説明

用紙取扱い装置及び画像形成システム

【課題】画像形成装置やオプション装置等の用紙取扱い装置を連結する場合に、ユーザが設置状態を容易に最適化できる技術を提供する。
【解決手段】用紙取扱い装置は、第1の外部用紙取扱い装置の外部排紙口から排紙された用紙を導入する給紙部又は第2の外部用紙取扱い装置の外部給紙口に向けて用紙を排出する排紙部を備え、給紙部の給紙面と第1の外部用紙取扱い装置の排紙面が対向する状態で連結される、又は排紙部の排紙面と第2の外部用紙取扱い装置の給紙面が対向する状態で連結される。また、連結された第1の外部用紙取扱い装置又は第2の外部用紙取扱い装置との連結状態を検出する連結状態検出部と、連結状態検出部による検出結果に基づいて連結状態の適否を判定する制御部と、制御部による判定結果を通知する通知部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置に用紙を供給する給紙装置、又は画像形成装置から排紙された用紙に対して後処理を行う後処理装置等の用紙取扱い装置及びこれらの用紙取扱い装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置と、この画像形成装置に用紙を供給する給紙装置、又は画像形成装置から排紙された用紙に対してソート処理、穴空け処理、ステープル処理、冊子処理、中綴じ処理、裁断処理等を行う後処理装置を連結して、商用印刷等の大量印刷(PP:Production Printing)を実現可能とした画像形成システムが知られている(例えば特許文献1、2)。以下において、給紙装置と後処理装置を総称してオプション装置と呼び、画像形成装置とオプション装置を総称して用紙取扱い装置と呼ぶ。
【0003】
画像形成システムを構築するにあたり、画像形成装置に複数のオプション装置が連結されると、システム長が非常に長くなる。システム長の長い画像形成システムを設置する場合、設置面(床面)の凹凸や固さ、個々の装置の重量差の影響により、用紙搬送方向上流に配置された用紙取扱い装置の排紙口と下流に配置された用紙取扱い装置の給紙口の位置(高さ)がずれやすい。そして、この位置ずれは用紙搬送時にジャムを発生させる要因となる。
したがって、このような画像形成システムにおいては、用紙取扱い装置間で用紙を円滑に受け渡すために、連結される用紙取扱い装置同士を高精度で位置合わせすることが非常に重要となる。
【0004】
特許文献1では、用紙取扱い装置同士を連結するにあたり、対向する連結面(給紙口又は排紙口が設けられた面)に連結機構を設けることにより、一方の用紙取扱い装置の給紙口と他方の用紙取扱い装置の排紙口の高さを整合させ、円滑な用紙の受け渡しを実現している。
【0005】
図22は、特許文献1で開示されている連結機構を適用した連結部Jを示す図である。
図22に示すように、用紙搬送方向下流側に位置する一方の用紙取扱い装置(例えば画像形成装置)M1では、給紙口FPが設けられた給紙面JS1において、給紙口FPより広い幅で2つの固定部材501、501が配設されている。この固定部材501、501には位置決めピン502、502が固着され、一方にのみ固定用ネジ孔503が形成されている。固定部材502、502の垂直位置は給紙口FPの上方とされる。
用紙搬送方向上流側に位置する他方の用紙取扱い装置(例えばオプション装置)M2では、排紙口EPが設けられた排紙面JS2において、用紙取扱い装置M1の固定部材501及び位置決めピン502を挿通可能な矩形状の開口504、504が形成されている。この開口504、504の垂直位置は、固定部材501、501に対応している。また、開口504、504の一側辺に沿って固定部材505、505が配設され、この固定部材505、505には位置決めピン502、502を挿通可能な係止孔506、506が形成され、一方にのみネジ507を挿通する挿通孔508が形成されている。
【0006】
用紙取扱い装置M1、M2を連結する場合、給紙面JS1と排紙面JS2を対向させた状態で両者を近づけて、用紙取扱い装置M1の固定部材501と位置決めピン502を用紙取扱い装置M2の開口504に挿入する。このとき、用紙取扱い装置M1、M2間の高さは、装置底部に設けられたアジャスタフットにより調整される。用紙取扱い装置の高さをアジャスタフットにより調整する技術については、例えば特許文献3に開示されている。
給紙面JS1と排紙面JS2が接触した後、両者を平行にずらして位置決めピン502を係止孔506に挿入する。そして、挿通孔508を介してネジ507を固定用ネジ孔503に螺着することで、用紙取扱い装置M1、M2は位置決めした状態で固定される。
【0007】
また、特許文献2では、画像形成装置に連結レールを設け、この連結レールを介してオプション装置を連結/離間させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特願2005−3782号公報
【特許文献2】特願2002−156804号公報
【特許文献3】特願2009−192579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、特許文献1では、位置決めピン502を係止孔506に挿通させることにより用紙取扱い装置M1、M2の位置決めが行われることとなるが、連結作業性の観点から位置決めピン502と係止孔506の寸法はある程度の遊びをもって設計される。そのため、用紙取扱い装置M1、M2を連結する場合、アジャスタフットを調整する設置作業者の成熟度によっては、連結面同士が平行でなかったり、平行であっても面内で傾いていたりして、給紙口と排紙口の位置が微妙にずれることがある。
逆に、位置決めピン502の外径と係止孔506の内径の差を小さくすることで位置決め精度を向上させることは可能であるが、連結作業性が著しく低下するために望ましくない。
【0010】
また、特許文献2に記載の連結機構は、軽量な用紙取扱い装置同士を連結する場合には有効であるが、PP対応の画像形成システムのように重量の大きい用紙取扱い装置を連結する場合には剛性が不足するため好ましくない。また、連結作業性は向上するものの、高精度に位置決めすることはできない。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、画像形成装置やオプション装置等の用紙取扱い装置を連結する場合に、ユーザが設置状態を容易に最適化できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、第1の外部用紙取扱い装置の外部排紙口から排紙された用紙を導入する給紙部又は第2の外部用紙取扱い装置の外部給紙口に向けて用紙を排出する排紙部を備え、前記給紙部の給紙面と前記第1の外部用紙取扱い装置の排紙面が対向する状態で連結される、又は前記排紙部の排紙面と前記第2の外部用紙取扱い装置の給紙面が対向する状態で連結される用紙取扱い装置であって、
連結された前記第1の外部用紙取扱い装置又は前記第2の外部用紙取扱い装置との連結状態を検出する連結状態検出部と、
前記連結状態検出部による検出結果に基づいて前記連結状態の適否を判定する制御部と、
前記制御部による判定結果を通知する通知部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の用紙取扱い装置において、前記制御部は、当該用紙取扱い装置と前記第1の外部取扱い装置又は前記第2の外部用紙取扱い装置との連結面が平行となっているか否か、及び対向する給紙口と排紙口の高さが一致しているか否かを判定することを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の用紙取扱い装置において、前記連結状態検出部は、前記第1の外部用紙取扱い装置の排紙面又は前記第2の外部取扱い装置の給紙面から発せられた光を受光し、受光量に基づいて前記連結状態を検出する光センサで構成され、
前記光センサが前記給紙面又は前記排紙面に2箇所以上設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の用紙取扱い装置において、前記光センサは、前記給紙口又は前記排紙口の幅方向両側に設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか一項に記載の用紙取扱い装置において、前記通知部は、前記制御部による判定結果を画像によって通知する表示部又は音声によって通知する音声出力部で構成されることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5の何れか一項に記載の用紙取扱い装置において、当該用紙取扱い装置の水平状態を検出する水平状態検出部を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6の何れか一項に記載の用紙取扱い装置において、当該用紙取扱い装置、前記第1の外部用紙取扱い装置又は前記第2の外部用紙取扱い装置は、底部に設置状態を調整可能な複数のアジャスタフットを備え、
前記制御部は、前記連結状態検出部による検出結果に基づいて、前記アジャスタフットの調整箇所及び調整量を判定することを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の発明は、用紙に画像を形成する画像形成装置と、この画像形成装置に用紙を供給する給紙装置、又は前記画像形成装置から排紙された用紙に対して後処理を行う後処理装置と、を備える画像形成システムにおいて、
前記画像形成装置、前記給紙装置又は前記後処理装置の少なくとも一つが、請求項1から7の何れか一項に記載の用紙取扱い装置を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、用紙取扱い装置の連結状態が事前に検出され、ユーザに通知される。したがって、ユーザは通知内容に応じて用紙取扱い装置の連結状態を容易に最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態の画像形成システムの概略構成を示す図である。
【図2】画像形成装置の内部構成を示す図である。
【図3】画像形成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】大容量給紙装置の内部構成を示す図である。
【図5】画像形成装置と大容量給紙装置との連結部における対向状態を示す図である。
【図6】連結状態監視処理の一例について示すフローチャートである。
【図7】光センサの受光領域におけるスポット像の位置ズレ量を示す図である。
【図8】画像形成装置と大容量給紙装置の連結状態の一例を示す図(上側が離れた状態)である。
【図9】画像形成装置と大容量給紙装置が図8に示す状態で連結されている場合の光センサにおける受光状態を示す図である。
【図10】画像形成装置と大容量給紙装置の連結状態の他の一例を示す図(面内で正面側に傾いた状態)である。
【図11】画像形成装置と大容量給紙装置が図10に示す状態で連結されている場合の光センサにおける受光状態を示す図である。
【図12】画像形成装置と大容量給紙装置の連結状態の他の一例を示す図(背面側が離れた状態)である。
【図13】画像形成装置と大容量給紙装置が図12に示す状態で連結されている場合の光センサにおける受光状態を示す図である。
【図14】変形例1における光センサPS及び光源LEDの配設状態の一例について示す図である。
【図15】変形例1において、画像形成装置と大容量給紙装置が図8に示す状態で連結されている場合の光センサにおける受光状態を示す図である。
【図16】変形例1において、画像形成装置と大容量給紙装置が図10に示す状態で連結されている場合の光センサにおける受光状態を示す図である。
【図17】変形例1において画像形成装置と大容量給紙装置が図12に示す状態で連結されている場合の光センサにおける受光状態を示す図である。
【図18】変形例2における光センサPS及び光源LEDの配設状態の一例について示す図である。
【図19】変形例2において、画像形成装置と大容量給紙装置が図8に示す状態で連結されている場合の光センサにおける受光状態を示す図である。
【図20】変形例2において、画像形成装置と大容量給紙装置が図10に示す状態で連結されている場合の光センサにおける受光状態を示す図である。
【図21】変形例2において画像形成装置と大容量給紙装置が図12に示す状態で連結されている場合の光センサにおける受光状態を示す図である。
【図22】特許文献1で開示されている連結機構を適用した連結部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態では、本発明に係る用紙取り扱い装置を、PP対応の画像形成システムを構成する画像形成装置に適用した例について説明する。
【0023】
図1は、本実施形態の画像形成システムPPSの概略構成を示す図である。
図1に示すように、画像形成システムPPSは、画像形成装置1に、オプション装置として大容量給紙装置2及び後処理装置(例えばマルチ折り装置、製本装置等)3、4が連結された構成を有している。画像形成システムPPSでは、大容量給紙装置2から画像形成装置1に用紙が給紙され、画像形成装置1において用紙に画像が形成される。そして、後処理装置3、4において、画像形成装置1から排紙された用紙に、例えば折り処理や製本処理が施される。
【0024】
本実施形態では、大容量給紙装置2と画像形成装置1、画像形成装置1と後処理装置3、及び後処理装置3と後処理装置4が、それぞれの連結部J1〜J3における排紙面(排紙口が配設された面)と給紙面(給紙口が配設された面)が対向した状態で、高精度に位置決めされる。したがって、各用紙取扱い装置(画像形成装置1、大容量給紙装置2、後処理装置3、4)間で円滑に用紙の受け渡しが行われる。
以下では、大容量給紙装置2と画像形成装置1との連結部J1における連結態様について説明する。
【0025】
図2は画像形成装置1の内部構成を示す図で、図3は画像形成装置1の機能的構成を示すブロック図である。
画像形成装置1は、例えば、コピーやプリンタなどの機能を有するデジタル複合機(MFP:Multi Function Peripheral)である。画像形成装置1は、原稿に形成されているカラー画像を読み取って取得された画像データ、又は、ネットワークを介して外部の情報機器(例えばパーソナルコンピュータ)から入力された画像データに基づいて、用紙に色を重ね合わせて画像を形成する。画像形成装置1では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応する感光体ドラム23(23Y、23M、23C、23K)を連装し、一回の手順で各色トナー像を順次転写し、用紙にカラー画像を形成するタンデム方式を採用している。
【0026】
図2、3に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、画像形成部20、搬送部30、操作表示部40等を備えて構成される。
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11、原稿画像走査装置12等で構成されている。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。原稿画像走査装置12は、搬送された原稿dを光走査し、CCD(Charge Coupled Device)により光電変換して原稿画像を読み取る。ここで、画像には、図形や写真等のイメージデータの他、文字や記号等のテキストデータ等も含まれる。
【0027】
画像読取部10により読み取られた画像(アナログ画像信号)は、後述する制御部50に出力され、A/D変換処理、シェーディング補正処理等の各種画像処理が施された後、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に色分解され、出力用画像データとして画像形成部20に出力される。
なお、自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となっている。読み取られた原稿画像のデータは画像形成部20内部の画像メモリ(図示略)に記憶され、順次出力用画像データとして読み出される。
【0028】
画像形成部20は、Y、M、C、Kの色ごとに設けられた、露光装置21(21Y、21M、21C、21K)、現像装置22(22Y、22M、22C、22K)、感光体ドラム23(23Y、23M、23C、23K)、帯電装置24(24Y、24M、24C、24K)、クリーニング装置25(25Y、25M、25C、25K)、中間転写ユニット26、及びクリーニング装置27等で構成されている。
【0029】
画像形成部20において、帯電装置24は感光体ドラム23を帯電し、露光装置21は帯電された感光体ドラム23に各色の画像データに応じた光を照射して静電潜像を形成する。現像装置22は、静電潜像が形成された感光体ドラム23の表面に各色トナーを付着させて静電潜像を現像する。
【0030】
中間転写ユニット26は、無端ベルト(以下、中間転写ベルト)26aが支持ローラ26bに張架されて構成されている。中間転写ベルト26aが1次転写ローラ101(101Y、101M、101C、101K)によって、トナーが付着された感光体ドラム23に圧接されると、中間転写ベルト26aに各色トナー像が順次重ねて1次転写される。そして、1次転写された中間転写ベルト28aが2次転写ローラ102によって用紙に圧接されると、用紙にトナー像が2次転写される。
クリーニング装置25は、1次転写後に感光体ドラム23の表面に残存するトナーを除去する。クリーニング装置27は、2次転写後に中間転写ベルト26aに残存するトナーを除去する。
【0031】
定着装置28は、定着ローラ28aと定着ローラ28aに圧接される定着ベルト28b等を備えて構成されている。定着ローラ28aに定着ベルト28bが圧接されることにより形成されたニップ部で、トナー像が形成された用紙を狭持搬送しながら、熱圧着によりトナー像を用紙に定着させる。
【0032】
搬送部30は、給紙装置31、搬送装置32、排紙装置33等で構成されている。
給紙装置31は、3つの給紙トレイユニット31a〜31c、及び外部給紙ユニット34を備えている。これらの給紙トレイユニット31a〜31cには、用紙の斤量やサイズ等に基づいて識別された規格用紙や特殊用紙が予め設定された種類ごとに収容されている。給紙トレイユニット31a〜31cに収容されている用紙は、最上部から一枚ずつ送出される。
【0033】
外部給紙ユニット34は、給紙口FP1、給紙ローラ105等を備えて構成され、大容量給紙装置2から排紙された用紙を画像形成装置1内に導入する。
また、外部給紙ユニット34の給紙面JS1において、給紙口FP1の近傍には、連結状態検出部72を構成する複数の光センサPSが配設されている。連結状態検出部72は、複数の光センサPSにおける受光量に基づいて、画像形成装置1と大容量給紙装置2との連結状態(どの方向にずれているか等)を検出する。
このように、給紙口FP1の近傍、すなわち用紙の搬送路を基準として光センサPSを設けることにより、用紙搬送に最適な連結状態を確実に判定することができる。
【0034】
光センサPSは、例えば、二次元光位置センサ(PSD:Position Sensitive Detector)で構成される。具体的には、給紙口FP1が配設された給紙面JS1において、給紙口FP1の4つの頂点と対応するように、4つの光センサPS1〜PS4が配設される(図5参照)。このように、光センサPSを給紙口FP1の幅方向両側に設けることにより、用紙搬送において特に重要となる連結面(画像形成装置1の給紙面JS1と大容量給紙装置2の排紙面JS2)の平行性を確実に判断できる。
【0035】
給紙トレイユニット31a〜31cから送出された用紙、又は外部給紙ユニット34から導入された用紙は、レジストローラ103等の複数の搬送ローラを備えた搬送装置32により画像形成部20に搬送される。このとき、レジストローラ103が配設されたレジスト部により、給紙された用紙の傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。
そして、画像形成部20において、中間転写ベルト26aのトナー像が用紙の一方の面に一括して2次転写され、定着装置28により定着処理が施される。画像形成された用紙は、排紙ローラ104を備えた排紙装置33により、排紙口EP1から後処理装置3に向けて排出される。
【0036】
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)51、RAM(Random Access Memory)52、ROM(Read Only Memory)53等を備えて構成されている。CPU51は、ROM53から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM52に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロック(画像読取部10、画像形成部20、搬送部30等)の動作を集中制御する。
【0037】
操作表示部40は、タッチパネル付のLCD(Liquid Crystal Display)等で構成され、キー入力部41及び表示部42として機能する。キー入力部41は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、オペレータによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部50に出力する。表示部42は、制御部50から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。
【0038】
通信部71は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された伝送媒体に接続可能なインターフェースである。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードにより構成され、LANケーブル等の通信回線を介して通信ネットワークに接続されたホスト装置PC等の外部の装置との間で各種データの送受信を行う。
シリアル通信部73は、大容量給紙装置2とのシリアル通信状態を監視し、これに基づいて大容量給紙装置2との接続を検出する。また、画像形成装置1において画像形成指示(例えば画像形成スタート操作)が行われると、シリアル通信部73を介して大容量給紙装置2に制御信号が送信され、用紙の供給が開始される。
音声出力部74は、制御部50から入力される音声制御信号に従って、スピーカから音声を出力する。
【0039】
水平状態検出部75は、例えば地球の重力加速度を計測することで傾きを検出可能とする3軸加速度センサで構成され、画像形成装置1の水平状態を検出する。この水平状態検出部75による検出結果に基づいて画像形成装置1を水平状態で設置することにより、画像形成装置1を基準として大容量給紙装置2等のオプション装置が連結される。したがって、画像形成システムPPSのシステム長が長くなっても水平状態が保持されることとなり、円滑な用紙搬送が実現されるとともに、連結部J1〜J3において歪応力が生じる虞もない。
【0040】
本実施形態では、制御部50が、連結状態検出部72による検出結果に基づいて画像形成装置1と大容量給紙装置2との連結状態の適否を判定し、判定結果に応じて通知部としての表示部42及び音声出力部74を制御する(連結状態監視処理)。
このように、制御部50による判定結果を表示部42で画像によって通知するとともに、音声出力部74で音声によって通知することにより、ユーザに対して現在の連結状態を確実に通知することができる。なお、制御部50による判定結果を、表示部42又は音声出力部74のいずれか一方により通知するようにしてもよい。
【0041】
また、画像形成装置1は、例えば底部の四隅にアジャスタフット80を備えており、個々のアジャスタフット80を設置面Fに圧接させた状態で高さを調整することにより、画像形成装置1の設置状態(高さ、傾き)を調整可能となっている。
【0042】
図4は、大容量給紙装置2の内部構成を示す図である。
図4に示すように、大容量給紙装置2は、3つの給紙トレイユニット201a〜201c、搬送装置202、排紙ユニット203等で構成されている。給紙トレイユニット201a〜201cには、用紙の斤量やサイズ等に基づいて識別された規格用紙や特殊用紙が予め設定された種類ごとに収容されている。
【0043】
排紙ユニット203の排紙口EP2の近傍には、スポット光を照射する複数の光源LED(あるいはLD)が配設されている。複数の光源LEDは、画像形成装置1と大容量給紙装置2が最適な状態で連結されたときに、それぞれから照射されたスポット光が、対応する光センサPSの中心に入射するように配設される。すなわち、排紙口EP2が配設された排紙面JS2において、画像形成装置1の光センサPS1〜PS4と対応するように、4つの光源LED1〜LED4が配設されている(図5参照)。
【0044】
また、大容量給紙装置2は、例えば底部の四隅にアジャスタフット204を備えており、個々のアジャスタフット204を設置面Fに圧接させた状態で高さを調整することにより、大容量給紙装置2の設置状態(高さ、傾き)を調整可能となっている。
【0045】
大容量給紙装置2では、画像形成装置1から送信された制御信号に基づいて、給紙トレイユニット201a〜201cに収容されている用紙が最上部から一枚ずつ送出される。そして、給紙トレイユニット201a〜201cから送出された用紙は、複数の搬送ローラを備えた搬送装置202により搬送され、排紙ユニット203の排紙口EP2から画像形成装置1の給紙口FP1に向けて排紙される。
また、大容量給紙装置2では、画像形成装置1から送信された制御信号に基づいて、光源LED1〜LED4のオン/オフが制御される。
【0046】
画像形成装置1と大容量給紙装置2は、連結部J1において、従来技術で説明した位置決めピンを利用した連結機構により連結される(図22参照)。例えば、水平状態検出部75による検出結果に基づいて画像形成装置1のアジャスタフット80を調整し、画像形成装置1を水平状態で設置する。そして、画像形成装置1の給紙口FP1と大容量給紙装置2の排紙口EP2の高さが一致するように大容量給紙装置2のアジャスタフット204を調整し、両者を連結する。
ただし、画像形成装置1と大容量給紙装置2とは、必ずしも高精度に位置決めされているとは限らない。そこで、本実施形態では、画像形成装置1において、制御部50が連結状態監視処理を実行することにより、画像形成装置1と大容量給紙装置2との連結状態の適否をユーザに通知するようにしている。
【0047】
図6は、連結状態監視処理の一例について示すフローチャートである。図6に示す連結状態監視処理は、画像形成装置1の電源が投入されたことを契機に、制御部50が所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0048】
ここでは、光センサPS1〜PS4として、二次元PSDを用いた場合について説明する。二次元PSDでは、受光領域に照射された光のスポット像の重心位置が検出される。それぞれの光センサPS1〜PS4で検出されたスポット像の重心位置は、連結状態を示す検出結果として制御部50に入力される。
制御部50は、光センサPS1〜PS4の受光領域中心と、検出結果として入力された重心位置を比較することにより、位置ズレ量を算出する。そして、4つの光センサPS1〜PS4における位置ズレ量に応じて、連結状態の適否を段階的に判定する。これにより、画像形成装置1と大容量給紙装置2の連結状態を正確に検出することができる。
【0049】
具体的には、図7に示すように、光センサPS1〜PS4の受光領域を、連結状態が最適であると判定する第1領域Za(OKエリア、位置ズレ量≦A)、最適ではないが画像形成可能である(ジャム等の不具合の生じる可能性が低い)と判定する第2領域Zb(位置ズレ量≦B)、画像形成不能である(ジャム等の不具合の生じる可能性が高い)と判定する第3領域Zc(位置ズレ量>B)に区画する。
スポット像Aのように重心位置が第1領域Zaにある場合には位置ズレ量≦Aとなり、スポット像Bのように重心位置が第2領域Zbにある場合には位置ズレ量≦Bとなり、スポット像Cのように重心位置が第3領域Zcにある場合には位置ズレ量>Bとなる。
【0050】
図5に示すように、画像形成装置1の給紙面JS1と大容量給紙装置2の排紙面JS2が平行で、かつ対向する給紙口FP1と排紙口EP2の高さが一致している(面内で傾いていない)場合は、光源LED1〜LED4から照射されたスポット光が光センサPS1〜PS4に対して垂直に入射するため、スポット像の重心位置が受光領域中心(第1領域Za内)となる。一方、画像形成装置1の給紙面JS1と大容量給紙装置2の排紙面JS2が平行でない場合、又は対向する給紙口FP1と排紙口EP2の高さが一致していない(面内で傾いている)場合は、光源LED1〜LED4から照射されたスポット光のスポット像の重心位置がズレの程度に応じて第2領域Zb又は第3領域Zcとなる。
【0051】
図6において、ステップS101では、オプション装置(大容量給紙装置2)が接続されているか否かを判定する。具体的には、シリアル通信部73により検出される大容量給紙装置2との接続状態に基づいて判定する。そして、大容量給紙装置2が接続されていないと判定した場合はステップS102移行し、大容量給紙装置2が接続されていると判定した場合はステップS104に移行する。
【0052】
ステップS102では、画像形成が可能である旨を表示部42に表示させるとともに、音声出力部74により音声で通知する(画像形成許可通知)。
ステップS103では、キー入力部41からの入力信号に基づいて、画像形成を指示する画像形成スタート操作(例えばスタートキーの押下)が行われたか否かを判定する。そして、画像形成スタート操作が行われたと判定するとステップS113に移行し、画像形成処理を実行する。つまり、大容量給紙装置2が接続されていない場合は、そのまま画像形成可能な状態とされる。
【0053】
ステップS104では、光センサPS1〜PS4をオン状態とする。同時に、大容量給紙装置2に光源LED1〜LED4をオン状態とする制御信号を送信し、大容量給紙装置2の光源LED1〜LED4からスポット光を照射させる。
【0054】
ステップS105では、光センサPS1〜PS4における位置ズレ量がA以下であるか否かを判定する。光センサPS1〜PS4のうち、受光領域中心とスポット像の重心位置の位置ズレ量が最も大きい光センサに着目して判定される。そして、位置ズレ量がA以下、すなわち連結状態が最適であると判定した場合はステップS106に移行し、位置ズレ量がAより大きいと判定した場合はステップS107に移行する。
【0055】
ステップS106では、光センサPS1〜PS4をオフ状態とする。同時に、大容量給紙装置2に光源LED1〜LED4をオフ状態とする制御信号を送信し、大容量給紙装置2の光源LED1〜LED4からのスポット光の照射を停止させる。
そして、画像形成が可能である旨を通知し(ステップS102)、画像形成スタート操作が行われることに伴い画像形成処理を実行する(ステップS103、ステップS113)。つまり、大容量給紙装置2との連結状態が最適化されている場合(位置ズレ量≦A)は、光センサPS1〜PS4がオフ状態とされた後、画像形成可能な状態とされる。
【0056】
ステップS105で位置ズレ量がAより大きいと判定した場合は、ステップS107において、光センサPS1〜PS4における位置ズレ量がB以下であるか否かを判定する。そして、位置ズレ量がB以下、すなわち連結状態が最適ではないが画像形成可能であると判定した場合はステップS108に移行し、位置ズレ量がBより大きい、すなわち画像形成不能であると判定した場合はステップS114に移行する。
【0057】
ステップS108では、画像形成可能であるが、画像形成装置1と大容量給紙装置2との位置合わせを最適化した方が望ましい旨を表示部42に表示させるとともに、音声出力部74により音声で通知する(警告通知)。
ユーザは、この通知により画像形成装置1と大容量給紙装置2の連結状態が最適ではないことを知得でき、大容量給紙装置2のアジャスタフット204を調整することにより、連結状態を最適化することができる。なお、画像形成装置1のアジャスタフット80を調整することにより連結状態を最適化することもできるが、画像形成装置1の水平状態が保持されなくなる虞があるので、大容量給紙装置2のアジャスタフット204を調整するのが望ましい。
【0058】
ステップS109では、キー入力部41からの入力信号に基づいて、画像形成を指示する画像形成スタート操作が行われたか否かを判定する。そして、画像形成スタート操作が行われたと判定した場合はステップS110に移行し、画像形成スタート操作が行われないまま所定時間経過した場合は画像形成スタート操作が行われていないと判定してステップS105に移行する。
【0059】
ステップS110では、画像形成をスタートしてよいか確認する旨を表示部42に表示させるとともに、音声出力部74により音声で通知する(確認通知)。位置ズレ量がB以下の場合は画像形成可能であるが、ジャム等の用紙搬送不良が生じる虞があることから、画像形成をスタートするか否かをユーザの判断に委ねるようにしている。
【0060】
ステップS111では、キー入力部41からの入力信号に基づいて、画像形成を指示する画像形成スタート操作が行われたか否かを判定する。そして、画像形成スタート操作が行われたと判定した場合はステップS112に移行し、画像形成スタート操作が行われないまま所定時間経過した場合、又は画像形成のキャンセル操作(例えばストップキーの押下)が行われた場合は、画像形成スタート操作が行われていないと判定してステップS105に移行する。
【0061】
ステップS112では、光センサPS1〜PS4をオフ状態とする。同時に、大容量給紙装置2に光源LED1〜LED4をオフ状態とする制御信号を送信し、大容量給紙装置2の光源LED1〜LED4からのスポット光の照射を停止させる。
そして、ステップS113において、画像形成処理を実行する。つまり、大容量給紙装置2との連結状態が最適ではないが画像形成可能な場合(位置ズレ量≦B)は、ユーザの判断に従って画像形成が実行されることとなる。
【0062】
ステップS107で位置ズレ量がBより大きいと判定した場合は、ステップS114において、画像形成が不能であり、画像形成装置1と大容量給紙装置2との位置合わせを調整すべき旨を表示部42に表示させるとともに、音声出力部74から音声により通知する(画像形成禁止通知)。そして、ステップS105に移行し、画像形成装置1と大容量給紙装置2の連結状態が改善されるまで、画像形成処理が禁止される。
ユーザは、ステップS107における通知により画像形成装置1と大容量給紙装置2の連結状態が最適ではないことを知得でき、画像形成装置1のアジャスタフット80又は大容量給紙装置2のアジャスタフット204を調整することにより、連結状態を最適化することができる。
【0063】
つまり、画像形成装置1と大容量給紙装置2の連結状態を示す位置ズレ量がB以上で画像形成スタート操作が行われない場合(ステップS109又はS111で“NO”)、又は位置ズレ量がBより大きい場合(ステップS107で“NO”)には、ユーザに連結状態が最適でないことを通知し、ユーザが連結状態を改善する機会を与える。
【0064】
以下に、画像形成装置1と大容量給紙装置2の連結状態と、光センサ(二次元PSD)PS1〜PS4における受光状態の関係について、具体的に説明する。なお、画像形成装置1と大容量給紙装置2は図22に示す連結機構によりある程度位置決めされているため、両者の高さが大幅にずれることはないものとする。
【0065】
図8は、画像形成装置1と大容量給紙装置2の連結状態の一例を示す図である。図8では、画像形成装置1に対して大容量給紙装置2の上側が離れた状態(後傾状態)を、画像形成システムPPSの正面から見て示している。つまり、図8では、画像形成装置1の給紙面JS1と大容量給紙装置2の排紙面JS2が平行でない状態を示している。
また、画像形成装置1と大容量給紙装置2が図8に示す状態で連結されている場合の光センサPS1〜PS4における受光状態を図9に示す。
【0066】
図9(a)、(b)に示すように、正面上部に配設された光センサPS1及び背面上部に配設された光センサPS2では、スポット像の重心位置が受光領域中心から位置ズレ量aで上方にずれる。図9(c)、(d)に示すように、正面下部に配設された光センサPS3及び背面下部に配設された光センサPS4では、スポット像の重心位置が受光領域中心から位置ズレ量bで上方にずれる。
画像形成装置1に対して大容量給紙装置2の上側が離れている場合、上側ほど画像形成装置1と大容量給紙装置2の離間距離(すなわちスポット光の光路長)が大きくなるので、位置ズレ量aの方が位置ズレ量bよりも大きくなる。したがって、図6の連結状態監視処理では、光センサPS1又はPS2における位置ズレ量aに基づいて、連結状態の適否が判定される。
【0067】
図10は、画像形成装置1と大容量給紙装置2の連結状態の他の一例を示す図である。図10では、画像形成装置1に対して大容量給紙装置2が面内で正面側に傾いた状態(画像形成装置1の給紙面JS1と大容量給紙装置2の排紙面JS2は平行)を、大容量給紙装置の右方から見て示している。つまり、図10では、画像形成装置1の給紙口FP1と大容量給紙装置2の排紙口EP2の高さが一致していない状態を示している。
また、画像形成装置1と大容量給紙装置2が図10に示す状態で連結されている場合の光センサPS1〜PS4における受光状態を図11に示す。
【0068】
図11(a)に示すように、正面上部に配設された光センサPS1では、スポット像の重心位置が受光領域中心から左下方にずれる。図11(b)に示すように、背面上部に配設された光センサPS2では、スポット像の重心位置が受光領域中心から左上方にずれる。図11(c)に示すように、正面下部に配設された光センサPS3では、スポット像の重心位置が受光領域中心から右下方にずれる。また、図11(d)に示すように、背面下部に配設された光センサPS4では、スポット像の重心位置が受光領域中心から右上方にずれる。
画像形成装置1の給紙面JS1と大容量給紙装置2の排紙面JS2が平行である場合、画像形成装置1と大容量給紙装置2の離間距離は同じなので、光センサPS1〜PS4におけるスポット像の重心位置の位置ズレ量aは同じとなり、ズレ方向が異なる。したがって、図6の連結状態監視処理では、光センサPS1〜PS4のいずれかにおける位置ズレ量に基づいて、連結状態の適否が判定される。
【0069】
図12は、画像形成装置1と大容量給紙装置2の連結状態の他の一例を示す図である。図12では、画像形成装置1に対して大容量給紙装置2の背面側が離れた状態を、画像形成システムPPSの上方から見て示している。つまり、図12では、画像形成装置1の給紙面JS1と大容量給紙装置2の排紙面JS2が平行でない状態を示している。
また、画像形成装置1と大容量給紙装置2が図12に示す状態で連結されている場合の光センサPS1〜PS4における受光状態を図13に示す。
【0070】
図13(a)、(c)に示すように、正面上部に配設された光センサPS1及び正面下部に配設された光センサPS3では、スポット像の重心位置が受光領域中心から位置ズレ量aで右方にずれる。また、図13(b)、(d)に示すように、背面上部に配設された光センサPS2及び背面下部に配設された光センサPS4では、スポット像の重心位置が受光領域中心から位置ズレ量bで右方にずれる。
画像形成装置1に対して大容量給紙装置2の背面側が離れている場合、背面側ほど画像形成装置1と大容量給紙装置2の離間距離(すなわちスポット光の光路長)が大きくなるので、位置ズレ量bの方が位置ズレ量aよりも大きくなる。したがって、図6の連結状態監視処理では、光センサPS2又はPS4における位置ズレ量bに基づいて、連結状態の適否が判定される。
【0071】
なお、画像形成装置1の給紙面JS1と大容量給紙装置2の排紙面JS2が平行でなく、また画像形成装置1の給紙口FP1と大容量給紙装置2の排紙口EP2の高さが一致していない(面内で傾いている)場合は、光センサPS1〜PS4において、図9、11、13を組み合わせた受光状態が検出結果として取得されることとなる。
【0072】
このように、制御部50は、画像形成装置(当該用紙取扱い装置)1と大容量給紙装置(第1の外部取扱い装置)2との連結面(給紙面JS1と排紙面JS2)が平行となっているか否か、及び対向する給紙口FP1と排紙口EP2の高さが一致しているか否か(面内で傾いている場合は高さ不一致)を判定する。
これにより、画像形成装置1と大容量給紙装置2の連結状態を的確に判定して、ユーザに通知することができる。ユーザは通知内容に応じて画像形成装置1と大容量給紙装置2との連結状態を効率よく改善することができる。
【0073】
[変形例1]
図14は、変形例1における光センサPS及び光源LEDの配設状態の一例について示す図である。変形例1では、連結状態検出部72を構成する光センサPSとして、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等のイメージセンサを用いる。イメージセンサでは、大容量給紙装置2の光源LEDから照射されたスポット光のスポット像が検出される。
【0074】
図14に示すように、画像形成装置1において、給紙口FP1を挟んで両側に光センサPS1、PS2が配設されている。また、大容量給紙装置2において、排紙口EP2を挟んで両側に光源LED1、LED2が配設されている。2つの光源LED1、LED2は、画像形成装置1と大容量給紙装置2が最適な状態で連結されたときに、それぞれから照射されたスポット光が、対応する光センサPS1、PS2の中心に入射するように配設される。
【0075】
この場合、制御部50は、光センサPS1、PS2による検出結果(スポット像)を画像処理して演算することにより、スポット像の重心位置と形状を算出する。そして、2つの光センサPS1、PS2におけるスポット像の重心位置の位置ズレ量及びスポット像の形状(例えばスポット像の楕円率(=長径/短径))に応じて、連結状態の適否を段階的に判定する。
【0076】
画像形成装置1と大容量給紙装置2が図8に示す状態で連結されている場合(画像形成装置1に対して大容量給紙装置2の上側が離れている場合)の光センサPS1、PS2における受光状態を図15に示す。
図15(a)、(b)に示すように、正面側に配設された光センサPS1及び背面側に配設された光センサPS2では、楕円状で重心位置が受光領域中心から上方にずれたスポット像が取得される。光センサPS1、PS2が配設されている高さは同じなので、スポット像の重心位置の位置ズレ量及び形状は同じとなる。また、スポット像の楕円率は、画像形成装置1の給紙面JS1に対する大容量給紙装置2の排紙面JS2の傾き具合に応じて変化する。
図6の連結状態監視処理では、光センサPS1又はPS2における位置ズレ量とスポット像の形状に基づいて、連結状態の適否が判定される。
【0077】
画像形成装置1と大容量給紙装置2が図10に示す状態で連結されている場合(画像形成装置1に対して大容量給紙装置2が面内で正面側に傾いている場合)の光センサPS1、PS2における受光状態を図16に示す。
図16(a)に示すように、正面側に配設された光センサPS1では、真円状(楕円率=1)で重心位置が受光領域中心から左下方にずれたスポット像が取得される。また、図16(b)に示すように、背面側に配設された光センサPS2では、真円状で重心位置が受光領域中心から左上方にずれたスポット像が取得される。スポット像の位置ズレ量及びズレ方向は面内の傾き具合に応じて変化する。
図6の連結状態監視処理では、光センサPS1又はPS2における位置ズレ量に基づいて、連結状態の適否が判定される。
【0078】
画像形成装置1と大容量給紙装置2が図12に示す状態で連結されている場合(画像形成装置1に対して大容量給紙装置2の背面側が離れている場合)の光センサPS1、PS2における受光状態を図17に示す。
図17(a)に示すように、正面側に配設された光センサPS1では、楕円状で重心位置が受光領域中心から位置ズレ量aで右方にずれたスポット像が取得される。また、図17(b)に示すように、背面側に配設された光センサPS2では、楕円状で重心位置が受光領域中心から位置ズレ量bで右方にずれたスポット像が取得される。背面側ほど画像形成装置1と大容量給紙装置2の離間距離(すなわちスポット光の光路長)が大きくなるので、位置ズレ量bの方が位置ズレ量aよりも大きく、スポット像の歪も大きくなる。
図6の連結状態監視処理では、光センサPS2における位置ズレ量とスポット像の形状に基づいて、連結状態の適否が判定される。
【0079】
なお、画像形成装置1の給紙面JS1と大容量給紙装置2の排紙面JS2が平行でなく、また画像形成装置1の給紙口FP1と大容量給紙装置2の排紙口EP2の高さが一致していない(面内で傾いている)場合は、光センサPS1、PS2において、図15〜17を組み合わせたスポット像が検出結果として取得されることとなる。
【0080】
このように、給紙口FP1の両側にイメージセンサからなる光センサPS1、PS2を配設し、これらの光センサPS1、PS2で光源LED1、LED2から照射されたスポット光を受光することにより、画像形成装置1と大容量給紙装置2の連結状態を正確に検出することができる。
【0081】
[変形例2]
図18は、変形例2における光センサPS及び光源LEDの配設状態の一例について示す図である。変形例2では、連結状態検出部72を構成する光センサPSとして二次元PSDを用いる。実施形態とは光センサPSの配設位置が異なる。
【0082】
図18に示すように、画像形成装置1において、給紙口FP1の対角位置に光センサPS1、PS2が配設されている。また、大容量給紙装置2において、排紙口EP2の対角位置に光源LED1、LED2が配設されている。2つの光源LED1、LED2は、画像形成装置1と大容量給紙装置2が最適な状態で連結されたときに、それぞれから照射されたスポット光が、対応する光センサPS1、PS2の中心に入射するように配設される。
【0083】
画像形成装置1と大容量給紙装置2が図8に示す状態で連結されている場合(画像形成装置1に対して大容量給紙装置2の上側が離れている場合)の光センサPS1、PS2における受光状態を図19に示す。
図19(a)に示すように、正面上部に配設された光センサPS1では、スポット像の重心位置が受光領域中心から位置ズレ量aで上方にずれる。図19(b)に示すように、背面下部に配設された光センサPS2では、スポット像の重心位置が受光領域中心から位置ズレ量bで上方にずれる。
画像形成装置1に対して大容量給紙装置2の上側が離れている場合、上側ほど画像形成装置1と大容量給紙装置2の離間距離(すなわちスポット光の光路長)が大きくなるので、位置ズレ量aの方が位置ズレ量bよりも大きくなる。したがって、図6の連結状態監視処理では、光センサPS1における位置ズレ量aに基づいて、連結状態の適否が判定される。
【0084】
画像形成装置1と大容量給紙装置2が図10に示す状態で連結されている場合(画像形成装置1に対して大容量給紙装置2が面内で正面側に傾いている場合)の光センサPS1、PS2における受光状態を図20に示す。
図20(a)に示すように、正面上部に配設された光センサPS1では、スポット像の重心位置が受光領域中心から左下方にずれる。図20(b)に示すように、背面下部に配設された光センサPS2では、スポット像の重心位置が受光領域中心から右上方にずれる。
画像形成装置1の給紙面JS1と大容量給紙装置2の排紙面JS2が平行である場合、画像形成装置1と大容量給紙装置2の離間距離は同じなので、光センサPS1〜PS4におけるスポット像の重心位置の位置ズレ量aは同じとなり、ズレ方向が異なる。したがって、図6の連結状態監視処理では、光センサPS1、PS2のいずれかにおける位置ズレ量に基づいて、連結状態の適否が判定される。
【0085】
画像形成装置1と大容量給紙装置2が図12に示す状態で連結されている場合(画像形成装置1に対して大容量給紙装置2の背面側が離れている場合)の光センサPS1、PS2における受光状態を図21に示す。
図21(a)に示すように、正面上部に配設された光センサPS1では、スポット像の重心位置が受光領域中心から位置ズレ量aで右方にずれる。また、図21(b)に示すように、背面下部に配設された光センサPS2では、スポット像の重心位置が受光領域中心から位置ズレ量bで右方にずれる。
画像形成装置1に対して大容量給紙装置2の背面側が離れている場合、背面側ほど画像形成装置1と大容量給紙装置2の離間距離(すなわちスポット光の光路長)が大きくなるので、位置ズレ量bの方が位置ズレ量aよりも大きくなる。したがって、図6の連結状態監視処理では、光センサPS2における位置ズレ量bに基づいて、連結状態の適否が判定される。
【0086】
なお、画像形成装置1の給紙面JS1と大容量給紙装置2の排紙面JS2が平行でなく、また画像形成装置1の給紙口FP1と大容量給紙装置2の排紙口EP2の高さが一致していない(面内で傾いている)場合は、光センサPS1、PS2において、図19〜21を組み合わせたスポット像が検出結果として取得されることとなる。
【0087】
このように、光センサPSを二次元PSDで構成する場合、給紙口FP1の対角2箇所に光センサPS1、PS2を配設し、これらの光センサPS1、PS2で光源LED1、LED2から照射されたスポット光を受光するようにしてもよい。これにより、画像形成装置1と大容量給紙装置2の連結状態を正確に検出することができる。
【0088】
以上説明したように、画像形成装置(用紙取扱い装置)1は、大容量給紙装置(第1の外部用紙取扱い装置)2の排紙口(外部排紙口)EP2から排紙された用紙を導入する給紙ユニット(給紙部)34を備え、外部給紙ユニット34の給紙面JS1と大容量給紙装置2の排紙面JS2が対向する状態で連結される。
そして、連結された大容量給紙装置2との連結状態を検出する連結状態検出部72と、連結状態検出部72による検出結果に基づいて連結状態の適否を判定する制御部50と、制御部50による判定結果を通知する通知部として表示部42、音声出力部74と、を備えている。
【0089】
これにより、画像形成装置1においては、画像形成装置1と大容量給紙装置2の位置決め精度(連結状態)が事前に検出され、ユーザに通知される。したがって、ユーザは通知内容に応じて画像形成装置1と大容量給紙装置の連結状態を容易に最適化することができる。
また、画像形成システムPPSによれば、連結される用紙取扱い装置(画像形成装置1と大容量給紙装置2)間が高精度で位置決めされない限り、画像形成処理が実行されないので、様々な用紙に対して信頼性の高い用紙搬送が可能となる。したがって、用紙搬送不良により不要にジャムやヤレ紙が発生するのを防止できる。
【0090】
なお、画像形成システムPPSでは、画像形成装置1と後処理装置3を連結する場合にも本発明を適用できる。また、画像形成装置1ではなく、大容量給紙装置2又は後処理装置3、4に本発明を適用することもできる。すなわち、連結される用紙取扱い装置のいずれか一方に本発明を適用することで、高精度に位置決めした状態で連結することができる。
【0091】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、実施形態では大容量給紙装置2にスポット光を照射するための光源LEDを配設しているが、光源LEDを画像形成装置1に配設し、大容量給紙装置2で反射させた反射光を光センサPSで受光するようにしてもよい。
また、制御部50が、連結状態の適否だけでなく、連結状態検出部72による検出結果に基づいて、大容量給紙装置2のアジャスタフット204の調整箇所及び調整量を判定して通知するようにしてもよい。これにより、ユーザは画像形成装置1と大容量給紙装置2の連結状態を容易に最適化することができる。
【0092】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0093】
1 画像形成装置(用紙取扱い装置)
2 大容量給紙装置(第1の外部用紙取扱い装置)
3 後処理装置(第2の外部用紙取扱い装置)
4 後処理装置
10 画像読取部
20 画像形成部
30 搬送部
33 排紙装置(排紙部)
34 外部給紙ユニット(給紙部)
40 操作表示部
41 キー入力部
42 表示部(通知部)
50 制御部
71 通信部
72 連結状態検出部
73 シリアル通信部
74 音声出力部(通知部)
75 水平状態検出部
80 アジャスタフット
204 アジャスタフット
PPS 画像形成システム
PS 光センサ
LED 光源
JS1 給紙面(連結面)
JS2 排紙面(連結面)
FP1 給紙口
EP2 排紙口(外部排紙口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の外部用紙取扱い装置の外部排紙口から排紙された用紙を導入する給紙部又は第2の外部用紙取扱い装置の外部給紙口に向けて用紙を排出する排紙部を備え、前記給紙部の給紙面と前記第1の外部用紙取扱い装置の排紙面が対向する状態で連結される、又は前記排紙部の排紙面と前記第2の外部用紙取扱い装置の給紙面が対向する状態で連結される用紙取扱い装置であって、
連結された前記第1の外部用紙取扱い装置又は前記第2の外部用紙取扱い装置との連結状態を検出する連結状態検出部と、
前記連結状態検出部による検出結果に基づいて前記連結状態の適否を判定する制御部と、
前記制御部による判定結果を通知する通知部と、を備えることを特徴とする用紙取扱い装置。
【請求項2】
前記制御部は、当該用紙取扱い装置と前記第1の外部取扱い装置又は前記第2の外部用紙取扱い装置との連結面が平行となっているか否か、及び対向する給紙口と排紙口の高さが一致しているか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の用紙取扱い装置。
【請求項3】
前記連結状態検出部は、前記第1の外部用紙取扱い装置の排紙面又は前記第2の外部取扱い装置の給紙面から発せられた光を受光し、受光量に基づいて前記連結状態を検出する光センサで構成され、
前記光センサが前記給紙面又は前記排紙面に2箇所以上設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の用紙取扱い装置。
【請求項4】
前記光センサは、前記給紙口又は前記排紙口の幅方向両側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の用紙取扱い装置。
【請求項5】
前記通知部は、前記制御部による判定結果を画像によって通知する表示部又は音声によって通知する音声出力部で構成されることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の用紙取扱い装置。
【請求項6】
当該用紙取扱い装置の水平状態を検出する水平状態検出部を備えることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の用紙取扱い装置。
【請求項7】
当該用紙取扱い装置、前記第1の外部用紙取扱い装置又は前記第2の外部用紙取扱い装置は、底部に設置状態を調整可能な複数のアジャスタフットを備え、
前記制御部は、前記連結状態検出部による検出結果に基づいて、前記アジャスタフットの調整箇所及び調整量を判定することを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の用紙取扱い装置。
【請求項8】
用紙に画像を形成する画像形成装置と、この画像形成装置に用紙を供給する給紙装置、又は前記画像形成装置から排紙された用紙に対して後処理を行う後処理装置と、を備える画像形成システムにおいて、
前記画像形成装置、前記給紙装置又は前記後処理装置の少なくとも一つが、請求項1から7の何れか一項に記載の用紙取扱い装置を備えていることを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−237650(P2011−237650A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109817(P2010−109817)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】