説明

画像再生装置及び画像再生方法およびそのプログラム

【課題】通常使用時の利便性と3D視聴の安全性向上とを両立させる技術を提供する。
【解決手段】顔認識による年齢に関する推定を行う顔認識処理部と、この顔認識処理部による年齢に関する推定の結果に基づいて動画再生を制御する動画再生制御部とを備えた画像再生装置。また、顔認識による年齢に関する推定を行い、この年齢に関する推定の結果に基づいて動画再生を制御する画像再生方法。また、顔認識による年齢に関する推定を行い、この年齢に関する推定の結果に基づいて動画再生を制御する手順を画像再生装置に実行させるプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、顔認識により3D視聴を制限する画像再生装置及び画像再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3D(画像の)視聴を制限する工夫が行われている。例えば、付帯情報に応じて警告や視聴制限をかける為に予めそのような情報を付与した画像データを用意する3D映像のデータフォーマットに関わるという技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また特定の人物の顔画像をあらかじめ登録または自動保存することを利用したりする技術もある。これらは、保存されている顔画像にもとづき、特定の個人に対して視聴制限等を行うものである。しかし顔画像の事前登録は不要としても、自動登録された顔画像と視聴している番組との関連が不適切であれば、視聴制限としては意味を成さない問題がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
即ち通常使用時の利便性と3D視聴の安全性向上とを両立させる技術が求められているが、かかる要望を実現するための手段は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−258872号公報
【特許文献2】特開2008−182392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施の形態は、通常使用時の利便性と3D視聴の安全性向上とを両立することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、実施形態によれば画像再生装置は、顔認識による年齢に関する推定を行う顔認識処理部と、この顔認識処理部による年齢に関する推定の結果に基づいて動画再生を制御する動画再生制御部とを備えた。
【発明の効果】
【0008】
発明の効果は特には記載しない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態におけるパーソナルコンピュータのシステム構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態の顔認識3D視聴制限の機能構成概略図。
【図3】同実施形態の警告画面例1。
【図4】同実施形態の警告画面例2。
【図5】通常実施形態に用いられるプレイヤーアプリの概略を示す図。
【図6】実施形態の要部の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
右眼と左眼の視差を利用した3D表示がPC(パーソナルコンピュータ)でも可能となり、DVDやBlu−rayなどの動画も3D再生が可能となった。しかし、3D表示は子供の目への悪影響が懸念されており、保護者に対して6歳以下の子供には3D視聴させないよう注意を呼びかけている。
【0011】
本実施形態では、このような子供に対する視聴制限を、単にマニュアルやヘルプの記載で保護者に注意を促すだけとせず、顔認識技術を用いて視聴者が子供であるかを判別し、子供と思われる場合は警告ダイアログボックスを表示したり再生を停止するなどして、より能動的に3D視聴制限を行う機能を実現する。この実施形態を図1乃至図6を参照して説明する。
【0012】
まず図1を参照して、パーソナルコンピュータ10のシステム構成について説明する。
本コンピュータ10は、CPU111、ノースブリッジ114、主メモリ115、グラフィクスプロセッシングユニット(GPU)116、サウスブリッジ117、BIOS−ROM120、ハードディスクドライブ(HDD)121、光ディスクドライブ(ODD)122、サウンドコントローラ123、TVチューナ124、ビデオプロセッサ125、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)140、及び電源回路141等を備えている。
【0013】
CPU111は本コンピュータ10の動作を制御するために設けられたプロセッサであり、記憶媒体であるHDD121から主メモリ115にロードされる、オペレーティングシステム(OS)112a、後述の各種アプリケーションプログラム、BIOS−ROM120に格納されたBIOS(Basic Input Output System)などを実行する。アプリケーションプログラムには、映像再生プログラム112b、位置調整プログラム112cが含まれている。
【0014】
映像再生プログラム112bは、例えばハードディスクドライブ(HDD)121やDVD(Digital Versatile Disc)などの記録メディアに記録された、3D映像コンテンツを再生出力することができるアプリケーションである。位置調整プログラム112cは、映像再生プログラム112bによって3D映像が再生出力される場合に、ユーザがディスプレイユニット12(LCD17)に対して正対する最適な位置で視聴できるように補助するための位置調整処理を実行する。
【0015】
ノースブリッジ114はCPU111のローカルバスとサウスブリッジ117との間を接続するブリッジデバイスである。ノースブリッジ114には、主メモリ115をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。また、ノースブリッジ114は、PCI Expressバスなどを介してグラフィクスプロセッシングユニット(GPU)116との通信を実行する機能も有している。
【0016】
グラフィクスプロセッシングユニット(GPU)116は、本コンピュータ10のディスプレイモニタとして使用されるLCD17を制御する表示コントローラである。GPU116は、OSまたはアプリケーションプログラムによってビデオメモリ(VRAM)116Aに書き込まれた表示データから、LCD17に表示すべき画面イメージを形成する映像信号を生成する。
【0017】
サウスブリッジ117は、HDD121及び光ディスクドライブ(ODD)122を制御するためのコントローラを内蔵している。
HDD121は、各種プログラム及びデータを格納する記憶装置である。HDD121には、例えばOS、各種アプリケーションプログラム、映像コンテンツデータなどが記憶されている。また、HDD121には、位置調整プログラム112cによる位置調整処理において、LCD17に表示されるユーザに対するメッセージのデータが記録されている。
【0018】
光ディスクドライブ(ODD)122は、映像コンテンツなどが格納されたDVDなどの記録メディアを駆動するためのドライブユニットである。
サウンドコントローラ123は、音源デバイスであり、各種オーディオデータに対応する音をスピーカ19,20から出力するための処理を実行する。TVチューナ124は、TV放送信号によって放送される放送番組データを受信する。
【0019】
さらに、サウスブリッジ117には、ビデオプロセッサ125が接続されている。ビデオプロセッサ125は、映像のストリーミング処理や認識処理を行う専用エンジンである。メモリ125Aは、ビデオプロセッサ125の作業メモリとして用いられる。
【0020】
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)140は、電源管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード(KB)13、タッチパッド15、及びAV操作パネル16を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。
【0021】
またEC/KBC140は、ユーザによるパワーボタンスイッチ14の操作に応じて本コンピュータ10をパワーオン/パワーオフする機能を有している。本コンピュータ10のパワーオン/パワーオフの制御は、EC/KBC140と電源回路141との共同動作によって実行される。電源回路141は、コンピュータ本体11に装着されたバッテリ142からの電力、またはコンピュータ本体11に外部電源として接続されるACアダプタ143からの電力を用いて、各コンポーネントへの動作電源を生成する。
【0022】
次に、本実施形態におけるパーソナルコンピュータ10の動作について説明する。
本実施形態におけるパーソナルコンピュータ10では、例えば時分割表示方式を利用した3D映像コンテンツを再生表示することができる。3D映像コンテンツは、LCD17において表示される映像を立体像として認識させるために、右目用の映像と左目用の映像とを交互に表示する。ユーザは、3D映像視認用のメガネを装着することで、LCD17に表示された映像を3D映像として認識することができる。本実施形態において用いられる3D映像視認用のメガネ(以下、単にメガネと称する)は、例えば液晶シャッターメガネとする。このメガネは、3D映像コンテンツの右目用と左目用の映像の切り替えと同期して、右目側と左目側とが交互に透過状態と非透過状態に切り替えられる。これにより、ユーザは、右目により右目用の映像を視認し、左目により左目用の映像を視認して、映像を立体として認識することができる。
【0023】
なお、本実施形態における映像表示装置(パーソナルコンピュータ10)は、液晶シャッターメガネを利用する時分割表示方式により3D映像を表示するものに限定されない。すなわち、メガネを装着して3D映像を見る際に、最適位置からずれている場合に3D映像の品質が低下する方式を利用する映像表示装置であれば良い。
【0024】
さて従来、視聴制限の機能としてはパレンタルコントロールといったものがあり、DVDやBlu−rayなどのディスクにあらかじめ設定されたレベルに対して視聴制限を行い、その解除にはパスワードを入力する必要がある。しかし、これを3Dタイトルに応用するのでは、3D視聴の影響が無い年齢のユーザが視聴する場合に、毎回パスワードを入力する必要があり、非常にわずらわしいものとなる。
【0025】
また、3D表示を行う際に必ずメッセージ表示を行うことも可能だが、毎回、同じメッセージが表示されるのもわずらわしく、ユーザはメッセージ表示を無効にする可能性が高く、必要なときにもメッセージが表示されないことになる危険がある。
【0026】
このため、3D視聴においては、通常は3Dでの再生ができ、特定の条件においてのみ制限を実施する仕組みが望まれる。
本実施形態では、視聴制限機能として顔認識技術を用いた視聴者の年齢推定を行い、子供と思われる場合には警告、メッセージを表示したり、再生を禁止することにより、必要なときにのみ3D視聴制限を行う機能を実現する。
【0027】
図5は一般的なプレイヤーアプリの概要を示したものである。
プレイヤーアプリ50には、ユーザUの操作を受け付けるユーザ操作処理部55とユーザ操作処理部55からの再生指示に従い、映画などの動画を表示する動画再生処理部57を持つ。3D再生に対応したプレイヤーアプリ50では、3D Display60に3D映像を表示することによりユーザUは3Dで動画を視聴することができる。
【0028】
図2は図5との対比において本実施形態の概略を示したものであり、ここでは主にCPU111で実行される。プレイヤーアプリ50の変形であるプレイヤーアプリ50Aには、動画再生処理部57の変形である動画再生処理部57Aと3D視聴制限処理部58、顔認識処理部59とが含まれている。また例えば3D Display60に装着されたWebカメラ70(カメラ21に相当)からの撮影データをこの顔認識処理部59は受信して認識処理を実行するように構成されている(顔認識自体に関しては特開2001-256496号、2005-165447号などを参照)。
【0029】
即ち本実施形態ではプレイヤーアプリに3D視聴制限処理部58と顔認識処理部59を実装し、3D映像を再生する時にはこれらの処理によりユーザの年齢推定を行い、必要に応じて警告表示などを行う。
【0030】
上記のようにPC(TVなどでもよい)にはWebカメラ70が搭載されており、これによりプレイヤーアプリ50Aを視聴しているユーザを撮影することができる。3D再生を行う際には顔認識処理部59にてWebカメラ70にて撮影した映像に対して顔認識処理を行い、ユーザの年齢推定処理を行う。
【0031】
本実施形態における動作制御は図6の通りとなる。
ユーザがプレイヤーを操作し3D映像の再生を開始させようとすると、動画再生処理部57Aはユーザ操作処理部55からの再生指示(ステップS61)に対して、まず、3D視聴制限処理部58に制限確認の問い合わせを行う(ステップS62)。これにより、3D視聴制限処理部58は顔認識処理部59を用いて3D視聴を許可してよいか判定処理を行う(ステップS63)。
【0032】
顔認識処理部59はWebカメラで撮影した映像を用いて年齢推定処理を行い、その結果、ユーザが子供と推定された場合は(ステップS64のYES)、動画再生処理部は3D映像を表示せずに、警告画面を表示する(ステップS65)。この場合映像は無表示か少なくとも3Dではない例えば2Dなどの映像である(ステップS66)。他方でユーザが子供と推定された場合は(ステップS64のNO、3D映像を表示する(ステップS66)。
【0033】
図3、図4は上記警告画面の例である。
図3に示すように警告画面は注意を促すだけのものとし、OKボタンを押せば3D映像の再生を実行するものであっても良いし、図4に示すようにパスワードの入力を求め、パスワードによるロックが解除されなければ3D再生を停止したり、2D再生に切り替えたりするものとしても良い。
【0034】
即ち図3の場合においては警告画面例として、「3D 映像の視聴年齢は6 歳以上を目安にしてください。お子様が3D 映像を見ると、視機能の発達に障害を与える原因となることがあります。
【0035】
保護者の方の管理のもとに、お子様の様子に注意を払い、視聴の可否判断や時間制限などをしてください。」と表示し、続く問いとして「3D 映像を再生しますか?」と表示してはい又はいいえの入力を求めている。
【0036】
他方で図4の場合においては警告画面例は図3の場合と同じであるが、続く問いとして「3D 映像を再生するにはパスワードを入カしてください。」と表示して2Dで再生又はOK又はキャンセルの入力を求めている。
【0037】
本実施形態では、これらの警告画面は通常は表示されることはなく、図2に示す処理によって3D視聴制限が実施される場合のみの表示とすることができる。
これにより、通常の3D再生では、毎回メッセージが表示されたり、パスワード入力が求められるといったわずらわしさを無くすことができ、また、子供が視聴しようとしている場合だけ警告表示やパスワードロックを実施することができる。
【0038】
なお、顔認識処理部での年齢推定処理においては、3Dメガネが不要である裸眼3Dディスプレイを用いれば、3Dメガネに邪魔されることなく顔認識処理を適用することが可能である。
【0039】
また、3Dメガネを必要とするシステムにおいては、3Dメガネの大きさと顔の大きさとの比較を利用して年齢推定を行うことも可能である。
以上、本実施形態では個人を特定することは目的としておらず、あらかじめ顔画像を登録することや、自動であっても顔画像を保存しておくといった必要はない。このため、3D視聴のための特別の操作や条件の登録などは不要であり、通常の使用においてユーザの利便性を損なわない。
【0040】
一方で、視聴者が3D視聴の悪影響が懸念されるような子供であると推定される場合のみ、警告表示やパスワードロックなどによる視聴制限を行うことができる。
これにより、通常使用時の利便性と3D視聴の安全性向上とを両立させることができる。
即ち3D映像を視聴しようとしているユーザが子供かどうか自動認識することで、必要なときにのみ警告メッセージやパスワードロックを実施する。これにより、通常は警告表示などによる不便を無くすとともに、子供が視聴する場合のみ制限をかけて3D視聴の安全性を向上させることができる。
【0041】
(実施形態の特徴)
3D再生において子供への視聴制限を容易に行うための3D視聴制限機能を持つ。
プレイヤーアプリにおいて、顔認識による年齢推定を行う顔認識処理部と、その判定結果によって動画再生を制御する3D視聴制限処理部とを実装し、ユーザが子供と認識された場合は自動的に警告の表示や再生制限を行うことを可能とする。それ以外の場合は警告表示や再生制限は行わないため、通常の視聴での利便性を損なわない。(3D)視聴制限処理部と動画再生処理部とでいわば動画再生制御部を構成するものである。
【0042】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この外その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係わる構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【符号の説明】
【0043】
10…パーソナルコンピュータ、21…カメラ、112b…映像再生アプリケーションプログラム、112c…位置調整プログラム、125…ビデオプロセッサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔認識による年齢に関する推定を行う顔認識処理部と、
この顔認識処理部による年齢に関する推定の結果に基づいて動画再生を制御する動画再生制御部とを
備えた画像再生装置。
【請求項2】
前記動画再生制御部内に更に動画再生処理部を備え、この動画再生処理部は動画に加え前記推定の結果に基づく警告画面を成す表示信号を出力する請求項1に記載の画像再生装置。
【請求項3】
前記顔認識のためにユーザを撮影した結果である撮影データを前記顔認識処理部へ送出するカメラを更に備えた請求項1に記載の画像再生装置。
【請求項4】
前記表示信号を入力し前記警告画面を映すディスプレイを更に備えた請求項2に記載の画像再生装置。
【請求項5】
前記動画再生制御部内に更に視聴制限処理部を備え、この視聴制限処理部は前記動画再生処理部による3D画像の表示を制御する請求項1に記載の画像再生装置。
【請求項6】
顔認識による年齢に関する推定を行い、
この年齢に関する推定の結果に基づいて動画再生を制御する画像再生方法。
【請求項7】
顔認識による年齢に関する推定を行い、この年齢に関する推定の結果に基づいて動画再生を制御する手順を画像再生装置に実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−93793(P2013−93793A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235889(P2011−235889)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】