説明

画像データの出力画像調整

【課題】個々の画像データに対応して画質を適切に自動調整する技術を提供する。
【解決手段】画像データと、前記画像データ生成時における絞り情報と動作モード情報とレンズ焦点距離情報とを少なくとも含むと共に前記画像データに関連付けられた画像生成情報とを用い、前記画像生成情報に含まれる前記絞り情報と前記動作モード情報と前記レンズ焦点距離情報とに基づいた前記画像データのシャープネスの調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データの画質を調整する画像調整技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタルスチルカメラ(DSC)やディジタルビデオカメラ(DVC)等によって生成された画像データの画質は、パーソナルコンピュータ上で画像レタッチアプリケーションを用いることによって任意に調整することができる。画像レタッチアプリケーションには、一般的に、画像データの画質を自動的に調整する画像調整機能が備えられており、この画像調整機能を利用すれば、出力装置から出力する画像の画質を向上させることができる。画像ファイルの出力装置としては、例えば、CRT、LCD、プリンタ、プロジェクタ、テレビ受像器などが知られている。
【0003】
また、出力装置の1つであるプリンタの動作を制御するプリンタドライバにも、画像データの画質を自動的に調整する機能が備えられており、このようなプリンタドライバを利用しても、印刷される画像の画質を向上させることができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−8768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これら画像レタッチアプリケーションやプリンタドライバによって提供される画質自動調整機能では、一般的な画質特性を有する画像データを基準として画質補正が実行される。これに対して、画像処理の対象となる画像データは様々な条件下で生成され得るため、一律に画質自動調整機能を実行しても、画質を向上させることができない場合がある。
【0006】
例えば、風景や記念撮影などの画像を出力する場合には、手前から背景に至るまで画面全体にわたってピントを合わせたシャープな画像が好まれる。そのために、絞りを小さく(絞り値を大きく)設定し、動作モード、例えば露出調整モードを、ユーザが設定した絞り値を優先して利用する絞り優先モードやマニュアルモードに設定した画像データの生成がしばしば行われる。ところが、このような画像データに対して一般的な画質特性を有する画像データを基準とした画質補正を行っても、十分なシャープさを得ることができない場合があった。なお、こうした問題はDSCに限らず、DVC等の他の画像データ生成装置においても共通の課題である。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、個々の画像データに対応して画質を適切に自動調整することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、この発明による画像処理装置は、画像生成部で生成された画像データと、前記画像データ生成時における絞り情報と動作モード情報とレンズ焦点距離情報とを少なくとも含むと共に前記画像データに関連付けられた画像生成情報とを用いて画像処理を行う画像処理装置であって、前記画像生成情報に含まれる前記絞り情報と前記動作モード情報とレンズ焦点距離情報とに基づいて、前記画像データのシャープネスを調整する画質調整部を、備える。
【0009】
この発明による画像処理装置は、画像データ生成時における絞り情報と動作モード情報とレンズ焦点距離情報とに基づいて、画像データの適切なシャープネス調整を行うことができる。
【0010】
上記画像処理装置において、前記画質調整部は、前記動作モード情報に基づいて、前記画像データのシャープネスを調整する画質調整を実行するか否かの判定を行うとともに、前記画質調整を実行すると判定したときに、シャープネス調整の度合いを前記絞り情報と前記レンズ焦点距離情報とに基づいて決定するのが好ましい。
【0011】
こうすることで、シャープネスを調整する画質調整を実行するか否かの判定を、動作モードに基づいて適切に実行することができる。さらに、シャープネス調整の度合いを、絞り情報とレンズ焦点距離情報とに基づいて適切に決定することができる。
【0012】
上記各画像処理装置において、前記画質調整部は、前記動作モード情報に基づいて、前記画像データ生成時における画像生成部の動作モードがポートレートモードであるか否かを判定することが可能であり、前記動作モードがポートレートモードであると判定した場合には、a)前記画質調整を実行しない、b)前記画像生成部の標準撮影条件で前記絞り値が設定される場合よりも弱いシャープネス調整を実行する、のいずれかの処理を実行するのが好ましい。
【0013】
こうすることで、画像生成部においてポートレートモードで生成された画像データに基づいて、ソフトな画像を出力することができる。
【0014】
上記各画像処理装置において、前記画質調整部は、前記絞り情報から前記画像データ生成時に用いられた絞り値を取得すると共に、前記絞り値がユーザによるマニュアル設定か否かを判定することが可能であり、前記絞り値がマニュアル設定であると判定した場合には、前記絞り値が取り得る全範囲のうちの少なくとも一部の所定の範囲に前記絞り値が設定されているときに、前記画像生成部の標準撮影条件で前記絞り値が設定される場合よりも強いシャープネス調整を実行するのが好ましい。
【0015】
こうすることで、絞り値を調節して生成された画像データのシャープネスを、より適切に調整することができる。なお、絞り値は通常はF値であり、絞り値が大きいほど絞りは小さい。
【0016】
上記各画像処理装置において、前記強いシャープネス調整は、前記絞り値が所定の値以上である場合に実行されるのが好ましい。
【0017】
こうすることで、絞り値を所定の値以上に設定して生成された画像データの画質を、よりシャープに調整することができる。
【0018】
上記各画像処理装置において、前記強いシャープネス調整におけるシャープネス調整の度合いは、前記絞り値が大きいほど強いのが好ましい。
【0019】
こうすることで、絞り値をより大きく設定して生成された画像データの画質を、よりシャープに調整することができる。
【0020】
上記各画像処理装置において、前記画像生成情報は、さらに、前記画像データを生成した画像データ生成部において利用可能な絞り値の最大値に関する情報を含み、前記強いシャープネス調整は、前記絞り値が前記絞り値の最大値である場合に実行されるのが好ましい。
【0021】
こうすることで、絞り値を最大値に設定して生成された画像データの画質を、よりシャープに調整することができる。
【0022】
上記各画像処理装置において、前記強いシャープネス調整におけるシャープネス調整の度合いは、前記レンズ焦点距離が大きいほど強いことが好ましい。
【0023】
こうすることで、レンズ焦点距離をより大きく設定して生成された画像データの画質を、よりシャープに調整することができる。
【0024】
なお、この発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、画像データ出力方法および画像データ出力装置、画像データ処理方法および画像データ処理装置、これらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施例としての画像データ出力システムの構成を示すブロック図。
【図2】ディジタルスチルカメラ12の概略構成を示すブロック図。
【図3】本実施例にて用いることができる画像ファイルの内部構成の一例を概念的に示す説明図。
【図4】付属情報格納領域103のデータ構造例を説明する説明図。
【図5】Exifデータ領域のデータ構造の一例を説明する説明図。
【図6】プリンタ20の概略構成を示すブロック図。
【図7】プリンタ20の制御回路30を中心としたプリンタ20の構成を示すブロック図。
【図8】ディジタルスチルカメラ12における画像ファイルGFの生成処理の流れを示すフローチャート。
【図9】プリンタ20における画像処理の処理ルーチンを示すフローチャート。
【図10】画像生成情報に基づく画像処理の処理ルーチンを示すフローチャート。
【図11】アンシャープマスクを用いたシャープネス調整方法を説明する概念図。
【図12】自動画質調整処理の処理ルーチンを示すフローチャート。
【図13】自動画質調整処理の第1実施例における、シャープネス調整の度合いと絞り値との関係を示す説明図。
【図14】自動画質調整処理の第2実施例における、シャープネス調整の度合いと絞り値との関係を示す説明図。
【図15】自動画質調整処理の第3実施例における、シャープネス調整の度合いと絞り値との関係を示す説明図。
【図16】自動画質調整処理の第4実施例における、シャープネス調整の度合いと絞り値との関係を示す説明図。
【図17】自動画質調整処理の第5実施例における、シャープネス調整の度合いと絞り値との関係を示す説明図。
【図18】画像データ処理装置を適用可能な画像データ出力システムの一例を示す説明図。
【図19】色空間変換処理を省略した場合の画像処理ルーチンを示すフローチャート。
【図20】画像生成情報に基づく画像処理の処理ルーチンの別の例を示すフローチャート。
【図21】画像生成情報に基づく画像処理の処理ルーチンの別の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、この発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.画像データ出力システムの構成:
B.画像ファイルの構成:
C.画像データ出力装置の構成:
D.ディジタルスチルカメラにおける画像処理:
E.プリンタにおける画像処理:
F.シャープネス調整処理の実施例:
G.自動画質調整処理の実施例:
H.画像データ処理装置を用いる画像データ出力システムの構成:
I.変形例:
【0027】
A.画像データ出力システムの構成:
図1は、本発明の一実施例としての出力装置(または、画像データ出力装置とも呼ぶ)を適用可能な画像データ出力システムの一例を示す説明図である。画像データ出力システム10は、画像ファイルを生成する画像データ生成装置としてのディジタルスチルカメラ12と、画像の出力装置としてのプリンタ20とを備えている。ディジタルスチルカメラ12において生成された画像ファイルは、ケーブルCVを介したり、画像ファイルが格納されたメモリカードMCをプリンタ20に直接挿入したりすることによって、プリンタ20に送出される。プリンタ20は、読み込んだ画像ファイルに基づいた画像データの画質調整処理を実行し、画像を出力する。出力装置としては、プリンタ20の他に、CRTディスプレイ、LCDディスプレイ等のモニタ14、プロジェクタ等を用いることができる。以下、画質調整部と画像出力部を備えるプリンタ20を出力装置として用い、メモリカードMCをプリンタ20に直接挿入する場合に基づいて説明する。
【0028】
図2は、ディジタルスチルカメラ12の概略構成を示すブロック図である。この実施例のディジタルスチルカメラ12は、光情報を収集するための光学回路121と、光学回路を制御して画像を取得するための画像取得回路122と、取得したディジタル画像を加工処理するための画像処理回路123と、各回路を制御する制御回路124とを備えている。制御回路124は、図示しないメモリを備えている。光学回路121は、光情報を集めるレンズ125と、光量を調節する絞り129と、レンズを通過した光情報を画像データに変換するCCD128とを備えている。
【0029】
本実施例において、光学回路121と画像取得回路122とは、本発明における「画像生成部」に相当する。
【0030】
ディジタルスチルカメラ12は、取得した画像をメモリカードMCに保存する。ディジタルスチルカメラ12における画像データの保存形式としては、JPEG形式が一般的であるが、この他にもTIFF形式や、GIF形式や、BMP形式や、RAWデータ形式などの保存形式を用いることができる。
【0031】
ディジタルスチルカメラ12は、また、種々の撮影条件(絞り値、シャッタースピード、露出調整モード、撮影モード、レンズ焦点距離等)を設定するための選択・決定ボタン126と、液晶ディスプレイ127とを備えている。液晶ディスプレイ127は、撮影画像をプレビューしたり、選択・決定ボタン126を用いて絞り値等を設定したりする際に利用される。絞り値は、ディジタルスチルカメラ12の機種に応じて予め定められる所定の範囲内の値を設定することが可能であり、例えば、2から16の間の所定の離散的な値(例えば、2,2.8,4,5.6・・・等)を設定することができる。なお、絞り値としては、通常はF値が使用される。従って、絞り値が大きいほど、絞りは小さい。シャッタースピードも、所定の範囲内の値を設定することが可能であり、例えば、1/15秒から1/250秒の間の値を設定することができる。露出調整モードとしては、プログラムオート(自動調整モード)、絞り優先モード、シャッタースピード優先モード、マニュアルモード等の予め準備されている複数のモードの中の1つを選択することが可能である。プログラムオートが設定された場合には、絞り値とシャッタースピードとが自動的に標準的な値に調整されることによって、露出が標準的な値に設定される。マニュアルモードが設定された場合には、ユーザが設定した絞り値とシャッタースピードとが用いられる。絞り値やシャッタースピードがユーザによって設定された場合には、その設定値を用いる露出調整モードが自動的に選択される構成としてもよい。撮影モードとしては、標準モード、人物モード(ポートレートモード)、風景モード、夜景モード等の予め準備されている複数のモードの中の1つを、被写体の種類等に合わせて選択することが可能である。ユーザによって撮影モードが指定された場合には、指定された撮影モードに応じて、関連するパラメータ(絞り値、レンズ焦点距離等)が自動的に設定される。例えば、撮影モードとして標準モードが選択された場合には、絞り値に限らず、画像データ生成に関連するパラメータが標準値に設定される。絞り値が標準的な値に設定される標準撮影条件(例えば、露出調整モードとしてのプログラムオートによる撮影条件や、撮影モードとしての標準モードによる撮影条件)は、ディジタルスチルカメラ12におけるデフォルトの撮影条件である。また、標準撮影条件は、ディジタルスチルカメラ12の購入時の設定としてしばしば利用される。
【0032】
レンズ焦点距離は、レンズの中心とその焦点、すなわち、フィルムやCCD等の受光素子との距離に関する情報であり、使用するレンズの機種に応じて予め定められる所定の範囲内の値を設定することが可能である。ユーザは、レンズ焦点距離をより大きな値に調整することによって、被写体がより大きく写った画像を得ることができる。なお、レンズ焦点距離は、mm単位で表示されることが一般的である。
【0033】
ディジタルスチルカメラ12において撮影が実行された場合には、画像データと画像生成情報とが、画像ファイルとしてメモリカードMCに格納される。画像生成情報は、撮影時(画像データ生成時)における絞り値等のパラメータの設定値を含むことが可能である(詳細については後述する)。
【0034】
B.画像ファイルの構成:
図3は、本実施例にて用いることができる画像ファイルの内部構成の一例を概念的に示す説明図である。画像ファイルGFは、画像データGDを格納する画像データ格納領域101と、画像生成情報GIを格納する画像生成情報格納領域102を備えている。画像データGDは、例えば、JPEG形式で格納されており、画像生成情報GIは、例えば、TIFF形式(データおよびデータ領域がタグを用いて特定される形式)で格納されている。なお、本実施例におけるファイルの構造、データの構造といった用語は、ファイルまたはデータ等が記憶装置内に格納された状態におけるファイルまたはデータの構造を意味するものである。
【0035】
画像生成情報GIは、ディジタルスチルカメラ12等の画像データ生成装置において画像データが生成されたとき(撮影されたとき)の画像に関する情報であり、以下のような設定値を含んでいる。
・絞り値。
・シャッタースピード。
・露出時間。
・レンズ焦点距離。
・露出調整モード。
・撮影モード。
・メーカ名。
・モデル名。
・ガンマ値。
【0036】
本実施例の画像ファイルGFは、基本的に上記の画像データ格納領域101と、画像生成情報格納領域102とを備えていれば良く、既に規格化されているファイル形式に従ったファイル構造をとることができる。以下、本実施例に係る画像ファイルGFをExifファイル形式に適合させた場合について具体的に説明する。
【0037】
Exifファイルは、ディジタルスチルカメラ用画像ファイルフォーマット規格(Exif)に従ったファイル構造を有しており、その仕様は、日本電子情報技術産業協会(JEITA)によって定められている。また、Exifファイル形式は、図3に示した概念図と同様に、JPEG形式の画像データを格納するJPEG画像データ格納領域と、格納されているJPEG画像データに関する各種情報を格納する付属情報格納領域とを備えている。JPEG画像データ格納領域は、図3における画像データ格納領域101に相当し、付属情報格納領域は画像生成情報格納領域102に相当する。付属情報格納領域には、撮影日時、絞り値、シャッター速度といったJPEG画像に関する画像生成情報が格納される。
【0038】
図4は、付属情報格納領域103のデータ構造例を説明する説明図である。Exifファイル形式では、データ領域を特定するために階層的なタグが用いられている。各データ領域は、下位のタグによって特定される複数の下位のデータ領域を、その内部に含むことができる。図4では、四角で囲まれた領域が一つのデータ領域を表しており、その左上にタグ名が記されている。この実施例は、タグ名がAPP0、APP1、APP6である3つのデータ領域を含んでいる。APP1データ領域は、その内部に、タグ名がIFD0、IFD1である2つのデータ領域を含んでいる。IFD0データ領域は、その内部に、タグ名がPM、Exif、GPSである3つのデータ領域を含んでいる。データおよびデータ領域は、規定のアドレスまたはオフセット値に従って格納され、アドレスまたはオフセット値はタグ名によって検索することができる。出力装置側では、所望の情報に対応するアドレスまたはオフセット値を指定することにより、所望の情報に対応するデータを取得することができる。
【0039】
図5は、図4において、タグ名をAPP1−IFD0−Exifの順にたどることで参照することができるExifデータ領域のデータ構造(データのタグ名とパラメータ値)の一例を説明する説明図である。Exifデータ領域は、図4に示すようにタグ名がMakerNoteであるデータ領域を含むことが可能であり、MakerNoteデータ領域は、さらに多数のデータを含むことができるが、図5では図示を省略する。
【0040】
Exifデータ領域には、図5に示すように、露出時間と、絞り値と、露出プログラムと、レンズ焦点距離と、撮影シーンタイプ等の情報に対応するパラメータ値が格納されている。絞り値は絞り情報として用いることができ、さらに、露出プログラムと撮影シーンタイプとは、動作モード情報として用いることができる。
【0041】
露出プログラムは、露出調整モードを識別する情報であり、例えば、以下の4つの値を含む複数の値の中から選択して設定される。
パラメータ値1:マニュアルモード。
パラメータ値2:プログラムオート。
パラメータ値3:絞り優先モード。
パラメータ値4:シャッタースピード優先モード。
【0042】
撮影シーンタイプは、撮影モードを識別する情報であり、例えば、標準モード、人物モード(ポートレートモード)、風景モード、夜景モードの中から選択して設定される。
【0043】
画像データに関連付けられた情報は、図4におけるExifデータ領域以外の領域にも適宜格納される。例えば、画像データ生成装置を特定する情報としてのメーカ名やモデル名は、タグ名がIFD0であるデータ領域に格納される。
【0044】
C.画像データ出力装置の構成:
図6は、本実施例のプリンタ20の概略構成を示すブロック図である。プリンタ20は、画像の出力が可能なプリンタであり、例えば、シアンCと、マゼンタMgと、イエロYと、ブラックKとの4色のインクを印刷媒体上に吐出してドットパターンを形成するインクジェット方式のプリンタである。また、トナーを印刷媒体上に転写・定着させて画像を形成する電子写真方式のプリンタを用いることもできる。インクには、上記4色に加えて、シアンCよりも濃度の薄いライトシアンLCと、マゼンタMgよりも濃度の薄いライトマゼンタLMと、イエロYよりも濃度の濃いダークイエロDYとを用いても良い。また、モノクロ印刷を行う場合には、ブラックKのみを用いる構成としても良く、レッドRやグリーンGを用いても良い。利用するインクやトナーの種類は、出力する画像の特徴に応じて決めることができる。
【0045】
プリンタ20は、図示するように、キャリッジ21に搭載された印刷ヘッド211を駆動してインクの吐出およびドット形成を行う機構と、キャリッジ21をキャリッジモータ22によってプラテン23の軸方向に往復動させる機構と、紙送りモータ24によって印刷用紙Pを搬送する機構と、制御回路30とから構成されている。これらの機構により、プリンタ20は画像出力部として機能する。キャリッジ21をプラテン23の軸方向に往復動させる機構は、プラテン23の軸と平行に架設されたキャリッジ21を櫂動可能に保持する櫂動軸25と、キャリッジモータ22との間に無端の駆動ベルト26を張設するプーリ27と、キャリッジ21の原点位置を検出する位置検出センサ28等から構成されている。印刷用紙Pを搬送する機構は、プラテン23と、プラテン23を回転させる紙送りモータ24と、図示しない給紙補助ローラと、紙送りモータ24の回転をプラテン23および給紙補助ローラに伝えるギヤトレイン(図示省略)とから構成されている。
【0046】
制御回路30は、プリンタの操作パネル29と信号をやり取りしつつ、紙送りモータ24やキャリッジモータ22、印刷ヘッド211の動きを適切に制御している。プリンタ20に供給された印刷用紙Pは、プラテン23と給紙補助ローラの間に挟みこまれるようにセットされ、プラテン23の回転角度に応じて所定量だけ送られる。
【0047】
キャリッジ21は、印刷ヘッド211を有しており、また、利用可能なインクのインクカートリッジを搭載可能である。印刷ヘッド211の下面には利用可能なインクを吐出するためのノズルが設けられる(図示省略)。
【0048】
図7は、プリンタ20の制御回路30を中心としたプリンタ20の構成を示すブロック図である。制御回路30の内部には、CPU31と、PROM32と、RAM33と、メモリカードMCからデータを取得するメモリカードスロット34と、紙送りモータ24やキャリッジモータ22等とデータのやり取りを行う周辺機器入出力部(PIO)35と、駆動バッファ37等が設けられている。駆動バッファ37は、印刷ヘッド211にドットのオン・オフ信号を供給するバッファとして使用される。これらは互いにバス38で接続され、相互にデータのやり取りが可能となっている。また、制御回路30には、所定周波数で駆動波形を出力する発信器39と、発信器39からの出力を印刷ヘッド211に所定のタイミングで分配する分配出力器40も設けられている。
【0049】
また、制御回路30は、紙送りモータ24やキャリッジモータ22の動きと同期をとりながら、所定のタイミングでドットデータを駆動バッファ37に出力する。さらに、制御回路30は、メモリカードMCから画像ファイルを読み出し、付属情報を解析し、得られた画像生成情報に基づいて画像処理を行う。すなわち、制御回路30は画質調整部として機能する。制御回路30によって実行される詳細な画像処理の流れについては後述する。
【0050】
なお、本実施例において、駆動バッファ37と、発信器39と、分配出力器40と、印刷ヘッド211とは、画像データに応じて画像を出力する「画像出力部(または、画像形成部)」として機能する。また、CPU31は、「画像出力部」に画質を調整した画像データを出力する「データ出力部」として機能する。
【0051】
D.ディジタルスチルカメラにおける画像処理:
図8は、ディジタルスチルカメラ12における画像ファイルGFの生成処理の流れを示すフローチャートである。
【0052】
ディジタルスチルカメラ12の制御回路124(図2)は、撮影要求、例えば、シャッターボタンの押し下げに応じて画像データGDを生成する(ステップS100)。絞り値や、露出調整モードや、撮影モード等のパラメータ値の設定がされている場合には、設定されたパラメータ値を用いた画像データGDの生成が行われる。
【0053】
制御回路124は、生成した画像データGDと画像生成情報GIとを、画像ファイルGFとしてメモリカードMCに格納して(ステップS110)、本処理ルーチンを終了する。画像生成情報GIは、絞り値、シャッタースピード等の画像生成時に用いたパラメータ値や、露出調整モード、撮影モードなどの任意に設定され得るパラメータ値や、メーカ名や、モデル名等の自動的に設定されるパラメータ値を含む。また、画像データGDは、RGB色空間からYCbCr色空間に変換された後、JPEG圧縮され、画像ファイルGFとして格納される。
【0054】
ディジタルスチルカメラ12において実行される以上の処理によって、メモリカードMCに格納されている画像ファイルGFには、画像データGDと共に、画像データ生成時における各パラメータ値を含む画像生成情報GIが設定されることとなる。
【0055】
E.プリンタにおける画像処理:
図9は、本実施例のプリンタ20における画像処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。以下の説明では、画像ファイルGFを格納したメモリカードMCがプリンタ20に直接挿入される場合に基づいて説明する。プリンタ20の制御回路30(図7)のCPU31は、メモリカードスロット34にメモリカードMCが差し込まれると、メモリカードMCから画像ファイルGF(図3)を読み出す(ステップS200)。次にステップS210にて、CPU31は、画像ファイルGFの付属情報格納領域から、画像データ生成時の情報を示す画像生成情報GIを検索する。画像生成情報GIを発見できた場合には(ステップS220:Y)、CPU31は、画像生成情報GIを取得して解析する(ステップS230)。CPU31は、解析した画像生成情報GIに基づいて、後述する画像処理を実行し(ステップS240)、処理した画像を出力して(ステップS250)、本処理ルーチンを終了する。
【0056】
一方、ドローイングアプリケーションなどを用いて生成された画像ファイルには、絞り値などの情報を有する画像生成情報GIが含まれない。CPU31は、画像生成情報GIを発見できなかった場合には(ステップS220:N)、標準処理を行い(ステップS260)、処理した画像を出力して(ステップS250)、本処理ルーチンを終了する。
【0057】
図10は、画像生成情報に基づく画像処理(図9においてはステップS240に相当する)の処理ルーチンを示すフローチャートである。プリンタ20の制御回路30(図7)のCPU31は、読み出した画像ファイルGFから画像データGDを取り出す(ステップS300)。
【0058】
ディジタルスチルカメラ12は、既述のように画像データGDをJPEG形式のファイルとして保存しており、JPEG形式のファイルではYCbCr色空間を用いて画像データを保存している。CPU31は、ステップS310にて、YCbCr色空間に基づく画像データをRGB色空間に基づく画像データに変換するために3×3マトリックスSを用いた演算を実行する。このマトリックス演算は、例えば、以下に示す演算式である。
【0059】
【数1】

【0060】
ディジタルスチルカメラ12が生成する画像データの色空間が、所定の色空間、例えば、sRGB色空間よりも広い場合には、ステップS310で得られるRGB色空間に基づく画像データが、そのRGB色空間の定義領域外に有効なデータを含む場合がある。画像生成情報GIにおいて、これらの定義領域外のデータを有効なデータとして扱う指定がなされている場合には、定義領域外のデータをそのまま保持して、以降の画像処理を継続する。定義領域外のデータを有効なデータとして扱う指定がなされていない場合には、定義領域外のデータを定義領域内にクリッピングする。例えば、定義領域が0〜255である場合には、0未満の負値のデータは0に、256以上のデータは255に丸められる。画像出力部の表現可能な色空間が、所定の色空間、例えば、sRGB色空間よりも広くない場合には、画像生成情報GIにおける指定にかかわらず、定義領域内にクリッピングするのが好ましい。このような場合として、例えば、表現可能な色空間がsRGB色空間であるCRTに出力する場合がある。
【0061】
次に、ステップS320にて、CPU31は、ガンマ補正、並びに、マトリックスMを用いた演算を実行し、RGB色空間に基づく画像データをXYZ色空間に基づく画像データに変換する。画像ファイルGFは、画像生成時におけるガンマ値と色空間情報とを含むことができる。画像生成情報GIがこれらの情報を含む場合には、CPU31は画像生成情報GIから画像データのガンマ値を取得し、取得したガンマ値を用いて画像データのガンマ変換処理を実行する。さらに、CPU31は画像生成情報GIから画像データの色空間情報を取得し、その色空間に対応するマトリックスMを用いて画像データのマトリックス演算を実行する。画像生成情報GIがガンマ値を含まない場合には、標準的なガンマ値を用いてガンマ変換処理を実行することができる。また、画像生成情報GIが色空間情報を含まない場合には、標準的なマトリックスMを用いてマトリックス演算を実行することができる。これらの標準的なガンマ値、および、マトリックスMとしては、例えば、sRGB色空間に対するガンマ値とマトリックスを用いることができる。このマトリックス演算は、例えば、以下に示す演算式である。
【0062】
【数2】

【0063】
マトリックス演算の実行後に得られる画像データの色空間はXYZ色空間である。XYZ色空間は絶対色空間であり、ディジタルスチルカメラやプリンタといったデバイスに依存しないデバイス非依存性色空間である。そのため、XYZ色空間を介して色空間の変換を行うことによって、デバイスに依存しないカラーマッチングを行うことができる。
【0064】
次に、ステップS330にて、CPU31は、マトリックスN-1を用いた演算、並びに、逆ガンマ補正を実行し、XYZ色空間に基づく画像データをwRGB色空間に基づく画像データに変換する。逆ガンマ補正を実行する際には、CPU31はPROM32からプリンタ側のガンマ値を取得し、取得したガンマ値の逆数を用いて画像データの逆ガンマ変換処理を実行する。さらに、CPU31はPROM32から、XYZ色空間からwRGB色空間への変換に対応するマトリックスN-1を取得し、そのマトリックスN-1を用いて画像データのマトリックス演算を実行する。このマトリックス演算は、例えば、以下に示す演算式である。
【0065】
【数3】

【0066】
次に、ステップS340にて、CPU31は、画質の自動調整処理を実行する。本実施例における自動画質調整処理では、画像ファイルGFに含まれている画像生成情報、特に、絞り情報としての絞り値と、動作モード情報としての露出プログラムと、レンズ焦点距離情報としてのレンズ焦点距離とのパラメータ値を用いて、画像データのシャープネスを調整する自動画質調整処理が実行される。シャープネス調整と自動画質調整処理については後述する。
【0067】
次に、ステップS350にて、CPU31は、印刷のためのCMYK色変換処理、および、ハーフトーン処理を実行する。CMYK色変換処理では、CPU31は、PROM32内に格納されているwRGB色空間からCMYK色空間への変換用ルックアップテーブル(LUT)を参照し、画像データの色空間をwRGB色空間からCMYK色空間へ変更する。すなわち、RGBの階調値からなる画像データを、プリンタ20で使用する、例えば、C(Cyan)Mg(Magenta)Y(Yellow)K(Black)LC(LightCyan)LM(LightMagenta)の6色の階調値からなる画像データに変換する。
【0068】
ハーフトーン処理では、CPU31は、いわゆるハーフトーン処理を実行して、色変換済みの画像データからハーフトーン画像データを生成する。このハーフトーン画像データは、駆動バッファ37(図7)に送出すべき順番に並べ替えられ、最終的な印刷データとなり、本処理ルーチンを終了する。本処理ルーチンによって処理された画像データは、図9に示す画像処理ルーチンのステップS250にて、出力される。
【0069】
F.シャープネス調整処理の実施例:
シャープネスの調整には、アンシャープマスクを用いた処理を用いることができる。図11は、アンシャープマスクを用いたシャープネス調整方法を説明する概念図である。直線上に並んだピクセルの輝度値を用いて、シャープネス調整を段階的に説明している。
【0070】
図11(a)は、シャープネス調整を行う前の原データODATAを示している。縦軸は、各ピクセルの輝度値を表しており、この例では、0から100の間の値を取り得る。横軸はピクセルの位置を表し、1つのマーカは、直線上に並んだ複数のピクセルの内の1つのピクセルを表している。すなわち、直線上に並んだピクセルを表すマーカが、ピクセルの並び順に従って横軸方向に沿って並んでいる。このように、階段状に輝度値が変化している領域のデータを原データODATAとして用い、シャープネス調整の説明を行う。
【0071】
シャープネスを強くするためには、アンシャープマスクを利用する方法を用いることができる。この方法は、輝度値の変化がなまった(アンシャープ)データを用意し、原データからアンシャープデータを差し引くことで、輝度値の変化を鋭敏化させるという方法である。アンシャープデータは、原データの各ピクセルの輝度値を、その周りのピクセルの輝度値を用いて平均化することによって得ることができる。平均化の方法としては、対象ピクセルの輝度値とその周りのピクセルの輝度値とを合わせて平均を計算する方法を用いることができる。また、より近い(ピクセル間距離の短い)ピクセルの輝度値ほどより大きい重みで平均を計算する方法を用いても良い。このような重み関数(アンシャープマスク)として、対象ピクセルを中心としたガウス関数を用いることがきる(実際の画像データのピクセルは2次元に配置されているので、2次元ガウス関数を用いる)。
【0072】
図11(b)はアンシャープマスクを用いて生成されたアンシャープデータUDATAの輝度値を示している。原データODATAと比較すると、輝度値の変化が緩やかになっていることがわかる。
【0073】
図11(c)は原データODATAからアンシャープデータUDATAを差し引いた差分データDIFFである。この差分データDIFFに所定の係数Gをかけたものと、原データODATAとを足し合わせることによって、輝度値の変化を鋭敏化させたシャープデータを得ることができる。図11(d)は、それぞれ異なる係数Gを用いて得られるシャープデータの輝度値を示している。S1は比較的小さい係数G1を用いたシャープデータを示し、S2は比較的大きい係数G2を用いたシャープデータを示している。S1、S2のいずれも、輝度値の変化が原データと比べて急になっており、画像のシャープネスが強くなっている。また、S1とS2とを比較することでわかるように、係数Gの大きさを大きくする程、シャープネスを強く調整することができる。係数Gを0に設定すると、原データODATAとシャープデータが等しくなり、シャープネスの調整は行われない。
【0074】
シャープネスを弱くする方法としては、上述のアンシャープデータUDATAを調整後のデータとする方法を用いることができる。この場合、アンシャープマスクの幅を大きくする程、より輝度値の変化がなまったアンシャープなデータを得ることができる。
【0075】
このように係数Gやアンシャープマスクの幅を調整することで、シャープネス調整の度合いを変えることができる。
【0076】
G.自動画質調整処理の実施例:
G1.自動画質調整処理の第1実施例:
図12は、本実施例における自動画質調整処理(図10においてはステップS340に相当する)の処理ルーチンを示すフローチャートである。CPU31(図7)は、画像生成情報GIを解析し、絞り値、および、露出プログラムのパラメータ値を取得する(ステップS400)。次に、ステップS410にて、画像データの生成時の絞り値がマニュアル設定であるか否かの判定をおこなう。この実施例においては、マニュアル設定として、マニュアルの露出調整モードと、絞り優先の露出調整モードとを選択することができる。マニュアルモードの場合は露出プログラム(図5)の値が1であり、絞り優先モードの場合は3である。CPU31は、露出プログラムの値が、1又は3であるかどうかの判定を実行する。
【0077】
露出調整モードがマニュアルモードと、絞り優先モードのいずれでもないと判定した場合(ステップS410:N)には、ステップS430にて、CPU31はシャープネス調整の度合いが標準である画質調整を行う。露出調整モードがマニュアルモード、もしくは、絞り優先モードである場合(ステップS410:Y)には、絞り値がマニュアル設定されるので、ユーザは画像の被写界深度を好ましいレベルに設定したいと意図していると判定できる。この場合は、CPU31は、ステップ420にて、シャープネス調整の度合いが強である画質調整を、絞りが小さい(絞り値が大きい)ときに実行する。
【0078】
図13は、シャープネス調整の度合いと絞り値との関係の一例を示す説明図である。縦軸はシャープネス調整の度合い(以下、シャープネス強度と呼ぶ)を示し、大きいほどシャープネスが強調されることを意味している。横軸は絞り値Fを示している。STDはディジタルスチルカメラ12の標準撮影条件で絞り値が設定された場合における画質調整のシャープネス強度(以下「標準シャープネス強度」と呼ぶ)を示し、C1、C2は絞り値がマニュアル設定される場合における画質調整のシャープネス強度(以下「高シャープネス強度」と呼ぶ)を示している。この実施例においては、標準シャープネス強度STDは、露出調整モードがプログラムオートと、シャッタースピード優先モードのいずれかである場合(図12のステップS430)に使用され、高シャープネス強度C1、C2は、露出調整モードがマニュアルモードと、絞り優先モードのいずれかである場合(図12のステップS420)に使用される。なお、ディジタルスチルカメラ12の標準撮影条件とは、ディジタルスチルカメラ12の工場出荷時のデフォルトの撮影条件を意味しており、通常はプログラムオートによる撮影条件に相当する。シャッタースピード優先モードの場合には、標準シャープネス強度STDとは異なるシャープネス強度での画質調整を行う構成としてもよい。
【0079】
高シャープネス強度C1、C2は、絞り値が8以上である場合に、標準シャープネス強度STDよりも大きくなるように構成されている。こうすることで、ユーザがよりシャープな画像出力を意図して絞り値を大きい値に(絞りを小さく)設定した場合に、効果的にシャープな画像を出力することができる。高シャープネス強度C1、C2を標準シャープネス強度STDよりも大きくする絞り値の所定の値は8に限るものではなく、予め任意の値に設定できる。例えば、4とすることで、よりシャープな画像を出力することができ、例えば、11とすることで、よりソフトな画像を出力することができる。
【0080】
シャープネス強度の異なる2つの高シャープネス強度C1、C2は、レンズ焦点距離の大きさに応じて使い分けることが好ましい。画像データ生成時にレンズ焦点距離をより大きな値に設定すると、回折現象やレンズの色収差によって、ぼやけた画像を出力する画像データが生成される可能性が高くなる。このようなぼやけた画像はユーザの意図したものではない。一方、高シャープネス強度C2は、絞り値が8以上である場合に、高シャープネス強度C1よりもシャープネス強度が強くなるように構成されている。そこで、レンズ焦点距離が比較的大きい場合に、シャープネス強度が比較的強い高シャープネス強度C2を用いた画質調整を行えば、ぼやけた画像を出力することを抑制することができる。
【0081】
レンズ焦点距離の大きさに応じて高シャープネス強度C1、C2を使い分ける方法としては、レンズ焦点距離の大きさを判断するしきい値を用いる方法がある。例えば、レンズ焦点距離のしきい値を50mmに設定し、レンズ焦点距離がしきい値以上である場合には、高シャープネス強度C2を用い、しきい値未満である場合には、高シャープネス強度C1を用いる構成としても良い。なお、シャープネス強度の異なる高シャープネス強度の種類は2つに限らず、3種類以上の高シャープネス強度を、レンズ焦点距離に応じて使い分けても良い。高シャープネス強度の種類を多くすれば、レンズ焦点距離の変化に細かく対応してシャープネス強度の設定を行うことができる。また、高シャープネス強度のシャープネス強度を、レンズ焦点距離に応じて連続的に変化させてもよい。いずれの場合も、レンズ焦点距離が大きいほどシャープネス強度が大きくなるように高シャープネス強度を設定することによって、ぼやけた画像を出力することを抑制することができる。
【0082】
標準シャープネス強度STDとしては、ディジタルスチルカメラ12の標準的な条件(例えば、プログラムオート)で生成された画像の出力結果が最適となるように予め設定された値を用いることができる。その代わりに、画像毎に画像のシャープネスを解析し、画像のシャープネスがシャープネスの基準値に近づくように、解析結果に応じて画像毎に標準シャープネス強度STDを調整してもよい。画像のシャープネスは、例えば、1つのピクセルと周りの所定のピクセルとの輝度差の絶対値を1つのピクセルのエッジ量として定義し、全ピクセルのエッジ量を平均化することによって得ることができる。また、エッジ量の大きいピクセル(すなわち、画像におけるエッジに相当すると考えられるピクセル)の重みを大きくして平均化した値をシャープネスとして定義してもよい。なお、シャープネス調整を行わないことを標準シャープネス強度STDとして設定してもよい。このように、種々の方法によって標準シャープネス強度STDが設定された場合にも、高シャープネス強度C1、C2は、絞り値が所定の範囲に設定されているとき(この実施例では、絞り値が8以上である場合)には、設定された標準シャープネス強度STDよりも大きくなるように構成される。
【0083】
マニュアル設定における画質調整の高シャープネス強度C1、C2は、シャープネス強の画質調整を行った画像データと、同じ元の画像についてシャープネス標準の画質調整を行った画像データとを、画像のシャープネスの定量評価や、出力結果の感応評価に基づいて比較し、画像の出力結果が最適となるように決めることができる。例えば、同じ画像データについて、露出プログラムのパラメータ値を3(絞り優先モード)に設定して出力した結果と、露出プログラムのパラメータ値を2(プログラムオート)に設定して出力した結果とを、比較して決めることができる。絞り値や露出に限らず、画像生成時の各種パラメータ値を自動的に標準的な値に調整する動作モードを画像データ生成装置において利用することができる場合には、その動作モード設定での出力結果と、同じ元の画像データの絞り優先モード設定での出力結果とを比較することによって、シャープネス調整強度の高低を調べることができる。また、この実施例では、露出調整モードがマニュアルモードである場合と、絞り優先モードである場合とにおいて、同じシャープネス強度を用いた画質調整を行っているが、露出調整モードによってシャープネス強度の異なる画質調整をそれぞれ実行しても良い。
【0084】
また、レンズ焦点距離の大きさに応じたシャープネス強度も、画像のシャープネスの定量評価や、出力結果の感応評価に基づいて設定することができる。例えば、異なるレンズ焦点距離設定で生成した複数の画像データに対し、種々のシャープネス強度を用いた画質調整を行う。得られた調整後画像データを解析して得られるシャープネスや、調整後画像データに基づく出力画像を比較することによって、レンズ焦点距離に対するシャープネス強度を設定することができる。
【0085】
G2.自動画質調整処理の第2実施例:
図14は、自動画質調整処理の第2実施例における、画質調整のシャープネス強度と絞り値との関係を示す説明図である。縦軸と横軸の意味と、STDとC1、C2の意味は、図13と同じである。
【0086】
第2実施例は、図13に示す第1実施例と異なり、標準シャープネス強度STDが、絞り値の増加に伴って連続的に増加している。こうすることで、シャープネス標準の画質調整を行う場合にも、絞り値によるシャープネスの違いを表現することができる。さらに、絞り値が所定の値(この実施例では8)以上である場合の高シャープネス強度C1、C2を標準シャープネス強度STDよりも大きくすることで、よりシャープな画像の出力を意図したユーザの要望にこたえることができる。なお、標準シャープネス強度STDは、絞り値の増加に伴って、複数の段階にわけて階段状に増加する構成としてもよい。
【0087】
G3.自動画質調整処理の第3実施例:
図15は、自動画質調整処理の第3実施例における、シャープネス強度と絞り値との関係を示す説明図である。第3実施例は、図13に示す第1実施例と異なり、絞り値が所定の値(この実施例では8)以上である場合に、高シャープネス強度C1、C2が、絞り値の増加に伴って連続的に増加している。こうすることで、シャープネスの強調処理を絞り値に基づいてより細かく行うことができる。なお、高シャープネス強度C1、C2は、絞り値の増加に伴って、複数の段階にわけて階段状に増加する構成としてもよい。
【0088】
G4.自動画質調整処理の第4実施例:
図16は、自動画質調整処理の第4実施例における、シャープネス強度と絞り値との関係を示す説明図である。第4実施例は、図13に示す第1実施例と異なり、絞り値が取りうる全範囲において高シャープネス強度C1、C2が、絞り値の増加に伴って連続的に増加している。こうすることで、シャープネスの強調処理を絞り値に基づいてより細かく行うことができる。なお、高シャープネス強度C1、C2は、絞り値の増加に伴って、複数の段階にわけて階段状に増加する構成としてもよい。
【0089】
G5.自動画質調整処理の第5実施例:
図17は、自動画質調整処理の第5実施例における、シャープネス強度と絞り値との関係を示す説明図である。第5実施例では、絞り値が、その画像を生成した装置において利用可能な絞り値の最大値である場合に、高シャープネス強度C1、C2が、標準シャープネス強度STDよりも大きくなるように構成されている。例えば、図17に示す例では、絞り値の最大値が11であり、絞り値が11である場合に、高シャープネス強度C1、C2が標準シャープネス強度STDよりも大きくなるように構成されている。そのため、ユーザは、絞り値を最大に設定するという簡単な操作によって、シャープな画像を出力することができる。
【0090】
絞り値の最大値はディジタルスチルカメラ12の機種(より一般的には画像データ生成装置の機種)に応じて決まる値である。画像ファイルGFの画像生成情報GIが絞り値の最大値を含んでいる場合には、CPU31(図7)は、その値を取得して、絞り値に応じたシャープネス強度の調整を行うことができる。あるいは、PROM32(図7)などのメモリに、画像データ生成装置と絞り値の最大値との組み合わせからなる絞り値テーブルを格納しても良い。画像生成情報GIが、絞り値の最大値に関する情報として、例えば、メーカ名とモデル名とを含んでいる場合には、CPU31が、メーカ名とモデル名を用いて、絞り値テーブルから絞り値の最大値を取得することができる。なお、絞り値テーブルは、ネットワーク等を介してオンラインで取得してもよい。こうすることで、絞り値テーブルを最新の情報を含むテーブルに適宜更新することができる。このように、絞り値の最大値に関する情報としては、画像データ生成装置(または、画像生成装置とも呼ぶ)の機種を特定する情報を用いることもできる。
【0091】
H.画像データ処理装置を用いる画像データ出力システムの構成:
図18は、本発明の一実施例としての画像データ処理装置を適用可能な画像データ出力システムの一例を示す説明図である。画像データ出力システム10Bは、画像ファイルを生成する画像データ生成装置としてのディジタルスチルカメラ12と、画像ファイルに基づいた画質調整処理を実行するコンピュータPCと、画像を出力する画像データ出力装置としてのプリンタ20Bとを備えている。コンピュータPCは、一般的に用いられているタイプのコンピュータであり、画像データ処理装置(または、画像処理装置)として機能する。画像データ出力装置としては、プリンタ20Bの他に、CRTディスプレイ、LCDディスプレイ等のモニタ14B、プロジェクタ等を用いることができる。以下の説明では、プリンタ20Bを画像データ出力装置として用いるものとする。本実施例では、画質調整部を備える画像データ処理装置と、画像出力部を備える画像データ出力装置とを、独立に構成している点が、上述の画像データ出力システム実施例(図1)と異なる。なお、画像データ処理装置としてのコンピュータPCと画像出力部を備えたプリンタとは、広義の「出力装置」と呼ぶことができる。
【0092】
ディジタルスチルカメラ12において生成された画像ファイルは、ケーブルCVを介したり、画像ファイルが格納されたメモリカードMCをコンピュータPCに直接挿入したりすることによって、コンピュータPCに送出される。コンピュータPCは、読み込んだ画像ファイルに基づいた、画像データの画質調整処理を実行する。画質調整処理によって生成された画像データは、ケーブルCVを介してプリンタ20Bに送出され、プリンタ20Bによって出力される。
【0093】
コンピュータPCは、上述の画質調整処理を実現するプログラムを実行するCPU150と、CPU150の演算結果や画像データ等を一時的に格納するRAM151と、画質調整処理プログラムや、ルックアップテーブルや、絞り値テーブルなどの、画質調整処理に必要なデータを格納するハードディスクドライブ(HDD)152を備えている。CPU150と、RAM151と、HDD152とは、画質調整部として機能する。さらに、コンピュータPCは、メモリカードMCを装着するためのメモリカードスロット153と、ディジタルスチルカメラ12等からの接続ケーブルを接続するための入出力端子154とを備えている。
【0094】
ディジタルスチルカメラ12にて生成された画像ファイルGFは、ケーブルを介して、あるいは、メモリカードMCを介してコンピュータPCに提供される。ユーザの操作によって、画像レタッチアプリケーション、または、プリンタドライバといった画像データ処理アプリケーションプログラムが起動されると、CPU150は、読み込んだ画像ファイルGFを処理する画像処理ルーチン(図9)を実行する。また、メモリカードMCのメモリカードスロット153への差し込み、あるいは、入出力端子154に対するケーブルを介したディジタルスチルカメラ12の接続を検知することによって、画像データ処理アプリケーションプログラムが自動的に起動する構成としてもよい。
【0095】
CPU150により処理された画像データは、画像処理ルーチン(図9)のステップS250にて出力される代わりに、画像データ出力装置、例えば、プリンタ20Bに送出され、画像データを受け取った画像データ出力装置が画像の出力を実行する。
【0096】
この際、画質調整後の画像データは、CPU150によって画像出力部としてのプリンタ20Bに送出される。本実施例において、CPU150は「データ出力部」として機能する。
【0097】
この実施例では、コンピュータPCが備える画質調整部を用いて画像処理を行うので、画質調整部を備えていない画像データ出力装置を用いることが可能である。また、画像データ出力装置が画質調整部を備えている場合には、コンピュータPCは画像処理を行わずに画像データを画像データ出力装置に送出し、画像データ出力装置の画質調整部が画像処理を行う構成としてもよい。
【0098】
以上、説明したように、上述の各実施例では、画像ファイルGFに含まれている画像生成情報GIを用いて自動的に画質を調整することができるので、手軽にユーザの意図を反映した、高品質の出力結果を得ることができる。特に、ユーザが絞り値やレンズ焦点距離を調整して生成した画像データを、適切なシャープネス調整を実行して出力することができる。
【0099】
なお、この発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0100】
I.変形例:
I1.第1変形例:
画像ファイルGFが、画像データのガンマ値と色空間情報とを含まない場合には、図10に示す画像処理ルーチンにおける色空間変換処理(ステップS320とステップS330)を省略することができる。図19は、色空間変換処理を省略した場合の画像処理ルーチンを示すフローチャートである。ステップS500にて取り出された画像データは、ステップS510にてYCbCr色空間に基づく画像データからRGB色空間に基づく画像データに変換される。次に、ステップS520にて、ステップS510で得られた画像データを用いた自動画質調整処理が実行される。次に、S530にて、印刷のためのCMYK色変換処理、および、ハーフトーン処理が実行される。
I2.第2変形例:
上記各実施例では、色空間の変換を実行した後に自動画質調整処理を実行しているが、自動画質調整処理を実行した後に色空間の変換を実行してもよい。例えば、図20に示すフローチャートに従って、画像処理を実行してもよい。
【0101】
I3.第3変形例:
上記各実施例では、画像出力部としてプリンタを用いているが、プリンタ以外の画像出力部を用いることができる。図21は、画像出力部としてCRTを利用する場合の、画像生成情報に基づく画像処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。図10に示したプリンタを画像出力部としたフローチャートとは異なり、CMYK色変換処理とハーフトーン処理が省略されている。また、CRTは、マトリックス演算(S)を実行して得られる画像データのRGB色空間を表現することが可能であるため、色空間変換処理も省略されている。ステップS610で得られるRGB色空間に基づく画像データが、そのRGB色空間の定義領域外にデータを含む場合には、定義領域外のデータがクリッピングされた後、ステップS620が実行される。画像出力部が利用可能な色空間がRGB色空間と異なる場合には、プリンタを用いる場合にCMYK色変換処理を実行するのと同様に、画像出力部が利用可能な色空間への色変換処理を実行し、その結果得られる画像を、画像出力部より出力する。
【0102】
I4.第4変形例:
上記各実施例では、絞り値の設定がユーザによるマニュアル設定である2つの動作モード(マニュアルモードと絞り優先モード)で生成された画像については、同じシャープネス調整を行っている。この代わりに、絞り値がマニュアル設定される複数の動作モード毎にシャープネス強度の異なる画質調整を行ってもよい。この場合も、それぞれの動作モードにおけるシャープネス強度は、絞り値が所定の比較的大きな値の範囲に設定されているときには、標準シャープネス強度STDよりも大きくなるように構成される。所定の比較的大きな値の範囲としては、動作モード毎に異なる範囲を設定しても良い。こうすることで、それぞれの動作モードに適した画質調整を行うことができる。また、自動的に絞り値が調整される動作モードが複数ある場合にも、それぞれの動作モード毎にシャープネス強度の異なる画質調整を行ってもよい。例えば、動作モード情報としての撮影シーンタイプ(図5)のパラメータ値が、人物を撮影するための人物モード(ポートレートモード)に設定されている場合には、標準シャープネス強度STDよりも弱いシャープネス強度で画質調整を行うのが好ましい。こうすることで、よりソフトな人物画像(ポートレート)を出力することができる。シャープネス強度と絞り値の関係については、絞り値に依らずに標準シャープネス強度STDよりも弱くなるように構成してもよく、また、絞り値が所定の範囲に設定されているときに、標準シャープネス強度STDよりも弱くなるように構成してもよい。また、シャープネスに関する画質調整を行わない構成としても良い。こうすることで、人物モード(ポートレートモード)における画像処理を簡単なものにすることができる。撮影シーンタイプのパラメータ値が、風景を撮影するための風景モードに設定されている場合には、標準シャープネス強度STDよりも強いシャープネス強度で画質調整を行うのが好ましい。こうすることで、よりシャープな風景画像を出力することができる。いずれの場合も、シャープネス調整の度合いは、絞り値が大きいほど強いのが好ましい。
【0103】
I5.第5変形例:
上記各実施例では、動作モード情報として、露出プログラムや撮影シーンタイプを用いているが、本発明に係る動作モード情報はこれらに限らず、画像生成時における画像生成装置の動作に関する情報を含んでいる情報であればよい。
【0104】
I6.第6変形例:
シャープネスの調整処理は、全てのピクセルに対して実行することもできるが、エッジ量の比較的大きいピクセルを選択して実行してもよい。こうすることで、画像におけるエッジに相当しない考えられるピクセルを修正することなく、シャープネスの調整を行うことができる。また、アンシャープマスクを用いたシャープネス調整においてシャープネスを強くする場合に、係数Gに限らず、アンシャープマスクの幅を調整してシャープネス調整の度合いを調整してもよい。
【0105】
I7.第7変形例:
上記実施例では、画像ファイルGFの具体例としてExif形式のファイルを例にとって説明したが、本発明に係る画像ファイルの形式はこれに限られない。すなわち、画像データ生成装置において生成された画像データと、画像データの生成時条件(情報)を記述する画像生成情報GIとが含まれている画像ファイルであれば良い。このようなファイルであれば、画像データ生成装置において生成された画像データの画質を、適切に自動調整して出力装置から出力することができる。
【0106】
I8.第8変形例:
各数式におけるマトリックスS、N-1、Mの値は例示に過ぎず、画像ファイルが基づく色空間や、画像出力部が利用可能な色空間等に応じて適宜変更することができる。
【0107】
I9.第9変形例:
上記実施例では、画像データ生成装置としてディジタルスチルカメラ12を用いて説明したが、この他にもスキャナ、ディジタルビデオカメラ等の画像データ生成装置を用いて画像ファイルを生成することができる。また、画像データ生成装置が画質調整部を備える構成とし、画像データ生成装置の画質調整部が画像生成情報に基づいたシャープネス調整を行う画像処理を実行し、画像データ生成装置は画像処理の済んだ画像データを、直接、出力装置に送出し、出力装置が、受け取った画像データに応じて画像の出力を実行してもよい。
【0108】
I10.第10変形例:
上記実施例では、画像データGDと画像生成情報GIとが同一の画像ファイルGFに含まれる場合を例にとって説明したが、画像データGDと画像生成情報G
Iとは、必ずしも同一のファイル内に格納される必要はない。すなわち、画像データGDと画像生成情報GIとが関連づけられていれば良く、例えば、画像データGDと画像生成情報GIとを関連付ける関連付けデータを生成し、1または複数の画像データと画像生成情報GIとをそれぞれ独立したファイルに格納し、画像データGDを処理する際に関連付けられた画像生成情報GIを参照しても良い。かかる場合には、画像データGDと画像生成情報GIとが別ファイルに格納されているものの、画像生成情報GIを利用する画像処理の時点では、画像データGDおよび画像生成情報GIとが一体不可分の関係にあり、実質的に同一のファイルに格納されている場合と同様に機能するからである。すなわち、少なくとも画像処理の時点において、画像データGDと画像生成情報GIとが関連付けられている態様は、本実施例における画像ファイルGFに含まれる。さらに、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、DVD−RAM等の光ディスクメディアに格納されている動画像ファイルも含まれる。
【0109】
I11.第11変形例:
画像データ生成装置によっては、レンズ焦点距離情報の代わりに、35mmフィルム換算のレンズ焦点距離を利用できる場合がある。35mmフィルム換算のレンズ焦点距離は、実際のレンズ焦点距離を、受光素子の大きさとレンズ焦点距離との比率を保つという条件下で、35mmフィルムを用いたカメラにおけるレンズ焦点距離に換算した値である。このような場合には、35mmフィルム換算レンズ焦点距離に基づいて、シャープネス調整の度合いを調整することが好ましい。画像データ生成装置の受光素子の大きさが比較的小さい場合には、生成される画像データに対する回折現象やレンズの色収差の影響が比較的大きくなる。その結果、実際のレンズ焦点距離が同じ場合であっても、ぼやけた画像を出力する画像データが生成される可能性が高くなる。そこで、35mmフィルム換算レンズ焦点距離に基づいてシャープネス調整の度合いを調整すれば、画像データ生成装置の受光素子の大きさに係わらず、シャープネス調整の度合いを適切に調整することができる。
【0110】
I12.第12変形例:
上述の各実施例において、ディジタルスチルカメラ12が、自動画質調整処理を実行してもよい。例えば、図2に示すディジタルスチルカメラ12において、画像処理回路123が、自動画質調整処理を実行する構成とすることができる。具体的には、画像処理回路123は、光学回路121と画像取得回路122とによって取得された画像データに対して自動画質調整処理を実行する。この際、画像処理回路123は、光学回路121と画像取得回路122とによって画像データを取得する際の種々の撮影条件(絞り値等)に関する情報を用いることができる。制御回路124は、画質が調整された画像データを液晶ディスプレイ127に出力し、液晶ディスプレイ127は、受け取った画像データに応じて画像を表示する。この変形例では、画像処理回路123が、本発明における「画質調整部」に相当する。また、液晶ディスプレイ127は「画像出力部」として機能し、制御回路124は「データ出力部」として機能する。この際、画質を調整した画像データをメモリカードMCに格納することが好ましい。こうすれば、画質調整部を備えていない出力装置を用いる場合にも、画質を調整した画像を出力することができる。また、ディジタルスチルカメラ12と、画像出力部としての出力装置とをケーブルや無線通信を用いて接続し、ディジタルスチルカメラ12の制御回路124が、画質を調整した画像データを、出力装置へ送出する構成としても良い。
【符号の説明】
【0111】
10…画像データ出力システム
10B…画像データ出力システム
12…ディジタルスチルカメラ
14…モニタ
14B…モニタ
20…プリンタ
20B…プリンタ
21…キャリッジ
22…キャリッジモータ
23…プラテン
24…モータ
25…櫂動軸
26…駆動ベルト
27…プーリ
28…位置検出センサ
29…操作パネル
30…制御回路
31…CPU
32…PROM
33…RAM
34…メモリカードスロット
35…周辺機器入出力部
37…駆動バッファ
38…バス
39…発信器
40…分配出力器
101…画像データ格納領域
102…画像生成情報格納領域
103…付属情報格納領域
121…光学回路
122…画像取得回路
123…画像処理回路
124…制御回路
125…レンズ
126…選択・決定ボタン
127…液晶ディスプレイ
128…CCD
129…絞り
150…CPU
151…RAM
152…HDD
153…メモリカードスロット
154…入出力端子
211…印刷ヘッド
CV…ケーブル
GD…画像データ
GF…画像ファイル
GI…画像生成情報
MC…メモリカード
P…印刷用紙
PC…コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像生成部で生成された画像データと、前記画像データ生成時における絞り情報と動作モード情報とレンズ焦点距離情報とを少なくとも含むと共に前記画像データに関連付けられた画像生成情報とを用いて画像処理を行う画像処理装置であって、
前記画像生成情報に含まれる前記絞り情報と前記動作モード情報とレンズ焦点距離情報とに基づいて、前記画像データのシャープネスを調整する画質調整部を、
備える画像処理装置。
【請求項2】
画像生成部で生成された画像データと、前記画像データ生成時における絞り情報と動作モード情報とレンズ焦点距離情報とを少なくとも含むと共に前記画像データに関連付けられた画像生成情報とを用いて、画像データの画質を調整する画質調整方法であって、
前記画像生成情報に含まれる前記絞り情報と前記動作モード情報とレンズ焦点距離情報とに基づいて、前記画像データのシャープネスを調整する工程を含む、画質調整方法。
【請求項3】
画像生成部で生成された画像データと、前記画像データ生成時における絞り情報と動作モード情報とレンズ焦点距離情報とを少なくとも含むと共に前記画像データに関連付けられた画像生成情報とを用いて、画像データの画質を調整する処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記画像生成情報に含まれる前記絞り情報と前記動作モード情報とレンズ焦点距離情報とに基づいて、前記画像データのシャープネスを調整する機能を、前記コンピュータに実現させることを特徴とする、コンピュータプログラム。
【請求項4】
請求項3に記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−100493(P2011−100493A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25723(P2011−25723)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【分割の表示】特願2009−251857(P2009−251857)の分割
【原出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】