説明

画像処理システム、画像処理装置及びプログラム

【課題】照合基準の媒体の画像と、照合対象の媒体の画像と、を比較して照合基準の媒体と照合対象の媒体と、の同一性を判定する場合において、照合基準の媒体の画像に含まれる筋状の雑音成分の影響を抑制する。
【解決手段】雑音画素列特定部26Bは、照合対象の原稿画像中の黒スジに係る雑音画素列を特定し、照合基準情報取得部48は、照合基準の原稿画像に含まれる照合基準領域の画像から、上記雑音画素列に応じた位置の画素列を除外した第1マスク画像を生成し、照合対象情報取得部50は、照合対象の原稿画像に含まれる照合対象領域の画像から上記雑音画素列に応じた位置の画素列を除外した第2マスク画像を生成する。そして、比較部52が第1マスク画像と第2マスク画像とを比較することによって、判定部54が、照合対象の原稿と照合基準の原稿との同一性を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システム、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記、特許文献1には、媒体(例えば、紙媒体)の表面の像を示す画像を予め登録された画像と比較することによって、当該媒体の真贋を判定する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4103826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、照合基準の媒体の表面に形成された繊維の紋様を示す照合基準の媒体画像と、照合対象の媒体の表面に形成された繊維の紋様を示す照合対象の媒体画像と、を比較することによって照合基準の媒体と照合対象の媒体と、の同一性を判定する場合において、照合基準の媒体画像に含まれる筋状の雑音成分の影響を抑制できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、照合基準の媒体の表面に形成された繊維の紋様を示す照合基準の媒体画像を取得する照合基準媒体画像取得手段と、照合対象の媒体の表面に形成された繊維の紋様を示す照合対象の媒体画像を取得する照合対象媒体画像取得手段と、前記照合基準の媒体画像に含まれる筋状の雑音成分に係る画素列である雑音画素列を特定する特定手段と、前記雑音画素列に応じた位置の画素列である第1−1画素列を、前記照合基準の媒体画像に含まれる照合基準領域の画像から除外した画像、を生成する第1の生成手段と、前記照合基準領域の画像に含まれる前記第1−1画像列に対応する画素列である第1−2画素列を、前記照合対象の媒体画像に含まれる照合対象領域の画像から除外した画像、を生成する第2の生成手段と、前記第1の生成手段により生成された画像と、前記第2の生成手段により生成された画像と、を比較して、前記照合基準の媒体と、前記照合対象の媒体と、が同一であるか否かを判定する判定手段と、を含むことを特徴とする画像処理システムである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記特定手段は、前記雑音画素列である第1雑音画素列と、前記照合対象の媒体画像に含まれる筋状の雑音成分に係る画素列である第2雑音画素列と、を特定し、前記第2の生成手段は、前記第1−2画素列と、前記第2雑音画素列に応じた位置の画素列である第2−2画素列と、を前記照合対象領域の画像から除外した画像、を生成し、前記第1の生成手段は、前記第1−1画素列と、前記照合対象領域の画像に含まれる前記第2−2画素列に対応する画素列である第2−1画素列と、を前記照合基準領域の画像から除外した画像、を生成することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記画像処理システムは、前記照合基準の媒体を副走査方向に搬送しながら前記照合基準の媒体の表面の像を読み取る第1の画像読取手段と、前記照合対象の媒体を副走査方向に搬送しながら前記照合対象の媒体の表面の像を読み取る第2の画像読取手段と、をさらに含み、前記照合基準媒体画像取得手段は、前記第1の画像読取手段が前記照合基準の媒体から読み取った前記照合基準の媒体画像を取得し、前記照合対象媒体画像取得手段は、前記第2の画像読取手段が、前記照合対象の媒体から読み取った前記照合対象の媒体画像を取得し、前記特定手段は、前記照合基準の媒体画像に含まれる筋状の雑音成分に係る、前記副走査方向に伸びる画素列である前記雑音画素列を特定し、前記第1の生成手段は、前記雑音画素列に応じた位置の、前記副走査方向に伸びる画素列である前記第1−1画素列を、前記照合基準領域の画像から除外した画像、を生成し、前記第2の生成手段は、前記照合基準領域の画像に含まれる前記第1−1画素列に対応する、前記副走査方向に伸びる画素列である前記第1−2画素列を、前記照合対象領域の画像から除外した画像、を生成することを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するための請求項4の発明は、照合基準の媒体の表面に形成された繊維の紋様を示す照合基準の媒体画像に含まれる筋状の雑音成分、に係る画素列である雑音画素列を特定する特定手段と、前記雑音画素列に応じた位置の画素列である第1−1画素列を、前記照合基準の媒体画像に含まれる照合基準領域の画像から除外した画像、を生成する第1の生成手段と、前記照合基準領域の画像に含まれる前記第1−1画素列に対応する画素列である第1−2画素列を、照合対象の媒体の表面に形成された繊維の紋様を示す照合対象の媒体画像に含まれる照合対象領域の画像から除外した画像、を生成する第2の生成手段と、前記第1の生成手段により生成された画像と、前記第2の生成手段により生成された画像と、を比較して、前記照合基準の媒体と、前記照合対象の媒体と、が同一であるか否かを判定する判定手段と、を含むことを特徴とする画像処理装置である。
【0009】
また、上記課題を解決するための請求項5の発明は、照合基準の媒体の表面の像を示す照合基準の媒体画像に含まれる筋状の雑音成分、に係る画素列である雑音画素列を特定する特定手段、前記雑音画素列に応じた位置の画素列である第1−1画素列を、前記照合基準の媒体画像に含まれる照合基準領域の画像から除外した画像、を生成する第1の生成手段、前記照合基準領域の画像に含まれる前記第1−1画素列に対応する画素列である第1−2画素列を、照合対象の媒体の表面に形成された繊維の紋様を示す照合対象の媒体画像に含まれる照合対象領域の画像から除外した画像、を生成する第2の生成手段、前記第1の生成手段により生成された画像と、前記第2の生成手段により生成された画像と、を比較して、前記照合基準の媒体と、前記照合対象の媒体と、が同一であるか否かを判定する判定手段、としてコンピュータを機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1、請求項4、及び請求項5の発明によれば、照合基準の媒体の表面に形成された繊維の紋様を示す照合基準の媒体画像と、照合対象の媒体の表面に形成された繊維の紋様を示す照合対象の媒体画像と、を比較することによって照合基準の媒体と照合対象の媒体と、の同一性を判定する場合において、照合基準の媒体画像に含まれる筋状の雑音成分の影響を抑制できる。
【0011】
請求項2の発明によれば、照合対象の媒体画像に含まれる筋状の雑音成分の影響も抑制できるようになる。
【0012】
請求項3の発明によれば、副走査方向に伸びる筋状の雑音成分の影響を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理システムの構成の例を示す図である。
【図2】画像処理装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】原稿を例示する図である。
【図4】画像処理システムにて実現される機能群を例示する機能ブロック図である。
【図5】照合基準の原稿画像を例示する図である。
【図6】ハードディスクに記憶される照合基準領域の座標範囲の例を示す図である。
【図7】第1雑音画素列を特定する方法について説明するための図である。
【図8】登録部によってハードディスクに記憶される情報の例を示す図である。
【図9】画像処理システムにて実現される機能群を例示する機能ブロック図である。
【図10】照合対象の原稿画像を例示する図である。
【図11】ハードディスクに記憶される照合対象領域の座標範囲の例を示す図である。
【図12】照合対象画像の取得方法について説明するための図である。
【図13A】第1マスク画像の生成方法について説明するための図である。
【図13B】第2マスク画像の生成方法について説明するための図である。
【図14】画像処理システムにて実現される機能群を例示する機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の例について図面に基づき詳細に説明する。
【0015】
[画像処理システム]
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理システム1の構成の例を示す図である。同図に示すように、画像処理システム1は、複数の画像処理装置2と、データベース4と、を含む。画像処理装置2は、例えばスキャナ機能を備えたプリンタであり、データベース4は、例えばデータベースサーバである。各画像処理装置2は、データベース4とネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0016】
[画像処理装置]
図2は、画像処理装置2のハードウェア構成の例を示す図である。同図に示すように、画像処理装置2は、制御部6と、主記憶8と、ハードディスク10と、表示部12と、操作入力部14と、ネットワークインタフェース16(以下、ネットワークIF16と記載する)と、スキャナ18と、を含む。また、ここでは図示していないが、画像処理装置2は、紙媒体に画像を形成する画像形成部なども含む。
【0017】
制御部6は、例えばマイクロプロセッサであり、主記憶8に記憶されるプログラムに従って情報処理を実行する。
【0018】
主記憶8は、例えばRAMである。主記憶8には上記プログラムが格納される。このプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD(登録商標)−ROM、磁気テープ、ハードディスク、MO、MD、ICカード等のコンピュータ読取可能な情報記憶媒体から読み出されて主記憶8に格納されてもよいし、インターネットなどの通信ネットワーク等の通信網から供給されて主記憶8に格納されてもよい。
【0019】
また、主記憶8には情報処理の過程で必要となる各種データも格納される。
【0020】
ハードディスク10は、補助記憶装置として用いられる記憶媒体であり、各種情報が格納される。ハードディスク10の記憶内容については後述する。
【0021】
表示部12は、例えば画像処理装置2の側面に設けられた液晶ディスプレイであり、制御部6から出力される情報を表示する。
【0022】
操作入力部14は、ユーザが操作入力を行うためのインタフェースであり、ユーザの操作内容を示す信号を制御部6に出力する。
【0023】
ネットワークIF16は、画像処理装置2をネットワークと接続するためのインタフェースであり、例えば、ネットワークインタフェースカードである。ネットワークIF16は、ネットワークから受信した情報を制御部6に出力したり、制御部6から出力される情報をネットワークに送信したりする。
【0024】
スキャナ18は、例えばCVT(Constant Velocity Transport)方式のスキャナであり、原稿の表面の像を読み取り、原稿の表面の像を示す原稿画像を制御部6に出力する。すなわち、スキャナ18では、自動原稿送り装置によって原稿がコンタクトガラスへと搬送される。コンタクトガラスには光源から光が照射されるようになっており、照射された光の反射光が主走査方向に配列されたCCDセンサ群によって受光される。そして、各CCDセンサから出力される画像信号がA/D変換されて制御部6に入力される。なお、以下、原稿の搬送方向を「副走査方向」と呼ぶ。
【0025】
[原稿]
ここで、画像処理システム1で用いられる原稿について説明する。図3は、原稿を例示する図である。本実施形態の場合、原稿は紙媒体であり、一点鎖線内の領域である記載領域30と、一点鎖線外の領域である余白領域34と、に区画される。なお、一点鎖線は、記載領域30と、余白領域34と、の仮想的な境界を示しており、原稿に印刷されている訳ではない。記載領域30は、文章や画像などが記載される領域である。具体的には、記載領域30の左上に、原稿の識別情報である原稿IDを示すコード画像32が予め印刷される。一方、余白領域34には、何も記載されていない領域である。
【0026】
[画像処理システムの利用形態]
画像処理システム1では、ユーザは、原稿の表面に形成された当該原稿に固有の紙指紋の登録を行う。ここで、紙指紋とは、原稿を構成する繊維により、当該原稿の表面に形成された紋様である。具体的には、ユーザは、紙指紋の登録対象となる登録対象原稿をいずれかの画像処理装置2に設置し、紙指紋の登録を指示する登録指示操作を行うことにより登録対象原稿をスキャンさせる。その結果、登録対象原稿の表面の像を示す画像、すなわち登録対象原稿の紙指紋を示す画像が取得され、データベース4に格納(登録)される。
【0027】
また、ユーザは、原稿の真贋の確認を行う。具体的には、ユーザは、原稿の真贋を確認するために、真贋判定の対象となる判定対象原稿をいずれかの画像処理装置2に設置し、真贋判定を指示する真贋判定指示操作を行って判定対象原稿をスキャンさせる。その結果、判定対象原稿の表面の像を示す画像、すなわち判定対象原稿の紙指紋を示す画像が取得され、取得された画像と、データベース4に登録された画像と、の照合が行われる。また、照合結果から判定対象原稿の真贋が判定される。
【0028】
以下、「判定対象原稿」の立場から、「登録対象原稿」を照合の基準となる原稿である「照合基準の原稿」と定義し、「判定対象原稿」を照合基準の原稿との照合の対象となる「照合対象の原稿」と定義して、説明を続ける。なお、「登録対象原稿」の立場から、「判定対象原稿」を「照合基準の原稿」と定義し、「登録対象原稿」を「照合対象の原稿」と定義してもよい。
【0029】
[機能ブロックその一]
図4は、画像処理システム1にて実現される機能群を例示する機能ブロック図である。同図に示す機能群は、登録指示操作を受け付けた画像処理装置2(以下、「第1の画像処理装置」と記載する)の制御部6が、上記プログラムに従って動作することによって、実現される。
【0030】
[照合基準原稿画像取得部]
照合基準原稿画像取得部20は、照合基準の原稿の表面に形成された繊維の紋様を示す照合基準の原稿画像を取得する。本実施形態の場合、照合基準原稿画像取得部20は、第1の画像処理装置のスキャナ18が読み取った照合基準の原稿の表面の像、を示す画像を、照合基準の原稿画像として取得する。
【0031】
図5は、照合基準の原稿画像を例示する図である。照合基準の原稿画像は、副走査方向に並べられた複数の画素からなる画素列を複数含み、各画素列は、主走査方向に配列されている。照合基準の原稿画像には、副走査方向に平行なY座標軸と主走査方向に平行なX座標軸とが設定されており、各画素列の位置は、その画素列のX座標値により表される。
【0032】
照合基準の原稿画像には、照合基準の原稿に固有の紙指紋が含まれる。また、照合基準の原稿画像には、場合によって、コンタクトガラスに付着したゴミやCCDセンサ自身に起因する筋状のノイズ成分が含まれる。このノイズ成分は、一般に「黒スジ」と呼ばれ、副走査方向に伸びている。符号38A、符号38B、の各々に指し示されている縦線が黒スジを示している。同図に示すように、黒スジ38AのX座標値はXAであり、黒スジ38BのX座標値はXBとなっている。
【0033】
なお、符号36A、符号36Bのそれぞれによって指し示されている領域は、それぞれ、照合基準領域A、照合基準領域Bを示している。照合基準領域A及び照合基準領域Bは、照合基準の原稿画像に含まれる領域である。また、照合基準領域A及び照合基準領域Bは同一形状及び同一サイズとなるよう予め定められた領域であり、照合基準領域Aの範囲を示す座標(以下、座標範囲と呼ぶ)及び照合基準領域Bの座標範囲がハードディスク10に予め記憶されている。ハードディスク10に記憶される、照合基準領域Aの座標範囲及び照合基準領域Bの座標範囲、の例を図6に示した。
【0034】
なお、以下、照合基準領域Aと照合基準領域Bとを総称して、「照合基準領域」と記載する場合がある。
【0035】
[原稿ID取得部]
原稿ID取得部22は、照合基準の原稿画像に含まれるコード画像32を解析することによって、コード画像32が示す原稿ID、すなわち、照合基準の原稿の原稿IDを取得する。
【0036】
[照合基準画像取得部]
照合基準画像取得部24は、照合基準の原稿画像から照合基準領域を切り出すことによって、照合基準領域の画像を生成する。
【0037】
すなわち、照合基準画像取得部24は、照合基準領域A及び照合基準領域Bを切り出すことによって、照合基準領域A(図5参照)の画像である照合基準画像Aと照合基準領域B(図5参照)の画像である照合基準画像Bとを生成する。本実施形態の場合、照合基準画像取得部24は、照合基準画像Aと照合基準画像Bとを順次生成する。なお、以下、照合基準画像Aと照合基準画像Bとを総称して、「照合基準画像」と記載する場合がある。
【0038】
[雑音画素列特定部]
雑音画素列特定部26Aは、照合基準の原稿画像に含まれる上記黒スジに係る第1雑音画素列を特定する。
【0039】
本実施形態の場合、雑音画素列特定部26Aは、照合基準画像が取得されるごとに、取得された照合基準画像Xについて第1雑音画素列を特定する。
【0040】
図7は、第1雑音画素列を特定する方法について説明するための図である。図7の上部に記載されている画像は、照合基準画像Xを示している。ここでは、照合基準画像Xが照合基準画像Aである場合を例に取り上げている。まず、雑音画素列特定部26Aは、照合基準画像Xを構成する画素列ごとに、当該画素列の各画素の画素値(例えば、濃度値)に応じた評価値Sを算出する。ここで、評価値Sは、例えば、画素列に含まれる各画素の画素値の総和である。また、例えば評価値Sは、画素値が基準値以上である画素の個数である。そして、雑音画素列特定部26Aは、評価値Sが基準値Sth以上である画素列、すなわち、第1雑音画素列を特定する。より詳しくは、雑音画素列特定部26Aは、第1雑音画素列のX座標値(位置)を特定する。例えば照合基準画像Xが照合基準画像Aである場合、黒スジ38AのX座標値「XA」が第1雑音画像列のX座標値として特定されることになる。
【0041】
なお、雑音画素列特定部26Aは、照合基準画像Xを構成する画素列ごとに、余白領域34に含まれる画素の画素値の総和、又は、余白領域34に含まれる画素のうちの上記画素値が基準値以上である画素の個数、を評価値Sとして算出し、評価値Sが基準値Sth以上である画素列を第1雑音画素列として特定するようにしてもよい。
【0042】
また、スキャナ18が黒スジを検出する黒スジ検出機能を有する場合、スキャナ18から出力される情報から第1雑音画素列を特定するようにしてよい。この場合、スキャナ18によって黒スジに係る画素列として検出された画素列のうち照合基準領域Xに含まれる画素列を第1雑音画素列として特定するようにしてもよい。なお、黒スジ検出機能を有するスキャナとしては、例えば、R(赤)、G(緑)、及びB(青)の色に関する信号(色信号)を出力する第1のCCDセンサ群と、濃淡に関する信号(濃淡信号)を出力する第2のCCDセンサ群と、を含むスキャナであって、色信号に基づいて生成された、濃淡を表す画像(濃淡画像)と、濃淡信号から生成される濃淡画像と、を比較することによって黒スジに係る画素列を検出するスキャナが挙げられる。
【0043】
[登録部]
登録部28は、原稿ID取得部22によって取得された原稿IDと、照合基準画像取得部24によって取得された照合基準画像と、雑音画素列特定部26Aによって特定された第1雑音画素列のX座標値と、を関連付けてデータベース4(記憶手段)に記憶させる。図8に、登録部28によってハードディスク10に記憶される情報の例を示した。なお、「XA(W)」は、「XA−W」に位置する画素列から「XA+W」に位置する画素列までが第1雑音画素列であることを示している。
【0044】
[機能ブロックその二]
図9は、画像処理システム1にて実現される他の機能群を例示する機能ブロック図である。同図に示す機能群は、真贋判定指示操作を受け付けた画像処理装置2(以下、「第2の画像処理装置」と記載する)の制御部6が、上記プログラムに従って動作することによって、実現される。なお、第1の画像処理装置と第2の画像処理装置とは同一であってよい。
【0045】
[照合対象原稿画像取得部]
照合対象原稿画像取得部40は、照合対象の原稿の表面に形成された繊維の紋様を示す照合対象の原稿画像を取得する。本実施形態の場合、照合対象原稿画像取得部40は、第2の画像処理装置のスキャナ18が読み取った照合対象の原稿の表面の像、を示す画像を、照合対象の原稿画像として取得する。
【0046】
図10は、照合対象の原稿画像を例示する図である。照合対象の原稿画像も、照合基準の原稿画像と同様に、副走査方向に並べられた複数の画素からなる画素列を複数含んでおり、各画素列は主走査方向に配列されている。また、照合対象の原稿画像にも、副走査方向に平行なY座標軸と主走査方向に平行なX座標軸とが設定されており、各画素列の位置が、その画素列のX座標値により表されるようになっている。照合対象の原稿画像には、照合対象の原稿に固有の紙指紋が含まれる。
【0047】
また、照合対象の原稿画像にも、照合基準の原稿画像と同様に、場合によって、コンタクトガラスに付着したゴミやCCDセンサ自身に起因する上記黒スジが含まれる。符号38C、符号38D、の各々に指し示されている縦線が黒スジを示している。同図に示すように、黒スジ38CのX座標値はXCであり、黒スジ38DのX座標値はXDとなっている。
【0048】
なお、符号60A、符号60Bのそれぞれによって指し示されている領域は、それぞれ、照合基準領域Aに対応する対応領域A、照合基準領域Bに対応する対応領域Bを示している。対応領域Aは、照合基準領域Aを含んでおり、対応領域Bは、照合基準領域Bを含んでいる。対応領域A及び対応領域Bは同一形状、同一サイズの領域であり、対応領域Aの座標範囲及び対応領域Bの座標範囲がハードディスク10に予め記憶されている。ハードディスク10に記憶される、対応領域Aの座標範囲及び対応領域Bの座標範囲、の例を図11に示した。
【0049】
なお、以下、対応領域Aと対応領域Bとを総称して、「対応領域」と記載する場合がある。
【0050】
[原稿ID取得部]
原稿ID取得部22は、照合対象の原稿画像に含まれるコード画像32を解析することによって、コード画像32が示す原稿ID、すなわち、照合対象の原稿の原稿IDを取得する。
【0051】
[対応画像取得部]
対応画像取得部42は、照合対象の原稿画像から対応領域を切り出すことによって、対応領域の画像を生成する。
【0052】
すなわち、対応画像取得部42は、対応領域A及び対応領域Bのそれぞれを切り出すことによって、対応領域A(図10参照)の画像である対応画像Aと対応領域B(図10参照)の画像である対応画像Bとを生成する。本実施形態の場合、対応画像取得部42は、最初に対応画像Aを生成した後、判定部54からの指示に応じて、対応画像Bを生成する。
【0053】
[雑音画素列特定部]
雑音画素列特定部26Bは、照合対象の原稿画像に含まれる上記黒スジに係る第2雑音画素列を特定する。
【0054】
すなわち、雑音画素列特定部26Bは、対応画像が取得されるごとに、取得された対応画像Xについて第2雑音画像列を特定する。本実施形態の場合、雑音画素列特定部26Bは、対応画像Xを構成する画素列ごとに、当該画素列の各画素の画素値に応じた上記評価値Sを算出し、評価値Sが基準値Sth以上である画素列、すなわち、第2雑音画素列を特定する。より詳しくは、雑音画素列特定部26Bは、第2雑音画素列のX座標値(位置)を特定する。例えば、対応画像Xが対応画像Aである場合、黒スジ38CのX座標値「XC」(図10参照)が第2雑音画素列のX座標値として特定されることになる。
【0055】
なお、雑音画素列特定部26Bは、対応領域Xを構成する画素列ごとに、余白領域34に含まれる画素の画素値の総和、又は、余白領域34に含まれる画素のうちの上記画素値が基準値以上である画素の個数、を評価値Sとして算出し、評価値Sが基準値Sth以上である画素列を第2雑音画素列として特定するようにしてもよい。また、スキャナ18が黒スジ検出機能を有する場合、スキャナ18から出力される情報から第2雑音画素列を特定するようにしてよい。
【0056】
[照合基準画像読み出し部]
照合基準画像読み出し部46は、データベース4から、原稿ID取得部22によって取得された原稿IDに関連づけられた照合基準画像を読み出す。
【0057】
すなわち、照合基準画像読み出し部46は、原稿ID取得部22によって取得された原稿IDに関連付けられた、照合基準画像A及び照合基準画像Bを読み出す。本実施形態の場合、照合基準画像読み出し部46は、対応画像Aが取得された場合に照合基準画像Aを読み出し、対応画像Bが取得された場合に照合基準画像Bを読み出す。
【0058】
[照合対象画像取得部]
照合対象画像取得部44は、照合対象の原稿画像に含まれる照合対象領域の画像(以下、照合対象画像)を生成する。
【0059】
本実施形態の場合、照合対象画像取得部44は、対応画像が取得されるごとに、当該対応画像Xから複数の照合対象画像を切り出して生成する。
【0060】
図12は、照合対象画像の取得方法について説明するための図である。図12において符号62Aで指し示される画像は、対応領域Xの画像(すなわち、対応画像X)を示している。ここでは、対応領域Xが対応領域A(図10参照)であり、対応画像Xが対応画像Aである場合を例に取り上げている。また、点線で示される領域64A(図12の(A)参照)、64B(図12の(B)参照)、64C(図12の(C)参照)、64D(図12の(D)参照)、64E(図12の(E)参照)、64F(図12の(F)参照)、64G(図12の(G)参照)、64H(図12の(H)参照)、64I(図12の(I)参照)は、それぞれ、照合対象領域を示している。ここで、各照合対象領域は、対応領域Xに含まれる領域であり、照合対象の原稿画像に含まれる領域でもある。各照合対象領域の座標範囲はハードディスク10に予め記憶されている。また、各照合対象領域は、照合基準領域と同一サイズ及び同一形状を有している。
【0061】
照合対象画像取得部44は、対応画像が取得されるごとに、取得された対象画像Xから、照合対象領域64Aの画像である照合対象画像66A(図12の(A)参照)、照合対象領域64Bの画像である照合対象画像66B(図12の(B)参照)、照合対象領域64Cの画像である照合対象画像66C(図12の(C)参照)、照合対象領域64Dの画像である照合対象画像66D(図12の(D)参照)、照合対象領域64Eの画像である照合対象画像66E(図12の(E)参照)、照合対象領域64Fの画像である照合対象画像66F(図12の(F)参照)、照合対象領域64Gの画像である照合対象画像66G(図12の(G)参照)、照合対象領域64Hの画像である照合対象画像66H(図12の(H)参照)、及び照合対象領域64Iの画像である照合対象画像66I(図12の(I)参照)、の各々を切り出す。より詳しくは、照合対象画像取得部44は、最初に照合対象画像66Aを取得した後、比較部52からの指示に応じて、照合対象画像66B以降を取得する。
【0062】
なお、以下、照合対象画像66A、照合対象画像66B、照合対象画像66C、照合対象画像66D、照合対象画像66E、照合対象画像66F、照合対象画像66G、照合対象画像66H、及び照合対象画像66Iを総称して、「照合対象画像」と記載する場合がある。
【0063】
[照合基準情報取得部]
照合基準情報取得部48は、照合基準画像読み出し部46によって読み出された照合基準画像Xから、第1雑音画素列の位置(X座標値)に応じた位置の画素列である第1−1画素列(後述)と、第2雑音画素列の位置(X座標値)に応じた位置の画素列である第2−1画素列(後述)と、を除外した第1マスク画像、に基づく照合基準情報を生成する。
【0064】
本実施形態の場合、照合基準情報取得部48は、照合対象画像が取得されるごとに、上記第1マスク画像を、上記照合基準情報として生成する。
【0065】
[照合対象情報取得部]
また、照合対象情報取得部50は、照合対象画像取得部44によって取得された照合対象画像Xから、第1雑音画素列の位置に応じた位置の画素列である第1−2画素列(後述)と、第2雑音画素列の位置に応じた位置の画素列である第2−2画素列(後述)とを除外した第2マスク画像、に基づく照合対象情報を生成する。
【0066】
本実施形態の場合、照合対象情報取得部50は、照合対象画像が取得されるごとに、取得された照合対象画像Xから上記第1−2画素列と上記第2−2画素列とを除外した上記第2マスク画像を、上記照合対象情報として生成する。
【0067】
ここで、第1−1画素列とは、照合基準画像Xに関連づけられた第1雑音画素列のX座標値「Xα」に応じた位置の画素列である。すなわち、第1−1画素列とは、照合基準画像Xの左端から右に「Xα−Xβ」離れた位置の画素列である。なお、「Xβ」は照合基準画像Xの左端のX座標値である。
【0068】
例えば、照合基準画像Xが照合基準画像Aである場合、照合基準画像Aに関連づけられたX座標値「XA」が第1雑音画素列のX座標値「Xα」に相当し(図8参照)、かつ、照合基準画像Aの左端のX座標値「X1」(図5参照)が「Xβ」に相当するので、照合基準画像Aの左端から右に「XA−X1」離れた位置の画素列が、第1−1画素列となる。
【0069】
また、第1−2画素列とは、上記第1雑音画素列のX座標値「Xα」に応じた位置の画素列であり、照合基準画像Xに含まれる上記第1−1画素列に対応する画素列である。
【0070】
すなわち、照合基準画像Xではなく照合対象画像Xの左端から右に「Xα−Xβ」離れた位置の画素列が第1−2画素列となる。例えば、照合基準画像Xが照合基準画像Aであり、且つ照合対象画像Xが照合対象画像66Aである場合、照合対象画像66Aの左端から右に「XA−X1」離れた位置の画素列が、第1−2画素列となる。このように、第1−1画素列の照合基準画像Xにおける位置と、第1−2画素列の照合対象画像Xにおける位置と、は同じになる。
【0071】
また、第2−2画素列とは、雑音画素列特定部26Bによって特定された第2雑音画素列のX座標値「Xγ」に応じた位置の画素列である。すなわち、第2−2画素列とは、照合対象画像Xの左端から右に「Xγ−Xδ」離れた位置の画素列である。なお、「Xδ」は照合対象画像Xの左端のX座標値である。
【0072】
例えば、照合基準画像Xが照合基準画像Aであり、且つ照合対象画像Xが照合対象画像66Aである場合(図12の(A)参照)、雑音画素列特定部26Bによって特定された第2雑音画素列のX座標値「XC」がXγに相当し、照合対象画像66Aの左端のX座標値「X5」(図10及び図12の(A)参照)が「Xδ」に相当するので、照合対象画像Aの左端から右に「XC−X5」離れた位置の画素列が、第2−2画素列となる。
【0073】
また、第2−1画素列とは、上記第2雑音画素列のX座標値「Xγ」に応じた位置の画素列であり、照合対象画像Xに含まれる上記第2−2画素列に対応する画素列である。
【0074】
すなわち、第2−1画素列とは、照合基準画像Xの左端から右に「Xγ−Xδ」離れた位置の画素列である。例えば、照合基準画像Xが照合基準画像Aであり、且つ照合対象画像Xが照合対象画像66Aである場合(図12の(A)参照)、照合基準画像66Aの左端から右に「XC−X5」離れた位置の画素列が、第2−1画素列となる。このように、第2−1画素列の照合基準画像Xにおける位置と、第2−2画素列の照合対象画像Xにおける位置と、は同じになる。
【0075】
図13Aは、第1マスク画像の生成方法を示す図であり、図13Bは、第2マスク画像の生成方法を示す図である。ここで、符号70で指し示される画像は、照合基準画像Xを示し、符号72で指し示される画像は、照合対象画像Xを示している。ここでは、符号70で指し示される照合基準画像Xが照合基準画像A(図5参照)であり、符号72で指し示される照合対象画像Xが照合対象画像66A(図12の(A)参照)である場合を例に取り上げる。
【0076】
この場合、図13Aに示すように、符号70で指し示される照合基準画像Aから、左端から右に「XA−X1」離れた位置の画素列84と、左端から右に「XC−X5」離れた位置の画素列86と、が除外されて第1マスク画像80が照合基準情報として生成される。この場合、画素列84が第1−1画素列に相当し、画素列86が第2−1画素列に相当することとなる。
【0077】
同様に、図13Bに示すように、照合対象画像66Aから、左端から右に「XA−X1」離れた位置の上記画素列84と、左端から右に「XC−X5」離れた位置の上記画素列86と、が除外されて、第2マスク画像82が照合対象情報として生成される。この場合、画素列84が第1−2画素列に相当し、画素列86が第2−2画素列に相当することとなる。
【0078】
なお、照合基準情報取得部48は、こうして生成した第1マスク画像80に基づいて、照合基準情報を生成してもよい。例えば、照合基準情報取得部48は、第1マスク画像80の特徴ベクトルを、照合基準情報として生成してよい。また、照合対象情報取得部50は、こうして生成した第2マスク画像82に基づいて、照合対象情報を生成してもよい。例えば、照合対象情報取得部50は、第2マスク画像82の特徴ベクトルを、照合対象情報として生成してよい。
【0079】
[比較部]
比較部52は、照合基準情報取得部48によって取得された照合基準情報と、照合対象情報取得部50によって取得された照合基準情報と、を比較する。本実施形態の場合、第1マスク画像80と、第2マスク画像82と、を比較する。
【0080】
具体的には、比較部52は、下記の数式に従って、第1マスク画像80と第2マスク画像82との類似度を示す相関値を算出する。
【数1】

【数2】

【0081】
ここで、Fは第1マスク画像80であり、Gは第2マスク画像82であり、fは第1マスク画像80の個々の画素の画素値であり、Nは第1マスク画像80(第2マスク画像82)の総画素数であり、gは第2マスク画像82の個々の画素の画素値であり、faveは第1マスク画像80の個々の画素値の平均値であり、gaveは第2マスク画像82の個々の画素値の平均値である。
【0082】
なお、本実施形態の場合、比較部52は、相関値を算出するごとに、次の照合対象画像の取得を照合対象画像取得部44に指示する。
【0083】
[判定部]
判定部54は、比較部52の比較結果に基づいて、照合対象の原稿と照合基準の原稿とが同一であるか否か、を判定する。また、判定部54は、判定結果を出力する。
【0084】
すなわち、判定部54は、比較部52が相関値をN(「N」は、照合対象画像の数)回算出するごとに、これらN個の相関値の最大値が基準値以上であるか否か、及び、「相関値の最大値から相関値の平均値を減じた値を相関値の標準偏差で除した値」(以下、ノーマライズドスコアと呼ぶ)が基準値以上であるか否か、を判定する。
【0085】
そして、判定部54は、相関値の最大値が基準値以上であり、かつ、ノーマライズドスコアが基準値以上である場合、照合対象の原稿と照合基準の原稿とが同一であると判定する。
【0086】
一方、判定部54は、相関値の最大値が基準値より小さい場合、又は、ノーマイライズドスコアが基準値より小さい場合、次の対応画像の取得を対応画像取得部42に指示する。なお、全ての対応画像が取得済みである場合、判定部54は、照合対象の原稿と照合基準の原稿とが同一でないと判定する。
【0087】
[まとめ]
以上のように、この画像処理システム1では、照合基準の原稿画像中の黒スジに係る第1雑音画素列が特定され、照合対象の原稿画像中の黒スジに係る第2雑音画素列が特定される。そして、第1雑音画素列に応じた位置の第1−1画素列と、第2雑音画素列に応じた位置の第2−1画素列と、を照合基準画像から除外し、且つ、第1雑音画素列に応じた位置の第1−2画素列と、第2雑音画素列に応じた位置の第2−2画素列と、を照合対象画像から除外して、照合基準画像と照合対象画像と、が比較される。そのため、この画像処理システム1では、照合基準の原稿画像や照合対象の原稿画像に黒スジが含まれていても、照合基準の原稿と照合対象の原稿との同一性が判別されるようになる。
【0088】
なお、本発明の実施形態は上記実施形態だけに限らない。
【0089】
例えば、原稿は、紙媒体以外の媒体であってもよい。例えば、原稿は、OHP(Overhead Projector)シートであってもよい。
【0090】
また、例えば、雑音画素列特定部26A(図4参照)及び雑音画素列特定部26B(図9参照)のうちの一方が省略されてよい。例えば、雑音画素列特定部26Aが省略される場合、照合基準画像から第2−1画素列だけが除外された画像が第1マスク画像に相当し、照合対象画像から第2−2画素列だけが除外された画像が第2マスク画像に相当することになる。また、例えば、雑音画素列特定部26Bが省略される場合、照合基準画像から第1−1画素列だけが除外された画像が第1マスク画像に相当し、照合対象画像から第1−2画素列だけが除外された画像が第2マスク画像に相当することになる。
【0091】
また、例えば、雑音画素列特定部26A及び雑音画素列特定部26Bの両方が省略されてもよい。以下、雑音画素列特定部26A及び雑音画素列特定部26Bの両方が省略される場合の実施態様(以下、変形例)について説明する。なお、説明の簡単のため、照合基準領域は照合基準領域Aのみであり、対応領域は対応領域Aのみであるものとする。
【0092】
変形例では、図4に示す機能ブロック図において、雑音画素列特定部26Aが省略される。この場合、登録部28は、原稿ID取得部22によって取得された原稿IDと、照合基準画像取得部24によって取得された照合基準画像と、を関連付けてデータベース4に記憶させることになる。
【0093】
また、変形例では、図9に示す機能ブロック図において、雑音画素列特定部26Bが省略される。但し、変形例では、雑音画素列特定部26Bが省略される代わりに、設定部43が新たに実現される。図14に、変形例において、画像処理システム1にて実現される機能群を示した。
【0094】
照合対象原稿画像取得部40は、上述のようにして、照合対象の原稿画像を取得する。
【0095】
また、原稿ID取得部22は、上述のようにして、照合対象の原稿の原稿IDを取得する。
【0096】
また、対応画像取得部42は、上述のようにして、対応画像Aを生成する。
【0097】
また、照合基準画像読み出し部46は、原稿ID取得部22によって取得された原稿IDに関連付けられた照合基準画像Aを読み出す。
【0098】
また、照合対象画像取得部44は、上述のようにして、対応画像Aから、照合対象画像66A、照合対象画像66B、照合対象画像66C、照合対象画像66D、照合対象画像66E、照合対象画像66F、照合対象画像66G、照合対象画像66H及び照合対象領域64Iの画像である照合対象画像66I、の各々を生成する。
【0099】
より詳しくは、照合対象画像取得部44は、上述のように、最初に照合対象画像66Aを取得した後、比較部52からの指示に応じて、照合対象画像66B以降を生成する。
【0100】
変形例では、第1−1画素列、第1−2画素列、第2−1画素列、及び第2−2画素列とが第1雑音画素列のX座標値や第2雑音画素列のX座標値から特定されるのではなく、予め設定されている。具体的には、第1−1画素列と第2−2画素列との組み合わせをM(Mは2以上の整数)通り保持するデータがハードディスク10に記憶されている。
【0101】
設定部43は、照合対象画像が取得されるごとに、上記データを参照して、最初の組み合わせから順番に、第1−1画素列と、第2−2画素列とを設定する。また、設定部43は、第1−1画素列及び第2−2画素列のそれぞれから第1−2画素列及び第2−1画素列も設定する。
【0102】
また、変形例では、照合基準情報取得部48が、第1−1画素列と第2−1画素列とが設定されるごとに、照合基準画像読み出し部46によって読み出された照合基準画像Aから、第1−1画素列と、第2−1画素列と、を除外した第1マスク画像を、照合基準情報として生成する。
【0103】
また、照合対象情報取得部50が、第1−2画素列と第2−2画素列とが設定されるごとに、照合対象画像取得部44によって取得された照合対象画像Xから上記第1−2画素列と上記第2−2画素列とを除外した第2マスク画像を、照合基準情報として生成する。
【0104】
そして、比較部52が、照合基準情報及び照合対象情報が生成されるごとに、当該照合基準情報と当該照合対象情報と、を比較する。すなわち、比較部52は、第1マスク画像と第2マスク画像との類似度を示す相関値を算出する。
【0105】
但し、変形例では、比較部52は、相関値を算出するごとに次の照合対象画像の取得を照合対象画像取得部44に指示するのではなく、相関値をM回算出するごとに、次の照合対象画像の取得を照合対象画像取得部44に指示する。
【0106】
変形例では、判定部54は、比較部52が算出した「N×M」個(「N」は、照合対象画像の数)の相関値の最大値が基準値以上であるか否か、及び、上記ノーマライズドスコアが基準値以上であるか否か、を判定することになる。そして、判定部54は、相関値の最大値が基準値以上であり、かつ、ノーマライズドスコアが基準値以上である場合、照合対象の原稿と照合基準の原稿とが同一であると判定する。
【符号の説明】
【0107】
1 画像処理システム、2 画像処理装置、4 データベース、6 制御部、8 主記憶、10 ハードディスク、12 表示部、14 操作入力部、16 ネットワークインタフェース、18 スキャナ、20 照合基準原稿画像取得部、22 原稿ID取得部、24 照合基準画像取得部、26A,26B 雑音画素列特定部、28 登録部、30 記載領域、32 コード画像、34 余白領域、36A,36B 照合基準領域、38A,38B,38C,38D 黒スジ、40 照合対象原稿画像取得部、42 対応画像取得部、43 設定部、44 照合対象画像取得部、46 照合基準画像読み出し部、48 照合基準情報取得部48 照合基準情報取得部、50 照合対象情報取得部、52 比較部、54 判定部、60A,60B 対応領域、62A,62B 対応画像、64A,64B,64C,64D,64E,64F,64G,64H,64I 照合対象領域、66A,66B,66C,66D,66E,66F,66G,66H,66I,72 照合対象画像、70 照合基準画像、80 第1マスク画像、82 第2マスク画像、84,86 画素列。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照合基準の媒体の表面に形成された繊維の紋様を示す照合基準の媒体画像を取得する照合基準媒体画像取得手段と、
照合対象の媒体の表面に形成された繊維の紋様を示す照合対象の媒体画像を取得する照合対象媒体画像取得手段と、
前記照合基準の媒体画像に含まれる筋状の雑音成分に係る画素列である雑音画素列を特定する特定手段と、
前記雑音画素列に応じた位置の画素列である第1−1画素列を、前記照合基準の媒体画像に含まれる照合基準領域の画像から除外した画像、を生成する第1の生成手段と、
前記照合基準領域の画像に含まれる前記第1−1画像列に対応する画素列である第1−2画素列を、前記照合対象の媒体画像に含まれる照合対象領域の画像から除外した画像、を生成する第2の生成手段と、
前記第1の生成手段により生成された画像と、前記第2の生成手段により生成された画像と、を比較して、前記照合基準の媒体と、前記照合対象の媒体と、が同一であるか否かを判定する判定手段と、
を含むことを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記特定手段は、
前記雑音画素列である第1雑音画素列と、前記照合対象の媒体画像に含まれる筋状の雑音成分に係る画素列である第2雑音画素列と、を特定し、
前記第2の生成手段は、
前記第1−2画素列と、前記第2雑音画素列に応じた位置の画素列である第2−2画素列と、を前記照合対象領域の画像から除外した画像、を生成し、
前記第1の生成手段は、前記第1−1画素列と、前記照合対象領域の画像に含まれる前記第2−2画素列に対応する画素列である第2−1画素列と、を前記照合基準領域の画像から除外した画像、を生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記画像処理システムは、
前記照合基準の媒体を副走査方向に搬送しながら前記照合基準の媒体の表面の像を読み取る第1の画像読取手段と、
前記照合対象の媒体を副走査方向に搬送しながら前記照合対象の媒体の表面の像を読み取る第2の画像読取手段と、をさらに含み、
前記照合基準媒体画像取得手段は、
前記第1の画像読取手段が前記照合基準の媒体から読み取った前記照合基準の媒体画像を取得し、
前記照合対象媒体画像取得手段は、
前記第2の画像読取手段が、前記照合対象の媒体から読み取った前記照合対象の媒体画像を取得し、
前記特定手段は、
前記照合基準の媒体画像に含まれる筋状の雑音成分に係る、前記副走査方向に伸びる画素列である前記雑音画素列を特定し、
前記第1の生成手段は、
前記雑音画素列に応じた位置の、前記副走査方向に伸びる画素列である前記第1−1画素列を、前記照合基準領域の画像から除外した画像、を生成し、
前記第2の生成手段は、
前記照合基準領域の画像に含まれる前記第1−1画素列に対応する、前記副走査方向に伸びる画素列である前記第1−2画素列を、前記照合対象領域の画像から除外した画像、を生成すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
照合基準の媒体の表面に形成された繊維の紋様を示す照合基準の媒体画像に含まれる筋状の雑音成分、に係る画素列である雑音画素列を特定する特定手段と、
前記雑音画素列に応じた位置の画素列である第1−1画素列を、前記照合基準の媒体画像に含まれる照合基準領域の画像から除外した画像、を生成する第1の生成手段と、
前記照合基準領域の画像に含まれる前記第1−1画素列に対応する画素列である第1−2画素列を、照合対象の媒体の表面に形成された繊維の紋様を示す照合対象の媒体画像に含まれる照合対象領域の画像から除外した画像、を生成する第2の生成手段と、
前記第1の生成手段により生成された画像と、前記第2の生成手段により生成された画像と、を比較して、前記照合基準の媒体と、前記照合対象の媒体と、が同一であるか否かを判定する判定手段と、
を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
照合基準の媒体の表面の像を示す照合基準の媒体画像に含まれる筋状の雑音成分、に係る画素列である雑音画素列を特定する特定手段、
前記雑音画素列に応じた位置の画素列である第1−1画素列を、前記照合基準の媒体画像に含まれる照合基準領域の画像から除外した画像、を生成する第1の生成手段、
前記照合基準領域の画像に含まれる前記第1−1画素列に対応する画素列である第1−2画素列を、照合対象の媒体の表面に形成された繊維の紋様を示す照合対象の媒体画像に含まれる照合対象領域の画像から除外した画像、を生成する第2の生成手段、
前記第1の生成手段により生成された画像と、前記第2の生成手段により生成された画像と、を比較して、前記照合基準の媒体と、前記照合対象の媒体と、が同一であるか否かを判定する判定手段、
としてコンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−64122(P2012−64122A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209521(P2010−209521)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】