説明

画像処理装置、プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】 視点の移動方向の逆方向を画角内に含む画像の生成を高速化する。
【解決手段】 フレーム時間毎の視点V、オブジェクトA〜E、X及び書割オブジェクトKoの仮想空間における配置位置を指定することで仮想モデルを構築し、この仮想モデルを描画することで生成される画像G1からテクスチャ画像Kgを生成して保存する。後のフレーム時間において、テクスチャ画像Kgがマッピングされた書割オブジェクトKo′が配置された仮想モデルを描画することにより、画像G2が生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間内の所定の位置から所定の方向を見たときの画像を生成する画像処理装置、プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータグラフィクス(CG)は、現実世界の事物や架空の事物の形状を複数のポリゴンの組み合わせにより表現したオブジェクトを仮想空間に配置する(仮想空間内での配置位置を指定する)ことで仮想モデルを構築し、この仮想モデルを仮想空間の特定の位置にある仮想的な視点(仮想カメラ)から見た画像をフレーム時間(例えば、1/30秒)毎にレンダリングすることにより生成される。
【0003】
ところで、画像の緻密性を高め、画像により得られる現実感を高めるなど、より高い品質のCGを生成するためには、より多数のポリゴンを用いた精密なオブジェクトを多数用いることが必要となる。特に、樹木や動物、地形などの複雑な形状を有する自然物を背景とするCGを生成するには、膨大なポリゴンが必要となるため、高速での画像処理が困難となる。
【0004】
画像の生成処理を高速化するための手法としては、視点からの距離が一定以上のオブジェクトを表示しない制御や、視点からの距離によって詳細度の異なるオブジェクトを表示するLOD制御が知られている。
【0005】
しかし、視点からの距離が一定以上のオブジェクトを表示しない制御では、視点の移動に伴って表示されるべきオブジェクトが変わるため、切り替わりのタイミングで画像にチラツキが発生する問題があり、LOD制御は、詳細度毎に余分のオブジェクトを準備しなければならないため、CG製作のための作業やメモリの使用量が増大するといった問題がある。
【特許文献1】特開2001−236523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、下記のいずれか一以上の目的を達成するものである。
【0007】
即ち、本発明の目的は、例えば、走行する車両の後方の景観など、視点の移動方向の逆方向を画角内に含む画像の生成を高速化できる画像処理装置、プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、視点の移動方向の逆方向を画角内に含む画像の生成のための計算負荷を軽減できる画像処理装置、プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記問題を解決したものであり、
仮想空間を移動する視点から見た画像であって、前記視点の移動方向の逆方向を画角内に含む画像をフレーム時間毎に生成する画像処理装置であって、
フレーム時間毎の前記視点の仮想空間における配置位置を指定する視点管理手段と、
1又は複数のオブジェクトの仮想空間における配置位置を指定する仮想モデル管理手段と、
書割オブジェクトの仮想空間における配置位置を指定する書割オブジェクト配置手段と、
前記仮想モデル管理手段及び前記書割オブジェクト配置手段に指定される位置に配置された各オブジェクトを描画した画像を生成する画像描画手段と、
前記画像描画手段により生成された画像の全体又は一部領域をテクスチャ画像として所定の記録領域に保存するテクスチャ画像保存手段とを備え、
前記書割オブジェクトには、前記記録領域に保存された前記テクスチャ画像がマッピングされることを特徴とする画像処理装置(請求項1)、又は
仮想空間を移動する視点から見た画像であって、前記視点の移動方向の逆方向を画角内に含む画像をフレーム時間毎に生成する画像処理装置に実装されるコンピュータにより解釈実行されるプログラムであって、
フレーム時間毎の前記視点の仮想空間における配置位置を指定する視点管理手順と、
1又は複数のオブジェクトの仮想空間における配置位置を指定する仮想モデル管理手順と、
書割オブジェクトの仮想空間における配置位置を指定する書割オブジェクト配置手順と、
前記仮想モデル管理手順及び前記書割オブジェクト配置手順において指定される位置に配置された各オブジェクトを描画した画像を生成する画像描画手順と、
前記画像描画手順において生成された画像の全体又は一部領域をテクスチャ画像として所定の記録領域に保存するテクスチャ画像保存手順とをコンピュータに実行させ、
前記書割オブジェクトには、前記記録領域に保存された前記テクスチャ画像がマッピングされることを特徴とするプログラム(請求項10)、或いはこれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(請求項11)である。
【0010】
本発明では、あるフレーム時間(過去のフレーム時間)における仮想モデル(視点及び1又は複数のオブジェクトが配置された仮想空間)を描画した画像から生成されるテクスチャ画像がマッピングされた書割オブジェクトを用いて仮想モデルが構築されるため、当該テクスチャ画像中に描画されたオブジェクトを用いることなく、その後のフレーム時間における仮想モデルを構築することが可能となる。従って、仮想モデルを構築するために使用するオブジェクトを減少させることが可能となり、省略されたオブジェクトについてのジオメトリ処理やテクスチャのマッピング処理等に要する計算負荷を軽減させ、画像生成を高速化することが可能となる。
【0011】
本発明における画角とは、画像描画手段により生成される画像中に描画される仮想空間の領域であり、「視点の移動方向の逆方向が画角内に含まれる」とは、仮想空間における視点を端点とし、視点の移動方向の逆方向(180度の方向)に延びる直線上の座標位置が、画像描画手段により描画される領域に含まれていることを言う。このような条件を満たす画像であることが、画像描画手段により生成された画像の全体又は一部領域であるテクスチャ画像によって仮想空間内に配置すべきオブジェクトを代用することが実現されるための条件となるからである。
【0012】
本発明におけるオブジェクトとは、2次元又は3次元的な形状を指定するための幾何データであり、データの形式は問わない。
【0013】
本発明の書割オブジェクトは、テクスチャ画像をマッピングする目的で使用されるオブジェクトであり、その形状等は任意であるが、画像処理に係る負荷を軽減する意味では、少数のポリゴンをもって構成することが可能な2次元のオブジェクト(板ポリゴン)により書割オブジェクトを構成することが好ましく、更には方形や円形など、単純な形状のオブジェクトとすることがより好ましい。
【0014】
本発明の画像描画手段は、仮想空間における配置位置、或いは更に姿勢を指定された1又は複数のオブジェクトのデータに基づいて、そのオブジェクトの形状を視覚的に認識できる画像をジオメトリ処理などの任意の方式をもって描画するものである。
【0015】
本発明のテクスチャ画像は、画像描画手段により生成された画像の全体又はその一部領域の画像であるが、画像描画手段により生成された画像の全体又はその一部領域の画像に更に、拡縮、トリミング、露出調整等の加工を施したものを本発明のテクスチャ画像とすることも可能である。
【0016】
本発明では、前記画像描画手段は、画像表示手段に表示される表示画像と、前記表示画像に描画されるオブジェクトの一部のオブジェクトが描画された遠景画像とを生成するよう構成されており、前記テクスチャ画像保存手段は、前記遠景画像の全部又は一部領域を前記テクスチャ画像として前記記録領域に保存するよう構成されていること(請求項2)が可能である。
【0017】
かかる発明では、表示画像とは別個に生成された遠景画像に基づいてテクスチャ画像を生成することが可能であるため、表示画像に含まれるオブジェクトのうちの特定の種類のオブジェクトのみがテクスチャ画像に含まれるようにするなど、より自由度の高い描画処理を実現することができる。
【0018】
本発明では、前記遠景画像には、前記表示画像に描画されるオブジェクトのうち、視点から所定距離以上離間した配置位置を指定されたオブジェクトのみが描画されるものとすること(請求項3)が好ましく、この場合には、仮想空間に配置すべきオブジェクトをテクスチャ画像で代用することにより画像に何らかの不連続や不整合が生じたとしても、そのオブジェクトが視点から一定以上離間した位置に配置されるものであることから、不連続や不整合が認識され難くなることになる。
【0019】
本発明では、前記視点からの距離に基づいて消去オブジェクトを特定する消去オブジェクト特定手段を更に備え、前記画像描画手段は、前記消去オブジェクト特定手段により特定された前記消去オブジェクトを除くオブジェクトを描画することにより前記表示画像を生成すること(請求項4)が好ましく、この場合には、テクスチャ画像で代用することにより仮想空間への配置を省略できるオブジェクトを簡便に選択することが可能となる。
【0020】
本発明では、前記テクスチャ画像保存手段は、前記画像描画手段により描画された画像の一部領域を切り出すことにより生成した前記テクスチャ画像を前記記録領域に保存し、前記書割オブジェクト配置手段は、前記一部領域のサイズ、形状及び/又は位置に応じて、仮想空間における前記書割オブジェクトのサイズ、形状及び/又は配置位置を指定すること(請求項5)が可能であり、この場合には、書割オブジェクトにテクスチャ画像をマッピングする際の画像の変形や歪みを防止し、又は軽減するための処理を簡略なものとすることができる。
【0021】
本発明では、所定のテクスチャ更新条件の成否を判定する更新判定手段を更に備え、前記更新判定手段が前記テクスチャ更新条件の成立を判定した場合に、前記テクスチャ画像保存手段による前記テクスチャ画像の保存及び前記書割オブジェクト配置手段による前記書割オブジェクトの配置位置の指定が実行されること(請求項6)が好ましい。
【0022】
本発明では、何らかの条件(テクスチャ更新条件)が成立する毎にテクスチャ画像及び書割オブジェクトを更新することにより、同一のテクスチャ画像がマッピングされた書割オブジェクトを多くのフレーム時間に渡って継続して使用することによる画像品質の低下又は変化を抑制又は防止することが可能となる。本発明におけるテクスチャ更新条件には、直前の書割オブジェクトの更新が行われた時点から所定の時間が経過したこと、シーンチェンジがあったこと、光源の光量設定などが大きく変更されたことなど、同一のテクスチャ画像がマッピングされた書割オブジェクトを多くのフレーム時間に渡って継続して使用することが画像品質に影響を与えるであろう任意の条件を単独で、又は組み合わせて使用することが可能である。
【0023】
また、請求項6の発明では、前記更新判定手段は、仮想空間に配置された書割オブジェクト上の特定点と視点を結ぶ線分が所定の基準方向と成す角度に基づいて前記テクスチャ更新条件の成否を判定すること(請求項7)が可能であり、この場合には、視点の移動により生じる視差に起因する画像品質の変化を基準にテクスチャ画像の更新のタイミングを決定することができる。
【0024】
なお、本発明における特定点は、書割オブジェクト上の任意の点(例えば、書割オブジェクトが多角形である場合には、頂点など)とすることができ、基準方向としては、例えば、視点の向き(Z方向/以下、「視点方向」という場合がある)を用いることができる。
【0025】
本発明では、操作信号を入力するための操作入力手段と、前記画像内における前記操作入力手段からの操作信号に指定される位置に所定のマークを表示するマーク表示手段とを更に備え、前記書割オブジェクト配置手段は、前記画像中における前記マークの表示位置が前記書割オブジェクトの表示領域内に含まれるように、前記書割オブジェクトのサイズ、形状及び/又は位置を指定すること(請求項8)が可能である。
【0026】
例えば、画像中の拡大表示させたい部分をマウスで指定できるようにしたCGでは、その部分を指定するためのポインタマークが画像に表示される場合があり、画像に表示されるエネミーなどのキャラクタを狙って射撃を行うゲームなどでは、射撃する場所を指定するための照準マークが画像に表示される場合がある。このような操作入力手段(マウスやジョイスティックなど)からの操作により画像中の位置を指定できるマークが表示されるコンテンツでは、操作者はそのマークの周辺を注視している場合が多いと考えられる。
【0027】
従って、上記のようなマークが表示される画像においては、本発明を適用することにより、書割オブジェクトの外周部分にマークが表示されることを防止し、書割オブジェクトの外周付近において画像品質の低下が生じた場合であっても、その品質の低下が使用者に認識される可能性を低減することができる。
【0028】
また、請求項8の発明では、前記更新判定手段は、前記画像描画手段が描画した画像内における前記書割オブジェクト上に前記所定のマークが表示されていないことを条件に前記テクスチャ更新条件の成立を判定すること(請求項9)が好ましく、これにより、マークの表示位置が書割オブジェクト上から外れた状態が長時間継続することを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しつつ説明する。
【0030】
図1は、本発明の画像処理装置1として使用することができるシステムの例示的なハードウェア構成を示す説明図である。
【0031】
図1に示すように、この画像処理装置1は、CPU11、ROM12、RAM13、DMA14、情報記録媒体15、画像処理部16、音声処理部20及び操作入力装置21から構成される。
【0032】
ここで、CPU11は、画像処理装置1の制御動作の中枢となり、システムバスSBを介して他の構成要素部分と制御信号やデータ信号等の受け渡しを行って全体を統括的に制御する中央演算処理装置であり、本発明に係る画像処理プログラムPや操作入力装置21からの信号に従って仮想空間に設定されたワールド座標系にオブジェクト及び視点を設定するための画像処理情報を導出するものである。この画像処理情報には、ワールド座標系内に配置される各オブジェクトの配置座標や姿勢を指定するデータ、視点の配置座標や視点方向を指定するデータなどが含まれる。
【0033】
ROM12は、装置の起動時に使用する起動用プログラムや装置を動かすための基本的なシステムプログラム等を格納する不揮発性メモリである。
【0034】
RAM13は、情報記録媒体15から読み出した画像処理プログラムPを展開し、作業中のデータを一時記録するなどのための領域をCPU11に提供する揮発性メモリである。
【0035】
DMA14は、システムバスSBに接続されている周辺機器を対象として割り込み制御やダイレクトメモリアクセス転送制御を行うものであり、CPU11を介さずに各種周辺機器とRAM13との間でシステムバスSBを介して直接データのやりとりを実行し、これにより、CPU11のオーバーヘッドを伴わずに、高速・大容量のデータ転送を実現している。
【0036】
情報記録媒体15は、画像処理プログラムPや仮想3次元空間に配置されるオブジェクトを定義するデータ、各オブジェクトにマッピングされるテクスチャデータなどを記録し、或いはGPUにより生成された画像を記録する媒体である。情報記録媒体15は、ハードディスク、光ディスク(CD−ROM、DVD−ROM)、光磁気ディスク、磁気ディスク、磁気テープなどにより構成することができる。
【0037】
画像処理部16は、CRTや液晶ディスプレイなどの表示装置22で表示する画像を生成するものであって、本実施形態では、画像デコーダ17、GPU18、ディスプレイコントローラ19等の半導体デバイスを備えている。
【0038】
ここで、画像デコーダ17は、情報記録媒体15から読み出され、RAM13の所定領域に一時記憶されたJPEG或いはMPEG方式等で圧縮符号化された静止画或いは動画等のデータを復号する処理を行う。
【0039】
GPU18は、CPU11からのコマンドに応じて、3次元コンピュータグラフィクス(3DCG)の画面データを生成するための画像生成アルゴリズムを実行し、ジオメトリ処理やテクスチャマッピング等を行って生成した画像をその画像記録部に描画記録する処理を行う。
【0040】
GPU18の画像記録部は、表示装置22において表示される画像データを記録するフレームバッファ18aや後述のテクスチャ画像を記録するテクスチャ画像記録領域18b、その他の画像データを記録する補助画像記録領域18cなどの複数の領域に区画されている。
【0041】
ディスプレイコントローラ19は、フレームバッファ18aに描画された画像データをフレーム時間毎に読み出して、画像データに対応した輝度信号と色信号を含む映像信号を生成して表示装置22に出力する。
【0042】
音声処理部20は、スピーカ23a、23bで出力する効果音やBGM等の音声を生成する半導体デバイスであって、具体的には、図示省略のサウンドバッファ及びSPU等を備え、SPUがサウンドバッファから読み出した音データを合成してスピーカ23a、23bに出力する。
【0043】
操作入力装置21は、本発明の画像処理装置1の使用用途等に応じた種々の操作信号の入力を行うものである。例えば、本発明の画像処理装置1が操作者の操作により仮想空間内を移動する視点からの画像を表示するのであれば、操作入力装置21からは視点の仮想空間内における位置を指定するための操作信号が入力され、仮想空間内のオブジェクトに対するシューティングゲーム等に使用するのであれば、操作入力装置21からシューティングを行う位置やタイミングなどを指定するための操作信号が入力される。操作入力装置21は、キーボードやマウス、ジョイスティックなどにより構成することができる。操作入力装置21に入力された信号はシステムバスSBを介してCPU11に送信される。
【0044】
なお、本発明の画像処理装置1に不可欠な要素は、画像処理情報を導出、処理するための処理装置及び記録装置であり、例えば、外部からの操作信号を受けることなく画像を生成するのであれば、操作入力装置21は不要であり、生成した画像を単に記録するだけなら表示装置22やスピーカ23a、23b等は不要である。
【0045】
図2は、CPU20が情報記録媒体15に記録された本発明に係る画像処理プログラムPをRAM13上において展開、実行することにより実現される画像処理装置1の機能構成を示す説明図である。
【0046】
図示のように、画像処理装置1は、視点管理部31、オブジェクト記録部32、仮想モデル管理部33、画像描画部34、遠景モデル管理部35、テクスチャ画像保存部36、書割オブジェクト配置部37、書割条件判定部38及び消去オブジェクト特定部39を備えている。
【0047】
視点管理部31は、画像処理プログラムPや操作入力装置21からの信号による指定に従って、仮想空間におけるフレーム時間毎の視点の配置座標及び視点方向についてのデータを導出し、これを画像描画部34に提供するものである。本実施形態では、視点は、画像処理プログラムPにより規定された仮想空間における所定のルートに沿って所定速度で移動するものとされており、その視点方向は、視点の移動方向の逆方向に設定されている。
【0048】
オブジェクト記録部32は、仮想空間に配置されるオブジェクトの3次元データや各オブジェクトにマッピングされるテクスチャの2次元データを記録するものである。オブジェクトは、1又は複数のポリゴン(多角形データ)を組み合わせて種々の事物の形状を表現したものであり、オブジェクト記録部32においては、個々のオブジェクトに固有のローカル座標系により記述されたオブジェクトを構成するポリゴンの配置座標データが記録されている。
【0049】
オブジェクトの種類には、建物、道路、山などを表現した静止オブジェクトや人、動物、乗り物、風になびく植物などを表現した可動オブジェクトがあり、また、ゲーム画像の場合であれば、エネミーのキャラクタを表現したエネミーオブジェクト、プレーヤーの操作により動作するプレーヤーキャラクタを表現したプレーヤーオブジェクト、背景を構成するオブジェクトなどがあり、オブジェクト記録部32において、各オブジェクトに種類毎のインデックスを付与することにより、仮想モデル管理部33、画像描画部34、遠景モデル管理部35等がオブジェクトの種類毎に個別の処理を行うことを可能にしている。本実施形態では、消去オブジェクト特定部39による消去オブジェクトの特定の対象にならず、また、遠景モデルを構成するオブジェクトにもならない特定オブジェクト(例えば、プレーヤーが注視することが想定されるプレーヤーオブジェクトやエネミーオブジェクトなどを特定オブジェクトとすることができる)と、消去オブジェクトの特定の対象となり、遠景モデルを構成するオブジェクトとなりうる一般オブジェクトとを区別するためのインデックスも付与されている。
【0050】
仮想モデル管理部33は、オブジェクトの格納アドレスに基づいてオブジェクト記録部32に記録されたオブジェクトのデータを読出して、画像処理プログラムPや操作入力装置21からの信号から導出されるフレーム時間毎の配置座標データや姿勢データに基づいて各オブジェクトをワールド座標系に配置したときの各オブジェクトを構成する各ポリゴンの座標データを導出し、これを画像描画部34に提供する。また書割オブジェクト配置部37により書割オブジェクトの配置命令が与えられている場合には、仮想モデル管理部33は、他のオブジェクトとともに書割オブジェクト配置部37により指定された形状、サイズの書割オブジェクトを構成するポリゴンの座標データを画像描画部34に提供する。
【0051】
画像描画部34は、仮想モデル管理部33及び書割オブジェクト配置部37から与えられたポリゴンの座標データを、視点から所定距離に位置する2次元のスクリーン座標系に透視変換し、スクリーン座標上の各ポリゴンのそれぞれに割り当てられたテクスチャをマッピングすることにより画像データを生成し、これをフレームバッファ18aに記録する。また、書割オブジェクトの配置座標データが与えられている場合、当該書割オブジェクトにはテクスチャ画像記録領域18bに記録されたテクスチャ画像がテクスチャとしてマッピングされる。
【0052】
画像描画部34では、ポリゴンの前後関係によって見える部分と見えない部分とを判定する隠面処理や光源からの光の当たり具合や反射の様子を演算するシェーディングなどの画像に所定のエフェクトを施す処理も実行される。
【0053】
画像描画部34がフレームバッファ18aに描画した表示画像は、ディスプレイコントローラ19の制御の下でフレーム時間毎に表示装置22に出力されて表示される。
【0054】
画像描画部34は、仮想モデル管理部33から与えられるデータに基づいて上記のように表示画像を生成する他、遠景モデル管理部35から与えられるデータに基づいて遠景画像を生成する。遠景画像は、補助画像記録領域18c等に一時的に記録されるものとすることができる。なお、画像描画部34は、特定種類のオブジェクトにのみ個別のエフェクト処理を施すなどの目的で他の画像を生成することも可能であり、そのような画像は補助画像領域18c等に記録されるものとすることができる。
【0055】
遠景モデル管理部35は、仮想モデル管理部33により構築される仮想モデルにおける各オブジェクトのデータを一部改変することで、テクスチャ画像保存部36により保存されるテクスチャ画像の元画像(遠景画像)を生成するための遠景モデルを構築するものである。具体的には、当該遠景モデルは、仮想モデル管理部33及び書割オブジェクト配置部37により配置座標データが指定されるオブジェクト(表示画像の仮想モデルに配置されるオブジェクト)のうち、視点から視点方向への距離が上記所定値dよりも大きい配置座標を与えられた一般オブジェクトのみからなる仮想モデルである。
【0056】
なお、この所定値dを小さい値とするほど、消去オブジェクトとして特定されるオブジェクト数が増加し、画像処理に係る計算負荷の軽減効果が大きくなる反面、視差に起因する書割オブジェクトとその周囲のオブジェクトとの不連続が見え易くなるため、画像の種類、特性、シーンなどに応じて、上記得失の兼ね合いを勘案した適宜の値が所定値dとして設定されることになる。
【0057】
テクスチャ画像保存部36は、書割条件判定部38から書割信号を受信したことを条件に、画像描画部34が遠景モデルに基づいて生成した遠景画像の所定領域を切り出して、これをテクスチャ画像としてテクスチャ画像記録領域18bに記録する処理を実行する。このテクスチャ画像は、書割オブジェクト配置部37により配置される書割オブジェクトにマッピングされる。
【0058】
遠景画像におけるテクスチャ画像の切り出し領域の定め方は特に限定されるものではないが、視点から遠方のオブジェクトが集中する画像中央部付近を切り出し領域とすることが好ましい。また、テクスチャ画像のサイズは、より多くのオブジェクトを消去オブジェクトとできるようになるべく大きくすることが好ましく、例えば、その縦横長を遠景画像の縦横長のそれぞれ30%〜80%程度の寸法とすることが考えられる。テクスチャ画像の形状は、矩形、円形、楕円形など任意の形状とすることができる。
【0059】
書割オブジェクト配置部37は、書割条件判定部38から書割信号を受信したことを条件に、1又は複数のポリゴンで構成された所定の形状、サイズを有する書割オブジェクトの配置座標を指定し、当該書割オブジェクトを仮想空間に配置させるための命令を仮想モデル管理部33に送信するものである。
【0060】
ここで、書割オブジェクトの視点から視点方向への距離(Z位置)は、処理の簡明の観点から上記所定値dと同一に設定される。なお、Z位置が上記位置と異なる位置に設定さたとしても、書割オブジェクトのサイズの拡縮等により不整合の無い画像生成は可能であり、そのような場合も本発明の範囲には含まれる。
【0061】
書割オブジェクトの視点方向に垂直な面(XY面)内における位置、形状及びサイズは、Z位置上のXY面において、テクスチャ画像が切り出される領域のスクリーン座標上における位置、形状、サイズに対応する位置、形状、サイズと同一とすることが好ましく、これにより、消去オブジェクトを書割オブジェクトにマッピングしたテクスチャ画像で代用することによる画像の変形、歪みを簡便に防止することができる。しかしながら、これらを上記と異なる位置、形状、サイズとしても、画像に生じる変形や歪みが許容範囲であれば使用可能であり、エフェクトとして意図的な変形や歪みを加えるために上記と異なる形状やサイズの書割オブジェクトを使用することも可能である。同様の意味で、書割オブジェクトは必ずしも平面的でなくても、凹面状や凸面状などの立体的な形状とすることも可能である。
【0062】
書割条件判定部38は、過去のフレーム時間において仮想空間に配置した書割オブジェクトを継続して使用することによる画像の品質低下等を防止することを目的として規定された所定のテクスチャ更新条件の成否を判定するものである。テクスチャ更新条件の成立を判定した場合、書割条件判定部38は、新たなテクスチャ画像をマッピングした書割オブジェクトを仮想空間に配置させるため、所定の書割信号を遠景モデル管理部35及びテクスチャ画像保存部36に送信する。なお、過去のフレーム時間において仮想空間に配置された書割オブジェクトは、新たに配置された書割オブジェクトにより不要となるため、新たな書割オブジェクトの配置の時点で仮想空間から消去することができる。
【0063】
本発明におけるテクスチャ更新条件には、シーンチェンジがなされた場合、光源の光量設定等に大きな変更があった場合など、上記目的に適合する任意の条件を使用することができるが、本実施形態では、後述の方法で導出される1又は複数の視差角の全部又は一部が許容値を越えたことがテクスチャ更新条件とされている。
【0064】
消去オブジェクト特定部39は、仮想空間に書割オブジェクトを配置することで当該書割オブジェクトに隠れて視点から見えなくなるオブジェクトを消去オブジェクトとして特定し、特定した消去オブジェクトを仮想モデル管理部33に通知する処理を実行するものである。
【0065】
この消去オブジェクトの特定の方法にはある程度の幅があり、その一例としては、視点からその全体が見えなくなる一般オブジェクトのみを消去オブジェクトとすることが可能である。この場合、書割オブジェクトによって完全にカバーされる一般オブジェクトのみが仮想空間から消去されるため、画像のちらつきを最小に押さえることができる反面、仮想空間から消去できるオブジェクト数が少なくなるため、ジオメトリ処理やテクスチャマッピング等に係る計算負荷の軽減効果は限定的となる。
【0066】
或いは、視点からの距離が書割オブジェクトよりも大きい全てのオブジェクトを消去オブジェクトとすることも考えられ、この場合は、画像のちらつきの程度は大きくなるが、より多くのオブジェクトを仮想空間から消去できるため、計算負荷の軽減効果を高めることができる。
【0067】
また、上記の中間の方法としては、全体が見えなくなる一般オブジェクトに加えて、部分的に見えなくなる一般オブジェクトをも消去オブジェクトとして特定することも可能であり、この場合は、画像の品質及び計算負荷の軽減について上記の中間の効果が得られることになる。
【0068】
従って、上記のいずれの方法によるかは、画像の種類、特性、シーンなどに応じて画像の品質と計算負荷とを勘案して適宜定めることができる。なお、本実施形態の消去オブジェクト特定部39は、視点から完全に見えなくなる一般オブジェクトのみを消去オブジェクトとして特定する(従って、エネミーオブジェクトなどの特定オブジェクトは、消去オブジェクトとして特定されない)。
【0069】
図3(a)は、視点管理部31及び仮想モデル管理部33が画像生成のために仮想空間に構築する仮想モデルの例示的な態様を概念的に示す説明図であり、図3(b)は、この仮想モデルに基づいて画像描画部34により描画される表示画像Gである。
【0070】
図3(a)の仮想モデルでは、視点管理部31及び仮想モデル管理部33により指定されるデータに従って、視点V及び複数のオブジェクト(A〜C、Xの文字の形状が与えられたオブジェクト。以下、「オブジェクトA」、「オブジェクトB」などと言う)が所定の位置関係で配置されている。画像描画部34は、この仮想モデルにおいて、視点Vから視点方向Zにある各オブジェクトを視点Vから所定距離に配置されたスクリーン座標Sに透視変換することにより表示画像Gを描画する。
【0071】
なお、本実施形態における視点Vは、画像処理プログラムPにより定められた経路上をある速度で移動するよう設定されており、図中Mは、現フレーム時間における視点Vの移動方向、AVは視点Vの画角、Rは視点の移動経路を示している。説明の簡略のため、図中のオブジェクトA〜C及びXは全て、フレーム時間毎に配置座標や姿勢が変化しない静止オブジェクトであり、消去オブジェクトの対象となる一般オブジェクトであるものとする。
【0072】
この仮想モデルをレンダリングすることにより生成される表示画像Gでは、視点Vとの位置関係に応じてオブジェクトA〜C、Xが立体的に描写される。
【0073】
上記のような仮想モデルをモチーフとする画像生成を例として、本発明の画像処理装置1の例示的な動作を説明する。
【0074】
図4は、画像処理装置1において実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【0075】
図示のように、画像表示処理が開始されると、フレームカウンタTの初期化(ステップS1)及び増分処理(ステップS2)が実行された後、書割条件判定部38が動作し、テクスチャ更新条件の成否判定が行われる(ステップS3)。
【0076】
なお、本実施形態では、描画開始直後やシーンチェンジ直後(即ち、書割オブジェクトKoが仮想空間に配置されていない状態)に実行されるステップS3の処理では、書割条件判定部38は無条件にテクスチャ更新条件の成立判定を行うものとされている。描画開始等から2フレーム目以降に実行されるステップS3におけるテクスチャ更新条件については後述する。
【0077】
ステップS3において、テクスチャ更新条件成立の判定がなされた場合、ステップS4〜S7の書割サブルーチンが実行された後、不成立の判定がなされた場合には、当該サブルーチンを実行することなく処理はステップS8に移行する。
【0078】
ステップS4では、視点管理部31、仮想モデル管理部33及び遠景モデル管理部35が動作し、フレームカウンタTに割り当てられたオブジェクトのうち、視点Vからの視点方向Zへの距離が所定値dよりも大きい一般オブジェクトのみで構成された遠景モデルが構築され、続くステップS5では、画像描画部34が動作し、この遠景モデルを視点Vから見た遠景画像の描画が実行される。
【0079】
図5(a)は、図3に示される各オブジェクトがフレームカウンタTに割り当てられたオブジェクトであるとした場合に、ステップS4の処理において構築される遠景モデルを示す説明図である。
【0080】
図示のように、図5(a)の遠景モデルは、視点Vから視点方向Zへの距離が所定値dよりも大きいオブジェクトのみが配置されており、所定値dよりも小さい位置のオブジェクト(オブジェクトB及びC)は仮想空間から消去されている。なお、図中のKwは、テクスチャ画像Kgが切り取られる領域に対応する仮想空間内での領域の位置や形状を示す書割枠であるが、この書割枠Kwは説明の便宜上表示されているもので、書割枠Kwについて何らかの処理が行われる訳ではない。
【0081】
図5(b)は、画像描画部34が上記遠景モデルをレンダリングすることにより描画される遠景画像G1であり、この遠景画像G1は、補助画像記録領域18cに一時的に記録される。
【0082】
続くステップS6では、テクスチャ画像保存部36が動作し、遠景画像G1中のKcで示される矩形領域の画像を切り出して、これをテクスチャ画像Kgとしてテクスチャ画像記録領域18bに保存する。図5(c)は、切り出されたテクスチャ画像Kgである。
【0083】
なお、本実施形態のステップS4〜S6では、フルサイズの遠景画像G1を一旦描画した後にテクスチャ画像Kgを切り出す処理が行われるが、ステップS4及びS5において領域Kcの部分の画像のみをレンダリングし、これをそのままテクスチャ画像Kgとしてテクスチャ画像記録領域18bに記録するようにしても構わない。
【0084】
また、本実施形態は、遠景画像G1を生成するために独立の処理としてステップS4及びS5が実行される場合の例であるが、例えば、特定種類のオブジェクトのみについて露出調整など個別のエフェクト処理を施すなどのために、最終的な表示画像を生成する前段階としてレンダリングした画像がテクスチャ画像Kgを切り出すための遠景画像G1として使用し得るのであれば、ステップS4、S5を独立の処理として実行することは不要である。
【0085】
続くステップS7では、消去オブジェクト特定部39が動作し、テクスチャ画像Kgによりその全体がカバーされる(描画される)オブジェクト、即ち、ステップS11において配置される書割オブジェクトKoに遮られて視点Vから見えなくなるオブジェクトを消去オブジェクトとして特定し、特定した消去オブジェクトを仮想モデル管理部33に通知する処理が実行される。この通知を受けた仮想モデル管理部33は、通知された消去オブジェクトを仮想モデルに配置する(配置位置を指定する)オブジェクトのリストから削除する。
【0086】
なお、本実施形態では、書割オブジェクトKoにより視点Vから完全に見えなくなるオブジェクトのみを消去オブジェクトとして特定するものとされているため、図5に示す例では、オブジェクトAのみが消去オブジェクトとして特定されることになる。
【0087】
ステップS7の処理が完了すると、処理はメインルーチンのステップS8に移行する。
【0088】
ステップS8では、フレームカウンタTに割り当てられたオブジェクトのうち、ステップS7において特定された消去オブジェクト(この例では、オブジェクトA)を除くオブジェクトの配置座標データや姿勢データが仮想モデル管理部33により指定されるとともに、視点Vの配置座標データ及び視点方向を規定するデータが視点管理部31により指定されて、仮想モデルが構築される。
【0089】
このとき、書割オブジェクト配置部37からの命令に従って、仮想モデル管理部33は、所定の書割オブジェクトKoを仮想空間に配置する処理も実行する。この書割オブジェクトKoは、ステップS4においてテクスチャ画像Kgが切り出された領域に対応する仮想空間内での領域Kwと同一の形状、サイズを有し、領域Kwと同一の座標位置に配置される。
【0090】
図6(a)は、ステップS8において構築された仮想モデルを示す説明図である。
【0091】
図示のように、図6(a)の仮想モデルでは、ステップS7において特定された消去オブジェクトであるオブジェクトAが消去される一方、視点Vから距離dの位置に書割オブジェクトKoが配置されている。なお、図中の破線L1a、L1bは、視点Vと書割オブジェクトKo上の特定点(図の例では、頂点)とを結ぶ線分である。
【0092】
続くステップS9では、この仮想モデルを画像描画部34がステップS5と同様にしてレンダリングすることにより表示画像を生成する。
【0093】
このとき、書割オブジェクトKoには、テクスチャ画像記録領域18bに記録されたテクスチャ画像Kgがテクスチャとしてマッピングされる。ステップS9において描画された表示画像はフレームバッファ18aに記録され、次のフレーム時間において表示装置22に出力される。
【0094】
図6(b)は、図6(a)の仮想モデルをレンダリングした表示画像G2を示す説明図である。図中の破線は、書割オブジェクトKoが描画された部分を示す説明線である。上記の通り、この仮想モデルではオブジェクトAは配置されていない(図6(a))が、レンダリングされた表示画像G2では、オブジェクトAをカバーしたテクスチャ画像Kgがマッピングされた書割オブジェクトKoが仮想空間に配置された結果、図3(b)の表示画像Gと同一の画像が生成されている。なお、図6(b)の文字Xの破線内の部分は書割オブジェクトKoにマッピングされたテクスチャ画像の一部であり、文字Xの破線外の部分はステップS8で構築された仮想モデルに配置されたオブジェクトXがレンダリングされたものである。
【0095】
ここで、オブジェクトAが植物や動物などのような複雑な形状を有する事物を多数のポリゴンを用いて表現したオブジェクトであるとすれば、そのような複雑なオブジェクトAを配置した仮想モデル(図3(a))を用いて生成される画像Gと同等の画像G2が、複雑なオブジェクトAに代えて少ないポリゴン数をもって構成しうる書割オブジェクトKoを配置した仮想モデル(図6(a))に基づいて生成されることになるため、ジオメトリ処理やテクスチャマッピング等に係る計算負荷が軽減されることになる。また、この実施形態では簡明のため、消去オブジェクトがオブジェクトAのみであるとして説明したが、実際のCGに本発明を適用した場合には、より多数のオブジェクトが消去オブジェクトとなる(書割オブジェクトKoにより視点から見えなくなる)ため、実際にはより顕著な計算負荷の軽減が達成される。
【0096】
なお、上記計算負荷の軽減効果が達成されるのは、書割サブルーチン(ステップS4〜S7)が実行されないフレーム時間におけるステップS8、S9の処理においてであり、書割サブルーチンが実行されるフレーム時間(例えば、フレームカウンタTが「1」のフレーム時間)における処理に関しては、オブジェクトAを含む遠景モデル(図5(a))の描画処理(ステップS5)が実行されるために計算負荷は、本来の仮想モデル(図3(a))を描画する場合と変わらない。
【0097】
ステップS9での描画処理の後、CPU11から送信される所定のフレーム時間(例えば1/30秒)毎の割り込み信号を待ち受ける処理(ステップS10)が行われて1フレーム分の画像生成処理が完了となり、後続フレームでの画像の描画及び表示を行うため、処理はステップS2に戻される。
【0098】
図7(a)には、図6(b)に示す画像が描画された後、ステップS3においてテクスチャ更新条件の成立が判定されることなく(従って、書割サブルーチンが実行されることなく)、ステップS2〜S10の処理が何サイクルか反復された時点(フレームカウンタTは「n」であるものとする)のステップS8において構築される仮想モデルが示されており、図7(b)には、続くステップS9で描画される表示画像G3が示されている。
【0099】
図7(a)に示されるように、フレーム時間の経過により視点Vの位置がルートRに沿って所定距離移動しているが、図6(b)の画像G2の描画以降、ステップS7における消去オブジェクトの特定がなされなかったために、オブジェクトAのみが仮想空間から消去され、その他のオブジェクト(オブジェクトB、C、X、書割オブジェクトKo)は配置座標や姿勢等を変化させることなく、そのまま配置されている。また、視点Vが移動した結果、スクリーン座標Sよりも遠方に出現したオブジェクトDが新たに仮想空間に配置されている。
【0100】
ここで、図7(a)の仮想モデルの構築(ステップS8)及びそのレンダリング(ステップS9)がなされた直後のフレーム時間(フレームカウンタTは「n+1」となる)における処理を例として、書割条件判定部38の動作並びに新たな書割オブジェクトKo′の配置について説明する。
【0101】
ステップS3において書割条件判定部38は、直前のステップS8(フレームカウンタTが「n」の時点のステップS8)において構築された仮想モデル(図7(a))における視点Vと書割オブジェクトKoの頂点を結ぶ線分Lna、Lnbが視点方向Zと成す角度(θna、θnb)を導出し、これを、当該書割オブジェクトKoが配置された時点(この例では、フレームカウンタTが「1」の時点)の仮想モデルにおける線分L1a、L1aが視点方向Zと成す角度(θ1a、θ1b)と比較し、両者の差である視差角Δθa(=θ1a−θna)及び視差角Δθb(=θ1b−θnb)のいずれかが許容値(例えば10度)を越えている場合にテクスチャ更新条件の成立を判定し、その許容値以下の場合はテクスチャ更新条件の不成立を判定する。なお、視差角の許容値は、書割オブジェクト上において選択される特定点の位置、書割オブジェクトのサイズや配置時点での視点からの距離、必要な画像品質のレベルなどに応じて適宜の値を設定することができる。
【0102】
そして、図7(a)の線分Lna、Lnbから算出される視差角が上記許容値を越えているものとすると、上記フレーム時間(フレームカウンタTは「n+1」)のステップS3においてテクスチャ更新条件の成立が判定され、処理は再度書割サブルーチンに分岐してステップS4〜10の処理が実行される。
【0103】
即ち、その時点のフレームカウンタT(=n+1)に割り当てられたオブジェクトのうち、このフレーム時間における視点Vの位置から視点方向Zへの距離が所定値dよりも大きい一般オブジェクトのみが配置された遠景モデルが構築され、この遠景モデルを視点Vから見た遠景画像が描画され、当該遠景画像の所定領域が新たなテクスチャ画像Kgとしてテクスチャ画像記録領域18cに保存される。
【0104】
図8(a)は、このときに構築される遠景モデルを示す説明図であり、図8(b)は、当該遠景モデルに基づいて描画された遠景画像G4であり、図8(c)は、その遠景画像G4から切り出されたテクスチャ画像Kgである。
【0105】
図8(a)に示されるように、この遠景モデルでは、フレームカウンタT(=n+1)に割り当てられたオブジェクトのうち、視点Vからの距離が所定値dの位置より遠方のオブジェクトB、X及び書割オブジェクトKoが配置される一方、この位置よりも手前のオブジェクトC及びDは削除されている。なお、図8(a)では、図7(a)の時点から1フレーム時間が経過したことにより、視点Vは移動速度に応じた距離だけ方向Mに移動しているが、1フレーム時間が短いことを考慮して、図8(a)ではこの1フレーム時間での視点Vの移動は無視されている。
【0106】
また、図8(b)の遠景画像G4における領域Kcが切り出されて図8(c)の態様のテクスチャ画像Kgが保存されるが、領域Kc中にオブジェクトA周辺の画像がマッピングされた書割オブジェクトKo(図中の破線枠の部分)が描画されているため、この遠景モデルでは配置されていないオブジェクトAの画像もテクスチャ画像Kg中に取り込まれることになる。
【0107】
そして、ステップS7では、ステップS8での仮想モデルの構築の際に配置される新たな書割オブジェクトKo′に遮られて視点Vから見えなくなるオブジェクトであるオブジェクトA、B、X並びに書割オブジェクトKoが消去オブジェクトとして特定され、続くステップS8では、当該消去オブジェクトを除くオブジェクト(オブジェクトC及びD)と、新たな書割オブジェクトKo′のみが配置された仮想モデルが構築され、更にステップS9において、当該仮想モデルをレンダリングすることで、このフレーム時間(T=n+1)における表示画像が描画される。
【0108】
図9(a)は、上記ステップS8において構築される仮想モデルを、図9(b)は、上記ステップS9において描画される表示画像G5を示している。
【0109】
この場合の仮想モデルは、オブジェクトC、D及び書割オブジェクトKo′のみで構成されており、ジオメトリ処理やテクスチャマッピング等の画像描画のための処理は、この3個のオブジェクトのみについて実行されるにも拘わらず、書割オブジェクトKo′には、オブジェクトA、B、Xが描画されたテクスチャ画像Kgがマッピングされているため、レンダリングされた表示画像G5では、6個のオブジェクト(オブジェクトA〜D、X)が配置された画像の描画が実現されており、本発明における計算負荷の軽減効果を明瞭に理解することができる。
【0110】
図10(a)、(b)は、更にフレーム時間が経過し、移動経路Rの曲率に従って視点Vの移動方向Mが変化したタイミングにおいて構築される仮想モデル及びこれに基づいて描画される表示画像G6を示している。
【0111】
図10(b)から、書割オブジェクトKo′の画像内での位置が左寄りとなり、その形状が透視変換の際の遠近効果で台形になっているが、本発明の効果は、視点Vの移動方向Mが変化しても同様に達成されることが理解できる。なお、図10(a)から理解できるように、視点Vの移動方向Mが変化していく場合には、直線的な移動の場合と比較して、視点Vと書割オブジェクトの頂点が成す角度がより早く変化することになるため、ステップS3においてテクスチャ更新条件の成立が判定される頻度が増加することになる。
【0112】
続いて、本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置2について説明する。
【0113】
この画像処理装置2は、所定の経路Rを移動する視点Vの位置に向けて襲いかかってくるエネミーキャラクタをシューティングするゲーム装置に本発明を適用した場合の例であるが、そのハードウェア構成は画像処理装置1と同様とすることができる。
【0114】
図11は、画像処理装置2において実現される機能構成を示す説明図である。
【0115】
画像処理装置2の機能構成は、照準マーク管理部40及びゲーム管理部41を追加的に備える点において画像処理装置1と相違しており、また、画像描画部34、遠景モデル管理部35、テクスチャ画像保存部36、書割オブジェクト配置部37及び書割条件判定部38において、画像処理装置1では実行されない追加的な処理が実行される。
【0116】
上記照準マーク管理部40は、操作入力装置21からの照準マーク制御信号に基づいてスクリーン座標S上の照準マークの位置データを導出し、これを画像描画部34、テクスチャ画像保存部36、及びゲーム管理部41に送信するとともに、導出された照準マークの位置が書割オブジェクトKoの表示領域内に含まれているか否かを判断し、含まれない状態が所定フレーム数以上連続したことを条件に、所定の領域外通知信号を書割条件判定部38に送信するものである。
【0117】
ゲーム管理部41は、シューティングゲームの進行上必要となる種々の処理を行うものであり、例えば、操作入力装置21からの射撃信号及び照準マークや仮想モデル内のエネミーオブジェクトの位置データに基づくヒット判定や、ヒット判定の結果仮想空間から消去させるべきエネミーオブジェクトの特定、得点集計、ゲーム終了判定などの処理を実行し、処理の結果生成される種々の信号を画像描画部34等に送信する。
【0118】
ここで、照準マーク制御信号及び射撃信号は、それぞれ、照準位置の指定及び射撃タイミングの指示のために操作入力装置21に入力される信号であり、この目的のための操作入力装置21としては、例えば、ジョイスティックや押しボタンスイッチなどのハードウェアを使用することができる。
【0119】
また、画像描画部34、テクスチャ画像保存部36、書割オブジェクト配置部37及び書割条件判定部38は、以下の追加的な処理を実行する。
【0120】
即ち、画像描画部34は、視点管理部31、仮想モデル管理部33及び書割オブジェクト配置部37により指定される視点V及び各オブジェクトのデータに基づいて画像をレンダリングした後に、照準マーク管理部40により指定されるスクリーン座標上の位置に所定形状の照準マークの画像を上書きし、或いは更に、ゲーム管理部41から送信される得点や残り時間などのゲーム情報を上書きする。
【0121】
書割条件判定部38は、画像処理装置1におけるテクスチャ更新条件と同様の条件に加えて、照準マーク管理部40から上記領域外通知信号を受信したことを条件にテクスチャ更新条件の成立を判定する。
【0122】
テクスチャ画像保存部36は、テクスチャ画像Kgを保存するに際して、書割信号を受信したタイミングにおける照準マークの位置がテクスチャ画像Kgに所定のマージンをもって含まれるよう、テクスチャ画像Kgを切り出す領域Kcの遠景画像内における位置、形状、サイズを調整する。
【0123】
書割オブジェクト配置部37は、上記切出領域Kcの位置、形状、サイズに応じて書割オブジェクトKoの配置座標、形状、サイズを調整し、これを仮想モデル管理部33に通知する。
【0124】
図12は、画像処理装置2における動作を示すフローチャートである。
【0125】
画像処理が開始されると、画像処理装置1の場合と同様にして、フレームカウンタの初期化及び増分処理(ステップS21、S22)が実行された後に、テクスチャ更新条件の判定(ステップS23)が実行される。
【0126】
このテクスチャ更新条件の判定(ステップS23)では、描画開始直後又はシーンチェンジ直後のフレーム時間であること、視差角が所定値を越えていること、及び、1フレーム時間前のステップS35において領域外通知信号を受信したことの3つの条件がテクスチャ更新条件とされており、そのいずれかが成立している場合にテクスチャ更新条件の成立が判定され、それ以外の場合は不成立が判定される。
【0127】
この判定が不成立であった場合、処理はステップS28に移行し、仮想モデル管理部33により導出されるフレームカウンタTに割り当てられた各オブジェクトの配置座標データや姿勢データ、視点管理部31により導出されるフレームカウンタTに割り当てられた視点Vの配置座標データ及び視点方向を規定するデータに基づいて仮想モデルが構築される。このとき、仮想モデルには、背景を構成するオブジェクト及び書割オブジェクトKoに加えてエネミーオブジェクトEも配置される。
【0128】
そして、ステップS29では、画像描画部34がステップS28において構築された仮想モデルをレンダリングすることで画像を生成し、更にこの画像に照準マークTMなどを上書きすることによりゲーム画像を描画し、これをフレームバッファ18aに記録する。
【0129】
図13(a)は、ステップS28において構築される仮想モデルの例示的な態様を示す説明図であり、図13(b)はこの仮想モデルに基づいて描画されたゲーム画像G7(表示画像)である。
【0130】
図13(a)の仮想モデルでは、背景オブジェクトである2つのオブジェクトXと、テクスチャ画像としてオブジェクトAの画像がマッピングされた書割オブジェクトKoと、3つのエネミーオブジェクトEとが配置されており、図13(b)のゲーム画像G7では、これらをレンダリングした結果であるA、B、E、Xの文字に加え、画像描画部34がこのレンダリング画像上に上書した照準マークTMが表示されている。
【0131】
続くステップS30では、照準マーク管理部40が、ゲーム画像G7上において照準マークTMが書割オブジェクトKoの表示領域内に含まれているか否かを判断し、含まれていない場合(「No」の場合)には、照準マークTMが書割オブジェクトKoの表示領域外となったフレーム数をカウントするためのカウンタCを増分する処理(ステップS31)を実行した後、当該カウンタが所定値(N)以上であるかどうかをチェックし(ステップS32)、N以上である場合には、領域外通知信号を書割条件判定部38に送信する(ステップS33)。
【0132】
一方、ステップS30において、照準マークTMが書割オブジェクトKoの表示領域内に含まれていると判断された場合(「Yes」の場合)には、上記カウンタCをリセットする処理(ステップS34)が実行された後、所定の割込信号の待受(ステップS35)を実行して処理をステップS22に復帰させる。
【0133】
ステップS23においてテクスチャ更新条件の成立が判定された場合には、処理はステップS24に分岐する。
【0134】
そして、ステップS24、S25では、視点管理部31、仮想モデル管理部33、画像描画部34及び遠景モデル管理部35が動作し、画像処理装置1の場合と同様の態様で遠景モデルが構築され、その遠景モデルのレンダリングが実行される。このとき、遠景モデルは、視点Vからの視点方向Zへの距離が所定値dよりも大きい一般オブジェクトのみで構成されることになる。従って、エネミーオブジェクトEは、視点Vからの距離に関わらず、常に遠景モデルには配置されない。
【0135】
図14(a)は、上記ステップS24で構築される遠景モデルを示す説明図であり、図14(b)はその遠景モデルに基づいて描画される遠景画像G8を示す説明図である。
【0136】
図示されるように、この遠景モデルでは、視点Vから所定距離d未満の位置にある一般オブジェクト(オブジェクトB)及び全ての特定オブジェクト(エネミーオブジェクトE)は仮想空間から消去され、視点Vから所定距離d以遠の一般オブジェクト(オブジェクトX及び書割オブジェクトKo)のみが配置されており、遠景画像G8では、遠景モデルに配置されたオブジェクトがそれぞれ視点Vからの遠近感をもって描画されている。なお、遠景画像G8中に破線で示した照準マークTMは、図13(b)のゲーム画像G7中の照準マークTMの位置を示すために便宜上表示したものであって、遠景画像G8中に実際に描画されるものではない。
【0137】
続くステップS26では、テクスチャ画像保存部36が動作し、画像G8中のKcで示される領域の画像を切り出して、これをテクスチャ画像Kgとしてテクスチャ画像記録領域18bに保存する。このとき、テクスチャ画像保存部36は、図14(b)に示されるように、直前のフレーム時間におけるステップS29の処理において表示された照準マークTMの位置を、十分なマージンをもってカバーできるように、領域Kcの位置、形状及び/又はサイズを調整する。図14(c)は、ステップS26において切り出されたテクスチャ画像Kgである。
【0138】
ステップS27では、ステップS28において配置される書割オブジェクトKo′により視点Vから見えなくなるオブジェクト(オブジェクトX及び書割オブジェクトKo)が消去オブジェクトとして特定され、ステップS28では、当該消去オブジェクトを除くオブジェクト(オブジェクトB及びエネミーオブジェクトE)及び新たな書割オブジェクトKo′のみが配置された仮想モデルが構築される。このとき書割オブジェクトKo′には、テクスチャ画像Kgが切り出された領域Kcの位置、形状、サイズに対応する位置、形状、サイズが与えられる。そして、ステップS29では、この仮想モデルをレンダリングすることでゲーム画像が描画される。
【0139】
図15(a)は、上記ステップS28において構築される仮想モデルを、図15(b)は、上記ステップS29において描画されるゲーム画像G9を示している。
【0140】
この場合の仮想モデルは、オブジェクトB、エネミーオブジェクトE及び書割オブジェクトKo′で構成されているが、レンダリングされた画像G9では、他のオブジェクト(オブジェクトA、X)も併せて描画されており、軽減された計算負荷をもって多数のオブジェクトが配置された仮想モデルの画像が描画されることが理解できる。また、書割オブジェクトKo′が照準マークを十分にカバーできるサイズ及び/又は位置に調整されているため、仮に次のフレーム時間以降のフレーム時間に描画されるゲーム画像の書割オブジェクトKo′の外周付近においてちらつきが発生したとしても、当該ちらつきが生じる領域がプレーヤーに注視されることが想定される照準マークTMから十分に離れていることになるため、画像品質の低下が認識される可能性を低減することができる。
【0141】
以上、例示的な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態により限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内において種々の変更、改変を行うことが可能である。
【0142】
例えば、上記実施形態では、画像のちらつきを極力少なくする目的で、書割オブジェクトよりも視点から遠いオブジェクトのみで構成された遠景モデルが構築される場合について説明したが、テクスチャ画像中に書割オブジェクトよりも視点に近いオブジェクトが描画されていたとしても、書割オブジェクトの更新がなされるまでの短い時間内にそのオブジェクトが大きく移動し、或いは消去されるなどが生じない限り、書割オブジェクト上のそのオブジェクトが描画された部分は、そのオブジェクトに隠れて視点からは見えないことになるため、画像の種類、特性などによっては、遠景モデルに書割オブジェクトよりも視点に近いオブジェクトを含めることも可能である。
【0143】
また、上記実施形態では、遠景モデルをレンダリングすることで得た遠景画像からテクスチャ画像が生成される場合について説明したが、テクスチャ画像を表示画像から生成することも可能である。即ち、あるフレーム時間(T=n+1)のステップS3又はS23でテクスチャ更新条件の成立が判定された場合、過去のフレーム時間(好ましくは、一つ前のフレーム時間(T=n))のステップS9又はS29において生成された表示画像の全部又は一部領域をテクスチャ画像として記録(ステップS6、S26)し、これを当該フレーム時間(T=n+1)以降、再度テクスチャ更新条件が成立するまでのフレーム時間における書割オブジェクトのテクスチャとして使用するものとすれば、遠景モデルの構築(ステップS4、S24)及びこれに基づく遠景画像の生成(ステップS5、S25)に係る処理を省略することが可能であり、この場合も、上記と同様、短時間のうちに書割オブジェクトよりも視点に近いオブジェクトが大きく移動し、或いは消去されない限り、オブジェクトが2重に表示される等の不都合を生じることなく本発明の効果は達成されるのであり、これらの処理が省略された画像処理装置、プログラム及びこれを記録した記録媒体もまた本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の画像処理装置として使用することができるシステムの例示的なハードウェア構成を示す説明図。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像処理装置の機能構成を示す説明図。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像処理装置において構築される仮想モデル(a)及び当該仮想モデルに基づいて生成される画像(b)を示す説明図。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像処理装置において実行される処理の流れを示すフローチャート。
【図5】本発明の一実施形態に係る画像処理装置において構築される仮想モデル(a)、当該仮想モデルに基づいて生成される画像(b)、及び当該画像から生成されるテクスチャ画像(c)を示す説明図。
【図6】本発明の一実施形態に係る画像処理装置において構築される仮想モデル(a)及び当該仮想モデルに基づいて生成される画像(b)を示す説明図。
【図7】本発明の一実施形態に係る画像処理装置において構築される仮想モデル(a)及び当該仮想モデルに基づいて生成される画像(b)を示す説明図。
【図8】本発明の一実施形態に係る画像処理装置において構築される仮想モデル(a)、当該仮想モデルに基づいて生成される画像(b)、及び当該画像から生成されるテクスチャ画像(c)を示す説明図。
【図9】本発明の一実施形態に係る画像処理装置において構築される仮想モデル(a)及び当該仮想モデルに基づいて生成される画像(b)を示す説明図。
【図10】本発明の一実施形態に係る画像処理装置において構築される仮想モデル(a)及び当該仮想モデルに基づいて生成される画像(b)を示す説明図。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置の機能構成を示す説明図。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置において実行される処理の流れを示すフローチャート。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置において構築される仮想モデル(a)及び当該仮想モデルに基づいて生成される画像(b)を示す説明図。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置において構築される仮想モデル(a)、当該仮想モデルに基づいて生成される画像(b)、及び当該画像から生成されるテクスチャ画像(c)を示す説明図。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置において構築される仮想モデル(a)及び当該仮想モデルに基づいて生成される画像(b)を示す説明図。
【符号の説明】
【0145】
1、2・・・画像処理装置、11・・・CPU、12・・・ROM、13・・・RAM、14・・・DMA、15・・・情報記録媒体、16・・・画像処理部、17・・・画像デコーダ、18a・・・フレームバッファ、18b・・・テクスチャ画像記録領域、18c・・・補助画像記録領域、19・・・ディスプレイコントローラ、20・・・音声処理部、21・・・操作入力装置、22・・・表示装置、23a、23b・・・スピーカ、31・・・視点管理部、32・・・オブジェクト記録部、33・・・仮想モデル管理部、34・・・画像描画部、35・・・遠景モデル管理部、36・・・テクスチャ画像保存部、37・・・書割オブジェクト配置部、38・・・書割条件判定部、39・・・消去オブジェクト特定部、40・・・照準マーク管理部、41・・・ゲーム管理部、G、G2、G3、G5、G6、G7・・・表示画像、G1、G4、G8・・・遠景画像、Kc・・・切出領域、Kg・・・テクスチャ画像、Ko・・・書割オブジェクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間を移動する視点から見た画像であって、前記視点の移動方向の逆方向を画角内に含む画像をフレーム時間毎に生成する画像処理装置であって、
フレーム時間毎の前記視点の仮想空間における配置位置を指定する視点管理手段と、
1又は複数のオブジェクトの仮想空間における配置位置を指定する仮想モデル管理手段と、
書割オブジェクトの仮想空間における配置位置を指定する書割オブジェクト配置手段と、
前記仮想モデル管理手段及び前記書割オブジェクト配置手段に指定される位置に配置された各オブジェクトを描画した画像を生成する画像描画手段と、
前記画像描画手段により生成された画像の全体又は一部領域をテクスチャ画像として所定の記録領域に保存するテクスチャ画像保存手段とを備え、
前記書割オブジェクトには、前記記録領域に保存された前記テクスチャ画像がマッピングされることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像描画手段は、画像表示手段に表示される表示画像と、前記表示画像に描画されるオブジェクトの一部のオブジェクトが描画された遠景画像とを生成するよう構成されており、
前記テクスチャ画像保存手段は、前記遠景画像の全体又は一部領域を前記テクスチャ画像として前記記録領域に保存することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記遠景画像には、前記表示画像に描画されるオブジェクトのうち、前記視点から所定距離以上離間した配置位置を指定されたオブジェクトのみが描画されることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記視点からの距離に基づいて消去オブジェクトを特定する消去オブジェクト特定手段を更に備え、
前記画像描画手段は、前記消去オブジェクト特定手段により特定された前記消去オブジェクトを除くオブジェクトを描画することにより前記表示画像を生成することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記テクスチャ画像保存手段は、前記画像描画手段により描画された画像の一部領域を切り出すことにより生成した前記テクスチャ画像を前記記録領域に保存し、
前記書割オブジェクト配置手段は、前記一部領域のサイズ、形状及び/又は位置に応じて、仮想空間における前記書割オブジェクトのサイズ、形状及び/又は配置位置を指定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
所定のテクスチャ更新条件の成否を判定する更新判定手段を更に備え、
前記更新判定手段が前記テクスチャ更新条件の成立を判定した場合に、前記テクスチャ画像保存手段による前記テクスチャ画像の保存及び前記書割オブジェクト配置手段による前記書割オブジェクトの配置位置の指定が実行されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記更新判定手段は、仮想空間に配置された書割オブジェクト上の特定点と視点を結ぶ線分が所定の基準方向と成す角度に基づいて前記テクスチャ更新条件の成否を判定することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
操作信号を入力するための操作入力手段と、
前記画像内における前記操作入力手段からの操作信号に指定される位置に所定のマークを表示するマーク表示手段とを更に備え、
前記書割オブジェクト配置手段は、前記画像中における前記マークの表示位置が前記書割オブジェクトの表示領域内に含まれるように、前記書割オブジェクトのサイズ、形状及び/又は位置を指定することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記更新判定手段は、前記画像描画手段が生成した画像内における前記書割オブジェクト上に前記所定のマークが表示されていないことを条件に前記テクスチャ更新条件の成立を判定することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
仮想空間を移動する視点から見た画像であって、前記視点の移動方向の逆方向を画角内に含む画像をフレーム時間毎に生成する画像処理装置に実装されるコンピュータにより解釈実行されるプログラムであって、
フレーム時間毎の前記視点の仮想空間における配置位置を指定する視点管理手順と、
1又は複数のオブジェクトの仮想空間における配置位置を指定する仮想モデル管理手順と、
書割オブジェクトの仮想空間における配置位置を指定する書割オブジェクト配置手順と、
前記仮想モデル管理手順及び前記書割オブジェクト配置手順において指定される位置に配置された各オブジェクトを描画した画像を生成する画像描画手順と、
前記画像描画手順において生成された画像の全体又は一部領域をテクスチャ画像として所定の記録領域に保存するテクスチャ画像保存手順とをコンピュータに実行させ、
前記書割オブジェクトには、前記記録領域に保存された前記テクスチャ画像がマッピングされることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
仮想空間を移動する視点から見た画像であって、前記視点の移動方向の逆方向を画角内に含む画像をフレーム時間毎に生成する画像処理装置に実装されるコンピュータにより解釈実行されるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
フレーム時間毎の前記視点の仮想空間における配置位置を指定する視点管理手順と、
1又は複数のオブジェクトの仮想空間における配置位置を指定する仮想モデル管理手順と、
書割オブジェクトの仮想空間における配置位置を指定する書割オブジェクト配置手順と、
前記仮想モデル管理手順及び前記書割オブジェクト配置手順において指定される位置に配置された各オブジェクトの画像を生成する画像描画手順と、
前記画像描画手順において生成された画像の全体又は一部領域をテクスチャ画像として所定の記録領域に保存するテクスチャ画像記録手順とをコンピュータに実行させ、
前記書割オブジェクトには、前記記録領域に保存された前記テクスチャ画像がマッピングされることを特徴とするプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−204145(P2008−204145A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39189(P2007−39189)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】