説明

画像処理装置、及びプログラム

【課題】異なる地域における環境光の違いによって生じる色再現の変化に応じて、より高い自由度で撮影画像を補正する。
【解決手段】カラーLUT71は、撮影時に撮像部4で取り込まれた画像データのRGB特性を、人間の目の色に対する特性(三刺激値)に合致させるように変換するための変換テーブルである。制御部2は、ユーザによる操作部3、またはタッチパネル61の操作に従って撮影地を設定し、次いで変換先の地域を設定し、設定した撮影地と変化先の地域とから、対応するカラーLUT71の補正パラメータを選択する。レリーズ操作があると、撮像部4による撮影処理を行い、選択したカラーLUT71の補正パラメータに従って撮影した画像のRGB値を変換する画像処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
旅行等で国や、地域の異なる土地で撮影を行うと、その場の大気の影響を受ける。例えば、中程度の緯度に位置する日本では、自然光の色温度も中程度で、湿度が高く、遠景はボケ気味となる。緯度の高い北欧では、色温度が高く、大陸の中央などでは、湿度が低く、遠景や空などくっきりと映るといった違いがある。本発明では、これら環境の違いを含めて環境光の違いとして捉える。
【0003】
従来、デジタルカメラは、環境光の補正をホワイトバランスで行っているが、ホワイトバランスの調整だけでは、地域の異なる土地における環境光の違いによる色再現の変化を完全に補正できない。また、デジタルカメラの色設定は、典型的な被写体の印象が良くなるよう必ずしも忠実な再現ではなく、この色調整が場所、即ち環境光や、その地域の人々の好む色合いによる影響を受ける。このため、例えば、国内用に設定されたデジタルカメラを用いて、海外で記念写真を撮ると、日本での印象と異なる顔色に写る、服の色が日本と異なるといった問題がある。
【0004】
例えば、地域情報に応じた最適な画像処理パラメータを効率的に作成、設定、高品質な出力画像を得る技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−74133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術では、撮影地の違いによる補正を行うことは可能であるが、更に高い自由度で撮影画像を補正できることが望まれる。
【0007】
そこで本発明は、異なる地域における環境光の違いによって生じる色再現の変化に応じて、より高い自由度で撮影画像を補正することができる画像処理装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像処理装置は、撮影地の地域、撮影地の気候、或いは撮影地の時間情報を設定する撮影地設定手段と、変換先の地域、変換先の気候、或いは変換先の時間情報を設定する変換先設定手段と、前記撮影地設定手段、及び前記変換先設定手段により設定された地域、気候、或いは時間情報に基づいて、画像を補正する画像補正手段とを備えることを特徴とする画像処理装置である。
【0009】
本発明のプログラムは、画像処理装置のコンピュータに、撮影地の地域、撮影地の気候、或いは撮影地の時間情報を設定する撮影地設定機能、変換先の地域、変換先の気候、或いは変換先の時間情報を設定する変換先設定機能、前記撮影地設定機能、及び前記変換先設定機能により設定された地域、気候、或いは時間情報に基づいて、画像を補正する画像補正機能を実行させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、異なる地域における環境光の違いによって生じる色再現の変化に応じて、より高い自由度で撮影画像を補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態による画像処理装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態でのカラーLUT71の変換テーブルの作成方法を説明するための概念図である。
【図3】本実施形態によるカラーLUT71のデータ構成の一例を示す概念図である。
【図4】本実施形態による画像処理装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】本実施形態による画像処理装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】本実施形態のカラーLUTの変形例を示す概念図である。
【図7】本実施形態のカラーLUTの変形例を示す概念図である。
【図8】本実施形態のカラーLUTの変形例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する
【0013】
図1は、本発明の実施形態による画像処理装置1の構成を示すブロック図である。図において、画像処理装置1は、制御部2、操作部3、撮像部4、電源部5、タッチ表示部(タッチパネル61、表示パネル62)6、記憶部(カラーLUT71)7を備えている。制御部2は、画像処理装置1の各部を制御するワンチップマイコンである。特に、本第1実施形態では、制御部2は、撮影時の環境光の違いを考慮し、ユーザにより撮影地、変換先の地域を指定可能とし、指定された撮影地、及び変化先の地域に基づいて、撮影画像を補正するようになっている。
【0014】
操作部3は、シャッタスイッチ、ズームスイッチ、モードキー、SETキー、十字キー等の複数の操作キーを含み、ユーザのキー操作に応じた操作信号を制御部2に出力する。撮像部4は、フォーカスレンズ、ズームレンズ、撮像素子などを含み、被写体像を撮像素子上に結像し、投影された被写体の光を電気信号に変換して出力する。電源部5は、例えば、二次電池からなり、各部に電力を供給する。
【0015】
タッチ表示部6は、タッチパネル61と表示パネル62とを備えている。表示パネル62は、カラーLCDや有機EL(Electro
Luminescence)ディスプレイ、バックライトなどとその駆動回路とを含み、撮像待機状態にあるときには、撮像部4によって撮像された被写体をリアルタイム表示するライブビュー表示し、記録画像の再生時には、記憶部7から読み出され、伸張された記録画像を表示する。
【0016】
タッチパネル61は、表示パネル62上に設けられた透過型のタッチセンサであり、タッチ位置と表示パネル62上の位置(座標)とが対応付けられている。特に、本第1実施形態では、レリーズボタンをソフトウェアキーで実現する場合、あるいはオートフォーカスの対象とする人物等の被写体をタッチした際に合わせてレリーズを行う際に用いられる。
【0017】
記憶部7は、撮像された画像データを記憶するメモリと、制御部2による画像処理装置1の各部の制御に必要なプログラム、及び各部の制御に必要なデータを保持するメモリなどからなる。特に、本第1実施形態では、記憶部7は、カラーLUT(Look Up Table)71を保持している。カラーLUT71は、撮影時に撮像部4で取り込まれた画像データのRGB特性を、人間の目の色に対する特性(三刺激値)に合致させるように変換するための変換テーブルである。
【0018】
前述したように、撮影環境の違い、すなわち環境光の違いに応じて、撮像された画像の色再現性が異なる。カラーLUT71は、ある撮影地の環境光で撮影された画像が変換先での色再現性(三刺激値XYZ)となるように、撮影された画像のRGB値(入力RGB)を変換するためのRGB値(出力RGB)を保持している。なお、変換先は、通常、撮影地と同じであるが、本第1実施形態では、更に自由度の高い撮影画像を得ることができるように、撮影地と異なる地域を変換先に指定可能となっている。
【0019】
そこで、本実施形態では、カラーLUT71には、複数の異なる撮影地、すなわち複数の異なる環境光に対応するために、例えば、撮影地として、「日本」、「イタリア」、「ハワイ」などの複数の撮影地と、変換先として、「日本」、「イタリア」、「ハワイ」などの複数の変換先との組合わせ毎に、変換テーブルを用意している。
【0020】
図2(a)〜(c)は、本実施形態でのカラーLUT71の変換テーブルの作成方法を説明するための概念図である。まず、撮影地に複数の色票を用意し、撮影地の環境光で複数の色票を撮影する。このとき、撮影した画像を表示する表示パネル62上での三刺激XYZが所望する変化先の三刺激XYZとなるように、画像処理装置側のカラーLUT71の入力RGBに対する出力RGBを設定する。これを複数の色票について行うことで、3次元のカラーLUT71を設定する。
【0021】
より具体的には、以下の手順(周知の方法)でカラーLUT71を設定する。
ステップ1)カラーLUT71の1つの点を選択し、
ステップ2)選択した点のカラーLUT71の入力RGB値に逆方向ホワイトバランスゲインを乗じて撮像rgb値に変換し、
【0022】
ステップ3)計測データを利用して撮像rgb値を直視三刺激XYZ値に変換し、
ステップ4)該直視三刺激XYZを表示パネル62の逆伝達関数に通し、更に逆γ補正特性を通して、カラーLUT71の出力RGBに変換し、これをこの点のカラーLUT71の値とする。
ステップ5)次のカラーLUT71の点を選択し、ステップ2に戻り、繰り返す。
【0023】
なお、全ての点について撮影して計算するのでなく、代表点のみを撮影して計算し、他の点については計算により算出してもよい。
【0024】
また、上述した例では、カラーLUT71の入出力特性のみを調整したが、これ以外にも、鮮鋭化、γ補正のカーブといった画像のパラメータを調整するようにしてもよい。例えば、湿度が高い等の理由で、遠方が霞む地域の風景撮影では、鮮鋭化や、γ補正のカーブを強めにするといった調整を行う。
【0025】
図2(a)には、撮影地として「日本」、変換先として「日本」とした場合を示しており、三刺激値XYZ(日本)と三刺激値XYZ1a(日本)とが同一となるように、カラーLUT71の出力RGBを設定する。図2(b)には、撮影地として「イタリア」、変換先として「イタリア」とした場合を示しており、三刺激値XYZ2(イタリア)と三刺激値XYZ2a(イタリア)とが同一となるように、カラーLUT71の出力RGBを設定する。図2(c)には、撮影地として「日本」、変換先として「イタリア」とした場合を示しており、三刺激値XYZ(日本)と三刺激値XYZ2a(イタリア)とが同一となるように、カラーLUT71の出力RGBを設定する。
【0026】
図3は、本実施形態によるカラーLUT71のデータ構成の一例を示す概念図である。図3において、地域情報とは、撮影地と変換先とを示す情報であり、図示の例では、撮影地「日本」→変化先「日本」を始めとし、撮影地「イタリア」→変換先「イタリア」、撮影地「日本」→変換先「イタリア」、撮影地「イタリア」→変換先「日本」などが設定されている。そして、各地域情報に対して、入力RGBと出力RGBとが設定されている。制御部2は、撮影に先だって、ユーザにより指定される撮影地、変換先に応じて、対応するカラーLUTを選択することになる。
【0027】
例えば、日本で撮影した画像が日本での再現色となるように所望する場合には、撮影地「日本」→変化先「日本」を指定すればよい。同様に、イタリアで撮影した画像がイタリアでの再現色となるように所望する場合には、撮影地「イタリア」→変換先「イタリア」を指定すればよい。これに対して、日本で撮影した画像がイタリアでの再現色となるように、つまり、日本で撮影した画像が、あたかもイタリアで撮影したかのような画像を得る場合には、撮影地「日本」→変換先「イタリア」を指定すればよい。
【0028】
次に、上述した実施形態の動作について説明する。
図4、及び図5は、本実施形態による画像処理装置1の動作を説明するためのフローチャートである。まず、制御部2は、モードが撮影モードであるか否かを判断し(ステップS10)、撮影モードである場合には(ステップS10のYES)、ユーザによる操作部3、またはタッチパネル61の操作に従って撮影地を設定し(ステップS12)、次いでユーザによる操作部3、またはタッチパネル61の操作に従って変換先の地域を設定する(ステップS14)。次に、設定した撮影地と変化先の地域とから、対応するカラーLUT71の補正パラメータを選択する(ステップS16)。
【0029】
次に、撮像部4により撮影された画像を表示するライブビュー表示を行い(ステップS18)、画面タッチがレリーズ操作であったか否かを判断する(ステップS20)。そして、画面タッチがレリーズ操作である場合には(ステップS20のYES)、AF(オートフォーカス)、AE(自動露出)、AWB(自動ホワイトバランス)などの処理を行い(ステップS22)、撮像部4による撮影処理を行い(ステップS24)、選択したカラーLUT71の補正パラメータに従って撮影した画像のRGB値を変換する画像処理を施し(ステップS26)、記憶部7に保存する保存処理を行う(ステップS28)。その後、ステップS18に戻る。
【0030】
なお、画像を保存する際、撮影地、変換先の地域の情報を、Exif等の付加情報として記憶させて保存するようにしてもよい。画像を再生する際に、上記Exif等の付加情報から、撮影地、変換先の地域の情報を読み込で逆変換し、再度、撮影地、変換先を設定して画像処理を実行することが可能となる(詳細は、再生モードの動作で説明する)。
【0031】
一方、レリーズ操作でない場合には(ステップS20のNO)、レリーズ以外の操作に応じた処理(露出設定、ズーム、設定等)を実行し(ステップS30)、ステップS18に戻る。
【0032】
一方、撮影モードでない場合には(ステップS10のNO)、再生モードであるか否かを判断する(図5のステップS32)。そして、再生モードである場合には(ステップS32のYES)、通常再生であるか否かを判断する(ステップS34)。そして、通常再生である場合には、指定された画像を再生表示し(ステップS50)、再生終了操作があった否かを判断する(ステップS52)。そして、再生終了操作がない場合には(ステップS52のNO)、ステップS34に戻り、上述した再生処理を繰り返す。一方、再生終了操作があった場合には(ステップS52のYES)、図4のステップS10に戻る。
【0033】
一方、通常再生でない場合には(ステップS34のNO)、画像ファイルのExifから撮影地、及び変換先の情報を読み込み(ステップS36)、撮影地、及び変換先の地域とから、対応するカラーLUT71の補正パラメータを選択する(ステップS38)。次に、選択した補正パラメータに従って画像に対して逆変換を施して画像処理前の状態に戻す(ステップS40)。
【0034】
次に、ユーザによる操作部3、またはタッチパネル61の操作に従って変換先の地域を設定する(ステップS42)。次に、読み込んだ撮影地と設定した変化先の地域とから、対応するカラーLUT71の補正パラメータを選択し(ステップS44)、選択したカラーLUT71の補正パラメータに従って画像のRGB値を変換する画像処理を施し(ステップS46)、記憶部7に保存する保存処理を行い(ステップS48)、画像を再生表示する(ステップS50)。
【0035】
次に、再生終了操作があった否かを判断する(ステップS52)。そして、再生終了操作がない場合には(ステップS52のNO)、ステップS34に戻り、上述した再生処理を繰り返す。一方、再生終了操作があった場合には(ステップS52のYES)、図4のステップS10に戻る。
【0036】
また、再生モードでない場合には(ステップS32のNO)、その他の操作(設定等)があったか否かを判断する(ステップS54)。そして、その他の操作(設定等)があった場合には(ステップS54のYES)、操作に応じた処理を実行し(ステップS56)、図4のステップS10に戻る。一方、その他の操作がなかった場合には(ステップS54のNO)、図4のステップS10に戻る。
【0037】
なお、再生画像がRAWファイルなど、画像処理を行っていない画像の場合には、逆変換を行う必要がないので、図5のステップS38〜S40を省き、ステップS36、S42〜S46で補正パラメータに従って画像処理を行えばよい。
【0038】
図6、図7、及び図8は、本第1実施形態のカラーLUTの変形例を示す概念図である。「晴天」、「曇り」、「雨」、「雪」など、気候が異なれば、そのときの湿度の違いなどにより環境光も変わってくる。そこで、図6には、環境光の違いとして、撮影地の気候情報と変換先の気候情報との組合わせから補正パラメータを決定するためのカラーLUT72の例を示している。
【0039】
また、「日の出」、「午前中」、「昼間」、「夕焼け」など、1日のうちでも撮影時の時刻(時間帯)が異なれば、やはり環境光も変わってくる。図7には、環境光の違いとして、撮影時の時間情報と変化先の時間情報との組合わせから補正パラメータを決定するためのカラーLUT73の例を示している。
【0040】
また、図8には、撮影地、及び撮影時の気候と、変換先の地域とを組み合わせた場合のカラーLUT74の例を示している。つまり、撮影地を指定したとしても、上述したように、「晴天」、「曇り」、「雨」、「雪」など、撮影時の気候が異なれば、そのときの湿度の違いなどにより環境光も変わってくる。したがって、図8に示すように、撮影地と撮影時の気候と、変換先の地域とを指定することで、より極め細やかな補正が可能となる。よって、図8において、気候情報に代えて、図7の撮影時の時間情報を組合わせてもよい。
【0041】
上述した実施形態によれば、撮影地、気候、或いは時間情報を設定し、変換先の地域の地域、気候、或いは時間情報を設定し、設定された地域、気候、或いは時間情報に基づいて撮影画像を補正するようにしたことで、撮影地のみならず変換先にも応じた撮影画像の補正が可能となる。
【0042】
また、上述した実施形態によれば、撮影地、気候、或いは時間情報と変換先の地域、気候、或いは時間情報とを異なる内容で設定可能としたので、あたかも撮影地とは異なる地域、気候、或いは時間で撮影したかのような撮影画像を得ることができる。
【0043】
また、上述した実施形態によれば、撮影地、気候、或いは時間情報と変換先の地域、気候、或いは時間情報とを同一内容で設定可能としたので、撮影地に適切な撮影設定で撮影した撮影画像を得ることができる。
【0044】
また、上述した実施形態によれば、撮影地、気候、或いは時間情報に対応する環境光の色情報と変換先の地域、気候、或いは時間情報に対応する環境光の色情報との差分により、補正対象となる画像を補正するようにしたので、環境光による違いを適切に反映して補正した撮影画像を得ることができる。
【0045】
また、上述した実施形態では、環境光に応じた画像処理を施した撮影画像を表示パネル62に表示するだけであったが、これに限らず、無調整の撮影画像と調整した撮影画像とを比較可能に表示パネル62に表示するようにしてもよい。この場合、現在の撮影画像と補正された撮影画像とを比較可能に表示するようにしたことで、画像の比較が容易に行える。
【0046】
また、上述した実施形態によれば、撮影地、気候、或いは時間情報と変換先の地域、気候、或いは時間情報とに対応する補正パラメータに基づいて撮影画像を補正するようにしたので、演算に時間をとられることなく迅速に随時適切な補正情報で撮影画像の補正が行える。
【0047】
また、上述した実施形態によれば、当該装置の備える記憶部7のカラーLUT71に記憶されている補正パラメータを読み出すことで該補正パラメータを取得するようにしたので、当該装置のみで撮影画像の補正が行える。
【0048】
また、上述した実施形態では、カラーLUT71の補正パラメータ(入力RGB:出力RGB)は、デジタルカメラである画像処理装置の記憶部7に記憶するとしたが、これに限らず、外部装置との間で情報の送受信を行う通信手段を備えることで、ネットワーク上のサーバ等(例えば、インターネット上のサーバ)と通信を行い、該サーバ等から取得するようにしてもよい。これにより、当該装置に補正パラメータを保持する必要がなくなり(の記憶部7の容量削減)、また、最新の補正パラメータや、追加された補正パラメータを随時取得することができる。
【0049】
また、上述した実施形態によれば、カラーLUT71の補正パラメータ(入力RGB:出力RGB)を、地域、気候、或いは時間毎に記憶するようにしたので、撮影地と変換先の組み合わせを任意に行える。
【0050】
また、上述した実施形態では、カラーLUT71の補正パラメータ(入力RGB:出力RGB)は、地域毎のデータとして記憶したが、これに限らず、地域間、気候間、或いは時間間の差分データとして記憶するようにしてもよい。これにより、撮影地と変換先の組合わせた際の演算を必要としない。
【0051】
また、上述した実施形態では、撮影手段を備えることで、画像の撮影時に画像の補正が可能となる。
【0052】
また、上述した実施形態では、撮影地や、変換先情報をExif等の付加情報として記憶させるようにしてもよい。これにより、補正内容を後から容易に確認することができる。また、付加情報から撮影地や変換先情報を読み込むことで撮影時に限らず画像の再生時にも画像の補正が可能となる。更にカラーLUT71の補正パラメータで画像処理を施した後の撮影画像であっても、Exif等の付加情報を参照することで逆変換し、画像処理前の撮影画像に戻し、新たな変換先情報を設定することで、新たな補正パラメータで補正することが可能となる。
【0053】
また、上述した実施形態では、撮影地、気候、或いは時間情報をユーザによる操作としていたが、センサや外部機器等から取得してもよい。
【0054】
なお、上述した実施形態では、画像処理装置としてデジタルカメラに適用した例であるが、本発明はこれに限定されるものではない。撮像機能を有する携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、通信機、その他の電子機器等にも幅広く適用できる。
【0055】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0056】
(付記1)
付記1に記載の発明は、撮影地の地域、撮影地の気候、或いは撮影地の時間情報を設定する撮影地設定手段と、変換先の地域、変換先の気候、或いは変換先の時間情報を設定する変換先設定手段と、前記撮影地設定手段、及び前記変換先設定手段により設定された地域、気候、或いは時間情報に基づいて、画像を補正する画像補正手段とを備えることを特徴とする画像処理装置である。
【0057】
(付記2)
付記2に記載の発明は、前記撮影地設定手段により設定される地域、気候、或いは時間情報と、前記変換先設定手段により設定される地域、気候、或いは時間情報とを異なる内容で設定可能であることを特徴とする付記1に記載の画像処理装置である。
【0058】
(付記3)
付記3に記載の発明は、前記撮影地設定手段により設定される地域、気候、或いは時間情報と、前記変換先設定手段により設定される地域、気候、或いは時間情報を同一内容で設定可能であることを特徴とする付記1に記載の画像処理装置である。
【0059】
(付記4)
付記4に記載の発明は、前記画像補正手段は、前記撮影地設定手段により設定される地域、気候、或いは時間情報に対応する環境光の色情報、及び変換先設定手段により設定される地域、気候、或いは時間情報に対応する環境光の色情報との差分により、補正対象となる画像を補正することを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置である。
【0060】
(付記5)
付記5に記載の発明は、前記画像補正手段による補正前の画像と前記画像補正手段により補正された画像とを比較可能に当該画像処理装置の備える表示部に表示する表示制御手段を更に備えることを特徴とする付記1に記載の画像処理装置である。
【0061】
(付記6)
付記6に記載の発明は、前記撮影地設定手段、及び前記変換先設定手段により設定された地域、気候、或いは時間情報に対応する補正情報を取得する取得手段を更に備え、前記画像補正手段は、前記取得手段により取得された補正情報に基づいて前記画像を補正することを特徴とする付記1に記載の画像処理装置である。
【0062】
(付記7)
付記7に記載の発明は、前記撮影地設定手段、及び前記変換先設定手段により設定された地域、気候、或いは時間情報の組み合わせに対応する補正情報を記憶する記憶手段を更に備え、前記取得手段は、前記記憶手段に記憶されている補正情報を読み出すことで該補正情報を取得することを特徴とする付記6に記載の画像処理装置である。
【0063】
(付記8)
付記8に記載の発明は、外部装置との間で情報の送受信を行う通信手段を更に備え、前記取得手段は、前記通信手段を介して前記外部装置に記憶されている補正情報を受信することで該補正情報を取得することを特徴とする付記6に記載の画像処理装置である。
【0064】
(付記9)
付記9に記載の発明は、前記補正情報は、地域、気候、或いは時間毎に記憶されていることを特徴とする付記6乃至8のいずれかに記載の画像処理装置である。
【0065】
(付記10)
付記10に記載の発明は、前記補正情報は、複数の地域間、気候間、或いは時間間の差分情報として記憶されていることを特徴とする付記6乃至8のいずれかに記載の画像処理装置である。
【0066】
(付記11)
付記11に記載の発明は、画像を撮影する撮影手段を更に備え、前記画像補正手段は、前記撮影手段により撮影された画像を補正することを特徴とする付記1乃至10のいずれかに記載の画像処理装置である。
【0067】
(付記12)
付記12に記載の発明は、前記撮影地設定手段により設定された撮影地の地域、撮影地の気候、或いは撮影地の時間情報、及び/または前記変換先設定手段により設定された変換先の地域、変換先の気候、或いは変換先の時間情報を、前記画像補正手段により補正された画像に付加情報として記憶させる付加情報記憶手段を更に備えることを特徴とする付記1乃至11のいずれかに記載の画像処理装置である。
【0068】
(付記13)
付記13に記載の発明は、画像を再生する再生手段を更に備え、前記再生手段による画像再生時に、前記撮影地設定手段は、前記画像の付加情報から、撮影地の地域、撮影地の気候、或いは撮影地の時間情報を読み込み設定し、前記変換先設定手段は、前記画像の付加情報から、変換先の地域、変換先の気候、或いは変換先の時間情報を読み込み設定することを特徴とする付記12に記載の画像処理装置である。
【0069】
(付記14)
付記14に記載の発明は、前記撮影地設定手段によって読み込み設定された撮影地の地域、撮影地の気候、或いは撮影地の時間情報と、前記変換先設定手段によって読み込み設定された変換先の地域、変換先の気候、或いは変換先の時間情報とに基づいて、前記画像に対して行われた画像処理を逆変換する画像逆変換手段を更に備え、前記画像補正手段は、前記画像逆変換手段によって逆変換された画像に対して、前記撮影地設定手段、及び前記変換先設定手段により設定された地域、気候、或いは時間情報に基づいて補正することを特徴とする付記13に記載の画像処理装置である。
【0070】
(付記15)
付記15に記載の発明は、画像処理装置のコンピュータに、撮影地の地域、撮影地の気候、或いは撮影地の時間情報を設定する撮影地設定機能、変換先の地域、変換先の気候、或いは変換先の時間情報を設定する変換先設定機能、前記撮影地設定機能、及び前記変換先設定機能により設定された地域、気候、或いは時間情報に基づいて、画像を補正する画像補正機能を実行させることを特徴とするプログラムである。
【符号の説明】
【0071】
1 画像処理装置
2 制御部
3 操作部
4 撮像部
5 電源部
6 タッチ表示部
61 タッチパネル
62 表示パネル
7 記憶部
71、72、73、74 カラーLUT



【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影地の地域、撮影地の気候、或いは撮影地の時間情報を設定する撮影地設定手段と、
変換先の地域、変換先の気候、或いは変換先の時間情報を設定する変換先設定手段と、
前記撮影地設定手段、及び前記変換先設定手段により設定された地域、気候、或いは時間情報に基づいて、画像を補正する画像補正手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記撮影地設定手段により設定される地域、気候、或いは時間情報と、前記変換先設定手段により設定される地域、気候、或いは時間情報とを異なる内容で設定可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記撮影地設定手段により設定される地域、気候、或いは時間情報と、前記変換先設定手段により設定される地域、気候、或いは時間情報を同一内容で設定可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像補正手段は、前記撮影地設定手段により設定される地域、気候、或いは時間情報に対応する環境光の色情報、及び変換先設定手段により設定される地域、気候、或いは時間情報に対応する環境光の色情報との差分により、補正対象となる画像を補正することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像補正手段による補正前の画像と前記画像補正手段により補正された画像とを比較可能に当該画像処理装置の備える表示部に表示する表示制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記撮影地設定手段、及び前記変換先設定手段により設定された地域、気候、或いは時間情報に対応する補正情報を取得する取得手段を更に備え、
前記画像補正手段は、前記取得手段により取得された補正情報に基づいて前記画像を補正することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記撮影地設定手段、及び前記変換先設定手段により設定された地域、気候、或いは時間情報の組み合わせに対応する補正情報を記憶する記憶手段を更に備え、
前記取得手段は、前記記憶手段に記憶されている補正情報を読み出すことで該補正情報を取得することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
外部装置との間で情報の送受信を行う通信手段を更に備え、
前記取得手段は、前記通信手段を介して前記外部装置に記憶されている補正情報を受信することで該補正情報を取得することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記補正情報は、地域、気候、或いは時間毎に記憶されていることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記補正情報は、複数の地域間、気候間、或いは時間間の差分情報として記憶されていることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項11】
画像を撮影する撮影手段を更に備え、
前記画像補正手段は、前記撮影手段により撮影された画像を補正する
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記撮影地設定手段により設定された撮影地の地域、撮影地の気候、或いは撮影地の時間情報、及び/または前記変換先設定手段により設定された変換先の地域、変換先の気候、或いは変換先の時間情報を、前記画像補正手段により補正された画像に付加情報として記憶させる付加情報記憶手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項13】
画像を再生する再生手段を更に備え、
前記再生手段による画像再生時に、
前記撮影地設定手段は、前記画像の付加情報から、撮影地の地域、撮影地の気候、或いは撮影地の時間情報を読み込み設定し、
前記変換先設定手段は、前記画像の付加情報から、変換先の地域、変換先の気候、或いは変換先の時間情報を読み込み設定する
ことを特徴とする請求項12に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記撮影地設定手段によって読み込み設定された撮影地の地域、撮影地の気候、或いは撮影地の時間情報と、前記変換先設定手段によって読み込み設定された変換先の地域、変換先の気候、或いは変換先の時間情報とに基づいて、前記画像に対して行われた画像処理を逆変換する画像逆変換手段を更に備え、
前記画像補正手段は、
前記画像逆変換手段によって逆変換された画像に対して、前記撮影地設定手段、及び前記変換先設定手段により設定された地域、気候、或いは時間情報に基づいて補正する
ことを特徴とする請求項13に記載の画像処理装置。
【請求項15】
画像処理装置のコンピュータに、
撮影地の地域、撮影地の気候、或いは撮影地の時間情報を設定する撮影地設定機能、
変換先の地域、変換先の気候、或いは変換先の時間情報を設定する変換先設定機能、
前記撮影地設定機能、及び前記変換先設定機能により設定された地域、気候、或いは時間情報に基づいて、画像を補正する画像補正機能
を実行させることを特徴とするプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−115546(P2013−115546A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258742(P2011−258742)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】