説明

画像処理システム及び画像形成装置

【課題】画像形成装置に異常が発生した場合に、サービスセンターと入門許可証発行装置とに自動的に報知を行うことにより、迅速に画像形成装置の異常を修復することが可能な画像処理システム等を提供すること。
【解決手段】デジタル複合機1で所定の異常が発生した場合に、異常が発生したことをサービスセンター700及び守衛所にあるコンピュータ600に報知する。サービスセンター700から派遣されるサービスマンは、守衛所において、入門許可証発行機650から入門許可証が発行される。そして、サービスマンは、当該入門許可証に記録されている情報を利用して建物内にある通過ゲートを通過し、当該デジタル複合機1が設置してある場所に行くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入門許可証を発行する発行端末と、サービスセンターと、当該発行端末及びサービスセンターとに接続された画像形成装置と、を備えた画像処理システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置として、複写機能だけではなく、スキャナ機能や、FAX機能等を備えたデジタル複合機が知られている。デジタル複合機を利用しているときに、種々の異常状態(エラー)が発生することがある。例えば、装置内に記録紙が滞留してしまういわゆる用紙詰まりであったり、トナー切れであったり、様々な異常状態が発生する。
【0003】
このとき、デジタル複合機は、異常状態を利用者に報知する。利用者は報知された異常状態の種類に応じて対策を行い、再びデジタル複合機が利用できる状態とする。
【0004】
ここで、異常状態の種類によっては、利用者が対応できないものがある。例えば、定着装置の温度が異常上昇したために記録紙に印刷することが出来なくなったり、デジタル複合機に内部のCCD(Charge Coupled Device)センサが不作動のため、画像を読み込むことが出来なくなったりする場合である。
【0005】
利用者が対応できない異常状態が発生した場合は、利用者がサービスセンターに連絡をする(いわゆる、サービスコール)。連絡を受けたサービスセンターは、修理を行う技術者(サービスマン)を、デジタル複合機の設置場所に派遣し、修理を行うことが一般的である。
【0006】
ここで、企業等においては、セキュリティの関係上、建物の入退者に対する管理が行われることが一般的である。通常、建物や施設の入り口に、守衛所等の入室管理部門が設置されている。そして、訪問者は入退室管理部門において訪問先、目的等を報告すると、入門許可証が発行され、建物や施設内に入ることができる。
【0007】
このような入退室管理について、コンピュータを利用して訪問者を一括管理する技術は従来から知られている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【特許文献1】特開2006−222741号公報
【特許文献2】特開2004−86316号公報
【特許文献3】特開平11−202929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したような企業等に、デジタル複合機の修理のためにサービスマンが訪問した場合、まず守衛所等の入室管理部門を訪ねる。ここで、サービスマンは自分の身分や訪問先、目的などを連絡する。入室管理部門は、当該サービスマンが訪問予定に有るか否かを照合し、訪問予定がある場合は入門許可証を作成し、サービスマンに貸与することとなる。
【0009】
また、デジタル複合機の利用者が入室管理部門にサービスマンの訪問について連絡をしていない場合、入退室管理部門は、訪問してきたサービスマンについて、利用者に問い合わせをする。
【0010】
そして、サービスマンは入門許可証に基づいてデジタル複合機が設置されている場所まで行き、メンテナンス作業が終了後、再度入室管理部門に戻って退社を報告する必要があった。
【0011】
このように、デジタル複合機のメンテナンスの為にサービスマンが訪問したとしても、入門許可証を受け取るまでの手続が煩雑であり、迅速にメンテナンス作業に移行できないといった問題点があった。
【0012】
とくに、装置の異常発生時に、入室管理部門に連絡を入れていない場合は確認に手間取ってしまう場合があり、さらにメンテナンス作業に入るまで時間がかかってしまっていた。さらに、装置に異常発生が発生してから、サービスセンターや入室管理部門に連絡を入れるまでのタイムラグも生じてしまう。これらの原因から、デジタル複合機が異常状態となっている時間が長くなり、稼働率が低下してしまうと行った問題点があった。
【0013】
上述した課題に鑑みて、本発明が目的とするところは、画像形成装置に異常が発生した場合に、サービスセンターと入門許可証発行装置とに自動的に報知を行うことにより、迅速に画像形成装置の異常を修復することが可能な画像処理システム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題に鑑み、本発明の画像処理システムは、入門許可証を発行する発行端末と、サービスセンターと、当該発行端末及びサービスセンターとに接続された画像形成装置と、を備えた画像処理システムにおいて、前記画像形成装置は、画像形成装置の異常状態を検出する異常状態検出手段と、前記異常状態検出手段により検出された異常状態の種類を判定する異常種類判定手段と、前記異常種類判定手段により判定された異常種類が、所定の異常種類である場合には、前記サービスセンターに異常状態であることを報知するサービスセンター報知手段と、前記サービスセンター報知手段により異常状態であることが報知された場合に、前記発行端末に異常状態であることを報知する発行端末報知手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の画像処理システムにおいて、前記発行端末は、前記発行端末報知手段により、画像形成装置が異常状態であることが報知された場合には、入門許可証を発行する入門許可証発行手段を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の画像処理システムにおいて、前記発行端末報知手段は、前記画像形成装置が設置されている場所までの通行を許可する通行許可情報を併せて報知する手段であり、前記入門許可証発行手段は、前記発行端末報知手段により報知された通行許可情報を入門許可証に記録して、入門許可証を発行することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の画像処理システムにおいて、前記サービスセンターは、前記画像形成装置が異常状態であると報知を受けた場合には、前記画像形成装置に対してメンテナンス情報を送信することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の画像処理システムにおいて、サービスマンを管理する管理装置が接続されており、前記管理装置は、前記サービスマンの所在位置を検出する所在位置検出手段を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の画像処理システムにおいて、前記所在位置検出手段は、前記サービスマンの所在位置を検出した時刻を合わせて検出することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の画像処理システムにおける、前記入門許可証には、前記画像形成装置を特定する識別情報が記録されており、前記画像形成装置は、前記入門許可証を認識する入門許可証認識手段を有し、前記入門許可証認識手段により認識された入門許可証に、当該画像形成装置を特定する識別情報が記録されている場合には、メンテナンスモードに移行することを特徴とする。
【0021】
本発明の画像処理装置は、入門許可証を発行する発行端末及びサービスセンターに接続された画像形成装置において、画像形成装置の異常状態を検出する異常状態検出手段と、前記異常状態検出手段により検出された異常状態の種類を判定する異常種類判定手段と、前記異常種類判定手段により判定された異常種類が、所定の異常種類である場合には、前記サービスセンターに異常状態であることを報知するサービスセンター報知手段と、前記サービスセンター報知手段により異常状態であることが報知された場合に、前記発行端末に異常状態であることを報知する発行端末報知手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、入門許可証を発行する発行端末と、サービスセンターと、当該発行端末及びサービスセンターとに接続された画像形成装置と、を備えた画像処理システムにおいて、画像形成装置は、画像形成装置の異常状態を検出し、検出された異常状態の種類が所定の異常種類である場合には、前記サービスセンターに異常状態であることを報知するとともに、発行端末にも異常状態であることを報知することとなる。したがって、画像形成装置が異常となったときに、即座にサービスセンターに連絡できる(いわゆる、サービスマンコールが行える)。したがって、画像形成装置が異常状態を判定して連絡を入れるため、適切にメンテナンスができることとなり、装置の停止時間が短くなることから、稼働率を上げることができるようになる。
【0023】
また、本発明によれば、発行端末は、画像形成装置から異常状態であることが報知された場合には、入門許可証を発行することが可能となる。したがって、サービスマンが訪問時に、簡易に入門許可証を発行することが可能となり、より迅速に画像形成装置のメンテナンスに着手することができることとなる。
【0024】
また、本発明によれば、画像形成装置が設置されている場所までの通行を許可する通行許可情報を入門許可証に記録して、入門許可証を発行することとなる。したがって、例えば訪問したサービスマンは、構内において必要な経路のみ通って画像形成装置が設定している場所まで通行することとなるため、情報漏洩の防止が可能となる。
【0025】
また、本発明によれば、入門許可証には、画像形成装置を特定する識別情報が記録されており、画像形成装置は、入門許可証を認識された入門許可証に、当該画像形成装置を特定する識別情報が記録されている場合には、メンテナンスモードに移行することとなる。したがって、入門許可証を用いて認証処理が行えるだけでなく、メンテナンスモードに迅速に切り替わることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態では、本発明を適用した画像形成装置の一例としてデジタル複合機を用いた画像処理システムについて説明する。
【0027】
[システム概要]
図1は、画像処理システムの概要について説明するための図である。図1に示すように、建物1には、デジタル複合機1が配置されており、管理装置500とLAN(Local Area Network)により接続されている。
【0028】
また、LANを介して守衛所と通信できるように接続されており、守衛所にあるコンピュータ600が接続されている。さらに、コンピュータ600には、入門許可証発行機650が接続されており、入門許可証を作成することができる。
【0029】
ここで、入門許可証とは、部外者(例えば、サービスマン)が構内(建物)に入る場合に用いられるものである。本実施形態の場合は、ICチップが内蔵されたカードであり、入門許可証発行機650により、入門許可証情報がICチップに記録される。
【0030】
なお、入門許可証として利用されるものは、ICチップを利用したカードに限られず、例えばRFタグを利用したカードや、磁気カード、2次元バーコードを印刷したもの等いずれの形態でもよい。
【0031】
また、デジタル複合機1は、公衆回線網又はインターネット網を介してサービスセンター700に接続する。サービスセンター700は、デジタル複合機1にトラブルが発生すると、サービスマンを手配し、派遣する。
【0032】
ここで、建物の一例について図2を用いて説明する。本実施形態における建物には、複数の部屋があり、当該部屋にはデジタル複合機1が設置されている。また、各部屋の入り口には、部屋番号に対応して通過ゲートが設置されている。さらに、通路の一部分にはA〜Gの通過ゲートが設置されている。
【0033】
通過ゲートは、入門許可証を認識すると、当該入門許可証に記録されている入門許可証情報を読み出す。ここで、入門許可情報の中に、当該通過ゲートを通過することが許可されている情報が記録されている場合、通過ゲートのロックを解除する。
【0034】
例えば、サービスマンが、通過ゲート「A」「B」「4」について通過を許可されている入門許可証を利用した場合、通過ゲート「A」「B」を通過し、部屋「4」に入ることができることとなる。
【0035】
[デジタル複合機の機能説明]
つづいて、デジタル複合機1の機能について説明する。図3及び図4は、本実施形態におけるデジタル複合機1の一実施形態を示す斜視図及び断面図である。このデジタル複合機1では、原稿の画像を読取って記録紙に印刷する複写モード、原稿の画像を読取って送信したり、原稿の画像を受信して記録紙に印刷したりするファクシミリモード、及び情報端末装置からネットワークを通じて受信した画像を記録紙に印刷するプリンタモード等を選択的に行うことができる。このデジタル複合機1は、その構成を大別すると、原稿搬送読取部2、画像形成部3、給紙部4、排紙処理装置5及びUSBインターフェイス7を備えている。
【0036】
次に、複写モードを例に挙げて、デジタル複合機1の動作を説明する。まず、原稿を原稿搬送読取部2の原稿セットトレイ11にセットすると、原稿検知センサ12が原稿をセットされたことを検出する。そして、原稿搬送読取部2の操作パネル6を操作することにより印刷用紙のサイズ及び変倍率等を入力設定する。その後、操作パネル6の操作により複写の開始を指示する。
【0037】
これらの操作に応答して原稿搬送読取部2では、ピックアップローラ13により原稿セットトレイ11上の各原稿を1枚ずつ引き出し、原稿をサバキ板14と搬送ローラ15間を介してプラテンガラス16へと送り出し、原稿をプラテンガラス16上で副走査方向に搬送して原稿排出トレイ17へと排出する。
【0038】
このとき、第1読取部21によって原稿の表面(下側面)を読取る。第1読取部21の第1走査ユニット23をポジションに移動して位置決めし、第2走査ユニット24を所定位置に位置決めしておき、第1走査ユニット23の露光ランプにより原稿の表面を、プラテンガラス16を介して照射し、原稿の反射光を第1及び第2走査ユニット23、24の各反射ミラーにより結像レンズ26へと導き、原稿の反射光を結像レンズ26によりCCD(Charge Coupled Device)27に集光させ、原稿の表面の画像をCCD27上に結像させ、これにより原稿の表面の画像を読取る。
【0039】
また、第2読取部22によって原稿の裏面(上側面)を読取る。第2読取部22は、プラテンガラス16の上方に配置されており、原稿の裏面を照射する露光ランプ(LED(Light Emitting Diode)アレイ、蛍光灯等)、画素毎に、原稿の反射光を集光するセルフォックレンズアレイ及びセルフォックレンズアレイを通じて受光した原稿の反射光を光電変換して、アナログの画像信号を出力する密着イメージセンサ(CIS;Contact Image Sensor)等を備えている。
【0040】
さらに、原稿搬送読取部2の上部筐体を開いて、プラテンガラス16上に原稿を載置し、この状態で第1読取部21により原稿の表面を読取ることが可能である。この場合は、第1及び第2走査ユニット23、24を相互に所定の速度関係を維持しつつ副走査方向に移動させ、第1走査ユニット23によってプラテンガラス16上の原稿を露光し、第1及び第2走査ユニット23、24によって原稿からの反射光を結像レンズ26へと導き、結像レンズ26によって原稿の画像をCCD27上に結像する。
【0041】
こうして原稿の片面もしくは両面が読み取られると、原稿の片面もしくは両面の画像を示す画像データがマイクロコンピュータ等の制御部100(図5に示す)に入力され、ここで画像データに各種の画像処理が施され、この画像データが画像形成部3へと出力される。
【0042】
画像形成部3は、画像データによって示される原稿の画像を記録紙に印刷するものであって、感光体ドラム31、帯電装置32、レーザスキャンユニット(以下LSUと称する)33、現像装置34、転写装置35、クリーニング装置36、除電装置(図示せず)及び定着装置37等を備えている。
【0043】
また、画像形成部3には、主搬送路38及び反転搬送路39が設けられており、給紙部4から給紙されて来た記録紙が主搬送路38に沿って搬送される。給紙部4は、用紙カセット41に収納された記録紙、または手差トレイ42に載置された記録紙を1枚ずつ引き出して、記録紙を画像形成部3の主搬送路38へと送り出す。
【0044】
画像形成部3の主搬送路38に沿って記録紙が搬送されている途中で、記録紙が感光体ドラム31と転写装置35との間を通過し、さらに定着装置37を通過して、記録紙に対する印刷が行われる。感光体ドラム31は、一方向に回転しており、その表面をクリーニング装置36と除電装置によりクリーニングされてから、その表面を帯電装置32により均一に帯電される。レーザスキャンユニット33は、原稿搬送読取部2からの画像データに基づいてレーザ光を変調し、このレーザ光によって感光体ドラム31表面を主走査方向に繰り返し走査して、静電潜像を感光体ドラム31表面に形成する。現像装置34は、トナーを感光体ドラム31表面に供給して、静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム31表面に形成する。転写装置35は、該転写装置35と感光体ドラム31間を通過して行く記録紙に感光体ドラム31表面のトナー像を転写する。定着装置37は、記録紙を加熱及び加圧して、記録紙上のトナー像を定着させる。
【0045】
主搬送路38と反転搬送路39の接続位置には、分岐爪43が配設されている。記録紙の片面だけに印刷が行われる場合は、分岐爪43が位置決めされ、この分岐爪43により定着装置37からの記録紙が排紙トレイ44又は排紙処理装置5の方へと導かれる。
【0046】
また、記録紙の両面に印刷が行われる場合は、分岐爪43が点線で示す位置に回転移動されて、記録紙が反転搬送路39の方へと導かれる。そして、記録紙は、反転搬送路39を通過して、その表裏を反転されて主搬送路38へと再び搬送され、主搬送路38の再度の搬送途中で、その裏面への印刷が行われて、排紙トレイ44又は排紙処理装置5の方へと導かれる。
【0047】
こうして印刷された記録紙は、排紙トレイ44又は排紙処理装置5の方へと導かれて、排紙トレイ44に排出されたり、排紙処理装置5の各排紙トレイ5aのいずれかに排出されたりすることとなる。
【0048】
排紙処理装置5では、複数の記録紙を各排紙トレイ5aに仕分けして排出したり、各記録紙にパンチング処理を施したり、各記録紙にステープル処理を施す。例えば、複数部の印刷物を作成する場合は、各排紙トレイ5aに印刷物の一部ずつが割り当てられる様に各記録紙を各排紙トレイ5aに仕分けして排出し、排紙トレイ5a毎に、排紙トレイ5a上の各記録紙にパンチング処理やステープル処理を施して、印刷物を作成する。
【0049】
[デジタル複合機の構成]
つづいて、デジタル複合機1の構成について図5を用いて説明する。図5に示すように、デジタル複合機1は、制御部100に、画像読取部102と、操作部104と、画像形成部106と、モデム部108と、画像メモリ110と、通信部112と、ROM114と、管理部116と、記憶部118とが接続されている。また、モデム部108は公衆回線網N3に、通信部112はネットワークN1に接続されている。
【0050】
制御部100は、デジタル複合機1の各種動作及び制御を行う機能部である。デジタル複合機1に記憶されている各種プログラムを読み出し、実行することにより各処理を実現する。ここで、制御部100は、例えば演算を行うCPU(Central Processing Unit)により構成されている。
【0051】
画像読取部102は、記録紙に記録された画像を読み取って、画像データを生成する機能部である。画像読取部102は、例えばスキャナ等から構成されている。なお、図3に示したデジタル複合機1においては、原稿搬送読取部2が該当する。画像読取部102において生成された画像データは、画像メモリ110に送られ、一時記憶される。
【0052】
操作部104は、操作のために必要な情報を表示する液晶パネル等の表示手段と、使用者の操作により制御命令などの情報が入力されるタッチパネル又はテンキー等の入力手段とからなっている。なお、図3に示したデジタル複合機1においては、操作パネル6が該当する。
【0053】
画像形成部106は、画像メモリ110に記憶された画像データに基づいて、画像を形成し、記録紙に記録(印刷)するための機能部である。例えば、レーザプリンタ等により構成されてもよい。なお、図3に示したデジタル複合機1においては、画像形成部3が該当する。
【0054】
モデム部108は、ファクシミリ通信を行うための機能部であり、公衆回線網N3に接続されている。ここで、画像読取部102が生成した画像データは、モデム部108に接続された公衆回線網N3を介して他のファクシミリ装置400へファクシミリ通信にて送信することができる。また、デジタル複合機1において、公衆回線網N3を介して他のファクシミリ装置400から送信された画像データをモデム部108で受信し、受信した画像データから画像形成部106で画像を形成することができる。
【0055】
また、モデム部108に接続された公衆回線網N3を介してサービスセンター700と接続される。デジタル複合機1において所定のトラブルが発生すると、公衆回線網N3を介してサービスセンター700にトラブル情報が送信される。また、サービスセンター700から、サービスマンに関する情報等が、公衆回線網N3を介してモデム部108により受信される。
【0056】
画像メモリ110は、画像データを一時的に記憶するメモリである。具体的には、画像読取部102で生成された画像データが、一度画像メモリ110に記憶される。ここで、印刷を指示されている画像データは画像形成部106に、保存を指示されている画像データは記憶部118に、通信により送受信を指示されている画像データはモデム部108又は通信部112にそれぞれ出力される。
【0057】
また、モデム部108や通信部112により受信された画像データも、画像メモリ110に一時保存されることになる。
【0058】
通信部112は、デジタル複合機1がネットワークを介してデータを送受信するための通信手段として機能する機能部である。通信部112は、社内LAN等の通信ネットワークN1に接続可能であり、通信ネットワークN1には、サーバ200と、1又は複数のパーソナルコンピュータ(PC)300とが接続されている。
【0059】
具体的には、デジタル複合機1において、画像読取部102が生成した画像データを通信部112からPC300に送信する。このようにすることにより、デジタル複合機1はスキャナとして動作可能となる。また、逆にPC300において、画像データをデジタル複合機1に送信する。デジタル複合機1は、通信部112において受信された画像データから画像形成部106で画像を形成することができる。この場合、デジタル複合機1はプリンタとして動作可能である。
【0060】
ここで、通信ネットワークN1は、さらにインターネット等の広域通信ネットワークに接続可能である。本実施形態においては、サーバ200、PC300については、ネットワークN1に接続されることとして説明したが、広域通信ネットワークに接続されていてもよい。
【0061】
また、詳細は後述するが、本実施形態において、通信ネットワークN1を介して守衛所にあるコンピュータ600と接続されている。デジタル複合機1において、所定のトラブルが発生すると、トラブル情報がコンピュータ600に送信される。また、デジタル複合機1から入門許可証情報がコンピュータ600に送信される。入門許可証情報を受信したコンピュータ600は、接続されている入門許可証発行機650を用いて入門許可証に入門許可証情報を記録することにより、入門許可証を作成する。
【0062】
ROM114は、デジタル複合機1を動作させる為の各種データやプログラムなどを記憶している機能部である。制御部100は、ROM114に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより、制御処理を実行する。また、ROM114には画像形成プログラム1142が記憶されている。制御部100は、画像形成プログラム1142を読み出して実行することにより、画像形成処理(図8、図9)を実現する。
【0063】
管理部116は、デジタル複合機1が各種処理を実行する場合の情報を管理するための機能部である。例えば、印刷処理において連番機能を利用する場合には連番情報を管理する等、デジタル複合機1における各種処理における諸情報を管理する。
【0064】
記憶部118は、デジタル複合機1の設定状態を記憶したり、画像メモリ110において一時記憶された画像データを保存したりするための機能部である。ここで、記憶部118は、例えば、半導体メモリ、ハードディスクドライブ、光学式ディスクドライブ等のいずれかの記憶装置により構成されている。また、記憶部118には、トラブルログ情報1182と、入門許可証情報1184とが記憶されている。
【0065】
トラブルログ情報1182は、デジタル複合機1において異常が発生した場合の記録であるトラブルログを記憶しておく領域である。ここで、トラブルログ情報1182の一例を図6に示す。トラブルログ情報1182は、図6に示すように発生時日(例えば、「2007/09/30 12:34:50」)と、トラブル種類(例えば、「トナー切れ」)とを対応づけて記憶している。
【0066】
入門許可証情報1184は、守衛室に接続されたコンピュータにおいて入門許可証を作成する場合の情報を記憶しておく領域である。入門許可証情報1184は、図7に示すように入門許可証ID(例えば、「A001」)と、建物内において、入門許可証を利用して通過可能なゲートである通過ゲート(例えば「A−B−F−G−14」)とを対応づけて記憶している。
【0067】
さらに、入門許可証情報1184は、サービスセンター700から受信された情報(メンテナンス情報)に基づいて、担当者(例えば「Aさん」)と、作業日時(例えば、「2007/09/30 19:00:00」)とを記憶している。
【0068】
[処理の流れ]
つづいて、図8及び図9を用いて、本発明におけるデジタル複合機1の動作について説明する。図8及び図9は、デジタル複合機1が実行する画像形成処理を示す動作フローである。画像形成処理は、制御部100が、画像形成プログラム1142を実行することにより、実現される処理である。
【0069】
まず、デジタル複合機1は、画像形成の処理を実行する(ステップS10)。ここで、トラブルが発生すると(ステップS12;Yes)、トラブルの発生日時と、トラブル種類をトラブルログ情報1182に記憶する(ステップS14)。
【0070】
なお、トラブルが発生していない場合は(ステップS12;No)、画像形成処理を終了するか否か判定する(ステップS30)。ここで、画像形成処理を継続する場合は(ステップS30;No)、ステップS10に戻り処理を継続する。他方、画像形成処理を終了する場合には(ステップS30;Yes)、本処理を終了する。
【0071】
トラブルが発生した場合の説明に戻る。トラブル種類をトラブルログ情報1182に記憶した後、発生したトラブルにはサービスマンのメンテナンスが必要か否かを判定する(ステップS16)。
【0072】
ここで、ステップS16において、サービスマンによるメンテナンスが必要とされるトラブルか否か判定する方法としては、例えば、デジタル複合機1において、エラー毎にエラーレベルを記憶している。例えば、記録紙詰まりや、トナー切れといった、利用者が対応することが可能なエラーに対するレベルと、定着装置温度異常や、CCD不作動といった利用者が対応することが不可能なエラーに対するレベルを、エラー種類毎に記憶している。そして、発生したエラー種類に応じて、当該エラーがサービスマンによるメンテナンス(修理)が必要か否か判定する。
【0073】
まず、ステップS16において、サービスマンによるメンテナンスが必要とされないトラブルの場合には(ステップS16;No)、制御部100は、メンテナンスの情報を報知する(ステップS32)。ここで、トラブルが解消すると(ステップS34;Yes)、ステップS10から処理を繰り返し実行する。
【0074】
他方、ステップS16において、サービスマンによるメンテナンスが必要とされるトラブルであると判定された場合には(ステップS16;Yes)、モデム部108に接続されている公衆回線網N3を介してサービスセンター700にトラブルが報告される(ステップS18)。また、守衛所に対してもトラブルが報知される(ステップS20)。具体的には、トラブルがあった情報として、生成される入門許可証IDの情報を守衛所にあるコンピュータ600に出力する。
【0075】
つづいて、制御部100は、入門許可証IDに対応づけて、サービスマンが当該デジタル複合機1の設置場所に通過可能な通過ゲートのデータを付加し、入門許可証情報1184を作成する(ステップS22)。
【0076】
ここで、サービスセンター700からメンテナンス情報が受信されることにより、新たに連絡があった場合には(ステップS24;Yes)、入門許可証情報1184が更新される(ステップS26)。なお、本実施形態においては、サービスセンター700から受信されるメンテナンス情報として、訪問するサービスマンである担当者と、作業日時とが含まれており、これらのメンテナンス情報に基づいて入門許可証情報1184が更新されることとなる。
【0077】
つづいて、サービスマンが入門許可証を受領したか否かを判定する(ステップS28)。具体的には、入門許可証を発行する場合、守衛所にあるコンピュータ600は、入門許可証情報1184をデジタル複合機1から受信する。そして、受信された入門許可証情報1184に基づいて、入門許可証発行機650により入門許可証を発行する。ここで、本実施形態における入門許可証には、ICチップにより入門許可証情報が記録されるものとする。
【0078】
つづいて、サービスマンが入門許可証を受領したことを検知すると(ステップS28;Yes)、サービスマンの所在を検知する(図9のステップS50)。サービスマンの所在を検知する為には、サービスマンが通過ゲートを通過したことを検知することにより、所在を検知することができる。
【0079】
そして、サービスマンがトラブルの発生しているデジタル複合機1が設置されている部屋に入出したことを検知すると(ステップS52;Yes)、サービスマンがデジタル複合機1の利用者認証を完了した場合(ステップS54;Yes)、デジタル複合機1は所定のサービスマンが修理を行うためのメンテナンスモードに移行する。
【0080】
ここで、デジタル複合機1が利用者認証を行う方法としては、例えば入門許可証をデジタル複合機1が認識する。そして、入門許可証に記録されている情報が、デジタル複合機1が記憶している入門許可証情報1184に基づいて認証することにより、利用者認証を行う。
【0081】
メンテナンスが終了すると(ステップS56;Yes)、サービスマンがメンテナンスモードをログオフしたか否かを判定する(ステップS58)。ここで、サービスマンがメンテナンスモードをログオフした場合には、デジタル複合機1は通常の動作モードに移行し、ユーザがデジタル複合機1を利用できる状態に遷移する。
【0082】
そして、サービスマンの所在位置を検知し(ステップS60)、サービスマンの退社確認を終了すると、当該画像形成処理を終了する(ステップS62;Yes)。
【0083】
[動作例]
ここで、サービスマンが来社してから帰社するまでの動作について今までの図を用いて説明する。まず、サービスマンが来社すると、守衛所において、入門許可証が作成される。すなわち、コンピュータ600において、入門許可証のIDとして「A001」が指定された場合、「A001」に対応する入門許可証情報1184をデジタル複合機1から受信する。
【0084】
そして、受信された入門許可証情報1184を入門許可証発行機650において入門許可証に埋設されたICチップに記録することにより、入門許可証を作成する。
【0085】
サービスマンは、入門許可証を利用することにより、通過ゲートを通過する。ここで、図5に示すように、入門許可証「A001」は、通過ゲート「A」「B」「F」「G」「14」の通過が許可されている。したがって、図2において、当該許可された通過ゲートを通過し、「14」の部屋に入室する。
【0086】
デジタル複合機1は、サービスマンが「14」の部屋に入室したことを検知すると、デジタル複合機1の動作モードをメンテナンスモードに切り替える。サービスマンは、メンテナンスモードにおいてログイン後、メンテナンスを実行する。
【0087】
ここで、メンテナンスが終了し、メンテナンスモードからログアウト処理が為されると、デジタル複合機1の動作モードは画像形成モードに遷移する。そして、サービスマンは、来社時と同様に、許可された通過ゲートを通過することにより、退社することとなる。
【0088】
[変形例]
なお、本実施形態においては、画像形成装置の一例としてデジタル複合機を用いて説明したが、本発明が適用可能は装置に関しては、当該装置に限定されるものではない。具体的には、例えばファクシミリ装置であったり、処理装置、印刷装置を備えたコンピュータシステムであったり、同種の装置にも適用可能なことは勿論である。
【0089】
また、本実施形態において、デジタル複合機1はサービスセンター700とモデム部108を介して公衆回線網を利用して接続されることとして説明したが、例えば通信部112を介してインターネットを利用して接続されても良いことは勿論である。
【0090】
また、デジタル複合機1において、サービスセンター700の接続先を任意に設定することにより、切り替えられることとしても良い。
【0091】
また、本実施形態においては、デジタル複合機1が、サービスマンを認証する際に、入門許可証に記録された情報について、入門許可証情報1184に基づいて認証することとして説明したが、例えば、入門許可証にデジタル複合機1の識別番号(ID)を記録してもよい。この場合、デジタル複合機1は、入門許可証を認識すると、入門許可証に記録されているデジタル複合機の識別番号と、デジタル複合機1の識別番号が一致するか否かを判定すれば良い。
【0092】
また、入門許可証に記録されているサービスマンに応じて、デジタル複合機1においてメンテナンスを行える範囲を制限することとしてもよい。
【0093】
また、サービスマンの管理や、エラー管理について、本実施形態ではデジタル複合機1において管理することとして説明したが、建物にある管理装置500において行うこととしても良い。この場合、建物内にある複数のデジタル複合機を、管理装置500において一括して管理することができるようになる。以下、具体的に説明する。
【0094】
図1において、サービスマンが入門許可証の発行をコンピュータ600に接続されている入門許可証発行機650から受けると、コンピュータ600は、入門許可証が発行された情報を管理装置500に送信する。
【0095】
つづいて、サービスマンが建物内にある通過ゲートを通過すると、通過ゲートは、通過したサービスマン(入門許可証のID)と、通過時刻とを管理装置500に送信する。また、サービスマンが退所するときに、入門許可証を守衛所にて返却すると、サービスマンが退所したことが管理装置500に送信されることとなる。
【0096】
このように、管理装置500は、サービスマンの所在に関する情報を受信することにより、サービスマンが建物内の何処にいるか、どのくらいの時間滞留しているかなどを記憶する。したがって、管理装置500を利用することにより、管理者はサービスマンの所在位置をモニタリングすることが可能となり、サービスマンの行動を管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本実施形態における画像処理システムの概略図である。
【図2】本実施形態における建物の説明をするための図である。
【図3】本実施形態におけるデジタル複合機の外観を示す図である。
【図4】本実施形態におけるデジタル複合機の断面図である。
【図5】本実施形態におけるデジタル複合機の構成を示す図である。
【図6】本実施形態におけるトラブルログ情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図7】本実施形態における入門許可証情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図8】本実施形態における画像形成処理の動作フローを示す図である。
【図9】本実施形態における画像形成処理の動作フローを示す図である。
【符号の説明】
【0098】
1 デジタル複合機
2 原稿搬送読取部
3 画像形成部
4 給紙部
5 排紙処理装置
100 制御部
102 画像読取部
104 操作部
106 画像形成部
108 モデム部
110 画像メモリ
112 通信部
114 ROM
1142 画像形成プログラム
118 記憶部
1182 トラブルログ情報
1184 入門許可証情報
200 サーバ
300 パーソナルコンピュータ
400 ファクシミリ装置
500 管理装置
600 コンピュータ
650 入門許可証発行機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入門許可証を発行する発行端末と、サービスセンターと、当該発行端末及びサービスセンターとに接続された画像形成装置と、を備えた画像処理システムにおいて、
前記画像形成装置は、
画像形成装置の異常状態を検出する異常状態検出手段と、
前記異常状態検出手段により検出された異常状態の種類を判定する異常種類判定手段と、
前記異常種類判定手段により判定された異常種類が、所定の異常種類である場合には、前記サービスセンターに異常状態であることを報知するサービスセンター報知手段と、
前記サービスセンター報知手段により異常状態であることが報知された場合に、前記発行端末に異常状態であることを報知する発行端末報知手段と、
を備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記発行端末は、前記発行端末報知手段により、画像形成装置が異常状態であることが報知された場合には、入門許可証を発行する入門許可証発行手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記発行端末報知手段は、前記画像形成装置が設置されている場所までの通行を許可する通行許可情報を併せて報知する手段であり、
前記入門許可証発行手段は、前記発行端末報知手段により報知された通行許可情報を入門許可証に記録して、入門許可証を発行することを特徴とする請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記サービスセンターは、前記画像形成装置が異常状態であると報知を受けた場合には、前記画像形成装置に対してメンテナンス情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記画像処理システムには、サービスマンを管理する管理装置が接続されており、
前記管理装置は、前記サービスマンの所在位置を検出する所在位置検出手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記所在位置検出手段は、前記サービスマンの所在位置を検出した時刻を合わせて検出することを特徴とする請求項4に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記入門許可証には、前記画像形成装置を特定する識別情報が記録されており、
前記画像形成装置は、前記入門許可証を認識する入門許可証認識手段を有し、
前記入門許可証認識手段により認識された入門許可証に、当該画像形成装置を特定する識別情報が記録されている場合には、メンテナンスモードに移行することを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項8】
入門許可証を発行する発行端末及びサービスセンターに接続された画像形成装置において、
画像形成装置の異常状態を検出する異常状態検出手段と、
前記異常状態検出手段により検出された異常状態の種類を判定する異常種類判定手段と、
前記異常種類判定手段により判定された異常種類が、所定の異常種類である場合には、前記サービスセンターに異常状態であることを報知するサービスセンター報知手段と、
前記サービスセンター報知手段により異常状態であることが報知された場合に、前記発行端末に異常状態であることを報知する発行端末報知手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−100179(P2009−100179A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268968(P2007−268968)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】