説明

画像入出力装置

【課題】 スキャナハウジングがプリンタハウジングに揺動可能に連結され、更に原稿カバーがスキャナハウジングに揺動可能に連結されている場合において、スキャナハウジングと原稿カバーとが同時に開姿勢にならない画像入出力装置を提供する。
【解決手段】 本発明の画像入出力装置は、プリンタハウジングと、プリンタハウジングの上方を覆う閉姿勢と上方を開放する開姿勢とに揺動可能にプリンタハウジングに連結されているスキャナハウジングと、スキャナハウジングに連結されている原稿カバーと、スキャナハウジングが閉姿勢の状態で原稿カバーを開姿勢にするとスキャナハウジングをプリンタハウジングにロックする第一のロック手段と、原稿カバーが閉姿勢の状態でスキャナハウジングを開姿勢にすると原稿カバーをスキャナハウジングにロックする第二のロック手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像入出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタハウジングと、プリンタハウジングの上方を覆う閉姿勢と上方を開放する開姿勢とに揺動可能にプリンタハウジングに連結されるスキャナハウジングと、スキャナハウジングが有する原稿台を覆う閉姿勢と開放する開姿勢とに揺動可能にスキャナハウジングに連結される原稿カバーとを備える画像入出力装置が知られている。スキャナハウジングを揺動可能に連結すると、スキャナハウジングを揺動してプリンタハウジングの上方を開放することでインクカートリッジやトナーカートリッジの交換、あるいは用紙ジャムの解除などの作業を行うことができる。
【0003】
こうした画像入出力装置の中には、プリンタハウジングとスキャナハウジングとの間に空間を確保しているものもある。プリンタハウジングとスキャナハウジングとの間に空間を確保するとプリンタハウジングの上壁を排紙トレイとして利用することが可能になる。プリンタハウジングの上壁を排紙トレイとして利用する場合、上壁をプリンタハウジングに揺動可能に連結すれば、上壁を開くことによってインクカートリッジやトナーカートリッジの交換、あるいは用紙ジャムの解除などの作業を行うことができる。上壁を開いて作業を行う場合、スキャナハウジングを開姿勢に揺動するとプリンタハウジングの上方が開放されて上壁を大きく開くことができるため、作業性が向上する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、原稿台が揺動可能に連結されているスキャナハウジングをプリンタハウジングに揺動可能に連結すると、原稿カバーを開いた状態で誤ってスキャナハウジングを開いてしまったり、原稿カバーを閉じた状態でスキャナハウジングを開いたときに開いた勢いや原稿カバーの自重で原稿カバーが開いてしまったりすることがあり、画像入出力装置の後方に通路があれば原稿カバーが人にぶつかる危険があり、後方に壁があれば原稿カバーが壁にぶつかって破損する畏れがある。ここで「開く」とは閉姿勢から開姿勢に揺動することをいい、「閉じる」とは開姿勢から閉姿勢に揺動することをいうものとする。
【0005】
図16は、従来の画像入出力装置の一例を示す側面図である。図16ではプリンタハウジング61とスキャナハウジング62との間に空間が確保されている画像入出力装置60を示している。従来の画像入出力装置60は図示するようにスキャナハウジング62を開いた状態で更に原稿カバー63を開くことができる。スキャナハウジング62を開いた状態で更に原稿カバー63を開くと図示するように原稿カバー63がプリンタハウジング61の後方に大きく張り出す。図示する姿勢は原稿カバー63を開いた状態でスキャナハウジング62を開いたときに起きる他、原稿カバー63を閉じた状態でスキャナハウジング62を開いたときにも起きる。具体的には、原稿カバー63を閉じた状態でスキャナハウジング62を開くと、スキャナハウジング62を開いた勢いあるいは自重によって原稿カバー63が開くことがある。特に原稿カバー63にオートドキュメントフィーダや透過原稿用光源を備える場合は原稿カバー63が重くなるため、スキャナハウジング62を開いたとき原稿カバー63が自重によって開き易くなる。
【0006】
本発明は、かかる問題に鑑みて創作されたものであって、スキャナハウジングがプリンタハウジングに揺動可能に連結され、更に原稿カバーがスキャナハウジングに揺動可能に連結されている場合において、スキャナハウジングと原稿カバーとが同時に開姿勢にならない画像入出力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像入出力装置は、印刷媒体に画像を印刷する印刷手段を収容しているプリンタハウジングと、前記プリンタハウジングの上方を覆う閉姿勢と上方を開放する開姿勢とに揺動可能に前記プリンタハウジングに連結されているスキャナハウジングであって、原稿が載置される透明な原稿台を有し、前記原稿台上に載置されている原稿を読み取って画像データを出力する画像読み取り手段を収容しているスキャナハウジングと、前記原稿台を覆う閉姿勢と開放する開姿勢とに揺動可能に前記スキャナハウジングに連結されている原稿カバーと、前記スキャナハウジングが閉姿勢の状態で前記原稿カバーを開姿勢にすると前記スキャナハウジングを前記プリンタハウジングにロックする第一のロック手段と、前記原稿カバーが閉姿勢の状態で前記スキャナハウジングを開姿勢にすると前記原稿カバーを前記スキャナハウジングにロックする第二のロック手段と、を備える。この画像入出力装置によると、スキャナハウジングが閉姿勢の状態で原稿カバーを開姿勢にすると、スキャナハウジングを開姿勢に揺動することができなくなる。また、原稿カバーが閉姿勢の状態でスキャナハウジングを開姿勢にすると、原稿カバーを開姿勢に揺動することができなくなる。よってこの画像入出力装置によると、スキャナハウジングと原稿カバーとが同時に開姿勢にならない。
【0008】
さらに本発明に係る画像入出力装置では、前記原稿カバーはオートドキュメントフィーダが一体に設けられている。
さらに本発明に係る画像入出力装置では、前記第一のロック手段は前記スキャナハウジングに軸支される第一の回動部材を有し、前記第一の回動部材は一端部に第一のフックを有し、前記原稿カバーを閉姿勢にすると前記第一のフックと前記プリンタハウジングとの係合が外れ、前記原稿カバーを開姿勢にすると前記第一のフックと前記プリンタハウジングとが係合する。この画像入出力装置によると、原稿カバーの開閉に連動してスキャナハウジングをロック及びロック解除できる。
【0009】
さらに本発明に係る画像入出力装置では、前記原稿カバーを閉姿勢にすると前記第一の回動部材は前記原稿カバーに他端部を押されて回動し、その回動によって前記第一のフックと前記プリンタハウジングとの係合が外れる。
さらに本発明に係る画像入出力装置では、前記第一のロック手段は前記第一の回動部材を付勢する第一の付勢手段を有し、前記原稿カバーを開姿勢にすると前記第一の回動部材は前記第一の付勢手段に付勢されて前記第一のフックと前記プリンタハウジングとが係合する方向に回動し、その回動によって前記第一のフックと前記プリンタハウジングとが係合する。この画像入出力装置によると、原稿カバーを開姿勢にしたとき第一のフックをより確実にプリンタハウジングと係合させることができる。
【0010】
さらに本発明に係る画像入出力装置では、前記第一の付勢手段はコイルばねである。
さらに本発明に係る画像入出力装置では、前記第二のロック手段は前記スキャナハウジングに軸支される第二の回動部材を有し、前記第二の回動部材は一端部に第二のフックを有し、前記スキャナハウジングを閉姿勢にすると前記第二のフックと前記原稿カバーとの係合が外れ、前記スキャナハウジングを開姿勢にすると前記第二のフックと前記原稿カバーとが係合する。この画像入出力装置によると、スキャナハウジングの開閉に連動して原稿カバーをロック及びロック解除できる。
【0011】
さらに本発明に係る画像入出力装置では、前記スキャナハウジングを閉姿勢にすると前記第二の回動部材は前記プリンタハウジングに他端部を押されて回動し、その回動によって前記第二のフックと前記原稿カバーとの係合が外れる。
さらに本発明に係る画像入出力装置では、前記第二のロック手段は前記第二の回動部材を付勢する第二の付勢手段を有し、前記スキャナハウジングを開姿勢にすると前記第二の回動部材は前記第二の付勢手段に付勢されて前記第二のフックと前記原稿カバーとが係合する方向に回動し、その回動によって前記第二のフックと前記原稿カバーとが係合する。この画像入出力装置によると、スキャナハウジングを開姿勢にしたとき第二のフックをより確実に原稿カバーと係合させることができる。
【0012】
さらに本発明に係る画像入出力装置では、前記第二の付勢手段はコイルばねである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明する。以降の説明において「スキャナハウジングを開く」とは、スキャナハウジングを閉姿勢から開姿勢に揺動することをいい、「スキャナハウジングを閉じる」とは、スキャナハウジングを開姿勢から閉姿勢に揺動することをいうものとする。原稿カバーについても同様である。
【0014】
図2は本発明の一実施例に係る画像入出力装置としての複合機1の斜視図であり、図3は複合機1の側面図である。複合機1はプリンタハウジング10、スキャナハウジング11、及び原稿カバー12を備えている。
プリンタハウジング10は上方に突出する支持部13を有しており、スキャナハウジング11はヒンジにより支持部13に連結されている。本実施例ではスキャナハウジング11は水平方向に延びる揺動軸線周りに揺動するように連結されており、図3に示すようにプリンタハウジング10の上方を覆う閉姿勢と、図15に示すように上方を開放する開姿勢とに揺動可能である。上方に突出する支持部13にスキャナハウジング11を連結すると図3に示すようにプリンタハウジング10とスキャナハウジング11との間に空間が確保され、図2に示すようにプリンタハウジング10の上壁14を排紙トレイとして利用することが可能になる。上壁14を排紙トレイとして利用すると、例えば板状の排紙トレイをプリンタハウジング10の側壁から斜め上に延びるように設ける場合に比べて複合機1を小型にできる。上壁14はプリンタハウジング10に揺動可能に連結されている。インクカートリッジやトナーカートリッジの交換、あるいは用紙ジャムの解除などの作業を行うときは上壁14を開いて行う。スキャナハウジング11を揺動可能に連結すると、上壁14を開いて作業を行うときスキャナハウジング11を開姿勢に揺動してプリンタハウジング10の上方を開放することで上壁14を大きく開くことができるため、作業性が向上する。なお、プリンタハウジング10とスキャナハウジング11との間の空間は不要であれば確保する必要はない。
【0015】
スキャナハウジング11は上方が開口した箱形に形成されている。第一の原稿台15(図14参照)はガラス板などの透明な板で形成され、スキャナハウジング11の開口を閉塞している。
図4は、複合機1の模式図である。
原稿カバー12はヒンジにより第一の原稿台15の盤面を開放する姿勢と第一の原稿台15の盤面を覆う姿勢とに揺動可能にスキャナハウジング11に連結されている。本実施例では原稿カバー12は水平方向に延びる揺動軸線周りに揺動するように連結されており、図3に示すように第一の原稿台15を覆う閉姿勢と、図14に示すように第一の原稿台15を開放する開姿勢とに揺動可能である。原稿カバー12は第一の原稿台15に載置された原稿Mを押さえるとともに、光源23の放射光以外の光が原稿Mを照らすことがないよう第一の原稿台15を覆うものである。本実施例の原稿カバー12にはオートシートフィーダ(ADF)18が一体に設けられている。ADF18は複数の読み取り対象の原稿を一括して載置するための第二の原稿台17、第二の原稿台17に載置された原稿を1枚ずつ搬送するローラ19、ローラ19を回転させるモータ、制御回路などで構成されている。
【0016】
スキャナハウジング11には画像読み取り手段としてのスキャナ部20が収容されている。スキャナ部20は、キャリッジ21、リニアイメージセンサ22を実装した走査回路基板26、光源23、レンズ24、ミラー25、図示しない副走査駆動部などを備える。キャリッジ21はスキャナハウジング11に固定された棒状のキャリッジガイド27に摺動自在に支持されており、副走査駆動部によってキャリッジガイド27の軸線方向に往復移動する。リニアイメージセンサ22を実装した走査回路基板26、光源23、レンズ24、及びミラー25はキャリッジ21に搭載されている。光源23は第一の原稿台15上に載置されている原稿の走査線近傍を照射し、ミラー25及びレンズ24は照射された原稿の走査線上の反射光像をリニアイメージセンサ22の受光面に結像させる。リニアイメージセンサ22は、RGB各色の受光素子が図4において紙面垂直方向に直線状に並ぶ姿勢で走査回路基板26に搭載されている。リニアイメージセンサ22は受光面に結像された光学像の濃淡に相関する電気信号を出力する。走査回路基板26にはリニアイメージセンサ22及び光源23を駆動する回路、AD変換回路等が実装されている。第二の原稿台17に載置された原稿を読み取る場合、副走査駆動部はキャリッジ21を図4において破線で示す位置に移動させる。後述する制御部がADF18を制御して原稿Nを搬送することでリニアイメージセンサ22と原稿Nとが相対移動するため、二次元画像の走査が可能となる。
【0017】
プリンタハウジング10には印刷手段としてのプリンタ部30が収容されている。プリンタ部30はモノクロレーザー方式により印刷媒体に画像を印刷する。尚、本実施例ではモノクロレーザー方式により印刷を行う場合を例に説明するが、カラーレーザー方式、インクジェット方式、ドットインパクト方式などで印刷を行うものであってもよい。プリンタ部30は感光ドラム31、チャージローラ32、レーザー発信器33、トナーカートリッジ34、転写ローラ35、プレッシャーロール36、ヒートロール37、クリーナーユニット38、図示しない用紙搬送部などを備える。チャージローラ32は感光ドラム31を帯電させ、レーザー発信器33はレーザー光を発光して感光ドラム31上に静電潜像を形成する。トナーカートリッジ34にはマグネットローラとトナーとが収容されており、マグネットローラで感光ドラム31にトナーを付着させることにより静電潜像を現像する。印刷媒体としての印刷用紙39は図示しない用紙搬送部によって搬送され、転写ローラ35は電気力によりトナーを感光ドラム31から印刷用紙39に転写する。ヒートロール37は転写されたトナーを熱で溶かして印刷用紙39に定着させ、プレッシャーロール36は印刷用紙39に圧力を加えてトナーを圧着させる。クリーナーユニット38は印刷用紙に転写しきれなかった感光ドラム31上の残留トナーを除去する。印刷された印刷用紙39は用紙搬送部によって上壁14に排出される。
【0018】
プリンタハウジング10には図示しない制御部が収容されている。制御部は画像読み取り手段としても印刷手段としても機能する。制御部はスキャナ部20を制御して原稿を読み取らせ、走査回路基板26から出力される信号にガンマ補正、シェーディング補正などを施して画像データを作成する。また、制御部は画像データにハーフトーン処理、解像度変換処理、色空間の変換処理、インターレース処理等を施して印刷データを作成し、作成した印刷データに基づいてプリンタ部30を制御してディジタル画像を印刷させる。
【0019】
次に、原稿カバー12のロックについて説明する。
図5は、第一の回動部材41を示す斜視図である。第一の回動部材41は僅かに「く」の字状に曲がる長細い金属の板であり、長手方向の中心付近にシャフト42が貫設されている。シャフト42はスキャナハウジング11の内部でスキャナハウジング11に軸支され、それにより第一の回動部材41がスキャナハウジング11に回動可能に軸支される。第一の回動部材41の一端部41aには第一のフック43が形成されており、他端部41bには円形の部材44が回動可能に設けられている。円形の部材44の直径は第一の回動部材41の短手方向の幅より大きい。シャフト42と第一のフック43との間には開口45が形成されており、第一の付勢手段としてのコイルばね46は図示するように一端部が開口45に掛けて止められる。コイルばね46の他端部は図6に示すようにスキャナハウジング11の内部でスキャナハウジング11に掛けて止められる。
【0020】
図6はスキャナハウジング11の支持部13周辺の模式図であり、図7はスキャナハウジング11の支持部13周辺の斜視図である。図6及び図7はともに原稿カバー12が閉じた状態のスキャナハウジング11を示している。図6では円形の部材44は省略している。また、スキャナハウジング11は上部と下部との2部材で構成されており、図7はスキャナハウジング11の上部や説明に不要なその他の部材を省略して示している。図7に示すように原稿カバー12には三角形状のレバー48が下方に突出するように設けられている。支持部13には第一のフック43に係合する板状の第一の係合部49が水平に設けられている。原稿カバー12を閉じるとレバー48は第一の回動部材41の他端部に設けられている円形の部材を押し、それにより第一の回動部材41は図6に示すようにコイルばね46の付勢力に抗して第一のフック43と第一の係合部49との係合が外れる方向に回動する。ここで図6に示すX方向は第一のフック43と第一の係合部49との係合が外れる方向を示している。第一の回動部材41がX方向に回動すると第一のフック43と第一の係合部49との係合が外れ、スキャナハウジング11はロックが解除された状態となる。従ってこの状態のときスキャナハウジング11を開くことができる。すなわち、原稿カバー12を閉じているときはスキャナハウジング11を開くことができる。
【0021】
図1はスキャナハウジング11の支持部13周辺の模式図であり、図8はスキャナハウジング11の支持部13周辺の斜視図である。図1及び図8はともに原稿カバー12が開いた状態のスキャナハウジング11を示している。図1では円形の部材44は省略している。図8は図7と同様に説明に不要な部材を省略して示している。原稿カバー12を開くとレバー48が上方に移動して他端部がレバー48に押されなくなり、第一の回動部材41は図1に示すようにコイルばね46に引っ張られて反X方向に回動し、それにより第一のフック43と第一の係合部49とが係合する。なお、コイルばね46の代わりに例えばゴムを用いてもよい。特許請求の範囲に記載の「第一のロック手段」は、第一の回動部材41及び第一の係合部49に相当する。第一のフック43と第一の係合部49とが係合しているためスキャナハウジング11はプリンタハウジング10の支持部13にロックされており、従ってこの状態のときスキャナハウジング11を開くことはできない。すなわち、原稿カバー12を開いているときはスキャナハウジング11を開くことはできない。なお、本実施例では原稿カバー12を開いたときコイルばね46を用いて第一の回動部材41を反X方向に回動させているが、コイルばね46を用いず第一の回動部材41が自重で回動することによって第一のフック43と第一の係合部49とが係合するようにしてもよい。コイルばね46を用いると原稿カバー12を開姿勢にしたとき第一のフック43を素早く第一の係合部49と係合させることができるため、より確実に係合させることができる。
【0022】
次に、スキャナハウジング11のロックについて説明する。
図9は、第二の回動部材50を示す斜視図である。第二の回動部材50も長細い金属の板であり、長手方向の中心付近にシャフト51が貫設されている。第二の回動部材50のシャフト51もスキャナハウジング11の内部でスキャナハウジング11に軸支され、それにより第二の回動部材50がスキャナハウジング11に回動可能に軸支される。第二の回動部材50の一端部50aには第二のフック52が形成されている。第二の回動部材50の他端部50bはL字形状に形成されている。他端部50bは図示するように90度折り曲げられ、更に先端部分がシャフト51側に180度曲げられて折り返されている。シャフト51と他端部50bとの間には開口53が形成されており、第二の付勢手段としてのコイルばね54は図示するように一端部が開口53に掛けて止められる。コイルばね54の他端部は図10に示すようにスキャナハウジング11の内部でスキャナハウジング11に掛けて止められる。
【0023】
図10はスキャナハウジング11の支持部13周辺の模式図であり、図11はスキャナハウジング11の支持部13周辺の斜視図である。なお、図10に示す原稿カバー12は図1に示す原稿カバー12とは異なる断面を模式的に示している。このため、図10と図1とでは原稿カバー12の形状は異なっている。図10及び図11はともに原稿カバー12が閉じた状態のスキャナハウジング11を示している。図11はスキャナハウジング11や説明に不要なその他の部材を省略して示している。図11に示すように原稿カバー12には第二の係合部55が下方に突出するように設けられている。第二の係合部55は2つの側壁部を有し、それら二つの側壁部の間には図10に示すように段部56が形成されている。スキャナハウジング11を閉じると第二の回動部材50の他端部50bが支持部13に当接して押し返され、それにより第二の回動部材50は図10に示すようにコイルばね54の付勢力に抗して第二のフック52と段部56との係合が外れる方向に回動する。ここで図10に示すX方向は第二のフック52と段部56との係合が外れる方向を示している。第二の回動部材50がX方向に回動すると第二のフック52と段部56との係合が外れ、原稿カバー12はロックが解除された状態となる。従ってこの状態のとき原稿カバー12を開くことができる。すなわち、スキャナハウジング11を閉じているときは原稿カバー12を開くことができる。
【0024】
図12はスキャナハウジング11の支持部13周辺の模式図であり、図13はスキャナハウジング11の支持部13周辺の斜視図である。図12及び図13はともに開いた状態のスキャナハウジング11を示している。また、図13は図11と同様に上部や説明に不要なその他の部材を省略して示している。スキャナハウジング11を開くと第二の回動部材50は図12に示すようにコイルばね54に引っ張られて反X方向に回動し、それにより第二のフック52と段部56とが係合する。なお、コイルばね54の代わりに例えばゴムを用いてもよい。特許請求の範囲に記載の「第二のロック手段」は、第二の回動部材50及び第二の係合部55に相当する。第二のフック52と段部56とが係合しているため原稿カバー12はスキャナハウジング11にロックされており、従ってこの状態のとき原稿カバー12を開くことはできない。すなわち、スキャナハウジング11を開いているときは原稿カバー12を開くことはできない。なお、本実施例では原稿カバー12を開いたときコイルばね54を用いて第二の回動部材50を反X方向に回動させているが、コイルばね54を用いず第二の回動部材50が自重で回動することによって第二のフック52と第二の係合部55とが係合するようにしてもよい。コイルばね54を用いるとスキャナハウジング11を開姿勢にしたとき第二のフック52を素早く原稿カバー12と係合させることができるため、より確実に係合させることができる。
【0025】
次に、原稿カバー12及びスキャナハウジング11の開閉について説明する。
前述した図3に示す状態は原稿カバー12及びスキャナハウジング11がともに閉じた状態である。図3に示す状態のとき原稿カバー12及びスキャナハウジング11はどちらもロックされておらず、この状態から原稿カバー12又はスキャナハウジング11のいずれか一方を開くことができる。
【0026】
図14は、原稿カバー12が開姿勢にありスキャナハウジング11が閉姿勢にあるときの複合機1の側面図である。原稿カバー12を開いて開姿勢にするとスキャナハウジング11はプリンタハウジング10にロックされ、この状態でスキャナハウジング11を開くことはできない。
図15は、スキャナハウジング11が開姿勢にあり原稿カバー12が閉姿勢にあるときの複合機1の側面図である。スキャナハウジング11を開くと原稿カバー12はスキャナハウジング11にロックされ、この状態で原稿カバー12を開くことはできない。
【0027】
以上説明した本発明の一実施例に係る複合機1によると、スキャナハウジング11を閉じた状態で原稿カバー12を開くとスキャナハウジング11を開くことができなくなる。また、原稿カバー12を閉じた状態でスキャナハウジング11を開くと原稿カバー12を開くことができなくなる。よって複合機1によると、スキャナハウジング11と原稿カバー12とが同時に開姿勢にならない。従って原稿カバーを開いた状態で誤ってスキャナハウジング11を開いてしまったり、スキャナハウジング11を開いたときに開いた勢いや原稿カバー12の自重で原稿カバー12が開いてしまったりすることがない。このため、複合機1の後方に通路があっても原稿カバー12が人にぶつかる危険がなく、また後方に壁があっても原稿カバー12が壁にぶつかって破損する畏れがない。
【0028】
尚、本実施例では原稿カバー12がADF18を備える場合を例に説明したが、原稿カバー12を箱状に形成し、透過原稿用光源を原稿カバー12に収容してもよい。また、原稿カバー12はADF18や透過原稿用光源を備えていなくてもよい。
また、本実施例では第一の回動部材41を原稿カバー12で押したりコイルばね46で引っ張ったりすることで回動させているが、第一の回動部材41を電気力によって回動させてもよい。第二の回動部材50についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施例に係るスキャナハウジングの模式図。
【図2】本発明の一実施例に係る画像入出力装置の斜視図。
【図3】本発明の一実施例に係る画像入出力装置の側面図。
【図4】本発明の一実施例に係る画像入出力装置の模式図。
【図5】本発明の一実施例に係る第一の回動部材を示す斜視図。
【図6】本発明の一実施例に係るスキャナハウジングの模式図。
【図7】本発明の一実施例に係るスキャナハウジングの斜視図。
【図8】本発明の一実施例に係るスキャナハウジングの斜視図。
【図9】本発明の一実施例に係る第二の回動部材を示す斜視図。
【図10】本発明の一実施例に係るスキャナハウジングの模式図。
【図11】本発明の一実施例に係るスキャナハウジングの斜視図。
【図12】本発明の一実施例に係るスキャナハウジングの模式図。
【図13】本発明の一実施例に係るスキャナハウジングの斜視図。
【図14】本発明の一実施例に係る画像入出力装置の側面図。
【図15】本発明の一実施例に係る画像入出力装置の側面図。
【図16】従来の画像入出力装置の側面図。
【符号の説明】
【0030】
1 複合機(画像入出力装置)、10 プリンタハウジング、11 スキャナハウジング、12 原稿カバー、15 第一の原稿台(原稿台)、18 オートドキュメントフィーダ、20 スキャナ部(画像読み取り手段)、30 プリンタ部(印刷手段)、41 第一の回動部材(第一のロック手段)、43 第一のフック、46 コイルばね(第一の付勢手段)、49 第一の係合部(第一のロック手段)、50 第二の回動部材(第二のロック手段)、52 第二のフック、54 コイルばね(第二の付勢手段)、55 第二の係合部(第二のロック手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体に画像を印刷する印刷手段を収容しているプリンタハウジングと、
前記プリンタハウジングの上方を覆う閉姿勢と上方を開放する開姿勢とに揺動可能に前記プリンタハウジングに連結されているスキャナハウジングであって、原稿が載置される透明な原稿台を有し、前記原稿台上に載置されている原稿を読み取って画像データを出力する画像読み取り手段を収容しているスキャナハウジングと、
前記原稿台を覆う閉姿勢と開放する開姿勢とに揺動可能に前記スキャナハウジングに連結されている原稿カバーと、
前記スキャナハウジングが閉姿勢の状態で前記原稿カバーを開姿勢にすると前記スキャナハウジングを前記プリンタハウジングにロックする第一のロック手段と、
前記原稿カバーが閉姿勢の状態で前記スキャナハウジングを開姿勢にすると前記原稿カバーを前記スキャナハウジングにロックする第二のロック手段と、
を備えることを特徴とする画像入出力装置。
【請求項2】
前記原稿カバーはオートドキュメントフィーダが一体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像入出力装置。
【請求項3】
前記第一のロック手段は前記スキャナハウジングに軸支される第一の回動部材を有し、
前記第一の回動部材は一端部に第一のフックを有し、前記原稿カバーを閉姿勢にすると前記第一のフックと前記プリンタハウジングとの係合が外れ、前記原稿カバーを開姿勢にすると前記第一のフックと前記プリンタハウジングとが係合することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像入出力装置。
【請求項4】
前記原稿カバーを閉姿勢にすると前記第一の回動部材は前記原稿カバーに他端部を押されて回動し、その回動によって前記第一のフックと前記プリンタハウジングとの係合が外れることを特徴とする請求項3に記載の画像入出力装置。
【請求項5】
前記第一のロック手段は前記第一の回動部材を付勢する第一の付勢手段を有し、前記原稿カバーを開姿勢にすると前記第一の回動部材は前記第一の付勢手段に付勢されて前記第一のフックと前記プリンタハウジングとが係合する方向に回動し、その回動によって前記第一のフックと前記プリンタハウジングとが係合することを特徴とする請求項3又は4に記載の画像入出力装置。
【請求項6】
前記第一の付勢手段はコイルばねであることを特徴とする請求項5に記載の画像入出力装置。
【請求項7】
前記第二のロック手段は前記スキャナハウジングに軸支される第二の回動部材を有し、
前記第二の回動部材は一端部に第二のフックを有し、前記スキャナハウジングを閉姿勢にすると前記第二のフックと前記原稿カバーとの係合が外れ、前記スキャナハウジングを開姿勢にすると前記第二のフックと前記原稿カバーとが係合することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像入出力装置。
【請求項8】
前記スキャナハウジングを閉姿勢にすると前記第二の回動部材は前記プリンタハウジングに他端部を押されて回動し、その回動によって前記第二のフックと前記原稿カバーとの係合が外れることを特徴とする請求項7に記載の画像入出力装置。
【請求項9】
前記第二のロック手段は前記第二の回動部材を付勢する第二の付勢手段を有し、前記スキャナハウジングを開姿勢にすると前記第二の回動部材は前記第二の付勢手段に付勢されて前記第二のフックと前記原稿カバーとが係合する方向に回動し、その回動によって前記第二のフックと前記原稿カバーとが係合することを特徴とする請求項7又は8に記載の画像入出力装置。
【請求項10】
前記第二の付勢手段はコイルばねであることを特徴とする請求項9に記載の画像入出力装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−42003(P2006−42003A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−219976(P2004−219976)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】