説明

用紙搬送研磨装置及び画像形成装置

【課題】簡単な構成で用紙の裁断バリを除去して、定着ベルトや定着ローラなどへの傷の発生による画質の低下を防止する。
【解決手段】ガイド板対21,22によって形成される用紙搬送路13中と、その用紙搬送路13に沿って用紙Pを搬送する搬送ローラ対41,42を設け、その用紙搬送方向の上流側の搬送ローラ対41と下流側の搬送ローラ対42との間に、レール30に沿って用紙搬送方向に直交する方向に移動可能に1対のベース部31を設け、そのベース部31の内側に、搬送される用紙の搬送方向に平行する両側端部に接触するように、用紙エッジ研磨部材である1対の弾性研磨板32と、その各々に対向するバックアップローラ34とを設け、搬送される用紙Pの両側端部を弾性研磨板32とバックアップローラ34とによって挟み込み、弾性研磨板32によって用紙Pのエッジ部の裁断バリを除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成用の用紙搬送研磨装置及びそれを搭載したプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、またはそれらの機能を組合せたデジタル複合機等の電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、一般に、記録用紙などの画像形成用の用紙上に転写されて担持される未定着画像(トナー画像)を、加熱及び加圧して定着することにより、複写物や記録物を得ることができる。また、画像形成用の用紙の種類も多岐にわたる。特に、写真やコンピュータグラフィックスなどのフルカラー画像においては、面内が均一な画像光沢度を有し、高画質がより強く求められる。
【0003】
このような均一な画像光沢を阻害する一因として、用紙の裁断時にその端部エッジに裁断バリ(裁断時に発生するバリ)が生じているため、そのバリによる定着装置の定着部材へのキズの発生がある。同じサイズの用紙を連続的に多数通紙すると、用紙エッジの裁断バリが定着装置の同じ位置を通過して、定着ニップ部で定着部材の表面にキズを付け、そのキズ跡がスジ状の光沢ムラになり、異常画像と認識されることがある。
【0004】
このような問題を解決するため、従来から例えば、特許文献1や特許文献2に見られるように、用紙端部のバリをローラ対の強い圧力によって押し潰して均し、バリによる用紙の搬送性の不具合を解消し、画質の低下を防止することが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のようにバリ取り用ローラを用いてバリ部分を押し潰すようにすると、次のような問題点が生じる。バリ取り用ローラ対によって、用紙の裁断バリを押し潰して平滑にするには非常に高い圧力で押圧する必要がある。そのため、使用するローラが大型化し、その圧力に耐えられるようにするために、フレーム等も強固な構造が必要であり、一層大型化してしまう。また、用紙の厚みは多種多様であるから、用紙通過時の衝撃音を完全に防ぐことはできない。さらに、高圧で押圧されているローラを回転させるために大きなトルクが必要であり、ローラを回転させる動力源も大型化してしまう。
【0006】
この発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、簡単な構成で用紙の裁断バリを除去して、定着ベルトや定着ローラなどへの傷の発生による画質の低下を防止し、用紙通過時の衝撃音も軽減することができる用紙搬送研磨装置とそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による用紙搬送研磨装置は、上記の目的を達成するため、用紙搬送路と、その用紙搬送路に沿って用紙を搬送する用紙搬送手段と、その用紙搬送手段によって搬送される用紙の搬送方向に平行する両側端部に接触するように、少なくとも1対の用紙エッジ研磨部材を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、搬送される用紙の両側端部だけに作用する用紙エッジ研磨部材により、用紙の裁断バリや端部のエッジを除去することができる。そのため、これを画像形成装置に採用すれば、大型化することなく定着装置の定着ベルトや定着ローラなどへの傷の発生を防ぎ、画質の低下を防止することができ、用紙通過時の衝撃音も軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明による画像形成装置の一実施形態の全体構成を示す概略図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に備えた用紙搬送研磨装置20の第1実施例の構成を大幅に拡大して模式的に示す概略側面図である。
【図3】同じくその用紙搬送研磨装置を倍率を小さくして上方から見た平面図である。
【図4】図1に示した画像形成装置に備えた用紙搬送研磨装置20の第2実施例の構成を示す図2と同様な概略側面図である。
【図5】同じくその用紙搬送研磨装置の図3と同様な平面図である。
【図6】図1に示した画像形成装置に備えた用紙搬送研磨装置20の第3実施例の構成を示す図2と同様な概略側面図である。
【0010】
【図7】同じくその用紙搬送研磨装置の図3と同様な平面図である。
【図8】図1に示した画像形成装置に備えた用紙搬送研磨装置20の第4実施例の構成を示す図2と同様な概略側面図である。
【図9】同じくその用紙搬送研磨装置の図3と同様な平面図である。
【図10】図1に示した画像形成装置に備えた用紙搬送研磨装置20の第5実施例の構成を示す図2と同様な概略側面図である。
【図11】同じくその用紙搬送研磨装置の図3と同様な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態を詳細に説明する。
〔画像形成装置の実施例〕
図1はこの発明による画像形成装置の一実施形態の全体構成を示す概略図である。
この画像形成装置100は、タンデム型のフルカラー出力可能な複写機又はデジタル複合機のような画像形成装置を例示している。
【0012】
この画像形成装置100は、本体1の一側面の上部寄りに内方に入り込んだ空間部が形成され、その下面が排紙トレイ部2になっている胴内排紙タイプのものである。そして、本体1の上面部に自動原稿給送装置(ADF)3が開閉可能に設けられており、本体1の上面部側にはコンタクトガラス4を備えている。自動原稿給送装置3には、原稿載置台3aと原稿搬送ベルト3b等が設けられている。
【0013】
コンタクトガラス4の下側には、光源と光学系及び撮像素子等からなる画像読取部5が設けられており、コンタクトガラス4上に手動で載置されるか、自動原稿給送装置3によって順次給送される原稿の画像を光学的に読み取る。
本体1の上下方向の中間部には、周回移動する中間転写ベルト9が図1で左右方向に延びて張り渡されており、その下側の面に沿って、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナー画像を形成する作像ユニットが、間隔を置いて配置されている。
【0014】
その作像ユニットには、それぞれ感光体6Y、6C、6M、6Kとその表面を帯電させる帯電器(図示を省略)と、図示を省略した書込みユニットによって各感光体の表面に形成された静電潜像を各色のトナーで現像する現像ユニット7Y、7C、7M、7Kが設けらている。さらに、各感光体6Y、6C、6M、6Kに対して中間転写ベルト9を挟んで反対側に、それぞれ一次転写ローラ8Y、8C、8M、8Kが配置されている。
【0015】
本体1の下部には、記録材である用紙Pを収容する給紙トレイ15が2段に設けられ、その各給紙トレイ15からそれぞれ用紙Pを給紙する給紙手段である給紙ローラ17及び多数の搬送ローラ対18と、位置決めローラ11等が設けられている。さらに、中間転写ベルト9の下流端部に対向して二次転写ローラ10が設けられ、その上方に定着装置12が配置されている。
【0016】
図1において、図示していない多数のガイド板によって形成された用紙搬送路13を細い実線で示しており、その用紙搬送路13に沿って多数の搬送ローラ対と、搬送路を切り替える切替爪などが設けられ、終端部には排紙ローラ対14が設けられている。また、定着装置12を経て一方の面に画像が形成された用紙Pを、表裏を反転させて再び位置決めローラ11へ搬送する両面搬送路19も形成している。
【0017】
この実施例では、位置決めローラ11と二次転写ローラ10との間の用紙搬送路13中に、この発明による用紙搬送研磨装置20を配置している。その用紙搬送研磨装置20の詳細は後述する。
排紙トレイ部2の下側の本体1内には、各現像ユニット7Y、7C、7M、7Kに各色のトナーを供給するトナーボトル16Y、16C、16M、16Kを備えている。
【0018】
このように構成したこの実施例の画像形成装置100では、画像読取部5が読み取った原稿の画像データ、あるいはネットワーク接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト装置から送信されて来る印刷データ等に基づいて、用紙Pに画像を形成(印刷)する。
すなわち、各作像ユニットの感光体6Y、6C、6M、6K上にそれぞれ各色のトナー像を形成し、それを中間転写ベルト9上に順次重ねて転写してフルカラーのトナー像を形成する。そのフルカラーのトナー像を中間転写ベルト9が二次転写ローラ10と対向する二次転写部へ搬送する。
【0019】
一方、いずれか一方の給紙トレイ15内の用紙Pが、給紙ローラ17及び搬送ローラ対18によって位置決めローラ11まで搬送されて待機する。そして、中間転写ベルト9に転写されたトナー像が二次転写部へ到達する直前の所定のタイミングで位置決めローラ11が用紙Pを送り出す。その用紙Pは用紙搬送研磨装置20を通して裁断バリが除去され、二次転写部で二次転写ローラ10によって中間転写ベルト9上のトナー像が転写される。
【0020】
トナー像を担持した用紙Pは、定着装置12へ搬送され、その定着装置12を通過する間に熱と圧力が加えられてトナー像が定着される。このようにして画像が形成された用紙は、排紙ローラ対14によって排紙トレイ部2に排出される。
用紙の両面にも画像を形成する場合には、一方の面に画像が形成された用紙を、両面搬送路19を通して位置決めローラ11へ戻して待機させ、その後、二次転写部で他方の面にトナー像を転写させ、そのトナー像を定着装置12を通して定着させた後、排紙トレイ部2に排出させる。
【0021】
〔用紙搬送研磨装置の第1実施例〕
以下、図1に示した画像形成装置における位置決めローラ11と二次転写ローラ10との間の用紙搬送路13上に設けた用紙搬送研磨装置20の詳細を、図2〜図11に示す各実施例によって説明する。
図2は、その用紙搬送研磨装置20の第1実施例の構成を大幅に拡大して模式的に示す概略側面図であり、図3はその倍率を小さくして上方から見た平面図である。
【0022】
この図2及び図3によって、用紙搬送研磨装置20の第1実施例を説明する。
この用紙搬送研磨装置20は、位置決めローラ11と二次転写ローラ10との間の用紙搬送路13を形成する2組のガイド板対21,22と、その用紙搬送方向の間隔部24に設けられた用紙エッジ研磨部材である弾性研磨板32と、上流側のガイド板対21に設けられた搬送ローラ対41と、下流側のガイド板対22に設けられた搬送ローラ対42等を備えている。搬送ローラ対41,42は用紙搬送路13に沿って用紙を搬送する用紙搬送手段である。
【0023】
この説明において、「上流側」とは用紙Pの搬送方向の上流側であり、図2では左側、図3では下側を云う。「下流側」とは用紙Pの搬送方向の下流側であり、図2では右側、図3では上側を云う。
なお、図3におけるガイド板対21と22の間隔部24の間隔は、図示の都合上図2における間隔部24の間隔より広く示している。他の実施例の平面図も同様である。
【0024】
搬送ローラ対41は、図3に示すように共通の軸41cに間隔を置いて固設された2個の搬送ローラ41aと、同様に共通の軸41dに間隔を置いて固設された2個の搬送ローラ41b(図2)とからなる。また、上流側のガイド板対21には、用紙搬送路13の幅方向に間隔を置いて対の開口部21a,21aが形成されている。
そして、その搬送ローラ41aと41bとが、図2に示すように、上流側のガイド板対21の開口部21a,21a内で互いに接するように平行に配置され、それぞれ矢示方向に回転し、用紙Pを挟んでガイド板対21内の用紙搬送路13を矢示A方向へ搬送する。
【0025】
搬送ローラ対42は、図3に示すように共通の軸42cに間隔を置いて固設された2個の搬送ローラ42aと、同様に共通の軸42dに間隔を置いて固設された2個の搬送ローラ42b(図2)とからなる。また、下流側のガイド板対22にも、用紙搬送路13の幅方向に間隔を置いて対の開口部22a,22aが形成されている。
そして、その搬送ローラ42aと42bとが、図2に示すように、下流側のガイド板対22の開口部22a,22a内で互いに接するように平行に配置され、それぞれ矢示方向に回転し、用紙Pが来ればそれを挟んでガイド板対22内の用紙搬送路13を矢示A方向へ搬送する。
【0026】
上流側のガイド板対21と下流側のガイド板対22との間の間隔部24における図2で用紙搬送路13の下側に、図2および図3に示すように一対のレール30,30が用紙搬送方向に直交する方向に沿って平行に設けられている。この一対のレール30,30に、図3に明示するように左右一対のベース部31,31を、用紙搬送路13に平行な面内で用紙搬送方向(矢示A方向)に直交する矢示B方向に移動可能に搭載している。
【0027】
各ベース部31,31の互いに対向する内面側に、それぞれ用紙エッジ研磨部材である一対の弾性研磨板32を用紙搬送路13の両側部に沿ってそれぞれ取り付けている。その各弾性研磨板32は、SUS製の板バネ32aに研磨シート32bが貼り付けられており、その研磨シート32bは、ラッピングフィルム等の研磨材である。
板バネ32aの上流側の部分は、用紙の先端部が引っ掛からないように、上流側から下流側に向かって図3に示すように徐々に用紙搬送路13への張り出し幅が増加するようにし、図2に示すように徐々に下降して用紙の搬送位置になるように湾曲させている。
【0028】
各ベース部31,31にそれぞれ間隔を置いて対向して、ガイド板対21,22の下側になる位置に、対向部材33が一対のレール30,30に搭載されている。その各ベース部31と対向部材33との間に、それぞれ一対のバックアップローラ34が回転自在に支持されている。その各バックアップローラ34は、用紙Pが弾性研磨板32によって押圧された際に、その沈み込みを抑えるためのローラであって、樹脂製の軸に支持された弾性を有するローラであり、用紙Pの搬送によって従動回転する。
【0029】
この第1実施例によれば、印刷信号が入力され、用紙幅および用紙の種類の情報が図示していない制御手段であるコントローラから送られると、図示していないモータによって、各ベース部31,31をレール30,30に沿って図3に示す矢示Bの方向に対称的に移動させて、用紙幅に適合した位置にする。それによって、弾性研磨板32が用紙の両側端部に接触する位置に調整される。
【0030】
図1に示した位置決めローラ11によって、用紙Pがこの用紙搬送研磨装置20に搬送されて来ると、その用紙Pが図2及び図3に示す上流側の搬送ローラ対41に挟まれて、用紙搬送路13に沿って矢示A方向へ搬送される。
そして、その用紙Pの搬送方向に平行する両側端部が、先端部側から弾性研磨板32とバックアップローラ34とに挟み込まれるように移動する。その用紙Pは両側端部のエッジ部が弾性研磨板32の研磨シート32bに接触して摺られ、研磨されながら搬送されるため、エッジ部の裁断バリが除去される。
【0031】
用紙Pの先端部が下流側の搬送ローラ対42に挟まれると、その用紙Pを搬送ローラ対42によっても矢示A方向へ搬送される。
コントローラから送られる用紙の種類が研磨する必要が無い用紙である場合に、カム機構等によって弾性研磨板32を上方へ移動させて、用紙と接触しない位置にすることも可能である。
また、用紙の種類が腰のある厚紙などの場合には、弾性研磨板32の用紙のエッジ部への接触圧を高めるように、カム機構などによってバックアップローラ34を図2の上方へ移動させ、弾性研磨板32と用紙とが接触する圧力を変更可能にしてもよい。
【0032】
このように、トナー像転写前の用紙を搬送中に、その両側端部を弾性研磨板32の研磨シート32bによって研磨し、用紙の裁断バリを除去することができる。そのため、この用紙搬送研磨装置20を設けた画像形成装置100では、トナー像が転写された用紙がで定着装置12を通過する際に、定着部材の表面に傷を発生をさせることがなくなり、光沢ムラなどの異常画像が発生するのを防止できる。
【0033】
なお、この第1実施例では、弾性研磨板32の板バネ32aの上流側の部分が、上流側から下流側に向かって徐々に搬送路13への張り出し幅が増加するようにし、徐々に下降して用紙の搬送位置になるように湾曲させているので、用紙の先端部が引っ掛かることがない。しかし、板バネ32aの上流側の部分が、単に上流側に向かって上方へ傾斜しているだけでもよい。
【0034】
〔用紙搬送研磨装置の第2実施例〕
次に、図4及び図5によって、この発明による用紙搬送研磨装置の第2実施例を説明する。
図4及び図5は、その第2実施例の用紙搬送研磨装置20を示す図2及び図3と同様な概略側面図及び平面図である。これらの図において、図2及び図3と共通する部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。
【0035】
この第2実施例において前述した第1実施例と相違するのは、一対のベース部31,31の互いに対向する面側に、用紙エッジ研磨部材として第1実施例における一対の弾性研磨板32に代えて、図4及び図5に示すように一対の研磨ローラ36を取り付けている点である。
【0036】
その各研磨ローラ36は、用紙搬送路13側に頂点を有する円錐体であり、その底面側が軸36bによって各ベース部31に回転可能に支持されている。その各研磨ローラ36の円錐面には多数の細かい研磨材36aが被着されている。
そして、この一対の研磨ローラ36と各バックアップローラ34とが、その間に用紙搬送路13に沿って搬送される用紙Pの両側端部を挟み込んで研磨し得るように配置されている。
【0037】
この第2実施例によれば、印刷信号が入力され、用紙幅および用紙種類の情報が図示していない制御手段であるコントローラから送られると、図示していないモータによって、各ベース部31,31をレール30,30に沿って図5に示す矢示Bの方向に対称的に移動させて、用紙幅に適合した位置にする。それによって、各研磨ローラ36が用紙の両側端部に接触する位置に調整される。
【0038】
用紙Pが、搬送ローラ対41によって図4及び図5に示す矢示A方向に搬送されると、その用紙Pの両側端部が、先端部側から研磨ローラ36とバックアップローラ34に挟み込まれる。そして、そのエッジ部が研磨ローラ36に接触しながら搬送されることによって研磨され、エッジ部の裁断バリが除去される。
【0039】
なお、研磨ローラ36の回転に多少の抵抗があって、搬送される用紙Pとの間に幾分スリップが生じる方が、研磨ローラ36による研磨が確実に行われる。
この第2実施例によっても、前述した第1実施例と同様な効果が得られる。研磨する必要が無い用紙や腰の強い厚紙などの対する対応も、第1実施例と同様である。
【0040】
〔用紙搬送研磨装置の第3実施例〕
次に、図6及び図7によって、この発明による用紙搬送研磨装置の第3実施例を説明する。
図6及び図7は、その第3実施例の用紙搬送研磨装置20を示す図2及び図3と同様な概略側面図及び平面図である。これらの図において、図2及び図3と共通する部分に同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。
【0041】
この第3実施例において、前述した第1実施例と相違するのは、図6及び図7に示すように、用紙搬送路13を形成する上流側のガイド板対21と下流側のガイド板対22との間隔部24を広くとって、そこに用紙搬送路13に沿って用紙エッジ研磨部材として2対の弾性研磨板32Aと32Bを配置した点である。
そのため、用紙搬送方向(矢示A方向)の上流側に一対のベース部31Aを、下流側に一対のベース部31Bを設け、その各対向部材33とバックアップローラ34、およびそれらを搭載する一対ずつのレール30を、ベース部31A側とベース部31B側では、用紙搬送路13に対して上下を反転させた位置に設けている。
【0042】
そして、各ベース部31A,31Aの互いに対向する内面側に、1対の弾性研磨板32Aを用紙搬送路13の両側部に沿って、その各研磨シート32bが用紙の両側端部の上面側に接触するように取り付けている。また、各ベース部31B,31Bの互いに対向する内面側に、1対の弾性研磨板32Bを用紙搬送路13の両側部に沿って、その各研磨シート32bが用紙の両側端部の下面側に接触するように取り付けている。
なお、図6では間隔部24の中間部に用紙搬送方向の長さが短いガイド板対23を設けているが、図7ではその図示を省略している。
【0043】
この第3実施例によれば、印刷信号が入力され、用紙幅および用紙種類の情報が送られて来ると、各ベース部31A,31Bを、それぞれ対のレール30,30に沿って図7に示す矢示Bの方向に対称的に移動させて、用紙幅に適合した位置にする。それによって、弾性研磨板32Aの研磨シート32bが用紙の両側端部の上面側に、弾性研磨板32Bの研磨シート32bが用紙の両側端部の下面側に、それぞれ接触する位置になる。
【0044】
用紙Pが搬送ローラ対41によって図6及び図7に示す矢示A方向に搬送されると、その用紙Pは、両側端部が先端部側から弾性研磨板32Aとバックアップローラ34とに挟み込まれるように移動し、その両側のエッジ部の主に上面が研磨シート32bに摺られて研磨されながら搬送されるため、そのエッジ部の上面側の裁断バリが除去される。
その用紙Pが後さらに矢示A方向に搬送されると、その両側端部が先端部側から弾性研磨板32Bとバックアップローラ34とに挟み込まれるように移動し、その両側のエッジ部の主に下面が研磨シート32bに摺られて研磨されながら搬送されるため、そのエッジ部の下面側の裁断バリが除去される。
【0045】
この実施例によれば、用紙搬送路13を搬送される用紙の両側部の表裏両面を研磨するので、いずれの面のエッジ部に裁断バリがあっても、それを確実に除去することができる。その他に作用効果及び、用紙の種類等に対する対応は、前述した各実施例と同様である。
なお、弾性研磨板32A及び32Bのいずれか一方又は両方を、図4及び図5によって説明した第2実施例の研磨ローラ36と同様な研磨ローラに変更してもよい。
【0046】
〔用紙搬送研磨装置の第4実施例〕
次に、図8及び図9によって、この発明による用紙搬送研磨装置の第4実施例を説明する。
図8及び図9は、その第4実施例の用紙搬送研磨装置20を示す図2及び図3と同様な概略側面図及び平面図である。これらの図において、図2及び図3と共通する部分に同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。
【0047】
この第4実施例において、前述した第1実施例と相違するのは、図8及び図9に示すように、用紙搬送路13を形成する上流側のガイド板対21と下流側のガイド板対22との間隔部24を広くとって、そこに用紙搬送路13に沿って用紙エッジ研磨部材として2対の弾性研磨板32Cと32Dを配置した点である。
この点は前述した第3実施例と似ているが、この第4実施例では、上流側の一対のベース部31Aと下流側の一対のベース部31B、およびそれらに関連する各対向部材33とバックアップローラ34及び一対ずつのレール30を、用紙搬送路13に対していずれも図2及び図3に示した第1実施例と同様な位置に、用紙搬送方向の位置をずらして配置している。
【0048】
そして、上流側の各弾性研磨板32Cの板バネ32aには、研磨面の表面粗さが粗い研磨シート32cが貼りつけられており、下流側の各弾性研磨板32Dの板バネ32aには、研磨面の表面粗さが細かい研磨シート32dが貼りつけられている。
なお、この実施例においても、図8では間隔部24の中間部に用紙搬送方向の長さが短いガイド板対23を設けているが、図9ではその図示を省略している。
【0049】
この第4実施例によれば、印刷信号が入力され、用紙幅および用紙種類の情報が送られて来ると、各ベース部31A,31Bを、それぞれ対のレール30,30に沿って図9に示す矢示Bの方向に対称的に移動させて、用紙幅に適合した位置にする。それによって、弾性研磨板32Cの研磨シート32cが用紙の両側端部の上面側に、弾性研磨板32Dの研磨シート32dが用紙の両側端部の上面側に、それぞれ接触する位置になる。
【0050】
用紙Pが搬送ローラ対41によって図8及び図9に示す矢示A方向に搬送されると、その用紙Pは、両側端部が先端部側から弾性研磨板32Cとバックアップローラ34とに挟み込まれるように移動し、その両側のエッジ部が研磨面の表面粗さが粗い研磨シート32cに摺られて研磨されながら搬送されるため、そのエッジ部の大きな裁断バリが除去される。
【0051】
その用紙Pが後さらに矢示A方向に搬送されると、その両側端部が先端部側から弾性研磨板32Dとバックアップローラ34とに挟み込まれるように移動し、その両側のエッジ部が研磨面の表面粗さが細かい研磨シート32dに摺られて研磨されながら搬送されるため、そのエッジ部の小さい裁断バリが除去されると共にその除去跡が平滑化され整えられる。
【0052】
この実施例によれば、上流側の弾性研磨板32Cの研磨面の表面粗さが粗い研磨シート32cで用紙のエッジ部の大きな裁断バリを除去し、その後、下流側の弾性研磨板32Dの表面粗さが細かい研磨シート32dで小さい裁断バリが除去と除去跡を平滑にして整えることができる。したがって、裁断バリを効率的良く除去することができ、その跡もきれいにし、毛羽立ちや傷を防止することができる。
【0053】
その他に作用効果及び、用紙の種類等に対する対応は、前述した各実施例と同様である。
なお、弾性研磨板32C及び32Dのいずれか一方又は両方を、図4及び図5によって説明した第2実施例の研磨ローラ36と同様な研磨ローラに変更してもよい。
このように、用紙エッジ研磨部材を用紙の搬送方向に位置をずらして複数対設けるとよく、その場合、用紙の搬送方向の位置によって研磨面の表面粗さを異ならせ、用紙の搬送方向の下流側に設ける用紙エッジ研磨部材ほど、研磨面の表面粗さが細かくなるようにするのが望ましい。
【0054】
〔用紙搬送研磨装置の第5実施例〕
次に、図10及び図11によって、この発明による用紙搬送研磨装置の第5実施例を説明する。
図10及び図11は、その第5実施例の用紙搬送研磨装置20を示す図2及び図3と同様な概略側面図及び平面図である。これらの図において、図2及び図3と共通する部分に同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。
【0055】
この第5実施例において、前述した第1実施例を相違するのは、図10及び図11に示すように、一対のベース部31,31の互いに対向する内面側に、紙粉を除去する紙粉除去部材として、それぞれ用紙搬送路13を挟んで対向するように一対ずつの紙粉除去ブラシ37を回転可能に設けた点である。
【0056】
この各紙粉除去ブラシ37は、ベース部31,31の内面側の、板バネ32aと研磨シート32bからなる弾性研磨板32の取り付け位置より用紙搬送方向の下流側に取り付けられる。
また、その各紙粉除去ブラシ37の付け根付近には、各紙粉除去ブラシ37に付着した紙粉を吸引するために、図示していない吸引ポンプに接続された吸引装置の吸引口38が設けられている。
【0057】
この第4実施例によれば、前述した第1実施例と同様に、用紙搬送路13に沿って搬送される用紙Pの両側端部のエッジ部が、弾性研磨板32の研磨シート32bによって研磨され、その裁断バリが除去される。さらに、その用紙Pの両側端部の両面が紙粉除去ブラシ37に接触し、用紙Pの両側端部に研磨によって発生した紙粉が掻き落とされて除去され、吸引口38から吸引装置によって吸引される。
それによって、紙粉による用紙の搬送スリップや汚れなどを防止することができる。
【0058】
なお、この実施例では、第1実施例のベース部31内の用紙搬送方向の下流側に、紙粉除去ブラシ37を設けたが、前述した第2実施例から第4実施例のベース部内の用紙搬送方向の下流側に紙粉除去ブラシ37を設けるようにしてもよい。また、紙粉除去ブラシ37を設けるのはベース部30に限らず、用紙エッジ研磨部材を取り付けたベース部31より用紙搬送方向の下流側に独立して設けてもよい。
【0059】
〔画像形成装置の実施例の補足〕
図1に示した画像形成装置100は、位置決めローラ11と二次転写ローラ10との間の用紙搬送路13中に、この発明による上述した各実施例のいずれかの用紙搬送研磨装置20を配置している。しかし、その用紙搬送研磨装置20の配置位置はこれに限らず、用紙を給紙する給紙手(図1では給紙ローラ17)とその給紙手段によって給紙される用紙にトナー像を転写する転写部(図1における中間転写ベルト9と二次転写ローラ10の対向位置)との間の用紙搬送路内であればどこに設けてももよい。
【0060】
また、この発明を適用できる画像形成装置は、中間転写方式のタンデム型カラー画像形成装置に限らず、その他の中間転写方式又は直接転写方式のカラープリンタ、モノクロのプリンタ、それらのいずれかに画像読取部を備えた複写機、ファクシミリ装置、それらの機能を組み合わせたデジタル複合機等の各種の電子写真方式の画像形成装置にも、この発明を適用できる。
【符号の説明】
【0061】
1:本体 2:排紙トレイ部 3:自動原稿給送装置(ADF)
4:コンタクトガラス 5:画像読取部 6Y,6C,6M,6K:感光体
7Y,7C,7M、7K:現像ユニット 8Y,8C,8M,8K:一次転写ローラ
9:中間転写ベルト 10:二次転写ローラ 11:位置決めローラ
12:定着装置 13:用紙搬送路 14:排紙ローラ対
15:給紙トレイ 16Y,16C,16M、16K:トナーボトル
17:給紙ローラ 18:搬送ローラ対 19:両面搬送路
【0062】
20:用紙搬送研磨装置 21,22,23:ガイド板対
21a,22a:開口部 24:間隔部 30:レール 31:ベース部
32,32A,32B,32C,32D:弾性研磨板(用紙エッジ研磨部材)
32a:板バネ 32b,32c,32d:研磨シート 33:対向部材
34:バックアップローラ 36:研磨ローラ(用紙エッジ研磨部材)
36a:研磨剤 36b:軸 37:紙粉除去ブラシ(紙粉除去部材)
38:吸引口 41,42:搬送ローラ対
41a,41b,42a,42b:搬送ローラ
41c,41d,42c,42d:軸 100:画像形成装置 P:用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開平10−218459号公報
【特許文献2】特開2005−179041号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙搬送路と、該用紙搬送路に沿って用紙を搬送する用紙搬送手段と、該用紙搬送手段によって搬送される用紙の搬送方向に平行する両側端部に接触するように、少なくとも1対の用紙エッジ研磨部材を設けたことを特徴とする用紙搬送研磨装置。
【請求項2】
前記用紙エッジ研磨部材を、前記用紙の搬送方向に平行する側端部の表裏両面に接触するように設けたことを特徴とする請求項1に記載の用紙搬送研磨装置。
【請求項3】
前記用紙エッジ研磨部材を、前記用紙の搬送方向に位置をずらして複数対設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の用紙搬送研磨装置。
【請求項4】
前記複数対の用紙エッジ研磨部材は、前記用紙の搬送方向の位置によって研磨面の表面粗さが異なり、前記用紙の搬送方向の下流側に設ける用紙エッジ研磨部材ほど前記研磨面の表面粗さが細かくなることを特徴とする請求項3に記載の用紙搬送研磨装置。
【請求項5】
前記用紙エッジ研磨部材は、前記用紙搬送路に平行な面内で前記搬送方向に直交する方向に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の用紙搬送研磨装置。
【請求項6】
前記用紙エッジ研磨部材は、前記用紙の搬送方向に平行する側端部に接触しない位置に移動可能又は接触する圧力を変更可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の用紙搬送研磨装置。
【請求項7】
前記少なくとも1対の用紙エッジ研磨部材は、それぞれ板バネに研磨シートが貼り付けられた弾性研磨板であることをことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の用紙搬送研磨装置。
【請求項8】
前記少なくとも1対の用紙エッジ研磨部材は、それぞれ円錐体の円錐面に研磨材が被着された研磨ローラであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の用紙搬送研磨装置。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の用紙搬送研磨装置において、
前記用紙搬送路における前記用紙エッジ研磨部材を設けた位置よりも前記用紙の搬送方向の下流側に、用紙の前記両側端部に付着する紙粉を除去する紙粉除去部材を設けた設けたことを特徴とする用紙搬送研磨装置。
【請求項10】
電子写真方式の画像形成装置であって、用紙を給紙する給紙手段と該給紙手段によって給紙される用紙にトナー像を転写する転写部との間の用紙搬送路に、請求項1から9のいずれか一項に記載の用紙搬送研磨装置を設けたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−54203(P2013−54203A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192183(P2011−192183)
【出願日】平成23年9月3日(2011.9.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】