画像処理方法及びその装置
【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明は、撮像素子から入力された濃淡画像を、2値画像に変換する画像処理方法とその装置に関するものである。
(従来の技術)
通常、画像処理を行なう時、濃淡画像を2値画像に変換して、種々の解析を行なう。この様な2値化において従来は、画面全体に対して、同一のしきい値を適用して、2値化処理を行なっていた。この様に、画面全体に対し、同一のしきい値を適用すると、撮像素子から入力された濃淡画像が、2値画像に変換された時、もとの濃淡画像の形状情報が失なわれ、以後の解析ができないことが生じる。これは、濃淡画像が、通常の撮像素子で撮像した時は、256階調の濃淡情報をもっているのに対し、2値画像の濃淡情報が2階調であることから生じる。つまり、256階調の濃淡情報を2階調の濃淡情報に変換する時、情報が失なわれ、図形の形状情報が失なわれるからである。
この様な、情報欠落を防ぐため、従来は、2値化処理の前に、画像のコントラストを強調する処理を実施したり、画像の撮像素子に入力するための照明の均一化が非常に重要な技術であった。しかし、この様な細心の注意をはらって、画像を撮像素子に入力し、またコントラストの強調処理を実施しても、2値化がうまくいかないことが、実際には多い。このことが、画像処理技術の応用展開において、現在、重要な問題となっている。
従来の2値化処理を適用した例を第4図を用いて説明する。
第4図において、(a)は、撮像素子から入力された濃淡画像、(b)はX−Xにおける1次元濃度ヒストグラム、(c)、(d)、(e)は、夫々、しきい値がA,B,Cの時の2値画像を示している。
第4図の例からも判る様に、従来の2値化処理においては、濃淡画像の形状情報が失なわれ、2値画像は、本来の画像とは、まったく異なったものになっている。この様な、形状情報の喪失が生じると、画像処理は、正しい結果が得られないことは、いうまでもない。上記問題を解決する方法として、撮像素子等から入力された画像を、各水平走査線または各垂直走査線ごとに、濃度値の極大値および極小値を求め、となりあった極大値と極小値の値から、2値化のしきい値を求め、該しきい値を該となりあった極大値、極小値間のしきい値として2値画像を求める方法が本発明者により既に提案されている。本方法は、従来の方法に比べ、非常に優れた方法であるが、ノイズの多い画像に対しては、前処理として、ノイズ除去を慎重に行なわないと、2値画像にノイズがのったり、また、細い細線画像に対しては、画像の形状情報が失なわれやすいという欠点があった。
(発明が解決しようとする課題)
本発明は、上記の様な問題点に鑑み、撮像素子から入力された濃淡画像の形状情報を失なうことなく、またノイズに強い、2値画像検出方法またはその装置を提供することを目的としている。
(課題を解決するための手段)
本発明は、撮像素子等から入力された画像を2値化画像に処理する方法であって、入力された画像を、各水平走査線、各垂直走査線ごとに濃度値の極大値、極小値を求め、となり合った極大値と極小値との差を求め、この差(Δa)のヒストグラムを作成し、該ヒストグラムの臨界値(谷点:CT)を設定し、ΔaがCTより大の極大値と極小値を求めてこの極大値と極小値から2値化のしきい値を求め、該しきい値をとなり合った極大値と極小値をとる画像のしきい値として2値化画像を求めることを少なくとも有することを特徴とする画像処理方法であり、また撮像素子等から入力された画像を2値化画像に処理する装置であって、入力された画像を各水平走査線、各垂直走査線ごとに濃度値の極大値と極小値を求め、となり合った極大値と極小値との差の絶対値(Δa)のヒストグラムを作成し、該ヒストグラムの臨界値(谷点:CT)を設定する臨界値設定回路を少なくとも有することを特徴とする画像処理装置である。
本発明を第2図を用いて説明する。第2図は、撮像素子によって得られたある画像の水平(または垂直)走査線における1次元濃度ヒストグラムを示したものである。x1,x2,…,xi,xi+1,…は、濃度値が極値をとる画素を示し、x1,x2,…,xi,xi+1…における濃度値をa1,a2…ai,ai+1,…とする。
撮像素子で画像をとり込み、1次元濃度ヒストグラムを作成すると、第2図の様に、となりあった極大値と極小値の差(以後コントラストと呼ぶ)が小さいものと、大きなものが存在する。コントラストの小さなものはノイズであり、大きなものは像を表わしている。この様なノイズと像のコントラストの分岐点を求める方法として、本発明では、コントラストのヒストグラムを利用する方法を提案する。
通常、ノイズと像のコントラストは、明確に区分できる。
このため、コントラストのヒストグラムは、第3図の様に、双鋒性を有するものとなる。
第3図において、谷点の値CTより小さいものはノイズ、大きいものは像のコントラストを示している。
さて、この様なコントラストのヒストグラムから、ノイズと像のコントラストの分岐点CTを求める方法として、サンプルの選び方により、次の3種類を提案する。
(1) 水平走査線または垂直走査線の1ラインごとに求める方法。この場合、走査線1ラインごとにCTの値が変わる。
(2) 水平走査方向または垂直走査方向全体で求める方法。この場合、各走査方向でのCTの値は、固定となる。
(3) 水平走査方向と垂直走査方向全体で求める方法。この場合、水平、垂直走査方向でCTの値は単一値をとる。
上記の方法は、夫々一長一短があるが、処理時間を短くしたい場合は、(3)の方法が良い。
次に、しきい値THLの決定方法について述べる。
第2図において、(1)式 |ai+1−ai|≦CT i=1,2…… (1)
を満たす極値は、ノイズ、(2)式 |ai+1−ai|>CT i=1,2…… (2)
を満たす極値は、像を表わしている。
今、a1,a2,…の極値の中から、(2)式を満たす極値のみを抽出した時、それがa1′,a2′,……で、a1′,a2′,……の濃度値に対応する画素をx1′,x2′…とする。
この間、となりあった極値間xi′〜xi+1(i=1,2,…)におけるしきい値THLを、次式により決定する。
例えば、第2図において(3)式をK=0.5として適用すると第1図のようになる。
第1図において、ノイズと考えられる領域のしきい値は、求まっていない。この様な領域のしきい値は、前後のしきい値の値からしきい値を決定する。例えば、第1図R>図のAの領域のしきい値は、その前後のしきい値THL′,THL″から、次のいずれかの方法で決定する。
1) しきい値をTHL′またはTHL″とする2) しきい値をTHL′とTHL″の平均値
とする。
上記の方法のいずれの方法が良いかは、画像により違ってくるが、実験結果では、あまり大きな差は生じていない。
第4図の画像に対し、本発明をK=0.5として適用すると、第5図の様になる。
第1図、第5図より、しきい値は、画像周辺の濃度値により変動し、濃度が高ければ、しきい値が高くなり、濃度が低ければ、しきい値が低くなっていく様子が判る。この様に、画像周辺の濃度値により、しきい値は変動していく。このことは、人間が、画像の境界を判断するのと同様なことを行なっていることになる。以上から、本発明を利用すれば、従来の方法に比べ、濃淡画像の画像形成情報を失なわずに2値画像が得られることが判る。
この様にして、各水平あるいは垂直走査線ごとに、しきい値THLを求め、夫々の領域x1〜x1+4(1=0,1,2,…)において、求まったしきい値THL以上の濃度をもった画素に対しては、白(または黒)とし、THL未満の濃度を持った画素に対しては、黒(または白)として処理する。この結果、水平あるいは垂直走査線に対し、夫々1枚づつの2値画像が得られる。
本発明では、上記の様にして得られた2値画像をそのまま利用する方法の他、下記の様に、上記の2値画像間の論理積または、論理和をとる方法を提案する。この様にすることにより、ノイズが除去されたきれいな2値画像の生成、不鮮明な画像からの2値画像の生成が、より高度なレベルで達成できる。しかし、その反面処理時間が長くなるという欠点も有することになる。
従って、以下の方法を適用するかどうかは、画像処理の目的により決定されることになる。
以下、2枚の画像の論理積、論理和をとり、2値画像を得る方法について説明する。
さて、上記の様にして、求められた2枚の2値画像に対し、対応する画素間の論理積(AND)または、論理和(OR)をとることにより、2値画像を求める。今背景を0(白)、画像を1(黒)とした時、その論理積、論理和をとった時の2値画像は、次の様にして求めることができる。
cijは論理積、c′ijは論理和による2値画像を示す。aijは、水平走査による得られた2値画像、bijは垂直走査により得られた2値画像、cij,c′ijは、その等の2値画像の論理積、論理和をとることにより得られる2値画像を示す。N,Mは夫々、水平、垂直方向の画素数を示す。
上記の様な論理積、論理和をとることによる効果を第6図6図を用いて説明する。
第6図において、(a)は撮像素子から入力された濃淡画像、(b)は、水平走査により得られた2値画像、(c)は、垂直走査により得られた2値画像、(d)は、(b)と(c)の画像の論理積により得られた2値画像、(e)は、(b)と(c)の画像の論理和とにより得られた2値画像を表わしている。
第6図において、■,■は、ノイズレベルに近いコントラストを持った線画像で、■′,■′は、それの2値画像を示し、■,■は、2値画像に変換した時に生じたノイズを示している。
水平方向の走査により得られた2値画像(b)は、通常、水平方向に対する感度が高くなり、このため、■で示される様な水平方向のノイズをひろいやすい傾向にある。また、水平方向の感度に比べ垂直方向の感度は逆に低くなり、ノイズレベルに近いコントラストをもった線画像■は、検出されにくい。
垂直方向の走査により得られた2値画像(c)の場合は水平方向の走査の場合とは逆に、垂直方向の感度が高く、水平方向の感度は低くなる。
このため、(c)で示される様な2値画像が得られる。
従って、2値画像aijとbijの論理積を取ることにより得られた画像cijは、ノイズ■,■が除去されたきれいな像となるかわりに、ノイズレベルに近いコントラストを持った線画像の情報が失なわれる。2値画像aijとbijの論理和を取った時は、得られた画像c′ijは、ノイズレベルに近いコントラストを持った線画像の情報は失なわれないが、ノイズ■,■が除去されずに残る。
この様に、論理積をとることにより、コントラストの悪い線画像の情報は失なわれるが、ノイズが除去されたきれいな2値画像が得られ、論理和をとると、コントラストの悪い線画像の情報も失なわれることなく2値画像が得られるが、ノイズが除去されずに残る。
この様に、論理積、論理和をとることにより得られる2値画像は、夫々、一長一短であるが、場合、場合により、使い分けることにより、きわめて有効な処理ができる。
(実施例)
(実施例−1)
本発明の実施例を第7図を用いて説明する。
CCDカメラ(1)から入力された濃淡画像は、A/D変換回路(2)により、濃淡値をアナログ値からディジタル値に変換され、画像メモリー回路(3)に記憶される。画像メモリー回路(3)の濃淡画像は、撮像素子の水平または垂直走査線ごとに取り出され、極値検出回路(5)で極値の値と位置が検出され記憶される。記憶された極値の値から、となりあった極値間の差が差検出回路(5)により求められ、ヒストグラム作成回路(6)により、差のヒストグラムが求められ、谷点検出回路(7)により、ヒストグラムの谷点の値CTが求められる。
求められたCTの値から、(2)式の演算が比較選択回路(8)により実施され、像に関係する極値の値が求められる。しきい値演算回路(9)では、求められた極値の値を用い、(3)式よりしきい値が決定される。
白黒判定回路(10)では、画像メモリー回路(3)からの濃淡画像情報と、しきい値演算回路(9)からのしきい値の値から、濃淡画像が2値画像に変換される。変換された2値画像は、2値画像メモリー回路(11)に記憶され、必要に応じ、出力回路(12)から出力される。
尚、ヒストグラム作成回路から谷点CTを求める方法として、水平または垂直走査線の1走査線ごとにCTを求める方法、水平または垂直走査線の全ラインについて1個のCTを求める方法、水平、垂直走査線の全ラインを走査して1個のCTを求める方法があることを発明の詳細な説明の項で述べたが、構成としては第7図と同様な方法で実施できるので説明は省略する。
(実施例−2)
実施例−1では、画像の水平または垂直方向の走査により2値画像を得る方法について述べたが、実施例−2では、水平および垂直方向の走査により得られた2値画像間の論理積または、論理和をとることにより2値画像を得る方法について第8図を用いて説明する。
第8図において、(1)から(11′),(11″)までの構成は、第7図と同じなので説明は省略する。
論理積、論理和演算回路(13)では、水平走査2値画像メモリー回路(11′)、垂直走査1値画像メモリー回路(11″)からの2値画像情報をもとに、(4)式または(5)式の演算が実施され、2値画像が求められ、2値画像記憶回路(14)に記憶され、必要に応じ、出力回路(12)から出力される。
(発明の効果)
実施例−2による実際の適用例を第9図に示す。
第9図(a)は、CCDカメラから取り込んだ濃淡画像を、第9図(b)は、従来の2値化法による2値画像を、第9図(c)は、本発明の2値化法(論理積による法)による2値画像を示す。
第9図により、従来の方法では、濃淡画像の画像形状情報がかなり失なわれているのに対し、本発明によれば、ほとんどが失なわれずに2値画像が得られていることが判る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、濃淡画像例に本発明の1例を適用したときのしきい値を示す図、第2図は濃淡画像例を示す図、第3図R>図はとなり合った極大値と極小値との差の絶対値の例をヒストグラムで示した図、第4図は従来方法による濃淡画像を2値化したときの状態を示す図、第5図は本発明法の1例を適用したときの濃淡画像と2値化画像の概略を示す図、第6図は論理積、論理和の演算適用例の概略を示す図、第7図は実施例−1での各回路の配列の概略を示す図、第8図は実施例−2での各回路の配列の概略を示す図、第9図は実施例−2での適用結果を示す概略図である。
(産業上の利用分野)
本発明は、撮像素子から入力された濃淡画像を、2値画像に変換する画像処理方法とその装置に関するものである。
(従来の技術)
通常、画像処理を行なう時、濃淡画像を2値画像に変換して、種々の解析を行なう。この様な2値化において従来は、画面全体に対して、同一のしきい値を適用して、2値化処理を行なっていた。この様に、画面全体に対し、同一のしきい値を適用すると、撮像素子から入力された濃淡画像が、2値画像に変換された時、もとの濃淡画像の形状情報が失なわれ、以後の解析ができないことが生じる。これは、濃淡画像が、通常の撮像素子で撮像した時は、256階調の濃淡情報をもっているのに対し、2値画像の濃淡情報が2階調であることから生じる。つまり、256階調の濃淡情報を2階調の濃淡情報に変換する時、情報が失なわれ、図形の形状情報が失なわれるからである。
この様な、情報欠落を防ぐため、従来は、2値化処理の前に、画像のコントラストを強調する処理を実施したり、画像の撮像素子に入力するための照明の均一化が非常に重要な技術であった。しかし、この様な細心の注意をはらって、画像を撮像素子に入力し、またコントラストの強調処理を実施しても、2値化がうまくいかないことが、実際には多い。このことが、画像処理技術の応用展開において、現在、重要な問題となっている。
従来の2値化処理を適用した例を第4図を用いて説明する。
第4図において、(a)は、撮像素子から入力された濃淡画像、(b)はX−Xにおける1次元濃度ヒストグラム、(c)、(d)、(e)は、夫々、しきい値がA,B,Cの時の2値画像を示している。
第4図の例からも判る様に、従来の2値化処理においては、濃淡画像の形状情報が失なわれ、2値画像は、本来の画像とは、まったく異なったものになっている。この様な、形状情報の喪失が生じると、画像処理は、正しい結果が得られないことは、いうまでもない。上記問題を解決する方法として、撮像素子等から入力された画像を、各水平走査線または各垂直走査線ごとに、濃度値の極大値および極小値を求め、となりあった極大値と極小値の値から、2値化のしきい値を求め、該しきい値を該となりあった極大値、極小値間のしきい値として2値画像を求める方法が本発明者により既に提案されている。本方法は、従来の方法に比べ、非常に優れた方法であるが、ノイズの多い画像に対しては、前処理として、ノイズ除去を慎重に行なわないと、2値画像にノイズがのったり、また、細い細線画像に対しては、画像の形状情報が失なわれやすいという欠点があった。
(発明が解決しようとする課題)
本発明は、上記の様な問題点に鑑み、撮像素子から入力された濃淡画像の形状情報を失なうことなく、またノイズに強い、2値画像検出方法またはその装置を提供することを目的としている。
(課題を解決するための手段)
本発明は、撮像素子等から入力された画像を2値化画像に処理する方法であって、入力された画像を、各水平走査線、各垂直走査線ごとに濃度値の極大値、極小値を求め、となり合った極大値と極小値との差を求め、この差(Δa)のヒストグラムを作成し、該ヒストグラムの臨界値(谷点:CT)を設定し、ΔaがCTより大の極大値と極小値を求めてこの極大値と極小値から2値化のしきい値を求め、該しきい値をとなり合った極大値と極小値をとる画像のしきい値として2値化画像を求めることを少なくとも有することを特徴とする画像処理方法であり、また撮像素子等から入力された画像を2値化画像に処理する装置であって、入力された画像を各水平走査線、各垂直走査線ごとに濃度値の極大値と極小値を求め、となり合った極大値と極小値との差の絶対値(Δa)のヒストグラムを作成し、該ヒストグラムの臨界値(谷点:CT)を設定する臨界値設定回路を少なくとも有することを特徴とする画像処理装置である。
本発明を第2図を用いて説明する。第2図は、撮像素子によって得られたある画像の水平(または垂直)走査線における1次元濃度ヒストグラムを示したものである。x1,x2,…,xi,xi+1,…は、濃度値が極値をとる画素を示し、x1,x2,…,xi,xi+1…における濃度値をa1,a2…ai,ai+1,…とする。
撮像素子で画像をとり込み、1次元濃度ヒストグラムを作成すると、第2図の様に、となりあった極大値と極小値の差(以後コントラストと呼ぶ)が小さいものと、大きなものが存在する。コントラストの小さなものはノイズであり、大きなものは像を表わしている。この様なノイズと像のコントラストの分岐点を求める方法として、本発明では、コントラストのヒストグラムを利用する方法を提案する。
通常、ノイズと像のコントラストは、明確に区分できる。
このため、コントラストのヒストグラムは、第3図の様に、双鋒性を有するものとなる。
第3図において、谷点の値CTより小さいものはノイズ、大きいものは像のコントラストを示している。
さて、この様なコントラストのヒストグラムから、ノイズと像のコントラストの分岐点CTを求める方法として、サンプルの選び方により、次の3種類を提案する。
(1) 水平走査線または垂直走査線の1ラインごとに求める方法。この場合、走査線1ラインごとにCTの値が変わる。
(2) 水平走査方向または垂直走査方向全体で求める方法。この場合、各走査方向でのCTの値は、固定となる。
(3) 水平走査方向と垂直走査方向全体で求める方法。この場合、水平、垂直走査方向でCTの値は単一値をとる。
上記の方法は、夫々一長一短があるが、処理時間を短くしたい場合は、(3)の方法が良い。
次に、しきい値THLの決定方法について述べる。
第2図において、(1)式 |ai+1−ai|≦CT i=1,2…… (1)
を満たす極値は、ノイズ、(2)式 |ai+1−ai|>CT i=1,2…… (2)
を満たす極値は、像を表わしている。
今、a1,a2,…の極値の中から、(2)式を満たす極値のみを抽出した時、それがa1′,a2′,……で、a1′,a2′,……の濃度値に対応する画素をx1′,x2′…とする。
この間、となりあった極値間xi′〜xi+1(i=1,2,…)におけるしきい値THLを、次式により決定する。
例えば、第2図において(3)式をK=0.5として適用すると第1図のようになる。
第1図において、ノイズと考えられる領域のしきい値は、求まっていない。この様な領域のしきい値は、前後のしきい値の値からしきい値を決定する。例えば、第1図R>図のAの領域のしきい値は、その前後のしきい値THL′,THL″から、次のいずれかの方法で決定する。
1) しきい値をTHL′またはTHL″とする2) しきい値をTHL′とTHL″の平均値
とする。
上記の方法のいずれの方法が良いかは、画像により違ってくるが、実験結果では、あまり大きな差は生じていない。
第4図の画像に対し、本発明をK=0.5として適用すると、第5図の様になる。
第1図、第5図より、しきい値は、画像周辺の濃度値により変動し、濃度が高ければ、しきい値が高くなり、濃度が低ければ、しきい値が低くなっていく様子が判る。この様に、画像周辺の濃度値により、しきい値は変動していく。このことは、人間が、画像の境界を判断するのと同様なことを行なっていることになる。以上から、本発明を利用すれば、従来の方法に比べ、濃淡画像の画像形成情報を失なわずに2値画像が得られることが判る。
この様にして、各水平あるいは垂直走査線ごとに、しきい値THLを求め、夫々の領域x1〜x1+4(1=0,1,2,…)において、求まったしきい値THL以上の濃度をもった画素に対しては、白(または黒)とし、THL未満の濃度を持った画素に対しては、黒(または白)として処理する。この結果、水平あるいは垂直走査線に対し、夫々1枚づつの2値画像が得られる。
本発明では、上記の様にして得られた2値画像をそのまま利用する方法の他、下記の様に、上記の2値画像間の論理積または、論理和をとる方法を提案する。この様にすることにより、ノイズが除去されたきれいな2値画像の生成、不鮮明な画像からの2値画像の生成が、より高度なレベルで達成できる。しかし、その反面処理時間が長くなるという欠点も有することになる。
従って、以下の方法を適用するかどうかは、画像処理の目的により決定されることになる。
以下、2枚の画像の論理積、論理和をとり、2値画像を得る方法について説明する。
さて、上記の様にして、求められた2枚の2値画像に対し、対応する画素間の論理積(AND)または、論理和(OR)をとることにより、2値画像を求める。今背景を0(白)、画像を1(黒)とした時、その論理積、論理和をとった時の2値画像は、次の様にして求めることができる。
cijは論理積、c′ijは論理和による2値画像を示す。aijは、水平走査による得られた2値画像、bijは垂直走査により得られた2値画像、cij,c′ijは、その等の2値画像の論理積、論理和をとることにより得られる2値画像を示す。N,Mは夫々、水平、垂直方向の画素数を示す。
上記の様な論理積、論理和をとることによる効果を第6図6図を用いて説明する。
第6図において、(a)は撮像素子から入力された濃淡画像、(b)は、水平走査により得られた2値画像、(c)は、垂直走査により得られた2値画像、(d)は、(b)と(c)の画像の論理積により得られた2値画像、(e)は、(b)と(c)の画像の論理和とにより得られた2値画像を表わしている。
第6図において、
水平方向の走査により得られた2値画像(b)は、通常、水平方向に対する感度が高くなり、このため、
垂直方向の走査により得られた2値画像(c)の場合は水平方向の走査の場合とは逆に、垂直方向の感度が高く、水平方向の感度は低くなる。
このため、(c)で示される様な2値画像が得られる。
従って、2値画像aijとbijの論理積を取ることにより得られた画像cijは、ノイズ
この様に、論理積をとることにより、コントラストの悪い線画像の情報は失なわれるが、ノイズが除去されたきれいな2値画像が得られ、論理和をとると、コントラストの悪い線画像の情報も失なわれることなく2値画像が得られるが、ノイズが除去されずに残る。
この様に、論理積、論理和をとることにより得られる2値画像は、夫々、一長一短であるが、場合、場合により、使い分けることにより、きわめて有効な処理ができる。
(実施例)
(実施例−1)
本発明の実施例を第7図を用いて説明する。
CCDカメラ(1)から入力された濃淡画像は、A/D変換回路(2)により、濃淡値をアナログ値からディジタル値に変換され、画像メモリー回路(3)に記憶される。画像メモリー回路(3)の濃淡画像は、撮像素子の水平または垂直走査線ごとに取り出され、極値検出回路(5)で極値の値と位置が検出され記憶される。記憶された極値の値から、となりあった極値間の差が差検出回路(5)により求められ、ヒストグラム作成回路(6)により、差のヒストグラムが求められ、谷点検出回路(7)により、ヒストグラムの谷点の値CTが求められる。
求められたCTの値から、(2)式の演算が比較選択回路(8)により実施され、像に関係する極値の値が求められる。しきい値演算回路(9)では、求められた極値の値を用い、(3)式よりしきい値が決定される。
白黒判定回路(10)では、画像メモリー回路(3)からの濃淡画像情報と、しきい値演算回路(9)からのしきい値の値から、濃淡画像が2値画像に変換される。変換された2値画像は、2値画像メモリー回路(11)に記憶され、必要に応じ、出力回路(12)から出力される。
尚、ヒストグラム作成回路から谷点CTを求める方法として、水平または垂直走査線の1走査線ごとにCTを求める方法、水平または垂直走査線の全ラインについて1個のCTを求める方法、水平、垂直走査線の全ラインを走査して1個のCTを求める方法があることを発明の詳細な説明の項で述べたが、構成としては第7図と同様な方法で実施できるので説明は省略する。
(実施例−2)
実施例−1では、画像の水平または垂直方向の走査により2値画像を得る方法について述べたが、実施例−2では、水平および垂直方向の走査により得られた2値画像間の論理積または、論理和をとることにより2値画像を得る方法について第8図を用いて説明する。
第8図において、(1)から(11′),(11″)までの構成は、第7図と同じなので説明は省略する。
論理積、論理和演算回路(13)では、水平走査2値画像メモリー回路(11′)、垂直走査1値画像メモリー回路(11″)からの2値画像情報をもとに、(4)式または(5)式の演算が実施され、2値画像が求められ、2値画像記憶回路(14)に記憶され、必要に応じ、出力回路(12)から出力される。
(発明の効果)
実施例−2による実際の適用例を第9図に示す。
第9図(a)は、CCDカメラから取り込んだ濃淡画像を、第9図(b)は、従来の2値化法による2値画像を、第9図(c)は、本発明の2値化法(論理積による法)による2値画像を示す。
第9図により、従来の方法では、濃淡画像の画像形状情報がかなり失なわれているのに対し、本発明によれば、ほとんどが失なわれずに2値画像が得られていることが判る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、濃淡画像例に本発明の1例を適用したときのしきい値を示す図、第2図は濃淡画像例を示す図、第3図R>図はとなり合った極大値と極小値との差の絶対値の例をヒストグラムで示した図、第4図は従来方法による濃淡画像を2値化したときの状態を示す図、第5図は本発明法の1例を適用したときの濃淡画像と2値化画像の概略を示す図、第6図は論理積、論理和の演算適用例の概略を示す図、第7図は実施例−1での各回路の配列の概略を示す図、第8図は実施例−2での各回路の配列の概略を示す図、第9図は実施例−2での適用結果を示す概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】撮像素子等から入力された画像を2値化画像に処理する方法であって、入力された画像を、各走査線ごとの濃度値の極大値、極小値からしきい値を求める方法において、となり合った極大値と極小値との差を求め、この差(Δa)のヒストグラムを作成し、該ヒストグラムの臨界値(谷点:CT)を設定し、ΔaがCTより大の極大値と極小値を求めてこの極大値と極小値から2値化のしきい値を求め、該しきい値をとなり合った極大値と極小値をとる画像のしきい値として2値化画像を求めることを少なくとも有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】撮像素子等から入力された画像を2値化画像に処理する装置であって、入力された画像を、各走査線ごとの濃度値の極大値、極小値からしきい値を求める方法において、となり合った極大値と極小値との差の絶対値(Δa)のヒストグラムを作成し、ヒストグラムの臨界値(谷点:CT)を設定する臨界値設定回路を少なくとも有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項1】撮像素子等から入力された画像を2値化画像に処理する方法であって、入力された画像を、各走査線ごとの濃度値の極大値、極小値からしきい値を求める方法において、となり合った極大値と極小値との差を求め、この差(Δa)のヒストグラムを作成し、該ヒストグラムの臨界値(谷点:CT)を設定し、ΔaがCTより大の極大値と極小値を求めてこの極大値と極小値から2値化のしきい値を求め、該しきい値をとなり合った極大値と極小値をとる画像のしきい値として2値化画像を求めることを少なくとも有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】撮像素子等から入力された画像を2値化画像に処理する装置であって、入力された画像を、各走査線ごとの濃度値の極大値、極小値からしきい値を求める方法において、となり合った極大値と極小値との差の絶対値(Δa)のヒストグラムを作成し、ヒストグラムの臨界値(谷点:CT)を設定する臨界値設定回路を少なくとも有することを特徴とする画像処理装置。
【第1図】
【第2図】
【第3図】
【第4図】
【第6図】
【第5図】
【第9図】
【第7図】
【第8図】
【第2図】
【第3図】
【第4図】
【第6図】
【第5図】
【第9図】
【第7図】
【第8図】
【特許番号】第2956151号
【登録日】平成11年(1999)7月23日
【発行日】平成11年(1999)10月4日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平2−188664
【出願日】平成2年(1990)7月16日
【公開番号】特開平4−74283
【公開日】平成4年(1992)3月9日
【審査請求日】平成7年(1995)5月8日
【出願人】(999999999)東洋紡績株式会社
【参考文献】
【文献】特開 昭61−260769(JP,A)
【文献】特開 昭63−93080(JP,A)
【文献】特開 昭63−308471(JP,A)
【登録日】平成11年(1999)7月23日
【発行日】平成11年(1999)10月4日
【国際特許分類】
【出願日】平成2年(1990)7月16日
【公開番号】特開平4−74283
【公開日】平成4年(1992)3月9日
【審査請求日】平成7年(1995)5月8日
【出願人】(999999999)東洋紡績株式会社
【参考文献】
【文献】特開 昭61−260769(JP,A)
【文献】特開 昭63−93080(JP,A)
【文献】特開 昭63−308471(JP,A)
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