説明

画像処理装置、それを備えた画像形成装置およびプログラム

【課題】本発明は、カラー文字を含んだ原稿がモノクロ印刷される際に、モノクロ印刷後にカラー文字であった部分が際だって見えやすくなるように、印刷データに簡素化された設定操作で強調表示処理を行うことが可能な画像処理装置、それを備えた画像形成装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】本実施形態のパソコン1は、カラー文字を含む原稿のモノクロ印刷の選択後に、カラー文字を太くする強調表示が選択されると、文字抽出部10aによるその印刷データから文字データの抽出、色情報抽出部10bによる各カラー文字データのRGB値の抽出、色情報変換部10cによるRGB値からYIQ表色系のY値(輝度値)への変換、文字変換部10dによるY値に応じたカラー文字データの文字の太さ変換、置換部10eによる文字の太さ変換が行われた各カラー文字データと元の各カラー文字データ部分との置換並びに新たなモノクロ印刷データの作成が行われる構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、それを備えた画像形成装置およびプログラムに関するものであり、特にカラー文字をモノクロで印刷する際の強調表示技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリンタドライバの文字のラスタライズ処理を行うカラー文字データの出力方法において、文字データ部分の取得処理を行い、取得した文字データがカラー文字であるか否かを判定し、取得したカラー文字の他の属性への変更が指定されているか否かを判定し、取得したカラー文字データが他の属性へ変更すべきカラーであるか否かを判定し、前記判定のすべてが肯定の場合、他の属性への変更処理を行い、変更された属性での出力のための文字形成処理を行うカラー文字データの出力処理方法が開示・提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、原稿を読み取るカラーイメージスキャナと、読み取った原稿の領域を判定し文字領域を分離する領域分離部と、文字領域内に存在する文字がカラー文字なのかモノクロ文字なのかの色判定を行う色判定部と、色判定部によってカラーであると判定されたカラー文字に強調処理を施す強調処理部と、強調処理部によってカラー文字に強調処理が施された原稿をモノクロ画像として印字するプリンタとを備えた画像形成装置およびその方法が開示・提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開平8−328788号公報
【特許文献2】特開2003−219189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
確かに、特許文献1に開示されたカラー文字データの出力処理方法、および特許文献2に開示された画像形成装置およびその方法であれば、カラー文字がモノクロで印刷される際に、原稿上でカラー表示されているカラー文字部分が強調表示(例えば、アンダーライン、イタリック体、ボールド体、矩形マーク等)されてモノクロ印刷されるため、その文字部分を際ださせることができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたカラー文字データの出力処理方法、および特許文献2に開示された画像形成装置およびその方法は、RGB表色系が用いられて表現される多数のカラー文字の色とその多数のカラー文字の色に対応する強調表示内容の組み合わせが多くなってしまい、それらを対応付ける変換表が複雑になってしまう。また、その多数のカラー文字の色と強調表示内容をユーザが設定する必要があり、その設定操作に時間がかかってしまうため、その設定操作が煩わしかった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑み、カラー文字を含んだ原稿がモノクロ印刷される際に、モノクロ印刷後にカラー文字であった部分が際だって見えやすくなるように、印刷データに簡素化された設定操作で強調表示処理を行うことが可能な画像処理装置、それを備えた画像形成装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像処理装置は、印刷データから文字データを抽出する文字抽出部と、該文字抽出部により抽出された各文字データがカラー文字データであるか否かを判定し、カラー文字データであると判定した文字データのRGB値を抽出する色情報抽出部と、該RGB値を所定の表色系における所定の刺激値に変換するための変換式および該所定の刺激値の値に応じて変化する所定の強調表示情報を記憶するメモリ部と、前記色情報抽出部により抽出されたRGB値を前記所定の変換式に基づいて、前記所定の刺激値に変換する色情報変換部と、前記色情報抽出部により判定された各カラー文字データに対して、前記色情報変換部により得られた前記所定の刺激値の値および前記所定の強調表示情報に基づいて強調変換処理を行う文字変換部と、該文字変換部により強調変換処理された各カラー文字データと前記印刷データにおけるその各カラー文字データに対応する元の各カラー文字データ部分とを置換して、新たなモノクロの印刷データを作成する置換部と、を有して成る構成とされている。このような構成とすることにより、新たなモノクロの印刷データが画像形成装置に送信されて印刷された際に、原稿上でカラー文字であった文字が強調表示されてモノクロ印刷されるため、ユーザは、カラー文字であったモノクロ文字が見やすくなるとともに、強調表示されたモノクロ文字がカラー文字であったことを簡単に認識することが可能となる。また、RGB値が所定の表色系における刺激値に変換されるため、簡素化された設定操作でカラー文字データに対して強調表示処理を行うことが可能となる。
【0008】
上記構成から成る画像処理装置における前記所定の刺激値は、輝度を表す輝度値、第1の色の強さを表す第1色強度値および第2の色の強さを表す第2色強度値のうち少なくとも1つの値である構成とされている。このような構成とすることにより、RGB値が所定の表色系におけるこれらの刺激値に変換されるため、簡素化された設定操作でカラー文字データに対して強調表示処理を行うことが可能となる。
【0009】
上記構成から成る画像処理装置における前記所定の強調表示情報は、前記輝度値、前記第1の色強度値および前記第2の色強度値のそれぞれの値に応じて変化するカラー文字データにおける文字の太さ、文字のサイズ、文字に付加されるアンダーラインの太さおよび文字に付加されるオーバースコアの太さ情報のうち少なくとも1つの情報である構成とされている。このような構成とすることにより、新たな印刷データが画像形成装置に送信されて印刷された際に、原稿上でカラー文字であった文字が強調表示されてモノクロ印刷されるため、ユーザは、カラー文字であったモノクロ文字が見やすくなるとともに、強調表示されたモノクロ文字がカラー文字であったことを簡単に認識することが可能となる。
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、上記構成から成る画像処理装置のいずれかを有して成る構成とされている。このような構成とすることにより、原稿上でカラー文字であった文字が強調表示されてモノクロ印刷されるため、ユーザは、カラー文字であったモノクロ文字が見やすくなるとともに、強調表示されたモノクロ文字がカラー文字であったことを簡単に認識することが可能となる。また、RGB値が所定の表色系における刺激値に変換されるため、簡素化された設定操作でカラー文字データに対して強調表示処理を行うことが可能となる。
【0011】
本発明に係るプログラムは、印刷データから文字データを抽出する文字抽出処理と、該文字抽出処理において抽出された各文字データがカラー文字データであるか否かを判定し、カラー文字データと判定した文字データのRGB値を抽出する色情報抽出処理と、メモリ部に記憶された前記RGB値を所定の表色系における所定の刺激値に変換するための変換式に基づいて、前記色情報抽出処理において抽出されたRGB値を前記所定の刺激値に変換する色情報変換処理と、前記色情報変換処理において得られた前記所定の刺激値の値およびメモリ部に記憶された前記所定の刺激値の値に応じて変化する所定の強調表示情報に基づく、前記色情報抽出処理において判定された前記各カラー文字データへの強調変換処理と、該強調変換処理が行われた各カラー文字データと前記印刷データにおけるその各カラー文字データに対応する元の各カラー文字データ部分とを置換して、新たなモノクロの印刷データを作成する置換処理と、を中央演算処理装置に実行させる構成とされている。このような構成とすることにより、新たな印刷データが画像形成装置で印刷された際に、原稿上でカラー文字であった文字が強調表示されてモノクロ印刷されるため、ユーザは、カラー文字であったモノクロ文字が見やすくなるとともに、強調表示されたモノクロ文字がカラー文字であったことを簡単に認識することが可能となる。また、RGB値が所定の表色系における刺激値に変換されるため、簡素化された設定操作でカラー文字データに対して強調表示処理を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
上記したように、本発明に係る画像処理装置、それを備えた画像形成装置およびプログラムであれば、カラー文字を含んだ原稿がモノクロ印刷される際に、モノクロ印刷後にカラー文字であった部分が見えやすく強調されるように、印刷データに簡素化された設定操作でカラー文字データに対して強調表示処理を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下では、本発明をパーソナルコンピュータ[Personal Computer](以下、パソコンと呼ぶ)に適用した場合を例に挙げて説明を行う。図1は本発明に係るパソコンおよびそのパソコンに接続された画像形成装置の要部構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態のパソコン1は、装置全体の動作を制御する中央演算処理装置10(以下、CPU[Central Processing Unit]10と呼ぶ)と、操作入力手段であるキーボート、マウス、テンキーおよびタッチパネルなどから成る入力部12と、画像が表示されるディスプレイなどから成る表示部11と、各種制御プログラム等が格納されたROM[Read Only Memory]、ワーク領域として用いられるRAM[Random Access Memory]、および各種プログラムやデータを記憶するためのハードディスクから成るメモリ部13と、外部装置との通信の接続を確立するためにネットワーク30に接続されたインタフェース部14と、を有して成る。なお、本実施形態のパソコン1は、画像処理装置に相当するものである。
【0014】
また、パソコン1は、後述の画像形成装置2とネットワーク30を介してデータおよび印刷データ等の送受信が可能である。また、ネットワーク30はインターネット(不図示)に接続されており、パソコン1は、インターネット(不図示)に接続されたサーバ(不図示)等からホームページ画像をダウンロードして表示部11に表示することが可能である。
【0015】
CPU10は、印刷データから文字データを抽出する文字抽出部10aと、文字抽出部10aにより抽出された各文字データに対して、RGB値で示されたカラーコードなどから文字データがカラー文字データであるか否かを判定し、カラー文字データであれば文字データの色情報となるRGB値を抽出する色情報抽出部10bと、色情報抽出部10bにより抽出されたRGB値を後述のYIQ表色系における刺激値のY値(輝度)、I値(オレンジ−シアンの色の強さ、)あるいはQ値(緑−マゼンダの色の強さ)に変換する色情報変換部10cと、色情報変換部10cによってRGB値が変換されて得られた刺激値のY値、I値およびQ値に応じて、それぞれ色情報抽出部10bにより判定されたカラー文字データに対して、メモリ部13に記憶された後述する強調表示情報に基づいて、文字の太さを変化させる強調変換処理、アンダーラインの太さを変化させて文字に付加する強調変換処理および文字を拡大させる強調変換処理を行う文字変換部10dと、文字変換部10dに変換されたカラー文字データと印刷データにおけるその各カラー文字データに対応する元の各カラー文字データ部分を置換して、新たなモノクロの印刷データを作成する置換部10eと、を有して成る。
【0016】
また、CPU10は、装置全体の動作を制御するほか、後ほど詳細に説明するカラー文字データへの強調表示処理を行う。なお、説明の理解を容易とするため、図1では文字抽出部10a、色情報抽出部10b、色情報変換部10c、文字変換部10dおよび置換部10eを独立したブロックとして表したが、文字抽出部10a、色情報抽出部10b、色情報変換部10c、文字変換部10dおよび置換部10eにおける処理は、CPU10でソフト的に実行されるものである。
【0017】
ここで、色情報変換部10bによるRGB表色系のRGB値からYIQ表色系の刺激値であるY値(輝度)、I値(オレンジ−シアンの色の強さ)およびQ値(緑−マゼンダの色の強さ)への変換について以下に説明する。RGB値からY値、I値およびQ値への変換式は以下の通りである。
【数1】

色情報変換部10bによるRGB値からYIQ値への変換は、この変換式に基づいて行われる。なお、YIQ表色系は、PAL方式のカラーテレビ等で用いられている表色系である。例えば、文字データが赤の時、(R,G,B)=(255,0,0)であれば、(Y,I,Q)=(76.245,159.98,53.805)になる。
【0018】
メモリ部13には、前述の変換式(1)〜(3)のほかに、カラー文字データを含んだ印刷データがモノクロ印刷される際に、後述する文字変換部10dによるカラー文字データの強調変換処理に用いられる以下のような強調表示情報が記憶されている。メモリ部13には、Y値の最小値(0)から最大値(262.65)までが9等分に分けられた各段階に対して、9等分されたそのY値がY値の最小値側から1段階ごと大きくなるに従って、文字の太さが1段階ごと9段階まで太くなる強調表示情報(以下、文字の太さ表示情報と呼ぶ)が記憶されている。また、メモリ部13には、I値の最小値(0)から最大値(151.98)までが9等分に分けられた各段階に対して、9等分されたそのI値がI値の最小値側から1段階ごと大きくなるに従って、アンダーラインの太さが1段階ごと9段階まで太くなる強調表示情報(以下、アンダーライン表示情報と呼ぶ)が記憶されている。また、メモリ部13には、Q値の最小値(0)から最大値(255)までが9等分に分けられた各段階に対して、9等分されたQ値の値がQ値の最小値側から1段階ごと大きくなるに従って、文字のサイズが1段階ごと9段階まで大きくなる強調表示情報(以下、文字の拡大表示情報と呼ぶ)が記憶されている。なお、文字の太さ表示情報、アンダーライン表示情報および文字の拡大表示情報が、9段階に分けられているが、特に9段階に分けられることに限定される必要はない。
【0019】
また、ネットワーク30に接続された画像形成装置2は、装置全体の動作を制御するCPU20と、操作手段(テンキーやタッチパネルなど)と表示手段(液晶ディスプレイなど)から成る操作表示部21と、用紙の搬送を行う用紙搬送部22、画像データに基づいて用紙へモノクロのトナー像の形成を行う画像形成部23と、画像形成部23で得られたトナー像を用紙に定着させる定着部24と、各種制御プログラム等が格納されたROM[Read Only Memory]やワーク領域として用いられるRAM[Random Access Memory]から成るメモリ部25と、外部装置との通信接続を確立するためにネットワーク30に接続されたインタフェース部26と、を有して成る。なお、画像形成装置2は、モノクロ機であるが、モノクロ印刷可能なカラー機であってもよい。また、画像形成装置2は、ネットワーク30を介してパソコン1とデータおよび印刷データ等の送受信が可能である。
【0020】
次に、上記構成から成る画像形成装置2における画像形成動作(印刷動作)について説明する。本実施形態の画像形成装置2における画像形成動作では、パソコン1から送信された印刷データをインタフェース部26が受信すると、CPU20によりその印刷データが一旦メモリ部25に格納された後、再び読み出されて印刷データが画像データに変換されて画像形成部23に送出される。続いて、画像形成部23で入力された画像データに基づく用紙への画像形成処理が行われた後、定着部24で用紙上に形成された画像の定着処理が行われて用紙が装置外へ排出される。
【0021】
なお、本実施形態のパソコン1は、カラー文字データが含まれた印刷データがモノクロ印刷される際に、画像形成装置2への印刷データの送信に先立って行われるカラー文字データの強調表示処理に特徴を有している。
【0022】
そこで、以下では、本実施形態のパソコン1におけるカラー文字データが含まれた印刷データがモノクロ印刷される際に、画像形成装置2への印刷データの送信に先立って行われるカラー文字データの強調表示処理について図を参照して説明を行う。図2は、本実施形態のパソコン1における強調表示処理を説明するためのフローチャートである。
【0023】
本実施形態のパソコン1では、ステップS2−1で、表示部11に表示された所定のソフトウェア上の原稿に対して、ユーザにより入力部12が用いられて表示部11に表示された画面からその原稿のモノクロ印刷が選択されると、画像形成装置2に対応するプリンタドライバに従ってCPU10により、画像形成装置2で印刷するための印刷データが作成される。そして、画像形成装置2への印刷データの送信に先立って、CPU10により、表示部11にカラー文字の強調表示を行うか否か選択する旨が表示される。ユーザにより入力部12が用いられてカラー文字の強調表示を行う旨が選択され、入力部12から強調表示を行う旨の信号がCPU10に入力される場合には(S2−1YES)、ステップS2−2で、CPU10により表示部11に原稿の各カラー文字を太くするか否かを選択する旨が表示される。なお、ステップS2−1における表示部11に表示された所定のソフトウェア上の原稿とは、メモリ部11に記憶されたソフトウェアが用いられて作成された原稿やインターネット(不図示)からダウンロードされ、表示部11に表示されたホームページ画像等に相当する。
【0024】
そして、ユーザにより入力部12が用いられて原稿の各カラー文字を太くする旨が選択され、入力部12から各カラー文字データの文字を太くする旨の信号がCPU10に入力される場合には(S2−2YES)、ステップS2−3に進む。なお、ステップS2−1において、ユーザにより入力部12が用いられてカラー文字の強調表示を行わない旨が選択され、入力部12から強調表示を行わない旨の信号がCPU10に入力される場合には(S2−1NO)、後述するステップS2−16に進む。
【0025】
続いて、ステップS2−3で、文字抽出部10aにより印刷データから全ての文字データが抽出される。そして、文字抽出部10aにより抽出された全ての文字データの複製が作成され、一旦メモリ部13に記憶される。なお、文字データは、フォント情報、文字のサイズ情報、文字の太さ情報、色情報であるRGB値等を含むものである。
【0026】
続いて、ステップS2−4で、文字抽出部10aにより抽出され、メモリ部13に記憶された複製の各文字データに対して、色情報抽出部10bにより文字データがカラー文字データであるか否かの判定が行われる。そして、色情報抽出部10bにより、カラー文字データである文字データに対して、RGB値が抽出される。このとき、色情報抽出部10bにより各文字データに含まれるRGB値が調べられることで、文字データがカラー文字データであるか否か判定が行われる。
【0027】
続いて、ステップS2−5で、色情報変換部10cにより、色情報抽出部10bに抽出された各カラー文字データのRGB値およびメモリ部13に記憶された変換式(1)に基づいて、各カラー文字データのRGB値がY値に変換される。
【0028】
続いて、ステップS2−6で、メモリ部13に記憶されたY値に対応した文字の太さ表示情報に基づいて文字変換部10dにより、色情報変換部10cによってRGB値から変換されたY値に応じて、各カラー文字データの文字の太さが強調変換処理される。そして、文字変換部10dにより、その強調変換処理された各カラー文字データが一端、メモリ部13に記憶される。そして、置換部10eにより、メモリ部13に記憶されている文字の太さが強調変換処理された各カラー文字データと印刷データにおけるその各カラー文字データに対応する元の各カラー文字データ部分とが置換され、カラー文字データ部分の文字の太さが強調変換処理された新たなモノクロの印刷データが作成される。このとき、置換部10eにより作成された新たなモノクロの印字データにおける各文字データのRGB値は、元のRGB値からモノクロに対応したRGB値に変換される。
【0029】
また、ステップS2−2で、ユーザにより入力部12が用いられてカラー文字を太くしない旨が選択され、入力部12からカラー文字データの文字を太くしない旨の信号がCPU10に入力される場合には(S2−2NO)、更に、ステップS2−7で、CPU10により表示部11にカラー文字にアンダーラインを付加するか否かを選択する旨が表示される。そして、ユーザにより入力部12が用いられてカラー文字にアンダーラインを付加する旨が選択され、入力部12からカラー文字にアンダーラインを付加する旨の信号がCPU10に入力される場合には(S2−7YES)、ステップS2−8に進む。
【0030】
続いて、ステップS2−8で、文字抽出部10aにより印刷データから全ての文字データが抽出される。そして、文字抽出部10aにより抽出された全ての文字データの複製が作成され、一旦メモリ部13に記憶される。なお、文字データは、フォント情報、文字のサイズ情報、文字の太さ情報、色情報であるRGB値等を含むものである。
【0031】
続いて、ステップS2−9で、文字抽出部10aにより抽出され、メモリ部13に記憶された複製の各文字データに対して、色情報抽出部10bにより文字データがカラー文字データであるか否か判定が行われる。そして、色情報抽出部10bにより、カラー文字データである文字データに対して、RGB値が抽出される。このとき、色情報抽出部10bにより文字データに含まれるRGB値が調べられることで、文字データがカラー文字データであるか否か判定が行われる。
【0032】
続いて、ステップS2−10で、色情報変換部10cにより、色情報抽出部10bによって抽出された各カラー文字データのRGB値およびメモリ部13に記憶された変換式(2)に基づいて、各カラー文字データのRGB値がI値に変換される。
【0033】
続いて、ステップS2−11で、メモリ部13に記憶されたI値に対応したアンダーライン表示情報に基づいて、文字変換部10dにより、色情報変換部10cによってRGB値から変換された各カラー文字データのI値に基づいて、各カラー文字データの文字にI値に応じて太さの異なるアンダーラインが付加されたカラー文字データに強調変換処理される。そして、文字変換部10dにより、その強調変換処理された各カラー文字データが一端、メモリ部13に記憶される。そして、置換部10eにより、メモリ部13に一端記憶されているI値に応じて太さの異なるアンダーラインが付加された各カラー文字データと印刷データにおけるその各カラー文字データに対応する元の各カラー文字データ部分とが置換され、I値に応じて太さの異なるアンダーラインが各カラー文字データに付加されて変換された新たなモノクロの印刷データが作成される。このとき、置換部10eにより作成された新たなモノクロの印字データにおける各文字データのRGB値は、元のRGB値からモノクロに対応したRGB値に変換される。
【0034】
また、ステップS2−7で、ユーザにより入力部12が用いられてカラー文字にアンダーラインを付加しない旨が選択され、入力部12からカラー文字データにアンダーラインを付加しない旨の信号がCPU10に入力される場合には(S2−7NO)、ステップS2−12に進む。
【0035】
続いて、ステップS2−12で、文字抽出部10aにより印刷データから文字データが抽出される。そして、文字抽出部10aにより抽出された全ての文字データの複製が作成され、一旦メモリ部13に記憶される。なお、文字データは、フォント情報、文字のサイズ情報、文字の太さ情報、色情報であるRGB値等を含むものである。
【0036】
続いて、ステップS2−13で、文字抽出部10aにより抽出され、メモリ部13に記憶された複製の各文字データに対して、色情報抽出部10bにより文字データがカラー文字データであるか否かの判定が行われる。色情報抽出部10bによりカラー文字データである文字データに対しては、色情報であるRGB値が抽出される。このとき、色情報抽出部10bにより文字データに含まれるRGB値が調べられることで、文字データがカラー文字データであるか否かの判定が行われる。
【0037】
続いて、ステップS2−14で、色情報変換部10cにより、色情報抽出部10bに抽出された各カラー文字データのRGB値およびメモリ部13に記憶された変換式(3)に基づいて、各カラー文字データのRGB値がQ値に変換される。
【0038】
続いて、ステップS2−15で、メモリ部13に記憶されたQ値に応じた文字の拡大表示情報に基づいて、文字変換部10dにより、色情報変換部10cによってRGB値から変換された各カラー文字データのQ値に基づいて、各カラー文字データがQ値に応じて文字のサイズが拡大されたカラー文字データに強調変換処理される。そして、文字変換部10dにより、その強調変換処理された各カラー文字データが一端メモリ部13に記憶される。そして、置換部10eにより、メモリ部13に一端記憶されているQ値に応じて文字のサイズが拡大された各カラー文字データと印刷データにおけるその各カラー文字データに対応する元の各カラー文字データ部分とが置換され、Q値に応じてカラー文字データの文字のサイズが拡大されて変換された印刷データが作成される。このとき、置換部10eにより作成された新たなモノクロの印字データにおける各文字データのRGB値は、元のRGB値からモノクロに対応したRGB値に変換される。
【0039】
続いて、ステップS2−16で、CPU10により、インタフェース部14を介してモノクロの印刷データが画像形成装置2に向けて送信される。
【0040】
その後、画像形成装置2では、インタフェース部26によりその印刷データが受信されると、CPU20の制御により、前述したように、印刷データに基づいて用紙に印刷が行われる。
【0041】
以下に、前述の新たなモノクロの印刷データに基づく画像形成装置2による印刷結果を説明する。図3は、新たなモノクロの印刷データに基づく画像形成装置2による印刷結果の一例である。図3(a)は、Y値に応じてカラー文字データの文字が太く変換されたモノクロの印刷データに基づく画像形成装置2による印刷結果の一例、図3(b)は、I値に応じてカラー文字データに太さの異なるアンダーラインが付加されるように変換されたモノクロの印刷データに基づく画像形成装置2による印刷結果の一例、図3(a)は、Q値に応じてカラー文字データの文字のサイズが拡大されるように変換されたモノクロの印刷データに基づく画像形成装置2による印刷結果の一例である。なお、図3の括弧内の文字は、強調表示処理される前にカラー文字であった文字である。
【0042】
図3(a)〜(c)に示すように、Y値、I値およびQ値に応じて、それぞれカラー文字が太く、カラー文字に太さの異なるアンダーラインが付加およびカラー文字が拡大されて変換された印刷データに基づいて画像形成装置2によりモノクロ印刷される。従って、本実施形態のパソコン1であれば、新たなモノクロの印刷データが画像形成装置2に送信されて印刷された際に、原稿上でカラー文字であった文字が強調表示されてモノクロ印刷されるため、ユーザは、カラー文字であったモノクロ文字が見やすくなるとともに、強調表示されたモノクロ文字がカラー文字であったことを簡単に認識することが可能となる。また、RGB値が所定の表色系における刺激値に変換されるため、簡素化された設定操作でカラー文字データに対して強調表示処理を行うことが可能となる。また、本発明では、YIQ表色系の変換式を利用して強調表示を行うため、ユーザ毎に印刷の強調表示の内容が異なることがなくなり、元の原稿の大まかな文字色を想像することが可能である。
【0043】
なお、本実施形態のパソコン1のメモリ部13に記憶された文字の太さ表示情報、アンダーライン表示情報および文字の拡大表示情報の代わりに、Y値、I値、Q値にそれぞれに対応して変化する関数が用いられて、色情報変換部10cによりRGB値がY値、I値、Q値に変換されてもよい。これにより、上記と同様に、新たなモノクロの印刷データが画像形成装置2に送信されて印刷された際に、原稿上でカラー文字であった文字が強調表示されてモノクロ印刷されるため、ユーザは、カラー文字であったモノクロ文字が見やすくなるとともに、強調表示されたモノクロ文字がカラー文字であったことを簡単に認識することが可能となる。
【0044】
また、本実施形態のパソコン1では、ステップS2−2、S2−7で強調表示処理内容を選択可能な構成であったが、メモリ部13に少なくとも1つのRGB値からYIQ表色系の刺激値に変換する変換式が記憶されて、少なくとも1つの強調表示処理内容を選択可能な構成とされてもよい。このような構成おいても、上記と同様な効果を得ることが可能である。
【0045】
なお、上記の実施形態のパソコン1では、文字変換部10dより原稿のモノクロ印刷が選択された際にY値、I値およびQ値に対応して、それぞれカラー文字データの文字が太く、カラー文字データの文字に太さの異なるアンダーラインの付加およびカラー文字データの文字のサイズが拡大される強調変換処理が行われる構成であったが、Y値、I値およびQ値に対応した強調変換処理は、これらの組み合わせに限定される必要はなく、任意に組み合わせが変更されてもよい。また、カラー文字データの強調表示処理時に、原稿のモノクロ印刷が選択された際にY値、I値およびQ値のそれぞれに応じた文字のフォント変換、文字の斜体量を変更する変換、文字へのオーバースコアの付加並びに太さ変換等が行われてもよい。また、本実施形態のパソコン1では、原稿のモノクロ印刷が選択された際に、文字変換部10dにより、Y値、I値およびQ値のいずれかに応じて、1つの強調表示情報に基づくカラー文字データの強調変換処理が行われる構成であったが、これに限定される必要はなく、複数の強調表示情報に基づくカラー文字データの強調変換処理が行われてもよい。
【0046】
また、上記の実施形態のパソコン1では、色情報変換部10cによりRGB値が、YIQ表色系が用いられてフローに応じてY値、I値またはQ値に変換される構成であったが、特にYIQ表色系に限定される必要はなく、RGB値を変換することが可能な表色系が用いられてもよい。例えば、国際照明委員会(CIE)が勧告したXYZ表色系を用いても良い。XYZ表色系は人間の視覚特性を考慮して作られた心理物理的な表色系で次の式で表される。
【数2】

【0047】
また、上記の実施形態では、カラー文字データの強調表示処理についてパソコン1を例に挙げて説明を行ったが、これに限定されるものではなく、パソコン1のカラー文字データの強調表示処理機能がファクシミリ、プリンタ、複写機などの画像形成装置に搭載されていてもよい。すなわち、そのカラー文字データの強調表示処理機能を有した画像処理装置が画像形成装置に搭載されてもよい。このような構成によっても上記と同様な効果を得ることが可能となる。
【0048】
また、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、パソコンなどの画像処理装置およびそれを備えたプリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置全般に広く適用が可能であり、カラー文字がモノクロ印刷される際のカラー文字の強調表示に対して有用な技術である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】は、本発明に係るパソコンおよびそのパソコンに接続された画像形成装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】は、図2は、本実施形態のパソコン1における強調表示処理を説明するためのフローチャートである。
【図3】は、新たなモノクロの印刷データに基づく画像形成装置2による印刷結果の一例である。
【符号の説明】
【0051】
1 パーソナルコンピュータ(パソコン)
2 画像形成装置
10、20 中央演算処理装置(CPU)
10a 文字抽出部
10b 色情報抽出部
10c 色情報変換部
10d 文字変換部
10e 置換部
11 表示部
12 入力部
13、25 メモリ部
14、26 インタフェース部
21 操作表示部
22 用紙搬送部
23 画像形成部
24 定着部
30 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データから文字データを抽出する文字抽出部と、該文字抽出部により抽出された各文字データがカラー文字データであるか否かを判定し、カラー文字データであると判定した文字データのRGB値を抽出する色情報抽出部と、該RGB値を所定の表色系における所定の刺激値に変換するための変換式および該所定の刺激値の値に応じて変化する所定の強調表示情報を記憶するメモリ部と、前記色情報抽出部により抽出されたRGB値を前記所定の変換式に基づいて、前記所定の刺激値に変換する色情報変換部と、前記色情報抽出部により判定された各カラー文字データに対して、前記色情報変換部により得られた前記所定の刺激値の値および前記所定の強調表示情報に基づいて強調変換処理を行う文字変換部と、該文字変換部により強調変換処理された各カラー文字データと前記印刷データにおけるその各カラー文字データに対応する元の各カラー文字データ部分とを置換して、新たなモノクロの印刷データを作成する置換部と、を有して成る画像処理装置。
【請求項2】
前記所定の刺激値は、輝度を表す輝度値、第1の色の強さを表す第1の色強度値および第2の色の強さを表す第2の色強度値のうち少なくとも1つの値であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記所定の強調表示情報は、前記輝度値、前記第1の色強度値および前記第2の色強度値のそれぞれの値に応じて変化するカラー文字データにおける文字の太さ、文字のサイズ、文字に付加されるアンダーラインの太さおよび文字に付加されるオーバースコアの太さ情報のうち少なくとも1つの情報であることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像処理装置を有して成ることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
印刷データから文字データを抽出する文字抽出処理と、該文字抽出処理において抽出された各文字データがカラー文字データであるか否かを判定し、カラー文字データと判定した文字データのRGB値を抽出する色情報抽出処理と、メモリ部に記憶された前記RGB値を所定の表色系における所定の刺激値に変換するための変換式に基づいて、前記色情報抽出処理において抽出されたRGB値を前記所定の刺激値に変換する色情報変換処理と、前記色情報変換処理において得られた前記所定の刺激値の値およびメモリ部に記憶された前記所定の刺激値の値に応じて変化する所定の強調表示情報に基づく、前記色情報抽出処理において判定された前記各カラー文字データへの強調変換処理と、該強調変換処理が行われた各カラー文字データと前記印刷データにおけるその各カラー文字データに対応する元の各カラー文字データ部分とを置換して、新たなモノクロの印刷データを作成する置換処理と、を中央演算処理装置に実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−67461(P2007−67461A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−246959(P2005−246959)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】