説明

画像処理装置、合成ジョブ出力方法及びプログラム

【課題】複数の文書を結合して1つの文書として印刷出力する場合において、ユーザの作業負担を軽減させつつ、且つ利便性を向上させる。
【解決手段】それぞれ異なるタイミングで受信する2以上の印刷データを1つに合成して複数ページから成る合成ジョブを作成し、該合成ジョブに基づいて印刷出力を行う画像処理装置2は、合成ジョブに関する印刷出力の開始時又は印刷出力を開始してから完了するまでの間に、未確定ページを確定ページに差し替える処理が行われるとき、その差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングから所定時間が経過するまでに、確定ページへの差し替えが完了するか否かを判断し、その判断結果に基づいて、差替対象ページの印刷出力を待機させて確定ページとして出力したり、又は、印刷出力を待機させることなく、未確定ページのまま未確定状態であることを示す画像を合成して出力したりする構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の文書を結合して印刷出力する画像処理装置、合成ジョブ出力方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスなどにおいて1つの最終印刷物を作成する際、複数のユーザがそれぞれ異なるページの編集作業を担当することがある。この場合、各ユーザによって作成される複数の文書を1つに結合して印刷出力する技術がある。例えば特許文献1には、複数のジョブを合成するサーバを備えたジョブ合成システムが開示されている。上記ジョブ合成システムは、複数受信するジョブのうち同一のジョブを識別し、それら同一のジョブを整序して1つの合成ジョブを生成する。そしてそのサーバは、ユーザから出力指示があると合成ジョブの印刷出力を実行する構成である。
【0003】
また特許文献2には、ネットワークに接続された各クライアントマシンによって作成された複数の原稿データを集約する印刷制御装置が開示されている。この印刷制御装置は、各クライアントマシンにおいて作成された原稿を入力すると、1つの文書を構成する原稿を識別し、全ての原稿が揃った時点でそれら原稿を1つのジョブに結合して実行する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−212741号公報
【特許文献2】特開平10−16343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来の技術には以下のような問題がある。すなわち特許文献1においては、印刷出力を行うタイミングがユーザの印刷指示に依存するため、ジョブの合成処理が完了していないうちにユーザが印刷指示を行ってしまう可能性がある。この場合、特許文献1に開示されたジョブ合成システムは、複数のジョブの合成処理中に印刷指示が行われた場合における処理を適切に行うための構成を備えていないので、出力される印刷物に欠損部分が存在する可能性が生じてしまう。仮に印刷物を取得したユーザが、その欠損部分に気が付かないと、出力された印刷物は不完全な内容であるにもかかわらず完成された印刷物として取り扱われてしまう可能性もある。このような事態を避けるために、ユーザは、オリジナルの文書と印刷物とを照らし合わせて自身で欠損部分の有無を精査したり、印刷物を取得した後に、例えば各作成ユーザのそれぞれに対して各担当部分の欠損の有無を確認させたりする措置を取らなければならず、手間となる。
【0006】
一方、特許文献2に開示された印刷制御装置においては、全ての原稿が揃ったことを条件として1つに結合された文書が印刷出力されるため、上述したような未完成の印刷物が出力されてしまうという不具合は生じない。しかし特許文献2に開示された印刷制御装置は、全ての原稿が揃うまで印刷物が出力されないため、ユーザが全ての原稿が揃うまで待たされることになってしまう。そのため特許文献2に開示された印刷制御装置は、ユーザが現時点で完成している部分のみを取得したい場合であっても長時間待たされる場合があり、使い勝手が良くないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、複数の文書を結合して1つの文書として印刷出力する場合において、ユーザの作業負担を軽減させつつ、且つ利便性を高めることのできる画像処理装置、合成ジョブ出力方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、それぞれ異なるタイミングで受信する2以上の印刷データを1つに合成して複数ページから成る合成ジョブを作成し、該合成ジョブに基づいて印刷出力を行う画像処理装置であって、前記合成ジョブの作成対象となる印刷データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された印刷データに含まれるページに基づき、前記合成ジョブを構成する複数ページのうち、未確定状態となっているページを確定ページとして差し替えることにより、前記記憶手段への印刷データの追加記憶に伴って前記合成ジョブを作成していくページ差替手段と、前記合成ジョブに関する印刷指示を受け付ける受付手段と、前記印刷指示に基づき、前記ページ差替手段によって作成される前記合成ジョブを読み出して印刷出力を開始する印刷制御手段と、を備え、前記印刷制御手段は、印刷出力の開始時又は印刷出力を開始してから完了するまでの間に、前記ページ差替手段によって未確定ページを確定ページに差し替える処理が行われるとき、その差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングから所定時間が経過するまでに、確定ページへの差し替えが完了するか否かを判断し、前記所定時間が経過するまでに確定ページへの差し替えが完了する場合にはその差し替えが完了するまで当該差替対象ページの印刷出力を待機させ、前記所定時間が経過するまでに確定ページへの差し替えが完了しない場合には印刷出力を待機させることなく、当該差替対象ページに対して未確定状態であることを示す画像を合成して印刷出力を行うことを特徴とする構成である。
【0009】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記印刷制御手段は、印刷出力の開始時又は印刷出力を開始してから完了するまでの間に、前記ページ差替手段によって未確定ページを確定ページに差し替える処理が行われないとき、未確定状態となっているページに対して未確定状態であることを示す画像を合成して印刷出力を行うことを特徴とする構成である。
【0010】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の画像処理装置において、前記ページ差替手段は、未確定状態となっているページを確定ページとして差し替えるとき、当該差替対象ページに含まれるオブジェクトの数、種類又はデータサイズに基づいて当該差替対象ページの差し替え要する差替所要時間を算出し、前記印刷制御手段は、前記差替所要時間に基づいて、当該差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングから所定時間が経過するまでに確定ページへの差し替えが完了するか否かを判断することを特徴とする構成である。
【0011】
請求項4にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置において、前記差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングは、当該差替対象ページの印刷出力を行うための給紙が開始される給紙タイミングであることを特徴とする構成である。
【0012】
請求項5にかかる発明は、請求項4に記載の画像処理装置において、前記給紙タイミングは、前記印刷指示に含まれる印刷モードの指定に基づき、差替対象ページごとに算出されることを特徴とする構成である。
【0013】
請求項6にかかる発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置において、前記印刷制御手段は、未確定ページの余白領域を特定し、その余白領域に対して未確定状態であることを示す画像を合成することを特徴とする構成である。
【0014】
請求項7にかかる発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置において、前記印刷制御手段は、未確定ページに含まれる画像に、未確定状態であることを示す画像を重ねて合成することを特徴とする構成である。
【0015】
請求項8にかかる発明は、それぞれ異なるタイミングで受信する2以上の印刷データを1つに合成して複数ページから成る合成ジョブを作成して出力する合成ジョブ出力方法であって、前記合成ジョブの作成対象となる印刷データを受信する都度、該印刷データを所定の記憶手段に格納するステップと、前記記憶手段に印刷データが格納されている状態で新たな印刷データが前記記憶手段に格納されることに伴い、該新たな印刷データに含まれるページに基づき、前記合成ジョブを構成する複数ページのうち、未確定状態となっているページを確定ページとして差し替える差替処理を行うことにより、前記記憶手段への印刷データの追加記憶に伴って前記合成ジョブを作成していくステップと、前記合成ジョブに関する印刷指示を受け付けるステップと、前記印刷指示に基づく印刷出力の開始時又は印刷出力を開始してから完了するまでの間に、前記差替処理が行われるとき、その差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングから所定時間が経過するまでに、確定ページへの差し替えが完了するか否かを判断し、前記所定時間が経過するまでに確定ページへの差し替えが完了する場合には前記差替処理が完了するまで当該差替対象ページの印刷出力を待機させ、前記所定時間が経過するまでに確定ページへの差し替えが完了しない場合には印刷出力を待機させることなく、当該差替対象ページに対して未確定状態であることを示す画像を合成して印刷出力を行うステップと、を有することを特徴とする構成である。
【0016】
請求項9にかかる発明は、コンピュータにおいて実行されることによって、それぞれ異なるタイミングで受信する2以上の印刷データを1つに合成して複数ページから成る合成ジョブを作成して出力するためのプログラムであって、前記コンピュータに、前記合成ジョブの作成対象となる印刷データを受信する都度、該印刷データを所定の記憶手段に格納させるステップと、前記記憶手段に印刷データが格納されている状態で新たな印刷データが前記記憶手段に格納されることに伴い、該新たな印刷データに含まれるページに基づき、前記合成ジョブを構成する複数ページのうち、未確定状態となっているページを確定ページとして差し替える差替処理を行わせることにより、前記記憶手段への印刷データの追加記憶に伴って前記合成ジョブを作成させるステップと、前記合成ジョブに関する印刷指示を受け付けるステップと、前記印刷指示に基づき、前記記憶手段から前記合成ジョブを読み出して印刷出力を開始させるステップと、前記印刷指示に基づく印刷出力の開始時又は印刷出力を開始してから完了するまでの間に、前記差替処理が行われるとき、その差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングから所定時間が経過するまでに、確定ページへの差し替えが完了するか否かを判断し、前記所定時間が経過するまでに確定ページへの差し替えが完了する場合には前記差替処理が完了するまで当該差替対象ページの印刷出力を待機させ、前記所定時間が経過するまでに確定ページへの差し替えが完了しない場合には印刷出力を待機させることなく、当該差替対象ページに対して未確定状態であることを示す画像を合成して印刷出力を行うステップと、を実行させることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、合成ジョブに関する印刷指示が受け付けられることに伴って、その合成ジョブに基づく印刷出力を開始することができる。そして合成ジョブに基づく印刷出力の開始時又は印刷出力を開始してから完了するまでの間に、未確定ページを確定ページに差し替える処理が行われるとき、その差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングから所定時間が経過するまでに、確定ページへの差し替えが完了する場合にはその差し替えが完了するまで当該差替対象ページの印刷出力を待機させる。そのため、合成ジョブに含まれる複数のページのうち、より多くのページを確定ページとして出力することができるようになる。また、所定時間が経過するまでに確定ページへの差し替えが完了しない場合には印刷出力を待機させることなく、その差替対象ページに対して未確定状態であることを示す画像を合成して印刷出力を行うため、印刷物を取得するユーザは一見してどのページが未確定状態であるかを把握することができるようになる。したがって、本発明によれば、複数の文書を結合して1つの文書として印刷出力する場合において、ユーザの作業負担を軽減させつつ、且つ利便性を高めることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】画像処理システムの一構成例を示す図である。
【図2】本実施形態における処理の概略を模式的に示す図である。
【図3】本実施形態における処理の概略を模式的に示す図である。
【図4】画像処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図5】画像処理装置における制御部の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図6】画像処理装置において実行される処理を模式的に示す図である。
【図7】画像処理装置において実行される処理を模式的に示す図である。
【図8】画像処理装置において実行される処理を模式的に示す図である。
【図9】画像処理装置において実行される処理を模式的に示す図である。
【図10】画像処理装置によって印刷出力される印刷物の一例を示す図である。
【図11】画像処理装置において差替処理と印刷出力とが並行して行われる場合の処理シーケンスを説明するための図である。
【図12】画像処理装置において差替処理と印刷出力とが並行して行われる場合の処理シーケンスを説明するための図である。
【図13】画像処理装置が印刷データを受信したときに行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】画像処理装置で行われる差替処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図15】画像処理装置が合成ジョブの印刷指示を検知することに伴って行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図16】画像処理装置で行われる待機判別処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図17】画像処理装置で行われる印刷出力処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0020】
図1は、本発明に関する一実施形態を示した画像処理システム1の構成例を示す図である。画像処理システム1は、画像処理装置2と、複数の情報処理装置5(5a〜5c)とを有し、それらがLAN(Local Area Network)などのネットワーク3を介して相互にデータ通信可能に接続される構成である。但し、ネットワーク3は、WAN(Wide Area Network)などの広域通信網を含む複合ネットワークであってもよい。また、情報処理装置5は例示している数に限られない。
【0021】
情報処理装置5a〜5cは、例えば一般的なパーソナルコンピュータである。情報処理装置5a〜5cは、ユーザA,B及びCのそれぞれが使用するために個別に割り当てられている。すなわち情報処理装置5aはユーザAに対応しており、同様に情報処理装置5b,5cは、ユーザB,Cのそれぞれに対応して割り当てられている。情報処理装置5aは、各種情報を表示する表示部6aと、ユーザによる指示操作を入力する操作入力部7aと、を備えている。情報処理装置5b,5cも上述した情報処理装置5aと同様に、表示部6b,6c及び操作入力部7b,7cのそれぞれを備えている。以下、説明の便宜上、情報処理装置5a〜5cを区別する必要がない場合には、単に「情報処理装置5」と称する。また情報処理装置5が備える表示部6及び操作入力部7についても同様とする。
【0022】
情報処理装置5は、ユーザの指示操作に基づき文書データを作成するアプリケーションソフトウエアなどが予めインストールされている。そして情報処理装置5は、そのアプリケーションソフトウエアによって作成される文書データを例えば情報処理装置5に内蔵される記憶装置(図示せず)に格納するように構成される。文書データには、テキスト、図形及び写真などのオブジェクトが含まれる。また情報処理装置5には、画像処理装置2に印刷データの印刷出力を実行させるためのプリンタードライバーが予めインストールされている。情報処理装置5は、文書データ作成中などにユーザによる印刷指示を受付けるとそのプリンタードライバーを起動させて、ユーザに対して各種印刷設定を行わせる。そして情報処理装置5は、プリンタードライバーを起動させた状態で、上記アプリケーションソフトウエアによって作成された文書データに基づいて印刷データを生成し、その印刷データをネットワーク3を介して画像処理装置2へ送信する構成である。
【0023】
画像処理装置2は、情報処理装置5からの印刷データを受信して、その印刷データに基づき印刷出力を行う構成である。画像処理装置2は、ユーザに各種指示操作を行わせる操作パネル2aと、印刷データに基づいて印刷処理を実行する画像形成部2bとを備えている。画像処理装置2は、情報処理装置5からの印刷データを受信すると、ページ単位でRIP(Raster Image Processing)処理を実行することにより、印刷データを上記画像形成部2bで印刷出力可能なデータに変換し、その変換後の印刷データに基づき画像形成部2bが印刷出力を行う構成である。また画像処理装置2は、上記印刷機能だけでなく、更にコピー機能、スキャナ機能及びFAX機能などを備えたMFP(Multi Function Peripheral)などと称される装置で構成されても良い。
【0024】
画像形成部2bは、印刷処理を行うために必要な以下の構成を備えている。例えば、画像形成部2bは、給紙カセットから印刷用紙を1枚ずつ取り出して給紙する給紙部、上述したRIP処理後の印刷データに基づき感光体ドラムに静電潜像を形成する露光処理部、感光体ドラムに形成された静電潜像にトナーを付着させて顕像化する現像部、給紙部から給紙される印刷用紙にトナー像(画像)を転写させる転写部、印刷用紙に転写されたトナー像を定着させる定着部、印刷された印刷物を出力する出力部、及び、現像部にトナーを補充するトナーボトルなどを備えている。画像形成部2bは、これら各部を同期して動作させることにより、入力する印刷データに基づいて印刷出力を行う。このような画像形成部2bが印刷出力を行う場合、給紙部が連続給紙を行う場合の給紙間隔(時間間隔)は装置固有のものであり、一定の給紙間隔よりも短い間隔で給紙を行うことはできない。ただし、給紙間隔を長く設定することは可能となっている。尚、このような画像形成部2bは、給紙部によって給紙される印刷用紙の表裏を反転させる反転搬送路を有しており、印刷用紙の表裏両面に印刷を行うことができる構成となっている。
【0025】
画像処理装置2は、情報処理装置5からの印刷データを受信すると、2以上の印刷データを1つに合成した合成ジョブを作成する構成である。すなわち本実施形態において情報処理装置5は、ユーザの操作入力部7への操作に基づいて合成ジョブの一部を構成する印刷データ(以下「合成用印刷データ」と称する)を生成し、その合成用印刷データを画像処理装置2に対して送信する構成である。そして画像処理装置2は、2以上の合成用印刷データを受付けると、それら合成用印刷データを合成して合成ジョブを作成するように構成される。以下、画像処理装置2が合成ジョブを作成する場合の処理の概要について説明する。
【0026】
図2,図3は、画像処理装置2が上記のような合成用印刷データ21を処理するときの概要を示す図である。図2,図3では、一例として全5ページからなる文書をユーザA〜Cで分担して作成することによって、画像処理装置2において合成ジョブ26が作成される場合を例示する。例えば、社内の月次報告会などにおいて製品ごとの売上報告を行う場合、その報告会で用いる資料を各製品担当者が分担して作成することがある。このような場合、ユーザA,B,Cはそれぞれ自身で担当する製品の売上実績値や次月度目標などを編集作成することにより、担当ページの資料を作成する。尚、月次報告会で用いる資料などの場合には、過去の資料(例えば前月の資料)を読み出して過去のデータを当月度のデータに書き換えることによって当月分の資料を作成することが良く行われる。
【0027】
図2,図3では、ユーザAが1ページ目、ユーザBが2,3ページ目、及び、図示しないユーザCが4,5ページ目を担当する場合を例示している。そして最初にユーザAが1ページ目を作成し、次にユーザBが2,3ページ目を作成し、最後のユーザCが4,5ページ目を作成する前に印刷出力が行われる場合について説明する。
【0028】
まず情報処理装置5aは、ユーザAによって作成された1ページ目に基づく合成用印刷データ21aを作成すると、その合成用印刷データ21aを画像処理装置2へ送信する。同様にして情報処理装置5bは、ユーザBによって作成された2、3ページ目に基づく合成用印刷データ21bを作成して、その合成用印刷データ21bを画像処理装置2に送信する。また情報処理装置5a,5bは、合成用印刷データ21a,21bを画像処理装置2に送信する際、合成ジョブ26の全ページ数に関する情報を例えば合成用印刷データ21a,21bに含めて画像処理装置2に対して送信する。これにより画像処理装置2において合成ジョブ26の全ページ数を特定することができる。
【0029】
一方、画像処理装置2は、情報処理装置5aからの合成用印刷データ21aを受信すると、まず全ページ数を特定して、その全ページのうち合成用印刷データ21aに含まれる1ページ目を印刷内容が確定している確定ページとして記憶し、全ページのうち他の2〜5ページ目を印刷内容が確定していない未確定ページとして記憶する。その状態で情報処理装置5bからの合成用印刷データ21bを受信すると、画像処理装置2は、記憶装置15に記憶されている未確定ページである2,3ページ目のそれぞれを、その合成用印刷データ21bに含まれる2、3ページ目に差替えて、差替え後の2,3ページ目を確定ページとして記憶することにより合成ジョブ26を作成する。このようにして図2に示すように、記憶装置15には確定ページとして1〜3ページ目が記憶され、4,5ページ目が未確定ページとして記憶されている状態となる。この場合、合成ジョブ26を完成させるのに必要な全てのページは未だ揃っていない状態である。
【0030】
図3に示すように、その状態でユーザXが操作パネル2aを操作することにより合成ジョブ26の印刷出力を指示すると、画像処理装置2は、以下のように処理を行う。ユーザXは、例えば印刷出力された印刷物を回収して最終的なチェックを行う管理者である。画像処理装置2は、ユーザXからの印刷指示を受付けると、合成ジョブ26を実行することにより確定ページと未確定ページとをページ順序に従って印刷出力する。このとき図例に示すように、画像処理装置2は、未確定ページについては未確定状態であることを示す未確定情報25を付して印刷出力する。
【0031】
これにより画像処理装置2は、合成ジョブ26を完成させるのに必要な全ページが揃っていない状態であっても、ユーザXからの印刷指示があればその合成ジョブ26を実行するので、ユーザXを長時間待たせることがなく、その時点での合成ジョブ26に基づく印刷物を速やかに出力することが可能である。また合成ジョブ26を実行する際、画像処理装置2は、確定ページと未確定ページとを含む全ページを印刷出力するので、ユーザXに対して文書全体が何ページで構成されているかという文書の全体像を把握させることができる。また画像処理装置2は、未確定ページに未確定情報25を付して印刷出力するので、ユーザXに対して内容の確定部分と欠損部分とを区別させることができる。これによりユーザXが未完成の印刷物を完成された印刷物と誤解して取り扱ってしまうような不具合を未然に防止することができる。そしてユーザCに対して4,5ページ目を速やかに作成するよう催促することもできるようになる。
【0032】
以下、上記のように構成される画像処理装置2について詳しく説明する。尚、以下においては、合成用印刷データ21a〜21cを区別する必要がない場合には、単に「合成用印刷データ21」と称する。
【0033】
図4は、画像処理装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。図例に示すように、画像処理装置2は、この画像処理装置2の動作を制御する制御部10と、情報処理装置5などの外部機器と接続するためのネットワークインタフェース11と、上述した操作パネル2aと、画像形成部2bと、記憶装置15とを備え、それぞれがバス13を介して相互にデータ通信が可能に接続される構成である。
【0034】
制御部10は、CPU10aとメモリ10bとを備えており、各部の動作を制御するものである。CPU10aは、記憶装置15に記憶されているプログラム16を読み出して実行する。ここで、プログラム16は、制御部10を後述する各種処理部として機能させるためのプログラムである。メモリ10bは、CPU10aがプログラム16を実行することに伴う一時的なデータなどを記憶するものである。
【0035】
ネットワークインタフェース11は、画像処理装置2を、ネットワーク3(図1)に接続するためのものである。これにより画像処理装置2は、情報処理装置5a〜5cと互いにデータ通信可能に接続される。尚、ネットワークインタフェース11は、ネットワーク3に対して有線接続されるものであっても良いし、無線接続されるものであっても良い。
【0036】
記憶装置15は、ハードディスク装置などの不揮発生の記憶手段であり、上述したプログラム16を記憶すると共に、上述した合成用印刷データ21を記憶する記憶領域である合成ジョブBOX17を備える。但し、合成ジョブBOX17は、必ずしも記憶装置15に設けられるものに限られず、例えばメモリ10bなどに設けられるものであっても構わない。
【0037】
合成ジョブBOX17は、複数の合成用印刷データ21が合成されて成る1つの合成ジョブ26を記憶するための記憶領域である。すなわち複数の合成ジョブ26が作成される場合には、合成ジョブ26の数に応じて複数の合成ジョブBOX17が用意される。また、記憶装置15には、後述する待機可能時間37が記憶されている。
【0038】
図5は、画像処理装置2における制御部10の機能構成の一例を示すブロック図である。制御部10は、上述したCPU10aがプログラム16を実行することにより、管理部31及び印刷制御部32として機能する。管理部31は、情報処理装置5からの合成用印刷データ21を受け付けて管理する処理部である。また印刷制御部32は、画像形成部2bによる印刷出力を制御する処理部である。ここで管理部31は、さらに記憶制御部31a、ページ差替部31b及び受付部31cとして機能する。記憶制御部31aは、情報処理装置5から合成用印刷データ21を受信した場合にその合成用印刷データ21を合成ジョブBOX17に格納する処理を行う。ページ差替部31bは、合成用印刷データ21が受信されることに伴い、未確定ページを確定ページに差し替える処理を行う。受付部31cは、合成ジョブ26に関する印刷指示を受け付ける処理部であり、ユーザによる合成ジョブ26の印刷指示を検知すると、印刷制御部32を機能させる。これら各処理部は、情報処理装置5又は操作パネル2aからの各種情報を受付けることで連携した動作を行うように機能する。
【0039】
また記憶装置15には、上述した合成ジョブBOX17が設けられると共に、待機可能時間37が記憶されている。この待機可能時間37は、合成ジョブ26を構成する複数ページのうち未確定ページを確定ページに差替える差替処理の実行中に、その合成ジョブ26を実行して印刷出力する場合に、その差替処理が完了するまで待機して確定ページとして印刷出力するか又は差替処理が完了するまで待機することなく未確定ページとして印刷出力するかを判断するための判断基準となる時間情報である。
【0040】
以下、上記のように構成される各処理部が連携して行う処理について説明する。以下においては、ユーザA〜Cの分担作業によって作成される文書データに基づいて全10ページの合成ジョブ26が作成される場合を例示する。またユーザAは1〜4ページ目、ユーザBは5,10ページ目、及びユーザCは6〜9ページ目を担当する場合を例示する。
【0041】
図6は、ユーザAからの合成用印刷データ21aを受信する場合における処理を模式的に示す図である。画像処理装置2における処理を説明するに先立って、まず情報処理装置5aにおいて合成用印刷データ21aを作成するための処理について説明する。
【0042】
情報処理装置5aは、ユーザAによる合成用印刷データ21aの作成指示を受付けると、プリンタードライバーを起動し、印刷設定画面を表示する。その印刷設定画面には、合成ジョブとして印刷するか否かを指示するチェックボタンが表示されると共に、そのチェックボタンが押下されると、ユーザAが作成したページ番号を入力するページ番号入力欄への入力が可能となる。ユーザAは、情報処理装置5aにおいて印刷設定画面が表示されると、チェックボタンを押下し、さらにページ番号入力欄へ自身で作成したページ番号を入力することにより、合成用印刷データ21aの作成を指示すると共に、自身が作成したページ番号(この例では、1〜4ページ)を指定する。これにより、情報処理装置5aは、合成指示を含んだ合成用印刷データ21aを作成することができるようになると共に、ユーザAの担当ページが1〜4ページ目であることを特定することができるようになる。
【0043】
次に情報処理装置5aは、合成ジョブ26を構成する全ページ数を特定する。例えば上述したように、ユーザAが、全10ページから成る過去の資料の1〜4ページ目を再編集して新たな資料を作成した場合、全ページ数は10ページとして特定される。つまり、全ページ数には、ユーザAが担当するページだけでなく、他のユーザB,Cが担当するページも含まれる。このようにして情報処理装置5aは、全ページ数を特定すると、その全ページ数分の文書データに基づく合成用印刷データ21aを作成する。つまり、合成用印刷データ21aには、ユーザAが新たに作成した内容の1〜4ページ目の画像だけでなく、過去の資料に含まれている5〜10ページ目の画像もそのまま含まれる。ただし、合成ジョブ26の一部を構成するのは、ユーザAによって新規に作成された1〜4ページ目の画像だけである。
【0044】
一方、ユーザA,B,Cのそれぞれが過去の資料を再編集するのではなく、互いに共同して新規な資料を作成する場合もある。そのような場合、情報処理装置5aは、ユーザAによる全ページ数の指定を受け付け、その指定に基づいて全ページ数を特定する。またこの場合、ユーザAが作成する1〜4ページ目以外の5〜10ページ目の画像は存在しないため、情報処理装置5aは、全ページ数分の合成用印刷データ21aを作成する際、5〜10ページ目については白紙の画像を自動作成しても良い。
【0045】
上記のようにして情報処理装置5aは、全10ページ中、1〜4ページ目が担当ページであることを指定して合成用印刷データ21aを作成する。尚、ユーザAが担当する1〜4ページ目以外の5〜10ページ目については、後に画像処理装置2において確定ページに差替えられることになる。
【0046】
また情報処理装置5aは、合成用印刷データ21aを作成する際、通常の印刷データの場合と同様に、その合成用印刷データ21aに対してファイル名などの識別情報を関連づける。この場合、情報処理装置5は、例えば合成用印刷データ21aの作成元となる文書データのファイル名などを自動取得して識別情報を関連付けても良いし、印刷設定画面においてユーザから入力される識別情報を関連付けても良い。これにより記憶装置15において複数の合成ジョブBOX17が設けられる場合、同一の識別情報が関連付けられた合成用印刷データ21を1つの合成ジョブBOX17に格納することが可能になる。上記のようにして情報処理装置5aにおいて合成用印刷データ21aが作成された後、ユーザAによる合成用印刷データ21aの送信指示が行われると、情報処理装置5aは、その合成用印刷データ21aを画像処理装置2に対して送信する。
【0047】
画像処理装置2において管理部31は、情報処理装置5aからの印刷データを受信すると、ページ単位で上述したRIP処理を実行すると共に、受信した印刷データが合成用印刷データ21aであるか又は通常の印刷データであるかを判断する。管理部31は、受信した印刷データが合成指示を含む合成用印刷データ21aである場合、それに関連付けられた識別情報に対応する合成ジョブBOX17が作成されているか否かを判断する。その結果、識別情報に対応する合成ジョブBOX17が既に作成されていれば、その合成ジョブBOX17に受信した合成用印刷データ21aを格納する。一方、識別情報に対応する合成ジョブBOX17が記憶装置15に作成されていない場合、管理部31は、新規な合成ジョブBOX17を作成する。そしてRIP処理後の合成用印刷データ21aを合成ジョブBOX17に格納する。この場合、管理部31は、記憶制御部31aとして機能する。図例では、管理部31は、10ページ分のRIP処理を行って、そのRIP処理後の10ページ分の合成用印刷データ21aを合成ジョブBOX17に記憶させる。このように合成用印刷データ21aを受信した段階において、担当ページ以外のページ、つまり未確定ページについてもRIP処理を行うので、後にその未確定ページを印刷出力することになった場合、例えば印刷指示を受付けてから未確定ページのRIP処理を行う場合に比べて印刷出力までの処理時間を短縮できる。
【0048】
また管理部31は、合成ジョブBOX17に合成用印刷データ21aを記憶させる際、指定されている担当ページと全ページ数とに基づいて、確定ページと未確定ページとを区別して記憶させる。図例では、管理部31は、ユーザAの担当ページである1〜4ページ目を確定ページとして合成ジョブBOX17に格納し、その担当ページ以外である5〜10ページ目を未確定ページとして合成ジョブBOX17に格納する。このようにして図6に示すように合成ジョブBOX17には、確定ページと未確定ページとが区別されて記憶される。この状態で新たな合成用印刷データ21を受信した場合、画像処理装置2は以下のようにして合成ジョブ26を作成する。
【0049】
図7は、1〜4ページ目が確定ページとして記憶され、5〜10ページ目が未確定ページとして記憶されている状態で、ユーザBによる5,10ページ目に基づく合成用印刷データ21bを受信した場合における処理を模式的に示す図である。
【0050】
まず情報処理装置5bにおいて合成用印刷データ21bを作成する場合について説明する。この場合、上述した情報処理装置5aにおける処理と同様の処理が適用可能である。すなわち、ユーザBは、情報処理装置5bに対して印刷指示を行い、それによって表示される印刷設定画面において、チェックボタンを押下し、さらにページ番号入力欄へ自身で作成したページ番号(この例では、5,10ページ)を入力する。これにより、情報処理装置5bは、合成指示を含んだ合成用印刷データ21bを作成することができるようになると共に、ユーザBの担当ページが5,10ページであることを特定することができるようになる。そして情報処理装置5bは、全10ページ分を含む合成用印刷データ21bを作成し、画像処理装置2へ送信する。このような手法によれば、ユーザA,B,Cのうちのいずれが先に合成用印刷データ21を送信する場合でも、画像処理装置2において同一の識別情報が関連づけられた合成用印刷データ21を同じ合成ジョブBOX17に格納することができる。
【0051】
ただし、情報処理装置5bにおいて行われる処理は必ずしも上記のようなものに限られない。例えばユーザA,B,Cのうち、最初に合成用印刷データ21を送信するユーザがユーザ間の合意などによって予めユーザAと定められているような場合には、後に合成用印刷データ21を送信するユーザBは印刷設定画面においてチェックボタンを押下する必要はない。つまり、ユーザBは自身で作成したページ番号(この例では、5,10ページ)だけを指定すれば良い。またこの場合、情報処理装置5bは、全10ページ分を含む合成用印刷データ21bを作成する必要もなく、ユーザBが作成した5,10ページの画像だけを含む合成用印刷データ21bを生成して画像処理装置2へ送信すれば良い。したがって、このような手法の場合にはユーザBの操作負担や、情報処理装置5bの処理負担が軽減されるという利点がある。以下、この手法を採用する場合について説明する。
【0052】
この手法を採用する場合、情報処理装置5は、ユーザBによる合成用印刷データ21bの作成指示を受付けると、印刷設定画面においてユーザBの担当ページの入力を受け付ける。そして情報処理装置5bは、ユーザBの担当ページ(5,10ページ)だけを含む合成用印刷データ21bを作成する。このようにして作成される合成用印刷データ21bは、通常の印刷データと同様のデータとなる。ただし、この合成用印刷データ21bには、先にユーザAが画像処理装置2に送信している合成用印刷データ21aの識別情報と同じ識別情報が関連付けられる。そして情報処理装置5bは、上記のようにして作成した合成用印刷データ21bを、図7に示すように画像処理装置2に送信する。
【0053】
画像処理装置2は、通常の印刷データと同様の状態で送信される合成用印刷データ21bを受信した場合でも、それに関連付けられた識別情報に対応する合成ジョブBOX17を既に作成しているため、受信した合成用印刷データ21bが合成ジョブ26の一部を構成する印刷データであると判別することができる。その結果、情報処理装置5bから受信した合成用印刷データ21bを、情報処理装置5aから受信した合成用印刷データ21aと同じ合成ジョブBOX17に格納することができる。
【0054】
すなわち、画像処理装置2において管理部31は、情報処理装置5bからの合成用印刷データ21bを受信すると、その合成用印刷データ21bに対してRIP処理を行うと共に、記憶装置15を検索して、その合成用印刷データ21bに関連付けられた識別情報に対応する合成ジョブBOX17が存在するか否かを判断する。この場合、上述したように、情報処理装置5aからの合成用印刷データ21aを受信したことによって、合成用印刷データ21bの識別情報に対応する合成ジョブBOX17が既に作成されている状態である。このため、管理部31は、ページ差替部31bとして機能し、差替処理を実行する。
【0055】
管理部31は、差替処理を行う際、合成ジョブBOX17に記憶されている未確定ページのうち、合成用印刷データ21bに含まれる担当ページに対応するページを特定する。図7に示す例では、管理部31は、合成用印刷データ21bに含まれる担当ページが5,10ページ目であることを特定すると共に、合成ジョブBOX17に格納されている未確定ページのうちから担当ページに対応する5,10ページ目を特定する。
【0056】
そして管理部31は、その差替処理に要する差替所要時間を算出する。この差替所要時間は、差し替えの必要なページ単位で算出される。また、この差替所要時間は、差替処理の実行中に、合成ジョブ26を実行して印刷出力する場合に、その差替処理が完了するまで待機するか否かを判断するための基準として用いられる。尚、差替所要時間算出処理の詳細については後述する。
【0057】
次に管理部31は、未確定ページである5,10ページ目の画像を、合成用印刷データ21bに含まれる5,10ページ目の画像に差替える。続いて管理部31は、差替えた5,10ページ目の画像を確定ページとして記憶する。これにより合成用印刷データ21a及び21bが合成されて、図7に示すように確定ページである1〜5,10ページ目と、未確定ページである6〜9ページ目とで構成される合成ジョブ26が合成ジョブBOX17に記憶された状態になる。このように管理部31は、合成ジョブBOX17における未確定ページの画像を、後に受信する合成用印刷データ21に含まれる担当ページの画像と差し替えて確定ページに設定変更することにより、合成ジョブBOX17への合成用印刷データ21の追加記憶に伴って合成ジョブ26を順次作成していく構成である。
【0058】
図8は、上記のようにして作成される合成ジョブ26に対してユーザCからの合成用印刷データ21cを受付けた場合における処理を模式的に示す図である。尚、情報処理装置5cにおける処理は、上述した情報処理装置5aにおける処理と同様の処理を適用しても良いし、また上述した情報処理装置5bにおける処理と同様の処理を適用しても良い。例えば、ユーザCが情報処理装置5cを操作して合成用印刷データ21cを送信するとき、図8に示すようにユーザCが作成した6〜9ページの画像だけを含む合成用印刷データ21cを送信するようにしても良い。
【0059】
情報処理装置5cから合成用印刷データ21cが送信されるとき、画像処理装置2は、確定ページである1〜5,10ページ目と、未確定ページである6〜9ページ目とで構成される合成ジョブ26を合成ジョブBOX17に記憶している状態である。この状態で画像処理装置2が情報処理装置5cからの6〜9ページ目を含む合成用印刷データ21cを受信した場合、管理部31は、以下のように処理を行う。すなわち管理部31は、その合成用印刷データ21cに含まれる6〜9ページ目に上記と同様にしてRIP処理を行った後、合成ジョブBOX17に記憶されている未確定ページである6〜9ページ目を特定する。そして管理部31は、未確定ページである6〜9ページ目の画像を合成用印刷データ21cに含まれている6〜9ページ目の画像に差替える。これにより合成ジョブ26は、合成用印刷データ21a〜21cが全て合成されたことによって、1〜10ページ目が全て確定ページに差替えられた状態になる。
【0060】
その状態で管理部31は、ユーザXによる印刷指示を受付けたとする。すなわちこの場合、管理部31は、受付部31cとして機能する。管理部31は、合成ジョブ26に対する印刷指示を受付けると、印刷制御部32に対してその合成ジョブ26の印刷出力を行うように指示する。印刷制御部32は、管理部31による指示に従って合成ジョブBOX17から合成ジョブ26を読出して、その合成ジョブ26を実行することにより画像形成部2bに印刷出力させる。この場合、1〜10ページ目の全てが確定ページに差替えられた印刷物が出力されることになる。これによりユーザXは、全ページについて差替え完了後の印刷物を取得することができる。
【0061】
これに対して、ユーザCによる合成用印刷データ21cを受信する前に、ユーザXによる印刷指示を受付ける場合がある。例えば、ユーザXが現段階で揃っている分の内容を確認するために合成ジョブ26の印刷出力を行わせる場合などである。すなわち管理部31は、上記のように合成ジョブ26に確定ページと未確定ページとが混在している状態で、その合成ジョブ26に対する印刷指示を受付けると、上記と同様にして印刷制御部32に対して合成ジョブ26の印刷出力を行うように指示する。これにより合成ジョブ26を構成する確定ページが全て揃っていない状態であっても印刷出力が開始されることになる。
【0062】
印刷制御部32は、管理部31による指示に従って、合成ジョブBOX17に記憶されている合成ジョブ26を読出す。次に印刷制御部32は、合成ジョブ26に含まれている確定ページ及び未確定ページを特定する。そして印刷制御部32は、特定した未確定ページに対して未確定状態を示す未確定情報25を合成する。未確定情報25は、例えば記憶装置15の所定領域に予め記憶されている。そして印刷制御部32は、その未確定情報25を読出して未確定ページに合成して、未確定情報25が合成された未確定ページと、確定ページとをページ順序に従って画像形成部2bに印刷出力させる。
【0063】
図9は、上記のようにして印刷出力された未確定ページ及び確定ページの一例を示す図である。図9に示すように、確定ページである1〜5,10ページ目については差替処理によって差替えられた確定ページが印刷出力される。また、6〜9ページ目については、未確定情報25が付された未確定ページが印刷出力される。これによりユーザXは、取得する印刷物が全10ページで構成されていることを把握することができると共に、6〜9ページ目については欠損していることを知ることができる。また画像処理装置2は、合成ジョブ26に未確定ページが含まれる場合であってもユーザXからの印刷指示があればそのタイミングで合成ジョブ26の実行を開始するので、例えば合成ジョブ26を構成する全てのページが揃うのを待つことなく、比較的早いタイミングでユーザXに印刷物を取得させることができる。
【0064】
ところで上述したように、本実施形態における未確定ページには、過去の資料に含まれている何らかのオブジェクトが付されている場合がある。この場合、合成ジョブBOX17に格納されている未確定ページ(6〜9ページ目)には過去の文書データがそのままの状態で残っている。そして例えば、その過去の文書データが付された状態の6〜9ページ目が未確定ページとして印刷出力される場合、未確定情報25を例えば未確定ページの中央に合成してしまうと、過去の文書データと未確定情報25との印字が重なってしまい、未確定情報25を識別することが困難になる可能性がある。そこで印刷制御部32は、以下のような印刷制御を行っても良い。
【0065】
図10(a)は、未確定情報25を未確定ページの余白領域に付した場合の一例を示す図である。印刷制御部32は、未確定ページに対して未確定情報25を合成する際、その未確定ページに未確定情報25が収まる余白領域が存在するか否かを判断する。そして印刷制御部32は、未確定情報25が収まる余白領域を特定すると、その余白領域に未確定情報25を合成する。この場合、印刷制御部32は、未確定情報25を縮小又は拡大して余白領域に合成することも可能である。また印刷制御部32は、複数の余白領域を検出した場合には、図例に示すように、それら複数の余白領域に対して複数の未確定情報25を合成しても良い。また例えば未確定ページが白紙の場合には未確定ページの全てが余白領域として検出されることになるが、この場合は、例えば未確定ページの中央に位置するように未確定情報25を合成しても良い。また印刷制御部32は、未確定情報25を合成する際、未確定ページに予め存在するオブジェクトの一部又は全てを削除することによって余白領域を設け、その余白領域に対して未確定情報25を合成しても良い。
【0066】
図10(b)は、未確定情報25を透過画像として付した場合の一例を示す図である。印刷制御部32は、上述した余白領域が検出できない場合や、予めの印刷設定などにより、図10(b)に示すように未確定情報25を透過画像として未確定ページに合成しても良い。これにより未確定ページ全体に亘ってオブジェクトが付されているような場合であっても未確定情報25を付すことができるので使い勝手が良くなる。なお、図10(b)に示す未確定情報25は、透過画像に限られるものではなく、単に未確定ページに含まれるオブジェクトの一部若しくは全部を塗りつぶす態様の画像であっても構わない。また印刷制御部32は、未確定情報25を合成する場合、予め付されているオブジェクトの印字色を例えば未確定ページの印刷設定を読出すことによって検出し、そのオブジェクトとは色違いになるように未確定情報25の配色を行っても良い。
【0067】
図10(a)及び図10(b)に示す未確定情報25は、一例であり、例えば未確定ページを担当するユーザ名を未確定情報25に含ませても良い。例えば、上述したように画像処理装置2に対して先に合成用印刷データ21を送信するユーザがユーザAであると定められているような場合には、ユーザAが合成用印刷データ21を送信する際に、他のページの担当ユーザを指定することも可能である。この場合、画像処理装置2は、合成ジョブBOX17における未確定ページの担当ユーザを特定することができる。したがって、このような場合には、未確定情報25を付して印刷出力を行う際に、未確定ページの担当ユーザのユーザ名を印刷するようにしても良い。また、上記とは逆に確定ページの担当ユーザのユーザ名を印刷するようにしても良い。この場合、画像処理装置2は、合成用印刷データ21を受信したとき、ユーザのログイン状態に基づきその合成用印刷データ21の送信者を担当ページの担当ユーザとして記憶する。そして画像処理装置2は、合成ジョブ26を実行する際、合成用印刷データ21の担当ユーザを特定して、その担当ユーザのユーザ名を上記未確定情報25とは区別可能に未確定ページに合成して印刷出力する。
【0068】
更に別の例として、例えば画像処理装置2は、差替対象となる合成ジョブ26の差替え回数や差替え時刻などの差替え履歴を未確定情報25に含ませても良い。すなわち管理部31は、差替処理を行う度に差替え回数をカウントすると共に、差替え時刻を取得して記憶装置15に記憶させる。これら差替え回数や差替え時刻は、例えば合成用印刷データ21毎、或いはページ毎に記録される。そして印刷制御部32は、未確定情報25を未確定ページに合成する際、それら差替え回数や差替え時刻などを読出して未確定情報25と共に未確定ページに合成する。これにより印刷物を取得したユーザXは、上記のような差替処理に関する履歴を知ることができるので便利である。
【0069】
上記においては主として、合成用印刷データ21cの差替処理が完了した後にユーザXによる印刷指示を受け付けた場合と、合成用印刷データ21cを受信する前にユーザXからの印刷指示を受け付けて印刷出力を完了する場合について説明した。しかし、画像処理装置2に対してユーザXが印刷指示を行うタイミング、或いは、合成用印刷データ21cを受信するタイミングは、上記のタイミングに限られない。すなわち、合成用印刷データ21cの受信を開始してからその合成用印刷データ21cに基づく差替処理が完了するまでの間に、ユーザXが印刷指示を行うこともある。また、ユーザXによる印刷指示に基づいて未確定ページを含む合成ジョブ26の印刷出力を行っている最中に、合成用印刷データ21cの受信を介して差替処理が開始されることもある。以下においては、このような場合における画像処理装置2の動作について説明する。
【0070】
一例として図8において、ユーザXによる印刷指示が行われたタイミングで画像処理装置2に他の待機ジョブがなく、画像処理装置2が直ちに合成ジョブ26の実行が可能な場合を説明する。この場合において、ユーザXによる印刷指示が行われたタイミングで、画像処理装置2が既に合成用印刷データ21cを受信しており、合成用印刷データ21cに含まれる6ページ目の差替処理を行っている状態であるとする。画像処理装置2は、ユーザXからの印刷指示に基づいて合成ジョブBOX17から合成ジョブ26を読み出し、合成ジョブ26に含まれる各ページを1ページ目から順に印刷出力していく。そして6ページ目の印刷出力を行うときにその6ページ目に対する差替処理が既に完了している場合、画像処理装置2は、差し替えられたページに基づいて6ページ目を確定ページとして印刷出力する。
【0071】
これに対し、6ページ目の印刷出力を行うときにその6ページ目に対する差替処理が未だ完了していないこともある。例えば6ページ目に含まれるオブジェクトの数が多い場合やデータサイズが大きい場合には差替処理に長時間を要し、6ページ目の印刷出力を開始するタイミングで未だ6ページ目の差替処理が完了しないケースも発生する。そのため、画像処理装置2は、6ページ目の差替処理が完了するまで待機して確定ページとして印刷出力するか、或いは、差替処理の完了を待たずに未確定ページとして未確定情報25を付して印刷出力するかを判断するように構成される。
【0072】
まず印刷制御部32は、例えば合成ジョブ26の実行開始時において、ページ差替部31bによる差替処理中であるか否かを判断する。そして差替処理中である場合、ページ差替部31bによって差し替えが行われる差替対象ページを検知すると共に、その差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングから所定時間が経過するまでに、確定ページへの差し替えが完了するか否かを判断する。
【0073】
ここで、差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングは、例えば、差替対象ページを印刷するための給紙が開始される給紙タイミングである。合成ジョブ26に含まれる複数のページを印刷するため、画像形成部2bにおいて連続給紙を行う場合、印刷制御部32は、通常、最も短い給紙間隔で印刷用紙を給紙するように設定する。そのため、印刷制御部32は、給紙間隔に基づいて各差替対象ページの給紙タイミングを事前に導出する。例えば画像形成部2bの性能値が「60ppm」である場合、1分間に最大60枚の給紙が可能であるため、仮に差替対象ページが6ページ目であったとすると、0秒後から1枚目の給紙が開始されるため、6ページ目の差替対象ページが給紙されるタイミングは5秒後となる。
【0074】
また所定時間は、記憶装置15に予め記憶されている待機可能時間37に基づいて定められる。この待機可能時間37は任意に設定可能であるが、先のページの印刷出力が開始されてから次のページの印刷出力が開始されるまでの待機時間であるため、あまり長時間に設定されることは好ましくない。そのため、待機可能時間37は、例えば0秒〜10秒程度の時間とすることが好ましい。例えば、待機可能時間37が「0秒」である場合、印刷制御部32は、差替対象ページを印刷するための給紙タイミングにおいて差替処理が完了するか否かに応じて確定ページを印刷するか、或いは未確定ページのままで印刷するかを決定する。そのため、この場合は、先のページの印刷出力が開始されてから次の差替対象ページの印刷出力が開始されるまでの時間間隔が最も短い給紙間隔となり、ユーザXの待機時間は発生しないことになる。
【0075】
また印刷制御部32は、差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングから所定時間が経過するまでに、確定ページへの差し替えが完了するか否かを判断する際には、管理部31によって算出される差替所要時間を取得する。この差替所要時間は管理部31において差替対象ページごとに算出されているため、印刷制御部32は、各差替対象ページの差替処理が完了するタイミングを把握することができる。そして印刷制御部32は、各差替対象ページの差替処理が完了するタイミングと、各差替対象ページの印刷出力予定時刻からの所定時間経過タイミングとを比較することにより、各差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングから所定時間が経過するまでに差替処理が完了するか否かを判断する。
【0076】
その結果、所定時間が経過するまでに差替対象ページを未確定ページから確定ページへ差し替える差替処理が完了する場合、印刷制御部32は、その差替処理が完了するまで、その差替対象ページの印刷出力を待機することを決定する。これに対し、所定時間が経過するまでに差替対象ページを確定ページへと差し替える差替処理が完了しない場合、印刷制御部32は、差替処理が完了するのを待つことなく、その差替対象ページを未確定ページとして印刷出力することを決定する。差替対象ページが複数ページある場合には、そのような処理が各ページに対して行われる。したがって、複数の差替対象ページがある場合には、それら複数の差替対象ページのそれぞれについて待機するか否かが決定される。
【0077】
また上記においては、合成ジョブ26の実行開始時においてページ差替部31bによる差替処理中であるか否かを判断する場合を例示したが、合成ジョブ26を実行することによる印刷出力と、ページ差替部31bによる差替処理とが並行して行われるケースはそれだけではない。例えば、ユーザXによる印刷指示に基づいて合成ジョブ26の実行を開始するタイミングでは、ページ差替部31bによる差替処理は行われていないが、その後、合成用印刷データ21cを受信することにより、合成ジョブ26に基づく印刷出力と、差替処理とが並行して行われるケースもある。
【0078】
このようなケースにおいても、印刷制御部32は上記と同様の処理を行う。すなわち、印刷制御部32は、合成ジョブ26に基づく印刷出力の実行中に、ページ差替部31bによる差替処理が開始されると、まず差替対象ページを検知し、その差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングから所定時間が経過するまでに、その差替対象ページについて未確定ページから確定ページへの差し替えが完了するか否かを判断する。その結果、所定時間が経過するまでに差替対象ページを未確定ページから確定ページへ差し替える差替処理が完了する場合、印刷制御部32は、その差替処理が完了するまで、その差替対象ページの印刷出力を待機することを決定する。これに対し、所定時間が経過するまでに差替対象ページを確定ページへと差し替える差替処理が完了しない場合、印刷制御部32は、差替処理が完了するのを待つことなく、その差替対象ページを未確定ページとして印刷出力することを決定する。このケースにおいては、ユーザXによる印刷指示に基づいて合成ジョブ26の実行が既に開始されているため、印刷制御部32は合成ジョブ26に基づく印刷出力を継続させながら、各差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングとなる前に、各差替対象ページの印刷出力を待機させるか否かを決定する。尚、差替処理が開始された時点で既に差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングが経過している場合、その差替対象ページについては上記のような決定処理の対象外となる。
【0079】
上記のようにして差替対象ページが未確定ページから確定ページへ差し替えられるまで待機することを決定した場合、印刷制御部32は、その差替処理が完了するタイミングまで、差替対象ページを印刷するための給紙動作を一時停止させた状態で待機させる。そして差替処理が完了するタイミングで給紙動作を再開し、ページ差替部31bによって差し替えられた確定ページに基づいて画像形成部2bを制御することにより、差替対象ページを確定ページとして出力させる。
【0080】
一方、差替対象ページが未確定ページから確定ページへ差し替えられるまで待機しないことを決定した場合、印刷制御部32は、差替対象ページを印刷するための給紙動作を一時停止させることなく、その給紙タイミングで印刷用紙の給紙を行うように画像形成部2bを制御する。このとき、印刷制御部32は、合成ジョブBOX17に記憶されている未確定ページに基づいて画像形成部2bを制御することにより、差替対象ページを未確定ページとして出力させる。このとき、印刷制御部32は、上述したように未確定情報25を合成した未確定ページの印刷出力を行うように制御する。
【0081】
つまり、本実施形態の画像処理装置2は、合成ジョブ26に基づく印刷出力と、ページ差替部31bによる差替処理とを並行して行う場合、差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングから所定時間が経過するまでに、その差替対象ページを確定ページに差し替えることが可能なときには、その差し替えが完了するのを待って印刷出力を行う構成である。これにより、差替対象ページは確定ページとして出力され、合成ジョブ26に基づいて出力される印刷物に、より多くの確定ページを含めた状態で印刷出力を行うことができるようになる。
【0082】
これに対し、差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングから所定時間が経過するまでに、その差替対象ページを確定ページに差し替えることができないとき、画像処理装置2は、その差し替えが完了するのを待つことなく、未確定ページのままで印刷出力を行う。したがって、差替対象ページが出力されるまでに、印刷指示を行ったユーザXを長時間待たせてしまうこともない。加えて、未確定ページに未確定情報25を合成して出力するため、ユーザXは未確定ページを含む印刷物を取得した場合でも、それら未確定ページが存在していることを容易に把握することができる。
【0083】
図11および図12は、画像処理装置2において差替処理と印刷出力とが並行して行われる場合の処理シーケンスを説明するための図である。
【0084】
まず図11(a)は、合成ジョブ26に基づく印刷出力の開始タイミングT11よりも先に差替処理が行われている場合を例示している。差替処理は、合成ジョブ26に含まれる6〜9ページを差替対象ページとして、それらを1ページずつ順に未確定ページから確定ページへと差し替える。この差替処理は、例えば印刷出力開始時T11よりも先のタイミングT10から開始されている。そしてタイミングT10からタイミングT12まで6ページ目を差し替える処理が行われる。次にタイミングT12からタイミングT13まで7ページ目を差し替える処理が行われる。その後、8ページ目および9ページ目が順次差し替えられていく。
【0085】
一方、合成ジョブ26の印刷出力を開始するタイミングT11では、既に差替処理が行われている。そのため、画像処理装置2は、印刷出力の開始時において上述した処理を行うことにより、差替対象ページである6,7,8,9ページのそれぞれの印刷出力を行うタイミングで、印刷出力を待機させるか否かを決定する。図11(a)の場合、6ページ目の印刷出力を行うタイミングT14は、6ページ目の差替処理が完了するタイミングT12よりも後である。また7ページ目の印刷出力を行うタイミングT15も、7ページ目の差替処理が完了するタイミングT13よりも後である。同様に、8ページ目および9ページ目の印刷出力を行うタイミングについても、それぞれのページについての差替処理が完了した後となっている。この場合、画像処理装置2は、差替対象ページである6,7,8,9ページのそれぞれの印刷出力を行うタイミングで既に各ページの差替処理が完了しているため、印刷出力を待機させることなく、それらのページを確定ページとして出力する。
【0086】
図11(b)についても、上記と同様、合成ジョブ26に基づく印刷出力の開始タイミングT21よりも先に差替処理が行われている場合を例示している。ただし、図11(b)では、各ページの差替処理が比較的長時間を要するものとなっている。この差替処理は、例えば印刷出力開始時T21よりも先のタイミングT20から開始されている。そしてタイミングT20からタイミングT23まで6ページ目を差し替える処理が行われる。そしてタイミングT23から7ページ目を差し替える処理が開始される。
【0087】
合成ジョブ26の印刷出力を開始するタイミングT21では既に差替処理が行われているため、画像処理装置2は、印刷出力の開始時において上述した処理を行うことにより、差替対象ページである6,7ページのそれぞれの印刷出力を行うタイミングで、印刷出力を待機させるか否かを決定する。図11(b)の場合、6ページ目の印刷出力を行うタイミングは、5ページ目の印刷出力が完了するタイミングであるため、タイミングT22となる。このタイミングT22では、未だ6ページ目の差替処理が完了しない。そのため、画像処理装置2は、6ページ目の印刷出力を行うタイミングT22から所定時間TPが経過するまでに、6ページ目の差替処理が完了するか否かを判断する。すると、6ページ目の差替処理が完了するタイミングT23は、6ページ目の印刷出力を行うタイミングT22から所定時間TPが経過するまでのタイミングであることが判る。そのため、画像処理装置2は、6ページ目の差替処理が完了するまで待機してから6ページ目の印刷出力を開始することを決定する。この場合、6ページの印刷出力が開始されるタイミングはタイミングT23となり、6ページ目は確定ページとして出力される。
【0088】
次に7ページ目の印刷出力を行うタイミングは、タイミングT23から開始される6ページの印刷出力が完了するタイミングT24となる。このタイミングT24では、未だ7ページ目の差替処理が完了しない。そのため、画像処理装置2は、7ページ目の印刷出力を行うタイミングT24から所定時間TPが経過するまでに、7ページ目の差替処理が完了するか否かを判断する。すると、7ページ目の差替処理が完了するタイミングは、7ページ目の印刷出力を行うタイミングT24から所定時間TPが経過した後のタイミングであることが判る。そのため、画像処理装置2は、7ページ目の差替処理が完了するまで待機することなく、7ページ目の印刷出力を開始することを決定する。この場合、7ページの印刷出力が開始されるタイミングはタイミングT24となり、7ページ目は未確定ページとして出力される。
【0089】
次に図12(a)は、合成ジョブ26に基づく印刷出力の開始タイミングT30よりも後に差替処理が開始される場合を例示している。この差替処理は、例えば印刷出力開始時T30よりも後のタイミングT31から開始される。つまり、タイミングT31からタイミングT32まで6ページ目の差替処理が、タイミングT32からタイミングT35まで7ページ目の差替処理が、タイミングT35からタイミングT37まで8ページ目の差替処理が、タイミングT37からタイミングT39まで9ページ目の差替処理が、順次行われる。
【0090】
一方、合成ジョブ26の印刷出力を開始するタイミングT30では、差替処理が行われていない。そのため、画像処理装置2は、印刷出力の開始時において上述した処理を行わない。そしてタイミングT31において差替処理が開始されると、画像処理装置2は、上述した処理を行うことにより、差替対象ページである6,7,8,9ページのそれぞれの印刷出力を行うタイミングで、印刷出力を待機させるか否かを決定する。
【0091】
図12(a)の場合、6ページ目の印刷出力を行うタイミングT33は、6ページ目の差替処理が完了するタイミングT32よりも後である。そのため、画像処理装置2は、差替対象ページである6ページの印刷出力を行うタイミングT33で既に6ページ目の差替処理が完了しているため、印刷出力を待機させることなく、6ページを確定ページとして出力する。
【0092】
また7ページ目の印刷出力を行うタイミングは、6ページ目の印刷出力が完了するタイミングであるため、タイミングT34となる。このタイミングT34では、未だ7ページ目の差替処理が完了しない。そのため、画像処理装置2は、7ページ目の印刷出力を行うタイミングT34から所定時間TPが経過するまでに、7ページ目の差替処理が完了するか否かを判断する。すると、7ページ目の差替処理が完了するタイミングT35は、7ページ目の印刷出力を行うタイミングT34から所定時間TPが経過するまでのタイミングであることが判る。そのため、画像処理装置2は、7ページ目の差替処理が完了するまで待機してから7ページ目の印刷出力を開始することを決定する。この場合、7ページの印刷出力が開始されるタイミングはタイミングT35となり、7ページ目は確定ページとして出力される。
【0093】
また8ページ目の印刷出力を行うタイミングは、タイミングT35から開始される7ページの印刷出力が完了するタイミングT36となる。このタイミングT36では、未だ8ページ目の差替処理が完了しない。そのため、画像処理装置2は、8ページ目の印刷出力を行うタイミングT36から所定時間TPが経過するまでに、8ページ目の差替処理が完了するか否かを判断する。すると、8ページ目の差替処理が完了するタイミングT37は、8ページ目の印刷出力を行うタイミングT36から所定時間TPが経過した後のタイミングであることが判る。そのため、画像処理装置2は、8ページ目の差替処理が完了するまで待機することなく、8ページ目の印刷出力を開始することを決定する。この場合、8ページ目の印刷出力が開始されるタイミングはタイミングT36となり、8ページ目は未確定ページとして出力される。
【0094】
9ページ目についても8ページ目と同様の判断結果となるため、画像処理装置2は、9ページ目の差替処理が完了するまで待機することなく、9ページ目の印刷出力を開始することを決定する。この場合、9ページの印刷出力が開始されるタイミングはタイミングT38となり、9ページ目は未確定ページとして出力される。
【0095】
さらに図12(b)は、上記と同様、合成ジョブ26に基づく印刷出力の開始タイミングT40よりも後に差替処理が開始される場合を例示している。ただし、図12(b)では、各ページの差替処理が比較的短時間で完了するものとなっている。差替処理は、例えば印刷出力開始時T40よりも後のタイミングT41から開始される。つまり、タイミングT41からタイミングT42まで6ページ目の差替処理が、タイミングT42からタイミングT44まで7ページ目の差替処理が、タイミングT44からタイミングT46まで8ページ目の差替処理が、タイミングT46からタイミングT48まで9ページ目の差替処理が、順次行われる。
【0096】
図12(b)の場合、6ページ目の印刷出力を行うタイミングT43は、6ページ目の差替処理が完了するタイミングT42よりも後である。また7,8,9ページ目の印刷出力を行うタイミングT45,T47,T49についても、それぞれのページの差替処理が完了するタイミングT44,T46,T48よりも後のタイミングとなっている。そのため、画像処理装置2は、差替対象ページである6、7,8,9ページの印刷出力を行うタイミングT43,T45,T47,T49において既にそれらのページの差替処理が完了しているため、6,7,8,9ページ目の印刷出力を待機させることなく、それらを確定ページとして出力する。
【0097】
次に、上記のような画像処理装置2においてCPU10aがプログラム16を実行することによって行われる具体的な処理手順について説明する。まず、図13および図14は、画像処理装置2が印刷データを受信したときに行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。尚、この処理は、主として管理部31によって行われる処理である。画像処理装置2は、ネットワーク3を介して印刷データを受信すると、その受信データが合成用印刷データ21であるか否かを判断する(ステップS10)。その結果、受信データが合成用印刷データ21でない場合(ステップS10でNO)、画像処理装置2は、通常の印刷処理(ステップS11)を行って処理を終了する。これに対し、受信データが合成用印刷データ21である場合(ステップS10でYES)、ステップS12に進む。
【0098】
合成用印刷データ21である場合、画像処理装置2は、その合成用印刷データ21に関連付けられている識別情報を判別し(ステップS12)、その識別情報に対応する合成ジョブBOX17が既に記憶装置15に作成されているか否かを判断する(ステップS13)。
【0099】
合成ジョブBOX17が未作成である場合(ステップS13でNO)、画像処理装置2は、その識別情報に対応する合成ジョブBOX17を記憶装置15に新規作成する(ステップS14)。そして受信した合成用印刷データ21に含まれる各ページを確定ページと未確定ページとに分類し(ステップS15)、合成用印刷データ21をステップS14で作成した合成ジョブBOX17へ格納する(ステップS16)。このとき、確定ページと未確定ページのそれぞれは、RIP処理が施された画像データとして合成ジョブBOX17へ格納される。このようなステップS14〜S16の処理により、合成ジョブBOX17には、図6に示したように確定ページと未確定ページとが区別された状態で記憶される。
【0100】
一方、合成用印刷データ21の受信時において、それに対応する合成ジョブBOX17が既に作成されている場合(ステップS13でYES)、画像処理装置2は、その受信した合成用印刷データ21に基づき、合成ジョブBOX17に記憶されている未確定ページを確定ページに差し替えるのに要する差替所要時間を算出する(ステップS17)。
【0101】
例えば1ページ分の画像データを未確定ページから確定ページに差し替える場合、そのページに対するRIP処理が行われる。このRIP処理は、例えばそのページに含まれるオブジェクトごとに行われる。そして1ページに含まれる全てのオブジェクトに対するRIP処理が完了すると、それら各オブジェクトの画像データをページ内に配置することにより、差替対象となる1ページ分の画像データが生成される。画像処理装置2は、このようにして生成される画像データを、合成ジョブBOX17に記憶されている未確定ページの画像データに対して上書きすることにより、未確定ページを確定ページに差し替える。
【0102】
つまり、一の差替対象ページの差替処理に要する時間は、その差替対象ページに含まれるオブジェクトの数、種類又はデータサイズなどに応じて変化する。そのため、画像処理装置2は、ステップS17において差替所要時間を算出する際、差替対象ページに含まれるオブジェクトの数、種類又はデータサイズなどに基づいて差替対象ページの差替処理に要する時間を算出する。尚、合成用印刷データ21に複数の差替対象ページが含まれる場合、画像処理装置2は、それら複数の差替対象ページのそれぞれについて、差替所要時間を算出する。
【0103】
そして画像処理装置2は、差替処理を実行する(ステップS18)。図14は、差替処理(ステップS18)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像処理装置2は、この差替処理を開始すると、まず差替中フラグをオンに設定する(ステップS20)。そして画像処理装置2は、受信した合成用印刷データ21に基づいて差替対象ページを特定する(ステップS21)。このとき、複数の差替対象ページが特定されることもある。
【0104】
次に画像処理装置2は、特定した差替対象ページのうちの1ページ分の印刷データを処理対象として読み出す(ステップS22)。画像処理装置2は、その1ページに含まれている1つのオブジェクトを抽出し(ステップS23)、そのオブジェクトに対するRIP処理を実行する(ステップS24)。このRIP処理が終了すると、画像処理装置2は、同じページ内に他のオブジェクトが含まれているか否かを判断し(ステップS25)、他のオブジェクトが含まれていれば、ステップS23に戻る。つまり、画像処理装置2は、処理対象として読み出した1ページ分の印刷データに含まれている全てのオブジェクトに対するRIP処理が完了するまで、ステップS23〜S25の処理を繰り返す。そして全てのオブジェクトに対するRIP処理が完了すると(ステップS25でNO)、画像処理装置2は、それら各オブジェクトから生成された画像データをページ内に配置して1ページ分の画像データを生成する(ステップS26)。そして生成された1ページ分の画像データを、合成ジョブBOX17に記憶されている未確定ページに対して上書きすることにより、未確定ページを確定ページに差し替える(ステップS27)。
【0105】
そして画像処理装置2は、次に処理対象とすべき別の差替対象ページが存在するか否かを判断し(ステップS28)、別の差替対象ページがあればステップS22に戻る。つまり、画像処理装置2は、ステップS21で特定された全ての差替対象ページについて、未確定ページから確定ページへの差し替えが完了するまで、ステップS22〜S28の処理を繰り返す。そして全ての差替対象ページを未確定ページから確定ページに差し替える処理が完了すると(ステップS28でNO)、画像処理装置2は、差替中フラグをオフに設定し(ステップS29)、全ての処理を終了する。
【0106】
したがって、画像処理装置2において差替処理が行われているときには差替中フラグがオンとなり、差替処理が行われていないときには差替中フラグがオフとなる。
【0107】
次に、図15乃至図17は、画像処理装置2が合成ジョブ26の印刷指示を検知することに伴って行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。画像処理装置2は、例えばユーザXによる合成ジョブ26の印刷指示を検知すると、他の印刷ジョブが実行されていないことを条件として図15に示す処理手順を開始する。尚、他の印刷ジョブが実行中である場合には、その実行中の印刷ジョブが終了するのを待って図15に示す処理手順を開始する。また図15乃至図17に示す処理は、主として印刷制御部32によって行われる処理である。
【0108】
画像処理装置2は、この処理を開始すると、まずユーザXによって指定された印刷モードを判別する(ステップS30)。印刷モードは、印刷出力を行う際の動作モードに関する設定であり、例えば両面印刷/片面印刷の設定や、通常印刷/Nin1割付印刷の設定などがある。尚、Nin1割付印刷は、複数(N)枚のページを1枚の印刷用紙に割り付けて印刷出力を行う設定であり、例えば2in1の場合は2ページを1枚の印刷用紙の一面に印刷する設定となる。
【0109】
画像処理装置2は、印刷モードを判別すると、次に印刷出力の対象となる合成ジョブ26を特定し(ステップS31)、その合成ジョブ26に含まれる全ページ数を特定する(ステップS32)。ここで特定される全ページ数は、合成ジョブBOX17に格納されている確定ページと未確定ページとを合計したページ数である。
【0110】
そして画像処理装置2は、特定した各ページの給紙タイミングを算出する。このとき、上記ステップS30で判別した印刷モードに基づいて各ページの給紙タイミングを算出する(ステップS33)。例えば、両面印刷の場合、給紙部から給紙される印刷用紙にはまず裏面に印刷する画像データが印刷され、その後、反転搬送路を経由させて印刷用紙の表面に印刷する画像データが印刷される。つまり、Nin1割付印刷が設定されていない場合、画像形成部2bにおいては、まず2ページ目の画像データを印刷し、続いて印刷用紙を反転させてから1ページ目の画像データを印刷して出力する処理が行われる。このように両面印刷の場合には、画像形成部2bにおける画像形成順序が入れ替わる。また、Nin1割付印刷の場合、給紙部から給紙される印刷用紙に複数ページ分の画像データが同時に印刷される。そのため、画像処理装置2は、ステップS30で判別した印刷モードに基づいて各ページの画像形成順序を特定し、その画像形成順序に基づいて各ページの給紙タイミングを算出する。
【0111】
次に画像処理装置2は差替中フラグがオンであるか否かを判断する(ステップS34)。つまり、ここではページ差替部31bによって未確定ページを確定ページに差し替える差替処理が行われているか否かを確認する。その結果、差替処理が行われている場合(ステップS34でYES)、画像処理装置2は、待機判別処理を実行する(ステップS35)。この待機判別処理(ステップS35)では、差替対象ページの差替処理が完了するまでに印刷出力を待機させるか否かが判断される。一方、差替処理が行われていない場合(ステップS34でNO)、待機判別処理(ステップS35)は行われない。
【0112】
次に画像処理装置2は、合成ジョブ26に基づく印刷出力処理を実行する(ステップS36)。そして合成ジョブ26に含まれる全ページ分の印刷出力が完了すると、この処理が終了する。
【0113】
図16は、待機判別処理(ステップS35)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。尚、図16に示す待機判別処理は、後に詳しく説明する印刷出力処理(ステップS36)の詳細な処理手順の中でも実行される処理である。画像処理装置2は、この待機判別処理を開始すると、まずページ差替部31bによって特定される差替対象ページを取得すると共に(ステップS40)、各差替対象ページの差替所要時間を取得する(ステップS41)。
【0114】
差替対象ページを取得すると、画像処理装置2は、その差替対象ページの中に、既に印刷出力済みの差替対象ページが存在するか否かを判断する(ステップS42)。尚、ステップS42の判断は、合成ジョブ26に基づく印刷出力が開始されている場合にのみ行うようにしても良い。そして印刷出力済みの差替対象ページがある場合(ステップS42でYES)、画像処理装置2は、その印刷出力済みの差替対象ページを判別対象から除外する(ステップS43)。尚、印刷出力済みの差替対象ページがない場合(ステップS42でNO)、ステップS43の処理はスキップする。例えば、合成ジョブ26に基づく印刷出力が開始される前であれば、ステップS43の処理は行われない。
【0115】
そして画像処理装置2は、差替対象ページの中から1つの判別対象ページを選択する(ステップS44)。そして選択した判別対象ページの差替処理が完了するタイミングを算出する(ステップS45)。ここでは、ステップS41で取得した差替所要時間に基づいて完了タイミングが算出される。そして画像処理装置2は、選択した判別対象ページの給紙タイミングを取得し(ステップS46)、その給紙タイミングから所定時間が経過するまでに、判別対象ページの差替処理が完了するか否かを判断する(ステップS47)。
【0116】
その結果、判別対象ページの給紙タイミングから所定時間が経過するまでにページ差替部31bによる差替処理が完了する場合(ステップS47でYES)、画像処理装置2は、待機設定をオンにする(ステップS48)。これに対し、判別対象ページの給紙タイミングから所定時間が経過するまでにページ差替部31bによる差替処理が完了しない場合(ステップS47でNO)、画像処理装置2は、待機設定をオフにする(ステップS49)。
【0117】
そして画像処理装置2は、他の判別対象ページがあるか否かを確認し(ステップS50)、他の判別対象ページがある場合にはステップS44に戻って上述した処理を繰り返す。つまり、画像処理装置2は、ページ差替部31bによって差替処理が行われる差替対象ページのうち、ステップS43で除外されたページを除いて全ての差替対象ページに対し、待機設定をオンとオフのいずれか一方に設定する。そして全ての差替対象ページに対する設定処理が完了すると(ステップS50でNO)、待機判別処理が終了する。
【0118】
次に図17は、印刷出力処理(ステップS36)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像処理装置2は、この処理を開始すると、まずユーザXによって指定された印刷モードを画像形成部2bに設定して反映させる(ステップS60)。そして画像処理装置2は、合成ジョブBOX17から印刷対象ページを読み出す(ステップS61)。このとき、画像処理装置2は、合成ジョブBOX17に記憶されている複数のページの中から、画像形成順序に従って1又は複数のページを印刷対象ページとして読み出す。
【0119】
そして画像処理装置2は、印刷対象ページの給紙タイミングとなったか否かを判断する(ステップS62)。その結果、未だ給紙タイミングとなっていない場合(ステップS62)、画像処理装置2は、続いて差替中フラグがオンであるか否かを判断する(ステップS63)。そして差替中フラグがオフである場合(ステップS63でNO)、ステップS62へ戻り、給紙タイミングとなるまでの間、ステップS62とS63の判断が繰り返し行われる。そして給紙タイミングとなるまでに、差替中フラグがオンであることが検知された場合(ステップS63でYES)、画像処理装置2は、その差替中フラグがオンである状態で、既に待機判別処理を実行済みであるか否かを判断する(ステップS64)。そして待機判別処理を既に実行している場合(ステップS64でYES)は、ステップS62に戻り、給紙タイミングとなるまで待機する。一方、差替中フラグがオンである状態で、未だ待機判別処理が実行されていない場合(ステップS64でNO)、画像処理装置2は、待機判別処理を実行する(ステップS65)。この待機判別処理(ステップS65)の詳細は、図16に示した処理と同様である。そして待機判別処理が終了すると、ステップS61へ戻り、あらためて印刷対象ページの読み出しが行われる。これにより、待機判別処理(ステップS65)で待機設定がオンにされていれば、その情報を取得することができる。
【0120】
一方、給紙タイミングであることを検知した場合(ステップS62でYES)、画像処理装置2は、印刷対象ページに関する待機設定がオンであるか否かを判断する(ステップS66)。そして待機設定がオンである場合(ステップS66でYES)、画像処理装置2は、ページ差替部31bによって印刷対象ページの差替処理が完了するまで待機し(ステップS67)、差替処理が完了すると、印刷対象ページの再読み出しを行う(ステップS68)。これにより、ページ差替部31bによって確定ページに差し替えられた印刷対象ページを取得することができる。また、待機設定がオフである場合(ステップS66でNO)、画像処理装置2は、印刷対象ページが未確定ページであるか否かを判断する(ステップS69)。そして未確定ページであれば、未確定ページである印刷対象ページに、未確定情報25を合成する処理を行う(ステップS70)。尚、印刷対象ページが確定ページである場合には(ステップS69でNO)、ステップS70の処理は行われない。
【0121】
そして画像処理装置2は、印刷対象ページの印刷出力を開始する(ステップS71)。つまり、画像処理装置2は、印刷対象ページを印刷するための給紙動作を開始すると共に、画像形成部2bを印刷対象ページに基づいて駆動制御することにより、画像形成部2bに印刷対象ページの出力動作を行わせる。
【0122】
印刷対象ページの印刷出力を開始すると、画像処理装置2は、次の印刷ページがあるか否かを判断する(ステップS72)。そして次の印刷ページがある場合にはステップS61に戻って上述した処理を繰り返す。つまり、画像処理装置2は、合成ジョブ26に含まれる全てのページの印刷出力を行うまでステップS61〜S72の処理を繰り返し実行する。そして全てのページの印刷出力を行うと(ステップS72でNO)、印刷出力処理が終了する。
【0123】
本実施形態の画像処理装置2は、上記のような処理を行うことにより、合成ジョブ26に基づく印刷出力の開始時又は印刷出力を開始してから完了するまでの間に、ページ差替部31bによって未確定ページを確定ページに差し替える差替処理が行われることを良好に検知することができる。そしてページ差替部31bによる差替処理が行われるときには、その差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングから所定時間が経過するまでに、確定ページへの差し替えが完了するか否かを判断し、所定時間が経過するまでに確定ページへの差し替えが完了する場合にはその差し替えが完了するまで当該差替対象ページの印刷出力を待機させる一方、所定時間が経過するまでに確定ページへの差し替えが完了しない場合には印刷出力を待機させることなく、当該差替対象ページに対して未確定状態であることを示す画像を合成して印刷出力を行わせることができるようになる。また印刷出力と差替処理とが並行して行われない場合であっても、画像処理装置2は、合成ジョブ26に含まれる未確定ページに対して未確定状態であることを示す画像を合成して印刷出力することができるようになる。
【0124】
すなわち、本実施形態の画像処理装置2は、ユーザからの合成ジョブ26の印刷指示があった場合、速やかに合成ジョブ26に基づく印刷出力を開始する構成であるため、印刷指示を行ったユーザを待たせることなく、その時点での合成ジョブ26に基づく印刷出力を行うことができる。特に、印刷出力と差替処理とが並行して行われるときには、差替対象ページごとに、ユーザを長時間待たせることなく差替処理を完了させることが可能であるか否かを判断し、可能であればその差替対象ページを確定ページとして出力する構成となっている。そのため、印刷指示が行われた時点で合成ジョブ26に未確定ページが含まれる場合であっても、印刷出力時にはそれらの未確定ページを確定ページに差し替えた状態で出力することができる。それ故、合成ジョブ26の印刷指示を行ったユーザにとっては、確定ページがより多く含まれる印刷物を取得することができるようになり、合成ジョブ実行時の利便性が向上する。
【0125】
また、差替対象ページを確定ページに差し替える差替処理が所定時間内に間に合わないなど、未確定ページをそのまま出力せざるを得ない場合には、その未確定ページに対して未確定状態であることを示す画像を合成して印刷出力する構成である。そのため、合成ジョブ26の印刷指示を行ったユーザが未確定ページを含む印刷物を取得した場合でも、その印刷物を精査することなく、一見してどのページが未確定状態であるかを把握することができる。それ故、ユーザの作業負担を軽減することが可能である。
【0126】
また本実施形態の画像処理装置2は、ページ差替部31bが未確定状態となっているページを確定ページとして差し替えるとき、その差替対象ページに含まれるオブジェクトの数、種類又はデータサイズに基づいてその差替対象ページの差し替え要する差替所要時間を算出する。つまり、ページ差替部31bは、単に用紙サイズなどに基づいて一律に差替所要時間を算出するのではなく、各差替対象ページに含まれるオブジェクトの数、種類又はデータサイズに基づいて正確に各差替対象ページの差替所要時間を算出する構成となっている。そして印刷制御部32は、そのようにして算出される正確な差替所要時間に基づいて、各差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングから所定時間が経過するまでに確定ページへの差し替えが完了するか否かを判断するため、ここでも正確な判断を行うことができるようになる。
【0127】
また本実施形態では、差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングは、当該差替対象ページの印刷出力を行うための給紙が開始される給紙タイミングである場合を例示した。そしてこの給紙タイミングは、印刷指示に含まれる印刷モードの指定に基づいて差替対象ページごとに算出されるようになっている。したがって、両面印刷が行われる場合や、Nin1割付印刷が行われる場合であっても、正確に差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングを特定することができるようになっている。
【0128】
(変形例)
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は上述した内容のものに限定されるものではない。
【0129】
例えば、上記実施形態では、画像処理装置2が合成ジョブ26を生成する構成を例示したが、これに限られない。例えばネットワーク3に接続されたサーバ装置を設け、そのサーバ装置が情報処理装置5からの合成用印刷データ21を受信して、その合成用印刷データ21に基づき合成ジョブ26を作成する構成であっても良い。この場合、サーバ装置が画像処理装置として機能し、上記図13〜図17に示したフローチャートに基づく処理を実行する。そしてそのサーバ装置は、生成した合成ジョブ26に含まれる複数のページを、1ページずつ(ただし、Nin1割付印刷の場合はNページずつ)、ネットワーク3を介してプリンタへ順に送信していくことにより、印刷出力を実行させる。このような構成によっても本発明を実現することができる。ただし、この場合、サーバ装置は、プリンタにおいて給紙が行われる給紙間隔に関する情報を保持しておくことが必要である。
【0130】
また、上述した実施形態では、合成用印刷データ21aに含まれる全ページ指定は、全ページ分の文書データを合成用印刷データ21aに含めることにより行っていたが、これに限られない。例えば、情報処理装置5aは、担当ページのみに基づく合成用印刷データ21aを作成し、全ページ数に関する全ページ数情報をその合成用印刷データ21aに関連づけるように構成しても良い。すなわち担当ページが1〜4ページ目であり、合成ジョブ26が全10ページで構成されるとすると、情報処理装置5aは、その4ページ分の合成用印刷データ21aを作成し、全ページ数が10ページであることを示す全ページ数情報をその合成用印刷データ21aに関連付する。一方、画像処理装置2においては、その合成用印刷データ21aを受信すると、担当ページである1〜4ページ目を確定ページとして記憶すると共に、その全ページ数情報に基づき全ページを特定して、担当ページ以外の5〜10ページ目の文書データを白紙データとして新たに用意し、その白紙の文書データを未確定ページとして確定ページと共に記憶しても良い。このような構成によれば、画像処理装置2と情報処理装置5aとにおいて全ページ分の合成用印刷データ21aの送受信を行う必要がなくなるので、画像処理システム1全体として処理負担を軽減することができる。
【0131】
また、上記実施形態では、合成ジョブ26に対する印刷指示が操作パネル2aを介して行われる場合を例示したが、情報処理装置5を介して行われても構わない。
【符号の説明】
【0132】
1 画像処理システム
2 画像処理装置
17 合成ジョブBOX(記憶手段)
25 未確定情報
26 合成ジョブ
31 管理部
31a 記憶制御部
31b ページ差替部(ページ差替手段)
31c 受付部(受付手段)
32 印刷制御部(印刷制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ異なるタイミングで受信する2以上の印刷データを1つに合成して複数ページから成る合成ジョブを作成し、該合成ジョブに基づいて印刷出力を行う画像処理装置であって、
前記合成ジョブの作成対象となる印刷データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された印刷データに含まれるページに基づき、前記合成ジョブを構成する複数ページのうち、未確定状態となっているページを確定ページとして差し替えることにより、前記記憶手段への印刷データの追加記憶に伴って前記合成ジョブを作成していくページ差替手段と、
前記合成ジョブに関する印刷指示を受け付ける受付手段と、
前記印刷指示に基づき、前記ページ差替手段によって作成される前記合成ジョブを読み出して印刷出力を開始する印刷制御手段と、
を備え、
前記印刷制御手段は、印刷出力の開始時又は印刷出力を開始してから完了するまでの間に、前記ページ差替手段によって未確定ページを確定ページに差し替える処理が行われるとき、その差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングから所定時間が経過するまでに、確定ページへの差し替えが完了するか否かを判断し、前記所定時間が経過するまでに確定ページへの差し替えが完了する場合にはその差し替えが完了するまで当該差替対象ページの印刷出力を待機させ、前記所定時間が経過するまでに確定ページへの差し替えが完了しない場合には印刷出力を待機させることなく、当該差替対象ページに対して未確定状態であることを示す画像を合成して印刷出力を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記印刷制御手段は、印刷出力の開始時又は印刷出力を開始してから完了するまでの間に、前記ページ差替手段によって未確定ページを確定ページに差し替える処理が行われないとき、未確定状態となっているページに対して未確定状態であることを示す画像を合成して印刷出力を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ページ差替手段は、未確定状態となっているページを確定ページとして差し替えるとき、当該差替対象ページに含まれるオブジェクトの数、種類又はデータサイズに基づいて当該差替対象ページの差し替えに要する差替所要時間を算出し、
前記印刷制御手段は、前記差替所要時間に基づいて、当該差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングから所定時間が経過するまでに確定ページへの差し替えが完了するか否かを判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングは、当該差替対象ページの印刷出力を行うための給紙が開始される給紙タイミングであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記給紙タイミングは、前記印刷指示に含まれる印刷モードの指定に基づき、差替対象ページごとに算出されることを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記印刷制御手段は、未確定ページの余白領域を特定し、その余白領域に対して未確定状態であることを示す画像を合成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記印刷制御手段は、未確定ページに含まれる画像に、未確定状態であることを示す画像を重ねて合成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
それぞれ異なるタイミングで受信する2以上の印刷データを1つに合成して複数ページから成る合成ジョブを作成して出力する合成ジョブ出力方法であって、
前記合成ジョブの作成対象となる印刷データを受信する都度、該印刷データを所定の記憶手段に格納するステップと、
前記記憶手段に印刷データが格納されている状態で新たな印刷データが前記記憶手段に格納されることに伴い、該新たな印刷データに含まれるページに基づき、前記合成ジョブを構成する複数ページのうち、未確定状態となっているページを確定ページとして差し替える差替処理を行うことにより、前記記憶手段への印刷データの追加記憶に伴って前記合成ジョブを作成していくステップと、
前記合成ジョブに関する印刷指示を受け付けるステップと、
前記印刷指示に基づく印刷出力の開始時又は印刷出力を開始してから完了するまでの間に、前記差替処理が行われるとき、その差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングから所定時間が経過するまでに、確定ページへの差し替えが完了するか否かを判断し、前記所定時間が経過するまでに確定ページへの差し替えが完了する場合には前記差替処理が完了するまで当該差替対象ページの印刷出力を待機させ、前記所定時間が経過するまでに確定ページへの差し替えが完了しない場合には印刷出力を待機させることなく、当該差替対象ページに対して未確定状態であることを示す画像を合成して印刷出力を行うステップと、
を有することを特徴とする合成ジョブ出力方法。
【請求項9】
コンピュータにおいて実行されることによって、それぞれ異なるタイミングで受信する2以上の印刷データを1つに合成して複数ページから成る合成ジョブを作成して出力するためのプログラムであって、前記コンピュータに、
前記合成ジョブの作成対象となる印刷データを受信する都度、該印刷データを所定の記憶手段に格納させるステップと、
前記記憶手段に印刷データが格納されている状態で新たな印刷データが前記記憶手段に格納されることに伴い、該新たな印刷データに含まれるページに基づき、前記合成ジョブを構成する複数ページのうち、未確定状態となっているページを確定ページとして差し替える差替処理を行わせることにより、前記記憶手段への印刷データの追加記憶に伴って前記合成ジョブを作成させるステップと、
前記合成ジョブに関する印刷指示を受け付けるステップと、
前記印刷指示に基づき、前記記憶手段から前記合成ジョブを読み出して印刷出力を開始させるステップと、
前記印刷指示に基づく印刷出力の開始時又は印刷出力を開始してから完了するまでの間に、前記差替処理が行われるとき、その差替対象ページの印刷出力が行われるタイミングから所定時間が経過するまでに、確定ページへの差し替えが完了するか否かを判断し、前記所定時間が経過するまでに確定ページへの差し替えが完了する場合には前記差替処理が完了するまで当該差替対象ページの印刷出力を待機させ、前記所定時間が経過するまでに確定ページへの差し替えが完了しない場合には印刷出力を待機させることなく、当該差替対象ページに対して未確定状態であることを示す画像を合成して印刷出力を行うステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−107352(P2013−107352A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255914(P2011−255914)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】