説明

産業車両用アンダーカバーの取付構造

【課題】 本発明の目的は、サイドフレームとアンダーカバーとの間隙を通じたサイドフレーム間へ異物の侵入を抑制するほか、アンダーカバーの着脱を従来よりも簡単に行うことができる産業車両用アンダーカバーの取付構造の提供にある。
【解決手段】 左右のサイドフレーム11が間隔を保って相対し、サイドフレーム11間の下部を覆うアンダーカバー17が、固定用手段によりサイドフレーム11に着脱可能に取り付けられ、アンダーカバー17の少なくとも一方の側部は、前後方向に沿う折り曲げにより形成される取付用傾斜面を含み、サイドフレーム11の少なくとも一方は、取付用傾斜面と相対する被取付用傾斜面を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、産業車両用アンダーカバーの取付構造に関し、特に、アンダーカバーがサイドフレームに対して着脱可能に取り付けられる産業車両用アンダーカバーの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフト等の産業車両では、左右に間隔を保って相対するサイドフレームが備えられ、サイドフレーム間にエンジンあるいはトルクコンバータといった駆動系装置等が収容されている場合がある。
この種の産業車両では、サイドフレーム間における駆動系装置等を保護するために、アンダーカバーを用いてサイドフレーム間の下部を覆うようにする産業車両用アンダーカバーの取付構造(以下、単に「アンダーカバーの取付構造」と標記する。)を採用することが多い。
通常、アンダーカバーの取付構造におけるアンダーカバーは、メンテナンス時の利便性を考慮し、サイドフレームの下方から着脱可能な構成を採用している。
【0003】
従来のアンダーカバーの取付構造の一例を図4及び図5に示す。
従来のアンダーカバーの取付構造では、左右のサイドフレーム71が間隔を保って相対し、サイドフレーム71間の下部を覆うアンダーカバー72が、固定用ボルト76によりサイドフレーム71に着脱可能に取り付けられる。
サイドフレーム71の下部内側には、L形ブラケット75が固定用ボルト76を介して固定される。
アンダーカバー72は、上面に設けられたブラケット73と、ブラケット73を臨む作業孔74を備えており、作業孔74を通じてブラケット73に固定用ボルトを挿通し、挿通された固定用ボルト76を介してブラケット73とL形ブラケット75の固定を図っている(例えば、特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開平6−8856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のアンダーカバーの取付構造は、サイドフレームとアンダーカバーとの間に十分な間隙が存在しており、この間隙を通じてサイドフレーム間に塵埃や水等の異物の侵入を招く可能性が高いほか、サイドフレーム間における収容物の作動音は間隙を通じて外部に漏れやすい。
また、従来のアンダーカバーの取付構造では、サイドフレームにアンダーカバーを取り付ける場合、固定用ボルトの挿通及び螺入のためにブラケットとL形ブラケットを互いに正確に位置決めする必要があり、サイドフレームとアンダーカバーの上下方向と、前後方向と、左右方向の各位置決めを同時に行わなければ、固定用ボルトの挿通や螺入が困難となる。
さらに、固定用ボルトを用いたアンダーカバーの着脱は、比較的狭い作業孔を通じて作業する必要がある。
このため、固定用ボルトを用いたアンダーカバーの着脱は煩雑で手間の掛かる作業となりがちである。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、サイドフレームとアンダーカバーとの間隙を通じたサイドフレーム間への異物の侵入を抑制するほか、アンダーカバーの着脱を従来よりも簡単に行うことができる産業車両用アンダーカバーの取付構造の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、請求項1記載の発明は、左右のサイドフレームが間隔を保って相対し、該サイドフレーム間の下部を覆うアンダーカバーが、固定手段により該サイドフレームに着脱可能に取り付けられる産業車両用アンダーカバーの取付構造であって、前記アンダーカバーの少なくとも一方の側部は、前後方向に沿う折り曲げにより形成される取付用傾斜面を含み、前記サイドフレームの少なくとも一方は、前記アンダーカバーにおける取付用傾斜面と相対する被取付用傾斜面を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、サイドフレームにおける被取付用傾斜面に対して、アンダーカバーの側部に含まれる取付用傾斜面が当接されるから、サイドフレームとアンダーカバーとの間に大きな間隙は存在しない。
このため、サイドフレームとアンダーカバーとの間隙を通じたサイドフレーム間への異物の侵入が抑制される。
また、アンダーカバーを取り付ける場合、例えば、サイドフレームの被取付用傾斜面にアンダーカバーの取付用傾斜面を当接させた後、アンダーカバーを上昇させることにより、アンダーカバーは上下方向と左右方向について同時に位置決めされる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の産業車両用アンダーカバーの取付構造において、前記固定手段は固定用ボルトであり、前記アンダーカバーの側部は、前記固定用ボルトを挿通するボルト用通孔を有し、前記サイドフレームは、前記ボルト用通孔を臨むボルト孔を備え、前記固定用ボルトは、前記アンダーカバーの下方から前記ボルト用通孔を通じてボルト孔に螺入自在とすることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、アンダーカバーの下方から固定用ボルトを螺入してアンダーカバーをサイドフレームに取り付けることから、サイドフレーム間の側から固定用ボルトを用いてサイドフレームにアンダーカバーを取り付ける従来の場合と比較して、例えば、車両の保守作業の際にアンダーカバーのみの着脱が可能である。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の産業車両用アンダーカバーの取付構造において、前記ボルト用通孔は溝孔であって、前記溝孔の長手方向は前記アンダーカバーの左右方向と一致することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、アンダーカバーをサイドフレームに取り付ける際、アンダーカバーの上下方向の位置決めが厳密に行われない状態であっても、ボルト用通孔からボルト孔を臨むことができるから、例えば、固定用ボルトをボルト孔に仮止めすることができる。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項2又は3記載の産業車両用アンダーカバーの取付構造において、前記ボルト用通孔は、前記取付用傾斜面に形成されることを特徴とする請求項2記載の産業車両用アンダーカバーの取付構造。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、取付用傾斜面が被取付用傾斜面とともにアンダーカバーの位置決めを行うほか、取付用傾斜面と被取付用面との当接は、固定用ボルトの軸力により直接的に行われる。
従って、取付用傾斜面と被取付用面の当接はさらに強化され、サイドフレーム間への異物の侵入が一層抑制される。
また、溝孔が前記取付用傾斜面に形成されることから、固定用ボルトの頭部をサイドフレーム及びアンダーカバーの最下面の高さよりも高くなる位置に設け易くなる。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項記載の産業車両用アンダーカバーの取付構造において、前記ボルト用通孔及び前記ボルト孔は、前記固定用ボルトの頭部が前記アンダーカバーの最下面の高さよりも高くなる位置に設けられることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、固定用ボルトの頭部がアンダーカバーの最下面の高さよりも高くなる位置に設けられることから、車両が走行する際に、固定用ボルトと異物や障害物との衝突が抑制される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、サイドフレームとアンダーカバーとの間隙を通じたサイドフレーム間への異物の侵入を抑制するほか、アンダーカバーの着脱を従来よりも簡単に行うことができる産業車両用アンダーカバーの取付構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る産業車両用アンダーカバーの取付構造(以下、単に「アンダーカバーの取付構造」と表記する。)について図1及び図2に基づき説明する。
この実施形態のアンダーカバーの取付構造は、産業車両としてのフォークリフトに適用した例であり、図1は、アンダーカバーの取付構造を分解して示す斜視図であり、図2はアンダーカバーの取付構造を示す正面図である。
この実施形態のアンダーカバーの取付構造では、左右のサイドフレーム11と、サイドフレーム11に固定されるブラケット14と、サイドフレーム11に取り付けるアンダーカバー17と、サイドフレーム11にアンダーカバー17を固定する固定手段としての固定用ボルト26を用いる。
【0018】
フォークリフトの車両フレームは、間隔を保って相対する左右のサイドフレーム11を備えている。
図1に示すサイドフレーム11は、右側のサイドフレーム11であるが、左右のサイドフレーム11の内部には、図2に示す空間部12が形成されている。
空間部12には、図示しない燃料タンクやオイルタンク等のタンク、あるいは、機器類等を収容することができる。
左右のサイドフレーム11の間には、エンジンやトルクコンバータ等の駆動系装置16が主に収容されている。
【0019】
また、図示はしないがサイドフレーム11の前後には、サイドフレーム11を連結し、車両フレームの一部を構成する連結部材が備えられ、連結部材はサイドフレーム11とともに車両フレームを形成する。
左右の各サイドフレーム11には、サイドフレーム11の下面と内側面との間を斜めにカットしたフレーム傾斜部13がサイドフレーム11の前後に沿って形成されている。
フレーム傾斜部13には、アンダーカバー17を取り付けるための取付用ブラケット14が溶接により固定されている。
【0020】
取付用ブラケット14は、サイドフレーム11に含まれる要素である。
取付用ブラケット14は、フレーム傾斜部13の長手方向にほぼ対応する細長の板体であり、取付用ブラケット14の表面はフレーム傾斜部13と平行となっている。
この実施形態では、取付用ブラケット14の表面が、被取付用傾斜面に相当するが、サイドフレーム11のフレーム傾斜部13が取付用ブラケット14の機能を有する場合には、取付用ブラケット14をサイドフレーム11に固定する必要はなく、この場合、フレーム傾斜部13が被取付用傾斜面に相当する。
取付用ブラケット14の表面には、ボルト孔15が前後に夫々設けられており、ボルト孔15は、アンダーカバー17を取り付ける際に用いる固定用ボルト26が螺入可能な雌ねじが形成されている。
【0021】
次に、アンダーカバー17について説明すると、アンダーカバー17はサイドフレーム11間の下部を覆い、サイドフレーム11間に収容される駆動系装置16等を保護するものである。
この実施形態のアンダーカバー17は、金属板の溶断と折り曲げ加工により得られる。
アンダーカバー17は、アンダーカバー17の大部分を占めるカバー水平部18と、アンダーカバー17の側部としての左右のカバー側部19と、カバー水平部18の前後に形成されるカバー張設部20、21とから構成されている。
カバー水平部18は平坦面となっており、サイドフレーム11間における駆動系装置16等と外部を隔絶する。
【0022】
カバー側部19は、前後方向に沿う2回の折り曲げにより形成されており、アンダーカバー17を正面から見たときに山形状の形態を呈する。
カバー側部19は、カバー水平部18から上方へ傾斜して延在する内側傾斜部22と、内側傾斜部22の上端から下方へ傾斜して延在する外側傾斜部23を有している。
外側傾斜部23の上面は、取付用傾斜面に相当し、アンダーカバー17がサイドフレーム11に取り付けられた状態では、被取付用傾斜面に相当するブラケット14の表面と相対するとともに、取付用ブラケット14の表面とほぼ間隙なく当接される面である。
このため、外側傾斜部23の傾斜角度は、サイドフレーム11におけるフレーム傾斜部13の傾斜角度と一致する。
外側傾斜部23は、取付用ブラケット14の表面を利用して、サイドフレーム11に対するアンダーカバー17の上下方向と左右方向の位置決めを図る要素である。
因みに、この明細書における取付用傾斜面及び被取付用傾斜面とは、サイドフレーム11に対するアンダーカバー17の位置決め、あるいは、取り付けのために利用される傾斜面の意味を含む。
【0023】
外側傾斜部23は、前後にボルト用通孔24が穿孔されており、ボルト用通孔24は長孔の溝孔であり、溝孔の長手方向である長径は外側傾斜部23の傾斜方向と一致する。
つまり、ボルト用通孔24の長手方向は傾斜するものの、アンダーカバー17の左右方向と一致すると言える。
ボルト用通孔24は、アンダーカバー17の取り付けの際に、アンダーカバー17の位置決めが確実でない場合でも、ボルト孔15を溝ボルト用通孔24に臨ませることを可能とする。
なお、カバー側部19の下面には、内側傾斜部22と外側傾斜部23による空間25が形成され、この空間25は、工具を用いて固定用ボルト26の螺入や取り外しの作業を行い易くする要素となっている。
また、この実施形態で用いられる固定用ボルト26は、雄ねじが形成された軸部27と、頭部28を有する公知のボルトである。
【0024】
カバー水平部18の前端には、前方へ張り出し、折り曲げによりやや上方へ傾斜するカバー張設部20が備えられている。
カバー張設部20は板状であって、車両の走行の際に、前方からの異物侵入を抑制したり、路面上の障害物を乗り越え易くするものである。
一方、カバー水平部18の後端にも、同様なカバー張設部21が形成され、後方からの異物侵入を抑制したり、後進時において障害物を乗り越え易くする。
【0025】
次に、この実施形態に係るアンダーカバー17の取り付けについて説明する。
まず、左右のサイドフレーム11の下方において、アンダーカバー17を水平状態で臨ませておき、次いで、アンダーカバー17をサイドフレーム11へ向けて上昇させる。
アンダーカバー17の上昇により、アンダーカバー17における左右の外側傾斜部がサイドフレーム11における取付用ブラケット14の表面に当接される。
外側傾斜部23と取付用ブラケット14の表面が互いに当接するとき、サイドフレーム11に対するアンダーカバー17の左右と上下の位置決めが行われた状態となる。
このとき、取付用ブラケット14におけるボルト孔15がボルト用通孔24から視認できるから、固定用ボルト26を下方からボルト用通孔24に挿通するとともにボルト孔15に螺入する。
【0026】
内側傾斜部22と外側傾斜部23により形成された空間25は、固定用ボルト26螺入の際、固定用ボルト26の螺入を行い易くしている。
螺入された固定用ボルト26を螺締するにより、サイドフレーム11に対するアンダーカバー17の取り付けが完了する。
なお、螺締された固定用ボルト26の頭部28は、アンダーカバー17の最下面の高さよりも高い位置にあるため、例えば、路面の突起物などが固定用ボルト26の頭部28に直接衝突する可能性は抑制される。
アンダーカバー17がサイドフレーム11に取り付けられた状態では、取付用ブラケット14の表面とアンダーカバー17における外側傾斜部23が互いにほぼ間隙なく当接している。
【0027】
なお、アンダーカバー17におけるボルト用通孔24は、アンダーカバー17をサイドフレーム11に取り付ける際、アンダーカバー17の上下方向の位置決めが不完全な状態でも、ボルト用通孔24からボルト孔15を視認するようにする。
このため、固定用ボルト26を仮止めすることにより、サイドフレーム11に対してアンダーカバー17を仮止めし、その後に固定用ボルト26を締め付けによる固定用ボルト26の軸力を利用してアンダーカバー17を然るべき位置に位置決めして固定することができる。
また、ボルト用通孔24が溝孔であることは、固定用ボルト26を用いる場合に、サイドフレーム11やアンダーカバー17の左右方向の寸法精度の誤差を吸収してアンダーカバー17をサイドフレーム11に取り付けることを可能とする。
【0028】
この実施形態に係るアンダーカバーの取付構造によれば以下の効果を奏する。
(1)サイドフレーム11における被取付用傾斜面に対して、カバー側部19に含まれる取付用傾斜面が当接されるから、サイドフレーム11とアンダーカバー17との間に大きな間隙は存在しない。このため、サイドフレーム11とアンダーカバー17との間を通じたサイドフレーム11間への異物の侵入が抑制される。また、サイドフレーム11とアンダーカバー17との間に大きな間隙が存在しないことから、サイドフレーム17間の駆動系装置16の作動音が漏れ難くなる。
(2)アンダーカバー17を取り付ける場合、例えば、サイドフレーム11の被取付用傾斜面にアンダーカバー17の取付用傾斜面を当接させつつ、アンダーカバー17を上昇させることにより、アンダーカバー17は上下方向と左右方向について同時に位置決めされる。このため、アンダーカバー17のサイドフレーム11への取り付け作業が容易となる。
【0029】
(3)アンダーカバー17の下方から固定用ボルト26を螺入してアンダーカバー17をサイドフレーム11に取り付けることから、サイドフレーム11間の側から固定用ボルトを用いてサイドフレームとアンダーカバーを取り付ける従来と比較して、例えば、車両の保守作業の際にアンダーカバー17のみの着脱も可能となる。
(4)アンダーカバー17をサイドフレーム11に取り付ける際、アンダーカバー17の上下方向の位置決めが厳密に行われない状態であっても、ボルト用通孔24からボルト孔15を臨むことができるから、例えば、固定用ボルト26をボルト孔15に仮止めし、さらに螺入される固定用ボルト26の軸力により、サイドフレーム11に対するアンダーカバー17の位置決めと固定を行うことができる。
【0030】
(5)取付用傾斜面が被取付用傾斜面とともにアンダーカバー17の位置決めを行うほか、取付用傾斜面と被取付用面の当接は、固定用ボルト26により直接的に行われるから、取付用傾斜面と被取付用面の当接はより強化され、サイドフレーム11とアンダーカバー17との間隙がさらに抑制されることにより、サイドフレーム11間への異物の侵入のより一層抑制される。
(6)固定用ボルト26の頭部28がアンダーカバー17の最下面の高さよりも高くなる位置に設けられることから、車両が走行する際に、固定用ボルト26の頭部28と異物や障害物との衝突が抑制される。
(7)アンダーカバー17は、金属板の溶断と、折り曲げ加工と、僅かな孔明け加工により形成されるから、従来のアンダーカバーと比較して、アンダーカバー17の製作が容易となるほか、部品点数が大幅に削減され、ひいてはアンダーカバー17の取付構造に必要な部品点数が大幅に低減されたり、製作時間を短縮化することができる。
【0031】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るアンダーカバーの取付構造について図3(a)に基づき説明する。
図3(a)は、第2の実施形態に係るアンダーカバーの取付構造の要部を示す正面図である。
第2の実施形態では、第1の実施形態と共通する固定手段としての固定用ボルト26、取付用ブラケット14、ボルト孔15については、説明の便宜上、第1の実施形態と符号を共通とする。
【0032】
この実施形態では、図3(a)において右側のサイドフレーム31のみを示しているが、左右のサイドフレーム31のフレーム傾斜部33は、内側ではなく外側を臨むように形成されている。。
そして、フレーム傾斜部33には、ボルト孔15を有する取付用ブラケット14が固定されている。
取付用ブラケット14の表面は被取付用傾斜面に相当する。
一方、アンダーカバー34は、3回の折り曲げにより形成されるカバー側部36を有している。
カバー側部36は、カバー水平部35からやや下方の外側に延在される内側傾斜部37と、内側傾斜部37から水平状態でさらに外側へ延在される水平側部38と、水平側部38からやや上方の外側へ延在される外側傾斜部39から構成されている。
【0033】
水平側部38はサイドフレーム31の下部に沿っており、外側傾斜部39はフレーム傾斜部33と対応する傾斜角度を有し、溝孔であるボルト用通孔40が形成されている。
外側傾斜部39の上面は、取付用傾斜面に相当する。
そして、ボルト用通孔40は、長手方向がアンダーカバー34の左右方向と一致する。
このため、アンダーカバー34をサイドフレーム31に取り付ける際、ボルト孔15がサイドフレーム11の側方からボルト用通孔40を通じて視認される。
また、アンダーカバー34がサイドフレーム31に取り付けられた状態では、カバー側部36がサイドフレーム31の下部を覆う状態となる。
【0034】
第2の実施形態のアンダーカバーの取付構造によれば、第1の実施形態と同等又は類似の効果を奏する。
そして、アンダーカバー34におけるカバー側部36がサイドフレーム31の外側に達していることから、サイドフレーム31とアンダーカバー34の間隙を通じて異物がサイドフレーム31間に侵入する可能性は極めて小さい。
さらに、アンダーカバー34の取り付けの際に、ボルト孔15を側方から視認できることから、ボルト用通孔4及びボルト孔15を側方から確認し易くなる。
また、カバー側部36がサイドフレーム31の下部を覆うことから、サイドフレーム31の下部をアンダーカバー34により保護することができる。
その上、固定用ボルト26の取り扱いに必要な空間は特に制約を受けず十分に確保でき、アンダーカバー17を着脱し易い。
【0035】
(第3の実施形態)
次に、第3に係るアンダーカバーの取付構造について図3(b)に基づき説明する。
図3(b)は、第3の実施形態に係るアンダーカバーの取付構造の要部を示す正面図である。
第3の実施形態では、第1の実施形態と共通する固定手段としての固定用ボルト26、取付用ブラケット14、ボルト孔15については、説明の便宜上、第1の実施形態と符号を共通とする。
【0036】
この実施形態では、図3(b)において右側のサイドフレーム41のみを示しているが、左右のサイドフレーム41の下面は、上方へ向けて山形状に窪むように形成されており、下面において窪みを形成する一方の面(図3(b)における内側)がフレーム傾斜部43となっている。
そして、フレーム傾斜部43には、ボルト孔15を有する取付用ブラケット14が固定されている。
取付用ブラケット14の表面は、被取付用傾斜面に相当する。
一方、アンダーカバー44は、3回の折り曲げにより形成されるカバー側部46を有し、第2の実施形態と同様に、カバー水平部45からやや下方の外側に延在される内側傾斜部47と、内側傾斜部47から外側へ水平に延在される水平側部48と、水平側部48からやや上方の外側へ延在される外側傾斜部49から構成されている。
そして、外側傾斜部49はフレーム傾斜部43と対応する傾斜角度を有し、溝孔であるボルト用通孔50が形成されている。
外側傾斜部49の上面は、取付用傾斜面に相当する。
【0037】
第3の実施形態では、第1の実施形態と同等又は類似の効果を奏する。
そして、アンダーカバー44におけるカバー側部46がサイドフレーム41の下部の中間付近に達しているほか、下部において窪みを形成する他方の面が外側傾斜部49の端部に近接しているから、サイドフレーム41とアンダーカバー44の間隙を通じて異物がサイドフレーム41間に侵入する可能性は極めて小さい。
【0038】
(第4の実施形態)
次に、第4に係るアンダーカバーの取付構造について図3(c)に基づき説明する。
図3(c)は、第4の実施形態に係るアンダーカバーの取付構造の要部を示す正面図である。
第4の実施形態では、第1の実施形態と共通する固定手段としての固定用ボルト26、取付用ブラケット14、ボルト孔15については、説明の便宜上、第1の実施形態と符号を共通とする。
【0039】
この実施形態では、図3(c)において右側のサイドフレーム51のみを示しているが、第4の実施形態に係るサイドフレーム51は、第3の実施形態と同様に、サイドフレーム51の下面が上方へ向けて山形状に窪むように形成されており、下面において窪みを形成する一方の面(図3(c)における内側)がフレーム傾斜部52となっている。
そして、サイドフレーム51の窪みを形成する下面には、水平面53が含まれており、この水平面53に取付用ブラケット14が固定されている。
取付用ブラケット14の表面は、被取付用傾斜面に相当する。
【0040】
一方、アンダーカバー54は、4回の折り曲げにより形成されるカバー側部56を有し、カバー水平部55からやや下方の外側に延在される内側傾斜部57と、内側傾斜部47から外側に水平に延在される水平側部58と、水平側部58からやや上方の外側へ延在される外側傾斜部59と、外側傾斜部59から水平状態で外側へ延在する外側水平部60とから構成されている。
そして、外側傾斜部59はフレーム傾斜部52と対応する傾斜角度を有する。
外側傾斜部59は、取付用傾斜面に相当する。
アンダーカバー54における外側水平部60には溝孔のボルト用通孔61が設けられており、ボルト用通孔61の長手方向はアンダーカバー54の左右方向と一致する。
【0041】
第4の実施形態では、第1の実施形態と同等又は類似の効果を奏する。
そして、アンダーカバー54におけるカバー側部56がサイドフレーム51の下部の中間付近に達しているほか、下部において窪みを形成する他方の面が外側傾斜部59の端部に近接しているから、サイドフレーム51とアンダーカバー54の間隙を通じて異物がサイドフレーム11間に侵入する可能性は極めて小さい。
【0042】
なお、本発明は、上記の第1〜第4の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
○ 上記の第1の実施形態では、取付用傾斜面をアンダーカバーの左右に夫々設けるようにしたが、左右のいずれかに取付用傾斜面を設けるようにすることを妨げない。そして、取付用傾斜面が設けられない側には、別の取付手段を設けることが好ましく、この場合、アンダーカバーの一方の側における取付用傾斜面とサイドフレームにおける被取付用傾斜面との当接による異物の抑制が期待できる。
○ 上記の第1の実施形態では、同じ形態の取付用傾斜面をアンダーカバーの左右に夫々設けるようにしたが、例えば、アンダーカバーにおいて一方の側を第1の実施形態の取付用傾斜面とし、他方の側を第2の実施形態の取付用傾斜面とする等、アンダーカバーにおけるカバー側部及びサイドフレームのフレーム傾斜部について、第1〜第4の実施形態の構成を適宜組み合わせてもよい。
○ 上記の第1〜第4の実施形態では、アンダーカバーにおける側部は、複数の折り曲げを必要としたが、1回以上の折り曲げが存在すれば本発明に係るアンダーカバーが成立する。また、この明細書における折り曲げは、折り目が比較的明確な折り曲げのほか、断面からみて円弧を含む緩やかな折り曲げを含む。円弧を含む緩やかな折り曲げを含むアンダーカバーの場合、少なくとも、取付用傾斜面及び被取付用傾斜面は断面から見て直線となる面であることが好ましい。
○ 上記の第1の実施形態では、アンダーカバーにおけるカバー水平部は、開口部を備えない構成としたが、サイドフレーム間に設けた駆動系装置等の調整や保守が必要な場合には、カバー水平部の適宜の位置に開口部を設けてもよい。
○ 上記の第1〜第4の実施形態では、固定手段として固定用ボルトを用いたが、固定用ボルトに限定する趣旨ではなく、少なくとも、サイドフレームに対してアンダーカバーを固定することができる適宜の手段を採用することができる。
○ 上記の第1〜第4の実施形態では、産業車両としてのフォークリフトに適用した例を説明したが、本発明はフォークリフトに限らず、産業車両としての建設車両に適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1の実施形態に係るアンダーカバーの取付構造の概要を示す分解斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係るアンダーカバーの取付構造を示す正面図である。
【図3】第2〜第4の実施形態に係るアンダーカバーの取付構造を示す要部正面図である。
【図4】従来のアンダーカバーの取り付け構造の概要を示す分解斜視図である。
【図5】従来のアンダーカバーの取付構造を示す正面図である。
【符号の説明】
【0044】
11、31、41、51、71 サイドフレーム
13、33、43、52 フレーム傾斜部
14 取付用ブラケット
15 ボルト孔
17、34、44、54、72 アンダーカバー
19、36、46、56 カバー側部
23、39、49、59 外側傾斜部
24、40、50、61 ボルト用通孔
25 空間
26、76 固定用ボルト
28 頭部
73 ブラケット
74 作業孔
75 L形ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右のサイドフレームが間隔を保って相対し、該サイドフレーム間の下部を覆うアンダーカバーが、固定手段により該サイドフレームに着脱可能に取り付けられる産業車両用アンダーカバーの取付構造であって、
前記アンダーカバーの少なくとも一方の側部は、前後方向に沿う折り曲げにより形成される取付用傾斜面を含み、
前記サイドフレームの少なくとも一方は、前記アンダーカバーにおける取付用傾斜面と相対する被取付用傾斜面を備えたことを特徴とする産業車両用アンダーカバーの取付構造。
【請求項2】
前記固定手段は固定用ボルトであり、前記アンダーカバーの側部は、前記固定用ボルトを挿通するボルト用通孔を有し、
前記サイドフレームは、前記ボルト用通孔を臨むボルト孔を備え、
前記固定用ボルトは、前記アンダーカバーの下方から前記ボルト用通孔を通じてボルト孔に螺入自在とすることを特徴とする請求項1記載の産業車両用アンダーカバーの取付構造。
【請求項3】
前記ボルト用通孔は溝孔であって、前記溝孔の長手方向は前記アンダーカバーの左右方向と一致することを特徴とする請求項2記載の産業車両用アンダーカバーの取付構造。
【請求項4】
前記ボルト用通孔は、前記取付用傾斜面に形成されることを特徴とする請求項2又は3記載の産業車両用アンダーカバーの取付構造。
【請求項5】
前記ボルト用通孔及び前記ボルト孔は、前記固定用ボルトの頭部が前記アンダーカバーの最下面の高さよりも高くなる位置に設けられることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項記載の産業車両用アンダーカバーの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−347272(P2006−347272A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173775(P2005−173775)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】