説明

用時調整毛髪トリートメント組成物

【課題】牛乳を直接使用した毛髪用トリートメント組成物の提供。
【構成】牛乳と粉末または顆粒成分とからなる用時調整毛髪トリートメント組成物であって、前記粉末または顆粒成分が水溶性高分子、無機粉体を含有することを特徴とする用時調整毛髪トリートメント組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は用時(使用時)調整できる貯蔵安定性が良好な牛乳を含有する毛髪トリートメント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、牛乳を直接主原料とした毛髪トリートメント組成物は牛乳のタンパク質成分が傷んだ毛髪の回復に効果があると認められ、例えば特許文献1には枝毛修復処理剤として使用されることが記載されており、また、特許文献2には基礎化粧料として使用されることが記載されている。
【特許文献1】特開平5−29326号公報
【特許文献2】特開昭63−310808号公報 しかしながら、牛乳を直接原料としたクリーム状態の組成物を工場で多量に生産した場合、その製品の貯蔵、輸送、保管、小分け作業等の環境の変化に伴う品質の安定化が問題で、腐敗防止、異臭発生防止等の品質異常化に対応する技術的、経済的な有効な解決手段が困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は牛乳を直接原料として用時(使用時)良好なクリーム状毛髪トリートメント組成物を形成することが出来る用時調整毛髪トリートメント組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の要旨は、牛乳と粉末または顆粒成分とからなる用時調整毛髪トリートメント組成物であって、前記粉末または顆粒成分が水溶性高分子および無機粉体を含有することを特徴とする用時調整毛髪トリートメント組成物であり、更に必要に応じて該組成物に植物油、ワックス類、シリコーンオイル若しくはグリセリンを含有することを特徴とする用時調整毛髪トリートメント組成物である。
【発明の効果】
【0005】
本発明は用時に水溶性高分子成分、無機粉体を含有する粉末または顆粒成分(以下、第一群組成物という)に牛乳を添加、調合してクリーム状態として使用するため使用感に優れ、予め牛乳配合を行うのではないので、牛乳配合に伴う雑菌繁殖等の防腐薬品を使用する必要はなく、牛乳成分の有するダメージヘアーの回復を行うことが出来、更に、従来のように界面活性物質を使用することがないので皮膚刺激回避と環境に対しても好ましい製品である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明について詳細に述べる。
本発明で使用する牛乳は市販の生乳、牛乳、脱脂乳、加工乳の何れでも良く、更に、粉ミルクのような粉末状であっても、これを液状として使用するものも本発明の牛乳の範疇である。通常粉ミルクを使用する場合は約8〜10重量%程度の濃度として使用する。これら牛乳を単独または二種以上混合使用することが出来る。使用温度としては5℃〜60℃程度で、冷蔵庫保管品または加温して液体状態を維持するものであれば目的を達成する。
第一群組成物の水溶性高分子は毛髪トリートメントにおいてクリーム形成の増粘作用を呈し、トリートメント効果を示す。具体的には天然系カラキーナン、キサンタンガム、半合性のカルボキシメチルセルロースナトリウム、合成系のポリアクリル酸ナトリウム等の粉体が用いられ、これらは一種または二種以上適宜組み合わせて使用してもよい。また、同じく第一群組成物の無機粉末成分は、クリームに塗布時に滑りが良く、洗浄時の洗髪性が良好となる。具体的にはカオリナイト、ヘクトライト、モンモリナイト、スメタイト等の粘土鉱物及びタルク、無機ケイ酸、炭酸カルシウム、酸化チタン等が使用される。第一群組成物中の水溶性高分子と無機粉末成分との使用割合は重量比で水溶性高分子:無機粉末成分=3〜7:7〜3である。
【0007】
上記水溶性高分子粉末体と無機粉体の単独または二種以上の混合物の粉体表面を改質し、粉体取り扱い時の飛散防止並びに毛髪にすべり感、しっとり感を付与するために毛髪用の化粧料に慣用されているひまわり油、オリーブ油、ごま油等の植物油、シリコーンオイルなどの合成油、流動パラフィン、ラノリン、ミツ、ロウ、カルナバロウのワックス類、、グリセリン等が必要に応じて加温して流動性をもたせて使用される。特に、オリーブ油は牛乳成分のトリートメント効果を補助的に付加し、シリコーンオイルは髪の毛にサラサラ感を付与する。
上記の第一群組成物である水溶性高分子と無機粉体及び必要に応じて化粧料に慣用される成分を混合するに際しては、攪拌機を有する慣用の混合装置を用いることが好ましいが、その設備・機種には特に制限されない。二種以上の原料を均一に分散・混合する混合容器とこれに適合する混合は混合羽根を有する構造の設備で、混合・分散の目的で羽根を回転させる機械的機構構造を具備する市販の混合機がより効果的である。
【0008】
また毛髪用化粧料に慣用される液体原料等の混合物を上記の混合・撹拌装置で、予め水溶性高分子と無機粉体が混合・均一分散された粉末に、その容器内に添加・攪拌して粉体表面の特性改良(粉体の飛散防止対応)をすると共に、痛んだ毛髪に対するトリートメントを主体とする牛乳効果を補助する液体原料からなる粉体または顆粒体を得る。これを上記の第一群組成物材料として使用する。
【0009】
本発明においては用時(使用時)上述の第一群組成物に牛乳を添加混合すればよく、その割合は所望の粘度を呈するようにすれば良く、通常第一群組成物を2〜8重量%、好適には5重量%程度の割合で混合する。
この混合に際しては、特別な製造設備(混合タンク、攪拌機、特定の製造所)等を必要とすることなく、使用者個人がその用時に必要とする場所例えばキッチン、洗面所、バスル−ム等で容易に必要量を瞬時的に作ることが出来る。
使用時の一例を示すと、例えば、200ml程度の一般家庭で使用する容器に上記の第一群組成物材を適量(例えば5g)取り、冷蔵庫等で保管された一般牛乳の見合う量(例えば95g)を加えて、スプーン等で混合・攪拌すると1分から5分程度で毛髪に塗布するのに適した良好なクリー状態品が得られる。これを指に取り髪の毛に塗布する。このクリーム状態品を作るのに特別な技量は必要ではなく、使用者が自分の目的にあわせた量(例えばショートヘア:ロングヘア)を任意で手軽に作ることができる。
【0010】
本発明のクリーム状毛髪トリートメント組成物の製造方法は特別な製造所を必要とせず、上記第一群組成物材料(粉体または顆粒体)は普通の生活室内で保管しても品質が長期間安定であり、牛乳は一般家庭の冷蔵庫で飲食用に保管しているものを直接使用できるので、用時に目的とする必要量を上記に示されたように容易で瞬時的に作れるので、使用後の残量保管・廃棄処理が不要で経済的であり、かつ牛乳組成物である腐敗を考慮した防腐剤等を使用しなくてよい。
上記したように使用者が髪質や髪の風合い等に対する嗜好に応じた量と、そのクリーム状態(ソフトまたはハード)を牛乳に添加割合で自由に調整できる。直接毛の髪に塗布するに好ましい使用感を有し、塗布後の洗い流すすすぎ時に、ぬめり感がなく、すべすべした感触を与えると共に毛髪の痛んだ箇所の回復に寄与する。
【実施例】
【0011】
以下実施例を示す。本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例1
カルボキシメチルセルロースNa塩2重量部とタルク2重量部にオリーブ油(植物油)及びシリコーン油(合性油)をそれぞれ0.5重量部添加し、混合して粉体状の第一群組成物を得た。この第一群組成物に対して95重量部の牛乳を添加、混合してトリートメントとした。このトリートメントは毛髪への塗布性は良好で、光沢性も良好であり、洗髪性もサラサラ洗えた。総合評価として優れたトリートメントであった。
【0012】
実施例2
カルボキシメチルセルロースNa塩2.5重量部とタルク2.5重量部とを混合、攪拌して均一な粉体状の第一群組成物とし、これに牛乳95重量部を混合してトリートメントとした。このトリートメントは毛髪への塗布性は良好で、洗髪性もサッパリ洗えた。総合評価として優れたトリートメントであった。
【0013】
比較例1
実施例1におけるカルボキシメチルセルロースNa塩を添加せず、タルク4.0重量部
にオリーブ油0.5重量部およびシリコーン油0.5部重量添加混合して実施例1と同様にしてトリートメントを得ようとしたが、得られたトリートメントはクリーム状ではなく、トリートメントとして使用不可であった。
【0014】
比較例2
実施例1におけるタルクを添加せず、カルボキシメチルセルロースNa塩4.0重量部にオリーブ油0.5重量部およびシリコーン油0.5部重量添加混合して実施例1と同様にしてトリートメントを得ようとしたが、得られたトリートメントは固いゼリー状となり毛髪には塗布できず、また、洗い流しが困難であった。
以上の組成および得られたトリートメントの特性を表1に示した。
【0015】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
牛乳と粉末または顆粒成分とからなる用時調整毛髪トリートメント組成物であって、前記粉末または顆粒成分が水溶性高分子および無機粉体を含有することを特徴とする用時調整毛髪トリートメント組成物。
【請求項2】
更に植物油、ワックス類、シリコーンオイル若しくはグリセリンを含有する請求項1記載の用時調整毛髪トリートメント組成物。

【公開番号】特開2006−69927(P2006−69927A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−252771(P2004−252771)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(591028980)山栄化学株式会社 (45)
【Fターム(参考)】