説明

申請書作成システム、および申請書作成方法

【課題】この発明は、比較的安価な構成により、容易且つ確実に申請書を作成でき、運用コストを低減できる申請書作成システムを提供することを課題とする。
【解決手段】申請書作成システムは、コンピュータ11、読取装置12、およびプリンタ13を有する。ICチップcを内蔵した免許証Cが読取装置12に挿入され、スキャナ12aを介して免許証Cの券面の画像データが取得され、ICリーダ12bを介してICチップcから電子データが取得される。コンピュータ11の制御部21は、ICリーダを介してICチップcから読み取った電子データに基づいて当該免許証の有効期限を判断し、有効期限が切れている場合に、プリンタ13に対して失効用の申請書を作成するための印刷データを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、有効期限のある運転免許証や社員証などの各種証明書の更新を申請するための申請書を自動的に作成する申請書作成システム、および申請書作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、運転免許証の更新手続では、申請者は、顔写真入りの申請書を作成する必要がある。現状では、申請者自身が予め準備した写真を適当なサイズに切り、その写真を貼った申請用紙に氏名や住所等を手書きで記入している。或いは、申請者自身による氏名や住所等の手書きによる記入を省略するため、係員が申請の受け付け業務として、申請者から古い免許証を受け取り、申請用紙に免許証の券面(表面と裏面)の画像を印刷している。このような現状に対して、申請書を自動的に作成する自動作成機が提案されている。
【0003】
しかしながら、自動作成機を用いて申請書を作成する場合、申請者は、更新期間外であることに気がつかずに申請書を作成してしまう可能性がある。この場合、更新期間外であることは、申請書作成後の係員による書類審査で判明する。通常、更新期間内で行う更新手続きと、更新期間外で行う更新手続きあるいは新規発行手続きとは、手続きが異なる。このため、更新期間外であることに気がつかずに申請書を作成した場合、その申請書を破棄し、別の手続きを行ったり、新たに申請書を作り直したりする必要がある。このような場合、申請書の作成、処理時間あるいは審査手続き等に無駄が発生するため、システム全体として処理効率が低下してしまうという問題点がある。
【0004】
また、従来は、インターネット等を介して免許証の申請を行うシステムも提案されている(たとえば、特許文献1)。しかしながら、このような免許証の更新を行うシステムでは、システムの構成自体が大規模となるため、当該システムの構築に多額なコストがかかるという問題点もある。
【特許文献1】特開2004−13761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、比較的安価な構成により、容易且つ確実に申請書を作成でき、運用コストを低減できる申請書作成システム、および申請書作成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、この発明の申請書作成システムは、発行済の証明書のICチップに記録されているデータを読み取るデータ読み取り部と、この読み取ったデータに基づいて当該証明書の有効期限を判断する判断部と、この判断の結果、有効期限が切れていない場合、上記読み取ったデータに基づいて、当該証明書の更新を申請するための申請書に印刷する第1の印刷データを作成し、有効期限が切れている場合、上記読み取ったデータに基づいて、失効用の申請書に印刷する第2の印刷データを作成する印刷データ作成部と、この作成した第1の印刷データ或いは第2の印刷データを印刷して申請書を発行する印刷部と、を有する。
【0007】
また、この発明の申請書作成方法は、発行済の証明書のICチップに記録されているデータを読み取るデータ読み取り工程と、この読み取ったデータに基づいて当該証明書の有効期限を判断する判断工程と、この判断の結果、有効期限が切れていない場合、上記読み取ったデータに基づいて、当該証明書の更新を申請するための申請書を作成する工程と、上記判断の結果、有効期限が切れている場合、上記読み取ったデータに基づいて、失効用の申請書を作成する工程と、を有する。
【0008】
上記発明によると、更新前の古い証明書のICチップに記録されているデータを読み取って、有効期限を判断し、有効期限が切れていない場合に当該証明書の更新を申請するための申請書を作成し、有効期限が切れている場合に失効用の申請書を作成するようにした。このため、有効期限切れに気づかずに申請書を作成しようとした場合であっても、失効用の申請書を自動的に作成することができ、間違って申請書を作成してしまうことを防止できる。これにより、申請書の無駄を無くすことができ、失効用の申請書を作成する手間も低減できる。
【発明の効果】
【0009】
この発明の申請書作成システム、および申請書作成方法によると、比較的安価な構成により、容易且つ確実に申請書を作成でき、運用コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1には、この発明の実施の形態に係る申請書作成システム1(以下、単に、システム1と称する)の構成例を概略的に示してある。このシステム1は、コンピュータ11、読取装置12、およびプリンタ13(印刷部)を有する。読取装置12は、スキャナ12a(情報読み取り部)およびICリーダ12b(データ読み取り部)を有する(図2)。
【0011】
図1に示すような構成であれば、システム1を簡単かつ安価に構築できる。なお、本実施の形態で説明するシステム1は、コンピュータ11と同様な機能を有する制御部、読取装置12と同様な機能を有する読取部、および、プリンタ13と同様な機能を有する印刷部などを具備する一体的に形成した装置により構成するようにしても良い。
【0012】
また、本実施の形態のシステム1は、ICチップc(図2)を内蔵した運転免許証C(以下、単に、免許証Cと称する)(申請書)の更新に必要となる申請書を作成するシステムを想定しているが、定期的に更新が必要な社員証などの他の有効期限付きの証明書についても同様に、本システム1を利用して更新のための申請書を自動的に作成できる。
【0013】
また、この実施の形態において、更新の対象となる免許証Cには、当該免許証Cの所有者あるいは免許条件に関する情報として、個人の氏名、呼び名(ふりがな)、生年月日、本籍、有効期限、住所、免許種別、顔画像などの免許情報が券面(表面および裏面)に印刷されているものとする。なお、券面に印刷された免許情報と同じ情報(顔画像も含む)が免許証Cに内蔵されたICチップc(図2)に電子データとして記録されている。
【0014】
コンピュータ11は、読取装置12を介して免許証Cから読み取った情報に基づく更新の可否判定、あるいは、免許証Cからの情報あるいは申請者が入力する情報などに基づく申請書のデータ(印刷データ)を作成する。
【0015】
読取装置12は、スキャナ12aにより、免許証Cの券面(表面と裏面)の画像を光学的に読取って電子データに変換する。また、読取装置12は、ICリーダ12bにより、免許証CのICチップcに記録されている電子データを読み出す。さらに、読取装置12は、読取った免許証Cの券面の画像としての画像データ、およびICチップcから読み取った電子データをコンピュータ11へ出力する機能も有している。
【0016】
プリンタ13は、コンピュータ11からの印刷指示に基づいて予め載置されている用紙にコンピュータ11から供給される印刷データを印刷する。つまり、プリンタ13は、コンピュータ11から出力される印刷データに基づく申請書を作成して発行する。
【0017】
このような構成により、システム1では、読取装置12が申請者が提示した免許証Cの券面の画像データを読み取るとともにICチップcから電子データを読み取り、コンピュータ11が読取装置12により読取った免許証Cの券面の画像データと電子データと申請者自身により入力された情報とにより申請書の作成の可否判定および申請書の印刷データの作成を行い、プリンタ13がコンピュータ11で作成した申請書の印刷データに基づいて申請書を印刷する。
【0018】
次に、上記のような申請書作成システム1の構成について詳細に説明する。
図2は、上述したシステム1の構成例を示すブロック図である。
コンピュータ11は、図2に示すように、この発明の判断部および印刷データ作成部として機能する制御部21、記憶部22、表示部23、操作部24、および、文字認識部(OCR処理部)25などを有している。
【0019】
制御部21は、当該コンピュータ11全体の制御を司るものである。制御部21は、図示しないCPUや内部メモリなどにより構成される。制御部21は、記憶部22や図示しない内部メモリに記憶されている制御プログラムに基づいて種々の処理を実行するものである。すなわち、制御部21は、記憶部22などのメモリに記憶されているアプリケーションプログラムを実行することにより種々の機能を実現している。また、制御部21には、現在の日時を計時するクロック(図示しない)が設けられている。
【0020】
記憶部22は、種々の処理を実現するための制御プログラムなどの制御データ、あるいは、処理データなどを記憶するものである。表示部23は、申請者に対する種々の案内などを表示するものである。操作部24は、申請者から種々の操作指示が入力されるものである。なお、表示部23及び操作部24は、たとえば、タッチパネル内蔵の表示装置により構成するようにしても良い。文字認識部(OCR処理部)25は、スキャナ12aで読み取った画像データから文字等を認識するものである。なお、文字認識部25は、例えば、記憶部22などのメモリに記憶されているアプリケーションプログラムを制御部21などが実行することにより実現される機能である。
【0021】
また、コンピュータ11は、読取装置12とのデータの送受信を行うインターフェース(図示しない)、および、プリンタ13とのデータの送受信を行うインターフェース(図示しない)なども有している。
【0022】
読取装置12は、スキャナ12aおよびICリーダ12bを有する。スキャナ12aは、免許証Cの券面の画像を読み取って券面に記載されている情報を取得する。また、ICリーダ12bは、免許証CのICチップcに記録されている上記券面の情報と同じ電子データを読み取って取得する。
【0023】
このような構成により、コンピュータ11は、スキャナ12aにより読取った免許証Cの券面の画像データを読取装置12から取得し、この画像データから文字認識により券面の情報を取得し、ICリーダ12bによりICチップcから読み取った免許証Cの電子データを読取装置12から取得し、この電子データと券面の情報を照合する。そして、コンピュータ11は、この照合の結果、両者が一致した場合に、電子データから当該免許証Cの有効期限を判断し、プリンタ13へ印刷コマンドを出力する。
【0024】
なお、読取装置12は、申請者が提示した免許証Cを挿入口から取り込み、挿入口から取り込んだ免許証Cの券面(表面および裏面)を光学的に走査することにより券面の画像を画像データに変換(読取)する。また、読取装置12は、挿入口から取り込んだ免許証CのICチップcからICリーダ12bにより電子データを読み取る。このような構成により、上記読取装置12では、申請者から提示された免許証Cの券面の画像データを読み取り、ICチップcから電子データを読み取り、その読取った券面の画像データおよび電子データをコンピュータ11へ出力する。
【0025】
また、上記文字認識部25は、上記コンピュータ11の代わりに上記読取装置12内に設けるようにしても良い。この場合、上記読取装置12では、免許証Cの券面の画像データを読み取り、その読取った券面の画像データから上述したような種々の情報を文字認識し、当該免許証Cの券面の画像データとともに文字認識の結果をコンピュータ11に出力するようにすれば良い。
【0026】
次に、申請書を作成する際に免許証Cから取得する情報について説明する。
図3は、免許証Cの券面の画像から認識される情報の項目例を示す図である。言い換えると、図3に示す各項目にある情報は、免許証CのICチップcに電子データとして記憶されている。
【0027】
上記免許証Cの券面には、個人情報としての当該免許証の所持者の情報と、当該免許証の種類あるいは条件などの情報とが記載されている。例えば、免許証Cの券面には、氏名、呼び名、生年月日、本籍、有効期限、住所、条件、その他の情報などが文字により記載されている。このような免許証Cの券面に記載されている文字情報は、文字認識処理により認識することができる。
【0028】
すなわち、上記コンピュータ11の文字認識部25は、上記読取装置12から免許証Cの券面の画像データが与えられると、当該画像データから上述したような種々の情報としての文字を認識する。また、免許証Cの券面は、所定のフォーマットに基づいてレイアウトされており、上記のような種々の情報は、券面の所定の領域に記載されている。従って、上記文字認識部25では、免許証Cの券面の画像データから所定の領域に文字で記載されている各種の情報をそれぞれ認識処理する。また、各種の情報がそれぞれ所定の領域に記載されているため、上記文字認識部25では、各情報の種類に応じたアルゴリズムや文字認識用の辞書を用いて認識処理を行うようにしても良い。
【0029】
次に、上述したシステム1による申請書の作成方法について、図4乃至図9を参照して説明する。図4は、システム1による申請書の作成方法を説明するためのフローチャートである。また、図5乃至図8は、システム1の申請書作成段階における操作画面の表示例を示す図である。さらに、図9は、失効用の申請書の一例を示す図である。
【0030】
なお、ここでは、コンピュータ11の表示部23および操作部24は、タッチパネル内蔵の表示装置により構成されているものとし、申請者(利用者)からの操作指示は、当該表示装置に表示されたタッチキーを触れることにより入力されるものとする。
【0031】
まず、コンピュータ11の電源が投入されると、コンピュータ11の制御部21は、起動処理を実行するとともに、読取装置12、およびプリンタ13との接続状態を確認する処理を行う。読取装置12およびプリンタ13との接続が確立して当該コンピュータ11が起動すると、制御部21は、図5に示すようなメインメニュー画面30を表示部23に表示する(図4、ステップ1)。
【0032】
図5に示すメインメニュー画面30では、更新申請書の作成開始を指示する申請書作成キー31と、その他の操作を指示するその他キー32と、終了を指示する終了キー33とがタッチパネルにより選択可能な状態で表示されている。この状態において、申請者が申請書作成キー31に触れると(ステップ2;YES)、制御部21は、記憶部22に記憶されている申請書の作成処理用のプログラムをロードすることにより、申請書の作成処理を開始する。
【0033】
申請書の作成処理を開始すると、制御部21は、まず、申請者が所持している免許証Cを読取装置12に挿入する旨の案内(メッセージ)を表示部23を介して表示する(ステップ3)。図6は、免許証Cを読取装置12の挿入口に挿入する旨の操作案内画面の例40である。図6に示す操作案内画面40では、免許証Cの挿入を案内する案内が表示される領域41と、免許証Cの挿入後データの読み込みを開始するための読込キー42と、処理をキャンセルする旨を指示するキャンセルキー43とが表示されている。
【0034】
この状態において申請者が免許証Cを読取装置12の挿入口に挿入して読込キー42に触れると(ステップ4;YES)、読取装置12は、挿入口に挿入された免許証Cを取り込み、取り込んだ免許証CのICチップに記録されている電子データをICリーダ12bで読み取る(ステップ5)。ステップ5で読み取られた電子データは、コンピュータ11の記憶部22に記憶されるとともに、表示部23を介してそのデータ内容が確認のため表示される(ステップ6)。図7は、データ内容の表示例50を示す図である。図7に示す表示画面50では、ICチップcから読み取ったデータ内容が表示される領域51と、この表示内容に基づく申請書を印刷するための申請書印刷キー52と、処理をキャンセルするためのキャンセルキー53とが表示されている。
【0035】
この状態において申請者が申請書を作成するための申請書印刷キー52に触れると(ステップ7;YES)、読取装置12は、ステップ4で挿入された免許証Cの券面券面(表面および裏面)の画像をスキャナ12aを介して光学的に読取って電子データとしての画像データに変換する(ステップ8)。この際、読取装置12は、電子データとして読取った当該免許証Cの券面の画像データを図示しないインターフェースを介してコンピュータ11へ供給する。
【0036】
読取装置12から免許証Cの券面の画像データを受信したコンピュータ11では、読取装置12から供給された画像データを記憶部22に記憶する。読取装置12からの免許証Cの券面の画像データの読み込みが完了すると、コンピュータ11の制御部21は、免許証Cの券面の画像データを文字認識部25へ供給する。画像データが供給された文字認識部25では、当該免許証Cの券面の画像データから認識すべき種々の情報としての文字を認識する処理を行う。また、文字認識部25では、免許証Cの券面の画像から認識結果として得られた情報を制御部21へ出力する。
【0037】
この文字認識処理では、免許証Cの券面の画像データから所定の各領域に記載されている文字情報を各項目ごとの情報として認識する。すなわち、本実施の形態では、所定のフォーマットで記載された免許証Cを想定している。このため、文字認識部25は、免許証Cに記載されている文字情報を券面の画像データにおける所定の各領域ごとに認識処理することにより、各項目ごとに情報を認識することができる。従って、文字認識部25は、免許証Cの券面の画像データから認識結果として得られた各項目ごとの情報を制御部21へ出力する。
【0038】
文字認識部25により認識された情報を受信すると、制御部21は、文字認識部25により認識された券面情報とステップ5でICチップcから読み取った電子データを照合する(ステップ9)。照合の結果、券面から読み取った情報とICチップcから読み取った情報が一致しない場合(ステップ10;NO)、制御部21は、券面情報の改ざん等、不正があった可能性を判断し、申請書の作成を中止する中止処理を実行する(ステップ11)。
【0039】
一方、ステップ10で券面から読み取った情報とICチップcから読み取った情報が一致したことが判断されると(ステップ10;YES)、制御部21は、ステップ5で読み込んで記憶部22に記憶した当該免許証Cの電子データを参照して当該免許証Cの有効期限をチェックする(ステップ12)。
【0040】
ステップ12のチェックの結果、当該免許証Cの有効期限が切れていないことを判断した場合(ステップ13;NO)、制御部21は、申請書を作成するための第1の印刷データを作成する(ステップ14)。この際、制御部21は、ステップ5で読み込んで記憶部22に記憶した当該免許証Cの電子データに基づいて印刷データを作成する。
【0041】
一方、ステップ12のチェックの結果、当該免許証Cの有効期限が切れていることを判断した場合(ステップ13;YES)、制御部21は、失効用の申請書を作成するための第2の印刷データを作成する(ステップ15)。この場合においても、制御部21は、ステップ5で読み込んで記憶部22に記憶した当該免許証Cの電子データに基づいて印刷データを作成する。この際、同時に、制御部21は、表示部23を介して図8に示す画面60を表示する(ステップ16)。この画面60では、有効期限切れとなっている免許証Cの電子データの一部と、有効期限切れであることを申請者に知らせるための案内と、失効申請書を印刷中であることを知らせるメッセージを表示する。
【0042】
この後、制御部21は、ステップ14で作成した第1の印刷データ或いはステップ15で作成した第2の印刷データをプリンタ13へ供給する。印刷データを受信したプリンタ13は、申請書として使用される所定の用紙にコンピュータ11から供給された印刷データを印刷することにより申請書を作成する(ステップ17)。
【0043】
このとき、ステップ13で当該免許証Cの有効期限が切れていないことが判断された場合には正規の申請書がプリンタ13から発行され、有効期限切れが判断されている場合には正規の申請書とは異なる失効用の申請書がプリンタ13から発行される(ステップ18)。図9には、失効用の申請書の一例を示してある。これによると、失効用の申請書には、更新前の当該免許証の表裏面の画像、申請者、すなわち当該免許証の所有者の顔画像、および免許証の更新の申請に必要な各種情報が印刷されている。
【0044】
以上のように、本実施の形態によると、免許証Cの更新を申請する申請者は、更新前の古い免許証Cをシステム1の読取装置12に挿入し、表示部23を介して表示される画面の案内に従って入力操作を行うだけで、申請書を自動的に作成でき、申請者の利便性を向上させることができる。特に、本実施の形態によると、古い免許証Cの有効期限が切れている場合、従来のように正規の申請書を作成することなく、失効用の申請書を自動的に作成するため、間違った申請書を作成してしまう不具合が無く、申請書を無駄にすることがなく、運用コストを低減できる。
【0045】
また、本実施の形態では、古い免許証Cの有効期限が切れている場合、申請書の作成を中止するのではなく、失効用の申請書を自動的に作成するようにしたため、有効期限切れにより処理を一旦中断して新たに失効用の申請書を作成するための処理に移行する必要がなく、申請書の発行処理を簡略化できる。
【0046】
さらに、本実施の形態では、免許証CのICチップcに記録されている電子データを用いて有効期限のチェックを行うとともに、申請書に印刷する印刷データを作成するようにしたため、免許証Cの券面の画像に基づいて有効期限のチェックをしたり印刷データを作成する場合と比較して、信頼性を高めることができる。このため、例えば、申請者が図7の画面50を確認する際に間違ったデータが表示される可能性が低くなり、処理キャンセルにより再処理に移行する手間がなく、処理効率を高めることができる。
【0047】
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【0048】
例えば、上述した実施の形態では、運転免許証の更新申請書を作成するシステムに本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、社員証など他の有効期限付きの証明書を更新するための申請書の作成に本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】この発明の実施の形態に係る申請書作成システムの構成例を概略的に示す図。
【図2】図1のシステムの構成例を示すブロック図。
【図3】免許証の券面に記載された情報を示す図。
【図4】図1のシステムの動作を説明するためのフローチャート。
【図5】図4のフローチャートに基づく処理動作時に表示される画面の例を示す図。
【図6】図4のフローチャートに基づく処理動作時に表示される画面の例を示す図。
【図7】図4のフローチャートに基づく処理動作時に表示される画面の例を示す図。
【図8】図4のフローチャートに基づく処理動作時に表示される画面の例を示す図。
【図9】失効用の申請書の例を示す図。
【符号の説明】
【0050】
1…申請書作成システム、11…コンピュータ、12…読取装置、12a…スキャナ、12b…ICリーダ、13…プリンタ、21…制御部、22…記憶部、23…表示部、24…操作部、25…文字認識部(OCR処理部)、C…免許証、c…ICチップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発行済の証明書のICチップに記録されているデータを読み取るデータ読み取り部と、
この読み取ったデータに基づいて当該証明書の有効期限を判断する判断部と、
この判断の結果、有効期限が切れていない場合、上記読み取ったデータに基づいて、当該証明書の更新を申請するための申請書に印刷する第1の印刷データを作成し、有効期限が切れている場合、上記読み取ったデータに基づいて、失効用の申請書に印刷する第2の印刷データを作成する印刷データ作成部と、
この作成した第1の印刷データ或いは第2の印刷データを印刷して申請書を発行する印刷部と、
を有することを特徴とする申請書作成システム。
【請求項2】
上記証明書に記載されている上記ICチップ内のデータと同じ情報を読み取る情報読み取り部をさらに有し、
上記判断部は、上記情報読み取り部で読み取った情報と上記データ読み取り部で読み取ったデータを照合し、一致している場合に上記有効期限を判断し、不一致の場合に上記有効期限の判断をすることなく申請書の作成を中止することを特徴とする請求項1に記載の申請書作成システム。
【請求項3】
発行済の証明書のICチップに記録されているデータを読み取るデータ読み取り工程と、
この読み取ったデータに基づいて当該証明書の有効期限を判断する判断工程と、
この判断の結果、有効期限が切れていない場合、上記読み取ったデータに基づいて、当該証明書の更新を申請するための申請書を作成する工程と、
上記判断の結果、有効期限が切れている場合、上記読み取ったデータに基づいて、失効用の申請書を作成する工程と、
を有することを特徴とする申請書作成方法。
【請求項4】
上記証明書に記載されている上記ICチップ内のデータと同じ情報を読み取る情報読み取り工程と、
この情報読み取り工程で読み取った情報と上記データ読み取り工程で読み取ったデータを照合する照合工程と、をさらに有し、
上記判断工程では、上記照合工程における照合の結果、両者が一致している場合に上記有効期限を判断し、不一致の場合に上記有効期限の判断をすることなく申請書の作成を中止することを特徴とする請求項3に記載の申請書作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−80092(P2007−80092A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−268998(P2005−268998)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】