイドカバー11の後部は上記取手18の部分は垂直方向に直線状に形成され、サイドカバー11の上部は傾斜状に後方に延在している。サイドカバー11の側面には、この傾斜状の部分から前方に延びる意匠の凹凸形状部17が現れている。
【0017】
なお、この実施形態では、サイドカバー11がエンジンルーム5の前部まで位置する大きさであるため、このサイドカバー11の側面に後部タイヤ2の上方を覆うリアフルフェンダ7が設けられている。このリアフルフェンダ7は、無くてもよい。
【0018】
図2は、上記サイドカバー11を開放した状態を斜め後方から示す図面であるが、図面が分り難くなるため、運転室4、エンジンルーム5内のエンジン等は示していない。図示するように、上記サイドカバー11は、エンジンルーム5の最前部に配設された垂直方向回動軸Vを中心に側方に開放するように設けられている。このサイドカバー11は、上記垂直方向回動軸Vでエンジンルーム5側に支持された大きなサイドカバー本体12と、このサイドカバー本体12の下部に位置し、サイドカバー本体12に設けられた水平方向回動軸(横方向回動軸)Hに上部が支持された小さな下部サイドカバー13とを有している。
【0019】
上記サイドカバー本体12は、内面の前後方向中央部分の上方部にガイド機構部20が設けられ、このガイド機構部20にエンジンルーム5から延びるガイド部材たるガイドロッド21が係合している。この実施形態のガイドロッド21は、エンジンルーム5の比較的高い上方部位置に設けられたブラケット8に基部25が水平方向に回動自在な状態で支持され、先端部24がサイドカバー本体12に設けられた上記ガイド機構部20の案内溝22(図3)に係合している。従って、サイドカバー11の開閉時には、このガイド機構部20が上記ガイドロッド21によってガイドされる。
【0020】
図3の部分拡大斜視図に示すように、上記ガイド機構部20は、凹凸形状部17の内面側凸部14に設けられている。このガイド機構部20には、サイドカバー本体12の前後方向に延びる案内手段たる案内溝22が上下2箇所に設けられたブラケット23が設けられている。
【0021】
一方、上記ガイドロッド21は、この実施形態では先端部24がT字状に形成されており、この先端部24が上記上下2箇所の案内溝22に係合している。このようなガイド機構部20によれば、サイドカバー11の開放に伴って、案内溝22に係合しているガイドロッド21の先端部24が垂直方向回動軸の方向(以下、単に「前方向」という)に向けて水平方向に移動する。
【0022】
また、ガイドロッド21の先端部24には、上記下部サイドカバー13の下部を上向きに回動させる連結材たるワイヤロープ(線状部材)30の先端部32が掛けられている。このワイヤロープ30は、T字状に形成された先端部24の上側に掛けられており、サイドカバー11を開放することによってガイドロッド21が前方向に移動することに伴って引かれるようになっている。このように、下部サイドカバー13を上向きに回動させるワイヤロープ30はガイドロッド21と係合しているが、エンジンルーム5とは直接的につながっていない構造となっている。また、上記ワイヤロープ30は、サイドカバー本体12の内面に沿って設けられたロープガイド31の内部に挿通されており、サイドカバー本体12の内面から離れないようになっている(図2)。
【0023】
上記図2に示すように、上記ロープガイド31は、サイドカバー本体12の内面に設けられた案内ブラケット16によってサイドカバー本体12の下部位置で下部サイドカバー13の方向に向けられ、このロープガイド31の下端から出たワイヤロープ30は、下部サイドカバー13の後端部に設けられた連結ブラケット15に連結されている。この連結ブラケット15は、下部サイドカバー13の内方に突出するように設けられ、その突出部分にワイヤロープ30が連結されている。従って、ワイヤロープ30が引かれることにより、図示するように、下部サイドカバー13が水平方向回動軸Hを中心にタイヤ2を避けるように上向きに回動させられる。
【0024】
さらに、図3に示すように、ガイド機構部20の案内溝22の上方には、ガイドロッド21の先端部24が所定位置に移動するとガイドロッド21の移動を係止する係止部40が設けられている。この係止部40は、支持軸41で中間部分が支持されて上下方向に揺動する係止部材42と、この係止部材42の垂直方向回動軸側(以下、単に「前側」という)を下向きに付勢する巻きバネ43とを有している。巻きバネ43は支持軸41に設けられており、端部が係止部材42の前側を下向きに付勢するように取付けられている。この巻きバネ43で付勢された係止部材42は、前側が上記案内溝22の所定位置で上側のブラケット23に押圧された状態となっている。
【0025】
このような係止部材42を設けた係止部40によれば、図4に示すように、ガイドロッド21の先端部24が前方向に移動し、巻きバネ43で付勢された係止部材42の前側を押上げて案内溝22の端部まで移動すると、係止部材42の前側が巻きバネ43の付勢力で案内溝22に向けて付勢されて、ガイドロッド21の先端部24が案内溝22の前端部で係止された係止状態となる。このように係止部40でガイドロッド21の移動を規制することで、サイドカバー11を開放した状態を保持することができる。この実施形態では、上記巻きバネ43で付勢する係止部材42で係止部40を構成することにより、サイドカバー11を開放状態で保つ機構をコンパクトに構成している。
【0026】
しかも、ガイドロッド21の位置を係止部40で移動規制することで、このガイドロッド21に掛けられて、ガイドロッド21の移動によって引かれるワイヤロープ30を引いた状態で保つことができるので、サイドカバー11の開放状態保持が下部サイドカバー13の上向き回動状態を保持することにもなっている(図2の状態)。
【0027】
また、図2に示すように、上記サイドカバー本体12には、上記係止部40によるガイドロッド21の係止状態を解除する解除部材たる解除ロッド50が設けられている。この解除ロッド50は、上記係止部材42の支持軸41よりも反垂直方向回動軸側(以下、単に「後側」という)に上端部51が連結されている(図3)。解除ロッド50は、サイドカバー本体12の内面に設けられた複数のガイドリング52に挿通されており、下端部53がサイドカバー本体12の下部位置となる長さで形成されている。このような解除ロッド50によれば、解除ロッド50の下端部53を下向きに引くことにより、上端部51が係止部材42の後側を下向きに揺動させて前側を上向きに揺動させるので、上記係止部材42によるガイドロッド21の先端部24の係止状態を解除することができる(図4に示す二点鎖線)。
【0028】
さらに、この実施形態では、図5に示すように、図2に示すようにワイヤロープ30で上向きに回動させた下部サイドカバー13を、さらに作業者が手で上向きに回動させてサイドカバー本体12の内面に沿うように畳んだ状態とし、その状態で下部サイドカバー13をサイドカバー本体12に係止することができる。この係止は、図4に示すように、係止部40に設けられた固定フック(固定部材)60を下部サイドカバー13に設けられた穴64に係止することで可能となっている。固定フック60は、基部62が回動自在に支持された金具であり、先端の鉤状部分61を、下部サイドカバー13に設けられた穴64に引っ掛けるようになっている。この固定フック60は、不使用時は係止部40に設けられた挟持部材63で挟持しておくようになっている(図3)。
【0029】
以上のように構成されたサイドカバー構造10を備えたホイールローダ(産業用車両)1によれば、図2に示すように、サイドカバー11を開放すると、サイドカバー本体12の開放動作に伴って下部サイドカバー13の下部をタイヤ2を避けるように上方へ回動させるので、サイドカバー11をタイヤ2に当接させることなく側方へ大きく開放することが可能となる。
【0030】
しかも、サイドカバー11の開放に伴って下部サイドカバー13を回動させるワイヤロープ(連結材)30をサイドカバー本体12の内面に沿って設けているので、開放した状態のサイドカバー11の内面とエンジンルーム5との間を邪魔物の無い空間とすることができる。また、開放した状態のサイドカバー11は、係止部40によって開放状態を保つことができる。
【0031】
その上、上記図5に示すように、下部サイドカバー13をサイドカバー本体12の内面沿うように回動させて固定フック60で係止すれば、この下部サイドカバー13も無い広い整備作業用スペースを確保することができる。
【0032】
従って、サイドカバー11を開放してタイヤ2の後方からエンジンルーム5内を整備作業する時に、サイドカバー11に関する構成が作業の邪魔物になることなく、大きな開口からエンジンルーム5内を一望しながら効率良く整備・点検することが可能となる。
【0033】
しかも、上記サイドカバー11によれば、運転室4の直後におけるエンジンルーム5の最前部から大きく開放することができるので、エンジンルーム5の前部に配設された各機器の整備作業も容易に行うことが可能となる。
【0034】
一方、整備作業終了後には、図2に示すように、サイドカバー本体12の下部に解除ロッド50の下端部53が位置しているので、この解除ロッド50を地面から容易に下向きに引くことができ、これによりガイドロッド21の係止状態を解除することができる。しかも、解除ロッド50の引き下げ動作だけでサイドカバー11の開放状態保持を解除できるので、片手でガイドロッド21の係止状態を解除すると、下部サイドカバー13の受ける重力により、作業者がサイドカバー本体12を閉じる方向に回動させなくてもサイドカバー11が閉まる方向へ動き出し、簡単にサイドカバー11を閉じることができ、整備作業後のサイドカバー11を閉鎖する作業を容易に行うことが可能となる。
【0035】
なお、上記実施形態では、産業用車両としてホイールローダ1を例に説明したが、産業用車両であれば同様に適用でき、ホイールローダ1に限定されるものではない。
【0036】
また、上記実施形態におけるガイドロッド21、ワイヤロープ30、解除ロッド50、その他の構成を含め、強度、その他の条件に適した材質で形成すればよく、金属材、樹脂材等、特に限定されるものではない。
【0037】
さらに、上記実施形態におけるサイドカバー11の形態は一例であり、サイドカバーの形態はエンジンルーム5の構造等に応じて適した形態に形成すればよい。
【0038】
また、上述した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【0039】
また、前記ガイド機構部は、前記サイドカバー本体が所定角度開放した位置で前記ガイド部材の移動を係止してサイドカバーの開放角度を保持する係止部を有していてもよい。このように構成すれば、サイドカバー本体を所定角度開放するとサイドカバーの回動が抑止されて所定の開放角度でロックすることができる。これにより、下部サイドカバーも所定の角度で上向きに回動させられた状態を保つことができる。
【0040】
また、前記連結材は、前記サイドカバー本体の内面に沿って配設され、前記ガイド部材の移動に連動して引かれる線状部材で構成されていてもよい。このように構成すれば、サイドカバー本体の内面に沿って連結材を簡単に配設することができる。
【0041】
また、前記サイドカバー本体は、前記係止部による前記ガイド部材の係止状態を解除する解除部材を内面に沿って有していてもよい。このように構成すれば、開放したサイドカバー本体の内面側で解除部材を操作することでガイド部材の係止を解除することができ、サイドカバーを容易に閉じることができる。
【0042】
また、前記案内手段は、案内溝であり、前記係止部は、前記ガイド部材が前記案内溝の所定位置を越えると下降してガイド部材の移動を止める係止部材を有し、前記解除部材は、前記係止部材を上昇させてガイド部材の係止状態を解除するように構成されていてもよい。このように構成すれば、サイドカバーの内面側で解除部材を操作することで係止部材によるガイド部材の係止状態を解除することができるので、開放した状態で保持されているサイドカバーを容易に閉じることができる。しかも、開放状態のロック保持と、地面に立った状態でのロック解除が容易にできる。
【0043】
また、前記ガイド機構部は、前記連結材で上向きに回動させた下部サイドカバーを前記サイドカバー本体の内面に沿うように畳んだ状態で、該下部サイドカバーを前記サイドカバー本体に係止する固定部材を具備していてもよい。このように構成すれば、上向きに回動した下部サイドカバーをサイドカバー本体の内面に沿わせた状態まで畳んで固定部材で係止することができるので、エンジンルームの側部を大きく開放したサイドカバーの内面に邪魔物が無い状態としてさらに広い整備作業用スペースを確保することができる。
【0044】
また、前記縦方向回動軸は、エンジンルームの最前部に配設され、前記ガイド部材は、エンジンルームの上部位置に配設されていてもよい。このように構成すれば、エンジンルームの最前部から大きな開口を形成することができるので、整備作業時等におけるエンジンルームの前部へのアクセス性が向上し、エンジンルーム前部に設けられた機器等の整備作業を効率良く行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る産業用車両は、ホイールローダやショベルローダ等の産業用車両において利用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 ホイールローダ(産業用車両)
2 タイヤ
3 シャーシ
4 運転室
5 エンジンルーム
8 ブラケット
10 サイドカバー構造
11 サイドカバー
12 サイドカバー本体
13 下部サイドカバー
15 連結ブラケット
16 案内ブラケット
17 凹凸形状部
18 取手
20 ガイド機構部
21 ガイドロッド(ガイド部材)
22 案内溝(案内手段)
23 ブラケット
24 先端部
25 基部
30 ワイヤロープ(連結材、線状部材)
31 ロープガイド
32 先端部
40 係止部
41 支持軸
42 係止部材
43 巻きバネ
50 解除ロッド(解除部材)
51 上端部
52 ガイドリング
53 下端部
60 固定フック(固定部材)
61 鉤状部分
62 基部
63 挟持部材
64 穴
V 垂直方向回動軸(縦方向回動軸)
H 水平方向回動軸(横方向回動軸)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドカバー本体と前記サイドカバー本体の下部に横方向回転軸で上部が支持された下部サイドカバーを有するサイドカバーと、
縦方向回転軸で前記サイドカバー本体の前部を支持するエンジンルームとを備え、
前記サイドカバー本体は、前記エンジンルームからサイドカバー本体の内面に向けて延びるガイド部材を案内するガイド機構部を内面に有し、
前記ガイド機構部は、前記サイドカバー本体の開放に連動して前記縦方向回動軸に向けて前記ガイド部材を案内する案内手段を有し、
前記ガイド部材は、前記ガイド部材の前記縦方向回動軸方向への移動に連動して前記下部サイドカバーの下部を上向きに回動させる連結材を前記サイドカバー本体の内面に沿って有していることを特徴とする産業用車両。
【請求項2】
前記ガイド機構部は、前記サイドカバー本体が所定角度開放した位置で前記ガイド部材の移動を係止してサイドカバーの開放角度を保持する係止部を有している請求項1に記載の産業用車両。
【請求項3】
前記連結材は、前記サイドカバー本体の内面に沿って配設され、前記ガイド部材の移動に連動して引かれる線状部材で構成されている請求項1又は2に記載の産業用車両。
【請求項4】
前記サイドカバー本体は、前記係止部による前記ガイド部材の係止状態を解除する解除部材を内面に沿って有している請求項2又は3に記載の産業用車両。
【請求項5】
前記案内手段は、案内溝であり、
前記係止部は、前記ガイド部材が前記案内溝の所定位置を越えると下降してガイド部材の移動を止める係止部材を有し、
前記解除部材は、前記係止部材を上昇させてガイド部材の係止状態を解除するように構成されている請求項4に記載の産業用車両。
【請求項6】
前記ガイド機構部は、前記連結材で上向きに回動させた下部サイドカバーを前記サイドカバー本体の内面に沿うように畳んだ状態で、該下部サイドカバーを前記サイドカバー本体に係止する固定部材を具備している請求項1〜5のいずれか1項に記載の産業用車両。
【請求項7】
前記縦方向回動軸は、エンジンルームの最前部に配設され、
前記ガイド部材は、エンジンルームの上部位置に配設されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の産業用車両。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−95396(P2013−95396A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243168(P2011−243168)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(509241041)株式会社KCM (35)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】