説明

甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防又は治療するための組成物及び方法

【課題】甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための組成物の提供。
【解決手段】約0.07mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ素、及び/又は約0.1〜約1.3mg/kgのセレンを含む組成物。少なくとも約75%の植物由来のタンパク質を更に31〜35%含みことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001] 本出願は、米国特許出願番号60/818,428(2006年7月3日出願)の利益を主張する。
【0002】
技術分野
[0002] 本発明は、概して心臓血管系疾患を予防又は治療するための組成物及び方法に、そして特に甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防又は治療するための組成物及び方法に関する。
【0003】
背景技術
[0003] 甲状腺機能亢進症は、甲状腺の代謝亢進と甲状腺ホルモンのトリヨードチロニン(T)及びテトラヨードチロニン(チロキシン又はT)の過剰産生を特徴とする。甲状腺機能亢進症のネコ科動物は、1以上の心臓血管系の異常を明示する場合がある。例えば、身体検査時に、甲状腺機能亢進症のネコ科動物は、収縮期雑音、頻脈、及び奔馬性リズムをしばしば明示する。様々な不整脈と慢性心不全の徴候(例、呼吸困難、抑制心音、腹水)も身体検査時に検出される場合がある。甲状腺機能亢進症のネコ科動物におけるX線写真所見には、軽症〜重症の心肥大症、胸膜滲出液、及び肺浮腫が含まれる。甲状腺機能亢進症のネコ科動物における心電図の異常には、頻脈、第II誘導におけるR波較差の増加、様々な心室性及び心房性不整脈、及び心室内伝導妨害が含まれる。甲状腺機能亢進のネコ科動物における心エコー図の異常には、左心室肥大、心室中隔の肥厚化、左心室及び左心房の拡張、心筋の過剰収縮性、及び拡張性心筋症が含まれる。
【0004】
[0004] 甲状腺機能亢進症に関連した心臓異常の正確な発生病理は不明であるが、甲状腺機能亢進症により引き起こされる末梢機能の改変を補償する心臓の諸変化が重要な役割を担うと信じられている。甲状腺機能亢進症は、組織代謝及び酸素要求量の増加のために血管抵抗が低くて心拍出量が高い、高拍出の心臓状態をもたらす。低い末梢血管抵抗と体液を保存する腎臓の反射機序によって血量の過負荷が創出される。甲状腺機能亢進症における主要な心臓の代償機序は、拡張(血量の過負荷に応答する)と肥大(拡張に応答する)である。甲状腺機能亢進症では、心筋に対する甲状腺ホルモンの直接作用と交感神経系とT及びTの相互作用も心臓の機能に影響を及ぼすらしい。
【0005】
[0005] 甲状腺機能亢進症は、肥大型の心筋症と、さほど一般的ではないが、拡張型の心筋症を誘発する可能性がある。肥大性心筋症は、左心室の筋肉壁が異常に肥厚化する心筋疾患である。乳頭筋のような心臓内の構造も肥厚化する。過剰な甲状腺ホルモンの存在は、不可逆的な心臓構造上の傷害を引き起こす場合があるので、どの形式の心筋症も慢性心不全をもたらす場合がある。さらに、甲状腺機能亢進症は、先在している心臓血管系疾患を増悪させる場合がある。
【0006】
[0006] 従って、一部又は完全な救済を提供する、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を治療するための組成物及び方法へのニーズがある。さらに、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防するための組成物及び方法へのニーズがある。
【0007】
発明の要約
[0007] 本発明の目的は、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予
防するのに適した組成物を提供することである。
【0008】
[0008] 本発明の別の目的は、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を治療するのに適した組成物を提供することである。
[0009] 本発明の別の目的は、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防するための方法を提供することである。
【0009】
[0010] 本発明の別の目的は、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を治療するための方法を提供することである。
[0011] 本発明の別の目的は、本発明の組成物、又は追加成分と一緒に、及び任意選択的に組み合わせるときに、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防するための組成物を生じる2以上の成分を含んでなる製造品を提供することである。
【0010】
[0012] 本発明の別の目的は、本発明の組成物、又は追加成分と一緒に、及び任意選択的に組み合わせるときに、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を治療するための組成物を生じる2以上の成分を含んでなる製造品を提供することである。
【0011】
[0013] 別の目的は、本発明の組成物、方法、及び製造品に関する情報を伝達するための手段を提供することである。
[0014] 本発明の追加的又は代替的な利点及び利益は、当業者に明らかであろう。
【0012】
発明の詳細な説明
[0015] 甲状腺機能亢進症は、甲状腺の代謝亢進と甲状腺ホルモン、T及びTの過剰産生を特徴とする。T及びTのほとんどは、血清タンパク質へ結合している。当業者は、ネコ科動物において、甲状腺機能検査を利用すること、臨床徴候を検査すること、及び/又は試験的な甲状腺ホルモン投与に対する動物の応答を観察することによって、甲状腺機能亢進症を正確に診断することができる。甲状腺機能検査は、当業者に知られていて、例えば、全体及び遊離の血清T及びTの濃度を定量するための検査、甲状腺刺激ホルモンの濃度を定量するための検査、及び、過テクネチウム酸ナトリウム及びT抑制試験が含まれる。例えば、「小動物の栄養(Small Animal Nutrition)」863-868頁(2000)を参照のこと。
【0013】
[0016] 上記に考察したように、甲状腺機能亢進症は、やがてネコ科動物の生活様式に悪影響を及ぼす場合があって死につながる場合もある、多様な心臓血管系の異常を発症させる因子である。故に、甲状腺機能亢進症と診断されたが、心臓血管系疾患の臨床徴候を示していないネコ科動物においては、そのような疾患を予防することが重要である。従って、1つの側面において、本発明は、心臓血管系疾患を発症する感受性があり得る、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において1以上の心臓血管系疾患を予防するための組成物を提供する。そのようなネコ科動物は、心臓血管系疾患があると診断されてはいないが、心臓血管系疾患を発症するリスク状態にあるものである。本明細書に使用するように、心臓血管系疾患を予防することには、甲状腺機能亢進のネコ科動物が心臓血管系疾患を発症するリスクを抑えること、その発現を遅らせること、及び/又は発症しないようにすることが含まれる。このように、心臓血管系疾患を予防するための組成物を給餌することで、ネコ科動物が心臓血管系疾患(複数)を発症するリスクを抑えることができる。さらに、そのような組成物を給餌することで、甲状腺機能亢進症の進行を減速させて、それにより心臓血管系疾患の発現を遅らせることができる。
【0014】
[0017] 治療は、心臓血管系疾患のある甲状腺機能亢進ネコ科動物がより健康で、より長く、そしてより活動的な生活を営むことに役立ち得る。このように、別の側面において、本発明は、そのような治療の必要な甲状腺機能亢進ネコ科動物において1以上の心臓
血管系疾患及び/又は甲状腺機能亢進症を治療するための組成物を提供する。心臓血管系疾患を治療することには、心臓血管系疾患を改善すること、抑制すること、及び/又は遅延させることが含まれる。当業者は、例えば、身体検査、X線撮影法、心電図検査、及び/又は心エコー法を利用することによって、多様な心臓血管系疾患を診断することができる。
【0015】
[0018] 心臓血管系疾患(複数)を予防及び治療するための組成物は、心臓血管系疾患を発症する感受性がある、甲状腺機能亢進症のあるどのネコ科動物にも適している。いくつかの態様において、ネコ科動物は、伴侶ネコ科動物である。伴侶ネコ科動物は、ペットとして飼われるネコ科動物であり得る。伴侶ネコ科動物は、ペットとして飼われるか否かに関わらず、広く飼養化されている種、例えば、イエネコ(Felis domesticus)由来のネコ科動物であってもよい。いくつかの態様において、ネコ科動物は、成猫(adult feline)である。成猫は、幼若期の成長及び発育が完了した後のあらゆる年齢のネコ科動物であり、高齢及び老齢のネコ科動物が含まれる。例えば、成猫は、典型的には、約1歳からその生涯の残りまでの年齢のネコである。高齢ネコ科動物は、そのネコ科動物が明らかな老化の身体又は行動徴候を示すか否かにかかわらず、老化関連の疾患に罹患するリスク状態にある年齢のものである。例えば、高齢のネコは、典型的には、約7歳〜約11歳のネコである。老齢ネコ科動物は、老化の徴候を示しているネコ科動物である。例えば、老齢のネコは、典型的には、約12歳以上の年齢のネコである。
【0016】
[0019] 心臓血管系疾患(複数)を予防及び治療するための組成物は、どの心臓血管系疾患にも、例えば、心臓肥大、収縮期雑音、奔馬性リズム、慢性心不全、心肥大症、胸膜滲出液、肺浮腫、第II誘導におけるR波較差の増加、頻脈、心室性不整脈、心室内伝導妨害、左心室肥大、心室中隔の肥厚化、左心室拡張、左心房拡張、心筋の過剰収縮性、拡張性心筋症、肥大性心筋症、及び心房性不整脈に適している。心臓血管系疾患を治療するための本発明の組成物は、原発性の心臓血管系疾患(即ち、甲状腺機能亢進症を発症する前にネコ科動物が罹患していた心臓血管系疾患)だけでなく、甲状腺機能亢進症に続発性の心臓血管系疾患(即ち、甲状腺機能亢進症を発症することの結果である心臓血管系状態)を治療するのに使用することができる。いくつかの態様において、心臓血管系疾患は、心臓肥大を含む。いくつかの態様において、心臓血管系疾患は、肥大性心筋症を含む。
【0017】
[0020] 本明細書に使用するように、用語「約」は、mg/kgの数字の変動がプラス又はマイナス0.05mg/kgであり;百分率では、プラス又はマイナス0.5%であることを意味する。例えば、「約1.7mg/kg」は、1.65〜1.75mg/kgを意味し;そして「約10%」は、9.5〜10.5%を意味する。
【0018】
[0021] ある態様において、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための組成物は、約0.07mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ素を含む。いくつかのそのような態様において、該組成物は、約0.07〜約0.5mg/kgのヨウ素を含む。他のそのような態様において、該組成物は、約0.07〜約0.3mg/kgのヨウ素を含む。なお他のそのような態様において、該組成物は、約0.15〜約0.25mg/kgのヨウ素を含む。そしてさらなるそのような態様において、該組成物は、約0.07〜約0.2mg/kgのヨウ素を含む。
【0019】
[0022] いくつかの態様において、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための組成物は、約0.1mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ素を含む。いくつかのそのような態様において、該組成物は、約0.1〜約0.5mg/kgのヨウ素を含む。他のそのような態様において、該組成物は、約0.1〜約0.3mg/kgのヨウ素を含む。なお他のそのような態様において、該組成物は、約0.15〜約0.25mg/kgのヨウ素を含む。そしてさらなるそのような態様において
、該組成物は、約0.1〜約0.2mg/kgのヨウ素を含む。ヨウ素は、T及びTの構成成分である。甲状腺は、ヨウ素を活発に捕捉して、甲状腺ホルモンの十分な供給を確実にする。ヨウ素は、本明細書に使用するように、その分子又はイオンの形態に関わりなくヨウ素原子を意味して、例えば、ヨウ化物、ヨウ素酸塩、及び過ヨウ素酸塩のような1以上の化学型に存在するヨウ素が含まれる。
【0020】
[0023] いくつかの態様において、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための本発明の組成物は、約0.1〜約1.3mg/kgのセレンを含む。他のそのような態様において、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための本発明の組成物は、約0.1〜約1mg/kgのセレンを含む。いくつかのそのような態様において、該組成物は、約0.1〜約0.8mg/kgのセレンを含む。他のそのような態様において、該組成物は、約0.15〜約0.65mg/kgのセレンを含む。なお他のそのような態様において、該組成物は、約0.4〜約0.7mg/kgのセレンを含む。さらなるそのような態様において、該組成物は、約0.3〜約0.65mg/kgのセレンを含む。セレンは、特にTのTへの変換を調節するデイオジナーゼ酵素の制御を通して、正常な甲状腺及びヨウ素の代謝を維持する役割を有する。セレンは、本明細書に使用するように、その分子又はイオンの形態に関わりなくセレン原子を意味して、例えば、セレン化物、亜セレン酸塩、及びセレン酸塩のような1以上の化学型に存在するセレンが含まれる。
【0021】
[0024] いくつかの態様において、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための本発明の組成物は、約0.07mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ素、並びに約0.1mg/kg〜約1.3mg/kg未満のセレンを含む。いくつかの態様において、該組成物は、約0.07mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ素、並びに約0.1mg/kg〜約1mg/kg未満のセレンを含む。いくつかのそのような態様において、該組成物は、約0.07〜約0.5mg/kgのヨウ素と約0.1〜約0.8mg/kgのセレンを含む。他のそのような態様において、該組成物は、約0.07〜約0.3mg/kgのヨウ素と約0.15〜約0.65mg/kgのセレンを含む。さらなるそのような態様において、該組成物は、(1)約0.07、約0.1、約0.15、又は約0.2〜約0.25、約0.3、又は約0.5mg/kgのヨウ素と(2)約0.1、約0.15、約0.3、又は約0.4〜約0.65、約0.7、又は約0.8mg/kgのセレンを含む。
【0022】
[0025] いくつかの態様において、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための本発明の組成物は、約0.1mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ素、並びに約0.1mg/kg〜約1mg/kg未満のセレンを含む。いくつかのそのような態様において、該組成物は、約0.1〜約0.5mg/kgのヨウ素と約0.1〜約0.8mg/kgのセレンを含む。他のそのような態様において、該組成物は、約0.1〜約0.3mg/kgのヨウ素と約0.15〜約0.65mg/kgのセレンを含む。さらなるそのような態様において、該組成物は、(1)約0.1、約0.15、又は約0.2〜約0.25、約0.3、又は約0.5mg/kgのヨウ素と(2)約0.1、約0.15、約0.3、又は約0.4〜約0.65、約0.7、又は約0.8mg/kgのセレンを含む。
【0023】
[0026] 米国特許出願番号US2005/0058691 A1の表2及び3は、市販の缶入り及びドライキャットフードのヨウ素及びセレンの含量を収載する。検査した28種の缶入り食品と検査した14種のドライフードにおけるセレンの平均量は、それぞれ1.77mg/kgと0.69mg/kgであり、多くの食品が2mg/kgより多くを有する。これらの食品におけるヨウ素の平均量は、それぞれ7.83mg/kgと2.77mg/kgであるが、30mg/kgより多く有する食品もある。従って、本組成物は、
多くの市販食品中のヨウ素及びセレンの量より低い(そして、いくつかの態様では、ずっと低い)ヨウ素及び/又はセレンの量を含む。従って、いくつかの態様では、ネコ科動物へ組成物を給餌することが該ネコ科動物のヨウ素摂取を制限することをもたらす。他の態様では、ネコ科動物へ組成物を給餌することが該ネコ科動物のセレン摂取を制限することをもたらす。さらなる態様では、ネコ科動物へ組成物を給餌することが該ネコ科動物のヨウ素とセレンの両方の摂取を制限することをもたらす。
【0024】
[0027] いくつかの態様において、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための本組成物は、約31〜約35%のタンパク質を含む。該組成物に存在するタンパク質は、少なくとも約75%の植物タンパク質を含む。市販の成猫用フードは、例えば、典型的には、約35〜約45%のタンパク質を含む。従って、多くの態様において、甲状腺機能亢進のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための組成物は、ほとんどの市販の成猫用フードより少ないタンパク質を含む。いくつかのそのような態様において、本発明の組成物は、約32〜約34%のタンパク質を含む。他の態様において、該組成物は、約32〜約35%のタンパク質を含む。他の態様において、該組成物は、約33〜約35%のタンパク質を含む。他の態様において、該組成物は、約31、約32、又は約33〜約34又は約35%のタンパク質を含む。さらなる態様において、該組成物は、約31〜約32、約33、約34、又は約35%のタンパク質を含む。
【0025】
[0028] ネコ科動物は肉食動物であるので、ネコ科動物の食物は、典型的には、ほとんど動物タンパク質と魚類タンパク質を含むように製剤化される。反対に、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための本発明の組成物中のタンパク質は、少なくとも約75%の植物タンパク質を含む。いくつかのそのような態様において、該組成物は、少なくとも約80%の植物タンパク質を含む。他の態様において、該組成物は、少なくとも約85%の植物タンパク質を含む。他のそのような態様において、該タンパク質は、少なくとも約90%の植物タンパク質を含む。そして、他のそのような態様において、該タンパク質は、少なくとも約95%の植物タンパク質(即ち、少なくとも約95〜約100%までの植物タンパク質)を含む。このように、他の態様において、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための組成物は、約31〜約35%のタンパク質を含み、ここで該タンパク質は、少なくとも約75%の植物タンパク質を含む。いくつかのそのような態様において、該組成物は、約31、約32、又は約33〜約34、又は約35%のタンパク質を含み、ここで該タンパク質は、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、又は少なくとも約95%の植物タンパク質を含む。他の態様において、該組成物は、約31〜約32、約33、約34、又は約35%のタンパク質を含み、ここで該タンパク質は、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、又は少なくとも約95%の植物タンパク質を含む。なお他の態様において、該組成物は、約28又は約28.5〜約29、約29.5、又は約30%のタンパク質を含み、該タン
パク質は、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、又は少なくとも約95%の植物タンパク質を含む。
【0026】
[0029] 当業者は、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための組成物が、上記に考察した、ヨウ素、セレン、及びタンパク質(変動量の植物タンパク質が含まれる)の組合せのいずれも含み得ることを理解されよう。従って、例えば、いくつかの態様において、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための組成物は、約0.07、約0.1、約0.15、又は約0.2〜約0.25、約0.3、又は約0.5mg/kgのヨウ素、及び/又は約0.1、約0.15、約0.3、又は約0.4〜約0.65、約0.7、又は約0.8mg/kgのセレン、及び、任意選択的に、約31、約32、又は約33〜約34又は約
35%のタンパク質を含み、ここで該タンパク質は、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、又は少なくとも約95%の植物タンパク質を含む。
【0027】
[0030] いくつかの態様において、上記に記載のような、甲状腺機能亢進のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための組成物は、1以上の抗甲状腺剤及び/又は1以上の抗心臓血管系疾患剤をさらに含む。
【0028】
[0031] 抗甲状腺剤は、甲状腺機能亢進症を治療するために使用される、化合物、その誘導体(例、該化合物の塩、溶媒和物、又は水和物)、又はそのような化合物及び/又は誘導体を含んでなる組成物である。好適な抗甲状腺剤には、例えば、チオウレイレン(例、メチマゾール、プロピルチオウラシル、及びカルビマゾール)、アニリン誘導体(例、スルホンアミド)、多水酸基フェノール(例、レゾルシノール)、及びリチウム塩が含まれる。いくつかの態様において、抗甲状腺剤は、チオウレイレンを含む。チオウレイレンは、甲状腺ホルモンの産生を妨げる、5若しくは6員チオ尿素誘導体である。いくつかのそのような態様において、抗甲状腺剤は、チオウレイレンのメチマゾールを含む。他のそのような態様において、抗甲状腺剤は、チオウレイレンのプロピルチオウラシルを含む。さらなるそのような態様において、抗甲状腺剤は、チオウレイレンのカルビマゾールを含む。抗心臓血管系疾患剤は、心臓血管系疾患を治療するために使用される、化合物、その誘導体(例、該化合物の塩、溶媒和物、又は水和物)、又はそのような化合物及び/又は誘導体を含んでなる組成物である。好適な抗心臓血管系疾患剤には、例えば、利尿剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンH受容体アンタゴニスト、血管拡張薬、α−アドレナリン作用性受容体アンタゴニスト、エンドセリン受容体アンタゴニスト、カルシウムチャネルブロッカー、及びβ−アドレナリン作用性受容体アンタゴニストが含まれる。
【0029】
[0032] いくつかの態様において、心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための本発明の組成物は、1以上の抗甲状腺剤を含み、抗甲状腺剤の全量は、治療有効量(「抗甲状腺剤の治療有効量」)である。治療有効量又は有効量とは、標的とする状態を治療する目標を達成する量である。当業者は、特定の状態(例、甲状腺機能亢進症)を治療するのにどのくらい多くの薬剤又は薬剤の組合せをネコ科動物へ投与すべきかを、定型的な実験によって知るか又は決定することができる。例えば、当業者は、ネコ科動物へ維持十分量で給餌するときに、組成物に存在する薬剤(複数)の治療有効量を典型的に送達する組成物を調製することができる。いくつかの事例において、薬剤の量は、治療の段階に応じて変動してよい。例えば、治療の初期段階では、より高い用量の抗甲状腺剤を使用してよい。このように、特別な薬剤の治療有効量は、疾患の段階に応じて変動してよい。当業者は、変動量の抗甲状腺剤を有する組成物を調製してからその組成物を連続的に給餌して、望ましい量の抗甲状腺剤(複数)をネコ科動物へ送達することができる。いくつかの態様において、該組成物は、1以上の抗心臓血管系疾患剤を含み、抗心臓血管系疾患剤の全量は、治療有効量(「抗心臓血管系剤の治療有効量」)である。いくつかの態様において、該組成物は、治療有効量の抗甲状腺剤と治療有効量の抗心臓血管系疾患剤を含む。
【0030】
[0033] いくつかの態様において、甲状腺機能亢進のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための組成物は、1以上の食品組成物を含む。いくつかの態様において、該組成物は、AAFCOの「維持のための最低栄養レベル要求量」を満たす。あらゆるコンシステンシー(consistency)又は水分含量の食品が考慮されるが、本発明の組成物は、例えば、ウェット、ドライ、又はセミモイストの動物食品組成物であってよい。「ウェット」フードは、約70〜約90%の水分含量を有する食品を意味する。「ドライ」フードは、約5〜約15%の水分含量である組成物を意味して、ひと口サイズ又はキブルの形態でしばしば製造される。「セミモイスト」フードは、約25〜
約45%の水分含量である組成物を意味する。ここでまた考慮されるのは、様々なコンシステンシーの成分、並びに、1より多いコンシステンシーを含めてよい成分(例えば、軟らかくて噛みでがある肉のような粒子、並びに、例えば、米国特許第6,517,877号に記載のような、外側のシリアル成分と内側のクリーム成分を有するキブル)を含み得る組成物である。いくつかの態様において、食品組成物は、おやつ、スナック、サプリメント、又は一部若しくは全部食用の玩具を含む。いくつかの態様において、該組成物は、1以上の食品の混合物を含む。
【0031】
[0034] 別の側面において、本発明は、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための組成物を調製するための方法を提供する。そのような組成物は、例えば、合わせたときに本発明の組成物を生じる様々な成分(食品組成物が含まれる)を混合することによって調製することができる。組成物はまた、例えば、「小動物の栄養(Small Animal Nutrition)」127-146頁(2000)に考察されている方法
によって調製することができる。本発明の組成物を調製するのに適した植物成分には、例えば、ジャガイモ濃縮物、大豆濃縮物、大豆ミール、大豆タンパク単離物、コーングルテンミール、コメタンパク単離物、エンドウ豆タンパク濃縮物、小麦タンパク濃縮物、及び小麦タンパク単離物が含まれる。低セレン含有組成物を調製するには、例えば、セレンを含まないミネラルミックスと、例えば、ジャガイモ濃縮物、大豆濃縮物、及び大豆タンパク単離物のような、少量のセレンを含有する成分を使用することができる。低ヨウ素含有組成物を調製するには、例えば、ヨウ素が豊富な食用色素を回避することができて、ヨウ素を含まないミネラルミックス、非ヨウ素化塩、又は、例えば、ジャガイモ濃縮物、大豆濃縮物、及び大豆タンパク単離物のような、少量のヨウ素を含有する成分を使用することができる。
【0032】
[0035] 本発明の組成物を調製するのに適したヨウ素及びセレン含有成分は、例えば、米国特許出願番号US2005/0058691 A1の表3に収載されている。組成物を調製するのに適した植物成分には、例えば、大豆ミール、コーングルテンミール、コメタンパク単離物、エンドウ豆タンパク濃縮物、小麦タンパク濃縮物、及び小麦タンパク単離物が含まれる。組成物を調製するには、卵も使用することができる。組成物を調製するのに適した食肉成分には、例えば、ブタ肝臓、ウシ脾臓、牛タン、ブタ肺葉、ウシ肺臓、食肉タンパク単離物、骨抜き七面鳥肉、鶏ガラ、及び鶏肉副産物ミールが含まれる。当業者は、本発明のいくつかの態様において、高い植物タンパク含量、並びに低いヨウ素及び/又はセレン含量を達成するには、ほとんど植物成分を利用する必要があることを理解されよう。上記に考察したように、市販のキャットフードは、典型的には、本発明の組成物中のヨウ素及び/又はセレンの量より高い量のヨウ素及びセレンを含有する。
【0033】
[0036] 別の側面において、本発明は、心臓血管系疾患を発症する感受性がある、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において1以上の心臓血管系疾患を予防するための方法を提供する。
【0034】
[0037] 別の側面において、本発明は、そのような治療の必要な甲状腺機能亢進のネコ科動物において1以上の心臓血管系疾患を治療するための方法を提供する。
[0038] 甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための本発明の方法は、上記に考察した組成物を該ネコ科動物へ給餌することを含む。当業者は、単一の組成物をネコ科動物へ給餌しても、あるいは、異なるそのような組成物を様々な時間間隔でネコ科動物へ給餌してもよいと理解されよう。
【0035】
[0039] いくつかの態様において、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための方法は、約0.07mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ素を含む組成物を該ネコ科動物へ給餌することを含む。いくつかのそのような態
様において、該ネコ科動物へ給餌する組成物は、約0.1〜約1mg/kgのヨウ素を含む。いくつかのそのような態様において、該ネコ科動物へ給餌する組成物は、約0.1〜約0.5mg/kgのヨウ素を含む。他のそのような態様において、該ネコ科動物へ給餌する組成物は、約0.1〜約0.3mg/kgのヨウ素を含む。他のそのような態様において、該ネコ科動物へ給餌する組成物は、約0.15〜約0.25mg/kgのヨウ素を含む。
【0036】
[0040] いくつかの態様において、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための方法は、約0.1〜約1.3mg/kgのセレンを含む組成物を該ネコ科動物へ給餌することを含む。いくつかのそのような態様において、該ネコ科動物へ給餌する組成物は、約0.1〜約0.8mg/kgのセレンを含む。他のそのような態様において、該ネコ科動物へ給餌する組成物は、約0.15〜約0.65mg/kgのセレンを含む。他のそのような態様において、該組成物は、約0.4〜約0.7mg/kgのセレンを含む。そして、他のそのような態様において、該ネコ科動物へ給餌する組成物は、約0.3〜約0.65のmg/kgセレンを含む。
【0037】
[0041] いくつかの態様において、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための方法は、約0.07mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ素、並びに約0.1mg/kg〜約1.3mg/kg未満のセレンを含む組成物を該ネコ科動物へ給餌することを含む。いくつかのそのような態様において、該ネコ科動物へ給餌する組成物は、約0.1〜約1mg/kgのヨウ素と約0.1〜約0.8mg/kgのセレンを含む。いくつかのそのような態様において、該ネコ科動物へ給餌する組成物は、約0.1〜約0.5mg/kgのヨウ素と約0.1〜約0.8mg/kgのセレンを含む。他のそのような態様において、該ネコ科動物へ給餌する組成物は、約0.1〜約0.3mg/kgのヨウ素と約0.15〜約0.65mg/kgのセレンを含む。そして、他のそのような態様において、該ネコ科動物へ給餌する組成物は、(1)約0.07、約0.1、約0.15、又は約0.2〜約0.25、約0.3、又は約0.5mg/kgのヨウ素と(2)約0.1、約0.15、約0.3、又は約0.4〜約0.65、約0.7、又は約0.8mg/kgのセレンを含む。
【0038】
[0042] いくつかの態様において、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための方法は、約0.07、約0.1、約0.15、又は約0.2〜約0.25、約0.3、又は約0.5mg/kgのヨウ素、及び/又は約0.1、約0.15、約0.3、又は約0.4〜約0.65、約0.7、又は約0.8mg/kgのセレンと、任意選択的に、約31、約32、又は約33〜約34又は約35%のタンパク質を含む組成物を該ネコ科動物へ給餌することを含み、ここで該タンパク質は、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、又は少なくとも約95%の植物タンパク質を含む。
【0039】
[0043] いくつかの態様において、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための方法は、1以上の抗心臓血管系疾患剤を該ネコ科動物へ投与することをさらに含む。いくつかの態様において、甲状腺機能亢進症のネコ科動物における心臓血管系疾患の予防及び治療の方法は、1以上の抗甲状腺剤を該ネコ科動物へ投与することをさらに含む。いくつかの態様において、甲状腺機能亢進症のネコ科動物における心臓血管系疾患の予防及び治療の方法は、1以上の抗心臓血管系疾患剤と1以上の抗甲状腺剤を該ネコ科動物へ投与することをさらに含む。そのような薬剤は、本発明の組成物を給餌すると共に投与する。用語「共に」は、薬剤を本発明の組成物と一緒に、又は該組成物とは別に、同じであるか又は異なる投与経路より同じであるか又は異なる頻度で、そして該組成物とほぼ同時に又は周期的に、ネコ科動物へ投与することを意味する。「投与すること」は、薬剤を好適な剤形において好適な投与経路により、例えば、経口的
、局所的、又は非経口的にネコ科動物へ導入することを意味する。「ほぼ同時に」は、一般に、組成物をネコ科動物へ給餌するときに、又は組成物をネコ科動物へ給餌することの約72時間以内に薬剤を投与することを意味する。「周期的に」は、一般に、組成物をネコ科動物に適したように定型的にネコ科動物へ給餌している間に、薬剤を投与するのに適した投与スケジュールに従って該薬剤をネコ科動物へ投与することを意味する。従って、用語「共に」には、具体的には、組成物をずっとより長い期間の間(例えば、終生)ネコ科動物へ給餌している間に、薬剤を処方期間の時間の間ネコ科動物へ投与する状況が含まれる。1より多い薬剤を投与するならば、各薬剤の剤形及び投与経路は、多様であってよい。さらに、特定の薬剤をネコ科動物へ投与している間に、ある組成物を別の組成物で代用してよい。
【0040】
[0044] 好適な抗心臓血管系疾患剤及び抗甲状腺剤については、本発明の組成物の文脈において上記に考察した。そのような薬剤は、例えば、無機酸又は有機酸より誘導される塩の形態で投与することができる。特別な化合物によっては、該化合物の塩が、その塩の物理特性(例えば、異なる温度及び湿度における製剤安定性の亢進、又は水若しくはオイルにおける望ましい溶解性)の1以上により有利であり得る。塩は、好ましくは、医薬的に許容される塩である。
【0041】
[0045] 薬剤の全1日用量(単回用量又は分割用量で投与される)は、典型的には、約0.001〜約100mg/kg、好ましくは約0.001〜約30mg/kg、そしてなおより好ましくは約0.01〜約10mg/kg体重である。投与量の単位組成物は、1日用量を構成するそのような量又はその約数を含有し得る。多くの場合、薬剤の投与は、複数回繰り返される。典型的には、全1日用量を増やすために、1日につき頻回の用量を使用してよい。好ましい投与方式に影響を及ぼす因子には、例えば、ネコ科動物の年齢、体重、及び状態;疾患の重症度;投与の経路;薬理学的考察事項(例、特別な薬剤の活性、効力、並びに薬物動態及び毒性プロフィール);ドラッグデリバリーシステムを利用するかどうか;並びに、薬剤を組合せ医薬品の一部として投与するかどうかが含まれる。従って、実際に利用する投与方式はかなり変化する可能性があり、上記に示した投与方式とは異なる可能性がある。
【0042】
[0046] 別の側面において、本発明は、本発明の組成物の、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防するための医薬品を製造するための使用を提供する。
[0047] 別の側面において、本発明は、本発明の組成物の、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を治療するための医薬品を製造するための使用を提供する。
【0043】
[0048] さらなる側面において、本発明は、製造品、例えば、上記に考察したような本発明の組成物を含んでなるキットを提供する。キットは、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するのに適している。いくつかの態様において、キットは、1以上の抗心臓血管系疾患剤をさらに含む。いくつかの態様において、キットは、1以上の抗甲状腺剤をさらに含む。いくつかの態様において、キットは、抗心臓血管系疾患剤と抗甲状腺剤をさらに含む。いくつかの態様において、キットは、例えば、(a)該組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌すること、(b)該組成物を該ネコ科動物へ給餌すると共に抗心臓血管系疾患剤及び/又は抗甲状腺剤を該ネコ科動物へ投与すること、(c)該組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌することによって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を予防すること、(d)該組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌することによって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を治療すること、(e)該組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌すると共に抗心臓血管系疾患剤及び/又は抗甲状腺剤を該ネコ科動物へ投与することによって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を予防すること、及び(f)該組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌すると共に抗心臓血管系疾患剤及び/又は抗甲状腺剤を該ネコ科動物へ投与すること
によって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を治療することの1以上についての教示をさらに含む。
【0044】
[0049] 本発明のいくつかの態様において、キットは、該キットの一部であるか又は一部でない追加成分と一緒に、及び任意選択的に組み合わせるときに本発明の組成物を生じる2以上の成分を含む。そのような追加成分を使用するのであれば、キットは、これらの成分についての教示を提供する。いくつかの態様において、キットは、抗心臓血管系疾患剤をさらに含む。いくつかの態様において、キットは、抗甲状腺剤をさらに含む。いくつかの態様において、キットは、抗心臓血管系疾患剤と抗甲状腺剤をさらに含む。いくつかの態様において、キットは、(a)成分を組み合わせることによって、甲状腺機能亢進のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防するための本発明の組成物を調製すること、(b)成分を組み合わせることによって、甲状腺機能亢進のネコ科動物において心臓血管系疾患を治療するための組成物を調製すること、(c)心臓血管系疾患を予防するための組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌すること、(d)心臓血管系疾患を治療するための組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌すること、(e)心臓血管系疾患を予防するための組成物をネコ科動物へ給餌すると共に抗心臓血管系疾患剤及び/又は抗甲状腺剤を該ネコ科動物へ投与すること、(f)心臓血管系疾患を治療するための組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌すると共に抗心臓血管系疾患剤及び/又は抗甲状腺剤を該ネコ科動物へ投与すること、(g)心臓血管系疾患を予防するための組成物を甲状腺機能亢進のネコ科動物へ給餌することによって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を予防すること、(h)心臓血管系疾患を治療するための組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌することによって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を治療すること、(i)心臓血管系疾患を予防するための組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌すると共に抗心臓血管系疾患剤及び/又は抗甲状腺剤を該ネコ科動物へ投与することによって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を予防すること、及び(j)心臓血管系疾患を治療するための組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌すると共に抗心臓血管系疾患剤及び/又は抗甲状腺剤を該ネコ科動物へ投与することによって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を治療することの1以上についての教示をさらに含む。
【0045】
[0050] いくつかの態様において、キットは、単一パッケージ中の別容器に、又はバーチャルパッケージ中の別容器に、適宜、組成物、又は該キットの一部であるか又は一部でない追加成分と一緒に、及び任意選択的に組み合わせるときに本発明の組成物を生じる2以上の成分、並びに(a)成分を組み合わせることによって、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための本発明の組成物を調製すること、(b)心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための組成物を甲状腺機能亢進のネコ科動物へ給餌すること、(c)本発明の組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌すると共に抗心臓血管系疾患剤及び/又は抗甲状腺剤を該ネコ科動物へ投与すること、(d)本発明の組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌することによって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療すること、(e)本発明の組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌すると共に抗心臓血管系疾患剤及び/又は抗甲状腺剤を該ネコ科動物へ投与することによって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療することの1以上についての教示を含む。
【0046】
[0051]用語「単一パッケージ」は、一般に、キットの諸成分が1以上の容器の中で、又はそれとともに物理的に結びついて、製造、流通、販売、又は使用の単位とみなされることを意味する。容器には、例えば、袋、箱、瓶、収縮包装パッケージ、諸成分をステープル留め又は他のやり方で固定したもの、そしてこれらの組合せが含まれる。単一パッケージは、例えば、製造、流通、販売、又は使用の単位とみなされるように物理的に結びついた、容器又は個別の食品組成物であり得る。用語「バーチャルパッケージ」は、一般に、キットの諸成分が、追加成分を入手する方法を使用者に教示する、1以上の有形又は仮
想のキット成分に関する説明書により(例えば、1つの成分と、ウェブサイトへ行き、記録メッセージと接触し、視覚メッセージを眺めるか又は世話人と接触して、キットの使用法に関する教示を得ることを使用者に教示する説明書を含有するバッグにおいて)関連付けられていることを意味する。キットがバーチャルパッケージを含むとき、キットは、1以上の有形のキット成分とともにバーチャル環境における教示に制限される。
【0047】
[0052] いくつかの態様において、キットは、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するのに適していて、単一パッケージ中の別容器に、又はバーチャルパッケージ中の別容器に、適宜、約0.07mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ素及び/又は約0.1〜約1.3mg/kgのセレン、又は該キットの一部であるか又は一部でない追加成分と一緒に、及び任意選択的に組み合わせるときに、約0.07mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ素及び/又は約0.1〜約1.3mg/kgのセレンを含む組成物を生じる2以上の成分を含む組成物、並びに(a)抗心臓血管系疾患剤、(b)抗甲状腺剤、(c)該組成物を調製するための教示、(d)該組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌するための教示、(e)該組成物を甲状腺機能亢進のネコ科動物へ給餌することによって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための教示、及び(f)該組成物を甲状腺機能亢進のネコ科動物へ給餌すると共に抗心臓血管系疾患剤及び/又は抗甲状腺剤を該ネコ科動物へ投与することによって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための教示の1以上を含む。
【0048】
[0053] さらなる側面において、本発明は、(a)心臓血管系疾患を予防するための組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌すること、(b)心臓血管系疾患を治療するための組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌すること、(c)心臓血管系疾患を予防するための組成物をネコ科動物へ給餌すると共に該ネコ科動物へ抗心臓血管系疾患剤及び/又は抗甲状腺剤を投与すること、(d)心臓血管系疾患を治療するための組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌すると共に該ネコ科動物へ抗心臓血管系疾患剤及び/又は抗甲状腺剤を投与すること、(e)本発明の組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌することによって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を予防すること、(f)本発明の組成物を甲状腺機能亢進のネコ科動物へ給餌することによって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を治療すること、(g)本発明の組成物を甲状腺機能亢進のネコ科動物へ給餌すると共に該ネコ科動物へ抗心臓血管系疾患剤及び/又は抗甲状腺剤を投与することによって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を予防すること、(h)本発明の組成物を甲状腺機能亢進のネコ科動物へ給餌すると共に該ネコ科動物へ抗心臓血管系疾患剤及び/又は抗甲状腺剤を投与することによって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を治療すること、(i)心臓血管系疾患を予防するためのキットを甲状腺機能亢進症のネコ科動物において使用すること、及び(j)心臓血管系疾患を治療するためのキットを甲状腺機能亢進症のネコ科動物において使用することの1以上に関する情報又はそれについての教示を伝達するための手段を提供する。この伝達手段は、例えば、その情報又は教示を含有する、文書、デジタル保存媒体、光保存媒体、オーディオ実演、又は視覚ディスプレイを含む。好ましくは、伝達手段は、そのような情報又は教示を含有する、表示ウェブサイト又は文書、製品ラベル、添付文書、広告、又は視覚ディスプレイである。有用な情報又は教示には、例えば、(1)本発明の組成物、方法、又はキットを使用する方法についての情報及び教示、及び(2)動物の世話人のための、本発明とその使用に関する質問がある場合のコンタクト情報が含まれる。
【0049】
[0054] いくつかの態様において、本発明は、(a)約0.07mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ素及び/又は約0.1〜約1mg/kgのセレンを含む組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌することによって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療すること;(b)約0.07mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ
素及び/又は約0.1〜約1.3mg/kgのセレンを含む組成物を甲状腺機能亢進のネコ科動物へ給餌すると共に抗心臓血管系疾患剤及び/又は抗甲状腺剤を該ネコ科動物へ投与することによって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療すること;及び(c)約0.07mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ素及び/又は約0.1〜約1.3mg/kgのセレン、又は追加成分と一緒に、及び任意選択的に組み合わせるときに、約0.07mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ素及び/又は約0.1〜約1mg/kgのセレンを含む組成物を生じる2以上の成分を含んでなる組成物を含むキットを使用することの1以上に関する情報又はそれについての教示を伝達するための手段を提供する。この手段は、その情報又は教示を含有する、文書、デジタル保存媒体、オーディオ実演、又は視覚ディスプレイを含む。
【0050】
[0055] 他に定義しなければ、本明細書に使用するすべての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。
[0056] 本明細書に使用するように、他に具体的に述べなければ、範囲は、終点が含まれる、ある範囲内のそれぞれの数値とすべての数値について記載するための簡略表記である。本開示に引用されるすべての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、本開示における定義と引用文献のそれとの間に抵触がある場合は、本開示が標準となる。
【0051】
[0057] 他に述べなければ、本明細書に提供する百分率は、いずれも乾燥物質ベースでの重量百分率であり、例えば、31%のタンパク質は、乾燥物質ベースで31%のタンパク質を意味する。また、成分の濃度も示し、例えば、1mg/kgのヨウ素は、乾燥物質ベースで1mg/kgのヨウ素を意味する。用語「乾燥物質ベース」は、組成物中の成分濃度を、組成物より水分を除いた後で測定することを意味する。
【0052】
[0058] 単数形の「a」、「an」(不定冠詞)及び「the」(定冠詞)には、文脈が明らかに他に指示しなければ、複数の指示(references)が含まれる。用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含んでなる(comprising)」は、排他的で
はなく包含的に解釈されるべきである。
【0053】
[0059] 本明細書に使用するように、「有効な量」、「有効量」、等の用語は、特別な生物学的結果を達成するのに有効であり得る、本明細書に記載するような化合物、材料、又は組成物の量を意味する。そのように有効な活性は、例えば、本発明の組成物の動物への投与によって達成される場合がある。有効量は、動物の理想体重、組成物の代謝可能エネルギー、及び本発明の動物組成物を給餌する頻度(例えば、1日1回、2回、又は3回)と動物へ給餌する他の組成物が含まれる、いくつかの因子に基づく場合がある。
【0054】
[0060] 本明細書では、本発明の典型的な好ましい態様を開示して、具体的な用語を利用するとしても、それらは一般的で記述的な意味でのみ使用するのであって、限定の目的のためではなく、本発明の範囲は、特許請求項に示されている。上記の教示に照らせば、本発明の多くの修飾及び変形が可能であることが明らかである。本発明は、付帯の特許請求項の範囲内であれば、具体的に記載されるのとは別のやり方で実施してよいと理解される。
【0055】
実施例
[0061] 本発明を以下の実施例によってさらに例示することができるが、この実施例は、単に例示の目的のために含めるのであって、他に具体的に示さなければ、本発明の範囲を制限することを企図しないと理解されたい。
【0056】
実施例1
[0062] 実施例1は、甲状腺機能亢進のネコにおいて甲状腺機能亢進症を治療すると同時に心臓血管系疾患を予防及び/又は治療することに対する、本組成物の効果を例示する。
【0057】
[0063] 食品Aは、0.21mg/kgのヨウ素と0.74mg/kgのセレンを含有してAAFCOの「ネコの維持のための最低栄養レベル要求量」を満たすドライキャットフードとして製剤化する。これは、大豆ミール、コーングルテンミールをタンパク成分として含有する。食品Aは、ほぼ97%の植物タンパク質とほぼ34%の総タンパク質を含有する。
【0058】
[0064] 食品Bは、0.38mg/kgのヨウ素と0.67mg/kgのセレンを含有してAAFCOの「ネコの維持のための最低栄養レベル要求量」を満たすドライキャットフードとして製剤化する。これは、大豆ミール、コーングルテンミール、鶏肉ミール、及び豚肉タンパク単離物をタンパク成分として含有する。食品Bは、ほぼ76%の植物タンパク質とほぼ34%の総タンパク質を含有する。
【0059】
[0065] 食品Cは、0.25mg/kgのヨウ素と0.95mg/kgのセレンを含有してAAFCOの「ネコの維持のための最低栄養レベル要求量」を満たすドライキャットフードとして製剤化する。これは、コーングルテンミールと豚肉タンパク単離物をタンパク成分として含有する。食品Cは、ほぼ85%の植物タンパク質とほぼ34%の総タンパク質を含有する。
【0060】
[0066] 食品Dは、0.21mg/kgのヨウ素と1.2mg/kgのセレンを含有してAAFCOの「ネコの維持のための最低栄養レベル要求量」を満たすウェットキャットフードとして製剤化する。これは、大豆ミール、ブタ肺臓、及びブタ肝臓をタンパク成分として含有する。食品Dは、ほぼ32%の植物タンパク質とほぼ34%の総タンパク質を含有する。
【0061】
[0067] 22匹の老齢ネコ(平均年齢は、13.9歳であり、範囲は、11.5〜17.2歳である)を、甲状腺ホルモンプロフィール、甲状腺スキャン、及びT抑制試験に基づいて、甲状腺機能亢進であると確認する。この22匹のネコの中で64%は上昇した甲状腺レベルをベースラインで有し、平均TTは、73.4ナノモル/Lであり、TT範囲は、30.9〜145.4(正常範囲=10〜55)である。
【0062】
[0068] 全22匹のネコが心エコー図測定をベースラインと食餌治療後6ヶ月で受ける。さらに、18匹のネコがベースラインの心電図検査を受ける。17匹のネコを食品A、B、又はCの1つに割り当てる。食品は、ネコへ24週間給餌する。すべての食品が約0.25mg/kgのヨウ素を含有するように製剤化するが、分析結果は、食品Bが約0.27〜約0.60mg/kgのヨウ素の範囲を取り、ヨウ素がきわめて変動していることを明らかにした。残る5匹のネコは、ウェットフードDを給餌することを企図したが、消費を拒絶した。そこで、今回の試験では、これらのネコに食品Cを3週間給餌してから、試験の残りの期間は対照の高齢ダイエット食へ切り換えた。
【0063】
[0069] 心電図により、心臓のリズムや伝導パターンの異常を評価して、房室の肥大のパターンを推定する。11匹のネコが17のECG異常を表示した。この11匹のネコの中で8匹(73%)は、上昇した甲状腺レベルをベースラインで有する。この心電図所見の結果と先の諸研究との比較を以下の表1に示す。
【0064】
【表1】

【0065】
[0070] 左記の諸研究と同様に、最も頻繁に確認された異常は、左心室後壁に明らかである(以下の表2を参照のこと)。食品Aへ無作為化した5匹のネコのうち1匹、食品Bへ無作為化した5匹のネコのうち2匹、食品Cへ無作為化した7匹のネコのうち2匹、そして食品Dへ無作為化した5匹のネコのうち2匹は、心エコー図の異常を示した。この7匹のネコのうち4匹は上昇したTTを、そして3匹は正常なTTをベースラインで有する。左心房肥大(LAE)を除けば、心室中隔(IVS)、左心室後壁(LVPW)、及び収縮過多性左心室(LVH)の肥大の罹患率は、Moise et al., American Journal of Veterinary Research 47: 1487-94 (1986) により観測されたものに類似している。実
施例1のネコにおけるLAEは、Moise らにより観測されたLAEよりずっと低い罹患率である(55%に対して14%)。このことは、実施例1のネコにおける甲状腺機能亢進症の臨床徴候の早期検出及び/又は非存在に帰せられるかもしれない。
【0066】
【表2】

【0067】
[0071] 表3は、LVPW測定に基づいて心臓肥大を有する(例えば、拡張期LVPW>0.6cm)とベースラインで確認された6匹のネコについてのLVPW測定からの結果を示す。表3の結果からは、食品A、B、C、又はDを給餌することによる改善はないように見える。しかしながら、心エコー図測定における平均の変化を特定の食品レジメにより影響される(表4)か又はTTの変化に従属するものとして評価するときは、いくつかの心臓測定値で統計学的な有意差と有意な相関性がともに観測される(表5)。
【0068】
【表3】

【0069】
【表4】

【0070】
【表5】

【0071】
[0072] 食品A、B、及びDを給餌したネコでは、TTの有意な低下がある。さらに、超音波測定値(IVS、LVEDd、及びLVPWd)の改善が観察される。Bを給餌したネコでは超音波測定値に改善がないが、このことは、TTにおける有意な変化の不足と一致する。IVSを除けば、食品C>A>D>Bを給餌したネコで心臓測定値の最大の改善が観測され、このことは、TTの低下の大きさと相関する。求心性肥大は、心室中隔又は左心室自由壁測定値の増加により定義される。これらの構造上の増加の結果として、左心室容積(例えば、左心室拡張末期径、LVEDd)は、しばしば正常より小さい。従って、甲状腺機能亢進疾患の成功した治療又は消散では、IVS及びLVPWdの減少とLVEDdの増加が望まれる。食品Dを給餌したネコでは、TTの有意な低下が3週間の間に観測されるが、この間、これらのネコは、ウェットフードDで給餌されている。このTTの低下は、体重損失又は厳しい食事制限が甲状腺ホルモン産生を抑えることが示されているので、おそらくは、食品Dを給餌したときにこれらのネコで起こった、企図しない食餌制限又は食餌拒絶に帰せられるものである(その3週の期間にわたり、5匹のネコすべてが体重を損失した)。
【0072】
[0073] 表3に示すデータと表4及び5に示す治療平均データ及び相関分析の間の見かけの矛盾は、おそらくは、少ない動物数、心臓肥大の「臨床」証拠を提示するネコの数の不足、より進行した心臓障害を有するネコにおける改善を実証するのに不十分な試験期間、腎不全のような、心エコー図の変化に影響を及ぼす可能性がある他の疾患の併発又は混乱効果が含まれる、いくつかの要因に帰せられるものであろう。さらに、より進行した段階の求心性肥大及び/又は甲状腺機能亢進疾患を有するネコは、経時的に消散も改善もしないということもあり得る。食品A及びCを給餌したネコは、不変のままであった。この発見的な観察は、すべての心臓病態が甲状腺機能亢進症の成功した治療後も消散又は改善するわけではないことを観察した他の研究結果と相関する。実施例1において観測される超音波測定値の統計学的な変化は、甲状腺プロフィール変化と肝酵素(アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアルカリホスファターゼ(ALP))の低下ときわめてよく相関した。さらに、この治療順位(例えば、食品C>A>B)は、測定したすべてのパラメーター全体で一致している。食品Cを給餌することは、低下の最大の大きさをもたらした:甲状腺ホルモンプロフィールの55%減少、ALTの45%低下、及びALPの40%低下。これらのパラメーターのすべてが甲状腺機能亢進症のネコと関連付けられてきたので、成功した食餌治療では、これらのパラメーターの低下が期待されよう。
【0073】
[0074] 本発明の特別な態様を本明細書に示して記載してきたが、当業者には、本発明のより広い側面より逸脱することなく種々の変更及び修飾をなし得ることが明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための方法であって、乾燥物質ベースで約0.07mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ素を含む組成物を該ネコ科動物へ給餌することを含んでなる、前記方法。
【請求項2】
組成物が約0.1mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ素を含む、請求項1の方法。
【請求項3】
組成物が約0.1〜約0.5mg/kgのヨウ素を含む、請求項1の方法。
【請求項4】
組成物が約0.1〜約1.3mg/kgのセレンをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項5】
組成物が約0.1〜約1mg/kgのセレンをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項6】
組成物が約0.1〜約0.8mg/kgのセレンをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項7】
組成物が約31〜約35%のタンパク質をさらに含み、ここで該タンパク質は、少なくとも約75%の植物タンパク質を含む、請求項1の方法。
【請求項8】
組成物をネコ科動物へ給餌すると共に抗甲状腺剤をネコ科動物へ投与することをさらに含む、請求項1〜7のいずれかの方法。
【請求項9】
治療有効量の抗甲状腺剤をネコ科動物へ投与する、請求項8の方法。
【請求項10】
組成物をネコ科動物へ給餌すると共に抗心臓血管系疾患剤をネコ科動物へ投与することをさらに含む、請求項1〜9のいずれかの方法。
【請求項11】
治療有効量の抗心臓血管系疾患剤をネコ科動物へ投与する、請求項10の方法。
【請求項12】
心臓血管系疾患が心臓肥大を含む、請求項1の方法。
【請求項13】
心臓血管系疾患が肥大性心筋症を含む、請求項1の方法。
【請求項14】
ネコ科動物がネコである、請求項1の方法。
【請求項15】
組成物が食品組成物である、請求項1の方法。
【請求項16】
甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための方法であって、乾燥物質ベースで約0.1〜約1.3mg/kgのセレンを含む組成物を該ネコ科動物へ給餌することを含んでなる、前記方法。
【請求項17】
組成物が約0.1〜約1mg/kgのセレンをさらに含む、請求項16の方法。
【請求項18】
組成物が約0.1〜約0.8mg/kgのセレンをさらに含む、請求項16の方法。
【請求項19】
組成物が約0.15〜約0.65mg/kgのセレンをさらに含む、請求項16の方法。
【請求項20】
組成物が約31〜約35%のタンパク質をさらに含み、ここで該タンパク質は、少なくとも約75%の植物タンパク質を含む、請求項16〜19のいずれかの方法。
【請求項21】
組成物をネコ科動物へ給餌すると共に抗甲状腺剤をネコ科動物へ投与することをさらに含む、請求項16〜19の方法。
【請求項22】
治療有効量の抗甲状腺剤をネコ科動物へ投与する、請求項20の方法。
【請求項23】
組成物をネコ科動物へ給餌すると共に抗心臓血管系疾患剤をネコ科動物へ投与することをさらに含む、請求項16〜22のいずれかの方法。
【請求項24】
治療有効量の抗心臓血管系疾患剤をネコ科動物へ投与する、請求項23の方法。
【請求項25】
心臓血管系疾患が心臓肥大を含む、請求項16の方法。
【請求項26】
心臓血管系疾患が肥大性心筋症を含む、請求項16の方法。
【請求項27】
ネコ科動物がネコである、請求項16の方法。
【請求項28】
組成物が食品組成物である、請求項16の方法。
【請求項29】
乾燥物質ベースで約0.07mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ素及び/又は約0.1〜約1.3mg/kgのセレンを含んでなる、甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための組成物。
【請求項30】
約0.1mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ素を含む、請求項29の組成物。
【請求項31】
約0.1〜約0.5mg/kgのヨウ素を含む、請求項29の組成物。
【請求項32】
約0.1〜約0.8mg/kgのセレンを含む、請求項29の組成物。
【請求項33】
約31〜約35%のタンパク質をさらに含み、ここで該タンパク質は、少なくとも約75%の植物タンパク質を含む、請求項29の組成物。
【請求項34】
心臓血管系疾患が心臓肥大を含む、請求項29〜33のいずれかの組成物。
【請求項35】
心臓血管系疾患が肥大性心筋症を含む、請求項29〜33のいずれかの組成物。
【請求項36】
ネコ科動物がネコである、請求項29〜33のいずれかの組成物。
【請求項37】
組成物が食品組成物である、請求項29〜33のいずれかの組成物。
【請求項38】
甲状腺機能亢進症のネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するためのキットであって:
乾燥物質ベースで約0.07mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ素、及び/又は乾燥物質ベースで約0.1〜約1.3mg/kgのセレンを含む組成物、又は該キットの一部であるか又は一部でない追加成分と一緒に、及び任意選択的に組み合わせるときに、乾燥物質ベースで約0.07mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ素、及び/又は乾燥物質ベースで約0.1〜約1.3mg/kgのセレンを含む組成物を生じる2以上の成分、並びに
(a)抗心臓血管系疾患剤;
(b)抗甲状腺剤;
(c)該組成物を調製するための教示;
(d)該組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌するための教示;
(e)該組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌することによって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための教示;及び
(f)該組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌すると共に抗心臓血管系疾患剤及び/又は抗甲状腺剤を該ネコ科動物へ投与することによって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療するための教示の1以上を、適宜、単一パッケージ中の別容器に、又はバーチャルパッケージ中の別容器に含んでなる、前記キット。
【請求項39】
(a)乾燥物質ベースで約0.07mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ素、及び/又は乾燥物質ベースで約0.1〜約1.3mg/kgのセレンを含む組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌することによって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療すること;
(b)乾燥物質ベースで約0.07mg/kg〜約1mg/kg未満のヨウ素、及び/又は乾燥物質ベースで約0.1〜約1.3mg/kgのセレンを含む組成物を甲状腺機能亢進症のネコ科動物へ給餌すると共に抗心臓血管系疾患剤及び/又は抗甲状腺剤を該ネコ科動物へ投与することによって該ネコ科動物において心臓血管系疾患を予防及び/又は治療すること、及び
(c)請求項38のキットを使用することの1以上に関する情報又はそれについての教示を伝達するための手段であって、該情報又は教示を含有する文書、デジタル保存媒体、オーディオ実演、又は視覚ディスプレイを含んでなる、前記手段。

【公開番号】特開2013−47226(P2013−47226A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−187414(P2012−187414)
【出願日】平成24年8月28日(2012.8.28)
【分割の表示】特願2009−518612(P2009−518612)の分割
【原出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】