用紙処理装置
【課題】連続紙の搬送を停止することなく、連続して連続紙を所望の用紙サイズに切断可能な用紙処理装置を提供すること。
【解決手段】複数の縦カッタ166と、複数の横カッタ168と、円形カッタ170と、これらの各カッタを搬送される連続紙Pに打ち込むためのソレノイド172と、を備えた切断器160と、この切断器160を幅方向に移動させる移動装置200と、連続紙Pの切断情報に応じて切断器160の幅方向Wへの移動、及びカッタの刃先を連続紙Pに打ち込む動作を制御する制御部250と、を用紙処理装置150が備えたことで、連続紙Pの搬送を停止させずに、カッタを打ち込むことで、連続して連続紙Pを所望の用紙サイズに切断することができる。
【解決手段】複数の縦カッタ166と、複数の横カッタ168と、円形カッタ170と、これらの各カッタを搬送される連続紙Pに打ち込むためのソレノイド172と、を備えた切断器160と、この切断器160を幅方向に移動させる移動装置200と、連続紙Pの切断情報に応じて切断器160の幅方向Wへの移動、及びカッタの刃先を連続紙Pに打ち込む動作を制御する制御部250と、を用紙処理装置150が備えたことで、連続紙Pの搬送を停止させずに、カッタを打ち込むことで、連続して連続紙Pを所望の用紙サイズに切断することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大量の高速印刷には、ロール状に巻き取られた連続紙が用いられている。この連続紙の処理システムとしては、連続紙を供給装置から印刷機やプリンタ装置(輪転機やデジタルプリンタを含む)に供給し、印刷された連続紙を用紙処理装置へ搬送して所定の用紙サイズに切断する方式や、印刷機やプリンタ装置で印刷された連続紙を一旦ロール状に巻いた後で、巻いた連続紙を用紙処理装置に供給(搬送)して所定の用紙サイズに切断する方式などがある。
【0003】
連続紙の切断処理を行う用紙処理装置では、連続紙を搬送方向及び幅方向(搬送方向に直交する方向)で切断して、所定の用紙サイズにしている。連続紙の切断処理には、連続紙を高速で搬送しながら所定の用紙サイズに切断することが求められるため、連続紙の搬送方向に沿った切断をスリッタで行い、連続紙の幅方向の切断をロータリ式カッタで行う装置がある。ロータリ式カッタを用いて連続紙を幅方向に切断する装置としては、特許文献1に記載の静電プリンタがある。この静電プリンタは、連続紙に印刷されたバーコードデータを読み取り、このバーコードデータに基づいて横カッタ(ロータリ式カッタ)による連続紙の切断位置を決定し、連続紙を全幅で切断している。
【0004】
また、連続紙を切断せずに切り抜く(所謂、中抜きカット)場合には、連続紙の搬送を一旦停止させ、連続紙の搬送方向に移動するスリッタと、連続紙の幅方向に移動するスリッタを用いて連続紙の内側のみを中抜きカットするタイプの用紙処理装置が一般的である。
【特許文献1】特開昭63−209859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、連続紙の搬送を停止することなく、連続して連続紙を所望の用紙サイズに切断可能な用紙処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の用紙処理装置は、搬送される連続紙の搬送経路上に設けられ且つ前記連続紙の幅方向に配列され、刃先が前記連続紙の搬送方向に向いた第1刃物と、前記搬送経路上に設けられ且つ前記連続紙の搬送方向及び幅方向に複数配列され、刃先が前記連続紙の幅方向に向いた第2刃物と、前記第1刃物の刃先及び前記第2刃物の刃先を前記連続紙に打ち込む打ち込み手段と、を有する切断器と、前記切断器を前記連続紙の幅方向に移動させる移動手段と、前記連続紙の切断情報に基づいて、前記切断器を前記連続紙の幅方向に移動すると共に、前記第1刃物の刃先又は前記第2刃物の刃先を打ち込む動作を制御する制御手段と、を備える。
【0007】
本発明の請求項2に記載の用紙処理装置は、搬送される連続紙の搬送経路上に設けられ且つ前記連続紙の幅方向に配列され、刃先が前記連続紙の搬送方向に向いた第1刃物と、前記搬送経路上に設けられ且つ前記連続紙の搬送方向及び幅方向に複数配列され、刃先が前記連続紙の幅方向に向くと共に前記連続紙の搬送方向から見たとき幅方向に繋がって見える第2刃物と、前記第1刃物の刃先及び前記第2刃物の刃先を前記連続紙に打ち込む打ち込み手段と、を有する切断器と、前記連続紙の切断情報に基づいて、前記第1刃物の刃先又は前記第2刃物の刃先を前記連続紙に打ち込む動作を制御する制御手段と、を備える。
【0008】
本発明の請求項3に記載の用紙処理装置は、前記制御手段は、前記連続紙を搬送方向に沿って切断する場合、前記第1刃物の刃先が搬送される連続紙に打ち込まれた状態を維持する。
【0009】
本発明の請求項4に記載の用紙処理装置は、前記切断器は、前記連続紙の搬送方向から見たとき前記第1刃物の刃先が重なるように、前記第1刃物を前記連続紙の搬送方向へ配列した。
【0010】
本発明の請求項5に記載の用紙処理装置は、前記切断器は、前記連続紙の幅方向に配列され前記打ち込み手段で打ち込まれて前記連続紙に孔を形成する刃先を有する第3刃物を備える。
【0011】
本発明の請求項6に記載の用紙処理装置は、前記切断器は、前記連続紙の幅方向に配列され前記打ち込み手段で打ち込まれて前記連続紙に円形孔を形成する尖端を有する針部材を備える。
【0012】
本発明の請求項7に記載の用紙処理装置は、前記連続紙に設けられ、前記切断情報が記憶された記録媒体から前記切断情報を読み取り、前記制御手段に送信する読み取り手段を備える。
【0013】
本発明の請求項8に記載の用紙処理装置は、前記制御手段は、前記第2刃物の打ち込み動作に合わせて前記連続紙の搬送速度を制御する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明は、本構成を有していない場合と比較して、連続紙の搬送を停止することなく、連続して連続紙を所望の用紙サイズに切断することができる。
【0015】
請求項2の発明は、本構成を有していない場合と比較して、連続紙の搬送を停止することなく、連続して連続紙を所望の用紙サイズに切断することができる。
【0016】
請求項3の発明は、本構成を有していない場合と比較して、連続紙の幅方向の切断精度が向上する。
【0017】
請求項4の発明は、本構成を有していない場合と比較して、第1刃物の寿命が長くなる。
【0018】
請求項5の発明は、本構成を有していない場合と比較して、連続紙を自由な形状に切り抜き、又は、連続紙を自由な形状に切断することができる。
【0019】
請求項6の発明は、本構成を有していない場合と比較して、連続紙を自由な形状に切り抜き、又は、連続紙を自由な形状に切断することができる。
【0020】
請求項7の発明は、本構成を有していない場合と比較して、連続紙の切断開始位置の精度が向上する。
【0021】
請求項8の発明は、本構成を有していない場合と比較して、第2刃物を高速で打ち込む必要が無くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して本発明に係る第1実施形態を詳細に説明する。図1は、第1実施形態の用紙処理装置150が適用された用紙処理システム12の全体構成図であり、用紙処理装置150は搬送される連続紙Pを所望の用紙サイズに切断する装置である。
【0023】
用紙処理システム12の、連続紙Pの搬送方向(矢印E方向)の上流側(以下、単に「上流側」という場合もある)には、ロール状に巻かれた連続紙Pを順次巻き出す連続紙供給装置14が設けられている。なお、本実施形態では、印刷済みの連続紙Pを切断する場合について説明するが、印刷しながら連続紙Pを切断する用紙処理システムにも勿論流用できる。
【0024】
この連続紙供給装置14の、連続紙Pの搬送方向Eの下流側(以下、単に「下流側」という場合もある)には、用紙バッファー機構16が配設されており、上下に交互に配設されたローラ18に連続紙Pが巻掛けられた状態で、連続紙Pが搬送される。
【0025】
用紙バッファー機構16の下方に位置するローラ18は、上下に移動可能とされている。これにより、連続紙Pに掛かる張力が調整されて、連続紙Pが引っ張られて切れたり、或いは、連続紙Pが弛んで折れ曲がったりする不具合が防止される。
【0026】
この用紙バッファー機構16の下流側に、本実施形態の用紙処理装置150が配設されており、搬送される連続紙Pを所望の用紙サイズに切断する。また、前述したが、例えば、用紙バッファー機構16と用紙処理装置150との間に、画像形成可能な印刷装置を配設し、画像形成が成された連続紙Pを用紙処理装置150によって所望の用紙サイズに切断してもよい。
【0027】
用紙処理装置150の下流側には、所望の用紙サイズに切断された用紙を夫々用紙スタック26や用紙スタック28等へ案内する用紙案内装置24が設けられている。また、用紙処理装置150と用紙案内装置24との間には、連続紙Pの切断及び切り抜き時に出る不要部Qを収容する廃棄用紙収容箱58が設けられている。これにより、連続紙Pの切断及び切り抜き時に出る不要部Qは、廃棄用紙収容箱58に収容され、所望の用紙サイズとなった用紙は、用紙案内装置24で用紙スタック26や用紙スタック28へ案内される。なお、本実施形態では、用紙スタックを2つ設ける構成としているが、用紙スタックは、3つ以上設けてもよい。
【0028】
<用紙処理装置>
次に、用紙処理装置150について詳細に説明する。図1に示されるように、用紙処理装置150は、連続紙Pの搬送経路上に、連続紙Pを所望の用紙サイズに切断する切断器160と、切断器160よりも上流側で連続紙Pの幅方向Wの両端部に印刷されたバーコード185(詳細については後述する)を読み取るための読取センサ180と、を備えている。
【0029】
図2に示されるように、切断器160は、直方体状のハウジング163を有している。このハウジング163の中には複数のカッタが収納されており、カッタ群162が形成されている。また、切断器160は、幅方向Wに沿って複数(本実施形態では5つ)並べられ、幅方向Wに延びるシャフト164によって支持されている。シャフト164の両端部は、用紙処理装置150のフレーム150Aを貫通しており、幅方向W(軸方向)に摺動可能となっている。ハウジング163の底面163A(連続紙P側の面)は、連続紙Pの紙面に対して平行となっている(図4参照)。
【0030】
図3及び図4(A)〜(C)に示されるように、底面163Aには、ハウジング163の中に収納された各カッタが出入りする出入口163Bが夫々形成されている。カッタには、刃先166Aが搬送方向Eに向いた縦カッタ166と、刃先168Aが幅方向Wに向いた横カッタ168と、刃先170Aが円形の円形カッタ170とがある。図3に示されるように、縦カッタ166は、搬送方向E及ぶ幅方向Wに沿って2次元状に配列(本実施形態では3行5列)され、横カッタ168は、搬送方向E及び幅方向Wに沿って2次元状に配列(本実施形態では6行4列)され、円形カッタ170は、搬送方向E及び幅方向Wに沿って2次元状に配列(本実施形態では2行7列)されている。また、縦カッタ166と横カッタ168は幅方向Wに交互に配列され、円形カッタ170は幅方向Wに群となった縦カッタ166と横カッタ168との間に配列されている。さらに、縦カッタ166の刃先166Aは、搬送方向Eから見たとき互いの刃先が重なるように、配列されている。つまり、縦カッタ166は、刃先166Aが搬送方向Eに沿った同一直線状となるように配列されている。なお、便宜上、搬送方向Eに沿った配列を行、幅方向に沿った配列を列として説明している。
【0031】
図5に示されるように、ハウジング163の中には、カッタ(図5では一例として縦カッタ166を示している。)を連続紙P側に押し出し(ON時)、引き戻す(OFF時)ための打ち込み手段としてのソレノイド172が設けられている。このソレノイド172は、各カッタに夫々設けられており、後述する制御部250によってON、OFFが制御されている。具体的には、図5に示されるようにソレノイド172がOFFの状態では、縦カッタ166の上部にバネ169の力で刃先166Aがハウジング163内に収容され、ソレノイド172がONの状態では、縦カッタ166は出入口163Bから押し出され、刃先166Aが連続紙Pに打ち込まれて、連続紙Pに切り込みが形成される。
【0032】
図6に示されるように、切断器160の上方には、切断器160を幅方向Wに移動させるための移動装置200が設けられている。この移動装置200は、シャフト164の両端側に取付けられたベース201を備えている。このベース201は、駆動ベルト202に取付けられており、この駆動ベルト202は、幅方向Wの両端部に配置されたプーリ204、206に巻掛けられている。このプーリ204に連結されたステッピングモータ208を駆動させると、プーリ204、206を介して駆動ベルト202に取付けられたベース201が幅方向Wに沿って移動する。そして、フレーム150Aに摺動可能に支持されたシャフト164は、ベース201と一体となって幅方向Wへ移動する。
【0033】
なお、ここではベース201を移動させるために、プーリ204、206及び駆動ベルト202を用いたが、これに限定するものではない。例えば、プーリ204、206及び駆動ベルト202に代えてスプロケットとチェーンを用いてもよいし、また、ピニオン及びラックを用いた機構などでもよい。
【0034】
図7に示されるように、切断器160のソレノイド172、及び移動装置200のステッピングモータ208は、制御部250によって制御されている。制御部250は、読取センサ180でバーコード185から読み取った切断位置情報に基づいて、ステッピングモータ208の駆動を制御して切断器160を幅方向Wへ移動させるとともに、ソレノイド172のON、OFFを制御して各カッタの押し出し、引き戻しのタイミングを調整(制御)している。なお、切断位置情報に基づいて、カッタ群162の中から使用するカッタを選別するのも制御部250で行っている。
【0035】
また、図1に示されるように、切断器160と連続紙Pを挟んで対向する位置には、台座260が設けられている。この台座260は、樹脂材で成型され、切断器160から押し出され、連続紙Pに打ち込まれたカッタの刃先を上面で受け止める。
【0036】
図7に示されるように、読取センサ180は制御部250と接続されている。読取センサ180は、連続紙Pの切断位置情報(切断情報とも言う)が記録されたバーコード185から切断位置情報を読み取って、制御部250へ送信している。
【0037】
次に、バーコード185の一例について説明する。図8に示されるバーコード185には、搬送方向Eの上流側から下流側へ向かって、「0−3−12.5」と記録されている。ここで、「0」はAブロックの情報であり、「3」はBブロックの情報である。また、「12.5」はCブロックの情報である。
【0038】
バーコード185が示す内容は、(A−0)が連続紙Pの搬送方向の切断制御情報であり、(B−3)が連続紙Pを幅方向Wに沿って切断する情報であり、(C)が指定端から12.5inchの範囲を示す情報である。これらが、連続紙Pの搬送方向E及び幅方向Wの切断位置を示す情報である。
【0039】
なお、本例では、12.5の後に記号が何も付されていないが、A、B、C等のアルファベットが付されていた場合、これはDブロックの情報であり、用紙の搬送先(用紙スタック26、28等)を示す。また、(D−C)は、パージはいわゆる廃棄処理することを意味し、連続紙切り抜き時、切断時などに出る不要部Qが廃棄用紙収容箱58(図1参照)へ案内される
【0040】
次に、この用紙処理装置150の作用について説明する。図1に示されるように、連続紙供給装置14から供給された連続紙Pは、用紙バッファー機構16へ搬送され、連続紙Pに掛かる張力を調整しながら、用紙処理装置150へ搬送される。用紙処理装置150では、まず、読取センサ180によって連続紙Pの幅方向Wの両端部に印刷されたバーコード185から切断位置情報が読み取られ、この切断位置情報が制御部250に送信される。なお、以下には、図13に示されるように、連続紙Pを切断する場合の、一例として、用紙aの幅方向Wの端部a1、端部a2、上流側の端部a3、下流側の端部a4を切断すると共に、切り抜き部Nを形成する用紙処理装置10の動作の一部を以下に説明する。また、説明の便宜上、切断器160をm行n列で示す。
【0041】
一方、バーコード185が印刷された連続紙Pの幅方向Wの両端部側は、用紙として不要な部分となるため、用紙処理装置150にて切断される。具体的には、制御部250が縦カッタ16611、縦カッタ16621、及び縦カッタ16631の何れかを連続紙Pに打ち込んだ状態にしておくことで、搬送される連続紙Pは、搬送方向Eに連続して切断される(なお、本実施形態では、縦カッタ16611を打ち込んだ状態にしている)。切断された切断部は、図13に示す用紙aの端部a1となる。また、縦カッタ16611を連続して使用すると、縦カッタ16611の寿命が短くなるため、制御部250は、縦カッタ16611の使用量(連続紙Pの搬送量)に応じて縦カッタ16611と、縦カッタ16621や縦カッタ16631をローテーションさせてもよい。また、本実施形態では、連続紙Pを搬送方向Eに沿って連続して切断するのに縦カッタ16611を打ち込んだ状態にしているが、本発明はこの構成に限定される必要はなく、連続して縦カッタ16611を押し出し(打ち込み)、引き戻しして、連続紙Pを搬送方向Eに沿って切断してもよい。
【0042】
次に、図9に示されるように、切断位置情報に応じて、横カッタ16811〜16814を連続紙Pに打ち込む(図13におけるa4となる部分)。また、同時に、縦カッタ16622、縦カッタ16623、横カッタ16832、16842を打ち込む(図13の切り抜き部Nとなる部分)。なお、縦カッタ16611及び縦カッタ16615は予め、連続紙Pに打ち込んでおくものとする(図13におけるa1、a2となる部分)。これにより、カッタを打ち込んだ部分に切込みが形成される。また、図13に示される用紙aの端部3は、既に幅方向Wに切断されている(切断方法は、後述する端部a4の切断方法と同様である)。なお、図9〜図12では、連続紙Pに打ち込むカッタを実線、待機状態(ソレノイド172がOFF状態)のカッタを破線で示している。
【0043】
次に、縦カッタ16611、縦カッタ16615を引き戻し、移動装置200で切断器160を右に移動させる。連続紙Pが図10に示される位置まで搬送されると同時に、横カッタ16821〜16824を連続紙Pに打ち込む(図13におけるa4となる部分)。また、同時に横カッタ16842を打ち込む(図13の切り抜き部Nとなる部分)。また、図10から図11へ連続紙Pが搬送される前に、横カッタ16842を、連続紙Pに打ち込んで切抜き部Nの右下辺を切り抜く。これにより、新たにカッタを打ち込んだ部分に切込みが形成される。
【0044】
次に、移動装置200で切断器160を左に移動させる。連続紙Pが図11に示される位置まで搬送されると同時に、横カッタ16831〜16834を連続紙Pに打ち込む(図13におけるa4となる部分)。また、同時に横カッタ16852、横カッタ16862(図13の切り抜き部Nとなる部分)を打ち込む。これにより、新たにカッタを打ち込んだ部分に切込みが形成されて、連続紙Pが幅方向に沿って切断される(つまり、用紙aの端部a4が形成される)。また、用紙aに切り抜き部Nが形成される。なお、切り抜かれた不要部Qは、廃棄用紙収容箱58に廃棄される。
【0045】
そして、次の連続紙Pの切断のために、図12に示されるように、縦カッタ16621、縦カッタ16625が連続紙Pに打ち込まれる。このようにして、図13に示されるように、連続紙Pが切断、及び切り抜かれる。なお、連続紙Pから星形、角部が湾曲した長方形、及び円形等を切り抜く場合には、円形カッタ170を連続して連続紙Pに打ち込んで切抜き部が所望の形状となるようにする。
【0046】
また、用紙処理装置150では、制御部250によるカッタの打ち込みタイミングを調整すれば、連続紙Pにミシン目を形成することもできる。なお、このミシン目は連続紙Pの紙面に沿って任意の方向に形成することができる。
【0047】
第1実施形態の用紙処理装置10では、切断器160を複数備える構成としたが、幅方向Wの長さが連続紙Pの幅と同等の切断器を設けても構わない。また、縦カッタ166及び横カッタ168の配列は、所望の用紙サイズに合わせて種々変更しても構わない。以下に、一例としての用紙処理装置300を挙げる。図15に示されるように、用紙処理装置300は、切断器302を1つ有し、カッタの配列を第1実施形態のカッタの配列と異ならせている(図17参照)。なお、切断器302は、第1実施形態のように、円形カッタ170は備えていないが、備えていても構わない。この切断器302の横カッタ168は、刃先168Aが搬送方向Eから見たとき幅方向Wに繋がって見えるように配列されている(図16参照)。このように切断器302を構成することで、用紙処理装置300は、第1実施形態の用紙処理装置150と同様の作用効果を奏しながら、移動装置200を省略することができる。なお、用紙処理装置300でも移動装置200を用いて構わない。
【0048】
上述の実施形態では、横カッタ168の打ち込み動作時と、それ以外の動作時とでは、連続紙Pの搬送速度を一定としているが、本発明はこの構成に限定される必要はなく、横カッタ168の打ち込み動作時には、それ以外の動作時よりも連続紙Pの搬送速度を減速させても構わない。なお、この場合には、制御部250で、用紙処理システム12全体の搬送速度を制御できるようにする必要がある。
【0049】
また、上述の実施形態では、円形カッタ170で連続紙Pに孔を形成する構成としているが、本発明はこの構成に限定される必要はなく、多角形の刃先を有する多角形カッタを用いて多角形の孔を形成する構成でも、先端が尖った針状の部材(針部材)を連続紙Pに突き刺して連続紙Pに孔を形成する構成でも、図14に示されるような、刃先が星形の星形カッタ270、刃先が×字形の×字形カッタ280を用いてもよいものとする。
【0050】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】用紙処理システムの構成を示す全体図である。
【図2】本実施の形態に係る用紙処理装置の切断器を示す平面図である。
【図3】切断器が備えるカッタの配列を示す底面図である。
【図4】(A)切断器の縦カッタを搬送方向から見た図である。 (B)切断器の横カッタを幅方向から見た図である。(C)切断器の円形カッタを幅方向から見た図である。
【図5】切断器の縦カッタ部分の断面図である。
【図6】移動装置と切断器との関係を示す図である。
【図7】制御系の構成を示すブロック図である。
【図8】連続紙の切断位置を示すバーコードの説明図である。
【図9】連続紙の切断、切り抜き時のカッタの動作を説明する第1の説明図である。
【図10】連続紙の切断、切り抜き時のカッタの動作を説明する第2の説明図である。
【図11】連続紙の切断、切り抜き時のカッタの動作を説明する第3の説明図である。
【図12】連続紙の切断、切り抜き時のカッタの動作を説明する第4の説明図である。
【図13】第1実施形態の用紙処理装置を用いて、切断及び切り抜きが実施可能な用紙の形状を示す説明図である。
【図14】切断器のカッタの変形例を示す底面図である。
【図15】第1実施形態の切断器の変形例の平面図である。
【図16】第1実施形態の切断器の変形例を搬送方向から見た側面図である。
【図17】第1実施形態の切断器の変形例が備えるカッタの配列を示す底面図である。
【符号の説明】
【0052】
150 用紙処理装置
160 切断器
166 縦カッタ(第1刃物)
166A 刃先(第1刃物の刃先)
168 横カッタ(第2刃物)
168A 刃先(第2刃物の刃先)
170 円形カッタ(第3刃物)
170A 刃先(第3刃物の刃先)
172 ソレノイド(打ち込み手段)
180 読取センサ(読み取り手段)
185 バーコード(切断情報を記録した記録媒体)
200 移動装置(移動手段)
250 制御部(制御手段)
270 星形カッタ(第3刃物)
280 ×字形カッタ(第3刃物)
300 用紙処理装置
302 切断器
E 搬送方向(搬送される連続紙の搬送方向)
W 幅方向(連続紙の幅方向)
P 連続紙
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大量の高速印刷には、ロール状に巻き取られた連続紙が用いられている。この連続紙の処理システムとしては、連続紙を供給装置から印刷機やプリンタ装置(輪転機やデジタルプリンタを含む)に供給し、印刷された連続紙を用紙処理装置へ搬送して所定の用紙サイズに切断する方式や、印刷機やプリンタ装置で印刷された連続紙を一旦ロール状に巻いた後で、巻いた連続紙を用紙処理装置に供給(搬送)して所定の用紙サイズに切断する方式などがある。
【0003】
連続紙の切断処理を行う用紙処理装置では、連続紙を搬送方向及び幅方向(搬送方向に直交する方向)で切断して、所定の用紙サイズにしている。連続紙の切断処理には、連続紙を高速で搬送しながら所定の用紙サイズに切断することが求められるため、連続紙の搬送方向に沿った切断をスリッタで行い、連続紙の幅方向の切断をロータリ式カッタで行う装置がある。ロータリ式カッタを用いて連続紙を幅方向に切断する装置としては、特許文献1に記載の静電プリンタがある。この静電プリンタは、連続紙に印刷されたバーコードデータを読み取り、このバーコードデータに基づいて横カッタ(ロータリ式カッタ)による連続紙の切断位置を決定し、連続紙を全幅で切断している。
【0004】
また、連続紙を切断せずに切り抜く(所謂、中抜きカット)場合には、連続紙の搬送を一旦停止させ、連続紙の搬送方向に移動するスリッタと、連続紙の幅方向に移動するスリッタを用いて連続紙の内側のみを中抜きカットするタイプの用紙処理装置が一般的である。
【特許文献1】特開昭63−209859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、連続紙の搬送を停止することなく、連続して連続紙を所望の用紙サイズに切断可能な用紙処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の用紙処理装置は、搬送される連続紙の搬送経路上に設けられ且つ前記連続紙の幅方向に配列され、刃先が前記連続紙の搬送方向に向いた第1刃物と、前記搬送経路上に設けられ且つ前記連続紙の搬送方向及び幅方向に複数配列され、刃先が前記連続紙の幅方向に向いた第2刃物と、前記第1刃物の刃先及び前記第2刃物の刃先を前記連続紙に打ち込む打ち込み手段と、を有する切断器と、前記切断器を前記連続紙の幅方向に移動させる移動手段と、前記連続紙の切断情報に基づいて、前記切断器を前記連続紙の幅方向に移動すると共に、前記第1刃物の刃先又は前記第2刃物の刃先を打ち込む動作を制御する制御手段と、を備える。
【0007】
本発明の請求項2に記載の用紙処理装置は、搬送される連続紙の搬送経路上に設けられ且つ前記連続紙の幅方向に配列され、刃先が前記連続紙の搬送方向に向いた第1刃物と、前記搬送経路上に設けられ且つ前記連続紙の搬送方向及び幅方向に複数配列され、刃先が前記連続紙の幅方向に向くと共に前記連続紙の搬送方向から見たとき幅方向に繋がって見える第2刃物と、前記第1刃物の刃先及び前記第2刃物の刃先を前記連続紙に打ち込む打ち込み手段と、を有する切断器と、前記連続紙の切断情報に基づいて、前記第1刃物の刃先又は前記第2刃物の刃先を前記連続紙に打ち込む動作を制御する制御手段と、を備える。
【0008】
本発明の請求項3に記載の用紙処理装置は、前記制御手段は、前記連続紙を搬送方向に沿って切断する場合、前記第1刃物の刃先が搬送される連続紙に打ち込まれた状態を維持する。
【0009】
本発明の請求項4に記載の用紙処理装置は、前記切断器は、前記連続紙の搬送方向から見たとき前記第1刃物の刃先が重なるように、前記第1刃物を前記連続紙の搬送方向へ配列した。
【0010】
本発明の請求項5に記載の用紙処理装置は、前記切断器は、前記連続紙の幅方向に配列され前記打ち込み手段で打ち込まれて前記連続紙に孔を形成する刃先を有する第3刃物を備える。
【0011】
本発明の請求項6に記載の用紙処理装置は、前記切断器は、前記連続紙の幅方向に配列され前記打ち込み手段で打ち込まれて前記連続紙に円形孔を形成する尖端を有する針部材を備える。
【0012】
本発明の請求項7に記載の用紙処理装置は、前記連続紙に設けられ、前記切断情報が記憶された記録媒体から前記切断情報を読み取り、前記制御手段に送信する読み取り手段を備える。
【0013】
本発明の請求項8に記載の用紙処理装置は、前記制御手段は、前記第2刃物の打ち込み動作に合わせて前記連続紙の搬送速度を制御する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明は、本構成を有していない場合と比較して、連続紙の搬送を停止することなく、連続して連続紙を所望の用紙サイズに切断することができる。
【0015】
請求項2の発明は、本構成を有していない場合と比較して、連続紙の搬送を停止することなく、連続して連続紙を所望の用紙サイズに切断することができる。
【0016】
請求項3の発明は、本構成を有していない場合と比較して、連続紙の幅方向の切断精度が向上する。
【0017】
請求項4の発明は、本構成を有していない場合と比較して、第1刃物の寿命が長くなる。
【0018】
請求項5の発明は、本構成を有していない場合と比較して、連続紙を自由な形状に切り抜き、又は、連続紙を自由な形状に切断することができる。
【0019】
請求項6の発明は、本構成を有していない場合と比較して、連続紙を自由な形状に切り抜き、又は、連続紙を自由な形状に切断することができる。
【0020】
請求項7の発明は、本構成を有していない場合と比較して、連続紙の切断開始位置の精度が向上する。
【0021】
請求項8の発明は、本構成を有していない場合と比較して、第2刃物を高速で打ち込む必要が無くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して本発明に係る第1実施形態を詳細に説明する。図1は、第1実施形態の用紙処理装置150が適用された用紙処理システム12の全体構成図であり、用紙処理装置150は搬送される連続紙Pを所望の用紙サイズに切断する装置である。
【0023】
用紙処理システム12の、連続紙Pの搬送方向(矢印E方向)の上流側(以下、単に「上流側」という場合もある)には、ロール状に巻かれた連続紙Pを順次巻き出す連続紙供給装置14が設けられている。なお、本実施形態では、印刷済みの連続紙Pを切断する場合について説明するが、印刷しながら連続紙Pを切断する用紙処理システムにも勿論流用できる。
【0024】
この連続紙供給装置14の、連続紙Pの搬送方向Eの下流側(以下、単に「下流側」という場合もある)には、用紙バッファー機構16が配設されており、上下に交互に配設されたローラ18に連続紙Pが巻掛けられた状態で、連続紙Pが搬送される。
【0025】
用紙バッファー機構16の下方に位置するローラ18は、上下に移動可能とされている。これにより、連続紙Pに掛かる張力が調整されて、連続紙Pが引っ張られて切れたり、或いは、連続紙Pが弛んで折れ曲がったりする不具合が防止される。
【0026】
この用紙バッファー機構16の下流側に、本実施形態の用紙処理装置150が配設されており、搬送される連続紙Pを所望の用紙サイズに切断する。また、前述したが、例えば、用紙バッファー機構16と用紙処理装置150との間に、画像形成可能な印刷装置を配設し、画像形成が成された連続紙Pを用紙処理装置150によって所望の用紙サイズに切断してもよい。
【0027】
用紙処理装置150の下流側には、所望の用紙サイズに切断された用紙を夫々用紙スタック26や用紙スタック28等へ案内する用紙案内装置24が設けられている。また、用紙処理装置150と用紙案内装置24との間には、連続紙Pの切断及び切り抜き時に出る不要部Qを収容する廃棄用紙収容箱58が設けられている。これにより、連続紙Pの切断及び切り抜き時に出る不要部Qは、廃棄用紙収容箱58に収容され、所望の用紙サイズとなった用紙は、用紙案内装置24で用紙スタック26や用紙スタック28へ案内される。なお、本実施形態では、用紙スタックを2つ設ける構成としているが、用紙スタックは、3つ以上設けてもよい。
【0028】
<用紙処理装置>
次に、用紙処理装置150について詳細に説明する。図1に示されるように、用紙処理装置150は、連続紙Pの搬送経路上に、連続紙Pを所望の用紙サイズに切断する切断器160と、切断器160よりも上流側で連続紙Pの幅方向Wの両端部に印刷されたバーコード185(詳細については後述する)を読み取るための読取センサ180と、を備えている。
【0029】
図2に示されるように、切断器160は、直方体状のハウジング163を有している。このハウジング163の中には複数のカッタが収納されており、カッタ群162が形成されている。また、切断器160は、幅方向Wに沿って複数(本実施形態では5つ)並べられ、幅方向Wに延びるシャフト164によって支持されている。シャフト164の両端部は、用紙処理装置150のフレーム150Aを貫通しており、幅方向W(軸方向)に摺動可能となっている。ハウジング163の底面163A(連続紙P側の面)は、連続紙Pの紙面に対して平行となっている(図4参照)。
【0030】
図3及び図4(A)〜(C)に示されるように、底面163Aには、ハウジング163の中に収納された各カッタが出入りする出入口163Bが夫々形成されている。カッタには、刃先166Aが搬送方向Eに向いた縦カッタ166と、刃先168Aが幅方向Wに向いた横カッタ168と、刃先170Aが円形の円形カッタ170とがある。図3に示されるように、縦カッタ166は、搬送方向E及ぶ幅方向Wに沿って2次元状に配列(本実施形態では3行5列)され、横カッタ168は、搬送方向E及び幅方向Wに沿って2次元状に配列(本実施形態では6行4列)され、円形カッタ170は、搬送方向E及び幅方向Wに沿って2次元状に配列(本実施形態では2行7列)されている。また、縦カッタ166と横カッタ168は幅方向Wに交互に配列され、円形カッタ170は幅方向Wに群となった縦カッタ166と横カッタ168との間に配列されている。さらに、縦カッタ166の刃先166Aは、搬送方向Eから見たとき互いの刃先が重なるように、配列されている。つまり、縦カッタ166は、刃先166Aが搬送方向Eに沿った同一直線状となるように配列されている。なお、便宜上、搬送方向Eに沿った配列を行、幅方向に沿った配列を列として説明している。
【0031】
図5に示されるように、ハウジング163の中には、カッタ(図5では一例として縦カッタ166を示している。)を連続紙P側に押し出し(ON時)、引き戻す(OFF時)ための打ち込み手段としてのソレノイド172が設けられている。このソレノイド172は、各カッタに夫々設けられており、後述する制御部250によってON、OFFが制御されている。具体的には、図5に示されるようにソレノイド172がOFFの状態では、縦カッタ166の上部にバネ169の力で刃先166Aがハウジング163内に収容され、ソレノイド172がONの状態では、縦カッタ166は出入口163Bから押し出され、刃先166Aが連続紙Pに打ち込まれて、連続紙Pに切り込みが形成される。
【0032】
図6に示されるように、切断器160の上方には、切断器160を幅方向Wに移動させるための移動装置200が設けられている。この移動装置200は、シャフト164の両端側に取付けられたベース201を備えている。このベース201は、駆動ベルト202に取付けられており、この駆動ベルト202は、幅方向Wの両端部に配置されたプーリ204、206に巻掛けられている。このプーリ204に連結されたステッピングモータ208を駆動させると、プーリ204、206を介して駆動ベルト202に取付けられたベース201が幅方向Wに沿って移動する。そして、フレーム150Aに摺動可能に支持されたシャフト164は、ベース201と一体となって幅方向Wへ移動する。
【0033】
なお、ここではベース201を移動させるために、プーリ204、206及び駆動ベルト202を用いたが、これに限定するものではない。例えば、プーリ204、206及び駆動ベルト202に代えてスプロケットとチェーンを用いてもよいし、また、ピニオン及びラックを用いた機構などでもよい。
【0034】
図7に示されるように、切断器160のソレノイド172、及び移動装置200のステッピングモータ208は、制御部250によって制御されている。制御部250は、読取センサ180でバーコード185から読み取った切断位置情報に基づいて、ステッピングモータ208の駆動を制御して切断器160を幅方向Wへ移動させるとともに、ソレノイド172のON、OFFを制御して各カッタの押し出し、引き戻しのタイミングを調整(制御)している。なお、切断位置情報に基づいて、カッタ群162の中から使用するカッタを選別するのも制御部250で行っている。
【0035】
また、図1に示されるように、切断器160と連続紙Pを挟んで対向する位置には、台座260が設けられている。この台座260は、樹脂材で成型され、切断器160から押し出され、連続紙Pに打ち込まれたカッタの刃先を上面で受け止める。
【0036】
図7に示されるように、読取センサ180は制御部250と接続されている。読取センサ180は、連続紙Pの切断位置情報(切断情報とも言う)が記録されたバーコード185から切断位置情報を読み取って、制御部250へ送信している。
【0037】
次に、バーコード185の一例について説明する。図8に示されるバーコード185には、搬送方向Eの上流側から下流側へ向かって、「0−3−12.5」と記録されている。ここで、「0」はAブロックの情報であり、「3」はBブロックの情報である。また、「12.5」はCブロックの情報である。
【0038】
バーコード185が示す内容は、(A−0)が連続紙Pの搬送方向の切断制御情報であり、(B−3)が連続紙Pを幅方向Wに沿って切断する情報であり、(C)が指定端から12.5inchの範囲を示す情報である。これらが、連続紙Pの搬送方向E及び幅方向Wの切断位置を示す情報である。
【0039】
なお、本例では、12.5の後に記号が何も付されていないが、A、B、C等のアルファベットが付されていた場合、これはDブロックの情報であり、用紙の搬送先(用紙スタック26、28等)を示す。また、(D−C)は、パージはいわゆる廃棄処理することを意味し、連続紙切り抜き時、切断時などに出る不要部Qが廃棄用紙収容箱58(図1参照)へ案内される
【0040】
次に、この用紙処理装置150の作用について説明する。図1に示されるように、連続紙供給装置14から供給された連続紙Pは、用紙バッファー機構16へ搬送され、連続紙Pに掛かる張力を調整しながら、用紙処理装置150へ搬送される。用紙処理装置150では、まず、読取センサ180によって連続紙Pの幅方向Wの両端部に印刷されたバーコード185から切断位置情報が読み取られ、この切断位置情報が制御部250に送信される。なお、以下には、図13に示されるように、連続紙Pを切断する場合の、一例として、用紙aの幅方向Wの端部a1、端部a2、上流側の端部a3、下流側の端部a4を切断すると共に、切り抜き部Nを形成する用紙処理装置10の動作の一部を以下に説明する。また、説明の便宜上、切断器160をm行n列で示す。
【0041】
一方、バーコード185が印刷された連続紙Pの幅方向Wの両端部側は、用紙として不要な部分となるため、用紙処理装置150にて切断される。具体的には、制御部250が縦カッタ16611、縦カッタ16621、及び縦カッタ16631の何れかを連続紙Pに打ち込んだ状態にしておくことで、搬送される連続紙Pは、搬送方向Eに連続して切断される(なお、本実施形態では、縦カッタ16611を打ち込んだ状態にしている)。切断された切断部は、図13に示す用紙aの端部a1となる。また、縦カッタ16611を連続して使用すると、縦カッタ16611の寿命が短くなるため、制御部250は、縦カッタ16611の使用量(連続紙Pの搬送量)に応じて縦カッタ16611と、縦カッタ16621や縦カッタ16631をローテーションさせてもよい。また、本実施形態では、連続紙Pを搬送方向Eに沿って連続して切断するのに縦カッタ16611を打ち込んだ状態にしているが、本発明はこの構成に限定される必要はなく、連続して縦カッタ16611を押し出し(打ち込み)、引き戻しして、連続紙Pを搬送方向Eに沿って切断してもよい。
【0042】
次に、図9に示されるように、切断位置情報に応じて、横カッタ16811〜16814を連続紙Pに打ち込む(図13におけるa4となる部分)。また、同時に、縦カッタ16622、縦カッタ16623、横カッタ16832、16842を打ち込む(図13の切り抜き部Nとなる部分)。なお、縦カッタ16611及び縦カッタ16615は予め、連続紙Pに打ち込んでおくものとする(図13におけるa1、a2となる部分)。これにより、カッタを打ち込んだ部分に切込みが形成される。また、図13に示される用紙aの端部3は、既に幅方向Wに切断されている(切断方法は、後述する端部a4の切断方法と同様である)。なお、図9〜図12では、連続紙Pに打ち込むカッタを実線、待機状態(ソレノイド172がOFF状態)のカッタを破線で示している。
【0043】
次に、縦カッタ16611、縦カッタ16615を引き戻し、移動装置200で切断器160を右に移動させる。連続紙Pが図10に示される位置まで搬送されると同時に、横カッタ16821〜16824を連続紙Pに打ち込む(図13におけるa4となる部分)。また、同時に横カッタ16842を打ち込む(図13の切り抜き部Nとなる部分)。また、図10から図11へ連続紙Pが搬送される前に、横カッタ16842を、連続紙Pに打ち込んで切抜き部Nの右下辺を切り抜く。これにより、新たにカッタを打ち込んだ部分に切込みが形成される。
【0044】
次に、移動装置200で切断器160を左に移動させる。連続紙Pが図11に示される位置まで搬送されると同時に、横カッタ16831〜16834を連続紙Pに打ち込む(図13におけるa4となる部分)。また、同時に横カッタ16852、横カッタ16862(図13の切り抜き部Nとなる部分)を打ち込む。これにより、新たにカッタを打ち込んだ部分に切込みが形成されて、連続紙Pが幅方向に沿って切断される(つまり、用紙aの端部a4が形成される)。また、用紙aに切り抜き部Nが形成される。なお、切り抜かれた不要部Qは、廃棄用紙収容箱58に廃棄される。
【0045】
そして、次の連続紙Pの切断のために、図12に示されるように、縦カッタ16621、縦カッタ16625が連続紙Pに打ち込まれる。このようにして、図13に示されるように、連続紙Pが切断、及び切り抜かれる。なお、連続紙Pから星形、角部が湾曲した長方形、及び円形等を切り抜く場合には、円形カッタ170を連続して連続紙Pに打ち込んで切抜き部が所望の形状となるようにする。
【0046】
また、用紙処理装置150では、制御部250によるカッタの打ち込みタイミングを調整すれば、連続紙Pにミシン目を形成することもできる。なお、このミシン目は連続紙Pの紙面に沿って任意の方向に形成することができる。
【0047】
第1実施形態の用紙処理装置10では、切断器160を複数備える構成としたが、幅方向Wの長さが連続紙Pの幅と同等の切断器を設けても構わない。また、縦カッタ166及び横カッタ168の配列は、所望の用紙サイズに合わせて種々変更しても構わない。以下に、一例としての用紙処理装置300を挙げる。図15に示されるように、用紙処理装置300は、切断器302を1つ有し、カッタの配列を第1実施形態のカッタの配列と異ならせている(図17参照)。なお、切断器302は、第1実施形態のように、円形カッタ170は備えていないが、備えていても構わない。この切断器302の横カッタ168は、刃先168Aが搬送方向Eから見たとき幅方向Wに繋がって見えるように配列されている(図16参照)。このように切断器302を構成することで、用紙処理装置300は、第1実施形態の用紙処理装置150と同様の作用効果を奏しながら、移動装置200を省略することができる。なお、用紙処理装置300でも移動装置200を用いて構わない。
【0048】
上述の実施形態では、横カッタ168の打ち込み動作時と、それ以外の動作時とでは、連続紙Pの搬送速度を一定としているが、本発明はこの構成に限定される必要はなく、横カッタ168の打ち込み動作時には、それ以外の動作時よりも連続紙Pの搬送速度を減速させても構わない。なお、この場合には、制御部250で、用紙処理システム12全体の搬送速度を制御できるようにする必要がある。
【0049】
また、上述の実施形態では、円形カッタ170で連続紙Pに孔を形成する構成としているが、本発明はこの構成に限定される必要はなく、多角形の刃先を有する多角形カッタを用いて多角形の孔を形成する構成でも、先端が尖った針状の部材(針部材)を連続紙Pに突き刺して連続紙Pに孔を形成する構成でも、図14に示されるような、刃先が星形の星形カッタ270、刃先が×字形の×字形カッタ280を用いてもよいものとする。
【0050】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】用紙処理システムの構成を示す全体図である。
【図2】本実施の形態に係る用紙処理装置の切断器を示す平面図である。
【図3】切断器が備えるカッタの配列を示す底面図である。
【図4】(A)切断器の縦カッタを搬送方向から見た図である。 (B)切断器の横カッタを幅方向から見た図である。(C)切断器の円形カッタを幅方向から見た図である。
【図5】切断器の縦カッタ部分の断面図である。
【図6】移動装置と切断器との関係を示す図である。
【図7】制御系の構成を示すブロック図である。
【図8】連続紙の切断位置を示すバーコードの説明図である。
【図9】連続紙の切断、切り抜き時のカッタの動作を説明する第1の説明図である。
【図10】連続紙の切断、切り抜き時のカッタの動作を説明する第2の説明図である。
【図11】連続紙の切断、切り抜き時のカッタの動作を説明する第3の説明図である。
【図12】連続紙の切断、切り抜き時のカッタの動作を説明する第4の説明図である。
【図13】第1実施形態の用紙処理装置を用いて、切断及び切り抜きが実施可能な用紙の形状を示す説明図である。
【図14】切断器のカッタの変形例を示す底面図である。
【図15】第1実施形態の切断器の変形例の平面図である。
【図16】第1実施形態の切断器の変形例を搬送方向から見た側面図である。
【図17】第1実施形態の切断器の変形例が備えるカッタの配列を示す底面図である。
【符号の説明】
【0052】
150 用紙処理装置
160 切断器
166 縦カッタ(第1刃物)
166A 刃先(第1刃物の刃先)
168 横カッタ(第2刃物)
168A 刃先(第2刃物の刃先)
170 円形カッタ(第3刃物)
170A 刃先(第3刃物の刃先)
172 ソレノイド(打ち込み手段)
180 読取センサ(読み取り手段)
185 バーコード(切断情報を記録した記録媒体)
200 移動装置(移動手段)
250 制御部(制御手段)
270 星形カッタ(第3刃物)
280 ×字形カッタ(第3刃物)
300 用紙処理装置
302 切断器
E 搬送方向(搬送される連続紙の搬送方向)
W 幅方向(連続紙の幅方向)
P 連続紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される連続紙の搬送経路上に設けられ且つ前記連続紙の幅方向に配列され、刃先が前記連続紙の搬送方向に向いた第1刃物と、前記搬送経路上に設けられ且つ前記連続紙の搬送方向及び幅方向に複数配列され、刃先が前記連続紙の幅方向に向いた第2刃物と、前記第1刃物の刃先及び前記第2刃物の刃先を前記連続紙に打ち込む打ち込み手段と、を有する切断器と、
前記切断器を前記連続紙の幅方向に移動させる移動手段と、
前記連続紙の切断情報に基づいて、前記切断器を前記連続紙の幅方向に移動すると共に、前記第1刃物の刃先又は前記第2刃物の刃先を打ち込む動作を制御する制御手段と、
を備える用紙処理装置。
【請求項2】
搬送される連続紙の搬送経路上に設けられ且つ前記連続紙の幅方向に配列され、刃先が前記連続紙の搬送方向に向いた第1刃物と、前記搬送経路上に設けられ且つ前記連続紙の搬送方向及び幅方向に複数配列され、刃先が前記連続紙の幅方向に向くと共に前記連続紙の搬送方向から見たとき幅方向に繋がって見える第2刃物と、前記第1刃物の刃先及び前記第2刃物の刃先を前記連続紙に打ち込む打ち込み手段と、を有する切断器と、
前記連続紙の切断情報に基づいて、前記第1刃物の刃先又は前記第2刃物の刃先を前記連続紙に打ち込む動作を制御する制御手段と、
を備える用紙処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記連続紙を搬送方向に沿って切断する場合、前記第1刃物の刃先が搬送される連続紙に打ち込まれた状態を維持することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の用紙処理装置。
【請求項4】
前記切断器は、前記連続紙の搬送方向から見たとき前記第1刃物の刃先が重なるように、前記第1刃物を前記連続紙の搬送方向へ配列した請求項3に記載の用紙処理装置。
【請求項5】
前記切断器は、前記連続紙の幅方向に配列され前記打ち込み手段で打ち込まれて前記連続紙に孔を形成する刃先を有する第3刃物を備える請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の用紙処理装置。
【請求項6】
前記切断器は、前記連続紙の幅方向に配列され前記打ち込み手段で打ち込まれて前記連続紙に円形孔を形成する尖端を有する針部材を備える請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の用紙処理装置。
【請求項7】
前記連続紙に設けられ、前記切断情報が記憶された記録媒体から前記切断情報を読み取り、前記制御手段に送信する読み取り手段を備える請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の用紙処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第2刃物の打ち込み動作に合わせて前記連続紙の搬送速度を制御する請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の用紙処理装置。
【請求項1】
搬送される連続紙の搬送経路上に設けられ且つ前記連続紙の幅方向に配列され、刃先が前記連続紙の搬送方向に向いた第1刃物と、前記搬送経路上に設けられ且つ前記連続紙の搬送方向及び幅方向に複数配列され、刃先が前記連続紙の幅方向に向いた第2刃物と、前記第1刃物の刃先及び前記第2刃物の刃先を前記連続紙に打ち込む打ち込み手段と、を有する切断器と、
前記切断器を前記連続紙の幅方向に移動させる移動手段と、
前記連続紙の切断情報に基づいて、前記切断器を前記連続紙の幅方向に移動すると共に、前記第1刃物の刃先又は前記第2刃物の刃先を打ち込む動作を制御する制御手段と、
を備える用紙処理装置。
【請求項2】
搬送される連続紙の搬送経路上に設けられ且つ前記連続紙の幅方向に配列され、刃先が前記連続紙の搬送方向に向いた第1刃物と、前記搬送経路上に設けられ且つ前記連続紙の搬送方向及び幅方向に複数配列され、刃先が前記連続紙の幅方向に向くと共に前記連続紙の搬送方向から見たとき幅方向に繋がって見える第2刃物と、前記第1刃物の刃先及び前記第2刃物の刃先を前記連続紙に打ち込む打ち込み手段と、を有する切断器と、
前記連続紙の切断情報に基づいて、前記第1刃物の刃先又は前記第2刃物の刃先を前記連続紙に打ち込む動作を制御する制御手段と、
を備える用紙処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記連続紙を搬送方向に沿って切断する場合、前記第1刃物の刃先が搬送される連続紙に打ち込まれた状態を維持することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の用紙処理装置。
【請求項4】
前記切断器は、前記連続紙の搬送方向から見たとき前記第1刃物の刃先が重なるように、前記第1刃物を前記連続紙の搬送方向へ配列した請求項3に記載の用紙処理装置。
【請求項5】
前記切断器は、前記連続紙の幅方向に配列され前記打ち込み手段で打ち込まれて前記連続紙に孔を形成する刃先を有する第3刃物を備える請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の用紙処理装置。
【請求項6】
前記切断器は、前記連続紙の幅方向に配列され前記打ち込み手段で打ち込まれて前記連続紙に円形孔を形成する尖端を有する針部材を備える請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の用紙処理装置。
【請求項7】
前記連続紙に設けられ、前記切断情報が記憶された記録媒体から前記切断情報を読み取り、前記制御手段に送信する読み取り手段を備える請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の用紙処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第2刃物の打ち込み動作に合わせて前記連続紙の搬送速度を制御する請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の用紙処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−234704(P2009−234704A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81763(P2008−81763)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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