説明

画像処理システム、画像処理装置及び画像処理方法並びに画像処理プログラム

【課題】暗号化された処理対象ファイルを復号化する構成を画像処理装置に搭載しなくても、可搬型記録媒体に記憶された暗号化されたファイルを処理する。
【解決手段】暗号化された処理対象ファイルと、このファイルを復号化する復号化サーバ500へアクセスするためのアクセス情報が記憶された可搬型記録媒体200、210、220が、画像処理装置300の接続手段310、311に接続されると、画像処理装置は接続された可搬型記録媒体から、暗号化されたファイル及びアクセス情報を読み出し、アクセス情報に基づいて復号化サーバへアクセスし、暗号化されたファイルを復号化サーバに送信する。復号化サーバでは、受信した暗号化されたファイルを復号化して、画像処理装置に返信する。画像処理装置は、返信された復号化済みの処理対象ファイルに対する処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばUSBメモリやメモリカード等の可搬型記録媒体を接続可能な画像形成装置等の画像処理装置とサーバとが接続された画像処理システム、該システムに好適に用いられる画像処理装置及び画像処理方法、並びに画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルデータを記録して運搬できる可搬型記録媒体として、例えばUSBメモリが広く普及している。一方、コンビニエンスストア等の小売店には、USBメモリを接続して利用できるセルフサービス専用の画像処理装置の設置が進んでいる。
【0003】
これによりユーザは、印刷したいファイルをパーソナルコンピュータ(PCともいう)を用いてUSBメモリに書き込むとともに、書き込まれたUSBメモリを持ち歩くことで、必要な時に、外出先の画像処理装置を利用して該USBメモリに記憶されているファイルを印刷することができる。このため、ファイルの印刷出力物を持ち歩く必要はなくなるから便利であり、セキュリティの確保の点からも望ましい。
【0004】
ところで、最近では、ユーザがUSBメモリにファイルを書き込む際、該USBメモリの紛失によるデータの流出を防ぐために、USBメモリに付属されている暗号化ソフトウェアによりファイルを暗号化することが行われている。
【0005】
なお、従来、機密性の高い情報を遠隔出力する方法として、PCで暗号化されたファイルをセンターサーバに送り、ユーザは、該サーバから得た暗号化ファイルのコンテンツコードとパスワードを複合機から入力することにより、センターサーバの暗号化ファイルがプリントサーバに転送され、ユーザはパスワードで暗号化ファイルを復号化し、プリントサーバは、復号化されたファイルの印刷を前記複合機に指示するようにした技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、ユーザが、鍵サーバが発行した鍵を使ってPCでファイルを暗号化して可搬型記録媒体に書き込み、この可搬型記録媒体をプリンタに接続した際に入力したパスワードとIDが鍵サーバに転送されて認証が得られると、鍵サーバからプリンタに転送された鍵で暗号化ファイルを復号化してプリントアウトする技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−148876号公報
【特許文献2】特開2008−33403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、USBメモリの暗号化ソフトウェアや暗号化方式は、USBメモリを提供する提供元(メーカー等)毎に異なっており、また、画像処理装置は、ユーザPCとはハードウェアが異なる関係上、そのままでは前記USBメモリに付属している暗号化ソフトウェアを動作させることはできない。
【0009】
つまり、従来の画像処理装置では、USBメモリのファイルが暗号化されいる場合、そのファイルを印刷することができないという問題があった。このような問題は、前記特許文献1及び2を参酌しても解決することはできなかった。
【0010】
もっとも、提供元毎に異なるすべてのUSBメモリの暗号化ソフトウェアに対応できる画像処理装置用の復号化ソフトウェアを開発して画像処理装置に搭載することで、前記問題を理論上は解決できるが、このような構成を採用することは、膨大なメモリ容量と開発工数等を必要とすることから、実際上実現は極めて困難である。
【0011】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、暗号化された処理対象ファイルを復号化するための構成を画像処理装置に搭載しなくても、可搬型記録媒体に記憶された暗号化されたファイルを処理することができる画像処理システムおよび画像処理装置を提供し、さらには画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)画像処理装置と復号化サーバとがネットワークを介して接続された画像処理システムであって、前記画像処理装置は、暗号化ソフトウェアにより暗号化された処理対象ファイルと、この暗号化された処理対象ファイルを復号化する復号化サーバへアクセスするためのアクセス情報が記憶された可搬型記録媒体を、着脱自在に接続する接続手段と、前記接続手段に接続された可搬型記録媒体から、前記暗号化された処理対象ファイル及びアクセス情報を読み出す読み出し手段と、前記読み出し手段により読み出されたアクセス情報に基づいて前記復号化サーバへアクセスするアクセス手段と、前記アクセス手段によりアクセスした復号化サーバに、前記暗号化された処理対象ファイルを送信する送信手段と、前記復号化サーバから返信された、復号化された処理対象ファイルを受信する受信手段と、前記受信した復号化された処理対象ファイルを処理するファイル処理手段と、を備え、前記復号化サーバは、前記画像処理装置から送信された暗号化された処理対象ファイルを受信する受信手段と、前記受信した暗号化された処理対象ファイルを復号化する復号化手段と、前記復号化手段により復号化された処理対象ファイルを画像処理装置に返信する返信手段と、を備えたことを特徴とする画像処理システム。
(2)前記復号化サーバは、前記可搬型記録媒体の提供元毎にまたは暗号化ソフトウェアの提供元毎に複数台設けられ、前記画像処理装置のアクセス手段は、前記アクセス情報に基づいて、可搬型記録媒体または暗号化ソフトウェアの提供元に対応する復号化サーバにアクセスする前項1に記載の画像処理システム。
(3)前記復号化サーバは、複数の異なる暗号化ソフトウェアで暗号化された処理対象ファイルの復号化が可能な1台のサーバで構成されるとともに、前記受信手段により受信した画像処理装置からの暗号化された処理対象ファイルにおける暗号化ソフトウェアの種類を特定する暗号化特定手段を備え、前記復号化手段は、前記暗号化特定手段により特定された種類の暗号化ソフトウェアで暗号化された処理対象ファイルを、前記暗号化ソフトウェアの種類に対応する復号化方法で復号化する前項1に記載の画像処理システム。
(4)復号化サーバとネットワークを介して接続された画像処理装置であって、暗号化ソフトウェアにより暗号化された処理対象ファイルと、この暗号化された処理対象ファイルを復号化する復号化サーバへアクセスするためのアクセス情報が記憶された可搬型記録媒体を、着脱自在に接続する接続手段と、前記接続手段に接続された可搬型記録媒体から、前記暗号化された処理対象ファイル及びアクセス情報を読み出す読み出し手段と、前記読み出し手段により読み出されたアクセス情報に基づいて前記復号化サーバへアクセスするアクセス手段と、前記アクセス手段によりアクセスした復号化サーバに、前記暗号化された処理対象ファイルを送信する送信手段と、前記復号化サーバから返信された、復号化された処理対象ファイルを受信する受信手段と、前記受信した復号化された処理対象ファイルを処理するファイル処理手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。
(5)前記復号化サーバは、前記可搬型記録媒体の提供元毎にまたは暗号化ソフトウェアの提供元毎に複数台設けられ、前記画像処理装置のアクセス手段は、前記アクセス情報に基づいて、可搬型記録媒体の提供元または暗号化ソフトウェアの提供元に対応する復号化サーバにアクセスする前項4に記載の画像処理装置。
(6)前記復号化サーバは、複数の異なる暗号化ソフトウェアで暗号化された処理対象ファイルの復号化が可能な1台のサーバで構成され、前記画像処理装置のアクセス手段は、前記アクセス情報に基づいて、前記1台の復号化サーバにアクセスする前項4に記載の画像処理装置。
(7)画像処理装置と復号化サーバとがネットワークを介して接続された画像処理システムで実行される画像処理方法であって、前記画像処理装置は、暗号化ソフトウェアにより暗号化された処理対象ファイルと、この暗号化された処理対象ファイルを復号化する復号化サーバへアクセスするためのアクセス情報が記憶された可搬型記録媒体が、着脱自在に接続される接続手段に接続されたかどうかを検出する検出ステップと、前記検出ステップにおいて、前記可搬型記録媒体が接続手段に接続されたことが検出された場合に、可搬型記録媒体から前記暗号化された処理対象ファイル及びアクセス情報を読み出す読み出しステップと、前記読み出しステップにおいて読み出されたアクセス情報に基づいて前記復号化サーバへアクセスするアクセスステップと、前記アクセスステップにおいてアクセスした復号化サーバに、前記暗号化された処理対象ファイルを送信する送信ステップと、前記復号化サーバから返信された、復号化された処理対象ファイルを受信する受信ステップと、前記受信した復号化された処理対象ファイルを処理するファイル処理ステップと、を実行し、前記復号化サーバは、前記画像処理装置から送信された暗号化された処理対象ファイルを受信する受信ステップと、前記受信した暗号化された処理対象ファイルを復号化する復号化ステップと、前記復号化ステップにおいて復号化された処理対象ファイルを画像処理装置に返信する返信ステップと、を実行することを特徴とする画像処理方法。
(8)復号化サーバとネットワークを介して接続された画像処理装置のコンピュータに実行させるための画像処理プログラムであって、暗号化ソフトウェアにより暗号化された処理対象ファイルと、この暗号化された処理対象ファイルを復号化する復号化サーバへアクセスするためのアクセス情報が記憶された可搬型記録媒体が、着脱自在に接続される接続手段に接続されたかどうかを検出する検出ステップと、前記検出ステップにおいて、前記可搬型記録媒体が接続手段に接続されたことが検出された場合に、可搬型記録媒体から前記暗号化された処理対象ファイル及びアクセス情報を読み出す読み出しステップと、前記読み出しステップにおいて読み出されたアクセス情報に基づいて前記復号化サーバへアクセスするアクセスステップと、前記アクセスステップにおいてアクセスした復号化サーバに、前記暗号化された処理対象ファイルを送信する送信ステップと、前記復号化サーバから返信された、復号化された処理対象ファイルを受信する受信ステップと、前記受信した復号化された処理対象ファイルを処理するファイル処理ステップと、を画像処理装置のコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
(9)前記復号化サーバは、前記可搬型記録媒体の提供元毎にまたは暗号化ソフトウェアの提供元毎に複数台設けられ、前記アクセスステップでは、前記アクセス情報に基づいて、可搬型記録媒体の提供元または暗号化ソフトウェアの提供元に対応する復号化サーバにアクセスする処理をコンピュータに実行させる前項8に記載の画像処理プログラム。
(10)前記復号化サーバは、複数の異なる暗号化ソフトウェアで暗号化された処理対象ファイルの復号化が可能な1台のサーバで構成され、前記アクセスステップでは、前記アクセス情報に基づいて、前記1台の復号化サーバにアクセスする処理をコンピュータに実行させる前項8に記載の画像処理プログラム。
【発明の効果】
【0013】
前項(1)に記載の発明によれば、暗号化ソフトウェアにより暗号化された処理対象ファイルと、この暗号化された処理対象ファイルを復号化する復号化サーバへアクセスするためのアクセス情報が記憶された可搬型記録媒体が、画像処理装置の接続手段に接続されると、画像処理装置は接続された可搬型記録媒体から、暗号化された処理対象ファイルとアクセス情報を読み出すとともに、読み出したアクセス情報に基づいて復号化サーバへアクセスし、前記暗号化された処理対象ファイルを復号化サーバに送信する。
【0014】
復号化サーバでは、受信した暗号化された処理対象ファイルを復号化して、画像処理装置に返信する。画像処理装置は、返信された復号化済みの処理対象ファイルに対する処理を実行する。
【0015】
このように、暗号化された処理対象ファイルの復号化は、復号化サーバで行われるから、可搬型記録媒体に暗号化された処理対象ファイルとともに、復号化サーバへアクセスするためのアクセス情報を記憶させておくことで、画像処理装置は容易に復号化されたファイルを復号化サーバから取得することができる。従って、暗号化された処理対象ファイルを復号化するための構成を画像処理装置に搭載しなくても、暗号化された処理対象ファイルの処理が可能となるし、処理対象ファイルを暗号化するための新たな暗号化フォーマットが提供されても、画像処理装置としての構成を変更する必要はない。
【0016】
しかも、復号化サーバへアクセスするためのアクセス情報を可搬型記録媒体に記憶させておくから、ユーザが画像処理装置の操作パネル等から復号化サーバへのアクセス先を入力する必要もなく、使い勝手の良いものとなる。
【0017】
もとより、ユーザは処理対象ファイルの印刷物を持ち回る必要がない上、ファイルは暗号化されているのでファイルのセイキュリティを確保することができる。
【0018】
前項(2)に記載の発明によれば、復号化サーバは、前記可搬型記録媒体の提供元毎にまたは暗号化ソフトウェアの提供元毎に複数台設けられるから、各復号化サーバの管理運用等を可搬型記録媒体または暗号化ソフトウェアの提供元毎に行うことができる。
【0019】
前項(3)に記載の発明によれば、複数の異なる暗号化ソフトウェアで暗号化された処理対象ファイルの復号化が可能な1台のサーバで復号化サーバが構成されるから、復号化サーバの集中的な管理運用を図ることができる。
【0020】
前項(4)に記載の発明によれば、暗号化された処理対象ファイルの復号化は、復号化サーバで行われるから、可搬型記録媒体に暗号化された処理対象ファイルとともに、復号化サーバへアクセスするためのアクセス情報を記憶させておくことで、容易に復号化されたファイルを取得でき、そのファイルに対して処理を実行できる画像処理装置となしうる。
【0021】
前項(5)に記載の発明によれば、前記可搬型記録媒体の提供元または暗号化ソフトウェアの提供元に対応する復号化サーバにアクセスして、復号化されたファイルを取得できる画像処理装置となしうる。
【0022】
前項(6)に記載の発明によれば、複数の異なる暗号化ソフトウェアで暗号化された処理対象ファイルの復号化が可能な1台の復号化サーバにアクセスして、復号化されたファイルを取得できる画像処理装置となしうる。
【0023】
前項(7)に記載の発明によれば、暗号化された処理対象ファイルの復号化は、復号化サーバで行われるから、可搬型記録媒体に暗号化された処理対象ファイルとともに、復号化サーバへアクセスするためのアクセス情報を記憶させておくことで、容易に復号化されたファイルを取得でき、そのファイルに対して画像処理装置による処理を実行することができる。
【0024】
前項(8)に記載の発明によれば、暗号化された処理対象ファイルと、この暗号化された処理対象ファイルを復号化する復号化サーバへアクセスするためのアクセス情報が記憶された可搬型記録媒体が、画像処理装置の接続手段に接続されると、画像処理装置は接続された可搬型記録媒体から、暗号化された処理対象ファイル及びアクセス情報を読み出すとともに、読み出したアクセス情報に基づいて復号化サーバへアクセスし、前記暗号化された処理対象ファイルを復号化サーバに送信し、サーバから返信された復号化済みの処理対象ファイルに対する処理を実行するステップを、画像処理装置に実行させることができる。
【0025】
前項(9)に記載の発明によれば、前記可搬型記録媒体の提供元または暗号化ソフトウェアの提供元に対応する復号化サーバにアクセスして、復号化されたファイルを取得し、該ファイルの処理を実行するステップを、画像処理装置に実行させることができる。
【0026】
前項(10)に記載の発明によれば、複数の異なる暗号化ソフトウェアで暗号化された処理対象ファイルの復号化が可能な1台の復号化サーバにアクセスして、復号化されたファイルを取得し、該ファイルの処理を実行するステップを、画像処理装置に実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の一実施形態に係る画像処理システムの概略構成図である。
【図2】図1の画像処理システムに用いられている画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1の画像処理システムに用いられている復号化サーバの構成を示すブロック図である。
【図4】図1の画像処理システムにおいて、暗号化されたファイルの処理方法を説明するための図である。
【図5】同じく、図1の画像処理システムにおいて、暗号化されたファイルの別の処理方法を説明するための図である。
【図6】図1の画像処理システムにおいて、暗号化されたファイルを処理する際の処理の流れを示す図である。
【図7】暗号化されたファイルを処理する際の画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】暗号化されたファイルを処理する際の画像処理装置とサーバとの間で行われるデータの授受を示すシーケンス図である。
【図9】USBメモリの製造者名と復号化サーバのアドレスとの関係を示す図である。
【図10】USBメモリで暗号化されたファイルを復号化できるサーバのアドレスを示す図である。
【図11】(A)は画像処理装置の表示部に表示された、暗号化されたファイルを印刷するかどうかの選択画面を示す図、(B)は画像処理装置の表示部に表示された復号化サーバの選択画面を示す図、(C)は画像処理装置の表示部に表示されたファイル選択画面を示す図である。
【図12】(A)は画像処理装置の表示部に表示されたパスワード入力画面を示す図、(B)は画像処理装置の表示部に表示された印刷確認画面を示す図である。
【図13】この発明の他の実施形態に係る画像処理システムに用いられる復号化サーバの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1は、この発明の一実施形態に係る画像処理システムの構成を示す図である。この画像処理システムは、ユーザ端末としてのPC100と、画像処理装置300と、複数(例えば3つ)のWebサーバからなる復号化サーバ(単にサーバともいう)500,510、520とを備えており、これらPC100、画像処理装置300およびサーバ500,510、520とは、ネットワーク400を介して接続されている。
【0030】
なお、この例では、PC100から画像処理装置300へ送信される暗号化されたファイルが印刷ファイルであり、画像処理装置300で実行される処理が前記印刷ファイルの印刷処理である場合を説明するが、ファイルの種類や該ファイルに対して画像処理装置300で実行される処理は限定されるものではなく、処理対象ファイルが他のユーザPCへの送信用ファイルであり、画像処理装置300が行う処理が送信処理等であっても良い。
【0031】
図2は前記画像処理装置300の概略構成を示すブロック図である。この実施形態では、画像処理装置300として、コピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有する多機能デジタル画像形成装置であるMFP(Multi Function Peripheral)が用いられている。以下、画像処理装置をMFPともいう。
【0032】
MFP300は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、スキャナ部304と、記憶部305と、プリンタ部306と、操作パネル307と、ネットワークコントローラ308と、Webブラウザ部309と、USBメモリインターフェース部(USBメモリI/F部)310と、メモリカードインターフェース部(メモリカードI/F部)311等を備えている。
【0033】
前記CPU301は、MFP300の全体を統括的に制御し、コピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、ファクシミリ機能等の基本機能を使用可能に制御する。また、USBメモリインターフェース部310にUSBメモリが接続されていることを検出したり、メモリカードインターフェース部311にメモリカードが接続されていることを検出する等の処理を行う。さらに、接続が検出された場合に、USBメモリやメモリカードから、暗号化された印刷ファイル(以下、暗号化ファイルまたは暗号化印刷ファイルともいう)及びいずれかの復号化サーバ500、510、520へアクセスするためのアクセス情報等を読み出して、対応する外部サーバへアクセスし暗号化ファイルをその外部サーバへ送信したり、外部サーバ500、510、520から返信された復号化された印刷ファイル(以下、復号化ファイルともいう)をプリンタ部306を介してプリントする等の処理を行うが、詳細な説明は後述する。
【0034】
前記ROM302は、CPU301の動作プログラム等を格納するメモリである。
【0035】
前記RAM303は、CPU301が動作プログラムに基づいて動作する際の作業領域を提供するメモリである。
【0036】
前記スキャナ部304は、原稿台(図示せず)に置かれた原稿の画像を読み取り、画像データを出力する読み取り手段である。
【0037】
前記記憶部305は、例えばハードディスクドライブ(HDD)などの不揮発性の記憶デバイスにより構成されており、スキャナ部304で読み取られた原稿の画像データや、他の画像形成装置あるいはユーザ端末等から送信されてきたデータ等が記憶されている。さらにこの実施形態では、USBメモリの提供元(例えばUSBメモリのメーカー)や、印刷ファイルを暗号化するための暗号化ソフトウェア(以下、暗号化ソフトという)の提供元(例えば暗号化ソフトのメーカー)と、復号化サーバ500、510、520のアドレスとを対応付けた復号化サーバアドレステーブルが記憶されている。
【0038】
前記プリンタ部306は、前記USBメモリやメモリカードに記憶され、外部サーバ500、510、520で復号化された印刷ファイルや、前記スキャナ部304で読み取られた原稿の画像データや、ユーザPC100から直接送信されたプリントデータ等を、指示されたモードに従って印刷するものである。
【0039】
前記操作パネル307は、各種入力操作等のために使用されるものであり、メッセージや操作画面等を表示するタッチパネル式液晶等からなる表示部307aと、テンキー、スタートキー、ストップキー等を備えたキー入力部307bを備えている。
【0040】
前記ネットワークコントローラ308は、ネットワーク上の復号化サーバ500、510、520や他の画像形成装置その他の外部機器との間での通信を制御することにより、ファイル(データ)の送受信を行うものである。
【0041】
前記Webブラウザ部309は、Webページ閲覧用ソフトウェアであるWebブラウザにより、ネットワークコントローラ308を介してアクセスした復号化サーバ500、510、520等からのWebページ情報を、操作パネル307の表示部307aに表示する。
【0042】
前記USBメモリインターフェース部310は、可搬型記憶媒体の一例としてのUSBメモリを着脱自在に接続する接続手段であり、USBメモリの装着部を備え、該装着部を介してユーザはUSBメモリを取り外し自在に装着できる。
【0043】
また、メモリカードインターフェース部311は、可搬型記憶媒体の一例としてのメモリカードを着脱自在に接続する接続手段であり、メモリカードの装着部を備え、該装着部を介してユーザはメモリカードを取り外し自在に装着できる。
【0044】
図3は復号化サーバ500、510、520の概略構成を示すブロック図である。これらの復号化サーバ500、510、520はいずれもUSBメモリまたはメモリカードに書き込まれた暗号化ファイルを復号化するためのものであり、USBメモリや暗号化ソフトの各提供元が所有するものであり、各提供元によりそれぞれ管理運用されるものである。
【0045】
なお、復号化サーバ500、510、520はいずれも同一の構成であるので、ここでは復号化サーバ500について説明し、他の復号化サーバ510、520についての説明は省略する。
【0046】
復号化サーバ500は、図3に示すように、CPU501、ROM502、RAM503、記憶部504、表示装置505、入力装置506、ネットワークインターフェース部(ネットワークI/F部)507等を備え、システムバス508を介して互いに接続されている。
【0047】
CPU501は、ROM502や記憶部504に保存されているプログラムを実行することにより、サーバ500の全体を統括的に制御する。特に、この実施形態では、MFP300から送信されてきた暗号化ファイルを、対応する復号化用のアプリケーションプログラムにより復号化して、送信元のMFP300に返信する等の制御を行う。
【0048】
ROM502は、CPU501が実行するためのプログラムやその他のデータを保存する記憶媒体である。
【0049】
RAM503は、CPU501が動作用プログラムに従って動作する際の作業領域を提供する記憶媒体である。
【0050】
記憶部504は、ハードディスク等の記憶媒体からなり、MFP300から送信されてきた暗号化ファイルを復号化するための1種または2種以上の復号化用のアプリケーションプログラムや、その他各種のアプリケーションプログラム、データ等を保存する。
【0051】
表示装置505は、CRTや液晶表示装置等からなり、各種のメッセージ及び管理者等に対する入力受付画面、選択画面等を表示する。
【0052】
入力装置506は、ユーザによる入力操作に用いられるもので、キーボードやマウス等からなる。
【0053】
ネットワークインターフェース部(ネットワークI/F部)507は、MFP300や他の外部機器との間で、ネットワーク400を介して、データの送受信を行う通信手段として機能する。
【0054】
前記PC100は、各社製のUSBメモリ、例えばA社とB社の2社のUSBメモリ200,210を利用可能であり、作成した印刷ファイルをUSBメモリ200,210に書き込む際、各USBメモリ200,210毎の暗号化ソフトによりファイルを暗号化して書き込むことが可能となされている。
【0055】
これらUSBメモリ200,210には、対応する復号化サーバ500、510へアクセスするためのアクセス情報として、USBメモリ200、210の提供元を示す製造者情報(製造社名)及び製品情報(製品名、製造番号等)が書き込まれており、提供元毎に異なる暗号化ソフトがそれぞれ格納されている。
【0056】
さらに、PC100は、可搬型記録媒体として例えばC社のメモリカード220を利用可能であり、作成したファイルをX社製の暗号化ソフトにより暗号化してメモリカード220に書き込むことが可能である。
【0057】
前記サーバ500,510、520は、各USBメモリ200,210やメモリカード220のそれぞれに対応して、各暗号化ファイルを復号化する機能を有している。つまり、サーバ500はA社のUSBメモリ200に対応する復号化機能を有し、サーバ510は、B社のUSBメモリ6に対応する復号化機能を有し、サーバ520はX社の暗号化ソフトに対応する復号化機能を有している。
【0058】
次に、図1に示した画像処理システムを用い、A社製のUSBメモリ200に書き込まれた暗号化ファイルを復号化しMFP300で印刷するまでの処理の概要を、図4を参照して説明する。
【0059】
図4に示すように、ユーザがPC100にA社製のUSBメモリ200を接続し、該USBメモリ200の暗号化ソフトを起動する。そして、印刷ファイルを指定し、パスワードを入力すれば、印刷ファイルが暗号化ソフトで暗号化され、USBメモリ200に書き込まれる。
【0060】
この後、ユーザは、暗号化ファイルが書き込まれたUSBメモリ200を取り外し、これをMFP300に接続したのち、印刷したい暗号化ファイルを選択し、パスワードを入力する。
【0061】
MFP300は、選択された暗号化ファイルとUSBメモリ200の製造者情報(A社製)を読み出し、記憶部305に記憶されている、提供先(製造者)と復号化サーバのアドレスとの対応関係を示すアドレステーブル(図9に示す)を参照し、暗号化ファイルを送信すべき復号化サーバとして、A社のUSBメモリ200に対応するサーバ500が特定され、そのアドレスが特定される。そして、そのサーバ500に暗号化ファイルとパスワードを転送すれば、サーバ500により該暗号化ファイルが復号化される。
【0062】
MFP300には、パスワード入力画面が表示され、ユーザがパスワードを入力すれば、前記サーバ500から復号化された印刷ファイルが転送され、MFP300は当該印刷ファイルを印刷処理する。このため、ユーザは、MFP300から、前記暗号化されたファイルの印刷出力物をセキュリティを確保したままで入手することができる。
【0063】
また、ユーザがPC100にB社製のUSBメモリ210を接続し、該USBメモリ210の暗号化ソフトにより暗号化ファイルを作成した場合は、図5に示すように、MFP300では、USBメモリ210に記憶されている製造者情報と、記憶部305に記憶されたテーブルとからB社のUSBメモリ210に対応するサーバ510のアドレスが特定され、このサーバ510に暗号化ファイルとパスワードが転送される。
【0064】
図6は、図4及び図5で説明した、暗号化ファイルを復号化し印刷するまでの処理を、より詳細に説明するための図である。
【0065】
図6において、画像処理システムにおけるPC100は、USBメモリ200、210を接続するためのUSBメモリインターフェース部105と、メモリカード220を接続するためのメモリカードインターフェース部106とを備えている。
【0066】
A社およびB社のUSBメモリ200,210には、それぞれ製造者情報203、213及び製品情報と、PC100用の暗号化ソフト201,211が格納されている。つまり、PC100でA社のUSBメモリ200を利用する場合、このUSBメモリ200の暗号化ソフト201で暗号化した印刷ファイル(A社暗号化ファイル)202を書き込むことができる。また、B社のUSBメモリ210を利用する場合、このUSBメモリ210の暗号化ソフト211で暗号化した印刷ファイル(B社暗号化ファイル)212を書き込むことができる。
【0067】
また、MFP300は、A社およびB社のUSBメモリ200,210からそれぞれ暗号化ファイル202,212と製造者情報203,213を読み込むことが可能である。
【0068】
一方、前記メモリカード220には、製造者情報は存在せず、PC100が有するX社製の暗号化ソフトを用いて印刷ファイルを暗号化し、メモリカード220に書き込むことができる。この場合、メモリカード220には、X社製の暗号化ソフトによる暗号化ファイル(X社暗号化ファイル)222を復号化できる復号化サーバ520のアドレスを示すサーバアドレス情報221が書き込まれる。MFP300は、メモリカード220に書き込まれた前記サーバアドレス情報221およびX社暗号化ファイル222を読み込むことができる。
【0069】
ユーザが、PC100にA社のUSBメモリ200を接続し、該USBメモリ200に入っている暗号ソフト201を起動し、印刷ファイルのデータ101をA社暗号化ソフト実行部102で暗号化する。暗号化にはパスワードを共通鍵とする。暗号化した印刷ファイルは前記USBメモリ200に書き込まれる。
【0070】
次に、ユーザがUSBメモリ200をPC100から取り外して、MFP300のUSBメモリインターフェース部310に装着する。
【0071】
MFP300はUSBメモリ200に書き込まれている暗号化ファイル202と製造者情報203を読み出すとともに、読み出した製造者情報203から対応するA社用の復号化サーバ500のアドレスを特定し、ネットワークコントローラ308及びネットワーク400を介してアクセスした後、暗号化ファイル202を復号化サーバ500に送信する。
【0072】
復号化サーバ500は、暗号化ファイルの復号化処理を行う復号部532と、印刷指令を出力する印刷指令処理部533を有している。これらは、Webサーバソフトウェア(図5ではWebサーバソフトと記している)531に従ってCPU501が動作することにより機能が発揮される。
【0073】
そして、復号化サーバ500は、MFP300から送信された暗号化ファイル202を、ネットワークインターフェース部507を介して受信するとともに、受信した暗号化ファイル202を前記復号部532により復号化し、印刷指令とともにMFP300に返信する。
【0074】
この返信を受けたMFP300は、復号化された印刷ファイルをプリンタ部306により印刷する。
【0075】
なお、ユーザがB社製USBメモリ210に、B社暗号化ソフト211により暗号化された印刷ファイル212を書き込んだ場合には、B社製USBメモリ210内の製造者情報213から、B社用の復号化サーバ510のアドレスが特定され、該復号化サーバ510へ暗号化ファイルが送信されて復号化される点を除いて、前記A社製USBメモリ200の場合と同様にして、MFP300での印刷が行われる。
【0076】
また、ユーザがC社製のメモリカード220に、X社製の暗号化ソフトを用いて暗号化された印刷ファイル222を書き込んだ場合には、前述したように、復号化サーバ520のアドレスを示すサーバアドレス情報221が、メモリカード220に書き込まれる。なお、サーバアドレス情報221は、X社製の復号化ソフト等に含ませておけばよい。
メモリカード220がMFP300のメモリカードインターフェース部311に装着されると、MFP300では、前記サーバアドレス情報221が読み込まれるとともに、読み込まれたアドレス(X社用の復号化サーバ510)へ暗号化ファイルが送信されて復号化される。
【0077】
図7は、暗号化されたファイルを処理する際のMFP300の動作を示すフローチャートである。この処理は、MFP300のCPU301がROM302あるいは記憶部305に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0078】
ユーザは、暗号化ファイルが書き込まれたUSBメモリ200、210またはメモリカード220を、MFP300のUSBメモリインターフェース部310またはメモリカードインターフェース部311に接続し、MFP300の操作パネル307の表示部307aに表示されるメニュー画面で「USBメモリプリント」ボタンを押下する。
【0079】
図7のステップS1000で、USBメモリ200、210またはメモリカード220の接続が検出され、表示部307aには、図11(A)で示すように、印刷したいファイルが暗号化されているか否かを選択するための選択画面1001Aが表示される。その画面1001Aには、選択を促すメッセージの他に、「暗号化ファイル印刷」のボタン4001と、「非暗号化ファイル印刷」のボタン4002とが表示されている。
【0080】
ステップS1001では、「暗号化ファイル印刷」のボタン4001が選択されたか否かが判断される。
【0081】
ユーザが「暗号化ファイル印刷」ボタン4001を押下すると、「暗号化ファイル印刷」が選択されたことが判断され(ステップS1001でYES)、表示部307aには、図11(B)で示すように、復号化サーバの選択画面1002Bが表示される。その画面には、復号化サーバの選択を促すメッセージの他に、「USBメモリ用サーバ」のボタン4003と、「メモリカード用サーバ」のボタン4004が表示される。なお、「USBメモリ用サーバ」のボタン4003は、USBメモリ200、210の使用時に選択されるボタンであり、「メモリカード用サーバ」のボタン4004はメモリカード220の使用時に選択されるボタンである。
【0082】
また、「USBメモリ用サーバ」のボタン4003と、「メモリカード用サーバ」のボタン4004をユーザに選択させることなく、USBメモリ200、210やメモリカード220から読み込んだ情報が製造者情報か、サーバアドレス情報かをMFP300が自動的に判断しても良い。また、USBメモリ200、210の場合においても、製造者情報でなく、復号化サーバ500、510のアドレス情報が書き込まれていても良い。
【0083】
ステップS1002では、「USBメモリ用サーバ」のボタン4003が選択されたかどうかが判断される。
【0084】
ユーザがボタン4003を押下して「USBメモリ用サーバ」が選択されると(ステップS1002でYES)、ステップS1003で、MFP300はUSBメモリ200、210から製造者情報を読み込み、記憶部305に記憶されている製造者情報と復号化サーバのアドレスとの対応関係を示すアドレステーブル(図9に示す)から、復号化サーバ500または510のアドレスを特定し、そのアドレスをサーバアドレスに設定する。そして、ステップS1005に進む。
【0085】
ユーザが復号化サーバ選択画面1002Bで「メモリカード用サーバ」ボタン4004を押下した場合は(ステップS1002でNO)、暗号化ファイルはメモリカード220に記憶されているから、ステップS1004で、メモリカード220に書き込まれているサーバアドレス情報を読み込み、そのアドレスをサーバアドレスに設定する。そして、ステップS1005に進む。
【0086】
ステップS1005では、MFP300の表示部307aに、Webブラウザ表示画面を表示し、ステップS1003またはステップS1004で設定されたアドレスをURLとしてサーバ500、510、520に接続する。そして、MFP300と復号化サーバ500、510、520との間でファイル等の授受を行い、ステップS1007では、復号化されたファイルの印刷処理を実行して終了する。
【0087】
ステップS1001において、「非暗号化ファイル印刷」のボタン4002が押下されると(ステップS1001でNO)、ステップS1006で、従来と同じく、USBメモリ200、210やメモリカード220に書き込まれた非暗号化ファイルを読み出し、ステップS1007で印刷処理を行ったのち、処理を終了する。
【0088】
図8は、暗号化されたファイルを処理する際のMFP300と復号化サーバ500、510、520との間で行われるデータの授受を示すシーケンス図である。
【0089】
ステップS1001で、USBメモリ200、210またはメモリカード220の接続が検出され、ステップS1001で、暗号化ファイルを印刷するかどうかの選択画面が表示され、暗号化ファイルの印刷が選択されると、ステップS1002で復号化サーバの選択画面が表示される。復号化サーバが選択され、復号化サーバのアドレスが特定されると、ステップS1005でWebブラウザ部309が起動され表示部307aにブラウザ画面が表示される。
【0090】
ステップS2002で、MFP300がインターネット等を介して復号化サーバ500、510、520にアクセスすると、ステップS2003で、復号化サーバ500、510、520は、MFP300に暗号化ファイルのファイルリストを要求する。MFP300は、ステップS2004で、USBメモリ200、210またはメモリカード220から暗号化ファイルのリストを取得し、ステップS2005で、取得したファイルリストを復号化サーバ500、510、520に転送する。
【0091】
復号化サーバ500、510、520は、受け取ったファイルリストをhtml(HyperText Markup Language)に変換して、ステップS1101で、Webブラウザのファイル選択画面の表示データと共にMFP300に送信する。
【0092】
MFP300が、ファイル選択画面の表示データ及びファイルリストのデータを受信すると、表示部307aには、図11(C)に示すようなファイル選択画面1101Cが表示される。
【0093】
ユーザがファイル選択画面1101Cから印刷したいファイルを選択する。ユーザが、ステップS2006で、例えば図11(C)のファイル4005(ファイル名:File001)を選択して、画面上の「OK」ボタン4006を押下すれば、MFP300は、ステップS2007で、ファイル4005が指定されたこと及び「OK」ボタンが押下されたことを復号化サーバ500、510、520に通知する。
【0094】
前記サーバ500、510、520は、ステップS2008で、MFP300に選択したファイルを転送する指令を送信する。
【0095】
この指令に対応して、ステップS1102では、MFP300が、USBメモリ200、210またはメモリカード220に書き込まれている暗号化ファイルを前記サーバ500、510、520に転送する。
【0096】
次にステップS2009で、サーバ500、510、520は、ブラウザ表示用データとして、図12(A)に示すように、MFP300にパスワード入力画面1103Aを送り、MFP300は、表示部307aにパスワード入力画面1103Aを表示する。
【0097】
ユーザが図12(A)に示すパスワード入力画面1103Aにおけるパスワード入力欄4007にパスワードを入力し、画面上の「OK」ボタン4008を押下すれば(ステップS2010)、MFP300は、パスワード及び「OK」ボタンの押下を前記サーバ500、510、520に通知する(ステップS2011)。
【0098】
復号化サーバ500、510、520は、ステップS1104で、受け取ったパスワードを復号鍵として暗号化ファイルを復号部532で復号化し、復号化したファイルを印刷指令処理部533に渡す。そしてステップS1105で、サーバ500、510、520は、ブラウザ表示用データとしてMFP300に印刷確認画面データを送り、MFP300は、表示部307aに図12(B)に示すような印刷確認画面1105Bを表示する。この画面1105Bには、ユーザに「印刷するか」を問うメッセージの他に、ファイル名、日付、出力部数の欄4009、「YES」ボタン4010および「NO」ボタン4011が表示されている。
【0099】
ステップS2012で、ユーザが印刷確認画面1105Bにおける「YES」ボタン4010を押下すれば、MFP300はステップS2013で、「YES」ボタンが押下されたことをサーバ500、510、520に通知する。
【0100】
ステップS1106で、サーバ500、510、520は、印刷指令処理部504から復号化された印刷ファイルと印刷指令をMFP300に送信する。同時に当該印刷ファイルをサーバ500、510、520から消去する。
【0101】
MFP300はステップS1007で、受け取った印刷ファイルと印刷指令をプリンタ部306に渡して印刷を実行することになる。
【0102】
このように、上記構成においては、ユーザは、暗号化ファイルを、USBメモリ200、210あるいはメモリカード220を介して携行できるので、このUSBメモリやメモリカードを紛失したとしても、ファイルの機密の漏洩が防止される。
【0103】
また、暗号化ファイルの復号化は、対応する復号化サーバ500、510、520で行われるから、USBメモリ200、210やメモリカード220に暗号化ファイル202、212、222とともに、復号化サーバへアクセスするための製造者情報203、213やサーバアドレス情報221を記憶させておくことで、MFP300は容易に復号化されたファイルを復号化サーバ500、510、520から取得することができる。従って、暗号化ファイルを復号化するための構成をMFP300に搭載しなくても、暗号化ファイルの印刷が可能となるし、ファイルを暗号化するための新たな暗号化フォーマットが提供されても、MFP300としての構成を変更する必要はない。
【0104】
しかも、復号化サーバ500、510、520へアクセスするための製造者情報やサーバアドレス情報は、USBメモリ200、210やメモリカード220に記憶させておくから、ユーザがMFP300の操作パネル307等から復号化サーバ500、510、520へのアクセス先を入力する必要もなく、使い勝手の良いものとなる。
【0105】
また、復号化サーバ500、510、520は、USBメモリ200、210の提供元毎にまたは暗号化ソフトの提供元毎に複数台設けられるから、各復号化サーバ500、510、520の管理運用等を提供元毎に行うことができる。
【0106】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。
【0107】
例えば、復号化サーバ500、510、520を、USBメモリの提供元毎にまたは暗号化ソフトの提供元毎に複数台設けたが、各復号化サーバの機能を集結した1台のサーバのみで構成しても良い。この場合、図13に示すように、復号化サーバ530は復号部532として、A社製USBメモリ200に対応するA社用復号部532aと、B社製USBメモリ210に対応するB社用復号部532bと、メモリカード220に対応するX社用復号部532cを備え、A社製USBメモリ200から読み込まれた暗号化ファイルはA社用復号部532aで、B社製USBメモリ210から読み込まれた暗号化ファイルはB社用復号部532bで、メモリカード220から読み込まれた暗号化ファイルはX社用復号部532cで、それぞれ復号化される。
【0108】
なお、いずれの復号部で復号化するかは、USBメモリ200、210の場合はそれらのUSBメモリの製造者情報により暗号化ソフトの種類を特定し、メモリカード220の場合は、暗号化ソフトの製造者情報を書き込んでおくことにより、暗号化ソフトの種類を特定することで、復号化サーバ530が決定すれば良い。
【0109】
また、上記実施形態では、可搬型記録媒体として、USBメモリ200、210やメモリカード220を用いた場合を示したが、他の可搬型記録媒体を用いても良い。
【符号の説明】
【0110】
100 ユーザ端末(PC)
200、210 USBメモリ
220 メモリカード
300 画像処理装置
301 CPU
302 ROM
305 記憶部
306 プリンタ部
307 操作パネル
307a 表示部
308 ネットワークコントローラ
309 Webブラウザ部
310 USBメモリインターフェース部
311 メモリカードインターフェース部
400 ネットワーク
500、510、520 復号化サーバ
501 CPU
507 ネットワークインターフェース部
532 復号部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置と復号化サーバとがネットワークを介して接続された画像処理システムであって、
前記画像処理装置は、
暗号化ソフトウェアにより暗号化された処理対象ファイルと、この暗号化された処理対象ファイルを復号化する復号化サーバへアクセスするためのアクセス情報が記憶された可搬型記録媒体を、着脱自在に接続する接続手段と、
前記接続手段に接続された可搬型記録媒体から、前記暗号化された処理対象ファイル及びアクセス情報を読み出す読み出し手段と、
前記読み出し手段により読み出されたアクセス情報に基づいて前記復号化サーバへアクセスするアクセス手段と、
前記アクセス手段によりアクセスした復号化サーバに、前記暗号化された処理対象ファイルを送信する送信手段と、
前記復号化サーバから返信された、復号化された処理対象ファイルを受信する受信手段と、
前記受信した復号化された処理対象ファイルを処理するファイル処理手段と、
を備え、
前記復号化サーバは、
前記画像処理装置から送信された暗号化された処理対象ファイルを受信する受信手段と、
前記受信した暗号化された処理対象ファイルを復号化する復号化手段と、
前記復号化手段により復号化された処理対象ファイルを画像処理装置に返信する返信手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記復号化サーバは、前記可搬型記録媒体の提供元毎にまたは暗号化ソフトウェアの提供元毎に複数台設けられ、
前記画像処理装置のアクセス手段は、前記アクセス情報に基づいて、可搬型記録媒体または暗号化ソフトウェアの提供元に対応する復号化サーバにアクセスする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記復号化サーバは、複数の異なる暗号化ソフトウェアで暗号化された処理対象ファイルの復号化が可能な1台のサーバで構成されるとともに、前記受信手段により受信した画像処理装置からの暗号化された処理対象ファイルにおける暗号化ソフトウェアの種類を特定する暗号化特定手段を備え、
前記復号化手段は、前記暗号化特定手段により特定された種類の暗号化ソフトウェアで暗号化された処理対象ファイルを、前記暗号化ソフトウェアの種類に対応する復号化方法で復号化する請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項4】
復号化サーバとネットワークを介して接続された画像処理装置であって、
暗号化ソフトウェアにより暗号化された処理対象ファイルと、この暗号化された処理対象ファイルを復号化する復号化サーバへアクセスするためのアクセス情報が記憶された可搬型記録媒体を、着脱自在に接続する接続手段と、
前記接続手段に接続された可搬型記録媒体から、前記暗号化された処理対象ファイル及びアクセス情報を読み出す読み出し手段と、
前記読み出し手段により読み出されたアクセス情報に基づいて前記復号化サーバへアクセスするアクセス手段と、
前記アクセス手段によりアクセスした復号化サーバに、前記暗号化された処理対象ファイルを送信する送信手段と、
前記復号化サーバから返信された、復号化された処理対象ファイルを受信する受信手段と、
前記受信した復号化された処理対象ファイルを処理するファイル処理手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
前記復号化サーバは、前記可搬型記録媒体の提供元毎にまたは暗号化ソフトウェアの提供元毎に複数台設けられ、
前記画像処理装置のアクセス手段は、前記アクセス情報に基づいて、可搬型記録媒体の提供元または暗号化ソフトウェアの提供元に対応する復号化サーバにアクセスする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記復号化サーバは、複数の異なる暗号化ソフトウェアで暗号化された処理対象ファイルの復号化が可能な1台のサーバで構成され、
前記画像処理装置のアクセス手段は、前記アクセス情報に基づいて、前記1台の復号化サーバにアクセスする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像処理装置と復号化サーバとがネットワークを介して接続された画像処理システムで実行される画像処理方法であって、
前記画像処理装置は、
暗号化ソフトウェアにより暗号化された処理対象ファイルと、この暗号化された処理対象ファイルを復号化する復号化サーバへアクセスするためのアクセス情報が記憶された可搬型記録媒体が、着脱自在に接続される接続手段に接続されたかどうかを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて、前記可搬型記録媒体が接続手段に接続されたことが検出された場合に、可搬型記録媒体から前記暗号化された処理対象ファイル及びアクセス情報を読み出す読み出しステップと、
前記読み出しステップにおいて読み出されたアクセス情報に基づいて前記復号化サーバへアクセスするアクセスステップと、
前記アクセスステップにおいてアクセスした復号化サーバに、前記暗号化された処理対象ファイルを送信する送信ステップと、
前記復号化サーバから返信された、復号化された処理対象ファイルを受信する受信ステップと、
前記受信した復号化された処理対象ファイルを処理するファイル処理ステップと、
を実行し、
前記復号化サーバは、
前記画像処理装置から送信された暗号化された処理対象ファイルを受信する受信ステップと、
前記受信した暗号化された処理対象ファイルを復号化する復号化ステップと、
前記復号化ステップにおいて復号化された処理対象ファイルを画像処理装置に返信する返信ステップと、
を実行することを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
復号化サーバとネットワークを介して接続された画像処理装置のコンピュータに実行させるための画像処理プログラムであって、
暗号化ソフトウェアにより暗号化された処理対象ファイルと、この暗号化された処理対象ファイルを復号化する復号化サーバへアクセスするためのアクセス情報が記憶された可搬型記録媒体が、着脱自在に接続される接続手段に接続されたかどうかを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて、前記可搬型記録媒体が接続手段に接続されたことが検出された場合に、可搬型記録媒体から前記暗号化された処理対象ファイル及びアクセス情報を読み出す読み出しステップと、
前記読み出しステップにおいて読み出されたアクセス情報に基づいて前記復号化サーバへアクセスするアクセスステップと、
前記アクセスステップにおいてアクセスした復号化サーバに、前記暗号化された処理対象ファイルを送信する送信ステップと、
前記復号化サーバから返信された、復号化された処理対象ファイルを受信する受信ステップと、
前記受信した復号化された処理対象ファイルを処理するファイル処理ステップと、
を画像処理装置のコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【請求項9】
前記復号化サーバは、前記可搬型記録媒体の提供元毎にまたは暗号化ソフトウェアの提供元毎に複数台設けられ、
前記アクセスステップでは、前記アクセス情報に基づいて、可搬型記録媒体の提供元または暗号化ソフトウェアの提供元に対応する復号化サーバにアクセスする処理をコンピュータに実行させる請求項8に記載の画像処理プログラム。
【請求項10】
前記復号化サーバは、複数の異なる暗号化ソフトウェアで暗号化された処理対象ファイルの復号化が可能な1台のサーバで構成され、
前記アクセスステップでは、前記アクセス情報に基づいて、前記1台の復号化サーバにアクセスする処理をコンピュータに実行させる請求項8に記載の画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−49706(P2011−49706A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194873(P2009−194873)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】