説明

画像処理装置、その制御方法、及びプログラム

【課題】装置のスイッチを介した電源OFF操作時において次回の起動処理を軽減するために一部の負荷に対しては通電を維持する一方で、遠隔操作による電源OFF操作時においては全ての負荷への電力供給を停止する画像処理装置、その制御方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】本画像処理装置は、例えば、シャットダウン動作の指示をネットワークを介して外部装置から受信した場合は、画像処理装置を電源OFF状態へ移行させ、シャットダウン動作の指示をシャットダウンスイッチの押下により受け付けた場合は、画像処理装置をクイックOFF状態へ移行させる。
を備える

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源を遠隔管理することが可能な画像処理装置、その制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
多数の画像処理装置をネットワークに接続して運用している環境においては、これらの画像処理装置の電源管理を集中的に行う方法が必要となる。例えば、企業が長期休暇に入る前に、事前に全ての画像処理装置の電源をOFFにしておきたいというような場面がある。また、予め停電が想定されている場合に管理者が予め全ての画像処理装置の電源をOFFにしておくというようなニーズも存在する。一方、従来からネットワークに接続された複数台の画像処理装置を管理者がネットワークを通じて遠隔操作でシャットダウン可能とする技術が知られていた。例えば、特許文献1には、ネットワークに接続された全ての又は一部の画像形成装置の電源情報を管理するとともに、それぞれの画像形成装置の電源ON/OFFを設定可能にして各画像形成装置の使用状況を統一的に管理することが提案されています。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−216118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には以下に記載する問題がある。近年の画像処理装置は多機能化などのためユーザが電源スイッチを操作してから実際に操作できるようになるまでの時間が長くなる傾向がある。要因の1つは、画像処理装置を制御するコントローラを動作させるためのソフトウェアが、多機能化に伴って大規模化しているためである。これに対し、ユーザが電源OFF操作をした際に実際には装置全体の電源をOFFせず、メモリを含むコントローラの一部に通電したままの一種の待機状態にしておく手法がある。これにより、次回の電源ON操作の際にはメモリの内容を用いて短時間で画像処理装置を操作可能な状態にすることができる。
【0005】
しかし、上記手法を用いた画像処理装置に対して、従来の遠隔シャットダウン技術を組み合わせると、管理者が電源OFFを望む場合であっても上記待機状態に移行する問題が発生してしまう。この待機状態ではコントローラの一部が通電状態であるため、画像処理装置が完全に電源OFFとなっているわけではない。こうした完全に電源OFFでない状態で停電などが発生すると、画像処理装置の故障の原因となる可能性があるため、遠隔シャットダウンの動作としては望ましくない。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであり、装置のスイッチを介した電源OFF操作時において次回の起動処理を軽減するために一部の負荷に対しては通電を維持する一方で、遠隔操作による電源OFF操作時においては全ての負荷への電力供給を停止する画像処理装置、その制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シャットダウン動作として、全ての負荷への電力供給を停止する第1状態へ移行する動作と、一部の負荷のみへの電力供給を停止する第2状態へ移行する動作とを実行可能な画像処理装置であって、前記シャットダウン動作の指示を、ネットワークを介して外部装置から受信したか、前記画像処理装置に設けられたシャットダウンスイッチの押下により受け付けたかを判定する判定手段と、前記判定手段によって前記シャットダウン動作の指示を前記ネットワークを介して外部装置から受信したと判定されると、前記画像処理装置を前記第1状態へ移行させ、前記判定手段によって前記シャットダウン動作の指示を前記シャットダウンスイッチの押下により受け付けたと判定されると、前記画像処理装置を前記第2状態へ移行させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、装置のスイッチを介した電源OFF操作時において次回の起動処理を軽減するために一部の負荷に対しては通電を維持する一方で、遠隔操作による電源OFF操作時においては全ての負荷への電力供給を停止する画像処理装置、その制御方法、及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る画像処理装置の構成例を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係るコントローラの回路構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る画像処理装置の電源構成の一例を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る画像処理装置におけるシャットダウン時の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施形態に係る画像処理装置における起動時の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態に係る電源監視H/Wの構成例を示すブロック図である。
【図7】第1の実施形態に係るシャットダウン時の移行先状態を決定する処理手順を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施形態に係るシャットダウン時の移行先状態を決定する処理手順を示すフローチャートである。
【図9】第3の実施形態に係るシャットダウン時の移行先状態を決定する処理手順を示すフローチャートである。
【図10】第4の実施形態に係るシャットダウン時の移行先状態を決定する処理手順を示すフローチャートである。
【図11】第5の実施形態に係るシャットダウン時の移行先状態を決定する処理手順を示すフローチャートである。
【図12】第6の実施形態に係るシャットダウン時の移行先状態を決定する処理手順を示すフローチャートである。
【図13】第7の実施形態に係るシャットダウン時の移行先状態を決定する処理手順を示すフローチャートである。
【図14】第8の実施形態に係るシャットダウン時の移行先状態を決定する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0011】
<第1の実施形態>
<画像処理装置の構成>
以下では、図1乃至図7を参照して、第1の実施形態について説明する。まず、図1を参照して、本実施形態に係る画像処理装置1の構成例について説明する。画像処理装置1は、スキャナ装置2、コントローラ3、プリンタ装置4、操作部5、ハードディスク6、及びFAX装置7を備える。スキャナ装置2は、原稿から光学的に画像を読み取りデジタル画像に変換する。スキャナ装置2は、自動的に原稿束を自動的に逐次入れ替えることが可能な原稿給紙ユニット21と、原稿を光学スキャンしデジタル画像に変換するスキャナユニット22とを備え、変換された画像データをコントローラ3に送信する。プリンタ装置4は、デジタル画像を紙媒体に出力する。プリンタ装置4は、紙束から一枚ずつ逐次給紙可能な給紙ユニット42と、給紙した紙に画像データを印刷するためのマーキングユニット41と、印刷後の紙を排紙するための排紙ユニット43とを備える。
【0012】
操作部5は、画像処理装置1の操作を行なうためのインタフェースである。操作部5は、ユーザが画像処理装置1に画像複写等の動作を指示したり、画像処理装置1の各種情報をユーザに提示したりするための、不図示の操作ボタン及び表示パネルを備える。ハードディスク6は、デジタル画像や制御プログラム等を記憶する。FAX装置7は、電話回線等にデジタル画像を送信する。コントローラ3は、各モジュールと接続され、各モジュールに指示を出すことにより画像処理装置1上でジョブを実行することが可能である。画像処理装置1は、LAN8を経由して、コンピュータ9からデジタル画像の入力、コンピュータ9へのデジタル画像の出力、ジョブの発行や電源の管理を含む機器の指示等を行なうことが可能である。
【0013】
画像処理装置1は多彩なジョブを実行可能である。一例を以下に記載する。
・複写機能
スキャナ装置2から読み込んだ画像をハードディスク装置6に記録し、同時にプリンタ装置4を使用して印刷を行なう。
・画像送信機能
スキャナ装置2から読み込んだ画像を、LAN8を介してコンピュータ9に送信する。
・画像保存機能
スキャナ装置2から読み込んだ画像をハードディスク装置6に記録し、必要に応じて画像送信や画像印刷を行なう
・画像印刷機能
コンピュータ9から送信された例えばページ記述言語を解析し、プリンタ装置4を使用して印刷を行う。
【0014】
<コントローラの回路構成>
次に、図2を参照して、コントローラ3の回路構成について説明する。本図を用いて本発明を具体的に適用するモジュールであるコントローラ3について述べる。
【0015】
コントローラ3は、メインボード200と、サブボード220とを備える。メインボード200は、いわゆる汎用的なCPUシステムであり、CPU201、ブートロム202、メモリ203、バスコントローラ204、不揮発性メモリ205、ディスクコントローラ206、フラッシュディスク207、USBコントローラ208、及びネットワークインタフェース210を備える。CPU201は、ボード全体を制御する。ブートロム202には、BIOSと呼ばれるブートプログラムが含まれる。メモリ203は、CPU201によってワークメモリとして使用される。また、バスコントローラ204は、外部バスとのブリッジ機能を持つ。不揮発性メモリ205には、電源断された場合でも消えない情報が保持される。ディスクコントローラ206は、ストレージ装置を制御する。フラッシュディスク(SSD等)207は、半導体デバイスで構成された比較的小容量なストレージ装置である。USBコントローラ208は、USBを制御する。フラッシュディスク207には、CPU201で実行されるオペレーティングシステム(OS)やファームウェアなどの実行可能プログラムが格納される。また、メインボード200には、外部に、USBメモリ209、操作部5、ハードディスク装置6等が接続される。また、ネットワークインタフェース210を介してLAN8が接続される。
【0016】
サブボード220は、CPU221、メモリ223、バスコントローラ224、不揮発性メモリ225、画像処理部227、デバイスコントローラ228、及びデバイスコントローラ229を備える。このように、サブボード220は、比較的小さな汎用CPUシステムと、画像処理ハードウェアから構成される。CPU221は、ボード全体を制御する。メモリ223は、CPU221によってワークメモリとして使用される。バスコントローラ224は、外部バスとのブリッジ機能を持つ。不揮発性メモリ225は、電源断された場合でもデータが消えないメモリである。画像処理部227とデバイスコントローラ228、229は、リアルタイムデジタル画像処理を行なうためのブロックである。スキャナ装置2とプリンタ装置4とは、デバイスコントローラ228、229を介してデジタル画像データの受け渡しを行なう。FAX装置7はCPU221が直接制御を行なう。
【0017】
なお、本図はブロック図であり簡略化している。例えばCPU201、CPU221等にはチップセット、バスブリッジ、クロックジェネレータ等のCPU周辺ハードウェアが多数含まれているが、説明を簡略化するため省略している。つまり、図示するブロック構成に本発明が限定されることを意図していない。
【0018】
<コントローラ3の動作>
ここで、コントローラ3の動作について、紙媒体を用いた画像複写を例に説明する。ユーザが操作部5から画像複写を指示すると、CPU201がCPU221を介してスキャナ装置2に画像読取命令を送る。スキャナ装置2は、紙原稿を光学スキャンしデジタル画像データに変換して、デバイスコントローラ228を介して画像処理部227に当該デジタル画像データを入力する。画像処理部227は、CPU221を介してメモリ223にDMA転送を行いデジタル画像データの一時保存を行なう。
【0019】
その後、CPU201はデジタル画像データがメモリ223に一定量又は全て入力されたことが確認できると、CPU221を介してプリンタ装置4に画像出力指示を出す。CPU221は、画像処理部227にメモリ223の画像データの位置を通知し、プリンタ装置4からの同期信号に従ってメモリ223上の画像データを画像処理部227及びデバイスコントローラ228を介してプリンタ装置4に送信する。これにより、プリンタ装置4にて紙媒体にデジタル画像データに対応する画像が印刷される。なお、複数部の印刷を行なう場合、CPU201がメモリ223の画像データをハードディスク6に保存し、2部目以降はスキャナ装置2から画像を取得せずともプリンタ装置4に画像を送ることが可能である。
【0020】
<電源構成>
次に、図3を参照して、画像処理装置1における電源と電源スイッチ(シャットダウンスイッチ)の構成について説明する。301はトグル型スイッチである。302は電源ユニットである。303はAC−DCコンバータである。304はAC電源入力部である。305はプリンタ装置4に対してDC電源を供給する電源ケーブルである。306はコントローラ3に対して電源を供給する電源ケーブルである。307はトグル型スイッチ301の状態をコントローラ3に通知するラインである。308はAC−DCコンバータの出力を制御することの可能な電源リモート信号である。
【0021】
ユーザはトグル型スイッチ301を操作することで装置をON/OFFすることが可能である。このスイッチはON時にAC−DCコンバータに接続されており電源の通電状態を制御することができる。また、OFF時はコントローラ3がシステムのシャットダウンが完了するまで306の電源供給を停止してはならない。つまり、307のラインを介して電源スイッチ301の状態を通知し、シャットダウンが完了後に307の電源リモート信号を用いてDC電源供給306をOFFにするようになっている。
【0022】
これらの説明はシャットダウンが必要な一般的な機器が持っている電源構成となる。301トグル型スイッチはON/OFFの状態のどちらか一方の状態をメカ的に保持し続けるスイッチである。ユーザはON/OFFのいずれか側に倒すことで状態を入力することができる。本実施形態ではOFF/ONが明示的なトグル型スイッチを用いているが、パーソナルコンピュータ等では状態を持たない電源スイッチ(電源スイッチ自体が省電力移行スイッチとして機能するもの等も含む)を採用しているものが多数ある。これらの状態を持たないスイッチは、装置電源が入っている状態では「OFF/省電力状態移行指示」として機能し、装置電源が入っていない状態においては「ON」と機能する。また、一定時間以上スイッチを押下し続けることで「強制OFF」を入力する、等の制御パターンがある。本発明はトグル型スイッチに限定するものではなく、状態を持たないスイッチに適用する場合、上記装置電源のON/OFFのパターンにトグルスイッチのON/OFFを当てはめればよい。
【0023】
図6は、本実施形態におけるコントローラ3の電源制御・リセット回路回りに注目したブロック図を示す。601はメインボード200上のリセット回路である。602はメインボード200上のH/W(負荷)の基本的な部分を制御するBIOSである。603は画像処理装置1の電源制御を監視する専用H/Wロジックである。ASIC等の場合、小さなCPUシステム等でもよい。604はサブボード220上のリセット回路である。605はメインボード200上におけるH/W群(負荷)を示す。607はサブボード220上におけるH/W群を示す。606はH/Wリセット等によって状態のリセットされることのない不揮発レジスタである。
【0024】
同期型のH/Wはリセットにより内部状態がリセットされるため、同期型で組まれたH/W回路では、電源ON後の電力が各チップに供給された後にリセット回路が各H/Wをリセットする必要がある。複数のH/Wチップは主従関係を持つため、リセットシーケンスを設計し、順次リセットを掛けていくことになる。そのため一般的には本実施形態のように1つのボードに1つのリセット回路を持ち、各々のボード内のリセット動作を各リセット回路が行う。
【0025】
メインボード200のシステムは特に本画像処理装置1で主となるボードであり、電源監視H/W603を有する。これは307からの電源スイッチの状態を入力する。308電源リモート線を用いてメインボード200における電源供給を制御することができる。CPU201が正常に動作できる場合、CPU201の指示に従いシステムにリセットを掛けることが可能である。また、CPU201に電源が供給されていない状態では307からの電源スイッチの入力である電源リモート信号308を制御してコントローラ3の電源を投入したりすることができる。
【0026】
不揮発レジスタ606はCPU201から読み書きすることが可能である。BIOS602は低レベルのH/W制御ライブラリ等が含まれているものである。一般的にはIBM互換機の互換性確保のためのものであり、いわゆるコンピュータシステム上必須ではないが、例えばACPI規格による省電力機能の一部を実行することも可能である。本実施形態のコントローラ3は、パーソナルコンピュータなどで省電力技術として一般的に用いられているACPI−S3(メモリレジューム)の機能を備える。BIOS602はその機能の一部のためだけに記載したものである。
【0027】
以上のH/W構成を備える画像処理装置1において、例えばユーザがトグル型電源スイッチ301をOFFにするとCPU201は307の経路と電源監視H/W603を介して電源スイッチの状態を受け取ることが可能である。つまり、通常CPU201は電源OFFを検知してシャットダウンシーケンスを動作させ、電源監視H/W603にシャットダウン指示を行う。結果、電源リモート信号308を介してDC−ACコンバータ303に電源OFFが通知され、コントローラ3のDC電源供給源306をOFFにすることで本システムは完全にシャットダウンされる。
【0028】
また、本実施形態における画像処理装置1はLAN8を介して、コンピュータ9から遠隔的にシャットダウンを行うことも可能である。CPU201はネットワークインタフェース210にシャットダウン指示を受信したことを検出し、電源監視H/W603にシャットダウン指示を行って本システムをシャットダウンする。LAN8を介したシャットダウン指示にはUDP(User Datagram Protocol)と呼ばれる通信プロトコルを用いる。UDPパケットのペイロード部に決められたデータ列が格納されている時、当該パケットがシャットダウン指示であるとみなされる。これらのシャットダウンはCPU201上のプログラムも完全に終了するため、次回電源スイッチ301をONにした際、CPU201のプログラムは通常通り起動することになる。
【0029】
<ACPI−S3サスペンド方式>
次に、本実施形態におけるACPI−S3サスペンド方式の動作について説明する。CPU201は、例えばOSの省電力I/Fをコールすることで、最終的にBIOS602と電源監視H/W603が持っている機能であるACPI−S3省電力状態に遷移する。CPU201は、電源リモート308を介して電源ユニット302に対してACPI−S3省電力状態へと遷移させることが可能である。ACPI−S3省電力状態では、メモリ203と一部のH/W(負荷)のみが通電状態となる。
【0030】
この時システムとしては電源OFFの状態ではなくメモリにプログラム状態を保持した「一時中断状態」となっており、所定の外部要因によりサスペンド状態が解除されると短時間でプログラムの実行を再開することができる。本発明の画像処理装置1は、ユーザが電源スイッチ301をONにしてから実際にコピー等の動作が可能になるまでの待ち時間を短縮するため、電源スイッチ301のOFF時にメモリ等の一部分を通電状態としたまま待機する機能を備えている。説明上の区別のため、以下では、通常の電源がOFFとなっている状態を「電源OFF状態(第1状態)」、上記機能により待機している状態を「クイックOFF状態(第2状態)」と称する。
【0031】
本実施形態による画像処理装置1はユーザがシャットダウン操作を行った場合に電源OFF状態に移行するかクイックOFF状態に移行するかを有効フラグ(第1フラグ)を設定することにより選択可能に構成される。当該設定は、CPU201が、第1設定手段として機能し、ユーザ入力等に基づいて予め設定することにより実現される。ユーザは操作部5を通じて所定の操作を行うことにより、クイックOFF状態を有効にするかどうかを設定しておくことができる。クイックOFF状態が有効な設定になっていない場合、画像処理装置1は常に電源OFF状態に移行する。
【0032】
<シャットダウン動作>
次に、図4を参照して、本実施形態に係る画像処理装置1のシャットダウン動作について説明する。なお、以下で説明する処理は、メインボード200のCPU201がメモリ203に格納された制御プログラムを読み出して実行することによって実現される。図4のフローチャートは、ユーザによって画像処理装置1を終了させるときの動作である。つまり、電源スイッチ301がOFFされるか、又は、ネットワークインタフェース210においてシャットダウン指示を受信したことを検知するとCPU201はこのフローを実行する。シーケンス後にクイックOFF状態と電源OFF状態のどちらの状態に遷移すべきかについては、予め操作部5を通じて設定されているものとする。
【0033】
まず、S401において、メインボード200のCPU201は、シャットダウン動作を開始すると、操作部5上にシャットダウン中の画面を表示する。続いて、S402において、CPU201は、現在行っているサービス等の中断・終了処理を行う。終了処理は複数のプロセスで平行に実行されているため、S403で終了完了を待つ。S403で全ての終了処理が完了したと判定するとS404に進む。
【0034】
S404において、CPU201は、メモリの値をストレージにシンクする(同期させる)。例えばメモリ上にキャッシュしたストレージバッファをストレージに同期する等の処理が該当する。続いて、S405において、CPU201は、電源OFF状態へ移行するか、クイックOFF状態へ移行するかを判定する。電源OFF状態への移行と判定した場合には、続くS406の動作をスキップしてS407に進む。一方、クイックOFF状態へ移行すると判定するとS406に進む。
【0035】
ここで、図7を参照して、S405での判定処理の詳細について説明する。S701において、CPU201は、シャットダウン動作開始のトリガがLAN8を介したシャットダウン指示の受信であったかどうかを判定する。そうであった場合、CPU201は、電源OFF状態への移行と判定する。そうでない場合、つまり電源スイッチ301のOFFによるシャットダウンの場合はS702において、CPU201は、クイックOFF状態が有効な設定(第1フラグ)になっているかを判定する。有効である場合、CPU201はクイックOFF状態への移行と判定し、有効でない場合は電源OFF状態への移行と判定する。
【0036】
図4の説明に戻る。S406において、CPU201は、クイックOFF状態へ移行するため、起動準備リブートフラグを設定し、S407に進む。具体的には、CPU201は、不揮発レジスタ606に起動準備リブートフラグをセットする。不揮発レジスタ606の保持する内容はコントローラ3がリセットされてもリセットされることはない。起動準備リブートフラグとは、シャットダウン後に再び画像処理装置1を起動させる起動時間を低減するために、シャットダウン時に次回の起動準備としてリブート処理を実行することを許可するためのフラグである。
【0037】
続いて、S407において、CPU201は、OSのシャットダウンI/Fを呼び、OSのソフトウェア最終終了処理を行う。その後、S408において、CPU201は、S405での判定に基づいて電源OFF状態への移行かどうかで処理を切り替える。クイックOFF状態(第2状態)へ移行する場合にはS409へ進み、電源OFF状態(第1状態)へ移行する場合はS410へ進む。
【0038】
S409において、CPU201は、電源監視H/W603に対してシステムリブート要求を発行する。電源監視H/W603はリセット回路601に対してシステム全体リセットを発行する。リセット回路601は、サブボード220上のリセット回路604に通知し、これによりボード全体にリセットが発行される。このリセットはリブート要求であるため、CPU201もリセットがかかり、CPU201はリセット例外発行により例えばBIOS602からのブート処理を行う。つまり、クイックOFF状態へ移行する場合は、シャットダウンが指示されたにも関わらず、電源を落とすのではなくリブートすることになる。従ってシャットダウンシーケンスは図5のブートシーケンスにつながることになる。一方、S410では、CPU201は、電源監視H/W603にシャットダウン指示を行う。リモート信号308を介してDC−ACコンバータ303に電源OFFが通知され、コントローラ3のDC電源供給源306をOFFにすることで画像処理装置1は電源OFF状態となる。
【0039】
<ブート動作>
次に、図5を参照して、本実施形態における画像処理装置1のブートシーケンスについて説明する。ブート方法はシステムにより多段階的に起動するものであるが、非常に難しい部分であるため、CPU201が行う処理の概念をフロー化して説明する。なお、以下で説明する処理は、メインボード200のCPU201がメモリ203に格納された制御プログラムを読み出して実行することによって実現される。CPU201は電源OFF状態からユーザが電源スイッチ301をONにした場合、または先述のリセット回路601によりシステム全体がリセットされた場合に図5のシーケンスの実行を開始する。
【0040】
まず、S501において、CPU201は、動作を開始すると、H/Wを初期化する。H/Wの初期化ではレジスタや割り込みの初期化、カーネル起動部においては対応したデバイスドライバの登録等が行われる。続いて、S502において、CPU201は、図4のS406で設定した起動準備リブートフラグがセットされているか否かを判定し、このフラグが設定されているときにはS503をスキップさせて、S504に進む。一方、当該フラグが設定されていないときはS503に進み、CPU201は、操作部5の初期化・表示を行い、S504に進む。例えば、最初の表示であるため「起動しています」の旨の表示を行う。つまり、起動準備リブートフラグが立っているときは操作部5に特に表示しない状態で初期化を継続させる。
【0041】
S504において、CPU201は、ソフトウェアレイヤの初期化を実行する。具体的には、CPU201は、各ライブラリの初期化ルーチンを呼び、S505で第1の各プロセス・スレッド群を起動する。主にこの起動は周辺H/Wに影響のない純粋なソフトウェアサービス等が適切である。理由については後述する。
【0042】
次に、S506において、CPU201は、S502でも参照した起動準備リブートフラグを参照する。当該フラグが設定されていない場合は通常起動であるためS512に進む。当該フラグが設定されている場合は今回のブートが起動準備のための起動であるため、S507に進み、CPU201は、S505の処理の完了を待つ。起動準備リブートフラグが設定されている状態で本シーケンスを通っている場合、操作部5における表示は行われておらず起動途中であるが、S508において、CPU201は、起動準備リブートフラグをクリアする。その後、S509において、CPU201は、ACPI−S3のサスペンドに移行する。本H/WにおいてACPI−S3に入る方法は上述してあるためここでは省略する。
【0043】
この状態で起動は一旦停止し、本実施形態の画像処理装置1はクイックOFF状態となる。この時、電源の通電はメインボード200上のメモリ203と、電源監視H/W603だけになり数Wの電力しか消費しない。クイックOFF状態ではプリンタ装置4及びスキャナ装置2だけでなくFAX装置7やネットワークインタフェース210にも通電されない。このように、シャットダウンの際にシャットダウン後電源を落とさずにリブートを行い、次回起動時に操作表示部を表示せずに起動途中で省電力状態に入るのが本発明において特徴的な1つのシーケンスである。ユーザはリブートしたのではなくシャットダウンが通常よりも長く継続しているように見えるため、違和感を少なくできる。
【0044】
クイックOFF状態からユーザが本体を使用する場合は電源スイッチ301をONにする。すると307の経路より電源監視H/W603は電源ONを検知し、308の経路より電源装置302に「スイッチONによる全装置ON」を通知する。電源装置302はシステム全体に電源ON時に応じた電力供給、具体的にはコントローラ3、プリンタ装置4、スキャナ装置2に各DC電源供給径路を介して通電する。
【0045】
S510において、CPU201は、電源スイッチ301のONによりACPI−S3を解除するか否かを判定する。解除する場合はメモリに保持されていたACPI−S3移行直前のプログラム実行状態から実行を再開し、S511に進む。S511において、CPU201は、操作部5を初期化・表示し、S512に進む。これにより操作部5上の表示は「起動しています」状態となる。
【0046】
次に、S512において、CPU201は、第2のプロセス・スレッド群を起動する。これらのプログラムは主に周辺装置、例えばプリンタ装置4やスキャナ装置2と起動のためのコミュニケーションを行うためにS505のACPI−S3サスペンド状態前では起動されていないもののみを起動する。続いて、S513において、CPU201は、プリンタ装置4、スキャナ装置2とネゴシエーションを行い、通信を確立し、S514のアイドル状態へ移行する。
【0047】
このように、電源OFF状態から電源スイッチ301をONにすることと比較して、クイックOFF状態からONした場合では図5のS501乃至S505の処理にあたる部分の待ち時間が無くなる。このため、ユーザが電源スイッチ301をONにしてから実際にコピー動作等を実行できるまでの待ち時間を大幅に短縮することができる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態で説明した画像処理装置によれば、ネットワークを介したシャットダウン指示の場合には常に電源OFF状態に移行するように制御することにより、停電等の状態が発生しても安全な状態になることを保証できる。一方で、ユーザが本体スイッチを操作してシャットダウンした場合にはクイックOFF状態に移行するため、次にスイッチをONにする操作をしてから実際に画像処理装置を使用できるまでの時間を短縮することができる。このように、本実施形態に係る画像処理装置は、ユーザが直接電源スイッチを操作したか、又は、ネットワークを介してシャットダウン指示を受信したかによって、電源OFF状態へ移行するか、クイックOFF状態へ移行するかを切り替える。なお、本実施形態ではLAN8を介したシャットダウン指示にはUDPパケットを用いるものとしたが、この構成はあくまで一例であって、この構成に限定されるものではない。例えば、コンピュータ9との通信はTCP(Transmission Control Protocol)でもよく、例えばシャットダウン指示にSOAPを用いるような構成であっても本発明を適用することが可能である。
【0049】
<第2の実施形態>
次に、図8を参照して、第2の実施形態について説明する。上記第1の実施形態においてはネットワークを介したシャットダウン指示の場合には、常に電源OFF状態となる構成としたが、設置環境によっては電源OFF状態とクイックOFF状態を使い分けたいというニーズも存在する。そこで、本実施形態では、ネットワークを介して一時的にクイックOFF状態の有効設定を無効とする指示を受け付ける構成について説明する。なお、以下では、上記実施形態と異なる構成及び技術についてのみ説明し、同一の構成及び技術については説明を省略する。本実施形態では、画像処理装置1は、第1の実施形態で説明したシャットダウン指示に加えてクイックOFF状態を一時的に無効にする無効指示を受け付けるように構成される。シャットダウン指示と無効指示とはUDPパケットのペイロード部のデータ列によって区別される。
【0050】
まず、図8のフローチャート810について説明する。フローチャート810は、ネットワークインタフェース210でこれらの指示を受信した際のCPU201の動作手順を示す。S804において、CPU201は、受信した指示がシャットダウン指示であるか否かを判定する。シャットダウン指示である場合はCPU201は画像処理装置1のシャットダウン動作を開始する。一方、シャットダウン指示でない場合はS805に進み、CPU201は、受信した指示が上記無効指示であるか否かを判定する。無効指示であった場合にはS806に進み、CPU201は、第2設定手段として機能し、クイックOFF状態を一時的に無効にする無効フラグ(第2フラグ)を設定する。一方、そうでなかった場合には何もせず処理を終了する。
【0051】
続いて、図8のフローチャート800を参照して、シャットダウン処理におけるCPU201の移行先状態の判定処理について説明する。S801において、CPU201は、ネットワークを介したシャットダウン指示を受け付けたか否かを判定する。そうであればS802へ進み、そうでなければS803へ進む。S802において、CPU201は、クイックOFF状態の一時的な無効フラグが設定されているか否かを判定する。設定されていれば電源OFF状態への移行と判定する。一方、設定されていなればS803へ進む。S803において、CPU201は、クイックOFF状態の有効が設定されてるか否かを判定する。設定されていればCPU201はクイックOFF状態への移行と判定する。一方、設定されていなれば、CPU201は、電源OFF状態への移行と判定する。
【0052】
以上説明したように、本実施形態で説明した画像処理装置によれば、ネットワークを介してクイックOFF状態を一時的に無効する無効指示を設定することができる。したがって、本画像処理装置によれば、ネットワークを介したシャットダウン指示であって、かつ、無効指示が設定されている場合には、電源OFF状態へ移行する。一方、ネットワークを介したシャットダウン指示であっても、無効指示が設定されていなければ、クイックOFF状態の有効設定の状況に従って画像処理装置を完全に電源OFF状態にするか否かを決定する。
【0053】
<第3の実施形態>
次に、図9を参照して、第3の実施形態について説明する。上記第2の実施形態では、電源OFF状態とクイックOFF状態とを使い分けるために、シャットダウン指示の前にクイックOFF状態の一時的な無効指示を受信していた場合に電源OFF状態へ移行する構成とした。しかし、クイックOFF状態の一時的な無効指示とシャットダウン指示との2回の指示を用いず、1回の指示によって電源OFF状態とクイックOFF状態とを使い分ける構成とすることも可能である。そこで、本実施形態では、シャットダウン指示として、クイックOFF状態へ移行させるための通常シャットダウン指示と、強制的に電源OFF状態へ移行させる強制シャットダウン指示との2種類を設け、どちらか1回の指示により電源OFF状態とクイックOFF状態とを使い分ける構成とする。本実施形態では、画像処理装置1はLAN8を介して受信する指示に、通常シャットダウン指示及び強制シャットダウン指示の2種類を受け付けるように構成される。通常シャットダウン指示と強制シャットダウン指示とはUDPパケットのペイロード部のデータ列によって区別される。これらの2種類の指示のどちらかを受信した場合、CPU201は、ネットワークを介したシャットダウン指示とみなしてシャットダウン処理を開始する。図9は、シャットダウン処理におけるCPU201の移行先状態の判定処理を示す。
【0054】
S901において、CPU201は、ネットワークを介したシャットダウン指示であるか否かを判定する。そうであればS902へ進み、そうでなければS903へ進む。S902において、ネットワークを介して受信したのが強制シャットダウン指示であった場合には電源OFF状態への移行と判定する。一方、そうでない場合、つまり通常シャットダウン指示である場合にはS903へ進み、CPU201は、クイックOFF状態の有効が設定されているか否かを判定する。設定されていればCPU201はクイックOFF状態への移行と判定する。一方、設定されていなればCPU201は電源OFF状態への移行と判定する。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の画像処理装置によれば、ネットワークを介したシャットダウン指示において、強制シャットダウン指示を用いることにより、1回の指示で画像処理装置を電源OFF状態とすることができる。また、通常シャットダウン指示を用いることにより、1回の指示で画像処理装置を設定に従って一部通電状態又は電源OFF状態のどちらかの状態にすることができる。
【0056】
<第4の実施形態>
次に、図10を参照して、第4の実施形態について説明する。上記第3の実施形態では、1回の指示により電源OFF状態とクイックOFF状態を使い分けるために通常シャットダウン指示及び強制シャットダウン指示の2種類の指示を設け、通常シャットダウン指示では画像処理装置での設定に従う構成としていた。しかしながら、ネットワークを介した指示である場合には画像処理装置での設定に従わず、常に明示された電源OFF状態又はクイックOFF状態のどちらかの状態に移行する構成とすることも可能である。そこで、本実施形態では、上記第3の実施形態とは異なり、通常シャットダウン指示を受信した場合には常にクイックOFF状態へ移行する構成とする。図10は、シャットダウン処理におけるCPU201の移行先状態の判定処理を示す。
【0057】
S1001において、CPU201は、ネットワークを介したシャットダウン指示であるか否かを判定する。そうであればS1002へ進み、そうでなければS1003へ進む。S1002において、ネットワークを介して受信したのが強制シャットダウン指示であった場合には電源OFF状態への移行と判定する。一方、そうでない場合、つまり通常シャットダウン指示であった場合には、上記第3の実施形態とは異なり、クイックOFF状態への移行と判定する。S1003において、CPU201は、クイックOFF状態の有効が設定されているか否かを判定する。設定されている場合はCPU201はクイックOFF状態への移行と判定する。一方、設定されていなかった場合には電源OFF状態への移行と判定する。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の画像処理装置によれば、強制シャットダウン指示を用いることにより、1回の指示で画像処理装置を電源OFF状態とすることができる。また、通常シャットダウン指示を用いることにより、1回の指示で画像処理装置を一部通電状態であるクイックOFF状態とすることができる。
【0059】
<第5の実施形態>
次に、図11を参照して、第5の実施形態について説明する。上記第2乃至第4の実施形態では、電源OFF状態とクイックOFF状態を使い分けるために、ネットワークを通じて少なくとも2種類の指示を受信する構成としていた。しかしながら、設置環境によってはクイックOFF状態に移行する機能を持たず、シャットダウン指示によって電源OFF状態となる機能のみを有する画像処理装置も存在する混在環境である可能性もある。こうしたクイックOFF状態に移行する機能を有していない画像処理装置は1種類のシャットダウン指示のみを受け付けることができる。このような混在環境の場合、第2乃至第4の実施形態の構成ではシャットダウン指示を送信するコンピュータはクイックOFF状態に移行する機能を有する画像処理装置と有していない画像処理装置の両方に対応している必要がある。しかしながら、クイックOFF状態に移行する機能を有していない画像処理装置のみに対応したコンピュータを用いて、クイックOFF状態に移行する機能を有する画像処理装置の電源OFF状態とクイックOFF状態を使い分ける構成も可能である。そこで、本実施形態では、1種類のシャットダウン指示のみを用いて電源OFF状態とクイックOFF状態とを使い分ける構成について説明する。本実施形態における画像処理装置1は、LAN8を介して一定時間の間に所定回数を超えてシャットダウン指示を受信した場合に電源OFF状態へ移行し、それ以外の場合はクイックOFF状態へ移行するように構成される。
【0060】
まず、図11のフローチャート1120を参照して、CPU201がネットワークインタフェース210の受信パケットを監視する際の動作について説明する。S1104において、CPU201は、ネットワークインタフェース210にUDPパケットが到着していないかを調べ、到着していれば受信処理を行う。続いて、S1105において、CPU201は、最初のシャットダウン指示を受信してからの経過時間が所定時間を超えているか否かを判定する。最初のシャットダウン指示を受信してからの経過時間を計時中であり、かつ経過時間が所定時間を超えていればCPU201はシャットダウン処理を開始する。そうでない場合はS1106へ進む。
【0061】
S1106において、CPU201は、ネットワークインタフェース210でシャットダウン指示を受信したか否かを判定する。受信していなければS1104へ戻って、これまでの処理を繰り返す。シャットダウン指示を受信していれば1107へ進む。S1107において、CPU201は、1回目のシャットダウン指示の受信であるかどうかを判定する。1回目である場合にはS1108に進み、最初のシャットダウン指示を受信してからの経過時間の計時を開始してS1104へ戻る。1回目でない場合にはS1109へ進む。
【0062】
S1109において、CPU201は、シャットダウン指示の受信回数が所定回数に達しているかどうかを判定する。達していない場合にはS1104に戻る。所定回数のシャットダウン指示を受信していればS1110に進み、CPU201は、第3設定手段として機能し、強制電源OFFフラグ(第3フラグ)を設定してシャットダウン処理を開始する。
【0063】
続いて、図11のフローチャート1100を参照して、シャットダウン処理におけるCPU201の移行先状態の判定処理について説明する。S1101において、CPU201は、ネットワークを介したシャットダウン指示であるか否かを判定する。そうであればS1102へ進み、そうでなければS1103へ進む。S1102において、CPU201は、強制電源OFFフラグが設定されていれば、電源OFF状態への移行と判定する。一方、そうでない場合にはクイックOFF状態への移行と判定する。S1103において、CPU201は、クイックOFF状態の有効設定がされているか否かを判定する。設定されていればCPU201はクイックOFF状態への移行と判定する。一方、設定されていなければ電源OFF状態への移行と判定する。
【0064】
上記のような構成においてコンピュータ9は、全ての画像処理装置を電源OFF状態としたい場合には、全ての画像処理装置に対して少なくとも規定回数以上のシャットダウン指示を送信する。画像処理装置がクイックOFF状態に移行する機能を備えていた場合は、規定回数目のシャットダウン指示の受信により、電源OFF状態へ移行する。また、クイックOFF状態に移行する機能を備えない画像処理装置の場合は1回目のシャットダウン指示の受信により電源OFF状態へ移行する。一方、可能ならばクイックOFF状態へ移行させたい場合には、コンピュータ9は全ての画像処理装置にシャットダウン指示を1回送信する。
【0065】
以上説明したように、本実施形態で説明した画像処理装置によれば、1種類のシャットダウン指示のみを用いてクイックOFF状態に移行する機能を有する画像処理装置の電源OFF状態とクイックOFF状態を使い分けることができる。また、クイックOFF状態に移行する機能を有していない画像処理装置のみに対応したコンピュータを用いて、画像処理装置の混在環境で全ての画像処理装置を電源OFF状態へ移行させることができる。
【0066】
<第6の実施形態>
次に、図12を参照して、第6の実施形態について説明する。これまでの実施形態では、画像処理装置1を必ず電源OFF状態へ移行させるかどうかは、コンピュータ9を操作するユーザがシャットダウン指示の送信時に選択するものとしていた。しかしながら、本実施形態では、予め定められた条件に基づいて画像処理装置1側で電源OFF状態とするかどうかを判定する構成とする。例えば、シャットダウン指示を送信したコンピュータ9が画像処理装置1の管理者のものであった場合には画像処理装置1を電源OFF状態とするような構成も可能である。そこで、本実施形態によれば、予め定められた送信元からのシャットダウン指示を受信した場合に電源OFF状態へ移行するように構成された画像処理装置1について説明する。本実施形態の画像処理装置1は、シャットダウン指示により電源OFF状態となる送信元IPアドレスを設定として登録できるように構成される。対象となるIPアドレスは予め操作部5の所定の操作などにより、ユーザが登録しておく。なお、IPアドレスは1つでもよいし、複数でもよい。
【0067】
図12は、本実施形態のシャットダウン処理におけるCPU201の移行先状態の判定処理を示す。S1201において、CPU201は、ネットワークを介したシャットダウン指示であるか否かを判定する。そうであればS1202へ進み、そうでなければS1203へ進む。S1202において、CPU201は、シャットダウン指示のUDPパケットの送信元IPアドレスが設定として登録されていたものであれば電源OFF状態への移行と判定する。一方、そうでなければクイックOFF状態への移行と判定する。
【0068】
S1203において、CPU201は、クイックOFF状態の有効設定がされているか否かを判定する。設定されていればCPU201はクイックOFF状態への移行と判定する。一方、設定されていなければ電源OFF状態への移行と判定する。
【0069】
以上説明したように、本実施形態で説明した画像処理装置によれば、シャットダウン指示の送信側においてクイックOFF状態と電源OFF状態のどちらに移行させるかを判定せずとも、画像処理装置の電源OFF状態とクイックOFF状態を使い分けることができる。なお、本実施形態ではシャットダウン指示の送信元としてUDPパケットの送信元IPアドレスを用いる構成としたが、言うまでもなくこの構成はあくまで一例であり、本発明はこの構成に限定されるものではない。
【0070】
<第7の実施形態>
次に、図13を参照して、第7の実施形態について説明する。上記第6の実施形態ではシャットダウン指示の送信元に基づいて画像処理装置側で電源OFF状態とするかクイックOFF状態とするかを判定するものとしていた。しかし、例えば、土曜日と日曜日が休日である企業においては、休日の間に画像処理装置が消費する電力を少なくするために、金曜日の夜に画像処理装置を電源OFF状態としたい場合がある。そこで、本実施形態によれば、予め設定された受信日時の期間内にネットワークを介してシャットダウン指示を受け付けた場合に、電源OFF状態に移行するように構成した画像処理装置について説明する。本実施形態の画像処理装置1は、シャットダウン指示により電源OFF状態となる日時の範囲を設定として登録できるように構成される。対象となる日時の範囲は予め操作部5の所定の操作などにより、ユーザが登録しておく。日時の範囲は1つでもよいし、複数でもよい。
【0071】
図13は、本実施形態のシャットダウン処理におけるCPU201の移行先状態の判定処理を示す。S1301において、CPU201は、ネットワークを介したシャットダウン指示であるか否かを判定する。そうであればS1302へ進み、そうでなければS1303へ進む。S1302において、CPU201は、現在の日付及び時刻が、電源OFF状態への移行対象となる日時の範囲として設定されている日時の範囲に含まれるかどうかを判定する。含まれていれば電源OFF状態へ移行する。一方そうでない場合にはクイックOFF状態への移行と判定する。S1303において、CPU201は、クイックOFF状態の有効設定がされているか否かを判定する。設定されていればCPU201はクイックOFF状態への移行と判定する。設定されていなければ電源OFF状態への移行と判定する。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係る画像処理装置によれば、シャットダウン指示の受信された日時によって画像処理装置の電源OFF状態とクイックOFF状態とを使い分けることができる。
【0073】
<第8の実施形態>
次に、図14を参照して、第8の実施形態について説明する。上記第6の実施形態では、シャットダウン指示の送信元に基づいて画像処理装置側で電源OFF状態とするかクイックOFF状態とするかを判定するものとしていた。しかし、本実施形態ではシャットダウン指示の送信先に基づいて、電源OFF状態とするかクイックOFF状態とするかを判定する。そこで、本実施形態によれば、所定の送信先へのシャットダウン指示を受信した場合に電源OFF状態へ移行するように構成された画像処理装置について説明する。本実施形の画像処理装置1はネットワークインタフェース210上で2つの異なるUDPポートについてシャットダウン指示のUDPパケットの受信を監視するように構成されている。一方のポートは電源OFF状態への移行指示用ポートであり、もう一方のポートはクイックOFF状態への移行指示用のポートである。CPU201はネットワークインタフェース210でシャットダウン指示のUDPパケットを受信した際、UDPパケットの宛先ポート番号によって電源OFF状態に移行するかクイックOFF状態に移行するかを判定する。
【0074】
図14は、本実施形態のシャットダウン処理におけるCPU201の移行先状態の判定処理を示す。S1401において、CPU201は、ネットワークを介したシャットダウン指示であるか否かを判定する。そうであればS1402へ進み、そうでなければS1403へ進む。S1402において、CPU201は受信したシャットダウン指示のUDPパケットの送信先が所定の電源OFF状態への移行指示用ポートかどうかを判定する。そうであれば電源OFF状態へ移行する。一方そうでなければクイックOFF状態への移行と判定する。S1403において、CPU201は、クイックOFF状態の有効設定がされているか否かを判定する。設定されていればCPU201はクイックOFF状態への移行と判定する。設定されていなければ電源OFF状態への移行と判定する。
【0075】
以上説明したように、本実施形態で説明した画像処理装置によれば、シャットダウン指示の送信先によって画像処理装置の電源OFF状態とクイックOFF状態を使い分けることができる。なお、本実施形では移行先状態判定に用いるシャットダウン指示の送信先としてUDPポートを用いるものとしたが、言うまでもなくこの構成はあくまで一例である。例えば1台の画像処理装置にネットワークインタフェースを複数備えておき、送信先のネットワークインタフェースによって判定する構成としてもよい。
【0076】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャットダウン動作として、全ての負荷への電力供給を停止する第1状態へ移行する動作と、一部の負荷のみへの電力供給を停止する第2状態へ移行する動作とを実行可能な画像処理装置であって、
前記シャットダウン動作の指示を、ネットワークを介して外部装置から受信したか、前記画像処理装置に設けられたシャットダウンスイッチの押下により受け付けたかを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記シャットダウン動作の指示を前記ネットワークを介して外部装置から受信したと判定されると、前記画像処理装置を前記第1状態へ移行させ、前記判定手段によって前記シャットダウン動作の指示を前記シャットダウンスイッチの押下により受け付けたと判定されると、前記画像処理装置を前記第2状態へ移行させる制御手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記画像処理装置を前記第2状態へ移行させる際に、シャットダウン後に再び前記画像処理装置を起動させる起動時間を低減するために、システムをリブートすることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第2状態への移行を許可する第1フラグを設定する第1設定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記判定手段によって前記シャットダウン動作の指示を前記シャットダウンスイッチの押下により受け付けたと判定された場合に、前記第1設定手段によって前記第1フラグが設定されていれば前記画像処理装置を前記第2状態へ移行させ、前記第1設定手段によって前記第1フラグが設定されていなければ前記画像処理装置を前記第1状態へ移行させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第2状態への移行を一時的に無効にする第2フラグを設定する第2設定手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記判定手段によって前記シャットダウン動作の指示を前記ネットワークを介して外部装置から受信したと判定されると、前記第2設定手段によって前記第2フラグが設定されている場合にのみ前記画像処理装置を前記第1状態へ移行させ、前記第2設定手段によって前記第2フラグが設定されていない場合には前記判定手段によって前記シャットダウン動作の指示を前記シャットダウンスイッチの押下により受け付けたと判定された場合と同一の処理を実行することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記ネットワークを介して外部装置から受信する指示には、強制的に前記第1状態へ移行させる強制シャットダウン指示と、前記第2状態へ移行させる通常シャットダウン指示とを含み、
前記制御手段は、
前記判定手段によって前記シャットダウン動作の指示を前記ネットワークを介して外部装置から受信したと判定されると、当該指示が前記強制シャットダウン指示である場合にのみ前記画像処理装置を前記第1状態へ移行させ、当該指示が前記通常シャットダウン指示である場合には前記判定手段によって前記シャットダウン動作の指示を前記シャットダウンスイッチの押下により受け付けたと判定された場合と同一の処理を実行することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記ネットワークを介して外部装置から受信する指示には、強制的に前記第1状態へ移行させる強制シャットダウン指示と、前記第2状態へ移行させる通常シャットダウン指示とを含み、
前記制御手段は、
前記判定手段によって前記シャットダウン動作の指示を前記ネットワークを介して外部装置から受信したと判定されると、当該指示が前記強制シャットダウン指示であれば前記画像処理装置を前記第1状態へ移行させ、当該指示が前記通常シャットダウン指示であれば前記画像処理装置を前記第2状態へ移行させることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記ネットワークを介して外部装置から受信する指示が一定時間の間に所定回数を超えて受信されると、強制的に前記第1状態へ移行させる第3フラグを設定する第3設定手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記判定手段によって前記シャットダウン動作の指示を前記ネットワークを介して外部装置から受信したと判定されると、前記第3設定手段によって前記第3フラグが設定されていれば前記画像処理装置を前記第1状態へ移行させ、前記第3設定手段によって前記第3フラグが設定されていなければ前記画像処理装置を前記第2状態へ移行させることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記判定手段によって前記シャットダウン動作の指示を前記ネットワークを介して外部装置から受信したと判定されると、当該指示の送信元が予め定められた外部装置であれば前記画像処理装置を前記第1状態へ移行させ、当該指示の送信元が予め定められた外部装置でなければ前記画像処理装置を前記第2状態へ移行させることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記制御手段は、
前記判定手段によって前記シャットダウン動作の指示を前記ネットワークを介して外部装置から受信したと判定されると、当該指示の受信日時が予め定められた範囲の受信日時であれば前記画像処理装置を前記第1状態へ移行させ、当該指示の受信日時が予め定められた範囲の受信日時でなければ前記画像処理装置を前記第2状態へ移行させることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記制御手段は、
前記判定手段によって前記シャットダウン動作の指示を前記ネットワークを介して外部装置から受信したと判定されると、当該指示の送信先が予め定められたポートであれば前記画像処理装置を前記第1状態へ移行させ、当該指示の送信先が予め定められたポートでなければ前記画像処理装置を前記第2状態へ移行させることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項11】
シャットダウン動作として、全ての負荷への電力の供給を停止する第1状態へ移行する動作と、一部の負荷のみに電力を供給する第2状態へ移行する動作とを実行可能な画像処理装置の制御方法であって、
判定手段が、前記シャットダウン動作の指示を、ネットワークを介して外部装置から受信したか、前記画像処理装置に設けられたシャットダウンスイッチの押下により受け付けたかを判定する判定ステップと、
制御手段が、前記判定ステップにおいて前記シャットダウン動作の指示を前記ネットワークを介して外部装置から受信したと判定されると、前記画像処理装置を前記第1状態へ移行させ、前記判定ステップにおいて前記シャットダウン動作の指示を前記シャットダウンスイッチの押下により受け付けたと判定されると、前記画像処理装置を前記第2状態へ移行させる制御ステップと
を備えることを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の画像処理装置の制御方法における各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2013−17139(P2013−17139A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150338(P2011−150338)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】