説明

用紙積載用パレット

【課題】次工程におけるパレット上の用紙の向きにかかわらず、ノンストップ給紙装置又はノンストップ排紙装置内において、パレットを所望の方向に向けて使用すること。
【解決手段】パレット10は複数の用紙Pを積載するとともに、棒体15aを有する仮受け台15との間で用紙Pを移載する。パレット10の上面に一方向に沿って、仮受け台15の棒体15aが進入可能な複数の第1溝11aが設けられている。同様にパレット10の上面に、一方向に直交する方向に沿って、仮受け台15の棒体15aが進入可能な複数の第2溝11bが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はノンストップ給排紙装置内で用いられ、複数の用紙を積載するとともに、複数の棒体を有する仮受け台との間で用紙を移載する用紙積載用パレットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枚葉機で処理された用紙の給紙および排紙を途中でストップさせることなく連続して行うために、ノンストップ給排紙装置が用いられている。このようなノンストップ給排紙装置は上下方向に移動可能な昇降台と、昇降台上のパレットとを有している。例えば用紙の排紙を行なう場合、パレットの上面に向けて順次排出される処理済みの用紙をパレットの上面に厚さ方向に積み重ねつつ昇降台を下降させてパレット上に積載された用紙の上面の高さをほぼ一定に保つようにする。そしてパレット上に所定量の用紙が載置されたときに、パレット上に積載された用紙の上方に仮受け台を水平方向に引き抜き可能に配置し、排出されてくる用紙をこの仮受け台上に積み重ねつつ昇降台から用紙が積載されたパレットを取り外す。そして用紙が積載されていないパレットを昇降台上に載置し、昇降台をこのパレットが仮受け台に近接する位置まで上昇させるとともに仮受け台を水平方向に引き抜いて仮受け台上に積載された用紙をパレットの上面に移している。
【0003】
ところで、排紙された複数の用紙を積載したパレットは、その後次工程に送られて、パレット上の用紙に対して次の処理が施される。
【0004】
従来、パレット上には仮受け台が進入するための溝が設けられているが、このパレット上の溝は一方向のみに設けられているため、ノンストップ給排紙装置内においてパレットの向きも一方向に定まってしまう。このため次工程におけるパレット上の用紙の向きに合わせてノンストップ給排紙装置内において使用されるパレットを選定する必要があり、作業が煩雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−139163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、次工程におけるパレット上の用紙の向きを考慮することなく、ノンストップ給排紙装置内において使用が可能となる用紙積載用パレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の用紙を積載するとともに、複数の棒体を有する仮受け台との間で用紙を移載する用紙積載用パレットにおいて、パレット上面に一方向に沿って仮受け台の棒体が進入可能な複数の第1溝が形成されるとともに、一方向に直交する他方向に沿って仮受け台の棒体が進入可能な複数の第2溝が形成されていることを特徴とする用紙積載用パレットである。
【0008】
本発明は、第1溝の配置ピッチは、第2溝の配置ピッチと同一となっていることを特徴とする用紙積載用パレットである。
【0009】
本発明は、パレットはパレット基台と、パレット基台上に設けられ、上面に複数の第1溝と複数の第2溝が形成されたパレット本体とを有し、パレット本体の周縁に外方に向って降下する面取り部が形成されていることを特徴とする用紙積載用パレットである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によれば、次工程におけるパレット上の用紙の向きにかかわらずノンストップ給紙装置又はノンストップ排紙装置内においてパレットを所望の方向に向けて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1(a)は本発明の第1の実施の形態によるパレットが組込まれたノンストップ排紙装置を示す平面図、図1(b)はパレットの向きを変えたノンストップ排紙装置を示す平面図、図1(c)はパレットを示す平面図。
【図2】図2(a)はパレットを示す平面図、図2(b)は図2(a)のB方向矢印図、図2(c)は図2(a)のC方向矢印図。
【図3】図3(a)はパレットが組込まれたノンストップ排紙装置を示す平面図、図3(b)はパレットを示す平面図。
【図4】図4(a)はパレットを示す平面図、図4(b)は図4(a)のB方向矢印図、図4(c)は図4(a)のC方向矢印図。
【図5】図5(a)(b)は、ノンストップ排紙装置の作用を示す図。
【図6】図6(a)は比較例としてのノンストップ排紙装置を示す図、図6(b)はそのパレットを示す平面図。
【図7】図7は本発明の第2の実施の形態によるパレットが組込まれたノンストップ排紙装置を示す図。
【図8】図8は本発明の第3の実施の形態によるパレットが組込まれたノンストップ給紙装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の実施の形態
次に図1乃至図5により本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0013】
まず用紙積載用パレットが組込まれるノンストップ排紙装置について述べる。
【0014】
図1(a)(b)(c)および図5(a)(b)に示すように、このノンストップ排紙装置20は、昇降台13と、この昇降台13上に載置される本発明による用紙載置用パレット10と、昇降台13を上下方向に移動させる昇降装置14と、パレット10の上方に配置され、図示しない移動機構によりパレット10の上方から退避可能な左右一対のレール16と、このレール16によって支持される仮受け台15とを備えている。また前工程において印刷が施された枚葉の用紙Pが搬送ローラ22によって搬送され、搬送ローラ22によって搬送された用紙Pは排出ローラ21を介してパレット10上に積載される。
【0015】
図1(a)(b)(c)および図5(a)(b)に示すように、仮受け台15は、所定の間隔をおいて平行に配列された複数本の円柱状の棒体15aと、これらの棒体15aの一端を相互に連結したコの字形の連結部材15bとを有し、全体として櫛状をなしている。
【0016】
次に図1(a)(b)(c)により、本発明による用紙積載用パレット10について説明する。
【0017】
図1(a)(b)(c)に示すように、パレット10の上面には、仮受け台15の各棒体15aを受け入れる複数本の第1溝11aが所定の間隔をおいて平行に設けられており、同様にパレット10の上面には第1溝11aに直交する第2溝11bが所定の間隔をおいて平行に設けられている。各溝11a、11bは、受け入れた棒体15aの最上部がパレット10の上面よりも低くなるよう、棒体15aの径よりも大きな深さを有している。
【0018】
次に図1(a)(b)(c)および図2(a)(b)により、パレット10について更に述べる。
【0019】
パレット10は合成樹脂製のパレット基台12と、合成樹脂製のパレット基台12上に設けられた木製のパレット本体11とからなり、パレット10は全体として平面長方形状をなし、パレット本体11の上面に、上述のように複数本の第1溝11aと、複数本の第2溝11bとが設けられている。このうち各第1溝11aはパレット10の一方の長辺から他方の長辺に向って延び、各第2溝11bはパレット10の一方の短辺から他方の短辺に向って延び、このため複数の第1溝11aと複数の第2溝11bとは互いに直交している。
【0020】
また第1溝11aの配置ピッチP1と第2溝11bの配置ピッチP2は互いに同一となっており、第1溝11aの配置ピッチP1と第2溝11bの配置ピッチP2は、仮受け台15の各棒体15aの配置ピッチとも同一となっている。
【0021】
このような構成にすることにより第1溝11a又は第2溝11bのどちらでも用紙Pの搬送方向に向くように配置が可能になる。また、方向を間違えてもパレットの溝の損傷を低減できる。
【0022】
次に、このような構成からなる本実施の形態に作用について説明する。図1(a)(b)(c)および図5(a)(b)に示すように、印刷開始時において、空のパレット10が載置された昇降台13は上限位置に配置されている。なお、レール16は退避しており、パレット10の上方には仮受け台15は存在していない。
【0023】
この状態で、前工程において印刷が施された用紙Pが搬送ローラ22によって搬送され、用紙Pは排出ローラ21からノンストップ排紙装置20に送られ、ノンストップ排紙装置20のパレット10の上面に順次厚さ方向に積み重ねられる。このとき昇降台13が所定ストロークずつ下降してパレット10上の用紙Pの上面がほぼ一定の高さに保たれる(図5(a)参照)。パレット10上に所定量の用紙Pが載置されると、用紙カウンターまたはセンサ(不図示)がこれを検知し、レール16がパレット10の上方に配置されるとともに、昇降台13が下限位置まで下降する。そのとき、レール16に支持された仮受け台15の上面に用紙Pが堆積し始める(図5(b)参照)。
【0024】
この場合、昇降台13上において、パレット10はその短辺が用紙Pの搬送方向を向くように配置され、仮受け台15の棒体15aはパレット10上の第1溝11a内に挿入可能となる(図1(a)(c))。
【0025】
次に作業者は、昇降台13から用紙Pが積載されたパレット10を取り外し、その代わりに空のパレット10を昇降台13上に載置する。次に、昇降台13が上昇し、パレット10の第1溝11aが仮受け台15の棒体15aを受け入れ、パレット10の上面が棒体15aに支持された用紙Pの下面を突き上げて用紙Pを棒体15aから持ち上げる。昇降台13は、第1溝11aの底面が棒体11aの最下部に接する直前の位置で停止する。このようにして、仮受け台15上の用紙Pがパレット10上に移載される。次に仮受け台15を支持するレール16がパレット10上から退避する。
【0026】
用紙Pが積載されたパレット10は、次に後工程に送られ、この後工程において、用紙Pに対する後工程処理が行なわれる。この場合、パレット10および用紙Pは、いずれも短辺が用紙Pの搬送方向Lを向いており、用紙Pに対しては短辺が用紙Pの搬送方向Lを向いた状態で後工程処理、例えば打抜き処理、又は表面加工処理のような処理が施される。
【0027】
他方、用紙Pに対して、その長辺が用紙Pの搬送方向Lを向いた状態で後工程処理を施す場合、予め昇降台13上にパレット10をその長辺が用紙Pの搬送方向Lを向くよう載置しておく(図1(b))。この場合、パレット10上に用紙Pはその長辺が搬送方向Lを向くよう載置される。
【0028】
図1(b)に示す状態において、昇降台13上のパレット10の向きは、図1(a)(c)に示すパレット10の向きに対して直交する。しかしながら、パレット10の上面に、第1溝11aに直交する第2溝11bが設けられているので、パレット10の第2溝11b内に仮受け台15の各棒体15aを確実に進入させることができ、仮受け台15上の用紙Pを確実にパレット10上に移載することができる。
【0029】
次に図6(a)(b)により本発明の比較例について説明する。
【0030】
図6(a)(b)に示すように、パレット10の上面に一方の短辺から他方の短辺に向って一方向に延びる溝11aのみが形成されている場合、昇降台13上にパレット10を載置する際、パレット10の溝11aを用紙Pの搬送方向Lに合わせる必要がある。図6(a)(b)において、昇降台13上のパレット10および用紙Pは、いずれもその短辺が搬送方向Lを向いている。
【0031】
しかしながら、後工程処理の都合から、昇降台13上のパレット10および用紙Pの向きを、その長辺が搬送方向Lを向くよう揃えたい場合、昇降台13上に載置するパレット10として、パレット10上の溝11aが一方の長辺から他方の長辺に向って延びる別個のパレット10を準備する必要がある。
【0032】
これに対して本発明によれば、パレット10の上面に第1溝11aと、この第1溝11aに直交する第2溝11bとが設けられているので、後工程処理の都合に応じて同一のパレット10をその向きを変えて昇降台13上に載置するだけで対応することができ、パレット10および用紙Pの向き毎に別個のパレット10を準備する必要はない。
【0033】
次に図3(a)(b)および図4(a)(b)(c)によりパレットの変形例について説明する。
【0034】
図1(a)(b)(c)において、パレット10は平面長方形状をもっている例を示したが、これに限らずパレット10が平面正方形状をもっていてもよい(図3(a)(b))。
【0035】
さらに図4(a)(b)(c)に示すように、パレット10は合成樹脂製のパレット基台12と、合成樹脂製のパレット基台12上に設けられた木製のパレット本体13とを有している。また木製のパレット本体13のうちパレット10の短辺に沿った2つの周縁に、外方に向って降下する面取り部11Aが形成されている。この面取り部11Aを、パレット10の全周に設けてもよい。このようにパレット10に面取り部11Aを設けることにより、パレット10の周縁と仮受け台15の棒体15aとが干渉してパレット10の周縁が傷付くことを防止することができる。
【0036】
第2の実施の形態
次に図7により本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0037】
図7に示す第2の実施の形態は、前工程において印刷が施された用紙Pが搬送ローラ22および排出ローラ21を介してノンストップ排紙装置20のパレット10上に供給される代わりに、巻出部28から巻出されたシートSがシートカッタ27により切断されて枚葉の用紙Pとなり、この用紙Pが高速コンベア26および低速コンベア25を経て排出ローラ21からパレット10上に供給される点が異なるのみであり、他の構成は、図1(a)(b)(c)乃至図5(a)(b)に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0038】
図7に示す第2の実施の形態において、図1(a)(b)(c)乃至図5(a)(b)に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を符して詳細な説明は省略する。
【0039】
図7において、巻出部28から巻出されたシートSは、シートカッタ27により切断されて枚葉の用紙Pとなり、この用紙Pは高速コンベア26および低速コンベア25によって搬送される。この間、低速コンベア25上で用紙Pはさしみ状に重ね合わされた後、排出ローラ21からノンストップ排紙装置20のパレット10上へ送られる。
【0040】
パレット10上の用紙Pは、その後、後工程に送られ、打抜き処理、又は表面加工処理のような処理が施される。
【0041】
第3の実施の形態
次に図8により本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0042】
図8に示す第3の実施の形態は、パレット10をノンストップ排紙装置20に組込む代わりに、ノンストップ給紙装置30にパレット10を組込む点が異なるのみであり、他の構成は図1(a)(b)(c)乃至図5(a)(b)に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0043】
図8に示す第3の実施の形態において、図1(a)(b)(c)乃至図5(a)(b)に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を符して詳細な説明は省略する。
【0044】
図8に示すように、ノンストップ給紙装置30は、昇降台13と、この昇降台13上に載置される本発明によるパレット10と、昇降台13を上下方向に移動させる昇降装置14と、パレット10の上方に配置され、図示しない移動機構によりパレット10の上方から退避可能な左右一対のレール16と、このレール16によって支持される仮受け台15とを備えている。
【0045】
仮受け台15は、所定の間隔をおいて平行に配列された複数本の円柱状の棒体15aと、これらの棒体15aの一端を相互に連結したコの字形の連結部材15bとを有し、全体として櫛状をなしている。
【0046】
図8において、給紙動作を始める際、枚葉用紙Pが積載されたパレット10を載置した昇降台13は上限位置に配置されている。なお、レール16および仮受け台11は退避している。
【0047】
パレット10の上面の用紙Pが順次供給ローラ33により駆動されて、送りローラ31および搬送ローラ32により送られる。このとき昇降台13が所定ストロークずつ上昇してパレット10上の用紙Pの上面がほぼ一定の高さに保たれる。搬送ローラ32により送られた用紙Pに対しては、その後、後工程で印刷等の処理が施される。パレット10上の用紙Pが減少して所定量に達すると、用紙カウンターまたはセンサ(不図示)がこれを検知し、レール16および仮受け台15がパレット10の上方に配置される。このときパレット10の第1溝11aまたは第2溝11bが仮受け台15の棒体15aを受け入れ、パレット10上の用紙Pが仮受け台15側に移載される。その後空のパレット13が降下し、仮受け台15上の用紙Pが供給ローラ33により送りローラ31および搬送ローラ32側へ送られる。その後、仮受け台15の下方に用紙Pを積載した新しいパレット10が準備され、この新しいパレット10が上昇する。次にレール10および仮受け台15が通退避して、仮受け台15上の用紙Pが新しいパレット10に積載された用紙P上に移載される。
【0048】
なお図8に示す実施の形態において、供給ローラ33を設置した例を示したが、これに限らず供給ローラ33の代わりに用紙Pを吸着する吸着パッドを設け、この吸着パッドにより用紙Pを吸着して送りローラ31側へ供給してもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 パレット
11 パレット本体
11a 第1溝
11b 第2溝
11A 面取り部
12 パレット基台
13 昇降台
15 仮受け台
15a 棒体
16 レール
20 ノンストップ排紙装置
30 ノンストップ給紙装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の用紙を積載するとともに、複数の棒体を有する仮受け台との間で用紙を移載する用紙積載用パレットにおいて、
パレット上面に一方向に沿って仮受け台の棒体が進入可能な複数の第1溝が形成されるとともに、一方向に直交する他方向に沿って仮受け台の棒体が進入可能な複数の第2溝が形成されていることを特徴とする用紙積載用パレット。
【請求項2】
第1溝の配置ピッチは、第2溝の配置ピッチと同一となっていることを特徴とする請求項1記載の用紙積載用パレット。
【請求項3】
パレットはパレット基台と、パレット基台上に設けられ、上面に複数の第1溝と複数の第2溝が形成されたパレット本体とを有し、パレット本体の周縁に外方に向って降下する面取り部が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の用紙積載用パレット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−254806(P2012−254806A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128453(P2011−128453)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】