説明

用紙剥離部材及び画像形成装置

【課題】剥離爪の交換時における、剥離爪の変形や破損を抑制するとともに、作業者の安全性を高める。
【解決手段】用紙剥離部材10は、感光体ドラムの周面に対向配置された支持部材に着脱自在に支持され、周面から用紙を剥離する。用紙剥離部材10は、先鋭形状の剥離爪40、保持部材50、及びカバー部材60を備える。保持部材50は、支持部材に対して着脱自在に構成され、周面へ向けて延出するように剥離爪40を保持する。カバー部材60は、保持部材50に対して着脱自在に構成され、保持部材50に装着された状態において剥離爪40の延出方向91の少なくとも一部を覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転体の周面に対向配置された所定の支持部材に着脱自在に支持され、回転体の周面から用紙を剥離する用紙剥離部材、及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体ドラム、転写ローラ、定着ローラ等の回転体の周面から用紙を剥離するために、用紙剥離部材が用いられることがある。従来の用紙剥離部材は、先鋭形状の剥離爪、及び剥離爪を保持する保持部材を備え、回転体の周面に剥離爪の先端部が圧接するように配置される(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このため、剥離爪は、多数の用紙を剥離しているうちに回転体との摩擦によって先端部が摩耗すると、交換する必要が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−255683公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の用紙剥離部材は、剥離爪を覆う部材を備えていないので、剥離爪の交換時に誤って用紙剥離部材を落下させると、剥離爪が変形や破損を生じやすかった。また、従来の用紙剥離部材では、交換時には剥離爪の全てが露出しているので、メンテナンスの作業者は安全性に対して高度な注意を払う必要が生じる。
【0006】
なお、剥離爪の保持部材からの突出量が短くなるように製造することも考えられるが、剥離爪が短いと、インサート成型等の製造工程において剥離爪を保持することが難しくなり、製造が困難になる。
【0007】
この発明の目的は、剥離爪の交換時における、剥離爪の変形や破損を抑制できるとともに、作業者の安全性を高めることができる用紙剥離部材、及びこれを備える画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の用紙剥離部材は、回転体の周面に対向配置された所定の支持部材に着脱自在に支持され、周面から用紙を剥離する。用紙剥離部材は、先鋭形状の剥離爪、保持部材、及びカバー部材を備える。保持部材は、支持部材に対して着脱自在に構成され、周面へ向けて延出するように剥離爪を保持する。カバー部材は、保持部材に対して着脱自在に構成され、保持部材に装着された状態において剥離爪の延出方向の少なくとも一部を覆う。
【0009】
この構成では、剥離爪の延出方向の少なくとも一部を覆うカバー部材が備えられ、カバー部材が保持部材に対して着脱自在に構成される。このため、剥離爪の交換は、保持部材にカバー部材が取り付けられた状態、即ち剥離爪の延出方向の少なくとも一部がカバー部材で覆われた状態で行うことができる。よって、剥離爪の交換時に、剥離爪のカバー部材からの突出量が短くなる。
【0010】
上述の構成において、保持部材は、第1孔部を有し、カバー部材は、弾性を有する樹脂製であり、第1孔部に弾性嵌合自在な第1突起部を有するように構成することができる。第1孔部に第1突起部を弾性嵌合させることで、保持部材にカバー部材を容易に保持させることができる。
【0011】
また、保持部材は、一方向に延びる第1リブをさらに有し、カバー部材は、第1リブに案内される案内溝をさらに有するように構成することができる。第1リブと案内溝とを摺動させながら保持部材にカバー部材を取り付けることができる。よって、カバー部材を保持部材の所定位置に取り付けることが容易になる。
【0012】
さらに、第1リブは、剥離爪の延出方向に平行に設けられることが好ましい。これによって、剥離爪を挿通させるようにしてカバー部材を保持部材に取り付けることができ、剥離爪の延出方向に直交する全方向から剥離爪を覆うようにカバー部材を構成することができる。したがって、剥離爪の交換時における、剥離爪の変形や破損をより抑制できるとともに、作業者の安全性をより高めることができる。
【0013】
この発明の画像形成装置は、上述のいずれかの構成の用紙剥離部材を備える。これによって、剥離爪の交換は、保持部材にカバー部材が取り付けられた状態、即ち剥離爪の延出方向の少なくとも一部がカバー部材で覆われた状態で行うことができる。
【0014】
上述の画像形成装置は、カバー部材が剥離爪の延出方向の全域を覆う第1取付状態にカバー部材を保持部材に保持させる第1保持機構と、保持部材の支持部材への装着方向における下流側へ保持部材が支持部材に対して変位するのにともなって、カバー部材を、第1取付状態から、剥離爪の先端部がカバー部材から露出する第2取付状態へ、保持部材に対して変位させる変位機構と、第2取付状態にカバー部材を保持部材に保持させる第2保持機構と、をさらに備えることが好ましい。
【0015】
この構成では、用紙剥離部材の支持部材への着脱時には、剥離爪は延出方向の全域がカバー部材によって覆われる。このため、剥離爪の交換時における、剥離爪の変形や破損をより抑制できるとともに、作業者の安全性をより高めることができる。また、用紙剥離部材を支持部材に装着する過程で、カバー部材が第1取付状態から第2取付状態へ変位する。このため、用紙剥離部材を支持部材に装着することで、別の作業をすることなく、用紙剥離部材を、剥離爪の先端部がカバー部材に覆われた状態から露出した状態に変化させることができるので、作業性がよい。
【0016】
また、保持部材は、第1孔部、及び延出方向に平行に延びる第1リブを有し、カバー部材は、弾性を有する樹脂製であり、剥離爪の延出方向の全域を覆う状態で第1孔部に弾性嵌合自在な第1突起部、及び第1リブに案内される案内溝を有し、支持部材は、保持部材の支持部材への装着方向であって延出方向に直交する装着方向の上流側へそれぞれ突出する案内軸、第2突起部、及び第2リブを有し、第2リブは、延出方向に沿って延び、装着方向における第2リブの上流側端部に、延出方向の反対方向であるカバー部材の保持部材への取付方向における下流側ほど装着方向における下流側へ傾斜する傾斜部を有し、保持部材は、案内軸に嵌合しつつ装着方向に沿って摺動する嵌合孔、及び取付方向において第1孔部よりも下流側に設けられる第2孔部をさらに有し、カバー部材は、第1突起部が第1孔部に弾性嵌合した状態の保持部材が支持部材に対して装着方向の下流側へ変位することで第2突起部に押圧される押圧部であって第2突起部による押圧時に第1突起部を第1孔部から抜脱させる方向へ変位する押圧部、及び、保持部材が装着方向の下流側へ変位するのにともなって傾斜部を摺動する摺動部をさらに有し、第1突起部は、摺動部が傾斜部を摺動した後に第2孔部に弾性嵌合するように構成することができる。
【0017】
この構成では、第1リブと案内溝とを摺動させながら保持部材にカバー部材を取り付けて、第1孔部に第1突起部を弾性嵌合させることで、カバー部材は、剥離爪の延出方向の全域を覆う第1取付状態になる。第1リブは、剥離爪の延出方向に平行に設けられるので、剥離爪を挿通させるようにしてカバー部材を保持部材に取り付けることができ、剥離爪の延出方向に直交する全方向から剥離爪を覆うようにカバー部材を構成することができる。また、保持部材の支持部材への装着時に剥離爪の延出方向の全域がカバー部材によって覆われることで、剥離爪の交換時における、剥離爪の変形や破損をより抑制できるとともに、作業者の安全性をより高めることができる。
【0018】
また、保持部材の嵌合孔を支持部材の案内軸に嵌合及び摺動させつつ保持部材を支持部材に対して装着方向の下流側へ変位させることで、カバー部材の押圧部が支持部材の第2突起部に押圧されて保持部材から離間する方向へ変位し、カバー部材の第1突起部が保持部材の第1孔部から抜脱する。保持部材を支持部材に対して装着方向の下流側へさらに変位させることで、カバー部材の摺動部が支持部材の第2リブの傾斜部を摺動し、案内溝が第1リブに案内されながらカバー部材が保持部材に対して取付方向の下流側へ変位する。これによって、カバー部材の第1突起部は保持部材の第2孔部に弾性嵌合し、カバー部材は、剥離爪の先端部がカバー部材から露出した第2取付状態になり、用紙剥離部材は回転体の周面から用紙を剥離できるようになる。このように、用紙剥離部材を支持部材に装着することで、別の作業をすることなく、用紙剥離部材を、剥離爪の先端部がカバー部材に覆われた状態から露出した状態に変化させることができるので、作業性がよい。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、剥離爪の交換時における、剥離爪の変形や破損を抑制できるとともに、作業者の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の第1実施形態に係る用紙剥離部材を備えた画像形成装置の概略の構成図である。
【図2】用紙剥離部材及びその周辺の部材を示す図である。
【図3】用紙剥離部材の正面図であり、(A)はその分解図であり、(B)は保持部材にカバー部材が取り付けられた状態を示す図である。
【図4】第2実施形態に係る用紙剥離部材の正面図であり、(A)はその分解図であり、(B)は保持部材にカバー部材が取り付けられた状態を示す図である。
【図5】第3実施形態に係る用紙剥離部材の正面図であり、(A)はその分解図であり、(B)は保持部材にカバー部材が取り付けられた状態を示す図である。
【図6】第4実施形態に係る用紙剥離部材が適用された画像形成装置に備えられる支持部材を示す図であり、(A)はその平面図であり、(B)は正面図である。
【図7】第4実施形態に係る用紙剥離部材の保持部材を示す図であり、(A)はその平面視断面図であり、(B)は正面図である。
【図8】第4実施形態に係る用紙剥離部材のカバー部材を示す図であり、(A)はその平面図であり、(B)は正面図である。
【図9】第4実施形態に係る用紙剥離部材を支持部材に装着する過程を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は正面図である。
【図10】第4実施形態に係る用紙剥離部材を支持部材に装着する過程を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は正面図である。
【図11】第4実施形態に係る用紙剥離部材を支持部材に装着する過程を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は正面図である。
【図12】第4実施形態に係る用紙剥離部材を支持部材に装着する過程を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は正面図である。
【図13】第4実施形態に係る用紙剥離部材を支持部材に装着する過程を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示すように、この発明の第1実施形態に係る用紙剥離部材10が適用された画像形成装置100は、画像読取部200、画像形成部300、及び給紙部400を備えている。
【0022】
画像読取部200は、自動原稿搬送装置(ADF:Automatic DocumentFeeder)201、第1原稿台202、第2原稿台203、第1ミラーベース204、第2ミラーベース205、レンズ206及び固体撮像素子(CCD:Charge Coupled Device)207を備えている。
【0023】
ADF201は、原稿トレイ211から第2原稿台203を経由して排出トレイ212に至る間に原稿を1枚ずつ搬送する。ADF201は、第1原稿台202の上面を開閉自在に被覆するように、背面側を支点に回動自在にされている。前面側が上方に移動するようにADF201を回動させて第1原稿台202の上面を露出させることにより、手動操作によって第1原稿台202に原稿を載置することができる。
【0024】
第1原稿台202及び第2原稿台203は、ともに硬質ガラス板によって構成されている。第1ミラーベース204及び第2ミラーベース205は、第1原稿台202及び第2原稿台203の下方において水平方向に移動自在にされている。第2ミラーベース205の移動速度は、第1ミラーベース204の移動速度の1/2にされている。第1ミラーベース204は、光源及び第1ミラーを搭載している。第2ミラーベース205は、第2ミラー及び第3ミラーを搭載している。
【0025】
ADF201によって搬送される原稿の画像を読み取る際には、第1ミラーベース204は、第2原稿台203の下方に停止している。光源の光は、第2原稿台203上を通過する原稿の画像面に向けて照射され、原稿の画像面における反射光が第1ミラーによって第2ミラーベース205に向けて反射される。
【0026】
第1原稿台202に載置された原稿の画像を読み取る際には、第1ミラーベース204及び第2ミラーベース205は、第1原稿台202の下方を水平方向に移動する。光源の光は、第1原稿台202上に載置された原稿の画像面に向けて照射され、原稿の画像面における反射光が第1ミラーによって第2ミラーベース205に向けて反射される。
【0027】
ADF201を用いるか否かに拘らず、原稿の画像面における反射光は、光路長を一定にして、第2ミラー及び第3ミラーによってレンズ206を経由してCCD207に入射する。
【0028】
CCD207は、原稿の画像面における反射光の光量に応じた電気信号を出力する。この電気信号は、図示しない画像処理部へ送られて各種の画像処理が施された後、画像形成装置100に備えられた記憶部に一旦記憶され、必要に応じて画像形成部300に画像データとして入力される。
【0029】
画像形成部300は、プロセス部30を備えている。プロセス部30は、感光体ドラム31、帯電器32、露光装置33、現像装置34、転写ユニット35、クリーナ36及び定着装置37を備えている。
【0030】
感光体ドラム31は、周面に感光層を有し、所定方向に回転する。帯電器32は、感光体ドラム31の周面を所定の電位に帯電させる。
【0031】
露光装置33は、感光体ドラム31の周面に画像データに基づく光を照射する。これによって、感光体ドラム31の周面には、感光層における光導電作用によって静電潜像が形成される。
【0032】
現像装置34は、感光体ドラム31の周面にトナーを供給することで、静電潜像をトナー像に可視像化する。
【0033】
転写ユニット35は、感光体ドラム31の下方に配置されており、転写ベルト35A及び転写ローラ35Bを備えている。転写ベルト35Aは、複数のローラ間にループ状に張架されており、所定の電気抵抗値を有する。転写ローラ35Bは、転写ベルト35Aのループ状の移動経路の内側において、転写ベルト35Aを挟んで感光体ドラム31の周面に圧接するように配置されている。転写ローラ35Bには、トナー像の転写時に、所定の転写電圧が印加される。転写ローラ35Bに転写電圧が印加されることで、転写ベルト35Aと感光体ドラム31の周面とが対向する転写位置に転写電界が形成され、転写位置を通過する用紙に、感光体ドラム31の周面に担持されたトナー像が転写される。
【0034】
クリーナ36は、用紙へのトナー像の転写を終えた感光体ドラム31の周面から、残留しているトナーを除去する。
【0035】
感光体ドラム31の周囲における転写ローラ35Bとクリーナ36との間に、用紙剥離部材10が配置されている。
【0036】
定着装置37は、用紙搬送方向に沿って転写位置の下流側に配置されている。定着装置37は、加熱ローラ37A及び加圧ローラ37Bを有している。定着装置37は、用紙に担持されている未定着のトナー像を、熱及び圧力によって用紙に定着させる。
【0037】
画像を形成された用紙は、排紙トレイ38に収容される。
【0038】
給紙部400は、給紙カセット401,402,403,404及び手差しトレイ405を備えている。給紙部400は、給紙カセット401,402,403,404又は手差しトレイ405の何れかからプロセス部30へ、用紙を1枚ずつ供給する。用紙として、普通紙、印画紙及びOHPフィルム等の記録媒体が挙げられる。
【0039】
図2に示すように、感光体ドラム31の周面と転写ベルト35Aとが対向する転写位置に転写電界が形成される。給紙部400から給紙された用紙は、転写位置へ供給され、感光体ドラム31の周面に圧接する。感光体ドラム31の周面に担持されたトナー像は、転写電界によって用紙へ転写される。用紙は、転写電界中を通過することで帯電するので、感光体ドラム31の周面に吸着しやすい。用紙剥離部材10は、感光体ドラム31の周面に静電吸着した用紙を感光体ドラム31の周面から剥離する。
【0040】
転写ローラ35Bとクリーナ36との間において感光体ドラム31の周面に対向する所定位置に、支持部材20が配置されている。用紙剥離部材10は、支持部材20に着脱自在に支持されている。
【0041】
図3(A)及び図3(B)に示すように、用紙剥離部材10は、剥離爪40の他に、保持部材50、及びカバー部材60を備えている。
【0042】
剥離爪40は、金属製の針状で、先鋭形状を呈している。剥離爪40が金属製なので、感光体ドラム31の周面との摩擦による摩耗に対する耐久性が高い。
【0043】
保持部材50は、概略的には板状を呈し、嵌合孔51、第1孔部52、及び第1リブ53を有している。保持部材50は、支持部材20に対して着脱自在に構成されている。保持部材50は、嵌合孔51の反対側端部に、剥離爪40の基端部を保持している。
【0044】
嵌合孔51が支持部材20の案内軸に嵌合することで、用紙剥離部材10は、剥離爪40が感光体ドラム31の周面へ向けて延出するように支持部材20に装着される。用紙剥離部材10は、案内軸を中心として揺動自在に構成され、剥離爪40が感光体ドラム31の周面に圧接するように、図示しないバネ等の弾性部材によって付勢される。
【0045】
第1リブ53は、剥離爪40の近傍に設けられ、剥離爪40の延出方向91に平行に延びるように形成されている。一例として、第1リブ53は、保持部材50の両側面に設けられている。
【0046】
第1孔部52は、延出方向91の反対方向であるカバー部材60の保持部材50への取付方向92において、第1リブ53の下流側端部の近傍に設けられている。
【0047】
カバー部材60は、弾性を有する樹脂製であり、一対の挟持部61,62(但し、挟持部62は図示されていない。)、及び連結部63を有している。挟持部61,62は、取付方向92の上流側の端部を連結部63にそれぞれ支持され、互いに対向している。挟持部61,62には、第1リブ53が摺動することで第1リブ53に案内される案内溝64が設けられている。また、一方の挟持部61には、第1孔部52に弾性嵌合自在な第1突起部65が設けられている。さらに、連結部63には、剥離爪40が貫通自在な針孔66が設けられている。
【0048】
針孔66に剥離爪40を挿通させ、第1リブ53と案内溝64とを摺動させながら、カバー部材60を保持部材50に対して取付方向92へ移動させることで、一対の挟持部61,62が保持部材50を弾性力によって挟み付け、第1孔部52に第1突起部65が弾性嵌合する。案内溝64に第1リブ53が嵌まり込むことと、第1孔部52に第1突起部65が弾性嵌合することで、保持部材50にカバー部材60が取り付けられる。
【0049】
一方、カバー部材60は弾性を有するので、一対の挟持部61,62を互いに離間する方向へ撓ませ、第1突起部65を第1孔部52から抜脱し、カバー部材60を保持部材50に対して延出方向91へ移動させることで、カバー部材60は保持部材50から取り外される。
【0050】
カバー部材60が保持部材50に取り付けられた状態において、剥離爪40が針孔66に挿通されるので、剥離爪40の延出方向91の一部は、延出方向91に直交する全方向からカバー部材60によって覆われる。即ち、剥離爪40の延出方向91の一部は、全周にわたってカバー部材60によって覆われる。
【0051】
カバー部材60は保持部材50に対して着脱自在に構成されるので、剥離爪40の交換は、保持部材50にカバー部材60が取り付けられた状態、即ち剥離爪40の延出方向91の一部がカバー部材60で覆われた状態で行うことができる。よって、剥離爪40の交換時に、剥離爪40のカバー部材60からの突出量が短くなる。したがって、剥離爪40の交換時における、剥離爪40の変形や破損を抑制できるとともに、作業者の安全性を高めることができる。
【0052】
図4(A)及び図4(B)に示すように、第2実施形態に係る用紙剥離部材10Aは、カバー部材60Aが保持部材50Aに取り付けられる方向を除いて、用紙剥離部材10と同様に構成されている。
【0053】
用紙剥離部材10Aでは、保持部材50Aの第1リブ53Aは、延出方向91に直交する垂直方向に沿って延びるように設けられている。一例として、第1リブ53Aは、第1孔部52を挟むように2個、設けられている。
【0054】
カバー部材60Aは、断面U字状を呈し、下方へ開口している。案内溝64Aは、第1リブ53Aに案内されるように、延出方向91に直交する垂直方向に沿って延びるように設けられている。一例として、案内溝64Aは、第1突起部65を挟むように2個、設けられている。
【0055】
用紙剥離部材10Aでは、カバー部材60Aは、保持部材50Aに、上側から取り付けられる。剥離爪40は、延出方向91の一部が、延出方向91に直交する3方向からカバー部材60Aによって覆われる。
【0056】
用紙剥離部材10Aによっても、保持部材50Aにカバー部材60Aが取り付けられ、剥離爪40の延出方向91の一部がカバー部材60Aで覆われた状態で、剥離爪40の交換を行うことができる。
【0057】
図5(A)及び図5(B)に示すように、第3実施形態に係る用紙剥離部材10Bは、カバー部材60Bが保持部材50Bに取り付けられる方向を除いて、用紙剥離部材10Aと同様に構成されている。
【0058】
用紙剥離部材10Bでは、保持部材50Bの第1リブ53Bは、延出方向91に直交する垂直方向に沿って延びるように設けられている。一例として、第1リブ53Bは、第1孔部52を挟むように2個、設けられている。
【0059】
カバー部材60Bは、断面U字状を呈し、上方へ開口している。案内溝64Bは、第1リブ53Bに案内されるように、延出方向91に直交する垂直方向に沿って延びるように設けられている。一例として、案内溝64Bは、第1突起部65を挟むように2個、設けられている。
【0060】
用紙剥離部材10Bでは、カバー部材60Bは、保持部材50Bに、下側から取り付けられる。剥離爪40は、延出方向91の一部が、延出方向91に直交する3方向からカバー部材60Bによって覆われる。
【0061】
用紙剥離部材10Bによっても、剥離爪40の交換を、保持部材50Bにカバー部材60Bが取り付けられ、剥離爪40の延出方向91の一部がカバー部材60Bで覆われた状態で行うことができる。
【0062】
次に、図6(A)〜図13(B)を用いて、第4実施形態に係る用紙剥離部材10Cが適用された画像形成装置100について説明する。なお、図6〜図13では、説明の便宜上、隠れ線を実線で示している部分がある。
【0063】
図6(A)及び図6(B)に示すように、支持部材20Cは、保持部材50Cの支持部材20Cへの装着方向93であって延出方向91に直交する装着方向93の上流側へそれぞれ突出する案内軸21C、第2突起部22C、及び第2リブ23Cを有している。
【0064】
第2リブ23Cは、延出方向91に沿って延びている。第2リブ23Cは、装着方向93における第2リブ23Cの上流側端部に、傾斜部24Cを有している。傾斜部24Cは、延出方向91の反対方向であるカバー部材60Cの保持部材50Cへの取付方向92における下流側ほど装着方向93における下流側へ傾斜している。
【0065】
図7(A)及び図7(B)に示すように、保持部材50Cは、概略的には板状を呈しており、嵌合孔51C、第1孔部52C、第1リブ53C、及び第2孔部54Cを有している。保持部材50Cは、剥離爪40の基端部を保持している。
【0066】
嵌合孔51Cは、支持部材20Cの案内軸21Cに嵌合しつつ装着方向93に沿って摺動するように構成されている。案内軸21Cに嵌合孔51Cが嵌合することで保持部材50Cが支持部材20Cに装着され、案内軸21Cから嵌合孔51Cが抜去されることで保持部材50Cが支持部材20Cから離脱する。
【0067】
第1リブ53Cは、剥離爪40の近傍に設けられ、剥離爪40の延出方向91に平行に延びるように形成されている。第1リブ53Cは、保持部材50Cの両側面に設けられている。
【0068】
第1孔部52Cは、取付方向92において、第1リブ53Cの下流側端部の近傍に設けられている。第2孔部54Cは、取付方向92において第1孔部52Cよりも下流側に設けられている。
【0069】
図8(A)及び図8(B)に示すように、カバー部材60Cは、弾性変形自在な樹脂製であり、保持部材50Cに対して着脱自在であり、一対の挟持部61C,62C、及び連結部63Cを有している。
【0070】
挟持部61C,62Cは、取付方向92の上流側の端部を連結部63Cにそれぞれ支持され、連結部63Cよりも取付方向92の下流側において互いに対向している。挟持部61C,62Cには、第1リブ53Cが摺動することで第1リブ53Cに案内される案内溝64Cが設けられている。また、一方の挟持部61Cには、第1孔部52C及び第2孔部54Cに弾性嵌合自在な第1突起部65Cが設けられている。第1突起部65Cは、カバー部材60Cが剥離爪40の延出方向91の全域を覆う状態で第1孔部52Cに弾性嵌合自在に構成されている。
【0071】
連結部63Cは、剥離爪40が貫通自在な針孔66Cを有している。また、連結部63Cは、針孔66Cを構成する部分から取付方向92の上流側へ突出する一対の舌片部69Cをさらに有している。カバー部材60Cが保持部材50Cに取り付けられた際に、一対の舌片部69Cは、延出方向91に直交する方向であって互いに対向する2方向から剥離爪40を覆う。
【0072】
カバー部材60Cは、押圧部67C及び摺動部68Cをさらに有している。押圧部67Cは、挟持部61Cから上方へ舌片状に延び、取付方向92における押圧部67Cの上流側縁部が摺動部68Cに該当する。第1突起部65Cは、押圧部67Cの下側に設けられており、押圧部67Cが押圧されると第1突起部65Cも変位する。
【0073】
図9(A)及び図9(B)に示すように、針孔66Cに剥離爪40を挿通させ、第1リブ53Cと案内溝64Cとを摺動させながら、カバー部材60Cを保持部材50Cに対して取付方向92へ移動させることで、一対の挟持部61C,62Cが保持部材50Cを弾性力によって挟み付け、第1孔部52Cに第1突起部65Cが弾性嵌合する。これによって、カバー部材60Cは、剥離爪40の延出方向91の全域を覆う第1取付状態になる。第1孔部52C、第1突起部65C、第1リブ53C、及び案内溝64Cは、カバー部材60Cを保持部材50Cに第1取付状態に保持させる第1保持機構に含まれる。
【0074】
第1取付状態において、剥離爪40が針孔66Cに挿通されるので、剥離爪40の延出方向91の少なくとも一部は、延出方向91に直交する全方向からカバー部材60Cによって覆われる。即ち、剥離爪40の延出方向91の少なくとも一部は、全周にわたってカバー部材60Cによって覆われる。
【0075】
保持部材50Cの支持部材20Cに対する着脱時に剥離爪40の延出方向91の全域がカバー部材60Cによって覆われるので、剥離爪40の交換時における、剥離爪40の変形や破損をより抑制できるとともに、作業者の安全性をより高めることができる。
【0076】
図10(A)及び図10(B)に示すように、保持部材50Cの嵌合孔51Cを支持部材20Cの案内軸21Cに嵌合及び摺動させつつ、第1突起部65Cが第1孔部52Cに弾性嵌合した状態の保持部材50Cを支持部材20Cに対して装着方向93の下流側へ変位させることで、カバー部材60Cの押圧部67Cが支持部材20Cの第2突起部22Cに押圧されて保持部材50Cから離間する方向へ変位し、カバー部材60Cの第1突起部65Cが保持部材50Cの第1孔部52Cから抜脱する。
【0077】
図11(A)、図11(B)、図12(A)、及び図12(B)に示すように、保持部材50Cを支持部材20Cに対して装着方向93の下流側へさらに変位させるのにともなって、カバー部材60Cの摺動部68Cが支持部材20Cの第2リブ23Cの傾斜部24Cを摺動し、案内溝64Cが第1リブ53Cに案内されながらカバー部材60Cが保持部材50Cに対して取付方向92の下流側へ変位する。
【0078】
これによって、図13(A)及び図13(B)に示すように、カバー部材60Cの第1突起部65Cは保持部材50Cの第2孔部54Cに弾性嵌合し、カバー部材60Cは、剥離爪40の先端部がカバー部材60Cから露出した第2取付状態になり、用紙剥離部材10Cは感光体ドラム31の周面から用紙を剥離できるようになる。このように、用紙剥離部材10Cを支持部材20Cに装着することで、別の作業をすることなく、用紙剥離部材10Cを、剥離爪40の先端部がカバー部材60Cに覆われた状態から露出した状態へ変化させることができるので、作業性がよい。
【0079】
第2突起部22C、押圧部67C、第2リブ23Cの傾斜部24C、及び摺動部68Cは、装着方向93における下流側へ保持部材50Cが支持部材20Cに対して変位するのにともなって、カバー部材60Cを、第1取付状態から、剥離爪40の先端部がカバー部材60Cから露出する第2取付状態へ、保持部材50Cに対して変位させる変位機構に含まれる。
【0080】
第2孔部54C、第1突起部65C、第1リブ53C、及び案内溝64Cは、カバー部材60Cを保持部材50Cに第2取付状態に保持させる第2保持機構に含まれる。
【0081】
なお、用紙剥離部材10,10A,10B,10Cは、感光体ドラム31から用紙を剥離するように構成されることに限定されず、加熱ローラ37Aや転写ローラ35Bから用紙を剥離するように構成することもでき、この場合でも、剥離爪40の交換時における、剥離爪40の変形や破損を抑制できるとともに、作業者の安全性を高めることができるという効果を奏することができる。
【0082】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0083】
10,10A,10B,10C 用紙剥離部材
20,20C 支持部材
21C 案内軸
22C 第2突起部
23C 第2リブ
24C 傾斜部
40 剥離爪
50,50A,50B,50C 保持部材
51,51C 嵌合孔
52,52C 第1孔部
53,53A,53B,53C 第1リブ
54C 第2孔部
60,60A,60B,60C カバー部材
61,62,61C,62C 挟持部
63,63C 連結部
64,64A,64B,64C 案内溝
65,65C 第1突起部
66,66C 針孔
67C 押圧部
68C 摺動部
91 延出方向
92 取付方向
93 装着方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の周面に対向配置された所定の支持部材に着脱自在に支持され、前記周面から用紙を剥離する用紙剥離部材であって、
先鋭形状の剥離爪と、
前記支持部材に対して着脱自在に構成され、前記周面へ向けて延出するように前記剥離爪を保持する保持部材と、
前記保持部材に対して着脱自在に構成され、前記保持部材に装着された状態において前記剥離爪の延出方向の少なくとも一部を覆うカバー部材と、を備える用紙剥離部材。
【請求項2】
前記保持部材は、第1孔部を有し、
前記カバー部材は、弾性を有する樹脂製であり、前記第1孔部に弾性嵌合自在な第1突起部を有する、請求項1に記載の用紙剥離部材。
【請求項3】
前記保持部材は、一方向に延びる第1リブをさらに有し、
前記カバー部材は、前記第1リブに案内される案内溝をさらに有する、請求項1又は2に記載の用紙剥離部材。
【請求項4】
前記第1リブは、前記延出方向に平行に設けられる、請求項3に記載の用紙剥離部材。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の用紙剥離部材を備える画像形成装置。
【請求項6】
前記カバー部材が前記剥離爪の前記延出方向の全域を覆う第1取付状態に前記カバー部材を前記保持部材に保持させる第1保持機構と、
前記保持部材の前記支持部材への装着方向における下流側へ前記保持部材が前記支持部材に対して変位するのにともなって、前記カバー部材を、前記第1取付状態から、前記剥離爪の先端部が前記カバー部材から露出する第2取付状態へ、前記保持部材に対して変位させる変位機構と、
前記第2取付状態に前記カバー部材を前記保持部材に保持させる第2保持機構と、をさらに備える請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記保持部材は、第1孔部、及び前記延出方向に平行に延びる第1リブを有し、
前記カバー部材は、弾性を有する樹脂製であり、前記剥離爪の前記延出方向の全域を覆う状態で前記第1孔部に弾性嵌合自在な第1突起部、及び前記第1リブに案内される案内溝を有し、
前記支持部材は、前記保持部材の前記支持部材への装着方向であって前記延出方向に直交する装着方向の上流側へそれぞれ突出する案内軸、第2突起部、及び第2リブを有し、
前記第2リブは、前記延出方向に沿って延び、前記装着方向における前記第2リブの上流側端部に、前記延出方向の反対方向である前記カバー部材の前記保持部材への取付方向における下流側ほど前記装着方向における下流側へ傾斜する傾斜部を有し、
前記保持部材は、前記案内軸に嵌合しつつ前記装着方向に沿って摺動する嵌合孔、及び前記取付方向において前記第1孔部よりも下流側に設けられる第2孔部をさらに有し、
前記カバー部材は、
前記第1突起部が前記第1孔部に弾性嵌合した状態の前記保持部材が前記支持部材に対して前記装着方向の下流側へ変位することで前記第2突起部に押圧される押圧部であって前記第2突起部による押圧時に前記第1突起部を前記第1孔部から抜脱させる方向へ変位する押圧部、及び、
前記保持部材が前記装着方向の下流側へ変位するのにともなって前記傾斜部を摺動する摺動部をさらに有し、
前記第1突起部は、前記摺動部が前記傾斜部を摺動した後に前記第2孔部に弾性嵌合する、請求項5又は6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−97078(P2013−97078A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238107(P2011−238107)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】