説明

用紙位置決め機構

【課題】 厚みや腰の強さが異なる様々な用紙を用紙搬送路の用紙突き当て面に的確に位置決めすることのできる用紙位置決め機構を提供すること。
【解決手段】 外周溝14を備えた用紙位置決めローラ15と用紙押圧用ピンチローラ16によって用紙Sを挾持して用紙Sに送りを掛け、用紙搬送路2の一側に設けられた用紙突き当て面12に用紙Sの端部を突き当てる。用紙Sが薄く腰が弱い場合には、用紙Sが緩やかに湾曲し、外周溝14と両側のローラ外周面20,20との境界部のみで送りが掛けられ、用紙Sに与えられる搬送力が小さくなると共に用紙Sの送り方向に対する腰の強さが実質的に増長されるので、薄く腰が弱い用紙Sの端部が過剰な力で用紙突き当て面12に突き当てられる問題が解消される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙搬送方向に沿って用紙搬送路の一側に設けられた用紙突き当て面に用紙の端部を位置決めする用紙位置決め機構の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の用紙位置決め機構としては、例えば、特許文献1に開示されるような媒体処理装置が既に公知である。
【0003】
特許文献1で開示された媒体処理装置は、幅寄せフィードローラと幅寄せプレッシャローラで用紙を挾持して用紙に用紙搬送方向と直行する方向の送りを掛け、用紙搬送路の一側に設けられた基準面に用紙の端部を突き当てて用紙の姿勢を正し、その後、用紙搬送方向への送りに支障がないように用紙搬送路から幅寄せプレッシャローラを退避させて用紙搬送方向への送りを掛けるように構成したものである。
【0004】
特許文献1で開示された媒体処理装置では、幅寄せプレッシャローラがスプリング等の付勢手段で幅寄せフィードローラに一定の力で押圧されるようになっているが、例えば、厚い用紙に合わせて幅寄せプレッシャローラの押圧力を高く設定すると、薄い用紙が挿入された場合に用紙の端部が基準面に強く突き当てられて用紙に屈曲や屈折が生じてしまい、また、薄い用紙に合わせて幅寄せプレッシャローラの押圧力を低く設定すると、厚い用紙が挿入された場合に幅寄せ方向の搬送力が不十分となり、用紙と幅寄せフィードローラとの間にスリップが生じて用紙の端部を的確に基準面に突き当てられなくなるといった問題が発生する恐れがある。
【0005】
この点について、特許文献1の図8では、用紙の厚みに応じてスプリングの圧縮量が変動する点が開示されているが、これは単に、スプリングの全長変化によって用紙の厚みの違いが吸収される点について示しているに過ぎない。確かに、技術的な側面からすれば、用紙が薄くスプリングの圧縮量が減少した場合にプレッシャローラの押圧力が減少し、また、用紙が厚くスプリングの圧縮量が増加した場合にプレッシャローラの押圧力が増大することは事実であるが、用紙の屈曲や屈折には用紙の厚みの他に用紙の腰の強さが大きく影響するので、単に、用紙の厚みのみに基いてプレッシャローラの押圧力を自動調整するといった方法で用紙の屈曲や屈折および用紙と幅寄せフィードローラとの間に生じるスリップを防止できるとは考えにくい。
【0006】
一方、シートを突き当てガイドに幅寄せする際にシートに生じる屈曲や屈折を防止するための方法としては、シートの幅寄せ方向と直交する平面内でシートの断面形状が緩やかな二次曲面となるようにシートを積極的に湾曲させ、幅寄せ方向に対するシートの腰の強さを実質的に増長させることで、幅寄せ方向に対するシートの屈曲や屈折を防止するようにしたシート給送装置が特許文献2として提案されている。
【0007】
しかし、このものは、専ら薄くて腰の弱いシートを取り扱うためのもので、厚いシートや腰の強いシートに対しては用を成さないし、また、テーブル上に置かれたシートの上面を押圧して送りを掛けるものであるから、シートを幅寄せ方向に向けて円滑に移動させること自体が困難であると考えられる。
【0008】
【特許文献1】特開2000−281234号公報(図8)
【特許文献2】特開昭58−47735号公報(第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明の課題は、前記従来技術の不都合を改善し、厚みや腰の強さが異なる様々な用紙を用紙搬送路の用紙突き当て面に的確に位置決めすることのできる用紙位置決め機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の用紙位置決め機構は、用紙搬送方向に沿って用紙搬送路の一側に設けられた用紙突き当て面に用紙の端部を位置決めする用紙位置決め機構であり、前記課題を解決するため、特に、
軸方向の略中央部に外周溝を備え回転軸の向きを用紙搬送方向に略一致させた用紙位置決めローラと、前記用紙位置決めローラの外周溝に突入可能な厚みを有し前記用紙位置決めローラの外周溝に対し前記用紙搬送路を跨いで前記用紙位置決めローラの径方向外側から接離移動可能な用紙押圧部材を前記用紙搬送路の入り口に配備すると共に、
前記用紙位置決めローラを回転駆動する回転駆動手段と、前記用紙位置決めローラに対して前記用紙押圧部材を相対的に接離移動させる接離移動手段と、前記用紙搬送路の入り口に用紙が挿入されたことを検知する用紙検出センサと、用紙が前記用紙突き当て面に当接したことを検知する突き当て検出センサを設け、
前記用紙検出センサが用紙の挿入を検知してから前記突き当て検出センサによって用紙の当接が検知されるまでの間にわたり前記用紙位置決めローラの外周溝に用紙押圧部材を接近させる方向に前記接離移動手段を作動させ前記回転駆動手段を駆動してから、前記接離移動手段の作動を解除し、前記用紙位置決めローラの外周溝から用紙押圧部材を離間させる制御手段を併設したことを特徴とする構成を有する。
【0011】
以上の構成において、まず、用紙搬送路の入り口に用紙が挿入される前の段階、つまり、接離移動手段の作動が解除された初期状態においては、用紙押圧部材が、用紙位置決めローラの外周溝から離間した用紙搬送路の外側に位置する。
従って、ユーザは用紙押圧部材に邪魔されることなく用紙搬送路の入り口に用紙を挿入することができる。
そして、ユーザの手で用紙搬送路の入り口に用紙が挿入されると、用紙検出センサが用紙の挿入を検知し、制御手段が接離移動手段と回転駆動手段を作動させる。
これにより、用紙押圧部材は、用紙搬送路を跨いで用紙位置決めローラの径方向外側から用紙位置決めローラの外周溝に接近する方向に移動し、併せて、用紙位置決めローラの回転駆動が開始される。
この結果、用紙搬送路の入り口に位置する用紙は、用紙位置決めローラと用紙押圧部材との間に挟み込まれて押圧され、用紙位置決めローラの回転により、用紙位置決めローラの回転軸の向きと直交する方向、つまり、用紙搬送路の一側に設けられた用紙突き当て面に向かう方向に送りを掛けられる。
この際、用紙が薄く腰が弱い場合には、用紙位置決めローラの外周溝に突入可能な厚みを有する用紙押圧部材が用紙を用紙位置決めローラの外周溝に押し込み、外周溝の中央部を頂点として用紙を緩やかに湾曲させ、用紙位置決めローラの外周溝の両側に位置するローラ外周面から用紙を離間させるので、用紙位置決めローラの外周溝と外周溝の両側に位置するローラ外周面との境界部のみで用紙位置決めローラが用紙に当接することになる。用紙位置決めローラと用紙との接触面積が少ないので、用紙位置決めローラの回転が用紙に与える搬送力は、ローラ外周面が用紙に当接する場合に比べて小さくなり、同時に、用紙の湾曲によって位置決めの送り方向に対する用紙の腰の強さが実質的に増長される。従って、薄く腰が弱い用紙の端部が過剰な力で用紙突き当て面に突き当てられるといった問題が解消され、用紙の端部に屈曲や屈折が生じるといった問題が改善される。
一方、用紙が厚く腰が強い場合には、用紙押圧部材が用紙に当接しても用紙押圧部材が用紙を湾曲させて用紙位置決めローラの外周溝に押し込むことはないので、用紙位置決めローラの外周溝の両側に位置するローラ外周面が均一に用紙と当接することになる。用紙位置決めローラと用紙との接触面積が相対的に大きくなるので、用紙位置決めローラの回転が用紙に与える搬送力も大きくなり、同時に、接触面積の増大に伴う摩擦抵抗の増加により用紙と用紙位置決めローラとの間のスリップも防止される。従って、厚く腰が強い用紙の端部を十分な力で用紙突き当て面に突き当てて用紙の姿勢を正すことができる。
このように、単一の用紙位置決めローラによって厚さや腰の強さが異なる様々な用紙の端部を用紙突き当て面に位置決めすることができ、また、用紙の厚みの違いだけを考慮してスプリングの圧縮量を変動させることで用紙と幅寄せフィードローラとの当接力を調整する従来技術、より具体的には、用紙が薄ければスプリングの圧縮量を小さくして用紙に与える位置決め方向の搬送力を弱くし、用紙が厚ければスプリングの圧縮量を大きくして用紙に与える位置決め方向の搬送力を強くするとした従来技術とは異なり、薄く腰が強い用紙の端部を十分な力で用紙突き当て面に突き当てて用紙の姿勢を正すことが可能となる。薄く腰が強い用紙は湾曲し難いため、用紙位置決めローラの外周溝の両側に位置するローラ外周面が均一に用紙と当接することになり、用紙位置決めローラの回転により十分な送りが掛けられるからである。
また、厚く腰が弱い用紙については、用紙押圧部材が用紙を用紙位置決めローラの外周溝に僅かに押し込むことで用紙を極めて緩やかに湾曲させることが可能である。この結果、用紙位置決めローラの外周溝の両側に位置するローラ外周面のうち外周溝に近接する部分が用紙と当接することになり、用紙位置決めローラと用紙との接触面積は前述した2つの場合を基準として中程度となる。従って、厚く腰が弱い用紙の端部を過剰な力で用紙突き当て面に突き当てて変形させてしまうといった問題、および、搬送力が不足して位置決めが不正確となる問題も改善され得る。
更に、用紙押圧部材が用紙に押圧されたときの用紙の態様の変化、具体的には、用紙の湾曲の有無や其の程度、要するに、用紙自体が有する特性(厚みや腰の強さ)の違いを利用して位置決め方向への用紙搬送力が調整されるので、スプリングの圧縮量の変化で用紙搬送力を調整する従来技術とは異なり、スプリングの劣化等を始めとする装置側の経年変化によって用紙搬送力の調整作用が阻害されるといった問題も改善される。
そして、用紙の端部が用紙突き当て面に均等に突き当てられると、突き当て検出センサが用紙の当接を検知し、制御手段が接離移動手段の作動を解除する。この結果、用紙押圧部材が用紙位置決めローラの外周溝から離間した用紙搬送路の外側に退避する。従って、用紙位置決めローラに対して用紙を押圧する力が解消され、用紙に実質的な搬送力が与えられなくなる。
用紙搬送路の一側に位置する用紙突き当て面に用紙の端部を位置決めするために必要な処理操作は以上で終了する。用紙搬送路に沿った用紙の搬送については、公知の用紙搬送ローラや用紙搬送ベルト等を始め、各種の搬送手段が利用され得る。
以上に述べた通り、本発明の技術思想は、外周溝を有する用紙位置決めローラと共に用紙を挾持する用紙押圧部材が用紙に押圧されたときの用紙の湾曲の有無や其の程度に応じて用紙位置決めローラと用紙との間の接触面積の大きさを自動的に調整し、最終的には、この接触面積の大小に応じて変動する位置決め方向への用紙搬送力、即ち、用紙の特性に応じて自動的に決まる用紙搬送力で、用紙を適切な力で用紙突き当て面に突き当てて用紙の姿勢を正そうというものであり、更には、腰が弱く湾曲し易い用紙は恒久的な変形を生じることなく積極的に湾曲させ、この用紙に見かけ上の腰の強さを与えることで不用意な変形を防止しようというものでもある。
【0012】
更に、用紙位置決めローラの外周溝が低摩擦の部材で形成され、この外周溝を除く用紙位置決めローラの外周面が高摩擦の部材で形成されていることが望ましい。
【0013】
このような構成を適用することにより、用紙位置決めローラと用紙との接触面積の大きさに加え、用紙位置決めローラと用紙との間の単位面積あたりの摩擦の大小も調整されることになる。従って、薄く腰が弱い用紙の端部が過剰な力で用紙突き当て面に突き当てられるといった問題、および、厚く腰が強い用紙に対する位置決め方向の搬送力が不足するといった問題、ならびに、厚く腰が強い用紙と用紙位置決めローラとの間でスリップが生じるといった問題を更に効果的に防止することが可能となる。
【0014】
また、用紙押圧部材は、用紙位置決めローラの回転軸と平行な軸によって回転自在に軸支された用紙押圧用ピンチローラによって構成されることが望ましい。
【0015】
位置決め方向への送りに際し、用紙押圧部材である用紙押圧用ピンチローラが用紙の移動に倣って回転するので、用紙に不用意な傷が付く心配がなく、また、用紙の移動を妨げる抵抗も軽減されるので、位置決め方向への用紙の搬送をスムーズに行うことができる。
【0016】
更に、用紙位置決めローラの外周溝をV溝によって形成し、外周溝と対向する用紙押圧部材の部分を前記V溝に倣った凸形状に形成することが可能である。
【0017】
このような構成を適用した場合、結果的に、用紙押圧部材が固定片である場合には其の断面形状は楔形となり、また、用紙押圧部材が回転体つまり用紙押圧用ピンチローラである場合には、その回転軸を含む平面で用紙押圧用ピンチローラを割った際の外周面の断面形状が外に凸の楔形となる。
V字状の外周溝と楔形の用紙押圧部材との組み合わせにより、薄く腰が弱い用紙を的確に湾曲させることができるので、前述した効果を更に確実に達成することが可能となる。
【0018】
また、用紙位置決めローラに当接して用紙位置決めローラに回転力を伝達しながら回転する用紙搬送ローラによって前述の回転駆動手段を構成することができる。このような構成を適用する場合は、更に、用紙搬送ローラに対し用紙搬送路を跨いで用紙搬送ローラの径方向外側から接離移動可能な用紙搬送用ピンチローラと、用紙搬送ローラに対して用紙搬送用ピンチローラを相対的に接離移動させる第二の接離移動手段を設け、前記制御手段により、用紙検出センサが用紙の挿入を検知してから突き当て検出センサによって用紙の当接が検知されるまでの間にわたり用紙搬送ローラから用紙搬送用ピンチローラを離間させる方向に第二の接離移動手段を作動させるように構成することが望ましい。
【0019】
用紙位置決めローラを用紙搬送ローラによって回転駆動する構成であるため、用紙を用紙搬送路に沿って移動させる用紙搬送ローラと用紙を用紙突き当て面に位置決めする用紙位置決めローラの各々に個別の駆動源を設ける必要がなく、装置の製造コストの低減化が可能である。
用紙位置決めローラを用紙搬送ローラによって回転駆動する構成であるから、用紙位置決めローラを駆動するためには用紙搬送ローラを駆動することが必須の要件となるが、用紙搬送ローラと共に用紙を挾持する用紙搬送用ピンチローラは、第二の接離移動手段により、用紙検出センサが用紙の挿入を検知してから突き当て検出センサによって用紙の当接が検知されるまでの間にわたり用紙搬送ローラから退避させられているので、用紙搬送ローラの回転が用紙に送り力として伝達されることは殆どなく、用紙を用紙突き当て面に位置決めするために用紙搬送ローラを駆動しても、用紙が用紙搬送方向に不用意に搬送される心配はない。
【0020】
用紙位置決めローラを用紙搬送ローラによって回転駆動する構成は、例えば、用紙位置決めローラの端面に形成された円錐部と用紙搬送ローラの端面に形成された円錐部とを当接させ、用紙位置決めローラを付勢手段によって用紙搬送ローラの径方向外側から径方向内側に向けて押圧することで実現され得る。
【0021】
用紙位置決めローラを用紙搬送ローラの径方向外側から径方向内側に向けて押圧することにより、用紙搬送ローラの回転を用紙位置決めローラに確実に伝達できる。
【0022】
用紙位置決めローラを用紙搬送ローラによって回転駆動する構成を適用する場合、用紙位置決めローラと用紙搬送ローラの外周面が用紙搬送路の上方から用紙搬送路内に臨むようにして用紙位置決めローラおよび用紙搬送ローラを用紙搬送路の上方に固定的に配置し、用紙押圧部材と用紙搬送用ピンチローラが用紙搬送路の下方から用紙搬送路に出没自在となるように配置するとよい。
【0023】
用紙搬送路の下面から突起物を取り除くことができるので、用紙を用紙搬送路の入り口に挿入する際に不用意な引っ掛かりが生じるのを防止することができる。用紙搬送路の上面側からは用紙位置決めローラの外周面が僅かに突出するが、用紙搬送路の入り口から挿入される用紙は自重により用紙搬送路の下面側に接触する傾向が強いので、用紙搬送路の下面から突起物を取り除けば十分である。
また、前述した通り、用紙位置決めローラを駆動するためには用紙搬送ローラを駆動することが必須の要件であり、用紙押圧部材と用紙位置決めローラで用紙を挾持して用紙位置決めローラを回転駆動しつつ用紙を用紙突き当て面に位置決めしている間に用紙搬送ローラも回転することになるが、用紙搬送ローラの外周面が用紙搬送路の上面側から僅かに用紙搬送路に突出しているだけであるから、用紙の上面が用紙搬送ローラの回転で擦られるといった心配は少ない。
特に、薄く腰の弱い用紙においては用紙が用紙押圧部材と当接する部分を境として上に凸の状態で湾曲することになるので、用紙搬送路の上面側から用紙搬送路に突出した用紙搬送ローラと用紙の上面とが接触する可能性は非常に低く、薄く腰の弱い用紙が用紙搬送ローラの影響を受けてジャミングする等の問題を効果的に解消することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の用紙位置決め機構は、軸方向の略中央部に外周溝を備えた用紙位置決めローラと用紙位置決めローラの外周溝に突入可能な厚みを有する用紙押圧部材とによって用紙を挾持して用紙に送りを掛けて用紙搬送路の一側に設けられた用紙突き当て面に用紙の端部を突き当てるようにしたので、用紙が薄く腰が弱い場合には、用紙押圧部材が用紙を用紙位置決めローラの外周溝に押し込み、外周溝の中央部を頂点として用紙を緩やかに湾曲させた状態で用紙位置決めローラの外周溝と外周溝の両側に位置するローラ外周面との境界部のみで用紙に送りを掛けることができる。この結果、用紙位置決めローラと用紙との接触面積を少なくして用紙位置決めローラの回転が用紙に与える搬送力を小さくすることができ、同時に、用紙の湾曲によって位置決めの送り方向に対する用紙の腰の強さが実質的に増長されるので、薄く腰が弱い用紙の端部が過剰な力で用紙突き当て面に突き当てられて用紙の端部に屈曲や屈折が生じるといった問題を解消することができる。
一方、用紙が厚く腰が強い場合には、用紙押圧部材が用紙を湾曲させて用紙位置決めローラの外周溝に押し込むことはないので、用紙位置決めローラの外周溝の両側に位置するローラ外周面を均一に用紙と当接させて用紙位置決めローラの回転が用紙に与える搬送力を大きくすることができ、また、接触面積の増大に伴う摩擦抵抗の増加により用紙と用紙位置決めローラとの間のスリップも防止されるので、厚く腰が強い用紙の端部を十分な力で用紙突き当て面に突き当てて用紙の姿勢を正すことができる。
しかも、用紙の厚みの違いだけを考慮してスプリングの圧縮量を変動させることで用紙と幅寄せフィードローラとの当接力を調整する従来技術、より具体的には、用紙が薄ければスプリングの圧縮量を小さくして用紙に与える位置決め方向の搬送力を弱くし、用紙が厚ければスプリングの圧縮量を大きくして用紙に与える位置決め方向の搬送力を強くするとした従来技術とは異なり、薄く腰が強い用紙の端部を十分な力で用紙突き当て面に突き当てて用紙の姿勢を正すことが可能となる。
また、厚く腰が弱い用紙については、用紙押圧部材が用紙を用紙位置決めローラの外周溝に僅かに押し込むことで用紙を極めて緩やかに湾曲させることが可能であり、用紙位置決めローラの外周溝の両側に位置するローラ外周面のうち外周溝に近接する部分が用紙と当接して用紙位置決めローラと用紙との接触面積が中程度となるので、用紙位置決めローラの回転が用紙に与える搬送力も中程度となり、厚く腰が弱い用紙の端部を過剰な力で用紙突き当て面に突き当てて変形させてしまうといった問題、および、厚い用紙に対する搬送力が不足して位置決めが不正確となる問題が改善され得る。
つまり、用紙押圧部材が用紙に押圧されたときの用紙の態様の変化、具体的には、用紙の湾曲の有無や其の程度、要するに、用紙自体が有する特性(厚みや腰の強さ)の違いを利用して位置決め方向への用紙搬送力が調整されるので、スプリングの圧縮量の変化で用紙搬送力を調整する従来技術とは異なり、スプリングの劣化等を始めとする装置側の経年変化によって用紙搬送力の調整作用が阻害されるといった問題も改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。図1は通帳や伝票等の用紙Sに印字を行う通帳プリンタ1に本発明の用紙位置決め機構を適用した場合の一実施形態について要部を示した縦断面図、また、図2は同実施形態について要部を示した平断面図である。
【0026】
図1に示す通り、通帳プリンタ1の用紙搬送路2は、上下に一定の間隔を置いて重合して配置された上プレート3と下プレート4との間の空間によって形成され、図1中の左側から右側に向けて通帳や伝票等の用紙Sが搬送されるようになっている。無論、用紙Sに対する印字処理を終えた後、挿入位置である入り口19に向けて用紙Sを送り返すように構成しても構わない。
【0027】
用紙搬送ローラ5,6および用紙搬送用ピンチローラ7については公知手段であり、用紙搬送ローラ5,6は正逆回転が可能な用紙搬送モータMにより任意の歯車列あるいはタイミングベルト等の公知の動力伝達手段を介して同期的に回転駆動され、また、用紙搬送用ピンチローラ7は、揺動自在なアーム8の先端に回転自在に取り付けられ、スプリング9の付勢力によって用紙搬送ローラ6に一定の力で押圧されて用紙Sの厚みの違いに対処できるようになっている。
【0028】
具体的には、用紙搬送ローラ5は図2に示されるように5つの用紙搬送ローラ5a,5b,5c,5d,5eを一体的に並列して構成され、また、用紙搬送ローラ6も、5つの用紙搬送ローラ6a,6b,6c,6d,6eを一体的に並列して構成されている。
【0029】
図1に示される通り、用紙搬送ローラ5,6は用紙搬送路2の上方から用紙搬送路2内に外周面を臨ませて固定的に配置されている。
【0030】
用紙搬送ローラ5と用紙搬送ローラ6との間の上プレート3には、印字ヘッド10が先端を用紙搬送路2に臨ませて配置され、また、この印字ヘッド10と対向するようにして、下プレート4にプラテン11が配置されている。
【0031】
プラテン11は用紙Sの厚みに応じて印字ヘッド10と接離する方向に移動することが可能である。この移動はソレノイド等を始めとする各種のアクチュエータ、あるいは、プラテン11を印字ヘッド10に向けて付勢するスプリング等によって実現されているが、その構成については公知であるので説明を省略する。
【0032】
この実施形態における用紙突き当て面は、図2に示されるように、用紙搬送路2の一側に位置するサイドプレート12によって構成され、通帳や伝票等の用紙Sは、用紙搬送方向、つまり、図2の左右方向に沿って用紙搬送路2の一側に設けられたサイドプレート12に端部を当接させて姿勢を正されて、入り口19から用紙搬送路2内に取り込まれるようになっている。以下、サイドプレート12を用紙突き当て面12と称する。
【0033】
この実施形態における用紙位置決め機構13の主要部は、図1および図2に示されるように、軸方向の略中央部に外周溝14を備え回転軸23の向きを用紙搬送方向に略一致させた用紙位置決めローラ15と、用紙位置決めローラ15の外周溝14に突入可能な厚みを有し用紙位置決めローラ15の外周溝14に対し用紙搬送路2を跨いで径方向外側から接離移動可能とされた用紙押圧部材16と、用紙位置決めローラ15を回転駆動する回転駆動手段として機能する用紙搬送ローラ5、および、用紙位置決めローラ15に対して用紙押圧部材16を相対的に接離移動させる接離移動手段として機能するアーム17と、同じく接離移動手段の一部であってアーム17を下方から支える偏心カム18、ならびに、用紙搬送路2の入り口19に用紙Sが挿入されたことを検知するための用紙検出センサS1と、用紙Sが用紙突き当て面12に当接したことを検知するための突き当て検出センサS2a,S2bとによって構成されている。
【0034】
用紙位置決めローラ15の本体は、POM等を始めとする低摩擦の合成樹脂によって形成されて軸方向の略中央部にV字状の外周溝14が設けられ、外周溝14の両側に位置するローラ外周面20,20には高摩擦のウレタンゴム等が一体的に巻き付けられている。
【0035】
つまり、用紙位置決めローラ15の外周溝14は低摩擦の部材で形成され、また、外周溝14を除く用紙位置決めローラ15の外周面20,20が高摩擦の部材で形成されていることになる。
【0036】
図2に示す通り、用紙搬送ローラ5の1つである用紙搬送ローラ5bの端面には円錐部21が形成される一方、用紙位置決めローラ15の端面には円錐部22が形成されており、これらの円錐部21,22が相互に当接して用紙搬送ローラ5bの回転を用紙位置決めローラ15に伝達する仕組みである。
【0037】
従って、用紙位置決めローラ15の回転駆動手段となる用紙搬送ローラ5bは、用紙位置決めローラ15に当接して用紙位置決めローラ15に回転力を伝達しながら回転する回転駆動手段であるといえる。
【0038】
用紙位置決めローラ15は、上プレート3の斜面部3aに固設されたステー24の先端に固着された回転軸23を介して回転自在に軸支され、更に、ステー24の先端と用紙位置決めローラ15との間には、回転軸23に外嵌されるかたちで付勢手段としてのスプリング25が介装されて、用紙位置決めローラ15を用紙搬送ローラ5bの径方向外側から径方向内側に向けて押圧し、円錐部21と円錐部22との間の不用意な滑りを防止している。
【0039】
ここで、円錐部21と円錐部22を傘歯車状に形成して相互に噛合させることも可能である。また、技術的には、用紙位置決めローラ15を用紙搬送ローラ5bの径方向外側から径方向内側に向けて押圧することに代え、用紙搬送ローラ5a,5b,5c,5d,5eを一体に固着したシャフト26を図2中の上から下に向かう方向に付勢しても同じ効果を得ることが可能である。
【0040】
用紙押圧部材16は、図1に示される通り、用紙位置決めローラ15の回転軸23と平行になるようにしてアーム17の先端に固着された軸27により回転自在に軸支された用紙押圧用ピンチローラによって構成されている。以下、用紙押圧部材16を用紙押圧用ピンチローラ16と称する。
【0041】
用紙押圧用ピンチローラ16は、用紙位置決めローラ15の外周溝14に突入可能な厚みを有し、V字状の外周溝14と対向する部分が外周溝14の溝形状に倣った凸形状に形成されている。用紙押圧用ピンチローラ16は回転体であるから、図1に示すように、軸27を含む平面で用紙押圧用ピンチローラ16を割った際の外周面の断面形状を外に凸の楔形とすることで、用紙押圧用ピンチローラ16の回転姿勢に関わりなく、V字状の外周溝14と対向する部分を外周溝14の溝形状に倣った凸形状とすることができる。
【0042】
また、用紙押圧用ピンチローラ16を移動させる接離移動手段の一部を構成するアーム17は、軸28を中心に揺動自在であり、アーム17の下面を支えて接離移動手段の一部を構成する偏心カム18の回転姿勢に応じてアーム17が揺動することで、アーム17の先端に取り付けられた用紙押圧用ピンチローラ16が用紙位置決めローラ15の外周溝14に対し用紙搬送路2を跨いで径方向外側から接離移動する。
【0043】
この実施形態では偏心カム18の駆動手段としてロータリーソレノイドSOLを利用しており、ロータリーソレノイドSOLが励磁された状態で偏心カム18の長軸でアーム17の下面が支えられて図1に示されるようにしてアーム17先端の用紙押圧用ピンチローラ16が用紙位置決めローラ15の外周溝14に突入する一方、ロータリーソレノイドSOLの励磁が解除されると、偏心カム18の短軸でアーム17の下面が支えられてアーム17が自重によって図1中のクロックワイズ方向に揺動し、用紙押圧用ピンチローラ16が用紙位置決めローラ15から離間して用紙搬送路2の下方に退避する。ロータリーソレノイドSOLも接離移動手段の構成要素の一つである。
【0044】
また、用紙搬送方向に用紙Sを送る際に用紙搬送ローラ5と共に用紙Sを挾持する用紙搬送用ピンチローラ29は、第二の接離移動手段の一部を構成するアーム30の先端に回転自在に取り付けられている。
【0045】
用紙搬送用ピンチローラ29を移動させる第二の接離移動手段の一部を構成するアーム30は前述した軸28を中心に揺動自在であり、アーム30の下面を支えて第二の接離移動手段の一部を構成する偏心カム31の回転姿勢に応じてアーム30が揺動することで、アーム30の先端に取り付けられた用紙搬送用ピンチローラ29が、用紙搬送ローラ5に対し用紙搬送路2を跨いで用紙搬送ローラ5の径方向外側から接離移動する。
【0046】
この実施形態では偏心カム31の駆動手段としてロータリーソレノイドSOLを利用しており、ロータリーソレノイドSOLの励磁が解除された状態で偏心カム31の短軸でアーム30の下面が支えられ、図1に示されるように用紙搬送用ピンチローラ29が用紙搬送ローラ5から離間して用紙搬送路2の下方に退避する一方、ロータリーソレノイドSOLが励磁されると、偏心カム31の長軸でアーム30の下面が押し上げられてアーム30が自重に抗して図1中のカウンタークロックワイズ方向に揺動して、アーム30先端の用紙搬送用ピンチローラ29が用紙搬送ローラ5に当接する。ロータリーソレノイドSOLも第二の接離移動手段の構成要素の一つである。
【0047】
更に、前述した軸28には、アーム32aと遮蔽板32bにより一体に形成されたストッパ32のアーム32aが揺動自在に取り付けられている。このストッパ32は、例えば、直動型のソレノイドSOLによって駆動され、ソレノイドSOLの励磁が解除された状態では図1に示されるように遮蔽板32bを用紙搬送路2内に突出させて下流側への用紙Sの侵入を防止し、また、ソレノイドSOLが励磁されると、図1中で軸28を中心にクロックワイズ方向にストッパ32が揺動して、用紙搬送路2の下方に遮蔽板32bを退避させて下流側への用紙Sの侵入を許容するようになっている。
【0048】
以上に述べた通り、用紙位置決め機構13の主要部を構成する用紙位置決めローラ15と用紙押圧用ピンチローラ16は用紙搬送路2の入り口19の近傍に配備されており、また、用紙位置決めローラ15および其の回転駆動手段として機能する用紙搬送ローラ5が用紙搬送路2の上方から用紙搬送路2内に外周面を臨ませて固定的に配置され、用紙押圧用ピンチローラ16と用紙搬送用ピンチローラ29は、用紙搬送路2の下方から用紙搬送路2に出没自在に配置されている。
【0049】
図3は通帳プリンタ1と其の用紙位置決め機構13の各部を駆動制御する制御手段33の構成の概略を示した機能ブロック図である。
【0050】
制御手段33の主要部は、演算処理用のCPU34と、該CPU34の制御プログラム等を格納したROM35、および、演算処理用の一時記憶手段等として利用されるRAM36等によって構成される。
【0051】
前述した用紙検出センサS1と突き当て検出センサS2a,S2bからの信号は入出力回路37を介してCPU34に読み込まれ、前述したロータリーソレノイドSOL,SOLとソレノイドSOLおよび用紙搬送モータMは、入出力回路37と各々のドライバを介してCPU34によって駆動制御されるようになっている。
【0052】
また、印字ヘッド10は、印字制御回路38と入出力回路37を介してCPU34によって駆動制御される。
【0053】
入出力インターフェイス39は、通帳プリンタ1を設置した銀行等のコンピュータに接続してCPU34との間で情報の遣り取りを行うためのもので、印字ヘッド10で用紙Sに印字すべき文字のデータ等は、この入出力インターフェイス39を介して銀行等のコンピュータからCPU34に供給される。
【0054】
次に、ROM35に納められたプログラムの概略を示した図4のフローチャートと図5〜図7の作用原理図を参照して用紙位置決め機構13の動作について具体的に説明する。
【0055】
まず、通帳プリンタ1に電源が投入されると、CPU34は、用紙検出センサS1からの信号がOFFとなるのを待つ待機状態に入る(ステップa1)。用紙検出センサS1は用紙搬送路2を挟んで上下に設置されたフォトカプラ等で構成され、発光側の光が受光側で検出される間はONの信号を出力し、用紙搬送路2に挿入された用紙Sで光が遮光されるとOFFの信号を出力する構造である。
【0056】
電源投入直後の初期状態においては、ロータリーソレノイドSOL,SOLとソレノイドSOLの励磁は共に解除されており、用紙押圧用ピンチローラ16が用紙位置決めローラ15から離間して用紙搬送路2の下方に退避し、また、用紙搬送用ピンチローラ29は用紙搬送ローラ5から離間して用紙搬送路2の下方に退避する一方、ストッパ32の遮蔽板32bは、用紙搬送路2内に突出して下流側への用紙Sの侵入を防止している。
【0057】
従って、ユーザは用紙押圧用ピンチローラ16や用紙搬送用ピンチローラ29に邪魔されることなく用紙搬送路2の入り口19から用紙Sを容易に挿入することができる。
【0058】
この際、用紙搬送路2の入り口19から挿入される用紙Sは自重により用紙搬送路2の下プレート4に接触する傾向が強いので、下プレート4から突起物を取り除けば十分であり、用紙搬送路2の上プレート3から用紙搬送路2内に僅かに外周面を突入させている用紙位置決めローラ15や用紙搬送ローラ5が用紙Sの挿入の妨げとなることはない。
【0059】
そして、ユーザの手で用紙搬送路2の入り口19に用紙Sが挿入されると、用紙検出センサS1が此れを検知してOFF信号を出力し、CPU34が、ステップa1の判定処理で用紙検出センサS1からのOFF信号を検知する。
【0060】
この段階では、ストッパ32の遮蔽板32bが用紙搬送路2内に突出して下流側への用紙Sの侵入を防止しているので、ユーザの手によって用紙Sが必要以上に深く挿入されるといった心配はない。
【0061】
次いで、用紙Sの挿入を検知したCPU34が、用紙押圧用ピンチローラ16を移動させる接離移動手段の一部を構成するロータリーソレノイドSOLを励磁し(ステップa2)、用紙搬送ローラ5の駆動源である用紙搬送モータMの正転駆動を開始して(ステップa3)、突き当て検出センサS2a,S2bからの信号が共にOFFとなるのを待つ待機状態に入る(ステップa4,ステップa5)。突き当て検出センサS2a,S2bも前述した用紙検出センサS1と同様、用紙搬送路2を挟んで上下に設置されたフォトカプラ等で構成されており、発光側の光が受光側で検出される間はONの信号を出力し、用紙Sによって光が遮光されるとOFFの信号を出力する構造を有している。
【0062】
ロータリーソレノイドSOLが励磁されると、用紙押圧用ピンチローラ16は用紙搬送路2を跨いで用紙位置決めローラ15の径方向外側から用紙位置決めローラ15の外周溝14に接近する方向に移動する。
【0063】
また、用紙搬送モータMが正転駆動を開始すると、用紙搬送ローラ5,6が図1中のカウンタークロックワイズ方向に回転し、この結果として、用紙搬送ローラ5の一部である用紙搬送ローラ5bに当接している用紙位置決めローラ15は、用紙Sを用紙突き当て面12に向けて送る方向、つまり、図2において用紙Sに下から上に向かう送りを掛ける方向に回転を開始する。
【0064】
従って、用紙搬送路2の入り口19に位置する用紙Sは、用紙位置決めローラ15と用紙押圧用ピンチローラ16との間に挟み込まれて押圧され、用紙位置決めローラ15の回転により、用紙搬送路2の一側に設けられた用紙突き当て面12に向かう方向に送りを掛けられることになる。
【0065】
この際、用紙搬送ローラ5は用紙搬送方向に回転しているが、既に述べた通り、用紙搬送用ピンチローラ29は第二の接離移動手段の作用により用紙搬送ローラ5から離間して用紙搬送路2の下方に退避しているので、用紙搬送ローラ5の回転が用紙Sに送り力として伝達されることは殆どなく、用紙Sを用紙突き当て面12に位置決めするために用紙搬送ローラ5を駆動しても、用紙Sが用紙搬送方向に不用意に搬送される心配はない。
【0066】
特に、この実施形態では、ストッパ32の遮蔽板32bを用紙搬送路2内に突出させて下流側への用紙Sの侵入を防止しているので、用紙Sが遮蔽板32bの位置を越えて下流側に送り込まれることは有り得ない。
【0067】
ここで、用紙Sの特性によって変化する位置決め方向への送りの特徴を説明する。
【0068】
まず、用紙Sが薄く腰が弱い場合には、用紙押圧用ピンチローラ16が用紙Sを用紙位置決めローラ15の外周溝14に押し込み、例えば、図5に示されるように、外周溝14の中央部を頂点として用紙Sを緩やかに湾曲させ、用紙位置決めローラ15の外周溝14の両側に位置するローラ外周面20,20から用紙Sを離間させるので、用紙位置決めローラ15の外周溝14と外周溝14の両側に位置するローラ外周面20,20との境界部のみで用紙位置決めローラ15が用紙に当接することになる。
【0069】
従って、用紙位置決めローラ15と用紙Sとの接触面積は少さくなり、しかも、外周溝14の部分の摩擦が小さいことから、用紙位置決めローラ15の回転が用紙Sに与える搬送力は、ローラ外周面20,20が用紙Sに当接する場合に比べて小さくなり、同時に、用紙Sの湾曲によって位置決めの送り方向に対する用紙Sの腰の強さが実質的に増長される。
【0070】
この結果、薄く腰が弱い用紙Sの端部、つまり、図2中における用紙Sの上端部が過剰な力で用紙突き当て面12に突き当てられるといった問題が解消され、用紙Sの上端部に屈曲や屈折が生じるといった問題が改善される。
【0071】
この際、用紙搬送ローラ5は用紙搬送方向に回転しているが、薄く腰が弱い用紙Sは図5に示されるように用紙押圧用ピンチローラ16と当接する部分を境として上に凸の状態で湾曲しており、用紙押圧用ピンチローラ16から下流側の一定の区間では図5に示される通り用紙Sの上面が用紙搬送ローラ5から積極的に離間することになる。このため、図1に示されるようにして用紙搬送路2の上面側から用紙搬送路2に突出した用紙搬送ローラ5と用紙Sの上面との接触を確実に回避することができ、薄く腰の弱い用紙Sが用紙搬送ローラ5に接触してジャミングする等の問題を効果的に解消することができる。
【0072】
一方、用紙Sが厚く腰が強い場合には、用紙押圧用ピンチローラ16が用紙Sに当接しても用紙押圧用ピンチローラ16が用紙Sを湾曲させて用紙位置決めローラ15の外周溝14に押し込むことはないので、例えば、図6に示されるように、用紙位置決めローラ15の外周溝14の両側に位置するローラ外周面20,20が均一に用紙Sと当接することになる。
【0073】
従って、用紙位置決めローラ15と用紙Sとの接触面積が相対的に大きくなり、しかも、ローラ外周面20,20の部分の摩擦が大きいことから、用紙位置決めローラ15の回転が用紙Sに与える搬送力も大きくなり、同時に、接触面積の増大に伴う摩擦抵抗の増加によって用紙Sと用紙位置決めローラ15との間のスリップが防止される。
【0074】
よって、厚く腰が強い用紙Sの端部、つまり、図2中における用紙Sの上端部を十分な力で用紙突き当て面12に突き当てて用紙Sの姿勢を正すことができる。
【0075】
また、薄く腰が強い用紙Sの場合は、用紙S自体の厚みは薄くても容易に用紙Sが湾曲することはなく、実質的には図6の例と同様、用紙位置決めローラ15の外周溝14の両側に位置するローラ外周面20,20が均一に用紙Sに当接することになるので、用紙位置決めローラ15の回転により用紙Sに十分な力で送りを掛けて其の端部を用紙突き当て面12に突き当てて用紙Sの姿勢を正すことができる。用紙Sの腰が強いので其の端部に屈曲や屈折等が生じる心配はない。
【0076】
なお、用紙の厚みの違いだけを考慮してスプリングの圧縮量を変動させることで用紙と幅寄せフィードローラとの当接力を自動調整する従来技術の場合には、用紙が薄ければスプリングの圧縮量が必然的に減少する。従って、幅寄せフィードローラに対して強い力で用紙を押圧することはできず、用紙に強い送りを掛けることもできないので、薄く腰が強い用紙の端部を十分な力で用紙突き当て面に突き当てて用紙の姿勢を正すということは全く不可能である。
【0077】
更に、厚く腰が弱い用紙Sの場合においては、用紙押圧用ピンチローラ16が用紙Sを用紙位置決めローラ15の外周溝14に僅かに押し込むことで、用紙Sを図5の例よりも更に緩やかに湾曲させることになる。この場合、用紙位置決めローラ15の外周溝14の両側に位置するローラ外周面20,20から用紙Sが僅かに離間するが、湾曲の程度が少ないため、外周溝14に近い部分においてはローラ外周面20,20の一部が或る程度は用紙Sに当接することとなり、用紙位置決めローラ15の回転が用紙Sに与える搬送力を中程度のものとすることができる。
【0078】
従って、厚く腰が弱い用紙Sの端部を過剰な力で用紙突き当て面12に突き当てて変形させてしまうことはなく、また、搬送力が不足して用紙Sの突き当てが不十分となる問題も改善される。
【0079】
このように、用紙押圧用ピンチローラ16が用紙Sに押圧されたときの用紙Sの態様の変化、具体的には、用紙Sの湾曲の有無や湾曲の程度、要するに、用紙S自体が有する特性(厚みや腰の強さ)の違いを利用して位置決め方向への用紙搬送力が自動的に調整されるので、スプリングの圧縮量の変化で用紙搬送力を調整する従来技術とは異なり、スプリングの劣化等を始めとする装置側の経年変化によって用紙搬送力の調整作用が阻害されるといった問題も改善される。
【0080】
このようにして用紙Sの端部が用紙突き当て面12に適切に突き当てられて用紙Sの姿勢が正され、突き当て検出センサS2a,S2bが共にOFFとなったことがステップa4,ステップa5の処理で検知されると、CPU34は、用紙搬送ローラ5の駆動源である用紙搬送モータMの正転駆動を一時的に停止し(ステップa6)、用紙押圧用ピンチローラ16を移動させる接離移動手段の一部を構成するロータリーソレノイドSOLの励磁を解除する(ステップa7)。
【0081】
この結果、用紙押圧用ピンチローラ16が用紙位置決めローラ15の外周溝14から離間して用紙搬送路2の外側に退避し、用紙位置決めローラ15に用紙Sを押圧する力が解消されるので、用紙位置決め方向への搬送力も実質的に消滅する。
【0082】
用紙搬送路2の一側に位置する用紙突き当て面12に用紙Sの端部を位置決めするために必要な処理操作は以上で終了である。
【0083】
この間、つまり、用紙検出センサS1が用紙Sの挿入を検知してから突き当て検出センサS2a,S2bによって用紙Sの当接が検知されるまでの間、制御手段33のCPU34が、用紙位置決めローラ15の外周溝14に用紙押圧用ピンチローラ16を接近させる方向に接離移動手段のロータリーソレノイドSOLを作動させ、また、用紙位置決めローラ15の回転駆動手段である用紙搬送ローラ5を駆動する用紙搬送モータMを作動させる一方、用紙搬送ローラ5から用紙搬送用ピンチローラ29を離間させる方向に第二の接離移動手段のロータリーソレノイドSOLの励磁を解除していたことになる。
【0084】
次いで、CPU34は、用紙搬送用ピンチローラ29を移動させる第二の接離移動手段の一部を構成するロータリーソレノイドSOLを励磁して用紙搬送用ピンチローラ29を用紙搬送ローラ5に接近させ、用紙搬送用ピンチローラ29と用紙搬送ローラ5との間に用紙Sを挾持させ(ステップa8)、ストッパ32を駆動するソレノイドSOLを励磁して用紙搬送路2の下方に遮蔽板32bを退避させて下流側への用紙Sの侵入を許容し(ステップa9)、改めて用紙搬送モータMの正転駆動を開始させる(ステップa10)。
【0085】
この結果、用紙搬送ローラ5と用紙搬送用ピンチローラ29との間に挾持された用紙Sが、用紙搬送方向、つまり、図1および図2の左側から右側に向けて用紙搬送路2内を搬送されていくことになる。
【0086】
その後、印字ヘッド10を駆動して用紙Sに対する印字処理等が行われ、用紙Sが用紙搬送路2の下流側に排出され、あるいは、用紙搬送路2の入り口19にまで送り返されて一連の処理が終了する。用紙突き当て面12に用紙Sの端部を位置決めした後の処理については既に公知であり、また、本発明の要旨と直接的に関わるものでもないので、従来処理(ステップa11)として説明を割愛する。なお、この実施形態においては、特に、一連の処理が終了する時点で、ロータリーソレノイドSOLとソレノイドSOLの励磁を解除し、用紙搬送用ピンチローラ29を用紙搬送路2から外側に退避させると共にストッパ32の遮蔽板32bを用紙搬送路2内に突出させ、また、用紙搬送モータMの駆動を停止して用紙位置決め機構13の各部を初期状態に戻すものとする(ロータリーソレノイドSOLの励磁についてはステップa7の実行時点で既に解除されている)。
【0087】
ここで、用紙押圧部材と接離移動手段に関わる他の実施形態について図7を用いて簡単に示す。前述した実施形態との相違は、接離移動手段によって用紙押圧部材を移動させることに代え、用紙押圧部材を下プレート4に対して固定とし、用紙位置決めローラ15の側を移動させるようにした点である。
【0088】
図7の例では楔形の断面形状を有する固定片40で用紙押圧部材を形成し、用紙搬送路2を形成する下プレート4に一体的に固着している。用紙位置決めローラ15を上下移動させるための具体的な構成としては、例えば、図1に示されるステー24の基部を斜面部3aに揺動自在に枢着すると共に、用紙搬送路2よりも上方に設置した直動型のソレノイドの先端をステー24の先端部に枢着し、ソレノイドの伸縮によってステー24を揺動させるといった構成を適用することができる。
【0089】
用紙位置決めローラ15に対して用紙押圧部材を相対的に接離移動させることさえ可能であれば接離移動手段の構造はどのようなものであってもよく、用紙位置決めローラ15と用紙押圧部材との関係においてどちらを固定とし、どちらを可動とするかは問わない。また、構造が煩雑となることは別として、理論的には、双方を移動させるようにしても構わない。
【0090】
更に、図7の例において固定片40に代えて下プレート4上に上下動しない用紙押圧用ピンチローラを回転自在に配置してもよいし、あるいは、図1の例において用紙押圧用ピンチローラ16に代えて図7のような固定片40をアーム17の先端に設けることも可能である。
【0091】
用紙押圧部材としては図1の例における用紙押圧用ピンチローラ16のように用紙Sの移動に倣って回転するものが特に望ましく、これにより、用紙Sに不用意な傷が付くといった問題を解消でき、また、用紙Sの移動を妨げる抵抗も軽減することから、用紙搬送方向と直交する用紙位置決め方向への用紙Sの搬送をスムーズに行うことができる。
【0092】
また、用紙位置決めローラ15の外周溝14としては特にV溝が好適であり、楔形の断面を有する用紙押圧用ピンチローラ16もしくは固定片40との組み合わせにより、薄く腰が弱い用紙Sを的確に湾曲させて見かけ上の腰の強さを増長させることができる。
【0093】
更に、用紙位置決めローラ15は専用の駆動源によって回転駆動するように構成することも可能であるが、前述した実施形態のように、用紙搬送ローラ5,6の駆動源である用紙搬送モータMを用紙位置決めローラ15の駆動源として流用することで、用紙位置決め機構13あるいは通帳プリンタ1の製造コストの低減化が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0094】
この発明は、通帳プリンタあるいは印字操作を行う装置に限らず、例えば、用紙に記載された文字を光学的に読み取る装置など、印字ヘッドやスキャナ等を始めとする装置の作用部分に対して用紙の位置や姿勢を適正化する必要のある装置一般に対して利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】通帳プリンタに本発明の用紙位置決め機構を適用した場合の一実施形態について要部を示した縦断面図である。
【図2】同実施形態の要部を示した平断面図である。
【図3】同実施形態の通帳プリンタと用紙位置決め機構の各部を駆動制御する制御手段の構成の概略を示した機能ブロック図である。
【図4】同実施形態の制御手段に格納されたプログラムの概略を示したフローチャートである。
【図5】同実施形態の用紙位置決め機構の作用を示した作用原理図である(用紙が薄く腰が弱い場合)。
【図6】同実施形態の用紙位置決め機構の作用を示した作用原理図である(用紙の腰が強い場合)。
【図7】用紙押圧部材と接離移動手段に関わる他の実施形態を簡単に示した部分図である。
【符号の説明】
【0096】
1 通帳プリンタ
2 用紙搬送路
3 上プレート
3a 斜面部
4 下プレート
5 用紙搬送ローラ(回転駆動手段)
5a,5b,5c,5d,5e 用紙搬送ローラ
6 用紙搬送ローラ
6a,6b,6c,6d,6e 用紙搬送ローラ
7 用紙搬送用ピンチローラ
8 アーム
9 スプリング
10 印字ヘッド
11 プラテン
12 サイドプレート(用紙突き当て面)
13 用紙位置決め機構
14 外周溝(V溝)
15 用紙位置決めローラ
16 用紙押圧部材(用紙押圧用ピンチローラ)
17 アーム(接離移動手段の一部)
18 偏心カム(接離移動手段の一部)
19 入り口
20 ローラ外周面
21 円錐部
22 円錐部
23 回転軸
24 ステー
25 スプリング(付勢手段)
26 シャフト
27 軸
28 軸
29 用紙搬送用ピンチローラ
30 アーム(第二の接離移動手段)
31 偏心カム(第二の接離移動手段の一部)
32 ストッパ
32a アーム
32b 遮蔽板
33 制御手段
34 CPU
35 ROM
36 RAM
37 入出力回路
38 印字制御回路
39 入出力インターフェイス
40 用紙押圧部材(固定片)
S 用紙
S1 用紙検出センサ
S2a,S2b 突き当て検出センサ
用紙搬送モータ
SOL ロータリーソレノイド(接離移動手段の一部)
SOL ロータリーソレノイド(第二の接離移動手段の一部)
SOL ソレノイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙搬送方向に沿って用紙搬送路の一側に設けられた用紙突き当て面に用紙の端部を位置決めする用紙位置決め機構であって、
軸方向の略中央部に外周溝を備え回転軸の向きを用紙搬送方向に略一致させた用紙位置決めローラと、前記用紙位置決めローラの外周溝に突入可能な厚みを有し前記用紙位置決めローラの外周溝に対し前記用紙搬送路を跨いで前記用紙位置決めローラの径方向外側から接離移動可能な用紙押圧部材を前記用紙搬送路の入り口に配備すると共に、
前記用紙位置決めローラを回転駆動する回転駆動手段と、前記用紙位置決めローラに対して前記用紙押圧部材を相対的に接離移動させる接離移動手段と、前記用紙搬送路の入り口に用紙が挿入されたことを検知する用紙検出センサと、用紙が前記用紙突き当て面に当接したことを検知する突き当て検出センサを設け、
前記用紙検出センサが用紙の挿入を検知してから前記突き当て検出センサによって用紙の当接が検知されるまでの間にわたり前記用紙位置決めローラの外周溝に用紙押圧部材を接近させる方向に前記接離移動手段を作動させ前記回転駆動手段を駆動してから、前記接離移動手段の作動を解除し、前記用紙位置決めローラの外周溝から用紙押圧部材を離間させる制御手段を併設したことを特徴とする用紙位置決め機構。
【請求項2】
前記用紙位置決めローラの外周溝が低摩擦の部材で形成され、この外周溝を除く前記用紙位置決めローラの外周面が高摩擦の部材で形成されていることを特徴とする請求項1記載の用紙位置決め機構。
【請求項3】
前記用紙押圧部材は、用紙位置決めローラの回転軸と平行な軸によって回転自在に軸支された用紙押圧用ピンチローラによって構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の用紙位置決め機構。
【請求項4】
前記用紙位置決めローラの外周溝がV溝によって形成され、前記外周溝と対向する用紙押圧部材の部分が前記V溝に倣った凸形状に形成されていることを特徴とする請求項1,請求項2または請求項3記載の用紙位置決め機構。
【請求項5】
前記用紙位置決めローラに当接して該用紙位置決めローラに回転力を伝達しながら回転する用紙搬送ローラによって前記回転駆動手段を構成すると共に、この用紙搬送ローラに対し前記用紙搬送路を跨いで前記用紙搬送ローラの径方向外側から接離移動可能な用紙搬送用ピンチローラと、前記用紙搬送ローラに対して前記用紙搬送用ピンチローラを相対的に接離移動させる第二の接離移動手段を設け、前記制御手段により、前記用紙検出センサが用紙の挿入を検知してから前記突き当て検出センサによって用紙の当接が検知されるまでの間にわたり前記用紙搬送ローラから前記用紙搬送用ピンチローラを離間させる方向に前記第二の接離移動手段を作動させるように構成したことを特徴とする請求項1,請求項2,請求項3または請求項4記載の用紙位置決め機構。
【請求項6】
前記用紙位置決めローラの端面に形成された円錐部と前記用紙搬送ローラの端面に形成された円錐部とが当接し、前記用紙位置決めローラは、付勢手段によって用紙搬送ローラの径方向外側から径方向内側に向けて押圧されていることを特徴とする請求項5記載の用紙位置決め機構。
【請求項7】
前記用紙位置決めローラと前記用紙搬送ローラが前記用紙搬送路の上方から用紙搬送路内に外周面を臨ませて固定的に配置され、前記用紙押圧部材と前記用紙搬送用ピンチローラは、前記用紙搬送路の下方から用紙搬送路に出没自在に配置されていることを特徴とする請求項5または請求項6記載の用紙位置決め機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−168893(P2006−168893A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−362190(P2004−362190)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】