説明

画像信号送信装置、画像信号受信装置、画像伝送システム、画像送信方法、画像受信方法、及び、画像伝送プログラム。

【課題】元画像を盗視することが困難な情報セキュリティ強化された画像信号送信装置、画像信号受信装置、画像伝送システム、画像送信方法、画像受信方法、及び、画像伝送プログラムを提供する。
【解決手段】元画像を複数の画像領域に分割する画像分割手段11と、画像分割手段により分割された画像領域ごとにその表示座標を付して分割画像信号とする分割画像信号作成手段12と、分割画像信号作成手段により作成された分割画像信号をランダムな順序で送信する分割画像信号送信手段13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報漏洩防止を考慮した画像信号送信装置、画像信号受信装置、画像伝送システム、画像送信方法、画像受信方法、及び、画像伝送プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報端末は電気信号で動作するために、信号動作によって発生した電磁波が装置外部に漏れ出る現象(電波放射)が起こることがあり、その電磁波に含まれる情報が第三者により傍受・解析され不正利用される虞がある。たとえば、この漏れ出た電磁波を解析して、表示情報の信号などを割り出し、情報端末内の情報(LCDやCRTに映し出される画像)を盗み見る技術(TEMPEST:Transient Electoromagnetic Pulse Surveillance Technology)が問題となってきている。この問題は、ATMや金融端末など、情報セキュリティが最重要な情報端末においては特に重要である。
【0003】
この電波放射と呼ばれる現象は、電子機器内にある電源回路や通信用モデム等が稼働しているとき、又は、情報信号が線路を通る際に発生する。これらを結ぶ配線が漏洩電波を発信するアンテナの役割を果たすほか電源コードを介しても外に情報が漏れる。
これに対する対策として、情報端末装置のシールド構造の強化や、ノイズ対策部品を追加することで、情報端末から漏れ出る電磁波を抑制するとか、漏洩電波の受信を困難にするために不要な雑音電波を外部に放射させる方法(特許文献1参照)や、伝送する信号を暗号化する方法や、隣接して動作周波数と同じ周波数を使用したランダム信号を送信する方法(特許文献2参照)などで、盗聴、盗視の目的となる画像信号の特定を困難にする技術が報告されている。
【特許文献1】特開平9−23211号公報
【特許文献2】特開平8−149123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、情報端末などの装置はその構造上、完全なシールド構造とすることは不可能であるため、いくらかの電磁波は必ず漏れ出てしまい盗聴、盗視を完全に防ぐことは困難である。また、信号の暗号化は盗聴、盗視に有効であるが、画像表示装置の動作構造上、装置の末端では暗号を復号化し、非暗号の信号として取り扱う必要があり、このときに、盗聴、盗視の可能性がある。さらには、情報端末が放射する不要電磁波を打ち消すために新たに雑音電磁波を個別に放射する方法は、各国のEMC(Electromagnetic Compatibility:電磁環境適合性)規制上の問題が生まれる虞があるとともに、他の電子機器を誤動作させる懸念があった。
【0005】
また、ランダム信号の送信の方法も、画像の同期信号においては、発振器個別のバラツキにより発生するわずかな周波数のずれ(数ヘルツ程度の周波数誤差)だけでも、目的信号の特定が可能となり、盗聴、盗視が可能となりうるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、元画像を盗視することが困難な情報セキュリティ強化された画像信号送信装置、画像信号受信装置、画像伝送システム、画像送信方法、画像受信方法、及び、画像伝送プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の第1の画像信号送信装置は、元画像を分割して送信する画像信号送信装置において、前記元画像を複数の画像領域に分割する画像分割手段と、前記画像分割手段により分割された前記画像領域ごとにその表示座標を付して分割画像信号とする分割画像信号作成手段と、前記分割画像信号作成手段により作成された前記分割画像信号をランダムな順序で送信する分割画像信号送信手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
前記目的を達成するため、本発明の第2の画像信号送信装置は、連続する画像信号を送信する画像信号送信装置において、前記画像信号を記憶する画像信号記憶手段と、現在の画像信号をその直前の画像信号と比較し変化した変化画像領域を判別する変化領域判別手段と、前記変化領域判別手段により前記変化画像領域と判別された領域にその領域の寸法と表示座標とを付して画像変化信号を作成する画像変化信号作成手段と、前記画像変化信号作成手段により作成された前記画像変化信号を送信する画像変化信号送信手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記目的を達成するため、本発明の第1の画像信号受信装置は、分割して送信される元画像の画像信号を受信して復元する画像信号受信装置において、ランダムな順序で送られてくる前記元画像を分割して得られた複数の画像領域とその表示座標とを含む分割画像信号を受信する分割画像信号受信手段と、前記分割画像信号受信手段により受信された前記分割画像信号の前記画像領域と前記表示座標とに基づいて前記元画像を復元する復元手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
前記目的を達成するため、本発明の第2の画像信号受信装置は、連続する画像信号を受信する画像信号受信装置において、前記画像信号を記憶する画像信号記憶手段と、現在の画像信号とその直前の画像信号とを比較して変化した変化画像領域にその領域の寸法と表示座標とが付された画像変化信号を受信する画像変化信号受信手段と、前記画像信号記憶手段に記憶されている前記直前の画像信号と前記画像変化信号とから前記現在の画像信号を合成して復元する画像信号合成手段と、前記画像信号合成手段で合成復元された前記現在の画像信号を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
さらに、前記目的を達成するため、本発明の第1の画像伝送システムは、画像信号を伝送する画像伝送システムにおいて、前記画像信号を複数の画像領域に分割し各画像領域ごとにその表示座標を付して分割画像信号とする画像分割手段と、前記画像分割手段により分割された前記分割画像信号をランダムな順序で送信する分割画像信号送信手段とを備える第1の送信装置と、前記第1の送信装置よりランダムな順序で送られてくる前記分割画像信号を受信する分割画像信号受信手段と、前記分割画像信号受信手段により受信された前記分割画像信号に基づいて配置して前記元画像を表示する復元表示手段とを備える第1の受信装置と、前記第1の送信装置と前記第1の受信装置とを結ぶ伝送線路又はネットワークとを備え、前記伝送線路又はネットワークから放射される電磁波を介して前記分割画像信号が受信されることを特徴とする。
【0012】
すなわち、本発明の画像伝送システムによれば、伝送線路又はネットワークから放射される電磁波の中でも電波放射の影響を受けずに分割画像を受信することができる。
【0013】
また、前記目的を達成するため、本発明の第2の画像伝送システムは、画像信号を伝送する画像伝送システムにおいて、現在の画像信号をその直前の画像信号と比較し変化した変化画像領域を判別する変化領域判別手段と、前記変化領域判別手段により前記変化画像領域と判別された領域にその領域の寸法と表示座標とを付して画像変化信号を作成する画像変化信号作成手段と、前記画像変化信号作成手段により作成された前記画像変化信号を送信する画像変化信号送信手段とを備える第2の送信装置と、前記画像信号を記憶する画像信号記憶手段と、前記画像変化信号を受信する画像変化信号受信手段と、前記画像信号記憶手段に記憶されている前記直前の画像信号と前記画像変化信号とを合成して現在の画像信号を合成する画像信号合成手段と、合成された前記現在の画像信号を表示する表示手段とを備える第2の受信装置と、前記第2の送信装置と前記第2の受信装置とを結ぶ伝送線路又はネットワークとを備え、前記伝送線路又はネットワークから輻射される電磁波から前記分割画像信号が受信されることを特徴とする。
【0014】
さらに、前記目的を達成するため、本発明の第1の画像送信方法は、画像信号を送信する制御を行う制御部を備えた画像送信装置が実行する画像送信方法において、前記制御部は、前記画像信号を複数の画像領域に分割する画像分割工程と、前記画像分割工程により分割された前記画像領域にその表示座標を付して分割画像信号とする分割画像信号作成工程と、前記画像分割工程により分割された前記分割画像信号をランダムな順序で送信する分割画像信号送信工程とを実行することを特徴とする。
【0015】
前記目的を達成するため、本発明の第1の画像受信方法は、画像信号を受送する制御を行う制御部を備えた画像受信装置が実行する画像受信方法において、前記制御部は、ランダムな順序で送られてくる分割画像信号を受信して記憶する分割画像信号受信記憶工程と、この分割画像信号受信記憶工程により記憶された画像領域をその表示座標に従って配置して前記画像信号を復元する復元表示工程とを実行することを特徴とする。
【0016】
また、前記目的を達成するため、本発明の第2の画像送信方法は、画像信号を送信する制御を行う制御部を備えた画像送信装置が実行する画像送信方法において、前記制御部は、現在の画像信号をその直前の画像信号と比較し変化した変化画像領域を判別する変化領域判別工程と、前記変化領域判別工程により前記変化画像領域と判別された領域にその領域の寸法と表示座標とを付して画像変化信号を作成する画像変化信号作成工程と、前記画像変化信号作成工程により作成された前記画像変化信号を送信する送信工程とを実行することを特徴とする。
【0017】
前記目的を達成するため、本発明の第2の画像受信方法は、画像信号を受信する制御を行う制御部を備えた画像送信装置が実行する画像受信方法において、前記制御部は、画像変化信号を受信する画像変化信号受信工程と、前記画像変化信号を記憶する画像信号記憶工程と、前記画像信号記憶工程により記憶されている直前の画像信号と前記画像変化信号とを合成して現在の画像信号を合成する画像信号合成工程とを実行することを特徴とする。
【0018】
そして、前記目的を達成するため、本発明の画像伝送プログラムは、請求項8乃至請求項11の何れか一項に記載の画像送信方法又は画像受信方法を前記制御部のコンピュータに実行させることを特徴とする。すなわち、本発明の画像伝送プログラムは、パーソナルコンピュータ(PC)のアプリケーションプログラム(AP)として用いることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、元画像を盗視することが困難な情報セキュリティ強化された画像信号送信装置、画像信号受信装置、画像伝送システム、画像送信方法、画像受信方法、及び、画像伝送プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施形態)
図1乃至図6を参照して、本発明の第1の実施形態につき説明する。図1は、第1の実施形態の画像信号送信装置の機能ブロック図であり、図2は、本実施形態の画像分割手段での画像分割と分割画像送信手段での送信順序の一例を示す図である。さらに、図3は、本実施形態の画像信号受信装置の機能ブロック図であり、図4は、本実施形態の画像伝送システムの概念図である。図5は、従来の通常の表示ユニットでの表示方法を示し、図6は、本実施形態の画像伝送方法を示すフローチャートである。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の画像信号送信装置10は、入力された表示すべき画像信号を複数の部分に分割して分割画像信号に変形し、後記する画像信号受信装置20(図3)に向けて分割画像を送信する機能を有している。画像信号送信装置10は、取り込んだ1フレームの画像を分割して複数の画像領域に分割する画像分割手段11と、画像分割手段11により分割された各画像領域ごとに、各画像領域を表示する場合の座標データと表示画素の明度及び色のデータ(表示データ)とを付して分割画像信号とする分割画像信号作成手段12と、分割画像信号作成手段12により作成された分割画像信号をランダムな順序で送信する分割画像信号送信手段13とを備えて構成されている。各手段(制御部)は、CPU、ROM、RAM及びプログラム機能を有している。この構成により、元の画像信号を複数の部分に分割して、分割した各部分をランダムに送信することができる。
【0022】
図2には、画像分割手段11における画像分割と分割画像信号送信手段13における送信順序の一例を示す。伝送される分割画像信号の送信順序は表示領域に対して規則性を持たせず、ランダムな順序になるように構成されている。例えば、この実施形態では元の画像信号の表示領域を16分割して、同図に示したアルファベット順に、表示領域の座標に対して不規則な順番でデータを送信して、最終的には画像信号受信装置20(図3)で1つの画面を復元して表示するようにしている。なお、この場合、画面を書き換える毎に、伝送される分割画像信号の送信順序を、変更してもよい。
【0023】
一方、図3に示すように、画像信号受信装置20は、画像信号送信装置10からの分割画像信号を受信する分割画像信号受信手段21と、分割画像信号に付加された座標データが示す表示領域の座標に、分割画像信号として送られた画像領域を伝送される順番毎に表示する表示手段24との各機能を備えて構成されている。各手段(制御部)は、CPU、ROM、RAM及びプログラム機能を有している。この構成により、ランダムな順序で送られてくる画像領域を表示手段24の表示画面上で所定の位置に表示して、元の画像信号を再現することができる。
【0024】
さらに、画像信号受信装置20には、伝送された分割画像信号を一時的にバッファリングする受信信号記憶手段22と、この記憶手段22に記憶された不規則な座標順番で伝送されてきた分割画像信号を再構成する復元手段23とを設けてもよい。このようにすることにより、表示手段24として画面保持機能などを持つ特別な機能を用いなくても表示することが可能となる。この復元手段23は演算LSIを用いて構成することができる。
【0025】
以上に述べた画像信号送信装置10と画像信号受信装置20とは、図4に示すようにネットワーク30または通信ケーブルなどの伝送線路31で接続されて、分割画像信号が伝送される画像伝送システム100として実現することができる。
【0026】
ところで、従来の通常の表示方法では、図5に示したように表示画面に水平同期、及び垂直同期信号を利用して、表示軸の左上から右下まで、規則的に画像信号を表示している。すなわち画像信号を左上から順に1列表示し、1列分の表示が終了すると1列下の画像信号を1列表示し、右下の画素まで表示が終了したら再び、次のフレームの左上から表示を繰り返す。したがって、従来の通常の表示方法では表示及び画像信号に規則性、周期性が存在する。
【0027】
これに対し、本実施形態によれば、画面が分割され、かつその送信順序もランダムであるため、表示データに規則性がなくなり、特に電磁波を放射しやすい通信ケーブルなどの伝送線路31を介して画像信号を伝送して、伝送線路31から放射される電磁波を傍受されたとしても、電磁波からは表示される座標まで解析することは困難となる。さらに、通信ケーブルなどの伝送線路31から放射される電磁波と表示手段24から表示される電磁波が干渉し合い、電磁波からのデータ解析を妨げる働きをする。したがって、画像信号を傍受(盗画)することが極めて困難となり、画像電装システムや情報端末における情報セキュリティが強化されることになる。
【0028】
図6に、本実施形態の画像伝送方法のフローチャートを示す。図6(a)は、画像信号送信装置10における画像送信方法を示すフローチャートであり、図6(b)は、画像信号受信装置20における画像受信方法を示すフローチャートである。
【0029】
画像信号送信装置10においては、図6(a)に示すように、伝送システムの動作が開始されると、画像信号送信装置10で1フレーム分の画像信号の取り込みが行われ(ステップS101)、画像分割手段11で入力された画像信号が複数の画像領域に分割される(ステップS102:画像分割工程)。次に、この分割された分割画像領域の各々に、分割画像信号作成手段12で表示する場合の座標データと表示データとが付されて分割画像信号が作成される(ステップS103:分割画像信号作成工程)。次に、分割画像信号送信手段13でこの分割画像信号がランダムな順序で送信される(ステップS104:分割画像信号送信工程)。その後、送信すべき分割画像の送信の終了か否かが判定され(ステップS105)、送信すべき分割画像の送信がある場合(No)は、ステップS101に戻り、終了の場合(Yes)は、終了する。
【0030】
画像信号受信装置20では、図6(b)に示すように、伝送システムの動作が開始されると、ネットワーク30又は伝送線路31を介して送信されてくる分割画像信号を分割画像信号受信手段21で受信し受信信号記憶手段22に記憶する(ステップS115:分割画像信号受信記憶工程)。そして、復元手段24で座標データが示す位置に各分割画像信号をそれぞれ配置して画像信号の復元が行われ(ステップS116:復元工程)、復元された画像信号は表示手段26に表示される(ステップS117:表示工程)。なお、復元工程のステップS116と表示工程のステップS117とを合わせて復元表示工程と称する。その後、続く画像信号がないか否かを判定し(ステップS118)、ある場合(No)はステップS115に戻り、画像信号が終了した場合(Yes)は終了する。
【0031】
この画像伝送方法によって、画像信号を傍受(盗画)されることなく、安全に伝送することができる。
【0032】
(第2の実施形態)
図7乃至図10を参照して、本発明の第2の実施形態につき説明する。図7は、第2の実施形態の画像信号送信装置の機能ブロック図であり、図8は、本実施形態の画像変化信号の一例を示す図である。図9は、本実施形態の画像信号受信装置の機能ブロック図であり、図10は、本実施形態の画像伝送方法を示すフローチャートである。
【0033】
図7に示すように、本実施形態の画像信号送信装置50は、入力された表示すべき画像信号からその直前の画像と比べて変化した部分を検出し、変化領域だけを画像変化信号として、後記する画像信号受信装置60(図9)に向けて送信する機能を有している。画像信号送信装置50は、取り込んだ1フレームの画像を一時記憶する画像信号記憶手段51と、この画像信号記憶手段51に記憶されている直前の画像信号(1つ前のフレーム)を現在のものと比較して変化があった領域を判別する変化領域判別手段52と、この変化領域の画像信号に、変化画像領域を表示する場合の座標データと、変化領域の寸法ならびに表示画素の明度及び色のデータ(表示データ)とを付した画像変化信号とする画像変化信号作成手段53と、この画像変化信号を送信する画像変化信号送信手段54との各機能を備えて構成されている。各手段(制御部)は、CPU、ROM、RAM及びプログラム機能を有している。
【0034】
この構成により、表示すべき画像の一つ前のフレーム(1コマ前の画像)に対して、変化した画像変化領域の信号と表示画素の明度及び色のデータ(表示データ)に、変化した領域の表示座標、表示した領域のサイズを付加した画像変化信号を画像信号受信装置60に伝送する。なお、変化領域判別手段52においては、表示すべき画像信号がその直前の画像信号と比べて変化がない場合は、変化画像領域が「0」(ない)という信号を画像変化信号として画像変化信号送信手段54から送信する。したがって、画像信号送信装置50は、現在の画像信号の直前の画像信号から変化した部分だけを画像変化信号として送信することができる。
【0035】
図8に、本実施形態において画像信号送信装置50から送信される画像変化信号の一例を示す。この実施形態では、伝送される画像変化信号は図8における斜線で示した元の画像信号の一部Aである。この変化部分を送信して、最終的に画像信号受信装置60で元の画面を復元表示する。
【0036】
一方、図9に示すように、画像信号受信装置60は、画像信号送信装置50からの画像変化信号を受信する画像変化信号受信手段62と、画像信号を表示する表示手段64との各機能を備えて構成されている。各手段(制御部)は、CPU、ROM、RAM及びプログラム機能を有している。この構成により、画像信号送信装置50から送られてくる画像変化信号が示す変化領域を表示手段64の表示画面上に示されている直前の画像の所定の位置に表示して、現在の画像信号を再現することができる。また、画像信号送信装置50から送られてくる画像変化信号を領域を表示手段24の表示画面上で所定の位置に表示して、現在の画像信号を再現することができる。画像変化信号が変化画像領域が「0」(ない)という信号の場合は直前の画像信号を表示し続ける。
【0037】
さらに、画像信号受信装置60には、直前の画像信号を一時的にバッファリング記憶する画像信号記憶手段61と、この画像信号記憶手段61に記憶された直前の画像信号と画像変化信号受信手段62で受信した画像変化信号から現在の画像信号を合成する画像信号合成手段63とを設けてもよい。この構成により、表示手段64に画面保持機能などを持つ特別なものを用いなくても安定に表示することが可能になる。この画像信号合成手段63は演算LSIを用いて構成することができる。また、画像信号合成手段63で合成された画像信号は、画像信号記憶手段61に一時記憶され、直前の画像信号として次回の画像信号合成に用いられる。
【0038】
以上に述べた画像信号送信装置50と画像信号受信装置60とは、第1の実施形態と同様に、図4に示すネットワーク30又は通信ケーブルなどの伝送線路31で接続されて、分割画像信号が伝送される画像伝送システム200として実現することができる。
【0039】
本実施形態によれば、画像信号の変化部分のみが送信され、伝送される信号はその座標位置や寸法などが自由に変化するので、表示データに規則性、周期性がなくなり、電磁波を放射しやすい通信ケーブルなどの伝送線路31を介して画像信号を伝送して、伝送線路31から放射される電磁波を傍受されたとしても、電磁波からは表示される座標まで解析することは困難となる。さらに、ケーブルから放射される電磁波と表示手段64から表示される電磁波が干渉し合い、電磁波からのデータ解析を妨げる働きをする。したがって、画像信号を傍受(盗画)することが極めて困難となり、画像電装システムや情報端末における情報セキュリティが強化されることになる。
【0040】
図10に、本実施形態の画像伝送方法のフローチャートを示す。図10(a)は、画像信号送信装置50における画像送信方法を示す
フローチャートであり、図10(b)は、画像信号受信装置60における画像受信方法を示すフローチャートである。
【0041】
画像信号送信装置50においては、図10(a)に示すように、画像伝送システムの動作が開始されると、画像信号送信装置50で1フレーム分の画像信号の取り込みが行われ(ステップS201)、画像信号記憶手段51へ記憶される。次に入力された画像信号とその直前の画像信号との比較が変化領域判別手段52で行われて直前の信号から変化した変化領域が判別される(ステップS202:変化領域判別工程)。次に、この変化領域の部分画像信号に、画像変化信号作成手段53でこの変化領域を表示する場合の座標データと変化領域の寸法と表示データとが付されて画像変化信号が作成される(ステップS203:画像変化信号作成工程)。次に、画像変化信号送信手段54でこの画像変化信号が送信される(ステップS204:送信工程)。画像信号に変化が無い場合は変化なしの信号が画像変化信号として送信される。その後、送信すべき画像の送信の終了か否かが判定され(ステップS205)、送信すべき分割画像の送信がある場合(No)は、ステップS201に戻り、終了の場合(Yes)は、終了する。
【0042】
画像信号受信装置60では、図6(b)に示すように、伝送システムの動作が開始されると、ネットワーク30又は伝送線路31を介して送信されてくる画像変化信号を画像変化信号受信手段62で受信する(ステップS215:画像変化信号受信工程)。そして、画像信号記憶手段61に記憶されている直前の画像信号と画像変化信号とが画像信号合成手段63で合成され、現在の画像信号が再現される(ステップS216:画像信号合成工程)。次いで、合成して得られた現在の画像信号は画像信号記憶手段61に記憶される(ステップS217:画像信号記憶工程)と共に表示手段で表示される(ステップS218)。その後、続く画像信号がないか否かを判定し(ステップS219)、続く画像信号がある場合(No)はステップS215に戻り、画像信号が終了した場合(Yes)は終了する。
【0043】
この画像伝送方法によって、画像信号を傍受(盗画)されることなく、安全に伝送することができる。
【0044】
以上、本発明によれば、画像信号を周期的に規則的に伝送し表示することを改めて、ランダムにあるいは変化部分だけを伝送表示するようにしているので、機器や伝送経路からの漏洩電波の放射があっても、画像情報を盗視することが不可能な画像通信が可能となる。すなわち、暗号化を行う必要や不必要な信号を発生させる必要もなく、比較的簡便な方法により、情報セキュリティが強化された装置及びシステムを構築することができると共に、他の電子機器を誤動作させるような虞が無いという利点がある。
【0045】
(変形例)
以上本発明を実施形態に添って説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような種々の変形が可能である。
例えば、第1の実施形態における画像信号受信装置20の復元手段23、及び、第2の実施形態における画像信号受信装置60の画像信号合成手段63にも演算LSIを用いる可能性を述べた。本発明は、これに限らず、第1の実施形態の画像信号送信装置10の画像分割手段11や第2の実施形態の画像信号送信装置50の変化領域判別手段52などにも演算LSIを用いることができるため、これによって装置を小型に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施形態の画像信号送信装置の機能ブロック図である。
【図2】第1の実施形態の画像分割手段での画像分割と分割画像信号送信手段での送信順序の一例を示す説明図である。
【図3】第1の実施形態の画像信号受信装置の機能ブロック図である。
【図4】本発明の画像伝送システムの概念図である。
【図5】従来の通常の表示ユニットでの表示方法を示す説明図である。
【図6】第1の実施形態の画像伝送方法を示すフローチャートである。(a)は、画像送信方法を示すフローチャートであり、(b)は、画像受信方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態の画像信号送信装置の機能ブロック図である。
【図8】第2の実施形態での画像変化信号の一例を示す説明図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の画像信号受信装置の機能ブロック図である。
【図10】第2の実施形態の画像伝送方法を示すフローチャートである。(a)は、画像送信方法を示すフローチャートであり、(b)は、画像受信方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
10、50 画像信号送信装置
20、60 画像信号受信装置
11 画像分割手段
12 分割画像信号作成手段
13 分割画像信号送信手段
21 分割画像信号受信手段
22 受信信号記憶手段
23 復元手段
24、64 表示手段
30 ネットワーク
31 伝送線路
51、61 画像信号記憶手段
52 変化領域判別手段
53 画像変化信号作成手段
54 画像変化信号送信手段
62 画像変化信号受信手段
63 画像信号合成手段
100、200 画像伝送システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
元画像を分割して送信する画像信号送信装置において、
前記元画像を複数の画像領域に分割する画像分割手段と、
前記画像分割手段により分割された前記画像領域ごとにその表示座標を付して分割画像信号とする分割画像信号作成手段と、
前記分割画像信号作成手段により作成された前記分割画像信号をランダムな順序で送信する分割画像信号送信手段と
を備えることを特徴とする画像信号送信装置。
【請求項2】
連続する画像信号を送信する画像信号送信装置において、
前記画像信号を記憶する画像信号記憶手段と、
現在の画像信号をその直前の画像信号と比較し変化した変化画像領域を判別する変化領域判別手段と、
前記変化領域判別手段により前記変化画像領域と判別された領域にその領域の寸法と表示座標とを付して画像変化信号を作成する画像変化信号作成手段と、
前記画像変化信号作成手段により作成された前記画像変化信号を送信する画像変化信号送信手段と
を備えることを特徴とする画像信号送信装置。
【請求項3】
分割して送信される元画像の画像信号を受信して復元する画像信号受信装置において、
ランダムな順序で送られてくる前記元画像を分割して得られた複数の画像領域とその表示座標とを含む分割画像信号を受信する分割画像信号受信手段と、
前記分割画像信号受信手段により受信された前記分割画像信号の前記画像領域と前記表示座標とに基づいて前記元画像を復元する復元手段と
を備えることを特徴とする画像信号受信装置。
【請求項4】
前記分割画像信号受信手段により受信した前記分割画像信号を記憶する受信信号記憶手段と、前記復元手段により復元された元画像を表示する表示手段とを備え、
前記復元手段は、
前記受信信号記憶手段から前記分割画像信号を読み出して前記画像領域をその前記表示座標に従って配置して前記元画像を復元することを特徴とする請求項3に記載の画像信号受信装置。
【請求項5】
連続する画像信号を受信する画像信号受信装置において、
前記画像信号を記憶する画像信号記憶手段と、
現在の画像信号とその直前の画像信号とを比較して変化した変化画像領域にその領域の寸法と表示座標とが付された画像変化信号を受信する画像変化信号受信手段と、
前記画像信号記憶手段に記憶されている前記直前の画像信号と前記画像変化信号とから前記現在の画像信号を合成して復元する画像信号合成手段と、
前記画像信号合成手段で合成復元された前記現在の画像信号を表示する表示手段と
を備えることを特徴とする画像信号受信装置。
【請求項6】
画像信号を伝送する画像伝送システムにおいて、
前記画像信号を複数の画像領域に分割し各画像領域ごとにその表示座標を付して分割画像信号とする画像分割手段と、前記画像分割手段により分割された前記分割画像信号をランダムな順序で送信する分割画像信号送信手段とを備える第1の送信装置と、
前記第1の送信装置よりランダムな順序で送られてくる前記分割画像信号を受信する分割画像信号受信手段と、前記分割画像信号受信手段により受信された前記分割画像信号に基づいて配置して前記元画像を表示する復元表示手段とを備える第1の受信装置と、
前記第1の送信装置と前記第1の受信装置とを結ぶ伝送線路又はネットワークとを備え、
前記伝送線路又はネットワークから放射される電磁波を介して前記分割画像信号が受信されることを特徴とする画像伝送システム。
【請求項7】
画像信号を伝送する画像伝送システムにおいて、
現在の画像信号をその直前の画像信号と比較し変化した変化画像領域を判別する変化領域判別手段と、前記変化領域判別手段により前記変化画像領域と判別された領域にその領域の寸法と表示座標とを付して画像変化信号を作成する画像変化信号作成手段と、前記画像変化信号作成手段により作成された前記画像変化信号を送信する画像変化信号送信手段とを備える第2の送信装置と、
前記画像信号を記憶する画像信号記憶手段と、前記画像変化信号を受信する画像変化信号受信手段と、前記画像信号記憶手段に記憶されている前記直前の画像信号と前記画像変化信号とを合成して現在の画像信号を合成する画像信号合成手段と、合成された前記現在の画像信号を表示する表示手段とを備える第2の受信装置と、
前記第2の送信装置と前記第2の受信装置とを結ぶ伝送線路又はネットワークとを備え、
前記伝送線路又はネットワークから放射される電磁波を介して前記分割画像信号が受信されることを特徴とする画像伝送システム。
【請求項8】
画像信号を送信する制御を行う制御部を備えた画像送信装置が実行する画像送信方法において、
前記制御部は、
前記画像信号を複数の画像領域に分割する画像分割工程と、
前記画像分割工程により分割された前記画像領域にその表示座標を付して分割画像信号とする分割画像信号作成工程と、
前記画像分割工程により分割された前記分割画像信号をランダムな順序で送信する分割画像信号送信工程と
を実行することを特徴とする画像送信方法。
【請求項9】
画像信号を受送する制御を行う制御部を備えた画像受信装置が実行する画像受信方法において、
前記制御部は、
ランダムな順序で送られてくる分割画像信号を受信して記憶する分割画像信号受信記憶工程と、
この分割画像信号受信記憶工程により記憶された画像領域をその表示座標に従って配置して前記画像信号を復元する復元表示工程と
を実行することを特徴とする画像受信方法。
【請求項10】
画像信号を送信する制御を行う制御部を備えた画像送信装置が実行する画像送信方法において、
前記制御部は、
現在の画像信号をその直前の画像信号と比較し変化した変化画像領域を判別する変化領域判別工程と、
前記変化領域判別工程により前記変化画像領域と判別された領域にその領域の寸法と表示座標とを付して画像変化信号を作成する画像変化信号作成工程と、
前記画像変化信号作成工程により作成された前記画像変化信号を送信する送信工程と
を実行することを特徴とする画像送信方法。
【請求項11】
画像信号を受信する制御を行う制御部を備えた画像送信装置が実行する画像受信方法において、
前記制御部は、
画像変化信号を受信する画像変化信号受信工程と、
前記画像変化信号を記憶する画像信号記憶工程と、
前記画像信号記憶工程により記憶されている直前の画像信号と前記画像変化信号とを合成して現在の画像信号を合成する画像信号合成工程と
を実行することを特徴とする画像受信方法。
【請求項12】
請求項8又は請求項10に記載の画像送信方法を前記制御部のコンピュータに実行させることを特徴とする画像伝送プログラム。
【請求項13】
請求項9又は請求項11に記載の画像受信方法を前記制御部のコンピュータに実行させることを特徴とする画像伝送プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−124344(P2010−124344A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297456(P2008−297456)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】