説明

男性用伸縮式カテーテル

【課題】比較的長い挿入可能な長さを有する収縮可能なカテーテルを提供する。
【解決手段】本発明はカテーテルに関し、特に各セクションの間の移行部が移行部を尿道に挿入することを可能にする伸長可能なカテーテルに関する。詳しくは、本発明は、保存と輸送用の収縮した形態と、近位端から反対側の遠位端まで長手方向に軸方向で伸びる導管によって体から流体を排出する伸長した形態との間で操作できるカテーテルに関し、カテーテルは、近位セクションと遠位セクションを含み、各セクションがカテーテルを伸長した形態で支持するために協働する結合構造を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカテーテルに関し、特に個々のセクション間に移行部(transition)を有し、移行部を尿道に挿入することが可能な伸長可能なカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
尿道の曲がっている部分を通過するために、カテーテルにはある程度の可撓性が要求される。通常、カテーテルはその全長にわたって同じ可撓性材料で作られる。尿道を通って押し進めるときに何らかの抵抗に遭遇すると、挿入されていない可撓性チューブの部分が曲がろうとする。しばしば、ユーザーが挿入を助けるためにカテーテル・チューブに手を触れるが、それによって尿管感染の危険が増大する。
【0003】
また、男性用カテーテルは、家においても旅行中でも、ユーザーにとって便利である以上にスペースを占有してかさばるというのが商品化されたカテーテルの現実である。
【0004】
スペースをとらないカテーテルに対する要望に応えるために、特に収縮可能な又はその他の方法でスペースを節約する挿入可能部分を有するカテーテルが必要である。さらに、従来技術では、いろいろなタイプの伸縮式カテーテルが開示されている。
【0005】
特許文献1(米国特許第6,592,567号(US-A-6,592,567))は、導入用カテーテルとカテーテル・チップを有する腎灌流カテーテル・アセンブリを開示している。カテーテル・チップは導入用カテーテルの先端で同軸的に動く。チップは導入用カテーテルの内部に引っ込めたり、導入用カテーテル・コンポーネントの先端から伸縮式に伸ばしたりできる。
【0006】
特許文献2(米国特許第4,632,668号(US-A-4,632,668))は、伸縮可能な心室カテーテルを開示している。これは本質的に、遠位カテーテルが近位カテーテルの内部から摺動可能に伸びる二ピース伸縮式アセンブリである。遠位カテーテルが近位カテーテルの内部から最大長さまで伸ばされると、外側ロック手段を有する遠位カテーテルと、内側ロック手段を有する近位カテーテルによって、二つのピースが離れることが防止される。
【0007】
しかし、尿道カテーテルは伸ばした後で挿入しなければならず、挿入のさいにカテーテルが収縮しないようにロックする必要がある。
【0008】
特許文献3(国際特許WO 03/002179-A2)は、人の膀胱をドレインするカテーテルを調製するためのキットを開示しており、このキットは、少なくとも二つの内部に通路を形成するセクションを含み、これらのセクションは、それらの通路が一つの通路に合体され、一緒になったセクションが各個々のセクションの長さよりも長い長さのカテーテルを構成するような相互形態に配置できるようになっており、セクションの一つを個々に操作することによってカテーテル全体を操作できるような硬さを有している。特に、国際特許WO 03/002179-A2は第一のセクションが尿道に挿入でき、第二の別のセクションを外部で操作するのに適したカテーテルに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,592,567号
【特許文献2】米国特許第4,632,668号
【特許文献3】WO 03/002179
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
比較的長い挿入可能な長さを有する収縮可能なカテーテルを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、その第一の様態で、収納と輸送のための収縮した形態と、長手方向に近位端から反対側の遠位端へ軸方向に伸びる導管によって体から流体を排出するための伸長した形態の間で操作できるカテーテルであって、該カテーテルは、体の尿道チャンネルに完全に挿入されて該導管の近位部分を形成するようになっている近位セクションを含み、この近位部分は該近位端と該近位セクションの第一の移行端(transition end)の間で軸方向に伸び、カテーテルは更に、少なくとも一部分に尿道チャンネルに挿入され、該導管の遠位部分を形成するようになっている遠位セクションを含み、この遠位部分は該遠位セクションの第二の移行端から該遠位端の間で軸方向に伸び、該第一の移行端の挿入可能な部分は、それを該導管の遠位部分の収容部の内側に配置させ、それらのセクションを互いに軸方向に動かして、該カテーテルを収縮した形態と伸長した形態の間で操作することを可能にするような寸法になっており、それらのセクションは該カテーテルを伸長した形態で支持するために協働する結合構造を備えていることを特徴とするカテーテルを提供する。
【0012】
これによって、挿入可能なカテーテル部分が、すなわち、近位セクションと遠位セクションが、収縮した形態と伸長した形態の間で伸縮式に引っ込んだり伸びたりすることができる伸長可能なカテーテルが可能になる。このカテーテルは、伸長した形態に比べて収縮した形態で占めるスペースが有利に減少する。すなわち、収縮した形態で保存又は輸送するときに占有するスペースが小さいカテーテルが提供される。これによって輸送時のスペースを減らすことが可能になり、このような伸長可能なカテーテルは有利に保存できるので、カテーテルのユーザーにとって生活の質の改善にもなる。
【0013】
本発明に係るカテーテルの収縮した形態という用語は、遠位セクションと近位セクションの結合構造がカテーテルを伸長した形態で結合している伸長形態に比べてカテーテルの軸方向の拡がりが小さな形態と広く解釈すべきである。結合という言い方で、カテーテルを伸長した形態から収縮した形態に動かすために、逆に収縮した形態から伸長した形態に動かす場合よりも大きな力が必要であると理解される。
【0014】
さらに、挿入可能な部分が収縮可能であるカテーテルは、男性ユーザーにとって特に有利である。それは、男性の尿道は、女性ユーザーの尿道に比べてかなり長いからである。しかし、本発明はまた、女性用カテーテルの挿入可能な部分にも利用できる。
【0015】
使用時に、カテーテルは伸長した形態にして近位端が尿道に導入される。その後、尿が導管を通って流れ始めるまで各セクションが挿入される。
【0016】
ある実施形態では、カテーテルを伸長した形態から収縮した形態に動かすために必要な第一の長手方向の(longitudinal directed)力が、近位セクションと遠位セクションの少なくとも一つが曲がるために必要な第二の長手方向の力より大きくなるように、各セクションが設けられている。
【0017】
結合を十分に硬くして、例えば、カテーテルを収縮した形態に動かすことなく挿入したり容器内に折り曲げたりできるようにすることができる。これはまた、各セクションを尿道に挿入するさいのカテーテルの収縮に対する安全性を高める。カテーテルを尿道に挿入するために必要な押込力は約1 Nである。ある実施例では、カテーテルの結合は5-10 Nという範囲の力に耐え、同じカテーテルが2-3 Nの範囲の力で曲がる又はよじれる(kink)、すなわち、カテーテルは結合が外れる前に曲がる又はよじれる。そして、カテーテルを収縮した形態に動かすためには、各セクションをセクションの移行端に非常に近い位置で操作しなければならない。一例として、カテーテルは伸長した形態にだけ動かすことができるように、そしてそれを逆に動かそうとするとカテーテルが破壊されてそれ以上使用できなくなるように作ることもできる。
【0018】
別の実施の形態では、各セクションは、カテーテルを伸長した形態から収縮した形態に動かすために必要な第一の長手方向の力が、近位セクションと遠位セクションの少なくとも一つが曲がるために必要な第二の長手方向の力より小さくなるように設けられる。
【0019】
これによって、処分するまで収縮した形態に縮めて収納しておくことができるので、使用後にコントロールされた方法で容易に縮めることができる伸長可能なカテーテルが提供される。この実施形態では、カテーテルを縮めるために必要な力がカテーテルを尿道に挿入するために必要な力よりも大きいこと、すなわち、結合が十分に強く、尿道、特に男性ユーザーの尿道の曲がった通路に入れるためにカテーテルを曲げるときに伸長した形態を維持できることが望ましい。使用後、カテーテルを尿道から取り出したとき、逆に結合は、二つのセクションを互いに押し付けることによってカテーテルを収縮させることが可能でなければならない。そして収縮した形態への動きの方がカテーテルのよじれよりも先に起こることが好ましい。
【0020】
ある実施形態では、近位セクションが第一の外側表面を形成し、その外径が近位端から第一の移行端へ増加する、及び/又は、遠位セクションが第二の内側表面を形成し、その外径が遠位端から第二の移行端へ減少する。特に、遠位セクションは近位セクションの移行端の外径よりも小さな外径にまで減少することができる。これによって簡単なストップが提供され、カテーテルが伸長した形態にあるとき遠位セクションと近位セクションを引き離すことができなくなる。
【0021】
なめらかな嵌合、あるいはまたシンプルな結合構造が得られるように、第一の外側表面が長手方向に対して第一の角度を成し、第二の内側表面が長手方向に対して第二の角度を成し、第一の角度が少なくとも第二の角度の大きさであるようにすることができる。角度の大きさが同じであると、遠位セクションの内側表面と近位セクションの外側表面が平行な面で合体し、第一の角度が第二の角度よりも大きいと、二つのセクションを伸長した形態の方へ強く引いたときに二つの表面はわずかな変形によって合体する。
【0022】
したがって、各セクションの移行端、又は少なくとも一つのセクションの移行端は、手でセクションを伸長した形態の方へ引っ張ったときに変形可能であることが好ましい。
【0023】
セクションの結合を助けるために、近位セクションと遠位セクションの一方が突起を含み、伸長した形態でそれが近位セクションと遠位セクションの他方の凹みと協働するようにできる。これによって、遠位セクションと近位セクションが係合してカテーテルを伸長した形態でロックする結合構造を容易に生成できる。
【0024】
凹みは、問題のセクションの外側表面における径方向に伸びるスリットであってもよい。スリットは、例えば近位セクションの外側表面に設けてもよい。スリットはどんな断面形状であってもよい。しかし、縦断面で見たとき比較的シャープな縁をもつ形、例えばV-字形又はU-字形、が突起を保持するのに役立つ。特に、突起はスリットと同じような形にすることができる。
【0025】
近位セクションと遠位セクションの外側表面と内側表面は異なる形であり、対応する突起と切込み(indents)などいくつかの局所形状が形成されていてもよい、又は大きな面積をカバーするより一般的な形状、例えば傾斜面などであってもよい。このような形状及び形態は、異なる機能、例えば結合構造や改良された摺動面、を得るために設けることができる。
【0026】
このような結合構造は、普通、連続した外径を有し径方向に伸びる形状及び形態として封止手段とするために形成されるが、すべての方向に限られた拡がりしかもたない局所的な膨らみ(bulges)として設けることもできる。
【0027】
本発明に係るカテーテルのある実施形態では、遠位セクションが内側表面部分を含み、それが第二の移行端における導管の壁の一部となっており、この内側表面は中心軸に対して距離、a、を成し、近位セクションが挿入可能部分に近接した外側表面部分を含み、この外側表面は中心軸に対して距離、b、を成し、bはaよりも大きい。
【0028】
本発明では、カテーテルは普通、円形断面を有するチューブで作られる。チューブのいろいろな表面部分の寸法、すなわち、チューブ中心軸から対応する表面部分までの距離、は、その部分のチューブ半径又は直径に対応する。しかし、チューブが変形したり、異なる断面形状を有するカテーテルが用いられるとき、半径、直径、又は表面部分から中心軸までの距離という用語は、必ずしも常に曖昧さなしに用いられる訳ではない。換言すれば、それぞれの表面部分は、円形断面を有するチューブの半径又は直径の変化に対応する表面の変化を示す異なる外周を有するということもできる。
【0029】
突出するリム、上方に傾斜する表面を設けるために、近位セクションは、第一の外径を有する第一の表面部分を含む外側表面を含み、長手方向でこの第一の表面部分に続いて、第一の外径よりも大きい第二の外径を有する第二の表面部分があるようにしてもよい。
【0030】
さらに、例えば上記のスリットを形成するために、第二の表面部分に、第二の外径よりも小さい第三の外径を有する、長手方向でスリットを形成する第三の表面部分が続く。
【0031】
スリットを完全に形成するために、スリットに続いて第三の外径よりも大きな第四の外径を有する第四の表面部分が設けられる。
【0032】
遠位セクションに対する近位セクションの位置をサポートするために、突起に外径方向に伸びるキーを形成し、伸長した形態でスリットと協働するようにすることができる。
【0033】
ある実施形態では、キーは第五の表面部分を形成し、それが遠位セクションの内側表面から突出する。さらに、第五の表面部分は、遠位セクションの他の内側表面の内径より小さな内径を有する。
【0034】
ある実施形態では、キーとスリットが結合するために、第五の表面部分は第二及び第四の表面部分の外径より小さな外径を有する。
【0035】
本発明に係るカテーテルの別の実施形態では、伸長した形態で第三の表面部分と第五の表面部分の間、及び/又は、収縮した形態で第一の表面部分と第五の表面部分の間、にギャップが形成される。このギャップは、普通、キーによって形成される第五の部分が第一及び第三、第二の表面部分をこすることを有利に防止する。特に、カテーテルが親水性物質でコーティングされているときにこれは有利であり、それによりギャップが親水性流体、ハイドロゲル、又はその他のタイプの流体コーティングを含むときに第三の表面がコーティングをこすることが回避される。
【0036】
さらに驚くべきことに、親水性コーティング、あるいは、ゲル・コーティングが第五の表面部分と第一及び第三の表面部分との間でそれぞれサスペンション(浮遊)手段として機能することがわかった。言い換えると、コーティングは第五の表面を、それぞれ第一又は第五の表面部分のまわりで均一にサスペンド(suspend)し、対応する外径のまわりに均一に配置されたギャップを提供する。
【0037】
さらに、特にゲル・コーティングされたカテーテルを用いるとき、キーは有利にディストリビューターとして機能し、カテーテルを収縮した位置から伸長した位置に動かしたときにゲルを近位セクションのまわりに均一に分配する。
【0038】
親水性コーティングをこすりとる危険をさらに減らし、粘膜を保護するために、少なくとも各セクションの移行端は長手方向に直交する断面を円形にしてなめらかな移行を作り出す。
【0039】
近位セクションと遠位セクションは必ずしも単一のエレメントで形成する必要はないということは理解されるであろう。例えば製造上の制約、生産コスト、材料特性,等のため、個々のエレメントはいくつかの別々の部分から作ることができる。
【0040】
したがって、本発明に係るカテーテルのある実施形態では、近位セクションは、カテーテルの近位端を形成するチューブ状部材、及び第六の表面部分と第七の表面部分を有するスリーブを含み、第六の表面部分の外径は第七の表面部分の外径より大きく、スリーブは導管に挿入されて、第七の表面部分がチューブ状部材の内側表面と接触し、第六の表面部分が近位セクションの外側表面を形成するようになる。
【0041】
あるいはまた、第六の表面部分はチューブ状部材の外側表面より大きな外径を有し、それが近位セクションに盛り上がった区域、例えばリム、を形成する。
【0042】
さらに、第七の表面部分は拡がった表面部分を含み、そこでは外径が第七の表面部分の他の部分よりも大きくなるようにしてもよい。これによってスリーブとチューブ状部材を組み立てられた状態に保持するための改良された手段が有利に得られる。
【0043】
さらに、チューブ状部材の材質及び拡がった表面部分のサイズを、拡がった表面部分がチューブ状部材の外側表面を変形させてその表面に突起を形成するように選ぶことができる。これによって、チューブ状部材の外側表面に曲がったバルブが得られる。さらに、上記のように第六の表面部分とチューブ状部材の間にリムを設けることによって、前述したスリットが得られる。
【0044】
同様に、遠位セクションも異なる部材から構成できる。例えば、ある実施形態では、遠位セクションはカテーテルの遠位端を構成するチューブ状部材、及び第八の表面部分と第九の表面部分を含む外側表面を有するスリーブを含み、第八の表面部分の外径は第九の表面部分の外径より大きく、スリーブは、第九の表面部分がチューブ状部材の内側表面と接触し、第八の表面部分が近位セクションの外側表面を形成するように導管に挿入される。このようにしてスリーブは部分的にサポート部材として機能し、第九の表面部分がチューブ状部材の改良されたサポートとなる。さらに、スリーブの一部は第九の表面部分から内側に伸びてキーを形成し、それが前述のように近位セクションのそれぞれのスリットと係合する。
【0045】
カテーテルが伸長した形態にあるとき、近位セクションと遠位セクションの間の移行をなめらかにするために、スリーブが遠位セクションの第二の移行端を形成し、第八の表面部分が第二の移行端の方へ減少する外径を有するようにできる。
【0046】
本発明の範囲を逸脱することなく、多くの異なる実施形態及び別の解決策が可能である。
【0047】
すなわち、本発明はまた、伸長可能なカテーテルであって、近位セクションと遠位セクションを含み、両セクションは導管の一部を形成し、近位セクションは、導管に流体を排出する開口部(aperture)を有する開口に挿入される挿入端を含み、導管は反対側の移行端の方へ伸び、近位セクションは移行端の方へ増大する外径を有する(A)及び遠位セクションは、カテーテルが伸長されたときに近位セクションの移行端から導管への流体を受け入れる移行端を含み、導管は反対側のガイド端の方へ伸び、遠位セクションは移行端の方へ減少する外径を有し、近位セクションの移行端は遠位セクションの導管の内側にそれを配置させて二つのセクションが互いに動くことができるような寸法になっていることを特徴とするカテーテルに関する。
【0048】
挿入された表面コーティングされたカテーテルは約0.2 Nの力で尿道内の場所から引き出される。コーティングされないカテーテルの場合、この引き出し力は2 N程度である。カテーテルの二つのセクションの間の移行部は、この引き出し力に移行部が持ちこたえられるように構成することが非常に好ましい。さもないと、カテーテルが二つのピースに分離して、近位セクションが尿道に残される恐れがある。
【0049】
普通、カテーテルを挿入するために必要な力、押し込み力はコーティングされたカテーテルの場合、約1 Nである。したがって、カテーテルの二つのセクションの間の移行部は、この押し込み力に移行部が持ちこたえられるように構成することが非常に好ましい。さもないと、カテーテルが挿入のさい伸長されていない状態に収縮する恐れがある。大まかな規則として、押し込み力に耐える能力は、高い押し込み力を受けて伸長されていない状態にカテーテルが収縮する前にカテーテルが曲がるようなものでなければならない。我々の経験では、カテーテルを挿入するために10 Nを超える力は必要でない。
【0050】
ある実施形態では、近位セクションの移行端の弾性(elasticity)は近位セクションのその他の部分の弾性より小さい。弾性が低いということは、近位セクションのこの部分が近位セクションのその他の部分よりもフレキシブルでなく、曲げにくく、圧縮されないと言うことであると理解される。
【0051】
ある実施形態では、遠位セクションの移行端の弾性は遠位セクションのその他の部分の弾性より低い。関連したある実施形態では、弾性が低い遠位セクションの移行端に続いて(近位端の方へ動くと)遠位移行部分の先端を構成するセグメントがある。
【0052】
E-係数(E-modulus)(弾性係数)は材料を説明する定数であるから、弾性が減少しているセグメントを得る簡単な方法は壁厚を増大させることである。しかし、e-係数(e-modulus)(高い弾性係数)の別の材料を用いても同じ結果が得られる。
【0053】
ある実施形態では、近位セクションの移行端の外径は、遠位セクションの移行端の内径より大きい。このようにアレンジすることにより、引き出し力での耐久性が達成される。しかし、近位セクションの移行端を遠位セクションの導管内に配置させて各セクションが互いに対して動くことができるようにするために、近位セクションの移行端の外径が遠位セクションの内径(導管の外径)より小さいことが好ましい。これは、近位セクションを遠位セクション内部に移動可能に配置できるようにするやり方の一例である。
【0054】
ある実施形態では、カテーテルの遠位セクションの移行端と近位セクションの移行端は円錐形に作られる。伸縮式のカテーテルを伸長するときに引っ張られると、円錐形の二つの移行端が把持して互いにロックする。この把持とロックは次のものによって影響される。
−カテーテルの長手方向と円錐隆起(erection)の間の角度(図1,(7)と(8)を参照のこと)。鋭角(90°未満)は二つのセクションの間のロックを確実にする。尖っているほど、二つのセクションはしっかりとロックされる。したがって、この角度は好ましくは40°未満である。筒の寸法上の制約があるため、このような鋭角が互いに接触する材料の長さを最適にし、得られる摩擦力を大きくする。
−材料の変形。二つのセクションの高いE-係数(弾性係数)が高いほど、伸長のさいの材料の変形が小さく、伸縮式カテーテルの伸長のさいに移行端が把持して互いにロックした後、セクションを引き離すことが難しくなる。
−材料の厚さ。遠位セクションの厚さはできるだけ薄いことが好ましい。好ましくは、遠位セクションの壁厚は0.35 mmである。近位セクションの壁厚は、好ましくは0.4から1 mmまでの間である。
【0055】
ある実施形態では、第三のエレメントが円錐面の少なくとも一方に取りつけられる。この第三のエレメントは移行端の弾性を間接的に調節して、前述の要件を満たすことなしに、把持とロックを可能にする。
【0056】
使用するとき、カテーテルは二つのセクションを反対方向に引っ張って伸長され、固定される。すなわち、近位セクションの円錐形が挿入されると、遠位セクションの円錐形は変形する(拡がる)。同様に、遠位セクションの円錐形が引かれてかぶせられると、近位セクションの円錐形は変形する(圧縮される)。把持及びロック機能によって、引込力と押出力の両方が生じる際の耐久性が確保され、カテーテルを完全に伸長すると近位移行端が遠位移行端の内側にくさびとして入り込む。このセットの実施形態は、コーティングされていないカテーテルで特に好ましい、すなわち、遠位セクションと近位セクションの間に大きな摩擦力が発生するカテーテルで特に好ましい。
【0057】
しかし、コーティングされたカテーテルでは、普通、摩擦係数(μ)がほぼ0.05であり、使用時に発生する摩擦力は、挿入のさいにつぶれないようにセクションを保持する、及び/又は、それらが分離するのを防止するのに十分ではない。
【0058】
円錐状の接触ゾーンでは、近位セクションと遠位セクションの移行端の間の接触面で、それらの間に作用する合力は−簡単のために断面で見ると−法線力FN(接触面に垂直な方向)と摩擦力Ff(接触面の接線方向)に分けることができる。Coulomb摩擦を考えると、摩擦力と法線力の間の関係は次のように書くことができる。
Ff = μ・FN
ここでμは摩擦係数である。
【0059】
ドライ状態では、摩擦係数は高くなる(例えば、ポリウレタンの場合、少なくともμ = 0.5と予測され、おそらく1より高くなることもある)。したがって、摩擦力は法線力と同程度になり−その結果、近位セクションと遠位セクションを引き離す力も高くなる−これは小さな円錐角α(この場合、摩擦力はカテーテルの長手方向軸に沿って作用する分離力と平行に近い)でもそうなる。簡単のために、ある実施形態を断面で考えて図示することができる(この場合α1 (7) = α2 (8))。ここでは、分離力を法線力と摩擦力の和の水平成分によって表すことができる(図15参照のこと)。
分離力(Fsep)
= cos(α)・Ff + sin(α)・FN
= cos(α)・μFN + sin(α)・FN
= (cos(α)・μ + sin(α)) FN
【0060】
この式から見られるように−μが0に近い場合−高い分離力は次のいずれかによってのみ得られる。
a. 角度αが90度に近い、又は
b. 接触している遠位セクションと近位セクションの両方によって非常に大きい法線力Fnを維持できる。
【0061】
本発明のある実施形態では角度αは70°を超え、例えば70°から90°の間、80°から90°の間、又は85°から90°の間になる。これらの実施形態では、近位セクションの形はT-字形である。
【0062】
本発明のある実施形態では角度αは90°を超え、例えば90°から130°の間である。
【0063】
ある実施形態では、遠位移行部分と近位移行部分は機械的手段によって固定される。その一例は、一方向への通過は許すが逆方向への通過を許さないバルブ(膨らみ、bulb)を通過させるものである。そのような一例は後述の実施例4で開示される。これは特に角度αが約90°のカテーテルと合わせると好ましい。この角度が引き出しの際の持久力(endurance)を保証し、バルブが押し込みのさいの持久力を保証する。ある実施形態では、バルブは近位セクションの外側に配置される。このバルブはまた、なめらかな移行を助ける機能がある。別の実施形態では、バルブは遠位セクションの内側に配置される。その実施形態では、カテーテルはコートされ、カテーテルの使用の準備がされて、遠位セクションの端がバルブを通過するときに、外側のバルブは、コーティングなしのままでもよい。このように、好ましい実施形態では、バルブは、遠位セクションの内側に配置される。また、押し込みの際に最大の持久力を得るためには、バルブを両セクションに配置する。
【0064】
別のこのような例は複数のヘアの一端を、いずれか又は両方の移行部分に付着させることである。近位部分では、これらのヘアの他端は遠位方向に向いたままで残される。遠位部分では、これらのヘアの他端は近位方向に向いたままで残される。これにより、両セクションは互いを超えてなめらかにスライドする(ヘアの方向に走行する)が、逆の方向に(ヘアの方向と逆に)スライドさせようとすると実質的に高い抵抗に直面する。
【0065】
粘膜に成っている尿道の内側は、正常な尿の流れと合わせて、長手方向に多くの折り畳み部を含んでいる。これらの粘膜の折り畳み部は、カテーテルの鋭い又は尖った部分に敏感で、それによって粘膜が損傷し、苦痛と出血を生ずることがある。したがって、本発明に係るカテーテルの二つのセクションの間の移行部の外側はなめらかであることが好ましい。この文脈において、なめらかとは、粘膜を損傷しない程度に十分なめらかであるという意味である。特に、実際の移行点は、近位セクションへの粘膜の露出が終わって、遠位セクションへの粘膜の露出が始まるところである。このようななめらかさは、以下に述べるいずれかの方法、又はそれらの組み合わせによって得られる。
−遠位移行部の先端を丸めて、鋭いエッジが存在しないようにする。
−遠位セクションがチューブから円錐形に移行する点を丸めて、鋭いエッジが存在しないようにする。選択される形は凹、凸、及び直線である。
−移行端における遠位セクションと近位セクションの間のギャップ(半径が0.15 から0.2 mm)をなくす。これは、近位セクションの直径を移行端で増大させ、遠位セクションの遠位端における孔にぴったりとフィットするようにして行われる(図15参照のこと)。
−移行セクションの直近の近位チューブの外側表面にバルブを設ける。このバルブは粘膜を持ち上げて移行点との接触を回避させる。さらに、このようなバルブはカテーテルの遠位セクションと近位セクションの間で、一方向への通過を許すが逆方向への通過を許さない機械的なロックとして働く。
−遠位移行セクションの厚さは、0.02 mmから0.1 mm、好ましくは0.05 mmから0.1 mm、という薄いホイルの厚さにまで減少させる。この遠位移行セクションの厚さが薄いほど、移行点での差が小さくなる。
【0066】
本発明のある実施形態では、カテーテルにコーティングを施して滑りやすい表面にして挿入を容易にする。カテーテルを伸長するときにコーティングが損傷するのを防ぐために、遠位セクションの移行端の先端に開口した孔を近位セクションのチューブの外径より少し大きく、例えば0.15 mm大きく、又は0.2 mm大きくすることが好ましい。
【0067】
ある実施形態では、遠位セクションの弾性が近位セクションの弾性と異なり、力が加わるとどちらのセクションが変形するかをコントロールする。近位セクションは、普通のカテーテルで知られていると同程度の弾性を有し、尿道、前立腺、及び括約筋を通過できるようにすることが好ましい。遠位セクションは近位セクションより弾性(弾力性)が低いことが好ましい。これは、挿入のさいに曲がらないで押し込み力に耐えるために必要である。
【0068】
近位セクションは、カテーテルで普通に用いられる厚さであり、壁厚は0.4 mmから1 mmの間であることが好ましい。遠位セクションは約0.35 mmであることが好ましい。
【0069】
二つのセクションの各々は70から230 mmまでの間であることが好ましい。伸長されたカテーテルの全長は250 mmから360 mmまでの間である。
【0070】
近位セクションの長さは150 mmから230 mmまでの間であることが好ましい。これによって、近位セクションを尿道全体にわたって挿入することが可能になり、遠位セクションへの移行部が挿入点に近く(又は丁度挿入されたところに)なり、高いe-係数(弾性係数)の遠位セクション(及びより硬い部分)によって、カテーテルを前立腺及び括約筋を通して挿入するために必要な少し大きい力に耐えられる。遠位セクションの長さは好ましくは100 mmから130 mmまでの間である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る伸長可能なカテーテルの第一の実施形態の長手方向軸に沿った断面による断面図である。
【図2】円錐形に形成された移行セクションを引き離すために必要な力を示すグラフであり、縦軸は最大荷重[N]を示す。
【図3】本発明に係るカテーテルの第二の実施形態の長手方向軸に沿った断面による断面図である。
【図4】本発明に係るカテーテルの第三の実施形態の長手方向軸に沿った断面による断面図である。
【図5】本発明に係るカテーテルの第四の実施形態の長手方向軸に沿った断面による断面図である。
【図6】本発明に係るカテーテルの第五の実施形態の長手方向軸に沿った断面による断面図である。
【図7】本発明に係るカテーテルの第六の実施形態の長手方向軸に沿った断面による断面図である。
【図8】本発明に係るカテーテルの第七の実施形態の長手方向軸に沿った断面による断面図である。
【図9】本発明に係るカテーテルの第八の実施形態の断面図である。
【図10】本発明に係るカテーテルの第九の実施形態の断面図である。
【図11】本発明に係るカテーテルの第十の実施形態の断面図である。
【図12】本発明に係るカテーテルの遠位セクションについて行われた引っ張り試験の結果を示すグラフである。
【図13】本発明に係るカテーテルの近位セクションについて行われた引っ張り試験の結果を示すグラフである。
【図14】本発明に係るカテーテルの第十一の実施形態の長手方向軸に沿った断面による断面図である。
【図15】本発明に係るカテーテルのある実施形態に加えられる力を示す概略図である。
【図16】本発明に係るカテーテルの第十二の実施形態を示す図である。
【図17】本発明に係るカテーテルの第十二の実施形態を示す別の図である。
【図18】本発明に係るカテーテルの第十二の実施形態を示す別の図である。
【図19a】本発明に係るカテーテルの第十二の実施形態を示す別の図である。
【図19b】本発明に係るカテーテルの第十二の実施形態を示す別の図である。
【図20】本発明に係るカテーテルの第十二の実施形態を示す別の図である。
【図21】本発明に係るカテーテルの第十二の実施形態を示す別の図である。
【図22】図22は、本発明に係るカテーテルの第十三の実施形態の長手方向軸に沿った断面による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
以下、本発明の好ましい実施形態を、添付図面を参照してさらに詳しく説明する。図面のうち、図1は、遠位セクション1と近位セクション2を含む伸縮式カテーテルを示す。遠位セクション1は移行端3と近位ガイド端4を有する。近位セクション2は移行端5と遠位挿入端6を有する。カテーテルの長手方向と遠位セクションの円錐隆起の間の角度は7と記されている。カテーテルの長手方向と近位セクションの円錐隆起の間の角度は8と記されている。近位セクションの移行端の外径は、近位セクションの他の部分よりも大きい(差A)。遠位セクションの移行端の外径は、近位セクションの他の部分よりも小さい(差B)。
【0073】
図3は、本発明に係るカテーテル30の別の実施形態の原理を示す。遠位セクション1(外側セクション)は移行部で減少された外径31を示しているが、近位セクション2(内側セクション)は移行部で増加された外径32を示している。
【0074】
遠位セクションの近位端33は、なめらかな移行点を可能にするようにここでカットされている。
【0075】
減少した外径31及び増加した外径32などの円筒部分を付加することによって移行部分の表面が増加し、遠位セクションと近位セクションが結合するより大きな面積を作り出している。
【0076】
図4は、カテーテルの別の実施形態40を示しており、これは近位セクションの移行端(遠位端)で弾性(弾力性)を減らす一つの方法を開示している。
【0077】
図4の実施形態は図3の実施形態と同一であるが、付加チューブ41を挿入して壁の厚さを2倍にしており、それによって移行を安定化し、弾性を減少させている。
【0078】
図5は、カテーテルの別の実施形態50を示しており、これは近位セクションの移行端(遠位端)で弾性を減らす一つの方法を開示している。ここでは、遠位セクション1の端壁の厚さを、より厚い壁52を有するチューブを成形することによって増加させている。
【0079】
図6は、カテーテルの別の実施形態60を示しており、これは遠位セクションの移行端(近位端)で弾性を減らす一つの方法を開示している。ここでは、遠位セクション1の端壁の厚さを、その部分でより厚い壁61を有するチューブを成形することによって増加させている。
【0080】
図7は、カテーテルの別の実施形態70を示しており、これは図5と図6の組み合わせ、すなわち、遠位セクションと近位セクションの両方の移行端の壁厚の増加、を開示している。
【0081】
図8は、カテーテルの別の実施形態80を示しており、これは第三のエレメントによる移行を開示している。すなわち、太い黒いラインが遠位セクション81である。遠位セクションの外径は(左から右へ)減少し、その後に平坦なセグメントが続き、その後は尖ってなめらかな移行点になる。近位セクション82は、斜線で表されている。近位セクションの外径は(右から左へ)増加する。二つのセクションは引っ張られて一緒にすることができるが、第三のエレメント83が、遠位セクションの減少する外径と近位セクションの増加する外径の間に配置されている。
【0082】
図9は、カテーテルの別の実施形態90を示し、遠位セクション1(左)と近位セクション2(右)の間の移行部を示している。遠位セクションは端(近位端)の方へ尖るようにカットされ、近位セクションの均一のチューブ状部分に嵌合する。
【0083】
図10は、カテーテルの別の実施形態100を示し、これは遠位セクション101(左)と近位セクション102(右)の間の移行を開示している。遠位セクションは端(近位端)の方へ尖るようにカットされ、近位セクションの外径が増加する部分へ嵌合する。遠位部分の移行端の先端内径は近位セクションの外径より大きく、したがって、カテーテルの伸長のさいに先端がこのセクションを通過しても近位セクションのコーティングは損傷されない。
【0084】
図11は、カテーテルの別の実施形態110を示し、近位チューブ上、移行部に直近で、バルブ111を開示している。
【0085】
図14は、本発明に係るカテーテルの別の実施形態140を示す。ここでは、第三のエレメント141が、遠位セクションの移行部の外側に配置されている。第三のエレメントは、遠位セクションの外径と同じサイズの外径を有するリングとして形成される。第三のエレメントは近位面(proximal face)を有し、それが遠位セクションの近位端と同じ角度でテーパーする。
【0086】
図15は、カテーテルが伸長した形態にあるときの前述のような遠位セクション1と近位セクション2の間の力を示す。セクションは概略で示され、実線がその壁を示している。二つのセクションのテーパーしている部分の間の区域が円錐状の接触ゾーン150を形成する。
【0087】
ドライな状態のカテーテルは容易に摩擦でロックされて互いに係合するが、親水性カテーテルも、二つのセクションの第一及び第二の円錐面151,152が接触ゾーン150内で互いに引き寄せられると摩擦でロックされて互いに係合するようになる。遠位セクションの軸に対する第一の円錐面151の第一の角度α1と近位セクションの軸に対する第二の円錐面151の第二の角度α2が40°未満であると、大きな摩擦がそれによって生ずる。
【0088】
第一の角度α1と第二の角度α2が90°と110°の間にあると、低い摩擦が生ずる。
【0089】
図16−21は、伸長可能なカテーテルのある実施形態151を示す。図18は、図17のセクションXVIIIの拡大図を示し、図20と21は、図18のセクションXXとXXIの拡大図をそれぞれ示す。図19aと19bは、それぞれ、図18の遠位セクションと近位セクションを示す。図19aと19bで示されたセクションは、軸A-Aに沿った分解図で示されている。
【0090】
カテーテル151は、貯蔵と輸送のための図16に示されている収縮した形態と、体から導管153によって流体を排出するための図17に示されている伸長した形態の間で操作することができ、導管153は近位端165から反対側の遠位端171まで矢印179で示された長手方向で軸方向に伸びている。
【0091】
カテーテルは、体の尿チャンネル(図示せず)に完全に挿入されるようになっている近位セクション2を含み、これが導管の近位部分を形成し、この部分が軸方向に近位端165と近位セクション2の第一の移行端164の間に伸びている。
【0092】
カテーテルはさらに、尿チャンネル(図示せず)に少なくとも一部分が挿入されるようになっている遠位セクション1を含み、これが導管の遠位部分を形成し、この部分が軸方向に遠位セクション1の第二の移行端170と遠位端171の間に伸びている。
【0093】
第一の移行端164は、導管153の遠位部分の収容部分の内側に配置させて、それらのセクションが互いに軸方向に動いてカテーテルが収縮した形態と伸長した形態の間でカテーテル151を操作できるような寸法で形成され、それらのセクションはカテーテルを伸長した形態で支持するための協働する結合構造を含んでいる。
【0094】
近位セクション2と遠位セクション1の他に、カテーテル151にはコネクタ152も設けられている。二つのセクションがコネクタと共に、軸A-Aに沿って軸方向に伸びる導管153を構成する。
【0095】
近位セクションは、第一のダクト155を形成する近位カテーテル・チューブ154、ベース157、シャフト158,ヘッド159を有する第一のスリーブ156,及びそれを通って伸びる第二のダクト160から成る。第一の移行端164と近位端165が近位セクションの軸方向の拡がりを形成する。
【0096】
第一のスリーブのヘッドとシャフトが近位カテーテル・チューブの第一のダクトに挿入されて近位セクションを形成する。この形態で、第一のダクトと第二のダクトが共に導管の近位部分を形成する。分離を防ぐために、近位カテーテル・チューブと第一のスリーブは溶着される。糊付けなど、他の接合手段もある。さらに、又は代わりに、第一のスリーブのシャフトとヘッドの外径を近位カテーテル・チューブの内径よりも大きくしてチューブが第一のスリーブの径りをしっかりと把持するようにしてもよい。
【0097】
第一の近位セクションは、第一の径の第一の表面部分181の後に、長手方向に見て、第一の径より大きい第二の径を有する第二の表面182が続く外側表面を有することがわかる。第三の表面部分183が第二の表面部分に続く。第三の表面部分の第三の径は第二の表面部分より小さい。第一、第二、及び第三の表面部分の間になめらかな移行を与えることによってバルブ161が近位カテーテル・チューブの外側表面に設けられる。実際には、バルブ161はヘッド159によって設けられ、ここにシャフト158よりも大きな径を有する拡がった表面部分が形成される。それによってヘッドは近位カテーテル・チューブを半径方向に拡張してバルブ161を作り出す。
【0098】
ベース157に第三の表面部分の径よりも大きな径の第四の表面部分184を形成することによって、近位カテーテル・チューブと第一のスリーブを接合させて近位セクションを形成すると第一のリム162が得られる。それにより、スリット163が第二の表面部分、すなわち、バルブ161,と第四の表面部分、すなわち、第一のリム162,の間に形成される。
【0099】
遠位セクション1は、第三のダクト165を形成する遠位カテーテル・チューブ180と、外側のテーパー表面167,切り込み168及び第四のダクト169を有する第二のスリーブから成る。第二の移行端170と遠位端171が近位セクションの軸方向の拡がりを形成する。
【0100】
第二のスリーブの第四のダクトの径は遠位カテーテル・チューブの第三のダクトの径より小さい。これらを接合させると、この関係が第二のリム172を与える。第五の表面部分185によって設けられるキー173がこうして第二のリム172と第二の移行端170との間で形成される。
【0101】
カテーテルが伸長した形態にあるときに近位セクションから遠位セクションへのできるだけなめらかな移行が得られるように、第二のスリーブの外側表面は、外側テーパー表面167として示される第八の表面部分を有し、それは第二の移行端の方へ減少する。
【0102】
遠位カテーテル・チューブ180と第二のスリーブ166は、切り込み168を第三のダクトに挿入することによって接合される。次に、切り込みの第九の表面部分187と接触する遠位カテーテル・チューブの区域を溶着して、遠位カテーテル・チューブと第二のスリーブを互いに固定する。この形態で、第三のダクトと第四のダクトが一緒になって導管の遠位部分を形成する。
【0103】
カテーテルを図16に示されるような収縮した形態から図17に示されるような伸長した形態に動かすと、キー173がスリット163と係合して近位セクションと遠位セクションを伸長した形態で結合する。
【0104】
図示したカテーテル・アセンブリは、親水性コーティング(図示せず)を施した伸長可能なカテーテルで使用すると特に有利である。特に図20と21に見られるように、キーの表面とスリットの表面の間にギャップ175が得られる。さらに、ほぼ同じサイズのギャップが、キーを近位セクションの第一の表面部分181に沿ってスリットと反対のバルブ161の側に動かしても得られる。ギャップは、キーと第一の表面部分の間に半径方向のクリアランスを生じ、それによって、二つのセクションを軸方向にずらしたときに近位セクションから親水性コーティングがこすり取られることが回避される。さらに、親水性コーティングがギャップを充たし、親水性コーティングの表面張力がキーを第一の表面部分のまわりに有利に均一に集中させる。
【0105】
キーの軸方向の長さ(extent)はスリットの長さ(extent)より少し長いことが見てわかる。このため、キーが第一のリム162とバルブ161の傾斜面174の間に押し込まれる。これによりギャップが有利に封止され、非常に可撓性があり、すなわち、尿道カテーテルの曲がりに追従する尿道の粘膜がギャップに入り込むことが防がれる。さもなければ、粘膜がキーとスリットの間に食い込み、そこで締め付けられ、苦痛を生じたり、粘膜が裂けたりすることもある。
【0106】
キー173の径が近位カテーテル・チューブの外径を制限するので、キーは普通数ミリメートルしか延伸していない。このため、近位セクションと遠位セクションをしっかりと係合させ、それらが意図せずに引き離されることを回避するために、第一のリム162と第二のリム172が大きな表面積で接触することが望ましい。さらに、第一及び第二のリムのエッジが確実に形成され、好ましくは丸め部分が小さく、その丸めの面がガイドとして働いてリムとキーを第四の表面部分184を超えて押し動かすことを防止することが望ましい。
【0107】
ギャップを適切に封止するために、バルブ161に当接する第二の移行端170はバルブ161の遠位傾斜面174に軸方向に向いた力F1を及ぼす。しっかりした封止のために、傾斜面は逆向きの等しい大きさの軸方向の力F2で応答する。しかし、力F1の大きさが大きくなりすぎると、バルブがつぶれ、その結果遠位セクションと近位セクションの結合が外れ、カテーテルは伸長できる形態から収縮した形態に動く。
【0108】
これを防止するために、スリットの表面177からバルブの半径方向に伸びた最大距離までの半径方向に伸びる距離、a、は、スリットの表面からキーの表面までの半径方向に伸びる距離、b、の少なくとも二倍の長さでなければならない、すなわち、aは 2b以上でなければならない。距離bは、長手方向に対して横方向から見たギャップ175のサイズに対応する。しかし、キーとバルブのそれぞれの材料、及びカテーテルをコートするのに用いたコーティングのタイプによって、この関係は変化する可能性があることを理解すべきである。
【0109】
さらに、遠位傾斜面174の軸A-Aに対する傾斜角度が、二つのセクションが分離するために必要なF1の大きさ及び粘膜が第二の移行端と傾斜面の間で締め付けられる確率に影響する。さらに、この関係は用いる材料にも依存する。
【0110】
カテーテルを製造するのに用いられる材料の一つのタイプは、遠位セクション1と第一のスリーブ156に関しては、硬質ポリウレタン、例えばEstane ETE X1014である。近位カテーテル・チューブ154は、例えばソフト・ポリウレタン、例えばEstane 58212で作られる。
【0111】
使用するとき、伸長可能なカテーテルは収縮した形態から伸長した形態に動かされる。近位端165が尿道に挿入され、続いて近位セクション2と遠位セクション3が、尿が導管を通って流れ始めるまで挿入される。カテーテルは、通常、コネクタ部分152を一方の手の二つ以上の指の間で把持し、別の手で近位端を尿道に導くことによって挿入される。尿は、近位セクション2の近位端の近くに形成された孔178を通って導管に流れ込み、さらに導管を通って、主に図17−19bに軸A-Aとして示されている導管の長手方向の拡がりと平行に長手方向に、図15と16に矢印179で示されるように流れ、コネクタ152を通って流れ出す。
【0112】
図15a−18に示されている実施形態は親水性コーティングされたカテーテルに特に適しているが、当業者に公知の他のタイプのコーティングされたカテーテル、例えばゲル・コーティングされたカテーテルにも用いることができる。
【0113】
図22は本発明に係るカテーテル200の結合構造の別の実施形態を示している。図は、近位セクション2と遠位セクション1がカテーテルを伸長した形態で結合している部分を縦断面で見て示している。
【0114】
近位セクションは、近位カテーテル・チューブ201で形成され、そこにスリーブ203のネック202が挿入されている。二つの部分を一緒に固定するために、ネックと近位カテーテル・チューブの内面の間は溶着される。スリーブ203の遠位端に第一の移行端204が形成される。
【0115】
遠位セクションは一つのピースで成形されるカテーテル・チューブ205として作られる。遠位セクションは、第二の移行端から長手方向に遠位端(図示せず)の方へ見て増大する径を有する第一の外側表面部分206を有する。遠位セクションの内側表面には、第二の移行端から見て順に、第一208,第二209,第三210,及び第四211の表面部分が設けられる。第一及び第三の表面部分は、第二及び第四の表面部分より小さな径を有する。図22に見られるように、こうして第二の表面部分は第一及び第三の表面部分によって画定されるスリットを形成する。
【0116】
遠位セクションの内側表面部分に対応して、近位部分の外側表面に、第五212,第六213,第七214,及び第八215の表面部分が設けられる。第五の表面部分は、第一の表面部分の径より小さな径を有し、第七の表面部分は、第三の表面部分の径より小さな径を有する。第六の表面部分は、第二の表面部分より小さいが、第五及び第七の表面部分の径より大きな径を有する。第八の表面部分は、第四の表面部分より小さいが、第三の表面部分の径より大きな径を有する。
【0117】
第六の表面部分は、カテーテルの軸に対して横方向に可撓性のある円環フランジとして好適に設けられる。これによりフランジがキー217として機能し、カテーテルが伸長した形態にあるときにスリットと係合する。可撓性があるため、キーは第三の表面部分を容易に通過して動く。
【0118】
さらに、第八の表面部分は第三の表面部分の径より大きな径を有するので、突出したリム218としてストップが設けられ、遠位セクションと近位セクションが引き離されることがそれによって防止される。
【0119】
実施例
実施例1:引き抜き力持久性
【0120】
この試験は、Lloyd LR 5Kなどの標準的な試験機での引っ張り試験として行われる。所望の円錐(konical)コネクションが引っ張り試験機に取りつけられ、各部分が引き離されるときの力が測定される。最大荷重が記録される。試験される材料は、外側チューブではEstane ETE X1014、内側チューブではEstane 58212である(表1参照のこと)。
【0121】
デフォルト形態は、引き離すのに約12 Nを必要とする(図2のI、図3参照のこと)。しかし、遠位セクションの厚さを二倍にすると(0.7 mmを加える)、二つのセクションを引き離すのに約20 Nを必要とする(図2のII、図6参照のこと)。近位セクションの壁の厚さを1.6 mmに増加させると、二つのセクションを引き離すのに必要な力は12 Nから約30 Nになる(図6,III、図4に示す)。
【0122】
近位セクションと遠位セクションの両方の厚さを増加させたとき(上述のように二倍にしたとき)、相乗的効果が観測された。その場合、二つのセクションを引き離すのに約60 Nの力が必要とされた(図2,IV、図7に示す)。
【0123】
実施例2:壁厚を増加させたカテーテル
【0124】
この実施例では、壁厚を増加させることによって伸長したカテーテルで近位セクションと遠位セクションの間の移行部の十分な持久力が得られる。
【0125】
図4にはっきりと示されているように、壁厚を二倍にすることは、近位チューブの内側に(遠位端、移行端に)付加的チューブを挿入することで達成される。
【0126】
しかし、カテーテル・チューブの成形のさいに、壁厚を増加させて内壁を補強できる−このような壁厚の増加は図5にはっきりと示されている。
【0127】
内壁について説明したと同じ原理を外壁(遠位セクション)にも適用できる。図6に示されているように、遠位セクションの壁の厚さを増加させ、同時にチューブの内径を減少させる。外側から見ると直線のように見え、この補強になめらかな感じを与える。近位セクションの外径が最小になると、すなわち、チューブの他の部分の径に達すると、遠位セクションの外径の減少が始まり、なめらかな移行部で終わる。
【0128】
しかし、上の実施例で述べたように最大の引き離し力を得るために、内側と外側チューブの両方の弾性を減少する組み合わせを移行部でのみ行われる。このような組み合わせは図7に示されており、遠位セクションの壁厚が増加し、同時にチューブの内径は減少する。この遠位セクションの内径の減少は、近位セクションの外径の増加とマッチしている。しかし、近位セクションの外径の増加の間、内径は一定に保たれる。これによって、両方のセクションが補強された移行部分を含む。
【0129】
実施例3:第三のエレメントを含むカテーテル
【0130】
図8に示されているように、移行部における弾性の減少は第三のエレメントによって両方のセクションで効果的に得られる。このエレメントは二つのセクションの間でトラップされ、必要な持久力を与える。一例はEstane X4995によって作られる第三のエレメントである。この場合、分離するためには、両セクションは完全な伸長/圧縮に耐えなければならない。この場合、材料は二つのセクションの間に入れられる。しかし、図14に示されているように、第三の材料はチューブの外側に配置することもできる。
【0131】
実施例4:移行点
【0132】
なめらかな移行点を設けることは重要である。特に、実際の移行点は、近位セクションへの粘膜の露出が終わって、セクションへの粘膜の露出が始まるところである。図9に示されているように、このような移行点の一つは遠位セクションの近位端を尖った角度でカットして得られる。しかし、図10に示されているように、この尖った角度は外径が増加している近位セクションのセグメントにぴったりと嵌合できる。ここで、近位セクションの通常のチューブ状のセグメントの外径が遠位セクションの近位端の内径より小さくすることができる。カテーテルを伸長する際に二つのセクションを引っ張るとき、カテーテルのコーティングは損傷されない。
【0133】
別のやり方が図11に示されている。ここでは、バルブ、又は円形の突起が近位セクションに設けられる。このバルブは粘膜を“持ち上げて”移行点との接触を回避させる。さらに、このバルブはカテーテルの遠位セクションと近位セクションの間で、一方向への通過を許すが、他の方向への通過を許さない機械的ロックとして働く。
【0134】
実施例5:カテーテルの部分の剛性
【0135】
チューブの剛性は、デザイン(形と径)及び材質、例えばE-係数(弾性係数)、又は非常にソフトな材料の場合は硬度、の関数である。男性の場合、カテーテルの近位部分挿入されたときに膀胱から骨盤底に突出する部分−が柔らかくで可撓性があって尿道の曲がりにフィットすることが重要である。剛性は低くなければならない。同時に、近位部分は良好なよじれ易さ(kinkability)を有するものでなければならない。
【0136】
これと反対に、遠位部分はもっと硬く、尿道(meatus)の開口の前にカテーテルが曲がることを回避して容易な挿入を可能にしなければならない。遠位部分のよじれ易さはユーザーがコントロールしモニターすることができるので、普通はあまり決定的に重要ではない。
【0137】
Estane ETE X1014が遠位部分の好ましい材料であり、Estane 58212が近位部分の好ましい材料である。ETE 60DT3は、許容される最低のE-係数(弾性係数)の遠位部分の材料の一例である−上記のいろいろな材料についてのデータは表1を参照のこと。
【0138】
カテーテルの中央から11 cmの長さを切り取る。カテーテルを、23℃の水に30秒間入れる。次にカテーテルを引っ張り試験機に配置したアダプタに取りつける。引っ張り試験機をスタートさせて、カテーテルを圧縮する力を記録する。
【0139】
図12は、典型的な遠位カテーテル・セクションに加えられる力を示す。横軸はセクションの圧縮をミリメートルで表し(伸び、mm)、縦軸は加えられた荷重力をNで表す。
【0140】
図12に示されているように、この高いE-係数(弾性係数)の典型的な遠位セクションの圧縮は、加えられた力による線形の圧縮を生ずる。しかし、ある点(15 N)でセクションはよじれ(kink)を生じ、それ以上曲げるために必要な力は低くなる。
【0141】
図13は、上記のような典型的な近位カテーテル・セクションに加えられる力を示す。この弾性セクションは、ほぼ加えられる力に比例して曲がる。横軸はセクションの圧縮をミリメートルで表し(伸び、mm)、縦軸は加えられた荷重力をNで表す。
【0142】
図13に示されているように、このE-係数(弾性係数)の小さい、典型的な近位セクションは、一定の力によるセクションの一定の曲げを生ずる。図13のカーブは、近位カテーテル・セクション圧縮の最初の4ミリメートルで0から2 Nまで急激に上昇する。最初の4ミリメートルの後、カーブは平らになり、近位セクションはほぼ2 Nの荷重を及ぼしながら曲がっていることを示している。
【0143】
したがって、遠位セクションと近位セクションを用意して、カテーテルを伸長した位置から収縮した位置に動かすために必要な第一の長手方向の力が、近位セクションと遠位セクションの少なくとも一方を曲げるために必要な第二の長手方向の力よりも大きくなるようにするために、第一の長手方向の力は2 N(これが第二の長手方向の力である)よりも大きくなるように選ばれる。すなわち、カテーテルが伸長した形態にあるとき、設けられた結合構造は少なくとも2 Nの荷重に十分耐えるほど硬いことが必要である。好ましくは、結合構造はさらに高い荷重、例えば3-10 N、に耐えられるように設計される。
【0144】
あるいはまた、カテーテルを尿道に挿入するために必要な押し込み力はほぼ1 Nであることに留意して、近位セクションと遠位セクションを用意して、カテーテルを伸長した位置から収縮した位置に動かすために必要な第一の長手方向の力が、近位セクションと遠位セクションの少なくとも一方を曲げるために必要な第二の長手方向の力よりも小さくなるようにし、結合構造は、必要な第一の長手方向の力が1〜2 Nの間、特に1.5 N〜2 Nの間、特に約1.7 N、となるように設計することもできる。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
保存と輸送用の収縮した形態と、長手方向に近位端から反対側の遠位端まで軸方向に伸びる導管を通して体から流体を排出する伸長した形態との間で操作できるカテーテルであって、該カテーテルは、
体の尿管に完全に挿入されるようになっており、前記導管の近位部分を形成し、前記近位部分が前記近位端と該近位セクションの第一の移行端の間に軸方向に伸びている近位セクションと、
前記尿管に少なくとも一部分が挿入されるようになっており、前記導管の遠位部分を形成し、前記遠位部分が該遠位セクションの第二の移行端と前記遠位端の間に軸方向に伸びている遠位セクションと、
を含み、
前記第一の移行端は、前記導管の前記遠位部分の収容部分の内部にそれを配置させて、前記各セクションが互いに相対的に軸方向に動いて前記カテーテルを該カテーテルの前記収縮した形態と前記伸長した形態の間で操作することを可能にするような寸法に設計され、前記各セクションが前記カテーテルを前記伸長した形態で支持するように協働する結合構造を含むことを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記カテーテルを伸長した位置から収縮した位置へ動かすために必要な第一の長手方向の力が、前記近位セクションと前記遠位セクションの少なくとも一方が曲がるために必要な第二の長手方向の力よりも大きくなるように前記各セクションが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記カテーテルを伸長した位置から収縮した位置へ動かすために必要な第一の長手方向の力が、前記近位セクションと前記遠位セクションの少なくとも一方が曲がるために必要な第二の長手方向の力よりも小さくなるように該各セクションが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記近位セクションが、前記近位端から前記第一の移行端の方へ増加する外径を有する第一の外側表面を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記遠位セクションが、前記遠位端から前記第二の移行端の方へ減少する外径を有する第二の外側表面を形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記第一の外側表面が長手方向と第一の角度を成し、前記第二の外側表面が長手方向と第二の角度を成し、前記第一の角度が少なくとも前記第二の角度の大きさであることを特徴とする請求項4または5のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記近位及び遠位セクションの一方が突起を備え、それが伸長した形態で前記近位及び遠位セクションの他方の凹部と協働することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記凹部が、前記セクションの外側表面に外周方向に伸びるスリットを形成することを特徴とする請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記スリットが前記近位セクションの外側表面に設けられていることを特徴とする請求項8に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記遠位セクションが、前記第二の移行端の前記導管の壁を形成する内側表面部分を含み、該内側表面部分が中心軸への距離、a、を成し、
前記近位セクションが、挿入可能な部分に隣接した外側表面部分を含み、該外側表面部分が中心軸への距離、b、を成し、
bがaよりも大きいことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記近位セクションが、第一の外径の第一の表面部分を有する外側表面を含み、前記第一の表面部分に、前記第一の外径より大きい第二の外径の第二の表面部分が長手方向に続くことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記第二の表面部分に、前記スリットを形成し前記第二の外径よりも小さい第三の外径を有する第三の表面部分が長手方向に続くことを特徴とする請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記スリットの後に、前記第三の表面部分の外径より大きな第四の外径を有する第四の表面部分が続くことを特徴とする請求項12に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記突起が外周方向に伸びるキーを形成し、前記伸長した形態でそれが前記スリットと協働するようにされること特徴とする請求項8〜13のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記キーが前記遠位セクションの内側表面から突出する第五の表面部分を形成することを特徴とする請求項14に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記第五の表面部分が前記遠位セクションの他の内側表面の外径より小さい外径を有することを特徴とする請求項15に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記第五の表面部分が前記第二及び第四の表面部分の外径より小さい外径を有することを特徴とする請求項15または16に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記伸長した形態で前記第三の表面部分と第五の表面部分の間にギャップが形成されることを特徴とする請求項15〜17のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記収縮した形態で前記第一の表面部分と第五の表面部分の間にギャップが形成されることを特徴とする請求項15〜18のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記ギャップが親水性の流体を含むことを特徴とする請求項18または19に記載のカテーテル。
【請求項21】
少なくとも前記各セクションの該移行端は前記長手方向に直交する断面で円形であることを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項22】
前記近位セクションが、
前記カテーテルの前記近位端を形成するチューブ状部材と、
第六の表面部分と第七の表面部分を有する外側表面を含むスリーブとを含み、
前記第六の表面部分の外径は前記第七の表面部分の外径より大きく、前記スリーブが、前記第七の表面部分が前記チューブ状部材の内側表面と接触し、前記第六の表面部分が前記近位セクションの外側表面を形成するように、導管に挿入されることを特徴とする請求項1〜21のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記第六の表面部分が前記チューブ状部材の前記外側表面より大きな外径を有することを特徴とする請求項22に記載のカテーテル。
【請求項24】
前記第七の表面部分が拡大された表面部分を含み、そこでは外径が前記第七の表面部分の残りの部分より大きいことを特徴とする請求項22または23に記載のカテーテル。
【請求項25】
前記拡大された表面部分が前記チューブ状部材の外側表面を変形してその表面に突起を形成することを特徴とする請求項24に記載のカテーテル。
【請求項26】
前記遠位セクションが、
前記カテーテルの前記遠位端を形成するチューブ状部材と、
第八の表面部分と第九の表面部分を含む外側表面を有するスリーブ、を含み、前記第八の表面部分の外径は前記第九の表面部分の外径より大きく、前記スリーブは、前記第九の表面部分が前記チューブ状部材の内側表面に接触し、前記第八の表面部分が前記近位セクションの外側表面を形成するように導管に挿入される、
ことを特徴とする請求項1〜25のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項27】
スリーブが前記遠位セクションの前記第二の移行端を形成し、前記第八の表面部分が前記第二の移行端の方へ減少する外径を有することを特徴とする請求項26に記載のカテーテル。
【請求項28】
近位セクション(2)と遠位セクション(1)を含み、両セクションは導管の一部を成し、
前記近位セクション(2)は、前記導管に流体を排出するための開口部を有する開口に挿入される挿入端(6)を含み、前記導管は反対側の移行端(5)の方へ伸び、前記近位セクションは前記移行端(5)の方へ増加する外径(A)を有し;
前記遠位セクション(1)は、前記カテーテルが伸長されたとき前記近位セクションの前記移行端(3)から前記導管への流体を受け入れる移行端(3)を含み、前記導管は反対側のガイド端(4)の方へ伸び、前記遠位セクションは移行端(3)の方へ減少する外径(B)を有し、前記近位セクションの前記移行端は、前記遠位セクションの前記導管内に配置されて前記各セクションの相対的な動きを可能にする寸法に設計されている、
ことを特徴とする伸張可能なカテーテル。
【請求項29】
前記近位セクションの前記移行端の前記外径が前記遠位セクションの前記移行端の前記内径より大きいことを特徴とする請求項28に記載のカテーテル。
【請求項30】
角度α(7)が約90°であることを特徴とする請求項28に記載のカテーテル。
【請求項31】
前記近位セクションの前記移行端の弾性が前記近位セクションの他の部分の弾性よりも低いことを特徴とする請求項28に記載のカテーテル。
【請求項32】
前記遠位セクションの前記移行端の弾性が前記遠位セクションの他の部分の弾性よりも低いことを特徴とする請求項28に記載のカテーテル。
【請求項33】
弾性の減少が壁厚の増加によって得られることを特徴とする請求項28に記載のカテーテル。
【請求項34】
前記近位部分がさらに円形の突起を含むことを特徴とする請求項28に記載のカテーテル。
【請求項35】
前記カテーテルが完全に伸長されたとき前記近位移行端が前記遠位移行端の内側に押し込まれることを特徴とする請求項28に記載のカテーテル。
【請求項36】
前記遠位セクションの弾性が前記近位セクションの弾性と異なることを特徴とする請求項28に記載のカテーテル。
【請求項37】
前記近位セクションが普通のカテーテルで知られているのと同程度の弾性を有し、前記遠位セクションが前記近位セクションよりも低い弾性を有することを特徴とする請求項36に記載のカテーテル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19a】
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【図19b】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−36724(P2011−36724A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−255699(P2010−255699)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【分割の表示】特願2010−228245(P2010−228245)の分割
【原出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(500085884)コロプラスト アクティーゼルスカブ (153)
【Fターム(参考)】