説明

画像入力装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は画像入力装置に関し、特に文書などを画像データとして読み取ることができる画像入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】第1の従来例は、密着型のイメージスキャナで、特開昭62−147577号公報などが挙げられる。この従来例は、本体を読み取る画像に密着させ、いくつかの反射面を経由した後、リニアイメージセンサで画像を読み取る。バーコード等の読取に使用されている。また、2次元画像を読み取る場合は、本体を密着させながら移動させ、移動量をローラとエンコウダ等を用いて測定し、リニアイメージセンサの駆動タイミングと移動量とを同期させて2次元画像を読み取っている。
【0003】第2の従来例は、フラットベッドタイプのスキャナで、特開平1−269360号公報などが挙げられる。この従来例は、読み取る原稿をプラテンガラス等でできた原稿台に載せ、反射面を原稿台に沿って平行移動することにより、リニアイメージセンサの駆動タイミングと移動量とを同期させて2次元画像を読み取っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】第1の従来例である密着型イメージスキャナは、バーコードのように読み取る対象が小さく1次元であれば問題はないが、2次元画像の場合は使用者が本体を移動させて読み取るため、入力された画像データが歪んでしまう。またA4やA3などの文書を読み取るためには、装置が大型化してしまうという。
【0005】第2の従来例は、装置の大型化や高価格化によりパーソナル化や携帯化が困難である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の画像入力装置は、読み取る画像の反射光を所望方向に反射させる反射面と、この反射面を回転駆動させる反射面回転手段と、所定の大きさに切断され前記反射面回転手段に固定されている光ディスク基板とこの光ディスク基板に対向するように装置本体に固定され前記光ディスク基板のトラック溝を検出することができる光ピックアップとを備える前記反射面の回転角度を測定するための反射面回転角度測定手段と、前記反射面からの前記反射光を集光するための集光レンズと、この集光レンズで集光された測定光を受光する光電受光素子と、前記光ピックアップで測定される前記光ディスク基板のトラック溝に対応したトラッキングエラー信号と前記光電受光素子の駆動タイミングとを正確に同期させて前記光電受光素子を駆動制御する駆動回路であることを特徴とする前記光電受光素子を駆動制御する光電受光素子駆動回路とを備える。
【0007】
【0008】
【0009】また、本発明の画像入力装置は、読み取る画像の反射光を所望方向に反射させる反射面と、この反射面を回転駆動させる反射面回転手段と、所定の大きさに切断され前記反射面回転手段に固定された光ディスク基板とこの光ディスク基板に対向するように装置本体に固定され前記光ディスク基板のトラック溝を検出することができる光ピックアップとを備える前記反射面の回転角度を測定するための反射面回転角度測定手段と前記光ピックアップで測定される前記光ディスク基板のトラック溝に対応したトラッキングエラー信号を基に前記反射面回転手段を速度制御して一定速度回転させる反射面回転制御回路と、前記反射面からの反射光を集光するための集光レンズと、この集光レンズで集光された測定光を受光する光電受光素子と、この光電受光素子を一定時間サンプリングで駆動制御する光電受光素子駆動回路とを備える。
【0010】さらに、本発明の画像入力装置は、読み取る画像の反射光を所望方向に反射させる反射面と、この反射面を回転駆動させる反射面回転手段と、所定の大きさに切断され反射面回転手段に固定された光ディスク基板とこの光ディスク基板に対向するように装置本体に固定され前記光ディスク基板のトラック溝を検出することができる光ピックアップとを備える前記反射面の回転角度を測定するための反射面回転角度測定手段と前記光ピックアップで測定される前記光ディスク基板のトラック溝に対応したトラッキングエラー信号を基に前記反射面回転手段を速度制御して一定速度回転させる反射面回転制御回路と、前記反射面からの反射光を集光するための集光レンズと、この集光レンズで集光された測定光を受光する光電受光素子と、前記光ピックアップで測定されたトラッキングエラー信号と前記光電受光素子の駆動タイミングとを正確に同期させて前記光電受光素子を駆動制御する光電受光素子駆動回路を備える。
【0011】
【実施例】次に、本発明について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施例を示す構成図であり、図1(a)はこの実施例の側面図を、図1(b)はこの実施例の上面図を示す。図1を参照すると、この実施例の画像入力装置は、読み取る画像の反射光を所望方向に反射させる反射面2と、この反射面2を回転駆動させるVoice Coil Motor(以下、VCM)7と、所定の大きさに切断され回転アーム9に固定されている光ディスク基板小片6とこの光ディスク基板小片6に対向するように本体1に固定され光ディスク基板小片6のトラック溝を検出することができるCD−ROM光ピックアップ5とを備え反射面2の回転角度を測定するための反射面回転角度測定手段と、反射面2からの反射光を集光するための集光レンズ3と、この集光レンズ3で集光された測定光を受光するリニアイメージセンサ4と、CD−ROM光ピックアップ5で測定された光ディスク基板小片6のトラック溝に対応したトラッキングエラー信号(以下、TE信号)とリニアイメージセンサ4の駆動タイミングとを正確に同期させてリニアイメージセンサ4を駆動制御するCCD駆動回路101とから構成される。
【0012】図2は、この実施例の画像入力装置がA4用紙等に印刷された文書である原稿200を読み取る様子を示している。図3は、CD−ROM光ピックアップ5やVCM7などの反射面回転駆動手段を示す概略図である。図2および図3を図1に併せて参照すると、本体1内に反射面2、集光レンズ3およびリニアイメージセンサ4が図のように配置されている。反射面2は回転軸8に固定されており、回転軸8は玉軸受等により本体1に固定されている。回転軸の一端には、VCMコイル71およびVCM磁石72から構成されるVCM7と回転アーム9とが固定されている。回転アーム9の先端には、光ディスク基板小片6が固定されている。CD−ROM光ピックアップ5は、対物レンズ51が光ディスク基板小片6に対向するように、本体1に固定されている。集光レンズ3とリニアイメージセンサ4は、遮光治具11によって連結固定されており、外光が入らないようになっている。反射面2の下方の本体1下面には、アクリル等の透明材料または所定の波長の光のみを透過させるフィルタでできた読取窓10が設けてある。
【0013】VCM駆動回路103は、開ループ制御によりVCM7をほぼ一定速度で回転駆動する。これにより、反射面2が矢印Aで示す方向に回転駆動されると、読取ライン201が原稿200上を矢印Bの方向に移動走査する。光ピックアップ駆動回路102は、CD−ROM光ピックアップ5の対物レンズ51を光ディスク基板小片6に対してフォーカスサーボ制御し、かつ光ディスク基板小片6のトラック溝をTE信号として出力する。光ディスク基板小片6は、トラック溝方向が矢印Cで示す方向と垂直になるように回転アーム9の先端に固定されている。回転軸がVCM7により矢印A’で示す方向に回転駆動されると、光ディスク基板小片6は対物レンズ51の前方を矢印Cの方向に移動する。これにより、光ピックアップ駆動回路102は、光ディスク基板小片6が対物レンズ51の前方を通過した移動量に相当する数のTE信号パルスをCCD駆動回路101に出力する。CCD駆動回路101は、このTE信号パルスに同期してリニアイメージセンサ4を読取駆動する。
【0014】図4は、回転軸8の回転角度と光ディスク基板小片6の対物レンズ51に対する移動量および原稿200上での読取ライン201の走査移動量との関係を示す図である。回転軸8がΔθ[rad]だけ回転するとき、回転中心からl[mm]のところに固定された光ディスク基板小片6の対物レンズ51に対する移動距離をΔx[mm]、回転中心から下方h[mm]にある原稿200上を読取ライン201が移動する量をΔX[mm]とすると、l・ Δθ=Δx ・・・(1)
h・2Δθ=ΔX ・・・(2)
なる関係がある。故に、式(1)および式(2)から、ΔX=(2h/l)・Δx ・・・(3)
となる。
【0015】例えば、h=400[mm]としてA4文書を縦方向に走査して読み取る場合、反射面2の走査角度θは約0.36[rad]である。縦(走査)方向の読取画素数を3000画素、光ディスク基板小片6のトラックピッチ幅を1.6[μm]とすると、式(1)から、l・0.36=3000×1.6[μm]
∴l=13.3[mm]
とすれば良い。さらに、リニアイメージセンサ4に2000画素のものを採用すれば、A4文書を3000×2000画素のイメージデータとして読み取ることができる。
【0016】図5は、本発明の第2の実施例を示す構成図であり、図5(a)はこの実施例の側面図を、図5(b)はこの実施例の上面図を示す。図5を参照すると、この実施例の画像入力装置は、読み取る画像の反射光を所望方向に反射させる反射面2と、この反射面2を回転駆動させるVCM7と、所定の大きさに切断され回転アーム9に固定された光ディスク基板小片6と、この光ディスク基板小片6に対向するように本体1に固定され光ディスク基板小片6のトラック溝を検出することができるCD−ROM光ピックアップ5と、このCD−ROM光ピックアップ5で測定される光ディスク基板小片6のトラック溝に対応したTE信号を基にVCM7を速度制御して一定速度回転させるVCM駆動回路103と、反射面2からの反射光を集光するための集光レンズ3と、この集光レンズ3で集光された測定光を受光するリニアイメージセンサ4と、このリニアイメージセンサ4を一定時間サンプリングで駆動制御するCCD駆動回路101とから構成される。
【0017】光ピックアップ駆動回路102は、光ディスク基板小片6が対物レンズ51の前方を通過した移動量に相当する数のTE信号パルスをVCM駆動回路103に出力する。VCM駆動回路103は、単位時間内に入力されたTE信号パルス数またはTE信号パルス間時間を計測し、これを基にVCM7を速度フィードバック制御する。これにより、VCM7は高精度に一定速度回転駆動される。CCD駆動回路101は、リニアイメージセンサ4をサンプリング時間Δt[s]で駆動する。例えば、図4におけるh=400[mm]としてA4文書を縦方向に走査して1秒で読み取る場合、VCM駆動回路103はVCM7を角速度約0.36[rad/s]で速度制御すれば良い。また、縦方向の読取画素数を3000とすると、CCD駆動回路101は、リニアイメージセンサ4をΔt=1/3000=33[μs]で一定時間サンプリング駆動すれば良い。
【0018】図6は本発明の第3の実施例を示す構成図であり、図6(a)はこの実施例の側面図を、図6(b)はこの実施例の上面図を示す。図6を参照すると、この実施例の画像入力装置は、読み取る画像の反射光を所望方向に反射させる反射面2と、この反射面2を回転駆動させるVCM7と、所定の大きさに切断され回転アーム9に固定された光ディスク基板小片6と、この光ディスク基板小片6に対向するように本体1に固定され光ディスク基板小片6のトラック溝を検出することができるCD−ROM光ピックアップ5と、このCD−ROM光ピックアップ5で測定される光ディスク基板小片6のトラック溝に対応したTE信号を基にVCM7を速度制御して一定速度回転させるVCM駆動回路103と、反射面2からの反射光を集光するための集光レンズ3と、この集光レンズ3で集光された測定光を受光するリニアイメージセンサ4と、CD−ROM光ピックアップ5で測定されたTE信号とリニアイメージセンサ4の駆動タイミングとを正確に同期させてリニアイメージセンサ4を駆動制御するCCD駆動回路101とから構成される。
【0019】光ピックアップ駆動回路102は、光ディスク基板小片6が対物レンズ51の前方を通過した移動量に相当する数のTE信号パルスを、CCD駆動回路101およびVCM駆動回路103に出力する。VCM駆動回路103は、単位時間内に入力されたTE信号パルス数またはTE信号パルス間時間を計測し、これを基にVCM7を速度フィードバック制御する。これにより、VCM7は高精度に一定速度回転駆動される。CCD駆動回路101は、TE信号パルスに同期してリニアイメージセンサ4を読取駆動する。
【0020】なお、上記3つの実施例では、反射面2の回転角度を測定するための反射面回転角度測定手段として、CD−ROM光ピックアップ5および光ディスク基板小片6を用いたが、光ディスク基板小片6の代わりに反射係数の違いをCD−ROM光ピックアップ5により検出できる微小ピッチの溝が形成されている小片でも良い。また、このような溝を検出することができる光センサをCD−ROM光ピックアップ5の代わりに用いても良い。さらに、反射面2を回転駆動するための反射面回転手段としてVCM7を用いたが、例えばDCモータやステッピングモータでも良い。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、読み取る画像の反射光を所望方向に反射させる反射面を回転駆動させ、この反射面の回転角度を測定し、この反射面からの反射光を集光し、この集光された測定光を受光する光電受光素子を駆動制御することにより、読み取る原稿から数10cm離れたところから使用者が触れることなく2次元画像を読み取ることができる。また、反射面を高精度回転駆動することにより、反射面または光電受光素子を並行移動させる必要がなく、装置を小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す構成図であり、図1R>1(a)はこの実施例の側面図を、図1(b)はこの実施例の上面図を示す。
【図2】この実施例の画像入力装置がA4用紙等に印刷された文書である原稿を読み取る状況を示す図である。
【図3】この実施例のCD−ROM光ピックアップやVCMなどの反射面回転駆動手段の概略を示す図である。
【図4】この実施例の回転軸の回転角度と光ディスク基板小片の対物レンズに対する移動量および原稿上での読取ラインの走査移動量との関係を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施例を示す構成図であり、図5R>5(a)はこの実施例の側面図を、図5(b)はこの実施例の上面図を示す。
【図6】本発明の第3の実施例を示す構成図であり、図6R>6(a)はこの実施例の側面図を、図6(b)はこの実施例の上面図を示す。
【符号の説明】
1 本体
2 反射面
3 集光レンズ
4 リニアイメージセンサ
5 CD−ROM光ピックアップ
51 対物レンズ
6 光ディスク基板小片
7 VCM
71 VCMコイル
72 VCM磁石
8 回転軸
9 回転アーム
10 読取窓
11 遮光治具
101 CCD駆動回路
102 光ピックアップ駆動回路
103 VCM駆動回路
200 原稿
201 読取ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 読み取る画像の反射光を所望方向に反射させる反射面と、この反射面を回転駆動させる反射面回転手段と、所定の大きさに切断され前記反射面回転手段に固定されている光ディスク基板とこの光ディスク基板に対向するように装置本体に固定され前記光ディスク基板のトラック溝を検出することができる光ピックアップとを備える前記反射面の回転角度を測定するための反射面回転角度測定手段と、前記反射面からの前記反射光を集光するための集光レンズと、この集光レンズで集光された測定光を受光する光電受光素子と、前記光ピックアップで測定される前記光ディスク基板のトラック溝に対応したトラッキングエラー信号と前記光電受光素子の駆動タイミングとを正確に同期させて前記光電受光素子を駆動制御する駆動回路であることを特徴とする前記光電受光素子を駆動制御する光電受光素子駆動回路とを備えることを特徴とする画像入力装置。
【請求項2】 読み取る画像の反射光を所望方向に反射させる反射面と、この反射面を回転駆動させる反射面回転手段と、所定の大きさに切断され前記反射面回転手段に固定された光ディスク基板とこの光ディスク基板に対向するように装置本体に固定され前記光ディスク基板のトラック溝を検出することができる光ピックアップと備える前記反射面の回転角度を測定するための反射面回転角度測定手段と前記光ピックアップで測定される前記光ディスク基板のトラック溝に対応したトラッキングエラー信号を基に前記反射面回転手段を速度制御して一定速度回転させる反射面回転制御回路と、前記反射面からの反射光を集光するための集光レンズと、この集光レンズで集光された測定光を受光する光電受光素子と、この光電受光素子を一定時間サンプリングで駆動制御する光電受光素子駆動回路とを備えることを特徴とする画像入力装置。
【請求項3】 読み取る画像の反射光を所望方向に反射させる反射面と、この反射面を回転駆動させる反射面回転手段と、所定の大きさに切断され反射面回転手段に固定された光ディスク基板とこの光ディスク基板に対向するように装置本体に固定され前記光ディスク基板のトラック溝を検出することができる光ピックアップとを備える前記反射面の回転角度を測定するための反射面回転角度測定手段と前記光ピックアップで測定される前記光ディスク基板のトラック溝に対応したトラッキングエラー信号を基に前記反射面回転手段を速度制御して一定速度回転させる反射面回転制御回路と、前記反射面からの反射光を集光するための集光レンズと、この集光レンズで集光された測定光を受光する光電受光素子と、前記光ピックアップで測定されたトラッキングエラー信号と前記光電受光素子の駆動タイミングとを正確に同期させて前記光電受光素子を駆動制御する光電受光素子駆動回路を備えることを特徴とする画像入力装置。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【特許番号】第2937017号
【登録日】平成11年(1999)6月11日
【発行日】平成11年(1999)8月23日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−133079
【出願日】平成6年(1994)6月15日
【公開番号】特開平8−7073
【公開日】平成8年(1996)1月12日
【審査請求日】平成6年(1994)6月15日
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【参考文献】
【文献】実開 平1−82558(JP,U)