説明

用紙搬送装置

【課題】用紙にループを形成したことに起因する画像乱れ、ズレやムラを防止できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着装置30と、二次転写部7Aおよび定着装置30間における用紙のループを検知するセンサー50と、レジストローラー対23、二次転写部7Aおよび定着装置30を制御する制御手部90、を有し、制御部90は、用紙が定着装置30に到達した後に、二次転写部7Aおよび定着装置30による用紙の搬送速度を調整して、二次転写部7Aおよび定着装置30間において用紙にループを形成すると共に、用紙の後端がレジストローラー対23を通過する前であって、センサー50により検知されるループのループ量が所定の閾値以下になるタイミングで、レジストローラー対23による用紙の圧着を解除させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置は、用紙に画像を転写する画像転写部の上流に、レジストローラーが設けられている。レジストローラーは、画像転写部の感光体ドラム上に形成された画像と用紙との位置合わせの役割の他、搬送経路によって発生した用紙曲がりを矯正する役割を果たす。
【0003】
レジストローラーは、用紙曲がりを矯正し位置合わせした用紙を、画像転写部に搬送する。画像転写部は、レジストローラーよりも弱い搬送力により用紙を通過させつつ、接触した箇所から順次画像を転写する。画像が転写されている用紙は、画像全体が転写される前に、搬送方向先端が定着装置に到達する。定着装置は、定着ローラーを含み、当該定着ローラーにより加熱および加圧しながら用紙を搬送し、用紙上の画像を定着させる。
【0004】
画像を転写および定着する際には、レジストローラー、画像転写部および定着ローラーの全ての構成に亘って一枚の用紙が搬送される状態がある。ここで、各構成による用紙の搬送速度は、部品バラツキ等により必ずしも一致しない。搬送速度が一致しないと、用紙の引っ張り合いが生じて、用紙に過剰な張力がかかり、転写部で用紙に転写する画像が乱れたり、ズレたり、ムラが出たりする可能性がある。
【0005】
そこで、各構成による用紙の搬送速度を調節して、用紙にループを形成し、用紙の引っ張り合いを防止する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−121348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の発明では、搬送が進んでレジストローラーによる搬送から用紙が開放されると、ループが形成された用紙を定着ローラーと画像転写部で搬送することになる。ここで、画像転写部は、搬送力が定着ローラーに比べて弱く、つまり用紙をニップする力が小さいので、用紙に形成されたループの大きさによっては反力により用紙を滑らせてしまう。これでは、画像転写部での画像の転写に乱れ、ズレ、ムラが発生する原因となってしまう。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、用紙にループを形成したことに起因する画像乱れ、ズレやムラを防止できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 用紙の圧着または圧着解除を行う圧着解除機構を有し、用紙を挟持して用紙搬送方向と直交する方向に揺動して用紙の位置を調整するレジスト手段と、前記用紙に画像を転写し、当該用紙を搬送する画像転写手段と、前記用紙に転写された画像を定着し、当該用紙を搬送する定着手段と、前記画像転写手段および前記定着手段間における前記用紙のループを検知する検知手段と、前記レジスト手段、前記画像転写手段および前記定着手段を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記用紙が前記定着手段に到達した後に、前記画像転写手段および前記定着手段による前記用紙の搬送速度を調整して、前記画像転写手段および前記定着手段間において用紙にループを形成すると共に、前記用紙の後端が前記レジスト手段を通過する前であって、前記検知手段により検知されるループのループ量が所定の閾値以下になるタイミングで、前記レジスト手段による前記用紙の圧着を解除するように前記圧着解除機構を制御することを特徴とする画像形成装置。
【0010】
(2) 前記制御手段は、前記用紙が前記定着手段に到達してから所定の第1基準時間を経過するまでは、前記ループ量が前記閾値以下でも前記レジスト手段による前記用紙の圧着を解除しない(1)に記載の画像形成装置。
【0011】
(3) 前記制御手段は、前記用紙が前記定着手段に到達してから所定の第2基準時間を経過しても前記ループ量が前記閾値以下にならなかった場合、前記レジスト手段による前記用紙の圧着を解除する(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、用紙の後端がレジスト手段を通過する前に、画像転写手段および定着手段の間において用紙に形成したループのループ量が所定の閾値以下になったタイミングで、レジスト手段による用紙の圧着を解除させる。ループ量が小さくループによる用紙の反力が小さい状態でレジスト手段による用紙の圧着が解除されるので、画像転写手段にかかる反力も小さく、画像転写手段において反力に対抗してループを維持でき、用紙が滑らない。用紙の滑りによる画像乱れ、ズレやムラを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る画像形成装置を説明する図である。
【図2】レジストローラー対から用紙を二次転写部、定着装置に搬送する様子を示す平面図である。
【図3】レジストローラー対の圧着および圧着解除を行う圧着解除機構の例を示す側面図である。
【図4】レジストローラー対、二次転写部および定着装置において用紙を搬送する手順を示すフローチャートである。
【図5】用紙が搬送される様子を示す概略側面図である。
【図6】ループ量の推移の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本欄の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。
【0015】
図1は、本発明に係る画像形成装置Aを説明する図である。
【0016】
画像形成装置Aは、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部によりカラー画像形成を行う。
【0017】
原稿台上に載置された原稿は、画像読み取り装置SCの走査露光装置の光学系により画像が走査露光され、ラインイメージセンサーに読み込まれる。光電変換された画像情報信号は、画像処理部(非図示)において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、画像形成部の光書込部に入力される。
【0018】
4組の画像形成部はイエロー(Y)色の画像を形成する画像形成部10Y、マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成部10M、シアン(C)色の画像を形成する画像形成部10C、黒(K)色の画像を形成する画像形成部10Kであり、それぞれ共通する符号10の後に形成する色を表す符号Y、M、C、Kを付して表記する。
【0019】
画像形成部10Yは、感光体ドラム1Yおよびその周囲に配置された帯電部2Y、光書込部3Y、現像装置4Yおよびドラムクリーナー5Yを有している。
【0020】
同様に、画像形成部10Mは、感光体ドラム1Mの周囲に配置された帯電部2M、光書込部3M、現像装置4Mおよびドラムクリーナー5Mを有している。画像形成部10Cは、感光体ドラム1Cの周囲に配置された帯電部2C、光書込部3C、現像装置4Cおよびドラムクリーナー5Cを有している。画像形成部10Kは、感光体ドラム1Kの周囲に配置された帯電部2K、光書込部3K、現像装置4Kおよびドラムクリーナー5Kを有している。
【0021】
画像形成部10Y、10M、10C、10Kにおけるそれぞれの感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、帯電部2Y、2M、2C、2K、光書込部3Y、3M、3C、3K、現像装置4Y、4M、4C、4Kおよびドラムクリーナー5Y、5M、5C、5Kはそれぞれ共通する内容の構成である。以下、特に区別が必要な場合を除き、符号Y、M、C、Kを付さずに表記することにする。
【0022】
画像形成部10は、光書込部3にて画像情報信号を感光体ドラム1に書き込み、感光体ドラム1に画像情報信号に基づく潜像を形成する。そして、潜像は現像装置4によって現像され、感光体ドラム1上に可視画像であるトナー画像が形成される。
【0023】
画像形成部10Y、10M、10C、10Kにおける感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに、それぞれ、イエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色、黒(K)色の画像が形成される。
【0024】
中間転写ベルト6は、複数のローラーにより巻回され、走行可能に支持されており、用紙Sに画像を転写する画像転写部として機能する。
【0025】
画像形成部10Y、10M、10C、10Kより形成された各色のトナー画像は、走行する中間転写ベルト6上に一次転写部7Y、7M、7C、7Kにより逐次転写されてY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)の各色層が重畳したカラー画像が形成される。
【0026】
用紙搬送部20は用紙Sを搬送する。用紙Sは、給紙トレイ291、292、293に収容されており、第1給紙部21により給紙される。用紙Sは、ループ形成ローラー対22、およびレジストローラー対23を経て、二次転写部7Aに搬送される。二次転写部7Aにおいて、中間転写ベルト6上に形成されたトナー画像が用紙S上に転写される。
【0027】
トナー画像が転写された用紙Sは、定着装置30にて定着ローラー対32によって、熱と圧力とが加えられる。これによって、用紙S上のトナー画像が定着される。そして、用紙Sは、定着搬送ローラー24および排紙ローラー25を経て、装置外に排出される。
【0028】
また、画像形成装置Aは用紙反転部26を備えており、定着がなされた用紙Sを定着搬送ローラー24から用紙反転部26に導いて表裏を反転して排出したり、あるいは用紙Sの両面に画像形成を行ったりすることを可能としている。
【0029】
用紙Sは、複数の搬送ローラー対40によって挟持され、搬送経路に沿って搬送される。搬送経路は、用紙Sの搬送をガイドするガイド板によって形成されている。
【0030】
画像形成装置Aの本体上部に操作表示部80が設置されている。操作表示部80を操作することによって、画像形成を行うに際しての用紙Sのサイズ、枚数等を設定できる。
【0031】
画像形成のための各部材の作動、および用紙Sを搬送するための各部材の作動は、制御部90によって制御される。
【0032】
次に、本実施形態の画像形成装置において、用紙Sに画像を転写しつつ搬送する構成について説明する。
【0033】
図2はレジストローラー対から用紙を二次転写部、定着装置に搬送する様子を示す平面図である。図2では平面視しているので、ローラー対のうち用紙Sの上面側のローラーを表している。
【0034】
用紙Sに画像を転写し定着するために、レジストローラー対23、二次転写部7A、定着装置30の順に用紙Sは進行する。
【0035】
レジストローラー対23は、相互に接近または離間が可能に構成されている。レジストローラー対23が相互に接近して形成されたニップ部に、搬送されてきた用紙Sの先端が突き当たる。これにより、用紙Sの先端辺がローラー対23に対して平行にされ、用紙Sの曲がりを矯正できる。レジストローラー対23は、用紙曲がりを矯正する手段として機能する。
【0036】
曲がりが矯正された用紙Sについて、レジストローラー対23のうち少なくとも一方を回転駆動することにより、用紙Sを二次転写部7Aに搬送できる。ここで、レジストローラー対23にはモーターM1が接続されている。モーターM1は制御部90により制御され、必要に応じて回転駆動して、レジストローラー対23を回転させる。
【0037】
また、レジストローラー対23は、カムCAにより、モーターM1の軸方向に揺動可能である。たとえば、レジストローラー対23は、図中実線で示す用紙Sの位置から、一点鎖線で示す位置まで、用紙Sを揺動する。レジストローラー対23は、用紙Sを搬送しつつ揺動することで用紙Sを二次転写部7Aに供給する位置を調整して、二次転写部7Aにおいて用紙Sの適切な位置に画像が転写されるようにする。カムCAも制御部90により位置が制御される。
【0038】
搬送している用紙Sの後端が離脱する前に、レジストローラー対23は、相互に離間して、用紙Sの圧着を解除する。圧着を解除するタイミングについては、後述する。
【0039】
二次転写部7Aは、中間転写ベルト6を介してローラー対が用紙Sを挟持し、用紙Sを搬送すると同時に、中間転写ベルト6上の画像を用紙Sに転写する。二次転写部7Aのローラー対はモーターM2が接続されており、モーターM2の駆動により、中間転写ベルト6を介して用紙Sを搬送できる。モーターM2は、制御部90に接続されており、回転速度が制御される。なお、二次転写部7Aではトナー画像を用紙Sに適切に転写するようにニップ力が調節されている。二次転写部7Aによる用紙Sのニップ力および搬送力は、レジストローラー対23および定着装置50よりも弱い。
【0040】
定着装置30は、定着ローラー対32により用紙Sを加熱および加圧して、用紙S上に画像を定着させる。定着ローラー対32の少なくとも一方は、モーターM3に接続されており、回転駆動することによって用紙Sを搬送する。モーターM3は、制御部90に接続されており、回転速度が制御される。
【0041】
二次転写部7Aおよび定着装置30間には、用紙Sの搬送方向の先端の通過や、用紙Sに形成されたループを検知するセンサー50が配置されている。センサー50は、たとえば、接触式センサーであり、用紙Sに向かって突出した接触子を有し、用紙Sが接触子を押す量を電圧値として制御部90に送信する。センサー50は、接触子が用紙Sに接触して押し始めると、低い電圧値を制御部90に送信し、用紙Sの先端が通過したことを知らせる。これにより、用紙Sの通過を検知できる。さらに、制御部90により二次転写部7Aのローラー対および定着装置30の定着ローラー対32の回転速度を制御して、用紙にループが形成された場合、ループの大きさ(ループ量)によって、接触子が押し戻される量が変化する。センサー50は、接触子の押し戻された位置により異なる電圧値を制御部90に送信することで、ループ量も検知できる。
【0042】
用紙Sの搬送が進むと、図2の(B)に示すように、1枚の用紙Sがレジストローラー対23、二次転写部7Aおよび定着装置30の各部に亘って通紙され、各部の搬送力により搬送される。
【0043】
上記のレジストローラー対23は、圧着解除機構を有し、用紙Sに対して圧着または圧着解除を行う。圧着解除機構について説明する。
【0044】
図3はレジストローラー対の圧着および圧着解除を行う圧着解除機構の例を示す側面図である。
【0045】
レジストローラー対23の圧着解除機構は、たとえば、レジストローラー対23の一方を他方に対して離間することによって用紙Sを圧着または圧着解除する。圧着解除機構は、たとえば、レジストローラー対23のうち一方のローラーの回転軸を保持する保持部材232と、保持部材232の位置を調整するアクチュエーター234と、アクチュエーター234を制御する制御部90とを含んで構成される。保持部材232は、ローラーの回転軸を回転自在に保持している。アクチュエーター234は、用紙Sに向かって往復可能なロッドを有する。アクチュエーター234のロッドの往復に連動して、保持部材232が回転軸を保持する保持部材232も用紙Sに接近したり離間したりする。
【0046】
制御部90は、アクチュエーター234のロッドを前進させることよって、図3(A)に示すように、レジストローラー対23を用紙Sに圧着し、用紙Sを搬送させる。また、制御部90は、アクチュエーター234のロッドを後退させることによって、図3(B)に示すように、レジストローラー対23を用紙Sから離間させ、用紙Sの圧着を解除する。
【0047】
次に、画像形成装置Aの作用について詳細に説明する。
【0048】
図4は、レジストローラー対、二次転写部および定着装置において用紙を搬送する手順を示すフローチャート、図5は用紙が搬送される様子を示す概略側面図、図6はループ量の推移の例を示すグラフである。
【0049】
画像形成装置Aは、レジストローラー対23により曲がりを矯正した用紙Sの搬送を開始する(ステップS1)。レジストローラー対23は、用紙Sを二次転写部7Aに供給する前に、基準位置から揺動して、搬送方向に直交する方向に用紙Sを揺動する(ステップS2)。これにより、用紙Sの位置が、二次転写部7Aのトナー画像と位置合わせされる。位置合わせされた用紙Sは二次転写部7Aに供給され、画像の転写が開始される。なお、基準位置は、用紙Sの搬送方向に直交する方向におけるレジストローラー対23の初期位置である。
【0050】
画像形成装置Aは、レジストローラー対23および二次転写部7Aにより用紙Sの搬送を続け、センサー50により用紙Sの搬送方向先端を検知したか判断する(ステップS3)。用紙Sの先端を検知しない場合(ステップS3:NO)、画像形成装置Aは、用紙Sの搬送を続け、用紙Sが検知されるまで待機する。図5(A)に示すように、センサー50の接触子51が用紙Sに接触することにより用紙Sの先端を検知した場合(ステップS3:YES)、画像形成装置Aは、計時を開始する(ステップS4)。ここで、計時は、実際の時間を測定しても良いし、用紙Sの先端を検出してからのレジストローラー対23または二次転写部7Aのローラーの回転数をカウントしてもよい。図6の(A)は、計時の開始時点を示す。
【0051】
制御部90は、計時結果により、用紙Sの搬送方向先端が定着装置30に供給されたことを判断し、定着ローラー対32および二次転写部7Aによる用紙の搬送速度を調整して、図5(B)に示すように、定着ローラー対32および二次転写部7A間で用紙Sにループを形成する(ステップS5)。ここで、形成されるループのループ量には、目標値が設定されており、目標値が維持されるように、定着ローラー対32および二次転写部7Aによる用紙の搬送速度が制御される。ループを大きくするには、二次転写部7Aによる用紙Sの搬送速度が定着ローラー対32による搬送速度よりも早くなるように制御する。各ローラーのバラツキを考慮しても、二次転写部7Aの方が定着ローラー対32よりも搬送速度が早くなるように速度を設定することで、必ずループ量が大きくなっていく。一方、ループ量が図6の(B)に示すように大きくなり過ぎると、二次転写部7Aの方が定着ローラー対32よりも搬送速度が遅くなるように速度を制御することで、ループ量を小さくできる。このように検出したループ量に基づいてループ量を大きくしたり、小さくしたり制御することで、たとえば、図6に示すように、ループ量が目標値を中心として増減(振動)される。
【0052】
画像形成装置Aは、計時を開始して所定時間ta経過したか判断する(ステップS6)。ここで、所定時間taは、図6に示すように、最初にループを形成した際に、ループ量が目標値に到達する時間を考慮して設定される。所定時間taを経過するまで(ステップS6:NO)、画像形成装置Aは、ループ量を大きくしつつ、用紙Sの搬送を続ける。所定時間taを経過すると(ステップS6:YES)、画像形成装置Aは、センサー50による用紙Sのループ量の検出結果を監視し、ループ量が所定の閾値以下になるか判断する(ステップS7)。閾値は、1枚の用紙Sを搬送する間に、少なくとも1回、好ましくは数回ループ量が下回る値に設定されている。
【0053】
図6に示すようにループ量が所定の閾値以下になった場合(ステップS7:YES)、図5(C)に示すように、画像形成装置Aは、レジストローラー対23を離間させて、レジストローラー対23による用紙Sの圧着を解除する(ステップS8)。ここで、レジストローラー対23が離間されても、二次転写部7Aおよび定着装置30によるループ形成は維持される。たとえば、図6に示すように、(C)の時点において、レジストローラー対23が離間されても、時点(C)以降も、ループ量が増減している。
【0054】
一方、ループ量が所定の閾値以下にならない場合(ステップS7:NO)、画像形成装置Aは、所定の時間tbが経過したか判断する(ステップS9)。時間tbを経過しない場合(ステップS9:NO)、ステップS7の処理を繰り返す。時間tbを経過した場合(ステップS9:YES)、画像形成装置Aは、レジストローラー対23の離間タイミングのタイムアウトとして、レジストローラー対23を離間させる(ステップS8)。
【0055】
離間後、レジストローラー対23は、次の用紙Sの供給に備えて、基準位置に復帰する(ステップS10)。レジストローラー対23は、前の用紙Sがまだ二次転写部7Aや定着装置30において搬送されていても、先に基準位置に復帰して待機することで、次の用紙Sが搬送されてくると即座に用紙曲がりの矯正の動作を実行できる。
【0056】
画像形成装置Aは、今回の印刷ジョブに関する用紙Sの印刷が終了したか判断する(ステップS11)。印刷が終了していない場合(ステップS11:NO)、ステップS1の処理から繰り返し、次の用紙の搬送を実行する。印刷が終了した場合(ステップS11:YES)、画像形成装置Aは、搬送処理を終了する。画像形成装置Aは、次の印刷ジョブが入力されると、ステップS1の処理から再び実行する。
【0057】
以上のように、本実施形態の画像形成装置Aにおいては、用紙Sの引っ張り合いを防止するために、定着装置30および二次転写部7Aの間で用紙S上にループを形成し、ループ量が閾値よりも小さくなったタイミングで、レジストローラー対23を用紙Sから離間する。ループによる用紙Sの反力が小さい状態でレジストローラー対23が離間されるので、二次転写部7Aにかかる反力も小さく、二次転写部7Aのニップ力でも用紙Sの反力に対抗してループを維持でき、用紙Sが滑らない。用紙Sの滑りによる画像乱れ、ズレやムラを防止できる。
【0058】
画像形成装置Aでは、レジストローラー対23の離間は、用紙Sの搬送方向後端がレジストローラー対23を通過する前に実行される。したがって、レジストローラー対23が用紙Sの後端の通過を待たず、基準位置に戻ることができ、次の用紙の供給に備えられる。印刷効率を高められる。
【0059】
また、画像形成装置Aでは、時間taに達するまでは、ループ量が閾値以下かどうかを判断しないので、最初に目標のループ量にループが形成されるまでは、レジストローラー対23が離間されない。レジストローラー対23の離間が早すぎて、用紙Sの搬送効率が低下することを防止できる。
【0060】
ローラーのバラツキ等によって時間tbになるまで一度もループ量が閾値を下回らなかった場合は、時間tbを基準として、レジストローラー対23が離間される。したがって、次の用紙Sのためにレジストローラー対23が基準位置に復帰する時間を確保でき、印刷効率を維持できる。
【0061】
なお、上記実施形態では、一つのセンサー50により用紙Sの搬送方向先端の通過と、用紙Sのループ量とを検知していたが、これに限定されない。異なるセンサーを使用してもよい。たとえば、別に光学式センサーを用意して用紙Sの先端の通過を検出し、接触式センサーでループ量を検出してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、圧着解除機構として、制御部90がアクチュエーター234を制御する形態を示したが、これに限定されない。レジストローラー対23により、用紙Sを圧着しまたは圧着を解除できれば、いかなる構成も採用できる。
【符号の説明】
【0063】
6 中間転写ベルト、
7A 二次転写部、
10 画像形成部、
22a、22b ループ形成ローラー対、
23 レジストローラー対、
30 定着装置、
32 定着ローラー対、
40 搬送ローラー、
50 センサー、
51 接触子、
90 制御部、
M1〜M3 モーター、
S 用紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の圧着または圧着解除を行う圧着解除機構を有し、用紙を挟持して用紙搬送方向と直交する方向に揺動して用紙の位置を調整するレジスト手段と、
前記用紙に画像を転写し、当該用紙を搬送する画像転写手段と、
前記用紙に転写された画像を定着し、当該用紙を搬送する定着手段と、
前記画像転写手段および前記定着手段間における前記用紙のループを検知する検知手段と、
前記レジスト手段、前記画像転写手段および前記定着手段を制御する制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記用紙が前記定着手段に到達した後に、前記画像転写手段および前記定着手段による前記用紙の搬送速度を調整して、前記画像転写手段および前記定着手段間において用紙にループを形成すると共に、前記用紙の後端が前記レジスト手段を通過する前であって、前記検知手段により検知されるループのループ量が所定の閾値以下になるタイミングで、前記レジスト手段による前記用紙の圧着を解除するように前記圧着解除機構を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記用紙が前記定着手段に到達してから所定の第1基準時間を経過するまでは、前記ループ量が前記閾値以下でも前記レジスト手段による前記用紙の圧着を解除しない請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記用紙が前記定着手段に到達してから所定の第2基準時間を経過しても前記ループ量が前記閾値以下にならなかった場合、前記レジスト手段による前記用紙の圧着を解除する請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−114002(P2013−114002A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259498(P2011−259498)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】