用紙加工装置
【課題】大きな動力源を必要とせず、かつ、製品の搬送方向の寸法を簡単に変更できる、コンパクトな用紙切断装置を提供する。
【解決手段】搬送幅方向に間隔をおいて対向配置された面取り用型抜き刃の対を、搬送幅方向に沿う同一直線上に複数対配置してある面取り用の型抜き機構15と、用紙を搬送方向Fに沿って切断する回転刃61aを、搬送幅方向に間隔をおいて複数枚配置してある回転刃型切断機構16と、用紙を搬送幅方向に沿って切断する上下一対の切断刃を有する往復刃型切断機構17とを備えている。好ましくは、往復刃型切断機構17を最も搬送下流側に配置する。
【解決手段】搬送幅方向に間隔をおいて対向配置された面取り用型抜き刃の対を、搬送幅方向に沿う同一直線上に複数対配置してある面取り用の型抜き機構15と、用紙を搬送方向Fに沿って切断する回転刃61aを、搬送幅方向に間隔をおいて複数枚配置してある回転刃型切断機構16と、用紙を搬送幅方向に沿って切断する上下一対の切断刃を有する往復刃型切断機構17とを備えている。好ましくは、往復刃型切断機構17を最も搬送下流側に配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に加工を施す用紙加工装置に関し、特に、搬送経路に沿って搬送機構により用紙を一枚ずつ搬送し、搬送経路内で、各用紙を複数の矩形状の製品に切り離すと共に各製品の角部を面取り加工する用紙加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、面取り加工を含む加工を施す用紙加工装置として、特許文献1及び特許文献2に記載された装置がある。特許文献1の用紙加工装置は、いわゆるトムソン刃型打ち抜き機と呼ばれており、製品の全周に対応する形状の打ち抜き刃を上型に設け、一度の打ち抜き工程により、面取り部を含む製品全周を打ち抜くようになっている。
【0003】
特許文献2の用紙加工装置は、図16のように、用紙Nを搬送方向Fと平行な切断線O1により切断する回転刃200と、搬送方向Fと直交する搬送幅方向Wと平行な切断線O2により切断すると同時に、製品Pの角部を面取り加工する型抜き刃201とを、搬送方向Fに間隔をおいて配置している。すなわち、回転刃200により搬送方向Fに沿って余分な端部(マージン部)を切り離した後、型抜き刃201により沿う幅方向Wに沿って切断すると同時に面取り部Pmを型抜き加工するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−331263号公報
【特許文献2】特開昭62−239156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のトムソン刃型打ち抜き機では、1回の打ち抜き工程で製品を製作することができるので、作業能率は向上するが、各種大きさの型を装着するための汎用性を確保する必要があるため、装置が大型化し、プリントショップ等の小規模店舗には適していない。また、寸法が異なる各種製品を得るためには、製品毎に型交換が必要となり、型の製作コストが嵩むと共に、小ロットの製品加工には適していない。
【0006】
特許文献2の用紙加工装置では、製品Pの面取り部Pmと搬送幅方向Wと平行な端辺Paとを同時に加工するために、型駆動用に大きな押圧力が必要となり、駆動源が大形化するという課題がある。また、打ち抜き作業時、型抜き刃201に大きな負荷が掛かるため、型抜き刃201が早く消耗し、型抜き刃201のメンテナンスあるいは交換を行う期間が短くなる。
【0007】
また、前記特許文献1、2に記載された用紙加工装置の他に、まず、製品を矩形状に切り離し、その後、矩形状の中間製品を多数重ね合わせ、角部を一度に切断して面取り部を形成する方法があるが、面取り加工が別工程となり、作業能率が低下し、コスト高につながるという課題がある。
【0008】
本発明は、大きな駆動源を必要とせず、かつ、製品の搬送方向の寸法を簡単に変更できる、コンパクトな用紙加工装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、搬送経路に沿って搬送機構により用紙を一枚ずつ搬送し、搬送経路内で、各用紙を複数の矩形状の製品に切り離すと共に各製品の角部を面取り加工する用紙加工装置において、搬送方向と直交する搬送幅方向に間隔をおいて対向配置された面取り用型抜き刃の対を、搬送幅方向に沿う同一直線上に複数対配置してある、面取り用の型抜き機構と、前記用紙を搬送方向に沿って切断する回転刃を、搬送幅方向に間隔をおいて複数枚配置してある、回転刃型切断機構と、前記用紙を搬送幅方向に沿って切断する上下一対の切断刃を有する往復刃型切断機構とを、備えている。
【0010】
前記用紙加工装置において、好ましくは、搬送上流側から順に、面取り用の型抜き機構、回転刃型切断機構及び往復刃型切断機構を配置するか、あるいは、搬送上流側から順に、回転刃型切断機構、面取り用の型抜き機構及び往復刃型切断機構を配置する。要するに、前記往復刃型切断機構を最も搬送下流側に配置する。
【0011】
また、前記用紙加工装置において、好ましくは、面取り用の型抜き機構は、製品の搬送下流側の角部に対応する形状の面取り用型抜き刃と、製品の搬送上流側の角部に対応する形状の面取り用型抜き刃とが、同一のベース部材に取り付けられている。
【0012】
また、前記用紙加工装置において、好ましくは、前記面取り用の型抜き刃の形状は、L字状に開く2辺の為す角度が、直角よりも大きく設定されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、一枚の用紙から面取り部を有する複数枚の矩形状製品を製作する場合に、搬送方向と平行な製品端辺と、搬送方向と直交する搬送幅方向と平行な製品端辺と、製品の四隅の面取り部とを、一つの用紙加工ライン上で、それぞれ独立した工程で順次加工するので、型抜き刃駆動用の大きな駆動源を必要とせず、駆動源及び装置全体を小型化することができる。
【0014】
また、搬送方向の寸法が異なる各種規格の製品に対し、型抜き機構及び往復刃切断機構の作動タイミングあるいは用紙の送り速度を調節することにより、一種類の型抜き刃及び往復型切断機構の切断刃によって各種規格の製品を加工することができ、型製作コストを節約することができる。
【0015】
また、往復刃型切断機構を最も搬送下流側の最終工程として配置していることにより、最終工程までは、加工前の用紙の搬送方向の全長が維持されるので、搬送中の用紙の斜行を防ぎ、切断位置及び型抜き位置のずれを防止し、寸法精度の良い製品を提供できる。
【0016】
また、面取り用の型抜き刃の形状を、L字状に開く2辺の為す角度が、直角よりも大きく設定することにより、たとえ、型抜き刃の位置が、裁断刃あるいは切断刃の位置とずれていても、製品完成時、面取り部と製品の端辺とを、滑らかに連続させることができ、製品に品質を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る用紙加工装置の模式縦断面図である。
【図2】図1の用紙加工装置の型抜き機構のII-II断面拡大図である。
【図3】図2の型抜き機構のIII-III断面図である。
【図4】図2の型抜き機構の要部を下方から見た斜視図である。
【図5】図1の用紙加工装置の回転刃型切断機構のV-V断面拡大図である。
【図6】第1の実施の形態における面取り加工工程終了時の用紙の平面図である。
【図7】第1の実施の形態における搬送方向に沿った切断工程終了時の用紙の平面図である。
【図8】第1の実施の形態における搬送幅方向に沿った切断工程終了時の用紙の平面図である。
【図9】第1の実施の形態における面取り加工工程時の型抜き機構の斜視図である。
【図10】第1の実施の形態における搬送方向に沿った切断行程時の回転刃型切断機構の斜視図である。
【図11】第1の実施の形態における搬送幅方向に沿った切断行程時の往復刃型切断機構の斜視図である。
【図12】型抜き機構の型抜き刃の拡大平面図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る用紙加工装置の模式縦断面図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る用紙加工装置の模式縦断面図である。
【図15】第3の実施の形態における回転刃型切断機構の斜視図である。
【図16】従来例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1の実施の形態]
図1は本発明の第1の実施の形態に係る用紙加工装置の模式縦断面図である。用紙加工装置は、装置本体10の用紙の搬送方向F側の端部(搬送方向下流側端部)に排紙部12を備え、用紙搬送方向F側とは反対側の端部(搬送方向上流側端部)に、用紙を一枚ずつ給紙する給紙部11を備え、該給紙部11と排紙部12との間に、略水平な搬送経路19が構成されている。搬送経路19の途中には、搬送機構として、複数の搬送ローラ対13が搬送方向Fに間隔をおいて配置され、各搬送ローラ対13間に、搬送方向Fの上流側から順に、面取り用の型抜き機構15、搬送方向Fに沿って用紙を切断する回転刃型切断機構16、及び搬送方向Fと直交する搬送幅方向Wに沿って用紙を切断する往復型切断機構17が配置されている。
【0019】
搬送方向Fの最上流側に配置された型抜き機構15は、搬送経路19の下側に配置された下型22と、該下型22に上方から対向する昇降可能な上型21と、該上型21を昇降させるための昇降機構23とを備えている。
【0020】
搬送方向Fの中間に配置された回転刃型切断機構16は、搬送経路19の上側に、搬送方向Fの上流側から順に円板状の第1、第2及び第3の上側回転刃61a、62a、63aが配置されており、各上側回転刃61a、62a、63aの下側にそれぞれ第1、第2及び第3の下側回転刃61b、62b、63bが配置されている。
【0021】
往復型切断機構17は、切断刃として、搬送経路19の下側に固定されて搬送幅方向Wに延びる下刃64と、該下刃64に上方から対向する昇降可能な上刃65とを備えている。上刃65は、下刃64に対して搬送方向Fの下流側に配置されており、上刃65が下降して、上刃65と下刃64とが擦れ合うことにより、用紙を搬送幅方向Wに沿って切断する。
【0022】
図8は、全加工工程完了後の用紙Nの状態を示したものであり、第1の実施の形態の用紙加工装置は、一枚の用紙Nから9枚の製品Pを製作することができ、搬送方向Fに3列、搬送幅方向Wにも3列に並んだ状態で、各製品Pが切り出されるものである。ここでは、切り出される9枚の製品Pの搬送方向Fの長さをLとし、搬送幅方向Wの幅をYとしている。また、各製品Pの搬送方向Fと平行な端辺をPbとし、搬送幅方向Wと平行な端辺をPaとしている。製品Pとしては、名刺、葉書あるいはトランプ等がある。
【0023】
図2は、図1の型抜き機構15のII-II断面拡大図、図3は、図2のIII-III断面図、図4は型抜き機構15の要部を下方から見た斜視図である。図2において、下型22は、一対の側壁24を結合する支持壁25の上面に固定されると共に、上端に平面状の刃受け面22aが形成されている。上型21は、下面に複数の面取り用の型抜き刃(面取り刃)26が設けられると共に、搬送幅方向Wの両端部に配置された一対のばね27により上方に付勢され、図示のように上方退避位置に位置している。
【0024】
上型21を昇降させるための昇降機構23は、前記一対のばね27と、搬送幅方向Wに間隔を於いて配置された一対の偏心カム30と、各偏心カム30と同軸に設けられたウォームホイール31と、各ウォールホイール31に噛み合うウォーム32と、両ウォーム32が固着されたウォーム軸33と、から構成されている。ウォーム軸33は搬送幅方向Wに延びており、各偏心カム30の軸部は搬送方向Fに延びている。上型21が前記ばね27により上方に付勢されていることにより、上型21の上端面は、偏心カム30の外周カム面の下端に、常時当接している。
【0025】
このように構成された昇降機構23は、ウォーム軸33が所定方向E1に回転することにより、ウォーム32及びウォームホイール31を介して、各偏心カム30が正規回転方向S1に回転する。この偏心カム30の正規回転方向S1の回転により、上型21をばね27の弾性力に抗して下降させ、面取り用の型抜き刃26を下型22の刃受け面22aに当接させ、用紙の面取り部を型抜きする。型抜き作動後、上型21は、ばね27の復元力により、偏心カム30の正規回転方向S1の回転にしたがって上昇し、図2の上方退避位置に戻る。
【0026】
前記ウォーム軸33は、側壁24の下端部分に固定された駆動モータ35に、第1のベルト伝導機構36、2段切り換え式減速機構37及び第2のベルト伝導機構38を介して、動力伝達可能に連結されている。
【0027】
2段切り換え式減速機構37は、入力軸43、中間軸44及び出力軸45と、減速比の異なるギヤ式の第1の伝達経路41とギヤ式の第2の伝達経路42とを備え、駆動モータ35の正逆回転方向の切り換えにより、第1の伝達経路41と第2の伝達経路42とを切り換え、これにより、減速比の切り換えが可能となっている。
【0028】
第1の伝達経路41は、減速比の大きな低速用の伝達経路であって、入力軸43に一体的に固定された小径の第1の入力ギヤ46と、該第1の入力ギヤ46に噛み合うと共に出力軸45に第1のワンウエイクラッチ48を介して嵌合する大径の第1の出力ギヤ47と、から構成されている。
【0029】
第2の伝達経路42は、第1の伝達経路41より減速比の小さな高速用の伝達経路であって、入力軸43に第2のワンウエイクラッチ51を介して嵌合する第2の入力ギヤ50と、該第2の入力ギヤ50に噛み合うと共に中間軸44に回転自在に嵌合する中間アイドルギヤ52と、該中間アイドルギヤ52に噛み合うと共に出力軸45に一体的に固定された第2の出力ギヤ53と、から構成されている。
【0030】
図3において、各偏心カム30は、2段切り換え式減速機構37の出力軸45が所定回転方向C1に回転している時に、前記正規回転方向S1に回転するように、第2のベルト伝導機構38、ウォーム32及びウォームホイール31を介して出力軸45に連結されている。
【0031】
2段切り換え式減速機構37の第1の伝達経路41は、駆動モータ35が正転方向A1に回転した時に、入力軸43の矢印B1方向の回転を、第1の入力ギヤ46、第1の出力ギヤ47及び第1のワンウエイクラッチ48を介して出力軸45に伝達し、出力軸45を前記所定回転方向C1に回転するように構成されている。そのため、第1のワンウエイクラッチ48は、第1の出力ギヤ47の所定回転方向C1の回転のみを、第1の出力ギヤ47から出力軸45に伝達するように構成されている。
【0032】
第2の伝達経路42は、駆動モータ35が逆回転方向A2に回転した時に、入力軸43の矢印B2方向の回転を、第2のワンウエイクラッチ51、第2の入力ギヤ50、中間アイドルギヤ52及び第2の出力ギヤ53を介して出力軸45に伝達し、出力軸45を前記所定回転方向C1に回転するように構成されている。そのため、第2のワンウエイクラッチ51は、入力軸43の矢印B2方向の回転のみを、入力軸43から第2の入力ギヤ50に伝達するように構成されている。これにより、中間アイドルギヤ52は矢印D2方向に回転し、第2の出力ギヤ53及び出力軸45を所定回転方向C1に回転する。
【0033】
図4は、上型21の下面に設けられた面取り用の型抜き刃26の数及び構成を明確に示している。前述のように、第1の実施の形態は、搬送幅方向Wに3列、搬送方向Fにも3列に製品を配列する仕様であるので、各製品の搬送下流側端辺(Pa)の角部を面取りするための3対の型抜き刃26と、各製品の搬送上流側端辺(Pa)の角部を面取りするための3対の型抜き刃26が、それぞれ搬送幅方向Wと平行な基準線K1、K2上に一直線に並んで配置されており、各一対の型抜き刃26は、それぞれ製品の搬送幅方向幅Yを隔てて対向配置されている。各型抜き刃26の平面視での形状は、四半円部分(実質的な面取り部分)と、この四半円部分の両端から延びる短い直線状の2つの辺とを有する形状となっている。
【0034】
各製品の搬送下流側端辺(Pa)の角部を面取りするための3対の型抜き刃26は、上型21の下面内の搬送方向Fの上流側の前記基準線K1に沿って配置され、各製品の搬送上流側端辺(Pa)の角部を面取りするための3対の型抜き刃26は、上型21の下面内の搬送方向Fの下流側の前記基準線K2に沿って配置されている。また、下型22の刃受け面22aは平面な金属面となっている。
【0035】
図12は、型抜き刃26の拡大平面図であり、L字状に開く2辺26a、26bの為す角度θは、直角よりも大きく設定されており、たとえば95°〜100°(半径R5、直線部分の長さが6mm)に設定されている。しかも、略搬送方向Fに延びる辺26aは、搬送方向Fと平行な切断線O1に対して若干搬送幅方向Wの外方に開き、かつ、略搬送幅方向Wに延びる辺26bは、搬送幅方向Wと平行な切断線O1よりも若干外方に開くように傾斜している。
【0036】
図5は、図1の回転刃型切断機構16のV-V断面拡大図であり、第1、第2及び第3の上側回転刃61a、62a、63aは、それぞれ搬送幅方向Wに間隔を於いて一対ずつ配置されている。1対の第1の上側回転刃61aが搬送幅方向Wの最も外方に配置され、1対の第3の上回転刃63aが搬送幅方向Wの最も内方に配置され、1対の第2の上側回転刃62aが第1及び第3の上側回転刃61a、63aの間に配置されている。各上側回転刃61a、62a、63aは、いずれも搬送幅方向Wの位置が調節可能となっている。最も外方の第1の上側回転刃61aとこれに隣接する第2の上側回転刃62aとの間隔は、製品の搬送幅方向幅Yに設定され、最も内方の第3の上側回転刃63a同士間の間隔も製品の搬送幅方向幅Yに設定されている。各回転刃軸60は、図示しない駆動機構に連結されている。勿論、第1、第2及び第3の下側回転刃61b、62b、63bもそれらに対応する第1、第2及び第3の上側各回転刃61a、62a、63aと同じ位置に配列されている。
【0037】
(加工作業の各工程)
図6乃至図8は、各加工工程終了時における用紙Nの状態を順に示している。図6は面取り加工工程終了時の状態であり、各製品の四隅に対応するすべての面取り部Pmが型抜きされている。図7は搬送方向Fに沿った切断工程終了時の状態であり、製品の搬送方向Fと平行な端辺Pbに対応する6本の切断線O1により、搬送幅方向Wに3枚に切り離されると共に、余分の切れ端が除去さている。図8は搬送幅方向Wに沿った切断工程終了時の状態であり、前述のように、面取り部Pmを有する9枚の製品Pに切り離されている。
【0038】
図9乃至図11は、各加工工程中における各機構と用紙Nとの関係を示している。図9に示すように、型抜き機構15による面取り加工工程では、上型21の1回の昇降作動により、搬送方向Fの下流側の3対の面取り部Pmとこれらに隣り合う上流側の3対の面取り部Pmを同時に型抜きすることができる。また、第1の実施の形態では、一枚の用紙Nに対して、上型21を所定タイミングで4回作動させることにより、総ての箇所(36箇所)の面取り部Pmが型抜きされることになる。
【0039】
次に、図10に示すように、回転刃型切断機構16による切断工程では、搬送幅方向Wの最も外方の第1の回転刃61aから、第2の回転刃62a及び第3の回転刃63aへと、順次、搬送方向Fと平行な各切断線O1により切断してゆく。これにより、各製品の搬送方向Fと平行な端辺Pbが形成される。
【0040】
最後に、図11に示すように、往復刃型切断機構17による切断行程では、所定タイミングで上刃65の昇降作動を行うことにより、搬送幅方向Wと平行な各切断線O2に沿って切断してゆく。これにより、各製品の搬送方向Fと直角な端辺Paが形成されると共に、9枚の製品に完全に分離される。
【0041】
前記のような用紙加工作業において、型抜き機構15及び往復刃型切断機構17の作動タイミングあるいは用紙送り速度を調節することにより、一種類の型抜き刃26によって、搬送方向Fの長さLが異なる各種規格の製品を加工することができ、型製作コストを節約することができる。
【0042】
また、型抜き機構15の上型21を交換することにより、各種形状の面取り部を形成することができると共に、製品の搬送幅方向幅Yの異なる各種製品を加工することもできる。この場合、回転刃型切断機構16の各回転刃61a、61b、62a、62b、63a63bの搬送幅方向Wの位置も、各面取り部の位置に合わせて調節される。
【0043】
(実施の形態の効果)
(1)第1の実施の形態によると、型抜き機構15による面取り加工工程と、回転刃型切断機構16による搬送方向Fに沿った切断工程と、往復刃型切断機構17による搬送幅方向Wに沿った切断工程とを、独立の工程としているので、面取り加工時に必要な型抜き機構15の上型21の押圧力が小さくて済み、型抜き刃駆動用の大きな駆動源を必要とせず、駆動源及び装置全体を小型化することができる。
【0044】
(2)搬送方向Fの寸法が異なる各種規格の製品に対し、型抜き機構15の作動タイミングあるいは用紙送り速度を調節することにより、同じ型抜き刃26によって各種寸法の製品を加工することができ、型等の製作コストを節約することができる。
【0045】
(3)面取り用の型抜き刃26の対を、搬送幅W方向に複数対配置し、かつ、同一の基準線K1等に沿って直線状に配置しているので、上型21の1回の昇降により、複数対の面取り部Pmを同時に加工することができる。
【0046】
(4)往復刃型切断機構17による搬送幅方向Wに沿う切断行程を、最終工程としているので、最終工程までは、加工前の用紙Nの搬送方向Fの全長が維持され、搬送中の用紙Nの斜行を防ぎ、切断位置及び型抜き位置のずれを防止し、寸法精度の良い製品を提供できる。
【0047】
(5)一つの上型21の下面に、製品の搬送下流側の角部に対応する形状の面取り用型抜き刃26と、搬送上流側の角部に対応する形状の面取り用型抜き刃26とが設けられているので、作業能率がさらに向上する。
【0048】
(6)図12のように、型抜き刃26のL字状に開く2辺26a、26bの為す角度θを、直角よりも大きく設定しているので、面取り用の型抜き機構15の組付位置と、回転刃型切断機構16あるいは往復刃型切断機構17の組付位置が多少ずれていても、すなわち、型抜き刃26の位置と、回転刃61a、61b、62a、62b、63a、63bあるいは切断刃64、65の位置がずれていても、製品Pの各面取り部Pmにおいて、面取り部Pmと各端辺Pa、Pbとを、滑らかに連続させることができ、高い品質を維持することができる。
【0049】
[第2の実施の形態]
図13は本発明の第2の実施の形態に係る用紙加工装置を示す模式縦断面図であり、前記第1の実施の形態と異なる構成は、回転刃型切断機構16を搬送経路19の最も搬送上流側に配置し、面取り用の型抜き機構15を、回転刃型切断機構16と往復刃型切断機構17との間に配置していることである。その他の構成は前記第1の実施の形態と同様であり、同じ部品には同じ符号を付している。
【0050】
[第3の実施の形態]
図14は本発明の第3の実施の形態に係る用紙加工装置を示す模式縦断面図、図15は、第3の実施の形態における回転刃型切断機構16の斜視図である。前記第1の実施の形態と異なる構成は、図15のように、回転刃型切断機構16の第1、第2及び第3の上側回転刃61a、62a、63aを同一の軸65に設け、図14のように第1、第2及び第3の下側回転刃61b、62b、63bも同一の軸69に設けていることであり、その他の構成は、第1の実施の形態と同様であり、同じ部品には同じ符号を付してある。
【0051】
各上側回転刃61a、62a、63a及び下側回転刃61b、62b、63bは同一の軸65及び69上で、それぞれ搬送幅方向Wの位置がそれぞれ調節可能となっている。
【0052】
該第3の実施の形態によると、回転刃型切断機構16の搬送方向Fの寸法を短くできると共に、加工作業速度も向上する。
【0053】
[その他の実施の形態]
(1)面取り部の形状としては、前記実施の形態のような円弧形状の丸面には限定されず、角面の面取り部にも適用可能である。
【0054】
(2)型抜き機構の昇降機構としては、空圧シリンダ、油圧シリンダ、クランク機構等、各種機構を採用することができる。
【符号の説明】
【0055】
13 搬送ローラ対(搬送機構の一例)
15 面取り用型抜き機構
16 回転刃型切断機構
17 往復刃型切断機構
19 搬送経路
21 型抜き機構の上型
22 型抜き機構の下型
23 昇降機構
26 面取り用の型抜き刃
61a、62a、63a 回転刃型切断機構の上側回転刃
61b、62b、63b 回転刃型切断機構の下側回転刃
64 往復刃型切断機構の下刃
65 往復刃型切断機構の上刃
N 用紙
P 製品
Pm 面取り部
Pa、Pb 製品の端辺
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に加工を施す用紙加工装置に関し、特に、搬送経路に沿って搬送機構により用紙を一枚ずつ搬送し、搬送経路内で、各用紙を複数の矩形状の製品に切り離すと共に各製品の角部を面取り加工する用紙加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、面取り加工を含む加工を施す用紙加工装置として、特許文献1及び特許文献2に記載された装置がある。特許文献1の用紙加工装置は、いわゆるトムソン刃型打ち抜き機と呼ばれており、製品の全周に対応する形状の打ち抜き刃を上型に設け、一度の打ち抜き工程により、面取り部を含む製品全周を打ち抜くようになっている。
【0003】
特許文献2の用紙加工装置は、図16のように、用紙Nを搬送方向Fと平行な切断線O1により切断する回転刃200と、搬送方向Fと直交する搬送幅方向Wと平行な切断線O2により切断すると同時に、製品Pの角部を面取り加工する型抜き刃201とを、搬送方向Fに間隔をおいて配置している。すなわち、回転刃200により搬送方向Fに沿って余分な端部(マージン部)を切り離した後、型抜き刃201により沿う幅方向Wに沿って切断すると同時に面取り部Pmを型抜き加工するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−331263号公報
【特許文献2】特開昭62−239156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のトムソン刃型打ち抜き機では、1回の打ち抜き工程で製品を製作することができるので、作業能率は向上するが、各種大きさの型を装着するための汎用性を確保する必要があるため、装置が大型化し、プリントショップ等の小規模店舗には適していない。また、寸法が異なる各種製品を得るためには、製品毎に型交換が必要となり、型の製作コストが嵩むと共に、小ロットの製品加工には適していない。
【0006】
特許文献2の用紙加工装置では、製品Pの面取り部Pmと搬送幅方向Wと平行な端辺Paとを同時に加工するために、型駆動用に大きな押圧力が必要となり、駆動源が大形化するという課題がある。また、打ち抜き作業時、型抜き刃201に大きな負荷が掛かるため、型抜き刃201が早く消耗し、型抜き刃201のメンテナンスあるいは交換を行う期間が短くなる。
【0007】
また、前記特許文献1、2に記載された用紙加工装置の他に、まず、製品を矩形状に切り離し、その後、矩形状の中間製品を多数重ね合わせ、角部を一度に切断して面取り部を形成する方法があるが、面取り加工が別工程となり、作業能率が低下し、コスト高につながるという課題がある。
【0008】
本発明は、大きな駆動源を必要とせず、かつ、製品の搬送方向の寸法を簡単に変更できる、コンパクトな用紙加工装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、搬送経路に沿って搬送機構により用紙を一枚ずつ搬送し、搬送経路内で、各用紙を複数の矩形状の製品に切り離すと共に各製品の角部を面取り加工する用紙加工装置において、搬送方向と直交する搬送幅方向に間隔をおいて対向配置された面取り用型抜き刃の対を、搬送幅方向に沿う同一直線上に複数対配置してある、面取り用の型抜き機構と、前記用紙を搬送方向に沿って切断する回転刃を、搬送幅方向に間隔をおいて複数枚配置してある、回転刃型切断機構と、前記用紙を搬送幅方向に沿って切断する上下一対の切断刃を有する往復刃型切断機構とを、備えている。
【0010】
前記用紙加工装置において、好ましくは、搬送上流側から順に、面取り用の型抜き機構、回転刃型切断機構及び往復刃型切断機構を配置するか、あるいは、搬送上流側から順に、回転刃型切断機構、面取り用の型抜き機構及び往復刃型切断機構を配置する。要するに、前記往復刃型切断機構を最も搬送下流側に配置する。
【0011】
また、前記用紙加工装置において、好ましくは、面取り用の型抜き機構は、製品の搬送下流側の角部に対応する形状の面取り用型抜き刃と、製品の搬送上流側の角部に対応する形状の面取り用型抜き刃とが、同一のベース部材に取り付けられている。
【0012】
また、前記用紙加工装置において、好ましくは、前記面取り用の型抜き刃の形状は、L字状に開く2辺の為す角度が、直角よりも大きく設定されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、一枚の用紙から面取り部を有する複数枚の矩形状製品を製作する場合に、搬送方向と平行な製品端辺と、搬送方向と直交する搬送幅方向と平行な製品端辺と、製品の四隅の面取り部とを、一つの用紙加工ライン上で、それぞれ独立した工程で順次加工するので、型抜き刃駆動用の大きな駆動源を必要とせず、駆動源及び装置全体を小型化することができる。
【0014】
また、搬送方向の寸法が異なる各種規格の製品に対し、型抜き機構及び往復刃切断機構の作動タイミングあるいは用紙の送り速度を調節することにより、一種類の型抜き刃及び往復型切断機構の切断刃によって各種規格の製品を加工することができ、型製作コストを節約することができる。
【0015】
また、往復刃型切断機構を最も搬送下流側の最終工程として配置していることにより、最終工程までは、加工前の用紙の搬送方向の全長が維持されるので、搬送中の用紙の斜行を防ぎ、切断位置及び型抜き位置のずれを防止し、寸法精度の良い製品を提供できる。
【0016】
また、面取り用の型抜き刃の形状を、L字状に開く2辺の為す角度が、直角よりも大きく設定することにより、たとえ、型抜き刃の位置が、裁断刃あるいは切断刃の位置とずれていても、製品完成時、面取り部と製品の端辺とを、滑らかに連続させることができ、製品に品質を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る用紙加工装置の模式縦断面図である。
【図2】図1の用紙加工装置の型抜き機構のII-II断面拡大図である。
【図3】図2の型抜き機構のIII-III断面図である。
【図4】図2の型抜き機構の要部を下方から見た斜視図である。
【図5】図1の用紙加工装置の回転刃型切断機構のV-V断面拡大図である。
【図6】第1の実施の形態における面取り加工工程終了時の用紙の平面図である。
【図7】第1の実施の形態における搬送方向に沿った切断工程終了時の用紙の平面図である。
【図8】第1の実施の形態における搬送幅方向に沿った切断工程終了時の用紙の平面図である。
【図9】第1の実施の形態における面取り加工工程時の型抜き機構の斜視図である。
【図10】第1の実施の形態における搬送方向に沿った切断行程時の回転刃型切断機構の斜視図である。
【図11】第1の実施の形態における搬送幅方向に沿った切断行程時の往復刃型切断機構の斜視図である。
【図12】型抜き機構の型抜き刃の拡大平面図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る用紙加工装置の模式縦断面図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る用紙加工装置の模式縦断面図である。
【図15】第3の実施の形態における回転刃型切断機構の斜視図である。
【図16】従来例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1の実施の形態]
図1は本発明の第1の実施の形態に係る用紙加工装置の模式縦断面図である。用紙加工装置は、装置本体10の用紙の搬送方向F側の端部(搬送方向下流側端部)に排紙部12を備え、用紙搬送方向F側とは反対側の端部(搬送方向上流側端部)に、用紙を一枚ずつ給紙する給紙部11を備え、該給紙部11と排紙部12との間に、略水平な搬送経路19が構成されている。搬送経路19の途中には、搬送機構として、複数の搬送ローラ対13が搬送方向Fに間隔をおいて配置され、各搬送ローラ対13間に、搬送方向Fの上流側から順に、面取り用の型抜き機構15、搬送方向Fに沿って用紙を切断する回転刃型切断機構16、及び搬送方向Fと直交する搬送幅方向Wに沿って用紙を切断する往復型切断機構17が配置されている。
【0019】
搬送方向Fの最上流側に配置された型抜き機構15は、搬送経路19の下側に配置された下型22と、該下型22に上方から対向する昇降可能な上型21と、該上型21を昇降させるための昇降機構23とを備えている。
【0020】
搬送方向Fの中間に配置された回転刃型切断機構16は、搬送経路19の上側に、搬送方向Fの上流側から順に円板状の第1、第2及び第3の上側回転刃61a、62a、63aが配置されており、各上側回転刃61a、62a、63aの下側にそれぞれ第1、第2及び第3の下側回転刃61b、62b、63bが配置されている。
【0021】
往復型切断機構17は、切断刃として、搬送経路19の下側に固定されて搬送幅方向Wに延びる下刃64と、該下刃64に上方から対向する昇降可能な上刃65とを備えている。上刃65は、下刃64に対して搬送方向Fの下流側に配置されており、上刃65が下降して、上刃65と下刃64とが擦れ合うことにより、用紙を搬送幅方向Wに沿って切断する。
【0022】
図8は、全加工工程完了後の用紙Nの状態を示したものであり、第1の実施の形態の用紙加工装置は、一枚の用紙Nから9枚の製品Pを製作することができ、搬送方向Fに3列、搬送幅方向Wにも3列に並んだ状態で、各製品Pが切り出されるものである。ここでは、切り出される9枚の製品Pの搬送方向Fの長さをLとし、搬送幅方向Wの幅をYとしている。また、各製品Pの搬送方向Fと平行な端辺をPbとし、搬送幅方向Wと平行な端辺をPaとしている。製品Pとしては、名刺、葉書あるいはトランプ等がある。
【0023】
図2は、図1の型抜き機構15のII-II断面拡大図、図3は、図2のIII-III断面図、図4は型抜き機構15の要部を下方から見た斜視図である。図2において、下型22は、一対の側壁24を結合する支持壁25の上面に固定されると共に、上端に平面状の刃受け面22aが形成されている。上型21は、下面に複数の面取り用の型抜き刃(面取り刃)26が設けられると共に、搬送幅方向Wの両端部に配置された一対のばね27により上方に付勢され、図示のように上方退避位置に位置している。
【0024】
上型21を昇降させるための昇降機構23は、前記一対のばね27と、搬送幅方向Wに間隔を於いて配置された一対の偏心カム30と、各偏心カム30と同軸に設けられたウォームホイール31と、各ウォールホイール31に噛み合うウォーム32と、両ウォーム32が固着されたウォーム軸33と、から構成されている。ウォーム軸33は搬送幅方向Wに延びており、各偏心カム30の軸部は搬送方向Fに延びている。上型21が前記ばね27により上方に付勢されていることにより、上型21の上端面は、偏心カム30の外周カム面の下端に、常時当接している。
【0025】
このように構成された昇降機構23は、ウォーム軸33が所定方向E1に回転することにより、ウォーム32及びウォームホイール31を介して、各偏心カム30が正規回転方向S1に回転する。この偏心カム30の正規回転方向S1の回転により、上型21をばね27の弾性力に抗して下降させ、面取り用の型抜き刃26を下型22の刃受け面22aに当接させ、用紙の面取り部を型抜きする。型抜き作動後、上型21は、ばね27の復元力により、偏心カム30の正規回転方向S1の回転にしたがって上昇し、図2の上方退避位置に戻る。
【0026】
前記ウォーム軸33は、側壁24の下端部分に固定された駆動モータ35に、第1のベルト伝導機構36、2段切り換え式減速機構37及び第2のベルト伝導機構38を介して、動力伝達可能に連結されている。
【0027】
2段切り換え式減速機構37は、入力軸43、中間軸44及び出力軸45と、減速比の異なるギヤ式の第1の伝達経路41とギヤ式の第2の伝達経路42とを備え、駆動モータ35の正逆回転方向の切り換えにより、第1の伝達経路41と第2の伝達経路42とを切り換え、これにより、減速比の切り換えが可能となっている。
【0028】
第1の伝達経路41は、減速比の大きな低速用の伝達経路であって、入力軸43に一体的に固定された小径の第1の入力ギヤ46と、該第1の入力ギヤ46に噛み合うと共に出力軸45に第1のワンウエイクラッチ48を介して嵌合する大径の第1の出力ギヤ47と、から構成されている。
【0029】
第2の伝達経路42は、第1の伝達経路41より減速比の小さな高速用の伝達経路であって、入力軸43に第2のワンウエイクラッチ51を介して嵌合する第2の入力ギヤ50と、該第2の入力ギヤ50に噛み合うと共に中間軸44に回転自在に嵌合する中間アイドルギヤ52と、該中間アイドルギヤ52に噛み合うと共に出力軸45に一体的に固定された第2の出力ギヤ53と、から構成されている。
【0030】
図3において、各偏心カム30は、2段切り換え式減速機構37の出力軸45が所定回転方向C1に回転している時に、前記正規回転方向S1に回転するように、第2のベルト伝導機構38、ウォーム32及びウォームホイール31を介して出力軸45に連結されている。
【0031】
2段切り換え式減速機構37の第1の伝達経路41は、駆動モータ35が正転方向A1に回転した時に、入力軸43の矢印B1方向の回転を、第1の入力ギヤ46、第1の出力ギヤ47及び第1のワンウエイクラッチ48を介して出力軸45に伝達し、出力軸45を前記所定回転方向C1に回転するように構成されている。そのため、第1のワンウエイクラッチ48は、第1の出力ギヤ47の所定回転方向C1の回転のみを、第1の出力ギヤ47から出力軸45に伝達するように構成されている。
【0032】
第2の伝達経路42は、駆動モータ35が逆回転方向A2に回転した時に、入力軸43の矢印B2方向の回転を、第2のワンウエイクラッチ51、第2の入力ギヤ50、中間アイドルギヤ52及び第2の出力ギヤ53を介して出力軸45に伝達し、出力軸45を前記所定回転方向C1に回転するように構成されている。そのため、第2のワンウエイクラッチ51は、入力軸43の矢印B2方向の回転のみを、入力軸43から第2の入力ギヤ50に伝達するように構成されている。これにより、中間アイドルギヤ52は矢印D2方向に回転し、第2の出力ギヤ53及び出力軸45を所定回転方向C1に回転する。
【0033】
図4は、上型21の下面に設けられた面取り用の型抜き刃26の数及び構成を明確に示している。前述のように、第1の実施の形態は、搬送幅方向Wに3列、搬送方向Fにも3列に製品を配列する仕様であるので、各製品の搬送下流側端辺(Pa)の角部を面取りするための3対の型抜き刃26と、各製品の搬送上流側端辺(Pa)の角部を面取りするための3対の型抜き刃26が、それぞれ搬送幅方向Wと平行な基準線K1、K2上に一直線に並んで配置されており、各一対の型抜き刃26は、それぞれ製品の搬送幅方向幅Yを隔てて対向配置されている。各型抜き刃26の平面視での形状は、四半円部分(実質的な面取り部分)と、この四半円部分の両端から延びる短い直線状の2つの辺とを有する形状となっている。
【0034】
各製品の搬送下流側端辺(Pa)の角部を面取りするための3対の型抜き刃26は、上型21の下面内の搬送方向Fの上流側の前記基準線K1に沿って配置され、各製品の搬送上流側端辺(Pa)の角部を面取りするための3対の型抜き刃26は、上型21の下面内の搬送方向Fの下流側の前記基準線K2に沿って配置されている。また、下型22の刃受け面22aは平面な金属面となっている。
【0035】
図12は、型抜き刃26の拡大平面図であり、L字状に開く2辺26a、26bの為す角度θは、直角よりも大きく設定されており、たとえば95°〜100°(半径R5、直線部分の長さが6mm)に設定されている。しかも、略搬送方向Fに延びる辺26aは、搬送方向Fと平行な切断線O1に対して若干搬送幅方向Wの外方に開き、かつ、略搬送幅方向Wに延びる辺26bは、搬送幅方向Wと平行な切断線O1よりも若干外方に開くように傾斜している。
【0036】
図5は、図1の回転刃型切断機構16のV-V断面拡大図であり、第1、第2及び第3の上側回転刃61a、62a、63aは、それぞれ搬送幅方向Wに間隔を於いて一対ずつ配置されている。1対の第1の上側回転刃61aが搬送幅方向Wの最も外方に配置され、1対の第3の上回転刃63aが搬送幅方向Wの最も内方に配置され、1対の第2の上側回転刃62aが第1及び第3の上側回転刃61a、63aの間に配置されている。各上側回転刃61a、62a、63aは、いずれも搬送幅方向Wの位置が調節可能となっている。最も外方の第1の上側回転刃61aとこれに隣接する第2の上側回転刃62aとの間隔は、製品の搬送幅方向幅Yに設定され、最も内方の第3の上側回転刃63a同士間の間隔も製品の搬送幅方向幅Yに設定されている。各回転刃軸60は、図示しない駆動機構に連結されている。勿論、第1、第2及び第3の下側回転刃61b、62b、63bもそれらに対応する第1、第2及び第3の上側各回転刃61a、62a、63aと同じ位置に配列されている。
【0037】
(加工作業の各工程)
図6乃至図8は、各加工工程終了時における用紙Nの状態を順に示している。図6は面取り加工工程終了時の状態であり、各製品の四隅に対応するすべての面取り部Pmが型抜きされている。図7は搬送方向Fに沿った切断工程終了時の状態であり、製品の搬送方向Fと平行な端辺Pbに対応する6本の切断線O1により、搬送幅方向Wに3枚に切り離されると共に、余分の切れ端が除去さている。図8は搬送幅方向Wに沿った切断工程終了時の状態であり、前述のように、面取り部Pmを有する9枚の製品Pに切り離されている。
【0038】
図9乃至図11は、各加工工程中における各機構と用紙Nとの関係を示している。図9に示すように、型抜き機構15による面取り加工工程では、上型21の1回の昇降作動により、搬送方向Fの下流側の3対の面取り部Pmとこれらに隣り合う上流側の3対の面取り部Pmを同時に型抜きすることができる。また、第1の実施の形態では、一枚の用紙Nに対して、上型21を所定タイミングで4回作動させることにより、総ての箇所(36箇所)の面取り部Pmが型抜きされることになる。
【0039】
次に、図10に示すように、回転刃型切断機構16による切断工程では、搬送幅方向Wの最も外方の第1の回転刃61aから、第2の回転刃62a及び第3の回転刃63aへと、順次、搬送方向Fと平行な各切断線O1により切断してゆく。これにより、各製品の搬送方向Fと平行な端辺Pbが形成される。
【0040】
最後に、図11に示すように、往復刃型切断機構17による切断行程では、所定タイミングで上刃65の昇降作動を行うことにより、搬送幅方向Wと平行な各切断線O2に沿って切断してゆく。これにより、各製品の搬送方向Fと直角な端辺Paが形成されると共に、9枚の製品に完全に分離される。
【0041】
前記のような用紙加工作業において、型抜き機構15及び往復刃型切断機構17の作動タイミングあるいは用紙送り速度を調節することにより、一種類の型抜き刃26によって、搬送方向Fの長さLが異なる各種規格の製品を加工することができ、型製作コストを節約することができる。
【0042】
また、型抜き機構15の上型21を交換することにより、各種形状の面取り部を形成することができると共に、製品の搬送幅方向幅Yの異なる各種製品を加工することもできる。この場合、回転刃型切断機構16の各回転刃61a、61b、62a、62b、63a63bの搬送幅方向Wの位置も、各面取り部の位置に合わせて調節される。
【0043】
(実施の形態の効果)
(1)第1の実施の形態によると、型抜き機構15による面取り加工工程と、回転刃型切断機構16による搬送方向Fに沿った切断工程と、往復刃型切断機構17による搬送幅方向Wに沿った切断工程とを、独立の工程としているので、面取り加工時に必要な型抜き機構15の上型21の押圧力が小さくて済み、型抜き刃駆動用の大きな駆動源を必要とせず、駆動源及び装置全体を小型化することができる。
【0044】
(2)搬送方向Fの寸法が異なる各種規格の製品に対し、型抜き機構15の作動タイミングあるいは用紙送り速度を調節することにより、同じ型抜き刃26によって各種寸法の製品を加工することができ、型等の製作コストを節約することができる。
【0045】
(3)面取り用の型抜き刃26の対を、搬送幅W方向に複数対配置し、かつ、同一の基準線K1等に沿って直線状に配置しているので、上型21の1回の昇降により、複数対の面取り部Pmを同時に加工することができる。
【0046】
(4)往復刃型切断機構17による搬送幅方向Wに沿う切断行程を、最終工程としているので、最終工程までは、加工前の用紙Nの搬送方向Fの全長が維持され、搬送中の用紙Nの斜行を防ぎ、切断位置及び型抜き位置のずれを防止し、寸法精度の良い製品を提供できる。
【0047】
(5)一つの上型21の下面に、製品の搬送下流側の角部に対応する形状の面取り用型抜き刃26と、搬送上流側の角部に対応する形状の面取り用型抜き刃26とが設けられているので、作業能率がさらに向上する。
【0048】
(6)図12のように、型抜き刃26のL字状に開く2辺26a、26bの為す角度θを、直角よりも大きく設定しているので、面取り用の型抜き機構15の組付位置と、回転刃型切断機構16あるいは往復刃型切断機構17の組付位置が多少ずれていても、すなわち、型抜き刃26の位置と、回転刃61a、61b、62a、62b、63a、63bあるいは切断刃64、65の位置がずれていても、製品Pの各面取り部Pmにおいて、面取り部Pmと各端辺Pa、Pbとを、滑らかに連続させることができ、高い品質を維持することができる。
【0049】
[第2の実施の形態]
図13は本発明の第2の実施の形態に係る用紙加工装置を示す模式縦断面図であり、前記第1の実施の形態と異なる構成は、回転刃型切断機構16を搬送経路19の最も搬送上流側に配置し、面取り用の型抜き機構15を、回転刃型切断機構16と往復刃型切断機構17との間に配置していることである。その他の構成は前記第1の実施の形態と同様であり、同じ部品には同じ符号を付している。
【0050】
[第3の実施の形態]
図14は本発明の第3の実施の形態に係る用紙加工装置を示す模式縦断面図、図15は、第3の実施の形態における回転刃型切断機構16の斜視図である。前記第1の実施の形態と異なる構成は、図15のように、回転刃型切断機構16の第1、第2及び第3の上側回転刃61a、62a、63aを同一の軸65に設け、図14のように第1、第2及び第3の下側回転刃61b、62b、63bも同一の軸69に設けていることであり、その他の構成は、第1の実施の形態と同様であり、同じ部品には同じ符号を付してある。
【0051】
各上側回転刃61a、62a、63a及び下側回転刃61b、62b、63bは同一の軸65及び69上で、それぞれ搬送幅方向Wの位置がそれぞれ調節可能となっている。
【0052】
該第3の実施の形態によると、回転刃型切断機構16の搬送方向Fの寸法を短くできると共に、加工作業速度も向上する。
【0053】
[その他の実施の形態]
(1)面取り部の形状としては、前記実施の形態のような円弧形状の丸面には限定されず、角面の面取り部にも適用可能である。
【0054】
(2)型抜き機構の昇降機構としては、空圧シリンダ、油圧シリンダ、クランク機構等、各種機構を採用することができる。
【符号の説明】
【0055】
13 搬送ローラ対(搬送機構の一例)
15 面取り用型抜き機構
16 回転刃型切断機構
17 往復刃型切断機構
19 搬送経路
21 型抜き機構の上型
22 型抜き機構の下型
23 昇降機構
26 面取り用の型抜き刃
61a、62a、63a 回転刃型切断機構の上側回転刃
61b、62b、63b 回転刃型切断機構の下側回転刃
64 往復刃型切断機構の下刃
65 往復刃型切断機構の上刃
N 用紙
P 製品
Pm 面取り部
Pa、Pb 製品の端辺
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って搬送機構により用紙を一枚ずつ搬送し、前記搬送経路内で、各用紙を複数の矩形状の製品に切り離すと共に各製品の角部を面取り加工する用紙加工装置において、
搬送方向と直交する搬送幅方向に間隔をおいて対向配置された面取り用型抜き刃の対を、搬送幅方向に沿う同一直線上に複数対配置してある、面取り用の型抜き機構と、
前記用紙を搬送方向に沿って切断する回転刃を、搬送幅方向に間隔をおいて複数枚配置してある、回転刃型切断機構と、
前記用紙を搬送幅方向に沿って切断する上下一対の切断刃を有する往復刃型切断機構とを、備えていることを特徴とする用紙加工装置。
【請求項2】
請求項1記載の用紙加工装置において、
搬送上流側から順に、前記面取り用の型抜き機構、前記回転刃型切断機構及び前記往復刃型切断機構を配置してある、用紙加工装置。
【請求項3】
請求項1記載の用紙加工装置において、
搬送上流側から順に、前記回転刃型切断機構、前記面取り用の型抜き機構及び前記往復刃型切断機構を配置してある、用紙加工装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の用紙加工装置において、
前記面取り用の型抜き機構は、前記製品の搬送下流側の角部に対応する形状の面取り用型抜き刃と、前記製品の搬送上流側の角部に対応する形状の面取り用型抜き刃とが、同一の型部材に取り付けられている、用紙加工装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の用紙加工装置において、
前記面取り用の型抜き刃の形状は、L字状に開く2辺の為す角度が、直角よりも大きく設定されている、用紙加工装置。
【請求項1】
搬送経路に沿って搬送機構により用紙を一枚ずつ搬送し、前記搬送経路内で、各用紙を複数の矩形状の製品に切り離すと共に各製品の角部を面取り加工する用紙加工装置において、
搬送方向と直交する搬送幅方向に間隔をおいて対向配置された面取り用型抜き刃の対を、搬送幅方向に沿う同一直線上に複数対配置してある、面取り用の型抜き機構と、
前記用紙を搬送方向に沿って切断する回転刃を、搬送幅方向に間隔をおいて複数枚配置してある、回転刃型切断機構と、
前記用紙を搬送幅方向に沿って切断する上下一対の切断刃を有する往復刃型切断機構とを、備えていることを特徴とする用紙加工装置。
【請求項2】
請求項1記載の用紙加工装置において、
搬送上流側から順に、前記面取り用の型抜き機構、前記回転刃型切断機構及び前記往復刃型切断機構を配置してある、用紙加工装置。
【請求項3】
請求項1記載の用紙加工装置において、
搬送上流側から順に、前記回転刃型切断機構、前記面取り用の型抜き機構及び前記往復刃型切断機構を配置してある、用紙加工装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の用紙加工装置において、
前記面取り用の型抜き機構は、前記製品の搬送下流側の角部に対応する形状の面取り用型抜き刃と、前記製品の搬送上流側の角部に対応する形状の面取り用型抜き刃とが、同一の型部材に取り付けられている、用紙加工装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の用紙加工装置において、
前記面取り用の型抜き刃の形状は、L字状に開く2辺の為す角度が、直角よりも大きく設定されている、用紙加工装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−230227(P2011−230227A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102412(P2010−102412)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
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