画像処理システム、画像処理装置およびプログラム
【課題】複数の処理が実行される場合において、より適切にセキュリティを確保することが可能な画像処理装置およびそれに関連する技術を提供する。
【解決手段】画像処理装置は、複数の処理(たとえば、スキャン処理、OCR処理、日英翻訳処理およびサーバ保存処理)で構成される作業を実行することが可能である。この画像処理装置は、各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する。また、画像処理装置は、当該複数の処理のうち、最も低いセキュリティレベル(たとえばLV2)を有する処理である「最低レベル処理」(たとえば日英翻訳処理)を特定し、当該最低レベル処理に関する情報(たとえばセキュリティレベル「2」)をユーザに通知する。
【解決手段】画像処理装置は、複数の処理(たとえば、スキャン処理、OCR処理、日英翻訳処理およびサーバ保存処理)で構成される作業を実行することが可能である。この画像処理装置は、各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する。また、画像処理装置は、当該複数の処理のうち、最も低いセキュリティレベル(たとえばLV2)を有する処理である「最低レベル処理」(たとえば日英翻訳処理)を特定し、当該最低レベル処理に関する情報(たとえばセキュリティレベル「2」)をユーザに通知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MFP(マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi Function Peripheral))などの画像処理装置およびそれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
処理が実行される際にデータのセキュリティを確保するセキュリティ技術が存在する(特許文献1等参照)。たとえば、特許文献1に記載の技術においては、或る処理が実行されようとする場合において、当該処理を実行しようとする者の権限レベルと当該処理の機密度レベルとが比較され、「権限レベル」が「機密度レベル」よりも低い(小さい)ときには、当該処理の実行が許可されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−194591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、ネットワーク技術の進歩等に伴って、ウェブアクセス機能を有する画像処理装置が提案されている。また、ウェブ上では様々なサービス(翻訳サービス等)が提供されている。
【0005】
そして、このようなサービスが上記のような画像処理装置においても利用されることが想定される。さらには、上記のような画像処理装置において、外部との通信等を伴う様々なサービスの利用を伴って複数の処理(ジョブ)が組み合わせられて実行される状況も想定される。
【0006】
たとえば、原稿のスキャンデータを生成するスキャン処理と、当該原稿のスキャンデータに基づき文字認識処理を伴って所定の形式(たとえばPDF形式)に変換するデータ形式変換サービス(PDF化サービス等)を伴うデータ形式変換処理(PDF化ジョブ)とが順次に実行されることが想定される。また、所定形式データ(たとえばPDFデータ)内の文章データを翻訳する翻訳サービス(英訳サービス等)を伴う翻訳処理がさらに実行されることも想定される。
【0007】
しかしながら、このような状況において上記のような先行技術が単純に適用される場合には、各処理(ジョブ)の実行直前に各処理のセキュリティがそれぞれ判断されるため、ユーザは、各処理の実行の可否を各処理の実行直前になってようやく知得する。この場合、特に、複数の処理のうち2番目以降に実行される処理がセキュリティ上の問題に起因して実行できないことが判るのは当該2番目以降の各処理の実行直前であるため、それまでに既に実行された処理に要した時間等が無駄になってしまうという問題がある。
【0008】
より詳細には、たとえば、装置(MFP等)において、各処理(一連の処理)を自動的に連続して行う旨の設定がなされている場合には、一連の処理の途中(各処理の実行直前)で実行の可否を知得することになる。そのため、上述のような問題が生じる。なお、ユーザが当該装置の前から離れていると、ユーザは処理の中断に気付かない。そのため、当該一連の処理の開始時点から終了時点までの期間において、ユーザが当該装置(MFP等)の前に居て動作の進捗を確認することも求められる。
【0009】
そこで、この発明の課題は、複数の処理が実行される場合において、より適切にセキュリティを確保することが可能な画像処理装置およびそれに関連する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、複数の処理で構成される作業を実行することが可能な画像処理装置であって、各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて前記複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する取得手段と、前記複数の処理のうち、最も低いセキュリティレベルを有する処理である最低レベル処理を特定する特定手段と、前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知する通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る画像処理装置において、前記最低レベル処理に代えて実行される代替処理を前記セキュリティレベル情報に基づいて選定する選定手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2の発明に係る画像処理装置において、前記選定手段は、前記最低レベル処理と同じ種類の処理であり且つ前記最低レベル処理のセキュリティレベルよりも高いセキュリティレベルを有する処理を、前記代替処理として選定することを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項2の発明に係る画像処理装置において、前記選定手段は、前記最低レベル処理と同等の機能を実現する2つ以上の処理であって、前記最低レベル処理のセキュリティレベルよりも高いセキュリティレベルを有する前記2つ以上の処理を、前記代替処理として選定することを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項2の発明に係る画像処理装置において、前記選定手段は、前記作業の対象文書における複数の部分のうち、第1の所要セキュリティレベルを有する第1の部分に関しては前記代替処理を選定するとともに、前記第1の所要セキュリティレベルとは異なる第2の所要セキュリティレベルを有する第2の部分に関しては前記代替処理とは異なる処理を実行することを決定することを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、請求項2の発明に係る画像処理装置において、前記選定手段は、前記各処理に関する処理速度情報、価格情報および品質情報のうちの少なくとも1つにも基づいて、前記最低レベル処理の代替処理を選定することを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、請求項2の発明に係る画像処理装置において、前記選定手段は、前記複数の処理のうち、前記最低レベル処理以外の処理である変更対象処理に代えて実行する変更後の処理を、前記各処理に関する処理速度情報、価格情報および品質情報のうちの少なくとも1つにも基づいて選定することを特徴とする。
【0017】
請求項8の発明は、請求項1の発明に係る画像処理装置において、前記最低レベル処理に対する代替処理の指定入力を受け付ける受付手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
請求項9の発明は、請求項1の発明に係る画像処理装置において、前記通知手段は、前記各処理に関する処理速度情報、価格情報および品質情報のうちの少なくとも1つをも前記ユーザに通知することを特徴とする。
【0019】
請求項10の発明は、請求項1の発明に係る画像処理装置において、前記通知手段は、前記最低レベル処理のセキュリティレベルを通知することを特徴とする。
【0020】
請求項11の発明は、請求項1の発明に係る画像処理装置において、前記通知手段は、前記最低レベル処理のセキュリティレベルが前記作業の対象文書に関する基準レベルより低いことを条件として、前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知することを特徴とする。
【0021】
請求項12の発明は、複数の処理で構成される作業を実行することが可能な画像処理システムであって、各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて前記複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する取得手段と、前記複数の処理のうち、最も低いセキュリティレベルを有する処理である最低レベル処理を特定する特定手段と、前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知する通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0022】
請求項13の発明は、コンピュータに、a)各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて、所定の作業を構成する複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得するステップと、b)前記複数の処理のうち、最も低いセキュリティレベルを有する処理である最低レベル処理を特定するステップと、c)前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知するステップと、を実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
【0023】
請求項14の発明は、複数の処理で構成される作業を実行することが可能な画像処理装置であって、各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて前記複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する取得手段と、前記複数の処理のうち、前記作業の対象文書に関する基準レベルよりも低いセキュリティレベルを有する処理である低セキュリティレベル処理を特定する特定手段と、前記低セキュリティレベル処理に関する情報をユーザに通知する通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0024】
請求項15の発明は、複数の処理で構成される作業を実行することが可能な画像処理システムであって、各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて前記複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する取得手段と、前記複数の処理のうち、前記作業の対象文書に関する基準レベルよりも低いセキュリティレベルを有する処理である低セキュリティレベル処理を特定する特定手段と、前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知する通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0025】
請求項16の発明は、コンピュータに、a)各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて、所定の作業を構成する複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得するステップと、b)前記複数の処理のうち、前記作業の対象文書に関する基準レベルよりも低いセキュリティレベルを有する処理である低セキュリティレベル処理を特定するステップと、c)前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知するステップと、を実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
請求項1ないし請求項16に記載の発明によれば、作業に関する最低レベル処理が特定され、当該最低レベル処理に関する情報がユーザに通知される。そのため、ユーザは、この作業の最低レベル処理が所定の基準を充足するか否かを容易に確認することが可能である。したがって、複数の処理が実行される場合において、より適切にセキュリティを確保することが可能である。
【0027】
特に、請求項2に記載の発明によれば、代替処理が選定手段によって自動的に選定されるので、代替処理が容易に決定され得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】画像処理システムの構成を示す概略図である。
【図2】MFPの機能ブロック図である。
【図3】作業における複数の処理を示す図である。
【図4】作業登録用の画面を示す図である。
【図5】作業登録用の画面を示す図である。
【図6】作業登録用の画面を示す図である。
【図7】作業登録用の画面を示す図である。
【図8】作業登録用の画面を示す図である。
【図9】サービスリストデータを示す図である。
【図10】登録された作業データを示す図である。
【図11】確認動作等を示すフローチャートである。
【図12】通知画面を示す図である。
【図13】最低レベル処理の変更前の操作画面を示す図である。
【図14】最低レベル処理の変更後の操作画面を示す図である。
【図15】最低レベル処理が変更される様子を示す概念図である。
【図16】第2実施形態に係るMFPの機能ブロック図である。
【図17】第2実施形態に係る通知画面を示す図である。
【図18】第3実施形態における処理変更を示す概念図である。
【図19】第3実施形態の改変例に係る処理変更を示す概念図である。
【図20】第4実施形態における処理変更を示す概念図である。
【図21】第5実施形態における処理変更を示す概念図である。
【図22】第6実施形態に係る通知画面を示す図である。
【図23】改変例に係る通知画面を示す図である。
【図24】別の改変例に係る処理変更を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
<1.第1実施形態>
<1−1.構成概要>
図1は、画像処理システム100の構成を示す概略図である。この画像処理システム100は、複数のマルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi Function Peripheral)(MFPとも略称する)1と複数のサーバコンピュータ(単にサーバとも称する)90,70とを備える。たとえば、サーバ90は社外サーバであり、サーバ70は社内サーバである。なお、図1においては、図示の都合上、1つのMFP1と1つのサーバ70と複数のサーバ90とが示されている。
【0031】
MFP1と各サーバ90,70とは、ネットワークNWを介して互いに接続されており、MFP1と各サーバ90,70との相互間では、ネットワークNWを介してデータの送受信を行うことが可能である。なお、ネットワークNWは、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)およびインターネットなどの各種のネットワークを含む。たとえば、MFP1とサーバ70とは、同一LAN内で互いに通信可能に接続され、MFP1と各サーバ90は、インターネットを介して互いに通信可能に接続される。
【0032】
MFP1は、スキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能およびファクシミリ通信機能などを備える装置(複合機とも称する)である。MFP1は、画像処理装置あるいは画像形成装置などとも称される。なお、画像処理システム100は、画像形成システムなどとも称される。
【0033】
図2の機能ブロック図に示すように、MFP1は、画像読取部2、印刷出力部3、通信部4、格納部5、入出力部6およびコントローラ9等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。
【0034】
画像読取部2は、MFP1の所定の位置に載置された原稿を光学的に読み取って、当該原稿の画像データ(原稿画像とも称する)を生成(形成)する処理部である。
【0035】
印刷出力部3は、対象画像に関する画像データに基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力(形成)する出力部である。
【0036】
通信部4は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。さらに、通信部4は、通信ネットワークNWを介したネットワーク通信が可能である。このネットワーク通信では、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)およびFTP(File Transfer Protocol)等の各種のプロトコルが利用され、当該ネットワーク通信を利用することによって、MFP1は、所望の相手先との間で各種のデータを授受することが可能である。
【0037】
格納部5は、ハードディスクドライブ(HDD)および不揮発性メモリ等の格納装置で構成される。この格納部5には、画像読取部2等で生成された原稿画像(画像データ)等が格納される。
【0038】
入出力部6は、MFP1に対する入力を受け付ける操作入力部6aと、各種情報の表示出力を行う表示部6bとを備えている。具体的には、MFP1には、ハードキーおよびタッチスクリーン6c等が設けられている。
【0039】
ハードキーは操作入力部6aの一部として機能する。また、タッチスクリーン6cは、液晶表示パネルに圧電センサ等が埋め込まれて構成されており、表示部6bの一部として機能するとともに、操作入力部6aの一部としても機能する。詳細には、タッチスクリーン6cは、液晶表示パネルに各種の情報を表示することが可能であるとともに、液晶表示パネルに対する操作者の手指の操作位置を検知して、各種の入力を受け付けることも可能である。たとえばタッチスクリーン6cに表示された仮想的なボタンが操作者の手指によって触れられると、このような操作は当該ボタンに対する押下操作であるとみなされる。
【0040】
このように、入出力部6は、操作者(ユーザ等)に対して適宜の情報を表示することが可能であるとともに、操作者による入力操作(例えば、メニュー画面を利用した各種の設定操作等)を受け付けることが可能である。
【0041】
コントローラ9は、MFP1を統括的に制御する制御装置であり、CPUと、各種の半導体メモリ(RAMおよびROM等)とを備えて構成される。コントローラ9は、MFP1に内蔵されたコンピュータであるとも表現される。コントローラ9の制御下において各種の処理部が動作することによって、MFP1の各種の機能が実現される。コントローラ9は、CPUにおいて、ROM(例えば、EEPROM等)内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)PGを実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、プログラムPGは、ネットワークNWを経由してダウンロードされてMFP1にインストールされるようにしてもよい。また、プログラムPGは、各種の可搬性記録媒体(USBメモリ等)に記録され、当該記録媒体から読み出されてMFP1にインストールされるようにしてもよい。
【0042】
具体的には、コントローラ9は、ユーザ認証部11、作業指示受付部12、セキュリティレベル取得部13、特定部14、通知部15を含む各種の処理部を実現する。
【0043】
ユーザ認証部11は、ユーザ認証処理を行う処理部である。
【0044】
作業指示受付部12は、複数の処理(一連の処理)で構成される作業に関する実行指示(ユーザ指示)を受け付ける処理部である。作業指示受付部12は、入出力部6と協働して、ユーザからの当該実行指示を受け付ける。
【0045】
セキュリティレベル取得部13は、複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する処理部である。セキュリティレベル取得部13は、当該複数の処理を含む各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報(サービスリストデータDS(後述)等)に基づいて、当該複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する。
【0046】
特定部14は、作業に含まれる複数の処理のうち、最も低いセキュリティレベルを有する処理である「最低レベル処理」を特定する処理部である。
【0047】
通知部15は、最低レベル処理に関する情報をユーザに通知する処理部である。
【0048】
これらの各処理部の動作等については後に詳述する。
【0049】
<1−2.動作>
このMFP1は、様々な処理(ジョブとも称する)を実行することが可能である。これらの処理としては、MFP1単体で実行される処理(コピー処理、およびスキャン処理等)が存在する。また、これらの処理としては、MFP1の外部の装置(外部サーバ90等)によって通信ネットワーク等を介して提供されるサービス(外部サービスとも称される)を利用して実行される処理(ウエブサービス処理等)も存在する。外部サービスとしては、たとえば、原稿のスキャンデータを文字認識処理(OCR(Optical Character Recognition)処理等)を伴って所定の形式(たとえばPDF)に変換するデータ形式変換サービス(PDF化サービスないしOCRサービスとも称する等)が存在する。あるいは、外部サービスとして、所定形式データ(たとえばPDFデータ)内の文章データを翻訳する翻訳サービス(英訳サービス等)、およびデータ(ファイル)をサーバへ保存するサーバ保存サービス等も存在する。
【0050】
ここでは、これらの複数の処理(ジョブ)が組み合わせられて、或る作業が実行される場合を例示する。換言すれば、複数の処理で構成される作業を伴って画像処理(画像形成処理)が実行される場合を例示する。具体的には、図3に示すように、スキャン処理とOCR処理(文字認識処理)と翻訳処理とサーバ保存処理との4つの処理がこの順序で実行される場合を想定する。このうち、たとえば、OCR処理、翻訳処理およびサーバ保存処理は、インターネットを介して提供される外部サービスを利用して実行される処理である。このように、複数の外部サービスは、作業を構成する複数の処理のうち少なくとも一部(一部あるいは全部)の処理において利用可能である。
【0051】
ユーザ認証部11によるユーザ認証動作を経てユーザUAがMFP1にログインすると、基本画面(メニュー画面とも称する)GA0(不図示)がタッチスクリーン6cに表示される。そして、基本画面GA0内の作業登録ボタンが押下されると、今度は作業登録用の画面GA10(図4)がタッチスクリーン6cに表示される。
【0052】
作業登録画面GA10内の下段においては、利用可能な複数の処理(ジョブ)に関するリストLSが表示されている。このリストLSには、サービスリストデータDS(図9)の一部または全部の情報が表示される。
【0053】
たとえば、図4においては、2つの日英翻訳処理PT(詳細には、「日英翻訳処理PT1」、「日英翻訳処理PT2」)、1つのOCR処理PR(「OCR処理PR1」)、1つのスキャン処理PN(「スキャン処理PN1」)、および1つのサーバ保存処理PV(「サーバ保存処理PV1」)等が、選択対象処理(選択可能処理)として示されている。なお、日英翻訳処理PTは、日本語から英語への翻訳処理である。また、リストLSにおいては、「処理名称」、「処理種類」、「アクセス先アドレス(URL等)」、「セキュリティレベル」などの各項目の情報が処理ごとに記録されている。
【0054】
「処理名称」は、処理の名称を示す情報であり、「処理種類」は処理の種類を示す情報である。
【0055】
「アクセス先アドレス(URL等)」は、処理実行時におけるアクセス先アドレスの情報である。MFP1の外部で実行される処理に関しては、アクセス先のサーバのアドレス情報(ウェブサーバ90のURLアドレス等)が記録されており、MFP1の内部で実行される処理に関しては「装置内部」での実行処理である旨を示す情報が記録されている。
【0056】
また、「セキュリティレベル」は、当該処理のセキュリティレベルを示す情報である。たとえば、外部サービスを利用する処理に関しては、各外部サービス(ウェブサービス)を提供するサイト(各サーバ90)のセキュリティレベル(安全性評価値)等に基づく所定段階数(たとえば5段階)の値が「セキュリティレベル」として格納される。一方、内部処理に関しては、各内部処理のセキュリティレベル等を示す所定段階数(たとえば5段階)の値が「セキュリティレベル」として格納される。
【0057】
セキュリティレベル(レベル値)は、各処理の種類およびサイト評価機関による評価値等に基づいて、本システム100の管理者等によって適宜に設定されればよい。なお、一般に、装置内部で実行される処理(内部処理とも称する)に対しては比較的高いレベル値(レベルLV4,LV5等)が付与され、装置外部で実行される処理(外部処理とも称する)(特にLANの外部のネットワークを利用して実行される外部サービス等)に対しては比較的低いレベル値(レベルLV2,LV3等)が付与される。
【0058】
たとえば、図4においては、内部処理であるスキャン処理PN1には「レベルLV5」が付与され、外部処理であるOCR処理PR1には「レベルLV4」が付与されている。また、サーバ保存処理PV1には「レベルLV3」が付与されている。なお、同一種類の複数の処理に関して、それぞれのサービス提供元サイトの安全性等に基づき、互いに異なるレベル値が付与されることもある。図4においては、日英翻訳処理PT1には「レベルLV2」が付与され、日英翻訳処理PT2には「レベルLV3」が付与されている。
【0059】
つぎに、ユーザUAは、或る文書(作業対象文書)に関する作業内容の登録動作を実行する。具体的には、ユーザUAは、作業登録画面GA10内のリストLSから、複数の処理をその実行順序にしたがって選択し、当該複数の処理で構成される作業をMFP1に登録する。ここでは、図3のような複数の処理が順次に登録されていく様子について説明する。当該作業に関する情報は、作業データDW(後述)として登録される。
【0060】
まず、ユーザUAは、作業登録画面GA10内のリストLSから、第1順位で実行する処理(「スキャン処理PN1」)を選択する。具体的には、タッチスクリーン6c内のリストLSにおける上から5段目の「スキャン処理PN1」の部分を手指で押下して、「スキャン処理PN1」を選択する。この選択操作に応答して、MFP1は、第1順位の処理として「スキャン処理PN1」を登録する。そして、MFP1は、図5に示すように、「スキャン」ボタンBN11を画面GA10の中段の左端側に表示し、「スキャン処理」が第1順位の処理として登録された旨を示す。なお、当該スキャンボタンBN11を押下すると、再設定操作を行うことが可能である。
【0061】
次に、ユーザUAは、作業登録画面GA10内のリストLSから、第2順位で実行する処理(「OCR処理PR1」)を選択する。具体的には、タッチスクリーン6c内のリストLSにおける上から2段目の「OCR処理PR1」の部分を手指で押下して、「OCR処理PR1」を選択する。この選択操作に応答して、MFP1は、第2順位の処理として「OCR処理PR1」を登録する。そして、MFP1は、図6に示すように、「OCR」ボタンBN12を画面GA10の中段においてボタンBN11の右側に(左側から2つ目の位置に)表示し、「OCR処理」が第2順位の処理として登録された旨を示す。なお、当該OCRボタンBN12を押下すると、再設定操作を行うことが可能である。
【0062】
同様に、ユーザUAは、第3順位で実行する処理(「日英翻訳処理PT1」)、および第4順位で実行する処理(「サーバ保存処理PV1」)の登録操作を順次に行う。このような操作に応じて、MFP1は、第3順位の処理として「日英翻訳処理PT1」を登録するとともに、図7に示すように、「日英翻訳」ボタンBN13を画面GA10の中段においてボタンBN12の右側に(左側から3つ目の位置に)表示し、「日英翻訳処理」が第3順位の処理として登録された旨を示す。さらに、MFP1は、第4順位の処理として「サーバ保存処理PV1」を登録するとともに、図8に示すように、「サーバ保存」ボタンBN14を画面GA10の中段においてボタンBN13の右側に(左側から4つ目の位置に)表示し、「サーバ保存処理」が第4順位の処理として選択された旨を示す。
【0063】
その後、終了ボタンBN1が押下されると、4つの処理Piで構成される作業の登録操作が終了する。この結果、図10に示すような作業データDWが登録される。作業データDWには、サービスリストデータDS(図9)から抽出された情報(処理Piに関する情報(各処理Piの処理名およびセキュリティレベル等))が登録されている。
【0064】
さらに、このような登録操作がユーザUAによって行われた直後において、MFP1は、次述する確認動作等(図11参照)を実行する。なお、図11は、当該確認動作等を示すフローチャートである。
【0065】
まず、ステップS11において、セキュリティレベル取得部13は、作業に関する登録情報(登録された作業データDW等)に基づいて、当該作業に含まれる複数の処理Piを特定するとともに、当該複数の処理Piのセキュリティレベルをそれぞれ取得する。
【0066】
詳細には、当該作業に含まれる4つの処理Pi(「スキャン処理PN1」、「OCR処理PR1」、「日英翻訳処理PT1」および「サーバ保存処理PV1」)が作業データDWに基づき特定される。
【0067】
また、これら4つの処理Piのセキュリティレベルが作業データDW(図10)に基づき取得される。セキュリティレベル取得部13は、スキャン処理PN1のセキュリティレベルが「レベルLV5」であり且つOCR処理PR1のセキュリティレベルが「レベルLV4」である旨、を取得する。また、セキュリティレベル取得部13は、日英翻訳処理PT1のセキュリティレベルが「レベルLV2」であり且つサーバ保存処理PV1のセキュリティレベルが「レベルLV3」である旨、をも取得する。
【0068】
つぎに、ステップS12において、MFP1の特定部14は、複数の処理Piのうち、最も低いセキュリティレベルを有する処理(「最低レベル処理」とも称する)を特定する。詳細には、上記4つの処理Pi(PN1,PR1,PT1,PN1)に関する4つのセキュリティレベルLi(「レベルLV5」、「レベルLV4」、「レベルLV2」、「レベルLV3」)のうち最も低いセキュリティレベル(「レベルL2」)に対応する「日英翻訳処理PT1」が、「最低レベル処理」として特定される(図3も参照)。
【0069】
そして、ステップS13において、MFP1の通知部15は、最低レベル処理である「日英翻訳処理PT1」に関する情報をユーザに通知し、ユーザUAに確認を促す。
【0070】
詳細には、通知部15は、タッチスクリーン6cにおいて、画面GA20(図12)を表示する。画面GA20の上段においては、3番目の処理(最低レベル処理である日英翻訳処理PT1)に対応するボタンBN13が他とは異なる態様で強調して表示(たとえば異なる色)で表示されている。また、画面GA20の中段付近においては、「このフローのセキュリティレベルは2です。このまま続けて良いですか?」などの文字列が表示されている。このような表示は、警告表示(あるいは注意喚起表示)などとも表現される。なお、画面GA20は、最低レベル処理に関する情報を通知する画面であり、「通知画面」とも称される。
【0071】
このようにして、作業に関する「最低レベル処理」のセキュリティレベルがLV2であること、換言すれば、作業全体としてのセキュリティレベルがレベルLV2であることがユーザUAに通知される。また、最低レベル処理(端的に言えば、ボトルネックの処理)が日英翻訳処理PT1であることもユーザUAに通知されている。
【0072】
このような通知によれば、ユーザUAは、この作業の全体のセキュリティレベルがレベルLV2であることが所定の基準(社内基準等)を充足するか否かを確認することが可能である。たとえば、社内基準においては、機密文書に対しては比較的高い基準値(たとえばレベルLV3〜LV5)が所要セキュリティレベルとして設定され、公開可能文書に対しては比較的低い基準値(たとえばレベルLV2)が所要セキュリティレベルとして設定される。ユーザUAは、作業対象の文書に関する所要セキュリティレベルと登録作業に係るセキュリティレベル(登録された作業全体のセキュリティレベル)とを比較して、所定の基準の充足性を判断することが可能である。
【0073】
ユーザUAは、登録作業に係るセキュリティレベル(レベルLV2)が対象文書に関する所要セキュリティレベル(たとえばLV2)以上であり所定の基準が充足されると判断する場合には、OKボタンBN3を押下して、処理実行指示をMFP1に付与する。OKボタンBN9の押下操作に応答して、MFP1は、上述のようにして登録された一連の処理を実行する。
【0074】
一方、ユーザUAは、登録作業に係るセキュリティレベル(レベルLV2)が対象文書に関する所要セキュリティレベル(たとえばLV3)よりも低く所定の基準が充足されないと判断する場合には、処理編集操作(処理変更操作)を実行する。具体的には、ユーザUAは、編集対象処理(たとえば「日英翻訳処理PT1」)に対応するボタン(たとえばBN13)を押下する。当該ボタンBN13の押下操作に応答して、MFP1は、画面GA10と同様の画面GA30(図13参照)を表示する。画面GA30は、編集対象処理(「日英翻訳処理PT1」)の代替処理を選択する設定画面である。
【0075】
ユーザUAは、自らの判断で代替処理を決定し、画面GA30内のリストLSにおいて、決定した代替処理(たとえば「日英翻訳処理PT2」)に対応する欄を手指で押下して、当該代替処理を選択(指定)する。この選択操作に応答して、MFP1は、「日英翻訳処理PT1」に代えて「日英翻訳処理PT2」を第3順位の処理として作業データDWに登録する。そして、MFP1は、図14に示すように、代替処理である「日英翻訳処理PT2」を表示するボタンBN13を、画面GA30の中段における左側から3つ目の位置に表示する。これにより、第3順位の処理が変更された旨、詳細には「日英翻訳処理PT2」が第3順位の処理として登録された旨が示される。
【0076】
その後、終了ボタンBN1が押下されると、4つの処理で構成される作業の再登録動作(修正登録動作)が終了する。これにより、図15のように、第3順位の処理(ここでは日英翻訳処理PT)のセキュリティレベルがレベルLV2からレベルLV3へと上昇する。
【0077】
そして、当該再登録動作の直後に、上述のような確認動作等(図11参照)が再び実行される。なお、最低レベル処理が複数個存在する場合には、当該複数の最低レベル処理のうちの少なくとも1つが通知されればよい。詳細には、全ての最低レベル処理が通知されるようにしてもよく、あるいは、複数の最低レベル処理のうちの1つのみが通知されるようにしてもよい。
【0078】
以上のような動作によれば、作業に関する「最低レベル処理」が特定され、当該最低レベル処理に関する情報(処理名およびセキュリティレベル情報等)がユーザに通知される。そのため、ユーザは、この作業の最低レベル処理が所定の基準を充足するか否かを容易に確認することが可能である。特に、作業の登録操作の段階で、換言すれば、最低レベル処理の実行段階よりも前の段階で(端的に言えば比較的早い段階で)、セキュリティレベルに関する適否を確認することができる。したがって、複数の処理が実行される場合において、より適切にセキュリティを確保することが可能である。
【0079】
また、通知画面GA20内のボタンBN13の押下等に応じて、最低レベル処理に対する代替処理の指定入力が受け付けられるので、ユーザUAは容易に代替処理を指定することが可能である。
【0080】
<2.第2実施形態>
上記第1実施形態においては、代替処理がユーザにより手動で選択される場合を例示したが、この第2実施形態においては、代替処理がMFP1により自動的に選択される場合を例示する。この第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0081】
図16に示すように、第2実施形態に係るMFP1(1Bとも称する)は、第1実施形態に係るMFP1Aと同様の構成に加えて、さらに代替処理選定部16を備えている。代替処理選定部16は、最低レベル処理に代えて実行される「代替処理」をセキュリティレベル情報(サービスリストデータDS(図9)等)に基づいて選定する処理部であり、プログラムPGの実行によりコントローラ9において実現される。
【0082】
また、この第2実施形態においても、第1実施形態と同様の動作が実行される。ただし、図11における最後のステップS13において、通知処理のみならず、代替処理の選択処理もが自動的に実行される点において、第1実施形態と相違する。
【0083】
図17は、第1実施形態に係る通知画面GA20(GA20aとも称する)(図12)に代えて表示される通知画面GA20bを示す図である。
【0084】
画面GA20bにおいては、日英翻訳処理PT1(最低レベル処理)の「代替処理」の候補として、「日英翻訳処理PT2」がMFP1により自動選択されて表示されている。具体的には、MFP1Bの代替処理選定部16は、サービスリストデータDS(図9)に基づいて、日英翻訳処理PT1(最低レベル処理)と同じ種類の処理であって当該最低レベル処理のセキュリティレベル(レベルLV2)よりも高いレベルの処理を代替処理として選定する。たとえば、代替処理選定部16は、「レベルLV3」のセキュリティレベルを有する「日英翻訳処理PT2」を代替処理として選定する。
【0085】
また、この代替処理は、「最高レベル処理」のセキュリティレベル以下のセキュリティレベルを有する処理であることをも条件として選定されることが好ましい。これによれば、高過ぎるセキュリティレベルの処理が代替処理として選定されることを回避できる。なお、「最高レベル処理」は、対象作業に関する複数の処理Piのうち、最も高いセキュリティレベルを有する処理である。ここでは、セキュリティレベルLV5を有する「スキャン処理」が「最高レベル処理」である。
【0086】
なお、サービスリストデータDS(図9)においては、「処理名称」、「処理種類」、「アクセス先アドレス(URL等)」、「セキュリティレベル」、「入力フォーマット」、「出力フォーマット」、「処理時間」、「価格」などの各項目の情報が処理ごとに記録されている。「処理名称」、「処理種類」、「アクセス先アドレス(URL等)」、「セキュリティレベル」は、上述したリストLSにおける同名の情報とそれぞれ同じ内容の情報である。また、「入力フォーマット」は、各処理における入力ファイルの許容フォーマットであり、「出力フォーマット」は、各処理での出力ファイルのフォーマットである。また、「処理時間」は、単位分量(ただし、この単位分量は処理の種類ごとに異なる)あたりの処理時間(換言すれば、処理速度)である。たとえば、日英翻訳処理PTに関しては、所定ページ数あたりの翻訳処理時間の平均値が「処理時間」として記録されている。さらに、「価格」は、単位分量(ただし、この単位分量は処理の種類ごとに異なる)あたりの価格である。たとえば、日英翻訳処理PTに関しては、所定ページ数あたりの価格の平均値が「価格」として記録されている。
【0087】
ここにおいて、レベルLV3以上のセキュリティレベルを有する代替処理候補が複数個存在する場合には、代替処理選定部16は、さらに別の情報(価格情報、処理時情報間、品質情報等)にも基づいて、特定の処理を代替処理として選定するようにしてもよい。より詳細には、たとえば、レベルLV3以上のセキュリティレベルを有する複数の日英翻訳処理のうち、最も処理時間が短い日英翻訳処理PT4(図9参照)が代替処理として選定されるようにしてもよい。あるいは、レベルLV3以上のセキュリティレベルを有する複数の日英翻訳処理のうち、最も安価な日英翻訳処理PT5(図9参照)が代替処理として選定されるようにしてもよい。なお、図9のサービスリストデータDSには品質情報が含まれていないが、同様に、品質情報を有するサービスリストデータDS等に基づいて、レベルLV3以上のセキュリティレベルを有する複数の日英翻訳処理のうち、最も高品質の日英翻訳処理が代替処理として選定されるようにしてもよい。
【0088】
また、ここでは、代替処理選定部16は、元の処理(「日英翻訳処理PT1」)と同じ入力フォーマット(「PDF」)を有し且つ当該元の処理と同じ出力フォーマット(「PDF」)を有する処理(「日英翻訳処理PT2」)を代替処理として選択するものとする。
【0089】
ユーザUAは、変更前の登録作業にセキュリティ上の問題が存在せず代替処理への変更が不要であると判断するときには、ボタンBN5を押下する。ボタンBN5の押下操作に応答して、MFP1は、上述のようにして登録された一連の処理Pi(PN1,PR1,PT1,PN1)を実行する。
【0090】
一方、ユーザUAは、変更前の登録作業にセキュリティ上の問題が存在し且つ提示された代替処理(画面GA20bにおいてボタンBN13の下側に示された代替処理)を是認する場合には、ボタンBN6を押下する。MFP1は、ボタンBN6の押下操作に応答して、「日英翻訳処理PT1」に代えて「日英翻訳処理PT2」を、作業における第3順位の処理として作業データDWに登録する。そして、MFP1は、変更後の一連の処理Pi(PN1,PR1,PT2,PN1)を実行する。
【0091】
なお、ユーザUAは、ボタンBN13を押下して、第1実施形態と同様にして、代替処理を手動で決定(指定)することも可能である。
【0092】
以上のような態様によれば、「代替処理」が代替処理選定部16によって自動的に選定されるので、「代替処理」が容易に決定され得る。
【0093】
特に、代替処理の候補が複数個存在する場合等において、価格および/または処理時間等に関する情報にも基づいて代替処理が選定されることによれば、代替処理をより適切に決定することが可能である。
【0094】
<3.第3実施形態>
上記第2実施形態においては、或る1つの処理が他の1つの処理に置換される場合が例示されているが、これに限定されない。たとえば、或る1つの処理が他の複数の処理に置換されるようにしてもよい。この第3実施形態においては、このような態様について説明する。第3実施形態は、第2実施形態の変形例である。以下では、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0095】
この第3実施形態においては、図18に示すように、日英翻訳処理PT1がテキスト分離処理PX1と日英翻訳処理PT3とテキスト結合処理PM1との3つの処理の組合せに置換されるものとする。テキスト分離処理PX1と日英翻訳処理PT3とテキスト結合処理PM1との3つの処理を組み合わせることによって、元の最低レベル処理(日英翻訳処理PT1)と同等の機能が実現される。
【0096】
具体的には、代替処理選定部16は、図9のサービスリストデータDSに基づいて、日英翻訳処理PT1(最低レベル処理)と同じ種類の処理であって当該最低レベル処理のセキュリティレベル(レベルLV2)よりも高いレベルの処理を代替処理として選定する。たとえば、代替処理選定部16は、「レベルLV3」のセキュリティレベルを有する「日英翻訳処理PT3」を代替処理として選定するものとする。なお、ここでは、日英翻訳処理PT2,PT4,PT5が何らかの事情(日英翻訳処理PT2等のサービス停止中等)により選択されないものとする。
【0097】
ただし、図9に示すように、「日英翻訳処理PT3」の入力フォーマット(「TXT」)は、「日英翻訳処理PT1」の入力フォーマット(「PDF」)とは異なっている。また、「日英翻訳処理PT3」の出力フォーマット(「TXT」)も、「日英翻訳処理PT1」の出力フォーマット(「PDF」)とは異なっている。
【0098】
そこで、代替処理選定部16は、「日英翻訳処理PT3」の前段階に「テキスト分離処理PX1」を加えるとともに、「日英翻訳処理PT3」の後段階に「テキスト結合処理PM1」を加える。「テキスト分離処理PX1」は、元のデータ(PDFデータ)からテキストを分離して、テキストデータ(翻訳前のテキストデータ)をも作成する処理である。また「テキスト結合処理PM1」は、テキスト分離処理におけるテキスト分離後のPDFデータ(主に図および写真等を有するPDFデータ)と日英翻訳処理PT3後のテキストデータ(翻訳後の英文テキストデータ)とに基づいて、翻訳後の新たなPDFデータ(英文に翻訳されたPDFデータ)を作成する処理である。
【0099】
また、「テキスト分離処理PX1」は、元の最低レベル処理のセキュリティレベル(レベルLV2)よりも高いセキュリティレベル(レベルLV4)を有している。「テキスト結合処理PM1」も同様である。
【0100】
このようにして、図18に示すように、日英翻訳処理PT1の代替処理として、テキスト分離処理PX1と日英翻訳処理PT3とテキスト結合処理PM1との3つの処理の組合せが決定される。換言すれば、最低レベル処理(日英翻訳処理PT1)と同等の機能を実現する2つ以上の処理であって、当該最低レベル処理のセキュリティレベルよりも高いセキュリティレベルを有する2つ以上の処理(PX1,PT3,PM1)が、代替処理として選定される。
【0101】
このような態様によっても、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0102】
また特に、代替処理選定部16は、単独処理で構成される代替処理のみならず、複数の処理で構成される代替処理(代替処理群とも称する)をも選定対象に加えることにより、より多様な代替処理を選定することが可能である。
【0103】
より詳細には、上記実施形態においては、変更対象の処理(日英翻訳処理PT1)と同じ種類の処理(日英翻訳処理PT3)の前側と後ろ側とにそれぞれフォーマット変換処理PX1,PM1を追加的に配置した複数の処理(PX1,PT3,PM1)が、代替処理の候補に加えられている。そのため、その入力フォーマットおよび(/または)出力フォーマットが変更前の日英翻訳処理PT1と異なる処理(日英翻訳処理PT3)を利用した複数の処理(PX1,PT3,PM1)をも、変更後の処理(代替処理)として選定することが可能である。したがって、代替処理に関する選択の幅を拡げることが可能である。
【0104】
なお、この第3実施形態においては、或る1つの処理PT1が他の複数の処理PX1,PT3,PM1に置換される場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、或る複数の処理が他の複数の処理に置換されるようにしてもよい。
【0105】
詳細には、図19に示すように、OCR処理PR1と日英翻訳処理PT1との組合せに係る2つの処理が、OCR処理PR3とテキスト分離処理PX2と日英翻訳処理PT3とテキスト結合処理PM2とデータ変換処理PH1との5つの処理の組合せに置換されるようにしてもよい。
【0106】
ここで、OCR処理PR3は、JPEGデータに基づく文字認識処理を伴ってJPEGデータをXPS(XML Paper Specification)形式のデータ(XPSデータとも称する)に置換する処理である。「テキスト分離処理PX2」は、元のデータ(XPSデータ)からテキストを分離して、テキストデータ(翻訳前のテキストデータ)等を作成する処理である。また「テキスト結合処理PM2」は、テキスト分離処理PX2におけるテキスト分離後のXPSデータ(主に図および写真等を有するXPSデータ)と日英翻訳処理PT3後のテキストデータ(翻訳後の英文テキストデータ)とに基づいて、翻訳後の新たなXPSデータ(英文に翻訳されたXPSデータ)を作成する処理である。さらに、「データ変換処理PH1」は、XPS形式からPDF形式にデータを変換する処理である。
【0107】
あるいは、図24に示すように、OCR処理PR1と日英翻訳処理PT1との組合せに係る2つの処理が、OCR処理PR6と日英翻訳処理PT6との2つの処理(同数の処理)の組合せに置換されるようにしてもよい。ここで、日英翻訳処理PT6は、XPS形式の入力データ(日本語データ)をPDF形式の出力データ(英語データ)に変換する翻訳処理である。また、OCR処理PR6は、JPEGデータに基づく文字認識処理を伴ってJPEGデータをXPS形式のデータに変換するOCR処理である。このように、元の日英翻訳処理PT1を別の日英翻訳処理PT6に置換する場合において、元の日英翻訳処理PT1の入力データ形式(PDF形式)と置換後の日英翻訳処理PT6の入力データ形式(XPS形式)とが異なるときには、或る置換対象の日英翻訳処理PT1の直前の処理(具体的には、OCR処理PR1)をも置換するようにしてもよい。詳細には、PDF形式のデータを出力するOCR処理PR1を、XPS形式のデータを出力するOCR処理PR6に置換すればよい。これにより、置換後の日英翻訳処理PT6の入力データ形式(XPS形式)とその直前に実行される置換後のOCR処理PR6の出力データ形式(XPS形式)とを整合させることができる。このような態様によれば、入力フォーマット(入力データ形式)の不一致に起因する制限を解消して、日英翻訳処理PT6を置換後の処理として採用することが可能である。
【0108】
また、上記実施形態においては、第2実施形態と同様に、MFP1が自動的に代替処理を選定する場合が示されているが、これに限定されない。たとえば、第1実施形態と同様に、元の処理に対する代替処理(PX1,PT3,PM1等)がユーザUAによって指定されるようにしてもよい。
【0109】
また、一部の代替処理がユーザUAによって指定されるとともに、当該代替処理における入出力フォーマット(入出力データ形式)の不一致を解消するために、当該代替処理の前および/または後ろの処理もがMFP1によって自動的に置換されるようにしてもよい。
【0110】
たとえば、日英翻訳処理PT1(入力データ=PDF形式)を日英翻訳処理PT6(入力データ=XPS形式)に置換するべき旨がユーザの操作入力によって指定された場合(図24参照)には、日英翻訳処理の前処理であるOCR処理をMFP1が変更するようにしてもよい。詳細には、OCR処理PR1(出力データ=PDF形式)がOCR処理PR6(出力データ=XPS形式)に変更されればよい。これによれば、入力フォーマット(入力データ形式)の不一致に起因する制限を解消して、日英翻訳処理PT6を置換後の処理として採用することが可能である。
【0111】
<4.第4実施形態>
上記各実施形態においては、或る文書全体に同じ処理が施される場合が例示されているが、これに限定されない。たとえば、文書内の複数の部分に対して互いに異なる処理が施されるようにしてもよい。特に、互いに異なる所要セキュリティレベルを有する複数の部分に対して、互いに異なる処理が施されるようにしてもよい。この第4実施形態においては、このような態様について説明する。第4実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0112】
この第4実施形態では、登録操作中に画面GA20(図12)と同様の警告画面がタッチスクリーン6cに表示された後に、代替処理の指定操作が実行される。
【0113】
具体的には、まず、画面GA20内の詳細編集ボタンBU7がユーザUAによって押下されると、当該押下操作に応答して、詳細設定画面GA40(不図示)がタッチスクリーン6cに表示される。
【0114】
次に、ユーザUAは、この詳細設定画面GA40等を用いて、文書を2つの部分PA1,PA2に区分する区分操作を実行する。詳細には、ユーザUAは、第1の部分PA1のページ番号(たとえば「第1ページから第10ページ」)と第2の部分PA2のページ番号(たとえば「第11ページから第30ページ」)とを指定する入力操作を実行する。ここでは、第1の部分PA1の所要セキュリティレベルは比較的高い値(たとえばレベルLV3)であり、第2の部分PA2の所要セキュリティレベルは比較的低い値(たとえばレベルLV2)であるものとする。換言すれば、第2の部分PA2の所要セキュリティレベルは、第1の部分PA1の所要セキュリティレベルよりも低い。また、元の最低レベル処理のセキュリティレベル(LV2)は、第2の部分PA2の所要セキュリティレベル(LV2)以上のセキュリティレベルであるが、第1の部分PA1の所要セキュリティレベル(LV3)よりも低いセキュリティレベルである。なお、ユーザUAは、各部分PA1,PA2に対するセキュリティレベルを予め知得しているものとする。
【0115】
ここにおいて、一般に、セキュリティレベルを向上させた代替処理を文書全体に対して施すと処理時間が大幅に増大する。ここでは、ユーザUAは、このような事情を考慮して、処理時間増大の抑制を意図して、部分ごとに互いに異なる処理をMFP1に実行させる。具体的には、ユーザUAは、詳細設定画面GA40等を用いて、各部分PA1,PA2に対して互いに異なる処理を施すための指示操作を行う。
【0116】
図20は、第4実施形態に係る代替処理等を示す図である。
【0117】
ユーザUAは、「元の最低レベル処理のセキュリティレベル(LV2)が第1の部分PA1の所要セキュリティレベル(LV3)よりも小さく(低く)不十分である」、と判断する。そして、図20に示すように、ユーザUAは、2つの部分PA1,PA2のうちの一方の部分PA1に関しては、第3実施形態と同様の代替処理(PX1,PT3,PM1)を実行すべき旨を指定する。
【0118】
また、ユーザUAは、「元の最低レベル処理のセキュリティレベル(LV2)は2つの部分PA1,PA2のうちの他方の第2の部分PA2の所要セキュリティレベル(LV2)以上(ここでは同一レベル)であり、部分PA2に関しては最低レベル処理の変更は不要である」、と判断する。そして、ユーザUAは、部分PA2に関しては、元の処理PT1をそのまま実行すべき旨を指定する。
【0119】
このような指定操作に応じて、代替処理選定部16は、部分PA1に関しては代替処理(PX1,PT3,PM1)を作業データDWに登録し、部分PA2に関しては当該代替処理とは異なる処理PT1を実行処理として決定する。
【0120】
MFP1は、このような指定操作にも基づいて、図20に示すように、ファイル分割処理FXを代替処理群の最初の処理として追加し、ファイル結合処理FMを代替処理群の最後の処理として追加する。ファイル分割処理FXは、スキャン処理PN1およびOCR処理PR1によって生成されたPDFファイルを2つの部分PA1,PA2に分割する処理である。ファイル結合処理FMは、部分PA1に対して代替処理(PX1,PT3,PM1)が施されて生成されたPDFファイルF1と、部分PA2に対して元の処理PT1が施されて生成されたPDFファイルF2とを結合する処理である。
【0121】
以上のような処理によれば、2つの部分PA1,PA2の各所要セキュリティレベルに応じて適切な処理を施すことが可能である。
【0122】
<5.第5実施形態>
第5実施形態は、第2実施形態の変形例である。以下では、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0123】
上記第2実施形態においては、最低レベルLV2の処理PT1のみが変更される場合が例示されている。
【0124】
この第5実施形態においては、図21に示すように、最低レベルLV2を有する日英翻訳処理PT1のみならず、最低レベル以外のセキュリティを有するOCR処理PR1もが変更される場合を例示する。具体的には、まず、最低レベルLV2の日英翻訳処理PT1が、比較的上位のセキュリティレベルLV3を有する日英翻訳処理PT2に変更される。さらに、変更後の最低レベルLV3よりも高いセキュリティレベルLV4を有するOCR処理PR1が、比較的低いセキュリティレベルLV3(変更後の最低レベルLV3以上のセキュリティレベルLV3)を有するOCR処理PR2に変更される。なお、図21は、第5実施形態に係る動作を示す図である。
【0125】
この第5実施形態においても、第2実施形態と同様にして、図17の画面GA20bが表示される。そして、ユーザUAによる確認の後にボタンBN6が押下される。図21の中段には、この時点(中間段階)における変更状態が示されている。具体的には、日英翻訳処理PT1が日英翻訳処理PT2に変更され、第3順位の処理におけるセキュリティレベルが「LV2」から「LV3」に上昇している。また、これに伴い、作業全体のセキュリティレベルも「LV2」から「LV3」に上昇している。
【0126】
その後、MFP1(代替処理選定部16等)は、作業全体のセキュリティレベル「LV3」(換言すれば、作業における最低レベルLV3)よりも高いセキュリティレベルを有する処理の中から、最低レベル処理以外の変更対象処理を選択する。ここでは、代替処理選定部16は、最低レベルLV3よりも高いセキュリティレベルLV4を有するOCR処理PR1を変更対象処理として選択するものとする。
【0127】
また、代替処理選定部16は、変更対象処理(OCR処理PR1)に代えて実行する変更後の処理を同種の複数の処理(OCR処理)の中から選択する。具体的には、代替処理選定部16は、最低セキュリティレベルLV3以上のセキュリティレベルを有するOCR処理を、変更後の処理として選択する。たとえば、代替処理選定部16は、サービスリストデータDS(図9)における「処理時間」の情報にも基づいて、OCR処理PR1よりも高速なOCR処理PR2を変更後の処理として選択する。これに伴って、OCR処理のセキュリティレベルは、「レベルLV4」から「レベルLV3」へと低下するが、作業全体のセキュリティレベルは、「レベルLV3」のまま維持され低下しない。
【0128】
なお、これに限定されず、その他の情報に基づいて、変更後の処理(OCR処理)が選択されるようにしてもよい。たとえば、OCR処理PR1よりも安価なOCR処理が変更後の処理として選択されるようにしてもよい。あるいは、OCR処理PR1よりも高品質のOCR処理(高い変換精度を有するOCR処理)が変更後の処理として選択されるようにしてもよい。
【0129】
そして、MFP1は、図17と類似の画面GA20c(不図示)をタッチスクリーン6cに表示する。当該画面GA20cは、OCR処理PR1をOCR処理PR2に変更する旨を確認する内容を含む。ユーザUAが当該変更を承認する操作を行うと、変更内容が確定される。そして、MFP1は、変更後の一連の処理(PN1,PR2,PT2,PV1)を実行する。
【0130】
以上のような動作によれば、最低セキュリティレベルLV3よりも高いセキュリティレベルLV4を有するOCR処理PR1が、変更対処処理として選択され、最低セキュリティレベルLV3以上のセキュリティレベルを有する処理(OCR処理PR2)に変更される。したがって、不必要に高過ぎるセキュリティレベルを有する処理(OCR処理PR1)を、セキュリティレベル以外に関する情報(価格情報、処理時情報間、品質情報等)にも基づいて別の処理(OCR処理PR2)に変更することも可能である。このように、作業を構成する複数の処理のセキュリティレベルをバランスよく調整することが可能である。
【0131】
なお、ここでは、OCR処理PR1が他のOCR処理PR2に変更される場合が示されているが、これに限定されず、その他の処理が変更されるようにしてもよい。たとえば、セキュリティレベルLV5のスキャン処理PN1がセキュリティレベルLV4のスキャン処理に変更されるようにしてもよい。
【0132】
<6.第6実施形態>
上記各実施形態においては、「最低レベル処理」に関する情報がユーザUAに通知される場合が例示されているが、これに限定されない。たとえば、所定の基準レベルよりも低いセキュリティを有する処理(「低レベルセキュリティ処理」とも称する)に関する情報がユーザUAに通知されるようにしてもよい。詳細には、作業の対象文書の所要セキュリティレベル(当該文書に関する基準レベル)よりも低いセキュリティレベルの処理(「低レベルセキュリティ処理」)が登録作業データDW内に含まれていることが検出されると、ユーザUAに通知されるようにしてもよい。第6実施形態においては、このような態様を例示する。
【0133】
この第6実施形態は、第1実施形態の変形例であり、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0134】
第6実施形態に係るMFP1(1Fとも称する)は、図11のステップS12において、最低レベル処理を特定する代わりに「低レベルセキュリティ処理」を特定する。具体的には、このMFP1は、登録作業データDWに基づいて、作業の対象文書の所要セキュリティレベル(当該文書に関する基準レベル)よりも低いセキュリティレベルの処理(「低レベルセキュリティ処理」)を特定する。たとえば、文書の所要セキュリティレベルが「LV3」であるときには、セキュリティレベルLV2の日英翻訳処理PT1が「低レベルセキュリティ処理」として特定される。
【0135】
なお、文書の所要セキュリティレベルは、たとえば、作業登録操作の開始時点等(ステップS12よりも前の時点)においてユーザUAによって予め設定(指定入力)され、MFP1によって取得されるようにすればよい。あるいは、MFP1が作業登録操作の開始時点等において対象文書の先頭ページのみを仮スキャンすることによって、MFP1が文書の所要セキュリティレベルを取得するようにしてもよい。より詳細には、MFP1は、仮スキャンにおけるスキャン画像に対して文字認識処理を施すことによって、文書に記載された情報(「機密情報」の文字、あるいは「文書セキュリティレベル4」の文字等)を検出し、文書の所要セキュリティレベルを決定するようにしてもよい。
【0136】
そして、ステップS13においては、「低レベルセキュリティ処理」に関する情報がユーザUAに通知される。たとえば、図22に示すような通知画面GA20dが用いられる。通知画面GA20dは、図12の通知画面GA20aと同様の画面である。ただし、通知画面GA20dは、「指定された日英翻訳処理PT2のセキュリティレベルLV2は、作業の所要セキュリティレベルLV3よりも低いため、処理変更が必要です。(変更対象ボタンを押すと、「処理」を編集できます。)」などの文字列を有している。
【0137】
ユーザUAは、当該画面GA20dを確認した後に、第1実施形態と同様にして、ボタンBN13等を押下して処理変更操作を実行する。これにより、変更後の処理が適切に指定される。たとえば、日英翻訳処理PT2が代替処理として指定される。そして、当該変更後の処理を含む一連の処理が実行される。
【0138】
以上のような動作によれば、作業に関する「低セキュリティレベル処理」が特定され、当該低セキュリティレベル処理に関する情報(処理名およびセキュリティレベル情報等)がユーザに通知される。そのため、ユーザは、この作業における各処理のセキュリティが所定の基準を充足するか否かを容易に確認することが可能である。したがって、複数の処理が実行される場合において、より適切にセキュリティを確保することが可能である。
【0139】
<7.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0140】
たとえば、上記各実施形態においては、スキャン処理の実行前に作業の登録動作が実行される場合が例示されているが、これに限定されず、スキャン処理の実行後にその他の処理に関する作業の登録動作が実行されるようにしてもよい。
【0141】
また、上記各実施形態においては、スキャン処理とOCR処理と翻訳処理とサーバ保存処理との4つの処理(ジョブ)がこの順序で実行される場合が主に例示されているが、これに限定されず、その他の処理にも本発明が適用され得る。たとえば、ウェブストレージから文書データファイルを取得する処理、翻訳サービスで当該文書データファイルを日本語から英語に翻訳する処理、および翻訳後の文書データファイルをプリントアウトする処理等を含む複数の処理に関しても上記の思想を適用することが可能である。
【0142】
また、上記第6実施形態に係る思想は、第1実施形態のみならず、その他の実施形態等に対しても適用可能である。
【0143】
具体的には、第2実施形態において、文書の所要セキュリティレベルよりも低いセキュリティレベルの処理(「低セキュリティレベル処理」)が登録作業データDW内に含まれている旨が判定されるときには、その旨がユーザUAに通知されるようにしてもよい。
【0144】
そして、「最低レベル処理」の代替処理の選定動作に代えて、「低セキュリティレベル処理」の代替処理の選定動作がMFP1により行われるようにしてもよい。変更対象処理が「最低レベル処理」ではなく「低セキュリティレベル処理」である点で上記第2実施形態と相違するが、その他の点では上記第2実施形態と同様である。
【0145】
図23は、このような改変例に係る通知画面GA20eを示す図である。図23に示すような画面GA20eを用いて、「低セキュリティレベル処理」である日英翻訳処理PT1に関する情報(処理名およびセキュリティレベルLV2)が通知されるとともに、セキュリティレベルLV3の日英翻訳処理PT2が日英翻訳処理PT1の代替処理として通知されるようにしてもよい。
【0146】
他の第3実施形態〜第5実施形態等に対しても同様の改変が可能である。
【0147】
また、第4実施形態においてはユーザUAが文書の分割情報(区分情報)を指定する場合が例示されているが、これに限定されず、MFP1が文書内での分割位置を判定するようにしてもよい。さらには、MFP1が分割後の各部分に対する処理を決定するようにしてもよい。なお、このような改変は、「最低レベル処理」が通知される場合にも適用可能であり、「低セキュリティレベル処理」が通知される場合にも適用可能である。以下では、「低セキュリティレベル処理」が通知される場合に当該改変を適用する例について説明する。
【0148】
たとえば、スキャン処理が実行された後に、当該スキャン処理以外の複数の処理の登録動作が実行される場合を想定する。この場合において、MFP1は、当該スキャン処理の実行時に文字認識処理等を用いて各ページのセキュリティレベル情報をそれぞれ読み取り、各ページのセキュリティレベル情報に基づいて、文書を2つの部分PA1,PA2に区分する。また、ここでは、第6実施形態にて例示した手法等によって、登録操作中の或る時点(ステップS12よりも前の時点)にてMFP1が部分PA1,PA2の各所要セキュリティレベルを取得するものとする。
【0149】
その後、当該スキャン処理以外の複数の処理に関する作業の登録操作が行われ、MFP1は、ステップS11以降の動作を実行し、部分ごとの所要セキュリティレベルに基づいて各部分PA1,PA2に対する適切な処理をそれぞれ決定する。
【0150】
具体的には、ステップS12において、特定部14は、部分PA1の所要セキュリティレベルLV3と複数の処理PN1,PR1,PT1,PV1の各セキュリティレベルとをそれぞれ比較し、「低セキュリティレベル処理」を検出する。具体的には、セキュリティレベルLV2の日英翻訳処理PT1が、部分PA1に関する「低セキュリティレベル処理」として特定される。
【0151】
さらに、特定部14は、部分PA2の所要セキュリティレベルLV2と複数の処理PN1,PR1,PT1,PV1の各セキュリティレベルとをそれぞれ比較し、「低セキュリティレベル処理」を検出する。処理PN1,PR1,PT1,PV1の各セキュリティレベルは、いずれも、部分PA2の所要セキュリティレベルLV2以上であるため、部分PA2に関する「低セキュリティレベル処理」は検出されない。
【0152】
また、ステップS13において、通知処理のみならず、代替処理の選択動作等もが実行される。具体的には、代替処理選定部16は、部分PA1に関する日英翻訳処理PT1の代替処理をサービスリストデータDS(図9)に基づいて選定する。具体的には、日英翻訳処理PT1(「低セキュリティレベル処理」)と同じ種類の処理(日英翻訳処理)であり且つ部分PA1の所要セキュリティレベルLV3以上のレベルの処理が代替処理として選定される。たとえば、第4実施形態と同様に、3つの処理PX1,PT3,PM1の組み合わせが代替処理(代替処理群)として選定される(図20参照)。あるいは、セキュリティレベルLV4の日英翻訳処理PT4等が代替処理として選定されるようにしてもよい。
【0153】
さらに、代替処理選定部16は、ファイル分割処理FX(上述)を代替処理群の最初の処理として追加し、ファイル結合処理FM(上述)を代替処理群の最後の処理として追加する(図20参照)。
【0154】
そして、MFP1は、変更内容の確認画面をタッチスクリーン6cに表示し、ユーザUAによる承認動作を経た後に、変更後の一連の処理を実行する。ただし、上述のように複数の処理のうち一部の処理に関しては、文書内の部分PA1,PA2ごとに異なる処理が実行される。
【0155】
以上のように、このような改変例によれば、第6実施形態と同様の効果を得ることが可能であるとともに、2つの部分PA1,PA2の各所要セキュリティレベルに応じて適切な処理を施すことが可能である。
【0156】
あるいは、最低レベル処理の検出動作と低セキュリティレベル処理の検出動作との双方が実行されるようにしてもよい。具体的には、第1実施形態において、ステップS12で検出された最低レベル処理のセキュリティレベルが対象文書の所要セキュリティレベルよりも低いことをも条件として、ステップS13においてユーザUAへの通知が行われるようにしてもよい。これによれば、最低レベル処理が所定の基準を充足していないことがユーザUAに通知されるので、ユーザUAは当該通知に応じて適切な措置を講じることが可能である。特に、ステップS12で検出された最低レベル処理のセキュリティレベルが対象文書の所要セキュリティレベル以上である場合には、ユーザUAに対する通知が行われないので、ユーザUAへの過剰な通知を抑制することが可能である。なお、第2〜第4実施形態等に関しても同様の改変が可能である。
【0157】
また、上記第4実施形態においては、第1実施形態と同様に、代替処理がユーザの指定操作に応じて決定される場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、部分PA1に関しては、第2実施形態と同様に、サービスリストデータDSに基づいて代替処理選定部16によって選定されるようにしてもよい。また、部分PA2に関しては、第1実施形態と同様に、ユーザの指定操作に応じて決定されればよい。ただし、これに限定されず、部分PA2に関しても、第2実施形態と同様に、サービスリストデータDSに基づいて代替処理選定部16によって選定されるようにしてもよい。
【0158】
特に、部分PA1,PA2の各所要セキュリティレベルに関する情報がユーザUAによる入力等の各種手法(上述)によってMFP1によって取得される場合には、代替処理選定部16は、取得された当該情報に基づいて、「最低レベル処理」の代替処理等を部分ごとに決定するようにしてもよい。詳細には、「最低レベル処理」のセキュリティレベルと各部分PA1,PA2の所要セキュリティレベルとが比較され、複数の部分PA1,PA2のうち、その所要セキュリティレベルが「最低レベル処理」のセキュリティレベルよりも高い部分に対してのみ、代替処理が決定されるようにしてもよい。一方、その所要セキュリティレベルが「最低レベル処理」のセキュリティレベル以下である部分に対しては、元の最低レベル処理が実行処理としてそのまま決定されるようにしてもよい。たとえば、部分PA1の所要セキュリティレベルLV3は「最低レベル処理」のセキュリティレベルLV2よりも高いため、代替処理選定部16は、部分PA1に関しては、第3実施形態と同様の代替処理(PX1,PT3,PM1)を実行すべき旨を決定すればよい。また、部分PA2の所要セキュリティレベルLV2は「最低レベル処理」のセキュリティレベルLV2と同じであるため、代替処理選定部16は、部分PA2に関しては、元の処理PT1をそのまま実行処理として決定すればよい。
【0159】
また、上記各実施形態における作業データDWは、MFP1の内部に登録されてもよく、MFP1の外部の装置(ファイルサーバ等)に登録されてもよい。たとえば、MFP1は、当該登録された作業データ(登録作業の作業データ)をユーザ操作等に応じて外部装置(ファイルサーバ等)からネットワークNWを介して取得するようにしてもよい。そして、MFP1は、登録作業に含まれる複数の処理を当該作業データに基づいて特定するとともに、当該複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得するようにしてもよい。
【0160】
また、上記第1〜第4実施形態においては、「最低レベル処理」の処理名およびセキュリティレベル等が通知される場合が例示されているが、これに限定されない。たとえば、「最低レベル処理」に関する処理速度情報、価格情報および/または品質情報等もがユーザに通知(提示)されるようにしてもよい。より詳細には、元の最低レベル処理に関する「処理時間」情報(処理速度情報)と代替処理に関する「処理時間」情報(処理速度情報)とが通知画面GA20に表示されるようにしてもよい。このような改変によれば、セキュリティレベル以外の種々の要素をも考慮して代替処理が決定され得る。また、「低セキュリティレベル処理」に関する通知についても同様の改変が可能である。
【0161】
また、上記各実施形態においては、画像形成装置としてMFPが例示されているが、これに限定されず、画像形成装置は、単機能プリンタ、コピー装置、あるいはスキャナ装置等として構成されてもよい。
【0162】
また、上記の思想は、スキャナ装置およびコンピュータ等を備えて構成される画像処理システムにおいて実行されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0163】
1 MFP
6c タッチスクリーン
9 コントローラ
70,90 サーバ
100 画像処理システム
DS サービスリストデータ
DW 登録作業データ
【技術分野】
【0001】
本発明は、MFP(マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi Function Peripheral))などの画像処理装置およびそれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
処理が実行される際にデータのセキュリティを確保するセキュリティ技術が存在する(特許文献1等参照)。たとえば、特許文献1に記載の技術においては、或る処理が実行されようとする場合において、当該処理を実行しようとする者の権限レベルと当該処理の機密度レベルとが比較され、「権限レベル」が「機密度レベル」よりも低い(小さい)ときには、当該処理の実行が許可されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−194591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、ネットワーク技術の進歩等に伴って、ウェブアクセス機能を有する画像処理装置が提案されている。また、ウェブ上では様々なサービス(翻訳サービス等)が提供されている。
【0005】
そして、このようなサービスが上記のような画像処理装置においても利用されることが想定される。さらには、上記のような画像処理装置において、外部との通信等を伴う様々なサービスの利用を伴って複数の処理(ジョブ)が組み合わせられて実行される状況も想定される。
【0006】
たとえば、原稿のスキャンデータを生成するスキャン処理と、当該原稿のスキャンデータに基づき文字認識処理を伴って所定の形式(たとえばPDF形式)に変換するデータ形式変換サービス(PDF化サービス等)を伴うデータ形式変換処理(PDF化ジョブ)とが順次に実行されることが想定される。また、所定形式データ(たとえばPDFデータ)内の文章データを翻訳する翻訳サービス(英訳サービス等)を伴う翻訳処理がさらに実行されることも想定される。
【0007】
しかしながら、このような状況において上記のような先行技術が単純に適用される場合には、各処理(ジョブ)の実行直前に各処理のセキュリティがそれぞれ判断されるため、ユーザは、各処理の実行の可否を各処理の実行直前になってようやく知得する。この場合、特に、複数の処理のうち2番目以降に実行される処理がセキュリティ上の問題に起因して実行できないことが判るのは当該2番目以降の各処理の実行直前であるため、それまでに既に実行された処理に要した時間等が無駄になってしまうという問題がある。
【0008】
より詳細には、たとえば、装置(MFP等)において、各処理(一連の処理)を自動的に連続して行う旨の設定がなされている場合には、一連の処理の途中(各処理の実行直前)で実行の可否を知得することになる。そのため、上述のような問題が生じる。なお、ユーザが当該装置の前から離れていると、ユーザは処理の中断に気付かない。そのため、当該一連の処理の開始時点から終了時点までの期間において、ユーザが当該装置(MFP等)の前に居て動作の進捗を確認することも求められる。
【0009】
そこで、この発明の課題は、複数の処理が実行される場合において、より適切にセキュリティを確保することが可能な画像処理装置およびそれに関連する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、複数の処理で構成される作業を実行することが可能な画像処理装置であって、各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて前記複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する取得手段と、前記複数の処理のうち、最も低いセキュリティレベルを有する処理である最低レベル処理を特定する特定手段と、前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知する通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る画像処理装置において、前記最低レベル処理に代えて実行される代替処理を前記セキュリティレベル情報に基づいて選定する選定手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2の発明に係る画像処理装置において、前記選定手段は、前記最低レベル処理と同じ種類の処理であり且つ前記最低レベル処理のセキュリティレベルよりも高いセキュリティレベルを有する処理を、前記代替処理として選定することを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項2の発明に係る画像処理装置において、前記選定手段は、前記最低レベル処理と同等の機能を実現する2つ以上の処理であって、前記最低レベル処理のセキュリティレベルよりも高いセキュリティレベルを有する前記2つ以上の処理を、前記代替処理として選定することを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項2の発明に係る画像処理装置において、前記選定手段は、前記作業の対象文書における複数の部分のうち、第1の所要セキュリティレベルを有する第1の部分に関しては前記代替処理を選定するとともに、前記第1の所要セキュリティレベルとは異なる第2の所要セキュリティレベルを有する第2の部分に関しては前記代替処理とは異なる処理を実行することを決定することを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、請求項2の発明に係る画像処理装置において、前記選定手段は、前記各処理に関する処理速度情報、価格情報および品質情報のうちの少なくとも1つにも基づいて、前記最低レベル処理の代替処理を選定することを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、請求項2の発明に係る画像処理装置において、前記選定手段は、前記複数の処理のうち、前記最低レベル処理以外の処理である変更対象処理に代えて実行する変更後の処理を、前記各処理に関する処理速度情報、価格情報および品質情報のうちの少なくとも1つにも基づいて選定することを特徴とする。
【0017】
請求項8の発明は、請求項1の発明に係る画像処理装置において、前記最低レベル処理に対する代替処理の指定入力を受け付ける受付手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
請求項9の発明は、請求項1の発明に係る画像処理装置において、前記通知手段は、前記各処理に関する処理速度情報、価格情報および品質情報のうちの少なくとも1つをも前記ユーザに通知することを特徴とする。
【0019】
請求項10の発明は、請求項1の発明に係る画像処理装置において、前記通知手段は、前記最低レベル処理のセキュリティレベルを通知することを特徴とする。
【0020】
請求項11の発明は、請求項1の発明に係る画像処理装置において、前記通知手段は、前記最低レベル処理のセキュリティレベルが前記作業の対象文書に関する基準レベルより低いことを条件として、前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知することを特徴とする。
【0021】
請求項12の発明は、複数の処理で構成される作業を実行することが可能な画像処理システムであって、各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて前記複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する取得手段と、前記複数の処理のうち、最も低いセキュリティレベルを有する処理である最低レベル処理を特定する特定手段と、前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知する通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0022】
請求項13の発明は、コンピュータに、a)各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて、所定の作業を構成する複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得するステップと、b)前記複数の処理のうち、最も低いセキュリティレベルを有する処理である最低レベル処理を特定するステップと、c)前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知するステップと、を実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
【0023】
請求項14の発明は、複数の処理で構成される作業を実行することが可能な画像処理装置であって、各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて前記複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する取得手段と、前記複数の処理のうち、前記作業の対象文書に関する基準レベルよりも低いセキュリティレベルを有する処理である低セキュリティレベル処理を特定する特定手段と、前記低セキュリティレベル処理に関する情報をユーザに通知する通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0024】
請求項15の発明は、複数の処理で構成される作業を実行することが可能な画像処理システムであって、各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて前記複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する取得手段と、前記複数の処理のうち、前記作業の対象文書に関する基準レベルよりも低いセキュリティレベルを有する処理である低セキュリティレベル処理を特定する特定手段と、前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知する通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0025】
請求項16の発明は、コンピュータに、a)各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて、所定の作業を構成する複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得するステップと、b)前記複数の処理のうち、前記作業の対象文書に関する基準レベルよりも低いセキュリティレベルを有する処理である低セキュリティレベル処理を特定するステップと、c)前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知するステップと、を実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
請求項1ないし請求項16に記載の発明によれば、作業に関する最低レベル処理が特定され、当該最低レベル処理に関する情報がユーザに通知される。そのため、ユーザは、この作業の最低レベル処理が所定の基準を充足するか否かを容易に確認することが可能である。したがって、複数の処理が実行される場合において、より適切にセキュリティを確保することが可能である。
【0027】
特に、請求項2に記載の発明によれば、代替処理が選定手段によって自動的に選定されるので、代替処理が容易に決定され得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】画像処理システムの構成を示す概略図である。
【図2】MFPの機能ブロック図である。
【図3】作業における複数の処理を示す図である。
【図4】作業登録用の画面を示す図である。
【図5】作業登録用の画面を示す図である。
【図6】作業登録用の画面を示す図である。
【図7】作業登録用の画面を示す図である。
【図8】作業登録用の画面を示す図である。
【図9】サービスリストデータを示す図である。
【図10】登録された作業データを示す図である。
【図11】確認動作等を示すフローチャートである。
【図12】通知画面を示す図である。
【図13】最低レベル処理の変更前の操作画面を示す図である。
【図14】最低レベル処理の変更後の操作画面を示す図である。
【図15】最低レベル処理が変更される様子を示す概念図である。
【図16】第2実施形態に係るMFPの機能ブロック図である。
【図17】第2実施形態に係る通知画面を示す図である。
【図18】第3実施形態における処理変更を示す概念図である。
【図19】第3実施形態の改変例に係る処理変更を示す概念図である。
【図20】第4実施形態における処理変更を示す概念図である。
【図21】第5実施形態における処理変更を示す概念図である。
【図22】第6実施形態に係る通知画面を示す図である。
【図23】改変例に係る通知画面を示す図である。
【図24】別の改変例に係る処理変更を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
<1.第1実施形態>
<1−1.構成概要>
図1は、画像処理システム100の構成を示す概略図である。この画像処理システム100は、複数のマルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi Function Peripheral)(MFPとも略称する)1と複数のサーバコンピュータ(単にサーバとも称する)90,70とを備える。たとえば、サーバ90は社外サーバであり、サーバ70は社内サーバである。なお、図1においては、図示の都合上、1つのMFP1と1つのサーバ70と複数のサーバ90とが示されている。
【0031】
MFP1と各サーバ90,70とは、ネットワークNWを介して互いに接続されており、MFP1と各サーバ90,70との相互間では、ネットワークNWを介してデータの送受信を行うことが可能である。なお、ネットワークNWは、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)およびインターネットなどの各種のネットワークを含む。たとえば、MFP1とサーバ70とは、同一LAN内で互いに通信可能に接続され、MFP1と各サーバ90は、インターネットを介して互いに通信可能に接続される。
【0032】
MFP1は、スキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能およびファクシミリ通信機能などを備える装置(複合機とも称する)である。MFP1は、画像処理装置あるいは画像形成装置などとも称される。なお、画像処理システム100は、画像形成システムなどとも称される。
【0033】
図2の機能ブロック図に示すように、MFP1は、画像読取部2、印刷出力部3、通信部4、格納部5、入出力部6およびコントローラ9等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。
【0034】
画像読取部2は、MFP1の所定の位置に載置された原稿を光学的に読み取って、当該原稿の画像データ(原稿画像とも称する)を生成(形成)する処理部である。
【0035】
印刷出力部3は、対象画像に関する画像データに基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力(形成)する出力部である。
【0036】
通信部4は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。さらに、通信部4は、通信ネットワークNWを介したネットワーク通信が可能である。このネットワーク通信では、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)およびFTP(File Transfer Protocol)等の各種のプロトコルが利用され、当該ネットワーク通信を利用することによって、MFP1は、所望の相手先との間で各種のデータを授受することが可能である。
【0037】
格納部5は、ハードディスクドライブ(HDD)および不揮発性メモリ等の格納装置で構成される。この格納部5には、画像読取部2等で生成された原稿画像(画像データ)等が格納される。
【0038】
入出力部6は、MFP1に対する入力を受け付ける操作入力部6aと、各種情報の表示出力を行う表示部6bとを備えている。具体的には、MFP1には、ハードキーおよびタッチスクリーン6c等が設けられている。
【0039】
ハードキーは操作入力部6aの一部として機能する。また、タッチスクリーン6cは、液晶表示パネルに圧電センサ等が埋め込まれて構成されており、表示部6bの一部として機能するとともに、操作入力部6aの一部としても機能する。詳細には、タッチスクリーン6cは、液晶表示パネルに各種の情報を表示することが可能であるとともに、液晶表示パネルに対する操作者の手指の操作位置を検知して、各種の入力を受け付けることも可能である。たとえばタッチスクリーン6cに表示された仮想的なボタンが操作者の手指によって触れられると、このような操作は当該ボタンに対する押下操作であるとみなされる。
【0040】
このように、入出力部6は、操作者(ユーザ等)に対して適宜の情報を表示することが可能であるとともに、操作者による入力操作(例えば、メニュー画面を利用した各種の設定操作等)を受け付けることが可能である。
【0041】
コントローラ9は、MFP1を統括的に制御する制御装置であり、CPUと、各種の半導体メモリ(RAMおよびROM等)とを備えて構成される。コントローラ9は、MFP1に内蔵されたコンピュータであるとも表現される。コントローラ9の制御下において各種の処理部が動作することによって、MFP1の各種の機能が実現される。コントローラ9は、CPUにおいて、ROM(例えば、EEPROM等)内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)PGを実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、プログラムPGは、ネットワークNWを経由してダウンロードされてMFP1にインストールされるようにしてもよい。また、プログラムPGは、各種の可搬性記録媒体(USBメモリ等)に記録され、当該記録媒体から読み出されてMFP1にインストールされるようにしてもよい。
【0042】
具体的には、コントローラ9は、ユーザ認証部11、作業指示受付部12、セキュリティレベル取得部13、特定部14、通知部15を含む各種の処理部を実現する。
【0043】
ユーザ認証部11は、ユーザ認証処理を行う処理部である。
【0044】
作業指示受付部12は、複数の処理(一連の処理)で構成される作業に関する実行指示(ユーザ指示)を受け付ける処理部である。作業指示受付部12は、入出力部6と協働して、ユーザからの当該実行指示を受け付ける。
【0045】
セキュリティレベル取得部13は、複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する処理部である。セキュリティレベル取得部13は、当該複数の処理を含む各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報(サービスリストデータDS(後述)等)に基づいて、当該複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する。
【0046】
特定部14は、作業に含まれる複数の処理のうち、最も低いセキュリティレベルを有する処理である「最低レベル処理」を特定する処理部である。
【0047】
通知部15は、最低レベル処理に関する情報をユーザに通知する処理部である。
【0048】
これらの各処理部の動作等については後に詳述する。
【0049】
<1−2.動作>
このMFP1は、様々な処理(ジョブとも称する)を実行することが可能である。これらの処理としては、MFP1単体で実行される処理(コピー処理、およびスキャン処理等)が存在する。また、これらの処理としては、MFP1の外部の装置(外部サーバ90等)によって通信ネットワーク等を介して提供されるサービス(外部サービスとも称される)を利用して実行される処理(ウエブサービス処理等)も存在する。外部サービスとしては、たとえば、原稿のスキャンデータを文字認識処理(OCR(Optical Character Recognition)処理等)を伴って所定の形式(たとえばPDF)に変換するデータ形式変換サービス(PDF化サービスないしOCRサービスとも称する等)が存在する。あるいは、外部サービスとして、所定形式データ(たとえばPDFデータ)内の文章データを翻訳する翻訳サービス(英訳サービス等)、およびデータ(ファイル)をサーバへ保存するサーバ保存サービス等も存在する。
【0050】
ここでは、これらの複数の処理(ジョブ)が組み合わせられて、或る作業が実行される場合を例示する。換言すれば、複数の処理で構成される作業を伴って画像処理(画像形成処理)が実行される場合を例示する。具体的には、図3に示すように、スキャン処理とOCR処理(文字認識処理)と翻訳処理とサーバ保存処理との4つの処理がこの順序で実行される場合を想定する。このうち、たとえば、OCR処理、翻訳処理およびサーバ保存処理は、インターネットを介して提供される外部サービスを利用して実行される処理である。このように、複数の外部サービスは、作業を構成する複数の処理のうち少なくとも一部(一部あるいは全部)の処理において利用可能である。
【0051】
ユーザ認証部11によるユーザ認証動作を経てユーザUAがMFP1にログインすると、基本画面(メニュー画面とも称する)GA0(不図示)がタッチスクリーン6cに表示される。そして、基本画面GA0内の作業登録ボタンが押下されると、今度は作業登録用の画面GA10(図4)がタッチスクリーン6cに表示される。
【0052】
作業登録画面GA10内の下段においては、利用可能な複数の処理(ジョブ)に関するリストLSが表示されている。このリストLSには、サービスリストデータDS(図9)の一部または全部の情報が表示される。
【0053】
たとえば、図4においては、2つの日英翻訳処理PT(詳細には、「日英翻訳処理PT1」、「日英翻訳処理PT2」)、1つのOCR処理PR(「OCR処理PR1」)、1つのスキャン処理PN(「スキャン処理PN1」)、および1つのサーバ保存処理PV(「サーバ保存処理PV1」)等が、選択対象処理(選択可能処理)として示されている。なお、日英翻訳処理PTは、日本語から英語への翻訳処理である。また、リストLSにおいては、「処理名称」、「処理種類」、「アクセス先アドレス(URL等)」、「セキュリティレベル」などの各項目の情報が処理ごとに記録されている。
【0054】
「処理名称」は、処理の名称を示す情報であり、「処理種類」は処理の種類を示す情報である。
【0055】
「アクセス先アドレス(URL等)」は、処理実行時におけるアクセス先アドレスの情報である。MFP1の外部で実行される処理に関しては、アクセス先のサーバのアドレス情報(ウェブサーバ90のURLアドレス等)が記録されており、MFP1の内部で実行される処理に関しては「装置内部」での実行処理である旨を示す情報が記録されている。
【0056】
また、「セキュリティレベル」は、当該処理のセキュリティレベルを示す情報である。たとえば、外部サービスを利用する処理に関しては、各外部サービス(ウェブサービス)を提供するサイト(各サーバ90)のセキュリティレベル(安全性評価値)等に基づく所定段階数(たとえば5段階)の値が「セキュリティレベル」として格納される。一方、内部処理に関しては、各内部処理のセキュリティレベル等を示す所定段階数(たとえば5段階)の値が「セキュリティレベル」として格納される。
【0057】
セキュリティレベル(レベル値)は、各処理の種類およびサイト評価機関による評価値等に基づいて、本システム100の管理者等によって適宜に設定されればよい。なお、一般に、装置内部で実行される処理(内部処理とも称する)に対しては比較的高いレベル値(レベルLV4,LV5等)が付与され、装置外部で実行される処理(外部処理とも称する)(特にLANの外部のネットワークを利用して実行される外部サービス等)に対しては比較的低いレベル値(レベルLV2,LV3等)が付与される。
【0058】
たとえば、図4においては、内部処理であるスキャン処理PN1には「レベルLV5」が付与され、外部処理であるOCR処理PR1には「レベルLV4」が付与されている。また、サーバ保存処理PV1には「レベルLV3」が付与されている。なお、同一種類の複数の処理に関して、それぞれのサービス提供元サイトの安全性等に基づき、互いに異なるレベル値が付与されることもある。図4においては、日英翻訳処理PT1には「レベルLV2」が付与され、日英翻訳処理PT2には「レベルLV3」が付与されている。
【0059】
つぎに、ユーザUAは、或る文書(作業対象文書)に関する作業内容の登録動作を実行する。具体的には、ユーザUAは、作業登録画面GA10内のリストLSから、複数の処理をその実行順序にしたがって選択し、当該複数の処理で構成される作業をMFP1に登録する。ここでは、図3のような複数の処理が順次に登録されていく様子について説明する。当該作業に関する情報は、作業データDW(後述)として登録される。
【0060】
まず、ユーザUAは、作業登録画面GA10内のリストLSから、第1順位で実行する処理(「スキャン処理PN1」)を選択する。具体的には、タッチスクリーン6c内のリストLSにおける上から5段目の「スキャン処理PN1」の部分を手指で押下して、「スキャン処理PN1」を選択する。この選択操作に応答して、MFP1は、第1順位の処理として「スキャン処理PN1」を登録する。そして、MFP1は、図5に示すように、「スキャン」ボタンBN11を画面GA10の中段の左端側に表示し、「スキャン処理」が第1順位の処理として登録された旨を示す。なお、当該スキャンボタンBN11を押下すると、再設定操作を行うことが可能である。
【0061】
次に、ユーザUAは、作業登録画面GA10内のリストLSから、第2順位で実行する処理(「OCR処理PR1」)を選択する。具体的には、タッチスクリーン6c内のリストLSにおける上から2段目の「OCR処理PR1」の部分を手指で押下して、「OCR処理PR1」を選択する。この選択操作に応答して、MFP1は、第2順位の処理として「OCR処理PR1」を登録する。そして、MFP1は、図6に示すように、「OCR」ボタンBN12を画面GA10の中段においてボタンBN11の右側に(左側から2つ目の位置に)表示し、「OCR処理」が第2順位の処理として登録された旨を示す。なお、当該OCRボタンBN12を押下すると、再設定操作を行うことが可能である。
【0062】
同様に、ユーザUAは、第3順位で実行する処理(「日英翻訳処理PT1」)、および第4順位で実行する処理(「サーバ保存処理PV1」)の登録操作を順次に行う。このような操作に応じて、MFP1は、第3順位の処理として「日英翻訳処理PT1」を登録するとともに、図7に示すように、「日英翻訳」ボタンBN13を画面GA10の中段においてボタンBN12の右側に(左側から3つ目の位置に)表示し、「日英翻訳処理」が第3順位の処理として登録された旨を示す。さらに、MFP1は、第4順位の処理として「サーバ保存処理PV1」を登録するとともに、図8に示すように、「サーバ保存」ボタンBN14を画面GA10の中段においてボタンBN13の右側に(左側から4つ目の位置に)表示し、「サーバ保存処理」が第4順位の処理として選択された旨を示す。
【0063】
その後、終了ボタンBN1が押下されると、4つの処理Piで構成される作業の登録操作が終了する。この結果、図10に示すような作業データDWが登録される。作業データDWには、サービスリストデータDS(図9)から抽出された情報(処理Piに関する情報(各処理Piの処理名およびセキュリティレベル等))が登録されている。
【0064】
さらに、このような登録操作がユーザUAによって行われた直後において、MFP1は、次述する確認動作等(図11参照)を実行する。なお、図11は、当該確認動作等を示すフローチャートである。
【0065】
まず、ステップS11において、セキュリティレベル取得部13は、作業に関する登録情報(登録された作業データDW等)に基づいて、当該作業に含まれる複数の処理Piを特定するとともに、当該複数の処理Piのセキュリティレベルをそれぞれ取得する。
【0066】
詳細には、当該作業に含まれる4つの処理Pi(「スキャン処理PN1」、「OCR処理PR1」、「日英翻訳処理PT1」および「サーバ保存処理PV1」)が作業データDWに基づき特定される。
【0067】
また、これら4つの処理Piのセキュリティレベルが作業データDW(図10)に基づき取得される。セキュリティレベル取得部13は、スキャン処理PN1のセキュリティレベルが「レベルLV5」であり且つOCR処理PR1のセキュリティレベルが「レベルLV4」である旨、を取得する。また、セキュリティレベル取得部13は、日英翻訳処理PT1のセキュリティレベルが「レベルLV2」であり且つサーバ保存処理PV1のセキュリティレベルが「レベルLV3」である旨、をも取得する。
【0068】
つぎに、ステップS12において、MFP1の特定部14は、複数の処理Piのうち、最も低いセキュリティレベルを有する処理(「最低レベル処理」とも称する)を特定する。詳細には、上記4つの処理Pi(PN1,PR1,PT1,PN1)に関する4つのセキュリティレベルLi(「レベルLV5」、「レベルLV4」、「レベルLV2」、「レベルLV3」)のうち最も低いセキュリティレベル(「レベルL2」)に対応する「日英翻訳処理PT1」が、「最低レベル処理」として特定される(図3も参照)。
【0069】
そして、ステップS13において、MFP1の通知部15は、最低レベル処理である「日英翻訳処理PT1」に関する情報をユーザに通知し、ユーザUAに確認を促す。
【0070】
詳細には、通知部15は、タッチスクリーン6cにおいて、画面GA20(図12)を表示する。画面GA20の上段においては、3番目の処理(最低レベル処理である日英翻訳処理PT1)に対応するボタンBN13が他とは異なる態様で強調して表示(たとえば異なる色)で表示されている。また、画面GA20の中段付近においては、「このフローのセキュリティレベルは2です。このまま続けて良いですか?」などの文字列が表示されている。このような表示は、警告表示(あるいは注意喚起表示)などとも表現される。なお、画面GA20は、最低レベル処理に関する情報を通知する画面であり、「通知画面」とも称される。
【0071】
このようにして、作業に関する「最低レベル処理」のセキュリティレベルがLV2であること、換言すれば、作業全体としてのセキュリティレベルがレベルLV2であることがユーザUAに通知される。また、最低レベル処理(端的に言えば、ボトルネックの処理)が日英翻訳処理PT1であることもユーザUAに通知されている。
【0072】
このような通知によれば、ユーザUAは、この作業の全体のセキュリティレベルがレベルLV2であることが所定の基準(社内基準等)を充足するか否かを確認することが可能である。たとえば、社内基準においては、機密文書に対しては比較的高い基準値(たとえばレベルLV3〜LV5)が所要セキュリティレベルとして設定され、公開可能文書に対しては比較的低い基準値(たとえばレベルLV2)が所要セキュリティレベルとして設定される。ユーザUAは、作業対象の文書に関する所要セキュリティレベルと登録作業に係るセキュリティレベル(登録された作業全体のセキュリティレベル)とを比較して、所定の基準の充足性を判断することが可能である。
【0073】
ユーザUAは、登録作業に係るセキュリティレベル(レベルLV2)が対象文書に関する所要セキュリティレベル(たとえばLV2)以上であり所定の基準が充足されると判断する場合には、OKボタンBN3を押下して、処理実行指示をMFP1に付与する。OKボタンBN9の押下操作に応答して、MFP1は、上述のようにして登録された一連の処理を実行する。
【0074】
一方、ユーザUAは、登録作業に係るセキュリティレベル(レベルLV2)が対象文書に関する所要セキュリティレベル(たとえばLV3)よりも低く所定の基準が充足されないと判断する場合には、処理編集操作(処理変更操作)を実行する。具体的には、ユーザUAは、編集対象処理(たとえば「日英翻訳処理PT1」)に対応するボタン(たとえばBN13)を押下する。当該ボタンBN13の押下操作に応答して、MFP1は、画面GA10と同様の画面GA30(図13参照)を表示する。画面GA30は、編集対象処理(「日英翻訳処理PT1」)の代替処理を選択する設定画面である。
【0075】
ユーザUAは、自らの判断で代替処理を決定し、画面GA30内のリストLSにおいて、決定した代替処理(たとえば「日英翻訳処理PT2」)に対応する欄を手指で押下して、当該代替処理を選択(指定)する。この選択操作に応答して、MFP1は、「日英翻訳処理PT1」に代えて「日英翻訳処理PT2」を第3順位の処理として作業データDWに登録する。そして、MFP1は、図14に示すように、代替処理である「日英翻訳処理PT2」を表示するボタンBN13を、画面GA30の中段における左側から3つ目の位置に表示する。これにより、第3順位の処理が変更された旨、詳細には「日英翻訳処理PT2」が第3順位の処理として登録された旨が示される。
【0076】
その後、終了ボタンBN1が押下されると、4つの処理で構成される作業の再登録動作(修正登録動作)が終了する。これにより、図15のように、第3順位の処理(ここでは日英翻訳処理PT)のセキュリティレベルがレベルLV2からレベルLV3へと上昇する。
【0077】
そして、当該再登録動作の直後に、上述のような確認動作等(図11参照)が再び実行される。なお、最低レベル処理が複数個存在する場合には、当該複数の最低レベル処理のうちの少なくとも1つが通知されればよい。詳細には、全ての最低レベル処理が通知されるようにしてもよく、あるいは、複数の最低レベル処理のうちの1つのみが通知されるようにしてもよい。
【0078】
以上のような動作によれば、作業に関する「最低レベル処理」が特定され、当該最低レベル処理に関する情報(処理名およびセキュリティレベル情報等)がユーザに通知される。そのため、ユーザは、この作業の最低レベル処理が所定の基準を充足するか否かを容易に確認することが可能である。特に、作業の登録操作の段階で、換言すれば、最低レベル処理の実行段階よりも前の段階で(端的に言えば比較的早い段階で)、セキュリティレベルに関する適否を確認することができる。したがって、複数の処理が実行される場合において、より適切にセキュリティを確保することが可能である。
【0079】
また、通知画面GA20内のボタンBN13の押下等に応じて、最低レベル処理に対する代替処理の指定入力が受け付けられるので、ユーザUAは容易に代替処理を指定することが可能である。
【0080】
<2.第2実施形態>
上記第1実施形態においては、代替処理がユーザにより手動で選択される場合を例示したが、この第2実施形態においては、代替処理がMFP1により自動的に選択される場合を例示する。この第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0081】
図16に示すように、第2実施形態に係るMFP1(1Bとも称する)は、第1実施形態に係るMFP1Aと同様の構成に加えて、さらに代替処理選定部16を備えている。代替処理選定部16は、最低レベル処理に代えて実行される「代替処理」をセキュリティレベル情報(サービスリストデータDS(図9)等)に基づいて選定する処理部であり、プログラムPGの実行によりコントローラ9において実現される。
【0082】
また、この第2実施形態においても、第1実施形態と同様の動作が実行される。ただし、図11における最後のステップS13において、通知処理のみならず、代替処理の選択処理もが自動的に実行される点において、第1実施形態と相違する。
【0083】
図17は、第1実施形態に係る通知画面GA20(GA20aとも称する)(図12)に代えて表示される通知画面GA20bを示す図である。
【0084】
画面GA20bにおいては、日英翻訳処理PT1(最低レベル処理)の「代替処理」の候補として、「日英翻訳処理PT2」がMFP1により自動選択されて表示されている。具体的には、MFP1Bの代替処理選定部16は、サービスリストデータDS(図9)に基づいて、日英翻訳処理PT1(最低レベル処理)と同じ種類の処理であって当該最低レベル処理のセキュリティレベル(レベルLV2)よりも高いレベルの処理を代替処理として選定する。たとえば、代替処理選定部16は、「レベルLV3」のセキュリティレベルを有する「日英翻訳処理PT2」を代替処理として選定する。
【0085】
また、この代替処理は、「最高レベル処理」のセキュリティレベル以下のセキュリティレベルを有する処理であることをも条件として選定されることが好ましい。これによれば、高過ぎるセキュリティレベルの処理が代替処理として選定されることを回避できる。なお、「最高レベル処理」は、対象作業に関する複数の処理Piのうち、最も高いセキュリティレベルを有する処理である。ここでは、セキュリティレベルLV5を有する「スキャン処理」が「最高レベル処理」である。
【0086】
なお、サービスリストデータDS(図9)においては、「処理名称」、「処理種類」、「アクセス先アドレス(URL等)」、「セキュリティレベル」、「入力フォーマット」、「出力フォーマット」、「処理時間」、「価格」などの各項目の情報が処理ごとに記録されている。「処理名称」、「処理種類」、「アクセス先アドレス(URL等)」、「セキュリティレベル」は、上述したリストLSにおける同名の情報とそれぞれ同じ内容の情報である。また、「入力フォーマット」は、各処理における入力ファイルの許容フォーマットであり、「出力フォーマット」は、各処理での出力ファイルのフォーマットである。また、「処理時間」は、単位分量(ただし、この単位分量は処理の種類ごとに異なる)あたりの処理時間(換言すれば、処理速度)である。たとえば、日英翻訳処理PTに関しては、所定ページ数あたりの翻訳処理時間の平均値が「処理時間」として記録されている。さらに、「価格」は、単位分量(ただし、この単位分量は処理の種類ごとに異なる)あたりの価格である。たとえば、日英翻訳処理PTに関しては、所定ページ数あたりの価格の平均値が「価格」として記録されている。
【0087】
ここにおいて、レベルLV3以上のセキュリティレベルを有する代替処理候補が複数個存在する場合には、代替処理選定部16は、さらに別の情報(価格情報、処理時情報間、品質情報等)にも基づいて、特定の処理を代替処理として選定するようにしてもよい。より詳細には、たとえば、レベルLV3以上のセキュリティレベルを有する複数の日英翻訳処理のうち、最も処理時間が短い日英翻訳処理PT4(図9参照)が代替処理として選定されるようにしてもよい。あるいは、レベルLV3以上のセキュリティレベルを有する複数の日英翻訳処理のうち、最も安価な日英翻訳処理PT5(図9参照)が代替処理として選定されるようにしてもよい。なお、図9のサービスリストデータDSには品質情報が含まれていないが、同様に、品質情報を有するサービスリストデータDS等に基づいて、レベルLV3以上のセキュリティレベルを有する複数の日英翻訳処理のうち、最も高品質の日英翻訳処理が代替処理として選定されるようにしてもよい。
【0088】
また、ここでは、代替処理選定部16は、元の処理(「日英翻訳処理PT1」)と同じ入力フォーマット(「PDF」)を有し且つ当該元の処理と同じ出力フォーマット(「PDF」)を有する処理(「日英翻訳処理PT2」)を代替処理として選択するものとする。
【0089】
ユーザUAは、変更前の登録作業にセキュリティ上の問題が存在せず代替処理への変更が不要であると判断するときには、ボタンBN5を押下する。ボタンBN5の押下操作に応答して、MFP1は、上述のようにして登録された一連の処理Pi(PN1,PR1,PT1,PN1)を実行する。
【0090】
一方、ユーザUAは、変更前の登録作業にセキュリティ上の問題が存在し且つ提示された代替処理(画面GA20bにおいてボタンBN13の下側に示された代替処理)を是認する場合には、ボタンBN6を押下する。MFP1は、ボタンBN6の押下操作に応答して、「日英翻訳処理PT1」に代えて「日英翻訳処理PT2」を、作業における第3順位の処理として作業データDWに登録する。そして、MFP1は、変更後の一連の処理Pi(PN1,PR1,PT2,PN1)を実行する。
【0091】
なお、ユーザUAは、ボタンBN13を押下して、第1実施形態と同様にして、代替処理を手動で決定(指定)することも可能である。
【0092】
以上のような態様によれば、「代替処理」が代替処理選定部16によって自動的に選定されるので、「代替処理」が容易に決定され得る。
【0093】
特に、代替処理の候補が複数個存在する場合等において、価格および/または処理時間等に関する情報にも基づいて代替処理が選定されることによれば、代替処理をより適切に決定することが可能である。
【0094】
<3.第3実施形態>
上記第2実施形態においては、或る1つの処理が他の1つの処理に置換される場合が例示されているが、これに限定されない。たとえば、或る1つの処理が他の複数の処理に置換されるようにしてもよい。この第3実施形態においては、このような態様について説明する。第3実施形態は、第2実施形態の変形例である。以下では、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0095】
この第3実施形態においては、図18に示すように、日英翻訳処理PT1がテキスト分離処理PX1と日英翻訳処理PT3とテキスト結合処理PM1との3つの処理の組合せに置換されるものとする。テキスト分離処理PX1と日英翻訳処理PT3とテキスト結合処理PM1との3つの処理を組み合わせることによって、元の最低レベル処理(日英翻訳処理PT1)と同等の機能が実現される。
【0096】
具体的には、代替処理選定部16は、図9のサービスリストデータDSに基づいて、日英翻訳処理PT1(最低レベル処理)と同じ種類の処理であって当該最低レベル処理のセキュリティレベル(レベルLV2)よりも高いレベルの処理を代替処理として選定する。たとえば、代替処理選定部16は、「レベルLV3」のセキュリティレベルを有する「日英翻訳処理PT3」を代替処理として選定するものとする。なお、ここでは、日英翻訳処理PT2,PT4,PT5が何らかの事情(日英翻訳処理PT2等のサービス停止中等)により選択されないものとする。
【0097】
ただし、図9に示すように、「日英翻訳処理PT3」の入力フォーマット(「TXT」)は、「日英翻訳処理PT1」の入力フォーマット(「PDF」)とは異なっている。また、「日英翻訳処理PT3」の出力フォーマット(「TXT」)も、「日英翻訳処理PT1」の出力フォーマット(「PDF」)とは異なっている。
【0098】
そこで、代替処理選定部16は、「日英翻訳処理PT3」の前段階に「テキスト分離処理PX1」を加えるとともに、「日英翻訳処理PT3」の後段階に「テキスト結合処理PM1」を加える。「テキスト分離処理PX1」は、元のデータ(PDFデータ)からテキストを分離して、テキストデータ(翻訳前のテキストデータ)をも作成する処理である。また「テキスト結合処理PM1」は、テキスト分離処理におけるテキスト分離後のPDFデータ(主に図および写真等を有するPDFデータ)と日英翻訳処理PT3後のテキストデータ(翻訳後の英文テキストデータ)とに基づいて、翻訳後の新たなPDFデータ(英文に翻訳されたPDFデータ)を作成する処理である。
【0099】
また、「テキスト分離処理PX1」は、元の最低レベル処理のセキュリティレベル(レベルLV2)よりも高いセキュリティレベル(レベルLV4)を有している。「テキスト結合処理PM1」も同様である。
【0100】
このようにして、図18に示すように、日英翻訳処理PT1の代替処理として、テキスト分離処理PX1と日英翻訳処理PT3とテキスト結合処理PM1との3つの処理の組合せが決定される。換言すれば、最低レベル処理(日英翻訳処理PT1)と同等の機能を実現する2つ以上の処理であって、当該最低レベル処理のセキュリティレベルよりも高いセキュリティレベルを有する2つ以上の処理(PX1,PT3,PM1)が、代替処理として選定される。
【0101】
このような態様によっても、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0102】
また特に、代替処理選定部16は、単独処理で構成される代替処理のみならず、複数の処理で構成される代替処理(代替処理群とも称する)をも選定対象に加えることにより、より多様な代替処理を選定することが可能である。
【0103】
より詳細には、上記実施形態においては、変更対象の処理(日英翻訳処理PT1)と同じ種類の処理(日英翻訳処理PT3)の前側と後ろ側とにそれぞれフォーマット変換処理PX1,PM1を追加的に配置した複数の処理(PX1,PT3,PM1)が、代替処理の候補に加えられている。そのため、その入力フォーマットおよび(/または)出力フォーマットが変更前の日英翻訳処理PT1と異なる処理(日英翻訳処理PT3)を利用した複数の処理(PX1,PT3,PM1)をも、変更後の処理(代替処理)として選定することが可能である。したがって、代替処理に関する選択の幅を拡げることが可能である。
【0104】
なお、この第3実施形態においては、或る1つの処理PT1が他の複数の処理PX1,PT3,PM1に置換される場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、或る複数の処理が他の複数の処理に置換されるようにしてもよい。
【0105】
詳細には、図19に示すように、OCR処理PR1と日英翻訳処理PT1との組合せに係る2つの処理が、OCR処理PR3とテキスト分離処理PX2と日英翻訳処理PT3とテキスト結合処理PM2とデータ変換処理PH1との5つの処理の組合せに置換されるようにしてもよい。
【0106】
ここで、OCR処理PR3は、JPEGデータに基づく文字認識処理を伴ってJPEGデータをXPS(XML Paper Specification)形式のデータ(XPSデータとも称する)に置換する処理である。「テキスト分離処理PX2」は、元のデータ(XPSデータ)からテキストを分離して、テキストデータ(翻訳前のテキストデータ)等を作成する処理である。また「テキスト結合処理PM2」は、テキスト分離処理PX2におけるテキスト分離後のXPSデータ(主に図および写真等を有するXPSデータ)と日英翻訳処理PT3後のテキストデータ(翻訳後の英文テキストデータ)とに基づいて、翻訳後の新たなXPSデータ(英文に翻訳されたXPSデータ)を作成する処理である。さらに、「データ変換処理PH1」は、XPS形式からPDF形式にデータを変換する処理である。
【0107】
あるいは、図24に示すように、OCR処理PR1と日英翻訳処理PT1との組合せに係る2つの処理が、OCR処理PR6と日英翻訳処理PT6との2つの処理(同数の処理)の組合せに置換されるようにしてもよい。ここで、日英翻訳処理PT6は、XPS形式の入力データ(日本語データ)をPDF形式の出力データ(英語データ)に変換する翻訳処理である。また、OCR処理PR6は、JPEGデータに基づく文字認識処理を伴ってJPEGデータをXPS形式のデータに変換するOCR処理である。このように、元の日英翻訳処理PT1を別の日英翻訳処理PT6に置換する場合において、元の日英翻訳処理PT1の入力データ形式(PDF形式)と置換後の日英翻訳処理PT6の入力データ形式(XPS形式)とが異なるときには、或る置換対象の日英翻訳処理PT1の直前の処理(具体的には、OCR処理PR1)をも置換するようにしてもよい。詳細には、PDF形式のデータを出力するOCR処理PR1を、XPS形式のデータを出力するOCR処理PR6に置換すればよい。これにより、置換後の日英翻訳処理PT6の入力データ形式(XPS形式)とその直前に実行される置換後のOCR処理PR6の出力データ形式(XPS形式)とを整合させることができる。このような態様によれば、入力フォーマット(入力データ形式)の不一致に起因する制限を解消して、日英翻訳処理PT6を置換後の処理として採用することが可能である。
【0108】
また、上記実施形態においては、第2実施形態と同様に、MFP1が自動的に代替処理を選定する場合が示されているが、これに限定されない。たとえば、第1実施形態と同様に、元の処理に対する代替処理(PX1,PT3,PM1等)がユーザUAによって指定されるようにしてもよい。
【0109】
また、一部の代替処理がユーザUAによって指定されるとともに、当該代替処理における入出力フォーマット(入出力データ形式)の不一致を解消するために、当該代替処理の前および/または後ろの処理もがMFP1によって自動的に置換されるようにしてもよい。
【0110】
たとえば、日英翻訳処理PT1(入力データ=PDF形式)を日英翻訳処理PT6(入力データ=XPS形式)に置換するべき旨がユーザの操作入力によって指定された場合(図24参照)には、日英翻訳処理の前処理であるOCR処理をMFP1が変更するようにしてもよい。詳細には、OCR処理PR1(出力データ=PDF形式)がOCR処理PR6(出力データ=XPS形式)に変更されればよい。これによれば、入力フォーマット(入力データ形式)の不一致に起因する制限を解消して、日英翻訳処理PT6を置換後の処理として採用することが可能である。
【0111】
<4.第4実施形態>
上記各実施形態においては、或る文書全体に同じ処理が施される場合が例示されているが、これに限定されない。たとえば、文書内の複数の部分に対して互いに異なる処理が施されるようにしてもよい。特に、互いに異なる所要セキュリティレベルを有する複数の部分に対して、互いに異なる処理が施されるようにしてもよい。この第4実施形態においては、このような態様について説明する。第4実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0112】
この第4実施形態では、登録操作中に画面GA20(図12)と同様の警告画面がタッチスクリーン6cに表示された後に、代替処理の指定操作が実行される。
【0113】
具体的には、まず、画面GA20内の詳細編集ボタンBU7がユーザUAによって押下されると、当該押下操作に応答して、詳細設定画面GA40(不図示)がタッチスクリーン6cに表示される。
【0114】
次に、ユーザUAは、この詳細設定画面GA40等を用いて、文書を2つの部分PA1,PA2に区分する区分操作を実行する。詳細には、ユーザUAは、第1の部分PA1のページ番号(たとえば「第1ページから第10ページ」)と第2の部分PA2のページ番号(たとえば「第11ページから第30ページ」)とを指定する入力操作を実行する。ここでは、第1の部分PA1の所要セキュリティレベルは比較的高い値(たとえばレベルLV3)であり、第2の部分PA2の所要セキュリティレベルは比較的低い値(たとえばレベルLV2)であるものとする。換言すれば、第2の部分PA2の所要セキュリティレベルは、第1の部分PA1の所要セキュリティレベルよりも低い。また、元の最低レベル処理のセキュリティレベル(LV2)は、第2の部分PA2の所要セキュリティレベル(LV2)以上のセキュリティレベルであるが、第1の部分PA1の所要セキュリティレベル(LV3)よりも低いセキュリティレベルである。なお、ユーザUAは、各部分PA1,PA2に対するセキュリティレベルを予め知得しているものとする。
【0115】
ここにおいて、一般に、セキュリティレベルを向上させた代替処理を文書全体に対して施すと処理時間が大幅に増大する。ここでは、ユーザUAは、このような事情を考慮して、処理時間増大の抑制を意図して、部分ごとに互いに異なる処理をMFP1に実行させる。具体的には、ユーザUAは、詳細設定画面GA40等を用いて、各部分PA1,PA2に対して互いに異なる処理を施すための指示操作を行う。
【0116】
図20は、第4実施形態に係る代替処理等を示す図である。
【0117】
ユーザUAは、「元の最低レベル処理のセキュリティレベル(LV2)が第1の部分PA1の所要セキュリティレベル(LV3)よりも小さく(低く)不十分である」、と判断する。そして、図20に示すように、ユーザUAは、2つの部分PA1,PA2のうちの一方の部分PA1に関しては、第3実施形態と同様の代替処理(PX1,PT3,PM1)を実行すべき旨を指定する。
【0118】
また、ユーザUAは、「元の最低レベル処理のセキュリティレベル(LV2)は2つの部分PA1,PA2のうちの他方の第2の部分PA2の所要セキュリティレベル(LV2)以上(ここでは同一レベル)であり、部分PA2に関しては最低レベル処理の変更は不要である」、と判断する。そして、ユーザUAは、部分PA2に関しては、元の処理PT1をそのまま実行すべき旨を指定する。
【0119】
このような指定操作に応じて、代替処理選定部16は、部分PA1に関しては代替処理(PX1,PT3,PM1)を作業データDWに登録し、部分PA2に関しては当該代替処理とは異なる処理PT1を実行処理として決定する。
【0120】
MFP1は、このような指定操作にも基づいて、図20に示すように、ファイル分割処理FXを代替処理群の最初の処理として追加し、ファイル結合処理FMを代替処理群の最後の処理として追加する。ファイル分割処理FXは、スキャン処理PN1およびOCR処理PR1によって生成されたPDFファイルを2つの部分PA1,PA2に分割する処理である。ファイル結合処理FMは、部分PA1に対して代替処理(PX1,PT3,PM1)が施されて生成されたPDFファイルF1と、部分PA2に対して元の処理PT1が施されて生成されたPDFファイルF2とを結合する処理である。
【0121】
以上のような処理によれば、2つの部分PA1,PA2の各所要セキュリティレベルに応じて適切な処理を施すことが可能である。
【0122】
<5.第5実施形態>
第5実施形態は、第2実施形態の変形例である。以下では、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0123】
上記第2実施形態においては、最低レベルLV2の処理PT1のみが変更される場合が例示されている。
【0124】
この第5実施形態においては、図21に示すように、最低レベルLV2を有する日英翻訳処理PT1のみならず、最低レベル以外のセキュリティを有するOCR処理PR1もが変更される場合を例示する。具体的には、まず、最低レベルLV2の日英翻訳処理PT1が、比較的上位のセキュリティレベルLV3を有する日英翻訳処理PT2に変更される。さらに、変更後の最低レベルLV3よりも高いセキュリティレベルLV4を有するOCR処理PR1が、比較的低いセキュリティレベルLV3(変更後の最低レベルLV3以上のセキュリティレベルLV3)を有するOCR処理PR2に変更される。なお、図21は、第5実施形態に係る動作を示す図である。
【0125】
この第5実施形態においても、第2実施形態と同様にして、図17の画面GA20bが表示される。そして、ユーザUAによる確認の後にボタンBN6が押下される。図21の中段には、この時点(中間段階)における変更状態が示されている。具体的には、日英翻訳処理PT1が日英翻訳処理PT2に変更され、第3順位の処理におけるセキュリティレベルが「LV2」から「LV3」に上昇している。また、これに伴い、作業全体のセキュリティレベルも「LV2」から「LV3」に上昇している。
【0126】
その後、MFP1(代替処理選定部16等)は、作業全体のセキュリティレベル「LV3」(換言すれば、作業における最低レベルLV3)よりも高いセキュリティレベルを有する処理の中から、最低レベル処理以外の変更対象処理を選択する。ここでは、代替処理選定部16は、最低レベルLV3よりも高いセキュリティレベルLV4を有するOCR処理PR1を変更対象処理として選択するものとする。
【0127】
また、代替処理選定部16は、変更対象処理(OCR処理PR1)に代えて実行する変更後の処理を同種の複数の処理(OCR処理)の中から選択する。具体的には、代替処理選定部16は、最低セキュリティレベルLV3以上のセキュリティレベルを有するOCR処理を、変更後の処理として選択する。たとえば、代替処理選定部16は、サービスリストデータDS(図9)における「処理時間」の情報にも基づいて、OCR処理PR1よりも高速なOCR処理PR2を変更後の処理として選択する。これに伴って、OCR処理のセキュリティレベルは、「レベルLV4」から「レベルLV3」へと低下するが、作業全体のセキュリティレベルは、「レベルLV3」のまま維持され低下しない。
【0128】
なお、これに限定されず、その他の情報に基づいて、変更後の処理(OCR処理)が選択されるようにしてもよい。たとえば、OCR処理PR1よりも安価なOCR処理が変更後の処理として選択されるようにしてもよい。あるいは、OCR処理PR1よりも高品質のOCR処理(高い変換精度を有するOCR処理)が変更後の処理として選択されるようにしてもよい。
【0129】
そして、MFP1は、図17と類似の画面GA20c(不図示)をタッチスクリーン6cに表示する。当該画面GA20cは、OCR処理PR1をOCR処理PR2に変更する旨を確認する内容を含む。ユーザUAが当該変更を承認する操作を行うと、変更内容が確定される。そして、MFP1は、変更後の一連の処理(PN1,PR2,PT2,PV1)を実行する。
【0130】
以上のような動作によれば、最低セキュリティレベルLV3よりも高いセキュリティレベルLV4を有するOCR処理PR1が、変更対処処理として選択され、最低セキュリティレベルLV3以上のセキュリティレベルを有する処理(OCR処理PR2)に変更される。したがって、不必要に高過ぎるセキュリティレベルを有する処理(OCR処理PR1)を、セキュリティレベル以外に関する情報(価格情報、処理時情報間、品質情報等)にも基づいて別の処理(OCR処理PR2)に変更することも可能である。このように、作業を構成する複数の処理のセキュリティレベルをバランスよく調整することが可能である。
【0131】
なお、ここでは、OCR処理PR1が他のOCR処理PR2に変更される場合が示されているが、これに限定されず、その他の処理が変更されるようにしてもよい。たとえば、セキュリティレベルLV5のスキャン処理PN1がセキュリティレベルLV4のスキャン処理に変更されるようにしてもよい。
【0132】
<6.第6実施形態>
上記各実施形態においては、「最低レベル処理」に関する情報がユーザUAに通知される場合が例示されているが、これに限定されない。たとえば、所定の基準レベルよりも低いセキュリティを有する処理(「低レベルセキュリティ処理」とも称する)に関する情報がユーザUAに通知されるようにしてもよい。詳細には、作業の対象文書の所要セキュリティレベル(当該文書に関する基準レベル)よりも低いセキュリティレベルの処理(「低レベルセキュリティ処理」)が登録作業データDW内に含まれていることが検出されると、ユーザUAに通知されるようにしてもよい。第6実施形態においては、このような態様を例示する。
【0133】
この第6実施形態は、第1実施形態の変形例であり、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0134】
第6実施形態に係るMFP1(1Fとも称する)は、図11のステップS12において、最低レベル処理を特定する代わりに「低レベルセキュリティ処理」を特定する。具体的には、このMFP1は、登録作業データDWに基づいて、作業の対象文書の所要セキュリティレベル(当該文書に関する基準レベル)よりも低いセキュリティレベルの処理(「低レベルセキュリティ処理」)を特定する。たとえば、文書の所要セキュリティレベルが「LV3」であるときには、セキュリティレベルLV2の日英翻訳処理PT1が「低レベルセキュリティ処理」として特定される。
【0135】
なお、文書の所要セキュリティレベルは、たとえば、作業登録操作の開始時点等(ステップS12よりも前の時点)においてユーザUAによって予め設定(指定入力)され、MFP1によって取得されるようにすればよい。あるいは、MFP1が作業登録操作の開始時点等において対象文書の先頭ページのみを仮スキャンすることによって、MFP1が文書の所要セキュリティレベルを取得するようにしてもよい。より詳細には、MFP1は、仮スキャンにおけるスキャン画像に対して文字認識処理を施すことによって、文書に記載された情報(「機密情報」の文字、あるいは「文書セキュリティレベル4」の文字等)を検出し、文書の所要セキュリティレベルを決定するようにしてもよい。
【0136】
そして、ステップS13においては、「低レベルセキュリティ処理」に関する情報がユーザUAに通知される。たとえば、図22に示すような通知画面GA20dが用いられる。通知画面GA20dは、図12の通知画面GA20aと同様の画面である。ただし、通知画面GA20dは、「指定された日英翻訳処理PT2のセキュリティレベルLV2は、作業の所要セキュリティレベルLV3よりも低いため、処理変更が必要です。(変更対象ボタンを押すと、「処理」を編集できます。)」などの文字列を有している。
【0137】
ユーザUAは、当該画面GA20dを確認した後に、第1実施形態と同様にして、ボタンBN13等を押下して処理変更操作を実行する。これにより、変更後の処理が適切に指定される。たとえば、日英翻訳処理PT2が代替処理として指定される。そして、当該変更後の処理を含む一連の処理が実行される。
【0138】
以上のような動作によれば、作業に関する「低セキュリティレベル処理」が特定され、当該低セキュリティレベル処理に関する情報(処理名およびセキュリティレベル情報等)がユーザに通知される。そのため、ユーザは、この作業における各処理のセキュリティが所定の基準を充足するか否かを容易に確認することが可能である。したがって、複数の処理が実行される場合において、より適切にセキュリティを確保することが可能である。
【0139】
<7.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0140】
たとえば、上記各実施形態においては、スキャン処理の実行前に作業の登録動作が実行される場合が例示されているが、これに限定されず、スキャン処理の実行後にその他の処理に関する作業の登録動作が実行されるようにしてもよい。
【0141】
また、上記各実施形態においては、スキャン処理とOCR処理と翻訳処理とサーバ保存処理との4つの処理(ジョブ)がこの順序で実行される場合が主に例示されているが、これに限定されず、その他の処理にも本発明が適用され得る。たとえば、ウェブストレージから文書データファイルを取得する処理、翻訳サービスで当該文書データファイルを日本語から英語に翻訳する処理、および翻訳後の文書データファイルをプリントアウトする処理等を含む複数の処理に関しても上記の思想を適用することが可能である。
【0142】
また、上記第6実施形態に係る思想は、第1実施形態のみならず、その他の実施形態等に対しても適用可能である。
【0143】
具体的には、第2実施形態において、文書の所要セキュリティレベルよりも低いセキュリティレベルの処理(「低セキュリティレベル処理」)が登録作業データDW内に含まれている旨が判定されるときには、その旨がユーザUAに通知されるようにしてもよい。
【0144】
そして、「最低レベル処理」の代替処理の選定動作に代えて、「低セキュリティレベル処理」の代替処理の選定動作がMFP1により行われるようにしてもよい。変更対象処理が「最低レベル処理」ではなく「低セキュリティレベル処理」である点で上記第2実施形態と相違するが、その他の点では上記第2実施形態と同様である。
【0145】
図23は、このような改変例に係る通知画面GA20eを示す図である。図23に示すような画面GA20eを用いて、「低セキュリティレベル処理」である日英翻訳処理PT1に関する情報(処理名およびセキュリティレベルLV2)が通知されるとともに、セキュリティレベルLV3の日英翻訳処理PT2が日英翻訳処理PT1の代替処理として通知されるようにしてもよい。
【0146】
他の第3実施形態〜第5実施形態等に対しても同様の改変が可能である。
【0147】
また、第4実施形態においてはユーザUAが文書の分割情報(区分情報)を指定する場合が例示されているが、これに限定されず、MFP1が文書内での分割位置を判定するようにしてもよい。さらには、MFP1が分割後の各部分に対する処理を決定するようにしてもよい。なお、このような改変は、「最低レベル処理」が通知される場合にも適用可能であり、「低セキュリティレベル処理」が通知される場合にも適用可能である。以下では、「低セキュリティレベル処理」が通知される場合に当該改変を適用する例について説明する。
【0148】
たとえば、スキャン処理が実行された後に、当該スキャン処理以外の複数の処理の登録動作が実行される場合を想定する。この場合において、MFP1は、当該スキャン処理の実行時に文字認識処理等を用いて各ページのセキュリティレベル情報をそれぞれ読み取り、各ページのセキュリティレベル情報に基づいて、文書を2つの部分PA1,PA2に区分する。また、ここでは、第6実施形態にて例示した手法等によって、登録操作中の或る時点(ステップS12よりも前の時点)にてMFP1が部分PA1,PA2の各所要セキュリティレベルを取得するものとする。
【0149】
その後、当該スキャン処理以外の複数の処理に関する作業の登録操作が行われ、MFP1は、ステップS11以降の動作を実行し、部分ごとの所要セキュリティレベルに基づいて各部分PA1,PA2に対する適切な処理をそれぞれ決定する。
【0150】
具体的には、ステップS12において、特定部14は、部分PA1の所要セキュリティレベルLV3と複数の処理PN1,PR1,PT1,PV1の各セキュリティレベルとをそれぞれ比較し、「低セキュリティレベル処理」を検出する。具体的には、セキュリティレベルLV2の日英翻訳処理PT1が、部分PA1に関する「低セキュリティレベル処理」として特定される。
【0151】
さらに、特定部14は、部分PA2の所要セキュリティレベルLV2と複数の処理PN1,PR1,PT1,PV1の各セキュリティレベルとをそれぞれ比較し、「低セキュリティレベル処理」を検出する。処理PN1,PR1,PT1,PV1の各セキュリティレベルは、いずれも、部分PA2の所要セキュリティレベルLV2以上であるため、部分PA2に関する「低セキュリティレベル処理」は検出されない。
【0152】
また、ステップS13において、通知処理のみならず、代替処理の選択動作等もが実行される。具体的には、代替処理選定部16は、部分PA1に関する日英翻訳処理PT1の代替処理をサービスリストデータDS(図9)に基づいて選定する。具体的には、日英翻訳処理PT1(「低セキュリティレベル処理」)と同じ種類の処理(日英翻訳処理)であり且つ部分PA1の所要セキュリティレベルLV3以上のレベルの処理が代替処理として選定される。たとえば、第4実施形態と同様に、3つの処理PX1,PT3,PM1の組み合わせが代替処理(代替処理群)として選定される(図20参照)。あるいは、セキュリティレベルLV4の日英翻訳処理PT4等が代替処理として選定されるようにしてもよい。
【0153】
さらに、代替処理選定部16は、ファイル分割処理FX(上述)を代替処理群の最初の処理として追加し、ファイル結合処理FM(上述)を代替処理群の最後の処理として追加する(図20参照)。
【0154】
そして、MFP1は、変更内容の確認画面をタッチスクリーン6cに表示し、ユーザUAによる承認動作を経た後に、変更後の一連の処理を実行する。ただし、上述のように複数の処理のうち一部の処理に関しては、文書内の部分PA1,PA2ごとに異なる処理が実行される。
【0155】
以上のように、このような改変例によれば、第6実施形態と同様の効果を得ることが可能であるとともに、2つの部分PA1,PA2の各所要セキュリティレベルに応じて適切な処理を施すことが可能である。
【0156】
あるいは、最低レベル処理の検出動作と低セキュリティレベル処理の検出動作との双方が実行されるようにしてもよい。具体的には、第1実施形態において、ステップS12で検出された最低レベル処理のセキュリティレベルが対象文書の所要セキュリティレベルよりも低いことをも条件として、ステップS13においてユーザUAへの通知が行われるようにしてもよい。これによれば、最低レベル処理が所定の基準を充足していないことがユーザUAに通知されるので、ユーザUAは当該通知に応じて適切な措置を講じることが可能である。特に、ステップS12で検出された最低レベル処理のセキュリティレベルが対象文書の所要セキュリティレベル以上である場合には、ユーザUAに対する通知が行われないので、ユーザUAへの過剰な通知を抑制することが可能である。なお、第2〜第4実施形態等に関しても同様の改変が可能である。
【0157】
また、上記第4実施形態においては、第1実施形態と同様に、代替処理がユーザの指定操作に応じて決定される場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、部分PA1に関しては、第2実施形態と同様に、サービスリストデータDSに基づいて代替処理選定部16によって選定されるようにしてもよい。また、部分PA2に関しては、第1実施形態と同様に、ユーザの指定操作に応じて決定されればよい。ただし、これに限定されず、部分PA2に関しても、第2実施形態と同様に、サービスリストデータDSに基づいて代替処理選定部16によって選定されるようにしてもよい。
【0158】
特に、部分PA1,PA2の各所要セキュリティレベルに関する情報がユーザUAによる入力等の各種手法(上述)によってMFP1によって取得される場合には、代替処理選定部16は、取得された当該情報に基づいて、「最低レベル処理」の代替処理等を部分ごとに決定するようにしてもよい。詳細には、「最低レベル処理」のセキュリティレベルと各部分PA1,PA2の所要セキュリティレベルとが比較され、複数の部分PA1,PA2のうち、その所要セキュリティレベルが「最低レベル処理」のセキュリティレベルよりも高い部分に対してのみ、代替処理が決定されるようにしてもよい。一方、その所要セキュリティレベルが「最低レベル処理」のセキュリティレベル以下である部分に対しては、元の最低レベル処理が実行処理としてそのまま決定されるようにしてもよい。たとえば、部分PA1の所要セキュリティレベルLV3は「最低レベル処理」のセキュリティレベルLV2よりも高いため、代替処理選定部16は、部分PA1に関しては、第3実施形態と同様の代替処理(PX1,PT3,PM1)を実行すべき旨を決定すればよい。また、部分PA2の所要セキュリティレベルLV2は「最低レベル処理」のセキュリティレベルLV2と同じであるため、代替処理選定部16は、部分PA2に関しては、元の処理PT1をそのまま実行処理として決定すればよい。
【0159】
また、上記各実施形態における作業データDWは、MFP1の内部に登録されてもよく、MFP1の外部の装置(ファイルサーバ等)に登録されてもよい。たとえば、MFP1は、当該登録された作業データ(登録作業の作業データ)をユーザ操作等に応じて外部装置(ファイルサーバ等)からネットワークNWを介して取得するようにしてもよい。そして、MFP1は、登録作業に含まれる複数の処理を当該作業データに基づいて特定するとともに、当該複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得するようにしてもよい。
【0160】
また、上記第1〜第4実施形態においては、「最低レベル処理」の処理名およびセキュリティレベル等が通知される場合が例示されているが、これに限定されない。たとえば、「最低レベル処理」に関する処理速度情報、価格情報および/または品質情報等もがユーザに通知(提示)されるようにしてもよい。より詳細には、元の最低レベル処理に関する「処理時間」情報(処理速度情報)と代替処理に関する「処理時間」情報(処理速度情報)とが通知画面GA20に表示されるようにしてもよい。このような改変によれば、セキュリティレベル以外の種々の要素をも考慮して代替処理が決定され得る。また、「低セキュリティレベル処理」に関する通知についても同様の改変が可能である。
【0161】
また、上記各実施形態においては、画像形成装置としてMFPが例示されているが、これに限定されず、画像形成装置は、単機能プリンタ、コピー装置、あるいはスキャナ装置等として構成されてもよい。
【0162】
また、上記の思想は、スキャナ装置およびコンピュータ等を備えて構成される画像処理システムにおいて実行されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0163】
1 MFP
6c タッチスクリーン
9 コントローラ
70,90 サーバ
100 画像処理システム
DS サービスリストデータ
DW 登録作業データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の処理で構成される作業を実行することが可能な画像処理装置であって、
各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて前記複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する取得手段と、
前記複数の処理のうち、最も低いセキュリティレベルを有する処理である最低レベル処理を特定する特定手段と、
前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記最低レベル処理に代えて実行される代替処理を前記セキュリティレベル情報に基づいて選定する選定手段、
をさらに備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記選定手段は、前記最低レベル処理と同じ種類の処理であり且つ前記最低レベル処理のセキュリティレベルよりも高いセキュリティレベルを有する処理を、前記代替処理として選定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記選定手段は、前記最低レベル処理と同等の機能を実現する2つ以上の処理であって、前記最低レベル処理のセキュリティレベルよりも高いセキュリティレベルを有する前記2つ以上の処理を、前記代替処理として選定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記選定手段は、前記作業の対象文書における複数の部分のうち、第1の所要セキュリティレベルを有する第1の部分に関しては前記代替処理を選定するとともに、前記第1の所要セキュリティレベルとは異なる第2の所要セキュリティレベルを有する第2の部分に関しては前記代替処理とは異なる処理を実行処理として決定することを決定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記選定手段は、前記各処理に関する処理速度情報、価格情報および品質情報のうちの少なくとも1つにも基づいて、前記最低レベル処理の代替処理を選定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記選定手段は、前記複数の処理のうち、前記最低レベル処理以外の処理である変更対象処理に代えて実行する変更後の処理を、前記各処理に関する処理速度情報、価格情報および品質情報のうちの少なくとも1つにも基づいて選定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記最低レベル処理に対する代替処理の指定入力を受け付ける受付手段、
をさらに備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記通知手段は、前記各処理に関する処理速度情報、価格情報および品質情報のうちの少なくとも1つをも前記ユーザに通知することを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記通知手段は、前記最低レベル処理のセキュリティレベルを通知することを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記通知手段は、前記最低レベル処理のセキュリティレベルが前記作業の対象文書に関する基準レベルより低いことを条件として、前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知することを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
複数の処理で構成される作業を実行することが可能な画像処理システムであって、
各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて前記複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する取得手段と、
前記複数の処理のうち、最も低いセキュリティレベルを有する処理である最低レベル処理を特定する特定手段と、
前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項13】
コンピュータに、
a)各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて、所定の作業を構成する複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得するステップと、
b)前記複数の処理のうち、最も低いセキュリティレベルを有する処理である最低レベル処理を特定するステップと、
c)前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項14】
複数の処理で構成される作業を実行することが可能な画像処理装置であって、
各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて前記複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する取得手段と、
前記複数の処理のうち、前記作業の対象文書に関する基準レベルよりも低いセキュリティレベルを有する処理である低セキュリティレベル処理を特定する特定手段と、
前記低セキュリティレベル処理に関する情報をユーザに通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項15】
複数の処理で構成される作業を実行することが可能な画像処理システムであって、
各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて前記複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する取得手段と、
前記複数の処理のうち、前記作業の対象文書に関する基準レベルよりも低いセキュリティレベルを有する処理である低セキュリティレベル処理を特定する特定手段と、
前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項16】
コンピュータに、
a)各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて、所定の作業を構成する複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得するステップと、
b)前記複数の処理のうち、前記作業の対象文書に関する基準レベルよりも低いセキュリティレベルを有する処理である低セキュリティレベル処理を特定するステップと、
c)前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項1】
複数の処理で構成される作業を実行することが可能な画像処理装置であって、
各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて前記複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する取得手段と、
前記複数の処理のうち、最も低いセキュリティレベルを有する処理である最低レベル処理を特定する特定手段と、
前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記最低レベル処理に代えて実行される代替処理を前記セキュリティレベル情報に基づいて選定する選定手段、
をさらに備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記選定手段は、前記最低レベル処理と同じ種類の処理であり且つ前記最低レベル処理のセキュリティレベルよりも高いセキュリティレベルを有する処理を、前記代替処理として選定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記選定手段は、前記最低レベル処理と同等の機能を実現する2つ以上の処理であって、前記最低レベル処理のセキュリティレベルよりも高いセキュリティレベルを有する前記2つ以上の処理を、前記代替処理として選定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記選定手段は、前記作業の対象文書における複数の部分のうち、第1の所要セキュリティレベルを有する第1の部分に関しては前記代替処理を選定するとともに、前記第1の所要セキュリティレベルとは異なる第2の所要セキュリティレベルを有する第2の部分に関しては前記代替処理とは異なる処理を実行処理として決定することを決定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記選定手段は、前記各処理に関する処理速度情報、価格情報および品質情報のうちの少なくとも1つにも基づいて、前記最低レベル処理の代替処理を選定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記選定手段は、前記複数の処理のうち、前記最低レベル処理以外の処理である変更対象処理に代えて実行する変更後の処理を、前記各処理に関する処理速度情報、価格情報および品質情報のうちの少なくとも1つにも基づいて選定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記最低レベル処理に対する代替処理の指定入力を受け付ける受付手段、
をさらに備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記通知手段は、前記各処理に関する処理速度情報、価格情報および品質情報のうちの少なくとも1つをも前記ユーザに通知することを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記通知手段は、前記最低レベル処理のセキュリティレベルを通知することを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記通知手段は、前記最低レベル処理のセキュリティレベルが前記作業の対象文書に関する基準レベルより低いことを条件として、前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知することを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
複数の処理で構成される作業を実行することが可能な画像処理システムであって、
各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて前記複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する取得手段と、
前記複数の処理のうち、最も低いセキュリティレベルを有する処理である最低レベル処理を特定する特定手段と、
前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項13】
コンピュータに、
a)各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて、所定の作業を構成する複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得するステップと、
b)前記複数の処理のうち、最も低いセキュリティレベルを有する処理である最低レベル処理を特定するステップと、
c)前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項14】
複数の処理で構成される作業を実行することが可能な画像処理装置であって、
各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて前記複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する取得手段と、
前記複数の処理のうち、前記作業の対象文書に関する基準レベルよりも低いセキュリティレベルを有する処理である低セキュリティレベル処理を特定する特定手段と、
前記低セキュリティレベル処理に関する情報をユーザに通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項15】
複数の処理で構成される作業を実行することが可能な画像処理システムであって、
各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて前記複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得する取得手段と、
前記複数の処理のうち、前記作業の対象文書に関する基準レベルよりも低いセキュリティレベルを有する処理である低セキュリティレベル処理を特定する特定手段と、
前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項16】
コンピュータに、
a)各処理のセキュリティレベルを規定したセキュリティレベル情報に基づいて、所定の作業を構成する複数の処理のセキュリティレベルをそれぞれ取得するステップと、
b)前記複数の処理のうち、前記作業の対象文書に関する基準レベルよりも低いセキュリティレベルを有する処理である低セキュリティレベル処理を特定するステップと、
c)前記最低レベル処理に関する情報をユーザに通知するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−238142(P2012−238142A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106035(P2011−106035)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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