説明

画像保管場所管理装置

【課題】院内または地域医療システム内における医用画像の格納位置を一括管理するシステムを構築し、ユーザが医用画像を操作する際に、医用画像の格納位置や医用画像を操作するためのアプリケーションプログラムの格納位置を意識することなくシンクライアントシステムを操作することができる画像保管場所管理装置を提供する。
【解決手段】クライアント端末4と多数の医用画像データを記憶しこのクライアント端末4における医用画像データの表示処理を制御するサーバ3A、3Bとの相互接続を仲介する画像保管場所管理装置2であって、各々のサーバ3A、3Bに記憶された各々の画像について、画像の識別情報と当該画像が記憶されているサーバとが対応付けられた画像リストを記憶する記憶手段と、クライアント端末4から画像リストを要求された際、クライアント端末4に記憶された画像リストを表示させる表示制御手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンクライアントシステムを用いた医用画像システムにおいて、各々の画像の格納位置を一括管理する管理装置を備え、クライアントとシンクライアントサーバとがシンクライアント接続する際に、その管理装置を介して画像の格納位置を特定した上で接続を開始する画像保管場所管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医用画像システムにおいて、スクリーンデータとUI操作の信号のみをサーバ・クライアント間でやりとりしてアプリケーションを操作するシンクライアントシステムが利用されてきた。このシステムを利用することにより、サーバ・クライアント間で膨大な画像データを送受信する必要がなくなること、クライアント側に強力なコンピューティング性能が不要となること、また、クライアント側に画像データが残らないことによるセキュリティの向上が期待されることなどのメリットがあった。
【0003】
例えば特許文献1には、メインサーバに処理を集中させることなく、簡単な操作で医用画像の画像処理を行うことができる医用画像管理システムが記載されている。この医用画像管理システムは、メインサーバである画像管理サーバがモダリティから撮影された医用画像を受信した場合には、画像変換処理を最も負荷の低い画像管理サーバに処理を実行させ、さらに、画像管理サーバは、処理を実行している画像管理サーバのネットワーク情報をクライアント端末に転送することで、ネットワークを介してクライアント端末と処理を実行している管理サーバが接続されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−258777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今日、院内や地域医療システムにおいて様々な画像位置管理システムや医用画像ファイリングシステムが稼動している。画像位置管理システムにおいて収集された画像は、あるタイミングで医用画像ファイルサーバに移動されるなど、画像のライフサイクルや用途に合わせて、その保管場所が移動される。一方、ますます増加する画像量に伴い、膨大な画像転送を伴わないで診断が可能なシンクライアント機能をもった製品が増加していくことが予想される。このときシンクライアントシステムの元々の利点を生かすために、画像を移動すること無しに、クライアントから画像が存在する位置のシンクライアントサーバへのシンクライアント接続を行うことになるが、前述したように画像が移動している可能性があるので、ユーザがその位置を把握して、接続先を明示して操作しなければならない。
【0006】
また別の背景として、医用画像を解析して診断する特別なアプリケーションソフトウェアが存在するが、大体は高価なため限られた場所でしか使えない。このため前記アプリケーションソフトウェアがインストールされている場所に解析対象の画像を移動してから診断するという手順を踏まなければならず、これがユーザの手間となる。
【0007】
さらに、従来のシンクライアントシステムにおいて、クライアント端末と複数の医用画像ファイルサーバとがネットワークでそれぞれ直接接続されているため、ユーザが所望の医用画像を操作したい場合には、クライアント端末からそれぞれの医用画像ファイルサーバに順次接続して、そのサーバにユーザ所望の画像があるか否かを各々検索する必要があった。
【0008】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、院内または地域医療システム内における医用画像の格納位置を一括管理するシステムを構築し、ユーザが医用画像を操作する際に、医用画像の格納位置や医用画像を操作するためのアプリケーションプログラムの格納位置を意識することなくシンクライアントシステムを操作することができる画像保管場所管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像保管場所管理装置は、クライアント端末と多数の医用画像データを記憶しこのクライアント端末における前記医用画像データの表示処理を制御するサーバとの相互接続を仲介する画像保管場所管理装置であって、前記各々のサーバに記憶された各々の画像について、画像の識別情報と当該画像が記憶されているサーバとが対応付けられた画像リストを記憶する記憶手段と、前記クライアント端末から前記画像リストを要求された際、前記クライアント端末に前記記憶手段により記憶された画像リストを表示させる表示制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る画像保管場所管理装置によると、院内または地域医療システム内における医用画像の格納位置を一括管理するシステムを構築し、ユーザが医用画像を操作する際に、医用画像の格納位置や医用画像を操作するためのアプリケーションプログラムの格納位置を意識することなくシンクライアントシステムを操作することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る画像保管場所管理装置が適用される画像位置管理システムにおける画像位置管理機能を説明するための概略図。
【図2】本発明に係る画像保管場所管理装置が適用される画像位置管理システムの機能を示すブロック図。
【図3】画像位置情報の一例を示すデータ構成図。
【図4】アプリケーション位置情報の一例を示すデータ構成図。
【図5】本発明に係る画像保管場所管理装置が適用される画像位置管理システムにおける画像位置管理処理の流れを示す概略図。
【図6】本発明に係る画像保管場所管理装置が適用される画像位置管理システムが画像位置制御処理を行う際の手順を示すフローチャート。
【図7】本発明に係る画像保管場所管理装置が適用される画像位置管理システムが画像位置制御処理を行う際の手順を示すフローチャート。
【図8】本発明に係る画像保管場所管理装置が適用される画像位置管理システムが画像位置制御処理を行う際の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る画像保管場所管理装置の実施形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る画像保管場所管理装置2が適用される画像位置管理システム1の機能を示す概略図である。図1に示すように、画像位置管理システム1は、複数の医用画像診断装置により撮影された医用画像をシンクライアントシステムを用いて管理する医用画像システムにおいて、各々の医用画像を一括管理する画像保管場所管理装置2を備えたシステムである。シンクライアントシステムとは、ユーザによって使用されるクライアント端末における処理の多くがサーバによって制御され、クライアント端末には必要最小限の処理を行わせることにより、ほとんどの処理をサーバ側に集中させたシステムであり、シンクライアントサーバとはそのサーバである。
【0013】
画像位置管理システム1は、各々の医用画像の格納位置を一括管理する画像保管場所管理装置2、医用画像を各々格納する複数のシンクライアントサーバ(医用装置3A、ファイルサーバ3Bなど)、ユーザにより操作されるクライアント端末4を備えていて、それらは例えば専用回線により相互に電気的に接続されている。
【0014】
図2は、画像位置管理システム1の機能を示すブロック図である。画像保管場所管理装置2は、図2に示すように、画像位置情報50を記憶する画像位置保管部21と、アプリケーション位置情報60を記憶するアプリケーション位置保管部22と、シンクライアントサーバ間での画像の移動の制御を行うプログラムを保持し、これに基づいてシンクライアントサーバ間で画像を移動させる画像転送スケジュール部23と、シンクライアントサーバやクライアント端末4と通信するための通信インタフェースを備えた通信部24とを備えている。
【0015】
図3は、画像位置情報50の一例を示すデータ構成図である。画像位置情報50は、各々のシンクライアントサーバに記憶されている画像の各々の位置を追跡・管理するため情報であり、例えば図3に示すように、各々の画像について、画像の撮影対象となった患者の患者名を示す患者名情報51、画像が撮影された検査日時を示す検査日時情報52、画像の画像名(または画像ID)を示す画像名情報53、画像が撮影されたモダリティをしめすモダリティ情報54、画像の撮影部位を示す撮影部位情報55、画像が記憶されているシンクライアントサーバの識別情報(すなわち画像位置)を示すサーバ情報56がそれぞれ対応付けられた情報である。
【0016】
例えば図3によると、患者名「山田太郎」、検査日時「2010/4/1」、画像名「0001.DCM」、モダリティ「MRI」、部位「胸部」、サーバの識別情報「医用装置A」がそれぞれ対応付けられている。ユーザが操作対象とする画像の画像リストを要求する際、画像位置管理情報2にこれらのいずれかの情報をキーとして画像を検索させて、そのキーの含まれる画像のリストを要求することができる。
【0017】
図4は、アプリケーション位置情報60の一例を示すデータ構成図である。アプリケーション位置情報60は、例えば図4に示すように、各々のアプリケーションプログラムについて、アプリケーションプログラムの識別情報を示すアプリケーション情報61、そのアプリケーションプログラムが記憶されているシンクライアントサーバの識別情報を示すサーバ情報62がそれぞれ対応付けられた情報である。例えば図4によると、「アプリA」のアプリケーションプログラムに「アプリケーションサーバC」のシンクライアントサーバが対応付けられている。
【0018】
医用装置3A、ファイルサーバ3B、アプリケーションサーバ3Cなどのシンクライアントサーバは、医用画像を記憶する画像保管部31と、クライアント端末4に対するシンクライアント接続を制御するシンクライアントサーバ部32と、クライアント端末4に医用画像を表示させてユーザ操作に応じた制御を行うアプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行部33と、画像保管場所管理装置2やクライアント端末4や他のシンクライアントサーバと通信するための通信インタフェースを備えた通信部34とを備えている。
【0019】
クライアント端末4は、シンクライアントサーバの制御により医用画像を表示するとともに、マウスやキーボードなどによるユーザ操作を受け付けてシンクライアントサーバに操作内容を送信するUI表示部41と、画像保管場所管理装置2やシンクライアントサーバと通信するための通信インタフェースを備えた通信部44とを備えている。
【0020】
ここで、画像保管場所管理装置2は、画像を実際に保有している医用装置3Aやファイルサーバ3Bなどのシンクライアントサーバにおける画像の生成・消滅・移動を追跡・管理し、各々の画像の位置をリアルタイムで記憶している。さらに医用装置3Aやファイルサーバ3Bなどのシンクライアントサーバは多数の画像を記憶していて、これらをクライアント端末4に表示させるなど、シンクライアントのためのサーバ機能を備えている。これらのシンクライアントサーバは、クライアント端末4において医用画像の表示処理が行われる際、ほとんどの処理をサーバ側で実行するために、シンクライアントサーバで作成された画面データをクライアント端末4に送信し、クライアント端末4に表示させる。またクライアント端末4はユーザのキーボードやマウス等のユーザインターフェイスによる操作内容をシンクライアントサーバに送信することによって、ユーザへの画像表示・操作の機能が実現される(以下、このような接続をシンクライアント接続と呼ぶ)。
【0021】
画像保管場所管理装置2は上述したように院内または地域ネットワーク内(以下、画像配置エリアと呼ぶ)における各々の医用装置上の各々の画像とその位置(例えばIPアドレス)を画像位置情報50として画像位置保管部31に記憶している。クライアント端末4はまず画像保管場所管理装置2に画像配置エリア内の画像リストを要求する。画像保管場所管理装置2は画像リストをクライアント端末4に返信し、クライアント端末4は受信した画像リストを表示する。
【0022】
次に、クライアント端末4のユーザが画像リストから表示させたい画像(または操作したい画像)を選択すると、画像保管場所管理装置2は選択された画像を実際に保有しているシンクライアントサーバに、その選択された画像の移動を禁止した後、そのシンクライアントサーバとクライアント端末4とをシンクライアント接続させる。さらに画像保管場所管理装置2は、そのシンクライアントサーバに、その選択された画像を表示するように指示する。指示されたシンクライアントサーバは、指定された画像をクライアント端末4に送信するとともにクライアント端末4に表示させる。複数の画像が選択されて、それらの複数の画像がそれぞれ別のシンクライアントサーバに記憶されていた場合は、画像ごとにシンクライアントサーバと接続して表示する。
【0023】
また、図5は、アプリケーションプログラムがインストールされているシンクライアントサーバと、画像が記憶されているシンクライアントサーバとが異なっていた場合の、画像位置管理システム1における画像位置管理処置の流れを説明するための概略図である。図5に示すように、画像保管場所管理装置2は、アプリケーション位置情報60としてアプリケーションプログラムがインストールされているシンクライアントサーバの位置を把握している。ユーザの指示によってクライアント端末4はまず画像保管場所管理装置2に画像配置エリア内の画像リストを要求する。画像保管場所管理装置2が画像リストをクライアント端末4に返信すると、クライアント端末4は受信した画像リストを表示する。さらに画像保管場所管理装置2は画像配置エリア内に存在するアプリケーションプログラムの一覧を表示する。
【0024】
次に、クライアント端末4のユーザは画像リストから表示させたい画像(または操作したい画像)と、その画像に対して実行したいアプリケーションプログラムを選択する。画像保管場所管理装置2は、選択された画像が記憶されているシンクライアントサーバと選択されたアプリケーションプログラムが記憶されているシンクライアントサーバとを検索し、それらのシンクライアントサーバが異なっていた場合、選択された画像をアプリケーションプログラムが記憶されているシンクライアントサーバに一旦に移動させる。この場合、ユーザ操作は一旦中断されるため、その旨をクライアント端末4に表示させる。画像の移動が完了すると、画像保管場所管理装置2はクライアント端末4に対して、画像送信が完了して指定された画像をアプリケーションプログラムによって操作できることを通知する。クライアント端末4においてユーザがシンクライアント接続の開始を指示すると、操作対象の画像の移動が禁止され、画像保管場所管理装置2はクライアント端末4とシンクライアントサーバにおけるシンクライアント接続が自動的に開始される。さらに画像保管場所管理装置2は、シンクライアントサーバにアプリケーションプログラムを実行させて、選択された画像をクライアント端末4に表示させるように指示する。シンクライアントサーバは、指定された画像をクライアント端末4に送信して表示させる。
【0025】
画像位置管理システム1において、複数のシンクライアントサーバ間で画像が移動する際、画像保管場所管理装置2が画像位置情報50における画像位置を移動後の画像位置に書き換える処理を行う。画像位置管理システム1がその画像位置管理処理を行う際の手順を、図6に示すフローチャートに基づいて詳細に説明する。なお、一例として、医用装置3Aが自己の画像保管部31に記憶されている画像Aを、他の医用装置やファイルサーバ3Bやアプリケーションサーバ3Cに移動させた場合について説明する。
【0026】
まず医用装置3Aは、画像の移動が指示されたか否かを判断する(S101)。この際、医用装置3Aは、例えばユーザによりクライアント端末4を介して指示された場合、医用装置3A、ファイルサーバ3B、画像保管場所管理装置2などに組み込まれたプログラムにより移動が指示された場合などに、画像の移動が指示されたものと判断する。
【0027】
画像の移動が指示された場合(S101;Yes)は、医用装置3Aは、画像の移動を開始させる(S103)。この際、医用装置3Aの通信部34を介して、医用装置3Aの画像保管部31に記憶されている所定の画像が、他の医用装置やファイルサーバ3Bやアプリケーションサーバ3Cなどに送信されて、送信先の装置の画像保管部31に記憶される。
【0028】
医用装置3Aは、ステップS103にて開始された画像の移動が完了したか否かを判断する(S105)。画像の移動が完了していない場合(S105;No)は、医用装置3Aは画像の移動が完了するまで待機する。
【0029】
画像の移動が完了した場合(S105;Yes)は、医用装置3Aは、画像位置制御装置2に画像位置を通知する(S107)。この際、医用装置3Aは、移動された画像の画像名(あるいは画像ID)と、移動後のシンクライアントサーバの識別情報とを画像位置制御装置2に送信する。なお、この通知処理は移動後の装置により行われても良い。
【0030】
画像位置制御装置2は、画像位置の通知を受けると、画像位置を更新する(S109)。このとき画像位置制御装置2は、例えば図3に示す画像位置情報50において、移動された画像を受信した画像名に基づいて特定し、その画像名に対応付けられたサーバ情報56に移動後のシンクライアントサーバを設定する。
【0031】
このように画像位置管理システム1において、複数のシンクライアントサーバ間で画像が移動した場合、移動前または移動後のシンクライアントサーバが画像保管場所管理装置2に画像位置を通知して、画像保管場所管理装置2が画像位置情報50における画像位置を移動後の画像位置に更新する。
【0032】
次に、画像位置管理システム1において、クライアント端末4から操作対象の画像が選択された際に、画像保管場所管理装置2が操作対象の画像をクライアント端末4に表示させる画像位置管理処理の手順を、図7に示すフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0033】
ユーザがクライアント端末4を用いて所望の画像を閲覧したい場合に、クライアント端末4に画像リストを取得するように指示を出す。クライアント端末4は、ユーザの所定操作により画像リストの表示が指示された場合、画像保管場所管理装置2に対して画像リストを要求する(S201)。
【0034】
要求を受けた画像保管場所管理装置2は、画像保管部21に記憶されている画像位置情報50に基づいて画像リストを生成して、この画像リストをクライアント端末4に送信する(S203)。そして医用装置3Aは、画像保管場所管理装置2から画像リストを受信すると、画像リストを表示させる(S205)。ユーザは、クライアント端末4を用いて画像リストを閲覧しながら、画像リストの中からいずれかの画像を操作対象の画像として選択する。そこで医用装置3Aは、画像リストのうちのいずれかの画像が選択されたか否かを判断する(S207)。画像が選択されていない場合(S207;No)は、医用装置3Aは画像が選択されるまで待機する。
【0035】
画像リストのうちのいずれかの画像が選択された場合(S207;Yes)は、医用装置3Aは、選択された画像の画像ID(または画像名)を画像保管場所管理装置2に対して送信する(S209)。
【0036】
画像IDを受信した画像保管場所管理装置2は、その画像IDに基づいてその画像の位置を検索して、その画像を保有している装置に対してその画像の移動の禁止を指示する(S211)。この際、画像保管場所管理装置2は、画像位置情報50においてその画像IDに対応付けられているサーバ情報56を取得して、サーバ情報56により示される装置(例えば医用装置3A)を画像位置とし、その医用装置3Aに対して、その画像の移動の禁止を指示する。画像移動の禁止が指示された医用装置3Aは、その画像の移動を禁止する(S213)。
【0037】
また、画像保管場所管理装置2は、クライアント端末4に対して画像位置を送信する(S215)。このとき、ステップS211にて画像位置とされたサーバの識別情報が画像位置として送信される。画像位置を受信したクライアント端末4は、受信した画像位置が示すサーバに対して接続して、画像表示を実行する(S217)。接続された医用装置3Aは、クライアント端末4のユーザ操作に制御されて画像操作を実行する(S219)。このとき、クライアント端末4において医用装置3Aに制御されて画像が表示されるが、ユーザ操作により画像を操作することはできる。
【0038】
クライアント端末4は、操作が完了されたか否かを判断する(S221)。この際、クライアント端末4は例えばユーザにより所定操作がされたことに基づいて操作が完了されたものと判断する。操作が完了されていない場合(S221;No)は、クライアント端末4はそのまま画像表示を継続する。
【0039】
操作が完了された場合(S221;Yes)は、クライアント端末4は、画像保管場所管理装置2に対して操作の完了を通知する(S223)。操作の完了の通知を受けた画像保管場所管理装置2は、ステップS211にて指示した画像移動の禁止を解除する(S225)。解除が指示された医用装置3Aは、ステップS213にて禁止した画像の移動の禁止を解除する(S227)。これにより、再び画像を複数の装置間で移動することができるようになる。
【0040】
このようにして画像位置管理システム1において、クライアント端末4が画像リストを要求すると、画像保管場所管理装置2は複数のシンクライアントサーバが保有する画像の画像リストを生成し、クライアント端末4に返信する。そしてクライアント端末4にて画像が選択されると、画像保管場所管理装置2がクライアント端末4とシンクライアントサーバとのシンクライアント接続を仲介して、操作対象の画像を保有しているクライアントサーバを画像位置情報50から特定して、そのシンクライアントサーバとクライアント端末4とをシンクライアント接続させる。
【0041】
これにより、画像保管場所管理装置2がクライアント端末4をユーザ所望の画像を有するシンクライアントサーバに自動的に接続するため、ユーザが画像配置エリア内にある医用画像を表示させたいときに、操作対象の画像の画像配置エリア内における格納位置を把握している必要がなくなり、クライアント端末4から各々のシンクライアントサーバへ順次接続して操作対象の画像を探し回る手間が不要となり、診断が効率化される。
【0042】
次に、画像位置管理システム1において、クライアント端末4から操作対象の画像と画像を表示・操作するためのアプリケーションプログラムが選択された際に、画像保管場所管理装置2が操作対象の画像をクライアント端末4に表示させる画像位置管理処理の手順を、図8に示すフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0043】
ユーザがクライアント端末4を用いて所望の画像を閲覧したい場合に、クライアント端末4に画像リストを取得するように指示を出す。クライアント端末4は、ユーザの所定操作により画像リストの表示が指示された場合、画像保管場所管理装置2に対して画像リストを要求する(S301)。
【0044】
要求を受けた画像保管場所管理装置2は、画像保管部21に記憶されている画像位置情報50に基づいて画像リストを生成して、この画像リストをクライアント端末4に送信する(S303)。そして医用装置3Aは、画像保管場所管理装置2から画像リストを受信すると、画像リストを表示させる(S305)。ユーザは、クライアント端末4を用いて画像リストを閲覧しながら、画像リストの中からいずれかの画像を操作対象の画像として選択する。またユーザは、アプリケーションプログラムを選択する。このアプリケーションプログラムは、クライアント端末4が予め保有しているアプリケーションプログラムのリストから選択するようにしても、画像が選択される際に、選択された画像に対応付けられているアプリケーションプログラムが同時に選択されるようにしても良い。医用装置3Aは、画像リストのうちのいずれかの画像及びアプリケーションプログラムが選択されたか否かを判断する(S307)。画像及びアプリケーションプログラムが選択されていない場合(S307;No)は、医用装置3Aは画像が選択されるまで待機する。
【0045】
画像リストのうちのいずれかの画像及びアプリケーションプログラムが選択された場合(S307;Yes)は、医用装置3Aは、選択された画像の画像ID(または画像名)及びアプリケーションプログラムの情報を画像保管場所管理装置2に対して送信する(S309)。
【0046】
画像IDを受信した画像保管場所管理装置2は、画像位置、すなわち画像が記憶されているサーバとアプリケーションプログラムが記憶されているサーバとが異なるか否かを判断する(S311)。画像が記憶されているサーバとアプリケーションプログラムが記憶されているサーバとが異なっている場合(S311;Yes)は、画像保管場所管理装置2は、画像を、画像が記憶されているサーバ(例えば医用装置3A)に、アプリケーションプログラムが記憶されているサーバ(例えばアプリケーションサーバ3C)に画像を移動するように指示する(S313)。この際、画像保管場所管理装置2は、画像の移動に際して画像位置情報50を更新する。
【0047】
指示を受けた医用装置3Aは、アプリケーションサーバ3Cへのその画像の移動を開始する(S315)。画像が移動されているアプリケーションサーバ3Cは、画像の移動が完了すると、クライアント端末4に対して画像の移動が完了した旨を通知する(S317)。
【0048】
一方で、画像が記憶されているサーバ(例えばアプリケーションサーバ3C)とアプリケーションプログラムが記憶されているサーバ(例えばアプリケーションサーバ3C)とが同一だった場合(S311;No)は、アプリケーションサーバ3Cに対してクライアント端末4との接続要求を送信する(S321)。
【0049】
S319にて送信された接続確認またはS323にて送信された接続要求を受信したクライアント端末4は、その操作対象の画像の移動を禁止する(S323)。アプリケーションサーバ3Cは、クライアント端末4に対する接続を開始して、クライアント端末4に画像を表示させる(S325)。接続されたクライアント端末4は、アプリケーションサーバ3Cの制御により画像表示を実行する(S327)。このとき、クライアント端末4においてアプリケーションサーバ3Cに制御されて画像が表示されるが、ユーザ操作により画像を操作することはできる。
【0050】
クライアント端末4は、操作が完了されたか否かを判断する(S329)。この際、クライアント端末4は例えばユーザにより所定操作がされたことに基づいて操作が完了されたものと判断する。操作が完了されていない場合(S329;No)は、クライアント端末4はそのまま画像表示を継続する。
【0051】
操作が完了された場合(S329;Yes)は、クライアント端末4は、画像保管場所管理装置2に対して操作の完了を通知する(S331)。操作の完了の通知を受けたアプリケーションサーバ3Cは、ステップS321にて開始した画像移動の禁止を解除する(S333)。これにより、再び画像を複数の装置間で移動することができるようになる。
【0052】
このようにして画像位置管理システム1において、クライアント端末4が画像リストを要求すると、画像保管場所管理装置2は複数のシンクライアントサーバが保有する画像の画像リストを生成し、クライアント端末4に返信する。そしてクライアント端末4にて操作対象の画像とアプリケーションプログラムが選択されると、画像保管場所管理装置2がクライアント端末4とシンクライアントサーバとのシンクライアント接続を仲介して、操作対象の画像を保有しているシンクライアントサーバ及びアプリケーションプログラムが記憶されているシンクライアントサーバとを画像位置情報50及びアプリケーション位置情報60からそれぞれ特定して、必要に応じて操作対象の画像をアプリケーションプログラムが記憶されているシンクライアントサーバに移動させた上で、そのシンクライアントサーバとクライアント端末4とをシンクライアント接続させる。
【0053】
このように画像保管場所管理装置2がクライアント端末4をユーザ所望の画像を有するシンクライアントサーバに自動的に接続してくれるため、ユーザが画像配置エリア内にある医用画像を表示させたいときに、操作対象の画像の画像配置エリア内における位置を把握している必要がなくなり、クライアント端末4から各々のシンクライアントサーバへ順次接続して操作対象の画像を探し回る手間が不要となり、診断が効率化される。
【0054】
これにより、ユーザが操作対象の画像の格納位置、アプリケーションプログラムの格納位置のどちらも把握している必要がなく、画像移動の手間を省いて、効率的な画像診断が行える。
【0055】
本発明に係る画像保管場所管理装置2によると、院内または地域医療システム内における医用画像の格納位置を一括管理するシステムを構築し、ユーザが医用画像を操作する際に、医用画像の格納位置や医用画像を操作するためのアプリケーションプログラムの格納位置を意識することなくシンクライアントシステムを操作することが可能となる。
【符号の説明】
【0056】
1…画像位置管理システム,2…画像保管場所管理装置,3A…医用装置,3B…ファイルサーバ,3C…アプリケーションサーバ,4…クライアント端末,21…画像位置保管部,22…アプリケーション位置保管部,23…画像転送スケジュール部,24…通信部,31…画像保管部,32…シンクライアントサーバ部,33…アプリケーション実行部、34…通信部,41…UI表示部,42…通信部,50…画像位置情報,60…アプリケーション位置情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント端末と多数の医用画像データを記憶しこのクライアント端末における前記医用画像データの表示処理を制御するサーバとの相互接続を仲介する画像保管場所管理装置であって、
前記各々のサーバに記憶された各々の画像について、画像の識別情報と当該画像が記憶されているサーバとが対応付けられた画像リストを記憶する記憶手段と、
前記クライアント端末から前記画像リストを要求された際、前記クライアント端末に前記記憶手段により記憶された画像リストを表示させる表示制御手段とを備えたことを特徴する画像保管場所管理装置。
【請求項2】
前記表示制御手段により前記クライアント端末にて表示された画像リストから操作対象の画像が選択された場合、この操作対象の画像が記憶されているサーバと、前記クライアント端末とを相互接続させる接続制御手段を備えたことを特徴する請求項1記載の画像保管場所管理装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記各々のサーバに記憶された各々のアプリケーションプログラムについて、アプリケーションプログラムの識別情報と当該アプリケーションプログラムが記憶されているサーバとが対応付けられたアプリケーションリストを記憶し、
前記表示制御手段は、前記クライアント端末から前記画像リストを要求された際、前記クライアント端末に前記画像リストと併せて前記アプリケーションリストを表示させ、
前記クライアント端末にて表示された画像リストから操作対象の画像が選択されるとともにアプリケーションリストからアプリケーションプログラムが選択された場合、これらの選択された画像とアプリケーションプログラムとが同一のサーバに記憶されている否かを判断する判断手段を備え、
前記接続制御手段は、前記判断手段により同一のサーバに記憶されていないと判断された場合、前記操作対象の画像を前記選択されたアプリケーションプログラムが記憶されているサーバに移動させた上で、前記クライアント端末とこのアプリケーションプログラムが記憶されているサーバとを相互接続させることを特徴する請求項2記載の画像保管場所管理装置。
【請求項4】
前記接続制御手段は、前記操作対象の画像を移動させる際、移動が完了したことを契機にして前記クライアント端末とこのアプリケーションプログラムが記憶されているサーバとを相互接続させることを特徴する請求項3記載の画像保管場所管理装置。
【請求項5】
前記接続制御手段により前記クライアント端末と前記サーバとが相互接続されている間、前記操作対象の画像の移動を禁止する禁止手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の画像保管場所管理装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記画像リストにおいて、各々の画像の識別情報に対して患者名または検査日時を対応付けて記憶していて、
前記表示制御手段は、前記クライアント端末から前記画像リストを要求される際、患者名または検査日時を受け付け、前記画像リストからこれらの患者名または検査日時を含む画像を抽出して再度画像リストを生成することを特徴とする請求項1記載の画像保管場所管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−180768(P2011−180768A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43143(P2010−43143)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】