説明

用箋挟み

【課題】作業票一式を現場で効率的且つ容易に利用できる用箋挟みを提供する。
【解決手段】用箋挟みは、見開き状に開閉可能な一対の方形プレートからなり、一対の方形プレートが有する4つの面のうち3面を利用して、操作札用スペース8、作業票用スペース9、及び紙面用スペース10を異なる面に形成する。操作札用スペース8は、外側となる面の一方に袋体81を設けて構成し、この袋体を、撥水性素材によって形成すると共に、上部に開口する出し入れ部81aと、この出し入れ部81aを開閉する蓋部81bとを設けて構成する。作業票用スペース9は、内側となる面の一方に設けられた2つの差し入れ部91を有して構成する。紙面用スペース10は、内側となる面の他方に紙面を挟んで固定するバイト金具12を設けて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オペレータが点検修理作業のために現場で必要な作業票、補助標識、系統図、操作要領書、操作禁止札等を現場に携帯するために使用する用箋挟みに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の用箋挟みとして、特許文献1乃至3に示されるものが公知となっている。このうち、特許文献1は、ボードの一辺付近に用紙挟持用のクリップを備え付けて構成されるクリップボードにおいて、上記ボードに環状の伸縮ベルトを移動自在に巻き付け、且つその伸縮ベルトにこれを上記ボードの裏面の所望位置で固着する保持部材を付設したクリップボードを開示する。
【0003】
特許文献2は、挟み込んだ用箋が滑り落ちることの少ない紙挟みを提供するために、台板と、一方側部分に挟持部が形成され、他方側部分に開用押圧部が形成され、挟持部が台板に対して開閉できるように中間部分が台板に回転自在に支持される挟持部材と、挟持部材の挟持部を台板側に付勢する付勢部材とを含み、挟持部材の挟持部の台板側領域に滑り止め部材を設けた紙挟みを開示する。
【0004】
特許文献3は、台板と、この台板に設けられた挟み金と、この挟み金にほぼ並設するように台板に設けられた用箋の押さえ部材と、前記挟み金で挟止された用箋を挟み止める袋部とで構成された多用途用箋挟みを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭61−81982号公報
【特許文献2】特開2004−330491号公報
【特許文献3】実開平2−61685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、オペレータが現場で点検修理作業を実施する場合、作業票、補助標識、系統図、操作要領書、操作禁止札等が必要になるが、現状では、作業票他一式を書類回覧用用箋挟みにまとめて現場操作に出向き、現場で作業票一式の出し入れや記述を行うようにしている。
【0007】
しかしながら、書類回覧用用箋挟みは固定クリップが1つだけであるため、作業票他一式を1箇所でまとめて固定しなければならず、これら作業票一式が一箇所に嵩張って利用しにくくなり、効率的な出し入れ操作や記述操作ができなくなるという不具合がある。具体的には、
(1)作業票一式が嵩張るため、運搬・操作時に作業票一式が脱落・紛失する恐れがあること、
(2)作業票一式が嵩張るため、それぞれを確認しにくくなり、また要領書等に記述しにくくなること、
(3)作業票一式をまとめて固定しているため、作業票や操作札の出し入れに時間がかかること、
(4)作業票一式をまとめて固定しているため、作業票や操作札を出し入れする際、他の紙面類が脱落する恐れがあること、
(5)作業票一式が外部に晒されているため、紙面が汚れたり雨天時に濡れたりすること
などの不具合がある。
【0008】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、上述した不具合を解消すると共に、作業票一式を現場で効率的且つ容易に利用することができる用箋挟みを提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
しかして、本発明の用箋挟みは、上述した課題を達成するために、見開き状に開閉可能な一対の方形プレートを備え、該一対の方形プレートが有する4つの面のうち3面を利用して、札類や標識類を収容する操作札用スペース、作業票を収容する作業票用スペース、及び筆記具で記入することを予定した紙面を留める紙面用スペースをそれぞれ異なる面に形成したことを特徴とするものである。
【0010】
このような構成とすることで、持参する作業票他一式を、用途に応じて整理して3つのスペースに分配して収容することができ、また、それぞれのスペースを方形プレートの異なる面に形成されているので、一箇所の面に集中することがなく、それぞれのスペースが嵩張ることを回避することが可能となる。
【0011】
ここで、操作札用スペースは、方形プレートの外側となる面に形成され、作業票用スペース及び紙面用スペースは、方形プレートの内側となる面の異なる面にそれぞれ形成されることが好ましい。
操作札用スペースに札類や標識類を収容すると、厚みが大きくなるので、方形プレートの内側にすると、閉じようとした際に方形プレートがきちんと閉じることができない不都合もあるため、操作札用スペースは方形プレートの外側の面に形成することが好ましく、紙面用スペース及び作業票用スペースは、現場での汚れ防止や雨天時の防水対策として、方形プレートの内側の面に形成することが好ましい。
【0012】
より具体的には、前記操作札用スペースは、方形プレートが閉じられた状態で外側となる面の一方に設けられ、上下に並設された少なくとも2つの袋体を有して構成されており、前記袋体のそれぞれは、透明な撥水性素材によって形成され、上部に開口する出し入れ部が形成されると共に前記出し入れ部を開閉する蓋部が一体に設けられることが望ましい。ここで、蓋部には落下防止用の返しが形成されることが望ましい。尚、札類としては、操作禁止札などがあり、標識類としては、補助標識等がある。
【0013】
このような構成によれば、操作札用スペースが方形プレートの外側の面の一方に設けられるので、札類や標識類を収容して嵩張っても差し支えなく、他のスペースに影響を与えることがない。また、袋状スペースは、撥水性素材によって形成されているので、汚れ防止や雨天時の防水対策となり、さらに出し入れ部に蓋部が形成されているので、収容した札類や標識類の脱落の恐れがなくなる。
【0014】
また、作業票用スペースは、前記方形プレートが閉じられた状態で内側となる面の一方に設けられ、上下に並設された少なくとも2箇所に作業票を差し入れ可能な差し入れ部を有して構成されており、前記差し入れ部のそれぞれは、上方からの作業票の差し入れを許容する開口部を有することが望ましい。
【0015】
このような構成によれば、作業票用スペースは、方形プレートの内側の面の一方に設けられるので、汚れを防止できると共に雨天時の防水対策を図ることが可能となる。また、上方からの作業票の差し込みを許容するように開口部が開口しているので、作業票用スペースへの作業票の出し入れが容易となる。
【0016】
さらに、紙面用スペースは、方形プレートが閉じられた状態で内側となる面の他方に設けられ、上部に紙面を挟んで固定するバイト金具を設けることが望ましい。
【0017】
このような構成によれば、紙面用スペースは、方形プレートが閉じられた状態で内側となる面の他方に設けられているので、汚れを防止できると共に雨天時の防水対策を図ることが可能となる。また、要領書等の記入する機会の多い紙面のみをバイト金具で挟むようにして保持することが可能となるので、筆記用具による記入がし易いものとなる。
【0018】
尚、バイト金具に対向する方形プレートの上部には、前記バイト金具に相当する位置にバイト金具露出用の切り欠き部が形成されることが望ましい。
【0019】
これによって、本願発明に係る用箋挟みを閉じた場合、バイト金具が切り欠き部に収容されるので、用箋挟みを隙間なく閉じることができ、紙面用スペースに保持された紙面の汚れ防止及び雨天時の防水対策を効果的に図ることが可能となる。
【0020】
また、一対の方形プレートの連結部分に、ペン等の筆記用具を装着できる装着機構を具備することが望ましい。
【発明の効果】
【0021】
以上述べたように、本発明によれば、作業票一式が嵩張ることがないため、作業票一式を現場で効率的かつ容易に利用することができ、使い易い用箋挟みを提供することが可能となる。具体的には、
(1)種類別に保管できるため嵩張ることがなくなり、作業票一式の脱落、紛失を防止することが可能となる、
(2)種類別に保管できるため嵩張ることがなくない、確認・記述がしやすくなる、
(3)種類別に保管できるため作業票や操作札の出し入れが容易となり、出し入れが短時間で行える、
(4)種類別に保管できるため作業票や操作札の出し入れをする際、他の紙面類が脱落することがなくなる、
(5)作業票や筆記具で記入することを予定した紙面が外部に晒されて、紙面が汚れたり、雨天時に濡れたりすることがなくなる、
等の効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明に係る用箋挟みの全体構成を示す図であり、(a)は、用箋挟みの見開き状態に開いた状態の外側2面を示した平面図であり、(b)は、用箋挟みの見開き状態に開いた状態の内側2面を示した平面図である。
【図2】図2は、本発明に係る用箋挟みの操作札用スペースが形成された面を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明に係る用箋挟みの作業票用スペースが形成された面を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明に係る用箋挟みの紙面用スペースが形成された面を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、この発明の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1(a),(b)に示すように、本願発明に係る用箋挟み1は、連結部(折り返し部)30を介して見開き状に開閉可能な一対の方形プレート2,3によって構成されている。この見開き状に開閉可能な方形プレート2,3は、閉じた状態で外側となる一対の面4,5と、内側となる一対の面6,7とを有している。
【0025】
このような方形プレートを用いて、外側および内側の4つの面のうち、3面を利用して、操作札用スペース8、作業票用スペース9、及び紙面用スペース10がそれぞれ異なる面に形成されている。
操作札用スペース8は、方形プレート2,3の外側となる面に形成され、また、作業票用スペース9及び紙面用スペース10は、方形プレート2,3の内側となる面にそれぞれ形成されている。
【0026】
操作札用スペース8は、操作禁止札等の札類や補助標識等の標識類である操作札20,21を収納するスペースであり、図2にも示されるように、方形プレートが閉じられた状態で外側となる面のうち、後述する切り欠き部13が形成されていない方形プレートの外面に形成されている。この操作札用スペースは、上下に並設された少なくとも2つの袋体81によって構成され、それぞれの袋体81は、透明の撥水性素材によって矩形状に形成されると共に、上部に開口する出し入れ部81aと、この出し入れ部81aを開閉する蓋部81bとが一体に設けられている。
【0027】
蓋部81bは、落下防止用の返しを有して構成されており、必要に応じて、面ファスナー等の固定手段を設けて落下防止機能を高めるようにしてもよい。操作札20,21は嵩張るため、本案のように用箋挟み1の外側に設けることが好ましく、また蓋部81bが設けられているので、一旦、操作札20,21を操作札用スペース8に収容すると、用箋挟みを逆さにしても、操作札20,21の落下を防止することが可能となる。
【0028】
尚、方形プレートの外側となる面のうち、切り欠き部13が形成されている方形プレートの外面には、用箋挟みの標題や部署名などを記入可能な記入欄又は記入した紙面やプレート等を挿入可能とする管理表記部70,71が設けられている。
【0029】
作業票用スペース9は、作業票22,23を収納するスペースであり、図3にも示されるように、前記内側となる一方の面6の上下に並設された2箇所に作業票を差し入れ可能な差し入れ部91を有して構成されている。それぞれの差し入れ部91は、上方からの作業票22,23の差し入れを許容する開口部91aが形成されているもので、この例では、上側の差し入れ部91は、略矩形状に形成された透明の樹脂シートを方形プレート3の内側となる面に両脇と下辺のそれぞれの側縁を接合させることによって構成されており、上辺を開口部91aとしている。この上辺は、下辺に対して傾斜するように形成され、作業票の上方からの差し入れ、取り出しがし易いようになっている。
【0030】
また、下側の差し入れ部91は、略三角形状に形成された透明の樹脂材シートを方形プレート3の内側となる面に方形プレートの長手方向に沿った長辺と下辺のそれぞれの側縁を接合させることによって構成されており、斜辺部分を開口部91aとしている。したがって、下側の差し入れ部91にあっては、上方及び側方からの作業票の差し入れ、取り出しが可能となっている。
【0031】
紙面用スペース10は、系統図、要領書などの筆記具で記入することを予定した紙面(ペンでの記入にも対応できる紙面)24を留めるためのスペースであり、図4にも示されるように、上部には前記紙面24を固定するためのバイト金具12が設けられ、このバイト金具12によって紙面24が固定されている。要領書は操作・確認後にチェックすることが必須であり、またメモや系統図には気づいた点等を記載することが頻繁にあるため、この紙面用スペース10に配置することが望ましい。
【0032】
また、方形プレート3の前記バイト金具12に対向する位置には、バイト金具12の厚さを許容するための切り欠き部13が形成されている。これによって、用箋挟み1はバイト金具12が所定の厚さを有していても、用箋挟みを閉じた際には、バイト金具を切り欠き部に収容することが可能となり、方形プレート2,3を隙間を空けずに重ね合わせることが可能となる。
【0033】
また、用箋挟み1の連結部(折り返し部)30には、ペンなどの筆記用具を固定するためのホルダ部(装着機構)40を設けることが望ましい。
このホルダ部40は、筆記用具を挿入できるような袋状、筒状に形成されたものであっても、ペン等のクリップを係止するものであっても、筆記用具を挟持する挟持片を設けるものであってもよい。
【0034】
以上の構成により、本願発明に係る用箋挟み1によれば、嵩張る操作札用スペース8,8を用箋挟み1の外側に設けると共に、作業票用スペース9,9、紙面用スペース10を用箋挟み1の内側に設けたので、種類別に保管することが可能となるため嵩張ることがなくなり、作業票等の脱落・紛失を防止することが可能となる。
【0035】
また、種類別に保管できるため、確認・記述がしやすくなり、また作業票や操作札などの出し入れが容易になる。さらに、作業票や操作札を出し入れする際に、他の紙面類が脱落することもなくなる。
【0036】
さらにまた、用箋挟み1が見開き状に開閉可能であることから、内側に配置された作業票や系統図、要領書などの紙面類が、持ち運び時に汚れることを防止することができ、また、雨水などによって濡れることを防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0037】
1 用箋挟み
2,3 方形プレート
4,5 外側の面
6,7 内側の面
8 操作札用スペース
9 作業票用スペース
10 紙面用スペース
12 バイト金具
13 切り欠き部
20,21 作業札
22,23 作業票
24 紙面
30 連結部(折り返し部)
40 ホルダ部(装着機構)
81 袋体
81a 出し入れ部
81b 蓋部
91 差し入れ部
91a 開口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
見開き状に開閉可能な一対の方形プレートを備え、該一対の方形プレートが有する4つの面のうち3面を利用して、札類や標識類を収容する操作札用スペース、作業票を収容する作業票用スペース、及び筆記具で記入することを予定した紙面を留める紙面用スペースをそれぞれ異なる面に形成したことを特徴とする用箋挟み。
【請求項2】
前記操作札用スペースは、前記方形プレートの外側となる面に形成され、前記作業票用スペース及び前記紙面用スペースは、前記方形プレートの内側となる面の異なる面にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1記載の用箋挟み。
【請求項3】
前記操作札用スペースは、前記方形プレートが閉じられた状態で外側となる面の一方に設けられ、上下に並設された少なくとも2つの袋体を有して構成されており、
前記袋体のそれぞれは、撥水性素材によって形成され、上部に開口する出し入れ部が形成されると共に前記出し入れ部を開閉する蓋部が一体に設けられることを特徴とする請求1又は2記載の用箋挟み。
【請求項4】
前記作業票用スペースは、前記方形プレートが閉じられた状態で内側となる面の一方に設けられ、上下に並設された少なくとも2箇所に作業票を差し入れ可能な差し入れ部を有して構成されており、
前記差し入れ部のそれぞれは、上方からの作業票の差し入れを許容する開口部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の用箋挟み。
【請求項5】
前記紙面用スペースは、前記方形プレートが閉じられた状態で内側となる面の他方に設けられ、上部に前記紙面を挟んで固定するバイト金具が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の用箋挟み。
【請求項6】
前記バイト金具に対向する方形プレートの上部には、前記バイト金具に相当する位置にバイト金具露出用の切り欠き部が形成されることを特徴とする請求項5記載の用箋挟み。
【請求項7】
一対の方形プレートの連結部分には、筆記具を装着する装着機構が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の傭船挟み。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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