説明

画像の動き検出方法および装置

画像の動き検出方法および装置が開示される。予め決められた間隔を有する2つの静止画像f、f間のファイルサイズの差異が予め決められた閾値より大きいかどうかを判定することによって、予め決められた間隔中に画像において何らかの動きが生じたかどうかが判断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理技術に関し、具体的には、リアルタイムビデオ画像上で動き検出を実行するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、セキュリティ、環境、トラフィック、製造工程、動きなどの監視システムでは、システムは、監視されるピクチャに変化があったときは、アラームをトリガするまたはしばしば記録を開始し、たとえシステム管理者がいなくてもインテリジェントモニタの機能を遂行することができるように、および、動きまたはイベントが生じていないピクチャは記録されないので記憶用メディアスペース(例えば、ハードディスクまたはビデオテープ)をかなり節約することができるように、セットされる必要がある。したがって、上記システムでは、監視されるピクチャがアクティブ状態にあるかどうかを判断するために、動き検出技法を使用して監視されるピクチャに対応するリアルタイムビデオデータを検出する必要がある。
【0003】
図1に示されているように、現行の動きの検出における一般的手法は、動きが生じる前後にそれぞれ1フレームの静止画像を選択し、2つの画像を比較し、2つの画像が一致しない場合には、監視されるピクチャにおいて動きが生じていると判断することである。
【0004】
画像比較のためには複数のアルゴリズムがあり、比較的簡単なものは、画像のグレースケールヒストグラム上での粗比較を実行し、前後の画像のグレースケールヒストグラムの平均二乗偏差を計算することにより、2つの画像間の差異の程度を概略的に知ることである。しかし、この方法は、実際の実施においてはあまり効果的でなく、その主な理由は2つある:(1)画像のヒストグラムは画像画素の詳細な位置を反映することができず、さらに悪いことには、2つの完全に異なる画像が同一のグレースケールヒストグラムに対応する可能性がある、(2)画像の画素数も違いを生じる。
【0005】
こういう訳で、一般に別の方法が利用される、すなわち2つの画像の相関度が計算される。その基本原理は、相関関数によって2つの画像のある一定の特性についての計算を実行することにより、例えば、2つの画像の同一の位置にある画素点の色の数についての相関計算を実行することにより、画像の類似度を判定することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画素について1つずつ相関計算を実行することにより画像のコンテンツを比較するようなアルゴリズムの欠点は、特に監視されるピクチャが多数の画素を含んで比較的大きいときに計算が複雑すぎ、静止画を収集するための時間間隔が比較的短いことであり、これは、システムに相当な負荷をもたらし、間接的にシステムの複雑さおよびコストを増大する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的の1つは、画像の動きの検出を実行するための簡単で速い方法および装置を提供することであり、この方法および装置は、動きが生じているかどうかの結論を得るために、2つの(前後の)画像のファイル自体のサイズを直接比較することにより、画像における差異を判断する。
【0008】
本発明による画像動き検出方法は、以下のステップを含む:
a.動きが生じる前に静止画像fを収集し記憶するステップと、
b.予め決められた間隔によって静止画像fを収集するステップと、
c.静止画像fおよびfのファイルサイズにおける差異が予め決められた閾値より大きいかどうかを比較するステップと、
d.静止画像fおよびfのファイルサイズにおける差異が予め決められた閾値より大きい場合には、動きが予め決められた間隔以内に検出された画像において生じていることを確認する情報を出力するステップ。
【0009】
以下のものを備える、本発明による画像動き検出装置:
動きが生じる前に静止画像fを収集し、予め決められた間隔によって静止画像fを収集するための画像収集モジュールと、
動きが生じる前に静止画像fを記憶するための記憶モジュールと、
静止画像fおよびfのファイルサイズにおける差異が予め決められた閾値より大きいかどうかを比較し、静止画像fおよびfのファイルサイズにおける差異が予め決められた閾値より大きい場合には、予め決められた間隔以内に検出された画像において動きが生じていることを確認する情報を出力するための比較モジュール。
【0010】
画像動き検出方法および装置は、動きが生じているかどうかの結論を得るために、2つの(前後の)画像のファイルサイズを直接比較することにより画像における差異を判断し、従来技術に比べて、そのアルゴリズムはより簡単であり、その計算負荷は検出された画像のサイズまたは画素の数によって影響されず、それによってシステム負荷を低減し、したがってシステムの複雑さおよびコストを低減する。
【0011】
本発明の他の目的および効果は、図に関連しての説明および特許請求の範囲からより明白かつ明瞭になり、本発明は、より包括的に理解される。
【0012】
次に、本発明は、図に関連してさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】監視されるピクチャにおいて動きが生じる前後にそれぞれ収集された2つの静止画像の例を示す図である。
【図2】本発明の画像動き検出方法の一実施形態の処理流れ図である。
【図3】本発明の一実施形態の動き検出装置を利用した監視システムの構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、監視されるピクチャにおいて動きが生じているかどうかを判断するために静止画像比較法を使用する。第1に、比較のための静止画像が監視されるピクチャのビデオから収集される必要がある。例えば図1に示されている画像を取ると、左の収集された静止画像は、動きが生じる前のピクチャであり、右の収集された静止画像は、動きが生じた後のピクチャである。もちろん、検出エリアは、図1の白い破線内のエリアなどピクチャの一部分にセットすることもでき、動きはそのエリアのピクチャに変化があったときにのみ生じたと考えられる。このとき、収集された静止画像は、白い破線内のエリアしか含む必要がない。画像は、JPG、GIF、またはBMPなど一般的なフォーマットで保存することができる。
【0015】
本発明の詳細な動き検出方法の手順が図2に示されている。第1に、動きが生じる前の静止画像fが監視されるピクチャから収集され、参照対象として記憶される、すなわちステップS101。ステップS102において、静止画像fが予め決められた間隔によって収集される。予め決められた間隔は、実際の適用環境に応じてセットすることができる、例えば2秒ごとに、または48フレームごとになどセットすることができる。
【0016】
動きが上記の予め決められた間隔で生じているときは、例えば図1の例では、人が監視されるピクチャに現れる。このとき、静止画像fのコンテンツは静止画像fのコンテンツとは異なり、したがって、静止画像fのファイルサイズSも静止画像fのファイルサイズSとは異なる。したがって、本発明は、ステップS103においてSおよびSを比較する方法を利用して動きが生じているかどうかを判断する、すなわち、SとSとの間の差異がゼロでないときは、fのコンテンツがfに比較して変化していると判断することができる。
【0017】
しかし、実際に適用する場合、誤判断が生じないようにするなどの理由から、閾値SまたはS’をセットすることができる、すなわち、
【0018】
【数1】

のときにのみ動きが生じていると判断される。動きの発生が予見される可能性がある場合には、閾値SまたはS’の大きさは、監視されるピクチャのサイズまたは対象のサイズに基づいてセットすることができる。基本的には、動きの発生が予見される可能性がある場合には、監視されるピクチャが大きいほどまたは対象が大きいほど、それに対応してより大きい閾値をセットすることができる。
【0019】
ステップS103において、動きが生じていると判断された場合には、記録を実行するまたはアラームを送信するなどのアクションをトリガするために信号を出力することができる。動きが生じていないと判断された場合には、プロセスはステップ102に戻り、次の画像を収集するために待機する。
【0020】
図3は、本発明の一実施形態の動き検出装置を利用した監視システムの構造図である。監視システムは、主に、カメラ20、動き検出装置10、および記録デバイス30を備える。動き検出装置10は、主に、ビデオ収集モジュール11、記憶モジュール12、および比較モジュール13を備える。ビデオ収集モジュール11は、動きが生じる前の静止画像fを収集し、それを記憶モジュール12に記憶すること、および予め決められた間隔によって静止画像fを収集することを含めて、カメラ20によって監視されるピクチャの画像収集を実行するように構成される。記憶モジュール12は、動き検出装置10に専用のバッファでもよく、または記録デバイス30と共用されるメモリの一部分でもよい。比較モジュール13は、記憶モジュール12内の静止画像fのファイルサイズSを、ビデオ収集モジュール11によって収集された静止画像fのファイルサイズSと比較する、すなわち、
【0021】
【数2】

かどうか判断する。結果が肯定である場合には、比較モジュール31は、記録デバイス30にトリガ信号を出力する。記録デバイス30はカメラ20にも接続され、記録デバイス30は、比較モジュール31から送信されたトリガ信号を受信した後に、カメラによって撮られたピクチャを記録し始める。
【0022】
図3は、単に、本発明の動き検出装置の適用形態を具体的に説明するために掲載された一実施形態であり、もちろん、本発明の適用形態はそれに限定されない。例えば、記録デバイス30は、アラームデバイスまたは他のデバイスと取り替えることができる。
【0023】
本発明の動き検出方法および装置は、動きが生じているかどうかの結論を得るために、2つの(前後の)画像のファイルサイズを直接比較することにより画像における差異を判断することが上記の説明から分かり、本発明のアルゴリズムは、画素について1つずつ相関計算を実行することにより画像における差異が判断される従来技術に比べて、より簡単であり、その計算負荷は、検出されたピクチャのサイズまたは画素の数によって影響されず、それによってシステム負荷を低減し、したがってシステムの複雑さおよびコストを低減する。
【0024】
上記の実施形態は本発明を限定するのではなく例示するためであることに留意されるべきであり、さらに、添付の特許請求の範囲の保護範囲から逸脱することなく、本発明によって開示された動き検出方法および装置において、本発明のコンテンツから逸脱することなく、様々な改善がなされてよいことを当業者は理解するはずである。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲のコンテンツによって判定されるべきである。さらに、特許請求の範囲における参照符号は、特許請求の範囲の保護範囲を限定すると解釈されるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像動き検出方法であって、
a.動きが生じる前に静止画像fを収集し記憶するステップと、
b.予め決められた間隔によって静止画像fを収集するステップと、
c.静止画像fおよびfのファイルサイズにおける差異が予め決められた閾値より大きいかどうかを比較するステップと、
d.静止画像fおよびfのファイルサイズにおける差異が予め決められた閾値より大きい場合には、予め決められた間隔以内で検出された画像において動きが生じていることを確認する情報を出力するステップと
を含む、画像動き検出方法。
【請求項2】
e.静止画像fおよびfのファイルサイズにおける差異が予め決められた閾値より小さいかまたは等しい場合には、ステップb、c、およびdを繰り返すステップ
をさらに含む、請求項1に記載の画像動き検出方法。
【請求項3】
動きの発生が予見される可能性がある場合には、予め決められた閾値が、検出された画像のピクチャサイズまたは対象のサイズに基づいてセットされる、請求項1または2に記載の画像動き検出方法。
【請求項4】
予め決められた間隔が、予め決められた時間間隔または予め決められた数の画像フレーム間の間隔である、請求項1または2に記載の画像動き検出方法。
【請求項5】
画像動き検出装置であって、
動きが生じる前に静止画像fを収集し、予め決められた間隔によって静止画像fを収集するための画像収集モジュールと、
動きが生じる前に静止画像fを記憶するための記憶モジュールと、
静止画像fおよびfのファイルサイズにおける差異が予め決められた閾値より大きいかどうかを比較し、静止画像fおよびfのファイルサイズにおける差異が予め決められた閾値より大きい場合には、予め決められた間隔以内に検出された画像において動きが生じていることを確認する情報を出力するための比較モジュールと
を備える、画像動き検出装置。
【請求項6】
動きの発生が予見される可能性がある場合には、予め決められた閾値が、検出された画像のピクチャサイズまたは対象のサイズに基づいてセットされる、請求項5に記載の画像動き検出装置。
【請求項7】
予め決められた間隔が、予め決められた時間間隔または予め決められた数の画像フレーム間の間隔である、請求項5または6に記載の画像動き検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−511194(P2012−511194A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538818(P2011−538818)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【国際出願番号】PCT/CN2008/073374
【国際公開番号】WO2010/066072
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(391030332)アルカテル−ルーセント (1,149)
【Fターム(参考)】