説明

画像処理システム及び画像処理方法

【課題】 文字の存在しないドキュメントの処理を行う場合において、文字の存在しない画像においても、より精度の高い画像方向識別が可能な画像処理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 原稿画像を読み込み、該原稿画像の適切な画像方向を識別する画像処理システムにおいて、画像方向が算出された原稿画像から、イメージ等の画像方向が識別不可であるオブジェクトを抽出するオブジェクト抽出手段と、該オブジェクトの適切な画像方向を、算出した該画像方向として記憶する記憶手段と、該記憶手段が記憶するオブジェクトが原稿内に存在した場合、その該オブジェクトと関連付けて記憶する画像方向を、該オブジェクトを含む原稿の画像方向であると識別する画像方向識別手段と、を具備することを特徴とする画像処理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システム、画像処理方法、プログラム並びに記憶媒体に関するものであり、特に、処理対象である画像の方向を自動で識別する画像方向識別を行う画像処理システム及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル複写機では、原稿画像等を光学的に読み取り、デジタル処理を加えた後に記録紙上に画像を形成する。このような装置においては、複数枚で構成される文書を次々に読み取らせて、そのイメージを記録紙上に形成することが可能である。ここで、記録紙上に複写される文書の方向は、装置に提供された元文書の方向によらず、内部の画像データを回転することにより、任意の方向へ変換することができる。また、光学系によらず任意の倍率に変倍を施して複写することができる。
【0003】
このような機器において、画像文書方向判別の結果に応じた画像の自動回転処理が機器に備わっている場合、その生産性は著しく増大する。例えば、複数枚の文書をステイプル処理する場合、あるいはいわゆる“2in1”,“4in1”といった縮小レイアウト処理を行う場合など、その綴じ位置や出力原稿配置は機器の形状により制限されているので、望み通りの結果を得る為には、ユーザが原稿台に置く原稿の向きについて逐一考慮するか、任意方向に置いた原稿の画像が内部で自動的に回転するかのいずれかが必要である。言うまでもなく後者のほうがユーザにとっては利便性がはるかに高い。
【0004】
この自動回転処理には、文書原稿の方向判別技術が必要であるが、その方法としては、文書に書かれた文字を回転しながら都度文字認識し、最も正しい文字として認識される方向(最も認識信頼度の高い方向)を原稿方向と判別する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、画像の方向を識別する各文字に対して優先度を付与し、それを元に算出した認識信頼度に基づいて画像方向を識別する技術が存在する(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−293000号公報
【特許文献2】特開2004−62785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上説明してきた従来の技術を用いると、文字の存在しないドキュメントの処理を行う場合、文字の抽出に失敗し、画像方向の識別が出来ない。また、ユーザが原稿台に置く原稿の向きに依存してしまうことになり、精度が非常に悪くなってしまう。
【0007】
本発明は、以上の点に着目して成されたもので、文字の存在しない画像においても、より精度の高い画像方向識別が可能な画像処理システム及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に関わる第1の発明の画像処理システムは以下に示す構成を備える。
【0009】
原稿画像を読み込み、該原稿画像の適切な画像方向を識別する画像処理システムにおいて、画像方向が算出された原稿画像から、イメージ等の画像方向が識別不可であるオブジェクトを抽出するオブジェクト抽出手段と、該オブジェクトの適切な画像方向を、算出した該画像方向として記憶する記憶手段を備える。
【0010】
かかる構成において、画像方向が識別不可であるイメージ等の画像情報においても、適切な画像方向の認識を可能とする情報を取得及び、保持することが可能となる。
【0011】
また、上記目的を達成する本発明に関わる第2の発明の、画像処理システムは以下に示す構成を備える。
【0012】
第1の発明の画像処理システムにおいて、該記憶手段が記憶するオブジェクトが原稿内に存在した場合、その該オブジェクトと関連付けて記憶する画像方向を、該オブジェクトを含む原稿の画像方向であると識別する画像方向識別手段を備える。
【0013】
かかる構成において、画像方向が識別不可であるイメージ等の画像情報から、適切な画像情報を判別することが可能となる。
【0014】
また、上記目的を達成する本発明に関わる第3の発明の画像処理システムは以下に示す構成を備える。
【0015】
第1の発明の画像処理システムにおいて、該記憶手段が、該オブジェクト抽出手段が抽出するオブジェクトを記憶する手段として、一つの該オブジェクトに対して、複数の画像方向を関連付けて記憶する手段を備える。
【0016】
かかる構成において、該オブジェクトの画像方向の識別をより正確に識別することが可能となる。
【0017】
また、上記目的を達成する本発明に関わる第4の発明の画像処理システムは以下に示す構成を備える。
【0018】
第3の発明の画像処理システムにおいて、該記憶手段が、該オブジェクト抽出手段が抽出するオブジェクトを記憶する手段として、関連付けて記憶される複数の画像方向に対して、頻度等の統計値を関連付けて記憶する手段を備える。
【0019】
かかる構成において、該オブジェクトの画像方向の識別が、より精度を増した識別を可能とする。
【0020】
また、上記目的を達成する本発明に関わる第5の発明の画像処理システムは以下に示す構成を備える。
【0021】
第4の発明の画像処理システムにおいて、該記憶手段が記憶するオブジェクトが原稿内に存在した場合、その該オブジェクトと関連付けて記憶する画像方向の中から、頻度等の統計値を元に、信頼性の高いと考えられる画像方向を、該オブジェクトを含む原稿の画像方向であると識別する手段を備える。
【0022】
かかる構成において、該オブジェクトの画像方向の識別が、より精度を増した識別を可能とする。
【0023】
また、上記目的を達成する本発明に関わる第6の発明の画像処理システムは以下に示す構成を備える。
【0024】
第4の発明の画像処理システムにおいて、該記憶手段が記憶するオブジェクトが原稿内に複数存在した場合、抽出した各オブジェクトに関連付けて記憶する画像方向の中から、頻度等の統計値を元に、最も信頼性の高いと考えられる画像方向を該原稿の画像方向であると識別する手段を備える。
【0025】
かかる構成において、該オブジェクトの画像方向の識別が、より精度を増した識別を可能とする。
【0026】
また、上記目的を達成する本発明に関わる第7の発明の画像処理システムは以下に示す構成を備える。
【0027】
第3の発明の画像処理システムにおいて、該記憶手段が記憶するオブジェクトが原稿内に存在した場合、ユーザが、記憶される画像方向の中から任意の画像方向を選択する手段を備える。
【0028】
かかる構成において、該オブジェクトの画像方向の識別が、より精度を増した識別を可能とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、画像方向が識別不可であるイメージ等の画像情報においても、適切な画像方向の認識を可能とする情報を取得及び、保持することが可能となる。
【0030】
また、画像方向が識別不可であるイメージ等の画像情報から、適切な画像情報を判別することが可能となる。
【0031】
更に、該オブジェクトの画像方向の識別をより正確に識別することが可能となる。また、該オブジェクトの画像方向の識別が、より精度を増した識別を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例】
【0033】
図1に本発明の実施形態としての画像処理システムのブロック図を示す。(101)はスキャナ部であり、紙文書の原稿をスキャンし、その内容を光電変換によりデジタル信号に変換する。(102)は蓄積部であり、このデジタル信号をデータとして蓄積する。(103)は画像処理部であり、蓄積された画像に対し、二値化、回転、縮小、拡大などの変換操作を行う。(104)は方向判別部であり、画像データから元原稿の方向を判定する。(105)は出力部であり、画像データのプリントアウトを行う。(106)は、スキャナ、蓄積部のメモリ、ハードディスク、プリンタなどのハードウェア資源を管理し、かつ方向判別や画像変換などのソフトウェア処理を実行するCPUなどからなる制御部である。
【0034】
次に、イメージの画像方向の関連付けと保持処理の概要を、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0035】
ただし、方向判別処理開始時には、原画像の画像データはカラーのディジタルデータとして蓄積部に蓄積されているものとする。
【0036】
まず、(S201)では、スキャナ部(101)を動作させ1枚の原稿をラスター状に走査し、画像信号を得る。該画像信号に対して前処理を施し、1ページ分の画像データとして保存する。
【0037】
次に、(S202)では、(S201)で取得した画像の中から、(S203)等の処理を行っていない文字群が存在するか、判別する。文字の認識はOCRを用いて認識し、まだ(S203)の処理で取得していない文字群が存在するか判別する。
【0038】
次に、(S203)では、(S202)において、未だ取得していないと識別された文字群を、OCRを用いて取得する。
【0039】
次に、(S204)では、(S203)の処理において取得した文字群を、OCRを用いてどの方向が適切な文字群の方向かを解析する。ここで用いる文字群の画像方向の識別方法は既知の技術を用いることが可能である。
【0040】
次に、(S205)では、(S204)で算出した画像方向を元に、各方向における画像方向の信頼度を算出する。該信頼度とは、複数の文字群を解析し、そこから算出した統計を元にどの方向がどれだけ画像方向として正しいと考えられるかの統計値である。この統計値の算出方法は、フォントサイズや、画像方向と判別された文字の数等、様々な要素を考慮し算出する。また、公知の技術等を用いて算出しても良いことはいうまでもない。
【0041】
次に、(S206)では、(S205)にて算出した該画像方向認識信頼度を元に、一番該画像方向認識信頼度の高い方向を画像方向として識別する。
【0042】
次に、(S207)では、(S208)等の処理を行っていないイメージが存在するか判別する。
【0043】
次に、(S208)では、(S207)において、未だ取得していないと識別されたイメージを取得する。
【0044】
次に、(S209)では、(S208)で取得したイメージデータを、(S206)で判別した画像方向と対応付けを行う。該対応付けとは、取得した該イメージデータの画像方向が、(S206)で判別した該画像方向の示す方向であると判別する。
【0045】
次に、(S210)では、(S209)で対応付けを行ったイメージデータと画像方向を対応付けて、HDD等の記憶装置に保存する。また、ここで保存するイメージデータとして、実態を保存するのではなく該イメージデータの格納される記憶装置のアドレス等であっても構わない。
【0046】
次に、画像方向との関連付けを行ったイメージを用いた画像方向識別処理の概要を、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0047】
まず、(S301)では、(S201)の処理と同様、スキャナ部(101)を動作させ1枚の原稿をラスター状に走査し、画像信号を得る。該画像信号に対して前処理を施し、1ページ分の画像データとして保存する。
【0048】
次に、(S302)では、(S210)の処理で保存したイメージデータとマッチするイメージデータが、(S301)の処理で取得した該画像データ内に存在するか解析を行う。
【0049】
次に、(S303)では、(S302)での解析において、マッチすると判別された該画像データ内に存在するイメージデータの画像を読み込み、保存された画像方向を該画像データ内の該イメージデータの画像方向として判別する。
【0050】
次に、(S304)では、(S303)で算出した画像方向を元に、各方向における画像方向の信頼度を算出する。ここでの信頼度は、複数の文字群に加えて、イメージ等の画像方向も完備し、総合的にどの画像方向が適切かを値として算出する。この統計値の算出方法は、フォントサイズや、画像方向と判別された文字の数等、様々な要素を考慮し算出する。また、公知の技術等を用いて算出しても良いことはいうまでもない。
【0051】
次に、(S305)では、(S301)で取得した画像の中から、(S306)等の処理を行っていない文字群が存在するか、判別する。文字群の認識はOCRを用いて認識し、まだ(S306)の処理で取得していない文字群が存在するか判別する。
【0052】
次に、(S306)では、(S305)において、未だ取得していないと識別された文字群を、OCRを用いて取得する。
【0053】
次に、(S307)では、(S306)の処理において取得した文字群を、OCRを用いてどの方向が適切な文字群の方向かを解析する。ここで用いる文字群の画像方向の識別方法は既知の技術を用いることが可能である。
【0054】
次に、(S308)では、(S307)で算出した画像方向を元に、各方向における画像方向の信頼度を算出する。ここでの信頼度とは、複数の文字群を解析し、そこから算出した統計を元にどの方向がどれだけ画像方向として正しいと考えられるかの統計値である。また、(S304)の処理にて算出したイメージの画像方向も完備し算出する値となる。この統計値の算出方法は、フォントサイズや、画像方向と判別された文字の数等、様々な要素を考慮し算出する。また、公知の技術等を用いて算出しても良いことはいうまでもない。
【0055】
次に、(S309)では、(S304)と(S308)にて算出した該画像方向認識信頼度を元に、一番該画像方向認識信頼度の高い方向を画像方向として識別する。
【0056】
(イメージの画像方向決定と保存)
図4を用いて、(S207)(S208)(S209)(S210)の一連の処理で行っているイメージデータの画像方向決定の処理と、決定した画像方向を持つイメージデータの保存形式を説明する。
【0057】
(S201)の処理で取得したページ情報(401)を解析し、イメージ1(406)とイメージ2(407)を取得する。このイメージの画像方向識別のため、(S202)(S203)(S204)(S205)の一連の処理で行う、文字情報から判別した画像方向(ここでは上下情報(405)のこと)を用いる。
【0058】
例えば、イメージ1(406)に関しては、上下情報(405)が算出されており、ページ情報(401)の画像方向は、右と判別済みである。従って、イメージ1(406)に関しても画像方向は上下情報(405)が示す方向と同様であると識別し、イメージ1(406)の画像方向は“右”であると識別する。
【0059】
また、イメージ2(407)に関しても同様に、上下情報(405)が算出されており、ページ情報(401)の画像方向は、右と判別済みである。従って、イメージ2(406)に関しても画像方向は上下情報(405)が示す方向と同様であると識別し、イメージ1(406)の画像方向は“右”であると識別する。
【0060】
次に、判別したイメージの画像方向の保存処理に関して、図4、図5を用いて説明する。
【0061】
まず、(S501)では、以前判別したことがあり、既にイメージ画像方向データストアに保存されているイメージデータであるか識別する。リスト(421)内の、イメージ(410)の項目に、今回処理を行うイメージが既にストアされているものかを識別する。もしここで、保存されていないイメージデータであれば(S501−NO)、新規に登録を行う(S502に進む)。また、ストアされているか識別する方法としては、既知のイメージ比較技術を用いても構わない。次に、(S502)では、イメージデータの保存を行う。保存はリスト(421)のイメージ(410)の項目に追加する。ここでイメージデータの保存は、イメージデータの実態をそのまま保存しても良い。また、実態を保存せず、実際にイメージデータが格納されるポインタ情報をここに保存しても構わない。また、もし既にストアされていたイメージだった場合(S501−YES)、(S503)に飛ぶ。
【0062】
次に、(S502)の処理で保存したイメージデータ、もしくは(S501)で同一イメージと判別されたイメージデータに関連付けされている画像方向(411)に、今回取得した上下情報(405)の示す画像方向が保存されているか探索する(S503)。もし登録されていれば(S503−YES)、(S505)まで飛ぶ。また、もし登録されていなかった場合(S503−NO)、(S504)まで飛ぶ。
【0063】
次に、(S504)では、画像方向の登録を行う。実際には画像方向(411)の欄に、(S502)の処理で保存したイメージデータに関連させて追加するか、もしくは(S501)で同一イメージと判別されたイメージデータに関連付けて画像方向の追加を行う。
【0064】
また、(S502)の処理を行った場合、イメージは新規に登録されているものであることは明らかであるので、直接(S504)の処理まで飛んでも構わない。
【0065】
最後に、(S505)では、頻度のインクリメントを行う。実際には頻度(412)のリストの、(S502)の処理で保存したイメージデータか、(S501)で同一イメージと判別したイメージデータに関連付けされた画像方向(411)に関連付けされた頻度(412)の値をインクリメントする。
【0066】
実際に図4の例を参考にすると、まずイメージ1(406)に関しては、まずリスト(421)内のイメージ(410)の欄に同一のイメージが存在するか識別する(S501)。すると、イメージ1(406)とイメージ4(413)が同等であると識別される。ここでの判別手段としては既知のイメージ比較技術を用いても構わない。次に、算出した上下情報(405)の向きが、リスト(421)内の画像方向(411)の欄に登録されているか識別する(S503)。すると、画像方向1(415)が同等の方向であると識別される。最後にイメージ4(413)の画像方向である画像方向1(415)に関連付けされる頻度1(418)の値をインクリメントされる(S505)。
【0067】
次にイメージ2(407)に関して、リスト(421)内のイメージ(410)の欄に同一のイメージが存在するか識別する(S501)。すると、イメージ2(407)とイメージ5(414)が同等であると識別される。ここでの判別手段としても既知のイメージ比較技術を用いても構わない。次に、算出した上下情報(405)の向きが、リスト(421)内の画像方向(411)の欄に登録されているか識別する(S503)。すると、画像方向3(417)が同等の方向であると識別される。最後にイメージ5(414)の画像方向である画像方向3(417)に関連付けされる頻度3(420)の値がインクリメントされる(S505)。また、画像方向が記憶されるかの識別において、上下情報(405)がこの場合、画像方向3(417)と同等であるとも考えられ、また180度回転した逆側とも考えられる。このとき、登録される向きを優先する。また、ユーザが任意に選択しても構わない。
【0068】
最後に、イメージ3(422)に関して、リスト(421)内のイメージ(410)の欄に同一のイメージが存在するか識別する(S501)。すると、同等のイメージが存在しないので、新規にイメージ(410)の欄にイメージ3(422)を登録する(S502)。次に、画像方向(411)の欄に、上下情報(405)を登録する。次に、頻度(412)の欄に“1”を代入する。この処理により、新規にイメージの登録処理を行う。
【0069】
(イメージと文字からの画像方向決定方式)
図6、図7を用いて、文字及びイメージを用いて画像方向の識別を行う方法を詳細に説明する。
【0070】
まず、(S701)では、(S301)の処理と同様、スキャナ部(101)を動作させ1枚の原稿をラスター状に走査し、画像信号を得る。該画像信号に対して前処理を施し、1ページ分の画像データ(601)として保存する。
【0071】
次に、(S702)では、(S701)で取得した画像の中から、(S703)(S704)(S705)(S706)の一連の処理を行っていない文字群が存在するか、判別する。文字群の認識はOCRを用いて認識し、まだ(S703)(S704)(S705)(S706)の一連の処理の処理で取得していない文字群が存在するか判別する。
【0072】
次に、(S703)では、(S702)において、未だ取得していないと識別された文字群を、OCRを用いて取得する。また、ここでは文字の取得方法はOCRを例にあげたが、どのような手段で文字を取得しても構わない(612)。
【0073】
次に、(S704)では、(S703)の処理において取得した文字群を、OCRを用いてどの方向が適切な文字群の方向かを解析する。ここでは、各方向の信頼性を、各方向が正しいと識別された文字数と各文字のサイズをかけ合わせ算出した各文字の各方向に対する値を、信頼値として算出し、結果一番高い信頼値となった方向をその文字群の適切な画像方向であると認識する。また用いる文字群の画像方向の識別方法は一例と示した前記方式に限らず、公知の技術を用いても構わない。
【0074】
次に、(S705)では、(S704)で算出した前記信頼値に対して、あらかじめ決められた文字重み付け定数を各方向の信頼値とかけ合わせ、処理を行う文字群の各方向に対する画像方向信頼度を算出する。
【0075】
次に、(S706)では、(S705)で算出した各方向に対する画像方向信頼度をそれぞれの方向に対して保持する。また、既に保持する各方向に対する画像方向信頼度が存在する場合は、その値に加算を行い、その結果を保持する。
【0076】
次に、(S707)では、イメージ画像方向データストア(602)内にストアされるリスト(611)のイメージデータとマッチするイメージデータが、(S701)の処理で取得した該ページ情報(601)内に存在するか解析を行う。また、ここでは(S708)、(S709)の処理を行っていないイメージを対象とする。
【0077】
次に、(S708)では、(S707)で抽出したイメージデータの画像方向信頼度を算出する。ここでは、抽出したイメージデータのサイズと、そのページ情報(601)内に存在する該イメージデータとマッチするイメージデータの数と、全体頻度率(例えば登録イメージ1(603)の場合は、上方向に対しては0.9(9/10)を、右方向に対しては、0.1(1/10)を全体頻度率とし、また、登録イメージ2(604)の場合は、上方向に対して1(10/10)を全体頻度率とする)と、あらかじめ決められたイメージ重み付け定数をかけ合わせ、各方向の画像方向信頼度を算出する。
【0078】
次に、(S709)では、(S708)で算出した各方向に対する画像方向信頼度をそれぞれの方向に対して保持する。また、既に保持する各方向に対する画像方向信頼度が存在する場合は、その値に加算を行い、その結果を保持する。
【0079】
最後に、(S710)では、(S706)(S710)で算出したそれぞれの画像方向信頼度を識別し、一番大きい値を持った画像方向を、そのページ情報(601)の適切な画像方向として算出する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の本実施形態に関わる、画像処理システムのシステム構成の概略を示す図
【図2】本発明の本実施形態に関わる、イメージの画像方向識別処理とその記憶処理の説明を行うための一例のフローチャート
【図3】本発明の本実施形態に関わる、記憶したイメージ等の画像方向を用いた原稿画像の画像方向識別処理の説明を行うための一例のフローチャート
【図4】本発明の実施形態に関わる、イメージの画像方向決定と保存処理の説明を行うための一例のイメージ図
【図5】本発明の実施形態に関わる、イメージの画像方向決定と保存処理の説明を行うための一例のフローチャート
【図6】本発明の実施形態に関わる、イメージと文字からの画像方向決定方式の説明を行うための一例のイメージを示す図
【図7】本発明の実施形態に関わる、イメージと文字からの画像方向決定方式の説明を行うための一例のフローチャート
【符号の説明】
【0081】
101 スキャナ部
102 蓄積部
103 画像処理部
104 方向判別部
105 出力部
106 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像を読み込み、該原稿画像の適切な画像方向を識別する画像処理システムにおいて、
画像方向が算出された原稿画像から、イメージ等の画像方向が識別不可であるオブジェクトを抽出するオブジェクト抽出手段と、
該オブジェクトの適切な画像方向を、算出した該画像方向として記憶する記憶手段と、を具備することを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
該記憶手段が記憶するオブジェクトが原稿内に存在した場合、その該オブジェクトと関連付けて記憶する画像方向を、該オブジェクトを含む原稿の画像方向であると識別する画像方向識別手段と、を具備することを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
該記憶手段が、該オブジェクト抽出手段が抽出するオブジェクトを記憶する手段として、一つの該オブジェクトに対して、複数の画像方向を関連付けて記憶する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項4】
該記憶手段が、該オブジェクト抽出手段が抽出するオブジェクトを記憶する手段として、関連付けて記憶される複数の画像方向に対して、頻度等の統計値を関連付けて記憶する手段を含むことを特徴とする請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項5】
該記憶手段が記憶するオブジェクトが原稿内に存在した場合、その該オブジェクトと関連付けて記憶する画像方向の中から、頻度等の統計値を元に、信頼性の高いと考えられる画像方向を、該オブジェクトを含む原稿の画像方向であると識別する手段と、を具備することを特徴とする請求項4に記載の画像処理システム。
【請求項6】
該記憶手段が記憶するオブジェクトが原稿内に複数存在した場合、抽出した各オブジェクトに関連付けて記憶する画像方向の中から、頻度等の統計値を元に、最も信頼性の高いと考えられる画像方向を該原稿の画像方向であると識別する手段と、を具備することを特徴とする請求項4に記載の画像処理システム。
【請求項7】
該記憶手段が記憶するオブジェクトが原稿内に存在した場合、ユーザが、記憶される画像方向の中から任意の画像方向を選択する手段と、を具備することを特徴とする請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項8】
原稿画像を読み込み、該原稿画像の適切な画像方向を識別する画像処理方法において、
画像方向が算出された原稿画像から、イメージ等の画像方向が識別不可であるオブジェクトを抽出するオブジェクト抽出手段と、
該オブジェクトの適切な画像方向を、算出した該画像方向として記憶する記憶手段と、を具備することを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
該記憶手段が記憶するオブジェクトが原稿内に存在した場合、その該オブジェクトと関連付けて記憶する画像方向を、該オブジェクトを含む原稿の画像方向であると識別する画像方向識別手段と、を具備することを特徴とする請求項8に記載の画像処理方法。
【請求項10】
該記憶手段が、該オブジェクト抽出手段が抽出するオブジェクトを記憶する手段として、一つの該オブジェクトに対して、複数の画像方向を関連付けて記憶する手段を含むことを特徴とする請求項8に記載の画像処理方法。
【請求項11】
該記憶手段が、該オブジェクト抽出手段が抽出するオブジェクトを記憶する手段として、関連付けて記憶される複数の画像方向に対して、頻度等の統計値を関連付けて記憶する手段を含むことを特徴とする請求項10に記載の画像処理方法。
【請求項12】
該記憶手段が記憶するオブジェクトが原稿内に存在した場合、その該オブジェクトと関連付けて記憶する画像方向の中から、頻度等の統計値を元に、信頼性の高いと考えられる画像方向を、該オブジェクトを含む原稿の画像方向であると識別する手段と、を具備することを特徴とする請求項11に記載の画像処理方法。
【請求項13】
該記憶手段が記憶するオブジェクトが原稿内に複数存在した場合、抽出した各オブジェクトに関連付けて記憶する画像方向の中から、頻度等の統計値を元に、最も信頼性の高いと考えられる画像方向を該原稿の画像方向であると識別する手段と、を具備することを特徴とする請求項11に記載の画像処理方法。
【請求項14】
該記憶手段が記憶するオブジェクトが原稿内に存在した場合、ユーザが、記憶される画像方向の中から任意の画像方向を選択する手段と、を具備することを特徴とする請求項10に記載の画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−277240(P2006−277240A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−94542(P2005−94542)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】