説明

画像処理装置、コンピュータプログラム、画像出力装置および画質調整方法

【課題】動画データから複数フレームの静止画データを抽出し、各フレームの静止画データに対して画質調整を施す場合に、抽出された複数フレームの静止画を通じて、画質調整に起因した違和感をユーザに与えにくくすること。
【解決手段】静止画抽出手段55が、動画データから所定の複数フレームの静止画データを抽出し、画質調整手段57が、静止画抽出手段55により抽出された複数フレームの静止画データのそれぞれに対して同一設定パターンの画質調整を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、コンピュータプログラム、画像出力装置および画質調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
動画データから所定数の連続したフレームの静止画データを切り出す画像処理装置がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、静止画データの内容を解析しその静止画の特性に応じた画質調整をその静止画データに対して行う技術も開発されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−120638号公報(要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように動画データから所定数の連続したフレームの静止画データを切り出した場合、切り出した複数枚の静止画を、同時にあるいは連続的に一括して表示したり印刷したりする。
【0006】
そのような場合において、切り出した各フレームの静止画データに画質調整を行うことが考えられる。つまり、切り出された所定数のフレームの1つ1つに対して静止画データの内容を解析しその静止画の特性に応じた画質調整がその静止画データに対して行われる。
【0007】
その場合、元々が動画データであるため、複数フレーム内の静止画内の被写体が変化することがあり、各静止画データの内容を解析した際の解析結果に基づいて異なる画質調整の設定パターンが選択される可能性がある。例えば、動画撮影の際にまず風景が撮影し途中から人物を接近して撮影したような場合、得られた動画データの開始部分のフレームについては風景に対応した画質調整設定パターンが選択され、途中からのフレームについては人物に対応した画質調整設定パターンが選択される。
【0008】
しかしながら、このように、動画データから切り出した複数フレームの静止画データに対して異なる画質調整が施された場合に、そのような複数フレームの静止画データに基づく複数の静止画が一括して表示されたり印刷されたりすると、静止画間で色表現などに差異が生じ、ユーザに対して違和感を与えてしまう可能性がある。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、動画データから複数フレームの静止画データを抽出し各フレームの静止画データに対して画質調整を施す場合に、抽出された複数フレームの静止画を通じて、画質調整に起因した違和感をユーザに与えにくくすることができる画像処理装置、コンピュータプログラム、画像出力装置および画質調整方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0011】
本発明に係る画像処理装置は、動画データから所定の複数フレームの静止画データを抽出する静止画抽出手段と、静止画抽出手段により抽出された複数フレームの静止画データのそれぞれに対して同一設定パターンの画質調整を施す画質調整手段とを備える。
【0012】
これにより、動画データから抽出された複数フレームの静止画データに対して同一設定パターンの画質調整が施されるため、1つの動画から抽出された複数の静止画が出力後で列挙されても、画質調整に起因した違和感をユーザに与えにくくすることができる。
【0013】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置に加え、次のようにしてもよい。つまり、その場合には、画質調整手段は、複数の画質調整設定パターンのいずれでも画質調整を実行可能であり、複数フレームの静止画データのうちのいずれか1フレームの静止画データを解析して得られる画質特性に基づいて、複数の画質調整設定パターンのいずれかを選択し、選択した設定パターンで、複数フレームの静止画データに対して同一設定パターンの画質調整を施す。
【0014】
これにより、画質特性を得るための静止画データの解析が1フレーム分だけでよく、少ない計算量で適切な画質調整設定パターンを選択することができる。
【0015】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置に加え、次のようにしてもよい。つまり、その場合には、画質調整手段は、複数フレームの静止画データのうちの最先の1フレームの静止画データを解析して得られる画質特性に基づいて複数の画質調整設定パターンのいずれかを選択し、選択した設定パターンで、複数フレームの静止画データに対して同一設定パターンの画質調整を施す。
【0016】
これにより、最先の1フレームの静止画は出力後に注目されやすいので、その静止画に合った画質調整設定パターンが選択され、少ない計算量でより適切な画質調整設定パターンを選択することができる。
【0017】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。つまり、その場合には、画質調整手段は、複数フレームから、操作部への入力に基づいて1フレームを選択し、その1フレームの静止画データを解析して得られる画質特性に基づいて、複数の画質調整設定パターンのいずれかを選択し、選択した設定パターンで、複数フレームの静止画データに対して同一設定パターンの画質調整を施す。
【0018】
これにより、ユーザ所望の静止画の画質特性に合った画質調整設定パターンが選択され、少ない計算量でより適切な画質調整設定パターンを選択することができる。
【0019】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。つまり、その場合には、画質調整手段は、複数の画質調整設定パターンのいずれでも画質調整を実行可能であり、複数フレームの静止画データのうちの中央の1または2フレームの静止画データを解析して得られる画質特性に基づいて複数の画質調整設定パターンのいずれかを選択し、選択した設定パターンで、複数フレームの静止画データに対して同一設定パターンの画質調整を施す。
【0020】
これにより、ある動作の開始から終了までを含む動画の場合、その動画の中央部分について適切な画質調整設定パターンが選択されるため、その動作の最中の静止画に合った画質調整設定パターンが選択される。
【0021】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。つまり、その場合には、画質調整手段は、複数の画質調整設定パターンのいずれでも画質調整を実行可能であり、複数フレームの一部または全部の静止画データを解析して各フレームの画質特性を特定し、各フレームの画質特性に対応する各フレームの画質調整設定パターンを特定し、同一設定パターンのフレーム数が最大となる画質調整設定パターンで、複数フレームの静止画データに対して同一設定パターンの画質調整を施す。
【0022】
これにより、画質調整設定パターンを自動的に選択する場合に、適切な画質調整設定パターンが選択される可能性が高くなる。
【0023】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。つまり、その場合には、画質調整手段は、複数の画質調整設定パターンとして、被写体が人物である場合の第1の画質調整設定パターン、被写体が風景である場合の第2の画質調整設定パターン、および被写体を限定しない汎用の第3の画質調整設定パターンのいずれでも画質調整を実行可能である。
【0024】
これにより、被写体の種類に応じて適切な画質調整が施されるため、より画質調整に起因した違和感をユーザに与えにくくすることができる。
【0025】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。つまり、その場合には、画質調整手段は、被写体が人物である場合の第1の画質調整設定パターン、被写体が風景である場合の第2の画質調整設定パターン、および、被写体を限定しない汎用の第3の画質調整設定パターンのいずれでも画質調整を実行可能であり、第3の画質調整設定パターンで、複数フレームの静止画データに対して同一設定パターンの画質調整を施す。
【0026】
これにより、動画から抽出された複数の静止画の被写体がどのような被写体であっても、被写体の種類と合致しない設定パターンでの画質調整が施されずに済み、良好な画質調整が施されるため、画質調整に起因した違和感をユーザに与えにくくすることができる。
【0027】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。つまり、その場合には、区間選択手段は、操作部へ入力された開始位置と終了位置から動画データ内のある区間を選択し、静止画抽出手段は、区間選択手段により選択された区間の動画データから、静止画間のフレーム間隔が略一定となるように複数のフレームを選択してその静止画データを抽出し、画質調整手段は、静止画抽出手段により抽出された複数フレームの静止画データに対して同一設定パターンで画質調整を施す。
【0028】
これにより、動画データ内の所望の区間を簡単に選択できるとともに、その区間内における所定の複数の静止画の出力を、画質調整に起因した違和感をユーザに与えずに行うことができる。
【0029】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、動画データから所定の複数フレームの静止画データを抽出する静止画抽出手段と、静止画抽出手段により抽出された複数フレームの静止画データのそれぞれに対して同一設定パターンの画質調整を施す画質調整手段とを実現させるためのものである。
【0030】
これにより、動画データから抽出された複数フレームの静止画データに対して同一設定パターンの画質調整が施されるため、1つの動画から抽出された複数の静止画が印刷後に列挙されても、画質調整に起因した違和感をユーザに与えにくくすることができる。
【0031】
本発明に係る画像出力装置は、上記発明の画像処理装置のいずれかと、その画像処理装置の画質調整手段により同一設定パターンの画質調整を施された所定の複数枚数の静止画を1枚の印刷用紙に印刷する印刷制御部とを備える。
【0032】
これにより、動画データから抽出された複数フレームの静止画データに対して同一設定パターンの画質調整が施された後で複数フレームの静止画が印刷されるため、1つの動画から抽出された複数の静止画が列挙して出力されても、画質調整に起因した違和感をユーザに与えにくくすることができる。
【0033】
本発明に係る画質調整方法は、動画データを取得するステップと、動画データから所定の複数フレームの静止画データを抽出するステップと、抽出した上記複数フレームの静止画データのそれぞれに対して同一設定パターンの画質調整を施すステップとを備える。
【0034】
これにより、動画データから抽出された複数フレームの静止画データに対して同一設定パターンの画質調整が施されるため、1つの動画から抽出された複数の静止画が印刷後に列挙されても、画質調整に起因した違和感をユーザに与えにくくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明の実施の形態を印刷装置として説明する。
【0036】
本発明の実施の形態に係る印刷装置は、動画ファイル内の1つの動画データから所定フレーム数の静止画データを抽出しその複数の静止画データに基づく複数の静止画を一括して印刷する画像出力装置である。また、この印刷装置は、動画ファイル内の動画データから抽出した所定フレーム数の静止画データに対して画質調整を施す画像処理装置としての機能を有する。
【0037】
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷装置を示す斜視図である。図1に示すように、この印刷装置には、前面に操作パネル1および開閉蓋2がある。開閉蓋2を開くと図示せぬ排紙口および給紙口が現れる。
【0038】
図2は、図1における操作パネル1の構成を示す図である。操作パネル1は、ユーザインタフェースを構成し、表示部としてのディスプレイ11、および操作部としての十字キー21、OKキー22、表示切替キー23、戻るキー24、印刷枚数増減キー25、スタートキー26、印刷設定キー31、モード切替キー32、ストップキー33、電源キー34などを有する。各キー21〜26,31〜34は、電気的なスイッチを有し、ユーザによる押下操作を受けるとスイッチの導通状態が変化する。これらのキー21〜26は、ディスプレイ11に表示された各種選択肢を選択したり表示状態を移行させる際に操作される。
【0039】
図3は、本発明の実施の形態に係る印刷装置の電気的な構成を示すブロック図である。図3において、CPU41は、コンピュータプログラムを実行し、コンピュータプログラムに記述された処理を実行する演算処理装置である。また、ROM42は、コンピュータプログラムおよびデータを予め記憶したフラッシュROMなどの不揮発性メモリであり記録媒体である。また、RAM43は、コンピュータプログラムを実行する際にそのプログラムおよびデータを一時的に記憶するメモリである。
【0040】
また、ディスプレイ11は、1.5〜3.0インチ程度の液晶ディスプレイなどといった表示装置である。また、操作部44は、上述のキー21〜26,31〜33などの、ユーザによる操作を電気的に検出する部品を有する部分である。
【0041】
また、メモリカードインタフェース45は、図示せぬメモリカードを挿入されるとメモリカードに電気的に接続するインタフェース回路である。メモリカードはメモリカードインタフェース45に対して挿抜可能である。このようなメモリカードとしては、SDカード、メモリースティックなどがあり、メモリカードには、動画データを含む動画ファイル、静止画データを含む静止画ファイルなどが格納される。なお、動画ファイルは、各種MPEG(Moving Picture Experts Group)方式、H.264方式などのフォーマットの動画データを含むファイルである。
【0042】
また、通信インタフェース46は、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラなどの機器をケーブルまたは無線通信で接続され、動画ファイル、静止画ファイルなどを受信するインタフェース回路である。通信インタフェース46は、USB(Universal Serial Bus)、ブルートゥース、赤外線通信などの有線または無線の通信規格に準拠したものとされる。
【0043】
また、印刷部47は、インクを吐出する印刷ヘッド、給排紙用のモータ、印刷用紙や印刷ヘッドの位置を検出するセンサなどを有し、印刷用紙に対して画像を印刷する部分である。
【0044】
また、インタフェース48は、印刷部47における各要素に電気的に接続され、印刷部47への制御信号を供給したり、印刷部47からのセンサ信号を取得したりするインタフェース回路である。
【0045】
また、バス49は、CPU41、ROM42、RAM43、操作部44、ディスプレイ11、メモリカードインタフェース45、通信インタフェース46およびインタフェース48を相互に接続する信号路である。CPU41は、バス49を介して、操作部44、ディスプレイ11、メモリカードインタフェース45、通信インタフェース46およびインタフェース48とのデータの授受を行う。なお、バス49の形態は図3のものに限定されるものではない。
【0046】
なお、動画ファイル、静止画ファイルなどを蓄積する大規模データ格納装置がバス49に接続され、メモリカードインタフェース45およびメモリカードの代わりにあるいはともに使用されるようにしてもよい。そのような大規模データ格納装置としては、ハードディスクドライブ、光学ディスクメディアを挿入されたディスクドライブなどがある。
【0047】
図4は、図3におけるCPU41により所定のコンピュータプログラムが実行されることで実現される各処理部を示すブロック図である。CPU41がROM42などに格納されたコンピュータプログラムをロードし実行することにより各種機能を有する処理部が図4に示すように実現される。
【0048】
図4において、印刷方法決定部51は、動画ファイルによる動画のうち、1フレームの静止画のみを印刷する「1フレーム印刷」、および動画の所定区間内の所定フレーム数の複数の静止画を印刷する「複数フレーム印刷」のいずれかの印刷方法を選択する処理部である。印刷方法決定部51は、ディスプレイ11にメニュー画像を表示させ、操作部44へのユーザ操作に基づいて印刷方法を選択する。
【0049】
また、動画ファイル指定部52は、印刷対象となる静止画の抽出元となる動画ファイルを指定する処理部である。例えば、動画ファイル指定部52は、メモリカードインタフェース45に接続されたメモリカードに格納されている1または複数の動画ファイルのリストをディスプレイ11に表示させ、操作部44へのユーザ操作に基づいて1つの動画ファイルを選択する。
【0050】
また、1フレーム選択部53は、「1フレーム印刷」において、動画ファイル内の動画データから1フレームの静止画データを抽出する処理部である。1フレーム選択部53は、動画ファイル内の動画データに基づいて指定位置の静止画データを抽出し、動画の全長における指定位置の場所を示す画像、および抽出した静止画データに基づく静止画(あるいはサムネイル画像)をディスプレイ11に表示させ、操作部44へのユーザ操作に基づいて、静止画を切り出す指定位置を変更したり、抽出する静止画データを確定したりする。
【0051】
また、区間選択部54は、「複数フレーム印刷」において、動画ファイル内の動画データから複数フレームの静止画データを抽出する動画区間を選択する処理部である。区間選択部54は、動画ファイル内の動画データに基づいて指定位置の静止画データを抽出し、動画の全長における指定位置の場所を示す画像、動画の全長における区間開始位置の場所を示す画像、動画の全長における区間終了位置の場所を示す画像、および抽出した静止画データに基づく静止画(あるいはサムネイル画像)をディスプレイ11に表示させ、操作部44へのユーザ操作に基づいて、静止画を切り出す指定位置を変更したり、その時点の指定位置を区間開始位置に設定したり、その時点の指定位置を区間終了位置に設定したり、静止画抽出の処理対象となる動画区間を確定したりする。
【0052】
また、静止画抽出部55は、区間選択部54により選択された動画区間から所定フレーム数(この実施の形態では12)の静止画データを抽出する処理部である。静止画抽出部55は、区間選択部54により選択された区間開始位置のフレームおよび区間終了位置のフレームとの間を(所定フレーム数−1)等分した位置に存在する中間フレームを特定し、動画ファイル内の動画データから、区間開始位置のフレーム、区間終了位置のフレームおよびその中間フレームの静止画データを抽出する。つまり、静止画抽出部55は、動画区間内の全フレームの一部のフレームであって、等間隔に位置する所定数のフレームを抽出する。
【0053】
また、印刷制御部56は、1フレーム選択部53により抽出された1フレームの静止画データに基づく画像の印刷処理、および静止画抽出部55により抽出された複数フレームの静止画データに基づく複数の画像の印刷処理を実行する処理部である。印刷制御部56は、画像処理部57を使用しつつ、インタフェース48を介して印刷部47を制御して印刷処理を実行し、印刷用紙に画像を印刷させる。この実施の形態では、印刷制御部56は、静止画抽出部55により抽出された複数フレームの静止画データに基づく複数の画像を1枚の印刷用紙に印刷させる。
【0054】
また、画像処理部57は、1フレーム選択部53により抽出された1フレームの静止画データ、および静止画抽出部55により抽出された複数フレームの静止画データに対する画質調整処理、色変換処理、ハーフトーン処理などの画像処理を実行する処理部である。
【0055】
画像処理部57は、静止画抽出部55により抽出された複数フレームの静止画データに対する画質調整処理では、複数の静止画データに対して同一設定パターンの画質調整を施す。画質調整の設定パターンとしては、少なくとも「人物」、「風景」および「標準」の3つがある。
【0056】
なお、画像処理部57での画像処理としては、例えば特開2002−344989号公報に開示されるものを使用することができる。
【0057】
画質調整処理では、画像処理部57は、静止画データを解析してその静止画データの特性を示す画像統計値(特性パラメータ値)を取得し、所定の基準パラメータ値および画像統計値との偏差に基づいて自動画質調整パラメータを決定する。そして、画像処理部57は、この自動画質調整パラメータに基づいてその画像データの画質を調整する。自動画質調整パラメータには、シャドウ、ハイライト、明度、コントラスト、カラーバランス、記憶色などのパラメータがある。
【0058】
画像処理部57は、シャドウ、ハイライト、明度、コントラスト、カラーバランス、記憶色補正の各自動画質調整パラメータに対しては、静止画データのRGB成分の入力レベルと出力レベルとを対応付けるトーンカーブ(Sカーブ)を用いて画質の調整を実行する。トーンカーブを用いて画質を調整する場合には、自動画質調整パラメータの値を反映して、RGBの各成分のトーンカーブが変更され、最後に、変更されたRGBの各成分のトーンカーブを用いて静止画データのRGBの各成分が修正される。これにより、画質が調整された静止画データが得られる。
【0059】
各自動画質調整パラメータに基づく画質調整処理は、画質調整設定パターンに応じて、例えば、以下のように実行される。コントラスト、シャドー、ハイライトについては、静止画データからシャドウポイントとハイライトポイントとが検出され、これらのシャドウポイントとハイライトポイントの値に基づいて、全体のレベル補正が実行される。また、輝度標準偏差に基づいてトーンカーブの補正が実行される。明るさについては、静止画データを14分割した個々の領域から計算される輝度値に基づいて、画像が暗いか(露出不足)、明るいか(露出超過)が判定され、判定結果に応じてトーンカーブが補正される。カラーバランスについては、静止画データのRGB各成分のヒストグラムからカラーバランスの偏りが分析され、RGB各成分のトーンカーブがそれぞれ補正される。これにより、色かぶりが軽減される。彩度については、静止画データの彩度分布が分析され、彩度分布に応じて彩度が強調される。したがって、低彩度の静止画データほど彩度強調のレベルが大きくなる。シャープネスについては、空間周波数が高い風景と、低い人物とでは異なるアンシャープマスクが使用される。記憶色については、記憶色と呼ばれる「肌色」(「人物」に対応)、「緑色」(「風景」に対応)、「空色」(「風景」に対応)、「夕陽の赤色」(「風景」に対応)等について、静止画データから該当する画層が抽出され、各記憶色として好ましい色になるよう補正が実行される。
【0060】
また、色変換処理では、画質調整処理後の静止画データの色空間が、CMYK色空間へ変換され、印刷時のインク種類に対応する色空間へ変換される。また、ハーフトーン処理では、色変換済みの静止画データの階調数が変換される。例えば、色変換後の静止画データは各色毎に256階調のデータとされる。一方、印刷時には、印刷時のドットの有無を表す2階調のデータが使用されるため、階調が変換される。2階調化の方法としては、誤差拡散法、組織的ディザ法などがある。
【0061】
次に、上記装置の動作について説明する。図5は、本発明の実施の形態に係る印刷装置の動作を説明するフローチャートである。
【0062】
まず、動画内の静止画を印刷する動画印刷モードとなると、CPU41は、ROM42などに格納されている所定のコンピュータプログラムをロードして実行する。これにより、図4に示す各処理部が実現される。
【0063】
動画印刷モードでは、まず、印刷方法決定部51は、項目「1フレーム印刷」と項目「複数フレーム印刷」を含むメニュー画像をディスプレイ11に表示させる。その後、印刷方法決定部51は、操作部44の状態を監視して、操作部44へのユーザ操作を待ち、ユーザによる選択操作が検出されると、その選択操作に応じた印刷方法を選択する(ステップS1)。
【0064】
次に、動画ファイル指定部52は、動画ファイルの格納場所としてメモリカードが使用される場合、メモリカードインタフェース45を介して、メモリカードの内の動画ファイルのリストを取得し、その動画ファイルの名称などの一覧をディスプレイ11に表示させる。その後、動画ファイル指定部52は、操作部44の状態を監視して、操作部44へのユーザ操作を待ち、ユーザによる選択操作が検出されると、その選択操作に応じた動画ファイルを選択する(ステップS2)。
【0065】
そして、ステップS1で選択された印刷方法が「1フレーム印刷」であるか「複数フレーム印刷」であるかが判定される(ステップS3)。
【0066】
選択された印刷方法が「1フレーム印刷」である場合、1フレーム選択部53が、印刷対象となる1フレームの静止画データの選択および抽出を行い(ステップS4)、印刷制御部56および画像処理部57が、選択された1フレームの静止画データに対する画像処理および印刷処理を実行する(ステップS5,S6)。
【0067】
一方、選択された印刷方法が「複数フレーム印刷」である場合、区間選択部54および静止画抽出部55が、印刷対象となる複数フレームの静止画データの選択および抽出を行い(ステップS7,S8)、印刷制御部56および画像処理部57が、選択された複数フレームの静止画データに対する画像処理および印刷処理を実行する(ステップS9,S10)。
【0068】
最初に「1フレーム印刷」について説明する。図6は、「1フレーム印刷」の際の図2のディスプレイ11の表示例を示す図である。
【0069】
「1フレーム印刷」が選択されると、1フレーム選択部53は、動画内の静止画を指定する指定位置を動画ファイルの最初のフレームとし、まず、操作部44と動作との対応関係を示す操作説明61に表示し、動画の全長における指定位置の場所を示すスライドバー画像62を表示する。なお、図6に示す例では、OKキー22が、印刷対象の1フレームを決定する動作に対応付けられ、十字キー21のうちの左右キーが、指定位置の戻しと早送りに対応付けられ、十字キー21のうちの上下キーが、指定位置からの動画再生と一時停止に対応付けられている。また、表示切替キー23が、後述するチャプター表示への表示切替動作に対応付けられている。また、図6に示す例では、指定位置は、スライドバー画像62のポインタ画像62aで示される。
【0070】
そして、1フレーム選択部53は、ステップS2で選択された動画ファイル内の動画データに基づいて指定位置の静止画データを抽出し、その静止画データに基づく静止画63をディスプレイ11に表示させる。その後、1フレーム選択部53は、操作説明61に表示されているOKキー22、十字キー21および表示切替キー23の状態を監視して、ユーザ操作を待ち、ユーザによるキーの押下操作が検出されると、そのキーに対応付けられている動作を行い、操作に応じて指定位置を適宜移動させ、最終的にOKキー22が押下された際の指定位置のフレームを印刷対象のフレームと判断する(ステップS4)。
【0071】
つまり、十字キー21の右キーが押下されると、1フレーム選択部53は、押下中、スライドバー画像62内のポインタ画像62aの表示位置を継続的に動画終端の方向へ移動させ、押下完了時点のポインタ画像62aの表示位置を指定位置として指定位置の静止画データを抽出し静止画を表示させる。また、十字キー21の左キーが押下されると、1フレーム選択部53は、押下中、スライドバー画像62内のポインタ画像62aの表示位置を継続的に動画始端の方向へ移動させ、押下完了時点のポインタ画像62aの表示位置を指定位置として指定位置の静止画データを抽出し静止画を表示させる。また、十字キー21の上キーが押下されると、1フレーム選択部53は、その時点での指定位置からの動画の再生を行いディスプレイ11に表示させる。その際、1フレーム選択部53は、動画の再生位置に応じてポインタ画像62aを自動的に動画終端の方向へ移動させる。その後、十字キー21の下キーが押下されると、1フレーム選択部53は、動画再生を止め、その時点での指定位置の静止画をディスプレイ11に表示させるとともに、ポインタ画像62aの移動も併せて停止する。これにより、ユーザは、ディスプレイ11で画像を確認しつつ操作部44を操作して、ユーザ所望のフレームへ指定位置を移動させることができる。その後、ユーザがOKキー22を押下すれば、その時点の指定位置のフレームが印刷対象のフレームに確定される。つまり、1フレーム選択部53は、OKキー22の押下を検出すると、その時点の指定位置のフレームが印刷対象のフレームであると判断し、そのフレームの静止画データを印刷対象のフレームの静止画データとする。
【0072】
1フレーム選択部53により印刷対象のフレームが選択されると、印刷制御部56は、その1フレームの静止画データに対する画像処理を画像処理部57に実行させつつ、画像処理後のデータに基づいて印刷部47を制御してその1フレームの画像を印刷させる。その際、画像処理部57は、その1フレームの静止画データに最適な画質調整設定パターンを選択し、その後、所定数のラインずつその設定パターンでの画質調整処理(ステップS5)、色変換処理およびハーフトーン処理を行う。印刷制御部56は、画像処理後の静止画データに基づいて印刷部47への制御信号を生成し、印刷部47は、インタフェース48を介して印刷制御部56との間で制御信号およびセンサ信号の授受を行い、印刷制御部56からの制御信号に従って印刷用紙などの媒体へ印刷を行う(ステップS6)。
【0073】
ここで、画質調整処理の詳細について説明する。上述のように、画像処理部57での画質調整処理には、少なくとも「標準」、「人物」および「風景」の処理モードがある。
【0074】
画像処理部57は、まず、選択された1フレームの静止画データの全域を参照して、被写体が人物または風景であるかの判定を行う。この判定には、例えば出願人が先に出願した特願2004−291517号の技術を使用することができる。
【0075】
その技術では、被写体が人物であるか否かの判定として、静止画内に顔が存在するか否かの判定が行われる。静止画内に顔が存在するか否かの判定については、肌色に相当するRGB値の範囲が予め設定され、そのRGB値の範囲内の色を有する領域(肌色領域)が検出され、次に、その肌色領域内で明度の低い箇所を両目および口と仮定してそれらの3箇所の位置が所定条件を満たした場合には、顔が存在すると判定される。
【0076】
また、被写体が風景であるか否かの判定については、空色に相当するRGB値の範囲が予め設定され、被写体が人物ではない静止画について、そのRGB値の範囲内の色を有する領域(空色領域)が検出され、次に、その空色領域が静止画の少なくとも一辺に接していなければ、被写体が空ありの風景であると判定され、また、緑色に相当するRGB値の範囲が予め設定され、被写体が人物ではない静止画について、そのRGB値の範囲内の色を有する領域(緑色領域)が検出され、次に、その緑色領域が静止画の少なくとも一辺に接していなければ、被写体が緑色(山や葉)ありの風景であると判定される。
【0077】
画像処理部57は、被写体が人物であると判定した場合には、画質調整処理の処理モードを「人物」とし、被写体が風景であると判定した場合には、画質調整処理の処理モードを「風景」とし、被写体が人物および風景のいずれでもないと判定した場合には、画質調整処理の処理モードを「標準」とする。
【0078】
「標準」モードでは、画像処理部57は、静止画データより得られた画質パラメータ値に基づいて、その静止画データに対して上述の画質調整処理を施す。
【0079】
また、「人物」モードでは、画像処理部57は、静止画データより得られた画質パラメータ値に基づいて、その静止画データ全域に対して上述の画質調整処理を施すが、肌色領域の色を所定の良好な肌色とする画質調整およびソフトフォーカス(アンシャープネス)処理を含めて実行する。
【0080】
また、「風景」モードでは、画像処理部57は、静止画データより得られた画質パラメータ値に基づいて、その静止画データ全域に対して上述の画質調整処理を施すが、被写体が空ありの風景である場合には、空色領域の色を所定の良好な空色とする画質調整を含めて実行し、また、被写体が緑色ありの風景である場合には、緑色領域の色を所定の良好な緑色とする画質調整を含めて実行する。
【0081】
以上のようにして、動画内の1枚の画像を印刷する「1フレーム印刷」が実行される。
【0082】
次に、「複数フレーム印刷」について説明する。図7は、区間開始位置を設定する際の図2のディスプレイ11の表示例を示す図である。図8は、区間終了位置を設定する際の図2のディスプレイ11の表示例を示す図である。
【0083】
「複数フレーム印刷」が選択されると、区間選択部54は、動画内の静止画を指定する指定位置を動画ファイルの最初のフレームとし、まず、操作部44と動作との対応関係を示す操作説明61に表示し、動画の全長における指定位置の場所を示すスライドバー画像62を表示する。なお、図7に示す操作説明61の例では、OKキー22が、印刷対象の動画区間の開始フレームを決定する動作に対応付けられ、十字キー21のうちの左右キーが、指定位置の戻しと早送りに対応付けられ、十字キー21のうちの上下キーが、指定位置からの動画再生と一時停止に対応付けられている。また、表示切替キー23が、後述するチャプター表示への表示切替動作に対応付けられている。また、図7に示す例では、指定位置は、スライドバー画像62のポインタ画像62aで示される。
【0084】
そして、区間選択部54は、ステップS2で選択された動画ファイル内の動画データに基づいて指定位置の静止画データを抽出し、その静止画データに基づく静止画63をディスプレイ11に表示させる。その後、区間選択部54は、操作説明61に表示されているOKキー22、十字キー21および表示切替キー23の状態を監視して、ユーザ操作を待ち、ユーザによるキーの押下操作が検出されると、そのキーに対応付けられている動作を行い、操作に応じて指定位置を適宜移動させ、OKキー22が押下された際の指定位置のフレームを印刷対象の動画区間の開始フレーム(区間開始位置)として選択する(ステップS7)。「複数フレーム印刷」開始から区間開始位置が決定されるまでの期間において十字キー21が押下された場合の区間選択部54の動作は、「1フレーム印刷」の際の1フレーム選択部53の動作と同様である。
【0085】
このようにして、ユーザ所望の位置が印刷対象の動画区間の開始フレームとされる。そして、印刷対象の動画区間の開始フレーム(区間開始位置)が選択されると、次に、動画区間の終了フレーム(区間終了位置)が選択される。
【0086】
印刷対象の動画区間の開始フレーム(区間開始位置)が選択されると、区間選択部54は、ディスプレイ11に表示される操作説明61を変更する。変更後の操作説明61では、図8に示すように、OKキー22が、印刷対象の動画区間の終了フレームを決定する動作に対応付けられる。なお、十字キー21および表示切替キー23に関する操作説明61およびそれらに対応付けられた動作は、そのままである。
【0087】
その後、区間選択部54は、操作説明61に表示されているOKキー22、十字キー21および表示切替キー23の状態を監視して、ユーザ操作を待ち、ユーザによるキーの押下操作が検出されると、そのキーに対応付けられている動作を行い、操作に応じて指定位置を適宜移動させる。指定位置が移動すると、それに応じてスライドバー画像62のポインタ画像62aの表示位置が移動する。区間開始位置が決定されてから区間終了位置が決定されるまでの期間においては、開始フレームでのポインタ画像62aの位置から現時点のポインタ画像62aの位置までの区間62bは、スライドバーの他の部分とは異なる色および/または模様で表示される。そして、区間選択部54は、OKキー22が押下された際の指定位置のフレームを印刷対象の動画区間の終了フレーム(区間終了位置)として選択する(ステップS7)。
【0088】
このようにして、ユーザ所望の位置が印刷対象の動画区間の終了フレームとされ、一連の動作により、印刷対象の動画区間の開始位置と終了位置が決定される。
【0089】
印刷対象の動画区間の開始位置と終了位置が決定されると、静止画抽出部55は、区間選択部54により選択された区間開始フレームから区間終了フレームまでの動画区間のうちの所定数(この実施の形態では12)のフレームの静止画データを動画データから抽出する。
【0090】
その際、静止画抽出部55は、まず、区間開始位置、区間終了位置および必要なフレーム数(静止画数)に基づいて、区間開始位置および区間終了位置以外に抽出すべきフレーム(中間フレーム)を特定する(ステップS8)。
【0091】
例えば、抽出するフレーム数をNfとし、区間開始フレームのフレーム番号をFsとし、区間終了フレームのフレーム番号をFeとすると、区間開始フレームから区間終了フレームまで、{(Fe−Fs)/(Nf−1)}フレーム毎にフレームを選択していけばよい。その際、区間開始フレームおよび区間終了フレームを予め選択し、残りの(Nf−2)フレームをそのように選択すればよい。なお、上記計算によりフレーム番号が実数になる場合は、小数点以下を切り捨てたり、切り上げたり、四捨五入してなどして整数とすればよい。具体例を示すと、Nf=12,Fe=1,Fs=1000とし、小数点以下を切り捨てる場合には、フレーム番号91、182、273、364、455、545、636、727、818および909の10フレームが中間フレームとされる。
【0092】
そして、静止画抽出部55は、中間フレームを特定すると、動画ファイル内の動画データから、区間開始位置のフレーム、区間終了位置のフレームおよびその中間フレームの静止画データを抽出する。
【0093】
静止画抽出部55により印刷対象の複数フレームの画像データが抽出されると、印刷制御部56は、それらの複数フレームの静止画データに基づき、複数フレームの静止画を配列させてディスプレイ11に表示させる。図9は、抽出された複数フレームの静止画の一括表示の例を示す図である。図9では、12フレームの静止画71−1〜71−12が表示されている。また、操作説明61では、印刷枚数と印刷枚数増減キー25が表示され、スタートキー26が印刷開始動作に対応付けられている。
【0094】
そして、印刷制御部56は、それらの複数フレームの静止画データに対する画像処理を画像処理部57に実行させつつ、画像処理後のデータに基づいて印刷部47を制御してその複数フレームの画像を印刷させる。その際、画像処理部57は、それらの複数フレームの静止画データに対して一定の画質調整処理を実行した後(ステップS9)、色変換処理およびハーフトーン処理を行う。また、印刷部47は、インタフェース48を介して印刷制御部56との間で制御信号およびセンサ信号の授受を行い、印刷制御部56からの制御信号に従って印刷用紙などの媒体へ印刷を行う(ステップS10)。
【0095】
上述のとおり、画像処理部57での画質調整処理には、少なくとも「標準」、「人物」および「風景」の処理モードがある。「複数フレーム印刷」では、画像処理部57は、このうちの1つの処理モードのみで、複数フレームの静止画データすべてに対して画質調整処理を行う。つまり、画像処理部57は、各静止画データについて、自動画質調整パラメータ値の特定および自動画質調整パラメータ値に基づいてその一定の処理モードでの画質調整処理を行う。
【0096】
「複数フレーム印刷」での一定の処理モードは、例えば、予め設定されたデフォルトのもの(例えば「標準」)とされる。その場合、画像処理部57は、選択された複数フレームの静止画について被写体が人物または風景であるかの判定を行わず、自動画質調整パラメータ値の特定およびその一定の処理モードでの画質調整処理を行う。
【0097】
あるいは、「複数フレーム印刷」での一定の処理モードは、画像処理部57により、操作部44へのユーザ操作に基づき選択されたものとしてもよい。
【0098】
あるいは、「複数フレーム印刷」での一定の処理モードは、画像処理部57により、複数フレームのうちの一部または全部のフレームについて被写体の判定処理を行い、その判定処理の結果に基づいて決定されるようにしてもよい。その場合、例えば、複数フレームの先頭フレームのみについて被写体の判定処理を行い、その判定処理の結果に基づいて決定される。あるいは、例えば、全フレームについて被写体の判定処理を行い、その判定処理の結果に基づき、全フレームについて処理モードが一致した場合のその処理モード、フレーム数の最も多い処理モードなどを、「複数フレーム印刷」での一定の処理モードとしてもよい。全フレームについて被写体の判定処理を行った場合に、所定数以上、同一種類の被写体とならなかった場合にはデフォルトの処理モードが選択されるようにしてもよい。あるいは、例えば、複数フレームのうちの中央のフレームについて被写体の判定処理を行い、その判定処理の結果に基づいて決定するようにしてもよい。その場合、中央のフレームとは、複数のフレームが一括して印刷される場合の中央となるフレームである。例えば、図9の画像71−1〜71−12の配置で印刷される場合には、画像71−6,71−7のフレームが中央となる。また、この場合のように、中央のフレームが1つではなく2つとなる場合には、それらの2フレームについて被写体の判定処理を行い、その判定処理の結果に基づいて、上述の一定の処理モードを決定すればよい。2フレームの処理モードが同一である場合には、その処理モードが選択され、2フレームの処理モードが互いに異なる場合には、デフォルトの処理モードが選択されるようにしてもよい。
【0099】
このように、複数フレームの静止画データに対して、一定の処理モードで画質調整が施され、さらに残りの画像処理が施されつつ、所定のレイアウト(例えば静止画が12枚の場合には12アップ)で、所定ライン数ずつ複数の静止画が印刷される。
【0100】
以上のようにして、動画の所定の区間内の一定間隔で連続する複数枚の画像を一括して印刷する「複数フレーム印刷」が実行される。
【0101】
ここで、チャプター表示について説明する。図10は、実施の形態に係る印刷装置でのチャプター表示の一例を示す図である。
【0102】
チャプター表示とは、動画ファイル内の動画データの全長を一定間隔で分割した仮想的なチャプターを設定し、そのチャプターごとに動画を再生表示可能としたものである。
【0103】
図6、図7および図8に示す状態で表示切替キー23が押下されると、1フレーム選択部53または区間選択部54は、ディスプレイ11の表示を図10に示すようなチャプター表示に切り替える。例えば図10に示す例では、動画の先頭以外に4つのチャプターが設定され、スライドバー画像62における各チャプターの先頭位置にポインタ画像62a1〜62a4が表示されるとともに、各チャプターの先頭位置のフレームの画像81−1〜81−4が表示される。そして、十字キー21の左右キーで選択中のチャプターが変化する。選択中のチャプターについては、画像81−2に太枠が表示されるとともに、ポインタ画像62a2の色が他のものとは別の色に変更される。OKキー22またはスタートキー26が押下されると、図6、図7または図8に示す元の状態に戻り、そのチャプターの先頭位置からの動画再生が開始される。
【0104】
以上のように、上記実施の形態によれば、静止画抽出手段としての静止画抽出部55が、動画データから所定の複数フレームの静止画データを抽出し、画質調整手段としての画像処理部57が、静止画抽出部55により抽出された複数フレームの静止画データのそれぞれに対して同一設定パターンの画質調整を施す。
【0105】
これにより、動画データから抽出された複数フレームの静止画データに対して同一設定パターンの画質調整が施されるため、1つの動画から抽出された複数の静止画が印刷後で列挙されても、画質調整に起因した違和感をユーザに与えにくくすることができる。
【0106】
また、上記実施の形態によれば、画像処理部57は、複数の画質調整設定パターン(ここでは3つの処理モード)のいずれでも画質調整を実行可能であり、複数フレームの静止画データのうちのいずれか1フレームの静止画データを解析して得られる画質特性(ここでは、自動画質調整パラメータ値)に基づいて、複数の画質調整設定パターンのいずれかを選択し、選択した設定パターンで、複数フレームの静止画データすべてに対して同一設定パターンの画質調整を施す。
【0107】
これにより、画質特性を得るための静止画データの解析が1フレーム分だけでよく、少ない計算量で適切な画質調整設定パターンを選択することができる。
【0108】
また、上記実施の形態では、画像処理部57は、複数フレームの静止画データのうちの最先の1フレームの静止画データを解析して得られる画質特性に基づいて複数の画質調整設定パターンのいずれかを選択し、選択した設定パターンで、複数フレームの静止画データすべてに対して同一設定パターンの画質調整を施すようにしてもよい。その場合、最先の1フレームの静止画は出力後に注目されやすいので、その静止画に合った画質調整設定パターンが選択され、少ない計算量でより適切な画質調整設定パターンを選択することができる。
【0109】
また、上記実施の形態では、画像処理部57は、複数フレームから、操作部44への入力に基づいて1フレームを選択し、その1フレームの静止画データを解析して得られる画質特性に基づいて画質調整設定パターンを選択し、選択した設定パターンで、複数フレームの静止画データすべてに対して同一設定パターンの画質調整を施すようにしてもよい。その場合、ユーザ所望の静止画の画質特性に合った画質調整設定パターンが選択され、少ない計算量でより適切な画質調整設定パターンを選択することができる。
【0110】
また、上記実施の形態では、画像処理部57は、複数フレームの静止画データのうちの中央の1または2フレームの静止画データを解析して得られる画質特性に基づいて画質調整設定パターンを選択し、選択した設定パターンで、複数フレームの静止画データすべてに対して同一設定パターンの画質調整を施すようにしてもよい。その場合、例えばゴルフのスウィング動作など、ある動作の開始から終了までを含む動画の場合、その動画の中央部分について適切な画質調整設定パターンが選択されるため、その動作の最中の静止画に合った画質調整設定パターンが選択される。
【0111】
また、上記実施の形態では、画像処理部57は、複数フレームの一部または全部の静止画データを解析して各フレームの画質特性を特定し、各フレームの画質特性に対応する各フレームの画質調整設定パターンを特定し、同一の設定パターンとなるフレームの数が最も多い画質調整設定パターンで、複数フレームの静止画データすべてに対して同一設定パターンの画質調整を施すようにしてもよい。その場合、画質調整設定パターンを自動的に選択する場合に、適切な画質調整設定パターンが選択される可能性が高くなる。
【0112】
また、上記実施の形態では、画像処理部57は、複数の画質調整設定パターンとして、被写体が人物である場合の第1の画質調整設定パターン(ここでは「人物」モード)、被写体が風景である場合の第2の画質調整設定パターン(ここでは「風景」モード)、および被写体を限定しない汎用の第3の画質調整設定パターン(ここでは「標準」モード)のいずれでも画質調整を実行可能である。これにより、被写体の種類に応じて適切な画質調整が施されるため、より画質調整に起因した違和感をユーザに与えにくくすることができる。
【0113】
なお、上記実施の形態では、画像処理部57は、第3の画質調整設定パターン(ここでは「標準」モード)で、複数フレームの静止画データすべてに対して同一設定パターンの画質調整を施す。これにより、動画から抽出された複数の静止画の被写体がどのような被写体であっても、被写体の種類と合致しない設定パターンでの画質調整が施されずに済み、良好な画質調整が施されるため、画質調整に起因した違和感をユーザに与えにくくすることができる。
【0114】
また、上記実施の形態によれば、区間選択部54は、操作部44へ入力された開始位置と終了位置から動画データ内のある区間を選択し、静止画抽出部55は、区間選択部54により選択された区間の動画データから、静止画間のフレーム間隔が略一定となるように複数のフレームを選択してその静止画データを抽出し、画像処理部57は、静止画抽出手段により抽出された複数フレームの静止画データに対して同一設定パターンで画質調整を施す。
【0115】
これにより、動画データ内の所望の区間を簡単に選択できるとともに、その区間内における所定の複数の静止画の出力を、画質調整に起因した違和感をユーザに与えずに行うことができる。
【0116】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0117】
例えば、上記実施の形態において、先頭の複数フレーム(例えば2フレーム)を解析して、上述の複数フレームの場合と同様にして画質調整処理の処理モードを決定するようにしてもよい。
【0118】
また、上記実施の形態では画質調整処理後の複数フレームの静止画データに基づいて複数の静止画が印刷されるが、その代わりに、複数の静止画をディスプレイに表示させてもよい。
【0119】
また、上記実施の形態では、複数フレームの静止画は1枚の媒体に印刷されるが複数枚に渡って印刷されたり複数画面に渡って表示されたりするようにしてもよい。
【0120】
また、上記実施の形態において、「複数フレーム印刷」にて「人物」、「風景」および「標準」の処理モードのうち、ユーザにより選択された処理モードの履歴または統計をフラッシュメモリなどの図示せぬ記憶部に記憶しておき、最も多く選択された処理モードを、「複数フレーム印刷」での一定の処理モードあるいはそのデフォルトに設定するようにしてもよい。
【0121】
また、上記実施の形態において、ディスプレイ11および操作部44によるユーザインタフェースにより、動画ファイルを選択する前に、画質調整処理を行うか否かの選択メニューを表示し、ユーザ操作に応じて、印刷制御部56により画質調整処理を行うか否かを決定するようにしてもよい。その場合、画質調整処理を行うときには、上述のような処理が実行され、画質調整処理を行わないときには、画質調整処理がスキップされる。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明は、例えば、動画ファイルを取得して動画内の静止画像を印刷する印刷装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の実施の形態に係る印刷装置を示す斜視図である。
【図2】図1における操作パネルの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る印刷装置の電気的構成を示す図である。
【図4】図3におけるCPUにおいて実現される各処理部を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る印刷装置の動作を説明する図である。
【図6】図2のディスプレイの表示例を示す図である。
【図7】区間開始位置設定時の図2のディスプレイの表示例を示す図である。
【図8】区間終了位置設定時の図2のディスプレイの表示例を示す図である。
【図9】抽出された12フレームの静止画の一括表示の例を示す図である。
【図10】実施の形態に係る印刷装置でのチャプター表示の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0124】
44 操作部,54 区間選択部(区間選択手段),55 静止画抽出部(静止画抽出手段),56 印刷制御部,57 画像処理部(画質調整手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画データから所定の複数フレームの静止画データを抽出する静止画抽出手段と、
上記静止画抽出手段により抽出された複数フレームの静止画データのそれぞれに対して同一設定パターンの画質調整を施す画質調整手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画質調整手段は、複数の画質調整設定パターンのいずれでも画質調整を実行可能であり、前記複数フレームの静止画データのうちのいずれか1フレームの静止画データを解析して得られる画質特性に基づいて、上記複数の画質調整設定パターンのいずれかを選択し、選択した設定パターンで、前記複数フレームの静止画データに対して同一設定パターンの画質調整を施すことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画質調整手段は、前記複数フレームの静止画データのうちの最先の1フレームの静止画データを解析して得られる画質特性に基づいて上記複数の画質調整設定パターンのいずれかを選択し、選択した設定パターンで、前記複数フレームの静止画データに対して同一設定パターンの画質調整を施すことを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
ユーザによる操作を受ける操作部を備え、
前記画質調整手段は、前記複数フレームから、上記操作部への入力に基づいて1フレームを選択し、その1フレームの静止画データを解析して得られる画質特性に基づいて、上記複数の画質調整設定パターンのいずれかを選択し、選択した設定パターンで、前記複数フレームの静止画データに対して同一設定パターンの画質調整を施すこと、
を特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画質調整手段は、複数の画質調整設定パターンのいずれでも画質調整を実行可能であり、前記複数フレームの静止画データのうちの中央の1または2フレームの静止画データを解析して得られる画質特性に基づいて上記複数の画質調整設定パターンのいずれかを選択し、選択した設定パターンで、前記複数フレームの静止画データに対して同一設定パターンの画質調整を施すことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画質調整手段は、複数の画質調整設定パターンのいずれでも画質調整を実行可能であり、前記複数フレームの一部または全部の静止画データを解析して各フレームの画質特性を特定し、各フレームの画質特性に対応する画質調整設定パターンを特定し、同一設定パターンのフレーム数が最大となる画質調整設定パターンで、前記複数フレームの静止画データに対して同一設定パターンの画質調整を施すことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画質調整手段は、前記複数の画質調整設定パターンとして、被写体が人物である場合の第1の画質調整設定パターン、被写体が風景である場合の第2の画質調整設定パターン、および被写体を限定しない汎用の第3の画質調整設定パターンのいずれでも画質調整を実行可能であることを特徴とする請求項2から請求項6のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画質調整手段は、被写体が人物である場合の第1の画質調整設定パターン、被写体が風景である場合の第2の画質調整設定パターン、および被写体を限定しない汎用の第3の画質調整設定パターンのいずれでも画質調整を実行可能であり、上記第3の画質調整設定パターンで、前記複数フレームの静止画データに対して同一設定パターンの画質調整を施すことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項9】
ユーザによる操作を受ける操作部と、
上記操作部へ入力された開始位置と終了位置から動画データ内のある区間を選択する区間選択手段とを備え、
前記静止画抽出手段は、前記区間選択手段により選択された区間の動画データから、静止画間のフレーム間隔が略一定となるように複数のフレームを選択しその静止画データを抽出し、
前記画質調整手段は、前記静止画抽出手段により抽出された複数フレームの静止画データに対して同一設定パターンで画質調整を施すこと、
を特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項10】
コンピュータに、
動画データから所定の複数フレームの静止画データを抽出する静止画抽出手段と、
上記静止画抽出手段により抽出された複数フレームの静止画データのそれぞれに対して同一設定パターンの画質調整を施す画質調整手段と、
を実現させるためのコンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置の前記画質調整手段により同一設定パターンの画質調整を施された所定の複数枚数の静止画を1枚の印刷用紙に印刷する印刷制御部と、
を備えることを特徴とする画像出力装置。
【請求項12】
動画データを取得するステップと、
動画データから所定の複数フレームの静止画データを抽出するステップと、
抽出した上記複数フレームの静止画データのそれぞれに対して同一設定パターンの画質調整を施すステップと、
を備えることを特徴とする画質調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−221301(P2007−221301A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37570(P2006−37570)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】