説明

画像処理装置、及び画像形成装置

【課題】マスク画像を原稿画像に合成してから、原稿画像におけるマスク画像の領域にスタンプ画像を合成する際に、スタンプ画像の周縁に色の滲みや白抜きが生じることのない画像処理装置を提供する。
【解決手段】PDLデータの形式で原稿画像やスタンプ画像のRGBデータを外部のパーソナルコンピュータ2から入力したり、原稿画像を読取って、原稿画像のRGBデータを生成し、原稿画像やスタンプ画像のRGBデータを非可逆圧縮処理(例えばJPEG圧縮処理)して、それらのJPEGデータをメモリに記憶したり、スタンプ画像に基づきマスク画像の画像データを生成してメモリに記憶する。また、原稿画像やスタンプ画像のJPEGデータをメモリから読出し伸張処理して、それらのRGBデータを求め、原稿画像やスタンプ画像のRGBデータをCMYKデータに変換してから、マスク画像の画像データをメモリから読出して、マスク画像を原稿画像に合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンプ画像を原稿画像に重ねて合成する画像処理装置、及びそれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機等の画像形成装置としては、原稿画像を印刷するに際し、原稿画像に文字や符号等のスタンプ画像を合成して、このスタンプ画像を合成した原稿画像を印刷するという機能を有するものがある。
【0003】
ところが、カラー画像においては、スタンプ画像を原稿画像に単に合成すると、スタンプ画像と原稿画像間に色混ざりが生じて、画像品質の低下が生じる。このため、スタンプ画像に重ねられるマスク画像(白抜きの領域)を生成し、このマスク画像を原稿画像に合成してから、原稿画像におけるマスク画像(白抜きの領域)にスタンプ画像を重ねて合成し、色混ざりの発生を防止している。
【0004】
例えば、図5に示すようなシステムにおいては、パーソナルコンピュータ101から画像形成装置102へとPDL(page description language)データの形式で原稿画像やスタンプ画像のRGBデータ(画像データ)が送受される。画像形成装置102では、PDLデータをPDLデータ処理部103で解析して、原稿画像やスタンプ画像のRGBデータを抽出し、これらのRGBデータをJPEG圧縮処理部104で非可逆圧縮して、この非可逆圧縮により得られた原稿画像やスタンプ画像のJPEGデータ(画像データ)をHDD105に記憶する。
【0005】
また、スタンプ画像については、JPEGデータをHDD105から読み出しJPEG伸張処理部106で伸張して、スタンプ画像のRGBデータを生成し、このスタンプ画像のRGBデータをマスク生成処理部107で処理して、マスク画像(2値画像)の画像データを生成し、このマスク画像の画像データをJBIG圧縮処理部108で可逆圧縮して、この可逆圧縮により得られたマスク画像のJBIGデータ(画像データ)をHDD105に記憶する。
【0006】
この後、原稿画像の印刷に際しては、原稿画像やスタンプ画像のJPEGデータをHDD105から読み出し伸張処理してRGBデータに変換し、またマスク画像のJBIGデータもHDD105から読み出し伸張処理してマスク画像(2値画像)の画像データに変換する。そして、原稿画像やスタンプ画像のRGBデータを画像形成装置102の印刷に適したCMYKデータに変換してから、マスク画像(2値画像)を原稿画像に合成し、原稿画像におけるマスク画像(白抜きの領域)にスタンプ画像を合成し、このスタンプ画像を合成した原稿画像を印刷する。
【0007】
また、特許文献1、2には、原稿画像に対して文字画像(スタンプ画像に相当する)の領域を白抜きし、原稿画像におけるその白抜きの領域に文字画像を合成するという技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−16392号公報(1993年1月26日公開)
【特許文献2】特開2007−318468号公報(2007年12月6日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、先に述べたようにスタンプ画像の画像データを圧縮してから伸張する場合は、スタンプ画像の画像品質が低下し、このスタンプ画像に基づき生成されるマスク画像の画像品質も低下する。このため、原稿画像におけるマスク画像の領域にスタンプ画像を合成すると、スタンプ画像の周縁に白抜きが生じた。
【0010】
また、特許文献1、2では、そのような問題の指摘がなく、その解決策も記載されていない。
【0011】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、マスク画像を原稿画像に合成してから、原稿画像におけるマスク画像の領域にスタンプ画像を合成する際に、スタンプ画像の周縁に白抜きが生じることのない画像処理装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の画像処理装置は、スタンプ画像に基づきマスク画像を生成して、前記マスク画像を原稿画像に合成し、原稿画像における前記マスク画像の領域に前記スタンプ画像を合成する画像処理装置であって、前記スタンプ画像の画像データ及び前記マスク画像の画像データを記憶する記憶部と、圧縮処理を受ける前の前記スタンプ画像に基づき前記マスク画像を生成して、前記マスク画像の画像データを圧縮するか又は圧縮せずに前記記憶部に記憶するマスク画像生成部とを備えている。
【0013】
このように圧縮処理を受ける前のスタンプ画像に基づきマスク画像を生成し、このマスク画像の画像データを可逆圧縮するか又は圧縮せずに記憶する場合は、マスク画像の画像品質が低下しない。このため、マスク画像を原稿画像に合成し、原稿画像におけるマスク画像の領域にスタンプ画像を合成しても、スタンプ画像の周縁に白抜きが生じることはない。
【0014】
また、本発明の画像処理装置においては、前記マスク画像の画像データを前記記憶部から読み出し伸張するか又は伸張せずに処理して、前記マスク画像を前記原稿画像に合成し、前記記憶部からスタンプ画像の画像データを読み出し処理して、前記原稿画像における前記マスク画像の領域に前記スタンプ画像を合成する合成部を備えている。
【0015】
このようにマスク画像を原稿画像に合成し、原稿画像におけるマスク画像の領域にスタンプ画像を合成する。
【0016】
更に、本発明の画像処理装置においては、前記マスク画像生成部は、前記スタンプ画像の画像データを圧縮して前記記憶部に記憶している。そして、前記合成部は、前記マスク画像の画像データを前記記憶部から読み出し伸張するか又は伸張せずに処理して、前記マスク画像を前記原稿画像に合成し、前記スタンプ画像の画像データを前記記憶部から読み出し伸張処理して、前記原稿画像における前記マスク画像の領域に前記スタンプ画像を合成している。
【0017】
スタンプ画像の画像データに非可逆圧縮を適用しても、スタンプ画像の周縁に白抜きが生じることはなく、スタンプ画像の画像データの容量を低減することができる。
【0018】
また、本発明の画像処理装置においては、前記原稿画像の画像データ及び前記スタンプ画像の画像データは、RGBデータであり、前記合成部は、前記原稿画像の画像データ及び前記スタンプ画像の画像データをRGBデータからCMYKデータに変換してから、前記マスク画像を前記原稿画像に合成し、前記原稿画像における前記マスク画像の領域に前記スタンプ画像を合成している。
【0019】
一方、本発明の画像形成装置は、上記本発明の画像処理装置を備えている。
【発明の効果】
【0020】
このような本発明によれば、可逆圧縮処理を受ける前のスタンプ画像に基づきマスク画像を生成し、このマスク画像の画像データを可逆圧縮するか又は圧縮せずに記憶する場合は、マスク画像の画像品質が低下しない。このため、マスク画像を原稿画像に合成し、原稿画像におけるマスク画像の領域にスタンプ画像を合成しても、スタンプ画像の周縁に色の滲みや白抜きが生じることはない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の画像処理装置の一実施形態を適用した画像形成装置を示すブロック図である。
【図2】スタンプ画像、マスク画像、及びスタンプ画像を構成するCMYKの画像成分を例示する図である。
【図3】原稿画像、原稿画像を構成するCMYKの画像成分、マスク画像を合成したCMYKの画像成分、スタンプ画像を合成したCMYKの画像成分、及びスタンプ画像を合成した原稿画像を例示する図である。
【図4】CMYKの画像成分とマスク画像のアンド合成を示す演算表である。
【図5】従来の画像形成装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の画像処理装置の一実施形態を適用した画像形成装置を示すブロック図である。この画像形成装置1では、PDL(page description language)データの形式で原稿画像やスタンプ画像の画像データを外部のパーソナルコンピュータ2から入力したり、原稿画像を読取って、原稿画像のRGBデータ(画像データ)を生成し、原稿画像やスタンプ画像のRGBデータを非可逆圧縮処理(例えばJPEG圧縮処理)して、それらのJPEGデータをメモリに記憶したり、スタンプ画像に基づきマスク画像の画像データを生成してメモリに記憶する。また、原稿画像やスタンプ画像のJPEGデータをメモリから読出し伸張処理して、それらのRGBデータを求め、原稿画像やスタンプ画像のRGBデータをCMYKデータ(画像データ)に変換し、またマスク画像の画像データをメモリから読出して、マスク画像を原稿画像に合成し、更に原稿画像におけるマスク画像にスタンプ画像を合成して、このスタンプ画像を合成した原稿画像を印刷する。
【0024】
このような画像形成装置1は、PDLデータの形式で入力した原稿画像やスタンプ画像を解析するPDLデータ処理部11と、原稿画像を読取って、原稿画像のRGBデータを出力するスキャナ12と、原稿画像やスタンプ画像のRGBデータを非可逆圧縮処理するJPEG圧縮処理部13と、スタンプ画像のRGBデータを処理してマスク画像の画像データを生成するマスク画像生成部14と、マスク画像の画像データを可逆圧縮処理するJBIG圧縮処理部15と、原稿画像やスタンプ画像のJPEGデータ(画像データ)及びマスク画像のJBIGデータ(画像データ)を記憶するHDD16と、原稿画像やスタンプ画像のJPEGデータを伸張処理してCMYKデータに変換したり、マスク画像のJBIGデータを伸張処理してから、マスク画像を原稿画像に合成して、原稿画像におけるマスク画像(白抜きの領域)にスタンプ画像を合成する合成部17と、このスタンプ画像を合成した原稿画像を印刷する印刷部18とを備えている。
【0025】
PDLデータ処理部11は、外部のパーソナルコンピュータ2からPDLデータの形式で入力した原稿画像やスタンプ画像のRGBデータを解析して、原稿画像やスタンプ画像のRGBデータを抽出し、原稿画像やスタンプ画像のRGBデータをJPEG圧縮処理部13に出力し、またスタンプ画像のRGBデータをマスク画像生成部14に出力する。
【0026】
スキャナ12は、原稿画像を読取って、原稿画像のRGBデータをJPEG圧縮処理部13に出力する
JPEG圧縮処理部13は、原稿画像やスタンプ画像のRGBデータを入力すると、原稿画像やスタンプ画像のRGBデータを非可逆圧縮処理(JPEG圧縮処理)して、原稿画像やスタンプ画像のJPEGデータを生成し、原稿画像やスタンプ画像のJPEGデータをHDD14に記憶する。
【0027】
また、マスク画像生成部14は、スタンプ画像のRGBデータを入力すると、このスタンプ画像のRGBデータに基づいて、スタンプ画像の画素毎に、有色画素であるか否かを判定し、有色画素であれば、マスク画像における該当画素の値を「0」とし、有色画素でなければ、マスク画像における該当画素の値を「1」とし、スタンプ画像と同一の画素行列を有するマスク画像(2値画像)を生成する。
【0028】
例えば、スタンプ画像のそれぞれの画素に、Rの256諧調を示す8ビット(0〜255)、Gの256諧調を示す8ビット(0〜255)、及びBの256諧調を示す8ビット(0〜255)、合計24ビットが割り振られているものとすると、Rの諧調に対する閾値(255−α)、Gの諧調に対する閾値(255−β)、及びBの諧調に対する閾値(255−γ)を設定する。そして、スタンプ画像の画素毎に、Rの諧調、Gの諧調、及びBの諧調の少なくとも1つがその閾値以下である場合に(Rの諧調≦(255−α)、Gの諧調≦(255−β)、Bの諧調≦(255−γ))、有色画素であると判定して、マスク画像における該当画素の値を「0」とし、またRの諧調、Gの諧調、及びBの諧調のいずれもがそれぞれの閾値を超えた場合に、有色画素でないと判定して、マスク画像における該当画素の値を「1」とする。従って、スタンプ画像の各画素のうちの色付きの画素がマスク画像において値「0」に設定され、スタンプ画像の各画素のうちの白もしくは白に近い画素がマスク画像において値「1」に設定される。
【0029】
図2には、RGBデータによって示されるスタンプ画像S、及びスタンプ画像Sに基づき生成されたマスク画像Mが示されている。スタンプ画像Sは、カラー画像であり、有色画素と、白もしくは白に近い画素とから構成される。マスク画像Mは、スタンプ画像Sと同一の画素行列を有しており、スタンプ画像Sの各有色画素に対応するマスク画像Mの各画素が値「0」に設定され、スタンプ画像Sの白もしくは白に近い各画素に対応するマスク画像Mの各画素が値「1」に設定されて、マスク画像Mが生成される。
【0030】
マスク画像生成部14は、そのようなマスク画像(2値画像)の画像データを生成すると、このマスク画像の画像データをJBIG圧縮処理部15に出力する。
【0031】
JBIG圧縮処理部15は、マスク画像の画像データを入力すると、このマスク画像の画像データを可逆圧縮処理(JBIG圧縮処理)して、マスク画像のJBIGデータを生成し、このマスク画像のJBIGデータをHDD14に記憶する。
【0032】
従って、原稿画像及びスタンプ画像のRGBデータは、非可逆圧縮処理(JPEG圧縮処理)されて、JPEGデータとしてHDD14に記憶される。また、マスク画像(2値画像)の画像データは、可逆圧縮処理(JBIG圧縮処理)されて、JBIGデータとしてHDD14に記憶される。
【0033】
原稿画像及びスタンプ画像のRGBデータについては、それらのデータ量が大きいため、非可逆圧縮処理(JPEG圧縮処理)により高圧縮化して、HDD14におけるファイルサイズを小さくしている。また、マスク画像(2値画像)の画像データについては、そのデータ量が小さく、また画像品質の劣化を避ける必要があることから、可逆圧縮処理(JBIG圧縮処理)してHDD14に記憶している。
【0034】
次に、合成部17による原稿画像、マスク画像、及びスタンプ画像の合成処理について説明する。
【0035】
合成部17において、第1JPEG伸張処理部21は、原稿画像のJPEGデータをHDD16から読み出し、原稿画像のJPEGデータを伸張処理して、原稿画像のRGBデータを形成する。この原稿画像のRGBデータは、第1画像処理部22でCMYKデータに変換され、原稿画像のCMYKデータがマスク画像合成部23に入力される。
【0036】
また、JBIG伸張処理部24、マスク画像のJBIGデータをHDD16から読み出し、マスク画像のJBIGデータを伸張処理して、マスク画像(2値画像)の画像データを形成する。このマスク画像の画像データは、マスク画像合成部23に入力される。
【0037】
マスク画像合成部23は、原稿画像のCMYKデータ及びマスク画像の画像データを入力すると、これらのデータの合成処理、つまりマスク画像(白抜きの領域)を原稿画像に合成するという処理を行って、マスク画像を合成した原稿画像のCMYKデータを形成する。このCMYKデータは、スタンプ合成部25に入力される。
【0038】
一方、第2JPEG伸張処理部26は、スタンプ画像のJPEGデータをHDD16から読み出し、スタンプ画像のJPEGデータを伸張処理して、スタンプ画像のRGBデータを形成する。このスタンプ画像のRGBデータは、第2画像処理部27でCMYKデータに変換され、スタンプ画像のCMYKデータがスタンプ合成部25に入力される。
【0039】
スタンプ合成部25は、マスク画像を合成した原稿画像のCMYKデータ及びスタンプ画像のCMYKデータを入力すると、これらのデータの合成処理、つまりスタンプ画像を原稿画像におけるマスク画像(白抜きの領域)に合成するという処理を行って、スタンプ画像を合成した原稿画像のCMYKデータを形成する。このCMYKデータは、印刷部18に入力される。印刷部18は、スタンプ画像を合成した原稿画像のCMYKデータを入力すると、スタンプ画像を合成した原稿画像を記録用紙に印刷する。
【0040】
図2には、スタンプ画像SのRGBデータから変換されたCMYKデータが概念的に示されている。ここでは、スタンプ画像SのCMYKデータ31は、C(シアン)色のスタンプ画像成分SC、及びM(マゼンタ)色のスタンプ画像成分SMを示す。各スタンプ画像成分SC、SMを示すCMYKデータ31は、第2画像処理部27から出力されてスタンプ合成部25に入力される。
【0041】
図3は、原稿画像QのRGBデータ、原稿画像QのRGBデータから変換されたCMYKデータ33、マスク画像Mを合成した原稿画像QのCMYKデータ34、スタンプ画像Sを合成した原稿画像QのCMYKデータ35、及びスタンプ画像Sを合成した原稿画像Qを概念的に示している。
【0042】
図3に示すように原稿画像Q(RGBデータ)がC(シアン)色の原稿画像成分QC、M(マゼンタ)色の原稿画像成分QM、Y(イエロー)色の原稿画像成分QY、及びB(ブラック)色の原稿画像成分QB(CMYKデータ33)に変換される。
【0043】
これらのC色の原稿画像成分QC、M色の原稿画像成分QM、Y色の原稿画像成分QY、及びB色の原稿画像成分QBには、マスク画像MがAND合成される。このAND合成の演算表を図4の図表に示す。
【0044】
先に述べたようにマスク画像Mにおいては、スタンプ画像Sの各有色画素に対応する各画素が値「0」に設定されていることから、C色の原稿画像成分QC、M色の原稿画像成分QM、Y色の原稿画像成分QY、及びB色の原稿画像成分QBのいずれにおいても、AND合成によりマスク画像Mの該各画素に対応するそれぞれの画素が白に設定され、マスク画像Mに重なる領域が白抜きとなる。また、スタンプ画像の白もしくは白に近い各画素に対応するマスク画像の各画素が値「1」に設定されていることから、C色の原稿画像成分QC、M色の原稿画像成分QM、Y色の原稿画像成分QY、及びB色の原稿画像成分QBのいずれにおいても、AND合成によりマスク画像Mの該各画素と対応するそれぞれの有色画素(C色、M色、Y色、)がそのまま維持される。これにより、マスク画像M(白抜きの領域)を合成したC色の原稿画像成分QC、M色の原稿画像成分QM、Y色の原稿画像成分QY、及びB色の原稿画像成分QB、つまりマスク画像Mを合成した原稿画像Qが生成される(CMYKデータ34)。
【0045】
この原稿画像Qにおけるマスク画像Mの白抜きの領域には、図2のスタンプ画像Sが合成される(CMYKデータ35)。ただし、図2のスタンプ画像SがC色のスタンプ画像成分SC及びM色のスタンプ画像成分SMのみから構成されるため、C色の原稿画像成分QCにC色のスタンプ画像成分SCが合成され、M色の原稿画像成分QMにM色のスタンプ画像成分SMが合成されるだけである。
【0046】
更に、CMYKデータ35によって示されるC色の原稿画像成分QC、M色の原稿画像成分QM、Y色の原稿画像成分QY、及びB色の原稿画像成分QBが記録用紙に重ねて印刷され、スタンプ画像Sを合成した原稿画像Qが印刷される。
【0047】
このように本実施形態では、可逆圧縮処理を受ける前のスタンプ画像に基づきマスク画像(2値画像)を生成し、このマスク画像の画像データを可逆圧縮するか又は圧縮せずにHDD16に記憶しているので、マスク画像の画像品質が低下しない。このため、マスク画像をHDD16から読出して、マスク画像を原稿画像に合成し、原稿画像におけるマスク画像の領域にスタンプ画像を合成しても、スタンプ画像の周縁に白抜きが生じることはない。
【0048】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。
【0049】
例えば、マスク画像と原稿画像の合成処理は、AND合成ではなく、他の演算処理で行っても構わない。マスク画像や原稿画像における画素の諧調を示すビット数が少ない場合は、アンド合成でよいが、ビット数が多くなると、より複雑な演算処理が必要となる。同様に、スタンプ画像と原稿画像の合成処理は、OR合成ではなく、他の演算処理で行ってもよい。また、非可逆圧縮処理及び可逆圧縮処理として、JPEG圧縮処理やJBIG圧縮処理とは異なる他の処理を適用しても構わない。
【符号の説明】
【0050】
1 画像形成装置
2 パーソナルコンピュータ
11 PDLデータ処理部
12 スキャナ
13 JPEG圧縮処理部
14 マスク画像生成部
15 JBIG圧縮処理部
16 HDD
17 合成部
18 印刷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタンプ画像に基づきマスク画像を生成して、前記マスク画像を原稿画像に合成し、原稿画像における前記マスク画像の領域に前記スタンプ画像を合成する画像処理装置であって、
前記スタンプ画像の画像データ及び前記マスク画像の画像データを記憶する記憶部と、
圧縮処理を受ける前の前記スタンプ画像に基づき前記マスク画像を生成して、前記マスク画像の画像データを圧縮するか又は圧縮せずに前記記憶部に記憶するマスク画像生成部とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記マスク画像の画像データを前記記憶部から読み出し伸張するか又は伸張せずに処理して、前記マスク画像を前記原稿画像に合成し、前記記憶部からスタンプ画像の画像データを読み出し処理して、前記原稿画像における前記マスク画像の領域に前記スタンプ画像を合成する合成部を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像処理装置であって、
前記マスク画像生成部は、前記スタンプ画像の画像データを圧縮して前記記憶部に記憶することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置であって、
前記合成部は、前記マスク画像の画像データを前記記憶部から読み出し伸張するか又は伸張せずに処理して、前記マスク画像を前記原稿画像に合成し、前記スタンプ画像の画像データを前記記憶部から読み出し伸張処理して、前記原稿画像における前記マスク画像の領域に前記スタンプ画像を合成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像処理装置であって、
前記原稿画像の画像データ及び前記スタンプ画像の画像データは、RGBデータであり、
前記合成部は、前記原稿画像の画像データ及び前記スタンプ画像の画像データをRGBデータからCMYKデータに変換してから、前記マスク画像を前記原稿画像に合成し、前記原稿画像における前記マスク画像の領域に前記スタンプ画像を合成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像処理装置を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−259308(P2011−259308A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133203(P2010−133203)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】