説明

画像入力装置

【目的】 画像入力装置において、透過原稿用の照明装置で撮像パラメータ調整用のテストチャートなどを表示可能とし、撮像パラメータ調整の効率を高める。
【構成】 画像入力装置において、原稿(1)を載置する原稿台(2)と、該原稿台(2)上に載置された原稿(1)の画像を撮像する撮像カメラ(7,8)と、前記原稿台(2)の原稿載置面に配置され、原稿(1)を裏面より照明しかつ原稿載置面に画像を表示することができる発光表示手段(3)と、撮像カメラ(7,8)の撮像走査と発光表示手段(3)の表示走査とを同期させる同期手段(18)とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、画像入力装置に関し、特に、原稿を撮像カメラで撮像してモニタテレビジョンなどに表示させる画像入力装置において、透過原稿用の照明装置としてバックライト付きの液晶表示装置などの発光表示装置を使用することにより、原稿載置面にテストチャートなどの画像をも表示できるようにする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】印刷原稿などの反射原稿およびOHPシートのような透過原稿を撮像して対応する画像信号を生成するために画像入力装置が使用される。図6は、従来の画像入力装置の構造を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【0003】図6の(a)と(b)に示される装置では、原稿31が載置される原稿台32の原稿載置面に、例えば電界発光(EL)パネルのような、照明装置33が取付けられ、かつ原稿台32の上方には他の照明装置34が取付けられている。照明装置33は、原稿31を下側から照明する面光源であり、これは、OHPシートなど、光透過性の高い透過原稿を照明するために使用される。また、照明装置34は、立体物や光の透過性の低いまたは光を透過しない反射原稿を上方から照明するためのものである。
【0004】原稿台32から上に延びる支柱35には、撮像レンズ37を有する撮像カメラ36が取付けられている。また、原稿台32に設けられた出力端子38からの画像信号出力はモニタテレビジョン(以下、単にモニタと称する)39に接続されている。
【0005】このような構成の画像入力装置で被写体原稿の画像をモニタ39に表示させるためには、原稿台32の上に原稿31を載せ、その原稿31が透過原稿か反射原稿かにより照明装置33または34を選択して点灯させることにより原稿31を照明し、撮像カメラ36で照明された原稿31の像を撮像する。
【0006】この場合、モニタ39上に表示される画像として所望の高品質の画像を得るためには、原稿31を実際に撮像する前に、撮像カメラ36の絞り、ピント合わせ、撮影倍率、などの他にホワイトバランス、出力画像の色相、色の飽和度などの撮像パラメータを、必要に応じてあるいは好みに応じて、調整する必要がある場合がある。
【0007】これらの撮像パラメータの調整は、従来は紙などに様々な形状や色のパターンが印刷されたテストチャートを原稿台32の上に載置し、撮像カメラ36でこれを撮像し、モニタ39でその出力画像を観察しながら行なわれていた。例えば、原稿31がカラー原稿であり、原稿31の一部分を特定倍率に拡大してモニタ39で表示させたい場合には、色や撮影倍率に関係する様々な種類のテストチャートを原稿台32の上に順次置き換えて撮像パラメータを調整する。テストチャートとしては、例えば色相や色の飽和度を調整するためのカラーバーのパターン、ホワイトバランスを調整するための白色パターン、および倍率確認パターンその他が使用される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の画像入力装置においては、撮像パラメータを調整して出力画像を最適化するために、原稿台の上で種々のテストチャートを何度も置き換えて撮像する必要があり、作業効率が悪いという不都合があった。つまり、色相や色の飽和度などの調整を行なうためには色調整用のテストチャートを原稿台に載せて調整し、ホワイトバランスを調整するためにはホワイトバランス調整用のテストチャートを原稿台に載せて調整し、同様に種々の撮像パラメータを調整するためにテストチャートを頻繁に置き換えなくてはならなかった。この作業は、所望の出力画像を得るため、撮像パラメータを厳密に調整しようとすればするほど多くなり、撮像パラメータ調整に必要な時間が多くなり、画像入力作業の効率を悪化させていた。
【0009】また、テストチャートが画像入力装置とは別個のものとなっていたため、テストチャートを紛失しあるいは手元にない場合などには、画像入力装置の出力画像の最適化を行なうことが困難になり、実際に画像入力装置が使用される場所の種々の条件の変化などによりモニタに表示される画像の画質が最適化されない場合があった。
【0010】したがって、本発明の目的は、画像入力装置において、出力画像の調整が効率的かつ的確に行なうことができるようにし、容易に高品質の出力画像が得られるようにするとともに、画像入力装置の操作性を向上させることにある。
【0011】本発明の他の目的は、画像入力装置とは別個のテストチャートを使用しなくとも極めて効率的かつ容易に出力画像の最適化を行なうことができるようにすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記問題点の解決のために、本発明によれば、原稿などの被写体を載置するための原稿台と、該原稿台上に載置された原稿の画像を撮像する撮像カメラと、前記原稿台の原稿載置面に配置され、前記原稿を裏面より照明し、かつ原稿載置面に画像を表示することができる発光表示手段と、前記撮像カメラの撮像走査と前記発光表示手段の表示走査とを同期させる同期手段とを備えた画像入力装置が提供される。
【0013】前記発光表示手段は前記原稿台に組み込まれたバックライト付きの液晶表示装置によって構成すると好都合である。
【0014】前記発光表示手段に画像を表示するための画像データを記憶するメモリ手段を設けることもでき、該メモリ手段は外部から画像データを書込み可能なメモリとしてもよい。
【0015】また、前記発光表示手段によって表示される画像は、前記撮像カメラの出力画像を調整するためのテストチャートとすることができる。このテストチャートとしては、色特性調整用のカラーバーパターン、ホワイトバランス調整用の白色表示パターン、または倍率確認パターンなどとすることができる。
【0016】さらに、前記発光表示手段によって表示される画像は、被写体原稿の位置を指示する位置決めパターンとすることができる。
【0017】あるいは、前記撮像カメラは撮像用のズームレンズを備え、かつ前記発光表示手段はこのズームレンズのズーム倍率に対応して前記撮像カメラによって撮像可能な範囲を指定する範囲指示パターンを表示してもよい。
【0018】さらに、前記撮像カメラは前記原稿の画像と前記発光表示手段の表示画像とを同時に撮像し、前記原稿の画像と前記発光表示手段の表示画像とを合成した画像を得るようにすることもできる。
【0019】また、前記発光表示手段がバックライト付きの液晶表示装置である場合には、該バックライトの通電時間を積算し、その積算された時間に応じてバックライトの交換時期を知らせる警報手段を備えると好都合である。
【0020】
【作用】このような構成により、前記原稿台上に載置された被写体が透過原稿である場合は、前記発光表示手段によって該原稿を裏面より照明して撮像カメラによって該原稿の画像を適切に撮像することができる。また、前記発光表示手段に撮像パラメータ調整用のテストチャートを表示させ、その画像を撮像カメラで撮像することにより、紙などに印刷された種々のテストチャートを原稿台の上に置くことなしに、撮像パラメータを適切に調整することができる。この場合前記撮像カメラの撮像走査と前記発光手段の表示走査とを同期させたから、発光表示手段によって表示されるテストチャートなどの画像を撮像カメラで適切に撮像することが可能になる。
【0021】また、前記発光表示手段は前記原稿台に組み込まれたバックライト付きの液晶表示装置とすることにより、原稿載置面の平面度を保ちながらテストチャートなどの表示画像のひずみをなくし、かつ表示画像の大きさも適切に設定することが可能になる。また、液晶表示装置で表示する画像を白色画像とすることによって透過原稿用の照明装置として使用することができ、かつ撮像カメラのホワイトバランスをとる場合の白色光源とすることもできる。
【0022】また、前記発光表示手段に画像を表示するための画像データを記憶するメモリ手段を設けることにより、種々のテストチャートなどの画像を迅速的確に表示することが可能になり、テストチャートの切換え操作も極めて迅速かつ的確に行なうことができる。また、前記メモリ手段は外部から画像データを書込み可能なメモリとすることにより、例えば使用者の必要とするテストチャートなどの画像を表示させることができ、使用者の要求に適合した応用範囲の広い画像入力装置が実現できる。
【0023】また、前記発光表示手段によって表示される画像が、前述のように前記撮像カメラの出力画像を調整するためのテストチャートであれば、原稿の画像を撮像する前に前記発光表示手段によって種々のテストチャートを表示させて撮像カメラの出力画像を調整した後に画像入力装置を行なうことができ、極めて適切な画像入力を行なうことが可能となる。これらのテストチャートは、例えば色特性調整用のカラーバーパターンとすることにより表示画像の色相および色の飽和度などを調整できる。また、白色表示パターンである場合はホワイトバランスの調整を行なうことができ、また透過原稿用の照明光源とすることもできる。さらに倍率確認パターンである場合は表示画像の大きさや倍率を適切に設定することができる。
【0024】さらに、前記発光表示手段によって表示される画像が被写体原稿の位置を指示する位置決めパターンである場合は、操作者はその位置決めパターンで示された場所に原稿を置くだけでよく、原稿の位置合わせが極めて容易になる。また、スイッチその他の選択手段により原稿の大きさ、例えばA3、を選択すれば、その大きさの原稿の位置を示す表示が前記発光表示手段によって表示され、さらに操作性が向上する。
【0025】また、前記撮像カメラがズームレンズを備え、かつ前記発光表示手段がこのズームレンズのズーム倍率に対応して撮像可能な範囲を指定する範囲指定パターンを表示した場合には、操作者は、例えば、大きな原稿の一部の所望の位置をモニタに表示したい場合などに、前記範囲指定パターンによって表示された部分に原稿の所望の画像部分を合わせることによって容易に所望の表示を行なうことができる。
【0026】さらに、撮像カメラが原稿の画像と発光表示手段の表示画像とを同時に撮像し、原稿の画像と発光手段の表示画像とを合成した画像を得ることができるようにした場合には、例えば原稿の画像と発光表示手段によって表示される文字とを合わせてモニタ上で観察できることになる。これによってより適切な画像表示ができることになりかつ画像入力装置の応用範囲が広げられる。
【0027】さらに、前記発光表示手段としてバックライト付きの液晶表示装置を使用した場合には、該バックライトの通電時間を積算しその積算された時間に応じてバックライトの交換時期を知らせることができ、画像入力装置の保守作業が容易になり、装置の状態を常に適切な状態に保つことが可能になる。
【0028】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につき説明する。図1は、本発明の第1の実施例に係わる画像入力装置の概略的な構造を示す。原稿1を載せる原稿台2には、発光表示装置3が取付けられている。発光表示装置3は、バックライト3aとその上のカラー液晶表示部3bから構成され、バックライト3aからの光が液晶表示部3bを介して原稿載置面から上方に照射される。液晶表示部3bは、例えばTFT型液晶表示パネルなどによって構成される。
【0029】また、原稿台2の両側部の上方には反射原稿用の照明装置4が取付けられている。さらに、原稿台2の後方から上方向に延びる支柱6には撮像カメラ7が取付けられており、該撮像カメラ7の撮像レンズ8は例えばズームレンズであって原稿台2の原稿載置面の方向に向いている。また、原稿台2内には、制御回路5が配置され、該制御回路5は後に詳細に説明するように前記発光表示装置3に関する動作制御、その他を行なう。原稿台2内には、さらに、撮像カメラ7から得られた信号を処理する画像処理回路(図示せず)なども配置されている。また、このような画像処理回路から出力される撮像された原稿の画像信号は出力端子9を介してモニタ10に供給される。
【0030】図1に示される画像入力装置においては、原稿台2の原稿載置面、すなわち発光表示装置3の発光表示面、に置かれた原稿1は、透過原稿であるか反射原稿であるかに応じて発光表示装置3または照明装置4で照明される。原稿1が透過原稿であるか反射原稿であるかはなんらかの図示しないスイッチにより指定してもよく、あるいは発光表示装置3からの光を原稿1を介して検出する光センサなどを使用して自動的に判定してもよい。いずれかの照明手段3または4で照明された原稿1はカメラ7で撮像され、その画像信号が出力端子9からモニタ10に送られて原稿画像が表示される。また、発光表示装置3は、前記制御部5によって制御されて、撮像カメラ7の撮像パラメータの調整などに利用される。これについては、後に詳細に説明する。
【0031】図2は、図1に示した画像入力装置の制御部5の構成を示すブロック図である。図1の制御部5は、発光表示手段の動作モードを制御するスイッチ13と、スイッチ13のB接点側に接続された画像データ記憶用のメモリ12と、該メモリ12に接続された読出し制御部11とを有する。スイッチ13の接点Aは例えば正の電源電圧に接続されている。スイッチ13の可動接点はD/A変換器14が接続され、該D/A変換器14の出力は液晶駆動回路15を介して液晶表示部3b(図1)に接続されている。また、16は図1のバックライト3aに接続されたバックライト駆動回路16と、該バックライトの通電時間を積算する時間積算部17が接続されている。
【0032】図2の制御回路においては、メモリ12には、液晶表示部3bに出力させるテストチャートなどの画像データがデジタル・データとして記憶されている。このテストチャートは、例えば、色相や色の飽和度を調整するためのカラーバーパターン、ホワイトバランス調整用の基準となる白色表示パターン、倍率確認パターンなどが含まれる。スイッチ13が接点B側に設定されている場合には、メモリ12の画像データが読出し制御部12の制御によって読出され、該スイッチ13を介してD/A変換器14でアナログ信号に変換され、液晶駆動回路15を経て液晶表示部3bに供給され対応する画像が表示される。また、この時バックライト駆動回路16からの駆動信号によりバックライト3aが点灯され、この点灯時間は時間積算部17によって積算および表示される。
【0033】スイッチ13が接点A側に設定されているときは正の電源電圧などがD/A変換器を介して液晶駆動回路15に供給され液晶表示部3bが例えば白色の画像を表示し、したがって発光表示装置3は透過原稿用の照明光源となる。
【0034】次に、図5のフローチャートを参照して、以上のような構成を有する画像入力装置の動作を説明する。以下の説明では、例として、OHPシートなどの透過原稿を撮像してその画像をモニタ10に表示する動作について説明する。
【0035】図5において、まずステップ51で画像入力装置の操作を開始し、ステップ52で該画像入力装置の電源(不図示)を入れる。次に、ステップ53で、撮像しようとする原稿1について、撮像カメラ7の撮像パラメータの調整が必要か否かの判断を行なう。例えば、原稿1をモニタ10の画面に2倍の大きさで表示させたいときは、撮像カメラ7の撮像倍率を2倍に設定する必要がある。この場合は、ステップ54に進んで、撮像倍率確認用のテストチャートのパターンを前記発光表示装置3に表示させる。原稿1の撮像が、予め撮像カメラ7に設定されている撮像パラメータでよいときは、ステップ57に進んで原稿を撮像する。
【0036】ステップ54では、発光表示装置3に倍率確認パターンを表示させる。このとき、前記図2において、読出し制御部11には、倍率確認パターンを読出すようにオペレータから指令が入力される。また、スイッチ13はB接点側に接続され、メモリ12から読出された倍率確認パターンの画像データが、D/A変換器14に送られる。D/A変換器14に送られたデジタル画像データは、アナログ画像信号に変換されて液晶駆動回路15に送られ、該液晶駆動回路15が液晶表示部3bを駆動して、メモリ12から読出された倍率確認パターンを表示する。
【0037】このようにして、発光表示装置3に倍率確認パターンを表示させた後、ステップ55で、オペレータはモニタ10の画像を観察しながら撮像カメラ7のズームレンズにより撮像倍率を調整して、モニタ10の画面に倍率確認パターンの所望の倍率を示すマーク部分が画面一杯に表示されるようにする。なお、倍率確認パターンは、例えば種々の倍率に対応して画面四隅に配置されたかぎ状パターンによって構成することができる。
【0038】倍率確認パターンによる撮像倍率の調整が終わった後、次にステップ56で、他に調整を必要とする撮像パラメータがあるか否かを判定する。他の撮像パラメータの調整を必要とする場合は、ステップ54に戻り、メモリ12から所望のテストチャートの画像データを読出して、前に述べたような手順でその撮像パラメータの調整を行なう。全ての撮像パラメータの調整が行なわれると、ステップ57に進む。
【0039】ステップ57では、原稿1の画像を撮像するために、図2のスイッチ13をA接点側に接続する。A側接点は液晶表示部3bの表示が例えば白色となるように正の電源電圧に接続されて論理ハイレベルが供給されるよう構成されている。これによって、D/A変換器14に白色画像データが送られ、発光表示装置3を面光源として機能させる。なお、この場合発光表示装置3の表示は必ずしも全面白色とする必要はなく、ある所望の背景色をもっていても、あるいは特定のパターンであってもよい。また、このような特定パターンあるいは所望の背景色または白色のデータがメモリ12に格納されていれば、前記スイッチ13は特に設ける必要がなく、読出し制御部11の制御により同様の制御が実現できる。また、液晶表示部3bの入力がデジタル入力である場合には、D/A変換器14は特に必要ない。
【0040】このようにして、発光表示装置3によって原稿載置面が全面白色とされ、あるいは所望の背景色または所望のパターンが表示された状態で、撮像カメラ7によって原稿1の撮像が行なわれる。これによって得られた画像信号は、前記出力端子9からモニタ10に供給され所望の原稿画像が表示され、ステップ58で動作が終了する。
【0041】また、前記段階53で原稿1の撮像を予め撮像カメラ7に設定されている撮像パラメータでよい場合など、撮像パラメータの調整が必要ないと判断された場合は、ステップ57に進み上述と同様にして原稿1の撮像が行なわれる。
【0042】なお上述の動作において、バックライト3aは、スイッチ13がA接点側、B接点側のどちらにあるときも、バックライト駆動回路16によって点灯されており、その点灯時間が時間積算部17で積算される。そして、この積算されたバックライトの累積使用時間は、画像入力装置に組み込まれた図示しない表示装置に表示されるか、またはこの累積使用時間がバックライトの寿命として設定された値を越えたときに前記表示装置によりあるいは他の手段によって警報を出すことができる。これによって、バックライト3aの寿命が尽きる前にバックライト3aを交換できるので、画像入力装置の保守が容易になり、かつ信頼性を高めることができる。
【0043】以上のように、原稿台2に組み込んだ発光表示装置3によって、透過原稿の照明を行ない、かつ撮像カメラ7の撮像パラメータ調整用のテストチャートなどを原稿載置面に表示させることができる。また、メモリ12に複数種類のテストチャートの画像データを記憶しておくことにより、オペレータは所望の適切なテストチャートを選択して撮像パラメータの調整に利用することができる。したがって撮像パラメータを調整する際に、原稿台2の上で種々のテストチャートのシートを置き換える必要がなく、かつ最も適切なテストチャートを迅速に選択しかつ表示できるから、撮像パラメータの調整作業の効率が向上し、したがって画像入力の効率および操作性が大幅に向上する。
【0044】次に、図3は、本発明の第2の実施例に係わる画像入力装置に使用される制御部の概略の構成を示す。この制御部も、図1に示した構造を有する画像入力装置と共に使用される。図3の制御部は、前記図2に示した制御部に加え、撮像カメラ7の撮像走査と液晶表示部3bの表示走査とを同期させる手段が追加されている。すなわち、メモリ12に接続された読出し制御部11に位相同期回路(PLL)18が接続されている。この位相同期回路18には、撮像カメラ7(図1)の走査用の同期信号が入力されており、この同期信号に対応して読出し制御部11がメモリ12から画像データを読出し出力する。その他の部分は図2の構成と同じ構成を有し、同じ構成要素には同じ参照番号が付されている。
【0045】図3に示される制御部を有する画像入力装置は、前記図5に示したフローチャートと同様に動作するが、前記ステップ54において、発光表示装置3で撮像パラメータ調整用のテストチャートを表示するとき、およびステップ57において発光表示装置3で照明用の画像を表示しているときに、撮像カメラ7の走査と発光表示装置3の走査とを同期させることができる。これによって、走査のずれ、走査周波数の違いによって生じる、モニタ10上でのテストチャートの画質劣化を防止し、かつ照明用光源の光量の変動を防ぐことができる。
【0046】図4は、本発明の第4の実施例に係わる画像入力装置における制御部の概略の構成を示す。図4の制御部は図1に示した画像入力装置において使用され、図3の制御部と類似した構成を有する。図4の制御部が図3の制御部と異なる点は、図4の制御部が書込み可能なメモリ(RAM)を備え、外部から種々の画像データを記憶させて表示できることである。
【0047】さらに詳細に説明すると、図4の制御部においては、RAM19は、図3のメモリ12に対応するものであり、読出し制御部11を介して位相同期回路(PLL)18が接続されている。RAM19にはまた、制御線20が接続されており、この制御線20には不揮発性メモリ21が接続されている。そして、不揮発性メモリ21に記憶されている画像データを、制御線20を介してRAM19に転送することができる。この不揮発性メモリ21には、多数のテストチャートの画像データが記憶されている。また、制御線20は画像入力装置の外部と接続されており、外部から任意の画像データをRAM19などに書き込むことができる。
【0048】RAM19はまた、前記図2および図3に示すメモリ12のように、スイッチ13、D/A変換器14、液晶駆動回路15を介して液晶表示部3bに接続されている。バックライト3aには、バックライト駆動回路16を介してバックライト3aの通電時間を積算する時間積算部17が接続されている。
【0049】このような制御部を備えた画像入力装置は、基本的には図5のフローチャートで示したのと同じように動作するが、発光表示装置3で表示する画像は、不揮発性メモリ21に入っている画像データと、制御線20を介して転送される画像データの中から選んで表示させることができる。
【0050】そのため、発光表示装置3を撮像パラメータの調整用に使用する場合には、スイッチ13がB接点側に接続され、かつ不揮発性メモリ21に記憶された画像データか画像入力装置外部の画像データが制御線20を介してRAM19に書き込まれる。不揮発性メモリ21には、異なる種類のテストチャートの画像データを大量に記憶させておくことができるので、その中から必要に応じて適切なテストチャートの画像データをRAM19に転送することができる。また、制御線20は、例えばコンピュータに接続され、コンピュータで作成した画像や該コンピュータのハードディスクなどに記憶された画像のデータをRAM19に書き込むこともできる。RAM19に画像データが書き込まれるタイミングは、例えば、画像入力装置の電源(不図示)を投入したときでもよい。
【0051】さらに、外部で作成した画像データを画像として表示できることを応用し、原稿台2に原稿1を載せた状態で、発光表示装置3で文字などを表示させることにより、原稿1の画像に文字情報などを合成した画像を撮像カメラなどで撮像しかつモニタ10に表示させることもできる。このとき、発光表示装置3に表示された文字以外の部分は、例えば白色表示など照明光として適切な画像データとすることが好ましい。
【0052】なお、以上の実施例では、画像入力装置の被写体として透過原稿を使用する場合について説明したが、被写体は立体物または光を透過しない反射原稿でもよい。その場合、撮像パラメータの調整は、原稿載置面に組み込まれた発光表示手段で行ない、撮像用の照明は原稿台上方に取付けられた照明装置4(図1)で行なえばよい。
【0053】また、以上の実施例では、撮像用または撮像パラメータ調整用の画像データを切り換えるためにスイッチ13を設けているが、撮像用の面光源となる画像データがメモリに記憶されていれば、スイッチは設けなくてもよい。さらに、発光表示手段3の面光源は、画面全体が白色となる場合に限られず、例えば様々な色とし、または画面が部分的に色や輝度が異なるものとしてもよい。
【0054】さらに、液晶駆動回路の信号入力がデジタル入力であれば、D/A変換器14はなくてもよく、メモリから直接液晶駆動回路に画像データを送ってもよい。
【0055】また、本発明の別の態様として、発光表示装置3に原稿の位置決めマークを表示することができる。このような位置決めマークは、従来の画像入力装置では原稿載置面の上に種々の原稿サイズを示す表示がなされていた。例えば、A3,A4,B5などの文字と共にこれらの原稿サイズの四隅部分を示すかぎ状マークが表示されていた。ただし従来の画像入力装置では、これらのマークが全ての原稿サイズに対し、例えばA3,A4,B5につき、表示されていたためマークが見にくいという問題点があった。本発明では、例えば読出し制御部11に設けられた図示しないスイッチなどにより、A3を選択すれば、A3の原稿の位置を示す位置決めマークのみが発光表示手段3により表示されるよう構成することができる。これによって必要な位置決めマークのみが表示され、画像入力装置の操作性が大幅に改善される。さらにこの場合、原稿が透過原稿であれば発光表示装置3の表示画面を白とし、位置決めマークを黒とすればよく、透過原稿でない場合にはその逆にすればよい。
【0056】本発明のさらに別の態様に係わる画像入力装置では、撮像レンズのズーム倍率の設定に応じて発光表示手段3により撮像可能な範囲を表示させることもできる。従来は、このような表示がないため、操作者が原稿載置面上のどの部分が撮像されるかを知るためには、実際に撮像された画面をモニタによって見ることによって確認することで行なっていた。本発明では、撮像レンズのズーム倍率に応じて発光表示装置3に撮像可能な範囲を表示させる。すなわち撮像レンズ8(図8)のズーム倍率の情報を、例えば該ズームレンズ8に設けられたエンコーダから得て、この情報を元に前記読出し制御部11が発光表示素子に表示する範囲指定マークの位置または大きさを計算して表示させればよい。撮像可能な範囲を示す範囲指定マークとしては、前述の位置決めマークと同様に原稿の四隅の位置を示すかぎ状マークでもよく、あるいは撮像可能な範囲のみを白色とし残りの部分を黒としてもよい。
【0057】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、画像入力装置において、例えばバックライト付き液晶表示装置などによって構成される発光表示手段を原稿載置面に配置し、原稿の照明および原稿載置面へのテストチャートその他の画像の表示ができるようにしたから、原稿の撮像に先立ちまたは撮像中に撮像パラメータを調整する際に、シートなどに印刷したテストチャートを原稿台上に順次置き換える必要がなくなり、撮像パラメータ調整の効率を大幅に高めることができる。また、透過原稿を撮像する際には、発光表示手段を面光源として利用できるので、画像入力装置の装置構成を単純化すると共に、適切な画像入力を行なうことが可能になる。
【0058】さらに、本発明では、撮像カメラの撮像走査と発光表示装置の表示走査とを同期させたから、走査のずれあるいは走査周波数の違いによって生じる出力画像の品質低下を防ぐことができる。
【0059】また、本発明によれば、前記発光表示装置によって原稿の位置決めマークを必要な原稿について明確に表示することができるから、画像入力作業の操作性を向上させることができる。
【0060】さらに、撮像レンズのズーム倍率に応じて前記発光表示装置に撮像可能な範囲を表示させることができるから、操作者は原稿の必要な部分を迅速的確に撮像し、モニタに表示することができ、これによって画像入力作業の操作性および効率を高めることができる。
【0061】また、発光表示手段に表示させる画像信号のデータを読取り専用メモリまたは書込み可能なメモリに記憶させることにより、操作者が必要に応じて、特定のテストチャートを迅速に表示させることができる。また、複数のテストチャートを順次選択して表示する場合にも、極めて迅速かつ効率よく表示を行なうことができる。
【0062】また、撮像カメラで原稿と発光表示装置の表示画像とを同時に撮像することができ、原稿の画像に文字情報などを合成させた画像を表示させることができるので、出力画像の情報量を増やすことができると共に、画像入力装置の応用範囲を広げることができる。
【0063】さらに、発光表示手段として使用するバックライトの使用時間を積算し、その積算された時間に応じてバックライトの交換時期を知らせる警報手段を設けることにより、バックライトを適切な時期に交換できるようになり、画像入力装置の保守が容易になると共に、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係わる画像入力装置の概略の構成を示す正面説明図である。
【図2】図1の画像入力装置に使用されている制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施例に係わる画像入力装置に使用されている制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第3の実施例に係わる画像入力装置に使用されている制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係わる画像入力装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】従来の画像入力装置の概略の構成を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
1 原稿
2 原稿台
3 発光表示装置
3a 液晶表示部
3b バックライト
4 反射原稿用照明装置
5 制御部
6 支柱
7 撮像カメラ
8 撮像レンズ
9 出力端子
10 モニタテレビジョン
11 読出し制御部
12 画像データメモリ
13 スイッチ
14 D/A変換器
15 液晶駆動回路
16 バックライト駆動回路
17 時間積算部
18 位相同期回路
19 書込み可能メモリ
20 制御線
21 不揮発性メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 被写体を載置するための原稿台と、前記原稿台上に載置された被写体の画像を撮像する撮像カメラと、前記原稿台の原稿載置面に配置され、前記被写体を裏面より照明し、かつ原稿載置面に画像を表示することができる発光表示手段と、前記撮像カメラの撮像走査と前記発光表示手段の表示走査とを同期させる同期手段と、を備えたことを特徴とする画像入力装置。
【請求項2】 前記発光表示手段が、前記原稿台に組み込まれたバックライト付きの液晶表示装置であることを特徴とする請求項1に記載の画像入力装置。
【請求項3】 前記発光表示手段に画像を表示するための画像データを記憶するメモリ手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像入力装置。
【請求項4】 前記メモリ手段が、外部から画像データを書込み可能なメモリであることを特徴とする請求項3に記載の画像入力装置。
【請求項5】 前記発光表示手段によって表示される画像が、前記撮像カメラの出力画像を調整するためのテストチャートであることを特徴とする請求項1に記載の画像入力装置。
【請求項6】 前記テストチャートが、色特性調整用のカラーバーパターン、ホワイトバランス調整用の白色表示パターン、または倍率確認パターンの内のいずれかであることを特徴とする請求項5に記載の画像入力装置。
【請求項7】 前記発光表示手段によって表示される画像が被写体の位置を指示する位置決めパターンであることを特徴とする請求項1に記載の画像入力装置。
【請求項8】 前記撮像カメラは撮像用のズームレンズを備え、かつ前記発光表示手段はこのズームレンズのズーム倍率に対応して前記撮像カメラによって撮像可能な範囲を指定する範囲指定パターンを表示することを特徴とする請求項1に記載の画像入力装置。
【請求項9】 前記撮像カメラが前記原稿の画像と前記発光表示手段の表示画像とを同時に撮像し、前記原稿の画像と前記発光表示手段の表示画像とを合成した画像を得ることを特徴とする請求項1に記載の画像入力装置。
【請求項10】 前記発光表示手段のバックライトの通電時間を積算し、その積算された時間に応じて前記バックライトの交換時期を知らせる警報手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の画像入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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