説明

甲状腺ホルモンまたは甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物

【課題】真皮に影響を及ぼす皮膚病学的状態を治療するための局所的薬剤の提供。
【解決手段】TR−αまたはTR−βに、5×10−6M未満の結合解離定数Kで結合する、甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物、及び、局所塗布に適した薬理学的に許容可能な基剤を含む美白剤。該薬理学的に許容可能な基剤として、特定の脂肪酸、エステル、トリグリセリドが含まれる。該美白剤は、褐色気味の肌を改善し、真皮の細胞充実性及び厚みを増大させる効果を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、甲状腺ホルモン受容体結合化合物、特に真皮の皮膚科学的治療として有用な甲状腺ホルモン受容体結合化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚は、2つの別個の解剖学的層、すなわち表皮と真皮からなる(Gray’s Anatomy, p1105, 1966, 第28版)。皮膚の真皮に有意な影響を及ぼす様々な医学的に重要な症状がある。これらの例としては、剥離、化学的またはその他の熱傷あるいは皮膚生検によるような真皮の創傷、糖尿病性皮膚障害、内在性老化皮膚、特にしわ(crinkles)またはひだ(wrinkles)、ならびに種々の病因、例えば長期の糖コルチコイド使用、リウマチ性疾患、多形皮膚萎縮症、萎縮性瘢痕、皮膚萎縮症、慢性萎縮性先端皮膚炎、小胞性皮膚萎縮、虫食い状皮膚萎縮、パシニ−ピエリニ皮膚萎縮ならびに汎萎縮に起因し得る真皮の萎縮が挙げられる(Textbookof Dermatology, Rook,Wilkinson, Ebling, 第5版1992 1764ffページ)。これらの状態は、真皮を再生、肥厚および補充するのを助ける薬剤により改善、治療、改良され得る。
【0003】
現在、これらの真皮の症状を治療するための医学的に有用な治療薬はない。一定の状態の創傷を治癒するための市販の治療薬、例えばベカプレルミンジェル(Regranex)は、通常の治療法を上回る糖尿病性足潰瘍(diabeticfoot ulcer)の治癒の改善を実証するが、真皮に及ぼす特定の作用を実証せず、あるいは真皮の細胞、毛管、基礎物質またはコラーゲンの再生を促す能力または真皮の厚さを増大する能力は、はっきりとは実証されていない。
【0004】
真皮萎縮は、真皮中のコラーゲンの低減、真皮中の細胞充実性の低減、活性化繊維芽細胞の低減、基礎物質、例えばグルコサミノグリカンおよびムコ多糖などの低減、ならびに真皮の深さの低減に起因し、皮膚の脆弱性、皮膚の透明性および易打撲傷性が生じる(Talwaret al., J. Inv. Derm. 105:285(1995);(Uitto,H. Geriatric Dermatology5:127(1989)), Textbook of Dermatology, Rook, Wilkinson,Ebling,第5版 1992)。皮膚萎縮とは、真皮萎縮もしくは表皮萎縮またはその両方の萎縮を意味してもよく、場合によっては片方またはその両方を一緒に言及するために皮膚病学文献中で用いられる(ElectronicTextbook of Dermatology,www.tlemedicine.org参照)。
【0005】
真皮はその約70〜80%がコラーゲンであり、主としてI型コラーゲンと、それより少ない量のIII型コラーゲンを有する(Uitto,H. Geriatric Dermatology5:127(1989))。研究された真皮中のコラーゲンの内の大半は、I型およびIII型のものであったが、他のコラーゲン、例えば表皮細胞−細胞接触を構成するXIII型コラーゲンおよび疱疹性疾患の病理生理学において重要な表皮接着分子であるXVII型コラーゲンならびに基底膜中のIV型コラーゲンが皮膚中に存在する。
【0006】
皮膚の糖質コルチコイド誘導性萎縮は、最初に、主として表皮に影響を及ぼすことが示された(Dermatologica152(suppl 1) p107−115 1976)。表皮の変化は、糖質コルチコイド療法を中断することにより、可逆的および一時的に起こるものと考えられている。より強力な局所コルチコステロイドを用いたより長期の療法により、真皮および表皮の両方において効果が生じる(Jablonskaet al., Br. J Dermatology 1979100, p193)。糖質コルチコイドにより誘導される真皮萎縮の作用は、主としてI型およびIII型の両コラーゲンならびにグルコサミノグリカン(基礎物質)の合成の抑制(Lehmanet al. J. Invest. Derm, 1983vol 81 p 169およびV. Koivukangas et al, BR. J Derm 1995 v 132 p 66; Oikarinen, A. J Invst Derm 1992 v 98 p 220)、ならびにコラーゲン繊維のサイズの低減および繊維芽細胞の低減の両方を含むと思われるが、他にも多数の付加的作用が存在する。
【0007】
光損傷および光老化成体皮膚も、I型およびIII型のコラーゲンを低減した(Talwaret al p 285 J invst Derm 1995)が、Green(p 97 Dermatologic Clinicsvol 11 no 1 1993)を含む何人かの著者は、内因性老化皮膚と光損傷皮膚とを区別しており、真皮萎縮の原因は光損傷皮膚ではなく、内因性老化皮膚だけが原因であるとする(もちろん影響を受けた固体が高齢である場合を除く)。内因性老化皮膚には、単なる真皮萎縮以外にも欠陥があり、他の表皮欠陥を有することが既知である(ClinicalDermatology, 1991 unit32−2 vol 4, D. Joseph Demis ed.)。
【0008】
レチン酸は、光老化の状態を部分的に改善することが知られている(Drugs and Aging 1:12−16(1996))が、ヒトにおけるステロイド誘導性真皮萎縮を回復させることには、十分に成功しなかった(Griffiths,Br. J. Dermatology135:60−64(1996))。その他の医学的に有用な治療法としては、米国特許第5,254,343号に開示されているようなアルファヒドロキシ酸の使用が含まれる。現在、医学会において広範に認められている、皮膚の真皮を再生または補充するのを助ける治療方法、あるいは糖質コルチコイド誘導性真皮萎縮を回復しうる治療方法はない。
【0009】
例えば局所的レチノイドによっては、ヒト真皮の糖質コルチコイド誘導性萎縮が十分に治療されず、またその作用が主に表皮に及ぶ。局所的レチノイドによっては、局所的ベタメタソン治療後に、または単独で塗布した場合でも観察されるI型またはIII型コラーゲンの低減が回復しない(K−MHaapasari et al, Br. J. Dermatology,136, 1997 p891)。経口レチノイドは、I型またはIII型コラーゲンのいずれにも影響を及ぼすことはないと考えられる(BrJ Dermatol 1994 Nov; 131(5):660−3)。Lac−ヒドリンクリームは表皮の厚みを増大するが、真皮の厚みに影響を及ぼすということは主張されておらず、コラーゲンの再生を促進することなく、表皮厚を増大することにより、かつ一部は真皮中の繊維芽細胞の刺激によるグルコサミノグリカンの産生を増大することにより、局所的糖質コルチコイド関連皮膚萎縮における皮膚萎縮の改善を促す(米国特許第5,807,600号、第5,254,343号)。
【0010】
構造的に類似する甲状腺ホルモン化合物3,3’,5−トリヨード−L−サイロニン(T3)およびL−サイロキシン(T4)は、非常に広範囲の作用を有する。成体哺乳類においては、これらの化合物は、ほとんどすべての器官、栄養分の代謝、基礎代謝率および酸素消費に影響を及ぼす。ヒトにおいては、循環甲状腺ホルモン化合物が欠乏したり、または過剰になると、甲状腺機能低下または甲状腺機能亢進を生じ、それらは十分に特性化された症候群である。内分泌学的にも、活性である低濃度の甲状腺ホルモン代謝産物が存在する。これらの化合物の例は、トリ−ヨードサイロ酢酸(「トリアック」[4−(4−ヒドロキシ−3−ヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]酢酸)およびトリヨードプロピオン酸(「トリプロップ」([4−(4−ヒドロキシ−3−ヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]プロピオン酸))である。
【0011】
甲状腺ホルモン化合物は、C−erb−Aファミリーと呼ばれる受容体タンパク質の一ファミリーと結合することにより、それらの作用の多くを発揮する。ヒトにおいては、それらの受容体タンパク質ファミリーは、現在、いくつかの成員を含むことが既知であり、その他の成員、特にヒト甲状腺受容体a−1(NRA1A)、前記ホルモンと十分に結合しないかまたはまったく結合しないヒト甲状腺受容体a−2、ヒト甲状腺受容体b−1(NR1A2)およびヒト甲状腺受容体b−2も存在し得る。これらのタンパク質は、糖質コルチコイド受容体、レチン酸受容体、ビタミンD受容体および昆虫脱皮受容体(例えばエクジソンおよびそれらの昆虫幼若ホルモンに対する受容体)を含むステロイドホルモン受容体の大型スーパーファミリーの一部である。ホルモン化合物に対する受容体は、ヒト皮膚、ヒト繊維芽細胞およびケラチノサイト中に見出されており、それらはヒト身体内のその他の多数の組織中にも見出されている。
【0012】
天然甲状腺ホルモン化合物(例えばトリヨードサイロニンおよびテトラヨードサイロニン)のほかに、甲状腺ホルモン受容体と結合し、かつ甲状腺ホルモン様作用を生じる多数の化学化合物が合成されてきた(例えば米国特許第5,401,772号、第6,236,946号、第5,883,294号、第5,585,404号および第5,567,728号参照)。その他の適切な甲状腺ホルモン様化合物は、例えば米国特許第5,284,971号、第3,649,679号、第3,357,887号、第412,579号、第4,168,385号、第5,179,097号、EP0580550、EP018351ならびにH.A.Selenkow and S.P.Asper. Jr., Physiol.Rev. 35:426(1995);C.S. Pitman and J.A.Pitman In Handbook of Physiology, Section7: Endocrinology, Vol.3, R.O. Greep and E.B Astwood.Eds., Thyroid AmericanPhysiological Society, WashingtonD.C., 1974, p.233;E.C.Jorgensen, Pharm. Ther.B, 2, 661 (1976)およびE.C. Jorgensen, ”Thyroid Hormones andAnalogs. II. Structure−ActivityRelationships,” in Hormonal Proteins andPeptides, Vol. 6. Thyroid Hormones, C.H.Li,Ed., Academic, NewYork, 1978, p.108(これらの記載内容は、参照により本明細書中に援用される)に開示されている。本発明の組成物および方法において使用するために、本明細書に記載した以外の適切な甲状腺ホルモン様化合物を選択することは、当業者の範囲内である。
【0013】
甲状腺受容体と種々のリガンドとの結合定数Kは、約5×10−6から50×10−12まで、非常に広範囲に亘って変化し、その中でも、トリアック(TriAc)がもっとも効力のある化合物である。
【0014】
市販の局所的糖質コルチコイド化合物は、少なくとも1800倍の範囲の活性を有する(Dermatologictherapy 1988 vol6 no4 page 643, Harris et al.)。市販の皮膚科学的製剤は、0.0025%〜2.5%の範囲で、すなわち1000倍の範囲で活性糖質コルチコイドの濃度が異なる(Textbookof Dermatology, Rook,Wilkinson, Ebling, fifthedition 1992, page3075)。
【0015】
市販製剤における濃度が広範囲にわたる原因は、用いられる処方の違い、および活性化合物と相互作用する配合物の薬学的特性、ならびに個々の糖質コルチコイドの受容体結合活性に起因する。例えばコルチゾールは約3nMの親和性でその受容体と結合し、ヒドロコルチゾンクリームは2.5%の濃度で、すなわち約0.07Mの濃度で利用可能である。この濃度は結合定数(K)3nMの2×10倍より高い濃度である。局所的甲状腺ホルモンまたは甲状腺ホルモン様局所薬剤は、結合定数と同程度の濃度範囲で活性を有しうると予測されるため、結合定数と同程度の局所配合物中の重量%濃度で活性を有すると予測することができる。
【0016】
例えば、配合物の濃度を変化させると、有効成分の有効濃度を変化させるのと比べて何倍もの活性の変化が生じ、活性が不十分な治療用クリームを与えるということは当該技術分野で既知である。当該技術分野の技術水準における一般的目的は、非常に望ましい処方により、低濃度の有効成分を用いて局所療法薬剤を調製することである。しかしながら、高濃度の有効成分を利用すれば、非常に望ましい処方の作用は達成されうる。この意味では、局所療法を制限する要因は、有効成分の濃度ではなく、むしろ配合物の濃度と有効成分の濃度との組合せであるといえる(P.Clarys et al 1999 Skin PharmacolAppl Skin Physiol12:85およびWeigmann HJ et al, Skin PharmacolAppl Skin Physiol1999 1246−53)。
【0017】
甲状腺ホルモン化合物は、多くの場合、他のホルモンの作用および組織の作用に影響を及ぼすことにより間接的に作用する。例えばラットでは、甲状腺ホルモンの投与により、下垂体成長ホルモンの産生を増大させ、これが次に肝臓タンパク質の産生、例えばα−2オイグロブリンの産生に影響を及ぼす。機能的には、ラットにおいては、成長ホルモンが甲状腺ホルモンに関する二次メッセージとなる。甲状腺ホルモン化合物の生物学は、経口投与後についてのみ広範に研究されており、このような研究によっては、甲状腺ホルモン化合物の直接作用と、他のオートクリン、パラクリンまたは内分泌因子の甲状腺ホルモン調整により媒介される間接的作用との間の関係を確証するのが困難である。
【0018】
甲状腺ホルモンを経口投与すると、皮膚の結合組織生物学に影響を及ぼす。経口的に投与した場合、甲状腺ホルモンは、モルモットの皮膚中の中性塩および酸性可溶性コラーゲンの増大を誘導するが、不溶性コラーゲンを低減する(Drozdzm,M. et al., Endokrinologie 73:105−111, 1979)。細胞培養中では、フィブロネクチン産生がヒト繊維芽細胞中で低減され、繊維芽細胞グルコサミノグリカンは、用いられる実験条件に応じて、低減されることもあるが、変わらないかこともある(Murata,Y. et al., J. Clin. Endocrinol.Metab. 64:334−339, 1987; Watxke, H. et al., Thrombosis Res. 46:347−353, 1987; Murata, Y. et al., JCEM 57:1233−1239, 1983; Ceccarelli,Pl, et al., JCEM 65:242−246, 1987)。基底細胞ケラチンK5およびK14遺伝子ならびに分化特異的K10遺伝子のいずれにも関与するケラチン遺伝子発現は、ある一定の細胞培養条件においては甲状腺ホルモンにより負に調節される(Tomic−Canic,M. et al., J. Invest. Dermatol. 99:842−847, 1992; Blumenberg,M. et al., J. Invest. Dermatol. 98:42S−49S, 1992)。甲状腺ホルモンを培養中の繊維芽細胞に添加すると、コラーゲン産生が低減する(DeRyker, FEBS Lett.174:34−37(1984))。甲状腺ホルモンは、心臓コラーゲン1遺伝子活性を抑制する(Lee et al, J Mol Cell Cardiop2495, 1998)。医学的に甲状腺機能亢進を示す個体からの皮膚の組織学的研究は、正常皮膚と比較した場合に、平均表皮細胞数に反映される皮膚の表皮中の細胞数の増大、プロリン組入れ増大を伴うタンパク質の代謝回転の増大、ならびに全身性の表皮増殖の増大を示す(Holt,P.J.A. et al., Br. J. Dermatol. 95:513−518, 1976)。ヒト臨床生物学では、甲状腺ホルモン過剰は、全身の皮膚の平滑化ならびに特に肘頭(肘)表面全体のしわの減少をもたらす。
【0019】
正常の身体が必要とする以上の甲状腺ホルモン化合物を経口投与すること、あるいは過剰の甲状腺ホルモン化合物に関連した医学的状態、例えばグレーブズ病または中毒性結節性甲状腺腫は、心不全に関連する心拍数の加速、不整脈、骨粗鬆症、下痢を引き起こす腸の運動性の上昇、精神医学的な異常、ならびに基礎代謝率の増大を生じる。ヒトにおける脂質レベルを減少するために、甲状腺ホルモン化合物を経口投与により使用する試みは、心臓死の増大をもたらした。
【0020】
国際公開第96/40048号には、皮膚異常の治療のために、および皮下脂肪沈着を制御するために、局所甲状腺ホルモンおよび甲状腺ホルモン様化合物の配合物を使用することが示されている。しかし、真皮に及ぼす特別な作用は示されていない。
当該技術分野で必要とされるのは、当該技術分野で用いられる一般的治療の欠点のない、真皮の再生を要する真皮状態を治療する方法である。本発明は、その要求に対する回答であると考えられる。
【発明の概要】
【0021】
一態様において、本発明は、真皮に影響を及ぼす皮膚病学的状態を治療するための局所的薬剤の調製における、5×10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合する甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物から選択される少なくとも1つの使用であって、
=(R)・(L)/(RL)
(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)である使用を提供する。
【0022】
好ましくは、薬剤はその主要作用が真皮に作用する。それは、表皮に及ぼす作用を実質的に有さなくてもよく、まったく有さなくてもよい。
【0023】
少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、好ましくは、トリ−ヨードサイロニン(3,5,3’−トリヨードサイロニン、T3);DおよびLサイロキシン(T4);4−[2,6−ジブロモ−4−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−フェノキシ]−2−イソプロピル−フェノール;4−(4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヨードフェノキシ)−2−ヨード−フェノール;3,3’,5’−トリヨードサイロニン(逆T3);3,3’−ジヨードサイロニン;T3およびT4類縁体、例えば3,5,3’−トリヨード−L−サイロニンメチルエステル;3,5,3’−トリヨード−L−サイロニン塩酸塩;L−サイロキシン塩酸塩;テトラック(3−[4−(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]酢酸);トリアック([4−(4−ヒドロキシ−3−ヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]酢酸);テトラプロップ;トリプロップ([4−(4−ヒドロキシ−3−ヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]プロピオン酸);T4Bu;T3Bu;サイロキサミン;トリヨードサイロナミン;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2−メトキシピリミジン−5−イル)−メタノール;ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(6−メチルピリジン−3−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(5−ブロモ−2−メトキシピリジン−4−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2,6−ジフルオロピリジン−3−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2−メトキシピリジン−4−イル)メタノール;4−メトキシ−3−[(2−メトキシピリミジン−5−イル)メチル]フェノール;4−メトキシ−3−[(6−メチルピリド−3−イル)メチル]フェノール;5−ベンジルオキシ−2−メトキシベンジルブロミド;5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル−(6−クロロピリダジン−3−イル)−アセトニトリル;4−ベンジルオキシ−2−[2−メトキシチアゾール−5−イル]メチル]アニソール;6−[(5−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メチル]チアゾール−2−(3H);3’−へテロアリールメチル−4’−)−メチル−3,5−ジニトロ−N−トリフルオロ−アセチル−L−サイロニンエチルエステル;3’−へテロアリールメチル−3,5−ジ−ヨード−4’)−メチル−N−トリフルオロ−アセチル−L−サイロニンエチルエステル;3,3’,5−トリヨード−L−サイロニン(T3)の3’−へテロアリールメチル類縁体;甲状腺ホルモン3,3’,5−トリヨード−L−サイロニン(T3)の3’−置換誘導体;L−3,3’−T2;DL−Br2I;L−Br2iPr;L−Me2I;L−Me3;L−Me4;L−Me2IPr;DL−IMeI;L−3,5−ジメチル−3’−イソプロピルサイロニン(DIMIT);DL−BPT4;B−トリアック;BP−テトラック;DL−SBT3;DL−SBT4;DL−MBT3;MB−テトラック;T2F;T2Cl;T2Br;T2Me;T2Et;T2iPr;T2nPr;T2sBu;T2tBu;T2iBu;T2Phe;T2F2;T2Cl2;T2Me2;3,5,3’−トリヨード−D−サイロニン;3,5−ジヨード−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸(DIHPA);アリールオキサミン酸;(アリールアミノ)酢酸;アリールプロピオン酸;アリールチオ酢酸;(アリールオキシ)酢酸;3,3’−T2;3,5−T2;3’,5’−T2;α−メチル−3,5,3’−トリヨードサイロ酢酸;α−メチル−3,5,3’−トリヨードサイロプロピオン酸およびα−メチル−3,5,3’,5’−テトラヨードサイロプロピオン酸;ヨウ素化サイロニンもしくはサイロ酢酸またはヨウ素化ベンゾフランのメチレン−およびカルボニル−架橋類縁体;3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジエチルアミノエトキシ)フェニル−(2−ブチルベンゾフル−3−イル)メタノール塩酸塩;2−n−ブチル−3−(3,5−ジヨード−4−カルボキシメトキシ−ベンゾイル)ベンゾフラン;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−ヒドロキシ−ベンゾイル)ベンゾフラン;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−カルボキシメトキシ−ベンジル)ベンゾフラン;4’−ヒドロキシ−3’−ヨード−3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジメチルアミノ−(エトキシ)ベンゾフェノン塩酸塩;2−ブチル−3−(3−ヨード−4−ヒドロキシベンゾイル)ベンズフラン;4’,4−ジヒドロキシ−3’,3,5−トリヨードジフェニルメタン;3,5−ジエチル−3’−イソプロピルサイロニン(DIET);およびIpTA2(3,5−ジヨード−3’−イソプロピルサイロ酢酸)ならびにその薬理学的に許容可能な塩および誘導体からなる群から選択される。
【0024】
薬剤は、好ましくはKの5×10倍またはそれ以下の濃度の、少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物を含む。さらに好ましくは、上記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、100mlの薬剤のうち、500mg未満、さらに好ましくは200mg未満、もっとも好ましくは50mg未満である。
【0025】
真皮に影響を及ぼす状態は、好ましくは例えば剥離または皮膚生検あるいは化学的またはその他の熱傷による真皮の創傷、光損傷および/または光老化皮膚、糖尿病性皮膚障害、ならびに種々の病因、例えば内在性老化皮膚、特にしわまたはひだ、長期糖コルチコイド使用、リウマチ性疾患、多形皮膚萎縮症、萎縮性瘢痕、皮膚萎縮症、慢性萎縮性先端皮膚炎、小胞性皮膚萎縮、虫食い状皮膚萎縮、パシニ−ピエリニ皮膚萎縮ならびに汎萎縮に起因し得る真皮の萎縮からなる群から選択される。
【0026】
一態様では、本発明は、皮膚病学的手術において皮膚を前処置するための局所的薬剤の調製における、5×10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合する甲状腺ホルモンまたは甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物から選択される少なくとも1つの使用であって、
=(R)・(L)/(RL)
(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)である使用を提供する。
【0027】
さらに別の態様では、本発明は、真皮に影響を及ぼす皮膚病学的状態を治療する方法であって、上記状態を蒙っている哺乳類の皮膚に、少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物および局所塗布に適した薬理学的許容可能な基剤を一緒に含む組成物を塗布するステップを含む方法であって、甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物が、5×10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合し、K=(R)・(L)/(RL)(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)である方法に関する。
【0028】
さらに別の態様では、本発明は、包装材料および包装材料内に入っている薬剤を含む製品であって、上記薬剤が真皮に影響を及ぼす皮膚病学的状態を治療するために治療上有効であり、上記包装材料には、上記薬剤が真皮に影響を及ぼす皮膚病学的状態を治療するために用いられ得ることを示すラベルを含み、上記薬剤が局所塗布に適した薬理学的に許容可能な基剤中に少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物を含み、上記甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物が5×10−6M未満の平衡解離定数Kで、TR−αまたはTR−βと結合し、K=(R)・(L)/(RL)
(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)である製品に関する。
【0029】
さらなる態様において、本発明は、真皮に影響を及ぼす皮膚病学的状態を治療するための組成物であって、上記群から選択される少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物、ならびに水中油型エマルション、油中水型エマルション、スプレー、リポソーム、クリーム、ローション、溶液およびそれらの組合せを含む薬理学的に許容可能な基剤を含む組成物に関する。
【0030】
さらに別の態様では、本発明は、患者の創傷皮膚の治癒の改善方法であって、剥離あるいは化学的またはその他の熱傷あるいはその他の真皮創傷の結果であり得る真皮創傷に組成物を塗布するステップ、もしくは創傷が起こる前に予防的に組成物を皮膚に塗布するステップを含み、該組成物が少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物および局所塗布に適した薬理学的に許容可能な基剤を一緒に含み、該甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物が、5×10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合し、K=(R)・(L)/(RL)(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)であって、創傷皮膚の治癒が改善される方法に関する。
【0031】
真皮創傷は、実質的に真皮を超えて身体中にさらに侵入していないことが好ましい。そのために、創傷の侵入深度は5mm未満であり得る。真皮創傷は、真皮を貫通していないことがさらに好ましい。別の態様では、本発明は、皮膚病学的手術前に患者の皮膚に組成物を塗布するステップを含み、患者に皮膚病学的外科手術の前処理をする方法であって、該組成物が少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物および局所塗布に適した薬理学的に許容可能な基剤を一緒に含み、上記甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物が、5×10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合し、K=(R)・(L)/(RL)(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)である方法に関する。
【0032】
本発明は、さらに別の態様において、真皮を貫通していない創傷の治癒を改善するための局所的薬剤の調製における、5×10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合する甲状腺ホルモンまたは甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物から選択される少なくとも1つの使用であって、
=(R)・(L)/(RL)
(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)である使用も提供する。
さらなる態様において、本発明は、真皮中の繊維芽細胞の数および活性を増大するための薬剤の調製における、5×10−6M未満の平衡解離定数Kで、TR−αまたはTR−βと結合する甲状腺ホルモンまたは甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物から選択される少なくとも1つの使用であって、
=(R)・(L)/(RL)
(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)である使用を提供する。
【0033】
本発明の別の態様は、真皮中の繊維芽細胞の数および活性の増大方法であって、患者の皮膚に組成物を塗布するステップを含む方法であって、該組成物が少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物および局所塗布に適した薬理学的に許容可能な基剤を一緒に含み、該甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物が5×10−6M未満の平衡解離定数Kで、TR−αまたはTR−βと結合し、
=(R)・(L)/(RL)
(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)である方法を提供する。
さらに、本発明のさらなる態様は、哺乳類の真皮の厚みを増大するための局所的薬剤の調製における、5×10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合する甲状腺ホルモンまたは甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物から選択される少なくとも1つの使用であって、
=(R)・(L)/(RL)
(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)である使用を提供する。
本発明のさらなる一態様は、哺乳類の真皮の厚みを増大する方法であって、患者の皮膚に組成物を塗布するステップを含む方法であって、該組成物が少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物および局所塗布に適した薬理学的に許容可能な基剤を一緒に含み、該甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物が5×10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合し、
=(R)・(L)/(RL)
(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)である方法を提供する。
これらの、およびその他の態様は、以下の図面および詳細な説明から明らかになる。
本発明は、添付の図面と合わせて以下の詳細な説明からさらに十分に理解されるであろう。
【0034】
[発明の詳細な説明]
真皮の構造および無傷性を改善し、真皮の厚みを増大する作用物質は既知でない。薬理学的に許容可能な基剤中に少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物また甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物を含む組成物を局所塗布することが、皮膚の真皮を治療するために有効であることが本発明において見出された。甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、皮膚の易打撲傷性を減少させることも見出された。それらは、脆弱性、透明性、斑点性および毛管の出現を示す老化皮膚、萎縮性皮膚、ステロイド作用性皮膚、または日光損傷性皮膚の美容的外見を改善しうる。それらは、糖質コルチコイドにより誘導される皮膚萎縮を回復および防止もする。これらの状態は、上記組成物の局所塗布により、本発明の方法にしたがって改善または回復される。真皮の再生および補充により改善され得るその他の真皮状態としては、例えば剥離、化学的またはその他の熱傷によるあるいは皮膚生検による真皮の創傷、光損傷性および/または光老化性皮膚、糖尿病性皮膚障害、ならびに種々の病因、例えば内在性老化皮膚、特にしわまたはひだ、長期糖コルチコイド使用、リウマチ性疾患、多形皮膚萎縮症、萎縮性瘢痕、皮膚萎縮症、慢性萎縮性先端皮膚炎、小胞性皮膚萎縮、虫食い状皮膚萎縮、パシニ−ピエリニ皮膚萎縮ならびに汎萎縮に起因し得る真皮の萎縮が挙げられる(Dermatology,Rook, Wilkinson, Ebling, 第5版 1992Textbook 1764ffページ)が、これらに限定されない。
【0035】
医学教科書においては、甲状腺ホルモンを、ヒト身体中で循環するホルモン、すなわちT−3(トリ−ヨードサイロニン、3,5,3’−トリヨードサイロニン)およびT−4(DおよびLサイロキシン)ならびにそれらの代謝産物と定義する。しかしながら、甲状腺ホルモン活性を有する多数の化合物は、例えば前記分子からアミノ酸基が損失した化学構造またはヨウ素が脱離した化学構造を含めたかなり異なる化学構造を有し得ることが本発明で明らかにされた。したがって本発明の目的のために、「甲状腺ホルモン化合物」または「甲状腺ホルモン様化合物」(これらの用語は、本明細書中では互換的に用いられる)は、当該技術分野で既知のいずれかの方法により測定した場合、5×10−6M未満の解離定数Kで甲状腺ホルモン受容体TR−αまたはTR−βと結合する任意の化学物質を意図し、例えばペプチドが挙げられる(Goodman andGilman, The PharmacologicBasis of Therapeutics,p.30, 1975)。さらに、甲状腺ホルモン受容体結合薬剤は、0.1M以下の濃度で局所的に塗布された場合に活性である。このようなリガンドは、それらが天然ホルモンと同様のアゴニスト作用を有する場合、アゴニストと考えられ得るし、あるいは天然ホルモン化合物の作用と拮抗する場合には、アンタゴニストと考えられ得る。部分的アゴニスト/アンタゴニストも存在し得る。適切なリガンドは、アゴニストまたはアンタゴニストであり得る。甲状腺ホルモンは、上記のKの範囲内で甲状腺ホルモン受容体と結合し、トリヨードサイロ酢酸(「トリアック」)の生物学的活性を有するトリヨードサイロ酢酸の任意の天然または合成類縁体であり得る。
【0036】
本発明において、甲状腺ホルモン受容体という用語は、甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様化合物と結合するC−erb−Aの遺伝子産物およびその変異体のすべてを含む。
【0037】
さらに、ステロイド、糖質コルチコイドおよびコルチコステロイドという用語は、本明細書中に記載した皮膚病学的目的のために互換的に用いられる。上記のように、本発明は、真皮を治療し、真皮萎縮を回復または防止し、真皮を再生および補充するのを助けるための方法に関する。本発明の方法は、皮膚の真皮を患っている哺乳類の皮膚に組成物を塗布するステップを含み、該組成物が少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物および局所塗布に適した薬理学的に許容可能な基剤を一緒に含み、該甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物が、5×10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合し、K=(R)・(L)/(RL)(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)であり、皮膚の真皮の状態を回復する方法である。本発明はまた、包装材料および包装材料内に入っている薬剤を含む製品にも関する。該薬剤は、皮膚の真皮を治療するために治療上有効であり、局所塗布に適した薬理学的に許容可能な基剤中に少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物を含み、上記甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様化合物は、5×10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合する。包装材料は、上記薬剤が皮膚の真皮を治療するために用いられ得ることを示すラベルを含む。
【0038】
甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様化合物は、上記の定義にかなう任意の化合物であり得る。適切な甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物としては、トリ−ヨードサイロニン(3,5,3’−トリヨードサイロニン、T3);DおよびLサイロキシン(T4);3,3’5’−トリヨードサイロニン(逆T3);3,3’−ジヨードサイロニン;T3およびT4類縁体、例えば3,5,3’,−トリヨード−L−サイロニンメチルエステル;3,5,3’−トリヨード−L−サイロニン塩酸塩;L−サイロキシン塩酸塩;テトラック(3−[4−(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]酢酸);トリアック([4−(4−ヒドロキシ−3−ヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]酢酸);テトラプロップ;トリプロップ([4−(4−ヒドロキシ−3−ヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]プロピオン酸);T4Bu;T3Bu;サイロキサミン;トリヨードサイロナミン;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2−メトキシピリミジン−5−イル)−メタノール;ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(6−メチルピリジン−3−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(5−ブロモ−2−メトキシピリジン−4−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2,6−ジフルオロピリジン−3−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2−メトキシピリジン−4−イル)メタノール;4−メトキシ−3−[(2−メトキシピリミジン−5−イル)メチル]フェノール;4−メトキシ−3−[(6−メチルピリダ−3−イル)メチル]フェノール;5−ベンジルオキシ−2−メトキシベンジルブロミド;5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル−(6−クロロピリダジン−3−イル)−アセトニトリル;4−ベンジルオキシ−2−[2−メトキシチアゾール−5−イル]メチル]アニソール;6−[(5−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メチル]チアゾール−2−(3H);3’−へテロアリールメチル−4’−)−メチル−3,5−ジニトロ−N−トリフルオロ−アセチル−L−サイロニンエチルエステル;3’−へテロアリールメチル−3,5−ジ−ヨード−4’)−メチル−N−トリフルオロ−アセチル−L−サイロニンエチルエステル;3,3’5−トリヨード−L−サイロニン(T3)の3’−へテロアリールメチル類縁体;甲状腺ホルモン3,3’,5−トリヨード−L−サイロニン(T3)の3’−置換誘導体;L−3,3’−T2;DL−Br2I;L−Br2IPr;L−Me2I;L−Me3;L−Me4;L−Me2IPr;DL−IMeI;L−3,5−ジメチル−3’−イソプロピルサイロニン(DIMIT);DL−BPT4;B−トリアック;BP−テトラック;DL−SBT3;DL−SBT4;DL−MBT3;MB−テトラック;T2F;T2Cl;T2Br;T2Me;T2Et;T2iPr;T2nPr;T2sBu;T2tBu;T2iBu;T2Phe;T2F2;T2Cl2;T2Me2;3,5,3’−トリヨード−D−サイロニン;3,5−ジヨード−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸(DIHPA);アリールオキサミン酸;(アリールアミノ)酢酸;アリールプロピオン酸;アリールチオ酢酸;(アリールオキシ)酢酸;3,3’−T2;3,5−T2;3’,5’−T2;a−メチル−3,5,3’−トリヨードサイロ酢酸;α−メチル−3,5,3’−トリヨードサイロプロピオン酸およびα−メチル−3,5,3’,5’−テトラヨードサイロプロピオン酸;ヨウ素化サイロニンもしくはサイロ酢酸またはヨウ素化ベンゾフランのメチレン−およびカルボニル−架橋類縁体;3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジエチルアミノエトキシ)フェニル−(2−ブチルベンゾフル−3−イル)メタノール塩酸塩;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジエチルアミノ−エトキシ)−ベンゾイル)ベンゾフラン塩酸塩;2−n−ブチル−3−(3,5−ジヨード−4−カルボキシメトキシ−ベンゾイル)ベンゾフラン;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−ヒドロキシ−ベンゾイル)ベンゾフラン;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−カルボイメトキシ−ベンジル)ベンゾフラン;[4’−ヒドロキシ−3’−ヨード−3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジメチルアミノ−エトキシ)ベンゾフェノン塩酸塩;2−ブチル−3−(3−ヨード−4−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾフラン;4’,4−ジヒドロキシ−3’,3,5−トリヨードジフェニルメタン;3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジエチルアミノエトキシ)フェニル−(2−ブチルベンゾフル−3−イル)メタノール塩酸塩;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジエチルアミノ−エトキシ)−ベンゾイル)ベンゾフラン塩酸塩;2−n−ブチル−3−(3,5−ジヨード−4−カルボキシメトキシ−ベンゾイル)ベンゾフラン;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−ヒドロキシ−ベンゾイル)ベンゾフラン;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−カルボキシメトキシ−ベンジル)ベンゾフラン;4’−ヒドロキシ−3’−ヨード−3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジメチルアミノ−エトキシ)ベンゾフェノン塩酸塩;2−ブチル−3−(3−ヨード−4−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾフラン;4’,4−ジヒドロキシ−3’3,5−トリヨード−ジフェニルメタン;3,5−ジエチル−3’−イソプロピルサイロニン(DIET);およびIpTA2(3,5−ジヨード−3’−イソプロピルサイロ酢酸)ならびにその薬理学的に許容可能な塩および誘導体が挙げられる。
【0039】
甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、好ましくは純粋形態であり、すなわちそれ以外の化合物の混在量が約0.1%より多くない。
【0040】
甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、好ましくは少なくとも一部は溶媒中に溶解される。溶媒は、好ましくはアルコール溶媒、アルコールおよび水の混合溶媒から選択される有機溶媒である。さらに好ましくは、該有機溶媒は、イソプロパノール、イソプロパノールおよび水の混合溶媒、エタノール、ならびにエタノールおよび水の混合溶媒から選択され、少なくとも20%のアルコールを含む。
【0041】
上記のように、甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、局所塗布に適した薬理学的に許容可能な基剤と混合される。薬理学的に許容可能な基剤の適切な例としては、水中油型(または油中水型)エマルション、スプレー、リポソーム、クリーム、ローション、溶液およびそれらの組合せが挙げられる。組成物は、適切な表皮浸透強化剤も含み得る。薬理学的に許容可能な基剤は、好ましくはグリセロールを含有する水中油型エマルション、クリームまたはアルコール溶液である。特に好ましい薬理学的に許容可能な基剤組成物の1つは、リノール脂肪酸、オレイン脂肪酸、パルミチン脂肪酸およびリノレン脂肪酸、またはそのエステルを含み、および/またはトリグリセリドと混合されるクリームである。この組成物は、好ましくは1つまたは複数の付加的代用物、例えばグリセリルステアレート、ベニバナ油、ソルビトール、セチルアルコール、ステアリン酸、トリエタノールアミン等と混合される。
【0042】
好ましくは、組成物に含まれる甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、薬剤100mlに対して、500mg未満、さらに好ましくは約100mg未満である。好ましくは組成物に含まれる上記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物の濃度は、受容体解離定数(K)の5×10倍またはそれ以下である。1回または複数回の塗布によって、一日当たり、一般的に500mg/m〜0.1mg/mの、好ましくは1回または複数回の塗布において250mg/m〜1mg/mの範囲で、有効量の甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物を供給することができる組成物であることが好ましい。効果的な塗布量は、上記の濃度で100ml〜1000mlである。当業者に理解されるように、甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物の有効濃度は、化合物の代謝、用いられる製薬用基剤または化粧用基剤等のような因子によって変化しうる。
本発明の組成物は、利点を強化するために、甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物の作用を増強し、改質すべく、その他の付加的成分、例えばビタミンD、エストロゲン、糖質コルチコイドおよびレチノイドまたはそれらの類縁体を含んでいてもよい。組成物は、ヨウ素分解または酸化を低減するための阻害剤フェノールとしてBHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)またはBHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)も含んでいてもよい。さらに組成物は、甲状腺ホルモンが皮膚を通過するのを促す化合物、ならびにPABAのようなサンスクリーンとして作用する化合物を含みうる。好ましくは、組成物には、適切な酸化防止剤、例えばチヌビンPまたはビタミンEも含む。このような化合物の選択は、当業者の範囲内である(例えばHermensW.A.J. J PharmaceutischWeekblad Scientific Edition 14(4A) 1992参照)。甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物はハロゲン化されていないのが好ましい。このような化合物は光分解されにくいからである。
【0043】
本発明の方法に用いられる組成物は、好ましくは、皮膚の真皮に影響を及ぼす皮膚科学的状態を蒙っている哺乳類の皮膚に塗布され、さらに好ましくは皮膚の真皮を患っているヒトの皮膚に塗布される。好ましくは、1日2回から3日毎までの頻度で組成物が塗布される。
【0044】
皮膚への甲状腺ホルモンの局所投与は、下垂体、肝臓またはその他の器官で産生される因子を調整することによる影響を受けることなく、皮膚において直接甲状腺ホルモンを調整することを可能にする。さらに、局所塗布することにより、甲状腺ホルモンが肝臓および腎臓によって、不活性代謝物質へ広範に代謝されることが回避される。しかしながらヒトおよび動物における局所塗布甲状腺ホルモンの皮膚科学的作用は、ほとんどの部分に関してまったく未知であり、この論題に関する医学出版物はない。
【0045】
本発明の組成物および方法において用いられる局所塗布甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、それらを用いて、真皮萎縮を治療し、真皮を再生および補充するのを助け、あるいは経口投与甲状腺ホルモン化合物のような過度の副作用を引き起こすことなく生理学的条件下で皮膚の生理学を正常化し、甲状腺ホルモン受容体結合化学物質が腎臓および肝臓によって代謝されるのを回避することができるという点で有益である。特に、本発明における甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物の送達方法は、ホルモンが肝臓および腎臓によって代謝されること、他の組織へホルモンが血液循環されること、ならびにホルモンが血液キャリアタンパク質と結合して効能が変化する可能性を回避することができる。さらに本発明の組成物の局所投与は、甲状腺機能亢進状態を引き起こさない。
【0046】
本発明の組成物および方法は、下記の実施例3に詳細に示されるように、患者の創傷皮膚の治癒を改善するためにも有用である。
【0047】
本発明の組成物および方法は、皮膚科学的手術前の患者の皮膚を前処置するためにも有用である。皮膚科学的手術前の皮膚に本発明の組成物を塗布すると、術後の数週間で、皮膚がより迅速に治癒することが見出された。いかなる特定の理論とも結びつけずに考えると、局所塗布甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、真皮の細胞充実性および厚みを増大することにより、および他の生物学的物質の中でも特に、コラーゲン繊維の関与を増大することにより、真皮を治療する。
【0048】
実施例
本発明を以下の実施例によりさらに説明するが、本発明は、実施例により限定されることを意図しない。別記しない限り、部およびパーセンテージはすべて重量に基づき、温度はすべて℃である。
【0049】
実施例1
甲状腺ホルモンまたは甲状腺ホルモン様アゴニストによる正常マウスにおける糖質コルチコイド誘導性萎縮の防止
正常Balb/cマウスを実験に用いた。ベタメタソン(50%イソプロパノール/水中に0.2mM)、局所甲状腺アゴニスト(トリアック、トリプロップ、4−[2,6−ジブロモ−4−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−フェノキシ]−2−イソプロピル−フェノール(KB−067)、4−(4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヨードフェノキシ)−2−ヨード−フェノール(KB−026))(50%イソプロパノール/水中において種々の濃度に調製する)のいずれかのまたは両方の100ml溶液を、毎日、動物の剃毛背部に1週間塗布した。生検試料を採取し、ヴァン・ギーソン染色でコラーゲンを染色後、皮膚層の厚みを顕微鏡で測定した。試験物質の各濃度での各測定のためにそれぞれマウス5匹を用い、各マウスから平均して5枚の切片を採取した。したがって各平均測定値は、25の測定値の平均を示す。図1〜図3ならびに表1および表2は、一連の用量のトリアックまたはトリアッククリームが、1週間後のベタメタソン誘導性萎縮を防止する作用を示す。図1〜図3において、矢印は主にコラーゲン繊維である皮膚層を示す。実験のいくつかにおいて、トリアックをイソプロパノール−水混合溶剤中で用いるか、またはトリアック含有量0.2%、0.1%もしくは0.03%のクリームとして配合し、100mlをマウスに塗布した。
図1は、真皮萎縮を引き起こすことが既知であるベタメタソン単独で1週間処置したマウス皮膚の生検顕微鏡写真分析(倍率200倍)を示す。図1に示したように、真皮は非常に薄くなっているように見え、深部真皮のいくらかは皮下組織の脂肪層および筋肉層から引き離されている(生検固定人工物(biopsy fixation artifact))。
図2は、50%イソプロパノール/水の混合溶媒中に、0.2mMベタメタソンおよび0.8mMトリアックを加えた調剤で、1週間処置したマウス皮膚の生検顕微鏡写真分析(倍率200倍)を示す。図2に示したように、真皮は、図1に示したベタメタソン単独で処置した皮膚の厚みのほぼ2倍である。ムコ多糖またはヒアルロン酸を特異的に染色することはできなかったが、皮膚厚増大は、コラーゲン繊維の、およびおそらくは基礎物質の増大の両方によるものであると考えられる。したがってトリアックは、ベタメタソン誘導性真皮萎縮を防止すると思われる。
【0050】
実施例2
正常マウスにおける皮膚厚の増大
図3は、トリアック単独で1週間処置したマウス皮膚の生検顕微鏡写真分析(倍率100倍)を示す。図3に示したように、真皮は非常に密で、図2に示した真皮厚よりも厚い。正常マウス皮膚と比較しても、コラーゲン層は非常に厚くかつ密である。さらに、下記の表2に示すように、トリアック処置皮膚は、イソプロパノール/水単独で処置したマウスにおける0.54mmと比較して、0.79mmに増大し、真皮厚はほぼ50%増大した。したがってトリアックそれ自体が、ベタメタソン誘導性萎縮の非存在下で皮膚厚を増大し得る。したがって、甲状腺ホルモンまたは甲状腺ホルモン様アゴニストは、真皮が再生し、補充し、肥厚するのを助け、さらに人工皮膚(皮膚等価物)または天然皮膚移植片を、invitroにおいて、産生、開発および使用するために有用であり得る。
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
表1および表2で示されるように、有効性は、トリアックの濃度が0.0008から8mMに上昇するに従って漸増し、約0.8mMで、ほぼ作用が飽和する。
表3は、トリアック単独、トリアッククリーム、トリプロップ、4−[2,6−ジブロモ−4−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−フェノキシ]−2−イソプロピル−フェノール、4−(4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヨードフェノキシ)−2−ヨード−フェノールが、マウスモデルにおけるベタメタソン誘導性皮膚萎縮に及ぼす作用を示す。
【0054】
【表3】

【0055】
表3に示したように、すべての化合物が、ベタメタソン誘導性萎縮および真皮の減少を防止することができた。各々の有効濃度範囲はわずかに異なる。しかしながら、200mg/mlトリアック含有クリームは、ビヒクル中のトリアックが1/7の濃度のクリーム(0.2%と0.03%)と同程度の有効性であるかまたはそれより多少悪かったが、これは、治療上の有効性における差は、配合物中の活性物質の量によってのみ確定するのではなく、配合物それ自体によっても確定されることを例示する。したがって上記の表から、トリ−ヨードサイロ酢酸(トリアック)およびその他の化合物を含めて、局所的甲状腺ホルモンは、マウスにおける糖質コルチコイド誘導性真皮萎縮の防止に有効であると結論付けることができる。
【0056】
実施例3
多因子性真皮萎縮を有するヒトにおける萎縮の治療
慢性関節リウマチを有する78歳の志願者の前腕皮膚は、真皮、表皮および皮下脂肪の萎縮、ならびに易打撲傷性を伴う、ティッシュペーパー様の薄い透明皮膚であった。該前腕皮膚は、老化、光損傷、リウマチ様疾患の作用を、おそらくは経口的糖質コルチコイドの作用をも示した(投与量は生理学的に適切な量であった)。その患者は、経口プレドニソンで治療された慢性関節リウマチの病歴を有したが、現在、長年にわたって、経口維持用量(5mg)のプレドニソンのみを投与していた。多くの打撲傷が各前腕の伸筋表面を覆っていた。表面毛管が皮膚を通して見えており、前腕は褐色気味であった(図4)。
100ml媒体当たり30mgのトリアックのみを含む親水性バニシングクリームを、以下のように調製した。10mlの70%イソプロパノールと120mlのビヒクルの混合物中にトリアックを添加し、混合して、100ml当たり29mgのトリアックを含むクリームを調製した。塗布の8週間後、クリームをさらにビヒクルで希釈して(グリセリルステアレートと、リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノレン酸およびその他の脂肪酸代用物を含有するベニバナ油と、ソルビトールと、セチルアルコールと、ステアリン酸と、トリエタノールアミンの混合物)、10mg/mlクリーム1部+ビヒクル2部を生成し、その後、同一方法で再び希釈して、さらに8週間後に100ml当たり3.3mgのトリアックを含むクリームを調製した。
【0057】
上記の調製物を、約6ヶ月間、盲検方式で患者の一方の前腕に塗布した。クリームの作用のために、患者に盲検試験を続けるのは約8週間後に不可能になった。以下の投与スケジュールを連続方式で用いた:(1)30mgトリアック/100mlビヒクルを8週間、その後(2)10mgトリアック/100mlビヒクルを4週間、その後(3)3.3mgトリアック/100mlビヒクルを12週間。
30mg/ml、5.6%イソプロパノールの濃度において、まれに掻痒が発生したが、クリーム塗布を妨げることはなかった。投与量を下げると掻痒は発生しなかった。処置期間中、患者は、2週間までの期間、10〜30mg/日の範囲のプレドニソンの断続的治療を受けた。
【0058】
臨床的には皮膚の変化は8週間で認められ、非熟練観察者がそれを述べた。紫斑(打撲傷)は処置腕において顕著に低減された(図5)。合計6ヶ月の治療後、皮膚科学者が患者を調べた。盲検臨床検査では、処置腕(図5、図6および図9)は、対照腕(図4、図7および図8)より多くの平坦な色素沈着が見られ、褐色気味なのが収まり、しわが減少し、およびわずかに高いツルゴールおよび弾力性があり、より健康であるように見えた。表在静脈も検出するのがより困難であった。
【0059】
6ヶ月治療後、3mmパンチ生検試料を同一深度で採取した。対照前腕の伸筋表面の生検は、表皮萎縮および顕著な真皮萎縮ならびに平坦化された真皮−表皮境界を有するコラーゲン低減に伴い、日光弾力繊維症、正常角化が明らかであった。処置腕の伸筋表面の生検は、真皮萎縮がなく、真皮の細胞充実性が増大し、ならびに継続性日光弾力繊維症、正常角化、角質増殖および表皮萎縮の低下に関する証拠は明らかにされなかった。乳頭間隆起は延長され、真皮−表皮境界はもはや平坦でなかった。主要作用は真皮に及ぼされ、表皮に及ぼす作用は有意に低かった。物理的には、処置検体の皮膚厚は未処置検体より厚かった。三重染色によって、処置検体における網状真皮中のコラーゲン繊維が増大していることが明らかになった。その他の特定の染色を用いて、コラーゲン以外の真皮中の他の物質を同定することはしなかったが、試料の厚みの増大および正常真皮の修復は、コラーゲンのみに因るわけではない可能性が高い。エクリン汗腺(eccrinegland)は未処置試料ではかなり表在的に位置し、一方、処置試料においては細胞充実性増大が認められた。生検後、対照前腕において、生検周囲で、生検部位に関連した、また包帯にも関連した打撲傷が発生した(図8)。このような打撲傷は処置腕では発生しなかった(図9)。処置腕は、日々の損傷に対する紫斑性応答が大きく低減し、生検部位の創傷はより容易に治癒した(図9)。
【0060】
皮膚厚測定は、皮膚試験中にばね荷重式マイクロメータで実施した。結果を表4に示す。
【0061】
【表4】

【0062】
表4に示したように、二重皮膚厚測定は各前腕の伸筋表面から得て、外見上は皮膚厚の単一皮膚厚において0.25mmの差があること、または皮膚の厚みが30%増大したことを明らかにした。
【0063】
実施例4
ヒトにおける皮膚厚、コラーゲン産生および活性化繊維芽細胞の数に及ぼすトリアックの作用
0.1%トリアッククリームのさらなる試験を、ヒトにおいて実施した。正常志願者にまず吉草ベタメタソンクリーム、有効局所糖質コルチコイドを、3日間、腹部の一側の領域に塗布した。処置領域内で3日間塗布した後に、全厚皮膚生検材料を採取した(来院3)。次に、0.1%濃度のトリアッククリームを14日間塗布し、処置領域内で第二の生検試料を採取した(来院5、処置)。第三の生検試料は、活性配合物もプラセボ配合物も投与されない腹部の非処置領域内で採取した(来院5、非処置)。トリアックを含有しない同一ビヒクルを投与された患者5名を同様に評価したが、何名かの患者に関しては来院3の生検は実施しなかった。上記3種類((来院3)、(来院5、処置)、(来院5、未処置))の試料の真皮厚および表皮厚の測定を、0.1%トリアッククリームを投与された患者3名に関して実施した。組織学的試料を少なくとも5つの薄片に切断し、各真皮および表皮について5種類の測定を行なった(表5参照)。表6に示されているように、多数の患者に関して、試料中の活性化繊維芽細胞の数について、付加的測定を行なった。
来院5処置領域および来院5非処置領域からの、表皮厚および真皮厚測定、ならびに真皮の割合の変化。3日間のステロイド塗布および2週間の処置期間のみを有するこの短期研究では、ほとんどの患者が、プラセボ群または処置群の両方において、表皮厚および真皮厚において糖質コルチコイド誘導性組織学的変化を回復した。しかしながら研究計画は、プラセボで処置した皮膚領域、活性薬剤で処置した皮膚領域、および薬剤を投与しなかったかまたはビヒクルのみを投与した(非処置)皮膚領域との比較を可能にした。
【0064】
【表5−1】

【0065】
【表5−2】

【0066】
【表6】

【0067】
上記のデータは、2〜3名の患者においてのみ得られたデータではあるが、ある場合には、処置領域の試料の厚みは、非処置領域における対応する試料の厚みに比べて最大で45%上回り、局所塗布トリアッククリームが真皮の厚みを増大する能力を明らかにした。分析に利用可能であった3つの試料においては、非処置の正常皮膚と比較して、真皮厚が5%、28%および45%増加した。ビヒクルのみを投与された患者は、非処置部位と比較して、17%、−15%、0%,0%および0%の応答をした。さらにプラセボ群と比較して、0.1%トリアックで処置した群において、ステロイド処置直後から14日の処置終了までに測定された活性化繊維芽細胞の数が倍増した(表6)。活性化繊維芽細胞がコラーゲンおよび基礎物質を産生することが既知であるため、真皮厚の増大はコラーゲンおよび基礎物質の産生の増大による可能性が高い。皮膚中で観察されるようなコラーゲン組織は、コラーゲン繊維を肥厚化する傾向を有した。この結果は驚くべきものである。なぜならば、細胞培養中では、皮膚繊維芽細胞およびラット心臓繊維芽細胞は、甲状腺ホルモンに応答して、それらのコラーゲン産生を低減することが示されているからである(DeRyker, FEBS Lett.174:34−37(1984), Lee et al, J Mol Cell Cardio p2495,1998)。真皮の厚みを増大し、真皮の細胞充実性を増大し、真皮中のコラーゲン産生を増大する能力が甲状腺ホルモン様化合物にあるということは、萎縮状態あるいは損傷状態から真皮を回復する必要がある場合はいつでも、甲状腺クリームが効果的であることを示唆する。
【0068】
実施例5
配合物が薬剤放出に及ぼす作用
配合物開発における放出試験
Institute for Applied Dermato−Pharmacie at Martin−Luther Universitatin Halle(Saale), Germany(IAPD)と相談して、配合物を開発するためのツールとしてのそれらのinvitro放出モデルを用いて試験することを決定した。放出モデルは、Reinhardt Neubert教授により開発され(Neubert, R., Bendas, C., Wohlrab,W., Gienau, B.,Furst, W. A multilayer membrane systemfor modelling drugpenetration into skinInt J. Pharm. 75 (1991) 89−94; Knorst, M., Neubert,R., Wohlrab, W. Release of urea from semisolid formulationsusing a multilayer membrane system. DrugDev. Ind. Pharm.23(1997) 253−257)、様々な局所配合物からの尿素およびジトラノール(dithranol)ならびにその他の皮膚科学的薬剤の放出を評価するために用いられた。当該モデルは、ヒト角質層を模倣して製造されたドリコール/プロピレングリコールのゲル膜層の中への、ビヒクルからの有効成分の放出に基づいて設計されている。膜の組成は、参照化合物の放出プロフィールが、外植ヒト皮膚の場合と同様に生じるよう開発された。invitro放出法の有効性は、外植ヒト皮膚における放出法に対比することによって確認された(上記のNeubert et al.およびKnorst et al.)。
【0069】
放出方法を標準化し、特定の配合物に関して得られたデータを用いて、ある配合物が臨床的効力を有するか否か(すなわち、薬剤の放出速度が速いか遅いか)を予測し得る。配合物から膜へ薬剤−基質が高速に放出されれば、角質層へ高速に放出され、したがってその薬剤配合物が高い臨床的効力を有すると予測される。本方法は、伝統的放出系(例えばフランツ細胞)を上回る有意の利点を有し、一般的な薬剤配合物との比較をするために開発された。本方法は、未だ規定の地位を得ていない(すなわち、一般的な配合物からの薬剤の放出プロフィールは登録ファイルに登録されていない)。
【0070】
脱イオン水(77〜79)、オクチルパルミテート(5.0)、セトステアリルアルコール(1.0)、グリセリルモノステアレート(6.0)、セチルアルコール(2.0)、ステアリン酸(3.0)、ソルビトール(2.8)、トリエタノールアミン(0.4〜0.8)、メチルパラベン(0.2)、プロピルパラベン(0.1)、ドウィシル(Dowicil)200(0.1)、イミドウレア(0.3)、二ナトリウムEDTA(0.2)、イソプロパノール(0.7)、カルボポール(Carbopol)980(0.2)およびトリアック(0.03または0.1)を含有する(%w/w)水中油型クリーム配合物(F1)を開発した(ドウィシルの94%は1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアドマニアンクロリドである)。配合物の製造は、水を攪拌しながら75〜85℃に加熱することにより開始し、次にメチルパラベン、プロピルパラベン、EDTA、肥厚剤(カルボポール)およびソルビトールを添加した。次に軟化剤および乳化剤を75〜85℃で配合し、この油相を水相に添加した。次にトリエタノールアミンを添加して、pHを約6.1〜7.1に調整した。次に容器温度を60℃に下げて、イミドウレアまたはプロムルゲン(Promulgen)を添加した。イソプロパノール(70%)中に溶解したトリアックを、クリーム中に混入した。
【0071】
多層膜系(MMS)法は、配合物から膜へのトリアックの放出を評価するために用いられた(Neubertet al.およびKnorst et al.上記参照)。本明細書中に報告された実験の各々において、配合物約10mgを膜パックの上に置いた。次に試料を32℃で30分間、100分間および300分間インキュベートした(n=5)。次に、無水エタノール中で各膜を振盪することにより、トリアックを膜から抽出した。次に膜を取り出して、エタノール分画をHPLC系に注入した。膜中のトリアックの総量「トリアック放出量」をインキュベーション時間との関係で(クリーム中に添加した総トリアックの分画%として)プロットした。0〜100分間隔でAUC(曲線下面積)を算定した。
【0072】
表7は、本発明の配合物(F1)の1組のバッチおよび2つのその他のトリアック配合物に関する放出データを示す。トリアックを、プロピレングリコール中に溶解したエセックス(Essex)クリーム中に混入した。トリアカナ(TriAcana)(商標)(肥満治療のためにフランスで登録)は、トリアック(TriAc)の市販配合物である。F1を、配合物開発プログラムにおけるパイロットバッチとして先ず調製した。その後、0.1%トリアック(F1A、F1B、F1C)または0.03%トリアック(F1D、F1E、F1F)を含有するF1の大規模バッチを、GMP(GoodManufacturing Practice)にしたがって3段回で製造した。F1テストAは試験バッチであり、この場合、上記の方法と異なり、トリアックを油相に添加し(トリアックの油相添加)、したがってこの変法においてはイソプロパノールを添加しなかった。試験バッチF1テストBでは、トリアックを同様に油相に添加したが、他のすべてのバッチに用いたのと同量のイソプロパノールも別個にクリームに添加した。
【0073】
【表7−1】

【0074】
【表7−2】

【0075】
【表7−3】

【0076】
結果および結論
本方法に関して、専門家による経験的見解に基づくと(R. Neubert教授、IAPD)、高速放出することにより、より大きい臨床的効力が得られると予測される。MMSモデルで得られる理論上の最速の放出によると、100%の試験化合物が30分後に膜に取り込まれる。しかしながらこのような高速放出速度はMMSモデルを用いたいかなる研究においても見られたことがなく、30分後に活性化合物の40〜50%が放出(F1を用いた場合)されれば、エセックスクリームに関してならびにトリアカナ(商標)に関して観察された評価を上回ると考えられる。異なる製品からの放出率を比較するための代替的方法は、最初の100分間の(放出%)×(分(min))としてAUC(曲線下面積)を算定することである。0〜100分のAUCは、F1に関しては、他の製品、すなわちエセックスクリームおよびトリアカナ(商標)に関するAUCより約3倍大きい。
【0077】
理論上の最速放出が得られるとすると(30分で100%)、100分後のAUCの値は8500(%×分)である。F1(すなわちF1A〜F1F)中のトリアック(0.03〜0.1%)の最終バッチの放出率はすべて、8500の50%より大きい。これは、エセックスクリームおよびトリアカナ配合物の放出率が8500の20%未満であることと対照的である。
【0078】
得られた結果は、バッチが異なるF1同士で非常に似通っており、この結果は、バッチ−バッチ変動を比較するための、またはトリアックの一般的配合物がF1と同様の臨床効力を有するかどうかを予測して評価するための、品質管理をするための道具としてのMMS法が有用であることを実証する。
【0079】
得られた結果は、高投与量の形態(0.1%)からのトリアック放出パーセンテージと、低投与形態(0.03%)からのトリアック放出パーセンテージが同一であることも示す。さらに結果は、F1からのトリアックの放出率が、トリアックがクリーム基剤に添加される方法に依存していないことを示す。F1テストBおよびF1テストAに関する製造プロセスは、トリアックを最終成分として冷却クリーム基剤に添加するのではなく、製造中に油相にトリアックを添加する(実施例1参照)という点で他のバッチに関するプロセスと異なっていた。さらにF1テストAおよびすべての他のF1のバッチ間の放出率が類似することは、イソプロパノールをクリーム基剤から省略し得ることを示す。当該物質中のトリアックの濃度はトリアカナ配合物の方が7倍高かったにもかかわらず、F1型配合物の方が、放出率、すなわちビヒクル適合性は、トリアカナ配合物より優れていたことは重要である。実際、0.03%クリームの放出率は、0.2%トリアカナクリームの放出率の2倍より高かった。配合物を調整するだけで、局所薬剤としての配合物の有効性を低減することも強化することもできるということは、当該技術分野で既知である。放出研究は、上記の実施例2に記載したマウス研究における臨床結果と密接に対応している。
【0080】
実施例6
臨床試験における配合物F1の効力の研究
F1中のトリアックを用いたヒト臨床試験を実施した。試験は第一相研究であって、一ヶ所で実施され、2つの用量のトリアック(0.03%または0.1%w/w)が皮膚プロコラーゲン産生に及ぼす作用に関して、プラセボ(F1クリーム基剤)と比較することにより実施した。Departmentof Dermatology, SahlgrenskaUniversity Hospital(Gothenburg, Sweden)で研究を実施した。研究は、二重盲検法で、平行群(parallel)法で、比較法で、任意抽出法で、一ヶ所での研究であった。志願者を、ランダムに、0.03%トリアック、0.1%トリアックまたはプラセボクリームを投与する対象として振り分けた。1処置群あたり志願者6名とした。身体の腹部領域を処置した。実験の主目的は、皮膚中のIおよびIII型プロコラーゲンの変化を比較することであった。
【0081】
局所ベタメタソン(種々の炎症性皮膚科学的状態を治療するためにしばしば用いられる効力のあるコルチコステロイド)が、皮膚繊維芽細胞中のコラーゲンの合成を低減することは既知である。ベタメタソンによって(ならびにその他の有効なコルチコステロイドによって)3日間の局所治療を施すと、プロコラーゲンI(プロコラーゲンはコラーゲンの前駆体である)の発現が有意に低減(ベースラインからの約70%減)されること、および回復が遅くなることが実証されている。コルチコステロイドの投与後、14日間経過後でさえ、プロコラーゲン産生は、50%低減された(HaapasaariK−M, Risteli J, Koivukangas V, Oikarinen A., Comparison of the effect of hydrocortisone, hydrocortisone−17−butyrateand betamethasone on collagen synthesis in human skin in vivo. Acta Derm Venerol (Stockholm)75(1995)269−271)。もうひとつのコラーゲン(コラーゲンIII)の前駆体も、プロコラーゲンIと同様に、ベタメタソンによる局所治療によって、調節(低減)されることが既知である。
【0082】
真皮中のプロコラーゲン(I型およびIII型コラーゲンのアミノ末端プロペプチドPINPおよびPIIINP)の量は、吸引水疱液(suctionblister fluids)上でのラジオイムノアッセイにより測定し得る(KiistlaU. Suction blister device for separationof viable epidermis from dermis. J. Invest Dermatol 50(1968)220−5)。吸引水疱を誘導し、水疱中の流体を分析のために収集した。
【0083】
図10は、F1−プラセボまたはF1−トリアック(0.03%)による処置に対する典型的応答例を示す。被験者の腹部皮膚を局所ベタメタソン(1日当たり2回)で3日間(0〜3日目)処置した。次に、同じ領域の皮膚をF1−プラセボまたはF1−トリアック(0.03%)でそれぞれ14日間処置した。
【0084】
3日、10日および17日目に吸引水疱液を採取し、PINPの含量を確定して、ベースライン値と比較した。PINP含量を、ベースライン値を100%とする%値として、図10に示す。
【0085】
結果は、ベタメタソン処置皮膚におけるPINP発現が、F1−トリアック(0.03%)により処置すると、F1−プラセボにより処理した場合より速く回復することを実証する。PINPはコラーゲンの前駆体であるため、この結果は、F1−トリアック(0.03%)による処置が真皮の厚みおよび細胞充実性を増大し、したがって真皮萎縮を元に戻すことを意味する。
【0086】
本発明を、その実施態様と組合せて説明してきたが、多数の代替物、修正および変更は、上記の説明をかんがみて当業者に明らかになることは明白である。したがって、本発明は、併記の特許請求の範囲の精神および広範な範囲内であるような代替物、修正および変更をすべて包含するよう意図される。本明細書中に引用された特許出願、特許およびその他の出版物はすべて、それらの記載内容全体が参照により本明細書中に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】ベタメタソンで処置し、ヴァン・ギーソン染色および/またはヘマトキシリン/エオシン染色により可視化したマウス皮膚の生検顕微鏡写真分析(倍率200倍)である。
【図2】ベタメタソンおよび0.8mMのトリアックで処置し、ヴァン・ギーソン染色および/またはヘマトキシリン/エオシン染色により可視化したマウス皮膚の生検顕微鏡写真分析(倍率200倍)である。
【図3】トリアックで処置し、ヴァン・ギーソン染色および/またはヘマトキシリン/エオシン染色により可視化したマウス皮膚の生検顕微鏡写真分析(倍率100倍)である。
【図4】対照クリームつまりプラセボ配合物の5ヵ月後の有志の被験者の前腕伸筋皮膚表面を示す写真である。
【図5】本発明の組成物による処置の5ヵ月後の有志の被験者の前腕伸筋皮膚表面を示す写真である。
【図6】本発明の組成物による処置の5ヵ月後の有志の被験者の前腕手掌皮膚表面を示す写真である。
【図7】対照組成物による処置の5ヵ月後の有志の被験者の前腕手掌皮膚表面を示す写真である。
【図8】有志の被験者の対照伸筋前腕および生検部位を示す写真である。
【図9】有志の被験者の実験伸筋前腕および生検部位を示す写真である。
【図10】皮膚のプロコラーゲン(コラーゲンの前駆体)産生に及ぼす、トリアックの配合物の作用に関するヒトinvivo試験の結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真皮に影響を及ぼす皮膚病学的状態を治療するための局所的薬剤の調製における、5×10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合する甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物から選択される少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物の使用であって、
=(R)・(L)/(RL)
(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)
である使用。
【請求項2】
前記薬剤は、その主要作用が真皮に及ぶことを特徴とする、請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記薬剤は、その作用が表皮に実質的に及ばないことを特徴とする、請求項1記載の使用。
【請求項4】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、トリヨードサイロニン(3,5,3’−トリヨードサイロニン、T3);DおよびLサイロキシン(T4);4−[2,6−ジブロモ−4−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−フェノキシ]−2−イソプロピル−フェノール;4−(4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヨードフェノキシ)−2−ヨード−フェノール;3,3’,5’−トリヨードサイロニン(逆T3);3,3’−ジヨードサイロニン;T3およびT4類縁体、例えば3,5,3’−トリヨード−L−サイロニンメチルエステル;3,5,3’−トリヨード−L−サイロニン塩酸塩;L−サイロキシン塩酸塩;テトラック(Tetrac)(3−[4−(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]酢酸);トリアック(Triac)([4−(4−ヒドロキシ−3−ヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]酢酸);テトラプロップ(Tetraprop);トリプロップ(Triprop)([4−(4−ヒドロキシ−3−ヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]プロピオン酸);T4Bu;T3Bu;サイロキサミン;トリヨードチロナミン;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2−メトキシピリミジン−5−イル)−メタノール;ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(6−メチルピリジン−3−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(5−ブロモ−2−メトキシピリジン−4−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2,6−ジフルオロピリジン−3−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2−メトキシピリジン−4−イル)メタノール;4−メトキシ−3−[(2−メトキシピリミジン−5−イル)メチル]フェノール;4−メトキシ−3−[(6−メチルピリダ−3−イル)メチル]フェノール;5−ベンジルオキシ−2−メトキシベンジルブロミド;5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル−(6−クロロピリダジン−3−イル)−アセトニトリル;4−ベンジルオキシ−2−[2−メトキシチアゾール−5−イル]メチル]アニソール;6−[(5−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メチル]チアゾール−2−(3H);3’−へテロアリールメチル−4’−)−メチル−3,5−ジニトロ−N−トリフルオロ−アセチル−L−サイロニンエチルエステル;3’−へテロアリールメチル−3,5−ジ−ヨード−4’)−メチル−N−トリフルオロ−アセチル−L−サイロニンエチルエステル;3,3’,5−トリヨード−L−サイロニン(T3)の3’−へテロアリールメチル類縁体;甲状腺ホルモン3,3’5−トリヨード−L−サイロニン(T3)の3’−置換誘導体;L−3,3’−T2;DL−Br2I;L−Br2iPr;L−Me2I;L−Me3;L−Me4;L−Me2IPr;DL−IMeI;L−3,5−ジメチル−3’−イソプロピルサイロニン(DIMIT);DL−BPT4;B−トリアック;BP−テトラック;DL−SBT3;DL−SBT4;DL−MBT3;MB−テトラック;T2F;T2Cl;T2Br;T2Me;T2Et;T2iPr;T2nPr;T2sBu;T2tBu;T2iBu;T2Phe;T2F2;T2Cl2;T2Me2;3,5,3’−トリヨード−D−サイロニン;3,5−ジヨード−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸(DIHPA);アリールオキサミン酸;(アリールアミノ)酢酸;アリールプロピオン酸;アリールチオ酢酸;(アリールオキシ)酢酸;3,3’−T2;3,5−T2;3’,5’−T2;α−メチル−3,5,3’−トリヨードサイロ酢酸;α−メチル−3,5,3’−トリヨードサイロプロピオン酸およびα−メチル−3,5,3’,5’−テトラヨードサイロプロピオン酸;ヨウ素化サイロニンもしくはサイロ酢酸またはヨウ素化ベンゾフランのメチレン−およびカルボニル−架橋類縁体;3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジエチルアミノエトキシ)フェニル−(2−ブチルベンゾフル−3−イル)メタノール塩酸塩;2−n−ブチル−3−(3,5−ジヨード−4−カルボキシメトキシ−ベンゾイル)ベンゾフラン;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−ヒドロキシ−ベンゾイル)ベンゾフラン;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−カルボキシメトキシ−ベンジル)ベンゾフラン;4’−ヒドロキシ−3’−ヨード−3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジメチルアミノ−(エトキシ)ベンゾフェノン塩酸塩;2−ブチル−3−(3−ヨード−4−ヒドロキシベンゾイル)ベンズフラン;4’,4−ジヒドロキシ−3’3,5−トリヨードジフェニルメタン;3,5−ジエチル−3’−イソプロピルサイロニン(DIET);およびIpTA2(3,5−ジヨード−3’−イソプロピルサイロ酢酸)ならびにその薬理学的に許容可能な塩および誘導体からなる群から選択される請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
前記薬剤は、前記Kの5×10倍またはそれ以下の濃度の、前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、化学的に純粋形態である、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
前記薬剤は、水中油型エマルション、油中水型エマルション、スプレー、リポソーム、クリーム、ローション、溶液およびそれらの組合せからなる群から選択される薬理学的に許容可能な基剤を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
前記薬理学的に許容可能な基剤は、リノール、オレインおよびパルミチンからなる群から選択される1つまたはそれ以上の脂肪酸、エステルまたはトリグリセリド、およびリノレン脂肪酸、エステルまたはトリグリセリドを含む、請求項7記載の使用。
【請求項9】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、溶媒中に少なくとも一部は溶解される、請求項1〜8のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
前記溶媒は、有機溶媒である請求項9記載の使用。
【請求項11】
前記溶媒は、水およびアルコールを含む請求項10記載の使用。
【請求項12】
前記アルコールは、イソプロパノール、エタノールおよびそれらの組合せからなる群から選択される請求項11記載の使用。
【請求項13】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、前記薬剤100ml当たり、500mg未満である、請求項1〜4および請求項6〜12のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、前記薬剤100ml当たり、200mg未満である、請求項13記載の使用。
【請求項15】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、前記薬剤100ml当たり、50mg未満である、請求項14記載の使用。
【請求項16】
前記真皮に影響を及ぼす状態は、例えば剥離または皮膚生検あるいは化学的またはその他の熱傷によるような真皮の創傷、光損傷および/または光老化皮膚、糖尿病性皮膚障害、ならびに種々の病因、例えば内在性老化皮膚、特にしわまたはひだ、長期糖コルチコイド使用、リウマチ性疾患、多形皮膚萎縮症、萎縮性瘢痕、皮膚萎縮症、慢性萎縮性先端皮膚炎、小胞性皮膚萎縮、虫食い状皮膚萎縮、パシニ−ピエリニ皮膚萎縮ならびに汎萎縮に起因し得る真皮の萎縮からなる群から選択される、請求項1〜15のいずれかに記載の使用。
【請求項17】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモンまたは甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、トリヨードサイロ酢酸、トリヨードプロピオン酸、4−[2,6−ジブロモ−4−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−フェノキシ]−2−イソプロピル−フェノールおよび4−(4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヨードフェノキシ)−2−ヨード−フェノールからなる群から選択される、請求項1〜16のいずれかに記載の使用。
【請求項18】
前記真皮に影響を及ぼす状態は、皮膚中のコラーゲンの欠乏を特徴とし、前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物が少なくとも前記薬剤100ml当たり、500mg未満であり、50mgより多い、請求項1記載の使用。
【請求項19】
真皮に影響を及ぼす皮膚病学的状態を治療するための組成物であって、トリヨードサイロニン(3,5,3’−トリヨードサイロニン、T3);DおよびLサイロキシン(T4);4−[2,6−ジブロモ−4−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−フェノキシ]−2−イソプロピル−フェノール;4−(4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヨードフェノキシ)−2−ヨード−フェノール;3,3’,5’−トリヨードサイロニン(逆T3);3,3’−ジヨードサイロニン;T3およびT4類縁体、例えば3,5,3’−トリヨード−L−サイロニンメチルエステル;3,5,3’−トリヨード−L−サイロニン塩酸塩;L−サイロキシン塩酸塩;テトラック(3−[4−(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]酢酸);トリアック([4−(4−ヒドロキシ−3−ヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]酢酸);テトラプロップ;トリプロップ([4−(4−ヒドロキシ−3−ヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]プロピオン酸);T4Bu;T3Bu;サイロキサミン;トリヨードサイロナミン;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2−メトキシピリミジン−5−イル)−メタノール;ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(6−メチルピリジン−3−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(5−ブロモ−2−メトキシピリジン−4−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2,6−ジフルオロピリジン−3−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2−メトキシピリジン−4−イル)メタノール;4−メトキシ−3−[(2−メトキシピリミジン−5−イル)メチル]フェノール;4−メトキシ−3−[(6−メチルピリダ−3−イル)メチル]フェノール;5−ベンジルオキシ−2−メトキシベンジルブロミド;5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル−(6−クロロピリダジン−3−イル)−アセトニトリル;4−ベンジルオキシ−2−[2−メトキシチアゾール−5−イル]メチル]アニソール;6−[(5−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メチル]チアゾール−2−(3H);3’−へテロアリールメチル−4’−)−メチル−3,5−ジニトロ−N−トリフルオロ−アセチル−L−サイロニンエチルエステル;3’−へテロアリールメチル−3,5−ジ−ヨード−4’)−メチル−N−トリフルオロ−アセチル−L−サイロニンエチルエステル;3,3’,5−トリヨード−L−サイロニン(T3)の3’−へテロアリールメチル類縁体;甲状腺ホルモン3,3’5−トリヨード−L−サイロニン(T3)の3’−置換誘導体;L−3,3’−T2;DL−Br2I;L−Br2iPr;L−Me2I;L−Me3;L−Me4;L−Me2IPr;DL−IMeI;L−3,5−ジメチル−3’−イソプロピルサイロニン(DIMIT);DL−BPT4;B−トリアック;BP−テトラック;DL−SBT3;DL−SBT4;DL−MBT3;MB−テトラック;T2F;T2Cl;T2Br;T2Me;T2Et;T2iPr;T2nPr;T2sBu;T2tBu;T2iBu;T2Phe;T2F2;T2Cl2;T2Me2;3,5,3’−トリヨード−D−サイロニン;3,5−ジヨード−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸(DIHPA);アリールオキサミン酸;(アリールアミノ)酢酸;アリールプロピオン酸;アリールチオ酢酸;(アリールオキシ)酢酸;3,3’−T2;3,5−T2;3’,5’−T2;α−メチル−3,5,3’−トリヨードサイロ酢酸;α−メチル−3,5,3’−トリヨードサイロプロピオン酸およびα−メチル−3,5,3’、5’−テトラヨードサイロプロピオン酸;ヨウ素化サイロニンもしくはサイロ酢酸またはヨウ素化ベンゾフランのメチレン−およびカルボニル−架橋類縁体;3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジエチルアミノエトキシ)フェニル−(2−ブチルベンゾフル−3−イル)メタノール塩酸塩;2−n−ブチル−3−(3,5−ジヨード−4−カルボキシメトキシ−ベンゾイル)ベンゾフラン;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−ヒドロキシ−ベンゾイル)ベンゾフラン;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−カルボキシメトキシ−ベンジル)ベンゾフラン;4’−ヒドロキシ−3’−ヨード−3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジメチルアミノ−(エトキシ)ベンゾフェノン塩酸塩;2−ブチル−3−(3−ヨード−4−ヒドロキシベンゾイル)ベンズフラン;4’,4−ジヒドロキシ−3’,3,5−トリヨードジフェニルメタン;3,5−ジエチル−3’−イソプロピルサイロニン(DIET);およびIpTA2(3,5−ジヨード−3’−イソプロピルサイロ酢酸)ならびにその薬理学的に許容可能な塩および誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物を、水中油型エマルション、油中水型エマルション、スプレー、リポソーム、クリーム、ローション、溶液およびそれらの組合せを含む薬理学的に許容可能な基剤と一緒に含む組成物。
【請求項20】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、トリヨードサイロ酢酸、トリヨードプロピオン酸、4−[2,6−ジブロモ−4−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)フェノキシ]−2−イソプロピル−フェノール、4−(4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヨードフェノキシ)−2−ヨード−フェノールからなる群から選択される、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、前記組成物100ml当たり、500mg未満である、請求項19または20記載の組成物。
【請求項22】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、前記組成物100ml当たり、200mg未満である、請求項21記載の組成物。
【請求項23】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、前記組成物100ml当たり、50mg未満である、請求項22記載の組成物。
【請求項24】
前記薬理学的に許容可能な基剤は、リノール、オレイン、パルミチンからなる群から選択される1つまたは複数の脂肪酸、エステルまたはトリグリセリド、およびリノレン脂肪酸、エステルまたはトリグリセリドをさらに含む、請求項19〜23のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
前記真皮に影響を及ぼす状態は、例えば剥離または皮膚生検あるいは化学的またはその他の熱傷によるような真皮の創傷、糖尿病性皮膚障害、ならびに種々の病因、例えば内在性老化皮膚、特にしわまたはひだ、長期糖コルチコイド使用、リウマチ性疾患、多形皮膚萎縮症、萎縮性瘢痕、皮膚萎縮症、慢性萎縮性先端皮膚炎、小胞性皮膚萎縮、虫食い状皮膚萎縮、パシニ−ピエリニ皮膚萎縮ならびに汎萎縮に起因し得る真皮の萎縮からなる群から選択される、請求項19〜24のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
皮膚病学的手術における皮膚の前処置のための局所的薬剤の調製における、5×10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合するものから選択される少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物の使用であって、
=(R)・(L)/(RL)
(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)
である使用。
【請求項27】
前記化合物は、トリヨードサイロニン(3,5,3’−トリヨードサイロニン、T3);DおよびLサイロキシン(T4);4−[2,6−ジブロモ−4−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−フェノキシ]−2−イソプロピル−フェノール;4−(4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヨードフェノキシ)−2−ヨード−フェノール;3,3’,5’−トリヨードサイロニン(逆T3);3,3’−ジヨードサイロニン;T3およびT4類縁体、例えば3,5,3’−トリヨード−L−サイロニンメチルエステル;3,5,3’−トリヨード−L−サイロニン塩酸塩;L−サイロキシン塩酸塩;テトラック(3−[4−(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]酢酸);トリアック([4−(4−ヒドロキシ−3−ヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]酢酸);テトラプロップ;トリプロップ([4−(4−ヒドロキシ−3−ヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]プロピオン酸);T4Bu;T3Bu;サイロキサミン;トリヨードサイロナミン;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2−メトキシピリミジン−5−イル)−メタノール;ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(6−メチルピリジン−3−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(5−ブロモ−2−メトキシピリジン−4−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2,6−ジフルオロピリジン−3−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2−メトキシピリジン−4−イル)メタノール;4−メトキシ−3−[(2−メトキシピリミジン−5−イル)メチル]フェノール;4−メトキシ−3−[(6−メチルピリダ−3−イル)メチル]フェノール;5−ベンジルオキシ−2−メトキシベンジルブロミド;5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル−(6−クロロピリダジン−3−イル)−アセトニトリル;4−ベンジルオキシ−2−[2−メトキシチアゾール−5−イル]メチル]アニソール;6−[(5−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メチル]チアゾール−2−(3H);3’−へテロアリールメチル−4’−)−メチル−3,5−ジニトロ−N−トリフルオロ−アセチル−L−サイロニンエチルエステル;3’−へテロアリールメチル−3,5−ジ−ヨード−4’)−メチル−N−トリフルオロ−アセチル−L−サイロニンエチルエステル;3,3’,5−トリヨード−L−サイロニン(T3)の3’−へテロアリールメチル類縁体;甲状腺ホルモン3,3’5−トリヨード−L−サイロニン(T3)の3’−置換誘導体;L−3,3’−T2;DL−Br2I;L−Br2iPr;L−Me2I;L−Me3;L−Me4;L−Me2IPr;DL−IMeI;L−3,5−ジメチル−3’−イソプロピルサイロニン(DIMIT);DL−BPT4;B−トリアック;BP−テトラック;DL−SBT3;DL−SBT4;DL−MBT3;MB−テトラック;T2F;T2Cl;T2Br;T2Me;T2Et;T2iPr;T2nPr;T2sBu;T2tBu;T2iBu;T2Phe;T2F2;T2Cl2;T2Me2;3,5,3’−トリヨード−D−サイロニン;3,5−ジヨード−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸(DIHPA);アリールオキサミン酸;(アリールアミノ)酢酸;アリールプロピオン酸;アリールチオ酢酸;(アリールオキシ)酢酸;3,3’−T2;3,5−T2;3’,5’−T2;α−メチル−3,5,3’−トリヨードサイロ酢酸;α−メチル−3,5,3’−トリヨードサイロプロピオン酸およびα−メチル−3,5,3’、5’−テトラヨードサイロプロピオン酸;ヨウ素化サイロニンもしくはサイロ酢酸またはヨウ素化ベンゾフランのメチレン−およびカルボニル−架橋類縁体;3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジエチルアミノエトキシ)フェニル−(2−ブチルベンゾフル−3−イル)メタノール塩酸塩;2−n−ブチル−3−(3,5−ジヨード−4−カルボキシメトキシ−ベンゾイル)ベンゾフラン;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−ヒドロキシ−ベンゾイル)ベンゾフラン;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−カルボキシメトキシ−ベンジル)ベンゾフラン;4’−ヒドロキシ−3’−ヨード−3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジメチルアミノ−(エトキシ)ベンゾフェノン塩酸塩;2−ブチル−3−(3−ヨード−4−ヒドロキシベンゾイル)ベンズフラン;4’,4−ジヒドロキシ−3’,3,5−トリヨードジフェニルメタン;3,5−ジエチル−3’−イソプロピルサイロニン(DIET);およびIpTA2(3,5−ジヨード−3’−イソプロピルサイロ酢酸)ならびにその薬理学的に許容可能な塩および誘導体からなる群から選択される、請求項26記載の使用。
【請求項28】
前記化合物は、トリヨードサイロ酢酸、トリヨードプロピオン酸、4−[2,6−ジブロモ−4−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)フェノキシ]−2−イソプロピル−フェノールおよび4−(4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヨードフェノキシ)−2−ヨード−フェノールからなる群から選択される、請求項27記載の使用。
【請求項29】
前記薬剤は、水中油型エマルション、油中水型エマルション、スプレー、リポソーム、クリーム、ローション、溶液およびそれらの組合せを含む薬理学的に許容可能な基剤を含む、請求項26〜28のいずれかに記載の使用。
【請求項30】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、前記組成物100ml当たり、500mg未満である、請求項26〜29記載の使用。
【請求項31】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、前記組成物100ml当たり、200mg未満である、請求項30記載の使用。
【請求項32】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、前記組成物100ml当たり、50mg未満である、請求項31記載の使用。
【請求項33】
前記薬理学的に許容可能な基剤は、リノール、オレイン、およびパルミチンからなる群から選択される1つまたはそれ以上の脂肪酸、エステルまたはトリグリセリド、およびリノレン脂肪酸、エステルまたはトリグリセリドをさらに含む、請求項29〜32のいずれかに記載の使用。
【請求項34】
前記真皮に影響を及ぼす皮膚病学的状態を治療する方法であって、該状態を患っている患者の皮膚に組成物を塗布するステップを含む方法であって、該組成物は、少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物を局所塗布に適した薬理学的に許容可能な基剤と一緒に含み、該甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物が5×10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合し、
=(R)・(L)/(RL)
(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)
であり、前記状態の皮膚作用が回復される方法。
【請求項35】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、トリヨードサイロニン(3,5,3’−トリヨードサイロニン、T3);DおよびLサイロキシン(T4);4−[2,6−ジブロモ−4−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−フェノキシ]−2−イソプロピル−フェノール;4−(4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヨードフェノキシ)−2−ヨード−フェノール;3,3’,5’−トリヨードサイロニン(逆T3);3,3’−ジヨードサイロニン;T3およびT4類縁体、例えば3,5,3’,−トリヨード−L−サイロニンメチルエステル;3,5,3’−トリヨード−L−サイロニン塩酸塩;L−サイロキシン塩酸塩;テトラック(3−[4−(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]酢酸);トリアック([4−(4−ヒドロキシ−3−ヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]酢酸);テトラプロップ;トリプロップ([4−(4−ヒドロキシ−3−ヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]プロピオン酸);T4Bu;T3Bu;サイロキサミン;トリヨードサイロナミン;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2−メトキシピリミジン−5−イル)−メタノール;ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(6−メチルピリジン−3−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(5−ブロモ−2−メトキシピリジン−4−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2,6−ジフルオロピリジン−3−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2−メトキシピリジン−4−イル)メタノール;4−メトキシ−3−[(2−メトキシピリミジン−5−イル)メチル]フェノール;4−メトキシ−3−[(6−メチルピリダ−3−イル)メチル]フェノール;5−ベンジルオキシ−2−メトキシベンジルブロミド;5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル−(6−クロロピリダジン−3−イル)−アセトニトリル;4−ベンジルオキシ−2−[2−メトキシチアゾール−5−イル]メチル]アニソール;6−[(5−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メチル]チアゾール−2−(3H);3’−へテロアリールメチル−4’−)−メチル−3,5−ジニトロ−N−トリフルオロ−アセチル−L−サイロニンエチルエステル;3’−へテロアリールメチル−3,5−ジ−ヨード−4’)−メチル−N−トリフルオロ−アセチル−L−サイロニンエチルエステル;3,3’,5−トリヨード−L−サイロニン(T3)の3’−へテロアリールメチル類縁体;甲状腺ホルモン3,3’5−トリヨード−L−サイロニン(T3)の3’−置換誘導体;L−3,3’−T2;DL−Br2I;L−Br2iPr;L−Me2I;L−Me3;L−Me4;L−Me2IPr;DL−IMeI;L−3,5−ジメチル−3’−イソプロピルサイロニン(DIMIT);DL−BPT4;B−トリアック;BP−テトラック;DL−SBT3;DL−SBT4;DL−MBT3;MB−テトラック;T2F;T2Cl;T2Br;T2Me;T2Et;T2iPr;T2nPr;T2sBu;T2tBu;T2iBu;T2Phe;T2F2;T2Cl2;T2Me2;3,5,3’−トリヨード−D−サイロニン;3,5−ジヨード−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸(DIHPA);アリールオキサミン酸;(アリールアミノ)酢酸;アリールプロピオン酸;アリールチオ酢酸;(アリールオキシ)酢酸;3,3’−T2;3,5−T2;3’,5’−T2;α−メチル−3,5,3’−トリヨードサイロ酢酸;α−メチル−3,5,3’−トリヨードサイロプロピオン酸およびα−メチル−3,5,3’、5’−テトラヨードサイロプロピオン酸;ヨウ素化サイロニンもしくはサイロ酢酸またはヨウ素化ベンゾフランのメチレン−およびカルボニル−架橋類縁体;3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジエチルアミノエトキシ)フェニル−(2−ブチルベンゾフル−3−イル)メタノール塩酸塩;2−n−ブチル−3−(3,5−ジヨード−4−カルボキシメトキシ−ベンゾイル)ベンゾフラン;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−ヒドロキシ−ベンゾイル)ベンゾフラン;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−カルボキシメトキシ−ベンジル)ベンゾフラン;4’−ヒドロキシ−3’−ヨード−3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジメチルアミノ−(エトキシ)ベンゾフェノン塩酸塩;2−ブチル−3−(3−ヨード−4−ヒドロキシベンゾイル)ベンズフラン;4’,4−ジヒドロキシ−3’,3,5−トリヨードジフェニルメタン;3,5−ジエチル−3’−イソプロピルサイロニン(DIET);およびIpTA2(3,5−ジヨード−3’−イソプロピルサイロ酢酸)ならびにその薬理学的に許容可能な塩および誘導体からなる群から選択される、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、トリヨードサイロ酢酸、トリヨードプロピオン酸、4−[2,6−ジブロモ−4−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)フェノキシ]−2−イソプロピル−フェノールおよび4−(4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヨードフェノキシ)−2−ヨード−フェノールからなる群から選択される、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記組成物は、Kの5×10倍またはそれ以下の濃度の前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物を含む、請求項34〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、化学的に純粋形態である、請求項34〜37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記薬理学的に許容可能な基剤は、水中油型エマルション、油中水型エマルション、スプレー、リポソーム、クリーム、ローション、溶液およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項34〜38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記薬理学的に許容可能な基剤は、リノール、オレイン、およびパルミチンからなる群から選択される1つまたはそれ以上の脂肪酸、エステルまたはトリグリセリド、およびリノレン脂肪酸、エステルまたはトリグリセリドを含む、請求項34〜39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、溶媒中に少なくとも一部は溶解される、請求項34〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記溶媒は、有機溶媒である請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記有機溶媒は、水およびアルコールを含む、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記アルコールは、イソプロパノール、エタノールおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、前記組成物100ml当たり、500mg未満である、請求項34〜44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、前記組成物100ml当たり、200mg未満である、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、前記組成物100ml当たり、50mg未満である、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記状態は、例えば剥離または皮膚生検あるいは化学的またはその他の熱傷によるような真皮の創傷、光損傷および/または光老化皮膚、糖尿病性皮膚障害、ならびに種々の病因、例えば内在性老化皮膚、特にしわまたはひだ、長期糖コルチコイド使用、リウマチ性疾患、多形皮膚萎縮症、萎縮性瘢痕、皮膚萎縮症、慢性萎縮性先端皮膚炎、小胞性皮膚萎縮、虫食い状皮膚萎縮、パシニ−ピエリニ皮膚萎縮ならびに汎萎縮に起因し得る真皮の萎縮からなる群から選択される、請求項34〜47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
前記組成物は、その主要作用が真皮に及ぶことを特徴とする、請求項34〜48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記組成物は、その作用が表皮に実質的に及ばないことを特徴とする、請求項34〜49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
包装材料および包装材料内に入れられた薬剤を含む製品であって、該薬剤が真皮に影響を及ぼす皮膚病学的状態を治療するために治療上有効であり、該包装材料が、該薬剤が真皮に影響を及ぼす皮膚病学的状態を治療するために用いられ得ることを示すラベルを含み、該薬剤が局所塗布に適した薬理学的に許容可能な基剤中に少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物を含み、該甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物が5x10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合し、
=(R)・(L)/(RL)
(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)
である製品。
【請求項52】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、トリヨードサイロニン(3,5,3’−トリヨードサイロニン、T3);DおよびLサイロキシン(T4);3,3’,5’−トリヨードサイロニン(逆T3);4−[2,6−ジブロモ−4−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−フェノキシ]−2−イソプロピル−フェノール;4−(4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヨードフェノキシ)−2−ヨード−フェノール;3,3’−ジヨードサイロニン;T3およびT4類縁体、例えば3,5,3’−トリヨード−L−サイロニンメチルエステル;3,5,3’−トリヨード−L−サイロニン塩酸塩;L−サイロキシン塩酸塩;テトラック(3−[4−(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]酢酸);トリアック([4−(4−ヒドロキシ−3−ヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]酢酸);テトラプロップ;トリプロップ([4−(4−ヒドロキシ−3−ヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]プロピオン酸);T4Bu;T3Bu;サイロキサミン;トリヨードサイロナミン;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2−メトキシピリミジン−5−イル)−メタノール;ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(6−メチルピリジン−3−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(5−ブロモ−2−メトキシピリジン−4−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2,6−ジフルオロピリジン−3−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2−メトキシピリジン−4−イル)メタノール;4−メトキシ−3−[(2−メトキシピリミジン−5−イル)メチル]フェノール;4−メトキシ−3−[(6−メチルピリダ−3−イル)メチル]フェノール;5−ベンジルオキシ−2−メトキシベンジルブロミド;5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル−(6−クロロピリダジン−3−イル)−アセトニトリル;4−ベンジルオキシ−2−[2−メトキシチアゾール−5−イル]メチル]アニソール;6−[(5−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メチル]チアゾール−2−(3H);3’−へテロアリールメチル−4’−)−メチル−3,5−ジニトロ−N−トリフルオロ−アセチル−L−サイロニンエチルエステル;3’−へテロアリールメチル−3,5−ジ−ヨード−4’)−メチル−N−トリフルオロ−アセチル−L−サイロニンエチルエステル;3,3’,5−トリヨード−L−サイロニン(T3)の3’−へテロアリールメチル類縁体;甲状腺ホルモン3,3’,5−トリヨード−L−サイロニン(T3)の3’−置換誘導体;L−3,3’−T2;DL−Br2I;L−Br2iPr;L−Me2I;L−Me3;L−Me4;L−Me2IPr;DL−IMeI;L−3,5−ジメチル−3’−イソプロピルサイロニン(DIMIT);DL−BPT4;B−トリアック;BP−テトラック;DL−SBT3;DL−SBT4;DL−MBT3;MB−テトラック;T2F;T2Cl;T2Br;T2Me;T2Et;T2iPr;T2nPr;T2sBu;T2tBu;T2iBu;T2Phe;T2F2;T2Cl2;T2Me2;3,5,3’−トリヨード−D−サイロニン;3,5−ジヨード−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸(DIHPA);アリールオキサミン酸;(アリールアミノ)酢酸;アリールプロピオン酸;アリールチオ酢酸;(アリールオキシ)酢酸;3,3’−T2;3,5−T2;3’,5’−T2;α−メチル−3,5,3’−トリヨードサイロ酢酸;α−メチル−3,5,3’−トリヨードサイロプロピオン酸およびα−メチル−3,5,3’,5’−テトラヨードサイロプロピオン酸;ヨウ素化サイロニンもしくはサイロ酢酸またはヨウ素化ベンゾフランのメチレン−およびカルボニル−架橋類縁体;3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジエチルアミノエトキシ)フェニル−(2−ブチルベンゾフル−3−イル)メタノール塩酸塩;2−n−ブチル−3−(3,5−ジヨード−4−カルボキシメトキシ−ベンゾイル)ベンゾフラン;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−ヒドロキシ−ベンゾイル)ベンゾフラン;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−カルボキシメトキシ−ベンジル)ベンゾフラン;4’−ヒドロキシ−3’−ヨード−3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジメチルアミノ−(エトキシ)ベンゾフェノン塩酸塩;2−ブチル−3−(3−ヨード−4−ヒドロキシベンゾイル)ベンズフラン;4’,4−ジヒドロキシ−3’,3,5−トリヨードジフェニルメタン;3,5−ジエチル−3’−イソプロピルサイロニン(DIET);およびIpTA2(3,5−ジヨード−3’−イソプロピルサイロ酢酸)ならびにその薬理学的に許容可能な塩および誘導体からなる群から選択される、請求項51記載の製品。
【請求項53】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、トリヨードサイロ酢酸、トリヨードプロピオン酸、4−[2,6−ジブロモ−4−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)フェノキシ]−2−イソプロピル−フェノール、および4−(4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヨードフェノキシ)−2−ヨード−フェノールならびにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項51または請求項52記載の製品。
【請求項54】
前記組成物は、Kの5×10倍またはそれ以下の濃度の、前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物を含む、請求項52または請求項53記載の製品。
【請求項55】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、化学的に純粋形態である、請求項52〜54のいずれかに記載の製品。
【請求項56】
前記薬理学的に許容可能な基剤は、水中油型エマルション、油中水型エマルション、スプレー、リポソーム、クリーム、ローション、溶液およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項51〜55のいずれかに記載の製品。
【請求項57】
前記薬理学的に許容可能な基剤は、リノール、オレイン、およびパルミチンからなる群から選択される1つまたはそれ以上の脂肪酸、エステルまたはトリグリセリド、およびリノレン脂肪酸、エステルまたはトリグリセリドを含む、請求項52〜56のいずれかに記載の製品。
【請求項58】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、溶媒中に少なくとも一部は溶解される、請求項52〜57のいずれかに記載の製品。
【請求項59】
前記溶媒は、有機溶媒である請求項58記載の製品。
【請求項60】
前記有機溶媒は、水およびアルコールを含む請求項59記載の製品。
【請求項61】
前記アルコールは、イソプロパノール、エタノールおよびそれらの組合せからなる群から選択される請求項60記載の製品。
【請求項62】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、前記組成物100ml当たり、500mg未満である、請求項52〜61のいずれかに記載の製品。
【請求項63】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、前記組成物100ml当たり、200mg未満である、請求項62記載の製品。
【請求項64】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、前記組成物100ml当たり、50mg未満である、請求項62記載の製品。
【請求項65】
前記真皮に影響を及ぼす状態は、例えば剥離または皮膚生検あるいは化学的またはその他の熱傷によるような真皮の創傷、光損傷および/または光老化皮膚、糖尿病性皮膚障害、ならびに種々の病因、例えば内在性老化皮膚、特にしわまたはひだ、長期糖コルチコイド使用、リウマチ性疾患、多形皮膚萎縮症、萎縮性瘢痕、皮膚萎縮症、慢性萎縮性先端皮膚炎、小胞性皮膚萎縮、虫食い状皮膚萎縮、パシニ−ピエリニ皮膚萎縮ならびに汎萎縮に起因し得る真皮の萎縮からなる群から選択される、請求項51〜64のいずれかに記載の製品。
【請求項66】
患者の皮膚創傷皮膚の治癒の改善方法であって、該皮膚創傷に組成物を塗布するステップを含む方法であって、該組成物が少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物を局所塗布に適した薬理学的に許容可能な基剤と一緒に含み、該甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物が5x10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合し、
=(R)・(L)/(RL)
(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)
であり、前記創傷皮膚の治癒の改善方法。
【請求項67】
前記組成物は、トリヨードサイロニン(3,5,3’−トリヨードサイロニン、T3);DおよびLサイロキシン(T4);4−[2,6−ジブロモ−4−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−フェノキシ]−2−イソプロピル−フェノール;4−(4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヨードフェノキシ)−2−ヨード−フェノール;3,3’,5’−トリヨードサイロニン(逆T3);3,3’−ジヨードサイロニン;T3およびT4類縁体、例えば3,5,3’−トリヨード−L−サイロニンメチルエステル;3,5,3’−トリヨード−L−サイロニン塩酸塩;L−サイロキシン塩酸塩;テトラック(3−[4−(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]酢酸);トリアック([4−(4−ヒドロキシ−3−ヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]酢酸);テトラプロップ;トリプロップ([4−(4−ヒドロキシ−3−ヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]プロピオン酸);T4Bu;T3Bu;サイロキサミン;トリヨードサイロナミン;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2−メトキシピリミジン−5−イル)−メタノール;ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(6−メチルピリジン−3−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(5−ブロモ−2−メトキシピリジン−4−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2,6−ジフルオロピリジン−3−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2−メトキシピリジン−4−イル)メタノール;4−メトキシ−3−[(2−メトキシピリミジン−5−イル)メチル]フェノール;4−メトキシ−3−[(6−メチルピリダ−3−イル)メチル]フェノール;5−ベンジルオキシ−2−メトキシベンジルブロミド;5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル−(6−クロロピリダジン−3−イル)−アセトニトリル;4−ベンジルオキシ−2−[2−メトキシチアゾール−5−イル]メチル]アニソール;6−[(5−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メチル]チアゾール−2−(3H);3’−へテロアリールメチル−4’−)−メチル−3,5−ジニトロ−N−トリフルオロ−アセチル−L−サイロニンエチルエステル;3’−へテロアリールメチル−3,5−ジ−ヨード−4’)−メチル−N−トリフルオロ−アセチル−L−サイロニンエチルエステル;3,3’,5−トリヨード−L−サイロニン(T3)の3’−へテロアリールメチル類縁体;甲状腺ホルモン3,3’5−トリヨード−L−サイロニン(T3)の3’−置換誘導体;L−3,3’−T2;DL−Br2I;L−Br2iPr;L−Me2I;L−Me3;L−Me4;L−Me2IPr;DL−IMeI;L−3,5−ジメチル−3’−イソプロピルサイロニン(DIMIT);DL−BPT4;B−トリアック;BP−テトラック;DL−SBT3;DL−SBT4;DL−MBT3;MB−テトラック;T2F;T2Cl;T2Br;T2Me;T2Et;T2iPr;T2nPr;T2sBu;T2tBu;T2iBu;T2Phe;T2F2;T2Cl2;T2Me2;3,5,3’−トリヨード−D−サイロニン;3,5−ジヨード−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸(DIHPA);アリールオキサミン酸;(アリールアミノ)酢酸;アリールプロピオン酸;アリールチオ酢酸;(アリールオキシ)酢酸;3,3’−T2;3,5−T2;3’,5’−T2;α−メチル−3,5,3’−トリヨードサイロ酢酸;α−メチル−3,5,3’−トリヨードサイロプロピオン酸およびα−メチル−3,5,3’,5’−テトラヨードサイロプロピオン酸;ヨウ素化サイロニンもしくはサイロ酢酸またはヨウ素化ベンゾフランのメチレン−およびカルボニル−架橋類縁体;3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジエチルアミノエトキシ)フェニル−(2−ブチルベンゾフル−3−イル)メタノール塩酸塩;2−n−ブチル−3−(3,5−ジヨード−4−カルボキシメトキシ−ベンゾイル)ベンゾフラン;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−ヒドロキシ−ベンゾイル)ベンゾフラン;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−カルボキシメトキシ−ベンジル)ベンゾフラン;4’−ヒドロキシ−3’−ヨード−3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジメチルアミノ−(エトキシ)ベンゾフェノン塩酸塩;2−ブチル−3−(3−ヨード−4−ヒドロキシベンゾイル)ベンズフラン;4’,4−ジヒドロキシ−3’,3,5−トリヨードジフェニルメタン;3,5−ジエチル−3’−イソプロピルサイロニン(DIET);およびIpTA2(3,5−ジヨード−3’−イソプロピルサイロ酢酸)ならびにその薬理学的に許容可能な塩および誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物を含む、請求項66記載の方法。
【請求項68】
前記甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、トリヨードサイロ酢酸、トリヨードプロピオン酸、4−[2,6−ジブロモ−4−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)フェノキシ]−2−イソプロピル−フェノールおよび4−(4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヨードフェノキシ)−2−ヨード−フェノールからなる群から選択される、請求項66または請求項67記載の方法。
【請求項69】
前記薬理学的に許容可能な基剤は、水中油型エマルション、油中水型エマルション、スプレー、リポソーム、クリーム、ローション、溶液およびそれらの組合せを含む、請求項66〜68のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、前記組成物100ml当たり、500mg未満である、請求項66から69のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、前記組成物100ml当たり、200mg未満である、請求項70記載の方法。
【請求項72】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、前記組成物100ml当たり、50mg未満である、請求項71記載の方法。
【請求項73】
前記薬理学的に許容可能な基剤は、リノール、オレイン、およびパルミチンからなる群から選択される1つまたはそれ以上の脂肪酸、エステルまたはトリグリセリド、およびリノレン脂肪酸、エステルまたはトリグリセリドをさらに含む、請求項66〜72のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
治療される前記皮膚創傷は、剥離あるいは化学的またはその他の熱傷の結果である、請求項66〜73のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
前記皮膚創傷は、実質的に、真皮を超えてさらに身体中に侵入していない、請求項65〜74のいずれかに記載の方法。
【請求項76】
患者の皮膚病学的外科的前処理の方法であって、該皮膚科学的手術前に患者の皮膚に組成物を塗布するステップを含む方法であって、該組成物が少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物を局所塗布に適した薬理学的に許容可能な基剤と一緒に含み、該甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物が5×10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合し、
=(R)・(L)/(RL)
(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)
である方法。
【請求項77】
前記組成物は、トリヨードサイロニン(3,5,3’−トリヨードサイロニン、T3);DおよびLサイロキシン(T4);4−[2,6−ジブロモ−4−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−フェノキシ]−2−イソプロピル−フェノール;4−(4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヨードフェノキシ)−2−ヨード−フェノール;3,3’,5’−トリヨードサイロニン(逆T3);3,3’−ジヨードサイロニン;T3およびT4類縁体、例えば3,5,3’−トリヨード−L−サイロニンメチルエステル;3,5,3’−トリヨード−L−サイロニン塩酸塩;L−サイロキシン塩酸塩;テトラック(3−[4−(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]酢酸);トリアック([4−(4−ヒドロキシ−3−ヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]酢酸);テトラプロップ;トリプロップ([4−(4−ヒドロキシ−3−ヨードフェノキシ)−3,5−ジヨードフェニル]プロピオン酸);T4Bu;T3Bu;サイロキサミン;トリヨードサイロナミン;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2−メトキシピリミジン−5−イル)−メタノール;ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(6−メチルピリジン−3−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(5−ブロモ−2−メトキシピリジン−4−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2,6−ジフルオロピリジン−3−イル)メタノール;(5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル)−(2−メトキシピリジン−4−イル)メタノール;4−メトキシ−3−[(2−メトキシピリミジン−5−イル)メチル]フェノール;4−メトキシ−3−[(6−メチルピリダ−3−イル)メチル]フェノール;5−ベンジルオキシ−2−メトキシベンジルブロミド;5−ベンジルオキシ−2−メトキシフェニル−(6−クロロピリダジン−3−イル)−アセトニトリル;4−ベンジルオキシ−2−[2−メトキシチアゾール−5−イル]メチル]アニソール;6−[(5−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メチル]チアゾール−2−(3H);3’−へテロアリールメチル−4’−)−メチル−3,5−ジニトロ−N−トリフルオロ−アセチル−L−サイロニンエチルエステル;3’−へテロアリールメチル−3,5−ジ−ヨード−4’)−メチル−N−トリフルオロ−アセチル−L−サイロニンエチルエステル;3,3’,5−トリヨード−L−サイロニン(T3)の3’−へテロアリールメチル類縁体;甲状腺ホルモン3,3’5−トリヨード−L−サイロニン(T3)の3’−置換誘導体;L−3,3’−T2;DL−Br2I;L−Br2iPr;L−Me2I;L−Me3;L−Me4;L−Me2IPr;DL−IMeI;L−3,5−ジメチル−3’−イソプロピルサイロニン(DIMIT);DL−BPT4;B−トリアック;BP−テトラック;DL−SBT3;DL−SBT4;DL−MBT3;MB−テトラック;T2F;T2Cl;T2Br;T2Me;T2Et;T2iPr;T2nPr;T2sBu;T2tBu;T2iBu;T2Phe;T2F2;T2Cl2;T2Me2;3,5,3’−トリヨード−D−サイロニン;3,5−ジヨード−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸(DIHPA);アリールオキサミン酸;(アリールアミノ)酢酸;アリールプロピオン酸;アリールチオ酢酸;(アリールオキシ)酢酸;3,3’−T2;3,5−T2;3’,5’−T2;α−メチル−3,5,3’−トリヨードサイロ酢酸;α−メチル−3,5,3’−トリヨードサイロプロピオン酸およびα−メチル−3,5,3’,5’−テトラヨードサイロプロピオン酸;ヨウ素化サイロニンもしくはサイロ酢酸またはヨウ素化ベンゾフランのメチレン−およびカルボニル−架橋類縁体;3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジエチルアミノエトキシ)フェニル−(2−ブチルベンゾフル−3−イル)メタノール塩酸塩;2−n−ブチル−3−(3,5−ジヨード−4−カルボキシメトキシ−ベンゾイル)ベンゾフラン;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−ヒドロキシ−ベンゾイル)ベンゾフラン;2−メチル−3−(3,5−ジヨード−4−カルボキシメトキシ−ベンジル)ベンゾフラン;4’−ヒドロキシ−3’−ヨード−3,5−ジヨード−4−(2−N,N−ジメチルアミノ−(エトキシ)ベンゾフェノン塩酸塩;2−ブチル−3−(3−ヨード−4−ヒドロキシベンゾイル)ベンズフラン;4’,4−ジヒドロキシ−3’3,5−トリヨードジフェニルメタン;3,5−ジエチル−3’−イソプロピルサイロニン(DIET);およびIpTA2(3,5−ジヨード−3’−イソプロピルサイロ酢酸)ならびにその薬理学的に許容可能な塩および誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物を含む、請求項76記載の方法。
【請求項78】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、トリヨードサイロ酢酸、トリヨードプロピオン酸、4−[2,6−ジブロモ−4−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)フェノキシ]−2−イソプロピル−フェノールおよび4−(4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヨードフェノキシ)−2−ヨード−フェノールからなる群から選択される、請求項76または請求項77記載の方法。
【請求項79】
前記薬理学的に許容可能な基剤は、水中油型エマルション、油中水型エマルション、スプレー、リポソーム、クリーム、ローション、溶液およびそれらの組合せを含む、請求項76〜78のいずれかに記載の方法。
【請求項80】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、前記組成物100ml当たり、500mg未満である、請求項76〜79のいずれかに記載の方法。
【請求項81】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、前記組成物100ml当たり、200mg未満である、請求項80記載の方法。
【請求項82】
前記少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物は、前記組成物100ml当たり、50mg未満である、請求項81記載の方法。
【請求項83】
前記薬理学的に許容可能な基剤は、リノール、オレイン、およびパルミチンからなる群から選択される1つまたはそれ以上の脂肪酸、エステルまたはトリグリセリド、およびリノレン脂肪酸、エステルまたはトリグリセリドをさらに含む請求項76から82のいずれかに記載の方法。
【請求項84】
前記皮膚病学的手術は、レーザー剥離皮膚療法を含む、請求項76〜82のいずれかに記載の方法。
【請求項85】
実質的に、真皮を超えてさらに身体中に侵入していない創傷の治癒を改善するための局所的薬剤の調製における、5×10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合する甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物から選択される少なくとも1つの甲状腺ホルモンまたは甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物の使用であって、
=(R)・(L)/(RL)
(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)
である使用。
【請求項86】
真皮中の繊維芽細胞の数および活性を増大するための局所的薬剤の調製における、5×10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合する甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物から選択される少なくとも1つの甲状腺ホルモンまたは甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物の使用であって、
=(R)・(L)/(RL)
(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)
である使用。
【請求項87】
前記真皮は、光損傷および/または光老化を受けている請求項86記載の使用。
【請求項88】
真皮中の繊維芽細胞の数および活性を増大する方法であって、患者の皮膚に組成物を塗布するステップを含む方法であって、該組成物が少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物を局所塗布に適した薬理学的に許容可能な基剤と一緒に含み、甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物が5×10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合し、
=(R)・(L)/(RL)
(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)
である方法。
【請求項89】
前記真皮は、光損傷および/または光老化を受けている請求項88記載の方法。
【請求項90】
患者の真皮の厚みを増大するための局所的薬剤の調製における、5×10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合する甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物から選択される少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物の使用であって、
=(R)・(L)/(RL)
(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)
である使用。
【請求項91】
患者の真皮の厚みを増大する方法であって、患者の皮膚に組成物を塗布するステップを含む方法であり、該組成物が少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物を局所塗布に適した薬理学的に許容可能な基剤と一緒に含み、該甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物が5×10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合し、
=(R)・(L)/(RL)
(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)
である方法。
【請求項92】
in vitro皮膚切片の真皮中の繊維芽細胞の数および活性を増大する方法であって、皮膚切片に組成物を塗布するステップを含む方法であり、該組成物が少なくとも1つの甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物を局所塗布に適した薬理学的に許容可能な基剤と一緒に含み、甲状腺ホルモン化合物または甲状腺ホルモン様アゴニスト化合物が5×10−6M未満の平衡解離定数KでTR−αまたはTR−βと結合し、
=(R)・(L)/(RL)
(式中、(R)は受容体の濃度であり、(L)はリガンドの濃度であり、(RL)は受容体−リガンド複合体の濃度である)
である方法。
【請求項93】
前記皮膚切片は、切除ヒト皮膚を含む請求項92記載の方法。
【請求項94】
前記皮膚切片は、人工皮膚を含む請求項92記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−144544(P2012−144544A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−49349(P2012−49349)
【出願日】平成24年3月6日(2012.3.6)
【分割の表示】特願2002−511766(P2002−511766)の分割
【原出願日】平成13年7月16日(2001.7.16)
【出願人】(507213606)
【Fターム(参考)】