説明

用紙搬送装置

【課題】簡単な制御で、用紙の搬送時間を短縮することができる用紙搬送装置を提供する。
【解決手段】
制御部200は、センサ42が用紙Sの先端を検出すると(S31:Y)、用紙Sの搬送方向の長さL(A4横長さ)がA4横長さ以下の場合に、(S61)、離間手段81,82のソレノイドへ電力供給を行わない(S62,63)。すなわち、制御部200は、正逆転ローラ61,62を離間しない。用紙Sの搬送方向の長さLがA4横長さ超えて且つB4縦以下の場合には、離間手段81のソレノイドへ電力供給を行い(S64)、離間手段82のソレノイドへ電力供給を行わない(S65)。すなわち、制御部200は、正逆転ローラ61を離間し,62を離間しない。また、用紙Sの搬送方向の長さLがB4縦長さを超える場合には、離間手段81,82のソレノイドへ電力供給を行う(S66,67)。すなわち、制御部200は、正逆転ローラ61,62を離間する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
用紙の搬送方向を反転させるスイッチバック路を有する用紙搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチバック路を有する用紙搬送装置は、例えば、用紙の両面に画像を形成する画像形成装置に用いられる。用紙搬送装置は、用紙の前面に画像形成が行われた後に、用紙をスイッチバック路で反転して画像形成を行う画像形成部へ搬送する。また、用紙搬送装置は、複数枚の用紙に画像を形成する場合、スイッチバック路で用紙が重ならないように、用紙の搬送間隔を設けて用紙を1枚ずつ搬送するため、全ての用紙を搬送するのに時間がかかる。そこで、用紙搬送装置には、スイッチバック路で用紙をすれ違い搬送することで、用紙の搬送間隔を狭めて、複数枚の用紙全体の搬送時間を短縮しているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載のシート搬送装置では、スイッチバック路に反転ローラ対が設けられ、スイッチバック路への分岐部の上流側と下流側とにそれぞれ上流側ローラ対と下流側ローラ対とが設けられている。反転ローラ対は、従動ローラと駆動ローラとからなり、回動腕により従動ローラが駆動ローラへ当接する当接位置と駆動ローラから離間する離間位置とへ移動させられる。上流側ローラ対及び下流側ローラ対は、共通の駆動ローラが用いられる。上流側ローラ対の上流側と下流側ローラ対の下流側とに、それぞれ用紙の通過を検出する上流側スイッチと下流側スイッチとが設けられている。
【0004】
シート搬送装置は、用紙の搬送を開始すると、反転ローラ対の従動ローラを離間位置へ移動させて、反転ローラ対の駆動ローラを正転方向(上流側ローラ対の回転方向と同一の方向)へ回転させる。シート搬送装置は、用紙の後端が上流側スイッチにより検出されると、反転ローラ対の従動ローラを当接位置へ移動させる。シート搬送装置は、タイマの計測により、用紙の後端が分岐部まで搬送されたことを検出すると、反転ローラ対を逆転方向(下流側ローラ対の回転方向と同一の方向)へ回転させる。シート搬送装置は、用紙の先端が下流側スイッチにより検出されると、反転ローラ対の従動ローラを離間位置へ移動させ、駆動ローラを正転方向(上流側ローラ対の回転方向と同一の方向)へ回転させる。
【0005】
シート搬送装置は、この状態で、次の用紙が搬送されてくるため、用紙がスイッチバック路内で重なり合いながら反対方向に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−97305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載のシート搬送装置では、次の用紙の後端が上流側スイッチにより検出されると、反転ローラ対の従動ローラを当接位置へ移動させるため、反転ローラ対の制御が複雑になっていた。
【0008】
そこで、本発明では、簡単な制御で、用紙の搬送時間を短縮することができる用紙搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の用紙搬送装置は、スイッチバック路と、用紙導入路と、用紙排出路と、分岐部と、第1搬送ローラと、第2搬送ローラと、複数の正逆転ローラと、離間手段と、制御手段と、を備える。スイッチバック路は、用紙を表裏反転するために往復搬送する。用紙導入路は、スイッチバック路に接続され、スイッチバック路へ用紙を導入する。用紙排出路は、スイッチバック路に接続され、スイッチバック路から用紙を排出する。分岐部は、用紙導入路とスイッチバック路と用紙排出路との接続部に設けられ、用紙を分岐する。第1搬送ローラは、用紙導入路に設けられる。第2搬送ローラは、用紙排出路に設けられる。複数の正逆転ローラは、スイッチバック路に分岐部から順に設けられ、分岐部に最も近い正逆転ローラを含む1つ以上の第1正逆転ローラとそれ以外の1つ以上の第2正逆転ローラとで構成される。離間手段は、第1正逆転ローラを離間可能にする。制御手段は、スイッチバック路に導入される用紙とスイッチバック路から排出される用紙とを、スイッチバック路内ですれ違わせる搬送制御を行う。制御手段は、用紙の搬送方向の長さが所定の長さよりも短い場合は、第1正逆転ローラを離間しない状態に維持して搬送制御を行い、用紙の搬送方向の長さが所定の長さよりも長い場合は、第1正逆転ローラを選択的に離間した状態に維持して搬送制御を行う。
【0010】
この構成では、制御手段は、用紙の搬送方向の長さに応じて、第1正逆転ローラを離間した状態に維持するか、離間しない状態に維持している。このため、スイッチバック路から排出される用紙とスイッチバック路へ導入される用紙とは、用紙の搬送方向の長さに応じて、スイッチバック路内ですれ違う距離が異なる。制御手段は、用紙の搬送方向の長さが所定の長さより長い場合に、第1正逆転ローラを離間した状態に維持することで、スイッチバック路から排出される用紙とスイッチバック路へ導入される用紙とがすれ違う距離を長くしている。また、制御手段は、用紙の搬送方向の長さが所定の長さより短い場合には、用紙の搬送時間が短くて済むため、スイッチバック路から排出される用紙とスイッチバック路へ導入される用紙とがすれ違う距離を短くしている。
【0011】
所定の長さは、第1搬送ローラと分岐部から2番目に近い正逆転ローラとの間の長さよりも長く、且つ2番目に近い搬送ローラと第2正逆転ローラとの間の長さよりも長く設定されている構成であることが好ましい。
【0012】
この構成では、用紙は、定着後用紙搬送路の第1搬送ローラ若しくは排出路の第2搬送ローラの一方、又は正逆転ローラの何れか1つにニップされた状態で搬送される。制御手段は、用紙の一端が第1搬送ローラ又は第2搬送ローラにニップされ、他端が分岐部から2番目に近い正逆転ローラにニップされない場合に、分岐部に最も近い正逆転ローラにニップされないと搬送不可能となるため、第1正逆転ローラを離間しない状態に維持して用紙を搬送する。また、制御手段は、用紙の一端が第1搬送ローラ又は第2搬送ローラにニップされ、他端が分岐部から2番目に近い正逆転ローラにニップされる場合に、分岐部に最も近い正逆転ローラにニップされていなくても搬送可能であるため、第1正逆転ローラを離間した状態に維持して用紙を搬送する。
【0013】
これにより、用紙搬送装置は、用紙の搬送に最低限必要な第1搬送ローラ、第2搬送ローラ、及び正逆転ローラのみを用いることができるため、スイッチバック路から排出される用紙とスイッチバック路へ導入される用紙とをスイッチバック路内ですれ違わせる距離をできるだけ長く確保するこができ、用紙の搬送時間を短縮することができる。
【0014】
離間手段は、各第1正逆転ローラの上側ローラと下側ローラとの間を選択的に離間する付勢部材とソレノイドとの組合せで構成されることが好ましい。
【0015】
この構成では、第1正逆転ローラの上側ローラと下側ローラは、バネ等の付勢部材とソレノイドとを用いて、離間可能にされている。
【0016】
これにより、用紙搬送装置は、簡素な構成で第1正逆転ローラを離間した状態又は離間しない状態に維持することができる。
【0017】
第1搬送ローラの上流側に配置され、用紙の通過を検出する検出手段を更に備える構成であることが好ましい。この場合、制御手段は、検出手段の検出結果に基づいて用紙の長さを算出し、算出した用紙の長さに応じて、第1正逆転ローラを離間しない状態に維持、又は第1正逆転ローラを選択的に離間した状態に維持する。
【0018】
この構成では、検出手段は、用紙の通過を検出するセンサ等であり、用紙導入路の第1搬送ローラの上流側に配置されている。制御手段は、検出手段が検出した用紙の先端と後端とから検出間隔を算出する。制御手段は、検出間隔と搬送速度とに基づいて用紙の長さを算出する。制御手段は、算出した用紙の長さに応じて、第1正逆転ローラを離間しない状態に維持、又は第1正逆転ローラを選択的に離間した状態に維持する
これにより、用紙搬送装置は、搬送する用紙サイズが予め分かっていなくても、第1正逆転ローラを離間しない状態に維持、又は第1正逆転ローラを選択的に離間した状態に維持することができる。
【0019】
制御手段は、用紙の先端がスイッチバック路の分岐部から排出路へ排出される時に用紙の搬送速度を低下させ、用紙の先端が第2搬送ローラを通過する時に用紙の搬送速度を上昇させる構成であることが好ましい。
【0020】
この構成では、用紙がスイッチバック路から用紙排出路へ排出される用紙は、用紙の先端がニップされていないため、用紙の後端をニップしている正逆転ローラのみの搬送力により搬送される。この時、用紙の先端に搬送力が伝わらず、腰折れしてしまうことがある。そこで、制御手段は、スイッチバック路から排出路へ用紙が排出される時に用紙の搬送速度を低下し、用紙排出路へ排出された用紙の先端が第2搬送ローラにニップされると、用紙の搬送速度を上昇させている。
【0021】
これにより、用紙搬送装置は、用紙の腰折れを防ぎ、ジャムの発生を低減することができる。
【0022】
腰の有無を含む用紙の種類の指定を受け付ける受付手段を更に備える構成であることが好ましい。この場合、制御手段は、受付手段が腰の無い用紙の指定を受け付けると、用紙の搬送方向の長さに関係なく、第1正逆転ローラを離間しない状態に維持してスイッチバック路に用紙を1枚だけ搬送させる。
【0023】
この構成では、腰の無い用紙は、腰折れし易い。そこで、制御部は、腰の無い用紙を搬送する時には、用紙サイズに関係なく、第1正逆転ローラを離間しない状態に維持して、用紙を1枚ずつ搬送する。
【0024】
これにより、用紙搬送装置は、用紙の腰折れを防ぎ、ジャムの発生を低減することができる。この結果、用紙搬送装置は、ジャムの発生を低減することで、ジャムの解消時間がかからないため、2枚の用紙をすれ違わせて搬送してジャムが生じるよりも、用紙の搬送時間を短縮することができる。
【0025】
この発明の画像形成装置は、用紙へ画像を形成する画像形成手段と、上述の用紙搬送装置と、を備える。用紙搬送装置は、画像形成手段の下流側に配置される。
【0026】
この構成では、スイッチバック路を備えた用紙搬送装置は、画像形成手段の下流側に配置される。これにより、画像形成装置は、画像形成後の用紙の表裏を反転して、用紙の搬送時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0027】
この発明の用紙搬送装置は、簡単な制御で、用紙の搬送時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】画像形成装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】スイッチバック路を含む用紙搬送路を示す図である。
【図3】離間手段の構成図である。
【図4】用紙搬送路における用紙導入路、用紙排出路及びスイッチバック路の分岐点付近の拡大図である。
【図5】用紙導入路からスイッチバック路への用紙搬送時の補助部材の構成図である。
【図6】スイッチバック路から用紙排出路への用紙搬送時の補助部材の構成図である。
【図7】用紙搬送時の制御に用いる各種テーブルの一例を示す図である。
【図8】フェイスダウンモードの前処理のフローチャートである。
【図9】第1速度の正転処理のフローチャートである。
【図10】用紙反転処理のフローチャートである。
【図11】用紙反転処理のフローチャートの続きである。
【図12】離間処理のフローチャートである。
【図13】第2速度の正転処理のフローチャートである。
【図14】第2速度の逆転処理のフローチャートである。
【図15】用紙サイズ(A4横)の用紙搬送時における遷移図(前半部分)である。
【図16】用紙サイズ(A4横)の用紙搬送時における遷移図(後半部分)である。
【図17】用紙サイズ(A3縦)の用紙搬送時における遷移図(前半部分)である。
【図18】用紙サイズ(A3縦)の用紙搬送時における遷移図(後半部分)である。
【図19】他の用紙反転処理のフローチャートである。
【図20】他の用紙反転処理のフローチャートの続きである。
【図21】第1速度の逆転処理のフローチャートである。
【図22】他の用紙反転処理における用紙サイズ(A3縦)の用紙搬送時における遷移図である。
【図23】他の離間手段の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明に係る用紙搬送路Rを備えた画像形成装置100について、図1を参照して説明する。図1に示すように、画像形成装置100は、画像形成部110、給紙部120、排紙部130、制御部200及び記憶部300を備えている。画像形成装置100は、制御部200の指示により、入力された画像データに基づいて所定の用紙Sに画像を形成する。
【0030】
画像形成部110は、露光ユニット10、用紙Sにトナー像を形成する画像形成ユニット20、及び用紙Sにトナー像を定着する定着ユニット30を備えている。露光ユニット10は、入力された画像データに基づいて半導体レーザを駆動し、レーザ光を感光体ドラム21に配光して、画像データに対応した静電潜像を感光体ドラム21上に形成する。露光ユニット10は、画像データに基づいて駆動されるLEDアレイ等の半導体レーザ以外の光源を用いたものであってもよい。
【0031】
画像形成ユニット20は、感光体ドラム21の周囲に、感光体ドラム21上に形成された静電潜像にトナーを供給して顕像化する現像器22、感光体ドラム21の表面に形成されたトナー像を用紙Sに転写する転写器23、用紙に転写しなかったトナーを感光体ドラム21の表面から回収するクリーニング器24を備えている。用紙Sに転写されたトナー像は、定着ユニット30により加熱及び加圧され、用紙Sに定着させられる。
【0032】
給紙部120は、画像形成部110の下部に配置され、複数枚の用紙Sを収納可能な給紙カセット121,122、用紙Sを載置可能な手差しトレイ123、及び用紙搬送路Rを備えている。用紙搬送路Rは、給紙カセット121,122及び手差しトレイ123から排紙部130に至る間に形成されている。
【0033】
用紙搬送路Rは、図2に示すように、用紙導入路R1、第1の用紙排出路R2、第2の用紙排出路R4、スイッチバック路R3から構成される。用紙導入路R1は、給紙部120から感光体ドラム21及び転写器23の間、定着ユニット30の間、及び分岐点P1を経て分岐点P2まで形成されている。第1の用紙排出路R2は、分岐点P1から排紙部130まで形成されている。第2の用紙排出路R4は、分岐点P2から第1の用紙排出路R2へ合流する合流点P3まで形成されている。スイッチバック路R3は、分岐点P2から用紙導入路R1の下部に形成されている。分岐点P1は、用紙導入路R1が第1の用紙排出路R2又はスイッチバック路R3へ分岐する位置である。分岐点(本発明の分岐部に相当する)P2は、用紙導入路R1、第2の用紙排出路R4、及びスイッチバック路R3が接続する位置である。合流点P3は、第1の用紙排出路R2上の搬送ローラ54の上流側に位置し、第2の用紙排出路R4が第1の用紙排出路R2へ合流する位置である。
【0034】
用紙導入路R1は、上流側から順に、センサ41、搬送ローラ51、感光体ドラム21、定着ユニット30、センサ42、搬送ローラ52、及び搬送ローラ(本発明の第1搬送ローラに相当する)53が配置されている。
【0035】
センサ41は、感光体ドラム21の上流側に配置され、画像形成処理前の用紙Sの先端及び後端の通過を検出する。センサ42は、定着ユニット30の下流側の近傍に配置され、用紙Sの後端の通過を検出して、用紙への画像形成処理が終了したことを検知する。用紙への画像形成処理は、感光体ドラム21から用紙へのトナー像の転写と、定着ユニット30によるトナー像の用紙への定着とを含む。
【0036】
搬送ローラ51は、モータ71から駆動力が供給され、感光体ドラム21及び定着ユニット30は、モータ72から駆動力が供給される。搬送ローラ51は、感光体ドラム21の回転軸と平行になるように用紙先端を揃えて、感光体ドラム21上のトナー像が用紙の所定位置に転写されるように回転を制御される。また、搬送ローラ51、感光体ドラム21及び定着ユニット30中の定着ローラは、用紙を第1速度で搬送するように回転する。
【0037】
搬送ローラ52,53は、モータ73から駆動力が供給される。搬送ローラ52,53は、それぞれモータ73の第1速度又は第2速度の正転駆動により、正転方向に回転して上流側から下流側に向けて用紙Sを第1速度又は第1速度より速い第2速度で搬送する。
【0038】
第1の用紙排出路R2は、上流側から順に、搬送ローラ(本発明の第2搬送ローラに相当する)54及びセンサ43が配置されている。
【0039】
搬送ローラ54は、モータ74から駆動力が供給される。搬送ローラ54は、モータ74の第1速度又は第2速度の正転駆動により、正転方向に回転して上流側から下流側に向けて用紙Sを第1速度又は第2速度で搬送する。センサ43は、第1の用紙排出路R2上の搬送ローラ54の下流側に配置される。センサ43は、用紙Sの先端を検出して、用紙Sが搬送ローラ54にニップされていることを検知し、更に、用紙Sの後端の通過を検出して、用紙Sの表裏反転処理が終了したことを検知する。
【0040】
スイッチバック路R3は、分岐点P2側から順に、正逆転ローラ61〜65が配置されている。
【0041】
正逆転ローラ61は、モータ75から駆動力が供給され、正逆転ローラ62,63は、モータ76から駆動力が供給される。正逆転ローラ64,65は、モータ77から駆動力が供給される。正逆転ローラ61〜65は、正逆転可能な搬送ローラであり、それぞれモータ75〜77の第1速度又は第2速度の正逆転駆動により、第1速度又は第2速度で用紙Sを搬送する。正逆転ローラ61〜65は、正転方向に回転すると、スイッチバック路R3へ導き入れるように用紙Sを搬送し、逆転方向に回転すると、スイッチバック路R3から送り出すように用紙Sを搬送する。スイッチバック路R3は、正逆転ローラ61〜65により、用紙Sを表裏反転するための往復搬送が可能である。
【0042】
また、正逆転ローラ(本発明の第1正逆転ローラに相当する)61,62は、離間手段81,82によって、それぞれ、離間した状態又は離間しない状態に維持される。正逆転ローラ61,62は、同一の構成からなるため、以下に正逆転ローラ61及び離間手段81の構成で代表させて図3を用いて説明する。正逆転ローラ61は、駆動ローラ61Aと従動ローラ61Bとを有し、スイッチバック路R3を挟んで駆動ローラ61Aと従動ローラ61Bとが対向する位置にそれぞれ配置されている。
【0043】
離間手段81は、アーム811、引張バネ(本発明の付勢部材に相当する)812、及びソレノイド813から構成される。アーム811は、スイッチバック路R3の従動ローラ61B側の基板(不図示)に一端が回動軸811Aとして回動可能に取り付けられている。アーム811の中央付近には、従動ローラ61Bが取り付けられている。アーム811の他端には、長穴811Bと取付部811Cとが隣接して形成されている。長穴811Bは、ソレノイド813が取り付けられ、取付部811Cには、駆動ローラ61A側への付勢力を付与する引張バネ812が取り付けられる。
【0044】
図3(A)に示すように、ソレノイド813に電力が供給されていない時には、アーム811に引張バネ812の付勢力のみが作用するため、従動ローラ61Bが駆動ローラ61Aに当接する。正逆転ローラ61は、離間しない状態に維持される。図3(B)に示すように、ソレノイド813に電力が供給されている時には、引張バネ812の付勢力より大きく且つ駆動ローラ61A側と反対側へ引っ張る力がアーム811に作用するため、従動ローラ61Bが駆動ローラ61Aから離間する。正逆転ローラ61は、離間した状態に維持される。
【0045】
以上のように、制御部200は、離間手段81のソレノイド813への電力供給を切り換えるだけで、正逆転ローラ61を離間した状態又は離間していない状態に維持することができる。
【0046】
また、図4に示すように、分岐点P1の付近には、ゲート91が配置されている。ゲート91は、ソレノイド(不図示)に接続されており、ソレノイドへの電力供給時に、波線で図示した姿勢となり、用紙導入路R1とスイッチバック路R3とを接続する。また、ゲート91は、ソレノイドへの電力停止時に、実線で図示した姿勢となり、用紙導入路R1と第1の用紙排出路R2とを接続する。
【0047】
分岐点P2には、補助部材93が配置されている。補助部材93は、図5(A)に示すように、平板状を呈し、分岐点P2と反対側の一端93Aを回動軸として基板に取り付けられている。補助部材93は、引張バネ94の付勢力により、回動自在な他端93Bが用紙導入路R1を閉鎖するように配置されている。図5(B)に示すように、用紙導入路R1から搬送されてきた用紙Sは、用紙Sを搬送する搬送力により補助部材93の他端93Bを用紙導入路R1から離間させることで、用紙導入路R1を開通させて、スイッチバック路R3へ搬送される。また、図6に示すように、スイッチバック路R3から搬送されてきた用紙Sは、用紙導入路R1が閉鎖されているため、第2の用紙排出路R4へ搬送される。
【0048】
スイッチバック路R3の分岐点P2側の近傍には、ゲート92が配置されている。ゲート92は、ソレノイド(不図示)に接続されており、ソレノイドへの電力供給時に、波線で図示した姿勢となり、スイッチバック路R3を閉鎖する。また、ゲート92は、ソレノイドへの電力停止時に、実線で図示した姿勢となり、スイッチバック路R3を開通する。
【0049】
図7に示すように、記憶部300には、搬送間隔テーブル301、搬送テーブル302、及び搬送テーブル303が記憶されている。
【0050】
搬送間隔テーブル301は、給紙部120から用紙Sを給紙する時間間隔が用紙サイズ毎に記憶されている。制御部200は、搬送間隔テーブル301を参照することで、一定の時間間隔(すなわち一定の用紙間隔)で、用紙Sを給紙部120から用紙搬送路Rへ給紙することができる。用紙サイズが大きくなるほど(用紙Sの搬送方向の長さLが長くなるほど)、給紙部120から用紙Sを給紙する時間間隔が大きく設定されている。
【0051】
また、搬送間隔テーブル301は、排紙モード(フェイスアップモード、フェイスダウンモード)毎に、異なる時間間隔が設定されている。フェイスアップモードは、用紙導入路R1から第1の用紙排出路R2へ用紙Sを排出する。フェイスダウンモードは、用紙導入路R1からスイッチバック路R3及び第2の用紙排出路R4を経て第1の用紙排出路R2へ表裏反転後の用紙Sを排出する。
【0052】
搬送テーブル302は、センサ43が用紙Sの先端を検出してから、離間していない状態の正逆転ローラを用紙Sの後端が通過するまでの通過時間が用紙サイズ毎に記憶されている。
【0053】
搬送テーブル303は、センサ43が用紙Sの先端を検出してから、用紙Sの後端が位置Q1(第2の用紙排出路R4上且つ搬送ローラ54の下流側の近傍)を通過するまでの通過時間が用紙サイズ毎に記憶されている。
【0054】
制御部200は、タイマTu、Tw,Tx,Tyを備える。
【0055】
タイマTuは、センサ42が用紙Sの後端を検出してから、用紙Sの後端が位置Q2(用紙導入路R1上で且つ搬送ローラ53の下流側の近傍)を通過するまでを計時する。タイマTuは、センサ42の位置から位置Q2までの距離を用紙Sの搬送速度(第2速度)で除算した第1時間が設定される。
【0056】
タイマTwは、センサ42が用紙Sの後端を検出してから、用紙Sの後端が位置Q3(補助部材93の正逆転ローラ61側の近傍)を通過するまでを計時する。タイマTwは、センサ42の位置から位置Q3までの距離を用紙Sの搬送速度(第2速度)で除算した第2時間が設定される。
【0057】
タイマTxは、センサ43が用紙Sの先端を検出してから、用紙Sの後端がスイッチバック路R3の当接した正逆転ローラを通過するまでを計時する。タイマTxには、搬送テーブル302に記憶されている通過時間が設定される。
【0058】
タイマTyは、センサ43が用紙Sの先端を検出してから、用紙Sの後端が位置Q1を通過するまでを計時する。タイマTyには、搬送テーブル303に記憶されている通過時間が設定される。
【0059】
次に、画像形成時における、制御部200の排紙処理について説明する。
【0060】
制御部200は、ネットワーク上のパソコン(不図示)から、排紙モード、印刷する用紙サイズ、印刷枚数を受け付ける。制御部200は、排紙モードに応じて、以下の処理を行う。
【0061】
まず、フェイスアップモードにおける、制御部200の処理の流れについて説明する。
【0062】
制御部200は、フェイスアップモードの前処理を行う。前処理では、制御部200は、モータ71〜74を第1速度で正転駆動して、搬送ローラ51〜54を第1速度で正回転させる。制御部200は、ゲート91のソレノイドへの電力供給を停止して、用紙Sが用紙導入路R1から第1の用紙排出路R2へ搬送されるようにゲート91を切り換える。また、制御部200は、ゲート92のソレノイド及びモータ75〜77への電力供給を停止する。
【0063】
前処理が終了すると、制御部200は、搬送間隔テーブル301を参照して、搬送する用紙Sのサイズに応じた搬送間隔(tgd1)を取得する。制御部200は、取得した搬送間隔で、印刷枚数分の用紙Sを給紙部120から順に搬送する。これにより、用紙Sは、用紙導入路R1から第1の用紙排出路R2へ所定の時間間隔で搬送される。
【0064】
次に、フェイスダウンモードにおける、制御部200の処理の流れについて説明する。以後、用紙の短辺方向が用紙の搬送方向と平行になる向きで搬送することを横送りと称し、用紙の長辺方向が用紙の搬送方向と平行になる向きで搬送することを縦送りと称する。用紙サイズと関連させて表現する場合には、A4横送りのように表現する。また、用紙の短辺の長さを横長さ、用紙の長辺の長さを縦長さと称する。用紙サイズと関連させて表現する場合には、A4縦長さのように表現する。以下、A4横送りで用紙Sを搬送する場合を例に挙げて説明する。
【0065】
制御部200は、図8示すように、フェイスダウンモードの前処理を行う。前処理では、制御部200は、モータ71〜74を第1速度で正転駆動して、搬送ローラ51〜54を第1速度で正回転させる(S11)。制御部200は、第1速度の正転処理を行う(S12)。
【0066】
第1速度の正転処理では、図9に示すように、制御部200は、用紙Sの搬送方向の長さL(A4横長さ)がB4縦長さ以下の場合は(S21)、モータ75,76を第1速度で正転駆動して、正逆転ローラ61〜63を第1速度で正回転させる(S22)。制御部200は、モータ77へ電力供給を行わない(S23)。
【0067】
用紙Sの搬送方向の長さLがB4縦長さを超える場合は、制御部200は、モータ75〜77を第1速度で正転駆動して、正逆転ローラ61〜65を第1速度で正回転させる(S24)。
【0068】
第1速度の正転処理が終了すると、制御部200は、ゲート91のソレノイドへ電力供給を行い、用紙導入路R1からスイッチバック路R3へ搬送されるようにゲート91を切り換える(S13)。制御部200は、ゲート91のソレノイドへの電力供給を停止して、スイッチバック路R3が開通するようゲート92を切り換える(S14)。前処理が終了すると、制御部200は、搬送間隔テーブル301を参照して、搬送する用紙Sのサイズに応じた搬送間隔(A4横送りの場合であればtgu1)を取得する。制御部200は、取得した搬送間隔で、印刷枚数分の用紙を給紙部120から順に搬送する。これにより、用紙は、用紙導入路R1へ所定の時間間隔で搬送される。
【0069】
制御部200は、給紙部120から搬送された用紙Sが定着ユニット30を通過すると、図10,11に示す用紙反転処理を行う。
【0070】
制御部200は、図10に示すように、センサ42が用紙Sの先端を検出すると(S31:Y)、図12に示す離間処理を行う(S32)。
【0071】
離間処理では、制御部200は、用紙Sの搬送方向の長さL(A4横長さ)がA4横長さ以下の場合は(S61)、離間手段81,82のソレノイドへ電力供給を行わない(S62,63)。すなわち、制御部200は、正逆転ローラ61,62を離間しない。
【0072】
用紙Sの搬送方向の長さLがA4横長さを超えて且つB4縦長さ以下の場合は、制御部200は、離間手段81のソレノイドへ電力供給を行い(S64)、離間手段82のソレノイドへ電力供給を行わない(S65)。すなわち、制御部200は、正逆転ローラ61を離間し、正逆転ローラ62を離間しない。また、用紙Sの搬送方向の長さLがB4縦長さを超える場合は、制御部200は、離間手段81,82のソレノイドへ電力供給を行う(S66,67)。すなわち、制御部200は、正逆転ローラ61,62を離間する。
【0073】
制御部200は、第1時間をタイマTuに設定し(S33)、第2時間をタイマTwに設定する(S34)。制御部200は、搬送テーブル302を参照して、搬送する用紙Sのサイズに応じた通過時間(A4横送りの場合であればtx1)をタイマTxに設定し(S35)、搬送テーブル303を参照して、タイマTyに通過時間(A4横送りの場合であればty1)を設定する(S36)。
【0074】
制御部200は、図15(A)に示すように、センサ42が用紙Sの後端を検出する、すなわち、定着ユニット30を通過したことを検出すると(S31:N→S37:Y)、モータ73を第2速度で正転駆動して、搬送ローラ52,53を第2速度で正回転させて(S38)、タイマTuをスタートさせる(S39)。制御部200は、図13に示す第2速度の正転処理を行って(S40)、タイマTwをスタートさせる(S41)。
【0075】
第2速度の正転処理では、制御部200は、用紙Sの搬送方向の長さL(A4横長さ)がB4縦長さ以下の場合は(S71)、モータ75,76を第2速度で正転駆動して、正逆転ローラ61〜63を第2速度で正回転させる(S72)。制御部200は、モータ77へ電力を供給しない(S73)。
【0076】
用紙Sの搬送方向の長さLがB4縦長さを超える場合は、制御部200は、モータ75〜77を第2速度で正転駆動して、正逆転ローラ61〜65を第2速度で正回転させる(S74)。
【0077】
図15(A)に示す時点では、制御部200は、画像形成処理が終了しているので、第1速度から第2速度に切り換えて用紙Sを搬送している。この時、用紙Sの次に搬送される用紙S(以下、後続用紙S’と称する。)は、感光体ドラム21と転写器23との間を第1速度で搬送され、画像形成処理が行われている。
【0078】
制御部200は、図15(B)に示すように、タイマTuがアップする、すなわち用紙Sの後端が位置Q2に到達すると(S31:N→S37:N→S42:Y)、モータ73を第1速度で正転駆動して、搬送ローラ52,53を第1速度で正回転させる(S43)。
【0079】
図15(B)に示す時点では、制御部200は、用紙Sの後端が搬送ローラ53を通過したので、後続用紙S’の搬送に備えて、搬送ローラ52,53を第1速度で正回転させている。
【0080】
制御部200は、図15(C)に示すように、タイマTwがアップする、すなわち用紙Sの後端が位置Q3に到達すると(S31:N→S37:N→S42:N→S44:Y)、モータ74を第2速度で正転駆動して、搬送ローラ54を第2速度で正回転させる(S45)。制御部200は、図14に示す第2速度の逆転処理を行う(S46)。
【0081】
第2速度の逆転処理では、制御部200は、用紙Sの搬送方向の長さL(A4横長さ)がB4縦長さ以下の場合は(S81)、モータ75,76を第2速度で逆転駆動して、正逆転ローラ61〜63を第2速度で逆回転させる(S82)。制御部200は、モータ77を駆動しない(S83)。
【0082】
用紙Sの搬送方向の長さLがB4縦長さを超える場合は、制御部200は、モータ75〜77を第2速度で逆転駆動して、正逆転ローラ61〜65を第2速度で逆回転させる(S84)。
【0083】
図15(C)に示す時点では、制御部200は、用紙Sがスイッチバック路R3上に位置するので、正逆転ローラ61〜63を第2速度で逆回転して、用紙Sを反対方向に搬送する。この時、後続用紙S’の先端は、センサ42により検出されている。このため、制御部200は、後続用紙S’に対しても図10,11に示す反転処理を行っている。
【0084】
なお、図15(C)に示すように、用紙Sの後端が位置Q3にある場合、用紙Sの先端は、A4横送りの場合に正逆転ローラ62と正逆転ローラ63との間にあり、B4縦送りの場合に正逆転ローラ63と正逆転ローラ64との間にある。また、A3横送りの場合には正逆転ローラ64と正逆転ローラ65との間にある。このため、B4縦長さ以下の用紙の場合には、モータ77を駆動して正逆転ローラ64と正逆転ローラ65とを駆動する必要がない。
【0085】
制御部200は、図11、図16(A)に示すように、センサ43が用紙Sの先端を検出すると(S31:N→S37:N→S42:N→S44:N→S47:Y)、タイマTx、タイマTyをスタートさせる(S48,49)。
【0086】
図16(A)に示す時点では、用紙Sは、スイッチバック路R3で表裏反転されて、先端が搬送ローラ54にニップされている。後続用紙S’は、搬送ローラ52,53により先端がスイッチバック路R3に導入されている。
【0087】
制御部200は、図16(B)に示すように、タイマTxがアップする、すなわち用紙Sの後端が正逆転ローラ61を通過すると(S31:N→S37:N→S42:N→S44:N→S47:N→S50:Y)、図9に示す第1速度の正転処理を行う(S51)。
【0088】
図16(B)に示す時点では、制御部200は、用紙Sが正逆転ローラ61にニップされていないので、搬送ローラ54で用紙Sを第1の用紙排出路R2へ排出する。この時、後続用紙S’は、先端が正逆転ローラ61にニップされておらず、搬送ローラ52,53によってスイッチバック路R3へ搬送される
制御部200は、図16(C)に示すように、タイマTyがアップする、すなわち用紙Sの後端が位置Q1に到達すると(S31:N→S37:N→S42:N→S44:N→S47:N→S50:N→S52:Y)、モータ74を第1速度で正転駆動して、搬送ローラ54を第1速度で正回転させる(S53)。
【0089】
図16(C)に示す時点では、制御部200は、用紙Sがスイッチバック路R3から抜けたので、第2速度から第1速度へ切り換えて用紙Sを搬送する。この時、後続用紙S’は、先端が正逆転ローラ62にニップされ、分岐点P2から離れる方向に向かってスイッチバック路R3上を第2速度で搬送される。
【0090】
以上より、A4横長さの用紙Sの搬送時において、制御部200は、離間手段81,82により正逆転ローラ61,62を離間しない状態を維持して、スイッチバック路R3から排出される用紙Sとスイッチバック路R3に導入される後続用紙S’とを、スイッチバック路内ですれ違わせる搬送制御を行う。
【0091】
これにより、制御部200は、すれ違わせずに用紙を搬送する場合と比較して、用紙の搬送時間を短縮することができる。また、制御部200は、スイッチバック路R3における用紙の搬送速度を、第1速度より早い第2速度に変更することで、用紙の搬送時間を更に短縮することができる。
【0092】
次に、フェイスダウンモードにおける、制御部200の処理の流れについて、A3縦長さの用紙Sを順に搬送する場合を例に挙げて説明する。A4横長さの用紙Sを搬送する場合との相違点のみを説明する。
【0093】
A3縦長さの用紙を搬送する場合には、図9に示す第1速度の正転処理、図13に示す第2速度の正転処理、及び図14に示す第2速度の逆転処理において、制御部200は、モータ75,76及びモータ77に電力供給を行う。この時、制御部200は、モータ75,76と同一の速度で且つ同一方向にモータ77を駆動する。
【0094】
制御部200は、記憶部300に記憶している各種テーブル301〜303を参照して、用紙Sのサイズに応じた搬送間隔(A3縦送りの場合であればtgd3)、タイマTx(A3縦送りの場合であればtx3)及びタイマTy(A3縦送りの場合であればty3)を設定する。
【0095】
図12に示す離間処理において、制御部200は、用紙Sの搬送方向の長さLがB4縦長さを超えるので、離間手段81,82のソレノイドへ電力供給を行い(S66,67)、正逆転ローラ61,62を離間する。
【0096】
図10,11に示す用紙反転処理において、図17(A)に示すように、制御部200は、センサ42が用紙Sの後端を検出した時点で、用紙Sに対する画像形成処理が終了しているので、第1速度から第2速度に切り換えて用紙Sを搬送している。この時、後続用紙S’は、感光体ドラム21と転写器23との間を第1速度で搬送され、画像形成処理が行われている。
【0097】
図17(B)に示すように、制御部200は、用紙Sの後端が位置Q2に到達した時点では、用紙Sの後端が搬送ローラ53を通過したので、後続用紙S’の搬送に備えて、搬送ローラ52,53を第1速度で正回転させている。
【0098】
図17(C)に示すように、制御部200は、用紙Sの後端が位置Q3に到達した時点では、用紙Sがスイッチバック路R3上に位置するので、正逆転ローラ61〜65を第2速度で逆回転して、用紙Sを反対方向に搬送する。この用紙Sを反対方向に搬送する間、正逆転ローラ61,62は離間した状態に維持されているので、用紙Sの搬送は正逆転ローラ63により行われる。この時、後続用紙S’の先端は、センサ42により検出されている。このため、制御部200は、後続用紙S’に対しても図10,11に示す反転処理を行っている。
【0099】
図18(A)に示すように、センサ43が用紙Sの先端を検出した時点では、用紙Sは、スイッチバック路R3で表裏反転されて、先端が搬送ローラ54にニップされている。後続用紙S’は、搬送ローラ52,53により先端がスイッチバック路R3に導入されている。
【0100】
図18(B)に示すように、制御部200は、用紙Sの後端が正逆転ローラ63にニップされていないので、搬送ローラ54で用紙Sを用紙排出路R2へ排出する。この時、後続用紙S’は、先端が正逆転ローラ63にニップされておらず、搬送ローラ52,53によってスイッチバック路R3へ搬送される。
【0101】
図18(C)に示すように、制御部200は、用紙Sの後端が位置Q1に到達した時点では、用紙Sがスイッチバック路R3から抜けたので、第2速度から第1速度へ切り換えて用紙Sを搬送する。この時、後続用紙S’は、先端が正逆転ローラ64にニップされ、分岐点P2から離れる方向に向かってスイッチバック路R3上を第2速度で搬送される。
【0102】
以上より、A3縦の用紙Sの搬送時において、制御部200は、離間手段81,82により正逆転ローラ61,62を離間した状態を維持して、スイッチバック路R3から排出される用紙Sとスイッチバック路R3に導入される後続用紙S’とを、スイッチバック路内ですれ違わせる搬送制御を行う。
【0103】
これにより、制御部200は、用紙Sと後続用紙S’とをすれ違わせる距離を長く確保するため、すれ違わせずに用紙を搬送する場合と比較して、用紙の間隔を短くでき、その結果、用紙の搬送時間を短縮することができる。また、制御部200は、スイッチバック路R3における用紙の搬送速度を、第1速度より早い第2速度に変更することで、用紙の搬送時間を更に短縮することができる。
【0104】
なお、制御部200は、図10,11に示す用紙反転処理を行ったが、図19,20に示す用紙反転処理を行ってもよい。以下、図10,11に示す用紙反転処理との相違点のみを、A4横送りで用紙Sを搬送する場合を例に挙げて説明する。なお、図19のS31〜S43の処理、及び図20のS50〜S53の処理は、それぞれ図10のS31〜S43の処理、及び図11のS50〜S53の処理と同一である。
【0105】
図19,図22(A)に示すように、制御部200は、タイマTwがアップする、すなわち用紙Sの後端が位置Q3に到達すると(S31:N→S37:N→S42:N→S44:Y)、図21に示す第1速度の逆転処理を行う(S91)。
【0106】
第1速度の逆転処理では、制御部200は、用紙Sの搬送方向の長さL(A3縦長さ)がB4縦長さを超える場合は(S101)、モータ75〜77を第1速度で逆転駆動して、正逆転ローラ61〜65を第1速度で逆回転させる(S104)。
【0107】
用紙Sの搬送方向の長さLがB4縦長さ以下の場合は、制御部200は、モータ75,76を第1速度で逆転駆動して、正逆転ローラ61〜63を第1速度で逆回転させる(S102)。制御部200は、モータ77を駆動しない(S103)。
【0108】
図22(A)に示す時点では、制御部200は、用紙Sがスイッチバック路R3上に位置するので、正逆転ローラ61〜65を第1速度で逆回転して、用紙Sを反対方向に搬送する。
【0109】
図20,図22(B)に示すように、制御部200は、センサ43が用紙Sの先端を検出すると(S31:N→S37:N→S42:N→S44:N→S47:Y)、タイマTx、タイマTyをスタートさせる(S48,49)。制御部200は、モータ74を第2速度で正転駆動して、搬送ローラ54を第2速度で正回転させて(S92)、第2速度の逆転処理を行う(S93)。
【0110】
図22(B)に示す時点では、用紙Sは、スイッチバック路R3で表裏反転されて、先端が搬送ローラ54にニップされている。用紙Sは、第2速度で搬送ローラ54及び正逆転ローラ63,64で搬送される。この時、正逆転ローラ61,62は、第2速度で駆動させているが、離間した状態に維持されているので、用紙の搬送をしない。これにより、図22(A)に示す時点では、用紙Sの先端がニップされていないため、正逆転ローラ63〜65からの搬送力が用紙Sの先端に伝わらず、用紙Sが腰折れしてしまうことがある。そこで、制御部200は、用紙Sを搬送する搬送速度を第2速度より遅い第1速度に変更することで、用紙の腰折れを防いでいる。そして、制御部200は、図22(B)に示すように、用紙Sの先端が搬送ローラ54にニップされると、用紙Sの搬送速度を第2速度に上げている。
【0111】
用紙Sの腰折れの発生は、用紙の搬送方向に直交する方向(用紙の幅方向)の長さが大きいほど生じ難く、用紙Sの先端から用紙が搬送ローラ又は正逆転ローラにニップされるまでの距離が長いほど生じやすい。このため、用紙Sの搬送方向の長さLがB4縦長さ以上の場合は、用紙Sの先端が搬送ローラ54にニップされるまで、第1速度で搬送する方が好ましい。また、搬送時に検知した用紙の厚さ情報や、予め入力された用紙の厚さ情報を基にして、用紙を第1速度で搬送して、用紙の腰折れを防いでもよい。
【0112】
なお、上述の実施例では、離間手段81は、アーム811、引張バネ812、及びソレノイド813から構成された。しかし、図23に示すように、離間手段81は、ソレノイド813に代えて、モータ814、カム815、ギア816から構成されてもよい。なお、離間手段82についても同様である。
【0113】
この場合、アーム811’は、スイッチバック路R3の従動ローラ61B側の基板(不図示)に一端が回動軸811A’として回動可能に取り付けられている。アーム811’の中央付近には、従動ローラ61Bが取り付けられている。アーム811’の他端には、駆動ローラ61A側への付勢力を付与する引張バネ812が取り付けられる。アーム811’には、従動ローラ61Bと引張バネ812との間にカム815が配置されている。カム815は、ギア816を介してモータ814からの駆動力を受けて、回転する。
【0114】
図23(A)に示すように、モータ814に電力が供給されていない時には、アーム811’に引張バネ812の付勢力のみが作用するので、従動ローラ61Bが駆動ローラ61Aに当接する。正逆転ローラ61は離間しない状態に維持される。図23(B)に示すように、モータ814に電力が供給される時には、カム815が回転するため、引張バネ812の付勢力より大きく且つ駆動ローラ61A側と反対側へ押し下げる力がアーム811’に作用するため、従動ローラ61Bが駆動ローラ61Aから離間する。正逆転ローラ61は離間した状態に維持される。
【0115】
以上のように、制御部200は、離間手段81のモータ814への電力供給を切り換えるだけで、正逆転ローラ61を離間した状態又は離間していない状態に維持することができる。
【0116】
なお、制御部200は、パソコンから用紙Sの搬送方向の長さLを受け付けた。しかし、制御部200は、画像形成ユニット20の上流側に配置されたセンサ41の検出信号に基づいて、用紙Sの搬送方向の長さLを算出してもよい。この場合、制御部200は、センサ41から用紙Sの先端と後端とを検出するまでの時間間隔と、用紙Sを搬送している第1速度とに基づいて、用紙Sの搬送方向の長さLを算出する。
【0117】
なお、上記実施例では、制御部200は、用紙Sと後続用紙S’とをスイッチバック路R3上ですれ違わせた。しかし、制御部200は、腰の無い用紙を搬送する場合に、用紙Sと後続用紙S’とをスイッチバック路ですれ違わせずに1枚ずつ通過させる搬送制御を行う。腰の無い用紙は、ジャムになりやすいからである。この時、制御部200は、用紙の腰の有無を含む用紙の種類を操作部にて受け付けて、搬送制御を行う。
【0118】
なお、上述の実施例では、電子写真式の画像形成装置を例に挙げて説明したが、インクジェット方式等の他の方式の画像形成装置であってもよい。また、フェイスダウンモードおける用紙のスイッチバックに限らず、自動原稿搬送装置での原稿用紙のスイッチバックや、両面印刷モードにおける用紙のスイッチバックにも適用できる。すなわち、用紙を表裏反転するものであれば如何なるものにも適用できる。
【0119】
上述の実施形態の説明は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0120】
P2…分岐点
R1…用紙導入路
R2…第1の用紙排出路
R3…スイッチバック路
R4…第2の用紙排出路
S…用紙
S’…後続用紙
30…定着ユニット
53,54…搬送ローラ
61〜65…正逆転ローラ
81,82…離間手段
100…画像形成装置
110…画像形成部
200…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の表裏反転するために用紙を往復搬送するスイッチバック路と、
前記スイッチバック路に接続され、前記スイッチバック路へ用紙を導入する用紙導入路と、
前記スイッチバック路に接続され、前記スイッチバック路から用紙を排出する用紙排出路と、
前記用紙導入路と前記スイッチバック路と前記用紙排出路との接続部に設けられ、用紙を分岐する分岐部と、
前記用紙導入路に設けられる第1搬送ローラと、
前記用紙排出路に設けられる第2搬送ローラと、
前記スイッチバック路に前記分岐部から順に設けられ、前記分岐部に最も近い正逆転ローラを含む1つ以上の第1正逆転ローラとそれ以外の1つ以上の第2正逆転ローラとで構成される複数の正逆転ローラと、
前記第1正逆転ローラを離間可能にする離間手段と、
前記スイッチバック路に導入される用紙と前記スイッチバック路から排出される用紙とを、前記スイッチバック路内ですれ違わせる搬送制御を行う制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記用紙の搬送方向の長さが所定の長さよりも短い場合は、前記第1正逆転ローラを離間しない状態に維持して前記搬送制御を行い、前記用紙の搬送方向の長さが所定の長さよりも長い場合は、前記第1正逆転ローラを選択的に離間した状態に維持して前記搬送制御を行うことを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項2】
前記所定の長さは、前記第1搬送ローラと前記分岐部から2番目に近い正逆転ローラとの間の長さよりも長く、且つ前記2番目に近い搬送ローラと前記第2正逆転ローラとの間の長さよりも長く設定されている、請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記離間手段は、前記各第1正逆転ローラの上側ローラと下側ローラとの間を選択的に離間する付勢部材とソレノイドとの組合せで構成される請求項1又は2に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記第1搬送ローラの上流側に配置され、前記用紙の通過を検出する検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記検出手段の検出結果に基づいて用紙の長さを算出し、算出した用紙の長さに応じて、前記第1正逆転ローラを離間しない状態に維持、又は前記第1正逆転ローラを選択的に離間した状態に維持する請求項1〜3の何れかに記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記用紙の先端が前記スイッチバック路の前記分岐部から前記用紙排出路へ排出される時に前記用紙の搬送速度を低下させ、前記用紙の先端が前記第2搬送ローラを通過する時に前記用紙の搬送速度を上昇させる請求項1〜4の何れかに記載の用紙搬送装置。
【請求項6】
腰の有無を含む用紙の種類の指定を受け付ける受付手段を更に備え、
前記制御手段は、前記受付手段が腰の無い用紙の指定を受け付けると、前記用紙の搬送方向の長さに関係なく、前記第1正逆転ローラを離間しない状態に維持して前記スイッチバック路に用紙を1枚だけ搬送させる請求項1〜5の何れかに記載の用紙搬送装置。
【請求項7】
用紙へ画像を形成する画像形成手段と、
請求項1〜6の何れかに記載の用紙搬送装置と、を備え、
前記用紙搬送装置は、前記画像形成手段の下流側に配置される画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−111571(P2012−111571A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259955(P2010−259955)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】