説明

画像処理プログラムおよび画像処理装置

【課題】3次元画像処理において、小さい労力で毛や草等を表現力豊かに表現することが可能な画像処理プログラムおよび画像処理装置を提供すること。
【解決手段】多層のシェルポリゴンに共通に利用される、透明度の異なる複数の領域を含むシェルテクスチャ画像を、シェルポリゴンの各層の位置に応じて異なる度合いで歪ませて各層のシェルポリゴンにそれぞれテクスチャマッピングして、仮想3次元空間に多層のシェルポリゴンを配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理プログラムおよび画像処理装置に関し、特に、3次元ポリゴンモデルに対してテクスチャをマッピングするための画像処理プログラムおよび画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3次元画像処理において毛や草等の表現を擬似的に行うための手法として、毛や草等の断面を表したテクスチャ画像を多層の半透明のポリゴン(シェルポリゴン)にテクスチャマッピングする手法がある。特許文献1では、そのような手法を用いて芝生が描画されている。
【特許文献1】特開2006−072577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、多層のシェルポリゴンの各層に対してテクスチャ画像を個別に用意するのは非常に労力を要し、テクスチャ画像の編集もしにくいという問題がある。また、多層のシェルポリゴンの各層に対して同一のテクスチャ画像をテクスチャマッピングすることも考えられるが、それだけでは表現力に乏しく、毛流れや毛束感が表現できないという問題がある。
【0004】
それゆえに本発明の目的は、3次元画像処理において、小さい労力で毛や草等を表現力豊かに表現することが可能な画像処理プログラムおよび画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成される。なお、括弧内の参照符号および図番号は、本発明の理解を助けるために図面との対応関係の一例を示したものであって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0006】
本発明のゲームプログラムは、3次元ポリゴンモデルに対してテクスチャをマッピングするための画像処理プログラム(30)である。この画像処理プログラムは、コンピュータ(10、11b)に、多数のポリゴンモデルの層からなる多層のシェルポリゴンを構成するための多層ポリゴンデータ(33)を読み出すシェルポリゴン読み出しステップ、前記多層のシェルポリゴンに共通に利用される、透明度の異なる複数の領域を含むシェルテクスチャ画像(図9、35)を記憶手段から読み出すテクスチャ読み出しステップ(S25)、および、前記シェルテクスチャ画像を、シェルポリゴンの各層の位置に応じて異なる度合いで歪ませて各層のシェルポリゴンにそれぞれテクスチャマッピングして各層を配置するテクスチャマッピングステップ(S27、S29、S30)を実行させる。
【0007】
なお、前記テクスチャマッピングステップでは、より外側の層のシェルポリゴンほど、前記シェルテクスチャ画像をより大きく歪ませてもよい。
【0008】
また、前記テクスチャマッピングステップでは、前記シェルテクスチャ画像における本来参照すべき点からずれた点の値を参照することによって、前記シェルテクスチャ画像を歪ませて各層のシェルポリゴンにそれぞれテクスチャマッピングしてもよい(図15)。
【0009】
また、前記画像処理プログラムは、前記シェルテクスチャ画像の各点における歪み量を示す歪みマップ(図13、36)を読み込むステップ(S26)を前記コンピュータにさらに実行させてもよい。そして、前記テクスチャマッピングステップでは、前記歪みマップが示す歪み量からシェルポリゴンの各層における歪み量をそれぞれ算出し、当該算出結果に基づいて、前記シェルテクスチャ画像における参照すべき点を決定してもよい。
【0010】
また、前記歪みマップは、前記シェルテクスチャ画像の横方向の歪み量を示す横歪みマップと、前記シェルテクスチャ画像の縦方向の歪み量を示す縦歪みマップとにより構成されてもよい(図13)。
【0011】
また、前記画像処理プログラムは、前記多層のシェルポリゴンを配置する際のベースとなるベースポリゴンを構成するためのベースポリゴンデータ(31)を記憶手段から読み出すステップと、読み出したベースポリゴンデータに基づいてベースポリゴンを配置するステップ(S23)とを前記コンピュータにさらに実行させてもよい。そして、前記テクスチャマッピングステップでは、ベースポリゴンとシェルポリゴンとの間の距離に基づいて、前記歪みマップが示す歪み量からシェルポリゴンの各層における歪み量をそれぞれ算出し、前記ベースポリゴンの外側に前記多層のシェルポリゴンを配置てもよい(図17)。
【0012】
また、前記テクスチャマッピングステップでは、シェルポリゴンが、内側から数えて何番目に位置するかに基づいて、前記歪みマップが示す歪み量からシェルポリゴンの各層における歪み量をそれぞれ算出してもよい。
【0013】
また、前記テクスチャマッピングステップでは、シェルポリゴンの各層における歪み量をさらに単位時間毎に変化させてもよい。
【0014】
また、前記画像処理プログラムは、前記多層のシェルポリゴンを配置する際のベースとなるベースポリゴンを構成するためのベースポリゴンデータ(31)を記憶手段から読み出すステップと、読み出したベースポリゴンデータに基づいてベースポリゴンを配置するステップ(S23)とを前記コンピュータにさらに実行させてもよい。そして、前記テクスチャマッピングステップでは、前記ベースポリゴンの外側に前記多層のシェルポリゴンを配置してもよい。
【0015】
また、前記画像処理プログラムは、前記ベースポリゴン用のベーステクスチャ画像(32)を前記ベースポリゴンにテクスチャマッピングするステップ(S22)を前記コンピュータにさらに実行させてもよい。
【0016】
また、前記テクスチャマッピングステップでは、より外側のシェルポリゴンほど、より高い透明度で前記シェルテクスチャ画像をテクスチャマッピングしてもよい(S28、S29)。
【0017】
また、前記画像処理プログラムは、前記ベースポリゴンデータに基づいて、前記ベースポリゴンの各頂点を法線ベクトル方向に所定幅だけずらした新たな頂点をそれぞれ生成し、当該生成された頂点群に基づいて前記多層ポリゴンデータを生成するステップを前記コンピュータにさらに実行させてもよい。
【0018】
また、前記テクスチャマッピングステップでは、予め用意された多層ポリゴンデータ(33)に基づいて前記多層のシェルポリゴンを配置してもよい。
【0019】
本発明の画像処理装置は、3次元ポリゴンモデルに対してテクスチャをマッピングするための画像処理装置(3)である。この画像処理装置は、多数のポリゴンモデルの層からなる多層のシェルポリゴンを構成するための多層ポリゴンデータ(33)を記憶手段から読み出すシェルポリゴン読み出し手段(10、11b)、前記多層のシェルポリゴンに共通に利用される、透明度の異なる複数の領域を含むシェルテクスチャ画像(図9、35)を記憶手段から読み出すテクスチャ読み出し手段(10、11b)、および、前記シェルテクスチャ画像を、シェルポリゴンの各層の位置に応じて異なる度合いで歪ませて各層のシェルポリゴンにそれぞれテクスチャマッピングして各層を配置するテクスチャマッピング手段(10、11b)を備える。
【0020】
なお、前記テクスチャマッピング手段は、より外側の層のシェルポリゴンほど、前記シェルテクスチャ画像をより大きく歪ませてもよい。
【0021】
また、前記テクスチャマッピング手段は、前記シェルテクスチャ画像における本来参照すべき点からずれた点の値を参照することによって、前記シェルテクスチャ画像を歪ませて各層のシェルポリゴンにそれぞれテクスチャマッピングしてもよい(図15)。
【0022】
また、前記画像処理装置は、前記シェルテクスチャ画像の各点における歪み量を示す歪みマップ(図13、36)を読み込む手段(10、11b)をさらに備えてもよい。そして、前記テクスチャマッピング手段は、前記歪みマップが示す歪み量からシェルポリゴンの各層における歪み量をそれぞれ算出し、当該算出結果に基づいて、前記シェルテクスチャ画像における参照すべき点を決定してもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、多層のシェルポリゴンに共通に利用されるシェルテクスチャ画像を、シェルポリゴンの各層の位置に応じて異なる度合いで歪ませて各層のシェルポリゴンにそれぞれテクスチャマッピングするので、シェルポリゴンの各層について個別にシェルテクスチャ画像を用意することなしに、各層に異なるテクスチャを表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(ゲームシステムの全体構成)
図1を参照して、本発明の一実施形態に係るゲーム装置を含むゲームシステム1について説明する。図1は、ゲームシステム1の外観図である。以下、据置型のゲーム装置を一例にして、本実施形態のゲーム装置およびゲームプログラムについて説明する。図1において、ゲームシステム1は、テレビジョン受像器(以下、単に「テレビ」と記載する)2、ゲーム装置3、光ディスク4、マーカ部6、およびコントローラ7を含む。本システムは、コントローラ7を用いたゲーム操作に基づいてゲーム装置3でゲーム処理を実行するものである。
【0025】
ゲーム装置3には、当該ゲーム装置3に対して交換可能に用いられる情報記憶媒体の一例である光ディスク4が脱着可能に挿入される。光ディスク4には、ゲーム装置3において実行されるためのゲームプログラムが記憶されている。ゲーム装置3の前面には光ディスク4の挿入口が設けられている。ゲーム装置3は、挿入口に挿入された光ディスク4に記憶されたゲームプログラムを読み出して実行することによってゲーム処理を実行する。
【0026】
ゲーム装置3には、表示装置の一例であるテレビ2が接続コードを介して接続される。テレビ2は、ゲーム装置3において実行されるゲーム処理の結果得られるゲーム画像を表示する。また、テレビ2の画面の周辺(図1では画面の上側)には、マーカ部6が設置される。マーカ部6は、その両端に2つのマーカ6Rおよび6Lを備えている。マーカ6R(マーカ6Lも同様)は、具体的には1以上の赤外LEDであり、テレビ2の前方に向かって赤外光を出力する。マーカ部6はゲーム装置3に接続されており、ゲーム装置3はマーカ部6が備える各赤外LEDの点灯を制御することが可能である。
【0027】
コントローラ7は、自機に対して行われた操作の内容を示す操作データをゲーム装置3に与える入力装置である。コントローラ7とゲーム装置3とは無線通信によって接続される。本実施形態では、コントローラ7とゲーム装置3との間の無線通信には例えばBluetooth(ブルートゥース)(登録商標)の技術が用いられる。なお、他の実施形態においてはコントローラ7とゲーム装置3とは有線で接続されてもよい。
【0028】
(ゲーム装置3の内部構成)
次に、図2を参照して、ゲーム装置3の内部構成について説明する。図2は、ゲーム装置3の構成を示すブロック図である。ゲーム装置3は、CPU10、システムLSI11、外部メインメモリ12、ROM/RTC13、ディスクドライブ14、およびAV−IC15等を有する。
【0029】
CPU10は、光ディスク4に記憶されたゲームプログラムを実行することによってゲーム処理を実行するものであり、ゲームプロセッサとして機能する。CPU10は、システムLSI11に接続される。システムLSI11には、CPU10の他、外部メインメモリ12、ROM/RTC13、ディスクドライブ14およびAV−IC15が接続される。システムLSI11は、それに接続される各構成要素間のデータ転送の制御、表示すべき画像の生成、外部装置からのデータの取得等の処理を行う。システムLSIの内部構成について後述する。揮発性の外部メインメモリ12は、光ディスク4から読み出されたゲームプログラムや、フラッシュメモリ17から読み出されたゲームプログラム等のプログラムを記憶したり、各種データを記憶したりするものであり、CPU10のワーク領域やバッファ領域として用いられる。ROM/RTC13は、ゲーム装置3の起動用のプログラムが組み込まれるROM(いわゆるブートROM)と、時間をカウントするクロック回路(RTC:Real Time Clock)とを有する。ディスクドライブ14は、光ディスク4からプログラムデータやテクスチャデータ等を読み出し、後述する内部メインメモリ11eまたは外部メインメモリ12に読み出したデータを書き込む。
【0030】
また、システムLSI11には、入出力プロセッサ(I/Oプロセッサ)11a、GPU(Graphics Processor Unit)11b、DSP(Digital Signal Processor)11c、VRAM11d、および内部メインメモリ11eが設けられる。図示は省略するが、これらの構成要素11a〜11eは内部バスによって互いに接続される。
【0031】
GPU11bは、描画手段の一部を形成し、CPU10からのグラフィクスコマンド(作画命令)に従って画像を生成する。VRAM11dは、GPU11bがグラフィクスコマンドを実行するために必要なデータ(ポリゴンデータやテクスチャデータ等のデータ)を記憶する。画像が生成される際には、GPU11bは、VRAM11dに記憶されたデータを用いて画像データを作成する。
【0032】
DSP11cは、オーディオプロセッサとして機能し、内部メインメモリ11eや外部メインメモリ12に記憶されるサウンドデータや音波形(音色)データを用いて、音声データを生成する。
【0033】
上述のように生成された画像データおよび音声データは、AV−IC15によって読み出される。AV−IC15は、読み出した画像データをAVコネクタ16を介してテレビ2に出力するとともに、読み出した音声データを、テレビ2に内蔵されるスピーカ2aに出力する。これによって、画像がテレビ2に表示されるとともに音がスピーカ2aから出力される。
【0034】
入出力プロセッサ11aは、それに接続される構成要素との間でデータの送受信を実行したり、外部装置からのデータのダウンロードを実行したりする。入出力プロセッサ11aは、フラッシュメモリ17、無線通信モジュール18、無線コントローラモジュール19、拡張コネクタ20、およびメモリカード用コネクタ21に接続される。無線通信モジュール18にはアンテナ22が接続され、無線コントローラモジュール19にはアンテナ23が接続される。
【0035】
入出力プロセッサ11aは、無線通信モジュール18およびアンテナ22を介してネットワークに接続し、ネットワークに接続される他のゲーム装置や各種サーバと通信することができる。入出力プロセッサ11aは、定期的にフラッシュメモリ17にアクセスし、ネットワークへ送信する必要があるデータの有無を検出し、当該データが有る場合には、無線通信モジュール18およびアンテナ22を介してネットワークに送信する。また、入出力プロセッサ11aは、他のゲーム装置から送信されてくるデータやダウンロードサーバからダウンロードしたデータを、ネットワーク、アンテナ22および無線通信モジュール18を介して受信し、受信したデータをフラッシュメモリ17に記憶する。CPU10はゲームプログラムを実行することにより、フラッシュメモリ17に記憶されたデータを読み出してゲームプログラムで利用する。フラッシュメモリ17には、ゲーム装置3と他のゲーム装置や各種サーバとの間で送受信されるデータの他、ゲーム装置3を利用してプレイしたゲームのセーブデータ(ゲームの結果データまたは途中データ)が記憶されてもよい。
【0036】
また、入出力プロセッサ11aは、コントローラ7から送信される操作データをアンテナ23および無線コントローラモジュール19を介して受信し、内部メインメモリ11eまたは外部メインメモリ12のバッファ領域に記憶(一時記憶)する。
【0037】
さらに、入出力プロセッサ11aには、拡張コネクタ20およびメモリカード用コネクタ21が接続される。拡張コネクタ20は、USBやSCSIのようなインターフェースのためのコネクタであり、外部記憶媒体のようなメディアを接続したり、他のコントローラのような周辺機器を接続したり、有線の通信用コネクタを接続することによって無線通信モジュール18に替えてネットワークとの通信を行ったりすることができる。メモリカード用コネクタ21は、メモリカードのような外部記憶媒体を接続するためのコネクタである。例えば、入出力プロセッサ11aは、拡張コネクタ20やメモリカード用コネクタ21を介して、外部記憶媒体にアクセスし、データを保存したり、データを読み出したりすることができる。
【0038】
ゲーム装置3には、電源ボタン24、リセットボタン25、およびイジェクトボタン26が設けられる。電源ボタン24およびリセットボタン25は、システムLSI11に接続される。電源ボタン24がオンされると、ゲーム装置3の各構成要素に対して、図示しないACアダプタを経て電源が供給される。リセットボタン25が押されると、システムLSI11は、ゲーム装置3の起動プログラムを再起動する。イジェクトボタン26は、ディスクドライブ14に接続される。イジェクトボタン26が押されると、ディスクドライブ14から光ディスク4が排出される。
【0039】
図3および図4を参照して、コントローラ7について説明する。なお、図3は、コントローラ7の上面後方から見た斜視図である。図4は、コントローラ7を下面前方から見た斜視図である。
【0040】
図3および図4において、コントローラ7は、例えばプラスチック成型によって形成されたハウジング71を有しており、当該ハウジング71に複数の操作部72が設けられている。ハウジング71は、その前後方向を長手方向とした略直方体形状を有しており、全体として大人や子供の片手で把持可能な大きさである。
【0041】
ハウジング71上面の中央前面側に、十字キー72aが設けられる。この十字キー72aは、十字型の4方向プッシュスイッチであり、4つの方向(前後左右)に対応する操作部分が十字の突出片にそれぞれ90°間隔で配置される。プレイヤが十字キー72aのいずれかの操作部分を押下することによって前後左右いずれかの方向を選択される。例えばプレイヤが十字キー72aを操作することによって、仮想ゲーム世界に登場するプレイヤキャラクタ等の移動方向を指示したり、複数の選択肢から選択指示したりすることができる。
【0042】
なお、十字キー72aは、上述したプレイヤの方向入力操作に応じて操作信号を出力する操作部であるが、他の態様の操作部でもかまわない。例えば、十字方向に4つのプッシュスイッチを配設し、プレイヤによって押下されたプッシュスイッチに応じて操作信号を出力する操作部を設けてもかまわない。さらに、上記4つのプッシュスイッチとは別に、上記十字方向が交わる位置にセンタスイッチを配設し、4つのプッシュスイッチとセンタスイッチとを複合した操作部を設けてもかまわない。また、ハウジング71上面から突出した傾倒可能なスティック(いわゆる、ジョイスティック)を倒すことによって、傾倒方向に応じて操作信号を出力する操作部を上記十字キー72aの代わりに設けてもかまわない。さらに、水平移動可能な円盤状部材をスライドさせることによって、当該スライド方向に応じた操作信号を出力する操作部を、上記十字キー72aの代わりに設けてもかまわない。また、タッチパッドを、上記十字キー72aの代わりに設けてもかまわない。
【0043】
ハウジング71上面の十字キー72aより後面側に、複数の操作ボタン72b〜72gが設けられる。操作ボタン72b〜72gは、プレイヤがボタン頭部を押下することによって、それぞれの操作ボタン72b〜72gに割り当てられた操作信号を出力する操作部である。例えば、操作ボタン72b〜72dには、1番ボタン、2番ボタン、およびAボタン等としての機能が割り当てられる。また、操作ボタン72e〜72gには、マイナスボタン、ホームボタン、およびプラスボタン等としての機能が割り当てられる。これら操作ボタン72a〜72gは、ゲーム装置3が実行するゲームプログラムに応じてそれぞれの操作機能が割り当てられる。なお、図3に示した配置例では、操作ボタン72b〜72dは、ハウジング71上面の中央前後方向に沿って並設されている。また、操作ボタン72e〜72gは、ハウジング71上面の左右方向に沿って操作ボタン72bおよび72dの間に並設されている。そして、操作ボタン72fは、その上面がハウジング71の上面に埋没しており、プレイヤが不意に誤って押下することのないタイプのボタンである。
【0044】
また、ハウジング71上面の十字キー72aより前面側に、操作ボタン72hが設けられる。操作ボタン72hは、遠隔からゲーム装置3の電源をオン/オフする電源スイッチである。この操作ボタン72hも、その上面がハウジング71の上面に埋没しており、プレイヤが不意に誤って押下することのないタイプのボタンである。
【0045】
また、ハウジング71上面の操作ボタン72cより後面側に、複数のLED702が設けられる。ここで、コントローラ7は、他のコントローラ7と区別するためにコントローラ種別(番号)が設けられている。例えば、LED702は、コントローラ7に現在設定されている上記コントローラ種別をプレイヤに通知するために用いられる。具体的には、コントローラ7から無線通信モジュール18へ送信データを送信する際、上記コントローラ種別に応じて複数のLED702のうち、種別に対応するLEDが点灯する。
【0046】
また、ハウジング71上面には、操作ボタン72bおよび操作ボタン72e〜72gの間に後述するスピーカ(図5のスピーカ706)からの音を外部に放出するための音抜き孔が形成されている。
【0047】
一方、ハウジング71下面には、凹部が形成されている。ハウジング71下面の凹部は、プレイヤがコントローラ7の前面をマーカ6Lおよび6Rに向けて片手で把持したときに、当該プレイヤの人差し指や中指が位置するような位置に形成される。そして、上記凹部の後面側傾斜面には、操作ボタン72iが設けられる。操作ボタン72iは、例えばBボタンとして機能する操作部である。
【0048】
また、ハウジング71前面には、撮像情報演算部74の一部を構成する撮像素子743が設けられる。ここで、撮像情報演算部74は、コントローラ7が撮像した画像データを解析してその中で輝度が高い場所を判別してその場所の重心位置やサイズなどを検出するためのシステムであり、例えば、最大200フレーム/秒程度のサンプリング周期であるため比較的高速なコントローラ7の動きでも追跡して解析することができる。この撮像情報演算部74の詳細な構成については、後述する。また、ハウジング71の後面には、コネクタ73が設けられている。コネクタ73は、例えばエッジコネクタであり、例えば接続ケーブルと嵌合して接続するために利用される。
【0049】
ここで、以下の説明を具体的にするために、コントローラ7に対して設定する座標系について定義する。図3および図4に示すように、互いに直交するXYZ軸をコントローラ7に対して定義する。具体的には、コントローラ7の前後方向となるハウジング71の長手方向をZ軸とし、コントローラ7の前面(撮像情報演算部74が設けられている面)方向をZ軸正方向とする。また、コントローラ7の上下方向をY軸とし、ハウジング71の下面(操作ボタン72iが設けられた面)方向をY軸正方向とする。さらに、コントローラ7の左右方向をX軸とし、ハウジング71の左側面(図3では表されずに図4で表されている側面)方向をX軸正方向とする。
【0050】
次に、図5および図6を参照して、コントローラ7の内部構造について説明する。なお、図5は、コントローラ7の上筐体(ハウジング71の一部)を外した状態を後面側から見た斜視図である。図6は、コントローラ7の下筐体(ハウジング71の一部)を外した状態を前面側から見た斜視図である。ここで、図6に示す基板700は、図5に示す基板700の裏面から見た斜視図となっている。
【0051】
図5において、ハウジング71の内部には基板700が固設されており、当該基板700の上主面上に操作ボタン72a〜72h、加速度センサ701、LED702、およびアンテナ754等が設けられる。そして、これらは、基板700等に形成された配線(図示せず)によってマイコン751等(図6、図7参照)に接続される。また、無線モジュール753(図7参照)およびアンテナ754によって、コントローラ7がワイヤレスコントローラとして機能する。なお、ハウジング71内部には図示しない水晶振動子703が設けられており、後述するマイコン751の基本クロックを生成する。また、基板700の上主面上に、スピーカ706およびアンプ708が設けられる。また、加速度センサ701は、操作ボタン72dの左側の基板700上(つまり、基板700の中央部ではなく周辺部)に設けられる。したがって、加速度センサ701は、コントローラ7の長手方向を軸とした回転に応じて、重力加速度の方向変化に加え、遠心力による成分の含まれる加速度を検出することができるので、所定の演算により、検出される加速度データからコントローラ7の回転を良好な感度でゲーム装置3等が判定することができる。
【0052】
一方、図6において、基板700の下主面上の前端縁に撮像情報演算部74が設けられる。撮像情報演算部74は、コントローラ7の前方から順に赤外線フィルタ741、レンズ742、撮像素子743、および画像処理回路744によって構成されており、それぞれ基板700の下主面に取り付けられる。また、基板700の下主面上の後端縁にコネクタ73が取り付けられる。さらに、基板700の下主面上にサウンドIC707およびマイコン751が設けられている。サウンドIC707は、基板700等に形成された配線によってマイコン751およびアンプ708と接続され、ゲーム装置3から送信されたサウンドデータに応じてアンプ708を介してスピーカ706に音声信号を出力する。
【0053】
そして、基板700の下主面上には、バイブレータ704が取り付けられる。バイブレータ704は、例えば振動モータやソレノイドである。バイブレータ704は、基板700等に形成された配線によってマイコン751と接続され、ゲーム装置3から送信された振動データに応じてその作動をオン/オフする。バイブレータ704が作動することによってコントローラ7に振動が発生するので、それを把持しているプレイヤの手にその振動が伝達され、いわゆる振動対応ゲームが実現できる。ここで、バイブレータ704は、ハウジング71のやや前方寄りに配置されるため、プレイヤが把持している状態において、ハウジング71が大きく振動することになり、振動を感じやすくなる。
【0054】
次に、図7を参照して、コントローラ7の内部構成について説明する。なお、図7は、コントローラ7の構成を示すブロック図である。
【0055】
図7において、コントローラ7は、上述した操作部72、撮像情報演算部74、加速度センサ701、バイブレータ704、スピーカ706、サウンドIC707、およびアンプ708の他に、その内部に通信部75を備えている。
【0056】
撮像情報演算部74は、赤外線フィルタ741、レンズ742、撮像素子743、および画像処理回路744を含んでいる。赤外線フィルタ741は、コントローラ7の前方から入射する光から赤外線のみを通過させる。レンズ742は、赤外線フィルタ741を透過した赤外線を集光して撮像素子743へ出射する。撮像素子743は、例えばCMOSセンサやあるいはCCDのような固体撮像素子であり、レンズ742が集光した赤外線を撮像する。したがって、撮像素子743は、赤外線フィルタ741を通過した赤外線だけを撮像して画像データを生成する。撮像素子743で生成された画像データは、画像処理回路744で処理される。具体的には、画像処理回路744は、撮像素子743から得られた画像データを処理して高輝度部分を検知し、それらの位置座標や面積を検出した結果を示す処理結果データを通信部75へ出力する。なお、これらの撮像情報演算部74は、コントローラ7のハウジング71に固設されており、ハウジング71自体の方向を変えることによってその撮像方向を変更することができる。
【0057】
コントローラ7は、3軸(X、Y、Z軸)の加速度センサ701を備えていることが好ましい。この3軸の加速度センサ701は、3方向、すなわち、上下方向(図3に示すY軸)、左右方向(図3に示すX軸)、および前後方向(図3に示すZ軸)で直線加速度を検知する。また、他の実施形態においては、ゲーム処理に用いる制御信号の種類によっては、X軸とY軸(または他の対になった軸)のそれぞれに沿った直線加速度のみを検知する2軸の加速度検出手段を使用してもよい。さらに、他の実施形態においては、ゲーム処理に用いる制御信号の種類によっては、XYZ軸のいずれか1軸に沿った直線加速度のみを検知する1軸の加速度検出手段を使用してもよい。例えば、この3軸、2軸、または1軸の加速度センサ701は、アナログ・デバイセズ株式会社(Analog Devices, Inc.)またはSTマイクロエレクトロニクス社(STMicroelectronics N.V.)から入手可能であるタイプのものでもよい。加速度センサ701は、シリコン微細加工されたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電子機械システム)の技術に基づいた静電容量式(静電容量結合式)であることが好ましい。しかしながら、既存の加速度検出手段の技術(例えば、圧電方式や圧電抵抗方式)あるいは将来開発される他の適切な技術を用いて3軸、2軸、または1軸の加速度センサ701が提供されてもよい。
【0058】
加速度センサ701に用いられるような加速度検出手段は、加速度センサ701の持つ各軸に対応する直線に沿った加速度(直線加速度)のみを検知することができる。つまり、加速度センサ701からの直接の出力は、その1軸、2軸、または3軸のそれぞれに沿った直線加速度(静的または動的)を示す信号である。このため、加速度センサ701は、非直線状(例えば、円弧状)の経路に沿った動き、回転、回転運動、角変位、傾斜、位置、または姿勢等の物理特性を直接検知することはできない。
【0059】
しかしながら、加速度センサ701から出力される加速度の信号に対して追加の処理を行うことによって、コントローラ7に関するさらなる情報を推測または算出(判定)することができることは、当業者であれば本明細書の説明から容易に理解できるであろう。例えば、静的な加速度(重力加速度)が検知されると、加速度センサ701からの出力を用いて、傾斜角度と検知された加速度とを用いた演算によって重力ベクトルに対する対象(コントローラ7)の傾きを判定することができる。このように、加速度センサ701をマイコン751(またはゲーム装置3に含まれるCPU10等の他のプロセッサ)と組み合わせて用いることによって、コントローラ7の傾き、姿勢、または位置を判定することができる。同様に、加速度センサ701を備えるコントローラ7がプレイヤの手で動的に加速されて動かされる場合に、加速度センサ701によって生成される加速度信号を処理することによって、コントローラ7の様々な動きおよび/または位置を算出することができる。他の実施例では、加速度センサ701は、信号をマイコン751に出力する前に内蔵の加速度検出手段から出力される加速度信号に対して所望の処理を行うための、組込み式の信号処理装置または他の種類の専用の処理装置を備えていてもよい。例えば、組込み式または専用の処理装置は、加速度センサ701が静的な加速度(例えば、重力加速度)を検出するためのものである場合、検知された加速度信号をそれに相当する傾斜角(あるいは、他の好ましいパラメータ)に変換するものであってもよい。加速度センサ701でそれぞれ検知された加速度を示すデータは通信部75に出力される。
【0060】
他の実施形態の例では、コントローラ7の動きを検出する動きセンサとして、回転素子または振動素子などを内蔵したジャイロセンサを用いてもよい。この実施形態で使用されるMEMSジャイロセンサの一例として、アナログ・デバイセズ株式会社から入手可能なものがある。加速度センサ701と異なり、ジャイロセンサは、それが内蔵する少なくとも一つのジャイロ素子の軸を中心とした回転(または角速度)を直接検知することができる。このように、ジャイロセンサと加速度センサとは基本的に異なるので、個々の用途のためにいずれの装置が選択されるかによって、これらの装置からの出力信号に対して行う処理を適宜変更する必要がある。
【0061】
具体的には、加速度センサの代わりにジャイロセンサを用いて傾きや姿勢を算出する場合には、大幅な変更を行う。すなわち、ジャイロセンサを用いる場合、検出開始の状態において傾きの値を初期化する。そして、当該ジャイロセンサから出力される角速度データを積分する。次に、初期化された傾きの値からの傾きの変化量を算出する。この場合、算出される傾きは、角度に対応する値が算出されることになる。一方、加速度センサによって傾きを算出する場合には、重力加速度のそれぞれの軸に関する成分の値を、所定の基準と比較することによって傾きを算出するので、算出される傾きはベクトルで表すことが可能であり、初期化を行わずとも、加速度検出手段を用いて検出される絶対的な方向を検出することが可能である。また、傾きとして算出される値の性質は、ジャイロセンサが用いられる場合には角度であるのに対して、加速度センサが用いられる場合にはベクトルであるという違いがある。したがって、加速度センサに代えてジャイロセンサが用いられる場合、当該傾きのデータに対して、2つのデバイスの違いを考慮した所定の変換を行う必要がある。加速度検出手段とジャイロスコープとの基本的な差異と同様にジャイロスコープの特性は当業者に公知であるので、本明細書ではさらなる詳細を省略する。ジャイロセンサは、回転を直接検知できることによる利点を有する一方、一般的には、加速度センサは、本実施形態で用いるようなコントローラに適用される場合、ジャイロセンサに比べて費用効率が良いという利点を有する。
【0062】
通信部75は、マイクロコンピュータ(Micro Computer:マイコン)751、メモリ752、無線モジュール753、およびアンテナ754を含んでいる。マイコン751は、処理の際にメモリ752を記憶領域として用いながら、送信データを無線送信する無線モジュール753を制御する。また、マイコン751は、アンテナ754を介して無線モジュール753が受信したゲーム装置3からのデータに応じて、サウンドIC707およびバイブレータ704の動作を制御する。サウンドIC707は、通信部75を介してゲーム装置3から送信されたサウンドデータ等を処理する。また、マイコン751は、通信部75を介してゲーム装置3から送信された振動データ(例えば、バイブレータ704をONまたはOFFする信号)等に応じて、バイブレータ704を作動させる。
【0063】
コントローラ7に設けられた操作部72からの操作信号(キーデータ)、加速度センサ701からの3軸方向の加速度信号(X、Y、およびZ軸方向加速度データ)、および撮像情報演算部74からの処理結果データは、マイコン751に出力される。マイコン751は、入力した各データ(キーデータ、X、Y、およびZ軸方向加速度データ、処理結果データ)を無線通信モジュール18へ送信する送信データとして一時的にメモリ752に格納する。ここで、通信部75から無線通信モジュール18への無線送信は、所定の周期毎に行われるが、ゲームの処理は1/60秒を単位として行われることが一般的であるので、それよりも短い周期で送信を行うことが必要となる。具体的には、ゲームの処理単位は16.7ms(1/60秒)であり、ブルートゥース(登録商標)で構成される通信部75の送信間隔は5msである。マイコン751は、無線通信モジュール18への送信タイミングが到来すると、メモリ752に格納されている送信データを一連の操作情報として出力し、無線モジュール753へ出力する。そして、無線モジュール753は、例えばBluetooth(ブルートゥース;登録商標)の技術を用いて、所定周波数の搬送波を用いて操作情報をその電波信号としてアンテナ754から放射する。つまり、コントローラ7に設けられた操作部72からのキーデータ、加速度センサ701からのX、Y、およびZ軸方向加速度データ、および撮像情報演算部74からの処理結果データがコントローラ7から送信される。そして、ゲーム装置3の無線通信モジュール18でその電波信号を受信し、ゲーム装置3で当該電波信号を復調や復号することによって、一連の操作情報(キーデータ、X、Y、およびZ軸方向加速度データ、および処理結果データ)を取得する。そして、ゲーム装置3のCPU10は、取得した操作情報とゲームプログラムとに基づいて、ゲーム処理を行う。なお、Bluetooth(登録商標)の技術を用いて通信部75を構成する場合、通信部75は、他のデバイスから無線送信された送信データを受信する機能も備えることができる。
【0064】
次に、ゲーム装置3が行う画像生成処理の概要について説明する。
【0065】
図8は、毛や草等を多層の半透明のポリゴン(シェルポリゴンと称することとする)によって表現する手法について説明するための図である。ベースポリゴンは、3次元ポリゴンモデルであり、この3次元ポリゴンモデルに生えた毛や草等を表現するために、図8のようにベースポリゴンの外側に多層(本実施形態では8層の場合を説明する)のシェルポリゴンが配置される。すなわち、ベースポリゴンは、多層のシェルポリゴンを配置する際のベースとなるポリゴンであると言える。ベースポリゴンには、3次元ポリゴンモデルの地の模様を示すテクスチャ(以下、ベーステクスチャと称す)がテクスチャマッピングされる。第1〜第8層のシェルポリゴンには、毛や草等の断面を示すテクスチャ(シェルテクスチャと称することとする)がそれぞれテクスチャマッピングされる。
【0066】
図9は、シェルテクスチャ画像の一具体例を示している。シェルテクスチャ画像は、色を示すカラー値(RGB値)と、透明度を示すアルファ値とで構成される。例えば、狐のしっぽ(薄茶色)を表現したい場合には、図9左側に示すように、アルファ値をたとえばまだら模様のように設定する。ここでは黒い部分が透明部分を示しており、マッピングの際は白い部分に対応するカラーのみが重ねられていくことになり、毛を構成することになる。したがって、カラー値は、ベーステクスチャと同じテクスチャを割り当てるようにしたり、何も描画されていない画像を割り当て、ベーステクスチャとブレンドするようにすれば、しっぽの毛が表現されることとなる。さらに、図9右側に示すように、別のまだら模様の画像を用意して、ベーステクスチャとブレンドするようにすれば、上述の毛となる不透明部分の中でも、テクセルごとに濃淡が発生するため、より毛の質感に近い表現を行うことができる。ここで、毛(や草)の質感は、アルファ値のパターンによってさまざまに設定可能であるが、一様なパターンでは毛にならないので、アルファ値のパターンは少なくとも値の異なる複数の領域を含む必要がある。
【0067】
本実施形態では、第1〜第8層のシェルポリゴンに対するテクスチャマッピング処理には、共通のシェルテクスチャ画像が利用される。ただし、第1〜第8層のシェルポリゴンに対して、単に同一のシェルテクスチャ画像を同じようにテクスチャマッピングしただけでは、いわゆる直毛状態の毛や草しか表現できない。例えば、図10に示すようなシェルテクスチャ画像を第1〜第8のシェルポリゴンに対して単純にテクスチャマッピングした場合には、図11に示すようにベースポリゴンから毛が垂直に生えているように表示されるので、毛流れや毛束感を表現することができない。他の例として、図9に示すようなシェルテクスチャ画像を第1〜第8のシェルポリゴンに対して単純にテクスチャマッピングする場合には、図12に示すような直毛の毛が生えた狐のしっぽしか表現できない。
【0068】
そこで、本実施形態では、毛流れや毛束感の表現など、より多様な表現を簡単に実現するために、図13に示すような歪みマップを使用してテクスチャ画像を歪めた上で、各層のシェルポリゴンにテクスチャマッピングする手法を採用する。ここで、歪みマップとは、シェルテクスチャ画像のどの部分をどの方向にどれだけ歪ませるかを定めたものであり、本実施形態では、シェルテクスチャ画像の横方向(図14Aに示すs軸方向)に関する歪み量を定めた横歪みマップと、シェルテクスチャ画像の縦方向(図14Aに示すt軸方向)に関する歪み量を定めた縦歪みマップとで構成される。横歪みマップおよび縦歪みマップにおける各点(テクセル)の値は、本実施形態では0〜255の範囲の値となっており、その点における歪み量を示している。したがって、当該横歪みマップと縦歪みマップを、たとえば画像の所定の色(例えばR、B、Gのうちのいずれか1色)とアルファ成分として扱えば、歪みマップをテクスチャ画像と同様に画像として扱う(すなわち画像編集ソフトで作成・変更したり、画面上で確認したりする)ことが可能となる。
【0069】
以下、歪みマップの作用について具体的に説明する。
【0070】
一例として、図14Aに示すシェルテクスチャ画像を図14Bに示す歪みマップ(横歪みマップおよび縦歪みマップ)に基づいて歪ませる場合について説明する。図14Bの例では、横歪みマップと縦歪みマップのいずれも中央に円が描かれており、円の内部のテクセルの値は64であり、円の外部のテクセルの値は128である。なお、上述のように、歪みマップは画像として扱うことができ、テクスチャ画像と位置を重ねて対応させることができるため、歪みマップのそれぞれの値についてもテクセルと呼称することとする。テクセルの値から128を減算した結果値の絶対値は歪み量を示しており、その符号は歪み方向を示している。ここで、テクスチャ画像の歪みとは、歪みマップのテクセルに対応する元画像のテクセルからずれた位置の画素を読み出すことであって、画像の見た目としては、読み出し位置をずらした方向と逆方向に画像が移動したように見えることになる。以降、読み出し画素のずらし方向の逆方向を歪み方向と呼ぶこととする。たとえば、左上の画素を読み出す場合には、画像の歪み方向を右下とする。横歪みマップおよび縦歪みマップにおいて、テクセルの値が128の部分では歪み量=0(すなわち歪み無し)となる。また、横歪みマップにおいて、テクセルの値が128よりも大きい部分ではずらし方向が右方向(すなわち図14Aに示すs軸の正方向)となり、すなわち歪み方向は左方向となる。そして、テクセルの値が128よりも小さい部分ではずらし方向が左方向(すなわち図14Aに示すs軸の負方向)となり、すなわち歪み方向が右方向となる。また、縦歪みマップにおいては、テクセルの値が128よりも大きい部分ではずらし方向が下方向(すなわち図14Aに示すt軸の正方向)となり、すなわち歪み方向が上方向となる。そして、テクセルの値が128よりも小さい部分ではずらし方向が上方向(すなわち図14Aに示すt軸の負方向)となり、すなわち歪み方向が下方向となる。その結果、図14Bの歪みマップによって図14Aのシェルテクスチャ画像を歪ませると、図14Cに示すような歪んだテクスチャ画像が得られ、この歪んだテクスチャ画像に基づいて、シェルポリゴンへのテクスチャマッピング処理が行われる。なお、ここでは説明を簡単にするために横歪みマップおよび縦歪みマップとして同じ画像を用いているが、異なる画像を用いてももちろん構わない。
【0071】
図15は、歪みマップによってシェルテクスチャ画像を歪める処理の詳細を示している。図14Cに示すようなテクスチャ画像は、シェルポリゴンへのテクスチャマッピング処理時におけるシェルテクスチャ画像の参照点(カラー値およびアルファ値を読み出す点)を、本来の参照点(すなわち歪みマップが無い場合に参照される点)から歪みマップで定められている方向および距離だけずれた点を参照することによって実現される。
【0072】
なお、図14A〜図14Cで示した例では、歪みマップの値が非連続的に変化している(すなわち円の内部と外部でテクセルの値が大きく変化している)。一方、図16A〜図16Cに示す例では、歪みマップの値が連続的に(滑らかに)変化しており、このような歪みマップを用いて図16Aに示すシェルテクスチャ画像を歪ませた場合は、図16Cに示すように滑らかに曲りくねったテクスチャ画像が得られる。
【0073】
本実施形態では、上記のように歪みマップを使ってシェルテクスチャ画像を歪ませてからシェルポリゴンにテクスチャマッピングするのであるが、その際、第1〜第8層のシェルポリゴンに対して、シェルテクスチャ画像を一様に歪ませただけでは、依然として図11や図12に示したような直毛しか表現できない。そこで、本実施形態では、ベースポリゴンからより遠いシェルポリゴンほど、シェルテクスチャ画像がより大きく歪むように、シェルテクスチャ画像の歪み量を調整しつつ、テクスチャマッピングを行う。
【0074】
例えば、図17に示すように、シェルポリゴンの高さ(たとえばベースポリゴンからの距離)に比例するようにシェルテクスチャ画像の歪みを調整する。具体例として、図18に示すようなシェルテクスチャ画像(この画像では毛の断面が1つだけ描かれている)を、全てのテクセル値が220であるような歪みマップを用いて歪めながら、第1〜第8層のシェルポリゴンにテクスチャマッピングする場合について説明する。この場合、歪みマップで定められている歪み量は、220から128を減算した結果値の絶対値、すなわち92となる。そこで、第8層のシェルポリゴンに対しては、シェルテクスチャ画像を92の歪み量に対応する距離(D8)だけ歪めてテクスチャマッピングする。また、例えば第4層のシェルポリゴンに対しては、第4層の高さが第8層の高さの2分の1である場合、第8層の歪み量である92に2分の1を乗算した結果値である46を第4層の歪み量として、シェルテクスチャ画像を46の歪み量に対応する距離(D4)だけ歪めてテクスチャマッピングする。他の層についても同様に、高さに応じて歪み量を決定してテクスチャマッピングする。その結果、図18に示すように、ベースポリゴンから毛が斜めに伸びている様を表現することができる。
【0075】
なお、図17では、シェルポリゴンが等間隔で配置されている例を示しているが、シェルポリゴンが等間隔で配置されていない場合でも、各層の高さに比例するように各層の歪み量を計算すれば、図18に示したのと同様の毛を表現することができる。なお、シェルポリゴンが等間隔で配置されている場合には、各層の番号は高さに比例するので、高さの代りに層番号(層の並び順を示す番号)を用いて各層の歪み量を決定することもできる。また、必要に応じて、等間隔でない場合であっても、層番号を用いて歪み量を決定するようにしてもよい。
【0076】
なお、図17では、シェルポリゴンの各層の歪み量が高さに比例する例を示したが、本発明は必ずしもこれに限定されない。例えば、図19に示す曲線のように、任意の曲線にしたがって各層の歪み量を決定してもよい。そうすれば、図18に示したような直線的な毛や草に限らず、曲がった毛や草を表現することが可能となる。より好ましくは、この曲線をユーザが自由に変更できるようにするのがよい。
【0077】
なお、図18の例のように均一なテクセル値を有するような歪みマップを用いる場合には、毛(または草など)の向き(毛流れ)を表現することができるが、図13に示すように不均一なテクセル値を有するような歪みマップを利用すれば、部分に応じて毛の向きを変化させることができ、毛束感(局所的に毛が寄り集まっている様)など、より多様な表現が可能となる。なお、図13の縦歪みマップは図面上では均一なテクセル値を有するように見えているかもしれないが、実際には横歪みマップと同様にまだら模様となっている。図20は、図13の歪みマップを用いて実際に作成した狐のしっぽの画像である。
【0078】
なお、歪みマップに基づいて歪ませたシェルテクスチャ画像をシェルポリゴンにテクスチャマッピングするときの透明度は、基本的にはシェルテクスチャ画像のアルファ値に基づいて決定されるが、より自然な表現を実現するために、シェルポリゴンの高さ(ベースポリゴンからの距離)がより高くなるほど、そこにテクスチャマッピングされるシェルテクスチャ画像の透明度がより高くなるようにしてもよい(図8参照)。
【0079】
図21は、外部メインメモリ12のメモリマップである。なお、外部メインメモリ12の代わりに内部メインメモリ11eを利用しても構わない。外部メインメモリ12には、画像処理プログラム30、ベースポリゴンデータ31、ベーステクスチャ画像32、シェルポリゴンデータ33、モノクロシェルテクスチャ画像34、シェルテクスチャ画像35、および歪みマップ36が格納される。
【0080】
画像処理プログラム30は、図22および図23のフローチャートに示す処理をコンピュータ(CPU10またはGPU11b)に実行させるためのコンピュータプログラムであり、本実施形態では、光ディスク4から外部メインメモリ12にロードされる。ただし、画像処理プログラム30は、光ディスク4に限らず他の任意の外部記憶媒体を通じて供給されてもよいし、有線または無線の通信回線を通じて他のコンピュータシステムより供給されてもよいし、ゲーム装置3の内部の図示しない不揮発性の記憶装置に予め記録されていてもよい。
【0081】
ベースポリゴンデータ31は、図8に示すベースポリゴンを構成するためのデータであって、ポリゴンの頂点座標や法線ベクトル等の情報を含んでいる。ベースポリゴンデータ31は、典型的には光ディスク4から外部メインメモリ12にロードされる。
【0082】
ベーステクスチャ画像32は、ベースポリゴンの模様を示す画像データであって、典型的には光ディスク4から外部メインメモリ12にロードされる。
【0083】
シェルポリゴンデータ33は、図8に示す複数のシェルポリゴンを構成するためのデータであって、本実施形態では、ベースポリゴンデータ31に基づいて生成される。具体的には、例えば、ベースポリゴンデータ31に基づいて、ベースポリゴンの各頂点を法線ベクトル方向に所定幅だけずらした新たな頂点をそれぞれ生成し、生成された頂点群に基づいてシェルポリゴンを生成することができる。なお、シェルポリゴンデータ33をベースポリゴンデータ31に基づいて生成する代わりに、予め生成して光ディスク4に記憶されたたシェルポリゴンデータ33を光ディスク4から外部メインメモリ12にロードするようにしてもよい。データ構造としては、たとえばシェルポリゴンデータ33は頂点の座標データのみとして、ポリゴンを構成する頂点やポリゴンの接続等の位相情報に関しては、ベースポリゴンデータ31と共有するようにしてもよいし、座標情報、位相情報を全て層ごとにシェルポリゴンデータ33として記憶しておくようにしてもよい。
【0084】
モノクロシェルテクスチャ画像34は、毛の断面を示すモノクロ画像データである。本実施形態では、ベースポリゴンの各点から、その点の色とほぼ同じ色の毛(または草等)が生えているような画像を簡単に生成できるように、明度のみを表すモノクロシェルテクスチャ画像34にベーステクスチャ画像32をブレンドすることによってシェルテクスチャ画像35を生成する方法を採用している。ただし、このようなブレンド処理は本発明にとって必須ではなく、予めカラー情報によって構成される画像として用意されたシェルテクスチャ画像35を光ディスク4から外部メインメモリ12にロードするようにしてもよい。
【0085】
シェルテクスチャ画像35は、図8に示す複数のシェルポリゴンの模様を示す画像データであって、前述のように本実施形態では
ベーステクスチャ画像32とモノクロシェルテクスチャ画像34に基づいて生成されて、外部メインメモリ12に格納される。
【0086】
歪みマップ36は、図13に示したような、シェルテクスチャ画像35の歪ませ方(歪み方向および歪み量)を示す情報である。なお、本実施形態では歪みマップ36を用いてシェルテクスチャ画像35を歪ませているが、本発明はこれに限らず、他の任意の手法を用いてシェルテクスチャ画像35を歪ませても構わない。例えば、所定の関数を用いてシェルテクスチャ画像35の各点を写像することによって、シェルテクスチャ画像35を歪ませても構わない。また、歪みマップ36は必ずしも静的なデータである必要はなく、時間の経過や、ユーザ入力や、ゲーム状況や、その他の任意の条件に応じて、歪みマップ36を単位時間毎に変化させてもよい。このような処理を組み込むことにより、毛や草等の向きや質感を時間の経過等に応じて変化させることができ、例えば毛や草が風になびいたり、毛が急に逆立ったりするような動画像なども生成可能となる。
【0087】
次に、図22および図23のフローチャートを参照して、画像処理プログラム30に基づくCPU10またはGPU11bの動作の流れを説明する。なお、図22および図23のフローチャートの各ステップの処理は、CPU10とGPU11bのどちらが実行しても構わず、各ステップについてCPU10とGPU11bのどちらか最適な方に実行させるようにすればよい。以下の説明では、図22のフローチャートの各ステップの処理をCPU10が、図23のフローチャートの各ステップの処理をGPU11bが実行するものとして説明する。
【0088】
図22は、画像を実際に表示する前の準備処理として行われる前処理の流れを示すフローチャートである。
【0089】
前処理が開始されると、ステップS10でCPU10は、外部メインメモリ12からベースポリゴンデータ31を読み出す。
【0090】
ステップS11では、CPU10は、ステップS10で読み出したベースポリゴンデータ31に基づいて多層(本実施形態では8層とする)のシェルポリゴンを生成し、それをシェルポリゴンデータ33として外部メインメモリ12に格納する。
【0091】
ステップS12では、CPU10は、外部メインメモリ12からベーステクスチャ画像32を読み出す。
【0092】
ステップS13では、CPU10は、外部メインメモリ12からモノクロシェルテクスチャ画像34を読み出す。
【0093】
ステップS14では、CPU10は、ステップS13で読み出したモノクロシェルテクスチャ画像34に、ステップS12で読み出したベーステクスチャ画像32をブレンドし、そうして得られた画像をシェルテクスチャ画像35として外部メインメモリ12に格納する。ブレンドの方法としてはたとえば、ベーステクスチャ画像32それぞれの画素に対して、モノクロシェルテクスチャ画像34の対応画素の明度を積算するような演算でもよい。
【0094】
以上のような前処理は、シェルポリゴンデータが予め光ディスク4に記憶され、それを読み出す場合や、シェルテクスチャ画像が予め光ディスク4に記憶され、ブレンドを行わずに読み出すだけであるような実施形態の場合には、省略されてもよい。
【0095】
以上のような前処理が完了すると、GPU11bにおいて、図23に示すフローチャートの処理が開始される。
【0096】
図23は、前処理によって生成されたシェルポリゴンデータ33やシェルテクスチャ画像35を用いて画像を実際に描画して画面等に出力するための処理(以下では便宜上、図23に示す一連の処理を画像描画処理と称す)である。この画像描画処理は、本実施形態においては一定周期(たとえばフレーム毎に)で繰り返し実行されるものとする。なお、「フレーム」とは、画像の更新周期のことであり、典型的には60分の1秒である。ただし、本発明はこれに限らず、静止画像を生成する目的の場合には、画像描画処理が1回だけ実行されればよい。
【0097】
なお、図23のフローチャートでは、動画像を生成するための処理(例えば、時間の経過に応じて、ポリゴンの位置を変化させたり、光源の位置を変化させたり、仮想カメラの位置や姿勢を変化させたりする処理)についての記載を省略しているが、もちろん、これらの処理を毎フレーム実行しても構わない。また、前述したように、歪みマップを時間の経過に応じて変化させる処理を追加しても構わない。さらには、ユーザ入力やその他の条件に応じて、シェルポリゴンの層の数や、シェルポリゴンの各層の高さなどを変化させる処理を追加しても構わない。
【0098】
画像描画処理が開始されると、GPU11bは、まずベースポリゴンの描画から行う。ただし、ベースポリゴンを多層のシェルポリゴンのうちの1つ(すなわち最下層のシェルポリゴン)とみなし、ベースポリゴンをシェルポリゴンと同様の処理で描画して、毛を構成するポリゴンとして扱っても毛の表現は可能であるので、ベースポリゴンの描画処理をステップS24以降のシェルテクスチャに関する処理と共通化してもよい。まずステップS21では、GPU11bは、外部メインメモリ12からベーステクスチャ画像32を読み出す。
【0099】
次に、ステップS22では、GPU11bは、ステップS21で読み出したベーステクスチャ画像32をベースポリゴンにテクスチャマッピングする。
【0100】
そして、ステップS23において、GPU11bは、テクスチャマッピングされたベースポリゴンを配置し、VRAM11d内のフレームメモリへの描画を行う。
【0101】
この後のステップS24〜S31では、8層あるシェルポリゴンのそれぞれに対して、内側の層から順番にテクスチャマッピング処理が行われる。
【0102】
ステップS24では、GPU11bは、まだテクスチャマッピング処理が行われていないシェルポリゴンの中で、最も内側のシェルポリゴンを選択する。
【0103】
ステップS25では、GPU11bは、外部メインメモリ12からシェルテクスチャ画像35を読み出す。
【0104】
ステップS26では、GPU11bは、外部メインメモリ12から歪みマップ36を読み出す。
【0105】
ステップS27では、GPU11bは、現在処理対象となっているシェルポリゴンの層の高さに応じて、図17で示したような方法により、この層の歪み量を決定する。
【0106】
ステップS28では、GPU11bは、現在処理対象となっているシェルポリゴンの層の高さに応じて、透明度を決定する。例えば、層の高さがより高いほどより高い透明度となるように、透明度を決定する。当該透明度は、任意に設定可能であることが望ましいが、その場合、外側の層ほど高い透明度を予め設定することによって、よりリアルな表現を行うことができる。したがって、外側の層ほど高い透明度を自動的に設定するようにしてもよい。また、ここでは透明度を決定するが、透明度だけでなく、テクスチャ全体の明度をさらに決定するようにしてもよい。たとえば、実際の毛も外側ほど明るいことが想定されるので、外側の層ほど高い明度を設定するようにすることで、よりリアルな質感を表現することができる。
【0107】
ステップS29では、GPU11bは、ステップS25で読み出されたシェルテクスチャ画像35を、ステップS27で決定された歪み量とステップS28で決定した透明度に応じて、現在処理対象となっているシェルポリゴンの層に対してテクスチャマッピングする。
【0108】
そして、ステップS30において、GPU11bは、テクスチャマッピングの行われたシェルポリゴンを配置し、VRAM11d内のフレームメモリへの描画を行う。
【0109】
ステップS31では、GPU11bは、全てのシェルポリゴンに対してテクスチャマッピング処理が行われたか否かを判断し、まだテクスチャマッピング処理が行われていないシェルポリゴンが存在する場合にはステップS24に戻り、全てのシェルポリゴンに対してテクスチャマッピング処理が行われている場合にはステップS32に進む。
【0110】
ステップS32では、上記のステップS23〜S31の処理の結果として生成された画像(例えば、図20に示すようなしっぽの画像)を、テレビ2等に出力する。つまり、VRAM11d内のフレームメモリに書き込まれている画像をAV−IC15、AVコネクタ16を介して1フレーム時間ごとに出力する。
【0111】
以上のステップS23〜S32の処理がフレーム毎に繰り返し実行される。
【0112】
以上のように、本実施形態によれば、多層のシェルポリゴンに共通に利用されるシェルテクスチャ画像35を、シェルポリゴンの各層の位置に応じて異なる度合いで歪ませて各層のシェルポリゴンにそれぞれテクスチャマッピングするので、シェルポリゴンの各層について個別にシェルテクスチャ画像を用意することなしに、各層に異なるテクスチャを表示することができる。
【0113】
また、図17や図18に示したように、ベースポリゴンからより遠い層のシェルポリゴンほど、シェルテクスチャ画像35をより大きく歪ませてテクスチャマッピングするので、直毛状態ではない自然な毛流れを簡単に表現することができる。
【0114】
また、シェルポリゴンの各層の歪み量は、歪みマップ36から自動的に決定されるため、シェルポリゴンの各層について歪みマップを個別に用意する手間を削減することができる。
【0115】
また、ベースポリゴンデータ31に基づいてシェルポリゴンが自動生成されるため、多層のシェルポリゴンに対応するシェルポリゴンデータ33を予め用意する手間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の一実施形態に係るゲームシステム1の外観図
【図2】ゲーム装置3の構成を示すブロック図
【図3】コントローラ7の上面後方から見た斜視図
【図4】コントローラ7を下面後方から見た斜視図
【図5】コントローラ7の上筐体を外した状態を示す斜視図
【図6】コントローラ7の下筐体を外した状態を示す斜視図
【図7】コントローラ7の構成を示すブロック図
【図8】ベースポリゴンとシェルポリゴンの位置関係を示す図
【図9】シェルテクスチャ画像の一例
【図10】シェルテクスチャ画像の一例
【図11】図10のシェルテクスチャ画像をシェルポリゴンの各層に一様に適用した場合の表示例
【図12】図9のシェルテクスチャ画像をシェルポリゴンの各層に一様に適用した場合の表示例
【図13】歪みマップの一例
【図14A】シェルテクスチャ画像の一例
【図14B】歪みマップの一例
【図14C】図14Aのシェルテクスチャ画像を図14Bの歪みマップで歪ませて得られるテクスチャ画像
【図15】歪みマップによってシェルテクスチャ画像を歪める処理の詳細を示す図
【図16A】シェルテクスチャ画像の一例
【図16B】歪みマップの一例
【図16C】図16Aのシェルテクスチャ画像を図16Bの歪みマップで歪ませて得られるテクスチャ画像
【図17】シェルポリゴンの各層の高さと歪み量の関係を示す図
【図18】歪みマップを用いてテクスチャマッピングした場合の表示例
【図19】歪みマップを用いてテクスチャマッピングした場合の表示例
【図20】歪みマップを用いて作成した画像の一例
【図21】外部メインメモリ12のメモリマップ
【図22】前処理の流れを示すフローチャート
【図23】フレーム毎の処理の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
【0117】
1 ゲームシステム
2 テレビジョン受像器(テレビ)
2a スピーカ
3 ゲーム装置
4 光ディスク
6 マーカ部
6R,6L マーカ
7 コントローラ
10 CPU
11 システムLSI
11a 入出力プロセッサ
11b GPU
11c DSP
11d VRAM
11e 内部メインメモリ
12 外部メインメモリ
13 ROM/RTC
14 ディスクドライブ
15 AV−IC
16 AVコネクタ
17 フラッシュメモリ
18 無線通信モジュール
19 無線コントローラモジュール
20 拡張コネクタ
21 メモリカード用コネクタ
22 アンテナ
23 アンテナ
24 電源ボタン
25 リセットボタン
26 イジェクトボタン
30 画像処理プログラム
31 ベースポリゴンデータ
32 ベーステクスチャ画像
33 シェルポリゴンデータ
34 モノクロシェルテクスチャ画像
35 シェルテクスチャ画像
36 歪みマップ
71 ハウジング
72 操作部
73 コネクタ
74 撮像情報演算部
75 通信部
700 基板
701 加速度センサ
702 LED
703 水晶振動子
704 バイブレータ
705 電池
706 スピーカ
707 サウンドIC
708 アンプ
741 赤外線フィルタ
742 レンズ
743 撮像素子
744 画像処理回路
751 マイコン
752 メモリ
753 無線モジュール
754 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元ポリゴンモデルに対してテクスチャをマッピングするための画像処理プログラムであって、コンピュータに、
多数のポリゴンモデルの層からなる多層のシェルポリゴンを構成するための多層ポリゴンデータを記憶手段から読み出すシェルポリゴン読み出しステップ、
前記多層のシェルポリゴンに共通に利用される、透明度の異なる複数の領域を含むシェルテクスチャ画像を記憶手段から読み出すテクスチャ読み出しステップ、および、
前記シェルテクスチャ画像を、シェルポリゴンの各層の位置に応じて異なる度合いで歪ませて各層のシェルポリゴンにそれぞれテクスチャマッピングして各層を配置するテクスチャマッピングステップを実行させるための画像処理プログラム。
【請求項2】
前記テクスチャマッピングステップでは、より外側の層のシェルポリゴンほど、前記シェルテクスチャ画像をより大きく歪ませる、請求項1に記載の画像処理プログラム。
【請求項3】
前記テクスチャマッピングステップでは、前記シェルテクスチャ画像における本来参照すべき点からずれた点の値を参照することによって、前記シェルテクスチャ画像を歪ませて各層のシェルポリゴンにそれぞれテクスチャマッピングする、請求項1に記載の画像処理プログラム。
【請求項4】
前記画像処理プログラムは、前記シェルテクスチャ画像の各点における歪み量を示す歪みマップを読み込むステップを前記コンピュータにさらに実行させ、
前記テクスチャマッピングステップでは、前記歪みマップが示す歪み量からシェルポリゴンの各層における歪み量をそれぞれ算出し、当該算出結果に基づいて、前記シェルテクスチャ画像における参照すべき点を決定する、請求項3に記載の画像処理プログラム。
【請求項5】
前記歪みマップは、前記シェルテクスチャ画像の横方向の歪み量を示す横歪みマップと、前記シェルテクスチャ画像の縦方向の歪み量を示す縦歪みマップとにより構成される、請求項4に記載の画像処理プログラム。
【請求項6】
前記画像処理プログラムは、前記多層のシェルポリゴンを配置する際のベースとなるベースポリゴンを構成するためのベースポリゴンデータを記憶手段から読み出すステップと、読み出したベースポリゴンデータに基づいてベースポリゴンを配置するステップとを前記コンピュータにさらに実行させ、
前記テクスチャマッピングステップでは、ベースポリゴンとシェルポリゴンとの間の距離に基づいて、前記歪みマップが示す歪み量からシェルポリゴンの各層における歪み量をそれぞれ算出し、前記ベースポリゴンの外側に前記多層のシェルポリゴンを配置する、請求項4に記載の画像処理プログラム。
【請求項7】
前記テクスチャマッピングステップでは、シェルポリゴンが、内側から数えて何番目に位置するかに基づいて、前記歪みマップが示す歪み量からシェルポリゴンの各層における歪み量をそれぞれ算出する、請求項4に記載の画像処理プログラム。
【請求項8】
前記テクスチャマッピングステップでは、シェルポリゴンの各層における歪み量をさらに単位時間毎に変化させる、請求項4に記載の画像処理プログラム。
【請求項9】
前記画像処理プログラムは、前記多層のシェルポリゴンを配置する際のベースとなるベースポリゴンを構成するためのベースポリゴンデータを記憶手段から読み出すステップと、読み出したベースポリゴンデータに基づいてベースポリゴンを配置するステップとを前記コンピュータにさらに実行させ、
前記テクスチャマッピングステップでは、前記ベースポリゴンの外側に前記多層のシェルポリゴンを配置する、請求項1に記載の画像処理プログラム。
【請求項10】
前記ベースポリゴン用のベーステクスチャ画像を前記ベースポリゴンにテクスチャマッピングするステップを前記コンピュータにさらに実行させる、請求項9に記載の画像処理プログラム。
【請求項11】
前記テクスチャマッピングステップでは、より外側のシェルポリゴンほど、より高い透明度で前記シェルテクスチャ画像をテクスチャマッピングする、請求項1に記載の画像処理プログラム。
【請求項12】
前記ベースポリゴンデータに基づいて、前記ベースポリゴンの各頂点を法線ベクトル方向に所定幅だけずらした新たな頂点をそれぞれ生成し、当該生成された頂点群に基づいて前記多層ポリゴンデータを生成するステップを前記コンピュータにさらに実行させる、請求項9に記載の画像処理プログラム。
【請求項13】
前記テクスチャマッピングステップでは、予め用意された多層ポリゴンデータに基づいて前記多層のシェルポリゴンを配置する、請求項1に記載の画像処理プログラム。
【請求項14】
3次元ポリゴンモデルに対してテクスチャをマッピングするための画像処理装置であって、
多数のポリゴンモデルの層からなる多層のシェルポリゴンを構成するための多層ポリゴンデータを記憶手段から読み出すシェルポリゴン読み出し手段、
前記多層のシェルポリゴンに共通に利用される、透明度の異なる複数の領域を含むシェルテクスチャ画像を記憶手段から読み出すテクスチャ読み出し手段、および、
前記シェルテクスチャ画像を、シェルポリゴンの各層の位置に応じて異なる度合いで歪ませて各層のシェルポリゴンにそれぞれテクスチャマッピングして各層を配置するテクスチャマッピング手段、を備える画像処理装置。
【請求項15】
前記テクスチャマッピング手段は、より外側の層のシェルポリゴンほど、前記シェルテクスチャ画像をより大きく歪ませる、請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記テクスチャマッピング手段は、前記シェルテクスチャ画像における本来参照すべき点からずれた点の値を参照することによって、前記シェルテクスチャ画像を歪ませて各層のシェルポリゴンにそれぞれテクスチャマッピングする、請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記画像処理装置は、前記シェルテクスチャ画像の各点における歪み量を示す歪みマップを読み込む手段をさらに備え、
前記テクスチャマッピング手段は、前記歪みマップが示す歪み量からシェルポリゴンの各層における歪み量をそれぞれ算出し、当該算出結果に基づいて、前記シェルテクスチャ画像における参照すべき点を決定する、請求項16に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−3810(P2009−3810A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165613(P2007−165613)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000233778)任天堂株式会社 (1,115)
【Fターム(参考)】